平成13(受)1759 損害賠償,民訴法260条2項による仮執行の原状回復請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年4月27日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所 平成7(ネ)643
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判決文本文1,257 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 1 上告人は,a地区に所在するD炭鉱,E炭鉱等を経営していた会社であり,被上告人らは,これらの炭鉱で粉じん作業に従事したことによりじん肺にり患したと主張する者又はその承継人である。本件は,被上告人らが,上告人は,雇用者として,坑内作業場における適切な粉じん対策を講ずるなどして従業員がじん肺にり患し又は増悪させることのないように配慮すべき義務があるのにこれを怠ったと主張して,上告人に対し,安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を求める事案である。 2 上告代理人山口定男,同関孝友,同三浦啓作,同松崎隆,同伊達健太郎の上告受理申立て理由第2点について雇用者の安全配慮義務違反によりじん肺にかかったことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は,じん肺法所定の管理区分についての最終の行政上の決定を受けた時から進行すると解すべきであるが(最高裁平成元年(オ)第1667号同6年2月22日第三小法廷判決・民集48巻2号441頁),【要旨1】じん肺によって死亡した場合の損害については,死亡の時から損害賠償請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。なぜなら,その者が,じん肺法所定の管理区分についての行政上の決定を受けている場合であっても,その後,じん肺を原因として死亡するか否か,その蓋然性は医学的にみて不明である上,その損害は,管理二~四に相当する病状に基づく各損害とは質的に異なるものと解されるからである。これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,論旨は採用することができない。 - 1 - 3 同第3点について論旨は,じん肺法所定の管理二の行政上の決定を受けた後, れるからである。これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,論旨は採用することができない。 - 1 - 3 同第3点について論旨は,じん肺法所定の管理二の行政上の決定を受けた後,10年以上を経過してからじん肺により死亡した元従業員に関し,管理二に相当する病状に基づく損害賠償請求権は,時効により消滅しているから,認容すべき慰謝料額は,じん肺による死亡に基づく損害の慰謝料相当額から管理二に相当する病状に基づく損害の慰謝料相当額を控除した金額とすべきであるというものである。 そこで,この点について判断するに,【要旨2】原審の確定した事実関係の下で,原審は,当該元従業員の損害を,管理二に相当する病状に基づく損害とは別個のものであるとして,これを,じん肺による死亡それ自体に係る損害として評価し,その額を定めたものであり,このような場合についてまで,上記の消滅時効に係る慰謝料相当額を控除しなければならないものではない。所論の点に関する原審の判断は,正当として是認することができ,論旨は採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官藤田宙靖裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三)- 2 -

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