- 1 -平成19年1月26日判決言渡平成15年(行ウ)第467号行政文書一部不開示決定取消請求事件口頭弁論終結日平成18年11月1日判決主文 被告が,原告らに対し,平成15年5月2日付けでした行政文書開示決定処分のうち,次の(1)から(6)までを不開示とした各部分を取り消す。 (1)別紙「不開示文書目録」①のアからエまで記載の各文書のうち,別紙「本件対象文書①の請求認容部分」記載の各部分(2)同目録②のアからウまで及びカ記載の各文書の別添(3)同目録②のエ記載の文書の別添のうちD109ページからD262ページまで及びH27ページからH345ページまでの各部分以外の部分(4)同目録②のオ記載の文書の別添のうちB1ページからB5ページまで及びC1ページからC10ページまでの各部分以外の部分(5)同目録③のイ記載の文書のうちC377ページ,C380ページからC383ページまで,C409ページ,C410ページ,C598ページからC604ページまで及びC641ページからC643ページまでの各部分以外の部分(6)同目録④記載の文書の付録 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを4分し,その3を原告らの負担とし,その余を被告及び被告参加人の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が,原告らに対し,平成15年5月2日付けでした行政文書開示決定処- 2 -分のうち,別紙「不開示文書目録」記載の各文書(ただし,同目録①記載の各文書については,別紙「本件対象文書①の開示請求部分と不開示理由」記載の各開示請求部分に限る。)を不開示とした部分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告らが,平成15年4月4日付けで,被告に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法 」記載の各開示請求部分に限る。)を不開示とした部分を取り消す。 第2事案の概要本件は,原告らが,平成15年4月4日付けで,被告に対し,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づいて,抗癌剤「イレッサ(ゲフィチニブ)」の動物実験及び臨床実験等に関する行政文書の開示請求をしたところ,被告が請求対象文書を「イレッサ錠250」に係る被告参加人(以下「参加人」という。)による承認申請書の添付資料の一部等であると特定した上,その一部を開示し,その余については情報公開法5条2号イ(公にすることにより,当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ)に該当する不開示情報が記録されているとして不開示決定をしたことから,原告らがその取消しを求めている事案である。 なお,本訴提起後,被告が,上記不開示決定を一部変更し,上記請求対象文書の一部について開示したことから,原告らは,当該開示部分に対応する訴え等を取り下げ,上記変更決定によってもなお不開示とされた文書(又はその部分)に係る不開示決定の大部分について,その取消しを求めている。 前提事実(争いのない事実及び顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)イレッサ錠250の概要,その承認の経緯及び販売開始後の状況についてアイレッサ錠250は,有効成分ゲフィチニブを含有する製剤であり,上皮成長因子受容体(EGFR)を阻害することによって,手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する効能,効果を持つとされる抗悪性腫瘍剤(抗癌剤。 以下「抗癌剤」という。)である。 イイレッサ錠250については,平成14年1月25日,英国に本社を置- 3 -くA社(以下「英国A社」という。)の日本法人である参加人(以下,英国A社とその傘下にある各 癌剤」という。)である。 イイレッサ錠250については,平成14年1月25日,英国に本社を置- 3 -くA社(以下「英国A社」という。)の日本法人である参加人(以下,英国A社とその傘下にある各国法人(参加人を含む。)からなる企業グループを「参加人グループ」ということがある。)から,新有効成分含有の医療用医薬品として,薬事法23条,14条1項に基づき,輸入販売の承認の申請がされた。 ウ上記承認申請後,医薬品医療機器審査センターでの審査,平成14年5月24日,薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会での審議,さらに,同年6月12日,同審議会薬事分科会での審議を経て,同年7月5日,被告は,一定の条件を付した上で,イレッサ錠250の輸入販売について承認した。 エイレッサ錠250は,平成14年7月16日に販売が開始されたが,その後,同年10月15日までに間質性肺炎等の肺障害26例が厚生労働省に報告された。このため,厚生労働省は,同日,参加人に対し,間質性肺炎等について,イレッサ錠250の添付文書の「警告欄」に記載し,使用上の注意の改訂を行うことを指示するとともに,緊急安全性情報を医療機関に配付し,上記副作用について医療関係者の注意喚起を行うよう指示した。これを受けて,参加人は,同日,イレッサ錠250による急性肺障害,間質性肺炎について緊急安全性情報を配付するとともに,その旨添付文書の警告欄に記載し,使用上の注意を改訂した。 オ厚生労働省に対する,イレッサ錠250による間質性肺炎等の肺障害の報告例は,平成14年12月13日時点において,同年10月15日以前に肺障害が発現した例も併せて358例(うち死亡例114例)である。 また,同年12月27日から平成15年4月22日までの間のイレッサ錠250による副作用報告例は46例(うち死亡例14例)となっ 以前に肺障害が発現した例も併せて358例(うち死亡例114例)である。 また,同年12月27日から平成15年4月22日までの間のイレッサ錠250による副作用報告例は46例(うち死亡例14例)となっている。 (2)文書開示請求原告らは,平成15年4月4日,被告に対し,「イレッサ(ゲフィチニブ)」に関する以下の行政文書について開示請求をした(以下「本件開示請- 4 -求」という。)。 ア動物実験に関するもの(ア)反復毒性試験ラット・イヌそれぞれの予備試験,1か月・6か月の各試験の実施日,実施施設名も含め,報告書のすべて(イ)B医大(C教授)によるブレオマイシンとの併用による肺障害増強に関する実験結果(追試結果を含む)(ウ)上記B医大による実験の参加人による追試結果。ただし,実験が未実施又は実験結果が未報告の場合で,実験計画が提出されている場合には,その実験計画書(エ)参加人が実施した肺毒性に関する動物実験結果。ただし,実験が未実施又は実験結果が未報告の場合で,実験計画が提出されている場合には,その実験計画書イ第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験に関するもの(ア)すべての死亡例及び有害事象によるイレッサ中止例の臨床経過が記載されたすべての文書。ただし,海外の臨床試験における有害事象以外による死亡例は除く。 (イ)No39臨床試験における,申請資料概要「イレッサ錠250に関する資料」p507表ト-113の欄外に記載された,集計に含まれていないとされる500mg群の4例の死亡例の臨床経過が記載されたすべての文書(ウ)日本における臨床試験(V1511)については,申請資料概要「イレッサ錠250に関する資料」表ト28(p426)中,重篤であることが疑われるメレナ(5人),血尿(5人),呼吸困難(1人),低酸素症(1人)の症例 床試験(V1511)については,申請資料概要「イレッサ錠250に関する資料」表ト28(p426)中,重篤であることが疑われるメレナ(5人),血尿(5人),呼吸困難(1人),低酸素症(1人)の症例の臨床経過が記載されたすべての文書ウ第Ⅲ相臨床試験(INTACT-1,INTACT-2)に関するもの- 5 -(ア)第Ⅲ相臨床試験(INTACT-1,INTACT-2)における,有害事象や副作用それぞれによる死亡の頻度を,プラシーボ群,イレッサ250mg群・500mg群に分けて集計した結果(イ)2002年8月に,参加人から厚生労働省に対して行われた上記第Ⅲ相臨床試験(INTACT-1,INTACT-2)の第一報及びその後2002年9月から11月にかけて参加人から厚生労働省に報告されたとされる,ヨーロッパ癌学会で発表予定だった内容の詳細情報エイレッサ使用患者数,販売量データに関するもの(ア)期間別(※)イレッサ使用実患者数(推定)(イ)期間別(※)イレッサ販売数量(推定)※期間の別は次のとおりである。 Ⅰイレッサに関する緊急安全性情報発出前(2003/10/15まで)Ⅱ同情報発出後(10/16~11/25)Ⅲ同情報発出後(10/15頃~12/25)Ⅳ12月末対策後(12/26以降)(3)不開示決定と本訴の提起ア不開示決定被告は,平成15年5月2日付けで,本件開示請求について,その一部について開示し,その一部について不開示とする決定をした(以下「本件不開示決定」という。)。 被告は,本件不開示決定において,本件開示請求に係る請求対象文書のうち前記(2)ア(ア)及びイ(ア)から(ウ)までに対応するものを,「イレッサ錠250」に係る承認申請書の添付資料の一部である下記(ア)から(エ)までのものであると特定した(た に係る請求対象文書のうち前記(2)ア(ア)及びイ(ア)から(ウ)までに対応するものを,「イレッサ錠250」に係る承認申請書の添付資料の一部である下記(ア)から(エ)までのものであると特定した(ただし,前記(2)イ(ア)に対応するもののうち,「治験薬副作用・感染症症例報告書」については,下記6月3日付けの決定において判断がされており,本件不開示決定の対象とはされ- 6 -ていない。)上,本件不開示決定において,これらのものをいずれも全部不開示とした。 そして,被告は,本件不開示決定において開示・不開示の判断の対象とされなかった文書(前記(2)イ(ア)に対応するものにつき,「治験薬副作用・感染症症例報告書」を含み,後記第3の1(2)①から⑤までを除くもの及び同ウ(ア)及び(イ)に対応するもの)については,情報公開法10条2項に基づき開示決定等の期限を延長した上,同年6月3日付けで一部開示決定をしたが,同決定については本訴の対象とされていない。 なお,本件開示請求に係る請求対象文書であって上記以外のもの(前記(2)ア(イ)から(エ)まで並びにエ(ア)及び(イ)に対応するもの)については,本件不開示決定において,保有していないとの理由で不開示とされた。 (以上につき,甲7,8)(ア)前記(2)ア(ア)に対応する文書として被告が特定した文書(以下「本件対象文書①」という。)被告は,本件対象文書①を,次のaからdまでのとおりとして特定した。 a添付資料ニ-6(表題:ラットを用いた1か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))b添付資料ニ-7(表題:イヌを用いた1か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))c添付資料ニ-8(表題:ラットを用いた6か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))d添 資料ニ-7(表題:イヌを用いた1か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))c添付資料ニ-8(表題:ラットを用いた6か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))d添付資料ニ-9(表題:イヌを用いた6か月間経口投与毒性試験に関する資料(原文は英語で表記))上記4文書は,いずれも毒性に関する資料(薬事法施行規則(平成16年厚生労働省令第112号による改正前のもの。以下同じ。)18条- 7 -1項1号ニ)の一部であり,反復投与毒性試験と呼ばれる試験に関するものである。 反復投与毒性試験とは,薬物を哺乳動物に繰り返し投与したときに生ずる有害な変化である毒性変化を,投与した用量と投与時間との関係で明らかにし,併せて毒性が見られない用量を明らかにすることを目的とするものである。 上記4文書は,いずれも報告書の要約,試験責任者の陳述書,試験方法(被験薬の情報,調製方法,使用動物に関する情報,試験デザイン,各検査の実施要領等),結果,考察,結論,引用文献が記載されており,その他,別添として膨大なデータ(体重個体別値,摂餌量個体別値,摂水量個体別値,血液学的検査個別値,尿検査個体別値等)が添付されているものである。 (イ)前記(2)イ(ア)に対応する文書(ただし,「治験薬副作用・感染症症例報告書」を除くもの)として被告が特定した文書(以下「本件対象文書②」という。)被告は,本件対象文書②を,次のaからfまでの6文書の一部であるとして特定した。 a添付資料ト-1(内容:英米で悪性腫瘍患者64例にイレッサ錠250を50~700mg/day14日間経口投与後14日間観察した時の忍容性及び毒性所見を評価した第Ⅰ相臨床試験に関する資料)b添付資料ト-3(内容:米国で非小細胞肺癌,卵巣癌,頭頸部癌,前立腺癌又は大腸癌患 00mg/day14日間経口投与後14日間観察した時の忍容性及び毒性所見を評価した第Ⅰ相臨床試験に関する資料)b添付資料ト-3(内容:米国で非小細胞肺癌,卵巣癌,頭頸部癌,前立腺癌又は大腸癌患者69例においてイレッサ錠250を150~1000mg/day連日反復投与における増量時の安全性及び忍容性を評価した第Ⅰ・第Ⅱ相臨床試験に関する資料)c添付資料ト-4(内容:豪州,欧州で非小細胞肺癌,卵巣癌,頭頸部癌,前立腺癌又は大腸癌患者88例においてイレッサ錠250を1- 8 -50~1000mg/day連続反復投与における増量時の安全性及び忍容性を評価した第Ⅰ・第Ⅱ相臨床試験に関する資料)d添付資料ト-5(内容:日本及び外国で非小細胞肺癌患者210例(日本人以外:108例,日本人:102例)を対象に,本薬250及び500mg/day28日間を1治療期間とした反復投与時の有効性及び忍容性並びに日本人と日本人以外との民族差を検討した第Ⅱ相国際臨床試験に関する資料)e添付資料参ト-5(内容:胃癌患者に本薬2用量を投与時の有効性及び安全性を検討するための第Ⅱ相臨床試験に関する資料)f添付資料ト-6(内容:米国で非小細胞肺癌患者216例(250mg群102例,500mg群114例)で250又は500mg1日1回反復投与を行った時の有効性及び安全性を評価した第Ⅱ相臨床試験に関する資料)上記6文書は,いずれも臨床試験に関する資料(薬事法施行規則18条1項1号ト)の一部であり,治験薬であるゲフィチニブを実際の患者に投与して適切な用量を決め,その効果,副作用及び投与する際に必要な注意事項等を明らかにすることを目的とするものである。 臨床試験は,第Ⅰ相臨床試験,第Ⅱ相臨床試験及び第Ⅲ相臨床試験から成り,第Ⅰ相臨床試験は,通常,少数の健康な の効果,副作用及び投与する際に必要な注意事項等を明らかにすることを目的とするものである。 臨床試験は,第Ⅰ相臨床試験,第Ⅱ相臨床試験及び第Ⅲ相臨床試験から成り,第Ⅰ相臨床試験は,通常,少数の健康な青・壮年層の男性を対象に行われ,主として副作用等の安全性が評価される。第Ⅱ相臨床試験は,当該医薬品の目的とする患者のうち少数の者を対象に行われ,有効で安全な投与量や投与方法等が評価される。第Ⅲ相臨床試験は,第Ⅱ相試験で決定された用法・用量での有効性・安全性を,より多くの患者を対象に検証するものである。なお,抗癌剤については,第Ⅲ相臨床試験は,通常,市販後に行われている(平成3年2月4日付け薬新薬第9号新医薬品課長通知「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライ- 9 -ン」について)。 上記6文書は,報告書の要約(参トは除く。),試験方法(試験デザイン,対象患者の選択・除外基準,用法・用量,併用薬・併用療法,評価項目等),結果,考察,結論,引用文献が記載されており,別添として治験計画書等が添付されている。 (ウ)前記(2)イ(イ)に対応する文書として被告が特定した文書(以下「本件対象文書③」という。)被告は,本件対象文書③を,次のa及びbの2文書の一部であるとして特定した。 a添付資料ト-6(内容:米国で非小細胞肺癌患者216例(250mg群102例,500mg群114例)で250又は500mg1日1回反復投与を行った時の有効性及び安全性を評価した第Ⅱ相臨床試験に関する資料)bNewDrugApplicationIntegratedSummaryofSafetyInformation(内容:健康被験者及び癌患者を対象とした20の臨床試験の合計960例から得られた安全性資料)(以下「ISS」という。)上記aの文書は dSummaryofSafetyInformation(内容:健康被験者及び癌患者を対象とした20の臨床試験の合計960例から得られた安全性資料)(以下「ISS」という。)上記aの文書は,日本における承認申請のための添付資料(臨床試験に関する資料)の一部であり,報告書の要約,試験方法(試験デザイン,対象患者の選択・除外基準,用法・用量,併用薬・併用療法,評価項目等),結果,考察,結論,引用文献が記載されており,別添として治験計画書等が添付されている。 上記bの文書は,米国における承認審査の過程において米国食品医薬品局(FDA)に提出された資料の一部であり,報告書の要約,安全性情報の収集・評価方法,臨床試験から得られた安全性情報,考察,結論,引用文献が記載されており,別添として,試験の概略,実施中の臨床試験一覧等が添付されている。 - 10 -(エ)前記(2)イ(ウ)に対応する文書として被告が特定した文書(以下「本件対象文書④」という。)被告は,標記の文書を,「添付資料ト-2(内容:日本で固形癌患者31例を対象に,本薬50~700mg/日単回及び反復経口投与時の安全性及び毒性所見を評価した第Ⅰ相臨床試験に関する資料)」の一部であるとして特定した。 上記文書は,報告書の要約,試験方法(試験デザイン,対象患者の選択・除外基準,用法・用量,併用薬・併用療法,評価項目等),結果,考察,結論,引用文献が記載されており,別添として治験計画書等が添付されている。 イ本訴の提起原告らは,本件不開示決定のうち,本件開示請求に係る前記(2)ア(ア)及びイ(ア)から(ウ)までに対応する部分の取消しを求めて,本訴を提起した。 (4)本件不開示決定の変更決定と原告らによる請求の減縮ア参加人は,平成17年3月1日,本件対象文書①(承認申請書 )及びイ(ア)から(ウ)までに対応する部分の取消しを求めて,本訴を提起した。 (4)本件不開示決定の変更決定と原告らによる請求の減縮ア参加人は,平成17年3月1日,本件対象文書①(承認申請書添付資料ニ-6からニ-9まで)を含む毒性試験に係る添付資料を,インターネットの自社のホームページ上で公表した。 イ被告は,平成17年8月23日,アの事実を踏まえて,上記ホームページ上に掲載された情報は情報公開法5条2号イに該当しないものと判断し,本件不開示決定においては,本件対象文書①を全部不開示としていたところ,次の(ア)から(カ)までの各情報が記載された部分のみを不開示とし,その余の部分を開示する旨の決定をした(以下「本件変更決定」という。)。 (ア)試験責任者,病理担当者,試験従事者及び信頼性保証部門担当者の氏名,所属,役職及び資格,並びに引用文献の人名- 11 -(イ)実験施設,その部署の名称,住所,電話番号,ファックス番号,メールアドレス(ウ)プロトコール承認日,初回投与日,最終剖検日,査察日,報告日及び試験に関係した者の署名日等の日付並びに査察項目(エ)実験施設に動物のえさ等を供給している法人等の名称(オ)ゲフィチニブの規格及び安定性に関連する情報(カ)試験責任者,試験従事者の署名ウ原告らは,本件変更決定を受けて,本件対象文書①について開示を求める部分を,別紙「本件対象文書①の開示請求部分と不開示理由」記載の各開示請求部分(以下「本件対象文書①の開示請求部分」という。)に限定し,その旨本訴における請求を減縮し,被告はこれに同意した。 上記減縮後,本訴において,原告らが本件対象文書①について開示を求める部分は,上記イの(ア),(イ),(ウ)及び(カ)に対応している。 (以上につき,顕著な事実) 争点(当事者 はこれに同意した。 上記減縮後,本訴において,原告らが本件対象文書①について開示を求める部分は,上記イの(ア),(イ),(ウ)及び(カ)に対応している。 (以上につき,顕著な事実) 争点(当事者及び参加人の主張は別紙「争点に関する当事者の主張」のとおりである。)(1)被告が,本件不開示決定において,本件開示請求のうち前記1(2)イの(ア)から(ウ)までに対応するものを,本件対象文書②から④までと特定したことの適否。すなわち,前記1(3)アの(イ)から(エ)までに掲記した各文書の全体ではなく,その一部であるとして特定したことの適否。さらに,原告らが上記各文書の全体について不開示決定がされたものとして,その取消しを求めることの可否。 (2)本件対象文書①の開示請求部分に記載された情報は,情報公開法5条1号,2号イの規定する不開示情報に該当するか。 (3)本件対象文書②から④までに記載された情報は,情報公開法5条2号イの規定する不開示情報に該当するか。 - 12 -(4)本件対象文書①の開示請求部分及び本件対象文書②から④までに記載された情報は,情報公開法5条1号ロ,2号ただし書の規定する「人の生命,健康を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に該当するか。 第3争点に対する判断 争点(1)(被告による対象文書の特定の適否と本件訴えの適法性)について(1)情報公開法は,行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができるものとし(同法3条),その請求は行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項を記載した書面を提出して行うものとしている(同法4条1項2号)。そして,行政機関の長は,開示請求があったときは,不開示情報が記録されている場合を除き,当該行政文書を開示しなければならないと る事項を記載した書面を提出して行うものとしている(同法4条1項2号)。そして,行政機関の長は,開示請求があったときは,不開示情報が記録されている場合を除き,当該行政文書を開示しなければならないとしており(同法5条),その一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,当該部分を除いた部分につき開示しなければならないとする(同法6条1項)一方,開示請求に係る行政文書の一部を開示するときは,その旨の決定をするものとされている(同法9条1項)。 このように,情報公開法は,開示請求及びこれに対する開示・不開示について,一つの行政文書を単位として行うことを前提としており,その一部を開示し,その余を不開示とする旨決定する場合でも,不開示情報の存否,その区分の可否といった点について,あくまでも請求対象とされた行政文書の全体にわたり認定判断を行うことを予定しているということができる。そして,一連の書面等が開示請求の対象とされた場合,どの範囲をもって,一つの行政文書とみるべきかについては,法令上その指針が示されてはいないことからすれば,開示請求対象文書を実際に見分できないとの制約の下で,一般的な社会通念に従い,一連の書面等の表題の付け方,編綴の仕方その他の管理の形態といった外観に着目するほか,そこに記載されている外形的内容- 13 -の関連性,換言すると,ひとまとまりのものとみなすことができるかといった外形から判明する実質的内容をも勘案した上で,決するほかない。 (2)本件において,原告らは,本件開示請求に当たり,前記前提事実(第2の1)(2)ア(ア)及びイ(ア)から(ウ)までのとおり,請求対象文書を特定して請求をしたところ,被告は,上記イ(ア)から(ウ)までに対応する文書につい は,本件開示請求に当たり,前記前提事実(第2の1)(2)ア(ア)及びイ(ア)から(ウ)までのとおり,請求対象文書を特定して請求をしたところ,被告は,上記イ(ア)から(ウ)までに対応する文書については,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書の一部(本件対象文書②から④まで)であると特定した上で,本件不開示決定を行ったものである。そして,被告は,上記各文書のその余の部分については,開示・不開示の判断を行っていない(本件不開示決定の対象としていない。)。 したがって,本来,請求対象文書の単位となるべき一つの行政文書について,被告がこれを殊更に分断してその一部を請求対象文書から除外したかどうか,本来,開示・不開示の判断を行うべき行政文書の一部についてその判断を遺脱したといえるかどうかが問題となる。 そこで,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書をみるのに,外形的には,それぞれに「添付資料ト-1」,「添付資料ト-2」等の表題が付された一連の書面であって,内容的にみても,一定の条件でイレッサ錠250を投与した臨床例のグループに係る臨床試験の関係資料を一まとめにしたものである(ただし,前記前提事実(3)ア(ウ)b記載の文書のみ,多数の臨床試験の結果をまとめた安全性資料である。)ことが推認できるから,各文書それぞれについて,その全体が一つの行政文書の単位を成しているとみるのが相当である。 この点について,被告は,原告による請求対象文書の特定は,前記前提事実(2)イ(ア)から(ウ)までのとおりのものであり,そこでは実際の臨床経過が記載された文書の開示を求めているところ,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書のうち,①添付資料ト-1,ト-3,ト-4及びト-6のうち各別添,②添付資料ト-5の別添のうちD 過が記載された文書の開示を求めているところ,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書のうち,①添付資料ト-1,ト-3,ト-4及びト-6のうち各別添,②添付資料ト-5の別添のうちD109ページからD- 14 -262ページまで及びH27ページからH345ページまでの各部分以外の部分,③添付資料参ト-5の別添のうちB1ページからB5ページまで及びC1ページからC10ページまでの各部分以外の部分,④ISSのうちC377ページ,C380ページからC383ページまで,C409ページ及びC410ページ,C598ページからC604ページまで,C641ページからC643ページまでの各部分以外の部分,⑤添付資料ト-2のうちの付録には,実際の臨床経過の記載がないから,上記①から⑤までの各部分は,いずれも請求対象文書になっていないことが明らかであると主張している。 しかし,実際の臨床経過の記載がある部分とない部分とを区分できるからといって,それだけで,両者を独立した別個の行政文書とみることはできない。また,被告の主張によれば,実際の臨床経過の記載がないとした部分は,別添,付録であるものや,臨床経過が一被験者ごとに編綴されているもの等,外形的・形式的に,その余の部分と区別できる要素もあるもののようにも見受けられるが,前記のとおり,その内容の関連性から一まとまりの文書として一個の表題が付けられていることに照らせば,その余の部分との間で相互に参照されることも予定されているものといえるから,上記のような外形的・形式的な要素があるとしても,全体が一つの行政文書であることまでは否定できないというべきである。 (3)上記(2)で判断したところによれば,本件開示請求に対し,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書の全部をその対象として 政文書であることまでは否定できないというべきである。 (3)上記(2)で判断したところによれば,本件開示請求に対し,前記前提事実(3)ア(イ)から(エ)までに掲記した各文書の全部をその対象として特定し,開示・不開示の判断を行うべきところ,被告は,上記各文書の一部である本件対象文書②から④までの範囲のみを対象として本件不開示決定を行ったものであるから,その点において,具体的には,上記(2)の①から⑤までの各部分については判断を遺脱したものといわざるを得ない。 被告は,上記各部分を対象とした開示・不開示の決定はないので,行政処分は不存在であり,その取消しを求める訴えは不適法である旨主張する。確- 15 -かに,上記のとおり判断遺脱があることを前提とすると,原告らとしては,改めて被告に判断遺脱があった部分について開示・不開示の決定を求め,その決定に不服があれば別途取消しの訴えを提起し,その決定がない場合には,不作為の違法確認を求める訴えを提起するという救済方法が本来的であると解する余地もないではない。 しかしながら,本件不開示決定の通知書(甲6)の文面をみると,そもそも不開示とした部分が一つの行政文書の全体であるのか,一部であるのかが明らかではない。わずかに,本件対象文書③については,それが文書の一部であることをうかがわせる記載がないではないが,当該記載部分についても,その前後の記載に照らしてみると一つの行政文書の一部のみを請求対象として特定し,その範囲に限って不開示の決定をした趣旨が明確に表されているとは認め難い。 このように,本件不開示決定においては,本件開示請求に係る行政文書の全体について不開示の決定をしたかのような外形が存在する一方,それが当該行政文書の一部のみを対象とする趣旨のものであることが明確になったのは,本件第18回口 においては,本件開示請求に係る行政文書の全体について不開示の決定をしたかのような外形が存在する一方,それが当該行政文書の一部のみを対象とする趣旨のものであることが明確になったのは,本件第18回口頭弁論期日において被告の準備書面(8)が陳述されたことによるものであって,原告らがその点について認識を欠いていたとしても特段責められるべきところがない。そうすると,現時点において,前記(2)の①から⑤までに掲記した各部分に係る本件不開示決定の取消しの訴えを却下した上,前記のような救済方法をとることを原告らに要求するのは,一方的に負担を課すものであっていささか公平に反し,しかも迂遠であるといわざるを得ない。 そこで,本件においては,判断の遺脱があったと考えられる上記(2)の①から⑤までの各部分について,これを不開示としたかのような決定の外形が存在することを前提にしつつ,改めて開示・不開示の判断を行わなければならないことを明確にし,いわば被告に差し戻す趣旨で,当該部分に係る本件- 16 -不開示決定の違法を宣明し,これを取り消すのが相当であるというべきである。 争点(2)(本件対象文書①の各不開示部分の情報公開法5条1号及び2号イ該当性)について(1)まず,本件対象文書①の各不開示部分のうち,実験施設及びその部署の名称,並びにその住所,電話番号,ファックス番号及びメールアドレスが,情報公開法5条2号イ(公にすることにより,当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ)の不開示情報に該当するか否かについて判断する。 これらの情報は,法人等に関する情報であって,参加人グループがイレッサ錠250の承認申請に必要な毒性試験・動物実験を委託し,これを実施した施設が特定されるものであり,試験を委託した参加人グループ,受託し,これを ,法人等に関する情報であって,参加人グループがイレッサ錠250の承認申請に必要な毒性試験・動物実験を委託し,これを実施した施設が特定されるものであり,試験を委託した参加人グループ,受託し,これを実施した施設である法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるかが問題となる。一般に,製薬会社が医薬品を開発する場合に実施する毒性試験・動物実験をどのような施設に委託するかは,当該施設から過去に得られた成果や他の施設との比較その他それまでの事業活動において蓄積された情報を参考にしながら,その施設が特定の実験を実施する適格・能力を有するものと判断して決定するのが通常であると考えられる。 そして,本件対象文書①に記載された実験施設を特定する上記各情報が開示された場合,そこに記載されたのと類似の試験を他の製薬会社が実施するに当たって,上記実験施設を試験の委託先の候補に加えるほか,これを実際の委託先に決定することも起こり得ることと考えられる。そうすると,実験施設の選定に有益な情報の蓄積が十分でなく,あるいは,参加人グループと同等の蓄積がない製薬会社からすれば,開示された実験施設に関する情報を利用して,試験の委託,ひいては,新薬の開発をより迅速かつ効率的に進めることが可能になるといえる反面,参加人グループとしては,競合する医薬品- 17 -が早期に市場で売り出されることにより,自身の売上げ・利益が減少し,相対的に競争力の低下という事態を招きかねない。そうすると,実験施設の名称その他これを特定する情報は,情報公開法5条2号イに該当するものというべきである。 この点に関して,原告らは,外部施設の試験実施能力は,毒性試験を委託しようとする製薬会社自らが個別に問い合わせて調査すべき事柄であり,試験実施能力が他の製薬会社に知れることに特別の問 うべきである。 この点に関して,原告らは,外部施設の試験実施能力は,毒性試験を委託しようとする製薬会社自らが個別に問い合わせて調査すべき事柄であり,試験実施能力が他の製薬会社に知れることに特別の問題はないと主張するが,ある施設に特定の試験の委託をし,それが適正に処理されて必要な成果が得られたということは,通常は,当該委託に係る当事者以外には把握できない事柄であって,試験を委託しようとする他の製薬会社が外部施設の試験実施能力について自ら調査を行ったとしても,本件対象文書①の実験施設を特定する情報が開示された場合と同じ情報が得られるとの保証はない。また,仮に同じ情報が得られるとしても,数多くの外部施設の中から,その試験実施能力を正確に把握しその候補を絞るなどの作業に,少なからず時間,労力を要することは明らかであり,開示された情報を利用する他の製薬会社のメリットはやはり小さなものとはいえないのであって,原告らの上記主張を採用することはできない。 さらに,原告らは,平成11年4月まで採用されていた公表要件制度の下では,新薬の承認申請に際し,製品の有効性や安全性の科学的根拠となる資料の学術誌等への公表が義務付けられており,長年にわたって毒性試験の委託先の外部施設名が明らかにされていたものの,その場合に具体的な弊害が生じていたという指摘はなかったと主張する。しかし,公表要件制度の下で公表された学術論文等に,承認申請の添付資料に記載された毒性試験の委託先である外部施設名が明記されていたと認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(乙35の1・2)によれば,そうした学術論文等には外部施設名を明記していないものがあったことが認められる。したがって,この点に関- 18 -する原告らの主張も採用できない。 (2)次に,本件対象文書①の各不開示部分のうち そうした学術論文等には外部施設名を明記していないものがあったことが認められる。したがって,この点に関- 18 -する原告らの主張も採用できない。 (2)次に,本件対象文書①の各不開示部分のうち,試験責任者,病理担当者,試験従事者及び信頼性保証部門担当者の氏名,署名,所属,役職及び資格,並びに引用文献の人名については,個人に関する情報で,特定の個人を識別することができるものであるから,情報公開法5条1号(個人情報)に該当するものと認めることができる。 この点に関して,原告らは,医薬品の承認審査に供される資料の作成に携わった試験の責任者や従事者については,実験結果の正確性・信憑性の検証を行う必要があり,そのためには特定の個人を識別できる情報が必要であると主張する。そして,同様な情報が実務上開示されている例として,行政運営上の懇談会における発言者(非公務員)の氏名を挙げる。 しかしながら,情報公開法上,特定の個人を識別することができる情報について,これを開示しなければならないのは,同法5条1号イからハまでのいずれかに該当する場合に限られている。そして,原告らの指摘する懇談会の発言者の氏名の例は,同法5条1号イ又はハに該当するものか,これに準ずるものと解する余地があるものの,医薬品の承認審査に供される資料の作成に携わったというだけで,これを公務員の職務の遂行に準ずるものとみるのは無理があるし,その者の情報を公開するものとする法令の規定や慣行があると認めるに足りる証拠もない。原告らは,試験に参加した研究者名が,公表要件制度の下で公表されていたと主張するが,毒物試験を委託された外部施設(前記(1))同様,研究者名についても,同制度の下で公表された学術論文等において明記されていたと認めるに足りる証拠はない。そうすると,試験の責任者や従事者につ するが,毒物試験を委託された外部施設(前記(1))同様,研究者名についても,同制度の下で公表された学術論文等において明記されていたと認めるに足りる証拠はない。そうすると,試験の責任者や従事者について,その者の情報を同法5条1号イ又はハに該当するものと解する余地はなく,懇談会の発言者と同じような扱いをすべき根拠はないというべきであって,原告らの上記主張は採用できない(なお,同法5条1号ロ該当性については,後記4においてまとめて検討を加えるこ- 19 -ととする。)。 (3)さらに,本件対象文書①の各不開示部分のうち,プロトコール(治験実施計画書)承認日,初回投与日,最終剖検日,査察日,報告日及び署名日その他の日付並びに査察項目が,情報公開法5条2号イ(公にすることにより,当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ)の不開示情報に該当するか否かについて判断する。 この点に関して,被告及び参加人は,医薬品の開発過程では,安全性を確保しつつ,いかなる試験をいかなるタイミング・順序で行うかが極めて重要であると主張し,参加人グループはこの点に関して安全性を確保しながら,時間のロスなく必要な試験を行うかについて高度なノウハウを有していると主張している。また,その具体例として,ある三つの試験を行う場合,二つの試験を同時に並行して行い,途中一定の結果が出た段階で安全性を検討して三つ目の試験を開始することを挙げている。 しかしながら,本件対象文書①に関しては,上記各不開示部分を除いた,毒性試験の内容・結果を含むほとんどの部分が本件変更決定及び参加人自身によって開示・公表されているものである。このことを前提に考えると,複数の実験を行う場合の実験相互のタイミング・順序のみをとらえて高度なノウハウであるとし,これを模倣することにより他の び参加人自身によって開示・公表されているものである。このことを前提に考えると,複数の実験を行う場合の実験相互のタイミング・順序のみをとらえて高度なノウハウであるとし,これを模倣することにより他の製薬会社が医薬品の開発を効率的に行えるようになるとする点は,いささか説得力を欠いているといわざるを得ない。他方で,これを開示することにより参加人グループに不利益が生ずるおそれがあると認めるだけの客観的根拠があるとはいい難い。上記の例についても,既に開示されている実験結果から,三つの試験が内容的に関連するものであることが分かるのであれば,それらを効率的に行おうとする場合,複数の試験を同時並行的に行ったり,一定の結果が出た時点で別の試験に着手したりすることそれ自体は一般的に行われるであろう工夫の範疇であって独自のノウハウとまではいい難い。逆に,三つの試験が内容的に- 20 -関連するものであることが分からないのであれば,第三者にとって,複数の試験相互のタイミング・順序に特段の意味を見いだし難いといえる。 したがって,本件対象文書①に記載されたプロトコール承認日,その他の実験の日付に関する情報は,情報公開法5条2号イの不開示情報に該当しないというべきである。 争点(3)(本件対象文書②から④までの情報公開法5条2号イ該当性)について(1)本件対象文書②から④までの各文書が情報公開法5条2号イの不開示情報に該当するか否かについて判断する。 (2)医薬品の製造等の承認を受けようとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならないものとされており(薬事法14条3項,薬事法施行規則18条の3第1項1号),この場合の添付すべき資料については,平成11年4月8日付け医薬発第 関する資料その他の資料を添付して申請しなければならないものとされており(薬事法14条3項,薬事法施行規則18条の3第1項1号),この場合の添付すべき資料については,平成11年4月8日付け医薬発第481号厚生省医薬安全局長通知「医薬品の承認申請について」(以下「481号通達」という。乙2)において,その詳細な内容が示されている。 他方,承認された新医薬品等については,一定期間医療現場等で使用された後,再度,その有効性,安全性を再審査することが予定されており,市販開始後,一定期間医療現場で使用された場合の効果の程度や副作用の発生状況を調査し,その調査資料を添付して,再度被告の審査を受けることが義務付けられているところ,この再審査期間は,新有効成分含有医薬品については,原則として,承認があった日から6年と定められている(薬事法14条の4第1項)。 そして,製造等の承認がされた医薬品と同一性を有する医薬品について,承認を得た製薬会社と異なる製薬会社が製造等の承認を申請する場合についても,上記再審査期間が経過して再審査が終了するまでの間は,承認申請の- 21 -ための添付資料を省略することはできず,これを提出する必要があるものとされている。すなわち,当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合においては,その資料を添付することを要しないものとされているものの(薬事法施行規則18条の3第1項柱書ただし書),それ以外の場合について添付資料の省略は認められておらず,また,481号通達では,新医薬品とその成分・分量,用法・用量及び効能・効果が同一性を有すると認められる医薬品を上記再審査期間中に申請する場合にあっては,当該新医薬品と同等又はそれ以上の資料の添付を必要とするものとされている 薬品とその成分・分量,用法・用量及び効能・効果が同一性を有すると認められる医薬品を上記再審査期間中に申請する場合にあっては,当該新医薬品と同等又はそれ以上の資料の添付を必要とするものとされている(同通達第二の七)。ちなみに,平成17年厚生労働省令第112号による改正後の薬事法施行規則40条2項においても,承認申請の添付資料について,当該申請に係る事項が医学薬学上公知であると認められる場合その他資料の添付を必要としない合理的理由がある場合においては,その資料を添付することを要しないと規定する一方,新医薬品とその有効成分,分量,用法,用量,効能及び効果が同一性を有すると認められる医薬品の承認申請にあっては,当該新医薬品の再審査期間中は,当該新医薬品の承認申請において資料を添付することを要しないとされたもの以外は,医学薬学上公知であると認められない旨規定し,添付資料の省略がそもそも認められないものとしている。 (3)以上を前提にして,イレッサ錠250と同一性を有する医薬品について,他の製薬会社が製造等の承認申請を行おうとする場合を考えてみると,参加人が新規に承認申請をした際に必要とされた添付資料を省略することは認められておらず,なおかつ,481号通達において,当該新医薬品と同等又はそれ以上の資料の添付を必要とされているものの,それ以外に,その内容及び入手の方法について特段の制限が付されてはいない。 そうすると,イレッサ錠250の臨床試験に関する資料である本件対象文書②から④までが開示された場合,他の製薬会社がイレッサ錠250と同一- 22 -性を有する医薬品の承認申請を行う際,それが上記の再審査期間(イレッサ錠250に関しては平成20年7月5日がその終期となる。前記前提事実(1)ウ参照)中であっても,これを添付資料として利用することが 性を有する医薬品の承認申請を行う際,それが上記の再審査期間(イレッサ錠250に関しては平成20年7月5日がその終期となる。前記前提事実(1)ウ参照)中であっても,これを添付資料として利用することが可能であるということができる。そして,このような形で利用されることになれば,参加人と競合する他の製薬会社が,独自に添付資料を収集する費用や労力を節約して同一製剤に係る申請を行い,早期に承認を得る可能性が高まるというべきであって,こうした事態が参加人の競争上の地位を害することは明らかといえる。 (4)この点に関して,原告らは,481号通達の内容からすれば,先発医薬品の再審査終了前に同一製剤の承認申請をする場合,独自に収集した資料を添付する必要があるのであって,先発医薬品の承認申請の添付資料である本件対象文書②から④までを,同一製剤の承認申請手続にそのまま流用することはできないと主張する。 しかしながら,481号通達においても,添付資料の内容及び入手の方法について特段の制限が加えられているわけではないことは,前記(2)のとおりである。そして,例えば,複数の製薬業者が全く同一の資料を添付資料に利用して同一製剤の製造の承認申請をする場合を考えてみると,先に申請をした製薬業者が承認を得たことによって優先的地位を得,後に申請をした製薬業者はその資料を使用することができなくなり独自に添付資料を用意しなければならないことになるのは必ずしも合理的とはいえないし,このことは,当該医薬品が再審査期間中にある場合でも基本的に異なるところはないものと考えられる。こうした場合と対比してみると,先発医薬品の添付資料をその再審査期間中に,これと同一性を有する医薬品の承認申請に流用したからといって,再審査制度の趣旨に反することになるとして,添付資料の流用の事実があったと 合と対比してみると,先発医薬品の添付資料をその再審査期間中に,これと同一性を有する医薬品の承認申請に流用したからといって,再審査制度の趣旨に反することになるとして,添付資料の流用の事実があったというだけの理由で,同一性を有する医薬品の承認が認められなくなると結論付けることはできないというべきである。 - 23 -(5)原告らは,平成11年4月までの公表要件制度の下で,新薬の承認申請に際し,臨床試験に関する資料について,製品の有効性や安全性の科学的根拠となる資料を学術誌等に掲載することが義務付けられており,臨床試験に関する資料も,当該方法によって公表されてきたと主張する。 しかし,公表要件制度の下でも,承認申請書に添付すべき資料のうち主要な部分を,原則として日本国内の専門の学会において発表し,又は学会誌若しくはこれに準ずる雑誌に掲載すること等が要求されていたものであり(甲11),承認申請に添付した資料そのもの又はそのすべてを学術誌に掲載することが要求されていたわけではない。実際に,毒物試験を委託した外部施設や研究者の氏名が学術誌等で明記されていたと認めるに足りる証拠がないことは,前記2の(1)及び(2)でみたとおりであって,臨床試験に関してもこれと異なるものと解すべき根拠はない。承認を得た医薬品について,公表要件制度の下で学術誌等に掲載された上記のような情報と,承認申請を得た製薬会社が現実に提出した添付資料そのものとを比較した場合に,その情報提供の趣旨の違いにかんがみれば,両者にしかるべき差異があっても当然であり,他の製薬会社が同一製剤の承認申請をする際の添付資料として利用する場面においても,後者であれば,それをそのまま流用することが考えられるのに対して,前者については,そうした利用の仕方は困難であるものと推認される。 そうすると 認申請をする際の添付資料として利用する場面においても,後者であれば,それをそのまま流用することが考えられるのに対して,前者については,そうした利用の仕方は困難であるものと推認される。 そうすると,公表要件制度の下で,臨床試験に関する資料が開示されており,仮に,同制度の下で,医薬品の承認申請をした企業が損害を受けたという指摘がなかったとしても,臨床試験に係る添付資料である本件対象文書②から④までをそのまま開示した場合に,参加人グループに損害が生じないと解する根拠にはならないというべきである。 (6)さらに,原告らは,本件対象文書②から④までには,添付文書や「審査報告書」,「申請資料概要」等により,既に公開された情報も含まれており,- 24 -これらは「営業秘密」に当たらないものであるから,これらを一律に不可分一体のものとして不開示情報とみることはできないと主張する。 しかし,イレッサ錠250の同一製剤について承認申請をする他の製薬会社の立場からみれば,「審査報告書」,「申請資料概要」等により既に公開された情報であっても,それが記載された添付資料(参加人が被告に提出し,実際に受理されたもの)の一部という形で開示されることにより,これをそのまま,あるいは,わずかに手を加えることで,自身の申請の添付資料として利用することが可能になり,あるいは,容易になることはまま起こり得ることであると推測される。この意味で,承認申請の添付資料の記載の濃淡や記載形式,記載順序,記載分量といった諸点が,被告及び参加人が主張するように,それ自体として高度なノウハウであり営業秘密としての有用性を有するかどうかはともかくとして,イレッサ錠250の承認申請の添付資料としてみた場合,形式的な要素を含めた一体としての文書が開示されることにより,他の製薬会社による利用を り営業秘密としての有用性を有するかどうかはともかくとして,イレッサ錠250の承認申請の添付資料としてみた場合,形式的な要素を含めた一体としての文書が開示されることにより,他の製薬会社による利用を可能あるいは容易にするものというべきである。したがって,「審査報告書」,「申請資料概要」等により既に公開された情報が記載された部分とそうでない部分とを区分することなく,本件対象文書②から④までを,それぞれ一体のものとして,その全体が不開示情報に当たるものとみるのが相当である。 争点(4)(情報公開法5条2号ただし書又は1号ロ該当性(本件対象文書①の開示請求部分及び同②から④までに記載された情報に共通))について(1)ア原告らは,公表済みのイレッサ錠250の申請資料概要では,臨床試験に関する部分において,イレッサの投与中止例及び被験者の死亡例の割合が高くなっており,また,呼吸器系の有害事象も多数発現しているにもかかわらず,上記中止例・死亡例及び有害事象例とイレッサ投与との間の因果関係を,そのほとんどの事例で否定しているが,イレッサ錠250の販売開始後における肺障害の副作用の多発という事態と対比すれば,臨床- 25 -試験においても因果関係の存在を否定できないものが相当数含まれることが強く疑われ,臨床試験における解析の妥当性にも大きな疑問が生じているとしている。そして,臨床試験における副作用発現状況に関する正確な情報を得るためには,臨床試験報告書(本件対象文書②から④までに記載された情報)の開示を受け,そのデータの分析・検討を経ることが不可欠であることから,同報告書が情報公開法5条2号ただし書にいう「人の生命,健康を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に当たると主張している。 なお,本件対象文書①の開示請求部分につい あることから,同報告書が情報公開法5条2号ただし書にいう「人の生命,健康を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に当たると主張している。 なお,本件対象文書①の開示請求部分については,便宜上,後記(2)で検討する。 イそもそも情報公開法5条2号ただし書に規定する情報は,それを開示することにより,法人等の権利,競争上の地位,その他正当な利益を害するおそれがあると認められるものであっても,それに優越する法益を保護する上で必要と認められる場合に限り,開示に伴う不利益を当該法人等に甘受させた上で,例外的にその開示を認めようとするものである。したがって,例外的な開示が認められるためには,その開示により人の生命,健康等の保護に資することが相当程度具体的に見込まれる場合であって,法人等に不利益を強いることもやむを得ないと評価するに足りるような事情が存することを要すると解するべきである。 ウこれを本件についてみると,本件対象文書②から④までの臨床試験報告書は,イレッサ錠250の安全性,有効性等を検証するために実施された臨床試験の内容を記載したものであって,イレッサ錠250の市販開始後,死亡例を含む重篤な副作用が相当多数の症例で発現していることからすると,その記載内容は人の生命,健康に関係したものであるとはいえる。 そして,第Ⅰ相及び第Ⅱ相の臨床試験として行われた6試験に関する申請資料概要(乙25)の記載をみると,①このうちの5試験において,中- 26 -止例の割合は74.8パーセントから96.9パーセント,死亡例の割合は,15.9パーセントから22.7パーセントとなっており,これらはいずれも「病勢進行による中止」,「病勢進行による死亡」と判定されたものが多数を占めていること(それぞれ「有害事象による中止」,「有害事象による死 セントから22.7パーセントとなっており,これらはいずれも「病勢進行による中止」,「病勢進行による死亡」と判定されたものが多数を占めていること(それぞれ「有害事象による中止」,「有害事象による死亡」と判定されたものの数を大きく上回っていること),②全6試験において,有害事象の発現割合は98.6パーセントから100パーセント,副作用(イレッサ錠250の投与との因果関係が否定されない有害事象。乙52)の発現割合は75.0パーセントから90.5パーセント,重篤な有害事象の発現割合は3.2パーセントから42.2パーセントとなっているのに対し,重篤な副作用の発現割合は0パーセントから8.7パーセントと判定されていること,③呼吸器系の有害事象については,5パーセント以上の発現率があるとされた副作用はないこと,全6試験の死亡例の合計は123例であるところ,呼吸器系の有害事象による死亡例13例については,いずれも副作用によるものではないと判定されていること,副作用による死亡例と判定されたものは全6試験で2例にとどまることを,それぞれ認めることができる。 そうすると,原告らの指摘に即してこれを敷衍するならば,申請資料概要の上記記載内容と前記前提事実(1)エ及びオのイレッサ錠250の販売開始後の間質性肺炎等の肺障害の発生状況とを対比すると,臨床試験と販売開始後の実地の臨床例との間で,症例数,投与対象となる被験者・患者の状況,医療機関の態勢・能力等の諸条件において大きな差異があり得ることを考慮に入れたとしても,上記記載における呼吸器系の副作用の発現率や副作用による死亡例が少なすぎるのではないか,ひいては,イレッサ錠250の投与と有害事象との因果関係を否定した個々の判断にも誤りが含まれているのではないかということになる。 エそこで,本件対象文書②から④ よる死亡例が少なすぎるのではないか,ひいては,イレッサ錠250の投与と有害事象との因果関係を否定した個々の判断にも誤りが含まれているのではないかということになる。 エそこで,本件対象文書②から④までを開示することにより,上記ウの指- 27 -摘の相当性についての検証が可能となるか否かが問題になるので,以下において検討する。 (ア)まず,中止例及び死亡例が病状進行によるものであるのか,有害事象によるものであるのか,さらには,有害事象によるものであるとして,イレッサ錠250の投与との間の因果関係を否定できないものなのかどうか(副作用によるものと分類すべきものなのかどうか)について,申請資料概要に記載されているよりも詳細・具体的な判断根拠が,本件対象文書②から④までに記載されていると認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(丙25)によれば,個別の症例の詳細な臨床経過や判断の具体的な根拠までは記載されていないものと認められるのであるから,本件対象文書②から④までが開示されたとしても,臨床試験における治験担当医師の判断の妥当性を検証することはできないといわざるを得ない。 更にいえば,イレッサ錠250の販売開始後,臨床試験の症例数(合計678例)を大きく上回る推定使用患者数(平成14年10月時点で7000人以上,同年12月時点で1万8960人。乙17,18の1)が現れた状況の下で,前記前提事実(1)エ及びオのとおり,イレッサ錠250使用との関連が疑われている多数の急性肺障害・間質性肺炎の発現が明らかとなっており,参加人からこれを踏まえた緊急安全性情報(副作用の危険について患者に十分説明することや,臨床症状を十分に観察し,その発現があった場合には,速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること等も記載されている。)の発出や医薬品添付 性情報(副作用の危険について患者に十分説明することや,臨床症状を十分に観察し,その発現があった場合には,速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること等も記載されている。)の発出や医薬品添付文書の改訂が行われていることからすると(甲22,乙17),上記副作用の発生の危険性については,患者に対しても相応の情報提供がされているものとみることができるのであって,臨床試験において本来副作用と判定すべき事例がそう判定されていなかったという誤りが幾つか判明- 28 -したとしても,そのことによってイレッサ錠250の安全性の評価に大きな影響が生じたり,患者の自己決定の前提が左右されたりすることになるとまでは考えにくい。 (イ)原告らは,参加人及び本件変更決定により公表・開示された毒性試験報告書(本件対象文書①)には,呼吸器系の異常所見が多数記載されていたが,当初から公表済みの申請資料概要の対応箇所には,その点が明確に記載されておらず,特に,肺の剖検及び病理組織検査の結果は全く記載されていなかったことは,重要なデータであっても製薬会社の判断で申請資料概要の記載から除外することが可能であることを示しており,この点からみても,臨床試験についての原資料である臨床試験報告書の開示が必要であると主張している。 しかしながら,証拠(丙23)によれば,原告らが指摘する肺の所見は,毒性試験報告書においても,イレッサ錠250の毒性によるものとは判断されず,その結果,申請資料概要の記載もこれに即したものになっていると認められる。この点に関する判断の妥当性については,原告らと参加人との間で意見が鋭く対立していると見受けられるが,いずれにしても,同報告書に肺毒性を否定した判断過程やその具体的根拠が記載されていると認めるに足りる証拠はないのであって,申請資料概要 原告らと参加人との間で意見が鋭く対立していると見受けられるが,いずれにしても,同報告書に肺毒性を否定した判断過程やその具体的根拠が記載されていると認めるに足りる証拠はないのであって,申請資料概要に記載のなかった肺の剖検及び病理組織検査の結果が明らかになることによっても,肺毒性の存否に関する判断の妥当性を検証することが可能になるという相当の蓋然性があるともいえない。 上記の点を臨床試験報告書に即して考えると,確かに,申請資料概要は,その要約にすぎないものであるから,臨床試験報告書(本件対象文書②から④まで)には,申請資料概要に表れていないデータ・所見等が記載されていることまでは推認できるものの,上記(3)でみたような推認される記載内容(個別の症例の詳細な臨床経過や判断の具体的な根拠- 29 -までは記載されていない。)も勘案すると,これらが開示されたからといって,副作用の発現状況に関する治験担当医師の判断の妥当性を検証できる可能性は小さなものにとどまるというべきである。 このほか,原告らは,イレッサ錠250の市販開始後の副作用の発現状況に照らせば,被告の承認審査の妥当性にも重大な疑問がもたらされているというべきであって,今後の承認審査を適切なものとし,副作用被害の再発を防止するためにも,臨床試験報告書の開示が必要であるとも主張するが,その開示があったとしても,治験担当医師の判断の妥当性の検証を可能にするとは限らないことは既に述べたとおりであって,承認審査の適正化や副作用被害の再発に直接つながるものとまでは認められないというべきである。 オ上記ウ及びエでみたところによれば,その開示により人の生命又は健康の保護に資することが相当程度具体的に見込まれる場合に当たるとまではいい難いところであるから,結局,本件対象文書②から④までの臨床試 上記ウ及びエでみたところによれば,その開示により人の生命又は健康の保護に資することが相当程度具体的に見込まれる場合に当たるとまではいい難いところであるから,結局,本件対象文書②から④までの臨床試験報告書記載の情報をもって情報公開法5条2項ただし書の規定する情報には該当しないものとみるのが相当である。 (2)原告らは,本件対象文書①の不開示部分のうち,本訴において開示を求めている部分(別紙「本件対象文書①の開示請求部分と不開示理由」記載の各部分)についても,情報公開法5条1号ロ又は2号ただし書に該当するので,これらを例外的に開示すべきであると主張する趣旨と解される。そして,前記2(1)及び(2)で判断したとおり,上記部分に記載された情報のうち,同法5条1号本文又は2号本文の不開示情報に該当するものは,毒性試験を行った実験施設を特定するに足りる情報,又は,毒性試験に関与した試験責任者,従事者である個人を識別するに足りる情報である。そうすると,これらの情報が,上記(1)ウでみたとおり,例外的に開示すべき要件を満たしているか否かについて判断する必要があることになる(情報公開法5条1号ロは,- 30 -その趣旨・文言を同条2号ただし書と共通にするので,同法5条1号に該当する情報を例外的に開示すべき場合にも,同様の要件を満たす必要があるものと解される。)。 そこで検討するに,これらの情報が開示されたとしても,毒性試験に関与した実験施設や個人を特定・識別することができるようになるだけであって,そのことから直ちに毒性試験の正確性・信憑性の検証が可能になるとは認め難いのであって,ひいては,その開示により人の生命又は健康の保護に資することが相当程度具体的に見込まれる場合に当たるものとはいい難い。 したがって,これらの情報は情報公開法5条1号ロ又は2 るとは認め難いのであって,ひいては,その開示により人の生命又は健康の保護に資することが相当程度具体的に見込まれる場合に当たるものとはいい難い。 したがって,これらの情報は情報公開法5条1号ロ又は2号ただし書のいずれにも当たらないものというべきである。 結論 以上のとおりであるから,別紙「不開示文書目録」②から④まで記載の各文書のうち,前記1(2)の①から⑤までに掲記した各部分については,本件開示請求の対象であるにもかかわらず,被告が本件不開示決定において開示・不開示の判断をしていない点に違法があり,その限りで本件不開示決定は取り消されるべきである。また,別紙「不開示文書目録」①記載の各文書のうち,別紙「本件対象文書①の請求認容部分」記載の各部分(プロトコール承認日,初回投与日,最終剖検日,査察日,報告日及び署名日その他の日付並びに査察項目)は不開示情報に当たるとは認められないから,同各部分に係る本件不開示決定は違法であって取り消されるべきである。他方,別紙「不開示文書目録」①から④まで記載の各文書のうち,上記以外の部分については,情報公開法5条1号本文又は2号イに規定する不開示情報に当たるものであり,かつ,同条1号ただし書及び2号ただし書に規定する例外的に開示すべき情報には当たらないことから,これらの各部分に係る本件不開示決定には違法はない。 そこで,原告らの請求のうち,本件不開示決定のうち,上記違法のある部分の取消しを求める限度で理由があるから,これを認容し,その余の取消しを求- 31 -める部分は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部大門匡裁判長裁判官吉田徹裁判官小島 用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文,61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部大門匡裁判長裁判官吉田徹裁判官小島清二裁判官- 32 -(別紙)争点に関する当事者の主張第1争点(1)(被告による対象文書の特定の適否と本件訴えの適法性)について 被告の主張(1)本件対象文書②から④までの特定についてア前記前提事実(本文第2の1)(3)ア(イ)aからcまで(本件対象文書②関係)掲記の添付資料ト-1,ト-3及びト-4には,別添として,治験実施計画書,症例報告書様式,治験に係る治験責任医師リスト及び各医師の履歴書,治験実施施設リスト等が添付されていた。しかし,これらには実際の臨床試験における臨床経過が記載されておらず,請求対象文書になっていないことが明らかであるから,被告は,当該別添部分を除いた各添付資料の本文のみを請求対象文書として特定したものであるイ前記前提事実(3)ア(イ)d(本件対象文書②関係)掲記の添付資料ト-5には,別添として,治験実施計画書,症例報告書様式,治験に係る治験責任医師リスト及び各医師の履歴書,治験実施施設リスト並びに「有効性の結果」及び「安全性の結果」の記述に係る具体的な臨床データ及びその解析結果等が添付されていた。しかし,これらのうち臨床試験を開始するに当たり事前に作成された計画書等については,実際の臨床試験における臨床経過が記載されておらず,請求対象文書になっていないことが明らかであるから,被告は,当該部分を除いた添付資料の本文及び別添のその余の部分のみを請求対象文書として特定したものである。具体的には,添付資料の本文と別添のうちD109ページから262ページまで及びH27ページからH345ページを特定し 添付資料の本文及び別添のその余の部分のみを請求対象文書として特定したものである。具体的には,添付資料の本文と別添のうちD109ページから262ページまで及びH27ページからH345ページを特定したものである。 ウ前記前提事実(3)ア(イ)e(本件対象文書②関係)掲記の添付資料参ト-5には,別添として,治験実施計画書及びその改訂,重篤な有害事象及び非重篤有害事象の症例リスト,死亡に至った有害事象及び重篤な副作用- 33 -の詳細等が添付されている。しかし,これらのうち治験実施計画書及びその改訂については,臨床試験を開始するに当たり事前に作成された計画書等であり,実際の臨床試験における臨床経過が記載されておらず,請求対象文書になっていないことが明らかであるから,被告は,当該部分を除いた添付資料の本文及び別添のその余の部分のみを請求対象文書として特定したものである。具体的には,添付資料の本文と別添のうちB1ページからB5ページまで及びC1ページからC10ページまでを特定したものである。 エ前記前提事実(3)ア(イ)f(本件対象文書②関係)及び(ウ)a(本件対象文書③関係)掲記の添付資料ト-6には,別添として,治験実施計画書,症例報告書様式,治験に係る治験責任医師リスト及び各医師の履歴書,治験実施施設リスト等が添付されていた。しかし,これらには実際の臨床経過が記載されておらず,請求対象文書になっていないことが明らかであるから,被告は,当該別添部分を除いた本文のみを請求対象文書として特定したものである。 オ前記前提事実(3)ア(ウ)b(本件対象文書③関係)掲記のISSには,本文として,報告書の要約,安全性情報の収集・評価方法,臨床試験から得られた安全性情報,考察,結論,引用文献が記載され,別添として,試験の概略,実施中の臨床試験一覧 象文書③関係)掲記のISSには,本文として,報告書の要約,安全性情報の収集・評価方法,臨床試験から得られた安全性情報,考察,結論,引用文献が記載され,別添として,試験の概略,実施中の臨床試験一覧,個別症例の経過等が添付されているが,「500mg群の4例の死亡例の臨床経過」が記載されているのは,上記別添のうちの「個別症例の経過」であり,被験者番号を見出しとして記述したものが,一被験者の経過ごとに編綴されていたことから,被告は,被験者番号により上記4例の死亡例の被験者の経過が記載された該当ぺージのみを請求対象文書として特定したものである。なお,当該該当ページは,ISSのうち,C377,C380からC383まで,C409及びC410,C598からC604まで,C641からC643までの各ページ- 34 -である。 カ前記前提事実(3)ア(エ)(本件対象文書④関係)掲記の添付資料ト-2には,付録として,治験実施計画書,症例報告書様式,治験審査委員会リスト等が添付されている。しかし,同付録については,実際の臨床試験における臨床経過が記載されておらず,請求対象文書になっていないことが明らかであるから,被告は,当該付録部分を除いた添付資料の本文のみを請求対象文書として特定したものである。 (2)被告の特定した文書以外のものに係る不開示決定の取消しを求める訴えが不適法であることについて被告は,本件対象文書としてト-1からト-6まで及び参ト-5並びにISSの各一部を特定したものであるが,上記(1)のとおり,添付資料ト-1,ト-3,ト-4及びト-6のうち各別添,添付資料ト-5の別添のうちD109ページからD262ページまで及びH27ページからH345ページまでを除いたもの,添付資料参ト-5の別添のうちB1ページからB5ページまで及びC1ページ ち各別添,添付資料ト-5の別添のうちD109ページからD262ページまで及びH27ページからH345ページまでを除いたもの,添付資料参ト-5の別添のうちB1ページからB5ページまで及びC1ページからC10ページまでを除いたもの,ISSのうちC377,C380からC383まで,C409及びC410,C598からC604まで,C641からC643までの各ページを除いたもの,並びに添付資料ト-2のうちの付録は,いずれも本件開示請求の対象ではないと判断され,開示・不開示の決定は行われていない。したがって,各添付資料等の当該部分を不開示とした決定の取消しを求める訴えは,対象となる行政処分を欠いたものであって不適法である。 原告らの主張原告らは,本件開示請求において,別紙「不開示文書目録」②から④まで記載の各文書については,同別紙の各頭書部分の括弧書きのとおり,「・・が記載されたすべての文書」として,請求対象文書を特定していたものであって,当該記載のある「箇所」の開示を求めたものではないから,当該記載のある文- 35 -書の全体が請求されたものと解すべきである。 そもそも,行政文書開示請求は文書単位でされるのが原則であり,一個の文書の一部のみの請求がされるのは例外的な場合である。実際上も,請求者は,入手しようとする情報が行政文書の中でどのような形で記載されているかを事前に正確に把握することは困難であるから,文書の一部のみの請求で足りるかどうかを請求の段階で判断することは不可能であるのが通常である。 請求者は,求める情報の内容等を手掛かりに「A(という情報)の記載された文書」という形で対象文書を特定しつつ,その文書全体の開示を求めることになるが,これは,文書の特定上そうしただけのことであって,請求者がAという情報のみを求めているとは限らない う情報)の記載された文書」という形で対象文書を特定しつつ,その文書全体の開示を求めることになるが,これは,文書の特定上そうしただけのことであって,請求者がAという情報のみを求めているとは限らないのであるから,実施機関において,Aの記載された部分のみを開示すれば足りるとして,文書の一部を対象文書として特定するようなことは許されない。 第2争点(2)(本件対象文書①の各不開示部分の情報公開法5条1号及び2号イ該当性)について 被告及び参加人の主張本件対象文書①の各不開示部分(別紙「本件対象文書①の開示請求部分と不開示理由」記載の各部分)の不開示理由は,同別紙の各「不開示理由」欄記載のとおりである。 実験施設,その部署等の名称,住所,電話番号等については,これらが明らかになると,英国A社がいかなる施設にいかなる試験を委託したかが明らかになり,参加人グループの実験施設選択のノウハウまでが明らかになって,他の製薬会社がこれを利用し,試験計画書の作成を始めとする試験の実施をより適切かつ迅速に行って,競合品を早期に市場に出すことが可能となるので,参加人グループの経営にとって大きな打撃となる。また,実験施設にとっても,参加人から委託を受けた事実を知った他の製薬会社が委託を取りやめたり,動物愛護団体からの攻撃の標的とされたりするなどのおそれがある。 - 36 -試験責任者,病理担当者,試験従事者及び信頼性保証部門担当者の氏名,署名,所属,役職及び資格,並びに引用文献の人名については,個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものである。 プロトコール承認日,初回投与日,最終剖検日,試験に関係した者の署名日等の日付については,これらが明らかになると,試験の各段階の実施時期を特定することができる。医薬品の開発過程では,いかなる試験をい プロトコール承認日,初回投与日,最終剖検日,試験に関係した者の署名日等の日付については,これらが明らかになると,試験の各段階の実施時期を特定することができる。医薬品の開発過程では,いかなる試験をいかなるタイミング・順序で行うかが極めて重要であり,参加人グループは,この点に関して高度なノウハウを有しているところ,他の製薬会社は,開示された情報を参考にして,安全性を確保しながら,時間のロスなく必要な試験を行うことができることになるのであって,参加人グループの正当な利益が害されるおそれがある。 原告らの主張(1)試験責任者・従事者の氏名等が個人識別情報に該当しないことについて懇談会等,行政運営上の会合の議事録等における発言者の氏名については,特段の理由がない限り,発言者が公務員であるか否かを問わず公開するものとするのが行政実務の取扱いとされている(総務省の取扱方針)。これは,政府の政策形成に大きな影響を及ぼすという意味では,発言者が公務員であるか否かによってその重大性には変わりはないので,発言者の氏名を公開して審議経過全体を透明化し,発言者の発言責任を明らかにする趣旨である。 本件において問題となっている医薬品の承認は,国民の生命・健康に重大な影響を及ぼすべき事項であって,試験の責任者や従事者が誰であるかを明らかにすることによって,実験結果の正確性・信憑性の検証が可能となるものである。この意味では,懇談会等の審議事項と同様の透明化が必要であって,試験の責任者や従事者の氏名,資格,所属,役職,署名は,個人識別情報として不開示とされるべきではなく,公開されるべきものである。 (2)その余の不開示部分が情報公開法5条2号イの不開示情報に該当しない- 37 -ことについて被告は,毒性試験の各試験の順序,時間的懸隔,所要期間等の試験に関す く,公開されるべきものである。 (2)その余の不開示部分が情報公開法5条2号イの不開示情報に該当しない- 37 -ことについて被告は,毒性試験の各試験の順序,時間的懸隔,所要期間等の試験に関する技術的ノウハウやこれによって得られた情報が営業秘密に当たり,経済的価値を有するかのように主張するが,試験そのものは申請企業ではなく外部施設によって行われているものであり,上記の各点の決定が申請企業によって行われているか否かも定かではない。そこに技術的ノウハウと称するものが存したとしても,それが申請企業に帰属するものなのかどうか,外部施設がこれを利用することまで禁じられるものなのかどうかも明らかではない。 したがって,この点が公開されることにより申請企業の競争上の利益を害するおそれがあるかどうかも,具体的には全く明らかではない。 また,医薬品の開発プロセスは極めて複雑なものとされており,他の製薬会社等がこれを模倣できるとすることがそもそも疑問である。仮に理論的には模倣が可能であるとしても,その現実的可能性がどの程度あり,動物実験の順序や時間的懸隔にどのような意味があるのか,その決定に当たり,どのような要素を考慮する必要があるのかについても何ら明らかにされておらず,後発の製薬会社にとって,それらを模倣することについてどれほどの意味があるのか,模倣したことによって申請企業にどのような不利益が生ずるのかも明らかにされていない。 さらに,毒性試験を委託した外部施設の試験実施能力は情報公開を待つまでもなく,試験を委託しようとする企業自らが個別に問い合わせて調査をすべき事柄であるし,試験実施能力が他企業に知れることに特別の問題があるとは考えられない。その試験実施能力から委託した製薬会社の新薬開発能力が把握できるということもない。そして,これらの外部施設名 すべき事柄であるし,試験実施能力が他企業に知れることに特別の問題があるとは考えられない。その試験実施能力から委託した製薬会社の新薬開発能力が把握できるということもない。そして,これらの外部施設名は公表要件制度の下で長年にわたり公表されてきた情報であり,公表されたことにより具体的な弊害が生じていたという指摘もない。 なお,被告及び参加人は実験施設名や試験責任者の氏名等が公表されるこ- 38 -とにより,動物愛護団体の攻撃にさらされるおそれがあると主張するが,動物愛護団体がそうした行動に及ぶのは動物実験の実施の事実によるのであって,情報公開制度があるから狙われるわけではない。これまで動物愛護団体が情報公開制度を利用しその所在を明らかにして攻撃に及んだという報道はないのであって,そのような犯罪行為が実験施設名等を公にすることにより発生しているとは認め難い。加えて,医療分野に限らず,動物実験に関する研究発表は数多く存在し,公表されている事業内容や研究分野からも,動物実験を行っている施設かどうか判断はできるのであって,実際に発生した動物愛護団体による過激な攻撃の件数が限定されていることからすると,動物実験を行っているという事実が明らかになっただけで,その施設が動物愛護団体の標的にされる可能性が高いとは到底いえない。 第3争点(3)(本件対象文書②から④までの情報公開法5条2号イ該当性)について 被告及び参加人の主張本件対象文書②から④までに記録された情報は,新薬開発過程のうち最も費用等を要する臨床試験にかかわるものであって,参加人の営業秘密に当たる。 そして,これが開示されると,後発の製薬会社が容易にイレッサ錠250と類似の性質を持つ競合品,あるいは,同一の製剤を製造・販売するなどして利益を得られることとなり,参加人の競争上の地位を低 当たる。 そして,これが開示されると,後発の製薬会社が容易にイレッサ錠250と類似の性質を持つ競合品,あるいは,同一の製剤を製造・販売するなどして利益を得られることとなり,参加人の競争上の地位を低下させその利益を害するおそれがある。また,参加人が新薬開発に関して蓄積した高度のノウハウが流出することになるので,これを他の製薬会社,ベンチャー企業等が利用することによって,参加人グループの競争力の著しい低下を招きかねない。さらに,イレッサ錠250の開発過程における試験を受託した外部施設が明らかになると,外部施設の選定に関するノウハウが明らかになって参加人グループの利益を損なうほか,同施設の以後の試験受託にも大きな影響を与えることとなり,その利益を害するおそれもあるので,情報公開法5条2号イ所定の「公にすること- 39 -により,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」情報に該当する。 (1)医薬品の開発及び承認の実情一般に,医薬品の開発には,我が国において,新薬1品目当たりの研究開発費用は200から300億円に達し,基礎研究から新薬の承認を得るまでに9年から17年という長い年月を要するとされている。アメリカにおいても,新薬1品目当たりの研究開発費用として約8億米ドルが投資され,基礎研究から新薬承認までに10年から15年という長期間を要するとされている。 医薬品の開発経過は,具体的には,①文献や基礎的な実験を通じ,化合物に薬効があるか否かを検討し,医薬品としての可能性がある物質を選定し,②選定された物質を対象として,いわゆる非臨床試験が実施され,動物や培養細胞を用い,その有効性,安全性,体内での動態(吸収・分布・代謝・排出の過程)の試験を行うとともに,その品質や安定性に関する試験が行われ,その後 対象として,いわゆる非臨床試験が実施され,動物や培養細胞を用い,その有効性,安全性,体内での動態(吸収・分布・代謝・排出の過程)の試験を行うとともに,その品質や安定性に関する試験が行われ,その後,③いわゆる臨床試験を実施し,ヒトを対象として,その有効性と安全性の試験を3段階(ただし,抗悪性腫瘍剤については2段階である。)にわたって行うという経過をたどるが,通常,①の基礎研究に約2年から3年,②の非臨床試験に約3年から5年,③の臨床試験に3年から7年を要するとされている。 このように,新薬の研究開発には,多額の費用,多くの時間に加え,研究開発に従事する研究者の莫大な労力が費やされるが,5000の新薬候補物質のうち新薬として承認されるのは,たった一つであり,さらに,発売された新薬のうち投資した研究開発費用に見合う成果(収益)を挙げる新薬は,10種のうち3種にすぎないとされている。 以上のことからみて,新薬開発過程にかかわる情報は,開発した医薬品製造等業者の営業秘密というべきである。 - 40 -(2)他の製薬会社がイレッサ錠250の競合品を開発することが容易となること本件対象文書②から④までが公開された場合,他の製薬会社は,これらを参考にしてEGFR阻害作用を有するイレッサ錠250と類似の性質を持つ新薬を開発することが容易となり,開発期間を短縮することができる。その結果,競合品の市場参入が早まり,参加人がイレッサ錠250の販売による得べかりし利益が減少する結果となる。 すなわち,非小細胞肺ガンを効能・効果とするイレッサ錠250の競合品(新薬)を開発しようとする者が,その競合品につき臨床試験を行うに当たっては,先発品であるイレッサ錠250の臨床試験の試験デザイン・試験方法・試験結果等を参照・検討して,試験実施計画を立案することになる。 )を開発しようとする者が,その競合品につき臨床試験を行うに当たっては,先発品であるイレッサ錠250の臨床試験の試験デザイン・試験方法・試験結果等を参照・検討して,試験実施計画を立案することになる。 一般的に,試験実施計画の立案においては,各試験ごとに,当該化合物の具体的な投与量,投与法,投与回数,投与期間,検査項目,観察期間,解析方法等が決定される。その際,製薬会社は,最適な試験を実施するため,議論を重ね,試験実施計画の詳細を積み上げ,医療機関との合意を得た上で,試験を実施するものであり,試験実施計画の立案のプロセスには多大な労力,時間,コストを要し,そこには,製薬会社及び医療機関の高度なノウハウが集約されている。 この点は,イレッサ錠250の臨床試験においても当てはまるのであって,本件対象文書②から④までに記載されている,個々の症例につき,いかなる方法,用量で,いかなる回数,期間投与した段階で,いかなる所見がみられたかについての詳細なデータがあれば,イレッサ錠250と類似の性質を有する新薬の治験実施計画書(プロトコール)を作成する際に非常に参考となり,治験に要する期間を短縮することができるのみならず,質の高い試験結果を得やすくなる。 このように,開示された本件対象文書②から④までを利用することにより,- 41 -他の製薬会社において,イレッサ錠250の競合品の開発がより容易かつ早期に可能となるものであるから,参加人の「権利,競争上の地位その他正当な利益を害する」ことになることは明らかである。 (3)他の製薬会社がイレッサ錠250と同一製剤の承認を受けることが容易となること医薬品の製造等の承認を取得した製薬会社に続き,当該医薬品と同一性を有する医薬品を承認申請する他の製薬会社は,当該医薬品が,再審査制度の再審査終了後(通常6年後 の承認を受けることが容易となること医薬品の製造等の承認を取得した製薬会社に続き,当該医薬品と同一性を有する医薬品を承認申請する他の製薬会社は,当該医薬品が,再審査制度の再審査終了後(通常6年後)でなければ,先発の製薬会社と同様,添付資料を独自に収集して提出する必要がある(薬事法施行規則18条の3第1項ただし書。平成11年4月8日付け医薬発第481号厚生省医薬安全局長通知「医薬品の承認申請について」。以下「481号通達」という。)。 しかし,添付資料が情報公開法に基づき開示された場合,後発の製薬会社は,当該医薬品に関する再審査終了前であっても,独自に添付資料を収集することなく,情報公開法に基づいて当該医薬品に関する各添付資料を取得し,それを自らの承認申請に係る添付資料に流用することによって当該医薬品と同一性を有する医薬品について容易に承認を得ることができることとなる。 つまり,先発の製薬会社が多大な費用と時間と労力を費やして作成した添付資料を,自ら労せずして取得することができ,新薬の開発に掛かる費用と時間と労力を省くことができることになる。 これをイレッサ錠250についてみると,医薬品の製造に当たっては,有効成分の化学名,構造式,分子式,分子量,融点,性状等といった理化学的知見が重要であり,これを把握することによって同一の医薬品を製造することが可能であるところ,イレッサ錠250の有効成分であるゲフィニチブの理化学的知見は,その添付文書(薬事法52条)において公開されているから,これを参考にして,ゲフィニチブを合成することは極めて容易である。 また,実際に,イレッサ錠250自体を分析器を用いて解析すれば,有効成- 42 -分であるゲフィニチブと添加物との構成比率等を把握することも可能であることから,後発の製薬会社は,イレッサ錠250と同 た,実際に,イレッサ錠250自体を分析器を用いて解析すれば,有効成- 42 -分であるゲフィニチブと添加物との構成比率等を把握することも可能であることから,後発の製薬会社は,イレッサ錠250と同一の製剤を製造することによって新薬開発過程の基礎研究に掛かる費用等を省くことができる。そして,本件対象文書②から④までの開示が認められると,新薬開発過程のうち,最も費用等を費やす臨床試験を省くことも可能となるのである。 すなわち,イレッサ錠250は,現在,再審査のための調査期間中であるから,後発の製薬会社が,イレッサ錠250と同一の製剤の製造等の承認を申請するためには,参加人と同様,添付資料を独自に収集して提出する必要がある。それにもかかわらず,その添付資料である本件対象文書②から④までが情報公開法に基づき開示されるとなると,後発の製薬会社は,先発の製薬会社である参加人が,多額の費用や多くの時間等を費やして作成した添付資料を取得し,新医薬品の開発過程において最も費用や時間等を要する臨床試験の過程を自ら実施することなく,これらに関する添付資料を取得して提出することができることとなるから,当該医薬品の承認までの期間も短縮することができ,さらに,本来投資しなければならない研究開発費用を投資せずに済み,しかも市場において利益を得ることができることになる。要するに,イレッサ錠250と同一の製剤が容易に市場に出回ることとなるから,参加人は,通常でも回収困難な開発費用の回収に更に支障を来すこととなる。 このような事態が,先発の製薬会社である参加人の「権利,競争上の地位その他正当な利益を害する」ことになることは明らかである。 (4)ノウハウの流出による参加人の一般的な競争力の低下本件対象文書②から④までが開示されることによる不利益は,イレッサ錠250の競合 位その他正当な利益を害する」ことになることは明らかである。 (4)ノウハウの流出による参加人の一般的な競争力の低下本件対象文書②から④までが開示されることによる不利益は,イレッサ錠250の競合品や後発品の発売時期が早まることによる不利益のみにとどまらない。参加人グループは多額の研究開発費を投じて新薬の開発に関する高度のノウハウを蓄積しているが,情報公開請求を通じて無償でこれらが他者に取得されることになれば,特にベンチャー企業との競争力の格差が一気に- 43 -縮まることになり,参加人グループの競争力の低下は著しいものというべきである。 (5)外部施設が開示されることの弊害添付資料ト(臨床試験の資料)には,当該試験の実施が委託された外部施設名が記載されているところ,これらが開示されると,参加人が,いかなる施設に対し,いかなる試験を委託したかが明らかになる。これによって,参加人の新薬の開発能力が把握できるのみならず,参加人がそれまで蓄積してきた外部施設の選定方法に関するノウハウも明らかになってしまう。 そうすると,他の製薬会社が,イレッサ錠250と類似の作用機序を有する新薬を開発する際,イレッサ錠250において用いたのと同様又は同一の外部施設に試験を委託することが可能となり,そうすることによって,参加人が当該外部施設に対して試験依頼をすることを排除するといった事態も十分に想定される。 他方,外部施設自身にとっても,その施設名が開示されることによって,試験受託状況や受託可能な試験の種類,範囲等が明らかになってしまい,そうすると,それまで当該外部施設の試験を委託していた他の製薬会社が,当該外部施設が参加人の試験をも受託していることを知って,以後当該外部施設に試験を委託することをやめるといった事態が生じ,当該外部施設の試験受託に大きな 外部施設の試験を委託していた他の製薬会社が,当該外部施設が参加人の試験をも受託していることを知って,以後当該外部施設に試験を委託することをやめるといった事態が生じ,当該外部施設の試験受託に大きな影響を与えることとなることも十分に想定される。 (6)添付資料が不可分一体のものとして不開示情報に該当すること本件対象文書を含む承認申請の添付資料は,その個別具体的な記載内容に加えて,いかなる事項をどの程度詳細に記載するかといった記載の濃淡や項目の分け方,レイアウト等も含めた記載形式の点,図表のまとめ方の点,記載順序の点,何頁程度のものかといった記載分量の点に至るまですべて参加人グループの営業秘密であり,第三者に公開されることは全く予定されておらず,その全体が不可分一体のものとして非開示情報に当たるものである。 - 44 -一方,公表済みの申請資料概要は添付資料に記載された内容を要約したものであり,一部マスキングをした上で公開することを予定して作成されたものであるから,添付資料とは全く異質なものというべきであり,単に添付資料の記載内容と公開された申請資料概要の記載内容とを比較し,両者に共通する部分について,それが申請資料概要の公開により公表されているという理由により,対応する添付資料の記載内容に秘匿すべき利益がなく不開示理由がないと判断されるべきではない。 なお,前記前提事実(4)アのとおり,参加人は,平成17年3月1日,毒性試験の試験報告書を公表したが,これは,ISEL試験でイレッサ錠250に統計学的な延命効果が認められず安全性についての関心が高まったこと,オンブズマングループがイレッサ錠250の毒性試験で肺毒性があったはずだなどと事実に反する主張をしたこと等から,毒性試験で肺毒性がなかったことを明らかにし,隠ぺい行為を行っていないことを ったこと,オンブズマングループがイレッサ錠250の毒性試験で肺毒性があったはずだなどと事実に反する主張をしたこと等から,毒性試験で肺毒性がなかったことを明らかにし,隠ぺい行為を行っていないことを示すためにしたものである。参加人グループは,イレッサ錠250の一般毒性試験の試験報告書の限りにおいて,一部非公開部分を除き,営業秘密としての利益を放棄することにしたものであるが,その他の一般毒性試験の試験報告書,臨床試験の治験総括報告書等については,依然として非公開であって,参加人グループの営業秘密として,情報公開法上も参加人グループが正当な利益を有するものとして保護されるべきものである。 原告らの主張(1)競争力の低下と情報公開法5条2号イにいう正当な利益被告・参加人は,本件対象文書の開示により参加人グループの重要なノウハウが知れ渡り,他企業に対する競争力が低下するものと主張する。しかし,競争力は,企業経営全体の力であり,多種多様な要素が複雑に絡み合って生じるものであり,仮にその低下が生じたとしても,その原因を特定することは困難である。行政文書の開示というたった一つの事象から,特定企業の競- 45 -争力低下という因果の流れを事前に予測することは不可能なのであって,競争力を情報公開法5条2号イにいう「正当な利益」として法的保護の対象とするのは不適当である。 仮に,競争力が保護の対象になり得るとしても,添付資料が公開されることによりノウハウ等が流出して参加人の競争力が低下するという事態は考えられない。被告・参加人主張の試験の実施そのものに関するノウハウ,記載内容の濃淡に関するノウハウ,記載の形式,表のまとめ方,記載の順序,記載の分量等について参加人が独自性を有するノウハウを有しているのかそもそも不明であるから,これらの手法の違いに するノウハウ,記載内容の濃淡に関するノウハウ,記載の形式,表のまとめ方,記載の順序,記載の分量等について参加人が独自性を有するノウハウを有しているのかそもそも不明であるから,これらの手法の違いによって承認審査の可否や期間に有意な影響が出ることは想定できないし,その開示によって参加人グループの国際競争力が低下するという事態も想像できない。 (2)同一製剤の承認申請に際し,公表資料の流用が不可能であること被告は,後発の製薬会社がイレッサ錠250と同一性を有する医薬品を承認申請する場合,再審査制度の再審査終了後(通常6年後)以前であっても,開示された本件対象文書を自らの承認申請に係る添付資料に流用することで,独自の添付資料を収集することなく,容易に承認を得ることができると主張する。しかしながら,481号通達の内容からすれば,後発の製薬会社が先発医薬品の再審査終了前に,同一製剤の承認を得るためには,独自に収集した資料を添付する必要があるのであって,先発医薬品の承認申請に係る添付資料を流用してその承認を得ることはできない。 (3)外部施設が開示されることにより弊害が生じないこと臨床試験は,専門医を有する大学病院その他の病院に委託されるのが一般であるが,その病院名が明らかになったからといって,申請企業の新薬の開発能力が把握できるということはないし,委託先の病院の選定について,競争上秘匿すべき選定方法に関するノウハウがあるとも考えられない。現実には,製薬会社が要求する相当程度の熟練技術を備え,しかも,特定疾患の患- 46 -者が相当数集まっている病院は極めて限定されるのであって,同種類の薬剤の承認手続に関して,複数の製薬会社の依頼が同じ大学施設や専門研究施設に集中するという事態は,情報公開の有無にかかわらず,いくらでも起こり得ることである 院は極めて限定されるのであって,同種類の薬剤の承認手続に関して,複数の製薬会社の依頼が同じ大学施設や専門研究施設に集中するという事態は,情報公開の有無にかかわらず,いくらでも起こり得ることである。さらに,外部施設が参加人の試験を受託していることを知って,他の製薬会社等がその外部施設に試験を委託することをやめるという事態が生ずることも考えられない。 (4)公表要件制度の下で開示された情報を不開示情報とすることの不当性本件対象文書である毒性試験や臨床試験に関する資料は,平成11年4月までは,新薬の承認申請に際し,製品の有効性や安全性の科学的根拠となる資料の学術誌等への公表が義務付けられており,かかる運用が長年にわたって続けられていたものである。すなわち,昭和42年9月13日薬発第645号薬務局長通知「医薬品の製造承認等に関する基本方針について」等において,医薬品としての承認を受けようとする製品の有効性や安全性の科学的根拠となる資料の学術誌等への公表が義務付けられていた(「公表要件制度」)。この制度の下で,30年余りもの間,毒性試験や臨床試験の主要な部分を含む論文が学術誌等に公表されてきたが,申請企業が損害を受けたという指摘がされたことはない。少なくとも,試験に参加した研究者名及び所属施設名は論文に記載されていた。このことからみても,本件対象文書が公開されることにより参加人の利益が害されるという主張には理由がないというべきである。 (5)不開示情報該当性が個別具体的に判断されるべきこと新薬開発過程にかかわる情報の中には,性質の異なる様々な情報が含まれており,その重要性や独自性はまちまちであるし,中には,添付文書や「審査報告書」,「申請資料概要」等により既に公開され,明らかに秘密性の要件を欠くものも含まれている。これらを一律に「営業秘 が含まれており,その重要性や独自性はまちまちであるし,中には,添付文書や「審査報告書」,「申請資料概要」等により既に公開され,明らかに秘密性の要件を欠くものも含まれている。これらを一律に「営業秘密」として不開示情報に当たるものとみることはできない。 - 47 -記載形式の点,図表のまとめ方の点,記載順序の点,何頁程度のものかといった記載分量の点に至るまですべて参加人グループの営業秘密であるとの主張は極めて非現実的であり,到底信じることができない。開示による利益侵害のおそれは記載された情報の内容ごとに個別具体的に検討すべきものであって,その全体を十分な検証もなく不可分一体のものとして不開示情報に当たるとする主張は失当である。 第4争点(4)(情報公開法5条2号ただし書又は1号ロ該当性(本件対象文書①の不開示部分及び同②から④までに共通))について 原告らの主張(1)臨床試験報告書の開示の必要性公開済みの申請資料概要の臨床試験に関する部分からは,中止例及び死亡例の割合が高く,呼吸器系の有害事象も多数発現していることが分かるが,その一方で,申請資料概要では,これらの中止例,死亡例及び有害事象例とイレッサ投与との因果関係を,そのほとんどの事例で否定している。すなわち,中止例及び死亡例は,「病勢進行による中止・死亡」と判断されており,呼吸困難,急性呼吸窮迫症候群,肺炎,呼吸不全,無呼吸,肺塞栓症,喀血,低酸素症等の呼吸器系の有害事象も,イレッサとの「関連なし」と判断されている。しかし,抗癌剤の臨床試験における被験者の選定に当たっては,予定観察期間中における生存が見込まれる者であることが,その要件とされており(「抗悪性腫瘍薬の臨床評価法に関するガイドライン」),「病勢進行による中止・死亡」は本来例外的な事象であるはずである。そして, 観察期間中における生存が見込まれる者であることが,その要件とされており(「抗悪性腫瘍薬の臨床評価法に関するガイドライン」),「病勢進行による中止・死亡」は本来例外的な事象であるはずである。そして,市販開始後の肺障害の副作用の多発という事態と併せて考えると,これらの中止例,死亡例及び有害事象例の中には,イレッサ投与との間で因果関係が認められるか,少なくともそれが否定できないものが相当数含まれていることが強く疑われる。 イレッサに関しては,上乗せ効果を調べた2つの大規模臨床比較試験(I- 48 -NTACT1及び2)と単独使用における効果を調べた大規模臨床比較試験(ISEL)において延命効果が否定され,その結果を受けて,英国A社は,平成17年1月4日,EUにおけるイレッサの承認申請を取り下げることを発表した。また,米国では,米国癌治療学会(ASCO)において実施された大規模比較臨床試験の中間解析で延命効果が認められなかったことが発表されて,当該試験自体が中止され,米国A社は,同年6月18日,イレッサの添付文書を改訂し,新規症例への処方を原則として禁止するものとすること等を発表した。欧米では,大規模な比較臨床試験によって延命効果が否定され,新規症例に対する投与が原則として行われなくなっている一方,日本では,多数の重篤な副作用被害が発生しているという状況にありながら,依然としてイレッサの使用継続が認められているため,イレッサ使用を検討する患者は,極めて難しい選択を迫られることになる。そして,参加人による臨床試験データの評価・解析が,市販開始後の副作用発生状況と著しく乖離し,その解析の妥当性に大きな疑問を生じているのであるから,臨床試験における副作用発現状況に関する正確な情報を得るためには,第三者によるデータの分析・検討が不可欠であって, 作用発生状況と著しく乖離し,その解析の妥当性に大きな疑問を生じているのであるから,臨床試験における副作用発現状況に関する正確な情報を得るためには,第三者によるデータの分析・検討が不可欠であって,そうして得られた情報がイレッサの使用を検討する患者に当然に提供されるべきである。その分析・検討に不可欠な臨床試験報告書を参加人が秘匿することは許されないのであって,それが「生命,健康を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に当たることは明らかである。 (2)毒性試験報告書の開示の経過からみた原資料開示の必要性公開済みの申請資料概要の毒性試験に関する部分には,イレッサの強い毒性,特に肺に対する強い毒性を示唆するデータが看取された。一方で,公表済みの申請資料概要には,呼吸器系の異常所見の明確な記載はなく,特に,肺の剖検及び病理組織検査の結果は全く記載されていなかった。しかし,市販開始後に肺障害の副作用が多数発生したことを考えれば,動物実験でも呼- 49 -吸器系の異常所見が認められていた可能性が高く,その異常所見の意味を改めて吟味する必要があるし,仮に,そうした異常所見が全く認められなかったとすると,試験設計等の不備により肺毒性を見落としていた可能性があるから,毒性試験の妥当性を評価する上でも,申請資料概要の原資料である毒性試験報告書の内容を検討する必要があったものである。 参加人は,平成17年3月1日になって,毒性試験報告書を公表したが,そこには,申請資料概要に記載されていない呼吸器系の異常所見が多数記載されていた。このことは,重要なデータであっても,製薬会社の判断で申請資料概要の記載から除外することが可能であることを示すものである。分量的にも,本件対象文書①に当たる4報告書は,合計1922頁に及ぶものであるが,これに対 要なデータであっても,製薬会社の判断で申請資料概要の記載から除外することが可能であることを示すものである。分量的にも,本件対象文書①に当たる4報告書は,合計1922頁に及ぶものであるが,これに対応した申請資料概要の記載はわずか15頁にすぎず,第三者が重要と考えるデータが申請資料概要から漏れてしまうことは避けられない。これらの事実から,第三者が医薬品の有効性・安全性を検討するためには,申請資料概要のみでは不十分であって,原資料である報告書の開示が必要であることが実証されたものというべきである。 (3)今後の副作用被害の再発防止の観点からみた開示の必要性医薬品の承認審査が適切に行われること,特にその安全性について厳正な評価・検討が行われることは,国民の生命・健康の保護にとって重要な意味を有する。しかるに,イレッサの臨床試験における副作用発現状況に関する参加人の解析に重大な疑問が生じているということは,これを是認した被告の承認審査の妥当性にも重大な疑問をもたらしているものである。 被告は,死亡例や有害事象例とイレッサとの因果関係を否定する参加人の解析を是認し,イレッサを申請から短期間でスピード承認して「お墨付き」を与えた。その結果,イレッサは「副作用の極めて少ない画期的な抗癌剤」として,その実力をはるかに超えた期待を癌患者から集め,市販が開始されるや爆発的に売上げを伸ばし,多数の症例に投与された結果,発売から9か- 50 -月という短期間に246名もが副作用により死亡するという未曾有の被害をもたらした。承認審査の段階でイレッサの副作用の危険性が明らかになっていれば,これほどの被害は発生しなかったところであり,今後の承認審査をより適切なものとし,副作用被害の再発を防止するためにも,承認審査において,臨床試験における死亡例や有害事象例につ 明らかになっていれば,これほどの被害は発生しなかったところであり,今後の承認審査をより適切なものとし,副作用被害の再発を防止するためにも,承認審査において,臨床試験における死亡例や有害事象例について適切な評価が行われていたかどうか,行われていなかったとすればその原因はどこにあるのかを検証することが不可欠である。この意味でも臨床試験報告書が「生命,健康を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」に当たることは明らかである。 被告及び参加人の主張(1)本件対象文書②から④までに記載された情報を公にする必要性がないことについてアイレッサ錠250の安全性に関する情報は公開されていること医薬品機構は,医薬品の安全使用を推進するため,「医薬品情報提供ホームページ」を開設しており,その運営費の一部は国が補助している。同ホームページは,新医薬品の安全性について第三者が客観的な評価を十分に行えるようにするために,「新薬の承認に関する情報」として,「審査報告書」及び「申請資料概要」を掲載し,医薬品に関する安全情報を広く公開している。 新医薬品の承認に当たっては,薬事・食品衛生審議会に諮問し,医薬品の有効性や安全性について専門的かつ高度な見地から評価を行っているが,その評価の際に用いられるのが「審査報告書」及び「申請資料概要」である。「申請資料概要」は,添付資料の内容を的確かつ簡潔にまとめたもので,承認申請企業のノウハウに相当する情報及び個人情報以外の情報が掲載されている。そして,同審議会において新医薬品に安全性に疑問等が生じれば,承認申請企業に対して再調査及び資料の提出が命じられるが,そ- 51 -れらの資料もすべて「審査報告書」に記載される。 したがって,新医薬品の安全性は,広く一般に公開されている「審査報告書」及び「申 認申請企業に対して再調査及び資料の提出が命じられるが,そ- 51 -れらの資料もすべて「審査報告書」に記載される。 したがって,新医薬品の安全性は,広く一般に公開されている「審査報告書」及び「申請資料概要」によって十分把握できる一方,医薬品に関する個々の臨床経過を子細に分析しても,「申請資料概要」等の内容以上に,医薬品の安全性を左右する情報は把握できないといえる。 イレッサ錠250についても,上記ホームページにおいて「審査報告書」及び「申請資料概要」が公開されている。その申請資料概要には,臨床試験の目的,試験方法,試験結果(患者の内訳,奏功率・症状改善率・病勢コントロール率・病勢進行までの期間・生存期間・症状悪化までの期間・QOL等の有効性に関する結果,有害事象・副作用・死亡例・有害事象による中止・重篤な有害事象・臨床検査値等の安全性に関する結果),試験の結論等が,本件対象文書②から④までの内容を要約して記載されているが,これらの情報は,医薬品の有効性・安全性評価のプロセスに照らしても,その承認申請の際に必要な臨床試験における有効性・安全性の評価に関して必要かつ十分なものであって,これに加えて本件対象文書②から④までを公開する必要性は認め難い。 イ本件対象文書②から④までが公開されてもイレッサ錠250の安全性を検証する上で有益な情報は新たに得られないこと本件対象文書②から④までには,個別の症例における詳細な臨床経過,「病勢進行による中止」や「病勢進行による死亡」と判断した根拠,有害事象とイレッサ錠250との関連性に関する判断の根拠等は記載されていない。したがって,本件対象文書②から④までを開示してみても,「病勢進行による中止」や「病勢進行による死亡」によるとの判断,個別の症例において発生した有害事象とイレッサ錠250との関連性に されていない。したがって,本件対象文書②から④までを開示してみても,「病勢進行による中止」や「病勢進行による死亡」によるとの判断,個別の症例において発生した有害事象とイレッサ錠250との関連性に関する判断についての治験担当医師の個別の判断の妥当性を検証・評価することは不可能である。こうした点を検証・評価するためには,医療機関の診療録等の- 52 -検証,各治験担当医師に対する事情聴取等が少なくとも必要になるのであって,本件対象文書②から④までを開示する必要性を認めることができない。さらに,副作用の発現状況については,申請資料概要に記載されている上,イレッサ錠250錠の市販開始後,極めて多数の患者に投与され,その報告がされているのであるから,市販開始後に行われた臨床試験等の結果,症例を分析した医学論文等を検討するのが最も適切なのであって,市販開始前の臨床試験における副作用発現状況を検討する必要性は相対的に低いものである。 ウイレッサ錠250が他の抗癌剤と比較して著しく副作用の発生率が高いとはいえないことイレッサ錠250は,抗癌剤であるが,そもそも抗癌剤は,毒性や副作用が強い医薬品であり,現状においては,悪性腫瘍自体との関係もあって,一定の副作用(死亡率)の発生は,不可避といわざるを得ない。したがって,イレッサ錠250の安全性に関しては,肺癌治療に用いられる他の抗癌剤と比較して,著しく副作用の発生率(死亡率)が高いか否かが問題になるものであるが,イレッサ錠250は,他の抗癌剤と比較して,著しく副作用の発生率が高いという事実はない。 すなわち,イレッサ錠250との因果関係が疑われる死亡例は,平成15年4月22日の時点で,推定患者数2万8300例中246例(0.8パーセント。)であるが,この数字は,肺癌治療に用いられる他の抗癌剤, わち,イレッサ錠250との因果関係が疑われる死亡例は,平成15年4月22日の時点で,推定患者数2万8300例中246例(0.8パーセント。)であるが,この数字は,肺癌治療に用いられる他の抗癌剤,例えば,塩酸イリノテカン,塩酸ゲムシタビン,ドセタキセル等と比較して著しく高いものとはなっていない。 また,イレッサ錠250で問題となった間質性肺炎等の肺障害についてみても,イレッサ錠250における副作用としての肺障害の発生率は,約2パーセントであるのに対し,肺癌治療に用いられる他の抗癌剤における副作用としての肺障害の発生率は,添付文書によれば,塩酸ブレオマイシ- 53 -ン10.2パーセント,硫酸ペプロマイシン6.9パーセント,酒石酸ビノレルビン2.5パーセント,塩酸ゲムシタビン1.5パーセント,塩酸イリノテカン0.9パーセント等となっている。 なお,原告らは,申請資料概要に記載された臨床試験の結果において,病勢進行による中止例・死亡例が多すぎると主張するが,イレッサが効かなければ腫瘍が増大するのが通常であり,仮にイレッサが効いても薬剤耐性等のために効かなくなれば腫瘍が増大することから,本件のような末期の非小細胞肺癌患者に対する臨床試験では,「病勢進行による中止」に至るのがむしろ一般的である。また,臨床試験の対象は前治療のある非小細胞肺癌患者が中心であり,無治療であれば余命が4か月前後の者が多いのであるから,一定の割合で「病勢進行による死亡」が発生するのは当然のことである。 以上によれば,イレッサ錠250が,肺癌治療に用いられる他の抗癌剤と比較して,副作用の発生率が高いとはいえない。 エイレッサ錠250の副作用発生率が減少していること被告は,イレッサ錠250の販売開始直後の副作用の発生状況等にかんがみ,添付文書の改訂を含むイレッサ錠25 て,副作用の発生率が高いとはいえない。 エイレッサ錠250の副作用発生率が減少していること被告は,イレッサ錠250の販売開始直後の副作用の発生状況等にかんがみ,添付文書の改訂を含むイレッサ錠250に係る緊急安全性情報の発出を指示するとともに,医学又は薬学等の専門家等によるゲフィチニブ安全性問題検討会を発足させ,必要と解される安全対策を講じ,その結果として,イレッサ錠250による副作用症例の発生は減少に転じている。すなわち,平成14年12月27日から平成15年4月22日までの副作用の報告46例,うち死亡例14例となっている(平成14年12月27日以降にイレッサ錠250の投与を開始したもののうち,平成15年4月22日までの間に発症した例)。 上記ウのとおり,もともとイレッサ錠250による副作用の発生率が抗癌剤としては高いものではない上,上記のように,厚生労働省において,- 54 -イレッサ錠250に内在する副作用の危険性に対しては,しかるべく安全対策を講じ,その結果,イレッサ錠250による副作用の発生が減少していることからすると,本件対象文書②から④までの情報は,人の生命,健康,生活を保護するために公にする必要性が大きくないといえる。 オ薬剤による副作用の発生を一般的に防止することは不開示情報を例外的に開示すべき事由に当たらないこと法人等の正当な利益を保護しようとした情報公開法5条2号の趣旨にかんがみれば,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」の範囲は限定的に解するべきであり,法人等の正当な利益を犠牲にしてまで当該文書を開示しなければならない差し迫った危険,人の生命等を保護するため公にする具体的現実的な必要性が認められた場合にのみ,例外的に開示すべきものである。 この点に関し,原告 な利益を犠牲にしてまで当該文書を開示しなければならない差し迫った危険,人の生命等を保護するため公にする具体的現実的な必要性が認められた場合にのみ,例外的に開示すべきものである。 この点に関し,原告らは,将来にわたる別の薬剤による副作用の発生の一般的な防止の観点から,本件対象文書②から④までを公にすることの必要性があると主張するが,本件申請とは無関係の別の薬剤による将来の副作用の発生防止というのは,承認制度の在り方に関するものであって,抽象的にすぎ,法人等の正当な利益を犠牲にしてまで,情報を公にする具体的現実的必要性があるとはいえない。 カ本件対象文書②から④までの公開は我が国における新薬の承認申請の回避を招き,かえって人の生命,健康についての不利益をもたらすこと参加人を含む製薬会社は,グローバルに活動しており,開発した新薬を各国において承認申請し,共通の添付資料を提出する場合が多く,本件対象文書②から④までについても,我が国のほか諸外国の薬事当局にも提出しているものである。仮に,本件対象文書②から④までが,我が国においてのみ情報公開法に基づき公開されることになれば,製薬会社は,新薬を開発した場合でも,添付資料が公開される不利益を避けるため,我が国に- 55 -おける承認申請を回避する事態も起こり得,患者の立場からすれば,新薬を投与されて治療を受ける利益を享受できないこととなり,助かるはずの命が失われるなど,人の生命,健康に対する深刻な不利益が発生することになる。翻って,本件対象文書②から④までを不開示とすれば,参加人グループの営業上の利益を保護することができるほか,我が国において新薬のメリットを享受するという利益も確保できるのであって,その利益は極めて大きなものである。 (2)情報公開法5条2号ただし書又は1号ロに該当しないこ 益を保護することができるほか,我が国において新薬のメリットを享受するという利益も確保できるのであって,その利益は極めて大きなものである。 (2)情報公開法5条2号ただし書又は1号ロに該当しないこと前記第3の1の(2)から(5)までで述べたとおり,本件対象文書②から④までに記載された情報を公にすることは,参加人等に対して回復困難な莫大な損害を及ぼすものであり,その利益を保護する必要性は高いのに対し,イレッサ錠250の安全性に関する情報は公開されており,公開されている情報をもって,その安全性を十分把握できる一方,本件対象文書②から④までを公開しても有益な情報は新たに得られないこと,イレッサ錠250による副作用の発生率は,他の抗癌剤と比較して,低いものであり,その後の安全対策によって副作用の発生率が減少していること等からすれば,本件対象文書上の情報を人の生命,健康を保護するために公にする必要性は低く,上記参加人等の利益を保護する必要性を上回るものではない。したがって,情報公開法5条2号ただし書には該当しない。 また,本件対象文書①の各不開示部分に記載された情報は,いずれもイレッサ錠250の安全性とは関係のない情報であるから,情報公開法5条2号ただし書,1号ロのいずれにも該当しない。 - 56 -(別紙)不開示文書目録①「イレッサ錠250」の医薬品輸入承認申請書(平成14年1月25日申請)の添付資料である下記の各文書記ア添付資料ニ-6(ZENECAZD1839:ONEMONTHORALTOXICITYSTUDYINRATS.STUDYNUMBERTAR/2570.)イ添付資料ニ-7(ZENECAZD1839:ONEMONTHORALTOXICITYSTUDYINDOGS.STUDYNUMB S.STUDYNUMBERTAR/2570.)イ添付資料ニ-7(ZENECAZD1839:ONEMONTHORALTOXICITYSTUDYINDOGS.STUDYNUMBERTAD/876.)ウ添付資料ニ-8(ZENECAZD1839:SIXMONTHORALTOXICITYSTUDYINRATS.STUDYNUMBERTPR/2576.)エ添付資料ニ-9(ZENECAZD1839:SIXMONTHORALTOXICITYSTUDYINDOGS.STUDYNUMBERTPD/877.)②「第Ⅰ相,第Ⅱ相臨床試験に関するものすべての死亡例及び有害事象によるイレッサ中止例の臨床経過が記載されたすべての文書。ただし,海外の臨床試験における有害事象以外による死亡例は除く」に相当する下記の各文書記ア添付資料ト-1(内容:英米で悪性腫瘍患者64例にイレッサ錠250を50~700mg/day14日間経口投与後14日間観察した時の忍容性及び毒性所見を評価した第Ⅰ相臨床試験に関する資料)イ添付資料ト-3(内容:米国で非小細胞肺癌,卵巣癌,頭頸部癌,前立腺癌又は大腸癌患者69例においてイレッサ錠250を150~1000mg/day連日反復投与における増量時の安全性及び忍容性を評価した第Ⅰ・第Ⅱ相臨床試験に関する資料)ウ添付資料ト-4(内容:豪州,欧州で非小細胞肺癌,卵巣癌,頭頸部癌,前- 57 -立腺癌又は大腸癌患者88例においてイレッサ錠250を150~1000mg/day連続反復投与における増量時の安全性及び忍容性を評価した第Ⅰ・第Ⅱ相臨床試験に関する資料)エ添付資料ト-5(内容:日本及び外国で非小細胞肺癌患者210例(日本人以外:108例,日本人:102例)を 続反復投与における増量時の安全性及び忍容性を評価した第Ⅰ・第Ⅱ相臨床試験に関する資料)エ添付資料ト-5(内容:日本及び外国で非小細胞肺癌患者210例(日本人以外:108例,日本人:102例)を対象に,本薬250及び500mg/day28日間を1治療期間とした反復投与時の有効性及び忍容性並びに日本人と日本人以外との民族差を検討した第Ⅱ相国際臨床試験に関する資料)オ添付資料参ト-5(内容:胃癌患者に本薬2用量を投与時の有効性及び安全性を検討するための第Ⅱ相臨床試験に関する資料)カ添付文書ト-6(内容:米国で非小細胞肺癌患者216例(250mg群102例,500mg群114例)で250又は500mg1日1回反復投与を行った時の有効性及び安全性を評価した第Ⅱ相臨床試験に関する資料)③「No39臨床試験における,申請資料概要「イレッサ錠250に関する資料」p507表ト-113の欄外に記載された,集計に含まれていないとされる500mg群の4例の死亡例の臨床経過が記載されたすべての文書」に相当する下記の各文書記ア添付資料ト-6(内容:米国で非小細胞肺癌患者216例(250mg群102例,500mg群114例)で250又は500mg1日1回反復投与を行った時の有効性及び安全性を評価した第Ⅱ相臨床試験に関する資料)イNewDrugApplicationIntegratedSummaryofSafetyInformation(内容:健康被験者及び癌患者を対象とした20の臨床試験の合計960例から得られた安全性資料)④「日本における臨床試験(V1511)については,申請資料概要「イレッサ錠- 58 -250に関する資料」表ト28(p426)中,重篤であることが疑われるメレナ(5人),血尿(5人),呼吸困難(1人),低酸素症 臨床試験(V1511)については,申請資料概要「イレッサ錠- 58 -250に関する資料」表ト28(p426)中,重篤であることが疑われるメレナ(5人),血尿(5人),呼吸困難(1人),低酸素症(1人)の症例の臨床経過が記載されたすべての文書」に相当する下記の文書記添付資料ト-2(内容:日本で固形癌患者31例を対象に,本薬50~700mg/日単回及び反復経口投与時の安全性及び毒性所見を評価した第Ⅰ相臨床試験に関する資料)
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