主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴人の当審での予備的請求に基づき(1) 被控訴人B1及び被控訴人B2は,控訴人に対し,それぞれ金5957円ずつ及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人Cは,控訴人に対し,金2万6940円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人Dは,控訴人に対し,金1万4506円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 被控訴人Eは,控訴人に対し,金1万7614円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 控訴人の当審でのその余の予備的請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用の負担について(1) 原審での訴訟費用は控訴人の負担とする。 (2) 当審での訴訟費用はこれを10分して,その7を控訴人の負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。 4 この判決は,主文2項(1)ないし(4)に限り,仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 本件控訴(主位的請求)に基づきア原判決を取り消す。 イ被控訴人B1及び被控訴人B2(以下「被控訴人B両名」という。)は,控訴人に対し,6万4000円を支払え。 ウ被控訴人Cは,控訴人に対し,6万2350円を支払え。 エ被控訴人Dは,控訴人に対し, 控訴人B2(以下「被控訴人B両名」という。)は,控訴人に対し,6万4000円を支払え。 ウ被控訴人Cは,控訴人に対し,6万2350円を支払え。 エ被控訴人Dは,控訴人に対し,6万2350円を支払え。 オ被控訴人Eは,控訴人に対し,4万4800円を支払え。 (2) 当審で追加した予備的請求に基づきア被控訴人B両名は,控訴人に対し,それぞれ7767円ずつ及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被控訴人Cは,控訴人に対し,3万5120円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ被控訴人Dは,控訴人に対し,1万8911円及び及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 エ被控訴人Eは,控訴人に対し,2万2963円及び及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 (4) 仮執行宣言 2 被控訴人ら(1) 本件控訴及び控訴人の当審での予備的請求をいずれも棄却する。 (2) 当審における訴訟費用は控訴人の負担とする。 第2 主位的請求に関する当事者の主張 1 控訴人(請求原因)(1) 控訴人(自治会)の設立等控訴人は,兵庫県多可郡e町f山g番所在の通称「A別荘地」の第1分譲地(以下「本件別荘地」という。)内の土地所有者を会員として,平成10年2月22日に設立された自治会であり,いわゆる権利能力なき社団としての実態を備えている団体である。 (2) 本件規約の定め控訴人の いう。)内の土地所有者を会員として,平成10年2月22日に設立された自治会であり,いわゆる権利能力なき社団としての実態を備えている団体である。 (2) 本件規約の定め控訴人の自治会規約(以下「本件規約」という。)には,本件別荘地内の土地所有者の共有地及び共有施設を維持管理するために要する費用(会費)として,1区画当たり,本件別荘地内に土地のみを所有する者は年額2万8000円を,土地及び建物を所有する者は年額4万円をそれぞれ控訴人に支払う旨の定めがある。 (3) 被控訴人らの会員性ア被控訴人らは,控訴人の会員である。すなわち,被控訴人らは,いずれも,本件別荘地内の土地を所有する者であり,平成10年2月22日に開催された控訴人の設立臨時総会に出席した。 イ被控訴人D及び被控訴人Cについて上記2名については,次の事実からも,控訴人の会員であることが明らかである。 (ア) 被控訴人C及び被控訴人Dの父bは,平成10年6月7日に開催された控訴人の第1回通常総会にも出席した。 (イ) bは,平成9年ころから,控訴人の設立準備に役員(副代表)として積極的にかかわっていた。 ウ仮に,被控訴人らが控訴人への入会手続を経ていないとしても,被控訴人らは,被控訴人らが本件別荘地内で所有する共有地及び共有施設について,控訴人による維持管理によって恩恵を受けているのであるから,控訴人の会員に準じた地位にあり,信義則に照らし,本件規約に基づく会費支払義務を負うというべきである。 (4) 未払会費等の存在平成10年10月分から平成12年3月分までの被控訴人らの未払会費及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金は,以下の 義務を負うというべきである。 (4) 未払会費等の存在平成10年10月分から平成12年3月分までの被控訴人らの未払会費及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金は,以下のとおりである。 ア被控訴人B両名未払会費6万円遅延損害金4000円合計6万4000円イ被控訴人C未払会費5万8500円遅延損害金3850円合計6万2350円ウ被控訴人D未払会費5万8500円遅延損害金3850円合計6万2350円エ被控訴人E未払会費4万2000円遅延損害金2800円合計4万4800円(5) 結論よって,控訴人は,被控訴人らに対し,本件規約に基づき,上記各未払会費及び各遅延損害金の支払を求める。 2 被控訴人ら(請求原因に対する認否)(1) 請求原因のうち,控訴人が,いわゆる権利能力なき社団としての実態を備えている団体であることは争わないが,その余は否認ないし争う。 (2) 被控訴人らが控訴人の会員となったことはなく,会員でない被控訴人らが本件規約に基づく会費支払義務を負う理由はない。 第3 予備的請求に関する当事者の主張 1 控訴人(請求原因)(1) 被控訴人らの土地所有及び持分被控訴人らは,本件別荘地内の土地を所有している。また,本件別荘地内には土地所有者全員の共有地(以下「共有地」という。)及び共有施設(以下「共有施設」という。)があり,被控訴人らは,これらを以下の各持分割合で共有している。 ア被控訴人B両名各3676分の23ずつイ被控訴人C 1838 及び共有施設(以下「共有施設」という。)があり,被控訴人らは,これらを以下の各持分割合で共有している。 ア被控訴人B両名各3676分の23ずつイ被控訴人C 1838分の52ウ被控訴人D 1838分の28エ被控訴人E 1838分の34(2) 被控訴人らにも受益がある支出額控訴人は,本件別荘地内の管理等を行ってきた。被控訴人らは,本件別荘地内の土地所有者であり,共有地及び共有施設の共有者であるから,控訴人の管理行為等によって恩恵を受けており,被控訴人らの共有地及び共有施設の各持分に応じて受益がある。 控訴人が,平成10年10月1日から平成12年3月31日までの間に,管理等により支出した管理等の費用(被控訴人らにも受益がある支出額)は,次のとおり合計124万1388円である。 ア給水ポンプ等管理費用 90万円控訴人は,d電器(以下「d」という。)に対し,平成10年6月30日ころ,報酬月額5万円で共有施設のうちの給水ポンプ及び防犯灯の保守点検等を委託し,平成10年10月分から平成12年3月分の報酬として,合計90万円を支払った。 イ電気代 14万8636円前記給水ポンプ及び防犯灯の電気代である。 ウ通信費 5万0220円控訴人は,会員に対し,定時総会の案内書等や議事録,「Aニュース」(自治会報)を郵送している。これらの郵便物は,本件別荘地の土地所有者全員の利益のために発信されているものであり,その費用については,被控訴人らも応分の負担をすべきである。 エ事務用品費 1302円上記郵送の際の封筒代であり,ウと同様,被控訴人らも めに発信されているものであり,その費用については,被控訴人らも応分の負担をすべきである。 エ事務用品費 1302円上記郵送の際の封筒代であり,ウと同様,被控訴人らも負担すべきである。 オ除草費等 10万6630円控訴人は,定期的に,本件別荘地内の除草作業及び側溝等のヘドロや土砂の除去作業を業者に依頼している。 カ井戸蓋製作費 3万円共有施設である上水用井戸に小石や泥が投入されたため,控訴人は,その対策として,新しい井戸蓋の製作とその設置を注文した。 キ水質検査費 4600円前記上水用井戸の水質を検査した際の費用である。 (3) 被控訴人らの利得金額上記被控訴人らにも受益がある支出額合計124万1388円に,被控訴人らの各持分割合(前記(1)のアないしエのとおり)を乗じて算出した被控訴人らの利得金額は,次のとおりである。 ア被控訴人B両名各7767円ずつイ被控訴人C 3万5120円ウ被控訴人D 1万8911円エ被控訴人E 2万2963円(4) 結論よって,控訴人は,被控訴人らに対し,不当利得に基づき,前記(3)のアないしエ記載の利得金,及びこれらに対する受益後の日である平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による各遅延損害金の支払を求める。 2 被控訴人ら(請求原因に対する認否及び抗弁)(1) 認否ア請求原因(1)(被控訴人らの土地所有及び持分)は認める。 イ請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)について( 及び抗弁)(1) 認否ア請求原因(1)(被控訴人らの土地所有及び持分)は認める。 イ請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)について(ア) 同ア(給水ポンプ等管理費用)について従前,本件別荘地の管理人であったcは,共有施設の保守管理のほか本件別荘地内の見回りや除草作業も行っていたが,dの業務内容は共有施設の保守管理のみであり,月額5万円の報酬は高額に過ぎる。 (イ) 同イ(電気代)について被控訴人らにも受益のある支出であることは認める。 (ウ) 同ウ及びエ(通信費及び事務用品費)についてこれらは,いずれも控訴人自治会内の私的な費用であるから,被控訴人らに受益はない。 (エ) 同オ(除草費等)について被控訴人らの所有地は除草の対象から除外されているから,被控訴人らに受益はない。 (オ) 同カ(井戸蓋製作費)について井戸蓋設置の必要は認められず,被控訴人らに受益はない。 (カ) 同キ(水質検査費)について被控訴人らにも受益のある支出であることは認める。 ウ請求原因(3)(被控訴人らの利得金額)は争う。 (2) 抗弁(請求原因(2)の認定額からの控除)次の金額(cからの引継金等)は,請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の認定額から控除されるべきである。 ア管理費の引継ぎ控訴人は,平成10年2月ころ,cから,次のとおり,同人が本件別荘地の各所有者から支払を受けていた管理費(既収管理費)の残金及び未収管理費債権合計75万9580円を 管理費の引継ぎ控訴人は,平成10年2月ころ,cから,次のとおり,同人が本件別荘地の各所有者から支払を受けていた管理費(既収管理費)の残金及び未収管理費債権合計75万9580円を引き継ぎ,その後,同未収管理費債権のうち相当額を回収した。 (ア) 既収管理費残金 34万9580円(イ) 引継ぎ当時の未収管理費債権 41万円イ敷地料の引継ぎ控訴人は,cが関西電力から支払を受けた共有地の敷地料(平成10年2月1日から平成12年3月31日までの分)10万7030円を,cから引き継いだ。 3 控訴人(抗弁に対する認否及び再抗弁)(1) 認否ア抗弁アの管理費の引継ぎ(ただし,未収管理費債権については,控訴人が現実に回収した分),抗弁イの敷地料の引継ぎについて,請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の認定額から控除すること自体については,争わない。 イ未収管理費債権のうち控訴人が現実に回収したのは合計32万円である。 (2) 再抗弁(抗弁の認定額からの控除)控訴人は,平成10年2月1日から同年9月30日までの間に,別途本件別荘地内の管理等の費用を支出しており,同費用は,被控訴人らに受益があるから,抗弁(請求原因(2)の認定額からの控除)の認定額から控除されるべきである。 同費用の具体的な内容は,以下のとおりである。 ア平成10年2月1日から同年3月31日まで合計12万9653円(ア) 電気代 1万0571円(イ) 通信費 2万3570円(ウ) 広告費 1万5000円(エ) 事務用品代 3万8804円(オ) 会議室代 ) 電気代 1万0571円(イ) 通信費 2万3570円(ウ) 広告費 1万5000円(エ) 事務用品代 3万8804円(オ) 会議室代 3万9041円(カ) 雑費 2667円イ平成10年4月1日から同年9月30日まで合計64万5732円(ア) 管理費 20万円(イ) 電気代 4万3846円(ウ) 通信費 1万9360円(エ) 事務用品代 4351円(オ) 定時総会会場使用料,茶菓子代 6988円(カ) 井戸まわりフェンス設置代 31万2388円(キ) ポンプ移設工事代 3万7800円(ク) 看板製作費 2万1000円 4 被控訴人ら(再抗弁に対する認否)(1) 再抗弁ア(ア)(電気代)及び同イ(イ)(電気代)が被控訴人らにも受益のある支出であることは認めるが,その余は被控訴人らに受益がない。 (2) 控訴人が再抗弁で主張する項目のうち,被控訴人らに受益がある支出については,抗弁記載の金額から控除すること自体については,争わない。 理由 第1 証拠関係以下,原審において提出された書証については,次のとおり摘示する。 1 原審平成12年(ハ)第85号事件の甲号証を甲A,乙号証を乙Aとする。 2 同第86号事件の甲号証を甲B,乙号証を乙Bとする。 3 同第87号事件の甲号証を甲C,乙号証を乙Cとする。 4 同第90号事件の甲号証を甲D,乙号証を乙Dとする。 5 書証番号の前にアルファベットを付していないものについては,原審全事件の当該番号の書証を摘示したものとする を甲C,乙号証を乙Cとする。 4 同第90号事件の甲号証を甲D,乙号証を乙Dとする。 5 書証番号の前にアルファベットを付していないものについては,原審全事件の当該番号の書証を摘示したものとする。 第2 主位的請求について 1 前提事実証拠(甲1・2,6ないし10)及び弁論の全趣旨によれば,請求原因(1)(控訴人〔自治会〕の設立)及び同(2)(本件規約の定め)が認められる。 2 請求原因(3)(被控訴人らの会員性)の検討(1) 事実の認定前記1の前提事実に,証拠(甲A15,甲A28,甲A34,甲A40,甲A41の1ないし4,乙A6,乙A17,乙B10,乙C17,乙D16,原審における控訴人代表者本人a,当審における証人a,証人b)によれば,次の各事実が認められる。 ア本件別荘地においては,当初,cが管理人となり,各土地所有者から管理報酬として土地1区画当たり年額5万円の支払を受けて本件別荘地内の管理行為等を行っていた。 しかし,平成9年ころから,cの管理行為等に不満を抱いた土地所有者らの間で,cとの管理委託関係を解消し,土地所有者で本件別荘地を共同管理をすることを目的とする自治会を設立することが計画された。自治会の設立準備のため,「自治会設立準備委員会」が組織され,被控訴人Dの父bは,同委員会の副代表者に選任されてこれに加わっていた。 イ自治会設立準備委員会の構成員らは,本件別荘地の全土地所有者に対して招集の通知を送付した上,平成10年2月22日,自治会設立臨時総会(以下「設立総会」という。)を開催し,同総会における賛成多数によって,控訴人(自治会)が設立された。 なお,cは,設立総会の場で,平成10年1月末日限りで,本件別荘地の全土地所有者と 下「設立総会」という。)を開催し,同総会における賛成多数によって,控訴人(自治会)が設立された。 なお,cは,設立総会の場で,平成10年1月末日限りで,本件別荘地の全土地所有者との関係で管理人を辞任する旨の意思を表明した。 ウ被控訴人らは,上記通知を受けて設立総会に出席した(被控訴人Dについてはbが代理出席した。)が,cが管理人を辞任することや,自治会を設立することに反対の意思を有していたことから,設立総会における議決にはいずれも賛成しなかった。 エ平成12年6月4日改正前の本件規約では,控訴人に入会しようとする者は,入会申込書を提出しなければならない旨規定されているが(同規約第7条・甲1),被控訴人らは,いずれも控訴人に同入会申込書を提出していない。 オ控訴人は,平成10年6月7日,第1回通常総会(以下「第1回総会」という。)を開催し,同総会には,b及び被控訴人Cが出席した。 (2) 検討ア当裁判所の判断上記(1)の認定によれば,被控訴人らは,設立総会には出席したものの,控訴人の設立趣旨には反対の意思を有していたため,設立総会において,議決にはいずれも賛成しなかった上,入会のために必要な手続であった入会申込書の提出もしなかったのであるから,被控訴人らが同日控訴人に入会したとは認められず,その他,被控訴人らが控訴人(自治会)に入会の意思を表明したことを認めるに足りる証拠はない。 よって,被控訴人らが控訴人に入会したとは認められない。 イ上記判断に反する控訴人主張の検討(ア) 控訴人は,被控訴人D及び被控訴人Cについては,父bないし被控訴人C本人が第1回総会にも出席したこと,被控訴人Dについては, い。 イ上記判断に反する控訴人主張の検討(ア) 控訴人は,被控訴人D及び被控訴人Cについては,父bないし被控訴人C本人が第1回総会にも出席したこと,被控訴人Dについては,控訴人設立前から,bが控訴人の自治会設立準備委員会に役員として参加していたことを理由に,上記2名は控訴人の会員であったことが明らかである旨主張する。 (イ) しかし,証拠(甲A34,甲C17,証人b)によれば,bは,控訴人の設立準備の経過の中で,cへの対応等に関して,他の役員らとの間で意見が対立していたこと,前記認定のとおり,設立総会当日においては,bも,他の被控訴人らと同様に,総会の議決には賛成しなかったことが認められ,これらの事実からすれば,bは,控訴人の設立準備にはかかわっていたものの,遅くとも設立総会時には,控訴人の設立趣旨に反対の意思を有し,控訴人関係者に対しても,控訴人に入会しない旨の意思を明示ないし黙示に表明していたというべきである。 (ウ) また,証拠(乙C8,証人b)によれば,b及び被控訴人Cが第1回総会に出席したのは,控訴人に入会する意思がないにもかかわらず,総会の通知が送付されてきたので,改めて控訴人に入会する意思がないことを伝えることが目的であったこと,総会の場においても,bが控訴人(自治会)には入会しない旨の発言をしていることが認められ,これらの事実からすると,同人らが控訴人の会員であることを前提として第1回総会に出席したものとは評価することができない。 (エ) 以上によれば,被控訴人D及び被控訴人Cについては,第1回総会への出席や自治会設立準備への関与の事実が認められるとしても,これらの事情は前記アの判断を左右するものではなく,控訴人の前記(ア)の主張は採用できない。 ウまと 訴人Cについては,第1回総会への出席や自治会設立準備への関与の事実が認められるとしても,これらの事情は前記アの判断を左右するものではなく,控訴人の前記(ア)の主張は採用できない。 ウまとめそうすると,被控訴人らは,控訴人の会員であったとは認められないから,本件規約に基づく会費の支払義務を負う余地はない。 3 小括以上によれば,控訴人の主位的請求は理由がない。 第3 予備的請求について 1 前提事実(1) 請求原因(1)(被控訴人らの土地所有及び持分)は,当事者間に争いがない。 (2) そして,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によると,本件別荘地内の土地所有者らが本件別荘地内に所有する土地の面積は,同所有者らが共有地及び共有施設上に有する持分割合とほぼ比例する関係にあることが認められる。 2 請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の検討(1) 同ア(ポンプ等管理費用)についてア証拠(甲A16の1ないし18,甲A28,当審における証人a)によれば,控訴人は,dに対し,平成10年6月30日ころ,報酬月額5万円で共有施設である給水ポンプ及び防犯灯等の保守点検を委託したこと(以下「本件管理契約」という。),控訴人は,dに対し,平成10年10月分から平成12年3月分の報酬として,合計90万円を支払ったことが認められる。 これらの保守点検は,共有施設に関するものであり,給水ポンプは,24時間稼働し,これによって本件別荘地内の各戸に給水されており,各戸の浄化槽の排水としても使用されていること(弁論の全趣旨)からすれば,これらの施設に関する管理業務は,本件別荘地の全土地所有者の利益となる性質のものということができる。 したがって,本件管理契約に基づ ても使用されていること(弁論の全趣旨)からすれば,これらの施設に関する管理業務は,本件別荘地の全土地所有者の利益となる性質のものということができる。 したがって,本件管理契約に基づく費用は,被控訴人らにも受益があるというべきである。 イこれに対し,控訴人らは,その管理業務の内容に照らして,本件管理契約の報酬額は高額に過ぎると主張する。 しかし,控訴人がdに対して支払っている報酬額は,前記のとおり月額5万円(年額60万円)であるところ,従前,土地所有者らがcに対して支払っていた管理報酬の年額合計は,180万円ないし200万円であり(甲A28,当審における証人a),cが共有施設の管理のほか本件別荘地内の見回り等を行っていたことを考慮しても,dに対する報酬額は,cに対する報酬と比較して格段に低額であるといえる。 また,管理業務の内容等についてみても,dは,本件管理契約に基づき,週1回の定期点検を行っているほか,本件別荘地の利用者から個別に依頼を受けた場合などには,その都度本件別荘地に赴いてポンプ等を点検して対応するなど,本件管理契約に基づく業務を適正に履行していることが認められ(甲A17の1ないし3,甲A28,35,当審における証人a),dが電気等に関する資格を有していること(当審における証人a)をも考え併せると,dの管理業務の内容や質が,上記報酬額との関係において特に問題があるともいえない。 以上に照らすと,dに対する報酬額は,その管理業務の内容やcに対する管理報酬との比較に照らして,特に高額であるとはいえず,相当な金額であると認められるから,被控訴人らの上記主張は採用できない。 よって,dに対して支払った管理報酬の合計90万円全額について,被控訴人 に照らして,特に高額であるとはいえず,相当な金額であると認められるから,被控訴人らの上記主張は採用できない。 よって,dに対して支払った管理報酬の合計90万円全額について,被控訴人らに受益のある費用であると認められる。 (2) 同イ(電気代)について証拠(甲A18の1ないし7,当審における証人a)によれば,上記電気代14万8636円は,給水ポンプの稼働及び防犯灯の点灯によって生じた電気代であり,いずれも本件別荘地の全土地所有者にとって利益となる性質のものであるから,被控訴人らに受益のある費用と認められる。 (3) 同ウ及びエ(通信費及び事務用品費)について証拠(甲A19の1ないし12,甲A20の1・2,甲A28,当審における証人a)によれば,上記費用は,いずれも自治会内部の会計報告や総会開催に関する費用であって,控訴人の自治会運営上生じたものにすぎず,控訴人の会員以外の者にとって直接の利益となる費用とはいえない。 よって,上記費用については被控訴人らに受益がないというべきである。 (4) 同オ(除草費等)について証拠(甲A25,甲A26の1ないし8・11ないし14,当審における証人a)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,定期的に,業者に委託して除草作業及び側溝等のヘドロ・土砂の除去作業を行ったこと,平成10年10月から平成12年3月までの間に行った上記作業の費用は10万6630円であること,除草作業が行われた箇所は,別紙図面の緑色部分であり,青斜線部分の被控訴人らの個人所有地は除草の対象から除外されていること,側溝等のヘドロ・土砂の除去作業が行われた箇所は,別紙図面の桃色部分及び<×>印部分であることが認められる。 そこで検討するに の被控訴人らの個人所有地は除草の対象から除外されていること,側溝等のヘドロ・土砂の除去作業が行われた箇所は,別紙図面の桃色部分及び<×>印部分であることが認められる。 そこで検討するに,上記除草作業の範囲には,控訴人会員の個人所有地が相当の割合で含まれており,被控訴人らの個人所有地は除草の対象から除外されていることからすれば,控訴人会員の個人所有地についてなされた部分については被控訴人らに受益があるとするのは相当でなく,被控訴人らの受益は,共有施設の周辺においてなされた除草範囲の限度で認められるとするのが相当である。他方,側溝等のヘドロ・土砂の除去作業については,共有施設に関してなされたものであるから,被控訴人らにも受益のあるものと認められる。 以上を総合すると,上記除草費等10万6630円のうち被控訴人らに受益があると認められる金額は,2万円の限度であるとするのが相当である。 (5) 同カ(井戸蓋製作費)について上記井戸蓋は,共有施設である上水用井戸の中に雨水が混入したり小石や泥等が投入されることを防止し,井戸水の安全を確保する目的で製作されたものであるから(甲A26の11・12・14,甲A28,当審における証人a),その費用3万円(甲A22)は,その性質上,被控訴人らにも受益があると認められる。 (6) 同キ(水質検査費)について上記費用4600円も,前記(5)と同様,井戸水の安全確保の目的で支出した費用であるから(甲A23の1・2,甲A28,当審における証人a),被控訴人らに受益があると認められる。 (7) まとめ以上の被控訴人らにも受益がある支出額を合計すると,110万3236円となる。 なお,被控訴人Eは,本件別荘地内の所有地 らに受益があると認められる。 (7) まとめ以上の被控訴人らにも受益がある支出額を合計すると,110万3236円となる。 なお,被控訴人Eは,本件別荘地内の所有地上に建物を建築していないが,本件別荘地内の土地所有者であり,共有地及び共有施設の共有者であって,他の所有者と同様に本件別荘地内の施設を利用できる地位を有しているのであるから,他の被控訴人らと同様に受益があると認められる。 3 抗弁(請求原因(2)の認定額からの控除),再抗弁(抗弁の認定額からの控除),請求原因(3)(被控訴人らの利得金額)の検討(1) 被控訴人及び控訴人の各主張についてア被控訴人らの利得金額(請求原因(3))の算定について,当事者双方は,次のとおり主張する。 (ア) 被控訴人らは,控訴人がcからの引継金等について,請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の認定額から控除すべきであると主張する(抗弁)(イ) 他方,控訴人は,cからの引継金等を控除の対象とすること自体は争わないが,本件不当利得返還請求の対象項目以外にも被控訴人らのために別途支出した費用が存するから,これを抗弁の認定額から控除すべきであると主張する(再抗弁)。 (ウ) そして,被控訴人らも,被控訴人らに受益がある支出について,抗弁の認定額から控除すること自体は争わない。 イそこで検討するに,当事者双方の主張は,いずれも本件不当利得とは別個の項目についての実質的な精算を主張するものであるが,本件不当利得返還請求が,本件別荘地内の土地所有者間における共益費用の精算という実質を有していることにかんがみ,当事者が主張する項目のうち両者間において公平の観点から精算を行うのが相当と認められるものについては 還請求が,本件別荘地内の土地所有者間における共益費用の精算という実質を有していることにかんがみ,当事者が主張する項目のうち両者間において公平の観点から精算を行うのが相当と認められるものについては,当事者双方が主張する方法に従い,これを被控訴人らの利得金額の算定において考慮するのが相当である。 ウそこで,以下,当事者双方が主張する項目のうち,精算の対象とするのが相当な範囲をそれぞれ検討する。 (2) 抗弁(請求原因(2)の認定額からの控除)についてア控訴人が,平成10年2月ころ,cから,本件別荘地の土地所有者らから支払を受けた管理費の残金34万9580円及び未収管理費債権41万円(いずれも平成9年10月から平成10年9月までの分)を引き継ぎ,さらにその後,cが関西電力から支払を受けていた敷地料10万7030円(平成10年2月から平成12年3月までの分)を引き継いだことは,当事者間に争いがない。 イこれらの引継金等は,いずれも本件別荘地の全土地所有者の利益のために使用すべきものであるから,被控訴人らの利得額の算定に当たり,精算の対象とするのが相当である。 ただし,未収管理費債権については,控訴人が現実に回収した限度で精算の対象とするのが相当であるところ,控訴人は,同未収管理費債権のうち32万円については,既に回収したことを認めており,控訴人が32万円を越えて回収していることを認めるに足りる的確な証拠がない。そこで,未収管理費債権については,既に回収済みの32万円の限度で清算の対象と認める。 ウ以上の事実を基に,精算の対象となる金額を計算すると,次の項目を合計した金額である77万6610円となる。それゆえ,この金額が,請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の認定額からの控除額である。 実を基に,精算の対象となる金額を計算すると,次の項目を合計した金額である77万6610円となる。それゆえ,この金額が,請求原因(2)(被控訴人らにも受益がある支出額)の認定額からの控除額である。 (ア) 既収管理費残金 34万9580円(イ) 未収管理費債権のうち控訴人が既に回収した金額 32万円(ウ) 関西電力からの敷地料 10万7030円(3) 再抗弁(抗弁の認定額からの控除)についてア抗弁の認定額からの控除が認められる分控訴人が主張する費用のうち,次の項目(合計62万5605円)は,共有地及び共有施設の管理等に関するものであり,被控訴人らに受益があると認められるから(甲A35,以下に掲記の各証拠,弁論の全趣旨),精算の対象とするのが相当である。 (ア) 電気代(再抗弁ア(ア)) 1万0571円(甲A30)(イ) 管理費(再抗弁イ(ア)) 20万円(甲A16の1)(ウ) 電気代(再抗弁イ(イ)) 4万3846円(甲A36の1ないし4)(エ) 井戸まわりフェンス設置代(再抗弁イ(カ)) 31万2388円(甲A26の3・4,同31の1・2,同36の3・4)(オ) ポンプ移設工事代(再抗弁イ(キ)) 3万7800円(甲A32の1・2)(カ) 看板製作費(再抗弁イ(ク)) 2万1000円(甲A26の1・2,同33)イ抗弁の認定額からの控除が認められない分控訴人は,通信費(再抗弁ア(イ),同イ(ウ)),広告費(再抗弁ア(ウ)),事務用品代(再抗弁ア(エ (甲A26の1・2,同33)イ抗弁の認定額からの控除が認められない分控訴人は,通信費(再抗弁ア(イ),同イ(ウ)),広告費(再抗弁ア(ウ)),事務用品代(再抗弁ア(エ),同イ(エ)),会議室代(再抗弁ア(オ)),定時総会会場使用料,茶菓子代(再抗弁イ(オ)),雑費(再抗弁ア(カ))を精算の対象項目として主張するが,これらは,いずれも,控訴人(自治会)の運営上生じた費用にすぎず(甲A35),控訴人の会員以外の者の利益になる性質のものとはいえない。 したがって,上記各費用については,抗弁の認定額からの控除が認められない。 (4) 請求原因(3)(被控訴人らの利得金額)についてア本件別荘地内の全土地所有者の清算後の受益総額以上によれば,本件別荘地内の全土地所有者の清算後の受益総額は,請求原因(2)の認定額110万3236円から,抗弁の認定額77万6610円と再抗弁の認定額62万5605円の差額である15万1005円を控除した金額であり,次のとおり95万2231円となる。 〔請求原因(2)の認定額〕 〔抗弁の認定額〕 〔再抗弁の認定額〕110万3236円-(77万6610円-62万5605円)=95万2231円イ被控訴人らの利得金額被控訴人らの利得金額は,上記本件別荘地内の全土地所有者の清算後の受益総額である95万2231円に,被控訴人らの共有地及び共有施設の各持分割合を乗じた額とするのが相当である。そして,被控訴人らの各持分割合が請求原因(1)のアないしエ記載のとおりであることは,当事者間に争いがないから,これに従って各利得金額を計算すると,次のとおり 分割合を乗じた額とするのが相当である。そして,被控訴人らの各持分割合が請求原因(1)のアないしエ記載のとおりであることは,当事者間に争いがないから,これに従って各利得金額を計算すると,次のとおりとなる。 (ア) 被控訴人B両名(一人当たり)95万2231円×23/3676=5957円(イ) 被控訴人C95万2231円×52/1838=2万6940円(ウ) 被控訴人D95万2231円×28/1838=1万4506円(エ) 被控訴人E95万2231円×34/1838=1万7614円 4 小括よって,控訴人の予備的請求は,被控訴人らに対し,上記3(4)イの(ア)ないし(エ)記載の各不当利得金,及びこれに対する受益後の日である平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による各遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 第4 結論 1 以上によれば,控訴人の主位的請求はいずれも理由がなく,これを棄却した原判決は正当であり,本件控訴はいずれも理由がないので棄却する。 2 次に,控訴人の当審での予備的請求は,上記第3の3(4)イの(ア)ないし(エ)記載の各不当利得金及びその遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので,これを認容し,その余は理由がないので棄却する。 3 よって,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官今中秀雄裁判官五十嵐章裕 裁判官 今中秀雄 裁判官 五十嵐章裕
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