【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人北村巌、同北村春江、同松井千恵子、同山本正澄、同古田・子の上告 理由
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人北村巌、同北村春江、同松井千恵子、同山本正澄、同古田・子の上告 理由第一について。 被上告人は、被上告人が経理係長代理として勤務する訴外D株式会社(以下、訴 外会社という)から、訴外会社の金を被上告人の名前で上告銀行に対し期間三か月 の定期預金にし、期間満了後は上告銀行から返還を受けてそれを再び訴外会社に戻 し入れることの委任を受け、その委任事務の処理として、自らまたは部下の訴外E を通じ、上告銀行Fに対して被上告人名義で本件定期預金の預入れをし、同支店か ら被上告人名義の定期預金証書の交付を受けたものであるから、本件預金の預金者 は被上告人であると認めるのが相当である旨の原審の認定判断は、原判決の挙示す る証拠に照らして首肯するに足り、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用するこ とができない。 同第二、第三について。 金融業者訴外Gは、訴外H工商株式会社(以下、H工商という)が上告銀行から いわゆる導入預金と見合いに無担保融資を受けるものであることを承知のうえでH 工商のために導入預金をする者の斡旋をいわゆる導入屋である訴外Iに依頼し、I は、かねて多額の資金を導入預金のため運用していた訴外会社の被上告人に上告銀 行Fに導入預金をするよう勧誘し、被上告人は、裏金利をえてこれに応じ、同支店 に本件預金をしたところ、同支店は、本件預金を担保にとらないでH工商に融資し たものであつて、要するに、被上告人は、I、Gを介してH工商と通じて、本件預 金を導入預金として同支店に預け入れたものというべく、本件預金契約は、預金等 - 1 - に係る不当契約の取締に関する法律(以下、導入預金取締法という)二条一項に違 反することが明らかであるとした原審の認 を導入預金として同支店に預け入れたものというべく、本件預金契約は、預金等 - 1 - に係る不当契約の取締に関する法律(以下、導入預金取締法という)二条一項に違 反することが明らかであるとした原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照ら して首肯するに足りる。 しかるところ、論旨は、本件預金契約は、強行法規である導入預金取締法二条一 項に反し、また、公序良俗に反し民法九〇条によつて無効であるというので考えて みるに、導入預金取締法は、金融機関の経営の健全化、ひいてその一般預金者の保 護を図ることを目的とする政策的な取締法規であつて、その主眼とするところは、 金融機関が特定の第三者に対してする不当融資等の禁止にあること、しかも、導入 預金の因つて来るところは、預金量拡大を図る金融機関の態度にあることを考える と、一般に、預金等の契約自体は、その私法上の効力までも否定しなければならな いほど著しく反社会性、反道徳性を帯びるものと解することは相当でない。したが つて、本件預金契約が導入預金取締法に反し、当事者が刑事上の制裁を受けること があるとしても、右契約を私法上無効のものというべきではない。また、原審の適 法に確定した事実関係を勘案してみても、いまだ本件預金契約をもつて公序良俗に 反する無効のものと解することはできない。 そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件預金の返還を求める 被上告人の請求は理由があるものというべく、これと同一結論に出た原判決は結局 相当であつて、論旨は採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 岡 原 昌 男 裁判官 小 川 信 雄 致で、主文の とおり判決する。 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 岡 原 昌 男 裁判官 小 川 信 雄 裁判官 大 塚 喜 一 郎 - 2 - 裁判官 吉 田 豊 - 3 -
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