主文 被告人を懲役4年及び罰金30万円に処する。 未決勾留日数中260日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、令和5年2月12日頃から令和6年3月12日までの間、V(当時36歳ないし37歳)を自己が占有する埼玉県狭山市(住所省略)所在の被告人方に居住させた上、同県内又はその周辺のホテル客室等において、Vに、Cら不特定多数の遊客を相手に対償を受けて性交させ、もって人を自己の占有する場所に居住させ、これに売春させることを業とした。 第2 被告人は、令和6年3月1日午後7時8分頃から同月2日午前1時14分頃までの間に、埼玉県内、東京都内、東京都豊島区(所在地省略)a公園内又はそれらの周辺において、えい児を出産した旨伝えてきたVに対し、スマートフォンを使用してアプリケーションソフト「テレグラム」のメッセージ送受信機能を利用して又は口頭で、えい児を袋に入れて外から見えないようにバッグに入れること、えい児を海に捨てること、捨てる場所はbにすること、えい児を捨てることに専念すべきことを申し向け、Vに前記えい児の死体の投棄を決意させ、よって、Vに、その頃から同日午後9時7分頃までの間に、ビニール袋に入れられるなどした同死体を、前記公園から千葉県銚子市(所在地省略)の駐車場に移動させた上、同駐車場南東側崖地に投棄させ、もって死体を遺棄することを教唆した。 第3 被告人は、令和6年3月8日、前記被告人方において、V(当時37歳)に対し、その両手足を粘着テープで束 車場に移動させた上、同駐車場南東側崖地に投棄させ、もって死体を遺棄することを教唆した。 第3 被告人は、令和6年3月8日、前記被告人方において、V(当時37歳)に対し、その両手足を粘着テープで束縛した上、その両肩、背部、両上腕等を棒状のもので複数回叩いたほか、その後頚部や右足首付近に放電により電撃を与えるものを押し当てるなどの暴行を加え、よって、Vに治癒まで約10日間を要する 右上腕、左上腕皮下出血等の傷害を負わせた。 (事実認定の補足説明) 1 争点等弁護人は、①判示第1につき、判示の期間、Vが判示被告人方に居住し、判示Cら不特定多数の遊客を相手に売春行為をしたことは積極的に争わないが、被告人がVに売春させる目的で被告人方に居住させていたものではない旨を、②判示第2につき、Vが判示日時場所において判示えい児の死体を遺棄したことは積極的に争わないが、被告人がその死体遺棄を教唆した事実はない旨を、③判示第3につき、Vが判示の日に判示傷害を負ったことは積極的に争わないが、その傷害は被告人の行為によるものではない旨をそれぞれ主張し、被告人も概ねこれに沿う供述をする。 しかし、当裁判所は、Vの各公判供述を中心とする前掲各証拠により、判示第1ないし第3の各事実を認定した。以下、その理由を補足して説明する。 2 判示第1の事実について(1) 判示第1の事実に関するものとして挙示した前掲各証拠によれば、Vが、遅くとも令和5年2月12日から令和6年3月12日までの間、埼玉県内又はその周辺のホテル客室等において、Cら不特定多数の遊客を相手に対償を受けて性交した事実が認められる。 (2)アそして、Vは、第5回公判期日において、要旨、①過去に戻す魔術ができるという「F」と名乗る被告人と令和3年3月頃から被告人方で同居する 客を相手に対償を受けて性交した事実が認められる。 (2)アそして、Vは、第5回公判期日において、要旨、①過去に戻す魔術ができるという「F」と名乗る被告人と令和3年3月頃から被告人方で同居するようになったが、同居するに当たり、それまで使用していたスマートフォンや預金通帳、身分証を被告人に回収されたこと、②同年5月頃、被告人から売春をして金を稼げなどと言われ、これを断ると電気ショックを伴う暴力を加えられる「修行」の対象となってしまうことから、不特定多数の遊客を相手に対償を受けて性交等をする、いわゆる「パパ活」をするようになったこと、③被告人から、「パパ活」の内容をなす性的行為の種類や呼称を教示され、ま た、それぞれの対価を設定されるとともに(「大人」は性交で1万5000円、「プチ」は口腔性交で7000円等)、売上ノルマを課され、その金額は当初は1日当たり2万円だったが、令和4年頃からは1日当たり4万円になったこと、④「パパ活」の集客は、被告人から渡されたスマートフォン(自局番号△△△-△△△△-△△△△のもの。以下「Vスマホ」という。)を使用し、インターネット上の掲示板や出会い系アプリ等を利用するなどして行っており、また、路上での客引きをすることもあったこと、⑤被告人から、「パパ活」の予定は全てカレンダーアプリに入力すること、予定された行為の内容、時間、場所、相手等が変更になったり予定がキャンセルになったりしたときは、テレグラムで被告人に報告し、またカレンダーに反映するよう指示され、これに従っていたこと、⑥「パパ活」の売上ノルマが達成できないときや出先で電車に乗り遅れてしまったときは、テレグラムで被告人に報告し、被告人方に帰ってよいかどうかやネットカフェなどに泊まってよいかどうか尋ね、都度、その指示に従っていたこと、⑦ が達成できないときや出先で電車に乗り遅れてしまったときは、テレグラムで被告人に報告し、被告人方に帰ってよいかどうかやネットカフェなどに泊まってよいかどうか尋ね、都度、その指示に従っていたこと、⑦「パパ活」の売上金は、Suicaにチャージする代金やネットカフェで支払う代金等を除いて、全て被告人に渡していたこと、を証言する。 イ Vの上記アの証言内容は、令和5年2月12日以降の事柄に関する限り、Vスマホに残っていたカレンダーアプリ内の記録やテレグラムに保存された「G」というアカウント名の者との間のやり取りと整合的に理解することができるところ、その「G」というアカウント名に紐づけられた電話番号(▽▽▽-▽▽▽▽-▽▽▽▽)及びユーザーID(●●●●●●●●●●)が、被告人が使用していたスマートフォン(GalaxyS9。以下「GalaxyS9」という。)にインストールされていたテレグラムの「H」に紐づけられた電話番号及びユーザーIDとそれぞれ一致している。テレグラムのアカウントにはそれぞれ一つの固有のユーザーIDが割り当てられ、また、同一の電話番号で複数のアカウントを作成することはできないとされているこ とからすれば、「G」と「H」は、同一のテレグラムのアカウントであると認められ、被告人が、GalaxyS9を個人用として使用しており、第三者に貸与して使用させたことや無断で使用されたことはない旨や、自らのテレグラムのアカウントとして「H」のアカウント名を使用していた旨を供述していることを考慮すると、アカウント名「G」は被告人が使用していたテレグラムのアカウント名であると推認できる。 この点に関し、被告人は、「G」というアカウント名を使用したことはないとした上で、「H」と「G」のユーザーIDが一致していることにつき、「Vさんと たテレグラムのアカウント名であると推認できる。 この点に関し、被告人は、「G」というアカウント名を使用したことはないとした上で、「H」と「G」のユーザーIDが一致していることにつき、「Vさんとか、Vさんを操ってた妖術協会とか、そういった何者かにスマートフォンを操作されてたとすればなんですけども、そういうところで入れ替えられたのかなというふうにも思います。」と述べるけれども、本件に顕れた一切の事情を踏まえてみても、上記の推認を動揺させるだけの具体性、合理性を備えたものとはいえない。 ウそして、Vが使用していたSuicaの令和5年5月30日から令和6年3月13日までの利用履歴は、上記カレンダーアプリ内の記録やテレグラムに保存された「G」との間のやり取りと矛盾しない上、同利用履歴によれば、Vは、上記期間のうち令和6年3月2日から同月8日までの間を除くほとんどの日に被告人方の最寄り駅であるc駅から入出場している状況が認められる。このことは、被告人方からV名義のキャッシュカードや預金通帳を含むVの私物が多数発見されたことと併せ、被告人方に居住しながら「パパ活」を行っていた旨のVの証言内容を支えている。 なお、弁護人は、被告人の金回りが良かった痕跡は全くないことを指摘するが、この指摘はVの証言の信用性を減じるには足りない。むしろ、被告人はV名義の預金口座から反復して現金を引き出していたと認められ、このことは被告人がVを経済的に管理していたことを強く示唆するものとして、Vの証言の信用性を高めるものといえる。 エしたがって、Vの上記アの証言は全体として信用できる。 (3) 以上によれば、判示第1のとおりの事実を認定することができ、この事実を前提にすると、被告人は、自己が占有管理する被告人方にVを居住させて、Vに売 Vの上記アの証言は全体として信用できる。 (3) 以上によれば、判示第1のとおりの事実を認定することができ、この事実を前提にすると、被告人は、自己が占有管理する被告人方にVを居住させて、Vに売春させることを業としたと評価するに十分である。すなわち、被告人は、Vからスマートフォンや預金通帳などを回収して、Vを経済的、心理的に孤立させ、被告人に依存するしかない環境を作出して被告人方に住まわせた上、「修行」に対する恐怖心を植え付け、これを利用して、Vをして被告人の指示に反することはできないと思い込ませ、被告人が定めた対価で売春をするよう仕向け、1日当たりの売上ノルマを課して売春を行わせるとともに、売春の対価を、交通費等の一部経費を除き、全てVから受け取ることを反復継続したのであるから、売春防止法12条違反の罪の成立要件に欠けるところはない。 3 判示第2の事実について(1) 判示第2の事実に関するものとして挙示した前掲各証拠によれば、①Vが、令和6年3月1日午後7時8分にチェックインしたホテルの客室内で、えい児(以下「本件えい児」という。)を出産したこと、②本件えい児は死産であったと推定され、Vも本件えい児は既に死亡していると認識したこと、③Vが、ビニール袋に入れるなどした本件えい児の死体を、同ホテルから東京都豊島区(所在地省略)a公園(以下「本件公園」という。)に、本件公園から同区(所在地省略)d店(同月2日午前1時14分入店。以下「本件ネットカフェ」という。)に、本件ネットカフェから千葉県銚子市(所在地省略)の駐車場に順次移動させ、遅くとも同月2日午後9時7分頃までに、同駐車場南東側崖地から投棄したこと、が認められる。 (2)アそして、Vは、本件えい児の死体を遺棄するに至った経緯につき、第3回公判期日において、要旨、①本件 くとも同月2日午後9時7分頃までに、同駐車場南東側崖地から投棄したこと、が認められる。 (2)アそして、Vは、本件えい児の死体を遺棄するに至った経緯につき、第3回公判期日において、要旨、①本件えい児を出産後、へその緒がついたままの状態の本件えい児を写真に撮り、これをテレグラムで被告人に送信して出産した旨を報告したところ、被告人から、本件えい児を袋に入れて上を縛り、 バッグの中に入れ、その写真を送るよう指示されたが、本件えい児をビニール袋に入れた時点で写真を撮り、これを被告人に送信したこと、②本件えい児を入れたビニール袋の上からさらにタオルで巻き、これをバッグに入れてホテルを出た後、被告人方に帰ろうとしてe駅に向かって歩いていたところ、被告人から、テレグラムのチャットで、本件えい児を被告人方に持ってこられても困る、本件えい児をbの海に捨ててこいなどと指示されたこと、③その後、被告人と本件公園のトイレで合流し、被告人から、どこに捨てるか覚えてるかと聞かれたので「fってところですよね」と言ったところ、「bね」と言われたこと、④その際、被告人に、次の日の仕事(「パパ活」)はどうしたらよいかを尋ねたところ、「今は、それよりも赤ちゃんを捨てることに専念しなさい」と言われ、普段、「パパ活」よりもほかのことを優先するよう被告人から指示されたことはなかったことから、その指示に反したときには、「修行」か、それ以上の命の危険が生じるほどの事態になってしまうのではないかと思い、本件えい児をbの海に捨てることを決意したこと、⑤被告人と別れ、宿泊のため本件ネットカフェに滞在中、被告人から、テレグラムのチャットで、本件えい児を令和6年3月2日の夜9時から10時にbの海に捨てることやその際は周りに人や監視カメラがないかを確認することなどを指示され、さ ネットカフェに滞在中、被告人から、テレグラムのチャットで、本件えい児を令和6年3月2日の夜9時から10時にbの海に捨てることやその際は周りに人や監視カメラがないかを確認することなどを指示され、さらに、bの地図データが送られてきて、ピンが立っているところに本件えい児を捨てるよう指示されたこと、⑥被告人から指示された時間に間に合うように、電車に乗ってbに向かい、被告人に指示された時間に、本件えい児の死体を投棄したが、投棄したのは被告人の指示とは異なる場所になってしまったこと、⑦被告人にテレグラムのチャットでその旨の報告をしたこと、を証言する。 イ Vの上記アの証言は、Vが、読み方すら分からないbの海に本件えい児の死体を投棄することを決意するに至る経緯を具体的に説明するものである上、前記2で認定したとおりの被告人とVの関係性、すなわち、Vが被告人に依 存しかつ支配された状態にあったことを踏まえると、内容も自然であり、得心することができる。 また、へその緒がついたえい児の画像や、ビニール袋のようなものに入れられたえい児の画像がVスマホから発見されたところ、これらと同じ画像で、データベース構造におけるパスから令和6年3月1日午後10時13分頃にテレグラムで受送信されたものと推定されるものが、被告人が使用するGalaxyS9から発見されており、Vの上記証言(①)を裏付けている。 さらに、テレグラムのアカウント名「G」からVに対し、令和6年3月3日午後2時52分に「保存用メッセージに書いておきました」「それを読むといいですよ」といったメッセージが送信されているところ、Vスマホ内のテレグラムのトークルーム「保存用メッセージ」には、同日、「今回、Vを逮捕することができる罪状はいかのとおりです。①保護責任者遺棄罪・不保護罪( いったメッセージが送信されているところ、Vスマホ内のテレグラムのトークルーム「保存用メッセージ」には、同日、「今回、Vを逮捕することができる罪状はいかのとおりです。①保護責任者遺棄罪・不保護罪(刑法218条)、②遺棄致死傷罪(刑法219条)、③児童虐待防止法違反、④児童福祉法違反の計4個の罪に問われることになるでしょう。いずれも刑法による罰則がありますから、自ずと警察は赤子が見つかれば、Vを特定し探そうと探査します。」「魔術協会やFのことは徹底的に伏せてください。Fと■■の家以外のリピーター情報を提供するのがいいでしょう。」といったメッセージが保存されている。このことは、「G」が、Vによる本件えい児の死体遺棄を認識していたと推認させるに十分であるところ、前記2のとおり、「G」は被告人であると認められるのであるから、上記のようなメッセージの存在も、Vが被告人の指示により本件えい児の死体を遺棄することを決意して実行した旨のV証言の信用性を支えている。 したがって、Vの上記アの証言は全体として信用できるところ、被告人は身に覚えがない旨をいうのみで、Vの証言の信用性を動揺させるには足りない。また、弁護人は、Vが被告人を教唆者として引き込むことには十分な動機がある旨を指摘して、Vの証言は信用できない旨を主張するが、テレグラ ムのアカウントで「G」を名乗る者と被告人とが同一人物であると認められることは前記2のとおりであり、弁護人の主張は採用できない。 よって、Vが本件えい児を出産したホテルにチェックインした令和6年3月1日午後7時8分頃から、Vが本件ネットカフェに入店した同月2日午前1時14分頃までの間に、被告人は、Vに対し、えい児を袋に入れて外から見えないようにバッグに入れること、えい児を海に捨てること、捨てる場所はbにする から、Vが本件ネットカフェに入店した同月2日午前1時14分頃までの間に、被告人は、Vに対し、えい児を袋に入れて外から見えないようにバッグに入れること、えい児を海に捨てること、捨てる場所はbにすること、えい児を捨てることに専念すべきことを申し向け、本件えい児の死体を遺棄することを決意させたと認められる。 (3) 以上によれば、判示第2のとおりの事実を認定することができ、被告人には死体遺棄教唆罪が成立する。 4 判示第3の事実について(1) 判示第3の事実に関するものとして挙示した前掲各証拠によれば、①Vが、令和6年3月13日、医師から、同月8日から起算して治癒まで約10日間程度を要する右上腕、左上腕皮下出血、後頚部、右足擦過傷の診断を受けたこと、②そのうち、右上腕、左上腕皮下出血の傷害は鈍体で殴打されたことにより形成されたもので、また、後頚部、右足擦過傷の傷害はスタンガンのような放電により電撃を与えるものによって形成されたものであると考えられること、が認められる。 (2)アそして、Vは、上記各傷害を負うに至った経緯ないし状況について、要旨、①本件えい児の死体を遺棄した後、被告人から指示され、約1週間、ネットカフェに寝泊まりしながら「パパ活」を続けていたが、1日当たり4万円の売上ノルマを達成できない日が続き、被告人から、テレグラムで「修行になったから家に帰ってきなさい」と指示され、令和6年3月8日午前中に被告人方に帰ったこと、②その日の夕方頃、被告人方2階のVが使用する6帖洋室で、後ろ手にして両手首をガムテープで縛られ、両足首もガムテープで縛られた上、目と口もガムテープで塞がれた状態で、「修行」をすることになっ たこと、③電気ショックは嫌だったので、電気ショックではなく別のものでお願いできないかと被告人に懇願したところ プで縛られた上、目と口もガムテープで塞がれた状態で、「修行」をすることになっ たこと、③電気ショックは嫌だったので、電気ショックではなく別のものでお願いできないかと被告人に懇願したところ、棒のようなもので思い切り叩かれることになり、被告人に背を向けて正座する姿勢になると、被告人から棒のようなもので10回以上叩かれ、肩や二の腕、背中に、ビリビリと震えてしまうほどの痛みを感じたこと、④叩かれている間、被告人から、出産がつらいという理由でサボろうとしていましたね、4万いきませんでしたね、赤ちゃんを指示どおりに捨てませんでしたねなどと言われたこと、⑤被告人から、服の襟元を掴まれ、肩が見える状態にされて、スマートフォンで写真を撮られたこと、⑥被告人から、電気ショックは1回はやらないといけない、5秒間だけでいいから、などと言われ、首筋に電気ショックをされ、抵抗した際に足首等にも少し電気ショックを受けたこと、⑦この日の修行中、被告人以外に人がいた気配はなく、また、被告人以外の人の声も聞かなかったこと、を証言する。 イ Vの上記アの証言は、具体的で迫真的なものである上、既に認定したとおりの被告人との関係性に照らすと、自然で得心できる内容となっている。 そして、Vが使用していたSuicaの利用履歴をみると、令和6年3月2日から同月8日までの間、被告人方の最寄り駅であるc駅から入出場した記録がなく、本件えい児の死体を遺棄した後、被告人から指示され、約1週間、ネットカフェに寝泊まりしていた旨の上記証言内容(①)はこれに沿う。 加えて、Vは、令和6年3月2日以降、テレグラムのチャットで、アカウント名「G」に対し、体調が優れないことや、V自身が置かれた現状に対する不安ないし不満あるいは「G」に対する不信感、さらには客を得られないなど「パパ活」 3月2日以降、テレグラムのチャットで、アカウント名「G」に対し、体調が優れないことや、V自身が置かれた現状に対する不安ないし不満あるいは「G」に対する不信感、さらには客を得られないなど「パパ活」で毎日4万円を稼ぐことは困難であること等を訴え続け、同月8日も、「今日は仕事は難しいので、どうしたらいいか支持だけください」(原文ママ)、「指示はないですか?」「今はどうなっているのですか?」などのメッセージを重ねて送ったところ、「G」から、「わかりました。今日は仕事上 がっても大丈夫です。」、「指示に従わない。又、本部との会議を妨げる用な行為がこれ以上続くのであれば間違いなく修行になりますよ?」(原文ママ)、「始発で帰ってきてください」、「■■に一度帰ってきてください」、「帰宅してください」などのメッセージが返されたことが認められる。既に認定したとおり、「G」は被告人であるから、このメッセージのやり取りは、「パパ活」の売上ノルマ達成が困難であることを訴えるVに対し、被告人が、「修行」を加える可能性を示唆しながら被告人方への帰宅を指示したことを示すものであって、Vの上記アの証言内容(特に①、④)の真実性を支えている。 また、被告人が使用するGalaxyS9から、作成日を令和6年3月8日午後10時24分とする、ピンク色の服を着た人物の後襟首から肩付近を撮影した画像が発見されているところ、Vは、その着衣の色や画像左上のパイプ状のもの等に照らし、被撮影者はV本人で、撮影場所は被告人方2階6帖洋室であると思う旨を述べており、被撮影者の着衣の襟首が撮影者と思われる者の指でその後方に引っ張られていることにも照らすと、Vの上記アの証言(⑤)はこれと整合する。 さらに、被告人方から、木刀及び電源コードのコード部分を切断しその切断端部の絶縁被 が撮影者と思われる者の指でその後方に引っ張られていることにも照らすと、Vの上記アの証言(⑤)はこれと整合する。 さらに、被告人方から、木刀及び電源コードのコード部分を切断しその切断端部の絶縁被覆を取り去って芯線部分をむき出しにしたもの(以下「スタンガン様のもの」という。)が発見されているところ、木刀の剣先部分及び柄部からそれぞれ採取した付着物には被告人のDNA型だけでなくVのDNA型が含まれ、また、スタンガン様のものについては家庭用コンセントに接続して皮膚に接触させた場合電極間距離が3ないし5センチメートル程度であれば通電するとされており、これらが凶器として用いられたとみると、Vが述べる暴行態様(③、⑥)とVの負傷箇所やその状況を矛盾なく説明することができる。 そうすると、Vの上記アの証言は全体として信用できるところ、被告人は身に覚えがない旨をいうのみで、Vの証言の信用性を動揺させるには足りな い。 (3) 以上によれば、判示第3のとおりの事実を認定することができ、被告人には傷害罪が成立する。 (量刑の理由)被告人は、過去に返る魔術を施してくれるものと信じているVに対し、「修行」と称する暴行を通じて恐怖心も植え付け、これを利用して、Vをして被告人の指示に反することはできないと思い込ませ、Vを管理支配して、約1年1か月の間、600回以上にわたり売春行為を行わせて、960万円以上の金銭を得ている(判示第1)。その行為態様や期間に照らし、Vの心身の自由を侵害した程度は大きい。 そして、被告人は、Vから、ホテルの一室でえい児を出産したが死んでいる様子である旨を聞かされると、えい児の死体を千葉県のbまで運んで遺棄するよう唆し、Vをして実行させているのであり(判示第2)、そこには、Vをして死者に対する敬虔感情を害するこ を出産したが死んでいる様子である旨を聞かされると、えい児の死体を千葉県のbまで運んで遺棄するよう唆し、Vをして実行させているのであり(判示第2)、そこには、Vをして死者に対する敬虔感情を害することとなる犯罪行為をさせることへの抵抗感は微塵も感じられない。 その意思決定は厳しく非難されなければならない。 また、被告人は、Vに対し、被告人方で、棒状のもので10回以上にわたり強く叩き、放電により電撃を与えるものを押し当てるなどして、治癒まで約10日間を要する傷害を負わせているところ(判示第3)、殴打による暴行は苛烈であり、また、放電により電撃を与えるものを押し当てる暴行は、強力な電撃を出力することができる道具によるものであり、危険である。被告人がこのような暴行に及んだ理由は、被告人から語られていないものの、Vが、出産後に体調を崩すなどして思うように売春行為をして金銭を稼ぐことが困難になった上、被告人に対し不満を述べるなどしたことへの罰として行われたものとみられる。犯行動機は自己中心的で身勝手というほかない。 判示第1から第3までのいずれの犯行においても、被告人が、Vを自らの金銭獲得手段として位置付け、その人格を著しく軽んじていることが明らかである。 以上によれば、本件の犯情は総じて悪く、被告人の行為責任は重い。 そして、被告人は本件の全ての犯行について否認しており、自ら犯した罪と向き合う姿勢はみられない。 そうすると、前科がないなど更生につながり得る事情が認められることを考慮しても、被告人に対しては、主文の懲役刑を科し、服役を通じて更生を図らせることとするのが適当であり、また、罰金の額については30万円とするのが相当である。 (求刑懲役5年及び罰金30万円)令和7年4月24日山形地 を通じて更生を図らせることとするのが適当であり、また、罰金の額については30万円とするのが相当である。(求刑懲役5年及び罰金30万円) 令和7年4月24日 山形地方裁判所刑事部 裁判官佐々木
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