主文 1 本件各訴えのうち,次の各部分をいずれも却下する。 (1) 請求1(1)イに係る部分(2) 請求1(2)イのうち平成22年7月14日までに支出された補助金の支出の差止めを求める部分(3) 請求2(1)アに係る部分(4) 請求2(1)イからまでに係る部分(5) 請求2(2)イに係る部分(6) 請求2(3)イに係る部分(7) 請求3(1)イに係る部分(8) 請求3(2)イのうち平成22年7月14日までに支出された補助金の支出の差止めを求める部分 2 原告ら及び原告共同訴訟参加人らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告ら及び原告共同訴訟参加人らの負担とする。 事実及び理由 以下においては,別紙略称一覧表記載のとおり略称を用いる。 第1 請求 1 AA 社関係(1) 平成17年(行ウ)第75号ア 被告は,P1及びAA 社に対し,各自10億円を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P1及びAA 社に対し,各自30億円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ被告は,AA 損失補償条項に基づき,AA 補償債権者に対する残債務に係る損失補償債務を履行してはならない。 (2) 平成17年(行ウ)第82号ア被告は,P1及びAA 社に対し,各自2億7244万3000円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ被告は,AA 社に対し,AA ホール運営補助金,AA 公共的空間整備事業補助金,地域輸入促進センター事業運営費補助金及び大阪市輸入促進事業推進補助金又はこれらと同一の趣旨の補助金の支出をしてはならない。 ,AA 社に対し,AA ホール運営補助金,AA 公共的空間整備事業補助金,地域輸入促進センター事業運営費補助金及び大阪市輸入促進事業推進補助金又はこれらと同一の趣旨の補助金の支出をしてはならない。 2 B社関係(1) 平成17年(行ウ)83号ア 被告は,P1及びB社に対し,各自125億円を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P1及びB社に対し,各自40億円を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P1及びB社に対し,各自75億円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ 被告は,別紙相手方一覧表記載の各相手方に対し,それぞれ同一覧表の損失補償額欄記載の各金員及びこれに対する平成22年3月31日から支払済みまで年5分の割合による各金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P1に対し,424億1338万5826円及びこれに対する平成22年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P2に対し,424億1338万5826円及びこれに対する平成22年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 (2) 平成17年(行ウ)第84号ア被告は,P1及びB社に対し,各自7049万円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ被告は,B社に対し,Bビル協定に基づくBビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金及びフェスパ協定に基づくBビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金又はこれらと同一の趣旨の負担金の支出をしてはならない。 (3) 平成21年(行ウ)第29号(共同訴訟参加事件)ア上記(1)イに同じ。 イ フェスパ)の維持管理に伴う負担金又はこれらと同一の趣旨の負担金の支出をしてはならない。 (3) 平成21年(行ウ)第29号(共同訴訟参加事件)ア上記(1)イに同じ。 イ上記(1)イに同じ。 ウ上記(1)イに同じ。 3 C社関係(1) 平成17年(行ウ)第85号ア 被告は,P1及びC社に対し,各自203億7690万円を大阪市に支払うよう請求せよ。 被告は,P1及びC社に対し,各自24億3300万円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ被告は,C損失補償条項に基づき,C補償債権者に対する残債務に係る損失補償債務を履行してはならない。 (2) 平成17年(行ウ)第86号ア被告は,P1及びC社に対し,各自5億5000万円を大阪市に支払うよう請求せよ。 イ被告は,C社に対し,q内公的施設管理運営補助金又はこれと同一の趣旨の補助金の支出をしてはならない。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,原告らが,被告に対し,(1)本件各特定調停は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情があり,公序良俗に反し私法上無効であるから,本件各特定調停に基づく財務会計行為(本件代物弁済,本件各追加出資,本件劣後債権化,B現物出資,C現物出資,本件各損失補償履行)も違法,無効であるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前市長P1及び現市長P2に対する損害賠償請求並びに本件3社に対する損害賠償請求又は不当利得返還請求をするよう求めるとともに,同項1号に基づき,AA 社及びC社に係る損失補償債務の履行(AA損失補償履行及びC損失補償履行)の差止めを求め(平成17年(行ウ)第75号 害賠償請求又は不当利得返還請求をするよう求めるとともに,同項1号に基づき,AA 社及びC社に係る損失補償債務の履行(AA損失補償履行及びC損失補償履行)の差止めを求め(平成17年(行ウ)第75号,第83号,第85号),さらに,(2)本件3社に対する大阪市の補助金又は負担金の支出が同法232条の2の公益上の必要性を欠き違法であるなどと主張して,同法242条の2第1項4号に基づき,P1に対する損害賠償請求及び本件3社に対する不当利得返還請求をするよう求めるとともに,同項1号に基づき,本件3社に対する補助金又は負担金の支出の差止めを求めている(同第82号,第84号,第86号)事案である。 共同訴訟参加事件(平成21年(行ウ)第29号)は,B損失補償履行が違法であるとしてされた,P1及びP2に対する損害賠償請求及びB補償債権者に対する不当利得返還請求をするよう求める請求につき,参加原告らが共同訴訟参加している事案である。 2 各請求内容の説明(骨子)(1) AA 社関係ア請求1(1)アは,原告らが,被告に対し,本件代物弁済が違法であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,AA 社に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることをそれぞれ求めるものである(ただし,請求することを求めている10億円は,損害額の一部である。)。 イ請求1(1)アは,原告らが,被告に対し,AA 追加出資が違法であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,AA 社に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることをそれぞれ求めるものである(ただし,請求することを求めている30億円は,AA 追加出資40億円の内金である。)。 ウ請求1(1)イは,原告ら に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることをそれぞれ求めるものである(ただし,請求することを求めている30億円は,AA 追加出資40億円の内金である。)。 ウ請求1(1)イは,原告らが,被告に対し,AA 損失補償履行が違法であるとして,その差止めを求めるものである。 エ請求1(2)アは,原告らが,被告に対し,AA 社に対してされた各補助金の交付(本件監査請求時の過去1年分)が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,AA社に対して不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 オ請求1(2)イは,原告らが,被告に対し,AA 社に対する補助金の支出が違法であるとして,その差止めを求めるものである。 (2) B社関係ア請求2(1)アは,原告らが,被告に対し,B現物出資が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,B社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 イ請求2(1)アは,原告らが,被告に対し,B追加出資が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,B社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 ウ請求2(1)アは,原告らが,被告に対し,本件劣後債権化が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,B社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 エ請求2(1)イ(2(3)ア)は,原告ら及び参加原告らが,被告に対 請求をすることを,B社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 エ請求2(1)イ(2(3)ア)は,原告ら及び参加原告らが,被告に対し,B損失補償履行が無効であるとして,B補償債権者に対してそれぞれ不当利得返還請求(遅延利息を含む。)をすることを求めるものである。 オ請求2(1)イ(2(3)イ)は,原告ら及び参加原告らが,被告に対し,B特定調停(B損失補償条項)を受諾した行為が違法であるとして,P1に対して債務不履行に基づく損害賠償請求(遅延損害金を含む。)をすることを求めるものである。 カ請求2(1)イ(2(3)ウ)は,原告ら及び参加原告らが,被告に対し,B損失補償履行が違法であるとして,P2に対して債務不履行に基づく損害賠償請求(遅延損害金を含む。)をすることを求めるものである。 キ請求2(2)アは,原告らが,被告に対し,B社に対してされた負担金の交付(本件監査請求時の過去1年分)が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,B社に対して不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 ク請求2(2)イは,原告らが,被告に対し,B社に対する負担金の支出が違法であるとして,その差止めを求めるものである。 (3) C社関係ア請求3(1)アは,原告らが,被告に対し,C現物出資が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,C社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 イ請求3(1)アは,原告らが,被告に対し,C追加出資が違法無効であるとして,P1 を,C社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 イ請求3(1)アは,原告らが,被告に対し,C追加出資が違法無効であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,C社に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 ウ請求3(1)イは,原告らが,被告に対し,C損失補償履行が違法であるとして,その差止めを求めるものである。 エ請求3(2)アは,原告らが,被告に対し,C社に対してされた補助金の交付(本件監査請求時の過去1年分)が違法であるとして,P1に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求をすることを,C社に対して不当利得返還請求をすることをそれぞれ求めるものである。 オ請求3(2)イは,原告らが,被告に対し,C社に対する補助金の支出が違法であるとして,その差止めを求めるものである。 3 関係法令等(1) 地方自治法2条14項地方公共団体は,その事務を処理するに当つては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。 (2) 地方財政法4条1項地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない。 (3) 財政援助制限法3条政府又は地方公共団体は,会社その他の法人の債務については,保証契約をすることができない。ただし,財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては,総務大臣)の指定する会社その他の法人の債務については,この限りでない。 (4) 地方自治法232条の2普通地方公 できない。ただし,財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては,総務大臣)の指定する会社その他の法人の債務については,この限りでない。 (4) 地方自治法232条の2普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては,寄附又は補助をすることができる。 4 前提となる事実(当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含むものとする。)(1) 当事者等(甲1,乙1~3,丙1,弁論の全趣旨)ア原告ら及び参加原告らは,いずれも大阪市の住民又は大阪市に主たる事務所を置く法人である。 イ被告は,大阪市の市長である。 ウ P1は,平成15年12月19日に大阪市長の職に就任し,平成19年12月18日限り退任した者であり,P2は,P1前市長の退任後に大阪市長の職に就任した者である。 本件で問題となっている財務会計行為のうち,本件劣後債権化(本件調停受諾行為),本件各追加出資,B現物出資及びC追加出資は,いずれも当時の大阪市長であるP1が決裁したものであり,B損失補償履行は,現在の大阪市長であるP2が決裁したものであるが,その他の財務会計行為は,各所管局長が専決により決裁したものである。 エ本件3社は,いずれも,平成元年に大阪市と民間企業が共同出資して設立されたいわゆる第三セクターの株式会社である。なお,大阪市においては,経済局がAA 社を,港湾局がB社を,計画調整局がC社をそれぞれ所管している。 (2) 本件3社の設立とその後の経営不振(乙34,35,63,丙3,弁論の全趣旨)ア大阪市は,昭和58年8月,大阪市制100周年記念事業の1つとして,δ,e 地区に21世紀に向けた新しいまちを建設しよ とその後の経営不振(乙34,35,63,丙3,弁論の全趣旨)ア大阪市は,昭和58年8月,大阪市制100周年記念事業の1つとして,δ,e 地区に21世紀に向けた新しいまちを建設しようとする「テクノポート大阪計画」を発表し,昭和63年7月,その基本計画を策定した。当該基本計画では,開発地区を,f 地区(g,h地区),i 地区,j地区に区分し,そのうちf 地区は,国際交易機能等を中心に集積させ,比較的高密度な開発を行うものとし,その中の国際交易・業務ゾーンの施設の1つとして,Bビル及びAA ビルが位置付けられていた。 AA ビルは,12階建てのk棟,6階建てのl棟(同棟には展示施設であるAA ホールが整備されている。)で構成される敷地面積約6万8000㎡,延床面積約33万5000㎡の施設として,平成3年5月にその建設工事が着工され,平成6年4月に開業した。 Bビルは,B社設立時の計画は高さ150m,地上33階・地下2階,総床面積約11万1000㎡,総事業費約520億円とされ,平成3年3月にその建築工事が着工されたが,最終的には,高さ256m(大阪府のmビルと同じ西日本一の高さ),地上55階・地下3階,総床面積約14万9000㎡,総事業費約1193億円の施設として,平成7年4月に開業した。 イ n地区は,昭和60年12月に策定された「p関連施設整備大綱」をきっかけに,大阪都心の一方の核であるoに隣接し,p等と直結した交通結節点として,また,交通利便性を生かした国際化,情報化に対応する新都市拠点としての役割が期待されるに至り,昭和62年,「新都市拠点整備事業 n地区総合整備計画」が策定され,q等の事業主体として,平成元年3月,C社が設立された。 qは,r駅に直結し,阪神高速 点としての役割が期待されるに至り,昭和62年,「新都市拠点整備事業 n地区総合整備計画」が策定され,q等の事業主体として,平成元年3月,C社が設立された。 qは,r駅に直結し,阪神高速道路に直結するバスターミナルを有するqであり,地上6階・地下2階,総床面積約6万2000㎡,総事業費約500億円の施設として,平成2年9月にその建設工事が着工され,平成8年3月に開業した。 ウ本件3社は,開業直後から経営状態がおもわしくなく,開業から数年でいずれも債務超過に陥った。 その後,大阪市の本件3社に対する財政支援が行われたが,本件3社が債務超過の状態を脱することはなく,AA 社の平成15年3月末時点の債務超過額は約253億円,累積損失額は約474億円であり,B社の同月末時点の債務超過額は約236億円,累積損失額は約330億円であり,C社の同月末時点の債務超過額は約95億円,累積損失額は約175億円であった。 (3) 本件各特定調停の成立に至る経緯等(乙1~3,11~18,弁論の全趣旨)ア平成15年6月20日,AA 社は,大阪市を含む相手方21名に対し,B社は,大阪市を含む相手方10名に対し,C社は,大阪市を含む相手方12名に対し,それぞれ,債務額を確定して相当額の減免を受けた上,その支払方法を協定することを求める特定調停を大阪簡易裁判所に申し立てた。 イ上記各特定調停申立事件は大阪簡易裁判所から大阪地方裁判所に移送され,同裁判所において,同年8月21日,同年10月30日,同年12月2日と期日が重ねられ,平成16年1月13日の期日において,本件各特定調停事件の調停委員会から各当事者に対して調停案(乙11~13)が示され,さらに,同月23日付けでその修正案(乙14~16)が示された。 が重ねられ,平成16年1月13日の期日において,本件各特定調停事件の調停委員会から各当事者に対して調停案(乙11~13)が示され,さらに,同月23日付けでその修正案(乙14~16)が示された。 ウ大阪市長は,本件各特定調停案の受諾とそれに関連する補正予算にかかる議案を大阪市議会に上程し,同月31日の大阪市議会の本会議において,上記議案は可決された。 そして,同年2月12日の本件各特定調停事件の期日において,大阪市が本件各特定調停案を受諾し(本件調停受諾行為),全当事者の合意により本件各特定調停が成立した(本件各特定調停の全体の概要につき,別紙資料1「平成16年2月12日に成立した特定調停の概要」参照)。 (4) AA 特定調停及びこれに基づく財務会計行為(乙1,30,弁論の全趣旨)ア AA 特定調停の概要は,次のとおりである(別紙資料2「弁済計画表・AA」参照。なお,利息及び損害金の関係は記載しない。)。 大阪市以外の相手方(AA 特定調停条項第1~第19)a 株式会社D銀行ほか16社(市中金融機関及びE銀行(有利子))は,AA 社に対し,AA 社の上記各社に対する借入金債務合計1026億5127万1168円のうち697億6652万7018円を免除する。 AA 社は,残債務合計328億8474万4150円について,上記各社に対し,平成16年9月から平成46年3月まで毎年9月及び3月の各末日限り計60回に分割して支払う。 b AA 社は,E銀行に対する無利子借入金債務55億2000万円について,同社に対し,平成16年3月から平成25年3月まで毎年9月及び3月の各15日限り計19回に分割して支払う。 c AA 社とF協同組合は,AA 社の同 借入金債務55億2000万円について,同社に対し,平成16年3月から平成25年3月まで毎年9月及び3月の各15日限り計19回に分割して支払う。 c AA 社とF協同組合は,AA 社の同組合に対する借入金債務12億5500万円のうち11億3464万5500円を,AA 社とG信用金庫は,AA 社の同信用金庫に対する借入金債務4億2650万円のうち3億8559万8650円を,それぞれ劣後債権(AA 社が市中金融機関及びE銀行に対する債務を完済した後,平成46年4月以降に分割弁済)とする。 AA 社は,上記劣後債権としない残債務につき,F協同組合及びG信用金庫に対し,平成16年9月から平成46年3月まで毎年9月及び3月の各末日限り計60回に分割して支払う。 大阪市関係(同条項第20)a 代物弁済(同条項第20の2)大阪市は,AA 社との間で,平成16年3月末日までに,AA 社の大阪市に対する借入金債務187億円のうち,同社と大阪市において協議の上合意する相当な金額の弁済に代えて,AA 社から本件駐車場の所有権を譲り受ける旨の合意を締結する。 b 劣後債権化(同条項第20の3)AA 社と大阪市は,AA 社の大阪市に対する借入金債務187億円のうち,上記代物弁済を実施した後の残元金を劣後債権(AA 社が市中金融機関及びE銀行に対する債務を完済した後,平成46年4月以降に分割弁済)とする。 c 損失補償(同条項第20の4,5)大阪市は,AA 補償債権者がAA 社に対して有する(免除後の)債権について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,AA 補償債権者に対し,当該回収不能額を損失と 大阪市は,AA 補償債権者がAA 社に対して有する(免除後の)債権について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,AA 補償債権者に対し,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償する。 d 追加出資(同条項第20の6)大阪市は,平成16年9月末日までに,AA 社に対し,40億円の出資を行う。 イ本件代物弁済大阪市は,AA 特定調停条項第20の2に基づき,AA 社との間で,平成16年3月25日,AA 社の大阪市に対する借入金債務187億円のうち30億7950万円の弁済に代えて,AA 社から本件駐車場の所有権を譲り受ける旨の合意を締結し(敷地部分9億9000万円,駐車場設備一式19億9000万円,消費税及び地方消費税9950万円の合計30億7950万円),同月31日,AA 社から本件駐車場の所有権を譲り受けた。 ウ AA 追加出資大阪市は,同条項第20の6に基づき,平成16年9月29日,AA 社に対し,40億円を追加出資し,AA 社の40億株を取得した。 (5) B特定調停及びこれに基づく財務会計行為(乙2,弁論の全趣旨)ア B特定調停の概要は,次のとおりである(別紙資料3「弁済計画表・B」参照。なお,利息及び損害金の関係は記載しない。)。 大阪市及びH公社以外の相手方関係(B特定調停条項第1~第8)a 株式会社D銀行ほか7社(市中金融機関及びE銀行(有利子))は,B社に対し,B社の上記各社に対する借入金債務合計714億1300万円のうち137億4500万円を免除する。 B社は,残債務合計576億6800万円について,上記各社に対し,平成16年9月末日限り合計37億6225万円を 金債務合計714億1300万円のうち137億4500万円を免除する。 B社は,残債務合計576億6800万円について,上記各社に対し,平成16年9月末日限り合計37億6225万円を一括弁済し,その残額を平成16年6月から平成56年3月まで毎年6,9,12及び3月の各末日限り計160回に分割して支払う。 bB社は,E銀行の無利子借入金債務48億円について,同社に対し,平成16年3月から平成29年3月まで毎年6,9,12及び3月の各15日限り計53回に分割して支払う。 株式会社H公社関係(同条項第10)B社は,株式会社H公社の貸付金20億円について,同社に対し,平成48年6月から平成56年3月まで毎年6,9,12及び3月の各末日限り計32回に分割して支払う。 大阪市関係(同条項第9)a 債務の株式化(同条項第9の2)B社は,平成16年9月末日までに,B社の大阪市に対する借入金債務200億円のうち125億円を別途協議する方法により株式化する。 b 劣後債権化(同条項第9の3)B社と大阪市は,B社の大阪市に対する借入金債務200億円のうち,上記債務の株式化を実施した後の75億円を劣後債権(B社が市中金融機関及びE銀行に対する債務を完済した後,平成56年3月以降に分割弁済)とする。 c 損失補償(同条項第9の4)大阪市は,B補償債権者がB社に対して有する(免除後の)債権について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,B補償債権者に対し,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償する。 d 追加出資(同条項第9の5)大阪市は 処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,B補償債権者に対し,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償する。 d 追加出資(同条項第9の5)大阪市は,平成16年9月末日までに,B社に対し,40億円の出資を行う。 イ B現物出資(債務の株式化)大阪市とB社は,B特定調停条項第9の2に基づき,平成16年9月29日,B社の大阪市に対する借入金債務200億円のうち125億円を株式化し,大阪市は,B社の125億株を取得した。 ウ B追加出資大阪市は,同条項第9の5に基づき,同日,B社に対し,40億円を追加出資し,B社の40億株を取得した。 エ B損失補償履行大阪市は,平成22年3月30日,同条項第9の4(B損失補償条項)に基づき,B補償債権者に対し,それぞれ別紙相手方一覧表の損失補償額欄記載の各金額(合計424億1338万5826円)を損失補償として支出した。 (6) C特定調停及びこれに基づく財務会計行為(乙3,弁論の全趣旨)ア C特定調停の概要は,次のとおりである(別紙資料4「弁済計画表・C」参照。なお,利息及び損害金の関係は記載しない。)。 大阪市以外の相手方関係(C特定調停条項第1~第11)株式会社Iほか10社(市中金融機関)は,C社に対し,C社の上記各社に対する借入金債務合計182億7600万円のうち91億2600万円を免除する。 C社は,残債務合計91億5000万円について,上記各社に対し,平成16年9月から平成46年3月まで毎年9月及び3月の各末日限り計60回に分割して支払う。 大阪市関係(同条項第12)a 債務の株式化(同条 円について,上記各社に対し,平成16年9月から平成46年3月まで毎年9月及び3月の各末日限り計60回に分割して支払う。 大阪市関係(同条項第12)a 債務の株式化(同条項第12の2)C社は,平成16年9月末日までに,C社の大阪市に対する借入金債務310億7939万3000円のうち有利子部分203億7690万円を別途協議する方法により株式化する。 b 無利子借入金債務の弁済方法(同条項第12の4)C社の大阪市に対する無利息借入金債務107億0249万3000円の弁済方法については,C社と大阪市との間で別途協議する。 c 損失補償(同条項第12の5)大阪市は,C補償債権者がC社に対して有する免除後の債権について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,C補償債権者に対し,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償する。 追加出資(同条項第12の6)大阪市は,平成16年9月末日までに,C社に対し,24億3300万円の出資を行う。 イ C現物出資(債務の株式化)大阪市とC社は,C特定調停条項第12の2に基づき,平成16年9月29日,C社の大阪市に対する借入金債務310億7939万3000円のうち有利子部分203億7690万円を株式化し,大阪市は,C社の203億7690万株を取得した。 ウ C追加出資大阪市は,同条項第12の6に基づき,同日,C社に対し,24億3300万円を追加出資し,C社の24億3300万株を取得した。 (7) 本件3社に対する補助金又は負担金の支出ア AA 社関係(甲2,乙4~7,117~120,弁論の全 に対し,24億3300万円を追加出資し,C社の24億3300万株を取得した。 (7) 本件3社に対する補助金又は負担金の支出ア AA 社関係(甲2,乙4~7,117~120,弁論の全趣旨)大阪市は,AA 公共的空間整備事業補助要綱(乙4,118),AA ホール運営補助要綱(乙5,117),地域輸入促進センター事業運営費補助金交付要綱(乙6。平成18年4月1日に大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助要綱(乙120)に改称)及び大阪市輸入促進事業推進補助金交付要綱(乙7。平成18年4月1日に大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助要綱(乙119)に改称)を定め,AA 社に対し,平成17年2月22日付け本件監査請求の過去1年間に,次のとおり補助金を支出した。なお,これらの補助金の支出決定はいずれも経済局長の専決によるものである。 AA ホール運営補助金平成16年4月30日 7670万円 AA 公共的空間整備事業補助金平成16年4月27日 2905万2000円 地域輸入促進センター事業運営費補助金該当なし 大阪市輸入促進事業推進補助金平成16年3月8日 4199万5000円平成16年3月26日 4162万円平成16年4月26日 8307万6000円イ B社関係(甲1,乙8,9,弁論の全趣旨)大阪市(契約担当者大阪市港湾局長)は,B社との間で,平成10年4月1日,Bビル協定を締結し(乙8),さらに,平成12年4月1日,フェスパ協定を締結した(乙9)。 大阪市は,本件各協定に 契約担当者大阪市港湾局長)は,B社との間で,平成10年4月1日,Bビル協定を締結し(乙8),さらに,平成12年4月1日,フェスパ協定を締結した(乙9)。 大阪市は,本件各協定に基づき,B社に対し,本件監査請求の過去1年間に,次のとおり負担金を支出した。なお,これらの負担金の支出決定は港湾局長の専決によるものである。 Bビル協定に基づくBビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金該当なし フェスパ協定に基づくBビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金平成16年11月8日 7048万9500円ウ C社関係(甲1,乙10,122,弁論の全趣旨)大阪市は,q内公的施設管理運営補助金交付要綱(乙10,122)を定め,C社に対し,本件監査請求の過去1年内である平成16年9月24日,同補助金として5億5000万円を支出した。なお,同補助金の支出決定は計画調整局長の専決によるものである。 (8) 本件監査請求及び本件訴え提起(甲1,2,顕著な事実,弁論の全趣旨)ア原告らは,大阪市監査委員に対し,平成17年2月22日,本件監査請求を行った。 イ大阪市監査委員は,本件監査請求につき,監査対象事項を,本件各追加出資,B現物出資及びC現物出資並びに支出日から1年を経過していない補助金等の返還,並びに予算化され今後支出されることが相当の確実さをもって予測される補助金等の支出差止めに限定した上(その余は受理せずに却下),同年4月22日付けで,原告らに対し,本件監査請求には理由がない旨の監査結果の通知をした。 ウ原告らは,平成17年5月23日,本件訴え(当庁平成17年(行ウ)第75号,第82号~第86号)を提 4月22日付けで,原告らに対し,本件監査請求には理由がない旨の監査結果の通知をした。 ウ原告らは,平成17年5月23日,本件訴え(当庁平成17年(行ウ)第75号,第82号~第86号)を提起した。 (9) 第2次監査請求及び共同訴訟参加申立等(丙1,2,顕著な事実)ア参加原告らは,大阪市監査委員に対し,平成20年12月26日,B損失補償履行の差止めを求める旨の第2次監査請求を行った。 イ大阪市監査委員は,参加原告らの第2次監査請求について,地方自治法242条の要件を満たしていないとして,平成21年1月22日付けで,参加原告らに対し,第2次監査請求を却下する旨の監査結果の通知をした。 ウ参加原告らは,同年2月20日,本件訴訟に共同訴訟参加をする申立て(当庁平成21(行ウ)第29号)を行った。 (10) B損失補償履行の実行と訴えの変更(顕著な事実,弁論の全趣旨)ア B社は,平成21年3月26日,大阪地方裁判所に会社更生手続開始の申立てを行い,同月31日,同裁判所によりB社の更生手続開始決定がされた。 イ大阪市は,平成22年3月30日,B損失補償条項に基づき,B補償債権者に対し,それぞれ別紙相手方一覧表の損失補償額欄記載の各金額(合計424億1338万5826円)を,損失補償として支出した(B損失補償履行)。 ウ原告ら及び参加原告らは,大阪市がB補償債権者に対する損失補償債務を履行したこと(B損失補償履行)を受けて,同年5月24日,各訴えの変更申立書により,それぞれ,B損失補償履行の差止めを求める訴えを,第1請求2(1)イ(2(3))のとおりに変更した。 第3 主たる争点及び当事者の主張本件の主たる争点は以下のとおりであり,主たる争点に係る当事者の ,B損失補償履行の差止めを求める訴えを,第1請求2(1)イ(2(3))のとおりに変更した。 第3 主たる争点及び当事者の主張本件の主たる争点は以下のとおりであり,主たる争点に係る当事者の主張の概要は別紙「当事者の主張の要旨」記載のとおりである(なお,同別紙においては,原告らと参加原告らを併せて「原告ら」と表記する。)。 【本案前の争点】 1 監査請求前置(1) 本件代物弁済の違法性又は不当性の摘示の有無(2) 本件劣後債権化に係る監査請求期間徒過の有無(3) 監査請求時点における本件各損失補償履行の相当の確実性(4) B損失補償履行後に変更されたP1に関する請求と監査請求前置 2 差止めの訴えにおける損失補償債務履行の相当の確実性【本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する本案の争点】 1 本件各特定調停の有効性等(本件各特定調停により大阪市が履行を義務付けられている行為の違法性) 2 各財務会計行為の違法性に係る個別主張(1) 本件代物弁済の違法性(2) 本件各追加出資並びにB現物出資及びC現物出資の違法性(3) 本件劣後債権化の違法性(4) 本件各損失補償履行の違法・無効性 3 本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する各請求権の成否(1) P1及びP2の故意又は過失(2) 本件3社の不法行為の成否(3) B社及びC社の不当利得の有無(4) B補償債権者の不当利得の有無【本件3社に対する補助金又は負担金に関する本案の争点】 1 AA 社に対する補助金支出の違法性 2 B社に対する負担金支出の違法性 3 C社に対する補助金支出の違法性 4 補助金又は負担金に関する各請求権の成否(1) P1の故意又 1 AA 社に対する補助金支出の違法性 2 B社に対する負担金支出の違法性 3 C社に対する補助金支出の違法性 4 補助金又は負担金に関する各請求権の成否(1) P1の故意又は過失(2) 本件3社の不当利得の有無第4 本案前の争点に係る当裁判所の判断 1 本件代物弁済の違法性又は不当性の摘示の有無(請求1(1)ア関係)(1) 被告は,本件監査請求の監査請求書において本件代物弁済の違法性又は不当性が具体的な理由により摘示されていないから,本件監査請求のうち本件代物弁済に係る部分は不適法であると主張する。 そこで検討するに,地方自治法242条1項は,普通地方公共団体の住民は,違法又は不当な財務会計上の行為又は怠る事実があると認めるときは,これらを証する書面を添えて監査請求をすることができる旨を規定しているのであるから,そもそも当該行為又は怠る事実に係る違法性又は不当性の摘示がないとか,違法性又は不当性の摘示はあるがその理由が全く示されていないような場合には,その監査請求は不適法といわざるを得ない。しかし,監査委員は,監査請求の対象とされた行為又は怠る事実につき違法,不当事由が存するか否かを監査するに当たり,住民が主張する事由以外の点にわたって監査することができないものではなく(最判昭和62年2月20日・民集41巻1号122頁参照),違法性又は不当性の主張は監査請求の対象を特定し又はその外延を画するものではない。しかも,監査請求の段階においては,財務会計行為につき何らかの疑惑が存在する程度のことも多く,住民が違法性又は不当性の内容を具体的に摘示することが困難な場合も少なくないことも考慮すると,監査請求書に摘示すべき当該行為又は怠る事実の違法性又は不当性については,監査委員に監査の手が とも多く,住民が違法性又は不当性の内容を具体的に摘示することが困難な場合も少なくないことも考慮すると,監査請求書に摘示すべき当該行為又は怠る事実の違法性又は不当性については,監査委員に監査の手がかりを与える程度に具体的に摘示されていれば足り,その主張する違法性又は不当性を基礎付ける相当な理由や条文上の根拠まで具体的に摘示する必要はないというべきである。 (2) そうであるところ,証拠(甲1)によれば,原告らは,本件監査請求の監査請求書において,本件代物弁済に関し,「①帳簿上の債務減らしの工作で,②大阪市がAA と関係なく自由に利用できる土地建物として代物弁済を受けたものでなく,③土地は約64000円/㎡,建物約29700円/㎡と不当に高く評価したものであり,適法な代物弁済ではない。」と記載していることが認められ,上記監査請求書の記載内容をみれば,本件代物弁済の違法性又は不当性について,帳簿上の債務減らしの工作であるとか,本件駐車場が不当に高く評価されているなどの具体的な理由が摘示されているといえるから,本件監査請求のうち本件代物弁済に係る部分は,その違法性又は不当性の摘示に何ら欠けるところはなく,適法であるというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 2 本件劣後債権化に係る監査請求期間徒過の有無(請求2(1)ア関係)(1) 監査請求期間の起算点について証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,本件劣後債権化は,平成16年2月12日に大阪市長がB特定調停案を受諾し(本件調停受諾行為),B特定調停が成立したことにより行われたものであり,それ以後,本件劣後債権化に係る財務会計行為は行われていないことが認められる。そうすると,本件劣後債権化の監査請求期間の起算点は,当該行為のあっ ,B特定調停が成立したことにより行われたものであり,それ以後,本件劣後債権化に係る財務会計行為は行われていないことが認められる。そうすると,本件劣後債権化の監査請求期間の起算点は,当該行為のあった日,すなわち本件調停受諾行為があった平成16年2月12日である。 これに対し,原告らは,B特定調停条項は,本件劣後債権化について,「申立人と相手方大阪市は,原残元金の内,前項による債務の株式化を実施した後の残元金75億円を劣後債権とし(以下略)」と規定しているから,本件劣後債権化は債務の株式化を前提としており,本件劣後債権化の監査請求期間の起算点は,B現物出資(債務の株式化)の効力が発生した平成16年9月30日以降であると主張する。しかし,地方自治法242条2項本文は,財務会計上の行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは監査請求をすることができない旨を定めるところ,上記行為のあった日とは一時的行為のあった日を,上記行為の終わった日とは継続的行為についてその行為が終わった日を,それぞれ意味するものと解するのが相当である(最判平成14年9月12日・民集56巻7号1481頁)。そして,本件劣後債権化に係る財務会計行為である本件調停受諾行為はその性質上一時的行為であることが明らかであるから,本件劣後債権化の効力発生の時期如何にかかわらず,本件劣後債権化の監査請求期間の起算点は本件調停受諾行為があった平成16年2月12日であると解するほかにないのであり,原告らの上記主張は採用することができない。 そうすると,平成17年2月22日にされた本件監査請求は,本件劣後債権化から1年以上経過した後にされたものであるから,本件監査請求のうち本件劣後債権化に係る部分は,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」がない限り, 日にされた本件監査請求は,本件劣後債権化から1年以上経過した後にされたものであるから,本件監査請求のうち本件劣後債権化に係る部分は,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」がない限り,不適法である。そこで,本件監査請求が本件劣後債権化があった日から1年以上経過した後にされたことについて「正当な理由」があるといえるかにつき,以下検討する。 (2) 「正当な理由」について普通地方公共団体の住民が,相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかにより判断すべきである(前掲最判平成14年9月12日)。 そこで,大阪市の住民が,本件劣後債権化について,相当の注意力をもって調査を尽くせば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件劣後債権化の存在及び内容を知ることができた時期について検討するに,前記前提となる事実に証拠(甲3,8,乙24~29)及び弁論の全趣旨によれば,本件各特定調停事件の調停委員会は,大阪市を含む各当事者に対して平成16年1月13日に調停案を提示し,同月23日にその修正案が示されたこと,大阪市長は,そのころ,本件各特定調停案の受諾とそれに関連する補正予算に係る議案を大阪市議会に上程し,本件劣後債権化を含む本件各特定調停案が大阪市議会の本会議において審議され,上記議案は同月31日に可決されたこと,大阪市経営企画室は,上記議案の可決を受けて,大阪市 に係る議案を大阪市議会に上程し,本件劣後債権化を含む本件各特定調停案が大阪市議会の本会議において審議され,上記議案は同月31日に可決されたこと,大阪市経営企画室は,上記議案の可決を受けて,大阪市のホームページ上に,本件各特定調停案の概要等を記載し,本件劣後債権化の内容について,「Bは,大阪市残元金のうち債務の株式化を実施した後の残元金7,500,000,000円につき,各金融機関の債務が完済されるまでは,大阪市に対して支払わない。」と記載したこと,本件各特定調停が成立した同年2月12日の前後を通じて,複数の全国紙の紙面に,本件劣後債権化を含む本件各特定調停案又は本件各特定調停の概要が記載され,大阪市経営企画室も,本件各特定調停の成立後,その概要等を上記ホームページ上に記載したこと,以上の事実が認められる。加えて,原告らが本件劣後債権化を違法と主張する理由は,大阪市のB社に対する債権75億円分を劣後債権としたことが実質的な債権放棄に等しいというものであること(甲1)や,大阪市の住民による本件調停受諾行為を対象とする監査請求について,平成16年3月23日付けの監査結果が示されており,これによれば,同請求人が,監査請求において,二次破綻が危惧される再建計画である旨の主張をしていたことが認められること(甲2の2)なども考慮すれば,大阪市の住民は,本件各特定調停が成立した直後から,客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件劣後債権化の存在及び内容を知ることができたというべきである。 これに対し,原告らは,マスコミの報道等により本件各特定調停の条項がある程度明らかになったとしても,本来,本件各特定調停の全文と基礎資料がなければ違法な財務会計上の行為が含まれているかどうかは判断できないのであり,大阪市長がこれらの資料等を公開しなかっ 停の条項がある程度明らかになったとしても,本来,本件各特定調停の全文と基礎資料がなければ違法な財務会計上の行為が含まれているかどうかは判断できないのであり,大阪市長がこれらの資料等を公開しなかったため,原告らは本件劣後債権化の適法性の問題について不明のまま逡巡したのであるから,正当な理由があるなどと主張する。しかし,前述のとおり,監査請求においては,当該行為の違法性又は不当性は,監査委員に監査の手がかりを与える程度に具体的に摘示すれば足り,監査請求書に添付すべき「証する書面」も,上記違法性又は不当性に関する疑惑が存在することを示す程度の内容のもので足りるというべきであって,前記認定に係る事実関係の下では,たとい調停条項の全文やその基礎資料が公開されていなくとも,相当の注意力をもってすれば,監査請求をするに足りる程度に本件劣後債権化の内容を知ることができたというべきであり,原告らの上記主張は採用することができない。なお,原告らは,大阪市長が監査請求期間徒過を主張することは抗弁権を濫用するものであるとも主張するが,これまでに説示したところに照らし,採用することができない。 (3) まとめ以上によれば,本件監査請求が本件劣後債権化があった日から1年以上経過した後にされたことについて「正当な理由」があるとはいえず,本件監査請求のうち本件劣後債権化に係る部分は,地方自治法242条2項の監査請求期間を徒過しており不適法である。したがって,本件訴えのうち,本件劣後債権化が違法であるとしてP1及びB社に対して損害賠償請求等をすることを求める部分(請求2(1)ア)は,適法な監査請求を前置しない不適法なものであるから,却下すべきである。 3 監査請求時点における本件各損失補償履行の相当の確実性(請求1(1)イ,2(1)イ・ める部分(請求2(1)ア)は,適法な監査請求を前置しない不適法なものであるから,却下すべきである。 3 監査請求時点における本件各損失補償履行の相当の確実性(請求1(1)イ,2(1)イ・(2(3)ア・ウ),3(1)イ関係)(1) 地方自治法242条1項は,普通地方公共団体の住民は,当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員について,「違法若しくは不当な公金の支出,財産の取得,管理若しくは処分,契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき」に監査請求をすることができる旨規定し,「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」には,まだされていない当該行為を対象としてその防止等を求める監査請求ができることを明らかにしている。そうすると,上記規定の文理上,「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」に該当しない場合には,普通地方公共団体の住民は,当該行為がされる前にその防止等を求めて監査請求をすることはできないと解される。したがって,「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」(相当の確実性)の要件は,当該行為がされる前にその防止等を求める監査請求の適法要件であるということができる。 そして,監査請求の制度は,住民訴訟の前置手続として,まず当該普通地方公共団体の監査委員に住民の請求に係る行為又は怠る事実について監査の機会を与え,当該行為又は当該怠る事実の違法,不当を当該普通地方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものであると解される(前掲最判昭和62年2月20日参照)。そうすると,当該行為の相当の確実性の要件を具備していない監査請求が 方公共団体の自治的,内部的処理によって予防,是正させることを目的とするものであると解される(前掲最判昭和62年2月20日参照)。そうすると,当該行為の相当の確実性の要件を具備していない監査請求が行われた場合には,そもそも適法な監査請求はなく,監査委員に当該行為の実体的な適否につき監査の機会が与えられていないこととなるから,仮にその後当該行為が相当の確実性を具備するに至ったとしても,その時点において改めて適法な監査請求を経るのでなければ,当該行為についての住民訴訟は,適法な監査請求を前置しないものとして,不適法であるというほかはない。 そこで,本件監査請求の時点において,本件各損失補償履行がされることが相当の確実さをもって予測されたかどうか(相当の確実性の要件)につき,以下検討する。 (2) 上記の「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」とは,当該行為がされるおそれが存する場合において,単にその可能性が漠然と存在するというだけでなく,その可能性,危険性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えている場合を指すと解するのが相当である。 そこで検討するに,前記前提となる事実によれば,本件各損失補償条項は,いずれも,本件各補償債権者の本件3社に対する免除後の残債権等について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合には,本件各補償債権者に対し,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償するという内容のものであり,本件各補償債権者において担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生することが損失補償債務の履行の条件とされている。これを端的にいうならば,本件各損失補償条項は,本件3社の再建計画が行き詰まり,その経営が破綻した場合に,本件各補償債権 努力をしてもなお回収不能が発生することが損失補償債務の履行の条件とされている。これを端的にいうならば,本件各損失補償条項は,本件3社の再建計画が行き詰まり,その経営が破綻した場合に,本件各補償債権者の最終的な回収不能額(損失)について大阪市が補償することを約束するものであるといえ,そういった事情もないのに,大阪市が本件各補償債権者に対する損失補償債務を履行することは想定し難い。そうであるところ,平成17年2月22日の本件監査請求の時点において,本件3社が本件各特定調停に定められた本件各補償債権者に対する弁済を遅滞し期限の利益を喪失したとか,本件3社や大阪市が再建計画の遂行を断念する旨を表明するなどといった事情は何らうかがわれず,本件3社の再建計画が行き詰まり,その経営が破綻することが確実な状況であったことを推認できる事実の主張立証はない(なお,AA 社及びC社については,本件監査請求後の平成20年度決算においても当期純利益を計上しているし(弁論の全趣旨),B社についても,例えば「Bの特定調停に関する調査報告書」によれば,「入居率は計画を下回るものの,人員削減や委託業務の見直しをはじめ,計画を上回る経費削減の実行などにより,平成19年度までは入居率を除いて再建計画をほぼ達成してきた。」(丙3の2・19頁)と報告されているのであり,本件監査請求時点において本件3社の経営破綻が確実な状況ではなかったことは,これらの点からも明らかというべきである。)。 以上によれば,本件監査請求時点において,本件各損失補償履行がされる可能性,危険性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているということはできない。したがって,本件訴えのうち,原告らが被告に対しAA 損失補償履行及びC損失補償履行の差止めを求める部分(請求1(1 の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えているということはできない。したがって,本件訴えのうち,原告らが被告に対しAA 損失補償履行及びC損失補償履行の差止めを求める部分(請求1(1)イ,3(1)イ),並びに,原告らが被告に対しB損失補償履行が違法無効であるとしてB補償債権者及びP2に対して不当利得返還請求又は損害賠償請求等をすることを求める部分(請求2(1)イ・,なお,B損失補償履行の差止請求から変更されたもの)は,いずれも適法な監査請求を前置しない不適法なものであるから,却下すべきである。 (3) 他方,参加原告らは,B損失補償履行の差止めを求めて,平成20年12月26日付けで第2次監査請求を行っているところ,その時点においては,既に同年7月にP2大阪市長がB社の再建断念を表明し,B社の破綻処理の可能性が極めて高い状況であったと認められるから(丙1,弁論の全趣旨),第2次監査請求の時点においては,B損失補償履行がされる可能性,危険性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えていたと認めるのが相当である。 したがって,本件訴えのうち,参加原告らがB損失補償履行が違法無効であるとしてB補償債権者及びP2に対して不当利得返還請求又は損害賠償請求等をすることを求める部分(2(3)ア・ウ,なお,B損失補償履行の差止請求から変更されたもの)は,適法な監査請求を前置していると認められる。 4 B損失補償履行後に変更されたP1に関する請求と監査請求前置(請求2(1)イ(2(3)イ)関係)原告ら及び参加原告らは,「P1は,大阪市長として,本件損失補償契約を締結しており,かつ違法であることを認識していたことは明らかであるから,大阪市に対する委任契約上の善管注意義務違反に基づく損害賠償責任 ら及び参加原告らは,「P1は,大阪市長として,本件損失補償契約を締結しており,かつ違法であることを認識していたことは明らかであるから,大阪市に対する委任契約上の善管注意義務違反に基づく損害賠償責任として,損失補償全額について,賠償責任を負う」と主張する。この主張内容からすれば,原告ら及び参加原告らがB損失補償履行後にその差止請求から変更した,P1に対して損害賠償請求をすることを求める請求は,B損失補償条項を含むB特定調停案の受諾行為そのものが違法な財務会計行為であるとするものというほかはない。 そうすると,平成17年2月22日の本件監査請求及び平成20年12月26日の第2次監査請求の各時点では,いずれも,P1の本件調停受諾行為についての監査請求期間を徒過していたから,本件訴えのうち,B損失補償履行を含むB特定調停案の受諾行為が違法であるとしてP1に対して損害賠償請求をすることを求める部分(請求2(1)イ(2(3)イ))は,適法な監査請求を前置しない不適法なものであり,却下すべきである。 5 補助金又は負担金の支出の差止めを求める訴えの適法性(職権による判断)(請求1(2)イ,2(2)イ,3(2)イ関係)(1) 本件訴訟提起後に支出された補助金又は負担金について原告らは,被告に対し,本件3社に対する補助金又は負担金の支出の差止めを求めているが,地方自治法242条の2第1項1号に規定する執行機関等に対する財務会計行為の差止めを求める訴えは,その性質上,差止めの対象となる行為が完了した場合には,訴えの利益を欠き,不適法になると解される。したがって,本件訴えのうち,本件口頭弁論終結日である平成22年7月14日までにされた本件3社に対する補助金又は負担金の支出の差止めを求める部分は,訴えの利益を欠き不適法である 法になると解される。したがって,本件訴えのうち,本件口頭弁論終結日である平成22年7月14日までにされた本件3社に対する補助金又は負担金の支出の差止めを求める部分は,訴えの利益を欠き不適法であるから,却下すべきである。 (2) B社に対する未支出の各負担金について地方自治法242条の2第1項1号所定の差止めの訴えは,将来の不作為給付を求めるものであるから,その性質上,当該行為が行われる蓋然性がなければそもそも訴えの利益を欠くというべきであり,同法242条1項所定の「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」に該当すること(相当の確実性の要件)は,監査請求の適法要件であると同時に,同法242条の2第1項1号所定の差止めの訴えの適法要件でもあると解するのが相当である。そして,差止めの訴えの適法要件としての相当の確実性の要件は,口頭弁論終結時において具備されている必要があると解される。 そうであるところ,本件各協定によれば,大阪市は,B社に対し,Bビル公的運営施設及び公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理費用について,各負担金を支払うものとされているが(乙8,9),Bビルの所有権は,平成22年6月1日をもってB社から大阪府に移転され,その後,B社は解散し清算される予定となっているというのであるから(丙11,顕著な事実,弁論の全趣旨),B社が同日以降に上記各施設の維持管理に伴う費用を支出するとは考え難く,したがって,大阪市がB社に対し上記各負担金を支出するとも考え難い。また,被告が,同年6月分以降の上記各負担金の支出は予定されていない旨を述べていること(同年4月14日付け被告回答書)も考慮すると,同年7月14日の本件口頭弁論終結後に,大阪市からB社に対し上記各負担金の支出がされる相当の 降の上記各負担金の支出は予定されていない旨を述べていること(同年4月14日付け被告回答書)も考慮すると,同年7月14日の本件口頭弁論終結後に,大阪市からB社に対し上記各負担金の支出がされる相当の確実性があるとはいえない。 したがって,本件訴えのうち,B社に対する本件口頭弁論終結後の各負担金の支出差止めを求める部分は,差止めの訴えの適法要件としての相当の確実性の要件を欠いており不適法であるから,却下すべきである。 6 小括以上によれば,本件訴えのうち主文1項に掲げる各部分は,いずれも不適法であるから,これを却下すべきである。 第5 本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する本案の争点に係る当裁判所の 判断 1 判断の前提となる事実関係前提となる事実に掲記各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) テクノポート大阪計画(乙34~40,63,丙3,16,弁論の全趣旨)ア昭和50年代,高次な都市機能が首都圏へと急速に集中していく一方で,工業・商業などの基幹産業の地方への分散化が促進されるなか,大阪の産業構造の転換は進んでおらず,いわゆる都市の空洞化が進みつつあり,人口も減少を続けていった。このような状況の下,大阪市は,イベント中心の長期・短期のソフトと,施設整備を重点とするハードづくりの2本柱を骨格とした「大阪21世紀計画」を発表し,市政100周年記念事業構想をまとめ,これらを具体的に実現していくための事業として5部門の事業計画を策定した。その中の一つとして,高度技術・情報通信機能の集積としてのテクノポート大阪計画が盛り込まれた。 イテクノポート大阪計画は,昭和58年8月に大阪市政100周年記念事業の一つとして発表された後,昭和60年2月には基本構想 ・情報通信機能の集積としてのテクノポート大阪計画が盛り込まれた。 イテクノポート大阪計画は,昭和58年8月に大阪市政100周年記念事業の一つとして発表された後,昭和60年2月には基本構想が発表され,昭和63年7月,基本計画が策定された。その概要は以下のとおりである。 対象地域・開発期間同計画の対象となる地域は,都心部から10㎞圏の大阪西部に位置し,f 地区約160ヘクタール(g,h地区),i 地区約225ヘクタール,j地区約390ヘクタールであり,後にAA ビル及びBビルが建設されるf 地区については開発期間が概ね平成12年度とされた。 集積させる機能同計画において対象地域に集積させる機能は,①エレクトロニクス・新素材等の技術開発・システム開発などの「先端技術開発機能」,②人・物・情報の集まる総合的な「国際交易機能」,③テレポートや光ファイバーなどを活用した「情報通信機能」の3つを中核機能に,さらに21世紀の新しい都市にふさわしい文化・レクリエーション・居住等の都市機能を併せたものとされた。 事業主体同計画の推進に当たっては,計画全体の統一性を確保しながら,効率的に開発を進めるため,それぞれの事業・施設の計画,特質等に応じて適切に事業主体を選択するものとされ,具体的には,①土地造成(護岸・埋立てを含む。),道路,鉄道,上下水道,埠頭等の都市基盤整備は,大阪市を中心とする公共セクターが,②業務・商業施設・住宅等の個々の施設の建設は,主として民間セクターが行うものとされた。他方,③情報通信基盤施設,ターミナル,物流施設等の都市基盤整備や貿易センタービル,文化・レクリエーション施設等の一部施設の建設・運営については第三セクターが行うものとされ, ーが行うものとされた。他方,③情報通信基盤施設,ターミナル,物流施設等の都市基盤整備や貿易センタービル,文化・レクリエーション施設等の一部施設の建設・運営については第三セクターが行うものとされ,また,企業の誘致,PR活動,共同利用施設等の管理,開発計画の調整などを担う第三セクターを設立し,同第三セクターが,将来はテクノポート大阪計画の開発・運営の中心的な役割を担うものとされた。 概算投資額同計画実現のために必要な投資額としては,公共部門(埋立て,土地造成,道路・鉄道等の都市基盤整備)が約9000億円,民間部門(業務・商業施設,住宅等の建設投資)が約1兆3000億円,合計約2兆2000億円と想定されていた。 ウ市政100周年記念事業の一環として建設を進めていたsがh地区に昭和60年5月に開業した後,大阪市は,f 地区へ同計画のコンセプトに合う民間企業の誘致活動を進め,平成6年まで,第1期地区の分譲は順調に進んだ。また,昭和63年には,情報発信基地として大阪テレポートが建設された。さらに,平成元年には,h地区の特性に応じた魅力あるまちづくりを推進し,開発を誘導できるよう,「h地区再開発地区計画」が都市計画決定され,同地区の容積率の上限が300%から600%に変更された。 その後,平成6年にはAA ビルが,平成7年にはBビルが順次立地し,インフラについては,tトンネル,OTSテクノポート線の整備を始め,地区内の道路やライフライン等必要な基盤整備が進められ,平成9年10月にはtトンネルが開通し,同年12月にはOTSテクノポート線が開業するに至った。第2期地区の基盤整備等がほぼ完成した平成10年1月には,これまでの再開発地区計画区域を拡大し,必要な公共施設整備を加えるなどの都市計画変更決定 年12月にはOTSテクノポート線が開業するに至った。第2期地区の基盤整備等がほぼ完成した平成10年1月には,これまでの再開発地区計画区域を拡大し,必要な公共施設整備を加えるなどの都市計画変更決定が行われた。 エ h地区は,AA ビル及びBビル開業後の平成7年5月,大阪湾臨海地域開発整備法に基づく大阪市大阪湾臨海地域整備計画により,u 地区が開発地区,Bビルがその中核的施設として位置付けられた。また,近畿圏整備法に基づき国土庁が平成12年3月に策定した「第五次近畿圏基本整備計画」においては,高次都市機能の強化のため,テクノポート大阪計画の整備等を推進することが定められ,平成14年6月には,都市再生特別措置法2条3項,都市再生緊急整備地域を定める政令に基づき,大阪h駅周辺地域が,都市再生緊急整備地域と定められた。さらに,大阪市が平成15年3月に策定した「大阪市都市再生プログラム」では,h地区において,ITインフラが整い,臨海部の特性を活かした研究開発拠点の形成を図ることが定められた。 (2) AA 社及びAA ビル(乙41~46,63,67~86,丙3,16)ア AA ビルは,テクノポート大阪計画,大阪市総合計画21の中で,s,Bビルなどと連携するとともに,pや港湾機能と結びついた「国際交易機能」を担う中核的な施設として,アジア・太平洋地域との人・物・文化の交流を目指し,大規模な国際流通センターを核にアメニティの要素をも融合させるものとして構想された。 昭和63年10月,AA 構想推進委員会で決定されたAA ビルの役割は,①アジア・太平洋地域をはじめ世界各国からの製品輸入促進,②中小流通業の振興と流通機能の発信,③関西経済の国際化,活性化,④アジア文化を演出した魅力ある集客機能,というものであった。そし の役割は,①アジア・太平洋地域をはじめ世界各国からの製品輸入促進,②中小流通業の振興と流通機能の発信,③関西経済の国際化,活性化,④アジア文化を演出した魅力ある集客機能,というものであった。そして,AA 社の事業は,国際的流通拠点及びアメニティゾーン(集客機能)の構築を目指すものであり,これは民間セクターの活動分野に属するもので,事業運営上,民間の営業・経営上の専門的ノウハウが必要であること,上記事業の構築が,日本はもとより世界中の中小企業にとって,大阪を舞台とする国際的ビジネスチャンスの拡大,さらには大阪経済の国際化・活性化に資するものであることから,まちづくりや地域活性化の面で,公共セクターとして事業推進に必要な措置を行う必要があること,という基本的な考え方から,事業主体として,第三セクターの株式会社を設立することとされた。 イ AA 社は,平成元年4月,大阪市,J商事株式会社,株式会社Kなど合計31名の出資により資本金221億円で設立され,大阪市は設立後の現物出資を含め75億円(約33.9%)を出資し,同社の筆頭株主となった。また,AA 社は,多額の事業費の財源確保が大きな課題であったが,平成3年3月に民活法の認定を受け,国からの助成,E銀行の出資・融資及びL無利子貸付金を確保した上,民間金融機関等からも出資・融資を受け,その事業が進められた。 AA 社は,平成元年に事業基本計画を策定し,平成2年10月に事業基本計画を改定した。その改定後の計画内容は,延床面積36万㎡(宿泊施設を含む。),総投資額1477億円,単年度黒字転換10年目,累積黒字転換20年目,会員確保目標当面50万人,というものであった。 ウ AA 社は,平成3年5月にAA ビルの建設工事に着工し,AA ビルは敷地面積約6万8000㎡, 度黒字転換10年目,累積黒字転換20年目,会員確保目標当面50万人,というものであった。 ウ AA 社は,平成3年5月にAA ビルの建設工事に着工し,AA ビルは敷地面積約6万8000㎡,延床面積33万5000㎡の施設として,平成6年4月に開業した。 AA ビルは,開業前からバブルの崩壊による国内の景気動向や公共交通アクセス整備の遅れなどの影響を受け,テナント入居が低調なまま空きスペースを抱え,k棟の6階から9階を閉鎖した部分開業となった。そして,AA 社は,景気低迷が長期化し,流通革新の進展の中で卸売業が大きな転換期を迎えていたことに加えて,投資計画が多額に上り減価償却費や金利負担が重かったことなどから,毎年大幅な赤字を計上し,開業3年目の平成8年度末に累積損失約216億円を抱え,平成9年末に債務超過に陥り,平成10年度末には累積損失約342億円を抱えることとなった。 エ AA ビルは,国際卸売マートのk棟と,レストラン,輸入品ショップ等のl棟で構成されており,l棟には併せて展示施設であるAA ホールが整備されている。 AA ビルには,z(アジアを含む世界各都市と大阪との貿易・産業・コミュニケーション活動の強化を目的とした施設)や,海外公的貿易促進機関(CC,DD,EE,FF,及びGG)が入居しており,海外取引に関する情報提供等を行っている。また,AA 社は,海外企業や貿易関連の中小企業の入居を積極的に推進しており,平成19年3月末時点で54社の海外企業及び39社の貿易関連の中小企業が入居している。また,AA ビルには,上記の他に,AA エイジレスセンター,大阪環境産業振興センター(グリーンエコプラザ),大阪デザイン振興プラザ,輸入住宅促進センター,消費者センター(くらしのひろばエル),ソフト ,AA ビルには,上記の他に,AA エイジレスセンター,大阪環境産業振興センター(グリーンエコプラザ),大阪デザイン振興プラザ,輸入住宅促進センター,消費者センター(くらしのひろばエル),ソフト産業プラザ(通称イメディオ),商い繁盛館などの公的施設が入居している(平成19年7月現在)。 AA ビル(l棟)内のAA ホールは,一般に開放されている公共ホールであり,様々な集客イベントや展示商談会が開催され,平成18年には年間74万人が来場している。また,AA ビルに隣接する海浜公園のlパークにおいては,多数の集客イベントが開催されている。 (3) B社及びBビル(乙47~49,63,87~100,丙3,16,弁論の全趣旨)ア Bビルは,先端的かつ高次の都市機能を臨海部に先行的に蓄積させることによって,近畿圏・大阪都市圏の発展に資する新たなまちづくりを展開しようとするテクノポート大阪計画の中で,21世紀に向けて大阪市が充実すべきとされた「国際交易機能」,「情報通信機能」の中核となる大規模インテリジェントビルとして,国際貿易情報提供機能を核とし,貿易・港湾関連,情報処理関連の業務,サービス拠点などを具備することが,その役割として期待された。 平成元年1月,大阪B推進協議会から出された事業計画で想定されたB社の役割は,①貿易情報提供機能(世界貿易センター連合の世界的ネットワークに参入し,貿易取引情報,貿易関連サービスの提供を行う。),②貿易・港湾関連業務機能の集積,③情報処理業務機能の集積,④アメニティ機能の集積,⑤インテリジェントビル機能,というものであった。そして,事業主体については,地域開発の先駆的役割を担うという公共的性格のほか,その整備計画について民活法に基づく認定を受け,税制上 ティ機能の集積,⑤インテリジェントビル機能,というものであった。そして,事業主体については,地域開発の先駆的役割を担うという公共的性格のほか,その整備計画について民活法に基づく認定を受け,税制上,出融資上の優遇措置を活用するため,さらには,民間企業が持つ大規模ビル事業に関する豊富なノウハウを活用するため,第三セクターの株式会社を設立することとされた。 イ B社は,平成元年4月,大阪市,M,Nなど合計13名の出資により設立され(資本金50億円),大阪市は10億円を出資して同社の筆頭株主(20%)となった(その後,B社の増資に伴い,資本金94億円のうち大阪市の出資額は25億円(約26.6%)となった。)。B社は,AA社と同様,その整備計画につき平成3年3月に民活法の認定を受け,国からの助成,E銀行の出資及び無利子を含む融資を確保し,大阪市からも税制優遇措置を受けられることとなった。 B社設立当時のBビル事業計画は,高さ150m,地上33階・地下2階,総床面積11万1000㎡,総事業費約520億円,資本金50億円,借入金334億円,床分譲20%,募集賃料1万2300円/坪,というものであった。しかし,平成2年3月,Bビルをh地区のランドマークとするべく,Bビル事業計画は高さ252m,地上55階・地下3階に変更され,最終的には,平成7年4月の事業計画では,高さ256m(大阪府のmビルと同じ西日本一の高さ),地上55階・地下3階,総床面積14万9000㎡,総事業費約1193億円,資本金100億円,借入金993億円,床分譲20%,募集賃料1万5100円/坪,とされた。 ウ B社は,平成3年3月にBビルの建設工事に着工し,Bビルは平成7年2月に完成し,同年4月に開業した。 Bビルは ,床分譲20%,募集賃料1万5100円/坪,とされた。 ウ B社は,平成3年3月にBビルの建設工事に着工し,Bビルは平成7年2月に完成し,同年4月に開業した。 Bビルは,事業計画当時と開業当時とで社会経済情勢が激変し,不動産市況低迷の中で,オフィスの入居率や賃料水準は低く(開業当初の入居率は約33%),計画していた分譲床の販売の目処もたたず,十分な不動産収益が確保できなかった。しかも,平成8年10月にはO,P,Q,Rの大手(2118㎡)が退居し,さらに,平成11年にはフロアー面積の約6分の1を占めていたNが退居した。B社は,毎年大幅な赤字を計上し,開業の翌年度(平成8年度)に早くも累積損失約113億円を計上して債務超過に陥り,平成9年度に累積損失約174億円,平成10年度に累積損失約226億円を抱えることとなった。 エ Bビルは,地上55階・地下3階のビルであり,7階から43階まではオフィス用賃貸スペースとなっている。そのほか,1階の入口には全天候型広場のフェスパや,それを取り囲むように郵便局,コンビニエンスストア,飲食・物販店舗等があり,2階には多目的な用途に対応するBホールがある。また,23階及び44階には貸会議室,46階から48階までにはレストラン街,55階には大阪市内を一望できる展望台が存在する。また,地下には,h地区の各施設に熱供給を行うことができる地域冷暖房施設を備えている。 また,B社は,h地区の景観を良好にし,同地区のシンボルとしての効果を高めるべく,Bビルの外周や上部を深夜までライトアップしている。 また,全天候型広場のフェスパにおいては,年間11万人を超えるイベント来場者を集めており,展望台の年間入場者も14万人を超えている(いずれも平成18年度の数値)。 ライトアップしている。 また,全天候型広場のフェスパにおいては,年間11万人を超えるイベント来場者を集めており,展望台の年間入場者も14万人を超えている(いずれも平成18年度の数値)。 Bビルの50階には,B連合(BA)に加入するB大阪(BO)があり,世界各地のB,在日外国公館,貿易振興機関等との連携を通じ,取引情報や企業情報等がやりとりされている。また,多言語放送を実施しているFM放送局や,CSデジタル放送等を行う株式会社などの情報関連施設が入居している。さらに,貿易・港湾関連業務を担う大阪市港湾局,財団法人S公社,社団法人T協会,U等が入居しているほか,港湾局以外の大阪市の都市基盤整備担当の各局(水道局,建設局,環境局,ゆとりとみどり振興局,契約管財局及び都市整備局)も入居している(平成19年7月現在。 なお,平成15年3月時点で,大阪市及びその関連団体の入居率は約73%であった。)。 また,大阪市は,B社をh地区における様々な施設が抱える課題等を総合的に調整する機能を果たす団体として位置付けており,B社は,平成17年度には,「コンベンションシティf 実行委員会」を設立し,研修会等の誘致活動を行ったり,「クリーンおおさか2006」の時期に合わせてキャナル周辺の植栽を行うなどして同地区の魅力の向上を図るなどしている。また,B社は,h開発協議会の事務局に就任し,同協議会として,ポスターの掲出やパンフレットの配布等を行ったり,「クリーンおおさか2006」などの美化清掃活動への参加を呼びかけたりしている(以上につき平成19年7月現在)。 (4) n開発計画(乙37~40,50~54,63,101~110,丙3,16,弁論の全趣旨)ア n地区の周辺地域は,終戦直後(昭和21年)から戦災復 き平成19年7月現在)。 (4) n開発計画(乙37~40,50~54,63,101~110,丙3,16,弁論の全趣旨)ア n地区の周辺地域は,終戦直後(昭和21年)から戦災復興土地区画整理事業が行われ,基盤整備が進められた。これに対し,n地区は,貨物ヤードが存在したことなどから,都心oに隣接した立地条件にありながら整備が遅れていた。 しかし,昭和60年3月に貨物ヤードが廃止されるとともに,同年12月に策定された「p関連施設整備大綱」において,n工区土地区画整理事業,関西本線連続立体交差事業の推進,阪神高速道路nランプ,旅客ターミナルなどの施設整備が決定されたことにより,貨物ヤード跡地を中心としたn地区(約17.5ヘクタール)の開発が進められることとなった。 また,昭和62年には,昭和68年(平成5年)春の開港を目標としていたp空港と密接な関連をもつ開発を進めるべく,建設省,大阪市,V株式会社,y及び学識経験者からなる「n地区総合整備計画等策定調査委員会」が組織された。同委員会においては,基盤整備や導入施設等の「新都市拠点整備事業 n地区総合整備計画」が策定された。 イ n地区総合整備計画等に基づき事業化が進められたn開発計画においては,n地区を,大阪市におけるBB 周辺と並ぶ都心の重要拠点と位置付けた上で,鉄道や高速道路によってoのみならず京阪神各都市と直結する交通結節点として,また,交通利便性を活かしつつ国際化・情報化に対応する新都市拠点として開発し,ひいては21世紀に向け,国際化,情報化が進展する中で,大阪市を世界に誇る都市機能を具備した国際都市として発展させることが目的とされた。n開発計画の概要は,次のとおりである。 対象地域貨物ヤード跡地を中心としたn地区( 中で,大阪市を世界に誇る都市機能を具備した国際都市として発展させることが目的とされた。n開発計画の概要は,次のとおりである。 対象地域貨物ヤード跡地を中心としたn地区(約17.5ヘクタール) 開発の基本方向・計画推進方策開発の基本方向は,①戦災復興土地区画整理事業(n工区)の早期収束,②関西本線連続立体交差事業の事業化,③新都市拠点整備事業を活用した貨物ヤード跡地のまちづくり,④CAT・バスターミナル・鉄道等を含む複合交通ターミナル,以上の4点であり,pと密接な関連を持つ開発であることから,昭和68年(平成5年)春のp開港を1つの目標として事業を推進することとされた。 事業主体当時,①n駅地下化(第三セクターに限定されるL-A 型無利子貸付制度の活用事業)の事業主体,②開発全体の中核施設となるqの建設及び管理運営主体,③n地区開発全体の推進役,といった公的性質の高い開発事業を有効に進めていくために,事業主体は第三セクターであることが求められた。 ウ昭和63年5月には,n地区総合整備計画において定められた基盤施設である関西本線連続立体交差事業,地区内道路の整備方法を検討するために,建設省,大阪市,V及びyからなる「n地区関連基盤整備事業検討会」が組織された。同検討会においては,地区内道路とn駅地下化事業に対する開発者としての負担のあり方が検討され,各団体からの道路の持ち出しとL-A 型事業であるn駅地下化に対する負担について協定等の締結がされた。そして,昭和63年の整備地区指定,平成元年2月の建設大臣承認に基づく総合整備計画の事業採択を経て,n開発が着手された。 エ n地区は,平成元年3月,関西本線連続立体交差事業について,都市計画 して,昭和63年の整備地区指定,平成元年2月の建設大臣承認に基づく総合整備計画の事業採択を経て,n開発が着手された。 エ n地区は,平成元年3月,関西本線連続立体交差事業について,都市計画法に基づく都市計画の変更決定を受け,平成4年3月16日,nバスターミナルについて,都市計画自動車ターミナルとして同法18条1項に基づく都市計画決定を受けた。平成7年5月には,大阪湾臨海地域開発整備法に基づく大阪市大阪湾臨海地域整備計画により,n地区が開発地区に,qがその中核的施設として位置付けられた。また,近畿圏整備法に基づき国土庁が平成12年3月に策定した「第五次近畿圏基本整備計画」においては,「n」における「鉄道駅周辺の旧国鉄跡地等の低・未利用地の有効活用」を推進することが定められた。平成14年6月には,都市再生特別措置法2条3項,都市再生緊急整備地域を定める政令に基づき,v・n地区が,都市再生緊急整備地域と定められた。さらに,大阪市が平成15年3月に策定した「大阪市都市再生プログラム」では,v・n地域において,oのにぎわい創出に向けた交流拠点の形成を図ることが定められている。 (5) C社及びq(乙54~63,66の4,丙3,16,弁論の全趣旨)ア C社は,n開発計画を推進するため,国際化・情報化に対応した新しい都市の拠点としての機能を果たすものとして構想された。 C社に期待された役割は,①n駅地下化事業の事業主体,②開発全体の牽引施設となるqの建設及び管理運営主体,③n地区開発全体の推進役,というものである。そして,②のようなqにおいては,収益性の低い公的施設の運営が求められる一方で,収益性の高いテナントも入居するビル事業の運営には民間の専門的ノウハウを活かす必要があることに加え,n駅地下化 である。そして,②のようなqにおいては,収益性の低い公的施設の運営が求められる一方で,収益性の高いテナントも入居するビル事業の運営には民間の専門的ノウハウを活かす必要があることに加え,n駅地下化事業の早期実現のために貸付対象者が第三セクターに限定されるL-A 型無利子貸付制度を活用するため,さらには,n地区開発全体の推進役としての公共的役割を果たすため,事業主体として,第三セクターの株式会社を設立することとされた。 イ C社は,平成元年3月,大阪市,Vなど合計33名の出資により資本金80億円で設立され,大阪市は40億8000万円(51%)を出資し,同社の筆頭株主となった。 平成2年当初のqの事業計画は,地上4階・地下2階,総床面積4万㎡,総事業費約182億円,償却後利益は開業後16年というものであったが,平成3年11月,地上6階・地下2階,総床面積6万0400㎡,総事業費約360億円に事業計画が変更され,さらに,平成8年3月には,地上6階・地下2階,総床面積6万2000㎡,総事業費約500億円,償却後利益は開業後34年,とされた。 なお,事業用地は平成2年5月に大阪市がyから随意契約により取得したものであるが,当該取得の際には,日本国有鉄道清算事業団法により,①土地の2分の1以上を公共用に供すること,②第三セクターへ用地を貸し付ける場合は,地方公共団体が当該団体に50%以上の出資を行っていることが条件とされていた。 ウ C社は,平成2年9月にqの建設工事に着工し,qは平成8年3月に開業した。 C社は,初期投資が過大(実績478億円)となり,これに伴う減価償却費や金利負担など経費がかさみ,財政状況が悪化した(なお,開業前に策定した計画自体が,債務超過を3年目に迎え, C社は,初期投資が過大(実績478億円)となり,これに伴う減価償却費や金利負担など経費がかさみ,財政状況が悪化した(なお,開業前に策定した計画自体が,債務超過を3年目に迎え,その後債務超過額が膨れあがるという計画であった。)。さらに,p関連の需要も伸び悩み,pへ向かう利用客も予測を大幅に下回った上,収益に直結するモールも目標売上高90億円,来場予想年間1000万人に対し,平成8年度実績は売上高56億円,来場者361万人と大幅に下回った。また,構造的に収益床の割合が全体の4分の1程度と少なく,経済動向や周辺開発の遅れもあり,平成8年度決算において単年度損失37億5600万円,累積損失40億7200万円を計上し,開業から2年目の平成9年度末に債務超過に陥り,平成10年度には累積損失約113億円を抱えることとなった。 エ qは,地下1階にr駅があり,2階に阪神高速道路nオフランプと直結するqバスターミナルを備え,市営地下鉄3線(御堂筋線,四つ橋線,千日前線)・近鉄の各駅から徒歩5分圏内に存在する。また,大きな手荷物を持った旅行者等のアクセスのため,ムービングウォークやエスカレーターを設置した東西地下歩行者道(qウォーク)が整備されている。また,q地下1階には143台駐車可能な公営駐車場がある。 qバスターミナルは,近畿圏で唯一,自動車ターミナル事業経営免許を取得した公共バスターミナルであり,平成19年3月末現在で都市間高速バス(58都市,47路線,1日当たり243便)及び空港バス(p・HH・II の3路線,1日当たり76便)を利用する年間151万人の来訪者の交通拠点施設として機能している。なお,qは,平成14年3月31日をもってCAT業務(国際線搭乗手続業務)を休止している。 II の3路線,1日当たり76便)を利用する年間151万人の来訪者の交通拠点施設として機能している。なお,qは,平成14年3月31日をもってCAT業務(国際線搭乗手続業務)を休止している。 qの3階及び4階には,各国政府観光局や航空会社が入居しており,観光情報等を提供している。また,4階の「世界旅の情報ステーション」は,これらの各国政府観光局や航空会社と協力して,各種ガイドブック等を設置し,世界各地の観光情報等を無料で提供している。また,地下1階のw広場(多目的広場)では,各種公共イベントが開催されており,屋上には「屋上ガーデン」が整備され,毎年4月から11月まで一般に公開されている。また,4階には「大阪市立v市民学習センター」があり,市民の生涯学習等を支援している。 また,大阪市は,C社をn地区における様々な事業主体や施設が抱える課題等を総合的に調整する機能を果たす団体として位置付けており,C社は,n地区開発協議会において会長や事務局を務めているところ,同協議会は,n地区の開発状況に関するパンフレット配布など情報発信の強化に努めており,また,qウォークの「光の壁」,w広場の「フライング・レインボー」などのモニュメントの維持管理など,n地区のイメージアップや環境整備に取り組んでいる。 qが開業した後,r駅の1日当たり乗降客数は,平成2年から平成6年までの数値と比較すると約5000人程度増加し,平成19年3月において,n開発計画対象地区のうち約90%について民間開発事業が決定している。 オ C社は,W株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法及び民間都市開発の推進に関する特別措置法に基づく無利子貸付金(L-A 型無利子貸付制度による貸付金)を活用し,民 C社は,W株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法及び民間都市開発の推進に関する特別措置法に基づく無利子貸付金(L-A 型無利子貸付制度による貸付金)を活用し,民間都市開発推進機構から約95億円,大阪市から約112億円(C特定調停において弁済方法につき別途協議するものとされた残金約107億円の無利子借入金債務)をそれぞれ無利子で借り入れ,n地区におけるJR関西本線の線路及び駅の地下化を実現させたところ,このJR関西本線地下化事業により利益を受けるのは,大阪市及びVであることから,C社は,大阪市及びVから開発負担金を受領し,これを民間都市開発推進機構及び大阪市に対する上記無利子債務への返済に充てることとされ,C社の大阪市に対する上記無利子債務については,協議の上,平成40年度までに全額を弁済することとされた。 C社の民間都市開発推進機構及び大阪市に対する各無利子借入金債務は,いずれもC社の事業収益とは関係なく返済することが予定されていたことから,C社は,C特定調停事件を申し立てるに当たり,民間都市開発推進機構を相手方とせず,大阪市に対する上記無利子債務を協議対象として挙げなかった。 (6) 平成10年の経営改善計画とその後の財政支援(乙63,150,丙3,16,証人P3,弁論の全趣旨)ア大阪市は,平成9年2月,「外郭団体の活用と見直しに係る実施計画」を策定した。そこでは,外郭団体活性化の実施方針の一つとして,「自主的・自立的な経営改善の促進」が掲げられており,具体的には,「自主的・自立的な経営改善を促進するため,外郭団体が自らの経営評価に基づき,経営改善計画を策定するとともに,外郭団体調整会議においてこれを審議し,必要な指導・調整を行う。」とされた。 そ 主的・自立的な経営改善を促進するため,外郭団体が自らの経営評価に基づき,経営改善計画を策定するとともに,外郭団体調整会議においてこれを審議し,必要な指導・調整を行う。」とされた。 そして,本件3社の債務超過問題の解決を目的として,平成10年2月,本件3社の経営改善計画が策定された。 イ経営改善計画においては,収益向上のための各種の営業努力や,経費削減のための経費・人員の削減がそれぞれ数値目標をもって盛り込まれたほか,大阪市による本件3社に対する財政支援策が盛り込まれた。その財政支援の内容は,①AA 社に対しては,平成9年度から平成15年度までに227億円の貸付け(平成9年度に22億円を執行済み,平成10年度予算33億円),②B社に対しては,平成10年度から平成17年度までに321億円の貸付け(平成10年度予算40億円),③C社に対しては,平成10年度から平成15年度までに146億円の貸付け(平成10年度予算24億3300万円)及び公的施設管理補助金の交付(平成10年度予算5億6400万円),といった内容であった(以上につき,別紙資料5「C・AA・Bにおける平成10年2月の経営改善計画一覧」参照)。 なお,経営改善計画に基づく大阪市の本件3社に対する貸付けは,平成14年度まで計画どおり実行され,平成14年度までの大阪市の貸付実績(元本)は,AA 社につき187億円,B社につき200億円,C社につき約122億円となった。また,これと並行して,大阪市の施策として大阪市関連施設のBビル等への入居も進められ,大阪市関連施設の入居に係る賃料等の大阪市負担額(年額)は,経営改善計画策定前の平成9年度は,AA 社につき9.9億円,B社につき1.9億円,C社につき0.3億円であったが,平成15年度には,AA 社につき 施設の入居に係る賃料等の大阪市負担額(年額)は,経営改善計画策定前の平成9年度は,AA 社につき9.9億円,B社につき1.9億円,C社につき0.3億円であったが,平成15年度には,AA 社につき17.6億円,B社につき36.0億円,C社につき2.4億円であった(別紙資料6「大阪市の財政支援,施策等」参照)。 ウ本件3社は,経営改善計画に基づき,入居の促進など増収策に取り組むとともに,人員や管理費の削減に取り組み,大阪市も,本件3社に対する積極的な財政支援を行ったが,そもそも経営改善計画自体が本件3社の経営状況を根本的に改善する計画ではなく,その見通しも甘かったことなどから,本件3社の累積赤字額は膨らみ続け,抜本的な再建策を講ぜざるを得ない状況となっていった。もっとも,当時,大阪市がオリンピック招致に取り組んでいる中で,その招致活動に悪影響を及ぼすおそれなどから,本件3社の経営悪化は十分に明らかにされないまま推移し,平成13年7月13日に大阪市がオリンピック招致に失敗した後も,しばらくの間は,本件3社の経営再建に関する議論は本格化せず,経営改善計画に基づく財政支援が継続された。 その後,平成13年度に政府が策定した緊急経済対策において,金融機関において破綻懸念先以下の債権を早期に処理すべきことが記載され,金融機関の不良債権処理が急務の課題となったことなどから,平成13年から平成14年にかけて,大阪市と金融機関との間で本件3社の抜本的な再建計画について議論がされた。そして,当時のP4大阪市長は,同年11月19日,大阪市議会一般決算特別委員会において財政非常事態宣言を行い,大阪市議会からも本件3社を含む第三セクターの再建の道筋を明確にするよう求められたことなどから,大阪市は,同月,本件3社にY株式会社及び株式会社 会一般決算特別委員会において財政非常事態宣言を行い,大阪市議会からも本件3社を含む第三セクターの再建の道筋を明確にするよう求められたことなどから,大阪市は,同月,本件3社にY株式会社及び株式会社Zを加えた大阪市の第三セクター5社につき,その再建の見通しを検討するため,市長室内に,弁護士,公認会計士からなる外部専門委員を含む「第3セクター再建検討プロジェクトチーム」を設置した。 エ上記プロジェクトチームは,平成15年3月,その検討結果を報告した(もっとも,この報告書は大阪市内部の検討資料として用いられ,本件各特定調停が成立する以前に市議会や住民への公表等はされなかった。)。 上記報告書において,上記5社の再建の手法として検討された内容は,次のとおりである。 「会社再建の手法としては,私的整理と法的整理が考えられる。法的整理としては,民事再生法,会社更生法の適用が考えられる。法的整理によった場合は,会社倒産のイメージが強いため社会的影響が大きく,テナントの動揺や市も含めた信用の失墜が懸念される。また,公平性や透明性が担保されるが,一方で柔軟性に欠ける場合がある。例えば,民事再生法では計画期間は原則10年内とされ,これを借入金の返済期間とすると5社とも債務圧縮額は莫大なものとなる。会社更生法では経営者や株主はその地位を喪失することが原則であり,大阪市の関与のあり方について問題が残る。私的整理による場合は,金融界・産業界の経営者間の一般的コンセンサスである『私的整理に関するガイドライン』に依拠することが考えられる。(中略)以上を総合すると,法的整理を視野に入れながら,私的整理に関するガイドラインの考え方を活かした私的整理を検討することが適当である。また,債権者間の調整に必要とあれば,特定調停法(中略)の適用も検討すべき 総合すると,法的整理を視野に入れながら,私的整理に関するガイドラインの考え方を活かした私的整理を検討することが適当である。また,債権者間の調整に必要とあれば,特定調停法(中略)の適用も検討すべきである。」オ大阪市は,平成15年1月,本件3社への財政支援(貸付金)について,平成15年度予算計上を見送ることとし,本件各金融機関等との任意の話合いによって本件3社の再建案を検討する方針とした。本件3社は,大阪市の財政支援が受けられない状況となったこともあり,特定調停による再建を図ることとなった。このころ,大阪市においては,本件3社について民事再生や会社更生などの法的整理を行うことは,倒産というイメージによる本件3社の社会的評価の失墜,大阪市の信用低下による今後の資金調達の支障,一般債権者・中小企業の債権が毀損することによる混乱,h地区の地域開発への影響等を懸念し,採用することは困難であるという考えが支配的であった。 AA 社の平成15年3月末時点の債務超過額は約253億円,累積損失額は約474億円であり,B社の同月末時点の債務超過額は約236億円,累積損失額は約330億円であり,C社の同月末時点の債務超過額は約95億円,累積損失額は約175億円であった。 カ平成16年10月の大阪市特定団体調査委員会報告書によれば,上記のように本件3社が破綻状態に陥り特定調停による再建を選ばなければならなくなった原因について,要旨,①バブル経済時に会社を過少資本・過大債務の財務構造としたこと(総事業費に対する資本金の割合は,現在では通常50%程度が妥当と考えられているところ,事業費の拡大等により,開業時において,AA 社が約15%,B社が約8%,C社が約16%であった。),②バブル経済崩壊から施設の開業までの間に,経済 では通常50%程度が妥当と考えられているところ,事業費の拡大等により,開業時において,AA 社が約15%,B社が約8%,C社が約16%であった。),②バブル経済崩壊から施設の開業までの間に,経済状況の変化など収益を圧迫すると予測し得る様々な要因があったにもかかわらず,各社が経営の観点からその事業計画及び財務構造の見直しをしなかったこと,③本件3社の開業当初に適切な経営努力がされていなかったこと,④平成10年の経営改善計画の見通しが甘く,当時の厳しい状況からすれば会社更生等の抜本的な対策が必要であったのに,一時しのぎともみられる対策が行われたこと,などを指摘している。 (7) 本件各特定調停の申立てから成立に至る経緯(甲8,乙1~3,11~18,64~66,111~115,143,150,丙3,7,証人P3,弁論の全趣旨)ア平成15年6月20日,AA 社は,大阪市を含む相手方21名に対し,B社は,大阪市を含む相手方10名に対し,C社は,大阪市を含む相手方12名に対し,それぞれ,債務額を確定して相当額の減免を受けた上,その支払方法を協定することを求める特定調停を申し立てた。 上記各特定調停申立事件は大阪簡易裁判所から大阪地方裁判所に移送され,同裁判所において,同年8月21日,同年10月30日,同年12月2日と期日が重ねられ,平成16年1月13日の期日において,本件各特定調停事件の調停委員会から各当事者に対して調停案が示され,さらに,同月23日付けでその修正案が示された(なお,同年2月3日には,AA特定調停事件及びB特定調停事件について,上記調停委員会から,若干の誤記及び不明確な文言についての訂正がされた。)。 イ本件3社は,第1回調停期日に先立ち,大阪地方裁判所に対し,再建計画を提出 及びB特定調停事件について,上記調停委員会から,若干の誤記及び不明確な文言についての訂正がされた。)。 イ本件3社は,第1回調停期日に先立ち,大阪地方裁判所に対し,再建計画を提出した。本件3社が提出した当初の再建計画の概要は,別紙資料7~9「再建計画の概要」に記載のとおりである。 なお,B社の再建計画における賃料収入計画(売上計画)は,要旨,①事務所入居率は実績の93%で推移する,②事務所賃料の単価は,平成16年度から10年間年1%ずつ減少し,直近で年間32億円ある賃料収入は,平成25年度に29億円まで低下し,それ以降一定としている,③店舗賃料は,平成16年度以降もほぼ現状水準の3億円のまま一定で推移する,というものである。ただし,その後,大阪市関係のテナントに係る賃料収入計画については,大阪市からの要望により,平成16年度に賃料を8%減額し,その後平成23年度までの8年間は前年と同水準で推移するが,平成24年度及び平成25年度には毎年1%ずつ減額するというものとされた。 ウ本件各特定調停事件の調停委員会は,本件3社が再建計画の提出と併せて行った鑑定申立てを採用し,本件3社の再建計画の内容の合理性と実現可能性の検証を鑑定内容とする鑑定を,監査法人αに委嘱した。 監査法人αは,本件3社の再建計画について多角的に検討し,詳細な理由を付した上,調停委員会に対し平成15年10月7日付け鑑定書3通を提出した。各鑑定書における総合結論は,次のとおりである。 AA 社の再建計画に係る総合結論a 再建計画の経済的合理性①AA 社は,大阪市のテクノポート大阪計画における都市開発の橋頭堡の役割を担う第三セクターである。これは,都市開発の初期段階では交通手 論a 再建計画の経済的合理性①AA 社は,大阪市のテクノポート大阪計画における都市開発の橋頭堡の役割を担う第三セクターである。これは,都市開発の初期段階では交通手段の不十分さや周辺開発の未熟成で,純粋な民間企業の誘致がリスクや採算性の観点から困難なためである。②大規模な都市開発促進という公共的役割を担うため,AA 社は,採算よりも地域振興を優先し,商業施設としてのコンセプト不明確や施設自体も不効率という問題もある。このため,大阪市は公共的観点から,AA ビルを積極的に活用し,補助金等で支援している。③再建計画は,このような大阪市との密接な関係が継続することを前提として,実績数値に独自で厳しい経済環境による収益の低下や競争力維持のための長期修繕費などを加味して作成されている。長期修繕費がこの分野の専門家の調査に基づいていないため不確実性が大きいという問題があるが,総合的に判断すれば不合理とはいえない。④なお,当初の金利は,債権放棄を受ける企業としては非常に低い水準で設定されているが,特定調停申立書では金利減免の依頼の趣旨も記載されており,債権者が金利減免の支援措置を取るか,債務免除を増加させるか,あるいは他の信用補完を求めるかは,特定調停での協議事項と考えられるので,当監査法人の鑑定の対象外とした。 b 再建計画の実現可能性①再建計画は,一定の合理性があり,実現可能性がないとはいえない。しかし,計画が30年という長期に及ぶため将来損益変動リスクは避けられない。特に,大阪市との契約や補助金等は,単年ごとに決定されることに留意する必要がある。②再建計画では,金融支援による自己資本充実策もあるが,実施後でも会社の時価純資産が過少で,前述したように一定の変動があれば資金ショート や補助金等は,単年ごとに決定されることに留意する必要がある。②再建計画では,金融支援による自己資本充実策もあるが,実施後でも会社の時価純資産が過少で,前述したように一定の変動があれば資金ショートする可能性がある。 ③なお,大阪市の公共性に関する行政的判断に依拠するが,この計画の実現の確実性を高めるには,大阪市がAA 社を地域開発の中核拠点として活用する政策の継続及び将来の資金不足に備えた実効性のある追加的な金融支援策を検討する必要があろう。 B社の再建計画に係る総合結論等a 再建計画の経済的合理性①B社は,大阪市のテクノポート大阪計画における都市開発の橋頭堡の役割を担う第三セクターである。これは,都市開発の初期段階では交通手段の不十分さや周辺開発の未熟成で,純粋な民間企業の誘致がリスクや採算性の観点から困難なためである。②B社は,開業後に景気後退と周辺地域開発の遅れにより,民間のテナントが計画どおり集まらなかった。大阪市は,B社の地域開発の橋頭堡という公共的役割を認識し,また,分散した庁舎の集約化の要請もあって,Bビルを積極的に活用している。③再建計画は,このような大阪市との密接な関係が継続することを前提として,実績数値に厳しい経済環境による収益の低下や必要な機能維持のための長期修繕費などを加味して作成されている。④再建計画は,概算合計58億円の税金過少により計画途中で資金不足が生じ,追加金融支援などが必要となる。この問題を除いて,総合的に判断すれば不合理とはいえない。ただし,長期修繕費は,この分野の専門家の調査報告に基づかないため不確実性は高いという問題はある。⑤なお,当初の金利は,債権放棄を受ける企業としては非常に低い水準で設定されているが,特定調停申立書では金利減免の依頼の趣旨も 分野の専門家の調査報告に基づかないため不確実性は高いという問題はある。⑤なお,当初の金利は,債権放棄を受ける企業としては非常に低い水準で設定されているが,特定調停申立書では金利減免の依頼の趣旨も記載されており,債権者が金利減免の支援措置を取るか,他の信用補完を求めるかについては,特定調停で協議される事項と考えられるので,当監査法人の鑑定の対象外とした。 b 再建計画の実現可能性①再建計画は,税金の問題を解消できれば一定の合理性があり,実現可能性がないとはいえない。しかし,計画が40年という長期に及ぶため将来の損益変動のリスクは避けられず,特に,大阪市との契約は,単年ごとに決定されることに留意する必要がある。②再建計画では,金融支援による自己資本充実策もあるが,実施後でもB社の時価純資産が過少で,一定の変動があれば資金ショートする可能性がある。 ③なお,大阪市の公共性に関する行政的判断に依拠するが,この計画の実現の確実性を高めるためには,大阪市がB社を地域開発の中核拠点として活用する政策の継続及び将来の資金不足に備えた実効性のある追加的な金融支援策を検討する必要があろう。 c 賃料収入計画に関する調査結果なお,B再建計画の鑑定書における,賃料収入計画に関する監査法人の調査結果は,次のとおりである。 ①B社の賃料単価は民間事務所テナントについては開業以来平均で3.5%下落し,大阪市関連テナントの単価は横ばいで推移している。 ②大阪市内の大型ビル賃料単価の過去5年間の主要地区の下落率は,年約1~4%の範囲であり,不動産情報会社の大阪市全体での予想も,今後5年間はほぼ同様の範囲内で下落率は縮小傾向を見込んでいる。 ③B再建計画における当初10年間の賃料単価下落率1%は,市内 落率は,年約1~4%の範囲であり,不動産情報会社の大阪市全体での予想も,今後5年間はほぼ同様の範囲内で下落率は縮小傾向を見込んでいる。 ③B再建計画における当初10年間の賃料単価下落率1%は,市内平均変動率と比較するとやや低いものの,大阪市関連の入居状況が今後も継続するとの前提であれば不合理ではない。なお,店舗賃料は,ここ数年の過去実績に大きな変動はない。 C社の再建計画に係る総合結論a 再建計画の経済的合理性①C社は,JRn操車場跡地等を開発する「ルネッサなんば」計画の中核施設としての役割を担う第三セクターである。これは,開発初期段階での周辺地区の未熟成による集客力不足リスクやターミナルや連続立体交差事業といった公共施設を保有するため,純粋な民間企業では採算性の観点から困難なためである。②大阪市は,C社の公共性からqを積極的に活用し,かつ公共施設の保有・運用に対して補助金等の支援を行っている。ただし,商業ビルとしては非効率的な施設を保有・運営し,かつ周辺地域が開発途上のため集客が少ない問題をかかえている。③再建計画は,このような大阪市との密接な関係が継続することを前提として,実績数値に独自で厳しい経済環境による収益の低下や最低限の機能維持のための長期修繕費などを加味して作成されている。長期修繕費用については,C社の方針を反映した建築又はビル管理の専門家による調査が必要と考えるが,それを除いては総合的に判断すれば,不合理とはいえない。④なお,当初の金利は,債権放棄を受ける企業としては非常に低い水準で設定されているが,特定調停申立書では金利減免の依頼の趣旨も記載されており,債権者が金利減免の支援措置を取るか,債務免除を増加させるか,あるいは他の信用補完を求めるかは,特定調停での協議 低い水準で設定されているが,特定調停申立書では金利減免の依頼の趣旨も記載されており,債権者が金利減免の支援措置を取るか,債務免除を増加させるか,あるいは他の信用補完を求めるかは,特定調停での協議事項と考えられるので,当監査法人の鑑定の対象外とした。 b 再建計画の実現可能性①再建計画は,前述のとおり一定の合理性があり実現可能性がないとはいえない。しかし,計画が30年という長期に及ぶため将来の損益変動のリスクは避けられない。特に,大阪市との契約や補助金等は,単年ごとに決定される必要がある。②再建計画では,金融支援による自己資本充実策もあるが,実施後でもC社の時価純資産が過少で,一定の変動があれば資金ショートする可能性がある。③なお,大阪市の公共性に関する行政的判断に依拠するが,この計画実現の確実性を高めるには,大阪市がC社を地域開発の中核拠点として活用する政策の継続及び将来の資金不足に備えた実効性のある追加的な金融支援策を検討する必要があろう。 エ本件3社は,上記各鑑定書で指摘された問題点や各当事者の要望等を踏まえて,再建計画の修正を行った。このうち,B社においては,再建計画の鑑定書において,上記のとおり,「再建計画は,概算合計58億円の税金過少により計画途中で資金不足が生じ,追加金融支援などが必要となる。」などと指摘されたこと(具体的には,B社の減価償却費が過大計上されており,これを修正すると法人税等が約58億円増加し,計画期間中に資金不足が生じるという指摘)を踏まえ,裁判所に対し,減価償却費の詳細な再計算を行い,かつ,平成23年度にBビルの耐用年数を65年から45年に変更することを前提とした事業計画の修正を行い,上記の問題の解消を図った。また,B社は,前述のとおり,大阪市の要望を受け 詳細な再計算を行い,かつ,平成23年度にBビルの耐用年数を65年から45年に変更することを前提とした事業計画の修正を行い,上記の問題の解消を図った。また,B社は,前述のとおり,大阪市の要望を受けて,大阪市関連テナントの賃料につき平成16年度に8%減額することや,市中金融機関の要望を受けて,固定金利を変動金利(5年ごとに直近の大阪市縁故証書貸付金利を基準として見直すことを原則とする)に変更(ただし,変動金利を要請した市中金融機関に対し債権放棄を追加要請)することなどを内容とする再建計画の修正を行った。 これらの再建計画の修正等を踏まえ,本件各特定調停事件の調停委員会は,平成16年1月13日の調停期日において,次のとおり述べて,本件3社の再建計画に沿った内容の本件各特定調停案を提示した(以下,B特定調停事件の調停案の文面から引用。他の事件もほぼ同じ。)。 「当調停委員会は,上記の本件調停の経過に加え,上記の事業内容を有する申立人の公共性に鑑みるならば,その事業の再生継続を図るため適切な内容による債務免除等が行われ,相手方らがこれに応じる余地があるのであれば,その内容に従った合意が形成されることも特定調停の趣旨に反するものではないと考える。そして,上記鑑定の結果を斟酌するならば,現時点で申立人について清算の処理をすると,担保権を有する債権者でも債権全額の回収ができず,無担保の一般の債権者に対する分配は全く期待できない状況にあることがうかがわれる。これらに照らせば,申立人が,相手方大阪市の損失補償を前提に,相手方らから債権放棄等を受け,可能な限り再建の方向で努力することは,相手方ら,特に相手方大阪市の行政にも資するものであるとの観点の下に,本調停期日において調停案を提示することとした。」「なるほど,今後の社会・経済 棄等を受け,可能な限り再建の方向で努力することは,相手方ら,特に相手方大阪市の行政にも資するものであるとの観点の下に,本調停期日において調停案を提示することとした。」「なるほど,今後の社会・経済情勢は不透明であるため,当調停委員会でも申立人の再建が可能であると容易に断言できる状況にはない。そうではあるものの,申立人の示した再建・弁済計画案は一応の合理性があり,相手方ら間の利害の調整を含めた検討も行われている。 そこで,当調停委員会は,本件紛争を解決することを期して,ここに申立人の再建・弁済計画案を基礎として,別紙のとおり調停案を提示するものである。」オ調停委員会から平成16年1月13日に本件各特定調停案が示された後,調停案受諾の是非や大阪市関連テナントと民間テナントの賃料格差の問題等について,同日に開催された本会議(定例会)のほか,同月14日,同月19日,同月20日,同月21日,同月22日,同月23日の各決算特別委員会において質疑が行われた。また,同月28日には,財政総務委員会,文教経済委員会,建設港湾委員会,計画消防委員会において,本件各特定調停案についての質疑が行われた。なお,上記の財政総務委員会において,財政局財務部公債課長は,大阪市の信用が低下し,仮に調達金利が1%上昇したと仮定すれば,今後10年間で大阪市にとって約2000億円,本件3社以外の外郭団体にとって約300億円のコスト増が見込まれる旨答弁している。 平成15年12月19日に新たに大阪市長に就任したP1は,本件各特定調停案の受諾の是非につき助役らと協議するなどした上,これを受諾することを決めた。そして,本件各特定調停案の受諾とそれに関連する補正予算にかかる議案を大阪市議会に上程し,平成16年1月31日の大阪市議会の本会議において,上記議案が 議するなどした上,これを受諾することを決めた。そして,本件各特定調停案の受諾とそれに関連する補正予算にかかる議案を大阪市議会に上程し,平成16年1月31日の大阪市議会の本会議において,上記議案が可決された。 そして,同年2月12日の本件各特定調停事件の期日において,大阪市長が本件各特定調停案を受諾し(本件調停受諾行為),本件各特定調停事件の全当事者の合意により本件各特定調停が成立した。 (8) 本件代物弁済に関する経緯(乙30~33,弁論の全趣旨)ア大阪市は,AA 社から本件駐車場の代物弁済を受けるに当たり,不動産鑑定士による本件駐車場の評価額の鑑定を取得することとし,株式会社β及びγ株式会社に対し,それぞれ本件駐車場の評価額の鑑定を依頼した。 株式会社βは,平成16年1月14日,本件駐車場の評価額(平成15年12月31日時点)につき29億8000万円とする鑑定評価を行い,γ株式会社は,平成16年1月14日,本件駐車場の評価額(平成15年12月31日時点)につき30億5000万円とする鑑定評価を行った。 イさらに,大阪市は,学識経験者等により組織される大阪市不動産評価審議会に対し,本件代物弁済の価格として29億8000万円が適正であるか否かの諮問を行い,同月15日,これが適正である旨の同審議会の評定を取得した。 ウ大阪市は,AA 特定調停条項第20の2に基づき,AA 社と協議の上,29億8000万円(敷地部分9億9000万円,駐車場設備一式19億9000万円)に駐車場設備部分に係る消費税及び地方消費税9950万円を加えた30億7950万円を本件駐車場の価格とすることに合意し,同年3月25日,AA 社との間で本件代物弁済についての契約を締結し,同月31日,現実にAA 社から代物弁 及び地方消費税9950万円を加えた30億7950万円を本件駐車場の価格とすることに合意し,同年3月25日,AA 社との間で本件代物弁済についての契約を締結し,同月31日,現実にAA 社から代物弁済を受けた。 (9) 本件各特定調停成立からB社の二次破綻に至る経緯(甲5,6,9,乙125,146~150,153,丙3~5,証人P3,弁論の全趣旨)ア B社は,再建計画に基づいて収益の向上に取り組み,入居率以外は平成19年度まで再建計画をほぼ達成していたが,Bビルの入居率は上記再建計画の93%を下回り続けた(平成16年度88.7%,平成17年度91.3%,平成18年度88.9%,平成19年度86.0%)。そして,平成20年7月にP2大阪市長がB社の再建断念を表明し,B社の二次破綻のおそれが現実化したこともあり,平成20年度には民間テナントを中心に更に多くのテナントが退居し,平成21年3月1日時点の入居率は77.5%まで低下した(平成14年度末から平成20年度末までの大阪市,大阪市関係団体及び民間の各テナントの入退居状況の推移につき,別紙資料10「オフィスフロア入退居状況(B)」参照)。 イ Bビルにおける大阪市関連団体のテナントの専有面積は,平成15年度末には1万0611㎡であったところ,B特定調停成立後,平成16年度に628㎡の減少,平成17年度に202㎡の減少,平成19年度に1401㎡の減少,平成20年度に2167㎡の減少(平成21年3月1日時点の専有面積6213㎡)となっており,このように大阪市関連団体がBビルから相次いで退居又は一部退居したことが,B社が再建計画を達成できず,最終的に二次破綻せざるを得なかった大きな要因となっている。そして,大阪市関連団体がBビルから相次いで退居又は一部退居した原因として,大 いで退居又は一部退居したことが,B社が再建計画を達成できず,最終的に二次破綻せざるを得なかった大きな要因となっている。そして,大阪市関連団体がBビルから相次いで退居又は一部退居した原因として,大阪市の市政改革と監理団体の見直しがあったことが指摘されている。 すなわち,大阪市は,平成16年秋以降,職員の厚遇問題や不透明かつ不健全な労使関係の存在が明らかとなり,市政に対する市民の信頼が大きく損なわれたことから,平成17年4月,大阪市政全般の抜本的な改革に取り組むことを目的として,市長を本部長とする市政改革本部を設置した。 また,厳しい財政状況の下で徹底した行政運営の効率化を図るという観点から,市政改革本部の議論と並行して,平成17年4月に大阪市監理団体評価委員会が設置され,同委員会は,同年9月,市長に対する提言として,「監理団体の統廃合・再編及び委託料の見直しについて」を公表した。 同提言は,解散又は統合すべき監理団体や大阪市の資本的関与を見直すべき監理団体の具体名を列挙するとともに,監理団体に対する委託料について,平成17年度から平成19年度にかけて280億円(平成16年度の委託料の30%相当)の削減を最低ラインとし,それ以上の効果を上げるように努力すべきであるとの提言を行った。 そして,市政改革本部が平成18年2月にとりまとめた「市政改革マニフェスト(市政改革基本方針)」においても,監理団体に対する委託料の見直しについて,大阪市監理団体評価委員会の上記提言を採用し,「民間委託化の実施,契約方法の改善,事業コスト削減などにより,平成17年度~平成19年度の3年間で合計▲280億円の削減を図る」とされていた。 上記方針に基づき,大阪市は,監理団体の事業の抜本的な見直しを行い,監理団体の事業の ト削減などにより,平成17年度~平成19年度の3年間で合計▲280億円の削減を図る」とされていた。 上記方針に基づき,大阪市は,監理団体の事業の抜本的な見直しを行い,監理団体の事業の市直営化や,委託事業の民間切替え等の措置を実施し,その結果,Bビルに入居する大阪市関連団体についても,Bビルからの退居や一部退居が続くこととなった。 ウ Bビルに入居する大阪市の各局(別件賃料訴訟の判決書によれば,各局の賃貸借契約締結日は,港湾局が平成10年8月1日,建設局,都市環境局(旧下水道局)及び水道局が平成12年11月1日,ゆとりとみどり振興局が平成13年4月1日)の賃料等の額は,6910円/㎡(賃料5110円/㎡,共益費1800円/㎡)とされていたが,本件各特定調停成立後,B社の再建計画に盛り込まれた内容に基づき,平成16年4月1日から賃料の額が約8%減額され,同日以後の賃料等の額は,6500円/㎡(賃料4700円/㎡,共益費1800円/㎡)とされた。 大阪市の住民らは,同月19日,大阪市入居契約に基づいて大阪市が負担する賃料等が高額にすぎ違法であるなどとして,その支出差止めや損害賠償等をすることを求める別件賃料訴訟を提起した。同訴訟において,当初の賃貸借契約締結日の時点における新規適正賃料等を算定する旨の鑑定が採用され,鑑定人は,平成19年7月10日,上記時点での適正賃料及び適正共益費の単位面積当たりの額につき,港湾局につき4400円/㎡(賃料2600円/㎡,共益費1800円/㎡),それ以外の局につき4300円/㎡(賃料2500円/㎡,共益費1800円/㎡)である旨鑑定した。なお,平成19年10月10日の毎日新聞の「B2年内に2次破綻も」と題する記事によれば,同月9日の市議会決算特別委員会において,Bビルに入 料2500円/㎡,共益費1800円/㎡)である旨鑑定した。なお,平成19年10月10日の毎日新聞の「B2年内に2次破綻も」と題する記事によれば,同月9日の市議会決算特別委員会において,Bビルに入居している大阪市の賃料を鑑定どおりに引き下げた場合,2年以内に資金不足に陥るとの見通しが明らかにされた旨報道されている。 その後,大阪市とB社は,協議の上,平成20年4月1日から,大阪市各局のテナントの賃料を約8.5%引き下げ,同日以降の賃料等の額は,6100円/㎡(賃料4300円/㎡,共益費1800円/㎡)となった。 大阪地方裁判所は,別件賃料訴訟について,同年6月26日,同訴訟の原告らの訴えを一部却下するとともに,大阪市入居契約の約定賃料等が他の民間の賃借人の賃料等と比較して突出して高いとまではいえず,大阪市入居契約は私法上無効ではないなどとして,その余の請求を棄却する旨の判決をした。同訴訟の原告らはこれを不服として大阪高等裁判所に控訴したが,同裁判所は,平成22年1月29日,控訴を棄却する旨の判決をし,同判決は同年2月12日の経過により確定した。 エ平成19年12月に大阪市長に就任したP2は,平成20年7月,B社の再建断念を発表した。その後,B社は,平成21年3月26日,大阪地方裁判所に会社更生手続開始の申立てを行い,同月31日,同裁判所によりB社の更生手続開始決定がされた。 大阪市は,平成22年3月31日,P2大阪市長の決裁により,B損失補償条項に基づく損失補償債務の履行として,B補償債権者に対し,それぞれ別紙相手方一覧表の損失補償額欄記載の各金員(合計424億1338万5826円)を支払った。その後,Bビルは,大阪府に対し,97億円で売却された(なお,Bビルの現在の名称は大阪府g庁舎である。 ぞれ別紙相手方一覧表の損失補償額欄記載の各金員(合計424億1338万5826円)を支払った。その後,Bビルは,大阪府に対し,97億円で売却された(なお,Bビルの現在の名称は大阪府g庁舎である。)。 オ他方,AA 社及びC社については,現在も特定調停時の再建計画に基づく再建が進められており,平成20年度決算において,AA 社は12億7600万円の,C社は3億8600万円の当期純利益をそれぞれ計上している。 2 本件各特定調停の有効性等(本件各特定調停により大阪市が履行を義務付けられている行為の違法性)(1) 判断枠組みについて特定調停において当事者間に合意が成立し,これを調書に記載したときは,特定調停が成立したものとし,その記載は,裁判上の和解と同一の効力を有する(特定調停法22条,民事調停法16条)。したがって,特定調停が成立した場合には,仮にこれが法令に違反して違法であるとしても,それが私法上無効とはいえない以上,普通地方公共団体は,当該特定調停に基づく債務を履行すべき義務を負う。 しかし,特定調停も私法上の契約の一種である以上,私法上無効となることはあり得るところ,当該特定調停が私法上無効であるときには,当該普通地方公共団体の長その他の職員(当該職員)は,無効な特定調停に基づく義務の履行としての財務会計行為を行ってはならないという財務会計法規上の義務を負っていると解すべきであり,当該職員がその義務に違反して財務会計行為を行った場合には,その行為は違法なものとなるというべきである。 また,当該特定調停が私法上無効ではないものの,これが違法に成立したものであって,当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,当該特定調停が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正 定調停が私法上無効ではないものの,これが違法に成立したものであって,当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,当該特定調停が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該特定調停を解消することができる特殊な事情があるときにも,当該普通地方公共団体の当該職員は,これらの事情を考慮することなく,漫然と違法な特定調停に基づく義務の履行として財務会計行為を行ってはならないという財務会計法規上の義務を負っていると解すべきであり,当該職員がその義務に違反して財務会計行為を行えば,その行為は違法なものになるというべきである(平成20年最判参照)。 以上の判断枠組みを前提として,原告らは,①本件調停受諾行為は,その判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり,本件各特定調停を無効としなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項等の趣旨を没却する結果となる特段の事情があるというべきであり,本件各特定調停は公序良俗に反するものであるから,私法上無効である,②仮に本件各特定調停が私法上無効であるとまではいえないとしても,本件各特定調停は著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該特定調停を解消することができる特殊な事情がある,と主張するので(B特定調停につき参加原告らも同旨),以下においては,本件調停受諾行為(契約の締結)の適否について検討する。 (2) B特定調停についてア前記前提となる事実及び証拠(乙2)によれば,B特定調停の概要は,大阪市以外の相手方に関しては,株式会社D銀行ほか7社(B補償債権者)において,B社に対して有 (2) B特定調停についてア前記前提となる事実及び証拠(乙2)によれば,B特定調停の概要は,大阪市以外の相手方に関しては,株式会社D銀行ほか7社(B補償債権者)において,B社に対して有する貸金債権合計約714億円のうち約137億円(約19%)を債務免除し,B社は,債務免除後の残債務約577億円のうち約38億円を平成16年9月末日に一括弁済し,その残額について平成56年3月末日まで40年間で分割弁済し,さらに,E銀行からの無利子借入金48億円を平成29年3月15日までに分割弁済し,株式会社H公社からの借入金20億円を平成48年6月から平成56年3月まで分割弁済する,というものである。他方,大阪市に関しては,B社に対して有する貸金債権200億円のうち125億円をB社に対して現物出資(債務の株式化)し,その残額75億円については平成56年3月以降に分割弁済を受ける劣後債権とし,B社に対して40億円の追加出資を行い,B補償債権者の債務免除後の残債権のうち回収不能額について損失補償する,というものである。 このようなB特定調停の内容からすると,B補償債権者においては,約2割近い債務免除を強いられ,債務免除後の残債権も40年間という長期間の分割弁済となるものの,その残債権は最終的に大阪市の損失補償により保全されるから,その負担及びリスクは限定的である。他方,大阪市においては,債務免除はないものの,貸付金200億円のうち125億円を現物出資し,その余の部分は40年以上元本の返済を猶予し,さらに,40億円の追加出資を行い,B社が二次破綻した場合には多額の損失補償のリスクを負うのである。そうすると,B特定調停の内容は,その再建計画に沿ってB社が再建することを前提とすれば,大阪市は165億円の出資及び75億円の債権を B社が二次破綻した場合には多額の損失補償のリスクを負うのである。そうすると,B特定調停の内容は,その再建計画に沿ってB社が再建することを前提とすれば,大阪市は165億円の出資及び75億円の債権を失うことなく,損失補償も免れることとなるのであるが,B社が短期間で二次破綻することを前提とすれば,B社に対する上記の出資及び債権はほぼ無価値となり,大阪市は莫大な損失補償債務を負うことになるのである。そうすると,B特定調停が大阪市にとって経済的合理性を有するものであったといえるかどうかは,第一次的には,本件調停受諾行為の時点において,B社の再建計画の実現可能性があったといえるかどうかによるということができる(なお,既にB社が二次破綻し,大阪市が約424億円の損失補償債務を履行したことは前記認定事実のとおりであるが,B特定調停の経済的合理性はあくまで本件調停受諾行為の判断の適否に関するものである以上,その時点における再建計画の実現可能性を検討すべきであり,結果としてB社が二次破綻したことをもって直ちにその再建計画の実現可能性がなかったということはできない。)。 イそこで,本件調停受諾行為時点におけるB社の再建計画の実現可能性について検討すると,前記認定事実によれば,B社の再建計画に係る鑑定書は,再建計画の内容を多角的に検討し,詳細な理由を付した上で,その再建計画の実現可能性について,「再建計画は,税金の問題を解消できれば一定の合理性があり,実現可能性がないとはいえない。」としているのであり,その後,上記の税金の問題については,B社が再建計画を修正することにより手当てされ,B特定調停事件の調停委員会も,最終的に「申立人の示した再建・弁済計画案は一応の合理性があ」るとしてB特定調停案を提示していること,B社は,入居率以外は平成19年度ま 修正することにより手当てされ,B特定調停事件の調停委員会も,最終的に「申立人の示した再建・弁済計画案は一応の合理性があ」るとしてB特定調停案を提示していること,B社は,入居率以外は平成19年度までほぼ再建計画を達成していたところ,入居率が再建計画を達成できなかったのは,B特定調停後に発覚した職員厚遇問題等に端を発する市政改革と監理団体の見直し(監理団体の廃止統合や委託料の削減に伴う大阪市関連団体テナントの退居)が大きく影響していることが認められ,これらの点からすれば,結果としてB社がわずか再建計画6年目にして二次破綻に至ったことを考慮しても,本件調停受諾行為の時点において,B社の再建計画の内容がおよそ実現不可能な不合理なものであったとまではいえない。 これに対し,原告ら及び参加原告らは,B社の再建計画は,民間賃料よりもはるかに高額である大阪市の賃料額を前提として立案されたものであり,これが適正な額に是正されれば,B社はたちまち資金ショートを来して破綻するのであるから,上記再建計画に実現可能性はなかった旨主張する。確かに,大阪市の各局がBビルに入居したのは,経営改善計画に基づく財政支援が行われていた時期と重なっており,B社を支援する観点から,その賃料額が比較的高額に設定されかつ維持されていた面もあると思われる。しかし,大阪市といえども,B社との間で賃貸借契約を締結して入居している以上,その約定賃料額を一方的に減額することができないことは当然であるし,また,別件賃料訴訟の地裁判決においても,大阪市の賃料等が民間テナントの賃料等と比較して突出して高いとまではいえず,大阪市入居契約は私法上無効ではないと判断されており,この判断は控訴審でも維持されて既に確定していることや,B社の再建計画は,大阪市の要望により,大阪市 賃料等と比較して突出して高いとまではいえず,大阪市入居契約は私法上無効ではないと判断されており,この判断は控訴審でも維持されて既に確定していることや,B社の再建計画は,大阪市の要望により,大阪市関係のテナント賃料を平成16年度に8%減額する(当初の計画は年1%ずつ減額)といった内容に修正されており,大阪市が漫然と高額な賃料等を維持し続けていた訳ではないことも考慮すると,大阪市関連テナントの賃料額が高額にすぎることを理由としてB社の再建計画が不合理で実現不可能であったとする原告ら及び参加原告らの上記主張は,採用することができない(ましてや,B特定調停の当事者全員が,大阪市関連テナントの賃料額が民間テナントの賃料額に収束するであろうとか,大阪市関連団体が相次いで退居し又は一部返還するであろうといった認識を有していたとは認められず,したがって,再建計画が実現不可能であることを認識し又は容易に認識し得たなどということは到底できない。むしろ,従来の大阪市とB社との密接な関係や財政支援の経緯等からすれば,大阪市及びその関連団体の賃料額や入居率については,少なくとも従来どおり維持されていくと考える方が自然であったといえる。)。 ウ以上のとおり,本件調停受諾行為の時点において,B社の再建計画の内容がおよそ実現不可能な不合理なものであったとはいえず,大阪市の継続的な財政支援が前提となっていることを考慮しても,B特定調停の内容が大阪市にとって経済的な合理性を著しく欠いていたということはできない。 しかも,前記認定事実によれば,Bビルは,先端的かつ高次の都市機能を臨海部に先行的に蓄積させることによって,近畿圏・大阪都市圏の発展に資する新たなまちづくりを展開しようとするテクノポート大阪計画の中で,21世紀に向けて大阪市が充実すべきとさ 的かつ高次の都市機能を臨海部に先行的に蓄積させることによって,近畿圏・大阪都市圏の発展に資する新たなまちづくりを展開しようとするテクノポート大阪計画の中で,21世紀に向けて大阪市が充実すべきとされた「国際交易機能」,「情報通信機能」の中核となる大規模インテリジェントビルとして,国際貿易情報提供機能を核とし,貿易・港湾関連,情報処理関連の業務,サービス拠点などを具備することがその役割として期待されていたことが認められ,その当初の事業目的は公共性の高いものであったと評価し得る。また,開業後は民間テナントが十分に確保できず,B特定調停の時点においては,大阪市及び大阪市関連団体の入居率が7割を超えていたものの,当初の目的に沿ったテナントも存在しており,また,gh地区の発展やまちづくりの拠点という観点からも,Bビルはなおも重要な役割を担っていたといえ,B社の事業がその公益性を全く失っていたとはいえない。これらの点からすれば,B特定調停時点においても,B社の事業を継続する必要性はなお存在していたということができる。 加えて,大阪市がB社の法的倒産手続を避けた理由としては,本件3社について民事再生や会社更生などの法的整理を行うことは,倒産というイメージによる本件3社の社会的評価の失墜,大阪市の信用低下による今後の資金調達の支障,一般債権者・中小企業の債権が毀損することによる混乱,h地区の地域開発への影響等への懸念があったと考えられるところ,このような法的倒産手続に伴う悪影響については,外部専門委員を含む「第3セクター再建検討プロジェクトチーム」の平成15年3月の検討結果でも指摘されているなど,こういった懸念が全くの杞憂であるとか些細なものであるとはいえない(上記検討結果は,B社を含む第三セクター5社の再建の手法として,法的整理より ム」の平成15年3月の検討結果でも指摘されているなど,こういった懸念が全くの杞憂であるとか些細なものであるとはいえない(上記検討結果は,B社を含む第三セクター5社の再建の手法として,法的整理よりも私的整理が望ましく,債権者間の調整に必要であれば特定調停を検討すべきである旨報告している。また,本件各特定調停事件の調停案においても,「無担保の一般の債権者に対する分配は全く期待できない状況」であることが特定調停を成立させるべき事情として指摘されているほか,平成16年1月28日の財政総務委員会の質疑においては,調達金利が1%上昇した場合には今後10年間で大阪市にとって約2000億円のコスト増が見込まれると答弁されている。)。 そもそもB社は,大阪市が策定したテクノポート大阪計画に基づいて,正に大阪市主導で設立された第三セクターの株式会社であり,大阪市が筆頭株主となるなど大阪市の信用があったからこそ金融機関もB社に多額の融資をしたものと考えられ(丙7の49参照),大阪市がその再建に向けて他の債権者(金融機関)よりも重い負担とリスクを負うことはその経緯からみてやむを得ないというべきである。これらの点を踏まえれば,大阪市が多額の出資等の負担や損失補償等のリスクを負うことになるとしてもなお,B社の事業を継続すべきという観点から,B特定調停案を受諾した大阪市長の判断が,社会通念に照らし著しく不合理であったということはできず,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨に照らして,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。 したがって,大阪市長がB特定調停案を受諾した行為は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反するものとはいえないから,B特定調停を無効としなければ上記各規定の趣旨を没却する結果となる特段の したがって,大阪市長がB特定調停案を受諾した行為は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反するものとはいえないから,B特定調停を無効としなければ上記各規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情があるとか,B特定調停が公序良俗に反するということはできないし,また,B特定調停が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということもできない。 (3) AA 特定調停についてア前記前提となる事実及び証拠(乙1)によれば,AA 特定調停の概要は,大阪市以外の相手方に関しては,株式会社D銀行ほか16社(AA 補償債権者のうちF協同組合及びG信用金庫を除く者)がAA 社に対して有する債権約1027億円のうち約698億円(約68%)を債務免除し,AA社は,債務免除後の残債務約329億円を平成46年3月末日まで30年間で分割弁済し,さらに,E銀行からの無利子借入金55億2000万円を平成25年3月末日までの分割弁済とし,F協同組合及びG信用金庫からの借入金約17億円のうち約15億円を平成46年4月以降に分割弁済する劣後債権とし,劣後債権とされなかった残債務をAA 社が平成46年3月末日まで30年間で分割弁済する,というものであり,他方,大阪市に関しては,AA 社に対して有する貸金債権187億円について,協議の上合意する相当な金額(30億7950万円)で本件駐車場の代物弁済を受け,その余の残債権については平成46年4月以降に分割弁済を受ける劣後債権とし,AA 社に対して40億円の追加出資を行い,AA 補償債権者の債務免除後の残債権のうち回収不能額について損失補償する,というものである。 このようなAA 特定調停の内容からすると,AA 補償債権者においては, 出資を行い,AA 補償債権者の債務免除後の残債権のうち回収不能額について損失補償する,というものである。 このようなAA 特定調停の内容からすると,AA 補償債権者においては,約7割近い債務免除を強いられ,債務免除後の残債権も30年間という長期間の分割弁済となるものの,その残債権は最終的に大阪市の損失補償により保全される。他方,大阪市においては,本件代物弁済により一部回収を図ることができるものの,その余の部分は30年以上元本の返済を猶予し,40億円の追加出資を行い,AA 社が二次破綻した場合には多額の損失補償のリスクを負う。そうすると,大阪市にとっては,AA 特定調停も,B特定調停に匹敵する負担とリスクを含むものということができる。 イそこで,AA 社の再建計画の実現可能性について検討するに,B社の再建計画の場合と同様,再建計画に係る鑑定書は,再建計画の内容を多角的に検討し,詳細な理由を付した上で,再建計画の実現可能性について,「一定の合理性があり,実現可能性がないとはいえない。」としており,これを踏まえて,調停委員会も,「申立人の示した再建・弁済計画案は一応の合理性があ」るとしてAA 特定調停の調停案を提示している。さらに,AA 社は,平成20年度決算で当期純利益を計上するなど,現在においても,その再建計画から大きく乖離することなくこれを遂行しているとみられることも考慮すると,本件調停受諾行為の時点において,AA 社の再建計画の内容がおよそ実現不可能な不合理なものであったとはいえない。 しかも,前記認定事実によれば,AA ビルは,テクノポート大阪計画,大阪市総合計画21の中で,s,Bビルなどと連携するとともに,pや港湾機能と結びついた「国際交易機能」を担う中核的な施設として,アジ かも,前記認定事実によれば,AA ビルは,テクノポート大阪計画,大阪市総合計画21の中で,s,Bビルなどと連携するとともに,pや港湾機能と結びついた「国際交易機能」を担う中核的な施設として,アジア・太平洋地域との人・物・文化の交流を目指し,大規模な国際流通センターを核にアメニティの要素をも融合させるものとして構想されたものであることが認められ,その当初の事業目的は公共性の高いものであったと評価し得る。また,開業後は,テナント入居率が低迷し債務超過に陥るなどしたこともあり,国際交易機能を担う中核的施設という事業目的から離れ,当初期待された役割を十分に果たしているとはいえない面があるものの,zや海外公的貿易促進機関など,当初の目的に沿ったテナントも存在しており,また,gh地区の発展やまちづくりの拠点という観点からも,Bビルと並んで,AA ビルはなおも重要な役割を担っていたといえ,AA 社の事業がその公益性を失っていたとはいえない。これらの点からすれば,AA 特定調停時点においても,AA 社の事業を継続する必要性はなお存在していたということができる。 加えて,B社について述べたのと同じく,法的倒産手続による悪影響に対する懸念が全くの杞憂であるなどとはいえないことや,AA 社は大阪市が主導して設立された第三セクターであり,大阪市の信用により多額の融資を得たという面もあることなど,その経緯からみて大阪市がその再建に向けて重い負担とリスクを負うことはやむを得ないというべきこと,さらに,B特定調停と比較すれば,主要な金融機関の債務免除率は約7割近くと多額であり,金融機関も相応の重い負担を負っていることも考慮すると,大阪市が多額の出資等の負担や損失補償等のリスクを負うことになるとしてもなお,AA 社の事業を継続すべきという観 除率は約7割近くと多額であり,金融機関も相応の重い負担を負っていることも考慮すると,大阪市が多額の出資等の負担や損失補償等のリスクを負うことになるとしてもなお,AA 社の事業を継続すべきという観点から,AA 特定調停案を受諾した大阪市長の判断が,社会通念に照らし著しく不合理であったということはできず,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨に照らして,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。 したがって,大阪市長がAA 特定調停案を受諾した行為は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反するものとはいえないから,AA 特定調停を無効としなければ上記各規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情があるとか,AA 特定調停が公序良俗に反するということはできないし,また,AA 特定調停が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということもできない。 (4) C特定調停についてア前記前提となる事実及び証拠(乙3)によれば,C特定調停の概要は,大阪市以外の相手方に関しては,株式会社Iほか10社(C補償債権者)がC社に対して有する債権約183億円のうち91億円(約50%)を債務免除し,C社は,債務免除後の残債務約92億円を平成46年3月末日まで30年間で分割弁済する,というものであり,他方,大阪市に関しては,C社に対して有する有利子貸金債権約204億円をC社に対して現物出資(債務の株式化)し,無利子貸金債権約107億円は弁済方法を別途協議することとし,C社に対して約24億円の追加出資を行い,C補償債権者の債務免除後の残債権のうち回収不能額について損失補償する,というものである。 このようなC特定調停の内容か 議することとし,C社に対して約24億円の追加出資を行い,C補償債権者の債務免除後の残債権のうち回収不能額について損失補償する,というものである。 このようなC特定調停の内容からすると,C補償債権者においては,約5割の債務免除を強いられ,債務免除後の残債権も30年間という長期間の分割弁済となるものの,その残債権は最終的に大阪市の損失補償により保全される。他方,大阪市においては,債務免除はないものの,有利子貸付金約204億円を現物出資し,約24億円の追加出資を行い,C社が二次破綻した場合には多額の損失補償のリスクを負う。そうすると,大阪市にとっては,C特定調停も,B特定調停やAA 特定調停に匹敵する負担とリスクを含むものということができる。 イそこで,C社の再建計画の実現可能性について検討するに,B社及びAA 社の再建計画の場合と同様,再建計画に係る鑑定書は,再建計画の内容を多角的に検討し,詳細な理由を付した上で,再建計画の実現可能性について,「一定の合理性があり,実現可能性がないとはいえない。」としており,これを踏まえて,調停委員会も,「申立人の示した再建・弁済計画案は一応の合理性があ」るとして調停案を提示している。さらに,C社は,平成20年度決算で当期純利益を計上するなど,現在においても,その再建計画から大きく乖離することなくこれを遂行しているとみられることも考慮すると,本件調停受諾行為の時点において,C社の再建計画の内容がおよそ実現不可能な不合理なものであったとはいえない。したがって,C社の再建計画に経済的合理性がないということはできない(なお,原告らは,大阪市の無利子貸付金約107億円が劣後債権化されたかのごとく主張し,C特定調停やその再建計画に合理性がないとも主張するが,前記認定事実のとおり, 合理性がないということはできない(なお,原告らは,大阪市の無利子貸付金約107億円が劣後債権化されたかのごとく主張し,C特定調停やその再建計画に合理性がないとも主張するが,前記認定事実のとおり,C社が大阪市及びVから受領する開発負担金から返済されることが予定され,C社の事業収益とは関係なく返済することが予定されていることが認められるから,原告らの上記主張は採用することができない。)。 しかも,前記認定事実によれば,C社に期待された役割は,①n駅地下化事業の事業主体,②開発全体の牽引施設となるqの建設及び管理運営主体,③n地区開発全体の推進役,というものであったことが認められ,その当初の事業目的は公共性の高いものであったと評価し得る。また,qの開業後,p関連の需要が伸び悩み,CAT機能も廃止されるなど,当初期待された役割を十分に果たせていない面もあるが,qは,地下1階にr駅があり,2階に阪神高速道路nオフランプと直結するqバスターミナル(年間利用者151万人)を備え,市営地下鉄3線・近鉄の各駅から徒歩5分圏内に存在するなど,交通拠点施設としての重要な役割を果たしているほか,各国政府観光局,航空会社,世界旅の情報ステーションなどの交通・旅行関連のテナントを有し,また,C社自身も,n地区の調整機能を果たし,n開発計画対象地区の開発において中心的な役割を担っていることなどからすれば,C社の事業がその公益性を失っていたとはいえない。 これらの点からすれば,C特定調停時点においても,C社の事業を継続する必要性はなお存在していたということができる。 加えて,B社及びAA 社について述べたのと同じく,法的倒産手続による悪影響に対する懸念が全くの杞憂であるなどとはいえないことや,C社は大阪市が主導して設立された第三セ きる。 加えて,B社及びAA 社について述べたのと同じく,法的倒産手続による悪影響に対する懸念が全くの杞憂であるなどとはいえないことや,C社は大阪市が主導して設立された第三セクターであり,大阪市の信用により多額の融資を得たという面もあることなど,その経緯からみて大阪市がその再建に向けて重い負担とリスクを負うことはやむを得ないというべきこと,さらに,B特定調停と比較すれば,金融機関の債務免除率は約5割と多額であり,金融機関も相応の重い負担を負っていることも考慮すると,大阪市が多額の出資等の負担や損失補償等のリスクを負うことになるとしてもなお,C社の事業を継続すべきという観点から,C特定調停案を受諾した大阪市長の判断が,社会通念に照らし著しく不合理であったということはできず,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨に照らして,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。 したがって,大阪市長がC特定調停案を受諾した行為は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に反するものとはいえないから,C特定調停を無効としなければ上記各規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情があるとか,C特定調停が公序良俗に反するということはできないし,また,C特定調停が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということもできない。 (5) 本件各損失補償条項についてア原告らは,本件各損失補償条項について,財政援助制限法3条が禁ずる保証契約の脱法行為であるからいずれも違法,無効である旨主張し,参加原告らもB損失補償条項について同様の主張をするところ,仮に,本件各損失補償条項が同条に違反すると解した場合,本件各特定調停の一部又は全部の有効 行為であるからいずれも違法,無効である旨主張し,参加原告らもB損失補償条項について同様の主張をするところ,仮に,本件各損失補償条項が同条に違反すると解した場合,本件各特定調停の一部又は全部の有効性に影響する可能性があることから,本件各損失補償条項が財政援助制限法3条に違反するか否かにつき,以下検討する。 イ財政援助制限法(昭和21年法律第24号)は,戦後財政再建のため,国庫負担の累増を防止するとともに,企業の自主的活動を促進することを目的として制定された法律であり,同法3条が政府又は地方公共団体による会社その他の法人の債務についての保証契約を禁止しているのもその趣旨に出たものであると解される。そうであるところ,本件各損失補償条項のように,債務の全部又は一部が弁済不能となって債権者が損失を被ったときに当該債務者に代わって当該債権者に対しその損失を補償することを約する損失補償契約は,民法上の保証契約とはその内容及び効果を異にする契約類型であることに加えて,地方自治法は,地方公共団体の法人に対する財政的援助の方法として支払の保証と損失補償を区別して規定している(199条7項,221条3項)ことなどをも併せ考えると,財政援助制限法3条は,政府又は地方公共団体の会社その他の法人の債務についての民法上の保証契約の締結を禁止するものであって,保証契約とはその内容及び効果を異にする損失補償契約の締結については同条の直接規律するところではないと解するのが相当であり,そのように解しても,同条の趣旨を直ちに損なうものではないというべきである(行政解釈も,損失補償については同条の規制するところではないとしている。昭和29年5月12日付け自丁行発第65号大分県総務部長あて自治省行政課長回答(乙19))。前記のとおり,本件各損失補償条項は,本件各補 ,損失補償については同条の規制するところではないとしている。昭和29年5月12日付け自丁行発第65号大分県総務部長あて自治省行政課長回答(乙19))。前記のとおり,本件各損失補償条項は,本件各補償債権者の債務免除後の残債権につき,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合に,大阪市において当該回収不能額を損失としてその損失額を補償するというものであって,その内容に鑑みると,本件各損失補償条項が民法上の保証契約の実質を有するということはできず,財政援助制限法3条が禁止する保証契約の脱法行為であるとか,その内容が同条の趣旨を損なうものであるということはできない。 ウそうであるとすれば,本件各損失補償条項は財政援助制限法3条に違反するということはできない。したがって,本件各損失補償条項が同条に違反し違法,無効であることを理由として本件各特定調停の一部又は全部が無効になるということもできない。 (6) その他の原告らの主張についてア原告らは,本件各特定調停について,本件3社の再建計画に実現可能性がないし,大阪市からの財政援助を前提としており,再建したとしても大阪市に経済的利益がないとか,Bビル,AA ビル及びqはいずれも雑居ビルにすぎず,公金を投入して事業を継続すべき必要性がないなどと主張するが,本件3社の再建計画に実現可能性がなかったとはいえず,本件各特定調停が大阪市にとって経済的合理性を著しく欠いているとはいえないこと(なお,補助金及び負担金の支出の適否については後述する。),本件3社が当初の目的を十分果たし切れていない点はあるものの,その事業の公益性がなお肯定されるべきことは,既に認定説示したとおりである。原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,本件各特定調停の を十分果たし切れていない点はあるものの,その事業の公益性がなお肯定されるべきことは,既に認定説示したとおりである。原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,本件各特定調停の違法性を基礎付ける事情として,市議会での審議が不十分であることや,情報が議会や市民に対して適切に公開されていなかったことなどを主張する。しかし,前記認定事実のとおり,本件調停受諾行為については,大阪市議会の本会議において可決されており,その決議が無効又は不存在であると解すべき事情も認められないから,本件調停受諾行為を違法とすべき事由があるとは認められない。また,本件各特定調停案については,前記認定事実のとおり,決算特別委員会やその他の常任委員会において集中的に議論されており,その審議が不十分であったとは必ずしもいえないし,当時,大阪市が,特定調停が非公開手続であるため,本件各特定調停に関する情報の公開に消極的であったとしても(甲1~4,17~19等),そのことが本件調停受諾行為の違法性に直接影響するものではない。原告らの上記主張は採用することができない。 ウその他,本件調停受諾行為の違法や本件各特定調停の無効をいう原告ら及び参加原告らの主張は,これまでに認定説示したところに照らし,いずれも採用することができない。 3 各財務会計行為の違法性に係る個別主張(1) 本件代物弁済(請求1(1)ア関係)ア本件代物弁済は,AA 特定調停に基づき大阪市が履行を義務付けられている行為であるところ,前述のとおり,AA 特定調停は無効ではなく,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない以上,大阪市長が本件代物弁済を行ったこと自体は適法である。 イただし,本件代物弁済による弁済額(本件駐車場の評価)については 効ではなく,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない以上,大阪市長が本件代物弁済を行ったこと自体は適法である。 イただし,本件代物弁済による弁済額(本件駐車場の評価)については,AA 特定調停において,「協議の上合意する相当な金額」とされているところ,AA 社と大阪市は,平成16年3月25日の代物弁済契約において,30億7950万円の弁済に代えて本件駐車場の所有権を大阪市が譲り受ける旨合意していることから(乙30),この金額が高額にすぎる場合には,地方自治法2条14項等に照らし,本件代物弁済を違法と解する余地がある。 しかし,本件駐車場の評価が高額にすぎることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,前記認定事実によれば,本件駐車場の評価額について,大阪市は,株式会社β及びγ株式会社の鑑定評価を得て,その低い方の額である29億8000万円(税抜き)を採用し,しかも,これが適正である旨の大阪市不動産評価審議会の評定を得ていることが認められ,また,上記各鑑定評価(乙32,33)の理由等に特段不合理な点も見当たらないから,その評価額が高額にすぎるとはいえない。 この点,原告らは,大阪市の賃貸料から本件駐車場は高く見積もって18億円であると主張するが,同評価額を相当と認める証拠はなく,採用することができない。 (2) 本件各追加出資並びにB現物出資及びC現物出資(請求1(1)ア,2(1)ア・,3(1)ア関係)これらの財務会計上の行為は,いずれも本件各特定調停に基づき大阪市が履行を義務付けられている行為であるから,前述のとおり,本件各特定調停が有効であり,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない上,株式化の方法等にも違法な点はない以上,大阪市長が行ったこれらの行 を義務付けられている行為であるから,前述のとおり,本件各特定調停が有効であり,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない上,株式化の方法等にも違法な点はない以上,大阪市長が行ったこれらの行為はいずれも適法である。 (3) B損失補償履行(請求2(3)ア・ウ関係)ア B損失補償履行は,B特定調停に基づき大阪市が履行を義務付けられている行為であるから,前述のとおり,B特定調停が有効であり,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない以上,大阪市長が行ったB損失補償履行は適法である。B損失補償条項が地方財政法4条1項に反する旨の主張もあるが,前記のとおり,採用することができない。 イなお,参加原告らは,B損失補償条項につき,財政援助制限法3条が禁ずる保証契約の脱法行為であり,いずれも違法,無効であると主張するが,前記のとおり,採用することができない。 4 小括以上によれば,本件各特定調停はいずれも私法上無効ではなく,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もない上,本件代物弁済における弁済額(本件駐車場の評価)等も違法であるとは認められないから,本件各特定調停に基づく財務会計行為は,いずれも適法かつ有効である。 したがって,その余の点につき判断するまでもなく,原告らの本件代物弁済に関する請求(請求1(1)ア),原告らの本件追加出資並びにB現物出資及びC現物出資に関する請求(請求1(1)ア,2(1)ア・,3(1)ア),参加原告らのB損失補償履行に関する請求(請求2(3)ア・ウ)は,いずれも理由がない。 第6 本件3社に対する補助金又は負担金に関する本案の争点に係る当裁判所の判断 1 総論地方自治法232条の2は,「普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合 ずれも理由がない。 第6 本件3社に対する補助金又は負担金に関する本案の争点に係る当裁判所の判断 1 総論地方自治法232条の2は,「普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては,寄附又は補助をすることができる。」と規定しているところ,地方公共団体の長がその執行機関として行う補助の要否の決定は,社会的,経済的,地域的諸事情を総合的に考慮した上での政策的判断を要するものであるから,公益上の必要性の有無の判断については,補助の要否の決定権を有する地方公共団体の長に一定の裁量権があり,地方公共団体の長の裁量権の逸脱又は濫用がある場合に限り,公益上の必要性を欠く補助として違法になると解するのが相当である。 以上を前提として,以下,個別の補助金及び負担金の支出の適否につき検討する。 2 AA 社に対する補助金支出の違法性(1) AA ホール運営補助金ア前記前提となる事実,証拠(甲12,乙5,84,85,117)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 AA ホール運営補助金は,AA ホール運営補助要綱に基づき支出される補助金である。同要綱1条は,「この要綱は,sとの一体化利用を図ることを目的として建設分担を行ったAA ホールについて,その公共性に鑑みて本市が助成し,地域経済の活性化に寄与することを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「この要綱における補助対象事業は,AA ホールの管理運営にかかるものとする。」と規定している。 補助事業の内容について,平成17年度AA ホール運営補助金交付申請書には,次のとおり記載されている。 「AA ホールは,AA(株)と大阪市の共有施設であり,ホールの使用料はAA の持ち分についても,大阪市の持ち分 7年度AA ホール運営補助金交付申請書には,次のとおり記載されている。 「AA ホールは,AA(株)と大阪市の共有施設であり,ホールの使用料はAA の持ち分についても,大阪市の持ち分と同一使用料を設定するため,AA にとっては,本来の原価による使用料が設定できない状況にある。AA がAA の持ち分にかかる原価による使用料を設定する際に,稼働率としては上限と考えられる70%の稼働率をもとに使用料を積算したとしても,大阪市の意向により設定した現行の使用料(480円/㎡・日)と単価差が生じるため,この原価計算による単価と現行の使用料単価との差額に対する補助」 AA ホールは,隣接するsとともに,展示・見本市事業を通じて,大阪市の産業・文化の活性化及び国際化に寄与することを目的に設置された,ワンフロアで総面積約7000㎡の多目的ホールである。なお,総合保税地域の指定により,関税のかからない保税状態での展示も可能であるなどの特徴がある。 AA ホールにおいては,様々な集客イベントや展示商談会が開催され,平成18年度には年間74万人が来場している。 大阪市は,平成16年4月30日,AA 運営補助金(平成16年度予算)として,AA 社に対し,7670万円を支出した。なお,上記補助金に係る平成15年度決算及び平成16年度決算並びに平成17年度予算は,全て上記と同額である。 イ上記のとおり,AA ホールは,展示・見本市事業を通じて,大阪市の産業・文化の活性化及び国際化に寄与することを目的に設置され,現に様々なイベント等が行われていること,大阪市は,AA ホールの公共性に鑑み,地域経済の活性化に寄与することを目的として,AA ホールの原価計算による使用料単価と大阪市の意向により設定された現 ,現に様々なイベント等が行われていること,大阪市は,AA ホールの公共性に鑑み,地域経済の活性化に寄与することを目的として,AA ホールの原価計算による使用料単価と大阪市の意向により設定された現行の使用料単価との差額を補助するべく,AA ホール補助金を交付していること,以上の事実が認められ,これらの点に加えて,前述のとおり,AA ビルは,国際交易機能を担う中核的な施設として構想されたものであり,平成16年当時,AA社の事業がその公益性を失っていたとはいえないことや,大阪市がAA 社の設立を主導しその事業を推進してきた経緯等にも照らせば,上記補助金の支出に公益上の必要性があるとした判断が,社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできない。 また,AA 社の事業の公益性,上記補助金の目的その他の事情について,平成16年以降現在に至るまでの間に,その事情が大きく変化したとは認められないから,将来のAA ホール補助金の支出に関しても,これを違法であるとして差し止めるべきであるとは認められない。 ウ原告らは,上記補助金の交付申請書に記載されている内容をとらえて,AA 社が運営原価の関係でこのような低価格の設定ができないのであれば,そもそもAA ホールは当初から事業として破綻しているのであり,このような当初から不採算であることが分かり切った施設に補助を行うこと自体,破綻を先送りにする借金の尻拭いでしかないなどと主張する。しかし,公益上の必要性の有無は,事業の採算性だけで論じられるべきものではない上,前述の事情に照らせば,AA ホールの利用促進のために大阪市が使用料を低めに設定し,AA 社に原価計算による使用料との差額を補助するということも,特に不合 採算性だけで論じられるべきものではない上,前述の事情に照らせば,AA ホールの利用促進のために大阪市が使用料を低めに設定し,AA 社に原価計算による使用料との差額を補助するということも,特に不合理であるとはいえない。したがって,「破綻を先送りにする借金の尻拭い」であるとする原告らの上記主張は,採用することができない。 (2) AA 公共的空間整備事業補助金ア前記前提となる事実,証拠(甲14,乙4,67,86,118,126~129)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 AA 公共的空間整備事業補助金は,AA 公共的空間整備事業補助要綱に基づき支出される補助金である。同要綱1条は,「この要綱は,海浜公園として開放され市民の憩いの場として利用されているlパークについて,その公共性並びに同施設ひいてはh地区への集客力向上に資することに鑑み,その管理運営について助成することにより,公共の福祉を増進し,地域経済の活性化に寄与することを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「この要綱における補助対象事業は,lパークの管理運営にかかるものとする。」と規定している。 AA 公共的空間整備事業補助金は,lパークの管理運営業務の経費に対する補助金であり,補助対象経費には,警備費,清掃費,植栽管理費,照明費,修繕等業務費がある。 lパークは,AA ビルに隣接して海沿いに整備されている海浜公園であり,椰子の木,噴水,展望デッキなどを備え,市民の憩いの場として24時間開放され利用されている。 lパークにおいては,「AA クリスマスイルミネーション」「f 音楽祭カウントダウンライブ」などの多数の集客イベントが開催されており,h地区の集客力向上に寄与してい いる。 lパークにおいては,「AA クリスマスイルミネーション」「f 音楽祭カウントダウンライブ」などの多数の集客イベントが開催されており,h地区の集客力向上に寄与している。 大阪市は,平成16年4月27日,AA 公共的空間整備事業補助金(平成15年度予算)として,AA 社に対し,2905万2000円を交付した。なお,上記補助金に係る平成15年度決算及び平成16年度決算並びに平成17年度予算は,全て上記と同額である。 イ上記のとおり,lパークは,AA ビルに隣接して海沿いに整備されている海浜公園であり,現に様々なイベント等が行われてh地区の集客力向上に寄与していること,大阪市は,lパークの公共性並びに同施設ひいてはh地区への集客力向上に資することに鑑み,地域経済の活性化に寄与することを目的として,lパークの管理運営業務に対し上記補助金を交付していること,以上の事実が認められ,これらに加えて,前述のAA 社の事業の公益性や,大阪市とAA 社とのかかわりや経緯等も考慮すれば,上記補助金の支出に公益上の必要性があるとした判断が,社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできない。 また,AA 社の事業の公益性,上記補助金の目的その他の事情について,平成16年以降現在に至るまでの間に,その事情が大きく変化したとは認められないから,将来のAA 公共的空間整備事業補助金の支出に関しても,これを違法であるとして差し止めるべきであるとは認められない。 (3) 地域輸入促進センター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)ア前記前提となる事実,証拠(乙6,120,132~1 あるとは認められない。 (3) 地域輸入促進センター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)ア前記前提となる事実,証拠(乙6,120,132~134)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 地域輸入促進センター事業運営費補助金は,地域輸入促進センター事業運営費補助金交付要綱に基づき支出される補助金である。同要綱1条は,「この要綱は,市内の輸入促進事業の推進を図るために,地域輸入促進センターにおける地元協賛事業を運営する事業者に対して,市が補助を行うために必要な事項を定めることを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「この要綱における補助対象事業は,地域輸入促進センターにおける地元協賛事業とする。」と規定していた。 また,上記要綱は,平成18年4月1日に大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助要綱に改称されており,同要綱1条は,「この要綱は,大阪市が,市内の貿易促進ならびに海外企業の大阪進出を図り大阪経済の活性化に資することを目的としてxに設置されている地域貿易等促進センターの運営に必要な経費の一部を助成する補助金の交付に関し必要な事項を定めることを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「補助金の交付対象となる事業は,地域貿易等促進センター運営に係るものとする。」と規定している(いずれも平成19年4月1日改正後のもの)。 地域貿易等促進センター(アジアコレクション)とは,アジアを中心とした各国のデザイナー製品の日本市場への紹介の拠点とし,デザイナーやブランドの育成を図るとともに,安価で品質のよいアジア製品のアンテナショップを設け,アジア製品の普及・輸入促進を図ることを目的として,AA 社が,k棟の2階の1角に,シンガポール,インドネ イナーやブランドの育成を図るとともに,安価で品質のよいアジア製品のアンテナショップを設け,アジア製品の普及・輸入促進を図ることを目的として,AA 社が,k棟の2階の1角に,シンガポール,インドネシア,マレーシア,香港,韓国などのデザイナーズショップやアンテナショップを誘致しているものである。 具体的には,アジアコレクションのクリエーターズスープゾーンにおいては,香港,中国,ベトナム,韓国などの新進アーティストやクリエーターズブランドのオリジナル商品等が展示販売されている。また,セレクトショップゾーンにおいては,韓国の雑貨,中国のレディスウェア,香港の婦人服などを扱うセレクトショップが存在し,安価で品質の良いアジア製品を販売している。そして,現に,婦人ニットを扱う香港の会社が日本のマーケットを開拓し年2回大阪で受注会を開催したり,中国雑貨を扱う中国の会社がAA ビル以外に出店するなどしている。 上記補助金は,本件監査請求の過去1年内には支出されていない(原告らの請求は支出の差止めのみ)。なお,平成15年度決算は1億3548万6000円,平成16年度決算は1億2645万4000円,平成17年度予算は1億2645万5000円となっている。 イ上記のとおり,地域貿易等促進センター(アジアコレクション)は,アジアを中心とした各国のデザイナー製品の日本市場への紹介の拠点として,AA 社が,アジア各国のデザイナーズショップやアンテナショップを誘致しているものであること,大阪市は,大阪市内の貿易促進及び海外企業の大阪進出を図り大阪経済の活性化に資することを目的として,アジアコレクションの運営に必要な経費を補助していること,以上の事実が認められる。加えて,前述のAA 社の事業の公益性や,大阪市とAA 社との 大阪進出を図り大阪経済の活性化に資することを目的として,アジアコレクションの運営に必要な経費を補助していること,以上の事実が認められる。加えて,前述のAA 社の事業の公益性や,大阪市とAA 社とのかかわりや経緯等も考慮すれば,将来の上記補助金の支出につき,公益上の必要性があるとする判断が社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用する違法なものであるということはできないから,これを違法であるとして差し止めるべきであるとは認められない。 (4) 大阪市輸入促進事業推進補助金(現大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金)ア前記前提となる事実,証拠(乙7,119,131)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 大阪市輸入促進事業推進補助金は,大阪市輸入促進事業推進補助金交付要綱に基づき支出される補助金である。同要綱1条は,「この要綱は,『大阪市地域輸入促進計画』に基づく大阪市内の輸入促進にかかる賃貸施設への中小企業,海外企業の入居促進を図るため,施設を管理運営する事業者に対して,大阪市輸入促進事業推進補助を実施するために必要な事項を定めることを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「この要綱における補助対象事業は,施設への中小企業及び海外企業の入居にあたり,賃貸料の減額を行う制度を設け入居促進を図る事業とする。」と規定していた。 また,上記要綱は,平成18年4月1日に大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助要綱に改称されており,同要綱1条は,「この要綱は,大阪市が,本市貿易の振興及び本市への海外企業等の進出を促して,本市経済の国際化,活性化に資するよう,h地区の活性化を図り貿易関連の中小企業及び海外企業等の集積を高めることが求めら ,「この要綱は,大阪市が,本市貿易の振興及び本市への海外企業等の進出を促して,本市経済の国際化,活性化に資するよう,h地区の活性化を図り貿易関連の中小企業及び海外企業等の集積を高めることが求められるxへの貿易関連企業の入居を促進させるため,施設を管理運営する事業者に対してその経費の一部を助成する補助金の交付に関し必要な事項を定めることを目的とする。」と規定し,同要綱2条は,「補助金の交付対象となる事業は,AA への貿易関連企業の入居にあたり,賃借料の減額を行う制度を設け入居促進を図る事業とする。」と規定している。 上記補助金は,大阪市が,上記要綱に定める公益的な目的の実現を図るため,AA 社が中小企業・海外企業を除くテナントに対して設定している賃料,すなわち標準賃貸料(1万5300円/月・坪)と中小企業・海外企業の優遇賃貸料(AA 社と当該企業との間の入居契約書において定められた賃料)との差額相当額について,AA 社に対して補助を行うものである。 AA 社は,大阪市の上記補助金を裏打ちとして,海外企業や貿易関連の中小企業に対して廉価な政策的賃料を設定し,これらの企業の入居を積極的に推進しており,平成19年3月末時点で,32社の海外企業及び39社の貿易関連の中小企業が補助対象テナントとしてAA ビルに入居している。 大阪市は,AA 社に対し,大阪市輸入促進事業推進補助金(平成15年度予算)として,同年3月8日に4199万5000円を,平成16年3月26日に4162万円を,同年4月26日に8307万6000円を,それぞれ交付した。なお,平成15年度決算は4億9720万1000円,平成16年度決算は4億3848万3000円,平成17年度予算は4億7903万4000円となっている。 イ上 円を,それぞれ交付した。なお,平成15年度決算は4億9720万1000円,平成16年度決算は4億3848万3000円,平成17年度予算は4億7903万4000円となっている。 イ上記のとおり,大阪市輸入促進事業推進補助金(現大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金)は,大阪市が,貿易の振興及び海外企業等の進出を促して,大阪市の経済の国際化,活性化に資するよう,AA ビルへの貿易関連企業の入居を促進させるため,優遇賃貸料と標準賃貸料との差額を補助するものであること,これにより,AA 社は,海外企業や貿易関連の中小企業に対して廉価な政策的賃料を設定し,これらの企業の入居を積極的に推進していること,以上の事実が認められ,これらに加えて,前述のAA 社の事業の公益性や,大阪市とAA 社とのかかわりや経緯等も考慮すれば,上記補助金の支出に公益上の必要性があるとした判断が,社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできない。 また,AA 社の事業の公益性,上記補助金の目的その他の事情について,平成16年以降現在に至るまでの間に,その事情が大きく変化したとは認められないから,将来の上記補助金の支出に関しても,これを違法であるとして差し止めるべきであるとは認められない。 (5) 小括以上によれば,AA 社に対する各補助金の支出に公益上の必要性がないとする原告らの主張はいずれも採用することができず,AA 社に対する各補助金の支出に係る損害賠償請求等を求める請求(請求1(2)ア)及び同各補助金の支出の差止めを求める請求(請求1(2)イ)は,いずれも理由がない。 3 B社に対する負担金支出の違法性(1) Bビル公的運営施設 求等を求める請求(請求1(2)ア)及び同各補助金の支出の差止めを求める請求(請求1(2)イ)は,いずれも理由がない。 3 B社に対する負担金支出の違法性(1) Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金ア前記前提となる事実,証拠(甲15,乙9,88,90,136)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金は,フェスパ協定に基づき支出される負担金である。フェスパ協定は,大阪市とB社が平成12年4月1日に締結したものであり,同協定の協定書1条は,費用負担目的として,「本施設(フェスパ)は,Bビルがh地区にあって世界各国から多くの人々を迎える玄関口に位置することから,甲(大阪市)が『国際集客都市』構想に基づき国際化を推進する上で不可欠な役割を担っている。さらに併せて,市民が参加できる音楽会やイベントの開催により地域の活性化を図るため乙(B社)にアメニティ性の高い公共の場が必要であるとの判断から,(中略)大阪市が工事費の一部を負担して整備したものである。本施設を今後も良好な状態で維持する必要があるため,大阪市は,B社が行う維持管理に関する費用を負担するものとする。」としている。また,同協定書2条は,費用負担につき,「大阪市は,本施設にかかる維持管理費のうち第1条の目的に合致する費用を,負担金としてB社に支払うものとする。」「前項の維持管理費の内訳は,別途…協議して定める。」としている。 フェスパは,Bビル1階に設置されている約3000㎡の全天候型広場であり,高さ21mの巨大な屋根で覆われ,側面が全てガラス張りとなった3層吹き抜けの大アトリウム空間である。 フェスパにおいて パは,Bビル1階に設置されている約3000㎡の全天候型広場であり,高さ21mの巨大な屋根で覆われ,側面が全てガラス張りとなった3層吹き抜けの大アトリウム空間である。 フェスパにおいては,市民マーケットをはじめとする,市民を対象としたイベントが開催されており,年間11万人を超えるイベント来場者を集めている(平成18年度)。 大阪市は,B社に対し,上記負担金として,平成16年11月8日に7048万9500円を支払った。なお,平成15年度決算は1億4291万6488円,平成16年度決算は1億3802万7361円,平成17年度予算は1億4169万3000円となっている。 平成19年3月31日付けの「大阪Bビルディング公的運営施設全天候型広場(フェスパ)維持管理業務精算調書」によれば,平成18年度の電気料金単価は,22.3円/KWhとされている。 イ上記のとおり,Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金は,フェスパ協定に基づき支出されるものであるから,上記協定が私法上無効であるか,上記協定が違法に成立したものであって,当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,上記協定が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該協定を解消することができる特殊な事情がある場合に限り,その支出は違法なものとなる(ただし,維持管理費の額の適否については後述する。)。 ところで,上記認定事実によれば,大阪市は,フェスパに高い公共性を認め,その維持管理費用を負担する旨のフェスパ協定をB社と締結していることが認められ,大阪市は,地方自治法232条の2の「公益上必要が ところで,上記認定事実によれば,大阪市は,フェスパに高い公共性を認め,その維持管理費用を負担する旨のフェスパ協定をB社と締結していることが認められ,大阪市は,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」としてB社に補助をする趣旨で,上記協定を締結したものということができる。そして,上記認定事実によれば,フェスパは,全天候型広場として市民に広く利用されており,Bビルやh地区の活性化にも寄与していると考えられる。しかも,前述のとおり,Bビルは,国際交易機能や情報通信機能の中核となる大規模インテリジェントビルとして構想されたものであり,平成16年当時,B社の事業がその公益性を失っていたとはいえないことや,大阪市がB社の設立を主導しその事業を推進してきた経緯等にも照らせば,上記協定の締結に公益上の必要性があるとした判断が,社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできない。また,公益上の必要性に基づき締結された上記協定について,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨に反するということもできない。 したがって,フェスパ協定の締結はそもそも違法ではないから,同協定は私法上無効ではなく,また,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵もないといえ,上記協定に基づく負担金の支出は適法である。 ウただし,フェスパ協定においては,維持管理費の内訳については別途協議して定めるとされているから,その維持管理費が不当に高額であるような場合には,地方自治法2条14項等に照らし,違法と解する余地があるところ,原告らは,電気料金が22.3円/KWhと設定されているが,実際の電気料金は13.6円/KWh程度と考えられ,高額にすぎると主張する。 しか 項等に照らし,違法と解する余地があるところ,原告らは,電気料金が22.3円/KWhと設定されているが,実際の電気料金は13.6円/KWh程度と考えられ,高額にすぎると主張する。 しかし,上記電気料金単価が高額にすぎることを裏付ける証拠はなく,かえって,証拠(乙137,138)によれば,22.3円/KWhという電気料金単価は,Bビルにおいて一律に適用されている単価であること,Bビル開業時の類似オフィスビルの電気料金単価は,19円/KWh~30円/KWhであることが認められ,これらによれば,上記電気料金単価が高額にすぎるということはできない。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金前記前提となる事実記載のとおり,上記負担金は本件監査請求の過去1年間に支出されていない。そのため,原告らは,上記負担金について,支出の差止めのみを求めているところ,B社に対する負担金の支出の差止めは,前述のとおり,差止めの訴えの適法要件としての相当の確実性を欠き,不適法であり却下すべきであるから,上記負担金の支出の違法性については,判断することを要しない。 (3) 小括以上によれば,B社に対する負担金の支出が違法である旨の原告らの主張は採用することができず,B社に対する負担金の支出に係る損害賠償請求等を求める請求(請求2(2)ア)は,理由がない。 4 C社に対する補助金支出の違法性(1) q内公的施設管理運営補助金ア前記前提となる事実,証拠(乙10,122)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 q内公的施設管理運営補助金は,q内公的施設管理運営補助金交付要綱に基づき支出される補助金である。同 となる事実,証拠(乙10,122)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 q内公的施設管理運営補助金は,q内公的施設管理運営補助金交付要綱に基づき支出される補助金である。同要綱1条は,「大阪市は,株式会社n開発センターが行うq内に設置された公的施設(バスターミナル,世界旅の情報ステーション,公共通路)の管理運営に係る経費に関し,q公的施設管理運営補助に係る予算の範囲内において補助金を交付するものとし,その交付に関しては,この要綱に定めるところによる。」と規定している(なお,同条は,平成18年8月1日に改正されているが,その趣旨に大きな変更はない。)。 大阪市は,C社に対し,本件監査請求の過去1年内である平成16年9月24日,q内公的施設管理運営補助金(平成16年度)として5億5000万円を支出した。なお,平成15年度決算は5億6000万円,平成16年度決算は5億5000万円,平成17年度予算は5億4500万円となっている。 イ上記のとおり,上記補助金は,q内の公的施設の管理運営に係る経費を大阪市が補助するものであるところ,前記認定事実によれば,qは,地下1階にr駅があり,2階に阪神高速道路nオフランプと直結するqバスターミナル(年間利用者151万人)を備え,市営地下鉄3線・近鉄の各駅から徒歩5分圏内に存在し,これらの駅と公共通路により連結されているなど,交通拠点施設としての重要な役割を果たしていること,また,各国政府観光局,航空会社,世界旅の情報ステーションなどの交通・旅行関連のテナントを有しており,世界各国の観光情報・生活情報・安全情報などを入手できる情報センター機能も併せ持っていること,他方,バスターミナル,世界旅の情報ステーション,公共通路といった公的施設は,非収益性・低 を有しており,世界各国の観光情報・生活情報・安全情報などを入手できる情報センター機能も併せ持っていること,他方,バスターミナル,世界旅の情報ステーション,公共通路といった公的施設は,非収益性・低収性を有しているということができ,その管理運営に係る経費を補助すべき必要性も高いこと,以上の点を指摘することができる。これらの点に加えて,前述のとおり,平成16年当時,C社の事業がその公益性を失っていたとはいえないことや,大阪市がC社の設立を主導しその事業を推進してきた経緯等にも照らせば,上記補助金の支出に公益上の必要性があるとした判断が,社会通念に照らし著しく不合理であるとはいえず,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできない。 また,C社の事業の公益性,上記補助金の目的その他の事情について,平成16年以降現在に至るまでの間に,その事情が大きく変化したとは認められないから,将来のq内公的施設管理運営補助金の支出に関しても,これを違法であるとして差し止めるべきであるとは認められない。 ウ以上によれば,C社に対する補助金の支出に公益上の必要性がないとする原告らの主張は採用することができず,C社に対する補助金の支出に係る損害賠償請求等を求める請求(請求3(2)ア)及び補助金の支出の差止めを求める請求(請求3(2)イ)は,いずれも理由がない。 第7 結論以上によれば,本件訴えのうち,主文1項に掲げた各部分はいずれも不適法であるから却下することとし,原告ら及び参加原告らのその余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地 がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官直江泰輝 (別紙)略称一覧表【当事者等】参加原告ら原告共同訴訟参加人ら本件3社 AA 社,B社及びC社【法令等】財政援助制限法法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律民活法民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法特定調停法特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律平成20年最判最判平成20年1月18日・民集62巻1号1頁【特定調停関係】AA 特定調停事件 AA 社が申し立てた特定調停申立事件(当庁平成15年(特ノ)第2号~第22号特定調停申立事件)B特定調停事件 B社が申し立てた特定調停申立事件(当庁平成15年(特ノ)第23号~第32号特定調停申立事件)C特定調停事件 C社が申し立てた特定調停申立事件(当庁平成15年(特ノ)第33号~第44号特定調停申立事件)本件各特定調停事件 AA 特定調停事件,B特定調停事件及びC特定調停事件本件各金融機関等本件各特定調停事件の全相手方のうち大阪市以外の者市中金融機関本件各金融機関等のうち,E銀行,F協同組合,G信用金庫及びH公社を除く者(以下,「○○○」の部分には上記と同様に「AA」,「B」,「C」及び「本件各」が入る。)○○○補償債権者 ○○○特定調停事件の相手方のうち,大阪市の損 組合,G信用金庫及びH公社を除く者(以下,「○○○」の部分には上記と同様に「AA」,「B」,「C」及び「本件各」が入る。)○○○補償債権者 ○○○特定調停事件の相手方のうち,大阪市の損失補償債務の債権者となった各金融機関(なお,B補償債権者は,別紙相手方一覧表の「相手方」又は「調停成立時の債権者」欄記載のとおりである。)○○○特定調停 ○○○特定調停事件において成立した特定調停○○○特定調停案 ○○○特定調停事件において調停委員会が提示した調停案○○○特定調停条項 ○○○特定調停の調停条項○○○損失補償条項 ○○○特定調停における大阪市の損失補償条項本件調停受諾行為本件各特定調停成立に当たりP1大阪市長(当時)が行った本件各特定調停案の受諾行為【財務会計行為関係】本件代物弁済 AA 特定調停に基づきAA 社から大阪市に対して行われた代物弁済本件駐車場本件代物弁済により大阪市が取得したAA ビルの駐車場施設及びその敷地部分本件劣後債権化大阪市がB社に対する貸付金75億円を劣後債権とした行為○○○損失補償履行 ○○○損失補償条項に基づく大阪市の損失補償債務の履行○○○追加出資 ○○○特定調停に基づく大阪市の追加出資B現物出資 B特定調停に基づく大阪市の現物出資(債務の株式化)C現物出資 C特定調停に基づく大阪市の現物出資(債務の株式化)Bビル協定 Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金に関する協定(乙8)フェスパ協定 Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金に関する協定(乙9)本件各協定 Bビル協定及びフェスパ協定【監査請求関係】本件監査請 ェスパ協定 Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金に関する協定(乙9)本件各協定 Bビル協定及びフェスパ協定【監査請求関係】本件監査請求原告らが平成17年2月22日付けで行った監査請求(甲1)第2次監査請求参加原告らが平成20年12月26日付けで行った監査請求(丙1)別件賃料訴訟大阪地方裁判所平成16年(行ウ)第48号等違法公金支出差止等請求事件及び大阪高等裁判所平成20年(行コ)第115号違法公金支出差止等請求,共同訴訟参加控訴事件に係る訴訟大阪市入居契約別件賃料訴訟で問題とされた,大阪市がAA 社又はB社との間で締結した各賃貸借契約(別紙)相手方一覧表(別紙)当事者の主張の要旨第1 本案前の争点 1 監査請求前置(1) 本件代物弁済の違法性又は不当性の摘示の有無(請求1(1)ア関係)(被告の主張)監査請求において,請求人が当該財務会計上の行為の違法性又は不当性を主張するに当たっては,監査請求全体の趣旨からみて,当該財務会計上の行為が具体的な理由によって法令に違反し,あるいは行政目的上不適当である旨を指摘しなければならず,違法性又は不当性が具体的な理由により摘示されてはじめて監査請求の要件を満たすものである。 そうであるところ,本件監査請求における本件代物弁済に関する原告らの請求については,当該行為の違法性又は不当性が具体的な理由により摘示されておらず,上記の要件を欠くことから,同請求は受理されていない。したがって,本件代物弁済に関する部分については,その対象とする財務会計上の行為について監査請求を経ていないから,地方自治法242条の2第1項に違反するものであって,不適法で 求は受理されていない。したがって,本件代物弁済に関する部分については,その対象とする財務会計上の行為について監査請求を経ていないから,地方自治法242条の2第1項に違反するものであって,不適法である。 (原告らの主張)本件監査請求の請求書には,「代物弁済は,①帳簿上の債務減らしの工作で②大阪市がAA と関係なく自由に利用できる土地建物として代物弁済を受けたものでなく,③土地は64000円/㎡,建物約29700円/㎡と不当に高く評価したものであり,適法な代物弁済ではない。」と記載されている。上記請求書の全趣旨からすれば,原告ら(監査請求人ら)は本件代物弁済について具体的な違法の理由を主張しているというべきであり,これを受理しなかった監査委員の判断は違法であり,被告の本案前の抗弁は理由がない。 (2) 本件劣後債権化に係る監査請求期間徒過の有無(請求2(1)ア関係)(被告の主張)ア監査請求期間の起算点について地方自治法242条2項は,監査の対象とされる行為がなされた日から1年を経過したときは監査請求をすることができないと規定している。したがって,行為後1年を経過した後に監査請求がされた場合,当該行為について提起された住民訴訟の訴えは,適法な監査請求を経ていない監査請求前置主義に違反する不適法な訴えとして却下されることになる。 この点,原告らは,被告に対して,大阪市がB社に対して有する貸付金75億円を劣後債権化したこと(本件劣後債権化)につき,P1及びB社に対して75億円を大阪市に支払うよう請求することを求めているところ,本件劣後債権化については,B特定調停の成立日である平成16年2月12日が当該行為のあった日であり,原告らが本件監査請求を行った平成17年2月 円を大阪市に支払うよう請求することを求めているところ,本件劣後債権化については,B特定調停の成立日である平成16年2月12日が当該行為のあった日であり,原告らが本件監査請求を行った平成17年2月22日の時点で1年を経過していた。したがって,当該部分については,その対象とする財務会計上の行為について適法な監査請求を経ていないから,地方自治法242条の2第1項に違反する不適法な訴えとして却下されるべきである。 イ期間徒過の「正当な理由」について本件劣後債権化は,平成16年1月31日の本会議における決議など適正な手続を経て,同年2月12日の本件調停受諾行為及びB特定調停の成立により行われたものであり,本件劣後債権化の内容を含むB特定調停案のうち大阪市に関わる部分については,同年1月28日に開催された大阪市の建設港湾委員会における審議や同月31日に開催された大阪市の本会議における審議でも明らかにされている。のみならず,本件劣後債権化の内容やB特定調停案のそのほかの大阪市に関わる部分については,大阪市議会において審議された同日や大阪市が本件各特定調停案を受諾した同年2月12日の前後を通じて,大阪市のホームページやマスコミの報道などにおいても記載されている。このように遅くともB特定調停案の受諾の直後には,本件劣後債権化の内容につき,原告らが知り得る状況にあったことは明らかである。 したがって,遅くともB特定調停案の受諾の直後には,原告らをはじめとする住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて本件劣後債権化の内容を知ることができたことは明らかであり,本件劣後債権化について原告らが監査請求期間を徒過したことに「正当な理由」は存在しない。 この点,原告らは,B特定調停案の全文や申立書,意見書,鑑定書 を知ることができたことは明らかであり,本件劣後債権化について原告らが監査請求期間を徒過したことに「正当な理由」は存在しない。 この点,原告らは,B特定調停案の全文や申立書,意見書,鑑定書等の資料の開示がされなかったことを理由として,監査請求を期間内にしなかったことについて正当な理由がある旨主張するが,原告らが主張する上記の資料等は,財務会計行為の違法性を判断する際の参考資料の一つにすぎないものであり,このような資料が揃わない限り監査請求期間の徒過が許容されるとすれば,行政上の法律関係の早期安定という趣旨は形骸化せざるを得ず,原告らの主張は不合理である。 ウ抗弁権の濫用について原告らは,被告による監査請求期間徒過の主張が抗弁権の濫用であると主張するが,行政上の法律関係の早期安定という地方自治法242条2項本文の趣旨や,B特定調停案の受諾の直後にはホームページ等により原告らが本件劣後債権化の内容を容易に知り得る状態にあったこと等からすれば,監査請求期間徒過の主張が抗弁権の濫用に当たらないことは明らかである。 (原告らの主張)ア監査請求期間の起算点についてB特定調停条項第9によれば,「2 債務の株式化申立人は,平成16年9月末日までに,別紙債務目録記載の相手方大阪市に対する原残元金の内金125億円(中略)を別途協議する方法により株式化する。」「3劣後債権化 (1) 申立人と相手方大阪市は,原残元金の内,前項による債務の株式化を実施した後の残元金75億円を劣後債権とし,この劣後債権について下記条件を定める。」と規定されており,これらの条項を素直に読めば,本件劣後債権化は,200億円の残元金のうち金125億円が株式化された後の残元金75億円についてされるものであって,論理 権について下記条件を定める。」と規定されており,これらの条項を素直に読めば,本件劣後債権化は,200億円の残元金のうち金125億円が株式化された後の残元金75億円についてされるものであって,論理的に125億円の債務の株式化が先行する。したがって,本件劣後債権化の監査請求期間の起算日は,上記株式化の効力が発生した平成16年9月30日であり,本件監査請求は本件劣後債権化につき1年の監査請求期間内に行われている。 イ期間徒過の「正当な理由」について仮に,本件劣後債権化がB特定調停成立の日である平成16年2月12日に効力を発したとしても,原告らが監査請求期間を徒過したことについては,地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」がある。 大阪市長は,本件3社の莫大な債務の整理につき,議会に対してさえ十分な説明をせず,原告らの特定調停への参加申出や情報公開請求をかたくなに拒み続け,議会の議決をとるために,調停条項案を議会に提示したのは本件各特定調停が成立する約2週間前の同年1月28日のことである。 しかも,それは単に調停条項案が示されただけで,何故にこのような案になったのか,果たして本件3社が破綻せずに調停条項に記載された債務を履行して再建する可能性はあるのかなどという疑問には一切答えたものではない。議会は,ほとんどその内容の審議を経ぬまま,同月31日未明,この調停条項案を与党議員の一部さえ帰った議会の多数決で承認したのである。そして,同年2月12日,本件各特定調停は成立したが,その時点においてもなお,原告らの市民グループが請求した本件各特定調停の全文はもとより,基礎資料ともいうべき申立書,意見書,鑑定書などは公開されなかった。本件各特定調停の条項の概要が,マスコミを通じて同日以降に一定程度明らかになったと ループが請求した本件各特定調停の全文はもとより,基礎資料ともいうべき申立書,意見書,鑑定書などは公開されなかった。本件各特定調停の条項の概要が,マスコミを通じて同日以降に一定程度明らかになったとしても,それが違法な財務会計上の行為が含まれるのかどうかについては,本来,本件各特定調停の全文を把握し,その適法性を判断するための基礎資料なくしては判断できない。ところが,大阪市長は,特定調停が非公開手続であることを盾に取り,本件各特定調停の全文や基礎資料を公開しなかった。これは本件各特定調停に含まれる財務会計上の行為の内容や適法性の判断のための材料を奪うものであった。 このような妨害工作ともいうべき大阪市長の行為により,原告らは長らく本件劣後債権化の適法性の問題について不明のまま逡巡したのであるから,監査請求を期間内にしなかったことについて正当な理由があるというべきである。 ウ抗弁権の濫用について大阪市長は,原告らの監査請求や住民訴訟の提起について,事実関係を隠蔽,秘匿し,情報公開請求に対する不法な開示拒否により事案の把握を困難ならしめていた。しかも,住民が新聞で伝えられる範囲の資料等をもとに本件3社の問題について平成15年9月26日に監査請求をすると,監査事案は未確定であるとか,監査対象とならないとして却下させ,同年11月14日提訴の住民訴訟でも事案未確定,平成16年2月12日の特定調停により方向が確立した後においても監査前置主義を理由に却下を求めていた。そして,原告らが,その内容をより見極める努力をして今回の訴訟を提訴すると,被告は,従前の監査請求の際の「早すぎる」という主張から一転して,今回は「遅すぎる」という主張を展開しているのである。 このような公金支出に対する市民の監視を妨害するような被告 回の訴訟を提訴すると,被告は,従前の監査請求の際の「早すぎる」という主張から一転して,今回は「遅すぎる」という主張を展開しているのである。 このような公金支出に対する市民の監視を妨害するような被告の抗弁は,権利の濫用である。 (3) 監査請求時点における本件各損失補償履行の相当の確実性(請求1(1)イ,2(1)イ・(2(3)ア・ウ),3(1)イ関係)(被告の主張)監査請求において財務会計行為の差止めを求める場合には,「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される」ことが要件とされている(地方自治法242条1項)。したがって,当該要件を欠いた監査請求がされた場合,これに続く住民訴訟の訴えは,適法な監査請求を経ない監査請求前置主義に違反する不適法な訴えとして却下されることになる。そして,上記の相当の確実性の要件を充足するためには,当該行為がされる可能性が漠然と存在するだけでは足りず,その可能性,危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えていることを要する。 原告らが差止めを求める損失補償名下の支出とは,本件各特定調停の本件各損失補償条項に基づく支出である。ところで,本件各損失補償条項に規定された「損失補償の要件」によれば,大阪市は,本件3社それぞれの上記特定調停事件の相手方(本件各補償債権者)が本件3社のそれぞれに対して有する貸金債権の元本並びにこれに対する未払利息及び損害金の一部又は全部について,担保物件の処分(担保権の実行による処分を含む。)などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合に,当該回収不能が発生した債権を保有する本件各補償債権者に対して,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償することとされている。 したがって,本件各損失補償条項に 回収不能が発生した場合に,当該回収不能が発生した債権を保有する本件各補償債権者に対して,当該回収不能額を損失としてその損失額を補償することとされている。 したがって,本件各損失補償条項に基づく支出を行うには,少なくとも,本件各補償債権者が本件3社それぞれに対して有する貸金債権の一部又は全部について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生したことが必要である。 本件各特定調停条項においては,本件3社が,本件各補償債権者との間で各対象債権の弁済方法を定め,所定の弁済金を約定弁済日に支払わず,本件各補償債権者から相当期間を定めた催告を受けたにもかかわらずなおその支払を怠った場合に,本件各補償債権者の請求により対象債権の残債務全額について期限の利益を喪失するとされているところ,本件監査請求がされた時点及びその監査結果が原告らに通知された時点において,本件3社のいずれも,各対象債権の約定弁済日の弁済の遅滞すらしていない状況であった。そうだとすれば,その時点においては,本件3社が各対象債権の約定弁済日の弁済を遅滞するか,仮に遅滞したとして,いつの時点で期限の利益を喪失するか,いつの時点で本件各補償債権者が担保物件の処分などの回収努力を行うか,さらには,仮に担保物件の処分などの回収努力を行ったとしてなお回収不能が発生するかなどは全くもって明らかでなく,そもそも本件各損失補償条項に基づく支出がされるか否かは不明な状況にあったものである。 以上からすれば,差止めの対象である本件各損失補償条項に基づく支出については,監査請求がされた時点及びその監査結果が原告らに通知された時点において,当該行為がされることの可能性,危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えたということはできない。 監査請求がされた時点及びその監査結果が原告らに通知された時点において,当該行為がされることの可能性,危険性等が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えたということはできない。 したがって,本件監査請求は,地方自治法242条1項の「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」の要件を欠くものとして不適法であるから,AA 社及びC社に係る損失補償債務の履行差止めの訴え(請求1(1)イ,3(1)イ),並びにB社に係る損失補償債務の履行に基づく損害賠償請求等をすることを求める訴え(請求2(1)イ・(2(3)ア・ウ))は,適法な監査請求を前置しない不適法な訴えとして却下されるべきである。 (原告らの主張)本件各補償債権者に,将来のいつの時点で,どの程度の額につき損失が生じ,大阪市に損失補償債務が生じるのか不明であるといわなければならないことは,損失補償条項に基づく債務の履行ということの性質上,自明の事柄である。これをもって相当の確実性がないというならば,財政援助制限法3条に違反して連帯保証契約を地方公共団体が締結した場合においても,保証債務の履行の差止めはできなくなる。 相当の確実性があるかどうかについては,正に法律上そのような義務を負ったことによるというべきであり,本件においては,判決と同様の効力を有する調停が成立しているのであるから,本件監査請求時及び本件口頭弁論終結時において,本件3社に関する損失補償名下の支出につき相当の確実性があることは明らかである。 (4) B損失補償履行後に変更されたP1に関する請求と監査請求前置(請求2(1)イ(2(3)イ)関係)(被告の主張)B損失補償条項に基づいてされたB損失補償履行につき,P1に対して損 B損失補償履行後に変更されたP1に関する請求と監査請求前置(請求2(1)イ(2(3)イ)関係)(被告の主張)B損失補償条項に基づいてされたB損失補償履行につき,P1に対して損害賠償請求をすることを求める訴えは,B損失補償条項を含むB特定調停案の受諾行為そのものが財務会計行為である。しかるに,B特定調停案の受諾行為については,本件監査請求及び第2次監査請求ともに監査請求期間を徒過していることから,P1に関する上記訴えは,適法な監査請求を前置しないものであって,不適法である。 (原告らの主張)争う。 2 差止めの訴えにおける損失補償債務履行の相当の確実性(請求1(1)イ,3(1)イ関係)(被告の主張)地方自治法242条の2第1項1号の規定による住民訴訟の制度は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為を予防するため,一定の要件の下に,住民に対し当該行為の全部又は一部の事前の差止めを裁判所に請求する権能を与え,もって,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものである。そして,同項がいまだ行われていない財務会計上の行為について「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」に監査請求をすることができるとしていることからすると,事前の差止請求訴訟についても,当該行為が行われることが相当の確実さをもって予測されることが必要である。 ところで,前記1(3)(被告の主張)のとおり,大阪市が本件各損失補償条項に基づく支出(本件各損失補償履行)を行うには,少なくとも,本件各補償債権者が本件3社に対して有する各対象債権の一部又は全部について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生したことが必要である。 し 件各損失補償履行)を行うには,少なくとも,本件各補償債権者が本件3社に対して有する各対象債権の一部又は全部について,担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生したことが必要である。 しかし,現時点においても,AA 社とC社については,各対象債権の約定弁済日の弁済の遅滞すらしておらず(なお,平成20年度決算においてAA 社は12億7600万円,C社は3億8600万円の当期純利益を計上している。),本件各損失補償条項に基づく支出の蓋然性は本件監査請求がされた時点と同一であるから,現時点で差止めの対象たる本件各損失補償条項に基づく支出行為の可能性,危険性が相当の確実さをもって客観的に推測される程度に具体性を備えたということはできない。 したがって,AA 損失補償履行及びC損失補償履行の差止めの訴えは,当該財務会計上の行為が行われることが相当の確実さをもって予測されることの要件を欠き,不適法な訴えとして却下されるべきである。 (原告らの主張)上記1(3)(原告らの主張)に同じ。 第2 本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する本案の争点 1 本件各特定調停の有効性等(本件各特定調停により大阪市が履行を義務付けられている行為の違法性)(原告らの主張)(1) 本件各特定調停の有効性(総論)について本件各特定調停については,①本件3社の再建計画の収支予測自体が非常に甘い予測の上に成り立っており(特にAA 社及びB社の再建計画は,大阪市が高額な賃料で借り上げていることを前提に立案されており,適正賃料を前提とすれば直ちに破綻してしまうものであった。),再建計画の実現可能性が極めて乏しいこと,②その内容は金融機関のみがわずかの債権放棄をするだけで確実に債権の残額を確保し,他方で,大阪 ,適正賃料を前提とすれば直ちに破綻してしまうものであった。),再建計画の実現可能性が極めて乏しいこと,②その内容は金融機関のみがわずかの債権放棄をするだけで確実に債権の残額を確保し,他方で,大阪市の債権を実質的に放棄させ,追加出資と損失補償の負担を負わせる著しく偏頗なものであり,法的倒産手続と比較しても経済的な合理性を著しく欠いていること,③本件3社が所有するAA ビル,Bビル及びqは,既に当初の目的からかけ離れた雑居ビルとなっており,被告が主張するような公益性を失っていたこと,④被告が主張する議会の承認についても,大阪市議会においては実質的な審議がされていないこと,以上の点を指摘することができ,これらの点に鑑みれば,本件調停受諾行為は,その判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり,本件各特定調停を無効としなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項等の趣旨を没却する結果となる特段の事情があるというべきであり,公序良俗に反するものであるから,私法上無効である。 また,仮に本件各特定調停が私法上無効であるとまではいえないとしても,本件各特定調停は著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,本件3社や本件各金融機関等の利益は保護に値せず(特にAA 特定調停及びB特定調停においては,全当事者が,大阪市の賃料が適正な額に是正されれば二次破綻が予測されることを知りながら,大阪市民の負担において金融機関の損失を最小限に抑制したものであって,その利益は保護に値しない。),大阪市が本件各特定調停を解消することができる特殊な事情があるというべきである。 したがって,本件各特定調停は私法上無効であり,又はこれを解消し得る特殊な事情があるというべきであるから,本件各特定調停に基 定調停を解消することができる特殊な事情があるというべきである。 したがって,本件各特定調停は私法上無効であり,又はこれを解消し得る特殊な事情があるというべきであるから,本件各特定調停に基づいてされた各財務会計行為は,いずれも違法である。 (2) 再建計画の実現可能性についてア大阪市は,AA 社及びB社との間で,賃貸借契約を締結して,各部局や関連施設を入居させている。これらの大阪市入居契約における高額賃料を是正するべく,別件賃料訴訟が提起され,当該事件の原告側において大阪市入居契約の適正賃料について鑑定を求め,これが実施されたところ,Bビルにおいては適正額の約2倍(共益費を含めると約1.6倍),AA ビルにおいては適正額の約1.3~3倍(共益費を含めると約1.2~2倍)という甚だしい乖離があることが判明した。 AA 特定調停及びB特定調停の基礎となった再建計画は,このような超高額な違法な賃料を前提に,水増しされた売上高を前提に立案されたものであり,仮に過剰賃料部分を差し引いて計算すれば,上記各社はたちまち資金ショートを来して破綻するのである。しかも,大阪市の賃料が民間賃料に比してはるかに高額であることは一目瞭然であり,上記各特定調停に関与した者は,このような異常性を知り又は知り得たにもかかわらず,大阪市の賃料が適正額に是正されれば再建計画案は成り立たないという事実に瞑目し,民間賃料と比べて極めて高額な賃料を隠れ補助金として大阪市が出し続けることを容認したのである。そして,さらに悪質な点は,大阪市が高額な家賃を負担してもなお上記各社が破綻した場合に備えて,損失補償契約を締結して大阪市に全てのリスクを負わせようとしているのである。 そして,B社については,平成17年度以降,賃料売上高が再建 賃を負担してもなお上記各社が破綻した場合に備えて,損失補償契約を締結して大阪市に全てのリスクを負わせようとしているのである。 そして,B社については,平成17年度以降,賃料売上高が再建計画の目標値を達成したことは一度もなく,常に10%程度の乖離が生じていたところ,大阪市はB特定調停成立からわずか4年余りでB社の再建を断念するに至っている。このことは,再建計画がはじめから実現可能性などなかったことの重大な証左である。 イまた,C特定調停についても,大阪市の無利子債権約107億円について,その弁済方法は別途協議するとされているが,C社の再建計画案には上記債権はどこにも組み込まれておらず,C社は30年経過してもなお債務超過の状態であることは明らかであり,再建計画案に合理性はない。しかも,上記再建計画が前提とする賃料水準や入居率が現在維持されているとは言い難く,今後は大規模修繕も必要であり,再建計画は現実と乖離している。また,上記再建計画は大阪市の多額の補助金と低廉な地代の下に成り立っており,これが適正な額に是正された場合,たちまちC社の経営は破綻するのである。 (3) 本件各特定調停の経済的合理性について本件各特定調停は,いずれも本件3社の法的な清算を行わず,再建を企画するものであるが,大阪市からの財政援助を前提としており,再建したとしても大阪市にとって経済的利益はなく,むしろ,本件各特定調停及び再建計画により課される財政的負担の方がはるかに大きい。すなわち,本件各特定調停により大阪市が得る利益は,劣後債権化や追加出資等に基づく株式などがあるが,いずれも実質的にはほとんど無価値であるし,多額の追加出資や補助金等の負担を負うほか,損失補償のリスクも負うことになる。これに対し,破産手続を選択した場合は, や追加出資等に基づく株式などがあるが,いずれも実質的にはほとんど無価値であるし,多額の追加出資や補助金等の負担を負うほか,損失補償のリスクも負うことになる。これに対し,破産手続を選択した場合は,貸付債権の配当はゼロであるものの,追加出資や補助金の負担を免れ,損失補償のリスクを負担することもない。このように,大阪市にとっては,本件3社が破産した方が,明らかに大きなメリットがあったのである。 そして,前述のとおり,本件各特定調停が前提とする再建計画に実現可能性は乏しいところ,本件各特定調停は,大阪市の損失補償条項により,金融機関にのみ多大な利益を与え,本件3社の再建ができなかった場合のリスクをひとり大阪市にのみ負担させているものであって,著しく偏頗で不合理なものである。 (4) 本件3社の公益性等について被告は,本件3社の経営破綻を回避することによってその公益性の高い事業の継続を図る必要があったなどと主張するが,本件3社の実態を無視した主張である。すなわち,AA ビルに現在入居しているのは,大阪市の関連施設,アウトレットモール,小売業などであり,公益的な役割を担っているものではなく,AA 社が行っている事業は雑居ビルの賃貸業(貸しビル業)である。また,B社の事業もAA 社と同様に雑居ビルの賃貸業であり,なぜこれに公金を投入する必要があるか疑問であるし,大阪市は,B社の経営破綻を回避する目的で,民間より高額な賃料を支払ってBビルを第二庁舎化していたものである。qも,既にシティエアターミナルとしての役割はなくなっており,C社の事業も雑居ビルの賃貸業である。JRの駅とバスターミナルが付属している点はAA ビルやBビルとは異なるが,私鉄の駅ビルを民間企業が所有し運営することと全く変わりがない。しかも,qはアクセス り,C社の事業も雑居ビルの賃貸業である。JRの駅とバスターミナルが付属している点はAA ビルやBビルとは異なるが,私鉄の駅ビルを民間企業が所有し運営することと全く変わりがない。しかも,qはアクセスが悪い上,魅力ある施設もなく,oに隣接していながら閑散としている。 被告は,本件3社が法的倒産手続に陥ると,多数のテナントや一般取引業者に著しい損害を及ぼすおそれがあり,大阪市の信用も失墜するなどと主張する。しかし,第三セクターであるから倒産しないというのは幻想であって,賃借人等の一般債権者も倒産のリスクを甘受せざるを得ない。また,大阪市の信用が失墜し,借入れが困難になったり調達金利が上昇する不利益が予想される旨の主張も,想像の域を出るものではないし,借入金の増額要請を繰り返しながら,結局は本件3社が特定調停を申し立てざるを得なかった時点で,大阪市に対する金融機関等の信用は失墜している。 (5) 本件各特定調停の手続的合理性について本件3社の破綻処理の方法として,特定調停という選択は本来的に事実関係を隠蔽しようとするものである。すなわち,法的倒産手続とは異なり,特定調停手続はいわば密室の協議であり,本件各特定調停は,責任の所在も明確にされず,市民に情報が公開されることなく成立したものである。 また,本件各特定調停案は,形式的には大阪市議会の賛成多数の承認を得ているが,実質的な審議は何もされていない。すなわち,本件各特定調停案が発表されたのは平成16年1月13日であるが,その後本会議で審議されたのは1回だけである。しかも,与党会派議員の動議が可決され委員会に付託すらされていない(なお,本件各特定調停案は,文教経済委員会,建設港湾委員会及び計画消防委員会において調査の対象となっているが,調停案公表後に開催された も,与党会派議員の動議が可決され委員会に付託すらされていない(なお,本件各特定調停案は,文教経済委員会,建設港湾委員会及び計画消防委員会において調査の対象となっているが,調停案公表後に開催されたのはいずれも3回にすぎず,具体的な実現可能性などが説明されることはなかった。)。そして,本件3社全ての調停案の審議にわずか1時間しかかけられておらず,その内容も極めて具体性のない空虚なものである。大阪市は,本件3社の再建計画鑑定書を議会にすら公開せず,その合理性や損失補償の必要性等について抽象的な説明に終始していた。これに異を唱えるのは少数の野党議員だけであり,与党議員らが市長のいうとおりに強行採決したというのが実情であって,これをもって議会の承認を得たということはできない。 (被告の主張)(1) 本件各特定調停の有効性(総論)について本件3社は,大阪市の行政目的を担う公共的役割を果たすために設立された第三セクターであり,本件3社の設立及び運営には大阪市が積極的な役割を果たしている。大阪市は本件3社の設立当初からその筆頭株主であり,B社及びC社の最も高額の債権者であり,AA 社にあってもE銀行に次いで2番目に高額の債権者であった。このような大阪市の役割に鑑みると,大阪市が本件各特定調停案を受諾しなければ,本件3社は経営破綻に至り法的倒産手続を申し立てざるを得ない状況にあった。 しかし,①本件3社は,大阪市の行政目的を担う公共的役割を果たすために設立された第三セクターであり,その経営破綻を回避することによってその公益性の高い事業の継続を図る必要があり(詳細は後記(3)参照),②仮に本件3社が法的倒産手続に陥った場合には,上記の点に加え,多数のテナントや一般取引業者に著しい損害を及ぼすおそれがあり,また,金融機関そ 高い事業の継続を図る必要があり(詳細は後記(3)参照),②仮に本件3社が法的倒産手続に陥った場合には,上記の点に加え,多数のテナントや一般取引業者に著しい損害を及ぼすおそれがあり,また,金融機関その他の大阪市に対する信用が失墜し,借入れが困難になったり調達金利が上昇するなどの不利益が予想され,これを回避する必要もあった。のみならず,③手続的にも,本件各特定調停は,再建計画について大阪地方裁判所が選任した鑑定人がその経済的合理性と実現可能性を首肯し,調停委員会が「公正かつ妥当で経済的合理性を有するもの」として提示した調停条項案に基づき,大阪市議会の議決を経て受諾されたものである。これらの点に照らせば,大阪市長による本件調停受諾行為が,その裁量権を逸脱し又は濫用した違法なものであるということはできず,ましてや,これを私法上無効であると評価すべき理由は全くない。 この点,原告らは,本件各特定調停が無効である根拠として,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項違反を主張する。しかし,地方公共団体が締結した契約が仮に違法であっても,それが強行法規に反するものでない限り,原則として契約の私法上の効力は否定されず,法令違反が何人の目にも明らかである場合や契約の相手方において法令違反を知り又は知り得べかりし場合のように当該契約の効力を無効としなければ法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り,当該契約は私法上無効となる(最判昭和62年5月19日・民集41巻4号687頁等)ところ,本件各特定調停は,前述の点に加え,大阪市と本件3社及び多数の金融機関等との間において締結されたものであることからすれば,本件各特定調停が私法上無効となるような特段の事情が認められる余地はない。 また,原告らは,本件各特定調停 市と本件3社及び多数の金融機関等との間において締結されたものであることからすれば,本件各特定調停が私法上無効となるような特段の事情が認められる余地はない。 また,原告らは,本件各特定調停が無効である根拠として,公序良俗違反を主張する。しかし,上記各規定は地方公共団体の地方財政上の準則を定めたものにすぎず,いかなる意味においても「公の秩序」や「善良の風俗」を構成するものではない。また,特定調停手続の特性からして,いわゆる暴利行為のような公序良俗違反の行為類型と本件各特定調停を同視することはできない。 (2) 本件3社の公益性についてア AA 社及びB社 テクノポート大阪計画は,大阪市制100周年記念事業の一つとして発表された後,昭和60年2月に基本構想が発表され,昭和63年7月,基本計画が策定された。同計画は,大阪市が21世紀に向かって活力ある国際情報都市として発展していくため,f 及びe に先端的かつ高次の都市機能を先行的に蓄積させることによって,近畿圏・大阪都市圏の発展をリードしていく拠点としてのまちづくりを行うものであった。 AA ビルは,上記計画のなかで,sやBビル等と連携して,pや港湾機能と結びついた「国際交易機能」を担う中核的な施設として,アジア太平洋地域との人・物・文化の交流を目指し,大規模な国際流通センターを核にアメニティの要素をも融合させるものとして構想された。昭和63年10月のAA 構想推進委員会で決定されたAA 社の役割は,①アジア・太平洋地域をはじめ世界各国からの製品輸入促進,②中小流通業の振興と流通機能の発信,③関西経済の国際化,活性化,アジア文化を演出した魅力ある集客機能,というものである。そして,民間の営業・経営上の専門的ノウハウが不可欠である一方, 品輸入促進,②中小流通業の振興と流通機能の発信,③関西経済の国際化,活性化,アジア文化を演出した魅力ある集客機能,というものである。そして,民間の営業・経営上の専門的ノウハウが不可欠である一方,まちづくりや地域活性化の面で公共セクターとして事業推進に必要な措置を行う必要があることから,第三セクターの株式会社を設立することとされ,AA 社は,平成元年4月,大阪市やJ商事株式会社など合計31名の出資により設立された。 そして,AA 社は,平成6年4月にAA ビル開業に至ったものであるが,h地区のにぎわいづくりをリードしてまちの活性化を図り,アジア太平洋地域の諸都市と在阪中小企業のビジネスマッチングを促進し外国企業の大阪市への進出をサポートし,中小企業のビジネスチャンス拡大を支援する次世代産業育成の中核施設ともなるなど,国内でも有数の集客施設であるAA ビルを核に,都市再生の拠点として位置付けられ続けているh地区においてアジア太平洋地域との人・物・文化の交流に寄与するなど,現に公益性の高い事業を行っている。 Bビルは,上記計画の中で21世紀に向けて大阪市が充実すべきとされた「国際交易機能」,「情報通信機能」の中核となる大規模インテリジェントビルとして,国際貿易情報提供機能を核とし,貿易・港湾関連,情報処理関連の業務,サービス拠点などを具備することが,その役割として期待された。平成元年1月の大阪B推進協議会から出された事業計画で想定されたBビルの役割は,①貿易情報提供機能,②貿易・港湾関連業務の集積,③情報処理業務の集積,④アメニティ機能の集積,⑤インテリジェントビル機能である。そして,地域開発の先駆的役割を担うという公共的性格のほか,税制上の優遇措置の活用や,民間企業が持つ大規模ビル事業に関する豊富なノウハ 積,④アメニティ機能の集積,⑤インテリジェントビル機能である。そして,地域開発の先駆的役割を担うという公共的性格のほか,税制上の優遇措置の活用や,民間企業が持つ大規模ビル事業に関する豊富なノウハウの活用のため,第三セクターの株式会社を設立することとされ,B社は,平成元年1月,大阪市やM株式会社など合計13名の出資により設立された。 そして,B社は,平成7年4月にBビル開業に至ったものであるが,現に貿易,港湾,情報処理,サービス業務等を集積させたインテリジェントビルとしてそのニーズに対応できるよう計画された施設であるだけでなく,市民を対象としたイベントを開催するなど,h地区のにぎわいの創出に貢献している。また,大阪市の都市基盤整備担当の各局がBビルに入居し,ベイエリア地域の活性化を図るとともに,21世紀の大阪のまちづくりを積極的に推進している。さらに,Bビルは,展望施設などの交流施設や国際的な情報提供施設のほか,情報関連施設,地域冷暖房施設,地域センター的施設等を備えており,AA ビルやsなどの集客施設と協調しながら,地域開発の先導的役割を果たし,現に公益性の高い事業を行っている。 イ C社 昭和60年12月に策定された「p関連施設整備大綱」や,昭和62年にpと密接な関連を持つ開発を進めるべく組織されたn地区総合整備計画等策定調査委員会が策定した「新都市拠点整備事業 n地区総合整備計画」等に基づき事業化が進められたn開発計画は,n地区を,国際都市としての発展が望まれている大阪市におけるBB 周辺と並ぶ都心の重要拠点と位置付けた上で,鉄道や高速道路によってoのみならず京阪神各都市と直結する交通結節点として,また,交通利便性を活かしつつ国際化・情報化に対応する新都市拠点として開発し,ひいては21世紀 の重要拠点と位置付けた上で,鉄道や高速道路によってoのみならず京阪神各都市と直結する交通結節点として,また,交通利便性を活かしつつ国際化・情報化に対応する新都市拠点として開発し,ひいては21世紀に向け,国際化,情報化が進展するなかで,大阪市を世界に誇る都市機能を具備した国際都市として発展させることが目的とされた。 C社は,n開発計画を推進するため,国際化・情報化に対応した新しい都市の拠点としての機能を果たすものとして構想され,①n駅地下化事業の事業主体,②開発全体の牽引施設(q)の建設及び管理運営主体,③n地区開発全体の推進役の役割が期待された。そして,qにおいては,収益性の低い公的施設の運営が求められる一方で,収益性の高いテナントも入居するビル事業の運営には民間の専門的ノウハウを活かす必要があったことなどから,第三セクターの株式会社を設立することとされ,C社は,平成元年3月,大阪市やVなど合計33名の出資により設立された。 そして,C社は,平成8年3月にq開業に至ったものであるが,n駅地下化事業,公益的施設の集合体であるq(公共交通施設として公共バスターミナル,公共連絡通路及び公共駐車場,公共交流拠点施設として世界旅の情報ステーション等,公共学習・イベント施設としてw広場等)の管理運営事業,n地区開発事業といった公共的役割を担い続けており,交通の円滑化,集客効果,周辺施設の立地ポテンシャル向上を実現し,ひいては周辺の民間開発事業を誘発して地域の活性化に貢献するという公益性の高い事業を行っている。 (3) 本件各特定調停の手続的合理性等について本件各特定調停事件の調停委員会は,調停案の提示に当たって,本件3社それぞれについて,諸般の事情に照らせば,「申立人が,相手方大阪市の損 (3) 本件各特定調停の手続的合理性等について本件各特定調停事件の調停委員会は,調停案の提示に当たって,本件3社それぞれについて,諸般の事情に照らせば,「申立人が,相手方大阪市の損失補償を前提に,相手方らから債権放棄等を受け,可能な限り再建の方向で努力することは,相手方ら,特に相手方大阪市の行政にも資するものであるとの観点の下に,本調停期日において調停案を提示することとした。」としているのであり,本件各特定調停案は,公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものであり(特定調停法15条参照),かつ,大阪市の行政にも資する内容のものであった。 そして,調停案の受諾については,地方自治法96条1項12号に基づき,議会の議決が必要であるところ,被告は,本件各特定調停案の受諾とそれに関連する補正予算に係る議案を大阪市議会に上程し,平成16年1月31日の本会議において,当該議案は可決された。平成15年6月20日に本件3社が特定調停の申立てを行った前後から,大阪市議会議員による実地調査等が行われ,同申立て以降は,大阪市議会において,本会議,常任委員会,決算特別委員会での質疑を経て,平成16年1月30日の本会議の会期を延長の上,同月31日の本会議において本件各特定調停案の受諾が可決されたものであって,この間の大阪市議会での質疑においては,本件3社の公益性,再建手法の適否,法的整理の得失,再建の目途,二次破綻の危険性,以後の大阪市の負担内容など,網羅的かつ集中的な審議がされたものである。以上のとおり,大阪市は適正な手続を経て受諾に至ったものであるから,本件各特定調停案の受諾に何ら違法な点はない。 (4) 再建計画の実現可能性について原告らは,AA 社及びB社の再建計画が大阪市の高額な賃料額を前提に策定されてお たものであるから,本件各特定調停案の受諾に何ら違法な点はない。 (4) 再建計画の実現可能性について原告らは,AA 社及びB社の再建計画が大阪市の高額な賃料額を前提に策定されており,仮に適正な賃料額に是正されれば上記各社はたちまち破綻するなどと主張する。 しかし,再建計画における事業計画の策定に関し,大阪市入居契約に係る賃料収入の取扱いについて不合理と評価すべき理由はない。ましてや,大阪市が本件各特定調停案を受諾したことにつき裁量権の逸脱又は濫用にわたる点は何ら認められない。すなわち,AA 社及びB社の再建計画は,平成15年8月15日に裁判所に提出されたものであるところ,大阪市入居契約は,その時点から最も古いもので約10年,最も新しいものでも約3年も前に締結されている。そして,AA 社及びB社と大阪市とは,大阪市入居契約の締結から長期間にわたり,同契約所定の賃料及び共益費を前提として,同契約に基づく義務を安定的かつ誠実に履行してきたものである。このような関係の下,上記各社は,事業計画策定時において,大阪市に対し契約所定の賃料等の支払請求権を有しており,大阪市としては,契約所定の賃料等の支払を拒絶し得る理由は何もない。このような状況において,上記各社が事業計画を策定するに際し,大阪市入居契約に基づく賃料等を基礎として大阪市からの賃料収入を見積もることはむしろ当然である。また,そもそも,別件賃料訴訟における鑑定は新規賃料鑑定,すなわち新たに賃貸借契約を締結する場合における適正賃料を求める鑑定であって,大阪市入居契約は既に確定的に締結されている以上,大阪市にその賃料等を上記鑑定の評価額に減額させるべき権利はない。 したがって,別件賃料訴訟の鑑定結果を根拠としてAA 社及びB社の再建計画が不合理であると に確定的に締結されている以上,大阪市にその賃料等を上記鑑定の評価額に減額させるべき権利はない。 したがって,別件賃料訴訟の鑑定結果を根拠としてAA 社及びB社の再建計画が不合理であるとする原告らの主張は誤りである(なお,原告らは,鑑定に係る適正な「賃料」と大阪市入居契約の「賃料」を比較しているが,本来,比較されるべきは賃料と共益費の合計額である。)。 (5) 本件各特定調停の経済的合理性について原告らは,本件3社につき破産手続を選択した場合と本件各特定調停による場合との得失を比較して,本件各特定調停に合理性がないと主張するが,本件3社が大阪市の行政目的を担う公益性の高い事業を継続するというメリットを無視するものであり,失当である。また,補助金や負担金が30年又は40年後も継続されるかどうかは不明であるし,原告らは,破産手続では大阪市が差し入れている敷金の返還請求権が毀損されることを考慮していないし,本件3社の再建計画の期間経過後の財務状況に関する原告らの主張は,その前提において誤りがあるなど,原告らの上記主張は具体的根拠を欠いている。 また,原告らは,ひとり大阪市だけに財政的負担を強いるものであるなどと主張するが,本件各特定調停においては,本件各金融機関等はそれぞれ債権の一部免除や支払条件の見直しといった不利益を被っており,大阪市だけが財政負担を強いられたわけではないし,そもそも本件各金融機関等が本件3社に与信を行った理由も,大阪市の主導的役割により設立された第三セクターであるという点が大きいのであり,本件各特定調停案の内容の公正という見地からしても,大阪市の損失補償条項が含まれていることを不合理と評価すべき理由はない。 2 各財務会計行為の違法性に係る個別主張(1) 本件代物弁済 件各特定調停案の内容の公正という見地からしても,大阪市の損失補償条項が含まれていることを不合理と評価すべき理由はない。 2 各財務会計行為の違法性に係る個別主張(1) 本件代物弁済の違法性(請求1(1)ア関係)(原告らの主張)ア本件代物弁済は,帳簿上の債務減らしの工作であり,大阪市がAA 社と関係なく自由に利用できる土地建物として代物弁済を受けたものではなく,違法である。 イ本件代物弁済は,大阪市が,AA ビルに付属する駐車場の大部分(本件駐車場)の所有権を30億7950万円の元金弁済に代えて所有権を取得したものであるところ,大阪市は,本件駐車場を,AA 社に対して,月額1513万5750円(消費税及び地方消費税込み)で賃貸している。そして,この賃料額からすれば,本件駐車場の価額は高く見積もっても18億円である。したがって,大阪市は,本件代物弁済により,12億7950万円(18億円を超える部分)の損害を被っている(なお,請求1(1)アにおいて原告が被告に対し請求することを求めている10億円は,上記12億7950万円の内金である。)。 (被告の主張)ア本件代物弁済は,AA 特定調停に基づき大阪市が履行を義務付けられている行為であるから,AA 特定調停が私法上無効であるか,又はこれを解消し得る特殊事情がない限り,財務会計上違法ではないところ(平成20年最判参照),そのような場合に該当しないことは前述のとおりである。 イ原告らは,本件代物弁済における本件駐車場の評価が高額にすぎると主張する。しかし,大阪市は,適正な手続をもって対価の決定を行っており,本件代物弁済の対価が不当である旨の原告らの主張は理由がない。すなわち,大阪市は,AA 社から本件代物弁済を受けるに当たり, と主張する。しかし,大阪市は,適正な手続をもって対価の決定を行っており,本件代物弁済の対価が不当である旨の原告らの主張は理由がない。すなわち,大阪市は,AA 社から本件代物弁済を受けるに当たり,不動産鑑定士による本件駐車場の評価額の鑑定を取得することとし,株式会社β及びγ株式会社の2者に対し本件駐車場の評価額の鑑定を依頼した。同評価額について,株式会社βは29億8000万円,γ株式会社は30億5000万円とする鑑定評価を行った。さらに,大阪市は,学識経験者等により組織される大阪市不動産評価審議会に対し,本件代物弁済の価格として29億8000万円が適正であるか否かの諮問を行い,これが適正である旨の同審議会の評定を取得している。これを受けて,大阪市は,AA 特定調停条項に基づき,AA 社と協議の上,29億8000万円(敷地部分9億9000万円,建物部分19億9000万円)に建物部分に係る消費税及び地方消費税9950万円を加えた30億7950万円を本件駐車場の価格とすることに合意し,平成16年3月25日,AA 社との間で本件代物弁済についての契約を締結し,同月31日,現実にAA 社から代物弁済を受けたものである。 (2) 本件各追加出資並びにB現物出資及びC現物出資の違法性(請求1(1)ア,2(1)ア・,3(1)ア関係)(原告らの主張)本件各追加出資は,実質的には倒産企業で先行き見通しのない本件3社に対する捨て金ともいえる公金支出である。その株式も実質は無価値であるが,大阪市は1株1円として追加出資し,結局,大阪市は本件3社の99.9%以上の絶対株主になるという茶番出資である。この出資金は貸付金と異なり返還義務さえなく,永久に配当収入の期待できない,実質的には贈与というべきものである。これは,地方 ,大阪市は本件3社の99.9%以上の絶対株主になるという茶番出資である。この出資金は貸付金と異なり返還義務さえなく,永久に配当収入の期待できない,実質的には贈与というべきものである。これは,地方自治法2条14項,地方財政法2条,8条に違反する無駄遣いである。しかも,これらの出資金は,回収不能になるばかりでなく,民間資本を導入してより効率的な経営を行わせようとした三セク方式(官民共同出資方式)の理念にも反する。大阪市が99.9%以上の株式を所有することになる本件3社は,その事業自体が大阪市民にとって不可欠な事務でもなく福祉施設でもなく,Bビル,AA ビル及びqの現実は設立目的とはかけ離れた貸しビルや雑居ビルであって,追加出資は許されない。 B現物出資及びC現物出資は,B社及びC社の帳簿上の債務減らし工作であって,上記各社の実体に照らせば,大阪市にとっては事実上の債権放棄であって,違法である。 (被告の主張)本件3社に対する追加出資は,本件各特定調停に基づき大阪市が履行を義務付けられている行為であるから,本件各特定調停が私法上無効であるか,又はこれを解消し得る特殊事情がない限り,財務会計上違法ではないところ(平成20年最判参照),そのような場合に該当しないことは前述のとおりである。 (3) 本件劣後債権化の違法性(請求2(1)ア関係)(原告らの主張)本件劣後債権化は,75億円の債権を回収の余地のないものにするものであって,実質的には債権放棄であって,違法である。 (被告の主張)本件劣後債権化の違法は,B特定調停に係る本件調停受諾行為の違法をいうものであると解されるところ,前述のとおり,同受諾行為は適法である。 (4) 本件各損失補償履行の違法・無効性(請求1 本件劣後債権化の違法は,B特定調停に係る本件調停受諾行為の違法をいうものであると解されるところ,前述のとおり,同受諾行為は適法である。 (4) 本件各損失補償履行の違法・無効性(請求1(1)イ,2(1)イ(2(3)),3(1)イ関係)(原告らの主張)ア本件各損失補償条項は,財政援助制限法3条が禁ずる保証契約の脱法行為であり,いずれも違法,無効である。したがって,これに基づく本件各損失補償履行も違法である。 イ本件3社への損失補償額はいずれも数百億円に上ると考えられるところ,大阪市の財政の状況からすると,これらは非常に大きな負担であり,大阪市の財政を悪化させ,危うくさせるものであることは明らかである。したがって,本件3社に係る損失補償の合意は,地方財政法4条1項に違反するものである。 (被告の主張)ア財政援助制限法3条は,地方公共団体による法人の債務についての「保証契約」を禁止しているところ,本件各損失補償条項に係る損失補償の合意は同法3条の禁止対象には該当しない。すなわち,保証契約は,主債務の存在が前提となり,保証債務は主債務に対する附従性を有する。また,保証債務は主債務と同一の内容を有しており(内容同一性),保証人は主債務と同一の内容を履行することとなる(民法447条1項)。これに対し,損失補償においては,保証契約におけるような附従性や内容同一性は認められない。本件各損失補償条項においても,本件各補償債権者に対する大阪市の損失補償債務は,本件3社の本件各補償債権者に対する債務への附従性を有しない。また,内容同一性についても,大阪市の損失補償債務は,本件各補償債権者が担保物件の処分等の回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合に発生するものであり,かつ,その範囲 る債務への附従性を有しない。また,内容同一性についても,大阪市の損失補償債務は,本件各補償債権者が担保物件の処分等の回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合に発生するものであり,かつ,その範囲は回収不能額に限定され,債務の発生時期及び対象範囲のいずれについても本件3社の債務との内容同一性は認められない。このように保証契約と損失補償とは,その内容及び効果を異にするものであり,現に別個の契約類型として認識されている。民法上も,損失補償は損害担保契約の一類型と解されるところ,この損害担保契約と保証契約とは別個の概念と位置付けられている。 また,国や地方公共団体の実務においても,債務保証と損失補償は別個の行為である。地方自治法上も,債務保証と損失補償とは明確に別の概念として規定されている(同法199条7項等)。このことは,財政援助制限法の制定時(昭和21年)においても異なるところはない。例えば,昭和7年に制定された産業組合中央金庫特別融通及損失補償法(乙123)においては,産業組合中央金庫の信用組合等に対する融資に関し,政府は,同金庫との間において,同融資について同金庫が受けた損失を補償する旨の契約を締結し得ると規定されている(5条)。このように,財政援助制限法制定時においても,債務保証とは別に損失補償が行われていたところ,同法は,債務保証のみを禁止し,損失補償については禁止の対象とはしなかったものである。 以上の点に鑑みても,財政援助制限法3条は「債務保証」のみを禁止の対象としており,損失補償を禁止の対象とするものではないから,損失補償が同条に違反するものではないことは明らかである。 また,仮に,本件各損失補償条項が財政援助制限法3条に違反するとしても,それをもって直ちに本件各損失補償条項に基づく支出が違法となる 補償が同条に違反するものではないことは明らかである。 また,仮に,本件各損失補償条項が財政援助制限法3条に違反するとしても,それをもって直ちに本件各損失補償条項に基づく支出が違法となるものではなく,同条違反によって本件各特定調停の私法上の効力が否定されなければならない。本件各特定調停の成立に合意した多数当事者の意思,特に本件各補償債権者の意思からすれば,本件各損失補償条項と他の条項とは不可分一体であり,本件各損失補償条項のみの効力が否定され,その他の条項の効力が肯定されると解する余地はない。 イ原告らは,本件3社に対する損失補償の合意は,地方財政法4条1項に違反するものであると主張するが,地方財政法4条1項は,地方自治法2条14項の最少経費による最大効果の原則を予算執行の立場から簡潔に表現した規定であり,その「必要且つ最少の限度」の判定にあたっては,広く社会的,政策的ないし経済的見地から総合的にこれをすべきである。このような地方財政法4条1項の抽象的性格に照らしても,同規定該当性に関する判断については,行為者の広範な裁量にゆだねられており,かかる広範な裁量権の逸脱又は濫用が認められる場合に限り,当該財務会計行為は違法となる。 原告らは,本件各損失補償条項には何らの公益性も認められないと主張する。しかし,本件各損失補償条項は,本件各特定調停の一内容をなしており,その成立に重要な役割を果たしたものであるところ,本件各特定調停が大阪市の公益に資するものであることは前述のとおりであり,本件各損失補償条項に関し裁量権の逸脱又は濫用にわたる点は認められず,これを違法と解すべき理由はない。 3 本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する各請求権の成否(1) P1及びP2の故意又は過失(請求1(1)ア,2 の逸脱又は濫用にわたる点は認められず,これを違法と解すべき理由はない。 3 本件各特定調停に基づく財務会計行為に関する各請求権の成否(1) P1及びP2の故意又は過失(請求1(1)ア,2(1)ア,2(1)イ・(2(3)イ・ウ),3(1)ア関係)(原告らの主張)当時の大阪市長のP1には,違法に財務会計行為を行ったことにつき少なくとも過失がある。また,これはB損失補償履行を行ったP2も同様である。 (被告の主張)本件各特定調停の契約としての特質に鑑みれば,大阪市において,本件各特定調停の私法上の効力を信頼することは極めて当然のことである。債務不履行に基づく損害賠償等の重大な不利益を覚悟してまで,大阪市が本件各特定調停の義務履行を拒むという選択肢が存在し得たはずはない。したがって,仮に事後的に本件各特定調停が私法上無効であり又はこれを解消し得る特段の事情があると判断されたとしても,本件各特定調停の義務履行行為である財務会計行為につき,当時の大阪市長であったP1に過失を認めることはできない。また,これはB損失補償履行を行ったP2についても同様である。 (2) 本件3社の不法行為の成否(請求1(1)ア,2(1)ア,3(1)ア関係)(原告らの主張)大阪市の本件代物弁済,本件各追加出資,B現物出資,本件劣後債権化及びC現物出資については,本件3社にそれぞれ不法行為が成立する。 (被告の主張)本件3社のいかなる行為が不法行為に該当するのかは原告らの主張によっても何ら明らかではなく,本件3社に不法行為が成立する余地はない。 (3) B社及びC社の不当利得の有無(請求2(1)ア~,3(1)ア・関係)(原告らの主張)大阪市の 明らかではなく,本件3社に不法行為が成立する余地はない。 (3) B社及びC社の不当利得の有無(請求2(1)ア~,3(1)ア・関係)(原告らの主張)大阪市のB現物出資,本件劣後債権化及びB追加出資,並びにC現物出資及びC追加出資について,B社及びC社は,大阪市の損失の下,法律上の原因なく不当に利得している。 (被告の主張)原告らは,B社及びC社に関する本件各特定調停に基づく財務会計行為について,本件各特定調停が私法上無効である場合のみならず,これを解消し得る特殊事情があるとも主張している。 しかし,本件各特定調停が私法上有効であるならば,仮に大阪市においてこれを解消し得る特殊事情があったとしても,B社及びC社の利得が「法律上の原因」を欠くことにはならない。 また,現物出資(債務の株式化)や追加出資については,本件各特定調停が私法上無効であるからといって当然に私法上無効となるわけではなく,「法律上の原因」を欠くことにはならない。 (4) B補償債権者の不当利得の有無(請求2(1)イ(2(3)ア)関係)(原告らの主張)前記2(4)(原告らの主張)のとおり,B損失補償条項は違法・無効であり,B損失補償履行は,法律上の原因なくして行われたものである。B補償債権者は,B損失補償条項が違法かつ無効であることを認識しているのであるから,悪意の不当利得者として,民法所定の利息を付して返還する義務を負う。 (被告の主張)B損失補償条項を含むB特定調停が無効でないことは明らかである。 第3 本件3社に対する補助金又は負担金に関する本案の争点 1 AA 社に対する補助金支出の違法性(請求1(2)関係)(原告らの主張)(1 調停が無効でないことは明らかである。 第3 本件3社に対する補助金又は負担金に関する本案の争点 1 AA 社に対する補助金支出の違法性(請求1(2)関係)(原告らの主張)(1) 総論大阪市のAA 社に対する補助金はいわば倒産企業の尻拭い処理に使われており,公益事業の経費の一部を補助するものではないから,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」には該当しない。 被告は,AA 社が公共性の高い事業を営んでいるなどと主張するが,AA ビルは,その設置当初の目的から離れて,中心施設k棟は,現在,アウトレットモール,大型家具店,輸入雑貨と輸入家具の関係施設がほとんどを占めており,l棟は,アミューズメント施設とレストランがほとんどを占めている。 また,大阪市の賃借部分は,エイジレスセンター,消費者センター等に使用されているが,ここに設置される必然性はない。このような状況の下では,当初の目的はおろか,何らの公共的役割を果たしているものではない。 以下,被告が主張する各補助金に係る公益上の必要性について,個別に反論する。 (2) AA ホール運営補助金AA ホールの当初の設置目的は正当であるとしても,上記のとおり,既にAA ビル自体の公共性が失われており,また,AA ホールで行われるイベントや催事などに公共性が必ずしもあるわけではない。AA ホールでイベントを行い,集客し,h地区のにぎわいを創出することが,AA ビルの目的やベイエリア構想と如何に関連するのかも不明である。 また,平成17年度AA ホール運営補助金交付申請書(甲12の2)によれば,「補助事業の内容」は,「AA ホールが,大阪市との共有施設であり,ホール使用料はAA の持分についても,大阪市の持分と同一 また,平成17年度AA ホール運営補助金交付申請書(甲12の2)によれば,「補助事業の内容」は,「AA ホールが,大阪市との共有施設であり,ホール使用料はAA の持分についても,大阪市の持分と同一使用料を設定するため,AA にとっては,本来の原価による使用料が設定できない状況にある」ので,「AA がAA の持分にかかる原価による使用料を積算したとしても,大阪市の意向により設定した現行の使用料(480円/㎡・日)と単価差が生じるため,この原価計算による単価と現行の使用料単価との差額に対する補助」であるとされている。しかし,上記申請書にある現行の使用料の単価自体がいかなる根拠に基づくものか不明であるが,大阪市内と同規模の公共展示場の相場であるならば,AA ビルの地理的利便性のなさからすれば,それを大幅に下回るものでなければ競争できないのであり,AA 社が運営原価の関係でこのような低価格の設定ができないのであれば,そもそもAA ホールは当初から事業として破綻している。このような当初から不採算であることが分かり切った施設に補助を行うこと自体,破綻を先送りにする借金の尻拭いでしかない。 (3) AA 公共的空間整備事業補助金そもそもlパークの陳腐な南国リゾート風のセットが市民の憩いの場として利用されているとは言い難い。また,多数の集客イベントが開催されたとするが,その集客数については大いに疑問であるし,そもそも,lパークへの集客が,AA ビルの目的と如何に関連し,公共性を有するのか,大阪市が税金を投入して行う公益性は全く不明である。 (4) 地域輸入促進センター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)被告は,これをアジアコレクションの運営事業に対する補助であるとするが,その内実は, 。 (4) 地域輸入促進センター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)被告は,これをアジアコレクションの運営事業に対する補助であるとするが,その内実は,家賃相当分をほぼ全額大阪市が補助しているのである。これらの事業の本体的な収益は,平成18年度で約3300万円,平成19年度では約2000万円であるのに,大阪市は,平成19年度で1億2645万円もの補助金を支出しているのである。この程度の収益しか上げない事業が,大阪経済の活性化に寄与しているとは到底考えられず,上記補助金は,アジアコレクションに名を借りてAA 社に補助金を支給するものにほかならない。 (5) 大阪市輸入促進事業推進補助金(現大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金)現在,AA ビルに入居している海外企業,貿易関連企業とは,ほとんどがいわゆる輸入雑貨の小売業と考えられるが,これらの企業が大阪経済の国際化に資するかは疑問である。また,入居する企業も,大阪市が多額の補助をして賃料が優遇されているからこそ入居しているにすぎず,大阪市は,正に公共性の高くない事業に無理矢理家賃補助を行っているのであり,無駄な支出であって,違法な補助金である。 (被告の主張)(1) 総論AA 社は,大阪市の行政目的を担う公共的役割を果たすために設立された第三セクターであり,前述のとおり,現に公益性の高い事業を行っている。 すなわち,国内でも有数の集客施設であるAA ビルを核に,大阪経済の国際化の拠点としての公共的役割を果たすとともに,様々な公的施設の集積を図っている。また,自らもAA ビル内の公的施設の運営に関与するとともに,市民の憩いの場の提供,h地区におけるまちの活性化に積極的な役割を果たしている。 大 ともに,様々な公的施設の集積を図っている。また,自らもAA ビル内の公的施設の運営に関与するとともに,市民の憩いの場の提供,h地区におけるまちの活性化に積極的な役割を果たしている。 大阪市は,このようなAA 社が行っている公益性の高い事業に対し,①AAホール運営補助金,②AA 公共的空間整備事業補助金,③地域輸入促進センター事業運営費補助金(平成18年4月1日以降は大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)及び④大阪市輸入促進事業推進補助金(平成18年4月1日以降は大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金)を交付している。これらの補助金の交付の目的,内容等は以下に述べるとおりであり,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」に該当するものであって,支出権者の判断に裁量権の逸脱又は濫用が認められる余地はない。 (2) AA ホール運営補助金AA ホール運営補助金は,AA ホール運営補助要綱に基づき支出される補助金であり,sとの一体化利用を図ることを目的として設立されたAA ホールについて,その公共性に鑑みて,大阪市が助成し,地域経済の活性化に寄与することを目的としている(同要綱1条)。補助対象事業は,AA ホールの管理運営事業である(同要綱2条)。 AA ビルのl棟南館の地下2階に位置するAA ホールは,隣接するsとともに,展示・見本市事業を通じて,大阪市の産業・文化の活性化及び国際化に寄与することを目的に設置されたものである。大阪市は,このような公共性の高いAA ホールについて,AA 社がその使用料を大阪市内同規模の公共展示場と同程度の額に設定して利用促進を図るため,その管理運営事業に対して補助を行っているものである。 現にAA ホールは,様々な集客イベントや展示商談会が開催され 料を大阪市内同規模の公共展示場と同程度の額に設定して利用促進を図るため,その管理運営事業に対して補助を行っているものである。 現にAA ホールは,様々な集客イベントや展示商談会が開催され,平成18年度には年間74万人が来場するなど,h地区のにぎわいの創出に寄与している。 (3) AA 公共的空間整備事業補助金AA 公共的空間整備事業補助金は,AA 公共的空間整備事業補助要綱に基づき支出される補助金であり,大阪市が,海浜公園として解放され市民の憩いの場として利用されているlパークについて,その公共性及び同施設ひいてはh地区への集客力向上に資することで公共の福祉を増進し,地域経済の活性化に寄与することを目的とする(同要綱1条)。補助対象事業は,lパークの管理運営事業である(同要綱2条)。 lパークは,AA ビルに隣接して海沿いに整備されている海浜公園であるところ,単にAA の施設というだけでなく,椰子の木,噴水,展望デッキなどを備え,市民の憩いの場として24時間開放され利用されている。大阪市は,lパークのこのような公共性に加えて,lパークがh地区への集客力向上に資する施設であり,ひいては地域経済の活性化に寄与することに鑑みて,公益性の高いlパークの管理運営事業に対して補助を行っているものである。 現にAA 社はlパークの適正な管理運営を行っており,同所で多数の集客イベントが開催されるなど,lパークはh地区のにぎわいの創出に寄与するとともに,市民の憩いの場として定着している。 (4) 地域輸入促進センター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金は,大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助要綱に基づき支出される補助金 ンター事業運営費補助金(現大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金)大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助金は,大阪市地域貿易等促進センター運営事業補助要綱に基づき支出される補助金であり,大阪市内の貿易促進及び海外企業の大阪市進出を図り大阪経済の活性化に資することを目的とする(同要綱1条)。補助対象事業は,地域貿易等促進センター(アジアコレクション)の運営事業である(同要綱2条)。 アジアコレクションとは,アジアを中心とした各国のデザイナー製品の日本市場への紹介の拠点とし,デザイナーやブランドの育成を図るとともに,安価で品質の良いアジア製品のアンテナショップを設け,アジア製品の普及・輸入促進を図ることを目的として,AA 社が,k棟2階の一角に,シンガポール,インドネシア,マレーシア,香港,韓国などのデザイナーショップやアンテナショップを誘致しているものである。大阪市は,アジアコレクションが,アジア太平洋地域からの良質な輸入品の浸透・輸入市場の拡大を図るとともに,大阪市内中小輸入卸・小売業の輸入ビジネス発展に寄与することに鑑みて,その運営事業に対して補助を行っているものである。 現に婦人ニットを扱う香港の会社や中国雑貨を扱う中国の会社などが,アジアコレクションを契機として,日本のマーケットを開拓し,年2回大阪で受注会を開催したり,AA ビル以外に出店するなどしており,アジアコレクションは大阪経済の活性化に寄与している。 (5) 大阪市輸入促進事業推進補助金(現大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金)大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金は,大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助要綱に基づき支出される補助金であり,大阪市の貿易の振興及び大阪市への海外企業等の進出を促して,大阪市 大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助金は,大阪市貿易及び海外企業等進出促進事業補助要綱に基づき支出される補助金であり,大阪市の貿易の振興及び大阪市への海外企業等の進出を促して,大阪市経済の国際化,活性化に資するよう,h地区の活性化を図り貿易関連の中小企業及び海外企業等の集積を高めることが求められるAA ビルへの貿易関連企業の入居を促進させることを目的としている(同要綱1条)。補助対象事業は,AA ビルへの貿易関連企業の入居にあたり,賃借料の減額を行う制度を設け入居促進を図る事業である(同要綱2条)。 大阪市は,上記の公益的な目的の実現を図るため,AA 社が中小企業・海外企業を除くテナントに対して設定している賃料,すなわち標準賃貸料(1万5300円/月・坪)と中小企業・海外企業の優遇賃貸料(AA 社と当該企業との間の入居契約書において定められた賃貸料)との差額相当額について,AA 社に対して補助を行っているものである。AA 社は,大阪市からの同補助金を裏打ちとして,海外企業や貿易関連の中小企業に対して廉価な政策的賃料を設定し,これらの企業の入居を積極的に推進している。 現に平成19年3月末時点で32社の海外企業及び39社の貿易関連の中小企業が補助対象テナントとしてAA ビルに入居しており,大阪経済の国際化及び中小流通業振興というAA 社の公共的役割に資している。 2 B社に対する負担金支出の違法性(請求2(2)関係)(原告らの主張)(1) 総論負担金とは,その事業から便益を受ける者に課されるものであるが,大阪市民はB社の事業から何らの便益も受けていないから,これを大阪市が負担する道理はない。これは負担金に名を借りた補助金にほかならない。もとより,大阪市のB社に対する負担金 に課されるものであるが,大阪市民はB社の事業から何らの便益も受けていないから,これを大阪市が負担する道理はない。これは負担金に名を借りた補助金にほかならない。もとより,大阪市のB社に対する負担金(補助金)はいわば倒産企業の尻拭い処理に使われており,公益事業の経費の一部を補助するものではないから,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」には該当しない。 被告は,B社が公共性の高い事業を営んでいるなどと主張するが,Bビルは,いまや単なる貸しビル業であって,この運営経費に1円でも支出することは,公益上の必要性を欠き,違法である。 (2) Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金被告は,フェスパが天候に左右されることなく映像や楽しい演出を可能とし,また,音楽会や各種イベントなどの文化的・国際的行事の開催などを通じて,市民をはじめ多くの人々が手軽に利用できる空間となっているなどと主張するが,そもそも大阪市内からBビルへ行くこと自体が一苦労である。 また,市民が集まったとされるイベントの人数についても,その信憑性は疑問であるし,被告が主張する年間11万人という数字を前提としても,月に1万人も集客できないような施設を維持する必要があるとは考えられない。 また,負担金算定の基礎となる運営負担金の算定についても,電気料金については,平成19年度において22.3円/KWhと設定されているが,実際の電気料金は13.6円/KWh程度と考えられ,高額にすぎる。 (3) Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金いまや単なる貸しビルとなったBビルのライトアップに補助金を支出する公共的な利益はない。 また,補助金算定の基礎となる電力料金は,上記のとおり,平成19年度において に伴う負担金いまや単なる貸しビルとなったBビルのライトアップに補助金を支出する公共的な利益はない。 また,補助金算定の基礎となる電力料金は,上記のとおり,平成19年度においては,22.3円/KWhであるが,実際の電力料金は13.6円/KWh程度と考えられ,高額にすぎる。 (被告の主張)(1) 総論B社は,前述のとおり,大阪市の行政目的を担う公共的役割を果たすために設立された第三セクターであり,現に公益性の高い事業を行っている。すなわち,大阪のまちづくりの中核施設及びシンボルでもあるBビルの担い手として,同ビルの管理運営を通じた公共的役割を果たすとともに,h地区の活性化,21世紀の大阪の新しいまちづくりの積極的促進に大きく貢献している。 大阪市は,このようなB社が行っている公益性の高い事業に対し,①Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)及び②Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金の維持管理に伴う負担金を交付している。これらの負担金の交付の目的,内容等は以下に述べるとおりであり,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」に該当するものであって,支出権者の判断に裁量権の逸脱又は濫用が認められる余地はない。 (2) Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金Bビル公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持管理に伴う負担金は,大阪市とB社との平成12年4月1日付けフェスパ協定に基づき支出される負担金である。Bビル1階に設置された公的運営施設全天候型広場(フェスパ)は,天候に左右されることなく映像や楽しい演出を可能とし,また,音楽会や各種イベントなどの文化的・国際的行事の開催などを通じて,市民をはじめ多くの人々が手軽に利用できる空間 全天候型広場(フェスパ)は,天候に左右されることなく映像や楽しい演出を可能とし,また,音楽会や各種イベントなどの文化的・国際的行事の開催などを通じて,市民をはじめ多くの人々が手軽に利用できる空間となっている。現にフェスパにおいては,市民を対象としたイベントが精力的に開催されており,年間11万人を超えるイベント来場者を集めている。 大阪市は,このような公的運営施設全天候型広場(フェスパ)の維持が必要であることなどから,その高い公益性に鑑み,B社との間でフェスパ協定を締結し,B社が行うフェスパの維持管理に関する費用につき,負担金を支出しているものである。 (3) Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金Bビル公的運営施設の維持管理に伴う負担金は,大阪市とB社との間の平成10年4月1日付けBビル協定に基づき支出されている負担金である。 B社は,Bビルの公共的役割に配慮し,Bビルの外周や上部を深夜までライトアップすることにより,h地区の景観を良好にし,Bビルの同地区のシンボルとしての効果を高めている。すなわち,そもそもまちづくりにおいて景観整備は極めて重要であり,Bビルは世界に開かれた大阪港のランドマークタワーとして,h地区の景観を高めるとともに,同地区を含めた大阪港のPRやイメージアップに貢献している。このようなBビルの外周や上部をライトアップすることにより,夜間においても,建物壁面の動的な照明と併せて,さらに来訪者に印象深いものとすることができ,また,大阪港を航行する船舶にとっても航行の目印となるなど,Bビルのライトアップは,魅力的で明るいまちづくりに大きく寄与している。「テクノポート大阪」計画においては,大阪湾岸地区の玄関口にあたる海上都市にふさわしいベイエリアの顔を創出し,魅力ある美しい都市景観の ライトアップは,魅力的で明るいまちづくりに大きく寄与している。「テクノポート大阪」計画においては,大阪湾岸地区の玄関口にあたる海上都市にふさわしいベイエリアの顔を創出し,魅力ある美しい都市景観の形成とアメニティの高いまちづくりを進めることが環境整備の方針として位置付けられている。また,大阪市の政策目標等を明らかにする「大阪市基本計画2006-2015」においても,「建築物等のライトアップや,イベントでのイルミネーション等により,大都市ならではの光の景観づくりを行います。」とされている。 以上のように,h地区の景観を高め,さらに同地区を含めた大阪臨海部のイメージアップやPRにつなげることを目的としたBビルのライトアップが,大阪市の政策目標にも適うものであり,h地区のまちづくりを進める上でも必要不可欠なものであることなどから,その高い公益性に鑑み,大阪市は,B社との間でB協定を締結し,B社が行うライトアップ設備の維持管理に関する費用につき,負担金を支出しているものである。 (4) 電気料金単価について原告らは,負担金の算定における電気料金単価が高額にすぎる旨主張するが,22.3円/KWhという電気料金単価は,Bビルにおいて一律に適用されている単価であり,大阪市の負担金の算定に際して恣意的に用いられているものではない。オフィスビル等において,受電設備の償却費負担等の関係で電気料金単価が異なることは通常のことであるし,Bビル開業時の類似オフィスビルの電気料金単価と比較しても,Bビルの電気料金単価は何ら不合理なものではない。 3 C社に対する補助金支出の違法性(請求3(2)関係)(原告らの主張)大阪市のC社に対する補助金はいわば倒産企業の尻拭い処理に使われており,公益 何ら不合理なものではない。 3 C社に対する補助金支出の違法性(請求3(2)関係)(原告らの主張)大阪市のC社に対する補助金はいわば倒産企業の尻拭い処理に使われており,公益事業の経費の一部を補助するものではないから,地方自治法232条の2の「公益上の必要がある場合」には該当しない。 (被告の主張)(1) C社は,前述のとおり,大阪市の行政目的を担う公共的役割を果たすために設立された第三セクターであり,現に公益性の高い事業を行っている。すなわち,C社は,qの管理運営事業を通じて大阪市の公共施策に多大な貢献を行っているばかりか,都市再生の拠点として位置付けられているn地区における総合調整機能を果たし,n地区の集客効果や周辺施設の立地ポテンシャルの向上にも寄与している。 大阪市は,このようなC社が行っている公益性の高い事業に対し,q内公的施設管理運営補助金を交付している。この補助金の交付の目的,内容等は以下に述べるとおりであり,地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」に該当するものであって,支出権者の判断に裁量権の逸脱又は濫用が認められる余地はない。 (2) q内公的施設管理運営補助金は,q内公的施設管理運営補助要綱に基づき支出される補助金であり,qの公的機能を維持することを目的とする(同要綱1条)。補助対象事業は,q内に設置された公的施設(特に非収益性・低収益性を有する「公共バスターミナル」,「世界旅の情報ステーション」及び「公共通路」)の管理運営事業である(同要綱2条)。 公共バスターミナル等の公的施設は,空港バス及び都市間高速バスのターミナルとして定着し,年間151万人もの国内外からの来訪者の交通拠点施設となっているだけでなく,世界各国の観光情報・生活情報・ 公共バスターミナル等の公的施設は,空港バス及び都市間高速バスのターミナルとして定着し,年間151万人もの国内外からの来訪者の交通拠点施設となっているだけでなく,世界各国の観光情報・生活情報・安全情報などを入手できる情報センター機能も併せ持ち,さらに,他の鉄道駅や地下鉄と地下通路でつながっていることにより,交通の円滑化や集客効果を発揮しながら今日に至っている。 大阪市は,以上の諸事情を総合的に勘案し,公益性の高いq内にあってとりわけ公共性が高く,非収益性・低収益性の顕著な公的施設を対象に,その運営管理に係る経費の一部について補助金を交付しているものである。 4 補助金又は負担金に関する各請求権の成否(1) P1の故意又は過失(請求1(2)ア,2(2)ア,3(2)ア関係)(原告らの主張)当時の大阪市長であるP1には,各局長が違法に補助金又は負担金の支出決定をしたことにつき,少なくとも過失がある。 (被告の主張)争う。 (2) 本件3社の不当利得の有無(請求1(2)ア,2(2)ア,3(2)ア関係)(原告らの主張)本件3社に対する補助金交付決定及び負担金交付決定が違法であるならば,これらの交付が法律上の原因なく行われたことになる。 (被告の主張)本件3社に対する補助金交付決定及び負担金交付決定は,仮にこれが違法であったとしても,私法上無効ではないから,大阪市は本件3社に対する不当利得返還請求をすることはできない。
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