平成26(ワ)19447 特許権侵害差止等請求権不存在確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年3月24日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-84974.txt

キーワード

判決文本文16,442 文字)

- 1 -平成27年3月24日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第19447号特許権侵害差止等請求権不存在確認等請求事件口頭弁論終結日平成27年3月5日判決東京都新宿区<以下略>原告株式会社CFTEC 同訴訟代理人弁護士古田利雄鈴木理晶東京都千代田区<以下略>被告特定非営利活動法人日本ビデオアルバム協会同訴訟代理人弁護士草場理津子同補佐人弁理士野田茂伊東啓 主文 1 被告が,原告に対し,特許第4743829号の特許権に基づき,別紙技術目録記載のコピーガード済み光記録媒体を生産し,譲渡する行為を差し止める権利を有しないことを確認する。 2 被告が,原告に対し,特許第4743829号の特許権に基づき,別紙物件目録記載1の光記録媒体を販売する行為及び同2のソフトウェアを利用許諾する行為を差し止める権利を有しないことを確認する。 3 被告は,原告が別紙技術目録記載のコピーガード済み光記録媒体を製造し,頒布する行為,- 2 -別紙物件目録記載1の光記録媒体を第三者に販売する行為及び同2のソフトウェアを利用許諾する行為が特許第4743829号の特許権を侵害する旨を第三者に告知してはならない。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告が,発明の名称を「記録媒体」とする特許権(以 4 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告が,発明の名称を「記録媒体」とする特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である被告に対し,(1) 別紙技術目録記載のコピーガード済み光記録媒体の生産譲渡行為並びに上記光記録媒体を製造するための別紙物件目録記載1のコピーガード専用光記録媒体の販売行為及び同2のコピーガード用マスター作成ソフトウェアの利用許諾行為が本件特許権の侵害に当たらないと主張して,被告が原告に対し上記各行為の差止請求権を有しないことの確認を,(2) 被告が第三者に対して原告が本件特許権を侵害している旨を告知する行為が不正競争防止法2条1項14号に該当すると主張して,同行為の差止めを求める訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,ソフトウェアの開発,輸出入及び販売等を業とする株式会社である。被告は,DVD-Rコピーガードシステムの販売,ビデオアルバムの制作等を行う特定非営利活動法人である。 (2) 被告は,次のとおりの本件特許権を有している(以下,その特許を「本件特許」と,特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」という。)。 - 3 -特許番号特許第4743829号発明の名称記録媒体優先日平成16年7月5日出願日平成16年10月29日登録日平成23年5月20日(3) 本件特許権の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり,請求項2~4は請求項1の従属項である(以下,請求項1~4の発明を併せて「本件各発明」という 平成23年5月20日(3) 本件特許権の特許請求の範囲請求項1の記載は次のとおりであり,請求項2~4は請求項1の従属項である(以下,請求項1~4の発明を併せて「本件各発明」という。)。 「 ディスク状基材の記録面にデジタルデータが記録された記録媒体であって,少なくとも1つのプログラムファイル内に,デジタルデータが記録された記録領域と共にデータの複製が不可能な読取不可領域が設けられ,前記読取不可領域を回避して前記記録領域に記録されたデジタルデータを再生するための再生制御用のデジタルデータが記録された再生用のプログラムファイルを備え,前記記録領域には,前記デジタルデータとして所定長さを有する記録ピットが所定間隔で配列され,前記読取不可領域には,認識不可能なデータとして,当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さを有するピットが配置されている部分を有し,前記記録領域に設けられた記録ピットおよび前記読取不可領域に設けられたピットは,前記記録面に設けられた反射率を変化させた部分によって構成されていることを特徴とする記録媒体。」(4) 請求項1の発明を構成要件に分説すると,以下のとおりとなる(以下,各構成要件を「構成要件A」などという。)。 A ディスク状基材の記録面にデジタルデータが記録された記録媒体であって,B 少なくとも1つのプログラムファイル内に,デジタルデータが記録された記録領域と共にデータの複製が不可能な読取不可領域が設けられ,- 4 -C 前記読取不可領域を回避して前記記録領域に記録されたデジタルデータを再生するための再生制御用のデジタルデータが記録された再生用のプログラムファイルを備え,D 前記記録領域には,前記デジタルデータとして所定長さを有する記録ピットが所定間隔で れたデジタルデータを再生するための再生制御用のデジタルデータが記録された再生用のプログラムファイルを備え,D 前記記録領域には,前記デジタルデータとして所定長さを有する記録ピットが所定間隔で配列され,E 前記読取不可領域には,認識不可能なデータとして,当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さを有するピットが配置されている部分を有し,F 前記記録領域に設けられた記録ピットおよび前記読取不可領域に設けられたピットは,前記記録面に設けられた反射率を変化させた部分によって構成されているG ことを特徴とする記録媒体。 (5) 原告は,業として,不正な複製を防止するためのコピーガードを施した光記録媒体(以下「原告コピーガード済み光記録媒体」という。)を生産し,譲渡している。また,原告コピーガード済み光記録媒体を製造するために用いられる別紙物件目録記載1(1)の商品名のコピーガード専用光記録媒体(以下「原告専用記録メディア」という。)を販売し,同2(1)の商品名のコピーガード用マスター作成ソフトウェア(以下「原告マスター作成ソフトウェア」という。)の利用許諾をしている。 なお,原告が,原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアはそれぞれ同目録記載1(2)及び2(2)の構造を有しており,原告コピーガード済み光記録媒体は別紙技術目録記載の光記録媒体として特定される旨(すなわち,記録媒体は誤り訂正プログラムを保有せず,再生装置が保有する誤り訂正プログラムが正常に作動しないように構成されている旨)主張するのに対し,被告はこれを否認し,誤り訂正プログラムが記録媒体に保有されている旨主張している。 - 5 -(6) 被告は,原告に対し,平成25年12月25日付け通知書を送付して,原告が本件特許権を侵 対し,被告はこれを否認し,誤り訂正プログラムが記録媒体に保有されている旨主張している。 - 5 -(6) 被告は,原告に対し,平成25年12月25日付け通知書を送付して,原告が本件特許権を侵害していると考えられる旨通知した。また,原告から原告専用記録メディアを仕入れ,原告マスター作成ソフトウェアの利用許諾を受けてこれらの販売及び許諾をしている業者2社(以下「原告取引先」という。)に対し,同日付け通知書を送付して,原告取引先が本件特許権を侵害していることが判明したとして,① 今後は被告のコピーガードシステムを使用し,コピーガード用の専用ディスクを被告から仕入れること,②原告取引先がコピーガードに用いる専用ディスク等の仕入先も本件特許権を侵害していると考えられるので,その仕入先を回答すること,③ 原告取引先の販売先も本件特許権を侵害していると考えられるので,その販売先,販売数量等を回答することなどを求める旨の通知(以下「本件通知」という。)をした。(甲3,4,7~9) 2 争点(1) 原告コピーガード済み光記録媒体の構成要件Eの充足性(構成要件A~D,F及びGの充足性については争いがない。)(2) 原告専用記録メディアの販売及び原告マスター作成ソフトウェアの利用許諾による本件特許権の間接侵害の成否(3) 本件通知の不正競争防止法2条1項14号該当性 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(原告コピーガード済み光記録媒体の構成要件Eの充足性)について(被告の主張)ア本件各発明の記録媒体は,規格に準拠したDVDに読取不可領域を設定したことにより規格外のDVDと認識されるが,当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが長さLeのピットが存在する読取不可領域を見つけて作動することにより正規のDVD規格に修復 に読取不可領域を設定したことにより規格外のDVDと認識されるが,当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが長さLeのピットが存在する読取不可領域を見つけて作動することにより正規のDVD規格に修復し,更に読込不可- 6 -領域を読み込まないようにすることで通常どおり再生される。他方,本件各発明の記録媒体を違法複製する場合には,読取不可領域が記録媒体に搭載されているため,記録媒体に搭載されている誤り訂正プログラムで「読取不可領域」をDVD規格に修復するものの,読取不可領域に設置された「異常な長さや反射率をもつピット」は修復できないので,読み込みが停止される。これが本件各発明の技術内容であり,本件各発明の記録媒体は,上記構成を採用することで,特別な再生装置あるいは再生装置側に特殊なプログラムを設置することなく正規DVDとして再生され,かつ,コピーガードという特殊機能を有することになるのである。 「誤り訂正プログラム」とは,DVDの正常な再生を阻害する要因を排除するためのプログラムを一般的に意味しており,被告が主張するものに限られない。本件明細書には,本件各発明の記録媒体が特別な再生装置を必要とせずに再生できることが記載されており,DVDとして再生できるようなプログラムが存在することが前提とされているほか,記録媒体の記録面にキズなどが入った場合に動作する誤り訂正用プログラム「など」が収納されていると記載され,「のみ」とは記載されていない。本件各発明の「誤り訂正プログラム」は,DVD規格には本来存在しない読取不可領域を正規DVDと認識し再生するプログラムを除外していないのである。被告は,本件特許に関する無効審判においても,「誤り訂正プログラム」の意味をECC内の誤り訂正用のデータであるパリティデータに限定するわけではない旨を述べて するプログラムを除外していないのである。被告は,本件特許に関する無効審判においても,「誤り訂正プログラム」の意味をECC内の誤り訂正用のデータであるパリティデータに限定するわけではない旨を述べている。 したがって,構成要件Eの「当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラム」とは,DVDの正常な再生を阻害する要因を排除するプログラム,すなわち,当該記録媒体をDVD規格に修復するプログラムをいい,「誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さを有するピット」とは,一定の長さと反射率(構成要件F)を有するためにDVD規格上の誤り- 7 -を修正するプログラムが完結できず再生できなくなるピットをいうと解釈されるべきである。 イ被告の実験によれば,原告コピーガード済み光記録媒体は,読取不可領域を配置している結果,正規のDVDの規格ではなくなっており,通常に再生できない「誤り」を保有しているが,その「誤り」を訂正するプログラムを保有させ,通常再生が可能となるようにしている。 その上で,読取不可領域となる部分にレーザー加工で読取可能領域とは異なる長さないし間隔のキズ(ピット)を配置し,その上に動画を読取不可領域に上書きし,キズを上書きすることによってDVDには大きなキズがないと認識させ,更に本体映像を再生する際には読取不可領域全体をジャンプするよう再生プログラムが備えられている。 したがって,原告コピーガード済み光記録媒体は,「誤り訂正プログラム」と「誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さのピットが配置されている部分」を有しているから,構成要件Eを充足し,本件各発明の技術的範囲に属する。 (原告の主張)ア原告コピーガード済み光記録媒体は,別紙技術目録記載の技術による光記録媒体として特定されるものであり,構成要件Eの「当該記 成要件Eを充足し,本件各発明の技術的範囲に属する。 (原告の主張)ア原告コピーガード済み光記録媒体は,別紙技術目録記載の技術による光記録媒体として特定されるものであり,構成要件Eの「当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さを有するピット」の構成を有しない。 すなわち,「誤り訂正プログラム」とは,技術的一般常識上,ディスク及びドライブ上の共通規格であり,論理記録方式(DVDの場合はECCブロックによる方法)に対応して,記録不良,ディスクの傷等によって読取エラーが発生した場合に,正しいデータに復元するプログラムをいう。このような「誤り訂正プログラム」は,記録されているコンテンツがPDF等のデータファイルなのか,DVDビデオ用の動画ファイ- 8 -ルなのかなどに関係なく,同一規格のドライブ装置により共通の動作をする。これに対し,被告の主張するものは,DVDビデオを再生するためにのみ用いられるDVDビデオ規格上のプログラムであるか,又はCell等のDVDビデオ規格上の単なるデータである。 また,「誤り訂正プログラムが作動しない範囲以上の長さ」とは,誤り訂正プログラムが作動しない,すなわち,誤り訂正が不可能となる長さを指している。そうすると,「誤り訂正プログラム」が被告の主張するとおりであるとすると,DVDビデオとして認識されなくなるはずである。 イしたがって,原告コピーガード済み光記録媒体は,構成要件Eを充足せず,本件各発明の技術的範囲に属しない。 (2) 争点(2)(原告専用記録メディアの販売及び原告マスター作成ソフトウェアの利用許諾による本件特許権の間接侵害の成否)について(被告の主張)原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアは本件各発明を実施するために用いられるもの 告マスター作成ソフトウェアの利用許諾による本件特許権の間接侵害の成否)について(被告の主張)原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアは本件各発明を実施するために用いられるものであるから,その販売及び利用許諾は本件特許権を侵害するものとみなされる。 (原告の主張)争う。原告コピーガード済み光記録媒体が本件各発明の技術的範囲に属しない以上,原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアについて本件特許権の間接侵害が成立することはない。 (3) 争点(3)(本件通知の不正競争防止法2条1号14号該当性)について(原告の主張)前記(1)及び(2)の(原告の主張)のとおり,原告は本件特許権を侵害していないから,本件通知は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に当たる。 - 9 -(被告の主張)争う。原告は本件特許権の侵害行為をしている。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(原告コピーガード済み光記録媒体の構成要件Eの充足性)について(1) 原告が,原告コピーガード済み光記録媒体は,当該記録媒体ではなく,再生装置が保有する誤り訂正プログラムが正常に作動しないように構成されているから,構成要件Eの「当該記録媒体が保有する誤り訂正プログラム」を充足しない旨主張するのに対し,被告は,構成要件Eにいう「誤り訂正プログラム」とはDVDの正常な再生を阻害する要因を排除するプログラム(当該記録媒体をDVD規格に修復するプログラム)を意味するものであり,原告コピーガード済み光記録媒体はそのようなプログラムを具備しているから,構成要件Eを充足する旨主張する。そこで,構成要件Eにいう「誤り訂正プログラム」の意義について検討することとする。 (2) まず,本件各発明の特許請求の範囲には単に「誤り訂正プ を具備しているから,構成要件Eを充足する旨主張する。そこで,構成要件Eにいう「誤り訂正プログラム」の意義について検討することとする。 (2) まず,本件各発明の特許請求の範囲には単に「誤り訂正プログラム」と記載されており,いかなる誤りをどのように訂正するかは特定されていない。そこで,本件明細書(甲1)の発明の詳細な説明をみると,以下の趣旨の記載があることが認められる。 ア技術分野,背景技術及び解決しようとする課題本件各発明は,音楽,映像等のデジタル情報を記録したディスク状の記録媒体(CD,DVD等)に関する。これらの記録媒体に記録されたデータを読み出して他の記録媒体にデータを記録することは容易であるため,不正コピーを防止する技術として,秘密鍵を用いて暗号化するもの,記録媒体に設けたコピー禁止のビットを検出する機構を再生装置に設けたものなどが採用されてきたが,暗号の流出又は解読があった場合やコピー禁止を回避する再生装置が出現した場合にはコピーを防止できない,再生装置- 10 -の機種が限定されるなどの問題があった。本件各発明は,特別な再生装置を必要とせず,一般的な再生装置を用いて再生が可能でありながら,不正コピーを確実に防止することが可能なデジタル情報の記録媒体を提供することを目的とする。(段落【0001】~【0012】)イ課題を解決するための手段本件各発明は,上記課題を解決するため,ディスク状基材の記録面にデジタルデータが記録された記録媒体に関し,少なくとも1つのプログラムファイル内に,データの複製が不可能な読取不可領域を設けたことを特徴とする。このような構成の記録媒体では,この読取不可領域がデータの認識を不可能とする構成となっているため,パーソナルコンピュータ等でプログラムファイルを複製しようとした場合, 領域を設けたことを特徴とする。このような構成の記録媒体では,この読取不可領域がデータの認識を不可能とする構成となっているため,パーソナルコンピュータ等でプログラムファイルを複製しようとした場合,プログラムファイル全体を認識することができず,コンピュータへのプログラムファイルの読み込みが不可能となり,その複製をすることができない。他方,この記録媒体は,読取不可領域を回避して記録領域に記録されたデジタルデータを再生するための再生制御用のデジタルデータが記録された再生用のプログラムファイルを備えることにより,読取不可領域を回避してコンテンツが再生されるようになっている。(段落【0013】~【0015】)ウ発明を実施するための最良の形態(ア) 本件各発明の記録媒体には,複数のプログラムファイルが収納されている。例えば,映画等の映像情報を記録したDVDであれば,本編のコンテンツが記録されたプログラムファイル(コンテンツファイル)と共に,これに収納されたコンテンツデータを再生するための再生制御データが記録されたプログラムファイル(再生制御ファイル),再生部を選択するためのメニュー画面用のプログラムファイル(メニュー画面用ファイル),最初に表示されるファーストプレイ用のプログラムファイル(ファーストプレイ用ファイル),更には記録媒体の記録面にキズな- 11 -どが入った場合に動作する誤り訂正用のプログラムファイル(誤り訂正ファイル)などが収納されている。(段落【0020】)(イ) コンテンツファイルは,コンテンツデータが記録された複数の記録領域及び各記録領域の前に設けられたチャプタ領域を備えている。読取不可領域は,コンテンツファイル内に少なくとも1か所設けられていればよく,先頭の記録領域の前に設けられても,他の記録領域との間に設 録領域及び各記録領域の前に設けられたチャプタ領域を備えている。読取不可領域は,コンテンツファイル内に少なくとも1か所設けられていればよく,先頭の記録領域の前に設けられても,他の記録領域との間に設けられてもよい。(段落【0022】)(ウ) 読取不可領域は,データの読み取りが不可能な領域として設けられている。当該記録媒体が再生専用型光ディスクである場合,情報の識別は記録ピットの周期を利用した「0」と「1」のデジタル信号で行われるが,パーソナルコンピュータ等の読み取り装置では,この周期(周波数変換)が検出されない領域は正常な領域ではないと判断されて読み取り作業が中断されるため,読み取りが不可能な領域となる。(段落【0026】,【0027】)(エ) この読取不可領域は,例えば,少なくとも再生装置の訂正信号が作動しない十分な長さのピットが配置されている領域として構成されている。再生装置の訂正信号は,記録媒体の誤り訂正ファイルに記録されている誤り訂正プログラムによって作動する。したがって,上記ピットは,記録媒体が保有する誤り訂正プログラムが作動する範囲以上の長さとなっている。(段落【0028】)(オ) この記録媒体に収納された再生制御ファイルには,コンテンツファイルに設けられた読取不可領域を回避し,記録領域に記録されたデジタルデータのみが再生されるように再生用のプログラムが記録されている。 記録媒体を再生装置にセットすると,再生制御ファイルに記録された再生制御データに基づいて再生されるので,読取不可領域を経由することなく再生することができる。これに対し,パーソナルコンピュータ等の- 12 -読取装置にコンテンツファイルを読み込もうとした場合には,記録媒体に記録されたプログラムファイルをそのまま読み取ってコピーするため,プログラ 。これに対し,パーソナルコンピュータ等の- 12 -読取装置にコンテンツファイルを読み込もうとした場合には,記録媒体に記録されたプログラムファイルをそのまま読み取ってコピーするため,プログラムファイルに読取不可領域が存在した場合,プログラムファイルが物理的に分断され,不良ディスクと認識することにより読み込み自体が中断される。この結果,特別な再生装置を必要とすることなく,他の記録媒体に対してのコンテンツデータのコピーを完全に防止することができる。(段落【0032】,【0048】~【0054】)(3) 上記本件明細書の記載によれば,「誤り訂正プログラム」とは,記録媒体の記録面にキズなどが入った場合に動作するものであって,そのような場合にも記録媒体の再生を可能にするプログラムであると解釈することができる。 (4) これに加え,証拠(甲2)及び弁論の全趣旨によれば,① 本件特許の出願(優先日。以下同じ。)当時,ピット列中の連続するいくつかのピットをレーザビーム照射で破壊することにより,再生装置の訂正機能により復元することが不可能であるように破壊された部分を有する光記録媒体(特開2003-338050号公報),光ディスクに多少の傷やデータの欠損があっても再生できるようなエラー訂正機能を備えた再生装置により訂正することができない大きさのデータの欠損を設けた光ディスク(特開2003-296937号公報)が公知であったこと,② 本件特許については無効審判が請求されたが,本件各発明と引用発明(特開2000-231759号公報。正常な読み出しができない不良部分に形成される正常なピットとは異なるピットを,読取装置が保有する誤り訂正プログラムが作動しない長さとした記録媒体)は,誤り訂正プログラムの保有場所が記録媒体であるか読取装置であるかの点で い不良部分に形成される正常なピットとは異なるピットを,読取装置が保有する誤り訂正プログラムが作動しない長さとした記録媒体)は,誤り訂正プログラムの保有場所が記録媒体であるか読取装置であるかの点で相違し,この点につき本件各発明の進歩性が認められるとして,無効審判請求を不成立とする審決がされたことが認められる。 - 13 -上記事実関係によると,本件特許の出願当時,光記録媒体の技術分野において,「誤り訂正プログラム」とは,ディスクの傷やピットの破壊その他データの欠損といった「誤り」があるために再生装置が正常な読み出しを行えない場合に,その「誤り」を訂正して光記録媒体の再生を可能にする機能を有するプログラムをいうと理解されていたと認められる。このような理解は,上記(2)及び(3)の本件明細書の記載に基づく「誤り訂正プログラム」の解釈に沿うものである。 (5) これに対し,被告は「誤り訂正プログラム」の意義につき前記(1)のとおり主張するが,本件明細書にそのような解釈を基礎付け,又は示唆する記載は見当たらず(前記段落【0020】の「誤り訂正用のプログラムファイル(誤り訂正ファイル)」に続く「など」は,記録媒体に収納されるプログラムファイルが誤り訂正プログラム以外にも存在することを示すものであり,記録面にキズなどの「誤り」が入った場合以外に動作する「誤り訂正プログラム」があることを記載したものとは解し難い。),また,本件特許の出願当時,被告が主張するような機能を有する「誤り訂正プログラム」が存在したことを示す証拠はない。 したがって,被告の主張を採用することはできず,別紙技術目録記載の原告コピーガード済み光記録媒体は,構成要件Eの「誤り訂正プログラム」を備えていないものとして,本件各発明の技術的範囲に属しないと判断するのが相当 告の主張を採用することはできず,別紙技術目録記載の原告コピーガード済み光記録媒体は,構成要件Eの「誤り訂正プログラム」を備えていないものとして,本件各発明の技術的範囲に属しないと判断するのが相当である。 (6) 前記前提事実(6)によれば,被告は原告及び原告取引先に対し本件特許権の侵害がある旨通知しているのであるから,原告による差止請求権不存在確認請求については,確認の利益がある。 (7) 以上によれば,原告コピーガード済み光記録媒体の構成が別紙技術目録記載のとおり特定されることを前提に,その生産及び譲渡につき本件特許権に基づく差止請求権が存在しないことの確認を求める原告の請求は,理- 14 -由がある。 2 争点(2)(原告専用記録メディアの販売及び原告マスター作成ソフトウェアの利用許諾による本件特許権の間接侵害の成否)について争点(1)について判示したとおり,原告コピーガード済み光記録媒体は本件各発明の技術的範囲に属しないから,原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアについて本件特許権の間接侵害を認める余地はない。 また,上記1(6)と同様,原告の請求については確認の利益がある。 したがって,原告専用記録メディア及び原告マスター作成ソフトウェアの構成がそれぞれ別紙物件目録記載1及び2の各(2)のとおり特定されることを前提に,原告専用記録メディアの販売及び原告マスター作成ソフトウェアの利用許諾につき本件特許権に基づく差止請求権が存在しないことの確認を求める原告の請求は,いずれも理由がある。 3 争点(3)(本件通知の不正競争防止法2条1項14号該当性)について(1) 前記前提事実(6)のとおり,被告は原告取引先に対し本件通知をしたところ,前記1及び2によれば原告が本件特許権を侵害した事実はなく,原告 件通知の不正競争防止法2条1項14号該当性)について(1) 前記前提事実(6)のとおり,被告は原告取引先に対し本件通知をしたところ,前記1及び2によれば原告が本件特許権を侵害した事実はなく,原告専用記録メディアの販売及び原告ソフトウェアの利用許諾が本件特許権の間接侵害となることもないから,本件通知は虚偽の事実を告知するものということができる。なお,原告取引先に対する通知書に原告の会社名等は明示されていないが,これを受領した原告取引先においては,通知書に記載された「仕入先」が原告を指しており,本件通知が原告に関するものであることを当然に認識し得たと認められる。 (2) また,以上に説示したところによれば,原告と被告がコピーガード用記録媒体の製造販売に関して競争関係にあること,本件通知が原告の営業上の信用を害することは明らかである。そして,本件訴訟の経過に照らすと,被告が,今後も原告の他の取引先等に対し,原告コピーガード済み光記録媒体の製造販売,原告専用記録メディアの販売及び原告ソフトウェアの利用許諾- 15 -の各行為が本件特許権を侵害する旨告知するおそれがあると解される。 (3) したがって,被告の行為は不正競争防止法2条1項14号に該当すると認められるから,原告は,同法3条1項に基づき,被告に対し,上記の告知をすることの差止めを求めることができる。 第4 結論よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官髙橋彩 裁判官植田裕紀久- 16 -(別紙)技術目録【解決すべき課題】通常にオーサリングされたムービーの光記録媒体(マスター)から、 裁判官植田裕紀久- 16 -(別紙)技術目録【解決すべき課題】通常にオーサリングされたムービーの光記録媒体(マスター)から、マスターと何ら異なること無く一般に普及している再生装置で再生可能であって、しかも不正コピーを防止できる光記録媒体を提供すること。 【原告コピーガード済み光記録媒体の技術構成】A ディスク状基材の記録面にデジタルデータが記録された記録媒体であって、B 少なくとも1つのプログラムファイル内に、デジタルデータが記録された記録領域と共にデータの複製が不可能な読取不可領域が設けられ、C 前記読取不可領域を回避して前記記録領域に記録されたデジタルデータを再生するための再生制御用のデジタルデータが記録された再生用のプログラムファイルを備え、D 前記記録領域には、前記デジタルデータとして所定の長さを有する記録ピットが所定間隔で配列され、E 前記読取不可領域には、認識不可能なデータとして、当該記録媒体の再生装置が保有する誤り訂正プログラムが正常に作動することができないパターンのピットが配置されている部分を有し、F 前記記録領域に設けられた記録ピット及び前記読取不可領域に設けられたピットは、前記記録面に設けられた反射率を変化させた部分によって構成されているG ことを特徴とする記録媒体。 【原告コピーガード済み光記録媒体の製造手段】原告コピーガード済み光記録媒体の製造者は、通常の再生装置で再生可能な状態- 17 -にオーサリングされたDVDビデオディスクおよびBDムービーディスクの記録データから、コピーガード用マスター作成ソフトウェアを用いてコピーガード用マスターデータを生成し、これをコピーガード専用記録メディアに記録すること DVDビデオディスクおよびBDムービーディスクの記録データから、コピーガード用マスター作成ソフトウェアを用いてコピーガード用マスターデータを生成し、これをコピーガード専用記録メディアに記録することで、原告コピーガード済み光記録媒体を製造できる。 【発明の効果】原告コピーガード済み光記録媒体は、一般に普及している再生装置でマスターと何ら異なることなく再生される。一方でPC等を用いて不正コピーしようとすれば、読取装置は読取不能領域を複製しようとする際に誤り訂正不能となり動作を停止するから、不正コピーできない、という効果を有する。 更に、原告記録媒体を生産しようとする者は、通常の(コピーガードされていない)ムービーの光記録ディスクを作成し、コピーガード用マスター作成ソフトウェアによってコピーガード用マスターデータを自動的に生成し、これをコピーガード専用記録メディアに記録すれば、原告コピーガード済み光記録媒体を生産でき、コピーガードを施すために特殊な編集・オーサリングをする必要がないため、比較的容易に、コピーガード済み光記録媒体の生産が利用可能である。 【発明の詳細な説明】光記録媒体では、図1aに示すように、ディスクの内側から外側に向けて、螺旋状に記録帯が形成されている。従って、光記録媒体に記録されるデータの配置は、この螺旋に沿って1次元的に捉えればよく、以後の説明図では、左から右への方向を記録方向として示す。 追記型光記録メディアでは、記録するデータを表すピットパターンをレーザー照射によって形成する。即ち、当該メディアの感光材に、書込み可能な強度のレーザーを照射して光の反射率を変化させることによってピットを形成し(図1b)、記録後に読取可能な強度のレーザーを照射して、その反射波を測定すること- 18 -によって、記録 書込み可能な強度のレーザーを照射して光の反射率を変化させることによってピットを形成し(図1b)、記録後に読取可能な強度のレーザーを照射して、その反射波を測定すること- 18 -によって、記録したデータを読み出しできる。記録用のピットの長さは、CD,DVD,BDなどの各規格によって厳密に規定されている。ディスク表面の傷や記録不良等によって、一部のピットが規格の範囲内のピットとして認識されなくても、その不良割合が一定以下であれば、高速処理可能なように再生装置のハードウェア回路内に構成された誤り訂正プログラムによって誤り訂正され、データは正常に読み出しされる。 本発明のコピーガード専用記録メディアでは、読取不可領域とする部分に、予め規格外のピットを連続して形成してある(図2)。このコピーガード専用記録メディアに通常の記録装置でデータを記録すると、読取不可領域では、前記規格外のピットに対し、データの記録ピットが上書きされる。前記規格外のピットが十分な反射率変化と繰り返しパターンによって形成されていれば、読取装置は上書きされたデータ記録ピットを正常に読み出すことができず、誤り訂正不能となり、読取装置の動作は停止する。 このため、通常の再生を可能とするためには、読取不可領域を回避して再生することが必要となる。 マスターデータは、再生手順情報、メニュー画像等のデータ、ならびに本編動画データ等から構成されている。再生装置は、最初に再生手順情報等を読み取り、この情報に基づいて、メニュー画像の表示や、動画データの再生表示を行う。 コピーガード用マスター作成ソフトウェアは、マスターデータに対し、コピーガード用マスターデータの中に、前期読取不可領域に該当する部分を余裕をもってカバーする配置構成にダミーデータを埋め込み、更に、マスターの再生手順情報 作成ソフトウェアは、マスターデータに対し、コピーガード用マスターデータの中に、前期読取不可領域に該当する部分を余裕をもってカバーする配置構成にダミーデータを埋め込み、更に、マスターの再生手順情報を、このダミーデータ部分をスキップして再生するように、コピーガード用再生手順情報に改変する(図3)。 コピーガード専用記録メディアには、前記読取不可領域に、予め再生装置が誤り訂正できないパターンの規格外ピットが記録されているが、通常の記録装置によってデータを記録する(図4)のと全く同様に、通常の記録装置で書込み(上- 19 -書き)可能(図5)なように調整されている。原告コピーガード済み光記録媒体を製造する際には、この規格外ピットが配置されている読取不可領域に対し、前記ダミーデータが上書きされるよう記録される。規格外ピットが配置されている部位に対し、ダミーデータに相当する誤り訂正可能であって再生可能なピットが記録されても、先に記録された規格外ピットの影響によって、読取不可領域に最終的に記録されたピットは、再生装置によって誤り訂正不能と判定され、読取動作が停止する。 原告コピーガード済み光記録媒体を通常に再生する場合は、前記ダミーデータ部分を回避して再生するよう、再生手順情報が改変されているから、再生エラーは発生しない(図6)ため、一般に普及している通常の再生装置で再生可能である。 一方で、原告コピーガード済み光記録媒体に記録されたデータをPC等で複製しようとすれば、前記読取不可領域を読み取ろうとする際に、読取装置は誤り訂正不能となり、動作が停止するので、不正コピーを防止できる。 - 20 -【発明の解説図】【図1a.光記録媒体の記録形態】 【図1b.光記録媒体の記録方式】 反射率記録方向反射率記録 止するので、不正コピーを防止できる。 - 20 -【発明の解説図】【図1a.光記録媒体の記録形態】 【図1b.光記録媒体の記録方式】 反射率記録方向反射率記録方向記録前記録後データ記録のピットデータは、螺旋状の記録帯に沿って、ディスクの内側から外側に向けて、1次元的に記録される- 21 -【図2.コピーガード専用記録メディアへの記録】 【図3.コピーガード用マスターの作成】 メニュー画像等本編動画データ①②再生手順情報①→②マスターの例自動変換コピーガード用マスター作成ソフトウェアメニュー画像等本編動画データダミーデータ①②③コピーガード用マスターの例コピーガード用再生手順情報①→③反射率記録方向反射率記録方向記録前記録後予め形成された規格外のピット読取不可領域- 22 -【図4. 通常の記録メディアへのマスターデータの記録】 【図5.コピーガード専用記録メディアへのコピーガード用マスターデータの記録】 コピーガード専用記録メディ反射率反射率読取不可領域データ記録読取不可領域に該当する部分には、予め読取装置が誤り訂正不能となるパターンを有するピットを記録しておくメニュー画像等本編動画データダミーデータ①②③コピーガード用マスターデータコピーガード用再生手順情報①→③反射率反射率通常の記録メディデータ記録メニュー画像等本編動画データ再生手順情報記録方向記録方向- 23 -【図6. 原告コピーガード済み光記録媒体の再生と複製】 率反射率通常の記録メディデータ記録メニュー画像等本編動画データ再生手順情報記録方向記録方向- 23 -【図6. 原告コピーガード済み光記録媒体の再生と複製】 誤り訂正できないため、読取装置の動作は停止すメニュー画像等本編動画データダミーデータ①②③■原告コピーガード済み光許諾記録媒体の再■原告コピーガード済み光許諾記録媒体の複反射率読取不可領域コピーガード用再生手順情報①→③ダミーデータ部分の再生はスキップされるため、再生画面の表示は、通常のムービー記録ディスクと何ら変わらない- 24 -別紙)物件目録 1.光記録媒体(1)商品名・DVDRXPlatinum-NL コピーガード専用DVD‐R・DVDRXPlatinum3 コピーガード専用DVD‐R・BDRX コピーガード専用BD‐R(2)構造記録面の所定の位置に、再生装置が保有する誤り訂正プログラムが正常に作動することができないパターンのピットを予め記録したDVD-RディスクならびにBD‐Rディスク 2.ソフトウェア(1)商品名・DVDRXPlatinum-NL コピーガード用マスター作成ソフトウェア・DVDRXPlatinum3 コピーガード用マスター作成ソフトウェア・BDRX コピーガード用マスター作成ソフトウェア(2)構造原告の顧客が作成したDVD用およびBD用のムービーコンテンツのマスターデータに対し、前記所定の位置に該当する部分にダミーデータを埋め込み、当該ダミーデータが再生装置によって再生されないように、前記ムービーコンテンツ内の再生手順プログラムを調整した、コピーガード用マスターデータを生成する。 当する部分にダミーデータを埋め込み、当該ダミーデータが再生装置によって再生されないように、前記ムービーコンテンツ内の再生手順プログラムを調整した、コピーガード用マスターデータを生成する。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る