昭和46(ワ)5596等 全日本検数協会賃金カット

裁判年月日・裁判所
昭和53年8月9日 大阪地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 被告は原告らに対し、それぞれ別表一請求総額欄記載の金員及び右金員のうち同表 (イ)欄記載の金員に対する昭和四六年八月二六日から、同表(ロ)欄記載の金員 に対する昭和四八年六月二六日から、同

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判決文本文44,656 文字)

主文 被告は原告らに対し、それぞれ別表一請求総額欄記載の金員及び右金員のうち同表(イ)欄記載の金員に対する昭和四六年八月二六日から、同表(ロ)欄記載の金員に対する昭和四八年六月二六日から、同表(ハ)欄記載の金員に対する昭和五〇年五月二六日から、同表(ニ)欄記載の金員に対する昭和五二年三月二六日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 この判決は仮に執行することができる。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨主文と同旨。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 当事者被告は東京都に本部、大阪市ほか全国九か所に支部を置き、船積貨物の積込み、陸揚げの際行なうその貨物の個数ないし容積、重量の計算と証明を業(以下検数業務という)とする社団法人であり、原告らは被告の従業員として被告大阪支部に所属し、また、産業別労働組合である全日本港湾労働組合関西地方築港支部全日検分会(以下分会という)に所属する組合員である。 2 就業時間中の組合活動に対する賃金カツトの存在原告らは、別表二の△印記載の各日に前記分会の活動に従事するためその旨被告に届出て休業したところ、被告としては、このような場合の賃金については後記の理由により月額賃金の五〇分の一のカツト(以下五〇分の一カツトという)にとどめるべきであるのにかかわらず、被告はそれを越えて、月額の二五分の一の賃金カツトを行ない(以下二五分の一カツト、又は本件賃金カツトという)、結局原告らはいまだ合計にして別表一請求総額欄記載のとおりの受くべき賃金(二五分の一カツトと五〇分の一カツトとの差額)をえていない。 3 本件賃金カツトに至る経緯(一) 昭和三 賃金カツトという)、結局原告らはいまだ合計にして別表一請求総額欄記載のとおりの受くべき賃金(二五分の一カツトと五〇分の一カツトとの差額)をえていない。 3 本件賃金カツトに至る経緯(一) 昭和三三年四月一日施行の被告の就業規則二三条によると「就業時間中に組合運動……その他協会の業務に関係のない事由で就業しない時はこれを欠勤、遅刻、又は早退として取扱う。但し、不当労働行為となるものを除き労働組合と協定した場合はその協定による。」と規定され、附属規定七条によると「無届にて欠勤又は休務した場合は一日に付各人の月額の基準内賃金(本給、家族手当、役付手当)の二五分の一を減額する。理由を付して届出て欠勤又は休務した場合には各人の月額の基準内賃金の五〇分の一を減額するものとする。」と規定されていた。 (二) 右各規定を受けて、昭和三三年九月二五日、被告と当時分会が二重加盟していた企業内労働組合である全日本検数労働組合(以下全日検労組という)との間に、「就業時間中の組合活動に関する取扱」と題する協定が結ばれ(これに基づいて、更に被告大阪支部と全日検労組大阪支部分会との間に細部の取決めが行なわれた)組合執行委員会出席の場合はその旨を前日までに、拡大執行委員会、評議員会、代議員会に出席の場合はその旨を三日前までに、上部団体等の会議出席の場合はその旨を前日までにいずれも被告大阪支部長に届出ることを条件としてそれぞれ待機扱い(港湾荷役、検数業務を必要とする船舶入港が不確定で予測し難いため、それに備えて被告は相当人員を現実の業務につけることなく待機させるのが通常で、その人数の中に組み入れる扱いをすること)とし、賃金カツトをしない取扱いが行なわれ、実際には右取決めにかかる待機扱いは右所定の場合のみならず、組合活動一般に及ぼされ、すべて待機扱いとされてきた。 (三 の人数の中に組み入れる扱いをすること)とし、賃金カツトをしない取扱いが行なわれ、実際には右取決めにかかる待機扱いは右所定の場合のみならず、組合活動一般に及ぼされ、すべて待機扱いとされてきた。 (三) 分会では昭和三〇年代から昭和四八年一月二七日まで、分会員が就業時間中に組合活動をする場合は、その氏名、組合活動の内容、日時、場所を明示し、分会長名で被告大阪支部長宛に右組合員の「配置の便宜をお計り下さい」と記載した申入書で事前に届出をなし、同四八年二月一日からは全日本港湾労働組合関西地方築港支部執行委員長と分会長の連名で右同趣旨の内容を記載した申入書により事前の届出をなし(右申入書の提出によつて、被告は従業員の作業配置と業務遂行の障害を避けることが可能となる)、当該分会員は必らず右内容通りの組合活動に従事し、被告もこれを許容してきたものである。 (四) 昭和三四年冬期一時金の支給をめぐる紛争(不当労働行為救済申立事件)において、大阪地労委は昭和三五年七月九日、「使用者は、業務の特殊性に鑑み、申立人が予め届出をし、使用者の承認を得た場合に限り、申立人組合員の待機時間中の組合活動を認める」との勧告を出し、被告もこれを受けて、その後も前記の取扱いは何らの変更がなされなかつた。 (五) 被告は昭和三五年八月三一日、前記協定を三ケ月後の同年一一月二九日限り失効させる旨の通告をなし、右通告後待機中の組合活動を認める(賃金保障)一方、執行委員会等の諸会議につき賃金不支給を前提として会議出席を認めることを骨子とする「就業時間中の組合活動について、組合活動に関する協定(案)」を分会に提案したが、分会の拒否に会い、妥結に至らなかつた。そして、就業時間中の組合活動に関する賃金取扱いは被告各支部の実情に合わせた処理に委ねられることとなり、大阪支部においてはこの協定 (案)」を分会に提案したが、分会の拒否に会い、妥結に至らなかつた。そして、就業時間中の組合活動に関する賃金取扱いは被告各支部の実情に合わせた処理に委ねられることとなり、大阪支部においてはこの協定破棄以降も賃金取扱いに何らの変更もなかつた。 (六) ところが、昭和三〇年代の後半、日本経済の高度成長下に港湾整備が進められ、港湾荷役の取扱量が増大するにつれて被告の事業も拡大し、それに伴つて従業員の大巾増が必要となつたが、必要な人員確保がなされず、そのため、従来分会員の就業時間中の組合活動については、事前の届出によつて常に配置上の便宜をはかりえたものが、便宜をはかりえない事態が生じ、待機時間が減少するに至つた。 そこで、被告は、前記分会の事前届出により、作業配置上就業時間中の組合活動従事予定者を作業ローテーシヨンからはずすことが支障ないという意味で配置上の便宜をはかれる場合には、従来どおり該当者を待機扱いとして賃金を全額保障するとの原則を維持したが、右便宜がはかれないとの回答をした場合には、五〇分の一をカツトするようになり、原告Aは昭和三七年二月一三日初めて五〇分の一カツトを受け、他の組合員もその頃同じカツトを受け、以後、右取扱いは昭和四四年一〇月一六日まで固定化し、存続した。 また、これとは別に、被告は昭和三六年一二月以降、分会がスト権を確立し、ストライキ等(部分ストを含む)何らかの形で被告に対する闘争体制を組んでからそれが終結する時点までの間、当該就業時間中の組合活動がストライキ行為と同視しうると評価された場合には二五分の一カツトを行なつた。 (七) 分会は、これらの取扱いに対し、その人員増要求を被告が無視した点に問題があるものの、現実に生じた人員不足下で従業員全体の待機時間が減少している状況に一定の理解を有しており、加えて、東京、横浜の 七) 分会は、これらの取扱いに対し、その人員増要求を被告が無視した点に問題があるものの、現実に生じた人員不足下で従業員全体の待機時間が減少している状況に一定の理解を有しており、加えて、東京、横浜の各被告支部において、昭和三六年一二月一日以降就業時間中の組合活動のための届出欠勤を前記就業規則二三条に定める一般の届出欠勤と同様に取扱つていた事情を考慮して、昭和三七年頃以降、被告大阪支部との間にストライキ等対抗関係が発生した場合でない限り、分会の前記事前届出に対し配置上の便宜がはかれない場合には、一般の届出欠勤の場合の就業規則上の取扱いと同じく不就労に対し五〇分の一カツトをなすことを容認し、他方分会と被告大阪支部との間に右のような対抗関係が生じた場合の二五分の一のカツトは当然のこととしてこれをも容認し、このような取扱いは昭和四四年一〇月一六日まで約八年間存続したのであつて、法的確信に支えられて慣行化したといわなければならない。 (八) ところが、被告は昭和四四年八月一四日に開催された中央経営協議会において、突如として、従前の就業規則二三条一項を改め、二七条一項として「組合運動、……その他協会業務以外の用務は勤務時間外に行なうものとする」と規定し、勤務時間内の組合活動に対しては賃金を保障しないとの提案をなし、組合側がただちに反対意見を述べ、同年九月八日団交を申入れたにかかわらずこれを拒否し、全国的には同年九月一六日から実施した。 (九) 被告大阪支部においては同年一〇月一五日に被告側の説明会がもたれ、分会では翌一六日文書で被告に対し、労働組合の自主的立場と必要性から憲法、労働法規に認められた団結権と表現の自由を自由に行使する立場を明確にし、従来の業務の閑散時における待機扱いでの組合活動の許容と、組合活動による不就労を一般の不就労と差別扱いしな 場と必要性から憲法、労働法規に認められた団結権と表現の自由を自由に行使する立場を明確にし、従来の業務の閑散時における待機扱いでの組合活動の許容と、組合活動による不就労を一般の不就労と差別扱いしない運用を改変する就業規則の改訂は認められないとの意見を提出したが、右就業規則の改訂は同日付で実施され、以後、就業時間中の組合活動については、分会の前記形式での事前届出に対し配置上の便宜をはかれない場合には二五分の一カツトが行なわれるに至つた。 (一〇) そして、原告らは別表二の△印記載の各日に前記事前の届出をしたうえ組合用務のため欠勤したところ、それらが前記慣行の区分によると「配置の便宜をはかれない」通常の場合であるにかかわらず、被告はすべて二五分の一カツトを行なつたものである。 4 被告における就業時間中の組合活動に対する賃金保障の不可欠性(一) 検数業務は港湾運送荷役に従属し、それはまた荷主、船舶運航業者に実態として従属しているところ、船舶運航業者は船舶の運航回数が多ければ多い程より大きな利潤をあげうるから、その意向にそい船舶貨物の荷役(積込み及び陸揚げ)は昼夜連続して行なわれ、これに伴い検数業務も昼夜連続の作業となる必然性を有する。 しかも、個々の検数労働者が一つの船舶荷役に伴う検数業務に従事し、一旦その作業ローテーシヨンに組み込まれると、当該荷役作業が終わらない限り終業時間終了と同時に時間外労働を拒否して陸にあがることは、必然的に共同作業中の他の検数労働者にその分の業務のしわ寄せを及ぼすことになるから、実際問題としてできないといわなければならない。 したがつて、例えば、昭和三八年に取決められた「休日及び時間外労働に関する協定」によると、月間最高時間外規制時間数は四〇〇時間というおよそ規制といえない極端な数字となり、昭和四五年のそれで ない。 したがつて、例えば、昭和三八年に取決められた「休日及び時間外労働に関する協定」によると、月間最高時間外規制時間数は四〇〇時間というおよそ規制といえない極端な数字となり、昭和四五年のそれでも一三〇時間とされ、同年九月分に限定しても徹夜回数が一〇日にのぼる者が出てくるという事態が生じ、現に組合員一人あたり残業時間が二、三時間となつている。 このような労働の実態の下では、実質的には定時の終業時間はなく、一つの船舶の荷役作業の終了がその終業時間であるといつて過言でなく、港湾荷役関連産業に従事する各種の労働者は、その労働が有機的関連をもつて流れ作業に位置づけられるが故に、およそ組合活動を就業時間中に行なうことが不可避となり、当然のこととしてこれを(賃金保障下で)行なう権利を獲得している実情にある。 被告においても、労働組合の存在を容認する限り、就業時間中の組合活動は必然的に保障されねばならないということができるし、そのうえ被告大阪支部においては、職場が大阪港沿岸に分散していることも就業時間後の組合活動を困難にしており(組合役員が一斉に集り得ない)、組合員がいつ徹夜作業対象者になるかあらかじめ予知することができないから、事前に組合の活動計画を組むことが不可能であることも留意されるべきである。 (二) 更に、検数労働者の賃金は、右のような過酷な労働条件下におかれながら他産業同規模企業と比較して極めて低い水準にあるから、右不可避に要請される就業時間中の組合活動は、これを理由に賃金カツトが行われるとすれば事実上困難となり、それは組合活動の否定、団結権の否認を意味するといつてよく、また、憲法における団結権の承認も具体的な作業実態に即してこれを保障したものであるから、被告における賃金保障下での就業時間中の組合活動は、その効果として容認されなけれ の否認を意味するといつてよく、また、憲法における団結権の承認も具体的な作業実態に即してこれを保障したものであるから、被告における賃金保障下での就業時間中の組合活動は、その効果として容認されなければならない。 5 本件賃金カツトの違法性本件賃金カツトは次の理由により違法である。 (一) 不当労働行為本件賃金カツトは、分会の組合活動の抑圧、制限、その弱体化を狙つたもので、労組法七条一号、三号に該当する。すなわち、(1) 被告の純益増は、その業務の労働集約的な性格よりして、その従業員の賃金をできるだけ低く抑えることによつて達成できるものであるところ、被告はその目的のために第二組合の育成、組合役員に対する不当解雇処分、管理職昇格を利用しての組合脱退工作など数々の組合破壊工作をなしてきた歴史があり、本件賃金カツトもその延長線上に位置づけられ、前記のように就業時間内の組合活動の必要性を充分認識したうえでこれを財政面より締め付けることによつて困難にし、組合の団結行動を抑圧し、組合の労働条件改善要求闘争の発展を抑え込もうとする意図の下に行なわれた組合運営に対する支配介入の狙いを有するものといわねばならない。 (2) 前記のとおり、就業時間中の組合活動についての五〇分の一の賃金カツト(賃金保障の面から逆にいえば同額の保障)が慣行化し、労働組合の団結権保障が具体的に存在しているにかかわらず、これを一方的に破棄、侵害することは組合活動への支配介入である。 (3) 一般の届出休務が就業規則上五〇分の一カツトにとどめられているのに対し、組合活動を理由とする場合の届出休務を二五分の一カツトにするのは組合活動を唯一の差別理由とする不利益取扱いである。 (二) 慣行の一方的破棄の違法、無効被告においては、前記4のような労働実態よりして、団結権の具体的保障の形 届出休務を二五分の一カツトにするのは組合活動を唯一の差別理由とする不利益取扱いである。 (二) 慣行の一方的破棄の違法、無効被告においては、前記4のような労働実態よりして、団結権の具体的保障の形式と内容をなすものとして、就業時間中の組合活動がその賃金保障下に容認されねばならない必然性があつたが、そのうえ、我国における企業別労働組合が欧米の工場委員会や経営協議会の労働者代表の機能を兼ね、使用者との協定による労働条件の画一的集団的処理に寄与し、更には従業員に対する世話役的機能を果し、企業の労務管理の一部肩代りを行なつてきたこと、組合の財政基盤が脆弱で十分な人数の組合専従者を置く余裕がなかつたことなどの事情が根拠となつて労使双方共就業時間中の組合活動が賃金保障下で行われることを慣行として認めてきたのである。こうした慣行は組合が強力で自主的な場合程組合活動により勝ちとつた既得権として認識され、合理性を有するものとされているが、分会においてもこの例にもれない。 このような慣行を分会の同意なくして被告が一方的に破棄することは憲法上の団結権保障とその具体的展開を抑圧、規制し、右団結権保障を画餅に帰す不合理なものであつて、それ自体違法、無効というべきである。 (三) 労働契約内容の一方的変更の違法、無効(1) 被告においては賃金の計算基準として月給制を採用しており、このような場合、欠勤等により給与総額より賃金カツトをするについては、就業規則(給与規定)上、労働協約上の根拠が必要であるというべく、そうでない限り、右賃金カツトは労働契約内容の一方的変更として違法、無効であり、労働基準法二条の労働条件の対等決定原則にも違反するといわねばならないところ、被告においては、そのようなものとして前記就業規則二三条及びこれを受けた附属規定七条が存したのみであるか 法、無効であり、労働基準法二条の労働条件の対等決定原則にも違反するといわねばならないところ、被告においては、そのようなものとして前記就業規則二三条及びこれを受けた附属規定七条が存したのみであるから、その基準を越える本件賃金カツトはその根拠を欠くというほかない。 (2) 前記3(六)のとおり、被告は昭和三七年頃から、事前届出による就業時間中の組合活動に対し、前記就業規則と附属規定通りの賃金カツトを行ない始め、それが昭和四四年一〇月まで事実たる慣習として定着したことによつて労働契約の内容に取り込まれたと解すべく、労働契約の内容となつた以上は、労働者個人の同意なくしてこれを不利益に変更することは許されないといわねばならない。本件賃金カツトはこの観点からみても違法、無効である。 (四) 就業規則変更の不合理性本件賃金カツトは、前記3(ハ)のとおり、従来の就業規則二三条を改め、新に第二七条に「組合運動……その他協会業務以外の用務は勤務外に行うものとする」と規定することをもつて、強行したものであるが、労使間で長年承認された慣行を使用者側が一方的に労働者側に不利益に変更すべく就業規則を改訂し、あるいはその運用を改めることは不合理であるから無効というべきである。 6 結論よつて、原告らは被告に対しそれぞれ別表1請求総額欄記載の金員及び昭和四四年一一月分(同年一〇月一六日から同年一一月一五日までの分、以下同じ)から同四六年八月分までの賃金(別表一(イ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同四六年八月二五日の翌日から、同四六年九月分から同四八年六月分までの賃金(同表(ロ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同四八年六月二五日の翌日から、同四八年七月分から同五〇年五月分までの賃金(同表(ハ)欄記載の金額)についてはその最終賃 月分までの賃金(同表(ロ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同四八年六月二五日の翌日から、同四八年七月分から同五〇年五月分までの賃金(同表(ハ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である昭和五〇年五月二五日の翌日から、同五〇年六月分から同五二年三月分までの賃金(同表(ニ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である昭和五二年三月二五日の翌日から各支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の事実中、原告らが別表二の△印記載の各日に組合用務のため被告業務を欠勤したこと、被告が当該欠勤日一日につき二五分の一の賃金カツトを行なつたこと、この場合と右欠勤日に五〇分の一の賃金カツトを行なつたとした場合との差額合計が計算上別表一の各請求総額欄記載の金額となることは認めるが、その余の点は争う。 3 同3については、(一) 同(一)の事実は認める。 (二) 同(二)の事実中、昭和三三年九月二五日全日検労組と被告との間に原告主張の協定が結ばれ、被告大阪支部と全日検労組大阪支部との間でもその適用をみ、同支部でその細目事項が定められたことは認めるが、その余の事実は争う。 (三) 同(三)の事実中、分会員が就業時間中に組合活動をする場合分会から原告主張の届出があつたことは認めるが、それが被告業務に与える影響の点、分会員が右申入に従い必ず組合活動を行なつた事実、被告がこれを許容していたとする点は争う。 (四) 同(四)の事実中、原告主張の大阪地労委の勧告(内容の点は除く)があつた事実、これを労使とも受け入れた事実は認めるが、その余の事実は争う。 (五) 同(五)の事実中、被告が昭和三三年九月二五日締結された前記協定の破棄通告をなし、これに代る提案をなしたこ は除く)があつた事実、これを労使とも受け入れた事実は認めるが、その余の事実は争う。 (五) 同(五)の事実中、被告が昭和三三年九月二五日締結された前記協定の破棄通告をなし、これに代る提案をなしたこと、右提案は分会に受け入れられず、その後、就業時間中の組合活動に対する処理は被告各支部ごとに適宜行なわれたことは認めるが、その余の点は争う。 (六) 同(六)の事実中、昭和三〇年代後半から日本経済が高度成長時代に入り、原告主張の港湾の整備、港湾荷役量の増大、被告事業活動の拡大、従業員の増員の必要があつたこと、その中で待機時間が減少して組合活動に従事する分会員に対し配置の便宜がはかれない場合が生じてきたこと、右便宜がはかれる場合は従来どおり賃金カツトしないが、はかれない場合は五〇分の一カツトを行なうに至つたこと、その取扱いが昭和四四年一〇月一五日までみられたこと、昭和三八年以降分会がスト権を確立したと被告が判断した時点から事実上争議が妥結した時点までの間、被告の就労要求に対し従業員がこれを拒絶した場合は二五分の一カツトを行なつたことは認めるが、その余の点は争う。 (七) 同(七)の事実中、右賃金カツトの取扱いにつき分会から格別異議が出なかつたことは認めるが、その余の事実は争う。 (八) 同(八)の事実中、被告が原告主張の日にその主張の提案をなし、且つ実施したことは認めるが、その余の事実は争う。 (九) 同(九)の事実中、原告主張の日に被告大阪支部で分会との間に原告主張の説明会がもたれたこと、分会が必ずしも右提案を了解しなかつたこと、被告大阪支部では昭和四四年一〇月一六日以降原告主張の組合活動のための休務に対しては二五分の一カツトを行なつてきたことは認める。 (一〇) 同(一〇)の事実中、原告主張の日に二五分の一カツトを行なつたことは認めるが、その余 年一〇月一六日以降原告主張の組合活動のための休務に対しては二五分の一カツトを行なつてきたことは認める。 (一〇) 同(一〇)の事実中、原告主張の日に二五分の一カツトを行なつたことは認めるが、その余の事実は争う。 4 同4(一)、(二)の各主張は争う。 5 同5については、(一) 同(一)の事実中、一般の届出休務が就業規則上五〇分の一カツトにとどめられていることは認めるが、その余の事実は争う。 (二) 同(二)の主張は争う。 (三) 同(三)の事実中、被告において月給制を採用していることは認めるが、その余の主張は争う。 (四) 同(四)の事実中、被告が原告主張の就業規則の改訂を行なつたことは認めるが、その余の主張は争う。 6 同6の主張は争う。 三被告の主張 1 本件賃金カツトに至る背景事情(一) 被告業務内容の推移日本経済が高度成長時代に入る前の昭和三〇年代中頃までは、港湾の設備、港湾事業の近代化が全く省みられず、検数事業にあつても、生産性の低い、極めて古い経営が行なわれ、作業面でいえば、船舶の入港情報が確実でないこと、船舶荷役の計画性がないことのほか、検数業者間の競争も加わつて検数需要の波動性が顕著であつたため、いやおうなくかなりの待機人員(手待人員)や待機時間の存在を余儀なくされてきた。 ところが、その後日本経済は着々として成長発展し、生産力の向上、流通機構の合理化がはかられ、貿易活動の急伸に伴ない、港湾産業の古い企業体質や慣行の徹底的な見直しが強く求められた結果、船会社の集約、埠頭及び倉庫の新増設に続いて港湾運送会社の整理、統合等が進められ、各種大型荷役、運搬機械の導入、荷造り方法、荷役方法の大幅な改良が、更には船舶通信会社の発達により船舶入港時間の情報収集も的確となつたため、荷役作業計画、荷役会社間の荷役日数調整等荷役作業 められ、各種大型荷役、運搬機械の導入、荷造り方法、荷役方法の大幅な改良が、更には船舶通信会社の発達により船舶入港時間の情報収集も的確となつたため、荷役作業計画、荷役会社間の荷役日数調整等荷役作業の近代化についても改良が加えられた。 このような状況の下で、検数事業は一方で事業者の集約、統合を進め、過当競争を排除して業域の安定がはかられた結果、船内荷役計画に合わせた効率的な配員、待機人員の減少、待機時間の合理化が可能となり、昭和三〇年代中頃までかなりあつた待機時間は、その後の業務量の増加と業務の合理化の中で減少し、昭和四〇年代には殆んど消滅するに至つた。 (二) 分会活動の展開原告らが所属する分会は全日本港湾労働組合(以下全港湾ともいう)を構成する一組織であり、全港湾はその本部を東京都に置き、全国に九地方本部を有する産業別全国単一労働組合であつて、その上部組織として全国港湾労働組合協議会があり、全港湾関西地方本部の組織地域は遠く中国地方に及び、関西地方築港支部には昭和五〇年四月現在全日検分会を含む二七分会がある。分会の主たる共闘関係団体としては大阪港湾労働協議会、全国検数労働共闘会議、全日検全国労組共闘会議、大阪検数共闘会議等多くの組織が存し、分会の活動は、それ自体の機関活動及び内部的な日常活動のみならず、上級機関と関連する全港湾関係、共闘関係の活動があり、検数業務は港湾運送事業法でいう一般港湾運送事業、船内、はしけ、沿岸作業の各業務と有機的にからみあつている関係上、これらの組織と共闘して、あるいは産業別単一組織の中で活動せざるを得ず、その結果被告との団体交渉はもとより、それ以外に築港支部段階での対角線交渉及び集団交渉にも分会の役員が築港支部の役員として、あるいは団交委員として出席し、また各種共闘幹事会、共闘中央懇談会あるいは大港労 果被告との団体交渉はもとより、それ以外に築港支部段階での対角線交渉及び集団交渉にも分会の役員が築港支部の役員として、あるいは団交委員として出席し、また各種共闘幹事会、共闘中央懇談会あるいは大港労協の集団交渉にも出席している。このように、組合の組織が縦横に複雑であるに加えて全日検分会の活動が活発であるため、その活動は多種多様であり、就業時間中の組合活動は件数、延時間数のいずれも年々増加し、特に昭和四三、四四年の増加傾向が顕著となつた。 2 本件賃金カツトに至る経緯(一) 協定の存在被告と全日検労組との間には昭和三三年九月二五日付「就業時間中の組合活動に関する取扱い」と題する協定が存し、全日検労組大阪支部にもこれが適用されていた。 この協定はいわゆる被告の経費援助に関するもので、その内容は次のとおりである。(1)執行委員会等の各種委員会について一カ月三回を越えない範囲と回数を限定し、事前に被告の職制と協議のうえできる限り作業に支障のない時間及び方法をとることを前提として待機扱いとし、この場合を有給に取扱うこととする。 (2)拡大執行委員会、評議員会、代議員会、その他これに類する会議についても回数を月一回以内に限定し、事前に職制と協議のうえ作業に支障のない時期及び方法をとり、結局被告業務の中での待機時間の中でこれを行なつて待機扱いとし、この場合を有給に取扱うこととし、以上の二場合は、当時被告業務の中では前述したような事情で待機時間が多く、右の程度なら事前に職制と協議することにより作業に支障のない時期及び方法をとることが可能であつたので、右各種会議等に出席する委員等につき待機時間中にこれを処理せしめることとしたものである。また(3)上部団体等の会議に出席するについては、人数と回数を最小限度にとどめ、これを前日までに支部長に願い出ることに 議等に出席する委員等につき待機時間中にこれを処理せしめることとしたものである。また(3)上部団体等の会議に出席するについては、人数と回数を最小限度にとどめ、これを前日までに支部長に願い出ることによつて待機時間中に出席しうるよう配慮せしめ、この場合をも有給に取扱うこととした。これも待機時間が相当あり、人員の配置にも相当余裕があつた事情を背景とするものであり、以上の各場合についても一人一か月の回数を協議のうえ支部において定めることができるものとし、必ずしも組合活動が被告の業務遂行と離れて組合において自由に行ない得るものとはしなかつた。更に、(4)支部定期大会についても年一回以内に限定し、作業に支障のない時期及び方法をとり、あらかじめ被告の承認をえた場合に限り待機扱いとし、この場合も有給に取扱うこととした。年一回の支部定期大会については、当時の被告業務の待機時間の実情から、作業に支障のない時期及び方法をとることが可能であつたから、あらかじめ被告の承認をえて行なつた場合に限り右取扱いをしたのである。(5)中央委員会、中央大会への出席は、組合活動として必要限度の日数につき被告に願い出て許可を得ることを前提に待機扱いとし、この場合をも有給とした。出席予定者につきこれを待機時間内にやりくりして他の人員を作業につかしめる便宜供与を行ない、経費援助をしたものである。更に、(6)団体交渉出席については待機扱いとするが、続行手当等の時間外手当は原則として支給しないこととした。これは労使交渉であるから有給にする趣旨である。 右協定は、被告業務の特性をふまえたうえで就業時間中の組合活動について労使で協議せしめ、作業に支障のない時期及び方法で組合活動を行なわしめることによつて待機扱いとし、賃金保障をしようとしたものであるが、昭和三四年から三五年にかけて、特に 就業時間中の組合活動について労使で協議せしめ、作業に支障のない時期及び方法で組合活動を行なわしめることによつて待機扱いとし、賃金保障をしようとしたものであるが、昭和三四年から三五年にかけて、特に被告大阪支部では組合は就業時間中の組合活動を組合の意思により自由にこれを行ない被告の承認、同意なしに一方的に行なえるものとし、しかもそれを待機扱いとして取扱い、有給にすることを求めたため、末端職場段階での取扱い実態は右協定の趣旨に反し、混乱するに至つた。 (二) 地労委の勧告このような経緯の中で、大阪地労委は昭和三五年七月九日、全港湾大阪地方本部と被告大阪支部との間で別の不当労働行為事件につき協定が成立するにあたり、事件審査の過程から被告内における労使慣行の誤りを発見し、その是正のために右労使に対し勧告をなし、右労使はともにこれを受け入れた。 右勧告は、被告内の労使関係が正常な枠を越え労組法に抵触するおそれがあつて、組合本来の活動に対しても経費援助というべき実態が散見されたため労使の正常な枠を示す目的でなされたもので、その第三項は経費援助に関する限界を示し、それによれば「使用者は、業務の特殊性に鑑み申立人(組合)が予め届出をし、使用者の承認をえた場合に限り、申立人組合員の待機中の組合活動を認め、一方同組合員は、待機中の組合活動においても使用者の業務上の指揮、命令に従うこと」とある。右にいう「業務の特殊性に鑑み」とは、当時は被告業務の中で待機時間が相当あり、待機していた作業者が多数いたことを指すもので、右勧告条項の趣旨は、このような背景の中で、組合から就業時間中の組合活動をなすべく届出があつた場合は、使用者はその者を待機せしめ他の作業者を適時配置して、待機時間中の組合活動として承認することが可能であつたから、そのような使用者の事前の承認をえ ら就業時間中の組合活動をなすべく届出があつた場合は、使用者はその者を待機せしめ他の作業者を適時配置して、待機時間中の組合活動として承認することが可能であつたから、そのような使用者の事前の承認をえた場合に限り待機中の組合活動として認め、これを有給とするが、待機中の組合活動中においても使用者側に業務上の必要を生じた場合は直ちに業務上の指揮、命令に従つて業務に就かなければならず、組合の届出があつても使用者が承認できない場合には就業時間中の組合活動は認められないとするもので、業務の必要があり待機にできない場合には時間中の組合活動として承認する余地がないことを示している。 (三) 協定の破棄被告は、大阪支部に限らず全国的に行なわれていた右経費援助のあり方が労組法の精神にそぐわず、また徐々に被告協会の業務も繁忙になることが予想されたので、昭和三五年八月三一日付協定破棄通告をもつて前記協定を同年一一月二九日限り破棄する旨組合に通告し、九月一六日の中央経営協議会でそれに代る提案を呈示し、組合との協議を求めた。しかし、右提案については組合の了解をうるに至らず、同日以降各支部ごとに経費援助に関する取扱いをなすこととなつた。 (四) 昭和三五年九月以降の大阪支部の取扱い分会は、組合活動を行なうにあたり、分会長名義で被告大阪支部宛に日時、場所、氏名を明記し、「左記のとおり組合業務を行ないますので配置の便宜をお計り下さい」と記載した申入書二部を通常組合活動日の前日夕方までに届出て、いわゆる就業時間中の組合活動に対する配置の便宜方申入をし、これに対して被告は次のような内容を申入書に記入し、一部を分会に交付し、以降その記載に従つて次のような賃金の取扱いを行なつてきた。 (1) 「了解」「承認」「了承」この場合は被告と分会との交渉とか、賃金専門委員会に関する うな内容を申入書に記入し、一部を分会に交付し、以降その記載に従つて次のような賃金の取扱いを行なつてきた。 (1) 「了解」「承認」「了承」この場合は被告と分会との交渉とか、賃金専門委員会に関するもので、参加人員が少数であるから配置の便宜がはかり得るものとして、全額保障した。 (2) 「可能な限り配慮する」組合活動の種類からみて、可能な限り配置の便宜をはかろうとするもので、全額保障した。 (3) 「執行委員は承認、右以外の評議委員は午前中承認、午後より就業を条件」この場合、執行委員については組合の役職上やむを得ないものとして承認して全額保障し、右以外の評議委員については午前中のみ全額保障し、午後は就労しなかつたとしても五〇分の一カツトにとどめた。 (4) 「繁忙につき就業を前提に開催のこと」この場合、組合活動が行なわれても五〇分の一カツトにとどめた。 (5) 「繁忙につき日中就業後に行なわれたい」この場合、日中就業せず組合活動が行なわれても五〇分の一カツトにとどめた。 (6) 「配置の便宜ははかれません」「便宜ははかれず就業されたい」この場合でも分会は組合活動を行なうことがあるが、五〇分の一カツトにとどめた。 (7) 「就業拒否」この場合は単に配置の便宜がはかれないという趣旨にとどまらず、もし業務を遂行しなければ被告の命令に違反したものとして、あるいは被告の就労要求に対し組合活動の立場から対立する行為をとつたものとして二五分の一カツトを行なう趣旨である。その典型的な事例は、分会が争議権を確立して労使間が争議状態となり、被告と対立するものとして被告の意思如何にかかわらず就業を放棄する場合であり、これはストライキで就業を拒否するのと同じ状態であると考えてこのような取扱いをした。 (8) その他分会の組合活動の性質を考えて全 るものとして被告の意思如何にかかわらず就業を放棄する場合であり、これはストライキで就業を拒否するのと同じ状態であると考えてこのような取扱いをした。 (8) その他分会の組合活動の性質を考えて全額保障をした場合、配置の便宜ははかれない趣旨の回答をし、あえて組合活動をした者に五〇分の一カツトした場合、実質労使関係が対立状態にあり、被告の意思にかかわらず分会の対抗意思で就労を拒否したと解し二五分の一カツトした場合など区々に分れる。すなわち、就業時間中の組合活動に関する取扱いについての分会の要求は、(イ) 組合活動の種類、参加者の組合役職名、組合活動の数及び参加人員等にかかわりなく、これらはすべて組合独自の判断でなしうるものであるので被告はこれに差別を設けないこと、(ロ) 被告は分会の申入がある場合配置の便宜をはかり、待機扱いとして賃金を全額保障すること、というのであるが、被告は、組合活動の種類、参加者の役職、組合活動の量、人員を考慮し、他方被告業務の繁閑、作業計画、出勤状況等も検討して便宜供与せざるをえないもの(例えば協議)については経費援助をなし、本来は組合の負担でなすべきもので、被告としては特に配置の便宜をはかる必要を認めないものについては五〇分の一の賃金カツトにとどめ、ただ被告と組合との対立関係が明白であり、被告として経費援助をすべきでないもの、典型的には争議中の組合活動があげられるが、その場合にとどまらず、例えば被告が業務繁忙のため就労されたい旨申入れ、また職場において就労命令を出しても、これを無視して組合活動を強行しようとするような場合については就業拒否の扱いをして、賃金についても二五分の一カツトをなしてきたのである。 そして、組合活動により五〇分の一の賃金カツトをする取扱いは、昭和三六年以降すでに行なわれ、二五分の一カツ 場合については就業拒否の扱いをして、賃金についても二五分の一カツトをなしてきたのである。 そして、組合活動により五〇分の一の賃金カツトをする取扱いは、昭和三六年以降すでに行なわれ、二五分の一カツトの取扱いは同三八年以降みられるところであり、特に同四二年、四三年、四四年と年々二五分の一カツトをする事例が増加してきた。これは、組合活動の種類と量が年々増加し続けたこと、しかも、分会において、組合活動は組合の自主的判断で自由になしうるものでこれに対する被告の規制を認めないとして組合活動を独自の判断で行ない、これに対し、被告は、就業時間中の組合活動の相当数が五〇分の一カツトにとどまることは組合活動のあり方として労組法の趣旨からも不適当であるうえ、大阪地労委の前記勧告の趣旨ともほど遠いと解したこと、他方被告の業務は年々繁忙を極めるようになり、作業の合理化が進み、いわゆる待機時間と待機人員が少なくなり配置の便宜で待機扱いとする余地がなくなつてきたこと、しかも、分会が被告の意思に反して組合活動を強行する場合が多くなつたので、被告としては就労を真向から拒否したものと考えざるをえなかつたことなどから、二五分の一カツトの取扱いが現実にふえてきたのである。 (五) 組合との協議と就業規則の改正前記のとおり、昭和四二年、四三年、四四年と年々被告業務が多忙を極め、待機時間、待機人員が少なくなつてきた中で、被告各支部において、組合は独自の判断で組合活動を行ないうるとの立場から、就業時間中であると否とを問わず組合活動が広範囲に行なわれてきた。これに対し、被告は昭和四四年春闘の中央団体交渉の席上、組合活動を理由とする恣意的な不就労が常態化している問題につきその改善方を組合に求めたことがあるが、その後も組合側の自主的な改善はみられず、かくては被告の業務遂行にも支障を 闘の中央団体交渉の席上、組合活動を理由とする恣意的な不就労が常態化している問題につきその改善方を組合に求めたことがあるが、その後も組合側の自主的な改善はみられず、かくては被告の業務遂行にも支障をきたすと考えざるをえなかつたので、被告は就業規則改正を目論み、二七条に「組合活動、その他協会業務以外の業務は勤務時間外に行なうものとする。ただし不当労働行為となるものを除き、別に定めた場合はその定めによる。」として、被告が認めたもの以外は勤務時間外に行なうことを原則とし、特に労使交渉、専門委員会、福利厚生関係などについてはその都度組合と協議して時間中に行なうことを認め、したがつて、これについてのみ賃金保障をするけれども、それ以外の場合は被告と組合との対抗関係が明白になつたものとして賃金保障をしない取扱いにすることに決定し、同四四年八月一四日、同年一〇月一七日の中央経営協議会の席上その趣旨を説明し(大阪支部では同年一〇月一五日分会と協議している)、同年九月一六日就業規則の改正手続を終了した。 (六) 昭和四四年一〇月一六日以降大阪支部の取扱い右のとおり、就業規則上組合活動は就業時間外に行なうことが明記されたので、その立場をふまえ大阪支部では同年一〇月一五日分会と話合いの場をもち、今後は就業時間中の組合活動は原則として認めないこと、もしこれに反して組合員が組合活動のため休務した場合は、ノーワーク・ノーペイの原則に従つて二五分の一カツトをせざるをえない旨説明し、協議を経た。分会は必ずしもこれを了解しなかつたが、被告は同月一六日以降組合活動による休務については、経営協議会、労使交渉、その前後の常任執行委員会、賃金専門委員会、共済会関係、地労委関係等特別の場合(これらは賃金全額保障)以外は二五分の一カツトを行なう取扱いとした。 3 検数業務の就業態様と は、経営協議会、労使交渉、その前後の常任執行委員会、賃金専門委員会、共済会関係、地労委関係等特別の場合(これらは賃金全額保障)以外は二五分の一カツトを行なう取扱いとした。 3 検数業務の就業態様と賃金水準検数業務は海上作業と陸上作業に分かれ、就業時間帯としては日中作業、半徹夜作業、徹夜作業とあるが、陸上作業は日中作業を原則とし、徹夜作業は年間を通じて極くまれである。連続作業となる徹夜作業は海上作業に見られるが、それに従事する従業員は被告大阪支部の場合海上作業課に所属する者が中心であり、少くとも昭和四〇年代から五〇年代にかけて作業方法が著しく改善され、支部全体の徹夜人員は一〇ないし五パーセントとなつている。昭和三〇年代において海上作業の内徹夜作業は約三〇パーセントを占めたが、その実態は相当の変化をきたしている。 したがつて、組合役員を日中作業に配置することはそのパーセンテージからみて容易であり、且つ配置時点でどの作業が日中作業かどの作業が徹夜作業かは練達の配置係であれば見易いところであるから、分会執行委員が所定労働時間外に組合活動を行なう旨申入れたときは被告が配置上の考慮をなすことは可能であるし、時間外労働については三六協定により本人の自由な意思をもつて時間外労働、休日労働を行なうことを了解、承認した時に限るとされ時間外労働なり徹夜作業を労働者の意思にかからしめているので、組合役員がこの権限を行使しえないはずはない。 原告らは、就業時間中の組合活動に対する賃金保障が必然性を有するものとし、例えば低賃金を云々するけれども、被告の賃金水準は他産業、同規模企業と比較して必ずしも低劣ではないし、また、カツト分を組合で保障しているのであるから、賃金の多寡は本件の問題と無縁である。 4 本件賃金カツトの正当性(一) 慣行による労働契約の成否 、同規模企業と比較して必ずしも低劣ではないし、また、カツト分を組合で保障しているのであるから、賃金の多寡は本件の問題と無縁である。 4 本件賃金カツトの正当性(一) 慣行による労働契約の成否被告と原告ら従業員の間に原告ら主張のような五〇分の一カツトの労働契約が成立していないことは次の理由により明らかである。 (1) 組合員からの事前届出の欠如組合用務のための事前欠勤届については、これまで、当該組合員個人が直接被告支部に就業規則二一条所定の様式で欠勤の前日午後五時までに届出て所属長の許可を受けたことはなく、分会は、かねてから就業時間中の組合活動は組合の自主的判断でできるのであり、ただこれに従事する組合員を待機扱いにして賃金の保障を得ようとの考えの下に、終始分会長が被告大阪支部に対し前記のような内容の配置便宜方要請申入をなすという形でこれを行なつてきたのであり、これにより就業規則上の取扱いと内容的に同じ五〇分の一カツトにとどめた事例が相当数あつたのは事実であるが、これをもつて、就業規則二一条に定める届出と同じ届出をしたとして、同規則上の取扱いと同じ取扱いをなすという慣行が成立し、労働契約の内容となつたことを根拠づけることはできない。 (2) 被告による就労時間中の組合活動に対する賃金カツトの多様性仮に、分会からの配置便宜方申入書をもつて右就業規則上の届出と同じ意味の届出があつたものと解するとしても、右届出があつた場合常に五〇分の一カツトという一定の取扱いをしたのではなく、前記のとおり、被告は分会の要請どおり賃金を全額保障したこともあるし、配置の便宜をはかりえないときは五〇分の一カツトしたこともあるし、あるいは被告として是非就労してほしいと要請した場合にも分会がその意思を頭から否定して組合活動を強行した場合(特に争議の場合)には、就 配置の便宜をはかりえないときは五〇分の一カツトしたこともあるし、あるいは被告として是非就労してほしいと要請した場合にも分会がその意思を頭から否定して組合活動を強行した場合(特に争議の場合)には、就労拒否として二五分の一カツトをしたこともある。もつとも、争議の場合被告は争議権の確立を明確に認識しうるものでなく、ほぼそれに近いと思われる時点から事実上妥結したと思われる時点までにつき二五分の一カツトを行なつたのであり、その限界は明確なものでなかつたうえ、この期間中にも賃金を全額保障したことも、五〇分の一カツトにとどめたこともあり、必ずしも画一的に二五分の一カツトをしたわけではない。 また右五〇分の一カツトをした場合も、就業規則上の私用による届出欠勤と同じ取扱いをしなければならないという考え方からそうしたのではない。 そして、昭和四三年、四四年度においては被告業務が多忙となり、分会の申入による待機扱いをすることが困難になつてきた反面、分会は組合活動の量と質を次第に増加させてきたため、就労拒否即被告と分会の対立関係の顕在化として二五分の一カツトをなす場面が増加したことは前記のとおりである。 なお、原告らは配置の便宜をはかれない旨の被告の回答により現実に就労したこともあるし、休務権(有給休暇)を行使したこともある。 このような事情の下では、労使間に原告ら主張のような慣行が成立したということはできない。 (3) 一定の事実状態が反復又は継続しているからといつて、そのことだけでこれがただちに労働契約の内容となるものではない。 慣行が労働契約の内容として認められるには、当該慣行が、企業社会一般において労働関係を律する規範的な事実として明確に承認され、あるいは当該企業の従業員が一般に当然のこととして異議をとどめず、当該企業内においてそれが事実上の制 められるには、当該慣行が、企業社会一般において労働関係を律する規範的な事実として明確に承認され、あるいは当該企業の従業員が一般に当然のこととして異議をとどめず、当該企業内においてそれが事実上の制度として確立しているようなものであることを要すると考えられる。 被告大阪支部の行なつた取扱いはたかだか同支部においてのみ行なわれている方法であつて、広く検数業界において行なわれているものではなく、このような場合企業の画一的処理の要請上、被告が労働契約の内容とするまでの意思をもついわれがないことは顕著であるが、それはともかくとして、大阪支部の労使関係においても必ずしも労働関係を律する基本的な事実として明確に右取扱いが承認されたわけではないし、また、大阪支部の分会員が一般に当然のこととして異議をとどめず、大阪支部においてそれが事実上の制度として確立しているようなものでもない。 分会は当初から、配置の便宜をはかられたい旨の申入をし、被告がこれを待機時間として取扱い、したがつて全額保障することを求め続けてきたのであつて、この事実からしても、大阪支部の分会員としては労働関係を律する基本的事実として右取扱いを明確に承認したものでも、また、当然のこととして異議をとどめず事実上の制度として確立したものでないことは明らかである。 被告側からみても、前記のとおり、昭和三三年からの諸般の事情の推移の中で、そのときどきの業務の繁閑、配置の人員及び組合活動の内容、人員、組合役職関係等を考慮して、各現場においてしかるべく処理し、その一部に配置の便宜がはかられない場合において、組合が組合活動を行なつたときに五〇分の一カツトにとどめて経費援助したことがあるが、被告側の就労要求の意思が強い場合には就労拒否として二五分の一カツトをしたこともあり、全般的な運用としては順次経費援助 合が組合活動を行なつたときに五〇分の一カツトにとどめて経費援助したことがあるが、被告側の就労要求の意思が強い場合には就労拒否として二五分の一カツトをしたこともあり、全般的な運用としては順次経費援助を制限する方向で運用されてきたのであつて、この点からしても、労使関係を律する基本的事実として被告において明確に承認された性質のものではない。 (4) 前記のとおり、昭和三三年九月二五日締結の協定とその取扱い、同三五年七月九日付大阪地労委の勧告とその受け入れ、昭和三六年頃よりの待機時間の減少に伴う五〇分の一カツトの実施、更には組合活動の質的量的拡大の中で増加した就業拒否に対する二五分の一カツトの事例の増加は、被告の分会に対する経費援助のあり方の変遷であることが明らかであり、その経過、内容からみても、また、原告らが就業時間中の組合活動によりカツトされた賃金はすべて組合から補填されていることからみても、右取扱いは集団的労使関係の場における問題であるといわざるをえず、従業員と被告との間の個別的労働関係の問題として、原告らと被告との間の労働契約の内容に転化される性質のものではない。 (二) 賃金カツトに関する昭和四四年一〇月一六日以降の取扱い変更の合理性(1) 組合が、就業時間中の組合活動を、全国的な産業別組合の特質を顕著に現わした広範囲のものとして年々質的にも量的にも増大させ、それに伴ない分会執行委員の就労日が他の従業員に比して極端に少くなつて企業従業員として不適当な状態となり、しかも、形式上は被告に配置の便宜方取りはからいの申入書をもつて届出るけれども、組合活動は被告の意思とは無関係に組合の自由意思によつて行ないうるとの考えの下に、被告の就労要求を全く無視して組合活動を行なう態度に出、かくては、前記待機時間の減少に伴ない業務運営に支障を生ずる事態とな 活動は被告の意思とは無関係に組合の自由意思によつて行ないうるとの考えの下に、被告の就労要求を全く無視して組合活動を行なう態度に出、かくては、前記待機時間の減少に伴ない業務運営に支障を生ずる事態となり、被告による組合活動を理由とする組合員の恣意的な不就労の改善方要請にも応じなかつたため、被告としては集団的労働関係における労使の対立関係が顕著になつたものと考えざるをえず、かねてから、例えば争議状態の場合、あるいはそこに至らなくても労使の対立関係が顕著である場合については二五分の一カツトをしてきた経過もあるので、この際大阪支部に限らず全社的にノーワーク・ノーペイの原則に則り、今後は就業時間中の組合活動を原則として認めず、この場合の欠務一日につき二五分の一カツトをする方針を定め、前記のとおり、昭和四四年八月一四日開かれた中央経営協議会、同年一〇月一七日の中央団体交渉においてもその趣旨について組合に説明して協議を行ない、更に、被告大阪支部においても同年一〇月一五日分会と話合い、右の点について組合の了解を求めるための努力をなし、組合はこれにつき必ずしも完全に了解はしなかつたが、同月一六日以降右画一的取扱いをなすに至つた。 これに関連して同年九月一六日就業規則を改正し、就業時間中の組合活動を認めないとの原則を規定上も明らかにした。これは就業規則に基づく就業時間中の組合活動に対する取扱いの変更ではなく、それとは別個の集団的労使関係における経費援助の取扱い変更の問題である。 右取扱い変更前の諸事情(組合側、被告側双方の著しい事情の変更)に加えて、右取扱いの変更は急激のものではなく、昭和三三年以降の取扱いの徐々の変更の延長線上にあり、しかも、その変更は労使協議のうえ相当期間を経てなされたものであること(信義則上の要請を充分に満たしたこととなる。)、分 変更は急激のものではなく、昭和三三年以降の取扱いの徐々の変更の延長線上にあり、しかも、その変更は労使協議のうえ相当期間を経てなされたものであること(信義則上の要請を充分に満たしたこととなる。)、分会と被告との間において経費援助に関する協約は存在せず、被告の意思に基づく種々の取扱いが被告各支部において行なわれていたにすぎないこと、経費援助を廃止することが現行法上合理性を有するものであること、賃金カツトされる個々の分会員は賃金カツト分を組合から補填されていて必ずしも金銭的不利益をもたらさないこと、組合活動は組合の費用と負担において行なわれるべきものであるところ、右取扱い変更により右正常な取扱いが現実になされるに至つていること、しかも、被告は就業時間中の組合活動についてすべて賃金カツトをするのでなく、労使の交渉関係、福利厚生関係等については全額保障する制度をとつていることを総合すれば、仮に原告ら主張の慣行が存在し、労働契約の内容となつていたとしても、右取扱いの変更は合理性があるものとして許容されなければならない。 (2) ノーワーク・ノーペイの原則の適用の合理性前記のような著しい労使関係の事情変更により、被告は就労時間中の組合活動につきノーワーク・ノーペイの原則を適用する立場に戻ることとなつたが、それは次の理由により合理性がある。すなわち、労働契約は労働者が提供した具体的労働の対価として賃金を支払うことを内容とするものであるから、労働者が労働力を使用者の支配下に提供しない限りは労働契約の履行がなく、対価としての賃金債権も当初から発生するに由ないものであり、労働者が就労時間中に組合活動を行なう場合は、その労働力は使用者の支配圏を脱しており、まさに右の場合に該当する。賃金が月給制として支払われている場合にも、それは単なる賃金の支払期間の定 ものであり、労働者が就労時間中に組合活動を行なう場合は、その労働力は使用者の支配圏を脱しており、まさに右の場合に該当する。賃金が月給制として支払われている場合にも、それは単なる賃金の支払期間の定めであつて、現実に労務の提供がない限り賃金債権が発生しないことは明らかである。 もつとも、賃金は労働者の生活を保障するものであり、月給制の労働者はその月給を目安に生計をたてているものであるから、多少の勤怠があつても月給が減額されないように配慮されていることが労務政策上望ましいことは当然であり、かかる賃金の生活保障機能に着目すれば、たとえ欠勤等の事由により賃金債権は発生していなくともこれを支払うことは何ら差支えない事柄であり、一般に欠勤の場合に届出があれば賃金カツトをしないとか、五〇分の一カツトにとどめることも世間によくみられるところであり、被告も労働者の生活を保障するという観点から個人の利益を配慮して就業規則をもつてかねてよりそのような取扱いをしてきた。 しかしながら、組合活動による欠勤の場合はまた別個の観点から考えるべきものであつて、個別的労働関係における欠勤は労働者個人の利益を配慮することに合理性があるが、使用者と対抗関係に立つ集団的労使関係においてはかかる配慮は無用のことであり、むしろ、労組法は労働組合の自主性を強調し、使用者の組合に対する資金援助を禁止するのみでなく、これを受けた場合は組合としての資格を与えない態度をとつているのである。したがつて、原則として労働時間中の組合活動について賃金を支払うことは、それが直ちに不当労働行為にあたるか否かは別としても同法の精神に反することは明らかであつて、私用による欠勤等とはその取扱いを異にするのが当然であると考えられる。 (3) 原告らは、右取扱い変更は組合が反対の意見を表明し、個々の組合員が同 は別としても同法の精神に反することは明らかであつて、私用による欠勤等とはその取扱いを異にするのが当然であると考えられる。 (3) 原告らは、右取扱い変更は組合が反対の意見を表明し、個々の組合員が同意していないから無効であると主張するけれども、労使間には何らの労働協約も存在しないし、労働契約の内容として原告主張のようなものは存在しない。 仮に何らかの慣行が認められたとしても、それは集団的労使関係上のものであること前記のとおりであるから、事情の変更に基づく合理性のある内容のものとして被告が組合に提案し、組合と協議を経たうえ相当期間の後に取扱いを変更した以上、組合が反対の意見を表明していても、また組合員が同意していないからといつて、直ちに無効になるものではない。 (4) 仮に、原告らが主張するような労働契約が成立していたとしても、その内容は労働に対していかなる賃金が支払われていたか、その賃金をいかに変更したかの問題ではなく、労働をしない組合活動による休務の場合にいかなるものを支払つていたかの問題であり、広い意味での労働条件の一つであることは認めても、労働の対価としての賃金の性格を有するものではないから、ひとたび与えたものは労働者の同意のない限り絶対に奪い得ないという性質のものではない。 (三) 就業時間中の組合活動に対する賃金保障に合理性があるとする原告らの主張に対する反論(1) 原告らは、被告の就業規則上の届出欠勤の取扱いを持出して右合理性を理由づけようとするが、これは個別的労使関係における労働者個人の利益を配慮した保障的制度であつて、組合活動の場合にこれと同列に扱わねばならない理由はない。 (2) 原告らは、従前就業時間中の組合活動が出勤扱いであつたり、待機扱いであつて、賃金カツトがなかつたことを指摘するが、それは従前待機時間なり待機人 場合にこれと同列に扱わねばならない理由はない。 (2) 原告らは、従前就業時間中の組合活動が出勤扱いであつたり、待機扱いであつて、賃金カツトがなかつたことを指摘するが、それは従前待機時間なり待機人員が相当数あつたため待機扱いとすることが可能であつた事情によるもので、今やそのような事情が消滅したのであるから、その取扱いも変更されることはやむをえないところである。 (3) また、賃金の中には、原告ら主張のように家族手当、通勤手当、別居手当、住宅手当等の具体的労働の対価の性質をもたないものがあるけれども、それは広義の賃金であり、いわゆる生活保障的性質を帯びるものであり、ここで問題になるのは本来の労働の対価としての賃金の問題である。 (4) 更に、原告らは、日本における企業内組合の取扱いを強調するが、原告らの属する分会はいわゆる企業内組合ではなく、全国的組織の産業別労働組合であることは原告らの認めるところであり、組合業務が企業内活動に限らず、組合用務のための自主的な活動が全国的な規模で広範囲に行なわれている以上、それを被告がすべて経費援助しなければならない理由は全くない。 もつとも、原告らも指摘するように、組合の業務中労働者の福利更生面のものについては、被告業務の肩代り的機能をもつけれども、これらについては被告は終始一貫して賃金保障をしてきたのである。 (5) 原告らは、検数業務が定時に終ることが少なく、丸一日を結局休まなければならないことの多い状況にあるから、組合活動による欠務については二五分の一カツトはなされていなかつたと主張し、原告らの職場及び組合活動のあり方において右のような事情はある程度認められるけれども、そのことが二五分の一カツトがなされていなかつた理由でなく、待機時間との関係から当初は全額保障、その次の段階では相当量が五〇分の一 合活動のあり方において右のような事情はある程度認められるけれども、そのことが二五分の一カツトがなされていなかつた理由でなく、待機時間との関係から当初は全額保障、その次の段階では相当量が五〇分の一カツト、その後は二五分の一カツトと取扱いが変更されてきたのであり、それは被告側の事情と組合側の事情との相関係の中で順次取扱いが変更されてきたまでである。 (四) 被告による不当労働行為の主張に対する反論原告らは、前記取扱い変更は被告により従前の組合活動の保障を一方的に制約する支配介入の意思をもつてなされたもので、労組法七条一号、三号により無効であると主張するけれども、被告は、法律に照らしてむしろ支配介入にあたると考えざるをえないような状態を改善したまでであり、しかもその措置により組合活動を封殺する意思はなく、現実に従前に劣らず広く組合活動が行なわれているのである。 戦後二、三年間我国労働組合の多くが、経費援助を受けていたけれども、その後時代の変遷とともにあるべき姿に変更されてきたのは公知の歴史的事実であり、本件もそのような位置づけのもとに正当に理解されなければならない。 四被告の主張に対する原告の反論 1 本件賃金の五〇分の一カツトが分会に対する経費援助であるとの主張について労組法七条三号但書は、労使間の協議又は交渉の際の賃金支給、福利厚生基金への寄附、最小限の広さの事務所の供与の三つの場合以外の使用者からの経費援助は不当労働行為になると規定したが、この法文を形式的に解釈すれば組合集会のための会社施設の無償使用、チエツク・オフの慣行、在籍専従者の組合専従期間の勤続年数への加算等もすべて不当労働行為となり、その結果はわが国の企業別組合の団結権保障を否定することにもなる。また逆に、就業時間中組合活動の賃金保障であるにかかわらず、右労使間協議、交 専従期間の勤続年数への加算等もすべて不当労働行為となり、その結果はわが国の企業別組合の団結権保障を否定することにもなる。また逆に、就業時間中組合活動の賃金保障であるにかかわらず、右労使間協議、交渉の賃金保障について例外的にせよ許容したことに合理性はないことになるし、もしこれを使用者の経営活動の面から是認するならば、日本の労働組合組織が福利厚生面で重要な役割を果すなど労務管理事務(権限)の一部を肩代りしている面のあることを思えば、団体交渉、協議の時間のみ賃金保障するのもそれが就業時間中の一定の組合活動と質的に区別されるものでない以上不可解である。結局のところ、労組法七条三号但書の解釈は、労働組合の自主性を擁護し、御用組合化を防止するとの同法の目的からの目的的解釈を行なわなければならず、当該労使関係において具体的、実質的に問題をみる必要がある。そして、労働者の団結体が自主的で、現に存在する団結、現に団結のために機能している条件をこそ具体的に判断し、それ自身を保障することが必要である。とりわけ、わが国の企業別労働組合にとつて団結権の具体化する場が企業である以上、一層このことは重要視されなければならない。 一般にこうした労働慣行の存在、その生れくる必然性を我国の企業別労使関係の構造にみることができるのであり、これらは使用者の団結承認義務に伴う受忍の範囲のものとして理解されるべきである。 2 本件賃金カツトがノーワーク・ノーペイの原則に基づくとの主張についてノーワーク・ノーペイの原則は「労働なければ賃金なし」という労働契約の一般原則を表明したものであつて「具体的労働がなければ賃金を支払うべからず」といつた法的強制力をもつものではない。このことは、被告においても就業規則上届出欠勤の場合欠勤一日につき二五分の一カツトをするとは定めていないこと、 あつて「具体的労働がなければ賃金を支払うべからず」といつた法的強制力をもつものではない。このことは、被告においても就業規則上届出欠勤の場合欠勤一日につき二五分の一カツトをするとは定めていないこと、一般に賃金は生活保障の趣旨を含み、その中には家族手当、通勤手当、住宅手当、休業手当等具体的労働に対応しない部分もあることなどからして明らかである。 かえつて、月給制がとられている場合など賃金が固定している場合には、労働者の責に帰すべき欠勤、遅刻、職場離脱、早退等についても、これらの義務違反の程度が重要な場合のみ賃金の一定の減額が行なわれ、そうでない限りは減額されないのがむしろ普通であり、欠勤、早退等については賃金カツトされないのが労働慣行であつて、これをカツトするには労使間の合意が必要と解すべきである。 就業時間中の組合活動に対する賃金保障は、組合活動が違法でない限りは憲法、労組法で保障され、労働者の生存権を具体的に保障する不可欠の権利である団結権の具体化したものとして使用者の受忍すべきものであるうえ、前記組合活動の労務管理的機能を考えれば合理性があるし、また、組合員は就業時間中組合活動に従事する間も賃金を唯一の生活の糧とする労働者たる地位を失わないことからいつても、必要であるということができる。反対に、就業時間中の組合活動に従事する労働者の労働の代りは他の労働者が代替しているのであるから、当該労働者が休務したため業務に支障があつて他の労働者に特別の賃金を支払つたり、アルバイトを採用したなどの特別の事情がない限り、右の場合に賃金カツトをすることは使用者において右カツト分を不当に利得するという不合理なことになる。 3 就業時間中の組合活動による業務支障、従業員間の就業時間格差について就業時間中の組合活動従事者の延人数が昭和三六年以降同四四年ま 者において右カツト分を不当に利得するという不合理なことになる。 3 就業時間中の組合活動による業務支障、従業員間の就業時間格差について就業時間中の組合活動従事者の延人数が昭和三六年以降同四四年までの間増加傾向にあることは被告主張のとおりであるが、被告大阪支部の従業員数も連年大巾増加傾向にあり、そのことによつてより組合活動が多様かつ多量になることは必然的結果であるから、従業員全体との割合の点で組合活動の増加があるのでなければ業務支障が拡大したということにはならないというべきである。この観点よりすれば、右期間における従業員一人当り及び組合員一人当りの就業時間中組合活動従事回数は、それぞれ月間〇・二ないし〇・三回及び月間〇・三回前後に固定し何ら増加傾向になく、したがつて、被告の業務支障度にも何ら変化がないといわなければならない。 また、組合活動の量の増加には必然性と正当性がある。すなわち、港湾労働の歴史は封建的、後進的労働実態をめぐる歴史であり、雇用不安、低賃金、労働災害の多発を必然とする労働環境等、どれをみても他産業と比較にならぬ劣悪なもので、福利厚生の点をみてもほとんどないといつても過言でない。被告で働く労働者においても右事情は共通であり、分会の労働条件向上のための活動が、権利意識の自覚とともに質的、量的に拡大するのは当然である。 港湾労働の実態は、船舶の入港に伴い貨物の積込み、陸揚げが行なわれる際の共同、連帯作業であり、検数労働も右作業の流れに組み込まれている以上その労働条件は被告以外の事業者にも規制されているというべく、したがつて、検数労働者を含む港湾労働者の労働条件維持、向上のための活動は荷主、港湾運送事業者にも向けられる必然性があり、それ故、分会においても、その上部組織である全港湾の活動に結集するのみならず、港湾内の各種 数労働者を含む港湾労働者の労働条件維持、向上のための活動は荷主、港湾運送事業者にも向けられる必然性があり、それ故、分会においても、その上部組織である全港湾の活動に結集するのみならず、港湾内の各種の共闘組織への参加、活動が必要となるわけである。 4 配置の便宜がはかれない旨の被告の通告に対する分会の対応について組合用務のための届出欠勤対象者が被告業務に従事したり、休務権を行使したことがあると被告は主張するが、右事例はごく例外的に存在するものであり、業務に従事したケースは検数業務にトラブルが生じたりして引継が不可能になつて下船することができなくなつたときのような緊急事態に限つてであるし、休務権行使は急病等、緊急の私の理由によつて組合活動に従事できなくなつたような場合に行なわれたもので、当然の措置である。 第三証拠関係 (省略) 理由 一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二原告らが別表二の△印記載の日に組合活動のため欠勤し、これに対し、被告が欠勤一日につき二五分の一カツトを行なつたことは当事者間に争いがない。 三そこで、五〇分の一カツトの労使慣行と同内容の労働契約の成立について判断する。 1 就業時間中の組合活動に対する賃金保障のあり方の変遷について(一) 請求原因3(一)の事実は当事者間に争いがない。 (二) 昭和三三年九月二五日被告と当時分会が二重加盟していた企業別労働組合である全日検労組との間に「就業時間中の組合活動に関する取扱」と題する協定が結ばれ、被告大阪支部と全日検労組大阪支部との間でもこれが適用されたことは当事者間に争いなく、成立に争いのない甲第二六号証によれば、右協定の内容は、(1)執行委員会等の各種委員会への出席は、正規執行委員会をもつて原則として一か月三回を越えない範囲で行ない、事前に作 とは当事者間に争いなく、成立に争いのない甲第二六号証によれば、右協定の内容は、(1)執行委員会等の各種委員会への出席は、正規執行委員会をもつて原則として一か月三回を越えない範囲で行ない、事前に作業担当次長、課長、所長と協議のうえ、出来うる限り作業に支障のない時期及び方法をとることとし、前日までに支部長に届出るものとする。(2)拡大執行委員会、評議員会、代議員会、その他これに類する会議への出席は、出来うる限り回数を月一回以内にとどめ、作業担当次長、課長、所長と協議のうえ作業に支障のない時期及び方法をとり、原則として三日前までに支部長に願い出るものとする。(3)上部団体及び友誼団体の会議への出席は、人員と回数を最小限度にとどめ、そのつど所属長を経て前日までに支部長に願い出るものとする。(4)以上の三場合を待機扱いとする。但し右三場合を通じて一人一か月の回数を協議のうえ支部において定めることができる。(5)支部定期大会への出席は、年一回に限つて作業に支障のない時期及び方法をとり、あらかじめ協会(被告)の承認をえた場合に限り待機扱いとする。(6)中央委員会、中央大会への出席は、あらかじめ協会に願い出て許可をえた場合に限り、原則として左表に示す日数以内の所要日数を待機扱いとする(として別表を定めた)。 (7)団体交渉への出席は出勤扱いとするが、続行手当等の時間外手当は原則として支給しない、というものであることが認められる。 また、右協定の細目について大阪支部と全日検労組大阪支部との間で取決めがなされたことは当事者間に争いがない。 そして、証人Bの証言(第一、第二回)、弁論の全趣旨によれば、右のような協定、取決めがなされたのは、当時被告の業務が生産性の低い前近代的な段階にとどまつており、船舶の入港情報が不確実でその荷役について計画性がなかつたう (第一、第二回)、弁論の全趣旨によれば、右のような協定、取決めがなされたのは、当時被告の業務が生産性の低い前近代的な段階にとどまつており、船舶の入港情報が不確実でその荷役について計画性がなかつたうえ、検数業者間の過当競争ともあいまつて検数業務の需要の波動性が著しかつたところから、被告が多くの待機人員ないし待機時間をかかえていたため、就業時間中の組合活動に右のような便宜を与えることが可能であつたことが重要な契機をなしていた事実が認められ、これを覆えすに足る証拠はない。 (三) 分会が右協定に従い、昭和四八年一月二九日まで(但し、右協定自体が同三五年一一月二九日限り失効したことは後記のとおり)、分会員が就業時間中に組合活動に従事する場合その氏名、組合活動の内容、日時、場所を明示し、分会長名で被告大阪支部長宛に右分会員の配置便宜をはかられるよう文書で事前に届出(以下分会の届出というときは右届出をいう)をしたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第二九号証、第四三号証の一、証人C、同Dの各証言、原告E、同A各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、右協定締結後、後記昭和三六年末か昭和三七年初頃まで右分会の届出のあつた場合には特に問題となることなくすべて待機扱いとする取扱いが行なわれ、実際上右協定に定めた場合のみならず、広く一般の組合活動の場合にも同様の取扱いが行なわれたことが認められる。 (四) 成立に争いのない甲第二七号証、乙第一七、第一八号証、原告E、同A各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、大阪地労委は、全港湾大阪地方本部と被告大阪支部との間の昭和三四年冬期一時金をめぐる紛争(不当労働行為救済申立事件)を審理する過程において、右両者の間には団体交渉開催の手続等も定まつておらず、また、就業時間中の組合活動に対する便宜を無反省 阪支部との間の昭和三四年冬期一時金をめぐる紛争(不当労働行為救済申立事件)を審理する過程において、右両者の間には団体交渉開催の手続等も定まつておらず、また、就業時間中の組合活動に対する便宜を無反省、無原則に行なつているかに見える未成熟な労使関係が存在することに気づき、正常な労使関係を築く方途の一つとして、昭和三五年七月五日、「使用者は、業務の特殊性に鑑み、申立人(組合)が予め届出をし、使用者の承認を得た場合に限り申立人組合員の待機中の組合活動を認め、一方同組合員は、待機中の組合活動においても使用者の業務上の指揮、命令に従うこと」との条項を含む勧告を出し、両者ともこれを受け入れたこと(内容は別として、大阪地労委が右のような勧告を出し、これを労使双方が受け入れた事実は当事者間に争いがない)、その内容は事前届出があれば必ず当該組合員を待機扱いにするというものではなかつたが、以後しばらくは従来どおりの取扱いが続けられたことが認められる。 (五) 成立に争いのない乙第二〇号証、証人Bの証言(第二回)によれば、被告は全日検労組に対し昭和三五年八月三一日付協定破棄通告をなし、前記就業時間中の組合活動に対する取扱いに関する協定は同年一一月二九日限り破棄する旨通知し、その結果、右協定は同日限り失効したことが認められ、成立に争いのない甲第一七号証、右証言、原告A本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、被告は右破棄通告の後、待機中の組合活動を認める(賃金カツトなし)ものの、執行委員会等の諸会議については賃金不支給を前提としてその出席を認めることを骨子とする「就業時間中の組合活動について、組合活動に関する協定(案)」なる代案を分会に提示したが、分会の了解がえられなかつたこと(被告が前記協定に代る提案をしたが、分会の了解がえられなかつたことは当事者間に争いが 時間中の組合活動について、組合活動に関する協定(案)」なる代案を分会に提示したが、分会の了解がえられなかつたこと(被告が前記協定に代る提案をしたが、分会の了解がえられなかつたことは当事者間に争いがない)、その後右の問題に関する取扱いは被告各支部ごとの適宜の処理に任されたこと、被告大阪支部では右の事情によつて従前の取扱いに何らの変更もなかつたことが認められる。 (六) 日本経済が昭和三〇年代後半から高度成長時代に入り、貿易の拡大に伴い港湾施設が整備され、港湾荷役量が増大したことは当事者間に争いなく、証人D、同C、同B(第一回)の各証言、原告E本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、その結果検数業務も繁忙となり、必然的に事業活動の近代化、合理化が進行し、それとともに検数業界においては、前記待機人員、待機時間が次第に削減されるに至り、分会の届出に対し、人員のやりくりがつかないため申出組合員の業務配置の便宜をはかりがたい旨回答をなし、この場合においても分会側では、組合活動は被告の意向による制肘を受けず、分会の自主的判断に従つて行ないうるとの立場に立つて、当該分会員において欠勤のうえ組合活動を行なうという事態が生ずるに至つたことが認められる。 (七) 成立に争いのない乙第五号証の一ないし一二二七(但し一一五五、一一七五、一一七六を除く)、乙第六号証の一、二、甲第四八号証の三、四、証人C、同Dの各証言、原告A本人尋問の結果によれば、前記のように就業時間中の組合活動により業務に支障を生ずることがあるに及んで、被告は大阪支部において、昭和三六年末か昭和三七年初頃から前記分会からの届出に対し右配置の便宜がはかれない場合には、五〇分の一カットをすると共に、その頃からいわゆる春闘、年末一時金要求闘争等に際し、労働条件についての組合の要求その他をめぐつて労使 初頃から前記分会からの届出に対し右配置の便宜がはかれない場合には、五〇分の一カットをすると共に、その頃からいわゆる春闘、年末一時金要求闘争等に際し、労働条件についての組合の要求その他をめぐつて労使間に一致点が見出せず、争議(部分ストを含む)に発展した場合には、スト権が確立された時点(但し、被告がそう認知した時点)から事実上交渉が妥結した時点まで、組合活動を理由に分会から届出のうえ欠勤した者に対し、右争議行為に参加したか否を問わず二五分の一カツトを行なうようになつたこと、しかし、配置の便宜がはかれる場合とか、作業計画上必ずしも支障なしとはいえないけれども、組合活動の種類、参加者の役割、人数等を考え、賃金保障もやむをえないと判断した場合、すなわち労使の団体交渉、中央経営協議会、これらの前後の執行委員会、共済等従業員の福利関係、地労委関係の組合業務に従事する場合には、従前どおり賃金が全額保障されたことが認められる。 そして、成立に争いのない甲第四九ないし五一号証、原告A本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、被告大阪支部では、以上の区別による三種の取扱いは昭和四四年一〇月一五日まで存続したことが認められる。 (八) ところで、被告は、右二五分の一カツトは、争議の場合にとどまらず、被告が業務繁忙のため就労命令を出しても分会側が組合活動は分会独自の判断でなしうるとの立場からこれを拒否するときは、分会と被告の間に争議と同様の対立、抗争の関係が顕著であると考えた場合も行なつた旨主張し、これを裏づけるものとして乙第三〇ないし第四六号証を提出するが、成立に争いのない甲第六〇号証、乙第五号証の一一八、三六二、三六三、四三七ないし四七一、五五一、六〇三、六二二、六二三、一〇二六、乙第六号証の二、乙第八号証の一ないし二〇(欄外押印部分を除く)、弁論の全趣旨に ない甲第六〇号証、乙第五号証の一一八、三六二、三六三、四三七ないし四七一、五五一、六〇三、六二二、六二三、一〇二六、乙第六号証の二、乙第八号証の一ないし二〇(欄外押印部分を除く)、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第四八ないし第五〇号証、証人C、同Dの各証言、原告A信義本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、被告における争議は、毎年春闘が概ね三月下旬頃から始まつて五月下旬ないし六月初旬頃終り、夏季一時金闘争が六月中、下旬頃から始まつて七月中、下旬頃終り、更に秋季闘争と冬期一時金闘争が大体連続して一〇月下旬ないし一一月初旬頃から始まつて一二月初旬に終ることが認められ、この事実と証人Dの証言によると、右乙第三〇ないし第四六号証中の二五分の一カツトしたと思われる事例はいずれも右各種の闘争とのかかわりを否定しきれないから、争議と無関係な時期に被告主張のような対立、抗争の関係が発生して二五分の一カツトが行なわれた事実を認めるに十分でなく、証人B(第一回)の証言中右被告主張にそう部分はにわかに措信しがたく、他にこれを認めるに足る証拠はない。 また、右乙第四八ないし第五〇号証、証人Cの証言、原告E本人尋問の結果によると、分会におけるスト権確立後争議の妥結までの間にも、全額賃金保障し、あるいは五〇分の一カツトにとどめたことがあることが認められるけれども、被告はスト権確立時を正確に把握していなかつたこと(被告はこれを認知できた時から二五分の一カツトを行なつたことを自認するから、それは正確なスト権確立時点より遅れがちになると推測される)、団体交渉及びその前後の執行委員会の場合はそれが就業時間中に行なわれても賃金保障していたこと、正式な手続をふんだ争議妥結の前でも事実上妥結しさえすれば二五分の一カツトをしない取扱いであつたことの三点は被告 及びその前後の執行委員会の場合はそれが就業時間中に行なわれても賃金保障していたこと、正式な手続をふんだ争議妥結の前でも事実上妥結しさえすれば二五分の一カツトをしない取扱いであつたことの三点は被告の自認するところであり、この事実に前記乙第五号証の一五四、証人C、同Dの各証言によつて認められる争議のあとでの労使間交渉によりさかのぼつて特定の日の賃金支給につき合意のできることがあつた事実を勘案すると、右被告主張の事例は、特別の事情があつて前記(七)記載の三種の取扱いからはずされた極めて例外的なものと認められるから、通常の原則的な取扱いが前記三種の区分に従つたものであることを認めるに障害となるものでないといわねばならない。 (九) 前記のように、五〇分の一カツトを実施する以前は長い間就業時間中の組合活動をすべて待機扱いとして賃金保障してきた経過があること、就業規則上一般に事前届出による欠勤は五〇分の一カツトにとどめる規定になつていること、成立に争いのない甲第一九号証、原告E、同Aの各本人尋問の結果によつて認められる当時被告東京、横浜の各支部では全面二五分の一カツトの取扱いを敢行したため、組合との間にトラブルを生じ結局労使間で五〇分の一カツトにとどめることの合意が成立した事実、前記のとおり、五〇分の一カツトの原則的取扱いが昭和四四年一〇月一五日まで確固として続けられたことの各事実に成立に争いのない甲第一二号証の記載内容とを合わせ考えると、被告大阪支部では、右五〇分の一カツトを実施するにあたつて、実施以前の右の事情を十分認識し、企業経営に対する影響を見通し、労使間の円滑な関係を念頭においたうえで最も合理的なものと判断して実施にふみ切つたと推認するのが相当である。 この点について、証人C、同Dは、右五〇分の一カツトの実施は明確な一定の意図に基づか し、労使間の円滑な関係を念頭においたうえで最も合理的なものと判断して実施にふみ切つたと推認するのが相当である。 この点について、証人C、同Dは、右五〇分の一カツトの実施は明確な一定の意図に基づかない単に恩恵的なものであると供述するが、被告が、営利を追及する企業として漫然実施したものであることを信ずべき根拠に之しく、右証言部分はたやすく信用できない。 他方、原告A本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、分会及びその分会員においても、前記待機時間が実際に減少している事実を直視し、且つ前記就業規則の規定内容、右被告東京、横浜の各支部での紛争経過を考えた結果、以前の取扱いに比し不利になることを承知のうえで、右五〇分の一カツトをやむをえない措置として甘受することとし、以後その取扱いが原則化されるにつき一切異議を述べなかつたことが認められる(また、二五分の一カツトも右同様被告と対立、抗争している場合としてやむをえない措置であると考えたことが認められる)。 2 五〇分の一カツトを内容とする労働契約の成立について(一) 以上の事実によれば、被告大阪支部は昭和三六年末か昭和三七年初頃就業時間中の組合活動に従事する分会員につき、分会から業務配置の便宜方はかられたい旨の文書による届出があつた場合において、配置の便宜がはかられないときは五〇分の一カツトをする取扱いを実施したが、右実施にあたつては明確な目的意思をもつてこれを行ない、また、分会及びこれに属する原告ら従業員においても、従来の取扱いより不利となつたにかかわらずあえてこれを甘受したことが認められ、しかも、右取扱いは約八年間変わることなく実施され、労使間においてかかる取扱いがなされたことにつき何らの疑義がなく、当然のことと認識されてきたことが推認されるから、右取扱いは労使慣行(事実たる慣習)として黙示的 扱いは約八年間変わることなく実施され、労使間においてかかる取扱いがなされたことにつき何らの疑義がなく、当然のことと認識されてきたことが推認されるから、右取扱いは労使慣行(事実たる慣習)として黙示的に被告と個々の分会員の間の労働契約の内容となつたと解するのが相当である。 (二) 被告は、組合用務のため欠勤した場合にその分会員個人から就業規則上の届出欠勤と同じ意味での届出がなされたことはなく、常に分会長から業務の配置の便宜をはかられたい趣旨の申入書が届出られただけであると主張するが、労働契約の内容に一定の効果の発生を第三者の行為にかからしめる定めを含ませたとしても、当該事項が労働契約の内容たりえなくなるものでないことはいうまでもなく、まして本件の場合、分会は分会員と別違のものでなく、分会員は分会の構成員であるから、届出の関係では実質的に分会の届出は分会員の届出とみなして差支えないと考えられる。なお、右届出は、就業規則上の事前届出とその趣旨において必ずしも一致しないが、ここでの問題は、就業規則上の届出と同じ届出があつたから同じ取扱いをなすということではないから、右主張は採用できない。 (三) 被告は、前記分会の届出に対し賃金を全額保障したこともあるし、五〇分の一カツトにとどめたこともあり、あるいは二五分の一カツトしたこともあつてその取扱いは区々であるから労働慣行は成立しないと主張するが、この点については、前記のとおり、右取扱いの区分の選択は特別の事情のない限り一定の基準に従つてなされたことが認められるから、右取扱いの内容が三種に分かれたことをもつて労使慣行自体の成立を否定する理由とはなしえない。 (四) また、一定の事実状態が反復又は継続しているからといつて、それがただちに労働契約の内容となるものでないことは被告主張のとおりであるが、本件の場 使慣行自体の成立を否定する理由とはなしえない。 (四) また、一定の事実状態が反復又は継続しているからといつて、それがただちに労働契約の内容となるものでないことは被告主張のとおりであるが、本件の場合、就業時間中の組合活動の範囲に関する三種の取扱いは、前記のとおり少くとも被告大阪支部の規模においては全従業員に関し長年固定的に行なわれてきたのであり、しかもその取扱いをなすにあたつては労使双方に一定の目的意思ないし意識的受容があり、その後も当事者間に長期間何らの異議がなかつたのであるから、右取扱いが被告大阪支部の従業員に関する労働契約の内容となつたものと解して差支えないというべきである。 被告は、被告事業の画一的処理の要請上、被告が大阪支部に限つて右取扱いを労働契約の内容とする意思をもついわれがないと主張するが、右画一的処理なるものは事業経営の一つの理想であつても、必然的絶対的な原則とみるべき論拠はなく、のみならず、証人Cの証言、弁論の全趣旨によつて認められる右三種の取扱いが長期間にわたつて被告大阪支部の判断に任され、被告の承認の下に行なわれてきた事実を勘案すると、被告が右の点に関し画一的処理の必要を感じ、その意図を有していたとみることはできない。このような事情の下では、大阪支部の取扱いは被告自身の意思の表現であると解するのが相当であり、これを受け入れた原告ら従業員の意思とあいまつて右のような労働契約条項を成立させたとみて妨げないと考える。 なお、被告は、被告が右取扱いを労働契約の内容となすべき明確な意思を有していなかつた論拠として、昭和三三年以来就業時間中の組合活動に対する便宜供与(被告のいう経費援助)を順次制限する方向で運用してきたことをあげるが、確かに前述したところからみて右傾向が存するうえ、前記乙第四六号証によれば、昭和四三年以降 就業時間中の組合活動に対する便宜供与(被告のいう経費援助)を順次制限する方向で運用してきたことをあげるが、確かに前述したところからみて右傾向が存するうえ、前記乙第四六号証によれば、昭和四三年以降二五分の一カツトをした事例が増加していることが認められるけれども、前記三種の取扱いが確立した後右五〇分の一カツトの区分基準を等閑にして二五分の一カツトをなし、そのため右区分があいまいになるに至つたことを認めるに足る証拠はないこと前記のとおりであり、二五分の一カツトが数量的に増加したことが認められるにすぎないから、従前より右傾向があつたからといつて、右期間における右三種の取扱いをなすという確定的意思がなかつたということはできない。 (五) 被告は、就業時間中の組合活動に対する前記賃金保障に関する取扱いは、いわゆる組合活動に対する経費援助に該当し、分会と被告の間の集団的労働関係の場における問題であつて、個別的労働関係の問題ではないと主張する。 しかしながら、就業時間中の組合活動に対する賃金保障は、性質上就業時間中に勤務につかないでも使用者において賃金を給付するという側面と、組合活動をしたことに対し組合が負担することあるべき報酬を使用者が肩代りする側面とを有し、前者は個別的労使関係の側面、後者は集団的労使関係の側面と解されるのであり、右両側面が混然と存在し截然と分けがたいのが通常であつて、本件の場合もその例外でないと考えられる。すなわち、組合活動を理由とする欠勤に賃金を保障する場合、それが組合活動を行ない易くすることは明らかで、これを前提に労使間の円滑な関係を維持することを狙いとしてこれをなすという契機(集団的労使関係における配慮)があつたことは否定しえない(それが労組法にいう経費援助になるか否かは別として)ところであるが、他方、賃金は何よりも従業員 を維持することを狙いとしてこれをなすという契機(集団的労使関係における配慮)があつたことは否定しえない(それが労組法にいう経費援助になるか否かは別として)ところであるが、他方、賃金は何よりも従業員個人にとつて重要なものであるから、これに関する取決めは特別の事情がない限り個々の従業員との間に結ばれるものと解するのが相当であるし、使用者が賃金カツトをなしうるのにそれをしない場合、労働者に対する賃金の生活保障的機能に着目してこれを可能な限り保障することが労働力の再生産を促し、且つ精神的にも士気の向上につながつて企業活動の能率的運営にかえつて良い結果をもたらすという利点があることを念頭においていると解するのが自然であり、また、就業規則上一般に欠勤の場合五〇分の一カツトにとどめる取扱いをしていることについて右生活保障的機能を考慮してこれを行なつている旨被告が自認している本件にあつては、組合活動による欠勤とはいえ右就業規則と同じ賃金保障をしているのであるから、分会との団交を通じて右取扱いがなされたのでもない以上被告が右個人的労使関係における配慮をなしていると十分推認することができるといわなければならない。もとより集団的労使関係における事項であるからといつて同時に個人的労使関係における事項たりえないというわけのものでもない。 被告における就業時間中の組合活動に関する取決めは、前記のとおり昭和三三年九月二五日の組合と被告との間の協定(労働協約)に始まるのであり、組合と被告との合意という形をもつて行なわれ、しかもその内容は就業時間中の組合活動に対しこれを待機扱いにするという便宜を与えるというのであるから、その限りではそれは集団的労使関係の問題としてとらえるのが適当とも思われる。しかしながら、そこでの当事者の関心は、当時はいわゆる待機時間があり余る程あ 扱いにするという便宜を与えるというのであるから、その限りではそれは集団的労使関係の問題としてとらえるのが適当とも思われる。しかしながら、そこでの当事者の関心は、当時はいわゆる待機時間があり余る程あつたからこれを組合活動にふりあてるということであり、それは手続的な手間がかかることは別として実質的に被告に何らの犠牲負担をしいるものではなく、いわゆる組合活動に対する使用者の経費援助とは別の性格、意味あいを有するものであつて、前記両側面とは違つた観点から理解されるべきものというべきである。そしてそれは、協定破棄後も五〇分の一カツト実施まで基本的に変化はなかつたとみることができる。すなわち、前記五〇分の一カツト実施にあたつては、前記のように分会の届出に対し配置の便宜がはかれず、したがつて、欠勤を強行すれば業務に支障をきたすというそれまでとは違つた背景事情があり、そこで始めて真の意味での就業時間中の組合活動に対する賃金保障の問題が現れたというべく、被告においてはこの時点でこの問題に対する発想の質的転換があつたと解すべきであるから、それ以前の取扱いのあり方をもつて、五〇分の一カツト実施以後の関係の性格を推しはかることは相当でない。 また、被告は、本件賃金カツト実施後それを組合において補填しており、現実には従業員に損失が発生していないことを指摘して、五〇分の一カツト(逆に言えば、五〇分の一の賃金保障)が組合活動に対する経費援助であることの証左であるとし、集団的労使関係の問題であることの論拠の一つとするが、原告A本人尋問の結果によれば、右補填の事実は認められるけれども、もともと組合が所属組合員の組合活動に対し一定の報酬を支払つていてこれを被告が代つて支給するに至つたのであればともかく、本件においては前記のとおり、待機時間を組合活動にふりあてることが るけれども、もともと組合が所属組合員の組合活動に対し一定の報酬を支払つていてこれを被告が代つて支給するに至つたのであればともかく、本件においては前記のとおり、待機時間を組合活動にふりあてることが困難となり、就業時間中の組合活動に対する賃金保障をなすべきかの切実な問題に直面して、被告において前記のような様々な考慮をめぐらしたうえ、五〇分の一のカツトにとどめたものであり、しかも、労使間の団体交渉を経ておらず、被告の一方的措置で行なわれた場合であるから、結果として賃金カツト分が分会により補填され、従業員個人に損失がなかつたからといつて、右五〇分の一カツトにとどめた処置が集団的労使関係の場に限つた問題であるということはできない(組合活動に対する報酬を組合が支給するか否かは組合の選択すべき、組合運営政策上の問題であつて、必ずしも右支給を行なうとは限らないから、分会の右補填は被告の賃金カツトとの間に論理的必然性はなく、したがつて、五〇分の一カツトの実施はもともと組合の負担すべきものを被告が肩代りしたものとはいえない)。 四次に、本件賃金カツトの正当性について判断する。 1 前記のとおり、分会の届出に対し業務の配置の便宜がはかれない場合五〇分の一カツトをなすという取扱いは、被告と従業員の間の労働契約の内容をなしていると認められる以上、これを変更するには特別の事情のない限り従業員全員の承諾がなければならないことは当然であるといわねばならない。 2 被告は、右取扱いの変更は、被告事業活動の繁忙及び分会組合活動の質的、量的増大並びに被告の意思を無視した就業時間中における組合活動の強行という労使双方の事情の変更に基づくもので、正当性があると主張するので、この点についてみるに、(一) 前記のとおり、日本経済が昭和三〇年後半から高度成長時代に入り、貿易の拡大 おける組合活動の強行という労使双方の事情の変更に基づくもので、正当性があると主張するので、この点についてみるに、(一) 前記のとおり、日本経済が昭和三〇年後半から高度成長時代に入り、貿易の拡大に伴い港湾施設の整備、港湾荷役量が増大したことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第二三号証の一ないし三、原告E本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第四二号証、成立に争いのない乙第二一ないし第二五号証、原告E本人尋問の結果、証人Bの証言(第一、第二回)に弁論の全趣旨を総合すると、その結果荷役機械の新増設、荷造方法の改良等が進み、企業の整理統合も行なわれて過当競争が排除され、通信技術の進歩によつて船舶入港情報も的確となつたため、必然的に港湾各種企業の営業活動の効率化合理化が可能となり、被告においても検数業務の作業計画の立案が容易となつて従来多量にあつた待機時間も殆んどなくなり、事業活動が繁忙となつたことが認められ、他方、前記甲第二三号証の二、第二四号証、成立に争いのない甲第三三号証、原告E本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第三四号証の一ないし三、第三五号証の一ないし一一、原告A本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第四一号証の一、成立に争いのない同号証の二、三、第四二号証の一、二、第四六、第四七号証、証人C、同Dの各証言、原告E、同A各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、被告の事業が活況を呈しその規模が拡大するにつれて、分会員数の増加、職場の分散をみたばかりか、港湾関係企業の発展に伴い、全国的あるいは大阪港全体の規模で解決を求められる労働環境、労働条件に関する多種多様にして複雑な問題の生起に直面し、被告内部での組合活動を越えて全港湾関係の活動、大阪港関係の共闘組織との連係活動を活発化させ、そのため 全体の規模で解決を求められる労働環境、労働条件に関する多種多様にして複雑な問題の生起に直面し、被告内部での組合活動を越えて全港湾関係の活動、大阪港関係の共闘組織との連係活動を活発化させ、そのため就業時間中に組合活動を行なう回数も増え、しかもそれは組合活動故に被告の就業要請を無視して右活動が行なわれることになる(現実に業務に支障が生じた)という事態に立至つたことが認められる。 (二) しかしながら、我国法秩序は社会全体の向上発展を根本理念とし、これに資するが故に私有財産、営業活動の自由を認めるが、他方で国民に実質的平等を保障するためその規制をはかり、労働基準法、労働組合法等各労働関係法規において労働者の保護につとめているのであり、かかる法律の理念に照らすと、労働者の唯一の生活の糧である賃金に関する事項を労働者の承諾なくその不利益に変更することは、それによる企業活動の合理化なくしては倒産も予想されるなど企業の存亡にかかわる事態が発生したというような特段の事情のない限り是認されないと解するのが相当であり、本件にあつては、被告の右措置は要するにその一方的な営利追及目的に支障をきたすが故に賃金に関する定めを労働者に不利益に変更しようとするものであつて、信義則の一環である事情変更の原則の適用をみるべき場面ではないといわねばならない。 被告は、五〇分の一カツト(逆にいえば五〇分の一の賃金保障)は組合活動に対する経費援助であり、これを廃止することはかえつて労組法の趣旨にそうと主張するが、右賃金の取扱いは、組合活動による欠勤を一般の欠勤と同じ取扱いにしようとするものであるから、労組法所定の組合活動に対する支配介入の一場面としての経費援助というに値しないというべきである。 (三) また、組合活動に対する賃金カツト分は組合から補填されているから従業員個 とするものであるから、労組法所定の組合活動に対する支配介入の一場面としての経費援助というに値しないというべきである。 (三) また、組合活動に対する賃金カツト分は組合から補填されているから従業員個人に損失はないとの被告主張も、他からの補填があつて結果的に従業員が賃金カツトの不利益を被らなかつたからといつて、右賃金カツト自体の正当性を理由づけうるものではないから、採用できない。 (四) 加えて、およそ事情変更を理由に労働契約の内容の変更を要求しうるのは、当該条項を定めた時点において当事者が予想しえなかつた事由が発生し、同条項を維持することが社会通念上著しく公平を欠き不当と認められる場合に限ると解するのが相当であるところ、前記五〇分の一カツトは、業務上配置の便宜がはかれないのにかかわらず組合活動をした場合に行なわれるものであつて、業務に支障がある場合であり、この点五〇分の一カツトの廃止の前後で事情の質的変化はないうえ、五〇分の一カツトの慣行が強固に確立したといえる時代である昭和三〇年代末から同四〇年代初めは既に我国社会経済の急激な発展過程に入り、その時点で、右取扱いが廃止された昭和四四年一〇月段階での企業活動の繁忙といわゆる待機時間の大幅減少の事態は十分予想しえたと推認しうるし、分会の活動も、既に昭和三〇年代初めの段階で全国的規模で行なわれていた全港湾関係の活動あるいは大阪港関係の他産業組合との共同活動も含め、その活動の範囲、種類とも大規模且つ複雑な様相を呈してきたことは前記認定のとおりであるから、昭和四四年一〇月当時の前記のような組合活動のあり方も予想しうるところであつたと考えられ、就業時間中に被告の意向にかかわりなく組合活動が行なわれたことも従前から組合がとつてきた態度であることは前述のとおりである。しかして、被告においてこれらの予想を も予想しうるところであつたと考えられ、就業時間中に被告の意向にかかわりなく組合活動が行なわれたことも従前から組合がとつてきた態度であることは前述のとおりである。しかして、被告においてこれらの予想を折り込んだうえでの事業経営が不可能であつたことをうかがい知る資料もないから、前記五〇分の一カツトの廃止は事情変更を根拠としてこれを正当化するに由ないものといわねばならない。 (五) 更に、被告は、特定従業員が就業時間中の組合活動に従事する回数が極めて多数となる場合は企業従業員としての立場を逸脱しているから、これに対し賃金を支給することはない旨主張するが、なるほど証人Bの証言により真正に成立したと認められる乙第九号証、原告Aとの関係では成立に争いなく、その余の原告との関係では弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第一三号証の一ないし一二、成立に争いのない一四号証の一ないし一二、証人Bの証言、原告E本人尋問の結果によれば、特定の分会員が組合活動のために就労しない場合が増加している事実が認められる。しかしながら、被告主張の賃金保障廃止の正当性を判断する基準は、当該分会員の行動が前記五〇分の一カツトにとどめた趣旨目的に照らし、右取扱いをなお維持することが被告にとつて耐えがたいものとなつたか否かに求められねばならないと解されるところ、分会員全体の観点からこれを考察すると、分会員数が増加した場合それに伴い組合活動が数量的に増加するのは必然的であり、本件の場合も、成立に争いのない甲第三一号証、原告E本人尋問の結果によれば、こうした契機に基づく組合活動の増加があつたにかかわらずこれに組合役員数の増加が伴わなかつたため、特定個人(役員)の組合活動の増加という結果をきたしたにとどまることが認められ、この事実によれば、分会員の増加に応じて役員数を増加し、 があつたにかかわらずこれに組合役員数の増加が伴わなかつたため、特定個人(役員)の組合活動の増加という結果をきたしたにとどまることが認められ、この事実によれば、分会員の増加に応じて役員数を増加し、これに組合活動を分散していれば右の問題は解消していたわけで、右にみたところよりしてこのような事情は被告の予想しえなかつたところとはいえないから、被告に予想外の不利益を与え右五〇分の一カツトにとどめた目的趣旨に反し耐えがたい結果となつているということはできない。ただ、特定従業員に組合活動が集中することは、その企業にとり養成をはかつてきた当該従業員の仕事の熟練が失われ、あるいは仕事を通じて獲得しうべき将来の熟練、その従業員の対外的信用を期待しえなくなるという損失があることは明らかであり、被告においてこの面の損失を重視するなら、分会及び全従業員に事情を説明してその改善方を申入れ、それが受け入れられない場合には、従業員全体の問題として五〇分の一カツトの取扱いを廃止しうる根拠が与えられると解されるが、前記のように基本的には五〇分の一カツトの取扱いが個々の従業員との労働契約の内容になつていると解される以上、かかる努力なくして(証人森本昇の証言によると、被告が就業時間中の組合活動の増加に対しその善処方申入を行なつたことがある事実は認められるが、右活動の特定個人への集中については特に問題としたことを認めるに足る証拠はない)特定従業員の行動を原因として(従業員の選んだ役員の行動であるとはいえ)、全従業員との間の労働契約条項を変更することには正当な根拠があるとはいいがたいというほかない。せいぜい当該従業員限りでその賃金保障要求に対し、許容しがたい限度で権利濫用として不支給の措置が是認される場合がありうるにすぎないというべきである。 五ところで、弁論の全趣旨によ というほかない。せいぜい当該従業員限りでその賃金保障要求に対し、許容しがたい限度で権利濫用として不支給の措置が是認される場合がありうるにすぎないというべきである。 五ところで、弁論の全趣旨によれば、本件賃金カツトの行なわれた別表二△印記載の各日は、前記三種の取扱いのうち、分会から届出のあつた分会員に対し業務配置の便宜のはかれない平時の場合にあたり、五〇分の一カツトにとどめるべき場合であることが認められ、これに反する証拠はないから、被告の行なつた本件賃金カツトは右各日につき五〇分の一カツトを越える部分につき違法であり、原告らはその給与差額部分の支給を受けうべきものといわねばならない。そして、右差額合計が計算上原告ら各自につき別紙一各請求総額欄記載の金額になることについては当事者間に争いがない。 六そうだとすると、原告らが各自被告に対し、別表一各請求総額欄記載の右各金員及び遅延損害金の請求として、昭和四四年一一月分(同年一〇月一六日から一一月一五日までの分、以下同じ)から同四六年八月分までの賃金(別表一(イ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同四六年八月二五日(賃金支払日がその月の二五日であることについては弁論の全趣旨によつて認める)の翌日から、同四六年九月分から同四八年六月分までの賃金(同表(ロ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同四八年六月二五日の翌日から、同四八年七月分から同五〇年五月分までの賃金(同表(ハ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同五〇年五月二五日の翌日から、同五〇年六月分から同五二年三月分までの賃金(同表(ニ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同五二年三月二五日の翌日からそれぞれ支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払を求める原告の本訴請求はす 同五二年三月分までの賃金(同表(ニ)欄記載の金額)についてはその最終賃金支払期日である同五二年三月二五日の翌日からそれぞれ支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払を求める原告の本訴請求はすべて理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を、仮執行の宣言について同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官上田次郎東修三田中亮一)(別紙、別表省略)

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