【DRY-RUN】○ 主文 本件各訴をいずれも却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者双方の申立 (原告) 一 被告が原告に対し、昭和四三年三月一日付をもつてなした所得税決定処分およ び無申告加
○ 主文本件各訴をいずれも却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者双方の申立(原告)一被告が原告に対し、昭和四三年三月一日付をもつてなした所得税決定処分および無申告加算税の賦課決定処分を取消す。 二被告が、昭和四三年五月一四日付でなした原告名義の電話加入権(○○○局○○○○番)に対する差押処分を取消す。 三訴訟費用は被告の負担とする。 (被告)一本案前の答弁主文同旨二本案の答弁原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一原告の請求原因(請求の趣旨第一項について) 1 被告は原告に対し、昭和四三年三月一日付をもつて原告の昭和三九年分所得税について総所得金額を一九、二一〇、九五〇円、所得税額を九、一四九、一〇〇円とする決定処分および無申告加算税を九一四、〇〇〇円とする賦課決定処分(以下右両処分をあわせて「本件決定処分」という。)をなした。 しかしながら、原告には昭和四三年中なんら所得が発生していないから、本件決定処分は違法である。 2 原告は本件決定処分に対して昭和四三年三月二八日被告に異議を申立て、同年一一月八日付で棄却決定がなされたので、同年一二月六日東京国税不服審判所長に審査請求(以下「第一回目の審査請求」という。)をした。 ところが、その後右審査請求に対する裁決書の謄本が送達されないので、昭和四六年九月一〇日付をもつて東京国税不服審判所長に再度審査請求(以下「第二回目の審査請求」という。)をした。 国税不服審判所長は、右審査請求に対し、昭和四七年二月二九日付をもつて、本件決定処分については、第一回目の審査請求の申立に対してすでに昭和四五年一〇月七日付で裁決(以下「第一回目の裁決」という。)をしているから、再度審査請求をすることはできないとしてこれを却下す て、本件決定処分については、第一回目の審査請求の申立に対してすでに昭和四五年一〇月七日付で裁決(以下「第一回目の裁決」という。)をしているから、再度審査請求をすることはできないとしてこれを却下する旨の裁決(以下「第二回目の裁決」という。)をした。 しかし、国税不服審判所長のなした第二回目の裁決は違法である。すなわち、原告は前記のとおり第一回目の裁決書の謄本の送達を受けていないので、第二回目の裁決は理由の前提に重大な誤りがある。したがつて、原告がなした第二回目の審査請求は適法である。 3 よつて、原告は被告に対し本件決定処分の取消を求める。 (請求の趣旨第二項について) 1 原告は、東京国税局長から昭和四六年六月下旬、同年六月二三日付書面をもつて原告名義の電話加入権(○○○局○○○○)についての公売予告の通知を受けた。 2 原告は、これにより原告名義の右電話加入権が差押処分を受けていることを知り、昭和四六年六月二九日租税債務の不存在を理由として東京国税局長に右差押処分に対する異議申立をした。 ところが、同局長は、昭和四六年八月二八日付決定をもつて、原告の右異議申立は公売予告通知に対してなされたものであり、同通知は異議申立の対象となる処分に当たらないとして、これを却下した。 しかし、原告の異議申立は、たとえ申立書の記載の形式上は公売予告通知に対するものとしてなされていても、租税債務の不存在を理由としてなされているのであるから、差押処分そのものに対する異議申立と解すべきであり、東京国税局長がこれを公売予告通知に対する異議申立と解してなした前記却下決定は違法である。 そこで原告は、昭和四六年九月一〇日東京国税不服審判所長に前記電話加入権の差押処分に対し審査請求をした。これに対し、同所長は、昭和四七年二月二九日付裁決をもつて、原告の審査請求は異議申 違法である。 そこで原告は、昭和四六年九月一〇日東京国税不服審判所長に前記電話加入権の差押処分に対し審査請求をした。これに対し、同所長は、昭和四七年二月二九日付裁決をもつて、原告の審査請求は異議申立を経由していず、かつ経由しないで審査請求をすることにつき正当な理由が認められないとして、原告の審査請求を却下した。しかし、前記のとおり、原告は本件差押処分につき異議申立をしたものと解すべきであるから、右却下裁決は違法である。したがつて、原告が本件差押処分についてなした審査請求は適法である。 3 よつて、原告は被告に対し、租税債務が存在しないにもかかわらずなされた違法な本件差押処分の取消を求める。 二被告の主張 1 本案前の主張(請求の趣旨第一項の訴について)(一) 国税不服審判所長は昭和四五年一〇月七日付をもつて本件決定処分に対する審査請求について第一回目の裁決をなし、右裁決書の謄本は同年一〇月二二日原告の住所に送達された。したがつて、本件訴は出訴期間を徒過した不適法なものである。 もつとも、原告は、昭和四三年三月一二日東京拘置所に勾留され、同年四月六日釈放され、さらに同年七月五日判決の言渡により再び同所に収監され、爾後昭和四八年までの間、同拘置所、中野刑務所、府中刑務所に順次収容されていたものであるところ、右の第一回目の裁決書の謄本は原告の肩書地所在の家屋を住所として郵便により送達され、原告の内縁の妻Aがこれを受領したものである。 ところで、審査請求に対する裁決は、国税通則法一〇一条一項、八四条三項により、審査請求人に裁決書の謄本を送達して行なうが、送達の方法については、同法一二条により郵便による送達又は交付送達によりその送達を受けるべき者の住所又は居所に送達することとされている。したがつて、在監者に対する書類の送達については、本人の住 が、送達の方法については、同法一二条により郵便による送達又は交付送達によりその送達を受けるべき者の住所又は居所に送達することとされている。したがつて、在監者に対する書類の送達については、本人の住所がある限り、これに送達することを妨げないのである。 しかるところ、裁決書を送達した前記家屋には、原告の収監前には原告および原告の家族が居住し、収監後においても原告の家族がそのまま居住していたものである。そして、原告が収監されて不在中は右留守宅に居住していたAが、留守宅の管理の一切をし、また指定面会人として在監中の原告に対し頻繁に面接していたのである。しかも、本件決定処分にかかる原告の所得税の納税地は右留守宅の所在地であり、原告は本件決定処分に対して第一回目の審査請求の申立をなした昭和四三年一二月六日ころには右留守宅に居住していなかつたにもかかわらず、右申立書に右留守宅を住所と記載している。 以上の事実を総合すれば、前記留守宅は原告の収監後においても原告の住所であつたと解すべきである。 (二) 仮に、前記裁決書をAが受領したことによつて送達の効力が生じないとしても、同女は裁決書の受領後のもつとも近接した刑務所の面会日に裁決書を同所に持参し、原告に提示したと推認されるので、その日をもつて原告は裁決書の内容を了知したものと解すべきである。 (三) したがつて、原告の昭和四六年九月一〇日付の第二回目の審査請求は不適法であり、国税不服審判所長は昭和四七年二月二九日付の第二回目の裁決においてこれを却下したものである。そうとすれば、本件訴は、行訴法所定の出訴期間を徒過した不適法なものというべきである。 (請求の趣旨第二項の訴について)(一) 本件訴は、被告が昭和四三年五月一四日付でなした原告名義の電話加入権に対する差押処分に対して原告において異議申立を経由し 過した不適法なものというべきである。 (請求の趣旨第二項の訴について)(一) 本件訴は、被告が昭和四三年五月一四日付でなした原告名義の電話加入権に対する差押処分に対して原告において異議申立を経由していないから不適法である。 すなわち、原告は差押処分に対して異議申立をしたというけれども、原告において異議申立をしたのは差押処分に対してではなく、公売予告通知に対するものであることは申立書の記載の形式上明らかである。ところで、公売予告通知なるものは、税務署長等が滞納者にできる限り自主納付等による換価以外の整理の機会を与えるとともに換価処分の適正を期するための配慮から事前準備の一つとして行なつているものであつて、この通知を発することについてはなんらの法的根拠はない。したがつて、公売予告通知が発せられたからといつて、これにより公告処分をすることの法的効果が生ずるものでもなく、公売開始のための要件手続でもない。 差押財産を公売に付するときには、公売公告に関する国税徴収法九五条、公売通知に関する同法九六条等の規定が存するのである。 (二) 仮に、原告が昭和四六年六月二九日になした異議申立をもつて差押処分に対する異議申立と解すべきであるとしても、右差押調書謄本は昭和四三年五月一七日ころ原告に送達されているから、右申立は不服申立期間を徒過しているものである。 したがつて、原告の審査請求を却下した昭和四七年二月二九日付裁決は適法であり、本件訴は、適法な審査請求に対する裁決を経ないで提起されたことに帰し、国税通則法一一五条の要件を欠き不適法である。 2 本案の主張(請求の趣旨第一項の訴について)請求原因事実のうち、昭和四三年中原告においてなんら所得がなく、本件決定処分が違法であるとの主張は争う。 (請求の趣旨第二項の訴について)請求原因事実のうち、本件差押処 求の趣旨第一項の訴について)請求原因事実のうち、昭和四三年中原告においてなんら所得がなく、本件決定処分が違法であるとの主張は争う。 (請求の趣旨第二項の訴について)請求原因事実のうち、本件差押処分が租税債務が存在しないのになされた違法なものであるとの主張は争う。 三被告の本案前の主張に対する原告の反論(請求の趣旨第一項の訴について) 1 国税通則法も民訴法もともに「送達」なる用語によつて名宛人に対し書類を交付する制度を設けているが、その法的性質、要求される方式は基本的には同一であるべきである。したがつて、送達に関し国税通則法上規定を欠く場合には民訴法上の規定を類推適用するのが妥当である。 そうとすれば、在監者に対する送達は、民訴法一六八条によつて監獄の長になすべきであるから、これを交付を受けるべき者の住所(留守宅)においてしても無効というべきである。 2 国税不服審判所長の昭和四五年一〇月七日付の第一回目の裁決について、原告の内縁の妻であるAがその裁決書謄本を原告肩書地所在の家屋において受領してはいるけれども原告は同女に在監中の留守宅の管理を委ねたことはなく、また指定面会人として刑務所に届出たこともない。 原告が留守宅の管理を委ねたのはBであり、指定面会人も同女であつた。 原告が在監中、Aが原告のもとに裁決書の謄本を持参した事実はない。 もつとも、原告が東京拘置所に収監中であつた昭和四三年一二月六日本件決定処分に対する審査請求の申立をなした際に、原告の住所を肩書地である東京都目黒区<地名略>と記載したことはあるけれども、これをもつて、民訴法一六八条の規定に反し、右場所を送達場所とすべき謂れはない。 (請求の趣旨第二項の訴について)公売予告通知は公売開始のための要件手続であつて、これにより公売が開始されるのであるから、形式上は通知であつて 条の規定に反し、右場所を送達場所とすべき謂れはない。 (請求の趣旨第二項の訴について)公売予告通知は公売開始のための要件手続であつて、これにより公売が開始されるのであるから、形式上は通知であつても、実質上は公売開始という処分である。したがつて、原告のなした公売予告通知に対する異議の申立は公売処分に対する異議の申立として受理されるべきであるから、異議申立に対する却下決定および審査請求に対する却下裁決は、いずれも違法である。 第三証拠関係(省略)○ 理由本件各訴が適法であるかどうかについて判断する。 (請求の趣旨第一項の訴について)被告が原告に対し、昭和四三年三月一日付をもつて、本件決定処分をなしたところ、原告がこれに対して異議申立をし、さらに右異議申立却下決定に対し昭和四三年一二月六日付で第一回目の審査請求をしたこと、右審査請求に対する国税不服審判所長の昭和四五年一〇月七日付の第一回目の裁決について、その裁決書謄本が同月二二日原告の肩書地所在の家屋に送達され、原告の内縁の妻Aがこれを受領したことおよびその当時原告は刑務所に在監中であつたこと、原告の昭和四六年九月一〇日付の第二回目の審査請求に対して、国税不服審判所長が昭和四七年二月二九日付でこれを不適法として却下する第二回目の裁決をしたことは、いずれも当事者間に争いがない。 原告は、在監中の者に対する裁決書の謄本の送達は民訴法一六八条を類推適用し監獄の長になすのでなければ無効であると主張する。 しかしながら、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長その他の行政機関の長又はその職員が発する書類の交付は、国税通則法一二条ないし一四条に定める方式による送達をもつてこれをなすことを要し、かつ右の所定の送達をなせば足りるものと解するのが相当である。けだし、民訴法上の送達ならびに税務行政庁のなす の交付は、国税通則法一二条ないし一四条に定める方式による送達をもつてこれをなすことを要し、かつ右の所定の送達をなせば足りるものと解するのが相当である。けだし、民訴法上の送達ならびに税務行政庁のなす国税関係書類の送達は、いずれも書類を交付すべき者に対する交付を確実にし、交付に関して後日の紛争を防止するために一定の方式に従つてなすべきことが要求される点においては同じではあるとしても、税務行政庁のなす処分の通知は、迅速性が要請され、頻度等において、差異のあることは明らかであるから、送達に関しても右の差異に応じてそれぞれ合理的な方式を定めることも許されるべきものであり、両者の送達方式を細部にわたつてまで同一に規定する必要は存しないからである。 ちなみに、原告所論のごとくであるならば、国税通則法においては、送達一般に関して、民事訴訟法の送達に関する規定を準用する旨の規定をおくか、もしくは民事訴訟法の例によると規定すれば足りることであり、特に独立して規定を設ける必要はないものというべきである。したがつて、在監者に対する送達について民訴法一六八条のような規定を欠く国税通則法のもとにおいては、在監者に対しても同法一二条により本人の住所又は居所に送達しても送達の効力を生ずるものといわなければならない。 ところで、生活の本拠としての住所とは、生活関係の中心的場所であり、生活関係の中心的場所であるかどうかの判断は、諸般の客観的事実を総合してなされるべきものであることはいうまでもないところである。そして、この理は、本人が在監中であつても、そのことのみによつては異ならないものというべきである。 本件においては、原本の存在ならびに成立に争いのない乙第六、七号証、弁論の全趣旨によれば、原告は本件決定処分をうけた昭和四三年三月一日以前から、同月一二日東京拘置所に収監さ いものというべきである。 本件においては、原本の存在ならびに成立に争いのない乙第六、七号証、弁論の全趣旨によれば、原告は本件決定処分をうけた昭和四三年三月一日以前から、同月一二日東京拘置所に収監されるまでの間、肩書地所在の家屋を住所としていたものであり、同月一二日から同年四月六日までの間は同拘置所に勾留されていたが、同日釈放されて後同年七月五日判決の言渡により同拘置所に収監されるまでの間再び右住所に戻り、同日以後昭和四八年までの間は同拘置所、中野刑務所、府中刑務所等に順次収容され、出所後は右住所に帰住していること、原告は在監中の昭和四三年三月二八日肩書地を住所として本件決定処分に対し異議申立をし、さらに刑の執行により拘置所に収監された後である昭和四三年一二月六日になした第一回目の審査請求の申立書にも肩書地を住所として記載していること、拘置所へ収監される前後を通じ、原告の家族は肩書地において生活を営んでおり、内妻Aも同居していて同女は原告が在監中、頻繁に原告と面会し、昭和四五年五月一八日指定面会人として届出され、第一回目の裁決書を受領した後には同年一一月一一日に面会していること等の事実が認められ、これらの事実からさらに原告は、本件決定処分に対する行政不服申立について、関係書類の受領をAに委ねる意図であつたものと推認できるから、以上の事実を総合して判断すれば、第一回目の裁決の裁決書謄本が原告肩書地所在の家屋に送達された昭和四五年一〇月二二日ころ、国税通則法一二条の適用上、原告の住所は右家屋であるとするのが相当である。 そして第一回目の裁決の裁決書謄本をAが右住所で受領している以上、他に特段の事情も認められない前記事実関係のもとにおいては、右裁決は原告の了知しうべき状態におかれたものというべきであるから、右裁決書謄本は適法に原告に送達された 本をAが右住所で受領している以上、他に特段の事情も認められない前記事実関係のもとにおいては、右裁決は原告の了知しうべき状態におかれたものというべきであるから、右裁決書謄本は適法に原告に送達されたものといわざるをえない。 したがつて、原告のなした第二回目の審査請求は不適法であつて、国税不服審判所長がなした第二回目の裁決は適法といわなければならない。 以上の次第で、本件訴は第一回目の裁決の裁決書の謄本が送達された昭和四五年一〇月二二日から起算すれば、行訴法一四条三項所定の出訴期間を徒過したものであることが明らかであるから不適法というべきである。 (請求の趣旨第二項の訴について)原本の存在ならびに成立に争いのない乙第三ないし第五号証、弁論の全趣旨によれば、被告は昭和四三年五月一四日付をもつて滞納処分として原告名義の電話加入権を差押え、差押調書謄本は同月一六日ころ郵便によつて原告の肩書住所に送達のうえ、受領されたことが認められる。そして、東京国税局長が昭和四六年六月二三日右電話加入権について公売予告通知書を原告に送付したことおよび原告が同月二九日東京国税局長に対し異議申立書を提出したことは当事者間に争いがない。 原告は右異議申立が本件差押処分に対するものであると主張し、被告は公売予告通知に対するものであると主張する。 しかし、原告のなした異議申立を本件差押処分に対する異議申立と解すべきとしても、原告が本件差押処分の通知を受けたのは前記のとおり昭和四三年五月一六日ころであるから右異議申立は国税通則法七七条一項所定の不服申立期間を徒過したのちなされたことが明らかというべきであり、本件差押処分については適法な裁決前置手続を経ていないことに帰するものといわざるをえない。 したがつて、本件差押処分の取消を求める本件訴は不適法というべきである。 よつて、本件各 らかというべきであり、本件差押処分については適法な裁決前置手続を経ていないことに帰するものといわざるをえない。 したがつて、本件差押処分の取消を求める本件訴は不適法というべきである。 よつて、本件各訴をいずれも却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官内藤正久山下薫三輪和雄)
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