平成14年(行ケ)第500号審決取消請求事件(平成15年1月15日口頭弁論終結)判決原告東洋エンタープライズ株式会社訴訟代理人弁理士野原利雄被告株式会社インディアンモトサイクルカンパニージャパン訴訟代理人弁護士佐藤雅巳同古木睦美 主文 特許庁が取消2002-30422号事件について平成14年8月21日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は,下記ア記載の登録商標(以下「本件商標」という。)の商標権者,被告は,本件商標の不使用による登録取消しの審判請求人であり,その経緯は下記イのとおりである。 ア登録第4145016号商標構成髪に2枚の羽根飾りをつけたインディアンの左向きの横顔を円形の背景枠に表した図形(別紙「本件商標」記載のとおり)指定商品別表第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,帽子,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」登録出願平成8年11月6日設定登録平成10年5月15日イ平成14年4月17日本件商標の登録取消しの げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」登録出願平成8年11月6日設定登録平成10年5月15日イ平成14年4月17日本件商標の登録取消しの審判請求(取消2002-30422号)同年5月29日上記審判の予告登録同年8月21日本件商標の登録を取り消す旨の審決同年8月30日原告への審決謄本送達 3 審決の理由審決は,被請求人(原告)は上記審判請求に対し答弁していないから,商標法50条の規定により本件商標の登録は取り消されるべきものとした。 第3 原告主張の審決取消事由 1 審決は,本件商標について,商標法50条に規定する商標登録取消事由を認めた誤り(取消事由)があるから,違法として取り消されるべきである。なお,原告(被請求人)が上記審判請求に対して答弁しなかったのは,原告の内部的な事務手続のミスによるものである。 2 取消事由(商標法50条所定の商標登録取消事由を認めた誤り)(1) 本件商標の使用の事実ア原告は,平成13年11月27日~30日の間,原告肩書住所地所在の本社ビル展示室において,本件商標が付された品番IM70562のTシャツ(別紙「使用態様1」〔甲5から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該Tシャツの掲載されたカタログ(甲4)を来訪者に頒布した。 イ原告は,平成13年10月16日~18日の間,東京都墨田区両国所在のKFCHallAnnex展示会場において,本件商標が付された品番IM60481のトレーナー(別紙「使用態様2」〔甲11から引用〕参照)及び品番IM60483のトレーナー(別紙「使用態様3」〔甲12から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該トレーナーの掲載さ 81のトレーナー(別紙「使用態様2」〔甲11から引用〕参照)及び品番IM60483のトレーナー(別紙「使用態様3」〔甲12から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該トレーナーの掲載されたカタログ(甲10)を来訪者に頒布した。 ウ原告は,平成12年11月21日及び22日,大阪市西区所在の浪速運送ビル展示会場において,本件商標が付された品番IM70103のTシャツ(別紙「使用態様4」〔甲19から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該Tシャツの掲載されたカタログ(甲18)を来訪者に頒布した。 エ原告は,平成12年4月4日~6日の間,東京都台東区浅草橋所在のYOSHINAGAビル展示会場において,本件商標が付された品番M67282のスエット(別紙「使用態様5」〔甲23から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該スエットの掲載されたカタログ(甲22)を来訪者に頒布した。 オ原告は,平成10年11月17日~19日の間,東京都港区表参道所在のHANAEMORIビル展示会場において,本件商標が付された品番M77623のTシャツ(別紙「使用態様6」〔甲27から引用〕参照)を販売する目的で展示するとともに,当該Tシャツの掲載されたカタログ(甲26)を来訪者に頒布した。 カ以上のほか,原告は,本件商標が付されたスエットをネット販売している。 (2) 商標的使用について被告は,別紙「使用態様1~6」に示されているような本件商標の使用態様は,デザイン(模様)の一部としての使用であって,商標的な使用ではないと主張するが,デザイン的態様をもって使用された商標は当然に識別標章としての適格性に欠けるというものではなく,識別標識である商標をデザイン態様をもって使用した場合,デザイン要素としての 使用ではないと主張するが,デザイン的態様をもって使用された商標は当然に識別標章としての適格性に欠けるというものではなく,識別標識である商標をデザイン態様をもって使用した場合,デザイン要素としての標章使用と識別標識としての標章使用とが両立し得るというべきである。本件における本件商標の使用態様は,デザイン的であると同時に商標的でもあるということができる。 さらに,そもそも登録商標の使用態様が商標的であるか,デザイン的であるかという問題は,商標権の侵害の成否の判断において必要とされる議論であって,商標法50条に規定する商標の使用事実の有無を判断する場合においては,原則として,その使用態様が問題とされるべきではない(東京高裁平成3年2月28日判決・判例時報1389号128頁参照)。 第4 被告の反論 1 審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。 2 取消事由(商標法50条所定の商標登録取消事由を認めた誤り)について(1) 原告の主張する本件商標の使用の事実は知らない。なお,原告の主張立証するカタログの頒布の点は,本件商標の使用を示すものとはいえない。 (2) 商標法50条の「登録商標の使用」とは,自他識別標識としての使用をいい,デザイン(模様)としての使用はこれに当たらないところ,原告が本件商標の使用として主張立証する使用態様は,デザイン(模様)としての使用であり,商標的使用とはいえない。すなわち,別紙「使用態様1」のものにおいて,本件商標に類似すると思われる標章は,Tシャツの背に大きくプリントされた模様の一部を構成する二重の三角形及びその間に配した文字とともに,模様の一部を構成するものとして配されている。別紙「使用態様2~6」のものにおいても,本件商標に類似すると思われる標章は,組み合わせた図形が異なるほ 成する二重の三角形及びその間に配した文字とともに,模様の一部を構成するものとして配されている。別紙「使用態様2~6」のものにおいても,本件商標に類似すると思われる標章は,組み合わせた図形が異なるほか,上記のものと同様,模様を構成するものとして配されているにすぎない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由(商標法50条所定の商標登録取消事由を認めた誤り)について(1) 本件商標の使用の事実について証拠(甲4~29,枝番を含む。)によれば,原告が,前記第3の2(1)ア~オで主張する日時及び場所において,別紙「使用態様1~6」に表示のとおり,髪に2枚の羽根飾りをつけたインディアンの左向きの横顔を表した図形標章(以下「本件使用標章」という。)の付されたTシャツ,トレーナー等を,販売のために展示したことが認められ,これに反する証拠はない。なお,当該展示の時期が本件の審判請求の予告登録(平成14年5月29日)前3年以内であること,本件使用標章の付されたTシャツ,トレーナー等が本件商標の指定商品に含まれることは明らかである。 そして,本件使用標章は,髪に2枚の羽根飾りをつけたインディアンの左向きの横顔を表している構成部分に関しては,本件商標とほぼ同一の図形からなるものであり,本件商標の構成中,円形の背景枠という識別性にほとんど影響を及ぼさないと考えられる構成部分に関して,若干の変更ないし付加(三角弧としたり,二重線で円形を表したり,「INDIANMOTORCYCLE」等の欧文字を付加するなど)が加えられているにすぎないものであるから(パリ条約5条C(2)参照),本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (2) 商標的使用について被告は,商標法50条の「登録商標の使用」とは,自他識別標識としての使用をいい,デザイ リ条約5条C(2)参照),本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (2) 商標的使用について被告は,商標法50条の「登録商標の使用」とは,自他識別標識としての使用をいい,デザイン(模様)としての使用はこれに当たらないところ,本件使用標章の使用態様は,デザイン(模様)としての使用であり,商標的使用とはいえない旨主張する。確かに,別紙「使用態様1~6」に表示のものにおいては,Tシャツ,トレーナー等の背部又は胸部のほぼ全面又は上半部にわたり,「SIOUXVALLEY」「DAYTONA」「INDIANMOTORCYCLE」等の欧文字と各種の図形(鳥の両翼を広げた図形,エンジンプラグを十文字に重ねた図形,バイクのシルエット図形,チェッカーフラッグの図形等)を多数組み合わせて,デザイン(模様)化し,全体としての意匠的な機能を果たしているということができ,本件使用標章は,その構成要素として見ることもできる。しかしながら,仮に,被告の主張するように商標法50条所定の「使用」の意義を限定的に解するとしても,ある図形が特定の業務を行う者の商品又は役務について使用する標章として商標法2条1項所定の商標に当たるかどうかと,これが物品の外形において視覚を通じて美感を起こさせる創作として意匠法2条所定の意匠に当たるかどうかは,次元を異にするものであって,何ら矛盾背反するものではなく,物品に係るある図形が視覚を通じて美感を起こさせる場合に,これに接した取引者,需要者において,当該標章を使用する者の業務に係る商品又は役務であることを認識することは十分に可能であるから,商標と意匠の双方に当たる図形ということに何ら不都合はない。そうすると,本件使用標章が,それ自体としての,あるいは他の文字や図形との組合せに係る意匠的な機能を果たしているからといっ 可能であるから,商標と意匠の双方に当たる図形ということに何ら不都合はない。そうすると,本件使用標章が,それ自体としての,あるいは他の文字や図形との組合せに係る意匠的な機能を果たしているからといって,標章としての自他識別力が当然に否定されるものではなく,これが同時に商標にも該当するということは何ら妨げられるものではない。 本件において,本件使用標章の上記使用態様に照らせば,本件使用標章は,上記のような欧文字と各種の図形を組み合わせた全体の中にあって,他の文字や図形と分離観察することが不可能又は困難というほどに一体不可分に結合されているとか,本件使用標章部分だけを取り出して識別認識することができないなどの格別の事情は認められず,取引者,需要者は,本件使用標章に着目して,これを独立した図形商標として認識するものと認められる。 したがって,本件使用標章の使用態様は,商標法50条にいう「登録商標の使用」に当たるから,被告の上記主張は採用することができない。 2 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由があり,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,審決は取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官長沢幸男裁判官宮坂昌利(別紙)本件商標使用形態1使用形態2使用形態3使用形態4使用形態5使用形態6 使用形態3 使用形態4 使用形態5 使用形態6
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