令和4(ネ)908 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年12月14日 名古屋高等裁判所 名古屋地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-92701.txt

判決文本文11,467 文字)

主文 1 原判決を次のように変更する。 ⑴ 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して751万円及びこれに対する平成30年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 2 控訴人のその余の控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第一審、第二審を通じてこれを10分し、その7を被控訴人らの負担とし、その余を控訴人の負担とする。 4 この判決主文第1項⑴は、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨原判決を次のように変更する。 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して1073万6000円及びこれに対する平成30年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨⑴ 本件は、控訴人が、指定暴力団Aの三次団体の幹部である被控訴人Bから暴力団の威力を示してみかじめ料の支払を要求され、これに応じて平成17年10月ころから平成28年8月ころまでの間に合計10回にわたりみかじめ料を支払わざるを得なかったと主張して、被控訴人Bに対しては不法行 為に基づき、上記Aの組長である被控訴人Cに対しては使用者責任又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)31条の2に基づき、連帯して1073万6000円の損害賠償金及びこれに対する不法行為の日の後の日である平成30年11月9日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下に同じ。)所定の年 5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 ⑵ 原審が、控訴人の請求を、被控訴人らに対し47万円及びこれに対する平成30年11月9日から よる改正前のもの。以下に同じ。)所定の年 5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 ⑵ 原審が、控訴人の請求を、被控訴人らに対し47万円及びこれに対する平成30年11月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で認容し、その余をいずれも棄却する旨の判決をしたところ、敗訴部分を不服として、控訴人が控訴した。 2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張については、次のとおり補正し、下記3のとおり当審における控訴人の主張を、下記4のとおり当審における被控訴人らの主張をそれぞれ補充するほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2、1から3までに記載のとおりであるから、これ(原判決別紙を含む。)を引用する。 (原判決の補正)⑴ 原判決6頁3行目の「78万円」を「96万円」と改める。 ⑵ 原判決8頁20行目の「平成25年4月12日から」を「平成25年4月12日ころから」と改める。 ⑶ 原判決10頁17行目の「損害賠責任を」を「損害賠償責任を」と改める。 3 当審における控訴人の主張⑴ 本件徴収行為1の違法性について被控訴人Bは、控訴人に対し、平成7年ころから、被控訴人BがDの幹部であることを控訴人が知っていることを認識した上で、暴力団の恐怖のイメージを植え付け、後援会費等の支払の要求を断れば控訴人の家族に対してど のような行為に出るかわからないなど、大変なことになってしまうと思わせるような畏怖的な言動を積み重ね、要求を断ることを不可能にした上で、平成14年ころから、後援会費や誕生日祝いといった名目での金銭の交付要求をしたものであって、これは典型的なみかじめ料の要求であり、このような 怖的な言動を積み重ね、要求を断ることを不可能にした上で、平成14年ころから、後援会費や誕生日祝いといった名目での金銭の交付要求をしたものであって、これは典型的なみかじめ料の要求であり、このような中で平成17年ころに行われた被控訴人Bの組事務所立上げ費用として3 00万円を要求した本件徴収行為1は、たとえ控訴人に対する直接の害悪の告知がなかったとしても、暴対法9条4号もしくは同条2号に該当し、また、社会通念に照らし著しく相当性を欠く違法な行為である。 そして、本件徴収行為1の資金は、それ以外の本件各徴収行為の資金と同様に、D、その上部組織であるE、更にはA全体の違法な活動を増大するために用いられた可能性を否定できない。 したがって、本件徴収行為1は、被控訴人両名による違法行為というべきである。 ⑵ 本件各徴収行為に関する消滅時効の成否についてア不法行為の短期消滅時効の起算点に関する法の趣旨にかんがみれば、被害者が加害者に対して損害賠償請求をすることが期待できない事情があ る場合には消滅時効の進行は開始しないというべきである。本件の消滅時効の起算点を本件各徴収行為に対応する金銭の交付時とする考え方は、暴力団によるみかじめ料徴収行為の実態を無視したものといわざるをえない。 イそして、被控訴人Bは、Dの幹部組員であり、組を立ち上げた暴力団員 であって、上記⑴のとおり、Dの威力を利用した資金獲得行為として本件各徴収行為を行ってきた。そして、本件各徴収行為は、被控訴人Bにより同一の暴力団の威力を利用し、同一の被害者たる控訴人に対し、相互に密接に関連した一連一体の行為として累積的な畏怖を生じさせるものである。このように、控訴人は被控訴人Bから恐怖を与え続けられてきたもの 力団の威力を利用し、同一の被害者たる控訴人に対し、相互に密接に関連した一連一体の行為として累積的な畏怖を生じさせるものである。このように、控訴人は被控訴人Bから恐怖を与え続けられてきたもの であって、かかる関係において、損害賠償請求という権利行使が事実上可能であったなどとは到底いえない。 ウまた、被控訴人CがAの組長であることからすれば、被控訴人Bに対する以上に報復を恐れて被害回復のための損害賠償請求を行うことを躊躇せざるを得ず、損害賠償請求という権利行使が事実上可能であったなどと は到底いえない。 エ被控訴人らに対する損害賠償請求権については、消滅時効の起算点は、どんなに早くても、控訴人による金銭の最終交付日である平成28年8月ころであり、又は控訴人が警察に相談した日である同年10月ころ、あるいは刑事判決の確定時である平成29年12月8日というべきであるが、いずれにしても、消滅時効は完成していない。 ⑶ 消滅時効の援用が信義則違反又は権利濫用となることについて一般に、義務者が権利者の権利行使が困難になる原因を積極的に作出している場合等は「権利の上に眠る者」との評価は妥当せず、また、権利の性質や加害者と被害者との関係等から、時の経過のみによって権利を消滅させる公益性がない場合、時効援用は信義則違反や権利の濫用により制限されるべ きである。暴力団による資金獲得行為については、加害者が威力を利用して資金獲得行為を継続していること自体が、義務者が権利者の権利行使を困難にする原因を積極的に作出している場合に他ならないから、消滅時効の援用は制限されるべきである。本件でも、本件各徴収行為が新たな金銭的損害を被らせる不法行為であるだけでなく、一定の間隔で周期的に行われることで、 その都度、暴力の に他ならないから、消滅時効の援用は制限されるべきである。本件でも、本件各徴収行為が新たな金銭的損害を被らせる不法行為であるだけでなく、一定の間隔で周期的に行われることで、 その都度、暴力の危険にさらされ続けていることを被害者に再確認させ、もって損害賠償請求権等の権利行使や警察への被害相談等を封じ続けているといえる。暴対法31条の3は、消滅時効の規定を除外してはいないが、権利濫用条項や信義則条項も除外していない。したがって、被控訴人らによる消滅時効の援用は、権利の濫用又は信義則違反に該当する。 4 当審における被控訴人らの主張⑴ 控訴人は、自身を一般人であると主張するが、被控訴人Bが暴力団幹部構成員であることを知りながら長年にわたり交友関係を続け、暴力団員の後援会の会長まで務めており、暴力団構成員との関係で一般人であるとは到底いえない。 ⑵ 本件徴収行為1は、控訴人と被控訴人Bとの間で●●●●●に関するトラブルが発生する前の出来事であり、両者間でことさらにトラブルはなかったから、控訴人が被控訴人Bに対して行った贈与行為と解され、不法行為には該当しない。 ⑶ 本件各徴収行為は、交付時期や名目、金額、交付経緯がそれぞれ異なっており、それぞれが個別の行為であるというほかない。被控訴人Bの恐喝の刑 事事件も、徴収行為ごとに有罪認定している。そして、控訴人の損害としても、大気汚染のように累積する性質のものではなく、1回の徴収行為ごとに損害額を明確に区別できるものであるから、逐次的に消滅時効が進行することに支障はない。したがって、本件各徴収行為はそれぞれの行為時(金銭交付時)が消滅時効の起算点となる。控訴人は一連一体の威迫行為を主張する が、本件各徴収行為は約11年にわたるところ、本件徴収行為1と同 ない。したがって、本件各徴収行為はそれぞれの行為時(金銭交付時)が消滅時効の起算点となる。控訴人は一連一体の威迫行為を主張する が、本件各徴収行為は約11年にわたるところ、本件徴収行為1と同2の間は約3年、同2と同3の間は約5年離れており、一連一体との評価は無理がある。 また、控訴人は、損害賠償請求をすることが期待できないから時効の進行は開始せず、刑事事件の有罪判決が確定した時に事実上請求が可能となり、 時効の進行が開始するなどと主張するが、かかる考えは、自ら恐喝の被害に遭ったとして被害申告をした態度と矛盾するものである。また、民事手続と刑事手続は全く性質を異にするものであり、刑事手続で有罪が確定する前でも、民事手続における立証活動は可能であるし、刑事事件で有罪が確定したからといって、その後の嫌がらせが全くなくなる保証はない。 したがって、控訴人の上記主張は理由がない。 ⑷ 控訴人は、被控訴人らが消滅時効を援用するのが権利濫用、信義則違反に当たると主張し、しかも、暴力団による威力を利用した資金獲得行為については義務者が権利者の権利行使を妨げている場合に他ならないとして、あたかも民法の消滅時効の規定が適用されないというに等しい主張をする。しか し、暴対法31条の3において、指定暴力団の代表者等の損害賠償の責任については、民法の規定による旨の定めがなされており、威力を利用した資金獲得行為についても消滅時効の適用が予定されているといえるから、消滅時効の援用をすることが信義則違反又は権利濫用として一般的に排斥されることはない。そして、被控訴人らはいずれも、控訴人に対して何ら損害賠償請求権の行使を妨げるような行為はしていない。したがって、控訴人の上記 主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 ることはない。そして、被控訴人らはいずれも、控訴人に対して何ら損害賠償請求権の行使を妨げるような行為はしていない。したがって、控訴人の上記 主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実並びに争点1(本件各徴収行為の違法性)及び争点2(被控訴人Bの被用者性・事業執行性)について認定事実並びに争点1(本件各徴収行為の違法性)及び争点2(被控訴人B の被用者性・事業執行性)に対する当裁判所の判断は、下記⑴のとおり補正し、後記⑵において当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」中の第3、1から3までに記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決の補正 ア原判決23頁20行目の「加えるかもしれないと述べている」を「加えられるかもしれないと控訴人に思わせる発言をしている」と改める。 イ原判決24頁8行目の「平成25年9月1日から」から9行目の「とおり」までを削り、10行目の「要求し、」の次に「平成25年9月1日ころから平成28年8月ころまでの間、」を加え、11行目の「とおり」を削る。 ウ原判決24頁21行目から22行目にかけての「加えるかもしれないと述べて」を「加えられるかもしれないと思わせる発言により」と改める。 エ原判決26頁9行目の「前記2」の次に「⑴」を加える。 ⑵ 当審における控訴人の主張に対する判断控訴人は、本件徴収行為1の違法性について、前記第2、3⑴のように主 張する。しかし、前記⑴(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、2⑴)のとおり、平成17年10月ころの時点では控訴人が被控訴人Bを畏怖していたとはいえず、暴力団の威力を利用した資金獲得行為とはいえないから、不法行為は成立せず、上記主張は採用できない 中の第3、2⑴)のとおり、平成17年10月ころの時点では控訴人が被控訴人Bを畏怖していたとはいえず、暴力団の威力を利用した資金獲得行為とはいえないから、不法行為は成立せず、上記主張は採用できない。 ⑶ まとめしたがって、被控訴人Bは、本件徴収行為2から10までについて不法行 為に基づき控訴人に対する損害賠償債務を負い、また、被控訴人Cは、本件徴収行為2から10までについて使用者責任に基づき、本件徴収行為3から10までについて暴対法31条の2にも基づき、控訴人に対する損害賠償債務を負う。 2 争点4(消滅時効)について ⑴ 被控訴人らは、損害賠償債務のうち本件徴収行為2から8までの分について、本件金銭交付2から8までの各交付の日を起算点として3年が経過したことにより消滅時効(民法724条)が完成したと主張する。 ⑵ 民法724条前段にいう「損害及び加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それ が可能な程度にこれらを知った時をいう。また、使用者責任による賠償請求に関して「加害者を知った」(同条前段)といえるためには、被害者が、使用者及び使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、一般人が、当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実についても認識することが必要である。 ⑶ この点、本件徴収行為2から8までは、被控訴人Bによる、暴力団の威力を利用した控訴人からの現金の受領であるところ、前記認定事実(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、1⑴から⑷まで)によれば、控訴人は、平成7年ころから被控訴人Bと一定の付き合いがあった上、被控訴人Bによる本件徴収行為2から8までに係る不法行為につい 引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、1⑴から⑷まで)によれば、控訴人は、平成7年ころから被控訴人Bと一定の付き合いがあった上、被控訴人Bによる本件徴収行為2から8までに係る不法行為について、それぞれ被控訴 人Bに現金を交付した時点において、自己が不法行為の被害を受けており、かつ、加害者である被控訴人Bを認識していたといえる。 また、控訴人は、被控訴人Bと付き合いを始めたころから、被控訴人BがAEDの幹部であると認識し、平成14年ころには被控訴人Bの後援会の会長となっている上、平成20年2月に被控訴人Bから500万円の支払を求められた際、たとえ警察に言っても、他の組員が大勢おり、しかも全国の 組織なので逆らったら大変なことになるなどと妻に伝えていること(甲A10)も併せれば、本件金銭交付2がされた平成20年2月8日ころには既に暴力団やAについての知識を有し、被控訴人BがAの下部組織の構成員であり、Aの代表者である被控訴人Cの直接又は間接の指揮下にあること、被控訴人Cが同Bの使用者であり「加害者」であることや、被控訴人Bの本件徴 収行為2から8までが暴力団の威力を利用した資金獲得活動であり、使用者の事業の執行についてなされていること、被控訴人Bの要求を断れば、Dを含む全国の組織から報復を受ける可能性があることを認識していたというべきである。 ⑷ 以上によれば、控訴人は、本件金銭交付2から8までのそれぞれの交付時 点において、被控訴人らに対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知り、また、被控訴人Cが同Bの使用者であり、被控訴人Cの事業の執行として本件徴収行為2から8までがなされたことを知っていたといえるから、上記各交付の時(原判決別紙「交付金一覧表」番号 及び加害者を知り、また、被控訴人Cが同Bの使用者であり、被控訴人Cの事業の執行として本件徴収行為2から8までがなされたことを知っていたといえるから、上記各交付の時(原判決別紙「交付金一覧表」番号2から8までの行の「交付年月日」欄記載の年月日)から、 消滅時効が進行するというべきである。暴対法31条の3により、被控訴人Cに対する同条の2に基づく損害賠償債務(本件徴収行為3から8まで)も同様と解される。 そうすると、前記第2、2(引用に係る原判決の「事実及び理由」の第2、1⑸ア、イ)のとおり、控訴人は平成30年11月8日に被控訴人らに対し て支払の催告をし、平成31年3月25日に本件訴訟を提起しているが、いずれも3年の時効期間を経過しており、消滅時効が完成している。 ⑸ これに対し控訴人は、前記第2、3⑵のとおり、どんなに早くとも平成28年8月ころまでは賠償請求を行うことが事実上可能であったとはいえないと主張する。 民法724条前段の短期消滅時効の趣旨は、不安定な立場に置かれる加害 者の法的地位を安定させ加害者を保護することにあるが、それも、あくまで被害者が不法行為による損害の発生及び加害者を現実に認識しながら3年間も放置していた場合に加害者の法的地位の安定を図ろうとしているものに過ぎず、それ以上に加害者を保護しようという趣旨ではない。 控訴人は、本件金銭交付2から8までの各交付時点において、被控訴人C の被用者にあたる被控訴人Bが、同Cの資金獲得の事業の執行として本件徴収行為2から8までを行い、それによって控訴人自身に本件金銭交付2から8までの各交付金額の損害が発生したことを現実に認識していたのであるから、上記の民法724条前段の趣旨に照らし、控訴人において、本件金銭交付2から8までの各時点において、被 自身に本件金銭交付2から8までの各交付金額の損害が発生したことを現実に認識していたのであるから、上記の民法724条前段の趣旨に照らし、控訴人において、本件金銭交付2から8までの各時点において、被控訴人に対する賠償請求をすることが 事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知り、被控訴人C及び同Cと同Bとの間の使用関係がある事実並びに一般人が本件徴収行為2から8までが被控訴人Cの事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実を認識していたというのが相当であり、控訴人が被控訴人Bや同Cを畏怖し、又は暴力団の威力を利用した報復を恐れて賠償請求を 躊躇したというような控訴人の事情は、加害者である被控訴人らとの関係において、消滅時効の進行の開始を妨げる事情となるとはいえない。 もっとも、控訴人にそのような事情が生じ被控訴人らに対する賠償請求を行わなかったことについて被控訴人らに原因がある場合、被控訴人らによる消滅時効の援用が許されるか否かについては、争点5において検討すること とする。 ⑹ また、控訴人は、前記第2、3⑵イのとおり、本件各徴収行為は一連一体の行為であると主張するが、これに対する当裁判所の判断は原判決28頁1行目から8行目まで記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑺ したがって、控訴人の主張を考慮しても、前記⑷の判断は左右されない。 3 争点5(被控訴人らによる消滅時効の援用が信義則違反又は権利濫用に当た るか)について⑴ 前記1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、1)のとおり、控訴人は、平成20年2月には被控訴人Bやその配下から、運営する会社や家族に危害を加えるかもしれないような気勢を示して相当に脅迫され、また、平成25年4月にも被控訴人Bから、会社や家 1)のとおり、控訴人は、平成20年2月には被控訴人Bやその配下から、運営する会社や家族に危害を加えるかもしれないような気勢を示して相当に脅迫され、また、平成25年4月にも被控訴人Bから、会社や家族に対し要求を容れなければ 危害を加えられるおそれがあるかのように言われて脅されていたものであり、さらには、後援会費や誕生日祝いの名目で一定の間隔で金銭を交付させられ、被控訴人Bの配下の暴力団員を通じて金銭を交付させられる状況であり、継続的に被控訴人らを畏怖した状態であったというべきである。しかも、控訴人は、被控訴人Bやその所属するDの上部団体であるAの被控訴人Cや その配下の暴力団員による報復を恐れて、金銭の返還請求や、警察への被害相談すらもすることができず、被控訴人らに脅された状態をやむなく受け入れ、諦めていたものと認められる。この点、控訴人はたしかに、平成20年2月に被控訴人Bに脅迫された後、弁護士に相談に行ってはいるが、その際、控訴人は、警察に相談すべきであるとの弁護士の助言に対し、ありきたりの 助言に過ぎないと感じるだけで従うことができず(甲A15、控訴人本人(原審))、結局は借用書を作成して貸付金の形態を取ることが自身の権利保護について対応できた最大限のものであり、合理的な対応ができる心理状態ではなかった。 ⑵ 控訴人が上記⑴のような状態に陥り、被控訴人らに対する賠償請求を行わ なかったのは、本件徴収行為2から8までが、被控訴人Bにより、前記1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3,1⑶アからウまで、⑷)のとおりの態様で、かつ同1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、2⑵及び⑶(補正後))のとおりの違法性をもって行われたこと(その後に行われた本件徴収行為9及び10についても同様である。)、 とおりの態様で、かつ同1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、2⑵及び⑶(補正後))のとおりの違法性をもって行われたこと(その後に行われた本件徴収行為9及び10についても同様である。)、さらに、それが前記第2、2(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第2、1⑴イ、⑵) のとおりの組織性を背景とする前記1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、3⑴及び⑵)のとおりのAの威力を利用しての資金獲得活動に係る事業の一環というべき被控訴人Cの事業の執行と密接に関連する行為として行われたことによるのであり、いわば被控訴人Bの違法な本件徴収行為2から8まで自体、並びにその後に行われた違法行為である本件徴収行為9 及び10並びにそれを利用して行われた被控訴人Cの違法な資金獲得活動が原因で控訴人が被控訴人らに対する賠償請求を行わなかったといえるのであるから、被控訴人らが、控訴人が本件徴収行為2から8までについて民法724条前段に定める期間内に被控訴人らに対して賠償請求を行わなかったことに乗じてその消滅時効を援用することは、権利の濫用に当たり、民 法1条3項により許されないというべきである。 ⑶ 被控訴人らは、前記第2、4⑷のように主張するが、控訴人が被控訴人らに対し賠償請求を行わなかったことについて被控訴人らに原因があるといえることは上記⑵のとおりであり、また暴対法31条の3は、指定暴力団の代表者等の損害賠償の責任については、同法31条、同条の2の規定による ほか、民法の規定によると定めており、民法の消滅時効に関する規定のみならず一般条項の適用をも排除していないのであるから、被控訴人らの主張は採用することができない。 ⑷ したがって、被控訴人らそれぞれによる消滅時効の援用(前記第2、2(引用に係る原判決の「 定のみならず一般条項の適用をも排除していないのであるから、被控訴人らの主張は採用することができない。 ⑷ したがって、被控訴人らそれぞれによる消滅時効の援用(前記第2、2(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第2、1⑸ウ)の各意思表示。ただ し、本件徴収行為2から8まで又は同3から8までに係る部分に限る。)は許されないから、本件徴収行為2から8までに係る各不法行為、使用者責任又は被控訴人Cに対する本件徴収行為3から8までに係る暴対法31条の2に基づく各損害賠償債務についてはいずれも消滅していないというべきである。 ⑸ 以上のとおりであるから、被控訴人Bは、本件徴収行為2から10までに ついて不法行為に基づき、被控訴人Cは本件徴収行為2について使用者責任に基づき、本件徴収行為3から10までについては暴対法31条の2に基づき、それぞれ控訴人に生じた損害について損害賠償債務を負い、被控訴人らの債務は不真正連帯債務となる。 4 争点3(損害額)について ⑴ 財産的損害控訴人は、被控訴人らの本件徴収行為2から10までによって、本件金銭交付2から10までを行うことを余儀なくされ、原判決別紙「交付金一覧表」のとおり、合計596万円を失っており、控訴人は596万円の財産的損害を被ったといえる。 他方、本件金銭交付2に関しては、控訴人は、その後、被控訴人Bから貸金返済名下に計15万円を受け取っており(前記1(引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3、1⑶エ))、同額について損害のてん補があったというべきであるから、損益相殺の法理によりこれを控除すると、控訴人の損害額は581万円となる。 ⑵ 慰謝料被控訴人Bの本件徴収行為2から10までは、暴力団による威力を利用した資金獲得行為で ら、損益相殺の法理によりこれを控除すると、控訴人の損害額は581万円となる。 ⑵ 慰謝料被控訴人Bの本件徴収行為2から10までは、暴力団による威力を利用した資金獲得行為であり、それによって控訴人が自身もしくは家族に危害を加えられたり、その営業を妨害されたりするのではないかとの恐怖を感じたこと、本件徴収行為2から10までが約8年半の期間にわたって繰り返し行わ れた行為であることなど諸般の事情を考慮すれば、本件徴収行為2から10までの不法行為による控訴人の精神的苦痛に対する慰謝料は100万円を認めるのが相当である。 ⑶ 弁護士費用控訴人が本件訴訟の提起及び追行を弁護士に委任して行った事実は当裁判所に顕著であり、本件事案の内容や性質等本件に現れた一切の事情を考慮 すれば、控訴人が要した弁護士費用のうち、被控訴人らによる不法行為等と相当因果関係の認められる弁護士費用は、70万円と認めるのが相当である。 ⑷ 合計 751万円 5 結論したがって、控訴人は、被控訴人らに対し、被控訴人Bについては不法行為、 被控訴人Cについては使用者責任(本件徴収行為2)及び暴対法31条の2(同3から10まで)に基づき、連帯して751万円及びこれに対する不法行為後の日である平成30年11月9日(被控訴人らに対する催告の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 第4 結語よって、上記第3、5の結論と異なる原判決は一部相当ではなく、控訴人の控訴は一部理由があるから、原判決を上記結論に従って変更し、その余の控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判 主文 控訴人の控訴は一部理由があるから、原判決を上記結論に従って変更し、その余の控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部 裁判長裁判官松村徹 裁判官入江克明 裁判官本松智

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る