昭和29(う)1255 暴行傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和30年5月16日 大阪高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴はこれを棄却する。      当審の訴訟費用は被告人等の負担とする。          理    由  被告人両名の弁護人小田成就の控訴趣意について。  被告人両名がそ

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判決文本文1,274 文字)

主文本件控訴はこれを棄却する。 当審の訴訟費用は被告人等の負担とする。 理由被告人両名の弁護人小田成就の控訴趣意について。 被告人両名がそれぞれ原判示のとおりAの頭部を手で殴打したことは原判決挙示の証拠によつて優にこれを認定するに足り、原審の取調にかかる他の証拠及び当審取調の各証拠によつても、所論のように形式的に軽くノツクしたに止まるという程度のものであつたとはとうてい認められないのである。もつとも、右殴打はこれによつて傷害の結果を生ぜしめるような意思を以てなされたものではなく、またそのような強度のものではなかつたことは推察できるけれども、しかしそれがために右殴打行為が刑法第二〇八条にいわゆる暴行に該当しないとする理由にはならない。 つぎに、所論は、右は教員たる各被告人が学校教育上の必要に基ずい<要旨>て生徒に対してした懲戒行為であるから、刑法の右法条を適用すべきではないと主張するけれども、学校教育</要旨>法第一一条は「校長及び教員は教育上必要があると認めるときは、監督官庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。」と規定しており、これを、基本的人権尊重を基調とし暴力を否定する日本国憲法の趣旨及び右趣旨に則り刑法暴行罪の規定を特に改めて刑を加重すると共にこれを非親告罪として被害者の私的処分に任さないものとしたことなどに鑑みるときは、殴打のような暴行行為は、たとえ教育上必要があるとする懲戒行為としてでも、その理由によつて犯罪の成立上違法性を阻却せしめるというような法意であるとは、とうてい解されないのである。 学校教育法が、同法第一一条違反行為に対して直接罰則を規定していないこと及び右違反者に対して監督官庁が監督権の発動その 上違法性を阻却せしめるというような法意であるとは、とうてい解されないのである。 学校教育法が、同法第一一条違反行為に対して直接罰則を規定していないこと及び右違反者に対して監督官庁が監督権の発動その他行政上の措置をとり得ることは所論のとおりであるけれども、このこととその違反行為が他面において刑罰法規に触れることとは互に相排斥するものではない。そして、殴打の動機が子女に対する愛情に基ずくとか、またそれが全国的に現に広く行われている一例にすぎないとかいうことは、とうてい右の解釈を左右するに足る実質的理由とはならない。さらに、所論は親の子に対する懲戒権に関する大審院判例及びいわゆる一厘事件に対する同院判例を援用するけれども、前者の援用は主として親という血縁に基ずいて教育のほか監護の権利と義務がある親権の場合と教育の場でつながるにすぎない本件の場合とには本質的に差異のあること看過してこれを混同するものであり、後者の援用は具体的事案を抽象的に類型化せんとするに帰着し、ともに適切ではない。論旨はいずれもその理由がない。 よつて、刑事訴訟法第三九六条第一八一条に則り主文のように判決をする。 (裁判長判事荻野益三郎判事梶田幸治判事井関照夫)

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