【DRY-RUN】主 文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理 由 抗告人は「原決定を取消し更に相当の裁判」をすることを求め、その理由として 別紙
主 文 本件抗告を棄却する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理 由 抗告人は「原決定を取消し更に相当の裁判」をすることを求め、その理由として 別紙抗告理由書記載のとおり主張した。 本件記録および取寄せにかかる札幌地方裁判所昭和四一年(ヨ)第二六三号債権 仮差押事件の記録によると、原決定がなされるまでの経過事実として次のとおり認 められる。すなわち 破産会社の管財人は昭和四二年九月一三日第一回配当表(記録第二二六丁)を作 成してこれを原裁判所に提出するとともにその公告をしたところ、債権者株式会社 山上上坂商店から、同会社の届出債権の一部は同会社が北海道穀物商品取引所の仲 買人である破産会社に委託してなした右取引所における穀物取引によつて生じた清 算金債権であり、右債権については破産会社が右取引所に預託した仲買保証金およ び会員信認金につき他の債権者に先だつて弁済を受ける権利があるところ、前記管 財人の作成した配当表には配当をなし得べき金額として右信認金および仲買保証金 が含まれているから同会社は右金額につき優先弁済を受ける債権者であると主張し て配当表に対する異議の申立をした。なお同会社は、破産者に委託してなした前記 取引所における穀物取引により破産会社に対して生じた債権一二〇万円を被保全権 利として札幌地方裁判所に破産会社の右取引所に対する仲買保証金返還請求権の仮 差押を申請し、同裁判所は昭和四一年七月一八日右仮差押の決定をなし右決定書は その頃債務者および第三債務者に送達された。他方破産会社は北海道穀物商品取引 所に対し会員信認金および仲買保証金を預託していたが、その返還請求権に対し前 記の仮差押に先だち破産会社の債権者Aの申請によつて債権の差押および転付命令 が発せられていたので、同取引所は民事訴訟法第六二一条第 し会員信認金および仲買保証金を預託していたが、その返還請求権に対し前 記の仮差押に先だち破産会社の債権者Aの申請によつて債権の差押および転付命令 が発せられていたので、同取引所は民事訴訟法第六二一条第一項により昭和四一年 一二月二三日その全額を札幌法務局小樽支局に供託した。しかるところ、破産会社 の管財人はその就任後同法務支局から右供託金四三八万〇〇七五円を受領し、これ を破産財団の収入として前記のように配当することを得べき金額に計上した。そこ で原裁判所は、前記会社の異議を認め且つ同会社のほかにもこれと同様の事情に在 る債権者のあることを勘案して、管財人に対し「一、配当すべき金額の総額を次の 額に減額すること。北海道穀物商品取引所が民事訴訟法第六二一条により昭和四一 年一二月二三日札幌法務局小樽支局に供託した破産者に対する仲買保証金と信認金 の返還債務額を破産管財人が同法務局から受領する以前にこれを差押ておりかつ当 時商品取引所法の先取特権を有する債権者の不当利得返還請求の支払にあてるに足 る金額を配当すべき金額から控除した額二、配当に加えた債権者のうち前項の不当 利得返還請求権を有する者について右不当利得返還請求権の行使により満足すべき 額をその者の破産債権額から控除した額を配当に加らべき額とすること。」の方法 により前記配当表(第一回)全部を更正すべきことを命ずる本件決定をなし、右決 定書は昭和四二年一二月一四日原裁判所に備え置かれた。 <要旨>商品仲買人に対し商品市場における売買取引を委託した者は、その委託に よつて生じた債権に関し当該商品</要旨>仲買人が取引所に預託した仲買保証金およ び会員信認金について他の債権者に先だつて弁済を受ける権利を有することは商品 取引所法第四七条、第三八条の規定により明らかであり、この優先弁済権は、仲買 保証金および会員信認金がも 託した仲買保証金およ び会員信認金について他の債権者に先だつて弁済を受ける権利を有することは商品 取引所法第四七条、第三八条の規定により明らかであり、この優先弁済権は、仲買 保証金および会員信認金がもともと将来発生すべき債務を担保する目的で納付され るものであることに鑑みると特別の先取特権の性質を有するものと解するを相当と する。本件において破産会社は北海道穀物商品取引所の会員で仲買人であり、同取 引所に対し仲買保証金および会員信認金を預託していたのであるから、破産会社に 対し右取引所における取引を委託した者は、右委託によつて生じた債権に関し右破 産会社の預託した仲買保証金等につき前記先取特権を有することになり、破産債権 者としてその届出をした債権者中上記のような債権を有する者は別除権者として破 産手続によらずしてその権利を行使すべきものであり、これによつて弁済を受け得 られなかつた債権額についてのみ破産債権者として破産手続上配当を受け得るに過 ぎないものといわなければならない。 ところで前記認定したところによれば、債権者中株式会社山上上坂商店は破産会 社に委託してなした前記取引所における取引によつて生じた債権を有し、これを被 保全権利として、既に本件破産宣告前破産会社の右取引所に対する仲買保証金の返 還請求権につき仮差押をなしていたのであるから、同取引所が民事訴訟法第六二一 条の規定により供託した供託金につき別除権者として弁済を受け得られた筈のとこ ろ、いかなる根拠によるのかは記録上明らかではないが、その弁済を受ける前に破 産会社の管財人が右供託金を受領し、これを破産財団に組み入れたため、山上上坂 商店は最早特別の先取特権者として別除権を行使し得ないことはもちろん破産手続 上優先弁済を受けることもできなくなつたものといわなければならない。しかし て、このように破産管財人 組み入れたため、山上上坂 商店は最早特別の先取特権者として別除権を行使し得ないことはもちろん破産手続 上優先弁済を受けることもできなくなつたものといわなければならない。しかし て、このように破産管財人が別除権者のために供託され、別除権の目的となつた供 託金を受領して破産財団に組み入れたときは、破産財団はこれによつて別除権を害 せられた債権者に対する関係で不当に利得したものというべきであるから、山上上 坂商店は優先破産債権者としての地位を有するものではないけれども、破産法第四 七条第五号にいう不当利得により破産財団に対して生じた請求権を有する財団債権 者にあたるものと解するを相当とする。しかして記録によれば届出債権者中には他 にも右会社と同様の地位にある債権者の存することも認められるから、これら財団 債権者の存在を前提として前記のように配当表の更正を命じた原裁判所の措置は正 当としてこれを是認することができる。 抗告人は、破産会社に対し小豆先物取引を委託した際の委託証拠金および売買差 益金の返還債権を有し、これを破産債権として届け出ている者であつて、昭和四一 年一〇月二一日右債権支払のため交付を受けた約束手形についてなされた判決を債 務名義として、破産会社が北海道穀物商品取引所に預託した仲買保証金、会員信認 金等の返還債権につき差押および取立命令を得ているから、抗告人も上記取引所の なした供託金につき別除権を行使し得るものであると主張するので判断する。 上記のとおり、商品仲買人に対して商品市場における売買取引を委託した者は、 委託により生じた債権を担保するため仲買保証金および会員信認金の返還請求権に つき先取特権を有するものではあるが、右は特定債権上の先取特権であるから、そ の債権の目的が債務者の一般財産に混入するのを防止するとともに優先力を保全す るため民法第三〇四条の 会員信認金の返還請求権に つき先取特権を有するものではあるが、右は特定債権上の先取特権であるから、そ の債権の目的が債務者の一般財産に混入するのを防止するとともに優先力を保全す るため民法第三〇四条の趣旨に従つて仲買保証金および会員信認金の払渡前に右被 担保債権にもとづきこれを差押えることを要すると解するのが相当である。抗告人 提出の資料によると、抗告人は、破産会社の振出した約束手形について言い渡され た手形判決を債務名義として、昭和四一年一〇月一四日上記仲買保証金および会員 信認金等の返還請求権を差押えたに過ぎず、右差押は何ら優先権のない手形債権の 強制執行に外ならないから、昭和四二年二月二〇日本件破産宣告があつたことによ り当然にその効力を失つたものであつて、右約束手形が抗告人主張のとおり抗告人 の破産会社に対する委託証拠金および売買差益金返還債権の支払方法として交付さ れたものであるとしても、手形債権と右原因関係上の債権とは法律上別個の存在で あり、手形債権そのものにつき上記のような先取特権を賦与すべき理由はないとい わざるを得ない。そうすると、抗告人は上記取引所のなした供託金につき別除権を 行使するに由ないものであるから、原裁判所が配当表(第一回)の更正にあたつて 抗告人を財団債権者として処遇しなかつたことは正当である。 よつて本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告費用は抗告人の負担として 主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 杉山孝 裁判官 黒川正昭 裁判官 島田礼介)
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