1令和5年5月29日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3年(ワ)第19847号 損害賠償請求事件口頭弁論終結日 令和5年2月22日判 決主 文51 被告は、原告に対し、733万1452円及びこれに対する令和2年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを10分し、その7を原告の、その余を被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 10事実及び理由第1 請求被告は、原告に対し、2480万8565円及びこれに対する令和2年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要15本件は、被告従業員の勧誘により2回にわたり仕組債(公募の為替連動債と私募のEB債〔他社株転換可能債券〕)を買い付けた原告が、被告に対し、当該勧誘行為は適合性原則に違反した違法なものであったこと、原告に対する各仕組債の説明に説明義務違反があったこと、及び各仕組債の買付け後にその損失が拡大していったにもかかわらず同仕組債を途中売却することなどの適切な20指導助言を怠ったことを理由に、債務不履行又は使用者責任に基づく損害賠償として、仕組債の償還後の損失額及び弁護士費用の合計2480万8565円並びにこれに対する各仕組債買付け以降の日である令和2年11月18日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 251 前提事実(争いのない事実及び後掲証拠等により容易に認められる事実。な 2お、証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。枝番 割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 251 前提事実(争いのない事実及び後掲証拠等により容易に認められる事実。な 2お、証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。枝番号を記載しない書証は全ての枝番号を含む。)⑴ 当事者原告は、昭和28年生まれの女性であり、平成26年11月及び平成27年10月当時、無職であり、収入を有していなかった(甲1、66〔25頁〕)。 被告は、有価証券の売買等の媒介、取次ぎ又は代理、有価証券の募集又は私募等を目的とする株式会社である(当裁判所に顕著な事実)。被告は、グループ会社である三井住友銀行と連携した営業活動を行っていた(乙30〔1頁〕)。 10⑵ 被告における取引口座の開設及び1回目の仕組債の買付けア 原告は、平成26年10月当時、三井住友銀行に原告名義の預金口座(甲4。以下「本件預金口座①」という。)を開設するとともに、同銀行に開設された原告の夫であるA名義の預金口座(甲2、3。以下「本件預金口座②」という。)を管理していた(甲2~4、66〔1、13頁〕、15原告本人〔29頁〕、弁論の全趣旨)。 イ 原告は、同月頃、三井住友銀行西神中央支店に赴き、三井住友銀行従業員であるB(以下「B」という。)と面談し、同人に対し、投資に関する相談をした(甲66〔3~4頁〕)。 ウ 原告は、同年11月11日、同支店を訪れ、B及び被告従業員であるC20(以下「C」という。)と面談し、Cから別紙1の1記載の公募の為替連動債である仕組債(以下「本件仕組債1」という。)について説明を受けた。本件仕組債1は、ブラジルレアル―円為替(1ブラジルレアルあたりの円貨額を指す。以下、単に「為替」という。)の値動きに応じて、利金額、償還 組債(以下「本件仕組債1」という。)について説明を受けた。本件仕組債1は、ブラジルレアル―円為替(1ブラジルレアルあたりの円貨額を指す。以下、単に「為替」という。)の値動きに応じて、利金額、償還の時期及び償還額が変動する仕組債であり、具体的には、別紙125の1⑵のとおりである。(甲7、10~12、66〔4~5頁〕、乙30 3〔1~2頁〕)エ 原告は、同面談の際、総合取引申込書(甲5)に所定事項を記載してCに提出し、被告における外国証券取引口座(以下「本件証券口座」という。)を開設した(甲5、66〔5~6頁〕、乙1〔7頁〕、30〔2頁〕)。 5オ 原告は、同月20日、被告神戸支店を訪れ、Cと面談して、その直後、Cに対し、電話にて額面2000万円で本件仕組債1の買付注文をした(甲66〔6~7頁〕、乙1〔7頁〕、30〔3~4頁〕)。 原告は、その代金として、同日に1400万円を、同月25日に600万円を、被告に宛てて振込送金した。 10⑶ 2回目の仕組債の買付けア 原告は、平成27年10月27日、被告神戸支店を訪れ、Cと面談し、別紙1の2記載の私募のEB債である仕組債(以下「本件仕組債2」といい、本件仕組債1と併せて「本件各仕組債」と総称する。)について説明を受けた。本件仕組債2は、三井住友フィナンシャルグループ(以15下「三井住友FG」という。)の株価(本件では、東京証券取引所の営業日における公式な最終取引価格のことを指す。以下同じ。)及び日本航空の株価の値動きに応じて、利金額、償還の時期及び償還商品が変動する仕組債であり、具体的には、別紙1の2⑵のとおりである。(甲14、16、18、乙1〔6頁〕、30〔6頁〕)20イ 原告は、同月28日、電話にて額面2500万円で本件仕組債2 償還商品が変動する仕組債であり、具体的には、別紙1の2⑵のとおりである。(甲14、16、18、乙1〔6頁〕、30〔6頁〕)20イ 原告は、同月28日、電話にて額面2500万円で本件仕組債2の買付注文をした。 ウ 原告は、同月29日、本件仕組債2の買付代金として、2500万円を被告に宛てて振込送金した。 ⑷ 本件各仕組債の利金及び償還25ア 原告は、被告から、別紙2「日付」欄記載の年月日に、「本件仕組債1 4の利金」欄記載については本件仕組債1の利金として、「本件仕組債2の利金」欄記載については本件仕組債2の利金として、本件証券口座にそれぞれ各欄記載の金額の入金を受け、いずれも即日本件預金口座①に入金した(甲4、6、55の1〔8頁〕、乙39)。 イ 本件仕組債1は、令和元年11月27日、満期償還となり、本件証券口5座に1173万1480円が入金された(乙39〔4頁〕)。 ウ 本件仕組債2は、令和2年11月16日、満期償還となり、原告は、日本航空株式5500株を取得するとともに、同月17日、本件証券口座に調整金5万6279円が入金された(甲29、乙39〔10頁〕)。 エ 原告は、同株式を現在まで保有し続けている(原告本人〔25~2610頁〕)。令和5年2月3日における日本航空の株価は、2599円であった(弁論の全趣旨)。 2 争点⑴ C等による不法行為の有無⑵ 被告の債務不履行責任の有無15⑶ 原告の損害及び損益相殺の有無⑷ 過失相殺の有無及び割合3 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴(C等による不法行為の有無)について(原告の主張)20ア 前提となる事実経過(ア) 本件仕組債1の買付けの経緯 割合3 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴(C等による不法行為の有無)について(原告の主張)20ア 前提となる事実経過(ア) 本件仕組債1の買付けの経緯原告は、平成26年10月ないし11月頃、三井住友銀行西神中央支店において、Bから本件仕組債1の買付けを勧められた。原告は、その際の説明をメモ(甲20の1)に取っており、同メモに「12円下がら25なければ元本保障」、「レアル水準がいいので割る事はない」、「資源 5国通貨だから心配なし」、「元本保障だと思って良い」などと記載した。 そして、原告は、同月11日、B及びCと面談した。同面談において、本件仕組債1の説明及び勧誘は主としてBからなされたが、原告は、Cに対して、年金だけでは老後が不安であるため、預金をうまく活用したいこと、ただし老後の資金なので安定的なもので運用したいことを伝え5た。原告は、Cから、本件仕組債1のパンフレット(甲7)を示され、ブラジルレアルは水準が非常に安定していて資源国通貨でもあり心配はない、12円下がることはないと思う、資源国通貨であるから今後どんどん上がる一方である、元本保証だと思って良い、本件仕組債1は条件が良すぎるので5年間持ち続けることの方が難しく早期償還になりやす10い商品であるなどと、楽観的な相場観に基づいてポジティブな予想のみ強調した説明をされた。そこで、Bから説明された際に書いたメモ(甲20の1)をCに示し、この認識で間違いないか確認したところ、Cから肯定された。 (イ) 本件仕組債2の買付けの経緯15原告は、平成27年10月頃、Bから本件仕組債2の説明を受け、その買付けを勧められた。原告は、その際の説明をメモ(甲20の2)に取 (イ) 本件仕組債2の買付けの経緯15原告は、平成27年10月頃、Bから本件仕組債2の説明を受け、その買付けを勧められた。原告は、その際の説明をメモ(甲20の2)に取っており、同メモに「債券」、「2020年オリンピック株価あがるらしい」、「JAL株も京セラ社長で上向きになる」、「安心感がある」、「5年間利益があるのでアリコよりも年金のたしになる」などと20記載した。 原告は、同月20日頃、三井住友銀行においてCと面談し、同メモの内容をCに示し、この認識で間違いないか確認したところ、Cから肯定された。また、原告は、同月27日、被告神戸支店を訪れ、B及びCと面談した際、Cからは本件仕組債2の具体的な説明はないまま、日本株25であるから安全であることを強調した説明をされた。 6なお、原告は、同月26日、自宅においてC及びその上司の訪問を受けたが、門扉の外で挨拶した程度であり、Cらに原告の金融資産額を申告したことはない。 イ 適合性原則違反本件仕組債1は複雑かつ難解な仕組みと高いリスクを包含しており、本5件仕組債1への投資を検討するには、為替リスク及び利率変動リスク等に関する事項並びに通貨及び金利オプションに関する金融商品についての知識又は経験を有すべきとされている。本件仕組債2についても、複雑かつ難解な仕組みと高いリスクを有しており、デリバティブ取引に類するリスク特性を有している。 10これに対し、原告は、上記知識も経験も有しておらず、リスクを理解する能力がない。そして、原告は、年金暮らしで老後を間近に控え、本件各仕組債の買付注文当時、無収入であり、原告の保有する金融資産も限られていた状況からすれば、原告の金融資産ないし預貯金は スクを理解する能力がない。そして、原告は、年金暮らしで老後を間近に控え、本件各仕組債の買付注文当時、無収入であり、原告の保有する金融資産も限られていた状況からすれば、原告の金融資産ないし預貯金は、原告夫婦の老後のための大切な生活資金であり、大幅な元本毀損のおそれのある15ハイリスクな投資に投入するには適さないものであった。とりわけ本件仕組債2の買付けに際しては原告の夫の満期保険金を夫に無断で原資としており、そのことはCにも伝えていた。原告は、老後のため年金の足しになるような安定的な運用を希望しており、ハイリスクな投資による大幅な元本毀損の危険性を許容しない意向を有していた。 20それにもかかわらず、原告が本件各仕組債の買付けをしたのは、原告が投資の知識及び経験に乏しく、投資に関わる金融指標や相場動向について自ら情報収集したり分析検討したりする能力ないし意欲を有していなかったため、BやCを証券取引の専門家として信頼して取引内容全般について事実上一任していたからである。 25このような事情によれば、Cは、顧客である原告の意向と実情に反して、 7明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど適合性の原則から著しく逸脱した勧誘をして本件各仕組債の買付けをさせたというべきであって、当該行為は不法行為法上も違法となる。 ウ 買付勧誘における説明義務違反証券会社及びその使用人は、顧客に対し、証券取引の勧誘及び販売を行5うに際しては、各商品による仕組みやリスクに関する的確な情報の提供や説明を行い、顧客がこれについての正しい理解を形成した上で、その自主的な判断に基づいて当該取引を行うか否かを決することができるように配慮すべき信義則上の義務を負う。具体的には、本件仕組債1については 明を行い、顧客がこれについての正しい理解を形成した上で、その自主的な判断に基づいて当該取引を行うか否かを決することができるように配慮すべき信義則上の義務を負う。具体的には、本件仕組債1については、元本を毀損するリスクがあること、そのようなリスクが顕在化10した場合における満期償還時及び途中売却時の最大想定損失額、途中売却の具体的方法等について説明すべきであった。本件仕組債2については、参照する株価が一定額を下回り株価の低い株式により償還された際には評価損を被るリスクがあること、利金は当該リスクの対価であるから利金の大きさは当該仕組債のリスクの大きさをも意味していること、15そのようなリスクが現実化したときに想定される償還株式数及び評価損の大きさ、買付勧誘当時の参照株式の値動き状況(とりわけ本件では本件仕組債2の参照指標である三井住友FGの株価及び日本航空の株価がその当時において激しく変動している状況にあったこと)、その一方で参照する株価がいかに上昇しても顧客は元本の償還と利払が得られるの20みであることについて説明すべきであった。そして、これらの説明としては、顧客の個別的な属性(証券取引の知識、経験、資産状況、投資意向等)に応じて、顧客が具体的にイメージできるように分かりやすく行うことが求められる。 しかるに、Cは、原告に対して本件各仕組債の買付勧誘をするに際して、25上記各事項の説明を怠った。また、Cは、原告から本件各仕組債に関す 8るBの説明が記載されたメモ(甲20)を提示されて確認したのであるから、原告が同メモ記載のとおりに誤解し、本件各仕組債のリスクを過小評価していることを認識し又は容易に認識し得たにもかかわらず、原告に対し同メモの記載内容を肯定し、原告の上記誤解や過小評価を是正しなかっ 原告が同メモ記載のとおりに誤解し、本件各仕組債のリスクを過小評価していることを認識し又は容易に認識し得たにもかかわらず、原告に対し同メモの記載内容を肯定し、原告の上記誤解や過小評価を是正しなかった。加えて、Cは、本件仕組債1の勧誘においては、為替の変5動について楽観的な説明をするばかりであり、本件仕組債2の勧誘においては、今後も三井住友FGの株価及び日本航空の株価が上がるという楽観的な相場観を述べ、それらの有利性を強調するばかりであり、原告に本件各仕組債のリスクを過小評価させる言動をした。 エ 損失拡大防止のための指導助言義務違反10一般投資家が専門家である証券会社を信頼し当該会社からの情報提供や取引提案に依存して取引を行っている場合など、当事者間に信任関係が存在する場合には、その信任関係に基づいて、証券会社及びその使用人は、信義則上、積極的な指導助言義務を負う。 投資の知識及び理解に乏しく証券取引の素人であった原告は、複雑かつ15難解な仕組みと高いリスクのある本件各仕組債について、意思決定を行えるだけの情報収集及び情報分析をする能力を有しておらず、本件各仕組債の参照指標の相場動向について自分で調べたり、関連する金融経済の情報を収集及び分析したりすることがなかった。そのため、原告は、被告からの情報提供及び判断に依存するほかなく、事実上の言いなり状20態にあった。 そして、本件各仕組債の買付け後、その参照指標が低下していき、満期時に額面を下回って償還されるおそれが現実味を帯びていった。このとき、本件各仕組債を途中売却することで損失の拡大を防ぐことが可能であり、途中売却を検討すべき状況にあった。さらに上記事情も併せれば、25被告の担当者であったC及びその後任者には、原告に対 このとき、本件各仕組債を途中売却することで損失の拡大を防ぐことが可能であり、途中売却を検討すべき状況にあった。さらに上記事情も併せれば、25被告の担当者であったC及びその後任者には、原告に対し、本件各仕組 9債の時価評価額等について適時かつ正確な情報提供を行って途中売却の検討を含めた適切な指導及び助言をすべき注意義務があった。 しかるに、C及びその後任者は上記義務を怠り、楽観的な相場観を述べるばかりで元本がそのまま償還される旨断言し原告を安心させる言動に終始したため、原告は本件各仕組債を途中売却する機会を失い、損失の5拡大を防止することができなかった。 したがって、C及びその後任者には、損失拡大防止のための指導助言義務違反が認められる。 (被告の主張)ア 前提となる事実経過について10(ア) 本件仕組債1の買付けの経緯Cは、平成26年11月11日の面談の際、本件仕組債1について、仕組債ではない債券と比較してリスクが高まる仕組みを付け加えることで高利回りが期待できるようにした債券であると述べた上で、パンフレット(甲7)に沿って具体的な商品の説明をし、損益シミュレーション15(乙3)に基づき想定損失額等について説明し、契約締結前交付書面(乙2)、「仕組債の取引に係るご注意」と題する文書(甲15)を交付した。なお、Cは、同面談の際、原告からメモ(甲20の1)を見せられたことはないし、元本保証だと思ってもらって良いなどという発言もしていない。 20(イ) 本件仕組債2の買付けの経緯Cは、平成27年10月26日、上司である被告部長D(以下「D部長」という。)とともに原告に面談し、本件仕組債2が私募債であり、公募債に比べてリスクが高いことを 仕組債2の買付けの経緯Cは、平成27年10月26日、上司である被告部長D(以下「D部長」という。)とともに原告に面談し、本件仕組債2が私募債であり、公募債に比べてリスクが高いことを説明し、改めて原告に金融資産の額を確認したところ、原告から1億円以上5億円未満であるとの回答を得25た。 10Cは、同月27日、原告と面談し、本件仕組債2について、本件仕組債1と同様に、通常の債券と比較してリスクが高まる仕組みを付け加えることで高利回りが期待できる債券であるが、利率や償還条件を決定する指標が参照銘柄の株価になると述べた上、提案書(甲14)に沿って具体的な商品の説明をし、損益シミュレーション(乙7)に基づき想定5損失額等について説明し、契約締結前交付書面(甲17)、「仕組債の取引に係るご注意」と題する文書(甲15)を交付した。なお、Cは、同面談の際、原告からメモ(甲20の2)を見せられたことはないし、年金の足しになるなどの発言もしていない。 イ 適合性原則違反について10適合性の判断のため顧客の属性を把握するには、顧客の申告に基づけば足り、当該申告の内容が真実であるかどうかを調査する義務まではない。 そして、原告が被告に提出した口座開設申込書においては、投資意向については「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」が選択され、金融資産については「5000万円以上1億円未満」が選15択され、その後本件仕組債2の買付けに際しては金融資産が「1億円以上5億円未満」に変更された。 このような原告の申告内容を踏まえ、さらに原告が過去に外国債券、外貨建てMMF、リスクの比較的高い株式投資信託の投資経験を有し、外貨の為替レートや株価を調査する意思や能力を有して れた。 このような原告の申告内容を踏まえ、さらに原告が過去に外国債券、外貨建てMMF、リスクの比較的高い株式投資信託の投資経験を有し、外貨の為替レートや株価を調査する意思や能力を有しており、本件各仕組20債の基本的な仕組みやリスクを理解していたことも併せれば、本件各仕組債のリスクは、原告の投資目的や理解力に適合したものであって、Cの買付勧誘が適合性原則から著しく逸脱した違法なものとはいえない。 ウ 買付勧誘における説明義務違反について上記アのとおり、Cは、本件各仕組債の買付勧誘において、本件各仕組25債の仕組み及びリスクが分かりやすく記載された各書面を交付し、口頭 11で説明をしている。これらによれば、満期償還リスクすなわち満期償還時に仕組みに応じた損失を被る可能性があることに関して、当該リスクの内容、すなわち、どのような場合に当該リスクが現実化するか、参照指標である為替や株価の変動額に応じて満期償還時の損失がどの程度になるかを容易に理解可能であったというべきであるから、Cは説明義務5を尽くしている。 エ 損失拡大防止のための指導助言義務違反についてC及びその後任者は、本件各仕組債の買付け後も、原告に対し、適宜電話や面談により参照指標に関する情報提供を行っていたし、被告から原告に対し本件各仕組債の時価について定期的に文書で通知していた。 10そして、本件各仕組債は、流通市場が確立されておらず途中売却を望んだとしても売却できるとは限らないし、仮に満期償還リスクが生じた段階で売却できたとしても多額の損失が生じるものであるから、緊急に現金を準備する必要が生じたなどの特段の事情がない限り、利金を受け取りながら相場の回復を待つのが合理的であって、原告主張のよう 生じた段階で売却できたとしても多額の損失が生じるものであるから、緊急に現金を準備する必要が生じたなどの特段の事情がない限り、利金を受け取りながら相場の回復を待つのが合理的であって、原告主張のような途中15売却の検討に関する指導助言義務はなかった。 ⑵ 争点⑵(被告の債務不履行責任の有無)(原告の主張)上記⑴(原告の主張)における事情は、被告において取引の相手方である原告に対する債務不履行にもなるから、被告は債務不履行責任を負う。 20(被告の主張)上記⑴(被告の主張)と同様に争う。 ⑶ 争点⑶(原告の損害及び損益相殺の有無)について(原告の主張)ア 原告は、本件仕組債1を額面2000万円で買い付け、本件仕組債1に25より受け取った金額は1173万1480円であったから、本件仕組債 121の買付けによる損害はその差額である826万8520円である。 被告は本件仕組債1の利金を損益相殺として控除すべきである旨主張するが、利金は損害額確定前の買付代金を被告が確保し運用し得ることに伴う対価であるから、その性質上損益相殺の対象とすべきとは解されない。この点を措いても、上記の1173万1480円という金額には、5本件仕組債1の利金も含まれているから、上記差額からさらに利金を控除する必要はない。 イ 原告は、本件仕組債2を2500万円で買い付け、満期償還時に日本航空株式5500株及び調整金5万6279円が償還された。損害額算定に際しては同株式は償還時の株価により評価すべきであり、そうすると10同株式、調整金及び本件仕組債2の利金を総じて金銭評価すると1071万5279円となる。したがって、本件仕組債2の買付けによる損害は、差額である1428万 により評価すべきであり、そうすると10同株式、調整金及び本件仕組債2の利金を総じて金銭評価すると1071万5279円となる。したがって、本件仕組債2の買付けによる損害は、差額である1428万4721円である。 被告は本件仕組債2の利金を損益相殺として控除すべきである旨主張するが、上記アと同様に、その性質上損益相殺の対象とは解されないし、15上記の1071万5279円という金額には、本件仕組債2の利金も含まれているから、上記差額からさらに利金を控除する必要はない。 ウ そして、原告は、これらの損害の賠償を求めるために弁護士に委任して本訴を提起したから、弁護士費用相当額である225万5324円の損害を被った。 20(被告の主張)ア 原告は、本件仕組債1の満期償還として1173万1480円を受け取ったことに加え、利金として合計61万7127円を受け取っており、これを損益相殺の対象として控除すべきである。したがって、損益相殺を施した後の損害額は、本件仕組債1の買付代金2000万円から上記25各金額を控除した765万1393円となる。 13イ 原告は、本件仕組債2の満期償還として日本航空株式5500株及び調整金5万6279円を受け取ったことに加え、利金として合計398万4264円を受け取っており、これを損益相殺の対象として控除すべきである。また、原告は同株式を現在に至るまで保有し続けているから、本件仕組債2の買付けによる損害額の算定においては、口頭弁論終結の5直前である令和5年2月3日における日本航空の株価2599円を基準とすべきである。そうすると、損益相殺を施した後の損害額は、本件仕組債2の買付代金2500万円から、日本航空株式の時価評価1429万4500円、調整金5万6 日における日本航空の株価2599円を基準とすべきである。そうすると、損益相殺を施した後の損害額は、本件仕組債2の買付代金2500万円から、日本航空株式の時価評価1429万4500円、調整金5万6279円及び利金398万4264円を控除し、666万4957円となる。 10⑷ 争点⑷(過失相殺の有無及び割合)について(被告の主張)原告が交付された本件各仕組債の説明資料には元本割れのリスクが明記されており、わずかな注意さえ払えば本件各仕組債が元本保証と同等な安全な商品ではなく、相当程度元本割れとなる可能性のある商品であることが容易15に認識可能である。原告は、本件各仕組債の買付け前に投資信託を買い付けた経験があり、説明資料を読めば本件各仕組債のリスクを理解し得る理解力を有していた。また、本件各仕組債は、通常の債券と比較して高利率であるところ、リターンが大きければその分リスクも大きいことは投資においては常識であり、原告の投資経験に鑑みれば原告もそのことを理解していたはず20である。 にもかかわらず、原告が本件各仕組債が元本保証と同等の安全な商品であると誤信して買い付けたのであれば、原告の過失は重大であって、被告に賠償責任があるとしても相応の過失相殺がされるべきである。 (原告の主張)25ア Cによる本件各仕組債の買付勧誘には適合性原則違反があるところ、そ 14のような事案では、過失相殺をすべきではない。 イ この点を措いても、Cは、原告の知識及び経験の乏しさに付け込み、自らへの信頼に乗じて原告に適合しない金融商品の買付勧誘をしたのであって、このようなC及びその使用者である被告の責任の方が原告の落ち度に比較して格段に重い。また、原告の不注意はCの違法行為により誘5 への信頼に乗じて原告に適合しない金融商品の買付勧誘をしたのであって、このようなC及びその使用者である被告の責任の方が原告の落ち度に比較して格段に重い。また、原告の不注意はCの違法行為により誘5発され、便乗ないし利用されたものというべきである。以上に加え、原告に甚大な被害が生じていることも踏まえれば、本件において過失相殺をすべきではない。 第3 当裁判所の判断1 認定事実10上記前提事実に、後掲証拠及び弁論の全趣旨を併せると、以下の事実が認められる。 ⑴ 原告の経歴、投資経験、資産状況等ア 原告は、昭和28年生まれの女性であり、昭和53年に結婚して以降、専業主婦をしている(甲66〔1頁〕)。 15イ 原告は、平成23年3月時点で、米ドル建てMMF(比較的安全性の高い、外貨で運用される投資信託の一種)を保有しており、それ以降も、複数回買い付けている。 原告は、野村證券において、平成25年6月から平成30年5月にかけて継続的にハイパーブル・ベア3ないし6の買付けと売却(後述するス20イッチングを含む。)を数十万円から百数十万円の単位で行っている。 ハイパーブル・ベア3ないし6は、それぞれハイパーブル、ハイパーベア及びマネーポートフォリオの3つのファンドから構成され、各ファンド間でスイッチング(保有しているファンドを換金して同時に他の構成ファンドを買い付けること)をすることが可能な投資信託である。ハイ25パーブルは、1日毎の基準価額の値動きが日本株式市場全体の値動きの 15概ね2.5倍程度となるように目指して運用される投資信託であり、ハイパーベアは1日毎の基準価額の値動きが日本株式市場全体の値動きの概ね2.5倍程度反対となるように目指して運用される投資信託であって、 ね2.5倍程度となるように目指して運用される投資信託であり、ハイパーベアは1日毎の基準価額の値動きが日本株式市場全体の値動きの概ね2.5倍程度反対となるように目指して運用される投資信託であって、いずれも株式市場の値動きによっては大きな損失を被る可能性のあるハイリスク・ハイリターンの金融商品である。これに対し、マネーポ5ートフォリオは、円建ての公社債等を主要投資対象とし、安定した収益の確保を図ることを目的として安定運用される投資信託である。ハイパーブル・ベア3ないし6は、今後の株式市場の値動きを予測して上記3つの構成ファンドのいずれを選択するかの判断が求められる商品である。 (乙19、弁論の全趣旨)10ウ 平成26年11月1日当時、原告名義である本件預金口座①には、166万8979円の預金残高があった(甲4)。また、同月当時、原告は、住友信託銀行及び新生銀行にも預金口座を開設しており、本件預金口座①と併せて、合計約3000万円の預金を有しており、さらに三井住友銀行及び野村證券に開設された証券口座に、合計約700万円相当の投15資信託を有していた(甲66〔1頁〕、原告本人〔29頁〕)。原告は、平成26年及び平成27年には、収入を有していなかった(甲1)。 平成26年11月1日当時、原告の夫の名義である本件預金口座②には、123万0886円の預金残高があった(甲2)。また、原告の夫は、同人の退職金2000万円を用いて、平成27年3月に満期を迎える個20人年金保険に加入していた(甲66〔3、10頁〕、原告本人〔29頁〕)。原告の夫は、土地及び同土地上の自宅を所有しており、原告夫婦は同所で生活していた(甲52、66〔19頁〕、乙38)。 ⑵ 本件仕組債1の買付けに至る経緯ア 原告は、平成26年 頁〕)。原告の夫は、土地及び同土地上の自宅を所有しており、原告夫婦は同所で生活していた(甲52、66〔19頁〕、乙38)。 ⑵ 本件仕組債1の買付けに至る経緯ア 原告は、平成26年10月頃、三井住友銀行西神中央支店に赴き、Bと25面談し、三井住友銀行に預けていた原告名義の定期預金が満期となるた 16めに、その預金を運用することを相談した。これに対し、Bは、同銀行のグループ企業である被告が本件仕組債1を取り扱っていることを知っていたことから、原告に本件仕組債1を紹介した。原告は、Bの話を聞いて、メモ用紙(甲20の1)に「ブラジルレアルリンク債」、「手数料0」、「円建」、「5年物(MAX)率5%~6%位(?)」、「55年後just〔裁判所注:この4字の上には傍点が付されている。〕で買った時から12円下になれば元金割れ」、「12円下がらなければ元本保障〔裁判所注:原文ママ〕」、(上記「12円」から引いた矢印の先に)「レアル水準がいいので割る事はない」、「資源国通貨だから心配なし」、「元本保障〔裁判所注:原文ママ〕だと思って良い」と記載10した。ただし、三井住友銀行は本件仕組債1を直接扱っておらず、本件仕組債1を買い付けるためには証券会社での口座開設が必要であった。 (甲20の1、証人C〔15、34頁〕、原告本人〔1~3頁〕)イ 原告は、同年11月4日、「三井住友銀行とSMBC日興証券との情報共有について」と題する書面の同意書欄に署名して、三井住友銀行及び15被告に対し、原告の個人情報を三井住友銀行及び被告が相互に提供し、受領し、共有し又は利用することに同意した(乙28、原告本人〔30頁〕)。 ウ 原告は、同月10日、投資信託300万0051円相当(源泉徴収分除く。)を売却して、その売却 告が相互に提供し、受領し、共有し又は利用することに同意した(乙28、原告本人〔30頁〕)。 ウ 原告は、同月10日、投資信託300万0051円相当(源泉徴収分除く。)を売却して、その売却代金を本件預金口座①に入金した(甲4)。 20エ 原告は、同月11日、三井住友銀行西神中央支店において、B、C及び被告課長Eと面談した(甲66〔4~5頁〕、乙30〔1~2頁〕)。 Cは、事前にBから本件仕組債1を原告に提案したい旨を伝えられており、Cとしても、原告に本件仕組債1を提案しようと考えた(証人C〔14~15頁〕)。 25原告は、同面談の際、総合取引申込書(甲5)に次のとおり選択肢にチ 17ェックを記載してCに提出し、被告における口座を開設した(甲5、66〔5頁〕、乙30〔2頁〕)。 職業:「専業主婦」を選択投資経験:「株式・転換社債」、「債券」、「株式型投資信託」、「公社債型投資信託」、「外国債券」及び「変額保険・その他」を選択5投資目的:「元本の安全性を重視した運用」、「安全性と収益性のバランスに配慮した運用」及び「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」のうち、「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」を選択興味のある取引:「債券」及び「外貨商品」を選択10金融資産:「5000万円~1億円未満」を選択収入形態:「年金」を選択運用の予定額:「1000万円~5000万円未満」を選択投資期間:「5年以上」を選択Cは、同面談において、原告に対し、本件仕組債1のパンフレット(甲157)を示して本件仕組債1の説明をし、本件仕組債1に係る契約締結前交付書面( 投資期間:「5年以上」を選択Cは、同面談において、原告に対し、本件仕組債1のパンフレット(甲157)を示して本件仕組債1の説明をし、本件仕組債1に係る契約締結前交付書面(乙2)、「仕組債の取引に係るご注意」と題する書面(甲8)及び本件仕組債1の参照指標である為替のヒストリカルデータに基づく損益シミュレーションが記載された書面(乙3)を交付した(Cが原告に対し本件仕組債1の参照指標である為替のヒストリカルデータに基づ20く損益シミュレーションを交付した事実につき、甲54〔“ 12014.11.20 15.37.47.wav”中の3分42秒から3分48秒まで。甲55の1〔5頁24行目〕のC発言のうち「・・・」と記載されている部分は、甲54の上記音声部分から「ヒストリカルデータ」と発言していることがわかる。〕、55の1〔5頁〕、証人C〔5頁〕)。同パンフレ25ットには、当初3か月(初回利払日)を除き変動利率となり、平成26 18年12月1日における為替を基準為替として、各利払日の15営業日(ロンドン、ニューヨーク市、サンパウロ及び東京において商業銀行及び外国為替市場が営業を行い支払の決済を行っている日)前の日における為替が基準為替-8円以上であれば年利3%ないし7%の割合の利金を受け取れ、下回れば年利0.1%の割合の利金を受け取れること、為5替が強制早期償還判定日において所定のレートより高騰すると早期償還となること、早期償還が起きなければ5年後に満期償還となるが、満期償還日の15営業日前の日における為替が基準為替-12円以上であれば額面の額で償還され、そうでなければ当初投資金額を下回る金額で償還されること、その金額とは額面に(最終償還判定日の為替÷基準為替)10を乗じたものであること、主 替が基準為替-12円以上であれば額面の額で償還され、そうでなければ当初投資金額を下回る金額で償還されること、その金額とは額面に(最終償還判定日の為替÷基準為替)10を乗じたものであること、主なリスクとして最終償還判定日の参照為替が償還判定為替よりも円高ブラジルレアル安となる場合は当初の投資元本を割り込むことや、本件仕組債1に関する流通市場が確立されていないため、償還前に売却できない場合があり、売却できた場合でも投資元本を大きく割り込むことがあることが挙げられることが記載されている15(甲7)。また、本件仕組債1の損益シミュレーションには、平成14年1月1日から平成26年11月12日までの間における為替の最大値と最小値を比較すると最大値の56%の変動率があったこと、このデータによる想定損益として、最終償還判定日の為替が基準為替より56%下落したと仮定した場合、損益率は-56%となり、額面100万円で20あれば想定損失額が56万円となること、本件仕組債1の発行直後に為替が基準為替より56%下落したと仮定した場合、途中売却時の損益率は-61%となり、額面100万円であれば想定損失額が61万円となることが記載されている(乙3)。 原告は、同面談において、本件仕組債1を買い付ける意向を示した(乙251〔7頁〕、証人C〔19頁〕)。 19オ 原告は、平成26年11月20日、被告神戸支店を訪れ、Cと面談した。 Cは、同面談の際、本件仕組債1の目論見書(甲10)を交付した(証人C〔20頁〕)。 原告は、同面談の際、投資確認書(甲9)において、本件仕組債1の買付けに当たり、目論見書及び契約締結前交付書面の交付を受け、これら5に記載された商品の特性及びリスクの説明を受け、その内容を十 原告は、同面談の際、投資確認書(甲9)において、本件仕組債1の買付けに当たり、目論見書及び契約締結前交付書面の交付を受け、これら5に記載された商品の特性及びリスクの説明を受け、その内容を十分に理解した旨、本件仕組債1の対象となる金融指標等を含む基本的な仕組みについて十分な説明を受け理解した旨、主要な金融指標等の水準の推移等から仮定される想定損失額、途中売却する場合の売却額等につき十分な説明を受けて理解した旨及び想定される損失額を踏まえて原告が許容10できる損失額や原告の資産状況への影響に照らして原告が取引できる契約内容であることを確認した旨の記載にチェックを付し、署名押印して、Cに提出した(甲9、66〔6頁〕、乙30〔4頁〕)。 原告は、本件仕組債1の買付注文に際し、為替によって利金の利率が変動し、利率判定日における為替が基準為替(46.03円)から8円超15値下がりしていれば(すなわち約38円未満になっていたら)利金の利率が0.1%になること、早期償還されることがあること、償還判定日における為替が基準為替から12円超値下がりしていれば(すなわち約34円未満になっていたら)元本を下回る金額で償還されること、基本的に償還されるまでは解約が難しいことを理解していた(甲55の220〔21~22頁〕、55の3〔27~28頁〕、55の4〔35~36頁〕、55の11〔87頁〕、原告本人〔24、31、35頁〕。原告が年4回の利率判定日という仕組みがあることを理解していたことについて、甲54〔“3 2015.03.19 11.20.18.wav”中の3分25秒から3分28秒まで。甲55の3〔27頁23行目〕の原告発言のうち25「・・・」と記載されている部分は、甲54の上記音声部分から「判定 20日」と発言 .20.18.wav”中の3分25秒から3分28秒まで。甲55の3〔27頁23行目〕の原告発言のうち25「・・・」と記載されている部分は、甲54の上記音声部分から「判定 20日」と発言していることがわかる。〕。なお、これらの甲号証に録音ないし記載された原告の発言は、いずれも本件仕組債1の買付注文後のものであるが、買付注文後に、本件仕組債1の仕組みやリスクについて被告側から原告に対して説明がなされたり、原告が自ら情報収集をしたりしたとの事情はうかがわれないことに鑑みれば〔原告自身そのような主5張・供述はしていない。〕、原告は買付注文の時点においても上記理解を有していたものと推認される。)。 カ 原告は、同日、被告神戸支店から退店後、Cとの電話において、本件仕組債1の買付注文をし、Cから代金の送金、郵便物の送付等についての確認をされた(甲54、55の1、66〔7頁〕、乙1〔7頁〕)。 10キ 原告は、同日、被告に宛てて、新生銀行に開設された原告名義の預金口座に預けていた1400万円を振込送金し、同月21日、投資信託を売却した代金200万0694円を本件預金口座①に入金し、同月25日、被告に宛てて、本件預金口座①から600万円を振込送金した(甲4、6、原告本人〔20、29頁〕)。 15⑶ 本件仕組債1の買付け後の動向原告は、本件仕組債1の買付け後、為替に関心を持って自発的に調べていた(甲55の2〔20~21頁〕、55の3〔28頁〕、原告本人〔19、33頁〕)。原告は、本件仕組債1の買付け後に為替が下がったため、平成27年3月19日、被告に電話を架け、今後の為替の見通しについて質問し20た(甲55の2〔20~21頁〕)。 ⑷ 本件仕組債2の買付けに至る経緯ア 原告の夫の が下がったため、平成27年3月19日、被告に電話を架け、今後の為替の見通しについて質問し20た(甲55の2〔20~21頁〕)。 ⑷ 本件仕組債2の買付けに至る経緯ア 原告の夫の加入する個人年金保険は、平成27年3月に満期を迎え、同月27日、原告の夫名義の本件預金口座②に同保険の満期解約金2144万1869円が振込入金された(甲2、66〔10~11頁〕)。 25イ 原告は、同年10月頃、三井住友銀行西神中央支店において、Bから、 21本件仕組債2を紹介された。原告は、Bの話を聞いて、メモ用紙(甲20の2。甲20の1の裏面である。)に「2500万の方⇒債券」、「株価が下がらなければ 5年後⇒2500万」、「2020年オリンピック株価あがるらしい」、「JAL株も京セラ社長で上向きになる⇒安心感がある」、「5年間利益(毎月)があるのでアリコよりも年金の5たしになる」と記載し、本件仕組債2の買付けを検討することにした。 (甲20の2、原告本人〔10~12頁〕、弁論の全趣旨)ウ 原告は、同月22日、本件預金口座②にある2038万3490円の預金から現金2000万円を引き出し、原告名義の本件預金口座①に現金2500万円を入金したため、同口座の預金残高は2732万473710円となった(甲3、4、66〔14頁〕)。 エ D部長及びCは、同月26日、原告の自宅を訪問した(甲66〔14頁〕、乙1〔6頁〕)。なお、被告内部においては、本件仕組債2のような私募のEB債を勧誘する場合には、同債券は、買付額面単位が公募債よりも大きく、その分損失が発生した場合の損失額が大きくなるとい15う意味で公募債よりもリスクが高いため、原則として、被告における預り資産額が1億円以上である必要があると取り決めされて が公募債よりも大きく、その分損失が発生した場合の損失額が大きくなるとい15う意味で公募債よりもリスクが高いため、原則として、被告における預り資産額が1億円以上である必要があると取り決めされていたが、この要件を充足していない場合でも管理職が面談した上で問題ないと判断すれば勧誘することが許容されていた。原告は被告の預り資産額に関する上記要件を満たしていなかった。(乙30〔5頁〕、証人C〔20頁〕)20オ 原告は、同月27日、被告神戸支店を訪れ、Cと面談し、本件仕組債2について説明を受けた。 Cは、同面談の際、原告に対し、提案書(甲14)に沿って本件仕組債2の説明を行い、本件仕組債2の参照指標である三井住友FGと日本航空の各株式のヒストリカルデータに基づく損益シミュレーションが記載25された書面(乙7)、契約締結前交付書面(甲17)及び「仕組債の取 22引に係るご注意」と題する文書(甲15)を交付した(乙1〔6頁〕、30〔6~7頁〕、原告本人〔13、36頁〕、弁論の全趣旨)。 原告は、同面談の際、投資確認書(甲13)において、本件仕組債2の買付けに当たり、損益シミュレーション及び契約締結前交付書面の交付を受け、これらに記載された商品の特性及びリスクの説明を受け、その5内容を十分に理解した旨、本件仕組債2の対象となる金融指標等を含む基本的な仕組みについて十分な説明を受け理解した旨、主要な金融指標等の水準の推移等から想定される損失額、途中売却する場合の売却額等につき十分な説明を受けて理解した旨及び想定される損失額を踏まえて原告が許容できる損失額や原告の資産状況への影響に照らして原告が取10引できる契約内容であることを確認した旨の記載にチェックを付し、署名押印して、Cに提出した(甲13 想定される損失額を踏まえて原告が許容できる損失額や原告の資産状況への影響に照らして原告が取10引できる契約内容であることを確認した旨の記載にチェックを付し、署名押印して、Cに提出した(甲13、66〔14頁〕、乙30〔7頁〕)。 原告は、本件仕組債2の買付注文に際し、本件仕組債2の仕組みとして、株価の変動によって利金の利率が変わり、判定日における株価が一定の15額を下回れば0.1%になること、満期償還までに株価が下がり一度でもボーダーラインを下回った場合には、その後株価が早期償還判定価格を上回らない限り、株式により償還される可能性があり、その場合にはその価値が元本を下回ることを理解していた(甲55の8〔68頁〕、55の10〔77~79頁〕、55の13〔113~114頁〕、原告20本人〔23、36~37、42~43頁〕)。 カ Cは、同月28日、原告との間で、電話にて、本件仕組債2の買付注文を受けた。その電話の際、Cは、本件仕組債2の仕組みを理解しているか問うたところ、原告から大体理解したと思う旨回答された。次に、Cが、本件仕組債2について「で、あの、満期になったら、えっと、5年25間ですね、あの、もしかしたらちょっと株で返ってくる可能性がありま 23すということですね。」、「まあ最悪の状況になればということですね。」と述べたところ、原告は「はい」と相槌を打つのみであった。さらに、Cは、原告の投資目的が株の値上がり益の追求にあることを確認したところ、原告からこれを肯定されたので、本件仕組債2の買付注文の最終確認をした。最後に、Cが笑いながら「まああの、そこまであの、5気を張らず、はい、あの、万一ということもないと思いますので。」と述べたところ、原告は、笑いながら「はい」、「ドキドキしてます の最終確認をした。最後に、Cが笑いながら「まああの、そこまであの、5気を張らず、はい、あの、万一ということもないと思いますので。」と述べたところ、原告は、笑いながら「はい」、「ドキドキしてます」と述べるのみであった。(甲54〔“7 2015.10.28 11.05.37.wav”中の28秒から30秒まで。甲55の7〔54頁19行目〕のC発言のうち「5,200万」と記載されている部分は、甲54の上記音声部分から10「2500万」と発言していることがわかる。〕、55の7、66〔15頁〕)キ 原告は、同月29日、被告に対し、本件仕組債2の買付代金として、2500万円を振込送金した。 ⑸ 本件仕組債2の買付け後の動向15原告は、本件仕組債2の買付け後、自身のスマートフォンで三井住友FGの株価及び日本航空の株価をインターネット検索して調べたり、日経平均株価を調べたりすることがあった(甲55の10〔82頁〕、66〔17頁〕、原告本人〔18~20頁〕)。 ⑹ 事実認定の補足説明20ア 上記⑵エについて(ア) 原告は、総合取引申込書の記載はCに誘導されるままにチェックしたにすぎず、原告の投資意向が反映されたものではなかった旨主張し、その本人尋問において、これに沿う供述をする(原告本人〔4~5頁〕)。 しかしながら、証人Cが、総合取引申込書の記載においてCその他25同席者が原告に対してチェック項目を指示したことはない旨供述し、原 24告の上記供述内容を否定している(証人C〔2頁〕)上、同申込書の記載内容をみても明らかな誤りは認められず(原告自身の保有金融資産額は、上記認定事実⑴ウのとおり、約3700万円であるが、原告の夫名義の保有金融資産と併せれば、同申込書に記載のとお )上、同申込書の記載内容をみても明らかな誤りは認められず(原告自身の保有金融資産額は、上記認定事実⑴ウのとおり、約3700万円であるが、原告の夫名義の保有金融資産と併せれば、同申込書に記載のとおり、5000万円以上あるものと認められ、その当否は別として、原告が夫と同居し、同5人の預金口座を管理していたことにも鑑みれば〔上記前提事実⑵ア、上記認定事実⑴ウ〕、保有金融資産の額として、原告が夫婦全体の金額を申告することも十分考えられる。)、原告は本件仕組債1を買い付けた当日の電話でのやり取りにおいてもCから収益性を狙っていくとの投資目的を確認されて肯定していることからすれば(甲55の1〔6頁〕)、10原告の上記供述部分は直ちに信用できず、他に原告の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。また、原告は、Cに対して、安定的な金融商品で運用したいとの投資意向を有していることを伝えていた、あるいはBを経由してそのような投資意向が伝わっていたと主張するが、総合取引申込書の記載内容に照らし、採用することはできない(なお、原告は、15平成27年10月28日の電話において、Cが、原告からBに言えばその内容がCに伝わるようになっていると発言したことを指摘するが、同通話の文脈によれば同発言は「入金の件」についてのものと認められ(甲55の7〔58頁〕)、同発言をもって直ちに投資意向が伝達されていたことを推認することはできない。)。 20(イ) また、原告は、平成26年11月11日にCと面談した際、Cにメモ(甲20の1、上記⑵ア参照)を提示したところ、Cからその記載内容を肯定されたと主張し、その本人尋問において、同面談の際に、原告がCに対して何も補足せずに同メモを提示したところ、Cも何も質問をせずに「はい、そうです」と応答したと述べ(原告本 、Cからその記載内容を肯定されたと主張し、その本人尋問において、同面談の際に、原告がCに対して何も補足せずに同メモを提示したところ、Cも何も質問をせずに「はい、そうです」と応答したと述べ(原告本人〔5、39、4254~45頁〕)、上記主張に沿う供述をする。 25しかしながら、証券会社の営業担当者としては、金融商品の勧誘の際に突然見覚えのないメモを提示されれば、記載内容の意味やメモ作成の経緯を確認してから記載内容の正否を述べるのが自然であって、原告の供述する上記経過は不自然な感が否めない上、当該担当者である証人Cも同メモを見たことがない旨供述をし(証人C〔6、12頁〕)、原告5の上記供述内容を否定していることに鑑みると、原告の上記供述部分は直ちに信用することができず、他に原告の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 (ウ) さらに、原告は、本件仕組債1の買付勧誘において、Cが、ブラジルレアルは水準が非常に安定していて資源国通貨でもあり心配はない、1102円下がることはないと思う、資源国通貨であるから今後どんどん上がる一方である、元本保証だと思って良いなどと述べたと主張する。 しかしながら、原告は、その本人尋問において、本件仕組債1の買付勧誘時点において、Cから、本件仕組債1で元本を割ることはない、元本保証だと思って良いなどの元本割れのリスクに関する発言はなかった15旨、上記主張と相反する供述をしており(原告本人〔39頁〕)、証人Cも、為替の変動にオリンピックや資源国といったプラスの要素があるといった見通しを述べたことは認めつつも、それ以上に、償還判定為替を割ることはない、元本保証だと思って良いなどの発言はしていないと供述している(証人C〔12、39~40頁〕)。そうすると 要素があるといった見通しを述べたことは認めつつも、それ以上に、償還判定為替を割ることはない、元本保証だと思って良いなどの発言はしていないと供述している(証人C〔12、39~40頁〕)。そうすると、本件仕20組債1の買付け後において、Cは原告に対し為替が償還判定為替を下回ることはなく、元本を毀損することはないから、安心して良いなどの楽観的な見通しを繰り返し述べていること(甲55の3〔24~29頁〕、55の5〔44~45頁〕、55の6〔47~48頁〕、55の8〔69頁〕、55の12〔103頁〕、55の13〔116頁〕)を踏まえ25ても、そのことから直ちに、Cが本件仕組債1の買付勧誘時点において 26上記主張の内容の発言をしたと推認することはできず、その他本件全証拠によっても、原告の上記主張事実を認めるに足りない。 イ 上記⑷イについて原告は、上記⑷イ記載のメモ(甲20の2)をCとの面談において提示したところ、Cからその記載内容を肯定されたと主張し、その本人尋問に5おいて、同面談の際に、原告がCに対して何も補足せずに同メモを提示したところ、Cも何も質問をせずに「はい、そうです」と応答したと述べ(原告本人〔16、45~46頁〕)、上記主張に沿う供述をする。 しかしながら、上記ア(ア)と同様に、その事実経過は不自然さが否めない上、証人Cも同メモを見たことがない旨供述し(証人C〔9、1210頁〕)、原告の上記供述内容を否定していることに鑑みると、原告の上記供述部分は直ちに信用することができず、他に原告の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 ウ 上記⑷エについて被告は、Cが、平成27年10月26日、D部長とともに原告と面談し、15改めて原告に金融資産額を確認したところ、 上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 ウ 上記⑷エについて被告は、Cが、平成27年10月26日、D部長とともに原告と面談し、15改めて原告に金融資産額を確認したところ、1億円以上5億円未満であるとの回答を得た旨主張し、証人Cもこれに沿う供述をする(証人C〔6~7頁〕)。 そこで検討すると、被告内部での電子記録(乙1)のうち同日の欄には、①CがD部長を同行して原告の自宅を訪問し、本件仕組債2について原告20と面談したこと、②本件仕組債2について初回面談を実施して概要を説明したところ、原告の理解力、判断力、資金力が十分で適合性に問題がないことを確認したこと、③原告との面談時、原告の属性確認を行い、保有金融資産を1億~5億に変更したことが記録されているが、このうち①はCが同日に記録したものであり、②はD部長が同日に記録したものであるの25に対し、③はCが同年12月2日に記録したものである(乙1〔6頁〕、 27証人C〔22頁〕)。このように保有金融資産額の変更についてのみ記録が後日となったことについて、証人Cは、単に記録し忘れており、後日になって管理部署に指摘されたか思い出したかのいずれかの理由で記録したものであると供述するが(証人C〔37~38頁〕)、同面談の目的は本件仕組債2の最低買付金額が大きいため改めて原告の保有金融資産状況を5確認することにあり(証人C〔6~7頁〕)、また保有金融資産の変更があれば必ず記録しなければならないものであった(証人C〔37~38頁〕)ことに照らすと、そのように面談の主たる目的でありかつ必ず記録を要する重要事項を記録し忘れ、その後本件仕組債2の買付注文に係る事務手続を遂行しながら(乙1〔6頁〕)1か月以上も気づかずにおり、そ10のような重要事項の に面談の主たる目的でありかつ必ず記録を要する重要事項を記録し忘れ、その後本件仕組債2の買付注文に係る事務手続を遂行しながら(乙1〔6頁〕)1か月以上も気づかずにおり、そ10のような重要事項の記載漏れが発覚した契機について明確な記憶がないというのは不自然である。 また、証人Cは、同面談が原告の自宅の中で行われたか門扉の外で行われたか覚えていないと供述しており(証人C〔23、37頁〕)、甚だ曖昧である。そもそも、同面談が門扉の外で行われていたとすれば、そのよ15うな場所で保有金融資産のような機微に関するやり取りがなされたというのも俄かに信じ難い。 この点につき、原告は、同日、C及びその上司とは自宅の門扉の外で挨拶するにとどまり、金融資産額についての会話はしていないこと、その当時1億円以上の金融資産を保有していなかったことを各供述するところ20(原告本人〔12~13頁〕)、上記⑴ウのとおり、原告は平成26年11月1日当時、合計約3700万円の金融資産を有していたが、そのうち2000万円は本件仕組債1の買付けに使われており、原告が収入を有していなかったこと(上記⑴ウ)も併せ考慮すれば、その後に金融資産を増加させて1億円以上に至ったという可能性は低く、本件全証拠によっても、25平成27年10月26日当時、原告の保有金融資産が1億円以上であった 28ことをうかがわせる事情は見当たらない。そうすると、その当時原告の金融資産額が1億円未満であったと認められるが、原告が、同日の面談において、あえて保有金融資産額について1億円以上であるとの虚偽の申告をする動機も見当たらないから、原告の上記供述部分は信用することができる。 5なお、同日以降に被告から原告に送付された取引残高報告書(甲21、乙5、6 て1億円以上であるとの虚偽の申告をする動機も見当たらないから、原告の上記供述部分は信用することができる。 5なお、同日以降に被告から原告に送付された取引残高報告書(甲21、乙5、6〔各2頁〕)には、原告の金融資産が「1億円以上5億円未満」である旨記載されているにもかかわらず、原告から異議や変更申出がなかったことが認められるが、自ら保有金融資産の申告額を変更していないのであれば、殊更に注意して取引残高報告書の保有金融資産額の欄を確認す10ることまでしないのが通常と考えられるから、上記事実をもって、原告が被告に対し金融資産を「1億円以上5億円未満」と申告した事実を推認することはできない。 また、被告は、原告が、平成30年10月26日、Cの後任者から資産状況等の変更がないか確認されたのに対し、変更がない旨回答しているこ15とも指摘するが、当該後任者は原告の保有金融資産の登録内容については言及しておらず(乙23の2〔9頁〕)、原告の保有金融資産の額の登録内容が「1億円以上5億円未満」であることを前提とせず、単に自身の認識に基づいて回答した可能性も十分考えられるから、同事実を併せても原告が上記のとおり申告したという事実を推認するには足りない。 20以上によれば、Cが平成27年10月26日に原告から金融資産が1億円以上5億円未満であるとの回答を得たとの証人Cの上記供述部分は信用することができず、他に、同事実を認めるに足りる証拠はない。 2 争点⑴(C等による不法行為の有無)について⑴ 本件仕組債1について25ア 適合性原則違反について 29(ア) 証券会社の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著 ついて25ア 適合性原則違反について 29(ア) 証券会社の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した金融商品の取引を勧誘してこれを行わせたときは、当該行為は不法行為法上も違法となると解するのが相当である。そして、証券会社の担当者による金融商品の取引の勧誘が適合性の原則から著しく逸脱している5ことを理由とする不法行為の成否に関し、顧客の適合性を判断するに当たっては、単に当該金融商品の取引類型における一般的抽象的なリスクのみを考慮するのではなく、当該金融商品の具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、金融商品取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要があるというべ10きである(最高裁平成17年7月14日第一小法廷判決・民集59巻6号1323頁参照)。 (イ) これを本件仕組債1についてみると、本件仕組債1は、別紙1の1(上記前提事実⑵)のとおり、為替を参照指標として、その変動に応じて利金の利率や償還額が変わるというものであり、具体的には、利金の15利率は各利率判定日における為替が基準為替(46. 03円)よりも8円超値下がりしている(すなわち38.03円未満)か否かで変わり、満期償還額は満期償還直前の為替が基準為替よりも12円超値下がりしていれば(すなわち34.03円未満であれば)買付金額を下回るというものであって、この仕組み自体は複雑とはいえない。また、本件仕組20債1には、最終償還判定日の為替が34.03円未満であれば償還額が買付金額を下回り損失を生じるという点でリスクがあるが、当該リスクが現実化するのは、同判定日の一時点において、為替が約5年前に比し 債1には、最終償還判定日の為替が34.03円未満であれば償還額が買付金額を下回り損失を生じるという点でリスクがあるが、当該リスクが現実化するのは、同判定日の一時点において、為替が約5年前に比して26%を超えて下落している場合である。 これを踏まえて原告の投資経験をみると、原告は、米ドル建てMMF25の保有経験があり(上記認定事実⑴イ)、上記のような為替変動リスク 30が関係する投資経験を有している。また、原告の理解能力をみると、原告は、本件仕組債1の買付注文時点において、少なくとも、為替によって利金の利率が変動し、利率判定日における為替が基準為替から8円超値下がりしていれば利金の利率が0.1%になること、早期償還されることがあること、償還判定日における為替が基準為替から12円超値下5がりしていれば元本を下回る金額で償還されること、基本的に償還されるまでは解約が難しいことを理解しており(上記認定事実⑵オ)、本件仕組債1の基本的な仕組み及びリスクについて理解していたものと認められる。そうすると、原告は、本件仕組債1の仕組みを理解し得る能力を有していたといえる。 10次に、原告の財産状態等についてみると、原告は、本件仕組債1の買付注文当時、合計約3000万円の預金及び合計約700万円相当の投資信託を有し、相応の金融資産を保有していた(上記認定事実⑴ウ)ところ、原告が当時61歳で職に就いておらず、無収入で、夫と暮らしていたこと(上記前提事実⑴、上記認定事実⑴ウ)に鑑みると、上記金融15資産は原告夫婦の老後の生活資金であったと認められる(甲66〔1~2頁〕)。もっとも、本件仕組債1の買付金額は原告の保有金融資産の約54%を占めるものの、本件仕組債1のリスクが現実化して損失が生じるとしても 夫婦の老後の生活資金であったと認められる(甲66〔1~2頁〕)。もっとも、本件仕組債1の買付金額は原告の保有金融資産の約54%を占めるものの、本件仕組債1のリスクが現実化して損失が生じるとしても、その損失額は2000万円に為替の下落率を乗じた額に留まることとなり、原告夫婦の老後の生活資金としては、他に原告の夫20の預金(約123万円)及び個人年金保険(約2000万円)もあり(上記認定事実⑴ウ)、原告夫婦は原告の夫の所有する自宅で生活していたこと(上記認定事実⑴ウ)も併せ考慮すると、本件仕組債1の買付けにより元本毀損の損失が生じるとしても、原告の財産状態に照らして過大な危険を引き受けたものということはできない。 25加えて、原告が被告に提出した総合取引申込書においても、投資目的 31として「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」を選択し、興味のある取引として「債券」及び「外貨商品」を選択し、金融資産として「5000万円~1億円未満」を選択し、運用の予定額として「1000万円~5000万円未満」を選択している(上記認定事実⑵エ)。本件仕組債1は額面が2000万円であって、申告された5金融資産よりも少ない上、運用の予定額の範囲にも収まっており、また、外貨に連動する債券であるから興味のある取引にも一致し、収益性を追求するためリスクの高い商品にも投資するとの投資目的にも合致する。 (ウ) 以上によれば、本件仕組債1は元本毀損リスクを内包するものではあるが、Cが、原告の意向と実情に反して、明らかに過大な危険を伴う取10引を積極的に勧誘したなどとはいえず、適合性の原則から著しく逸脱した勧誘をしたということはできない。 イ 買付勧誘における説明義務違反について(ア) に過大な危険を伴う取10引を積極的に勧誘したなどとはいえず、適合性の原則から著しく逸脱した勧誘をしたということはできない。 イ 買付勧誘における説明義務違反について(ア) 仕組債のように債券にデリバティブが組み込まれた金融商品は、リスクを組み込むことによって高利回りを実現し、通常の債券とは異なるキ15ャッシュフローになるように設計されている。このように販売者側がリスクを任意に組成して商品設計をしていることに加え、金融商品取引においては、顧客と販売者側との間に、情報、知識等に大きな格差があるのが通常であるため、証券会社が顧客に仕組債の買付けを勧誘するに当たっては、情報格差を是正し、顧客が自己責任に基づいて仕組債の買付20注文を行う基盤を確保するため、仕組債の内容や顧客の知識、経験等に応じて、顧客が仕組債の基本的な仕組み及びそのリスクを具体的に理解できるように必要な情報を提供し、これを説明する信義則上の義務を負い、当該義務を尽くさずにされた勧誘行為は、不法行為法上違法となるというべきである。 25(イ) これを本件仕組債1の買付勧誘についてみるに、本件仕組債1の仕組 32みは別紙1の1のとおりであり、その基本的な仕組みは、①買付けの直後の日(平成26年12月1日)における為替(46.03円)を基準為替として、その後の各利払日の直前の日における為替が基準為替から8円を超えて下落していなければ高利率の利金を受け取れること、②為替が所定のレートより高騰すると早期償還となること、③早期償還が起5きなければ5年後に満期償還となるが、満期償還日の直前の日における為替が基準為替から12円を超えて下落していなければ買付金額そのままで償還され、そうでなければ買付金額を下回る金額で償還されること、④ なければ5年後に満期償還となるが、満期償還日の直前の日における為替が基準為替から12円を超えて下落していなければ買付金額そのままで償還され、そうでなければ買付金額を下回る金額で償還されること、④その金額とは、買付金額に、基準為替から見た満期償還日の直前の日における為替の比率を乗じたものであることであり、本件仕組債1のリ10スクは、⑤為替の変動により上記③のとおり償還額が買付代金を下回り損失を生じること、⑥その場合の損失額は買付金額に基準為替から満期償還日の直前の日における為替への下落率を乗じたものであることと解される。 Cは、上記認定事実⑵エのとおり、本件仕組債1のパンフレットを示15して本件仕組債1の説明を行い、本件仕組債1の損益シミュレーションを交付しているところ、これらの書類には上記①から⑥までが記載されている(上記認定事実⑵エ)。そして、原告は、少なくとも本件仕組債1の買付け時において、上記①から③までの仕組みと上記⑤のリスクの存在を理解していたと認められる(上記認定事実⑵オ)。上記④の仕組20みと上記⑥のリスクが現実化した場合の損失額の大きさについても、原告に交付された本件仕組債1の損益シミュレーション(上記認定事実⑵エ)には、具体的な数値を用いた想定損失額が示されており、原告に一定の投資経験があること(上記認定事実⑴イ)も踏まえれば、原告としてはこれを読むことで損失率が為替の下落率に等しいことを理解するこ25とができるというべきである。 33そうすると、Cは、原告に対し、本件仕組債1の買付勧誘に際して、取引の基本的な仕組み及びそのリスクを具体的に理解できるように必要な情報を提供し、これを説明する信義則上の義務を尽くしたというべきである。 (ウ) これに対し、 組債1の買付勧誘に際して、取引の基本的な仕組み及びそのリスクを具体的に理解できるように必要な情報を提供し、これを説明する信義則上の義務を尽くしたというべきである。 (ウ) これに対し、原告は、Cには途中売却の方法や途中売却時の最大想定5損失額についても説明するべき義務もあったと主張する。 しかしながら、そもそも、原告がCから交付された本件仕組債1の損益シミュレーションには、ヒストリカルデータに基づく途中売却時の想定損益額が記載されている上、原告がCから交付された本件仕組債1のパンフレットには、本件仕組債1に関する流通市場は確立されていない10ため、償還前に売却できない場合があり、売却できた場合でも投資元本を大きく割り込むことがあることが記載されており(上記認定事実⑵エ)、原告も途中売却が難しいことを理解していたというのであるから(上記認定事実⑵オ)、それ以上に、Cから途中売却の方法や途中売却時の最大想定損失額を説明すべき義務があったとはいい難い。 15また、原告は、利益相反の危険性や価格変動のレバレッジ性(原資産の価格変動に比べて仕組債が元本毀損する場合の損失の大きさが増幅されていること)についても十分な説明をすべきであったと主張するが、本件仕組債1の利金の利率や償還額は為替によって定まるのであり、買付け後に被告との間で利益が相反する事情が介在するものではないから、20本件仕組債1に利益相反の危険があるとは認められず、また、本件仕組債1が元本割れしたときの損失額も、いわば買付金額でブラジルレアルを買い付けた場合に為替下落により生じる損失と同額であって、レバレッジ性があるとは認められない。したがって、原告の上記主張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 25 レアルを買い付けた場合に為替下落により生じる損失と同額であって、レバレッジ性があるとは認められない。したがって、原告の上記主張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。 25さらに、原告は、Cが為替の変動について楽観的な説明をするばかり 34であり、原告に本件仕組債1のリスクを過小評価させる言動をしたと主張するが、少なくとも本件仕組債1の買付勧誘時点においてそのような言動の事実が認められないことは上記1⑹アで認定説示したとおりである。 (エ) 以上によれば、本件仕組債1の買付勧誘において、Cに説明義務違反5があるとは認められない。 ウ 買付け後の指導助言義務違反について原告は、C及びその後任者には、本件仕組債1の時価評価額等について適時かつ正確な情報提供を行って途中売却の検討を含めた適切な指導及び助言をすべき注意義務があったというべきであり、当該義務が履行さ10れていれば途中売却により損失の拡大を防止することができたと主張する。 しかしながら、上記認定事実⑵エ及び証拠(甲10〔3頁〕)によれば、本件仕組債1の発行者、販売者及びそれらの関連会社は本件仕組債1を流通市場に流通させることを意図しておらず、本件仕組債1を途中売却15するための流通市場は確立されていないため、償還前に売却できない場合があり、売却できた場合でも投資元本を大きく割り込むことがあることが認められるところ、そのような状況の下で、本件仕組債1の買付け後、その途中売却が実現できたこと及びそれにより損失額の拡大を防止することができたことについては、これを認めるに足りる証拠がない。 20したがって、原告の上記主張は理由がない。 エ 以上によれば、本件仕組債1によっ れにより損失額の拡大を防止することができたことについては、これを認めるに足りる証拠がない。 20したがって、原告の上記主張は理由がない。 エ 以上によれば、本件仕組債1によって生じた原告の損害について、C等の被告従業員による不法行為は成立せず、被告は使用者責任に基づく損害賠償責任を負わない。 ⑵ 本件仕組債2について25ア 適合性原則違反について 35(ア) 本件仕組債2の商品特性上記⑴ア(ア)の観点から本件仕組債2についてみると、本件仕組債2は、別紙1の2(上記前提事実⑶)のとおり、三井住友FGの株価及び日本航空の株価を参照指標として、これらの変動に応じて利金の利率、償還の時期、方法及び償還額が変わるというものである。具体的には、5利金の利率は、各判定日における三井住友FGの株価及び日本航空の株価のいずれもが基準価格の80%以上であるか否かで変わり、償還の時期(早期償還されるか否か)は、三井住友FGの株価及び日本航空の株価のいずれもが基準価格の105%以上であるか否かで変わり、償還方法(株式による現物償還か否か)及び満期償還額については、本件仕組10債2の買付日から最終計算日までの約5年間の全ての取引所営業日において、三井住友FGの株価及び日本航空の株価がそれぞれの条件決定時価格の60%(以下「ノックイン価格」という。)を上回っていたか否かで変わる(三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかが、約5年間のいずれかの取引所営業日において、ノックイン価格以下になっ15たことが一度でもあれば、その後上記早期償還の条件を満たさない限り、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率がより低い方の株式により償還される)というものである。このように、本件仕組債2 たことが一度でもあれば、その後上記早期償還の条件を満たさない限り、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率がより低い方の株式により償還される)というものである。このように、本件仕組債2の仕組みは、参照指標が複数存在する上、局面ごとに参照指標のいずれか一方を参照するか、両方を参照するかが異なり、単に株式を保有する20場合や参照指標が1つである本件仕組債1と比して、複雑であるといえる。実際に、原告は、上記仕組みを正解しておらず、本件仕組債2の買付け後も、早期償還や高利率の利金の条件として、三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかが所定額を上回ればよいと誤解していたことが認められる(甲55の10〔79頁〕、55の13〔11225頁〕)。 36また、本件仕組債2には、三井住友FGの株価又は日本航空のいずれかの株価の下落により、利率が著しく下がることがある上、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率がより低い方の株式により現物償還されることがあり、その場合にはいずれの株価も満期償還日に条件決定時価格以上でない限り、評価損に相当する損失を被るとのリス5クがある。確かに、本件仕組債2は、三井住友FGの株価又は日本航空の株価が下落しても、いずれの株価もノックイン価格の水準に達しない程度であれば、買付金額と同額の現金で償還され、また、一度同水準まで下落しても、その後いずれの株価も同一の計算日に早期償還判定価格を上回れば買付金額と同額の現金で償還されるなど、リスクが軽減され10ている面もある。しかし、証拠(甲49の1、50の1)及び上記前提事実⑶ア(別紙1の2⑵)によれば、三井住友FGの株価は平成24年1月頃から平成26年1月頃にかけて約2.5倍に高騰し、その後いったん下がったものの、また上昇に (甲49の1、50の1)及び上記前提事実⑶ア(別紙1の2⑵)によれば、三井住友FGの株価は平成24年1月頃から平成26年1月頃にかけて約2.5倍に高騰し、その後いったん下がったものの、また上昇に転じ、三井住友FGの条件決定時価格は平成24年1月頃の株価の2倍以上であったこと、日本航空の株価は15平成25年1月頃から平成28年1月頃にかけて2倍以上に高騰し、条件決定時価格も平成25年1月頃の株価の2倍以上であったことが認められる。このように、本件仕組債2の買付当時において、いずれの株式についても、直前の数年間に株価が高騰した状況にあり、条件決定時価格も約3、4年前の株価の2倍以上という非常に高い水準の価格である20ことが認められ、そうした株価の変動幅やその当時のポジション(変動幅における株価の水準)に照らせば、その後5年間に何らかの事情が生じて株価が下落傾向に転じることは十分に予想され、両企業の規模等を考慮してもなお、そのいずれかの株価の下落幅が40%程度に達する可能性はそれなりに存在したというべきである。他方で、三井住友FG又25は日本航空の株価のいずれかが取引所営業日にいったんノックイン価格 37に達した後、早期償還の条件を満たすためには、三井住友FG及び日本航空の株価の両方が一定の基準日(各計算日)において条件決定時価格の105%以上となる必要があり、しかもそのうちノックイン価格に達した株式については条件決定時価格の45%以上もの幅の株価上昇が求められることから、その可能性はノックインの可能性と比較しても高く5ないと考えられる。このことも考慮すれば、三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかが、観察期間約5年間の取引所営業日のいずれかの日において、条件決定時価格の60%以下になり、その後早期償還さ ないと考えられる。このことも考慮すれば、三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかが、観察期間約5年間の取引所営業日のいずれかの日において、条件決定時価格の60%以下になり、その後早期償還されることなく、本件仕組債2が、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率がより低い方の株式により現物償還される確率は相10応にあったというべきであり、相当の評価損を被るリスクがある金融商品であったということができる。そして、本件仕組債2は、途中売却が困難であることから、単に株式を保有している場合と異なり、株価の下落傾向に転じたのを受けて途中売却をすることによりそれ以上の損失を回避するという手段を講じることが困難であるという特性もある。 15加えて、本件仕組債2は私募債であり、オーダーメイドで組成するため買付単位が大きくなり、損失が発生した場合の損失額が大きくなるという点で公募債よりリスクが高く、資金に余裕がある顧客を対象とする商品であったことも指摘できる(乙30〔5頁〕、証人C〔23頁〕)。 以上によれば、一般に株価が変動することの理解があったとしても、20本件仕組債2の上記仕組みやリスクの程度を容易に理解し得るとはいえず、単に株式を保有している場合や参照指標が1つの公募債である本件仕組債1と比較して、リスクが相応に大きいといえる。 (イ) 原告の投資経験及び証券取引の知識について以上のような本件仕組債2の商品特性を踏まえて原告の投資経験をみ25ると、原告は、米ドル建てMMFの投資経験があるが(上記認定事実⑴ 38イ)、同金融商品は比較的安全性の高い外貨で運用される投資信託の一種であり、本件仕組債2のような相応に大きいリスクを有した金融商品ではない。また、原告は、ハイパーブル・ベア3ない 事実⑴ 38イ)、同金融商品は比較的安全性の高い外貨で運用される投資信託の一種であり、本件仕組債2のような相応に大きいリスクを有した金融商品ではない。また、原告は、ハイパーブル・ベア3ないし6の投資経験を有し(上記認定事実⑴イ)、これは、構成ファンドとして、株式市場の値動きによっては大きな損失を被る可能性のあるハイリスク・ハイリタ5ーンの金融商品を含み、今後の株式市場の値動きを予測して構成ファンドのいずれを選択するかの判断が求められる金融商品であることから、購入者には相応の株式市場の値動きを予測する能力が求められる。しかし、同金融商品において求められる予測能力は、その時々の構成ファンドの売買ないしスイッチングの判断の前提となる短期的な株式市場の値10動きの予測を行う能力である。これに対し、本件仕組債2は、上記(ア)記載のとおり、株価の下落を受けて途中売却をすることにより損失を回避することが困難であることから、参照指標である2つの株価の満期償還日までの5年間の長期的な値動きを予測する必要があり、ハイパーブル・ベア3ないし6以上に高度な能力が求められる。したがって、これ15らの金融商品への投資経験をもって、原告が本件仕組債2と同程度のリスクや複雑さの金融商品への投資経験があるということはできない。その他本件全証拠によっても、原告が本件仕組債2の上記仕組みに類する程度に複雑な金融商品の経験があるとは認められず、原告が上記仕組みをどこまで理解していたか疑わしい。現に、原告は、本件仕組債2の買20付けに際して、Cから、「最悪の状況になれば」「ちょっと株で返ってくる可能性が」あるが「万一ということもないと思います」と、すなわち株式による現物償還が生じる可能性は限りなく低い旨の見解を表明されて、これに異論を唱えることな の状況になれば」「ちょっと株で返ってくる可能性が」あるが「万一ということもないと思います」と、すなわち株式による現物償還が生じる可能性は限りなく低い旨の見解を表明されて、これに異論を唱えることなく応じている(上記認定事実⑷カ)。 しかし、実際には上記のとおり本件仕組債2で株式による現物償還が生25じる確率は相応にあったことからすれば上記Cの説明は真実に反したも 39のであるといわざるを得ないところ、原告は、そのようなCの説明をそのまま受け入れていることからすれば、上記認定事実⑷オのとおり本件仕組債2の仕組みの概要をある程度は認識していたことを踏まえても、その実質的な意味及びリスクを的確に把握し得るだけの知識や能力を備えていたとまでは認められない。 5(ウ) 原告の財産状態について次に原告の財産状態について見ると、原告は、本件仕組債1の買付注文当時には上記認定事実⑴ウのとおり合計約3700万円の金融資産を有しており、原告の年齢や収入・資産の状況(上記前提事実⑴、上記認定事実⑴ウ)に鑑みれば、上記金融資産は原告の老後資金であったと認10められる(甲66〔1~2頁〕)。原告は、同金融資産のうち2000万円を用いて既に本件仕組債1を買い付けており、本件仕組債2の買付注文当時には本件仕組債1の償還額は未定であったところ、上記⑴ア(イ)のとおり、本件仕組債1についても元本割れのリスクがあり、本件仕組債2の買付注文によって、原告は、自らの保有する金融資産の総額15を約800万円も上回る金額の本件各仕組債を保有することになり、自身の保有する老後の生活資金全てを元本毀損のリスクにさらすことになる。この点、原告は本件仕組債2の買付注文のために、原告の夫の預金2000万円を原告の預金口座に移し替えて、これを することになり、自身の保有する老後の生活資金全てを元本毀損のリスクにさらすことになる。この点、原告は本件仕組債2の買付注文のために、原告の夫の預金2000万円を原告の預金口座に移し替えて、これを原資としている(上記認定事実⑷ウ、キ)。しかし、本件各仕組債の買付勧誘時には原20告の夫は同席しておらず、原告の夫が原告による本件各仕組債の買付けに同意していたものとは認められない(甲第55号証の1〔2~4頁〕によれば、原告は自身の不在時に自宅に本件仕組債1に関する郵送物が届くことを望んでいなかったことが明らかであり、原告が本件各仕組債の買付けを原告の夫に秘密にしていたとの原告の陳述書(甲66〔5、2513頁〕)の記載部分は、その明白な事実と整合していることから信用 40性が認められる。)。そのため、本件各仕組債の取引勧誘が適合性原則に違反するものであったかについて判断するに当たっては、原告の夫の資産をも斟酌することは相当ではない。被告の内部基準においても、親族であろうとも他人名義の資産で金融商品の買付けを行うことは禁じられている(乙30〔9頁〕、証人C〔10頁〕)。 5なお、原告は、本件仕組債1の買付注文の際、保有金融資産の額について「5000万円~1億円未満」と申告しており(上記認定事実⑵エ)、夫の資産も含めて申告しているものと認められるところ、本件仕組債1の買付注文当時、原告と原告の夫の保有金融資産は合計約5820万であり(上記認定事実⑴ウ)、本件仕組債2の買付当時までの間に10同資産が大幅に増えたことをうかがわせる事情も認められない。そうすると、夫の金融資産も含めた原告の申告を前提としても、本件仕組債2の買付金額は原告及び原告の夫の保有金融資産の4割以上であり、本件仕組債1と併せると、原告と原告の夫の老後資 情も認められない。そうすると、夫の金融資産も含めた原告の申告を前提としても、本件仕組債2の買付金額は原告及び原告の夫の保有金融資産の4割以上であり、本件仕組債1と併せると、原告と原告の夫の老後資金である金融資産の8割近くを元本毀損のリスクにさらす結果となっている。 15このように、原告の夫の保有金融資産を斟酌するか否かに関わらず、本件仕組債2の買付けによって、原告の老後の生活資金のすべて、あるいは原告及び原告の夫の老後の生活資金の大半が元本毀損のリスクにさらされる結果となっており、原告及び原告の夫ともに、今後年金以外に主な収入が期待できないこと(甲66〔2、3頁〕)にも鑑みると、原20告夫婦が原告の夫の所有する自宅で生活していたことを考慮してもなお、原告は、上記のとおり資金に余裕がある顧客を対象とする商品である本件仕組債2には適していなかったといわざるを得ない。 これに対し、被告は、Cが、平成27年10月26日、改めて原告に金融資産の額を確認したところ、1億円以上5億円未満であるとの回答25を得た旨主張するが、上記1⑹ウで認定説示したとおり同事実を認める 41ことはできない。なお、Cの陳述書には、原告の被告における預り資産額が1億円未満であったために改めて原告の保有資産の確認をしたところ、他社での金融資産を合わせれば適合性に問題がないとの判断に至った旨の記載があるが(乙30〔6頁〕)、その一方で、証人Cは、原告の金融資産の保有形態の確認の有無及び方法についても分からないと供5述しており(証人C〔24~25頁〕)、被告内部の履歴においても原告の金融資産の保有形態に関する情報は見当たらないこと(乙1)にも照らすと、上記記載部分は直ちに採用することができない。 (エ) 投資意向・投資目的 5頁〕)、被告内部の履歴においても原告の金融資産の保有形態に関する情報は見当たらないこと(乙1)にも照らすと、上記記載部分は直ちに採用することができない。 (エ) 投資意向・投資目的そして、原告の投資意向についてみると、原告は、総合取引申込書に10おいては、投資目的として「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」を選択している(上記認定事実⑵エ)。もっとも、本件仕組債2の買付注文に先立ち、原告は、本件仕組債1に関し、Cから、為替の値下がりによって利率が0.1%になってしまうかもしれないと説明されたのに対して、「見通しとしてはまあ元本割れない程度の15話なの?それとも」と述べており(甲55の3〔25頁〕)、収益性を追求しつつも、元本が毀損されないことに対する期待も有していることがうかがわれ、Cもそのことを認識していたものと認められる。このことに照らせば、投資意向・目的として、原告が「収益性を追求するためにリスクの高い商品にも投資した運用」を申告しているとしても、原告20がどの程度のリスクを許容しているか、すなわち収益性との相関関係の下、どの程度元本の毀損を許容しているのかについては慎重に検討すべきである。しかし、本件仕組債2の買付注文時、Cは、原告に対して上記の点を確認するどころか、「最悪の状況になれば」「ちょっと株で返ってくる可能性が」あるが「万一ということもないと思います」などと、25株式による現物償還の可能性、すなわち元本毀損の可能性が極めて小さ 42いことを殊更に強調しており(上記認定事実⑷カ)、元本毀損のリスクについて真実に反した過小な評価を説明して本件仕組債2の買付けを勧誘している。そうすると、投資目的に関する原告の上記申告をもって直ちに、本件仕組債2が原告 おり(上記認定事実⑷カ)、元本毀損のリスクについて真実に反した過小な評価を説明して本件仕組債2の買付けを勧誘している。そうすると、投資目的に関する原告の上記申告をもって直ちに、本件仕組債2が原告の投資目的・意向に合致しているとか、原告が本件仕組債2の有するリスクを許容しているとは認められない。 5(オ) 被告の内部基準への適合性等上記認定事実⑷エのとおり、被告内部においては、本件仕組債2のような私募の仕組債を勧誘する場合には、原則として、被告における預り資産額が1億円以上である必要があると取り決めされていた。同取り決めは、私募の仕組債は、買付額面単位が公募債よりも大きいため、その10分損失が発生した場合の損失額が大きくなるという意味で公募債よりもリスクが高いことから導入されているものであり(上記認定事実⑷エ)、適合性原則を内部基準として具体化したものであると解される。そして、原告は被告における預り資産額が1億円未満であったことから、本件仕組債2の買付けを勧誘するためには、管理職が面談した上で問題ないと15判断することが必要であったところ、Cは、管理職であるD部長とともに、原告と面談しておきながら、適合性原則の重要な要素であり上記内部基準でまさに問題としている原告の保有金融資産の金額・内容を確認することなく、原告が保有金融資産が「1億円以上5億円未満」であると申告した旨の虚偽の記録をしている。Cが敢えてこのような虚偽の記20録を行ったのは、被告の上記内部基準において原則として被告における預り資産額が1億円以上であることが求められていることや、本件仕組債2のリスク等に鑑みて、他の会社におけるものも含めて原告の保有金融資産額が1億円以上でなければ、原告に対する本件仕組債2の買付けの勧誘が不適切で 億円以上であることが求められていることや、本件仕組債2のリスク等に鑑みて、他の会社におけるものも含めて原告の保有金融資産額が1億円以上でなければ、原告に対する本件仕組債2の買付けの勧誘が不適切であると判断される可能性があると考えたためであると25推認され、それ以外にCがかかる行為に及ぶ動機は見出し難い。このよ 43うに、Cらの上記行為は、不適切な勧誘である可能性を認識しながら、適合性原則を具体化した被告の内部基準を形骸化し、不適切な買付勧誘を未然に防止する機会を失わせるものである上、原告が本件仕組債2に適合する虚偽の外観を積極的に作出するものであって、悪質な行為といわざるを得ない。 5(カ) 小括以上のとおり、本件仕組債2は、元本毀損の相応のリスクを有する金融商品であるところ、原告は、本件仕組債2と同程度のリスクや複雑さを備えた金融商品への投資経験はなく、本件仕組債2の仕組みの実質的な意味及びリスクを的確に把握し得るだけの知識や能力を備えていたと10は認められず、その財産状態も、資金に余裕がある顧客を対象とする商品である本件仕組債2に適したものとまではいえないにもかかわらず、被告は、原告のリスクへの許容の程度を確認することなく、かえって本件仕組債2のリスクの程度について過小な評価を告げ、さらに、不適切な勧誘である可能性を認識しながら、財産状態に関して適合性原則を具15体化した被告の内部基準を形骸化するような運用を行って原告を勧誘した上、原告が本件仕組債2に適合する虚偽の外観を積極的に作出したものである。これらの事情を総合考慮すれば、Cは、原告の意向と実情に反して、原告に対し、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘しており、適合性の原則から著しく逸脱した金融商品の取引の勧誘をして のである。これらの事情を総合考慮すれば、Cは、原告の意向と実情に反して、原告に対し、明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘しており、適合性の原則から著しく逸脱した金融商品の取引の勧誘をして20これを行わせたというべきであるから、Cの上記行為は不法行為法上違法となると解するのが相当である。 イ よって、その余の責任原因の存否につき判断するまでもなく、被告は、本件仕組債2によって生じた原告の損害について、使用者責任に基づく損害賠償責任を負うというべきである。 253 争点⑵(被告の債務不履行責任の有無)について 44⑴ 本件仕組債1についてア 適合性原則違反について金融商品の販売契約の販売者が、当該契約の締結に先立ち、適合性原則から著しく逸脱した金融商品の買付けの勧誘をして当該契約を締結させた場合には、上記販売者は、相手方が当該契約を締結したことにより被5った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。なぜなら、販売者が適合性原則から著しく逸脱した金融商品の買付けの勧誘をしたために、相手方が本来であれば締結しなかったはずの契約を締結するに至り、損害を被った場合には、後に締結された契約10は、上記適合性原則の違反によって生じた結果と位置付けられるのであって、上記適合性原則の順守をもって上記契約に基づいて生じた義務であるということは、それを契約上の本来的な債務というか付随義務というかにかかわらず、一種の背理であるといわざるを得ないからである(最高裁平成23年4月22日第二小法廷判決・民集65巻3号140155頁参照)。 イ 買付勧誘時の説明義務違反について上記ア 、一種の背理であるといわざるを得ないからである(最高裁平成23年4月22日第二小法廷判決・民集65巻3号140155頁参照)。 イ 買付勧誘時の説明義務違反について上記アと同様の理由で、金融商品の販売契約の販売者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合20には、上記販売者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、不法行為による賠償責任を負うことがあるのは格別、当該契約上の債務の不履行による賠償責任を負うことはないというべきである。 ウ 買付け後の指導助言義務違反について上記2⑴ウで説示したところと同様の理由で、被告は、原告が本件仕組25債1を途中売却しなかったことによる損害について、買付け後の指導助 45言義務違反を原因とする債務不履行責任を負わないというべきである。 エ 以上によれば、被告は、本件仕組債1によって生じた原告の損害について、債務不履行に基づく損害賠償責任を負わない。 ⑵ 本件仕組債2について本件仕組債2については、上記2⑵で認定説示したとおり、Cが原告に対5し本件仕組債2の買付けを勧誘して注文させた行為が不法行為法上違法となり、被告は使用者責任に基づく損害賠償責任を負うことになるところ、仮に被告が債務不履行に基づく損害賠償責任を負うとしても、それによる損害額は後記4で検討する使用者責任に基づく損害賠償責任による損害額を上回るものではない。したがって、本件仕組債2についての債務不履行責任の有無10は判断を要しない。 4 争点⑶(原告の損害及び損益相殺の有無)について⑴ 上記2⑵アで認定説示したとおり、Cは ものではない。したがって、本件仕組債2についての債務不履行責任の有無10は判断を要しない。 4 争点⑶(原告の損害及び損益相殺の有無)について⑴ 上記2⑵アで認定説示したとおり、Cは、適合性の原則から著しく逸脱した金融商品の取引の勧誘をして原告に本件仕組債2の買付注文を行わせたものであって、同行為は不法行為法上違法となるから、被告は、原告が本件仕15組債2を買付注文したことによって生じた損害である買付代金相当額の2500万円について、使用者責任に基づく損害賠償責任を負う。 ⑵ もっとも、被害者が不法行為によって損害を被ると同時に、同一の原因によって利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額か20ら控除することによって損益相殺的な調整を図る必要がある(最高裁平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁)。 そして、原告は、本件仕組債2の利金として398万4264円を得て、本件仕組債2の満期償還により日本航空株式5500株及び調整金5万6279円を得たのであり(上記前提事実⑷ア、ウ)、これらの利益は、本件仕25組債2の買付けによって受けたものであるとともに、本件仕組債2の買付代 46金相当額の損害と同質性があるというべきであるから、これらの利益の額を損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図る必要がある。 このうち日本航空株式5500株については、原告は現在までこれを保有し続けていること、原告はCの不法行為によって本件仕組債2を買い付けたことによる損害の賠償を求めており、翻ってCの不法行為がなければ原告が5現在日本航空株式を保有していることもなかったことに照らすと、口頭弁論終結 告はCの不法行為によって本件仕組債2を買い付けたことによる損害の賠償を求めており、翻ってCの不法行為がなければ原告が5現在日本航空株式を保有していることもなかったことに照らすと、口頭弁論終結時の上記株式の市場価額を基礎として、損益相殺的な調整を図るべきであると解される。 これに対し、原告は、利金は損害額確定前の買付代金を被告が確保し運用し得ることに伴う対価であるから、その性質上損益相殺の対象とすべきでは10ないと主張する。しかし、本件仕組債2の利金は、必ずしも被告による元本利用の対価として支払われる性質の金員ではなく、また、仮に本件仕組債2の利金が上記対価としての性質も有するとしても、本件仕組債2の買付勧誘という不法行為及びそれによる同債券の買付けと無関係に支払われるものではなく、あくまで同債券の買付けを原因として原告にもたらされる利益であ15る上、損害の公平な負担という見地からも損益相殺的な調整の必要性を否定するに足りる事情とまでは認め難く、原告の上記主張は採用できない。 ⑶ 以上によれば、損益相殺的な調整を施した後の原告の損害は、2500万円から利金合計398万4264円、日本航空株式の評価額1429万4500円(上記前提事実⑷エのとおり1株2599円であるから、5500株20の評価額は、2599円×5500株=1429万4500円)及び調整金5万6279円を控除した666万4957円となる。 また、弁論の全趣旨によれば、原告は、Cの不法行為により、原告訴訟代理人弁護士に委任して本訴を提起、遂行することを余儀なくされたことが認められ、これと相当因果関係のある弁護士費用は、上記の1割に相当する6256万6495円と認めるのが相当である。 47したがって、原告の損害額は、合 ことを余儀なくされたことが認められ、これと相当因果関係のある弁護士費用は、上記の1割に相当する6256万6495円と認めるのが相当である。 47したがって、原告の損害額は、合計733万1452円である。 5 争点⑷(過失相殺の有無及び割合)について上記2⑵で認定説示したとおり、被告従業員Cは、原告に対し、適合性の原則から著しく逸脱した本件仕組債2の買付けの勧誘をしてこれを注文させたところ、そのように適合性を欠く顧客に対してはそもそも本件仕組債2の買付勧5誘をしてはならないのであるから、適合性原則の趣旨に反して取引を行わされた顧客の過失については、当該顧客が積極的に虚偽の陳述をしたなどの特段の事情がない限り、これを斟酌することは許されないというべきである。本件では、全証拠によっても原告が買付勧誘の際に積極的に虚偽の陳述をしたなどの特段の事情はうかがえないから、本件仕組債2の買付けについて過失相殺をす10ることは相当ではない。 第4 結論よって、原告の請求は主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し、その余をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 15東京地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官 大 嶋 洋 志 20 裁判官 松 原 経 正 25裁判官 溝 口 翔 太 48(別紙1)本件各仕組債の概要1 本件仕組債1⑴ 名称ノルウェー地方金融公社 2019年11月27日満期 円建 為替トリガ5ー早期円償還条項 デジタルクーポン ブラジルレアル/日本円連動債券⑵ 仕組み平成26年12月1日の為替(46.0 ウェー地方金融公社 2019年11月27日満期 円建 為替トリガ5ー早期円償還条項 デジタルクーポン ブラジルレアル/日本円連動債券⑵ 仕組み平成26年12月1日の為替(46.03円)を基準為替とする。 本件仕組債1が償還されるまで(すなわち、早期償還とならない限りは5年間にわたり)、3か月ごとに設定された利払日に、利金を受け取る。その利率10は、各利率判定日(各利払日〔初回を除く。〕の15営業日前の日)における為替が、利率判定為替(基準為替-8円、すなわち38.03円)以上であれば(すなわち円安=ブラジルレアル高であれば)年利7%の割合の高利率となるが、他方、それ未満であれば(すなわち円高=ブラジルレアル安であれば)年利0.1%の割合の低利率となる。 15強制早期償還判定日(各利払日〔初回を含む。〕の15営業日前の日)における為替が強制早期償還判定為替(初回は基準為替+1.5円であるが、以降は判定日ごとに0.5円ずつ逓減する。)以上であれば、本件仕組債1はその直後の利払日に買付金額と同額で償還される(早期償還)。早期償還が起きなかった場合には、5年後に償還される(満期償還)。満期償還における償還額20は、最終償還判定日(満期償還日の15営業日前の日)における為替が償還判定為替(基準為替-12円、すなわち34.03円)以上であれば(すなわち円安=ブラジルレアル高であれば)買付金額と同額であるが、償還判定為替未満であれば(すなわち円高=ブラジルレアル安であれば)買付金額×(最終償還判定日における為替÷基準為替)となり、買付金額を下回る。 252 本件仕組債2 49⑴ 名称ゴールドマン・サックス・インターナショナル 2020年11月16日満期 ユーロ円EB(ユーロ円複数 基準為替)となり、買付金額を下回る。 252 本件仕組債2 49⑴ 名称ゴールドマン・サックス・インターナショナル 2020年11月16日満期 ユーロ円EB(ユーロ円複数銘柄参照型早期償還条項付変動利付他社株転換債)⑵ 仕組み5三井住友FGの条件決定時価格を4877円、日本航空の条件決定時価格を4520円とする。 本件仕組債2が償還されるまで(すなわち、早期償還とならない限りは5年間にわたり)毎月16日、利金を受け取る。その利率は、初回の利払日を除き、各計算日(利払日の10営業日前)における三井住友FGの株価及び日本航空10の株価のいずれもがそれぞれの条件決定時価格の80%以上であれば、年利9. 85%の割合の高利率となるが、他方、いずれかの株価がその条件決定時価格の80%未満であれば、年利0.1%の割合の低利率となる。 各計算日(最終回を除く。)における三井住友FGの株価及び日本航空の株価のいずれもがそれぞれの条件決定時価格の105%以上であれば、本件仕組15債2はその直後の利払日に買付金額と同額の現金で償還される(早期償還)。 早期償還が起きなかった場合には、5年後に償還される(満期償還)。満期償還においては、本件仕組債2の買付日から満期償還日の10営業日前(最終計算日)まで(観察期間)の全ての取引所営業日において、三井住友FGの株価及び日本航空の株価のいずれもが、それぞれの条件決定時価格の60%より高20ければ、買付金額と同額の現金で償還されるが、観察期間中のいずれかの日に、三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかがその条件決定時価格の60%以下となった場合(ノックイン)には、三井住友FGと日本航空のうち、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率 に、三井住友FGの株価又は日本航空の株価のいずれかがその条件決定時価格の60%以下となった場合(ノックイン)には、三井住友FGと日本航空のうち、条件決定時価格に対する最終計算日における株価の比率がより低い方の株式により現物償還される。この場合の償還は、具体的には、買付金額を条件決定時25価格で割って得られた株式数(売買単位未満切捨て)及び端数の調整のための 50調整金によってなされる。 以上(別紙2)日付本件仕組債1の利金本件仕組債2の利金H27.3.226万6499円H27.5.2827万8898円H27.8.283985円H27.11.303985円H27.12.1716万3521円H28.1.1916万3521円H28.2.171660円H28.3.13985円H28.3.171660円H28.4.191660円H28.5.171660円H28.5.303985円H28.6.171660円H28.7.201660円H28.8.171660円H28.8.313985円H28.9.201660円H28.10.181660円H28.11.171660円H28.11.293985円H28.12.191660円H29.1.171660円H29.2.171660円H29.3.23985円H29.3.1716万3521円H29.4.191660円H29.5.171660円H29.5.313985円H29.6.191660円H29.7.191660円H29.8.1716万3521円H29.8.303985円H29.9.2016万3521円H29.10.1716万3521円H29.11.1716万3521円H29 91660円H29.8.1716万3521円H29.8.303985円H29.9.2016万3521円H29.10.1716万3521円H29.11.1716万3521円H29.11.283985円本件各仕組債の利金51H29.12.1916万3521円H30.1.1716万3521円H30.2.1916万3521円H30.2.283985円H30.3.1916万3521円H30.4.1716万3521円H30.5.1716万3521円H30.5.303985円H30.6.1916万3521円H30.7.1816万3521円H30.8.1716万3521円H30.8.293985円H30.9.1916万3521円H30.10.1716万3521円H30.11.1916万3521円H30.11.283985円H30.12.1816万3521円H31.1.171660円H31.2.1916万3521円H31.2.283985円H31.3.1916万3521円H31.4.1716万3521円R1.5.1716万3521円R1.5.293985円R1.6.181660円R1.7.171660円R1.8.191660円R1.8.283985円R1.9.181660円R1.10.171660円R1.11.191660円R1.11.283985円R1.12.171660円R2.1.171660円R2.2.181660円R2.3.171660円R2.4.171660円R2.5.191660円R2.6.171660円52R2.7.171660円R2.8.181660円R2.9.171660円R .3.171660円R2.4.171660円R2.5.191660円R2.6.171660円52R2.7.171660円R2.8.181660円R2.9.171660円R2.10.191660円R2.11.171660円合計額61万7127円398万4264円53
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