平成30年11月15日判決言渡平成30年(行コ)第24号不動産取得税賦課決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成28年(行ウ)第218号) 主文 1 原判決を取り消す。 2 大阪府泉北府税事務所長がCに対して平成27年11月5日付けでした,原判決別紙物件目録記載1の土地の取得に係る不動産取得税賦課決定処分を取り消す。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨主文と同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨は,原判決2頁2行目から9行目までのとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決2頁3行目の「原告」を「承継前控訴人亡C(以下「亡C」という。)に改め,9行目の次に,改行の上,次のとおり加える。 「 原審は,亡Cの請求を棄却したため,同人は,これを不服として控訴した。 その後,同人は死亡し,弟である控訴人が同人を相続した。」 2 関係法令の定め,前提事実,本件処分の根拠及び適法性に関する被控訴人の主張,争点は,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1ないし4のとおりであるから,これを引用する。ただし,「原告」とあるのは,訴訟行為の主体としてのものを除き,いずれも「亡C」に改め(この点につき,以後も同じ。),5頁1行目の「D」を「控訴人(以下,承継前の事実関係においては,「D」という。)」に改める。 3 争点に関する当事者の主張(1) 持分超過部分の有無の判断基準を法73条の21により決定される価格 とすることの適否(争点1)原判決6頁16行目から9頁7行目までのとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決9頁4行目の「必ずしも 判断基準を法73条の21により決定される価格 とすることの適否(争点1)原判決6頁16行目から9頁7行目までのとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決9頁4行目の「必ずしも一致するものではなく,」から7行目末尾までを「必ずしも一致するものではないところ,評価基準によって決定された価格が適正な時価を上回る場合,その価格に基づいてされた賦課決定処分は違法である(平成16年判決,平成25年判決)。そうすると,評価基準によって決定された価格が適正な時価を上回る場合,課税標準を判断するにあたって,最終的に評価基準による価格ではなく適正な時価を基に判断されるのであるから,本件非課税規定の適用に際しても,適正な時価を基に判断すべきである。」に改める。 (2) 本件各土地を一画地と認定することの適否(争点2)以下のとおり補正するほかは,原判決9頁9行目から11頁12行目までのとおりであるから,これを引用する。 ア 9頁14行目の「いる。」の次に行を改めて以下のとおり加える。 「評価基準が隣接する2筆以上の宅地を一画地とする場合として定める「その形状,利用状況等からみて,(中略)これらを合わせる必要がある場合」に該当するのは,その土地の形状,利用状況等に照らして,1筆の宅地を一画地とする原則を適用したのでは,各筆の客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生ずるため,その不均衡を解消する必要がある場合をいうものと解するのが相当である。そして,土地の客観的な交換価値とは,正常な条件の下において成立する取引価格を意味することからすれば,上記のような場合に該当するか否かは,隣接する2筆以上の宅地がその具体的な形状,利用状況等に照らして通常一体として取引の対象となるとみることが適切か否かという観 る取引価格を意味することからすれば,上記のような場合に該当するか否かは,隣接する2筆以上の宅地がその具体的な形状,利用状況等に照らして通常一体として取引の対象となるとみることが適切か否かという観点から,社会通念に照らして判断すべきである」。 イ 9頁21行目の「利用状況からすれば,」の次に「本件各土地は,社会 通念に照らして通常一体のものとして取引の対象となるとみることが適切であるから,」を加える。 ウ 11頁9行目の「分筆した場合において」を「に分筆し,B土地を売却したことによりA土地とB土地の所有者が異なることとなった場合において」に改め,12行目の次に行を改めて以下を加える。 「エ法73条の21第2項に規定する固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産等については,同項に基づき評価基準によって決定された価格が適正な時価を上回る場合にはその決定された価格に基づいてされた不動産取得税賦課決定処分は違法となる。上記の適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。そして,法は,固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを総務大臣の告示に係る評価基準に委任したものである。(平成16年判決,平成25年判決参照)前記ウの事例でいえば,B土地の適正な時価(単位面積当たりの時価)はA土地の適正な時価(単位面積当たりの時価)より下回るところ,B土地を取得した者に対して賦課される不動産取得税の課税標準は,B土地の適正な時価(単位面積当たりの時価×土地面積)であるから,仮に,A土地とB土地を一画地として上記両土地を評価しB土地の評価額を算定すると,その評価額は,上記の課税標準である「B土地の適正な時価」を上回ることが明らか 積当たりの時価×土地面積)であるから,仮に,A土地とB土地を一画地として上記両土地を評価しB土地の評価額を算定すると,その評価額は,上記の課税標準である「B土地の適正な時価」を上回ることが明らかである。 上記のように,隣接するA土地とB土地が異なる所有者に帰属する場合,A土地とB土地の時価(単位面積当たりの時価)が異なるときにこれらの土地を一画地として評価するならば,一方の土地については,不動産取得税の課税標準である当該土地の適正な時価を上回る価格を決定することになるのである。評価基準を解釈するにあたっては,上記の 「適正な時価を算定するため」という委任の趣旨に照らして合理的な解釈をすべきであるから,一画地に関する評価基準について,上記の場合に一画地とすることができる旨定めていると解することはできないというべきである(なお,仮に,一画地に関する評価基準が,上記の場合に一画地とすることができる旨定めているとすれば,その評価方法は,平成25年判決にいう「適正な時価を算定する方法として一般的な合理性」を有するものではないということになるが,そもそも上記評価基準はそのようなことを定めているものではないと解すべきである。)。 本件についてみると,本件土地1と本件土地2は,共有物分割により,所有者が異なるに至っている。本件各土地の形状は原判決別紙図面記載のとおりであり,本件土地2が比較的きれいな長方形に近いのに対し,本件土地1は路線と接する部分(間口)が歪な形状となっている。これらを個別に評価した場合,本件土地2の1平方メートル当たりの時価が本件土地1の1平方メートル当たりの時価よりも高額になることは,明らかである。 そうすると,一画地に関する評価基準の解釈について上記のように解すれば,本件処分をするにあたって,本件各土地を一画 が本件土地1の1平方メートル当たりの時価よりも高額になることは,明らかである。 そうすると,一画地に関する評価基準の解釈について上記のように解すれば,本件処分をするにあたって,本件各土地を一画地とし,これに基づき本件土地1の価格を評価したことは,評価基準に反するというべきである。したがって,本件土地1の上記評価額に基づいてされた本件処分は,平成25年判決にいう「評価基準に従って公平な評価を受ける利益」を侵害するものであり,違法である。」第3 当裁判所の判断 1 争点1(持分超過部分の有無の判断基準を法73条の21により決定される価格とすることの適否)について原判決11頁16行目から16頁16行目までのとおりであるから,これを引用する。ただし,15頁11行目から16頁16行目までを次のように改め る。 「(4)ア控訴人は,評価基準によって決定された価格が適正な時価を上回る場合,その価格に基づいてされた賦課決定処分は違法であり,その場合,課税標準を判断するにあたって,最終的に評価基準による価格ではなく適正な時価を基に判断されるのであるから,本件非課税規定の適用に際しても,適正な時価を基に判断すべきである旨主張する。 イ法は固定資産税の課税標準に係る適正な時価を算定するための技術的かつ細目的な基準の定めを総務大臣の告示に係る評価基準に委任していること等からすると,評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものである場合,評価基準によって決定された価格は,評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り,当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である(平成 評価基準の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り,当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認するのが相当である(平成25年判決参照)。 そして,本件土地1に適用される評価基準は,一画地に関する評価基準も含め,適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するといえる。 そうすると,本件土地1の価格を評価基準によって決定することにより適正な時価を上回る価格が決定されることはないというべきであるから,控訴人の主張は,前提を欠くものであり,採用することができない。」 2 争点2(本件各土地を一画地と認定することの適否)について(1) 画地の認定について原判決16頁19行目から17頁14行目の「相当である。」までのとおりであるから,これを引用する。 (2) 検討ア前記のような観点から本件各土地が一画地と認められるかについて検討すると,前記前提事実(1)イ,証拠(甲6,乙4,16)及び弁論の全趣 旨によれば,①本件各土地は隣接しており,本件各土地を物理的に区分する構造物等は存在せず,本件各土地全体が連続して舗装され駐車場として利用されていること,②本件各土地にはコインパーキング8台分及び月極駐車場51台分の駐車区画が設けられており,その一部は本件各土地の分筆線にまたがって存在していること,③本件土地1には本件土地2との境界付近(本件各土地の中央部分)に本件各土地の照明となるように照明器具が設置されていること,④分筆前土地においても同様の利用状態が相当期間続いていたこと,⑤本件各土地と隣地との間に設置されているブロック塀ないしフェンスは本件各土地にまたがって設置されていることが認められる。これらの事実によれば,本件各土地は全体が駐車場 態が相当期間続いていたこと,⑤本件各土地と隣地との間に設置されているブロック塀ないしフェンスは本件各土地にまたがって設置されていることが認められる。これらの事実によれば,本件各土地は全体が駐車場として一体的に利用されていると認められ,しかも,そのような本件各土地の利用状態は当面は続くものとみられる。 また,前記前提事実(1)及び弁論の全趣旨によれば,亡C及びDは兄弟であり,遺贈により分筆前土地の共有持分2分の1を取得した後,財産評価通達を参考にして本件各土地の価格が同一となるように本件土地1と本件土地2との分筆線を定めて本件各土地を分筆したことが認められ,このことに上記の本件各土地の利用状況及びその形状を併せ考慮すると,本件各土地の分筆線は,価格を同じくする2筆の土地を作出するよう定められたものであって,本件各土地の現実の利用状況に着目して定められたものではないということができる。 以上のような本件各土地の形状及び利用状況並びに本件各土地の分筆の経緯を総合すると,本件各土地の評価額については,これを別個に画地として認定し,評価したのでは,客観的な交換価値を合理的に算定することができず,大きな不均衡が生じ得るものと考えられる。したがって,本件各土地を併せて一画地と認定することは評価基準に適合するものであり適法というべきである。 イ以上に対して,控訴人は,①本件各土地が所有者を異にしていること,②本件土地1は利用状況等を容易に変更することができるものであること,③本件土地1は本件土地2に比して不整形であることに照らすと,本件各土地を一画地と認定することはできないというべきであり,このことは,高松高裁判決に照らしても明らかであると主張する。 しかしながら,前記のとおり,画地の認定は土地の利用状況によるべきものであり, 土地を一画地と認定することはできないというべきであり,このことは,高松高裁判決に照らしても明らかであると主張する。 しかしながら,前記のとおり,画地の認定は土地の利用状況によるべきものであり,本件各土地の利用状況等からすると,本件各土地の所有者が異なることをもって一画地と認定することの妨げとなるものではない。 また,本件各土地が駐車場として利用されていることからすると,本件土地1の利用状況を変更することは,各土地上に建物等が存する場合に比して比較的容易であると解されるが,そうであるとしても,現実に行われている一体的利用の実体が左右されるものでもない。 さらに,前記前提事実(1)イによれば,本件土地1が本件土地2に比してやや不整形であることは認められるものの,不整形な土地は単独で利用するよりも隣接地と併せて利用することで,その利用価値は高まるとも考えられるが,そのことを評価に反映させることも一画地認定による評価の目的といえるから,本件土地1が本件土地2に比してやや不整形であることをもって一画地として認定することの妨げとなるものではない。 加えて,控訴人が引用する高松高裁判決(甲8)が本件と事案を異にするものであることは,原判決の説示するとおり(19頁20行目から20頁10行目まで)である。 ウまた,控訴人は,例えば,角地である駐車場を角地であるA土地とこれに隣接する角地でないB土地に分筆した場合において,両土地を各別に評価すればA土地の方が高額になるが,A土地とB土地を一画地として評価 すればA土地とB土地の評価額が等しいということになり不合理であり,このことからすれば,本件各土地を一画地として評価することは相当でないというべきであると主張する。 しかしながら,2筆以上の土地を一画地と認定した場合,価格評価の対 ということになり不合理であり,このことからすれば,本件各土地を一画地として評価することは相当でないというべきであると主張する。 しかしながら,2筆以上の土地を一画地と認定した場合,価格評価の対象となるのは当該一画地であって,これを構成する2筆に価格を割り振るのは別個の問題であると考えられる。したがって,これを適切に行えば足りるから,このことで一画地とすることを不合理とする事情となるものではないというべきである。 したがって,控訴人の前記主張は採用することができない。 3 本件処分の適法性について本件処分の根拠及び適法性に関する被控訴人の主張は,原判決別紙のとおりであるところ,控訴人の主張に鑑みて本件土地1の評価額を算出する過程について検討する。 処分行政庁の行った上記算出過程では,一画地として認定された本件各土地の評点数として9784万3564点と算定した上,これを本件土地1が本件各土地に占める面積割合で案分してその価格を算定している。 評価基準は,宅地につき画地を認定した上で当該画地の価格を求めるための様々な定めをおいているものの,当該画地の価格からこれを構成する筆ごとの価格を算出する方法については何ら規定がなく,通常は面積比率に従って案分されているものと考えられ,通常はそれをもって足りるといえる。しかしながら,本件のように,課税標準としての固定資産評価額を算定する場合と異なり,持分超過部分の存否を判定する場合にあっては,わずかの評価の差異によってその有無の判定が分かれてくるから,より慎重な方法による算定が必要であるといえる。そして,一画地を構成する各筆の土地が所有者を異にしている場合,各筆の土地はそれぞれの所有者がこれを拠出して一画地を構成しているという関係にあるといえるから,それぞれの土地の価格 要であるといえる。そして,一画地を構成する各筆の土地が所有者を異にしている場合,各筆の土地はそれぞれの所有者がこれを拠出して一画地を構成しているという関係にあるといえるから,それぞれの土地の価格の割合に従って案分する方が より公平に適するというべきである。共有物分割の訴えにおいて裁判所が分割を行う場合も,他の条件に差異があるときには最終的に面積を調整することにより価格が持分の割合と等しくなるように分割されことがあるが,この場合にも,一画地認定されて価格が面積割合で案分されると,常に持分超過部分が生じてしまうことになるが,不合理というべきである。そして,本件では,本件土地1及び本件土地2は,その価格が等しくなるように分筆されたものであるから,面積が等分されていない以上,面積単価には当然に相違が存在し,面積比率で価格を案分すれば面積の大きい本件土地1には必然的に持分超過部分が生ずることとなるのは明らかであった。このような場合において,他の合理的な計算方法を試みることなく漫然と面積比率に従って案分計算をして本件土地1の価格を算出したことには,違法があるといわざるを得ない。 控訴人の主張は,直接上記の点の違法を指摘するものではないが,所有者を異にする本件各土地は価格が等しいことを指摘する部分は,上記の趣旨を含むものと認められ,この点において理由がある。 第4 結論以上によれば,控訴人の請求は理由があるからこれを認容すべきところ,これと異なる原判決は不当であって,本件控訴は理由があるから,原判決を取り消した上,本件処分を取り消すこととして,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第1民事部 裁判長裁判官佐村浩之 裁判官大野正 消すこととして,主文のとおり判決する。 主文 大阪高等裁判所第1民事部 裁判長裁判官佐村浩之 裁判官大野正男 裁判官井田宏は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官佐村浩之
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