- 1 -平成18年(ワ)第10号交通事故による損害賠償請求事件 主文 被告は,原告Aに対し,金3331万0571円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Bに対し,金1110万3524円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Cに対し,金1110万3524円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Dに対し,金1110万3524円及びこれに対する平成15年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 この判決は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求主文1項ないし4項と同旨第2事案の概要 事案の要旨本件は,被告の運転する普通乗用自動車(以下「被告車両」という)に衝突され。 て死亡したEの相続人である原告らが,Eから相続した不法行為による損害賠償請求権に基づき,前記事故によってEが被った損害の賠償を求めている事案である(附帯請求は,前記事故の日からの民法所定年5分の割合による遅延損害金請求である。 。) 争いのない事実( )当事者等 アE(昭和37年○月○日生)は,平成15年6月1日,死亡した。 ,(),イEの相続人は夫である原告A並びに子である原告B昭和61年○月○日生原告C(平成2年○月○日生)及び原告D(平成7年○月○日生)の4名であり,それ以外にはいない。 ( )本件事故の発生 Eは,平成15年6月1日午後8時55分ころに被告との間で発生した下記交通事故により,重傷胸部外傷の傷害を負い,同日午後9時ころ,死亡した(以下,この交通事故を「本件事故」という。 故の発生 Eは,平成15年6月1日午後8時55分ころに被告との間で発生した下記交通事故により,重傷胸部外傷の傷害を負い,同日午後9時ころ,死亡した(以下,この交通事故を「本件事故」という。 。)ア発生場所(ア)国道20号線上の山梨県甲斐市F○○番地先交差点(以下「本件交差点」という)。 (イ)なお,本件交差点は,交通整理の行われていない(信号機の設置されていない)交差点であり,制限速度は時速50㎞である。 イ被告車両及び運転者普通乗用自動車(シボレーシルバーメタリック)登録番号(省略)運転者被告- 2 -ウ態様被告は,被告車両を運転して国道20号線を韮崎市方面に進行していたが,本件交差点を東から西に向かって横断していたE及びその同伴者を約5.5mに迫って初めて認め,ハンドルを左に切るとともに急制動の措置を講じたが間に合わず,Eらに被告車両の前部を追突させた。 争点 ( )本件事故によってEが被った損害の内容及びその額 ア原告らの主張Eは,本件事故によって死亡したことにより,次のとおりの損害を被った。 (ア)死亡慰謝料2400万円(イ)逸失利益3512万1143円aEは死亡時に41歳であったから,Eは,少なくとも67歳までの26年間について労働能力を喪失したと認めるのが相当であるところ,同期間に対応するライプニッツ係数は14.375である。 bEの逸失利益を算出するに当たっては,賃金センサス平成15年第1巻第1表の産業計女性労働者学歴計の年収額である349万0300円を基礎とするのが相当である。 cEの生活費控除率は,30%とするのが相当である。 dそうすると,Eが本件事故によって死亡したことによる逸失利益は,次のとおり3512万1143円を下らないというべきである。 3,490 ある。 cEの生活費控除率は,30%とするのが相当である。 dそうすると,Eが本件事故によって死亡したことによる逸失利益は,次のとおり3512万1143円を下らないというべきである。 3,490,30014.3750.735,121,143.75××=(ウ)葬儀費用150万円(エ)弁護士費用600万円イ被告の主張(ア)上記アの事実は知らない。 (イ)Eは会社員として稼働していたのであるから,Eの逸失利益を算定するに当たっては,生活費控除率を40%とするのが相当である。 ( )過失相殺の可否 ア被告の主張(ア)本件交差点には,本件事故当時,信号機が設置されていなかった。また,本件交差点付近には,本件事故当時,本件事故の発生した車線の反対車線に街灯が一つ設置されているのみであった。 (イ)上記(ア)の事実にかんがみると,Eが本件交差点を横断するに当たって左右の安全確認を十分にしていれば,本件事故が発生しなかったといえるから,Eにも本件事故の発生につき一定の落ち度(過失)があるというべきであって,Eの損害の1割を過失相殺するのが相当である。 (ウ)なお,被告が本件事故の直前に時速85㎞で走行していたとの原告らの下記イ(イ)の主張事実は否認する。 イ原告らの主張(ア)上記ア(ア)の事実は認める。同(イ)の主張は争う。 - 3 -(イ)被告が本件事故当時に制限速度を大幅に上回る時速85㎞で走行していたことなどにかんがみると,本件事故の発生についてEには何らの落ち度(過失)もないというべきである。 第3当裁判所の判断 被告の責任について被告は,本件交差点に進入するに当たり,本件交差点上の横断者の有無などを確認して進行すべき注意義務を負っていたといえるところ,前記前提となる事実( )ウの本件 裁判所の判断 被告の責任について被告は,本件交差点に進入するに当たり,本件交差点上の横断者の有無などを確認して進行すべき注意義務を負っていたといえるところ,前記前提となる事実( )ウの本件 事故の発生態様によると,本件事故の発生について被告に前記注意義務違反(過失)が認められることは明らかである。したがって,被告は,不法行為責任に基づき,本件事故によってEが被った損害を賠償すべき義務を負う。 争点( )(本件事故によってEが被った損害の内容及びその額)について ( )死亡慰謝料について Eが本件事故によっていまだ幼い子供3人を残して死亡するに至ったことなど本件にあらわれた一切の事情を総合考慮すると,本件事故によって死亡したことに対するEの慰謝料は,2400万円を下らないと認められる。 ( )逸失利益について アEは,死亡時に41歳であったから,少なくとも67歳までの26年間について労働能力を喪失したと認めるのが相当であるところ,同期間に対応するライプニッツ係数(小数点4桁四捨五入)は,14.375である。 イEの逸失利益を算出するに当たっては,賃金センサス平成15年第1巻第1表の産業計女性労働者学歴計の年収額である349万0300円を基礎とするのが相当である。 ウEが本件事故時に会社員として稼働していたことは当事者間に争いがないが,証拠(甲8)及び弁論の全趣旨によると,一家の経済的支柱は夫である原告Aであったと認められるから,Eの逸失利益を算定するに当たって考慮すべき生活費控除率は,30%とするのが相当である。 エそうすると,Eが本件事故によって死亡したことによる逸失利益は,次のとおり3512万1143円(1円未満切捨て)を下らないというべきである。 3,490,30014.3750.335,121,14 うすると,Eが本件事故によって死亡したことによる逸失利益は,次のとおり3512万1143円(1円未満切捨て)を下らないというべきである。 3,490,30014.3750.335,121,143.75××=( )葬儀費用について 本件事故と相当因果関係にある損害として認めるべき葬儀費用は,150万円をもって相当と認める。 ( )弁護士費用について 本件事故と相当因果関係にある損害として認めるべき弁護士費用については,争点( )について検討した後に検討する。 争点( )(過失相殺の可否)について ( )本件事故は,幹線道路といえる国道20号線上において,午後8時55分ころに 発生し,しかも,本件交差点付近には,反対車線に街灯が一つ設置されているのみであったから,本件事故現場は,本件事故当時,昼間に比べて歩行者が発見しにくい状況であったと認められる。 - 4 -( )しかしながら,証拠(甲2ないし6,9,15,16)及び弁論の全趣旨による と,①被告が,本件事故の直前,少なくとも制限速度である時速50㎞を30㎞以上超過した速度で進行していたこと(そうすると,被告には本件事故の発生につき重大な過失があったというべきである,②Eが,本件事故の際,本件交差点に設置された横断。)歩道又は横断歩道から1m以内の道路,すなわち,横断歩道上というべき場所を通行していたと認められること(そうすると,本件事故の発生した国道20号線がいわゆる幹線道,。)路であったとしても横断歩道上を歩行していたEの要保護性は高いというべきであるに照らすと,上記( )の事実をもって,本件事故によってEに生じた損害を過失相殺すべ きであるとはいえない。 ( )この点,被告は,本件事故直前の被告車両の速度は時速75㎞を下回って うべきであるに照らすと,上記( )の事実をもって,本件事故によってEに生じた損害を過失相殺すべ きであるとはいえない。 ( )この点,被告は,本件事故直前の被告車両の速度は時速75㎞を下回っており, また,Eは横断歩道から韮崎市側に3mから5m寄った地点を通行していたと主張し,被告の検察官調書の写し(甲12)及び被告の刑事事件における供述調書の各写し(甲21ないし23)には,この主張事実に沿う旨の記載があるが,これらの記載は,上記( )に 掲記した各証拠に照らして信用できない。 ( )他に,本件事故の発生につき,Eの損害を過失相殺すべき事情を認めるに足りる 証拠はない。 弁護士費用について本件訴訟の難易の程度や認容額などを考慮すると,本件事故と相当因果関係のあるEの損害として認めるべき弁護士費用は,原告らの主張する600万円をもって相当と認める。 原告らによる相続について以上によると,Eの損害は,合計6662万1143円となるから,Eの夫である原告Aは,その2分の1である3331万0571円(1円未満切捨て)の損害賠償請求権を相続し,Eの子であるその余の原告らは,残額である3331万0572円の3分の1である1110万3524円の損害賠償請求権をそれぞれ相続したと解するのが相当である。 結論 そうすると,原告らの請求はすべて理由があるから認容すべきである。よって,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部裁判官岩井一真
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