昭和45(オ)267 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
昭和46年7月1日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和43(ネ)971
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人河野曄二の上告理由について。  原判決が確定したところによれば、新潟

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判決文本文2,777 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人河野曄二の上告理由について。  原判決が確定したところによれば、新潟市所在のD組合(以下、組合という)の 常務理事である上告人は、組合業務のため、日常上告人所有の本件自動車の使用を 許すことがあつたが、同組合は、従業員数約七名の小規模のもので、自動車運転に 専従する者がなく、自動車運転免許をもつ預金係見習の第一審被告Eがしばしば組 合所有の自動車を運転して組合の業務に従事し、また、上告人に命ぜられその私用 のために本件自動車を運転したこともあつたこと、上告人は、以前出張の際に、組 合従業員に依頼して本件自動車を修理に出したことがあり、そのときには、組合従 業員が修理の終わつた本件自動車を修理工場から受け取つて組合事務所まで運転し て持ち帰つたこと、上告人は、昭和四一年七月一九日(原判決七枚目裏七行目に昭 和四二年とあるのは同四一年の誤記と認められる)から同年八月二五日までの間組 合業務のため神奈川、東京方面に出張するにあたり、組合営業部長であつてEの直 属上司である訴外Fに鍵とともにこれを託し修理に出すことを依頼して出発したと ころ、その際、修理が出張期間中に完了することを予想して、その不在中の本件自 動車の管理をFに一任したが、同人以外の者が本件自動車に触れることを禁ずる旨 とくに指示したことはなく、むしろ、従前の事情から、組合事務所と修理工場との 間の往復には、Fの指示により、Eを含む組合従業員が運転にあたるものと予想し ていたこと、Fは、右依頼に基づき、間もなくGモーター株式会社流作場サービス 工場に鍵をそえて本件自動車を修理に出し、同年八月三日に修理完了予定の旨連絡 を受けるや、その宰領方(その趣旨は修理完了後の本件自動車を修理工場から 頼に基づき、間もなくGモーター株式会社流作場サービス 工場に鍵をそえて本件自動車を修理に出し、同年八月三日に修理完了予定の旨連絡 を受けるや、その宰領方(その趣旨は修理完了後の本件自動車を修理工場から引き - 1 - 取り組合事務所まで運転して帰ることを含むものと解される)を組合従業員Hに指 示したこと、Hは、Eにこのことを告げ両名相談のうえ、本件自動車を無断使用し て長岡市に祭見物に赴いたうえ、八月三日午前九時までにこれを組合事務所に届け ておこうという計画をたて、同月二日夕刻、Eが右修理工場に赴き、修理の終わつ た本件自動車を鍵とともに受け取り、Hを乗せてこれを運転して長岡市に祭見物に 赴き、翌三日午前六時一五分ごろ、新潟市へ向けての帰途本件事故を惹起したもの であること、以上の事実が認められるというのであり、この点の原審の認定判断は、 挙示の証拠に照らして肯認することができないものではない。  ところで、一般に、自動車が修理のために自動車修理業者に預けられている間は、 修理業者がその運行を支配すると解されるのであるが、修理を終えた自動車が修理 業者から注文者に返還されたときには、特段の事情のないかぎり、その引渡の時以 後の運行は注文者の支配下にあるものと解すべきところ、右の確定事実関係によれ ば、上告人から本件自動車を修理に出すことを依頼されてその前後の管理を一任さ れていたFが、修理工場から本件自動車を引き取ることをHに指示し、Hの意を受 けたEが修理工場に赴き修理業者から本件自動車の引渡を受けたというのであり、 本件自動車がEに引き渡されたことは、原判示のように上告人の了解の範囲内のこ とであつたと解するのが相当であるから、E、Hらの内心の意図いかんにかかわら ず、客観的には、右引渡により上告人が本件自動車の運行に対する支配を取得した ものと認めることができる。そ の了解の範囲内のこ とであつたと解するのが相当であるから、E、Hらの内心の意図いかんにかかわら ず、客観的には、右引渡により上告人が本件自動車の運行に対する支配を取得した ものと認めることができる。そして、その後、Eが本件自動車を組合事務所のFの 許に届ける予定のもとに、Fに無断で私用のため本件自動車を運転して新潟市から 長岡市まで赴いただけでは、いまだ上告人の運行支配が排除されたものとはいえな いとした原判決の判断も、正当として是認することができる。  さらに、論旨は、原判決が運行利益の帰属の有無について判断をしていないこと を違法と主張する。しかし、右の確定事実関係によれば、上告人、FおよびEない - 2 - しHとの間には前示のような関係があり、Eは、上告人のためにするものとして修 理業者から本件自動車の引渡を受け、その運行を開始したのであり、前示の事情の もとで私用のため運転したことも、Fひいては上告人に本件自動車を届ける過程に おける一齣の出来事とみられるのであつて、当時のEの運行を全体として客観的に 観察するとき、本件自動車の運行が上告人のためになされていたものと認めること ができるのである。原判決も、このような趣旨において、前示事実関係を判示する ことにより、とくに上告人への運行利益の帰属につき説示することがないとしても、 おのずから、これを肯定したものと解することができる。  したがつて、前示確定事実関係のもとにおいて、本件事故により被上告人の被つ た損害の賠償につき、上告人が自動車損害賠償保障法三条所定の自己のために自動 車を運行の用に供する者としての責任を負うべきであるとした原判決の判断は正当 であり、原判決の認定判断に所論の違法はなく、したがつて、右判断の違法を前提 として原判決の違憲をいう論旨も、その前提を欠くものであつて、論旨は、すべて 採用するこ うべきであるとした原判決の判断は正当 であり、原判決の認定判断に所論の違法はなく、したがつて、右判断の違法を前提 として原判決の違憲をいう論旨も、その前提を欠くものであつて、論旨は、すべて 採用することができない。  よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の とおり判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    岸       盛   一             裁判官    大   隅   健 一 郎             裁判官    藤   林   益   三             裁判官    下   田   武   三  裁判官岩田誠は海外出張中につき署名押印することができない          裁判長裁判官    岸       盛   一 - 3 -

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