平成27年3月27日判決言渡平成24年(行ウ)第160号法人税更正処分等取消請求事件(甲事件)平成24年(行ウ)第224号法人税更正処分等取消請求事件(乙事件)平成25年(行ウ)第620号法人税更正処分等取消請求事件(丙事件) 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件日本橋税務署長が,原告P1株式会社に対し,平成22年10月29日付けでした,平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額27億2428万1100円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 2 乙事件(1) 日本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成22年11月24日付けでした,平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額8324万3800円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 (2) 日本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成22年11月24日付けでした,平成18年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 (3) 日本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成24年3月27日付けでした,平成18年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額2209万9200円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 3 丙事件日本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成25年3月29日付けでした,平成19年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額1億6091万3500円を超える部 本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成25年3月29日付けでした,平成19年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち納付すべき税額1億6091万3500円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要甲事件は,日本橋税務署長が,原告P1株式会社に対し,平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度に係る法人税につき,同原告がP3から譲り受けた有限会社P4の出資持分につき受贈益の計上漏れがあるなどとして,更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことについて,同原告が,上記受贈益を所得金額に加算することは違法である旨主張して,上記更正処分のうち申告額を超える部分及び上記過少申告加算税の各取消しを求める事案である。 乙事件及び丙事件は,日本橋税務署長が,原告P2株式会社に対し,平成17年1月1日から同年12月31日まで,平成18年1月1日から同年12月31日まで,平成19年1月1日から同年12月31日までの各事業年度に係る法人税につき,同原告がP3などから譲り受けた有限会社P4の出資持分につき受贈益の計上漏れがあるなどとして,更正処分(ただし,平成18年1月1日から同年12月31日までの事業年度については増額更正後のもの。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(ただし,上記増額更正処分と併せてされたものを含む。)をしたことについて,同原告が,上記受贈益や受取配当等の益金不算入額の過大額を所得金額に加算する点などにおいて違法がある旨主張して,上記各更正処分のうち申告額を超える部分及び上記各過少申告加算税の各取消しを求める事案である。 (本判決における略語は,文中記載のもののほか,別紙2略語一覧表の例による。また,別紙3以下で用いた略語は,本文においても同様に用い える部分及び上記各過少申告加算税の各取消しを求める事案である。 (本判決における略語は,文中記載のもののほか,別紙2略語一覧表の例による。また,別紙3以下で用いた略語は,本文においても同様に用いる。) 1 関係法令等の定め別紙3「関係法令等の定め」記載のとおり。 2 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 当事者及び関係者等ア原告P1株式会社(原告P1)原告P1は,昭和22年11月21日に設立された,酒類食料品の卸売等を業とする資本金35億円の株式会社であり,平成17年3月31日,資本金を3億5000万円から上記額に増資し,その発行済株式総数が700万株となった。 イ原告P2株式会社(原告P2)(ア) 原告P2は,大正7年1月25日に合名会社として設立された,不動産賃貸等を業とする資本金3000万円の会社である。 (イ) 原告P2は,平成18年7月10日,合名会社から株式会社に組織変更するとともに,商号をP5合名会社からP6株式会社に変更し,平成19年8月1日,P4社を吸収合併した。その後,原告P2は,平成22年12月1日,商号を現在のP2株式会社に変更した。 ウ有限会社P4(P4社)(ア) P4社は,平成2年6月8日に有限会社として設立された,不動産賃貸を業とする資本金1億円の会社である。P4社は,上記イ(イ)のとおり,平成19年8月1日,原告P2に吸収合併されて解散した。 (イ) P4社は,設立と同時に,P7(P8の父。から,①同人が当時保有していた原告P1の株式200万3640株のうち200万株と,②東京都中央区α×番▲所在の土地及び同土地上に存する建物のそれぞれ持分7分の6の各現物出資を受け,当該土地及び建物に付随 同人が当時保有していた原告P1の株式200万3640株のうち200万株と,②東京都中央区α×番▲所在の土地及び同土地上に存する建物のそれぞれ持分7分の6の各現物出資を受け,当該土地及び建物に付随するP7に係るP9銀行本店からの借入金4億円を承継した上,P7から460 0万円の払込みを受けた。そして,P7は,P4社の出資持分9万9995口(1口につき金額1000円)を取得した。また,P4社は,P8から,5000円の払込みを受け,同人は,同社の出資持分5口を取得した。 (ウ) P4社は,上記(イ)の原告P1の株式200万株を,1株当たり25円,合計5000万円の帳簿価格による現物出資として受け入れ,また,上記(イ)の土地及び建物の各持分を合計4億399万5000円の帳簿価格による現物出資として受け入れており,上記(イ)の4600万円及び5000円の各払込み並びに借入金の承継と併せて,資産の合計を5億円,負債の合計を4億円,資本金を1億円とし,出資口数を10万口として設立された。 (エ) 以上の設立の経緯により,P4社の設立当時における本件出資持分は,P7が9万9995口(額面金額9999万5000円),P8・5口(額面金額5000円)であった。 エ P3P3は,P7の妻であり,P8の母である。 オ P8P8は,P3の子であり,平成17年3月31日から平成18年3月20日までの間,原告P1,原告P2及びP4社の代表者を務めていた。 カ P10P10は,P8の子であり,原告P1の取締役及び原告P2の代表者を務め,平成17年3月31日当時,原告P1の株式を5万株,原告P2の出資持分を2000口保有していた。 キ P11株式会社ほか12社(本件13社)本件13社は,原告P1の取引会社であり,原告P1に対して長 7年3月31日当時,原告P1の株式を5万株,原告P2の出資持分を2000口保有していた。 キ P11株式会社ほか12社(本件13社)本件13社は,原告P1の取引会社であり,原告P1に対して長年にわたってビール・日本酒等の酒類を卸してきた有力な取引先である。 (2) 本件に至るまでの経緯ア P7から本件13社に対する本件出資持分の譲渡(ア) P7は,平成3年12月5日,本件13社に対し,保有する本件出資持分9万9995口のうち合計5万2000口を,1社当たり4000口でそれぞれ売却した。その売買代金は,1口につき額面金額の1000円,1社当たり400万円,合計5200万円であった。 上記の結果,譲渡後のP7の本件出資持分は,4万7995口となり,P8の本件出資持分5口と併せて,両名の本件出資持分は4万8000口,その出資割合は48パーセントとなった。また,本件13社の出資割合は,1社当たり4パーセント,合計で52パーセントとなった。 (イ) P4社は,同日,定款を改正し,同社の出資持分の譲渡を制限する旨の規定を設けた(弁論の全趣旨)。 (ウ) 本件13社は,後記(5)の出資持分譲渡(本件13社出資持分譲渡)までの間,P4社から毎期配当金を受領していたが,社員総会等については,一度も出席することなく,白紙委任状又は決議案に全て賛成する趣旨の委任状を提出していた。 イ P7からのP3の相続P7は,平成3年 ▲ 月 ▲ 日,死亡し,同人が保有していた本件出資持分4万7995口は,P3が相続した。この相続後,P4社の出資者及びその出資持分は,P3が4万7995口,本件13社が合計5万2000口(1社当たり4000口),P8が5口の合計10万口となった。 ウ P7の相続に係る処分及び裁判等(乙4の1及び2)(ア 及びその出資持分は,P3が4万7995口,本件13社が合計5万2000口(1社当たり4000口),P8が5口の合計10万口となった。 ウ P7の相続に係る処分及び裁判等(乙4の1及び2)(ア) P7の相続人であるP8及びP3ほか2名は,P7の死亡によって開始した相続に係る相続税の申告をするに当たり,同人の相続財産のうち本件出資持分4万7995口の価額の評価について,評価通達188及び188-2を適用して,P4社の保有する資産である原告P1の株 式200万株の価額を配当還元方式によって評価し,かつ,現物出資された各資産の時価と帳簿価額との評価差額に対しては51パーセントの法人税が課せられることになるから,これを差し引いてP4社の資産の価額を評価すべきであるとして,法人税相当額をP4社の資産額から控除した上で本件出資持分1口当たりの単価を算出し,同単価に基づいて相続税額を算定して相続税の申告をした。 これに対し,芝税務署長は,P4社が保有する原告P1の株式の価額については,類似業種比準方式によって評価すべきであり,また,現物出資された資産の時価と帳簿価額との評価差額に対して法人税が課せられるのは会社を清算する遠い将来のことであって,相続時において差し引かれるべき法人税額は微少なものにすぎず,法人税相当額をP4社の資産額から控除する必要はなく,上記相続税の申告額は過少であるとして,これについて更正処分をするとともに,過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (イ) P7の上記相続人らは,芝税務署長に対し,上記(ア)の各処分は,評価通達に違反し,P7の相続財産の評価を誤った違法があるとして,上記(ア)の更正処分のうち申告額を超える部分及び上記(ア)の過少申告加算税の賦課決定処分(いずれも,裁決により取り消された部分を除く。)の に違反し,P7の相続財産の評価を誤った違法があるとして,上記(ア)の更正処分のうち申告額を超える部分及び上記(ア)の過少申告加算税の賦課決定処分(いずれも,裁決により取り消された部分を除く。)の取消しを求める訴えを提起した(以下「P7相続税事件」という。)。 P7相続税事件について,当庁平成12年(行ウ)第90号同16年3月2日判決(乙4の1)は,上記各処分は適法であるとして,P7の相続人らの請求をいずれも棄却し,その控訴審判決である東京高等裁判所平成16年(行コ)第123号同17年1月19日判決(乙4の2)も,上記各処分は適法であるとして,P7の相続人らの控訴をいずれも棄却し,同判決は確定した。 (3) その後の本件出資持分の譲渡の状況ア P3は,平成17年3月31日,原告P1に対し,本件出資持分2万4000口を譲渡し,また,原告P2に対し,本件出資持分2万3995口を譲渡した(以下,P3から原告P1への出資持分の譲渡を「本件P3出資持分譲渡1」といい,P3から原告P2への出資持分の譲渡を「本件P3出資持分譲渡2」といい,併せて「本件P3各出資持分譲渡」という。)。 その内容は後記(4)のとおりである。 イ本件13社は,平成17年10月から同年12月にかけて,原告P2に対し,それぞれ本件出資持分を譲渡した(以下,総称して「本件13社出資持分譲渡」といい,本件P3各出資持分譲渡と併せて「本件平成17年各譲渡」という。)。その内容は後記(5)のとおりである。 ウ原告P1は,平成18年3月20日,P3から譲り受けた上記アの本件出資持分2万4000口を原告P2に譲渡した(以下「原告P1出資持分譲渡」という。)。その内容は後記(6)アのとおりである。 エ P8は,平成18年3月20日,その保有していた本件出資持分5口を 出資持分2万4000口を原告P2に譲渡した(以下「原告P1出資持分譲渡」という。)。その内容は後記(6)アのとおりである。 エ P8は,平成18年3月20日,その保有していた本件出資持分5口を原告P2に譲渡した(以下,「本件P8出資持分譲渡」といい,原告P1出資持分譲渡と併せて「本件平成18年各譲渡」という。また,本件平成17年各譲渡及び本件平成18年各譲渡を併せて「本件各譲渡」という。)。 その内容は後記(6)イのとおりである。 (4) 本件P3各出資持分譲渡についてア本件P3出資持分譲渡1(ア) P3は,平成17年3月12日付けで,「有限会社P4出資持分買取依頼のお願い」と題する書面により,原告P1に対し,P3が保有する本件出資持分2万4000口の買取りを依頼し,P3及び原告P1は,同月25日付けで,P3が本件出資持分2万4000口を代金9億4164万円(1口につき3万9235円)で原告P1に売却し,同社がこ れを買い受ける旨の売買契約を締結した。 (イ) 同月25日,P4社の臨時社員総会が開催され,同総会において,P3が本件出資持分4万7995口のうち,2万4000口を原告P1に対し,残る2万3995口を原告P2に対し,それぞれ譲渡することが承認され,同月31日,原告P1からP3に対し,本件出資持分2万4000口の売買代金9億4164万円から貸付金返済金等1億8510万2812円を相殺した7億5653万7188円が支払われ,P3から原告P1に対し本件出資持分2万4000口が譲渡された(乙9,10)。 イ本件P3出資持分譲渡2(ア) P3及び原告P2は,同月25日付けで,P3が保有する本件出資持分2万3995口を代金9億4144万3825円(1口につき3万9235円)で原告P2に売却し,同社がこれを買い受 持分譲渡2(ア) P3及び原告P2は,同月25日付けで,P3が保有する本件出資持分2万3995口を代金9億4144万3825円(1口につき3万9235円)で原告P2に売却し,同社がこれを買い受ける旨の売買契約を締結した。 (イ) 上記ア(イ)のとおり,同月25日,P4社の社員総会において,P3から原告P2への本件出資持分2万3995口の譲渡が承認され,同月31日,原告P2からP3に対しその売買代金が支払われたことにより,P3から原告P2に対し本件出資持分2万3995口が譲渡された。 ウ本件P3各出資持分譲渡により,P4社の平成17年3月31日時点における出資者及び出資持分は,原告P1が2万4000口,原告P2が2万3995口,本件13社が合計5万2000口(1社当たり4000口),P8が5口となった。 (5) 本件13社出資持分譲渡についてア本件13社及び原告P2は,平成17年10月4日から同年12月6日までの間,本件13社が保有する本件出資持分各4000口(合計5万2000口)を代金各2000万円(1口につき5000円,合計2億60 00万円)で原告P2に売却し,同社がこれを買い受ける旨の売買契約をそれぞれ締結した。 イ上記アの売買契約に係る契約書の第2条において,出資持分の売買は,平成17年10月4日から同年12月6日のそれぞれ定められた日(①P12株式会社(以下「P12」という。)は平成17年10月11日,②P11株式会社(以下「P11」という。)は同月13日,③P13株式会社(以下「P13」という。)は同月17日,④P14株式会社(以下「P14」という。)は同年12月6日,⑤P15株式会社(以下「P15」という。)は同年10月14日,⑥P16株式会社(以下「P16」という。)は同月4日,⑦P17株式会 日,④P14株式会社(以下「P14」という。)は同年12月6日,⑤P15株式会社(以下「P15」という。)は同年10月14日,⑥P16株式会社(以下「P16」という。)は同月4日,⑦P17株式会社(以下「P17」という。)は同月5日,⑧P18株式会社(以下「P18」という。)は同年11月9日,⑨P19株式会社(以下「P19」という。)は同年10月5日,⑩P20株式会社(以下「P20」という。)は同日,⑪P21株式会社(以下「P21」という。)は同日,⑫P22株式会社(以下「P22」という。)は同日,⑬P23株式会社(以下「P23」という。)は同月4日。)に行うものとされ,各同日,原告P2から本件13社に対しそれぞれ2000万円が支払われ,本件13社から原告P2に対し本件出資持分合計5万2000口が譲渡された。 ウ本件13社出資持分譲渡により,P4社の平成17年12月31日時点における出資者及びその出資持分は,原告P1が2万4000口,原告P2が7万5995口,P8が5口となった。 (6) 本件平成18年各譲渡についてア原告P1出資持分譲渡(ア) 原告P1及び原告P2は,平成18年3月1日付けで,原告P1が保有する本件出資持分2万4000口を代金9億8500万8000円(1口につき4万1042円)で原告P2に売却し,同社がこれを買 い受ける旨の売買契約を締結した。 (イ) 原告P2は,同月20日,原告P1名義の当座預金口座に代金9億8500万8000円を振り込み,原告P1から原告P2に対し本件出資持分2万4000口が譲渡された。 イ本件P8出資持分譲渡(ア) P8及び原告P2は,同月1日付けで,P8が保有する本件出資持分5口を代金20万5210円(1口につき4万1042円)で原告P2に売却し,同社がこれを された。 イ本件P8出資持分譲渡(ア) P8及び原告P2は,同月1日付けで,P8が保有する本件出資持分5口を代金20万5210円(1口につき4万1042円)で原告P2に売却し,同社がこれを買い受ける旨の売買契約を締結した。 (イ) 原告P2は,同月20日,P8名義の普通預金口座に代金20万5210円を振り込み,P8から原告P2に対し本件出資持分5口が譲渡された。 ウ本件平成18年各譲渡により,P4社の平成18年3月31日時点における出資者及びその出資持分は,原告P2が10万口となった。 (7) P4社の資産状況等ア平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度(P4社16年12月期)P4社は,P4社16年12月期において,評価通達178にいう従業員数が2人,当該期間における取引金額が4794万6000円(1000円未満切捨て。以下(7)において同じ。)であり,平成17年3月31日時点において,その総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は,1億3922万4000円であった(弁論の全趣旨〔被告別表1第5表〕)。 イ平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度(P4社17年12月期)P4社は,P4社17年12月期において,評価通達178にいう従業員数が0人,当該期間における取引金額が3065万2000円であり, 平成18年3月20日時点において,その総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は,10億1501万3000円であった(弁論の全趣旨〔被告別表3第5表〕)。 (8) 原告らの株主及びその所有する株式数等ア原告P1(乙29,30,64,弁論の全趣旨)原告P1は,平成17年3月31日時点 万3000円であった(弁論の全趣旨〔被告別表3第5表〕)。 (8) 原告らの株主及びその所有する株式数等ア原告P1(乙29,30,64,弁論の全趣旨)原告P1は,平成17年3月31日時点で,700万株の株式を発行済みであった。そのうち,P8が39万1150株を,P8の長男であるP10が5万株を,P8の叔父であるP24が31万6150株を,P8の従弟であるP25が30万株を,原告P2が198万9100株を,P4社が200万株を,それぞれ保有していた。 また,原告P1は,同年10月4日ないし同年12月6日時点及び平成18年3月20日時点で,700万株の株式を発行済みであった。そのうち,P8が39万1150株を,P10が5万株を,P24が31万6150株を,P25が30万株を,原告P2が223万9100株を,P4社が175万株を,それぞれ保有していた。 イ原告P2(乙32,64〔5頁〕,弁論の全趣旨)原告P2は,平成17年3月31日時点で,総出資口数が60万口であった。そのうち,P8が39万8000口を,P10が2000口を,P26が20万口を,それぞれ保有しており,他に出資持分の保有者はいなかった。 また,原告P2は,株式会社へ組織変更後の平成18年12月31日時点で,3000万株の株式を発行済みであった。そのうち,P8が700万株を,P26が1000万株を,P10が1300万株を,それぞれ保有しており,他に株主はいなかった。 (9) 本件各処分及びこれに対する不服申立ての状況等ア原告P1は,原告P1・17年12月期の法人税について,処分行政庁 に対し,法定申告期限までに確定申告書(青色申告書。以下同じ。)を提出した。 イ原告P2は,原告P2・17年12月期及び原告P2・18年12月期の各法人税 期の法人税について,処分行政庁 に対し,法定申告期限までに確定申告書(青色申告書。以下同じ。)を提出した。 イ原告P2は,原告P2・17年12月期及び原告P2・18年12月期の各法人税について,処分行政庁に対し,法定申告期限までにそれぞれ確定申告書(青色申告書。以下,修正申告書を含め同じ。)を提出した。その後,原告P2は,原告P2・18年12月期の法人税について,平成19年11月6日及び平成20年1月25日,それぞれ修正申告書を提出した。 また,原告P2は,原告P2・19年12月期の法人税について,提出期限(法人税法75条の2第1項の規定により1月間延長されたもの)までに確定申告書を提出した。 ウ処分行政庁は,平成22年10月29日,原告P1に対し,原告P1・17年12月期の法人税について,本件P3出資持分譲渡1に関し,本件出資持分の1口当たりの価額は8万1177円が相当であり,同価額との差額につき受贈益の計上漏れがあることなどを理由として,更正処分(原告P1更正処分)及び過少申告加算税の賦課決定処分(原告P1賦課決定処分)をした(甲1)。 エ処分行政庁は,平成22年11月24日,原告P2に対し,原告P2・17年12月期の法人税及び原告P2・18年12月期の各法人税について,本件P3出資持分譲渡1以外の本件各譲渡に関し,上記同様の受贈益の計上漏れがあることなどを理由として,各更正処分(原告P2・17年12月期更正処分,原告P2・18年12月期更正処分)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(原告P2・17年12月期賦課決定処分,原告P2・18年12月期賦課決定処分)をした(甲2,3)。(なお,本件各譲渡に係る時価と譲渡額との差額を,以下「本件受贈益」という。)オ原告P1は,平成22年12月27日,国税不服審判 処分,原告P2・18年12月期賦課決定処分)をした(甲2,3)。(なお,本件各譲渡に係る時価と譲渡額との差額を,以下「本件受贈益」という。)オ原告P1は,平成22年12月27日,国税不服審判所長に対し,上記 ウの更正処分等に不服があるとして,審査請求をし,国税不服審判所長は,平成23年10月19日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をし,同裁決に係る裁決書は,同月28日頃,原告P1に送達された(甲5,6)。 カ原告P2は,平成22年12月27日,国税不服審判所長に対し,上記エの更正処分等に不服があるとして,審査請求をし,国税不服審判所長は,平成23年10月19日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をし,同裁決に係る裁決書は,同月28日頃,原告P2に送達された(甲8,9)。 キ処分行政庁は,平成24年3月27日,原告P2に対し,原告P2・18年12月期の法人税について,受取配当等の益金不算入額の過大額があることなどを理由として,再更正処分(原告P2・18年12月期再更正処分)及び過少申告加算税の賦課決定処分(原告P2・18年12月期再賦課決定処分)をした(甲26)。 ク原告P2は,平成24年5月16日,国税不服審判所長に対し,上記キの更正処分等に不服があるとして,審査請求をし,国税不服審判所長は,平成25年5月9日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲57)。 ケ処分行政庁は,同年3月29日,原告P2に対し,原告P2・19年12月期の法人税について,受取配当等の益金不算入額の過大額があることなどを理由として,更正処分(原告P2・19年12月期更正処分)及び過少申告加算税の賦課決定処分(原告P2・19年12月期賦課決定処分)をした(甲47)。 コ原告P2は,平成25年4月22日,国税不服審判所長に対し,上記ケの更 2・19年12月期更正処分)及び過少申告加算税の賦課決定処分(原告P2・19年12月期賦課決定処分)をした(甲47)。 コ原告P2は,平成25年4月22日,国税不服審判所長に対し,上記ケの更正処分等に不服があるとして,審査請求をした。 (10) 本件訴えの提起(当裁判所に顕著な事実)ア原告P1は,平成24年3月22日,甲事件に係る訴えを提起した。 イ原告P2は,同日,乙事件に係る訴えを提起し,同年6月29日,同訴えの変更の申立てをした。 ウ原告P2は,平成25年9月20日,関連請求である丙事件に係る訴えを,乙事件に係る上記訴えに併合して提起した。 3 被告の主張する本件各処分の根拠及び適法性本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張は,別紙4のとおりである。 なお,後記4の争点以外の点や,仮に争点に関する被告の主張が認められた場合の税額等の算定については,当事者間に争いがない。 4 争点及び争点についての当事者の主張本件の争点は,本件各処分の適法性である。具体的には,本件各更正処分に関し,以下の(1)から(4)の点が,本件各賦課決定処分に関し,以下の(5)の点が争われており,各争点に対する当事者の主張の要旨は,別紙5「当事者の主張の要旨」記載のとおりである。 (1) 資産の低額譲受けにつき受贈益相当額が法人税法22条2項の「収益」に該当するか否か(争点1)(2) 本件出資持分の評価方法(受贈益の計上漏れの有無)法人税基本通達(平成17年課法2-14による改正前のもの)2-3-4は,法人が無償又は低い価額で有価証券を譲渡した場合におけるその譲渡に係る対価の額の算定に当たり,同通達9-1-8,9-1-13及び9-1-14を準用する旨定めている。本件出資持分は,上場有価証券等(法人税法施行 は低い価額で有価証券を譲渡した場合におけるその譲渡に係る対価の額の算定に当たり,同通達9-1-8,9-1-13及び9-1-14を準用する旨定めている。本件出資持分は,上場有価証券等(法人税法施行令68条1項2号イに掲げる有価証券)には該当しないことから,上場有価証券等以外の株式の価額の評価を定めた同通達9-1-13ないし9-1-14によって評価することとなる。また,本件出資持分は,同通達9-1-13(2)及び(3)のいずれにも該当しない(争いがない)。これらのことを前提として,以下の点が争われている。(なお,その後の法人税基本通達の改正に伴い,原告P2・18年12月期及び同19年12月期について適用される同通達の条番号には上記と異なるものがあるが,内容に変更はないので,改正前の条番号により表示する。) ア本件出資持分の価額を法人税基本通達9-1-14に従って評価することの適否(争点2)法人税基本通達9-1-14は,同通達9-1-13(1)及び(2)に該当する場合を除き,評価通達178から189-7までの取引相場のない株式の評価の例によって算定した価額は,課税上弊害がない限り,一定の条件のもとで,これを認めることとしている。 被告は,本件出資持分については,法人税基本通達9-1-14に従い評価することになると主張するのに対し,原告らは,本件13社出資持分譲渡が法人税基本通達9-1-13(1)が定める「売買実例のあるもの」に該当するから,評価通達の関係規定等を適用せず,1口5000円で評価すべきであると主張する。 イ原告P1が取得した本件出資持分が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当し配当還元方式で評価すべきか否か(争点3,甲事件関係)取引相場のない株式については,評価通達178本文の定める区分に 原告P1が取得した本件出資持分が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当し配当還元方式で評価すべきか否か(争点3,甲事件関係)取引相場のない株式については,評価通達178本文の定める区分に従って,同通達179の定める類似業種比準価額等によって評価するのが原則であるが(原則的評価方式),「同族株主以外の株主等が取得した株式」(同通達178ただし書)については,同通達188及び188-2が定める配当還元方式によって評価することとされている。なお,有限会社に対する出資の価額の算定は,株式の評価方法に関する定めに準じて計算される(同通達194)。 被告は,評価通達188の適用上,原告P1はP8と「特殊の関係のある法人」(法人税法施行令4条2項3号)と同視し得る同族関係者であることなどからして,原告P1はP4社の「同族株主」及び「中心的同族株主」(評価通達188(1)及び(2))に該当するから,本件出資持分は評価通達188が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当しないと主張するのに対し,原告P1はこれを否定する。 ウ P4社の「株式保有特定会社」該当性(争点4)「株式保有特定会社」とは,「特定の評価会社」(評価通達178ただし書)の一つであり,課税時期において評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合が25パーセント以上(同通達178に定める中会社及び小会社については,50パーセント以上。)である評価会社をいい(評価通達189(2)),株式保有特定会社の株式の価額は,同通達189-3の定めに従い,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価することとされている。このことを前提として,以下の点が争われている。 (ア) 本件出資持分の評価に評価通達189(2)を適 189-3の定めに従い,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価することとされている。このことを前提として,以下の点が争われている。 (ア) 本件出資持分の評価に評価通達189(2)を適用すべきか否か被告は,本件出資持分の評価において評価通達189(2)が適用されない理由はなく,P4社は同項にいう株式保有特定会社に該当するから,本件出資持分の評価は同通達189-3によるべきであると主張するのに対し,原告らは,評価通達189(2)は行き過ぎた節税を規制する趣旨で導入されたものであり,それに当たらないP4社への適用は予定されていないとして,上記該当性を否定する。 (イ) P4社が株式保有特定会社に該当するか否かの判定に当たり,P4社が保有する原告P1の株式を類似業種比準方式で評価すべきか否か上記の判定に当たっては,P4社が保有する株式及び出資の価額を算定する必要があるところ,P4社が保有する原告P1の株式の評価方法が争われている。 被告は,P27一族グループがP4社を実質的に支配しており,評価通達188の適用上,P4社はP8と「特殊の関係のある法人」(法人税法施行令4条2項2号)と同視し得る同族関係者であることなどからして,P4社は原告P1の「同族株主」(同通達188(1))に該当するから,上記株式は同通達178ただし書及び同通達188が定める 「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当せず,同通達178本文に定める区分に従って,同通達179の定めにより算定することとなり,類似業種比準方式により評価すべきであると主張するのに対し,原告らは,P4社は原告P1の「同族株主」に該当しないとして,上記株式の評価は同通達188-2が定める配当還元方式によるべきであると主張する。 エ P4社の1株当たりの純資産 と主張するのに対し,原告らは,P4社は原告P1の「同族株主」に該当しないとして,上記株式の評価は同通達188-2が定める配当還元方式によるべきであると主張する。 エ P4社の1株当たりの純資産額の算定において法人税額等相当額を控除しなかったことの適否(争点5)評価通達185本文は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算に当たり,同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等相当額を控除する旨を規定するが,法人税基本通達9-1-14(3)は,当該控除をしない旨を規定している。 被告は,本件において,法人税基本通達9-1-14(3)の規定が適用されると主張するのに対し,原告らは,上記の法人税基本通達の規定は不合理であり,法人税額等相当額を控除すべきであると主張する。 オ本件出資持分の価額の評価における評価通達185ただし書の適用の有無(争点6)評価通達185ただし書は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算に当たり,株式の取得者とその同族関係者の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下であるとの要件を充足するときは,同通達185本文により計算した1株当たりの純資産価額に100分の80を乗じて計算した金額とする旨規定している。 被告は,P4社においては形式的には上記要件が充足されているが,本件出資持分につき同通達185ただし書を適用して80パーセント相当額とすることは,実態に即さない評価であり,同規定を適用することには課税上弊害が生じる特段の事情が認められるから,上記の規定に従った評 価はすべきではないと主張するのに対し,原告らは上記の規定に従った評価をすべきであると主張する。 (3) 控除負債利子額の算定(原告P2・18年12月期及び同19年12月期にお に従った評 価はすべきではないと主張するのに対し,原告らは上記の規定に従った評価をすべきであると主張する。 (3) 控除負債利子額の算定(原告P2・18年12月期及び同19年12月期における受取配当等の益金不算入額の過大額の有無)(争点7,乙及び丙事件関係)法人税法23条は,受取配当等の益金不算入を規定し,同条4項は,不算入とする益金の額から一定の負債利子を控除する旨を規定している。その控除額については,法人税法施行令22条1項及び2項が原則的な算定方法(以下「原則法」という。)を定め,同条3項が例外的な算定方法(以下「簡便法」という。)を定めている。 被告は,①納税者が申告において原則法により算定していた場合は,更正処分を争う訴訟においては簡便法により算定することを選択できない,②法人税法施行令22条1項2号の「帳簿価額」は,税務上の帳簿価額と解すべきであり,本件受贈益が加算される,③控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合は特別な計算方法(別紙5の第7の被告の主張の要旨(3)参照。なお,この計算方法は,原告P2・18年12月期再更正処分における計算方法(甲26)とは異なり,原告P2・19年12月期更正処分における計算方法(甲47)と同じである。)によるべきであると主張し,原告P2はこれらを争っている。 (4) 処分理由の差替えの可否(原告P2・18年12月期の法人税における課税留保金額に係る税額の加算の当否)(争点8,乙事件関係)原告P2・18年12月期再更正処分に係る更正通知書には,特定同族会社の留保金額に対する税額の増加額に関する記載がされていなかったが,被告は,本件訴訟において,これを同処分の根拠として主張した。 原告P2は,上記の被告の主張は,青色申告の更正通知書に附記されておらず, 金額に対する税額の増加額に関する記載がされていなかったが,被告は,本件訴訟において,これを同処分の根拠として主張した。 原告P2は,上記の被告の主張は,青色申告の更正通知書に附記されておらず,これをもって上記更正処分の根拠として主張することは許されず,ま た,更正の除斥期間経過後の新たな理由の追加主張である点からしても許されないと主張し,被告はこれを争っている。 (5) 過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由の存否(争点9)第3 当裁判所の判断 1 争点1(資産の低額譲受けにつき受贈益相当額が法人税法22条2項の「収益」に該当するか否か)について(1) 法人税法22条2項は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする旨規定しており,無償による資産の譲受けが収益の発生原因となることを認めている。 同項は,「無償による資産の譲受け」に係る金額を収益の額とする旨規定しているところ,これは,無償による資産の譲受けについては,譲受けの時点で当該資産の適正な価額相当の経済的価値が実現し,税法上,収益があると認識すべきであることから,そのことを明らかにする趣旨でおかれた規定であると解される。 これに対し,同項は,適正な額より低い対価をもってする資産の譲受け(低額譲受け)の場合について明示的な言及を欠く。しかしながら,「無償による資産の譲受け」は「その他の取引で資本等取引以外のもの」の例示であると解することができるところ,低額譲受けの場合であっても,譲受けの時点において,資産の適正な価額相当額の経済的価値の実現 無償による資産の譲受け」は「その他の取引で資本等取引以外のもの」の例示であると解することができるところ,低額譲受けの場合であっても,譲受けの時点において,資産の適正な価額相当額の経済的価値の実現が認められることは無償譲受けの場合と同様であるから,同項の上記の趣旨に照らせば,この価値を収益として認識すべきであると解することが相当である。また,たまたまその一部のみを対価として現実に支払ったからといって,無償譲受けの場合と異なり,時価相当額との差額部分の収益が認識され得ないものとするこ とは,公平を欠くこととなる。 したがって,適正な額より低い対価をもってする資産の譲受けの場合も,当該資産の譲受けに係る対価の額と当該資産の譲受時における適正な価額との差額(受贈益)が,無償による資産の譲受けに類するものとして,収益の額を構成するものと解するのが相当である。(なお,平成22年法律第6号により追加された法人税法25条の2第3項は,低額譲受けも益金に算入すべきことを前提として,100パーセントグループ法人間の受贈益については例外として益金に算入しないことを規定したものと解される。)(2) 原告らは,租税法規の解釈に当たっては文理解釈が強く要請されること,最高裁平成6年(行ツ)第75号同7年12月19日第三小法廷判決・民集49巻10号3121頁が資産の低額譲渡を有償による資産の譲渡に当たるものとしていること,租税法上「低額」取引と無償取引との区別を前提とする規定が存在することからすれば,資産の低額譲受けは無償による資産の譲受けには該当しない旨主張する。 しかし,法人税法22条2項が,「有償又は無償による資産の譲渡」を挙げる一方,「無償による資産の譲受け」を挙げて有償による資産の譲受けを挙げなかったのは,通常,資産の譲渡の場合には, 主張する。 しかし,法人税法22条2項が,「有償又は無償による資産の譲渡」を挙げる一方,「無償による資産の譲受け」を挙げて有償による資産の譲受けを挙げなかったのは,通常,資産の譲渡の場合には,適正な価額によって有償で譲渡された場合であっても,受領した金員と原価等との差額が譲渡益となるのに対し,資産の譲受けの場合には,適正な価額によって有償で譲り受けた場合,収益の発生が認められないという収益の発生構造の差異に由来するものと解することができる。このような差異に照らすと,上記最高裁平成7年12月19日第三小法廷判決が資産の低額譲渡を有償による資産の譲渡に当たるものとしていることや,租税法上「低額」取引と無償取引との区別を前提とする規定が存することは,資産の低額譲受けにおいて認識できる受贈益を,「無償による資産の譲受け」に類するものとして,収益の額を構成するものと解することの妨げとなるものとまではいえない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 2 争点2(本件出資持分の価額を法人税基本通達9-1-14に従って評価することの適否)について(1) 法人税基本通達9-1-13(1)は,上場有価証券等以外の株式の価額について,売買実例のあるものについては,当該事業年度終了の日前6か月間において売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額を当該株式の価額とする旨規定している。 しかるところ,上記前提事実(3)イ及び(5)のとおり,本件13社は,平成17年10月4日から同年12月6日までの間,原告P2に対し,各自その保有する本件出資持分4000口を,代金2000万円(1口につき5000円)で譲渡している(本件13社出資持分譲渡)。そして,原告らは,本件13社出資持分譲渡が,同通達9-1-13(1)が規 自その保有する本件出資持分4000口を,代金2000万円(1口につき5000円)で譲渡している(本件13社出資持分譲渡)。そして,原告らは,本件13社出資持分譲渡が,同通達9-1-13(1)が規定する「適正と認められる」売買実例に該当する旨主張するので,この点について検討する。 (2) 認定事実前記前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告P1は,酒類食料品の卸売等を業とする会社であり,平成3年度から平成17年度までの間,その売上高が食品卸業界で首位であった(前提事実(1)ア,乙53)。 イ本件13社は,原告P1の取引会社のうち,原告P1に対して長年にわたってビール・日本酒等の酒類を卸してきた有力な取引先であり,本件13社にとっても,原告P1は,主要な取引先の1つであった(前提事実(1)キ,乙54,弁論の全趣旨)。 ウ P4社は,平成2年6月8日,現物出資等により設立された有限会社であり,総出資口数を10万口とし,上記現物出資の一部として,原告P1の株式200万株を,1株当たり25円,合計5000万円の帳簿価額に よって受け入れた。P4社の設立当時における本件出資持分は,P7が9万9995口,P8が5口であった(前提事実(1)ウ)。 エ P7は,死亡する8日前の平成3年▲月▲日,本件13社に対し,その保有する本件出資持分を,1社当たり4000口として,合計5万2000口売却した。その売買代金は,1口につき額面金額の1000円であったことから,1社当たり400万円,合計5200万円であった。(前提事実(2)ア(ア))オ本件13社は,原告P1側から依頼を受けて上記エの本件出資持分の取得を行ったもので,その取得目的は,主に,将来的に原告P1との間で取引が 合計5200万円であった。(前提事実(2)ア(ア))オ本件13社は,原告P1側から依頼を受けて上記エの本件出資持分の取得を行ったもので,その取得目的は,主に,将来的に原告P1との間で取引が増加することや,競合他社だけが依頼に応じて原告P1との取引関係が悪化するのを避けることにあり,上記取得の際,本件13社がP4社の議決権を行使して積極的に経営に参画することには,重点が置かれていなかった(乙16の1ないし3,乙17の1ないし3,乙18の1,乙19の1及び2,乙20の1及び2,乙21の1ないし4,乙22の1,乙23の1,乙24の1,2及び4,乙25の1及び3,乙26の1ないし3,乙27の1,乙28の1ないし3)。 本件13社は,平成17年10月から同年12月にかけて行われた本件13社出資持分譲渡までの間,P4社から毎期1口につき50円の配当金を受領していたが,社員総会等については,一度も出席することがなく,白紙委任状又は決議案に全て賛成する趣旨の委任状を提出していた(前提事実(2)ア(ウ),甲23)。 カ原告P1の経理部副部長であったP28は,平成17年3月1日当時,P4社の出資の時価を1口につき3万9235円と算定していた(乙51の2)。これは,評価通達179に基づき、評価上の区分を小会社,Lの割合を0.5とした類似業種比準価額1406円と純資産価額7万7065円の併用方式により算定されたものであり,純資産価額は,評価通達1 85ただし書による「1株当たりの純資産額」に80パーセントを乗じて計算されたものであった(甲1)。 キ P3は,同月31日,原告P1に対し,その保有する本件出資持分2万4000口を代金9億4164万円(1口につき3万9235円)で譲渡するとともに,原告P2に対し,その保有する本件出資持分2万 キ P3は,同月31日,原告P1に対し,その保有する本件出資持分2万4000口を代金9億4164万円(1口につき3万9235円)で譲渡するとともに,原告P2に対し,その保有する本件出資持分2万3995口を代金9億4144万3825円(1口につき3万9235円)で譲渡した(本件P3各出資持分譲渡。前提事実(3)ア,(4))。 ク P4社は,同年8月25日頃,本件13社に対し,同日付け「有限会社P4の出資金買受の件」と題する書面を送付し,同書面には,「ただ今,P29グループのガバナンスの見直しを行っており,有限会社P4につきまして,P5合名会社にその出資を集約する運びとなりました。つきましては,貴社が保有されております有限会社P4の出資を,P5合名会社にて買い受けたく,お願い申し上げます。貴社におかれましては,安定社員として当社の経営に何かとご協力下さり,感謝致しております。そこで,買取価格につきましては,1口当たり額面金額が1,000円のところ5,000円でお願いします。算定根拠ですが,毎期5%の配当を実施しておりまして,配当還元方式ですと1口500円となり,その10倍と致しました。参考ですが,類似業種の比準価額は1,406円(別紙I),簿価純資産価額は3,010円(別紙Ⅱ)となっておりますので詳細は,別紙をご参照下さい。」と記載されていた(甲23)。 そして,上記書面には,「別紙Ⅰ」として,上記「類似業種の比準価額」に係る「類似業種比準価額等の計算明細書」が添付され,また,「別紙Ⅱ」として,P4社16年12月期の決算報告書の貸借対照表と損益計算書が添付されていた(乙16の4)。 ケ本件13社は,平成17年10月4日から同年12月6日までの間,原告P2に対し,その保有する本件出資持分各4000口を,それぞれ譲渡 し 表と損益計算書が添付されていた(乙16の4)。 ケ本件13社は,平成17年10月4日から同年12月6日までの間,原告P2に対し,その保有する本件出資持分各4000口を,それぞれ譲渡 した(合計5万2000口)。その代金は,1口につき5000円であったことから,1社当たり2000万円,合計2億6000万円であった。 (本件13社出資持分譲渡。前提事実(5)ア,イ)コ本件13社出資持分譲渡に関し,本件13社の間で情報交換は行われていなかった(甲58)。 サ原告P1は,平成18年3月20日,原告P2に対し,その保有する本件出資持分2万4000口を代金9億8500万8000円(1口につき4万1042円)で譲渡した(原告P1出資持分譲渡)。また,P8は,同日,原告P2に対し,その保有する本件出資持分5口を代金20万5210円(1口につき4万1042円)で譲渡した(本件P8出資持分譲渡)。 (前提事実(6)ア,イ)(3) 検討ア上記認定事実によれば,①本件13社がP7から本件出資持分を買い受けたのは,本件13社が原告P1と相互に密接な取引関係にあり,その関係を維持ないし発展させるためであり,しかも,その買受価格は,1口につき額面金額の1000円とするもので,原告P1の株式を200万株保有していたP4社の平成3年▲月▲日当時における純資産価額等を適切に反映していたとは考え難いこと,②その後,本件13社は,本件出資持分を保有している間,毎期1口につき50円の配当金を受領する一方,P4社の社員総会等については,一度も出席することなく,白紙委任状又は決議案に全て賛成する趣旨の委任状を提出しており,本件13社がP4社の安定社員として,同社の経営に協力する形となっていたこと,③このような状況の下で,本件13社出資持分譲渡は,本件1 白紙委任状又は決議案に全て賛成する趣旨の委任状を提出しており,本件13社がP4社の安定社員として,同社の経営に協力する形となっていたこと,③このような状況の下で,本件13社出資持分譲渡は,本件13社が,P27一族グループのガバナンスの見直しの一環としてP4社の出資を原告P2に集約する旨の,P4社からの説明及び依頼を受けて,平成17年10月4日から同年12月6日までという近接した時期に,各自の本件出資持分 全部を原告P2に譲渡したものであること,④この際,本件13社は,P4社から提示された資料,すなわち「有限会社P4の出資金買受の件」と題する書面に記載された算定根拠(配当還元方式,類似業種比準方式及び簿価純資産方式)とその添付資料である「類似業種比準価額等の計算明細書」並びにP4社16年12月期の貸借対照表及び損益計算書(認定事実ク)を検討し,関係部署等による検討,協議,稟議,決裁又は決議等を経て,譲渡を行った(甲29ないし41,58,59,乙51の1,乙52)が,1口につき額面金額の5倍の5000円という価額の適切さを独自に資料を収集して検証したことはうかがわれず,譲渡前に本件13社間で本件出資持分の価額に関し情報交換を行ったこともなかったこと(認定事実コ)が認められる。 以上のとおり,本件13社出資持分譲渡の経緯については,もともと,本件13社が,原告P1側からの依頼を受けて,原告P1との取引関係を維持ないし発展させるという目的の下において,本件出資持分を1口につき額面金額で4000口ずつ引き受け,これを14年近くにわたり保有し続けていたところ,その後,P4社から,「P29グループ」のガバナンスの見直しの一環として買戻しをしたいとの要望を受け,その買戻し金額の提案が取得価額を明らかに上回るものであったことから,その提 し続けていたところ,その後,P4社から,「P29グループ」のガバナンスの見直しの一環として買戻しをしたいとの要望を受け,その買戻し金額の提案が取得価額を明らかに上回るものであったことから,その提案どおりの金額で,各社が近接した時期に譲渡したという事情が認められ,このような事情の下においては,本件13社出資持分譲渡における価額の形成の要因には,本件出資持分それ自体の価値以外の要素が相当程度含まれているものとみざるを得ないし,その価額をもって純然たる第三者との間で想定される取引の気配値とみなし得るような一般性のある取引とも評価し難い。このように,本件13社出資持分譲渡は,発行会社の属するグループ企業と特別な協力関係を有する本件13社が,同グループ企業の要請を受けて行われたものであり,一般性のない価額の形成要因を相当程度有 する取引であるというべきであるから,当該取引が「適正と認められる」売買実例に該当するということは困難であるといわざるを得ない。 したがって,本件13社出資持分譲渡は「適正と認められる」売買実例に当たらないから,本件出資持分に法人税基本通達9-1-13(1)は適用されず,同通達9-1-14に従って評価することは妨げられないというべきである。 イ原告らは,本件13社と原告P2とは,相互に独立した立場にある純然たる第三者の関係にあるところ,本件13社は,譲渡価額の妥当性について十分な検討をした上,合理的な経営判断として譲渡に応じたものであるから,1口につき5000円という本件出資持分の譲渡価額は,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額である旨主張し,これに沿う本件13社等の陳述書(甲29ないし41)及び証人尋問調書(甲58,59,乙51の1,乙52)の各記載がある。 しかしながら で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額である旨主張し,これに沿う本件13社等の陳述書(甲29ないし41)及び証人尋問調書(甲58,59,乙51の1,乙52)の各記載がある。 しかしながら,本件13社と原告P2が相互に独立した立場にあり,それぞれが合理的な経営判断として取引を行ったものであるとしても,そのことと,本件13社出資持分譲渡が売買実例として適正なものかどうかは異なる問題であって,上記アで判示したとおり,本件13社出資持分譲渡における価額の形成の要因には,本件出資持分それ自体の価値以外の要素が相当程度含まれているものとみざるを得ず,その価額をもって純然たる第三者との間で想定される取引の気配値とみなし得るような一般性のある取引とも評価し難いことからすると,原告らの主張する上記の事情は,上記アの判断を左右するものとまではいえない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 ウ原告らは,本件13社出資持分譲渡について,本件13社に寄附金課税がされていないことから,同譲渡において原告P2は経済的利益を受けていない旨主張する。 しかし,本件13社出資持分譲渡に伴う本件13社に対する寄附金の認定課税と原告P2に対する受贈益の認定課税は,納税義務者やその認定の主体が異なるから,本件13社に寄附金課税がされていないことをもって,直ちに原告P2が受贈益を受けていないことにはならない。 原告らの上記主張は,採用することができない。 3 争点3(原告P1が取得した本件出資持分が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当し配当還元方式で評価すべきか否か)について(1) 評価通達188の趣旨等について評価通達によれば,取引相場のない株式のうち一般の評価会社の株式の価額は,同通達178から187ま 式」に該当し配当還元方式で評価すべきか否か)について(1) 評価通達188の趣旨等について評価通達によれば,取引相場のない株式のうち一般の評価会社の株式の価額は,同通達178から187までの原則的評価方式により評価されるが,同通達178ただし書により,「同族株主以外の株主等が取得した株式」については,原則的評価方式によるのではなく,同通達188の定めに従い,特例的評価方式である配当還元方式(同通達188-2)により評価されることになる。その趣旨は,評価会社を実質的に支配している株主が株式を取得する場合とは異なり,従業員株主などのような少数株主や,事業経営への影響の少ない同族株主の一部が株式を取得する場合については,これらの株主は単に配当の受領を期待するにとどまるものであり,また,評価手続の簡便性をも考慮して,本来の評価方式に代えて,特例的な評価方式によることとしたものであると解される。 また,同通達188(1)は,「同族株主」につき,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者のうち一定のものをいう旨を定め,「同族関係者」については法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいうと定めているところ,これは,株式を取得した株主が,上記のような事業経営への影響が少なく,単に配当の受領を期待するにとどまるような者か否かを判定する際,当該株主が,株主らの中でどのようなグループに属するのかを決めるに当たり,客観的かつ簡易な方法と して,法人税法施行令4条における同族会社の判定方法を借用したものと解される。もっとも,同条2項の規定は,直接的には,法人税法上の同族会社か否かの判定をするための基準であって,取引の相場のない株式の価額を定める際に当該株式を取得した株主が同族支配的な経営を行う株 解される。もっとも,同条2項の規定は,直接的には,法人税法上の同族会社か否かの判定をするための基準であって,取引の相場のない株式の価額を定める際に当該株式を取得した株主が同族支配的な経営を行う株主か否かを判定するための基準ではないことを勘案すると,評価通達188(1)がこれを借用しているのは,同族支配的な経営を行う株主か否かの判定のための基本的な基準となり得るものとする趣旨にすぎず,一切の例外を許さないものとまでは解されないところである。 上記の点に加え,法人税基本通達9-1-14が,上場有価証券等以外の株式について,評価通達178ないし189-7の例によって算定した価額によっているときは,課税上弊害がない限りにおいてこれを認めるものと規定しており,上記評価通達の各規定を形式的に適用することにつき課税上弊害があると認められるときはその形式的な適用を排することがあり得るとしていることをも考慮すれば,法人税の課税に係る上場有価証券等以外の株式の評価額の算定という場面においては,ある法人が,評価通達188が特例的な評価方式を定めた上記のような趣旨に照らして「同族関係者」と判定すべき特別の事情があると認められるときは,当該法人が形式上は法人税法施行令4条2項各号が規定する会社に当たらない場合でも,評価通達188の適用上,法人税法施行令4条2項にいう特殊関係法人と同視して取扱う余地があると解することが相当である。 (2) 本件における評価通達188の適用上の問題点ア評価通達188(1)は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」の1つとして,「同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」を挙げ,この「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,「株主の1人」及びその「同族関係者」(法人税法施行令 て,「同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」を挙げ,この「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,「株主の1人」及びその「同族関係者」(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。ただし,当該法人 の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替える。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超である会社にあっては,50パーセント超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう旨規定している。 本件P3出資持分譲渡1の時点で,同時に本件P3出資持分譲渡2も行われていることにより,P4社の出資持分の保有者及び保有口数は,P8が5口,原告P1が2万4000口,原告P2が2万3995口,本件13社が合計5万2000口であった(前記前提事実(4)ウ)。もっとも,P4社は,本件P3出資持分譲渡1の時点で,原告P1の発行済株式総数700万株のうち200万株を保有しており,原告P1の総株主の議決権の4分の1を超える議決権(28.571パーセント)を有するため,原告P1は,その保有する本件出資持分については議決権を有しない(有限会社法41条,商法241条3項)。そのため,P4社の議決権割合については,原告P1が保有する2万4000口を除く7万6000口を基に算定することとなり(評価通達188-4),P8が0.006パーセント,原告P2が31.572パーセント,本件13社が68.421パーセントとなる。 保有する2万4000口を除く7万6000口を基に算定することとなり(評価通達188-4),P8が0.006パーセント,原告P2が31.572パーセント,本件13社が68.421パーセントとなる。 以上を前提として,本件出資持分につき,評価通達188(1)の適用の可否を検討すると,P8を「株主の1人」とした場合,本件13社がP8の「同族関係者」に当たらないことは明らかであり,P4社は,「株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超であ る会社」ではない。そうすると,原告P2及び原告P1がいずれもP8の「同族関係者」であれば,「議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上」となることから,原告P1は,P4社の「同族株主」に当たることとなる。 しかるに,原告P2については,本件P3出資持分譲渡1の当時,総出資口数が60万口で,P8が39万8000口を,P10が2000口をそれぞれ保有していた(前記前提事実(8)イ)ところ,P10はP8の親族として法人税法施行令4条1項1号に規定する特殊の関係のある個人であり,P8及びP10の議決権割合が,原告P2の議決権総数の100分の50を超える(66.666パーセント)ことから,P8と法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人であると認められ,原告P2は,P8の「同族関係者」に当たるといえる。 そこで,原告P1が,P8の「同族関係者」に当たるかどうかが問題となるので,この点について後記(3)で検討する。 イまた,評価通達188(2)は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」の1つとして,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その て後記(3)で検討する。 イまた,評価通達188(2)は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」の1つとして,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるものの取得した株式」を挙げるとともに,「中心的な同族株主」とは,課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である場合におけるその株主をいう旨規定している。 仮に,原告P1がP4社の「同族株主」に当たると認められるとしても,上記アのとおり,原告P1は議決権を有せず,また,P8が原告P1の議 決権を25パーセント有する株主ではない(前記前提事実(8)ア)ことから,原告P1が,評価通達188(2)にいう「中心的な同族株主」に当たるか否かが問題となるので,この点について後記(4)において検討する。 (3) 原告P1がP8の「同族関係者」に当たるかア P8とP4社との関係原告P1がP8の「同族関係者」に当たるか否かを検討する前提として,まず,P8とP4社との関係を検討する。 (ア) 本件P3出資持分譲渡1の当時,P8及びこれと法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人である原告P2の,P4社における議決権割合は,合計31.578パーセントであり,議決権総数の100分の50を超えない。したがって,法人税法施行令4条2項2号を形式的に適用する限り,P4社は,P8と同号に規定する特殊の関係のある法人とはいえないことと .578パーセントであり,議決権総数の100分の50を超えない。したがって,法人税法施行令4条2項2号を形式的に適用する限り,P4社は,P8と同号に規定する特殊の関係のある法人とはいえないこととなる。 (イ) しかしながら,P8及び原告P2は,以下のとおり,P4社を実質的に支配していたということができる。 すなわち,前記前提事実(1)ウ,(2)のとおり,P7及びP8は,P4社の設立時において,本件出資持分の全てを保有しており,P7が本件13社に本件出資持分を譲渡した後も,P7及びP8の出資割合は48パーセントを占めていた。そして,P7の死亡に伴い,その保有する本件出資持分はP3に相続され,本件P3各出資持分譲渡までの間,P4社の社員及び出資の口数には変更がなかった。また,P8は,P7の死亡後,原告P1,原告P2及びP4社の代表者に就任し,本件P3各出資持分譲渡の時点でもその地位にあり,また,原告P2の出資総数の過半を保有していた(前記前提事実(1)オ,弁論の全趣旨)。これらの点からすると,本件P3各出資持分譲渡の当時,P8及び原告P2によるP4社の経営への実質的な影響力は大きなものであったと認められる。 他方,本件13社についてみると,前記2(3)アにおいて判示したとおり,本件13社は,それぞれ,原告P1との取引関係を維持ないし発展させるため,本件出資持分を1口につき額面金額で4000口ずつ引き受け,これを,毎期20万円の配当金を受領しながら,議案には一切反対することなく14年近くにわたり保有し続けた後,P27一族グループのガバナンスの見直しの一環として行われるものであるとの説明を受けた上,取得価額を明らかに上回る価額による取引であったことから,P4社の提案どおりの金額で,同社の求める相手方に対し,各社近接し ープのガバナンスの見直しの一環として行われるものであるとの説明を受けた上,取得価額を明らかに上回る価額による取引であったことから,P4社の提案どおりの金額で,同社の求める相手方に対し,各社近接した時期に譲渡したものである。また,本件13社は,1社ずつでみれば出資割合が4パーセントしかなく,単独でP4社の経営に影響を与えることは困難であったといえる上,本件13社は,市場で競合関係にあり,いずれも原告P1との取引関係を維持ないし発展させたいとの動機を有していたのであるから,複数社あるいは全社が連携して,P4社の経営に影響を及ぼそうとする可能性も低かったものというべきである。加えて,本件出資持分の譲渡は,P4社の定款上制限されていた(前記前提事実(2)ア(イ))から,本件13社が第三者に本件出資持分を譲渡し,上記の状況を変更することも想定し難い。そうすると,形式的には,本件13社の出資割合は52パーセントを占める(議決権割合でいえば68.421パーセントを占める。)ものの,そのP4社の経営への影響力は,極めて乏しいものであったといわざるを得ない。 以上のとおり,本件P3各出資持分譲渡の時点において,P8及びこれと法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人である原告P2が,P4社の経営に対する強い影響力を行使していた一方で,本件13社のP4社の経営への影響力は,極めて乏しいものであったといえるから,P4社は,P8及びその同族関係者である原告P2によって実質的に支配されていたと認められる。そうすると,P4社につ いては,評価通達188(1)が特例的な評価方式を定めた上記(1)の趣旨に照らして,P8の「同族関係者」と判定すべき特別の事情があるというべきである。したがって,P4社は,評価通達188の適用上,P8と法人 価通達188(1)が特例的な評価方式を定めた上記(1)の趣旨に照らして,P8の「同族関係者」と判定すべき特別の事情があるというべきである。したがって,P4社は,評価通達188の適用上,P8と法人税法施行令4条2項2号の特殊の関係のある法人と同視して取り扱うことが相当であるというべきである。 イ P8と原告P1との関係原告P1は,本件P3出資持分譲渡1の当時,発行済株式総数が700万株で,P8が39万1150株を,P10が5万株を,P24が31万6150株を,P25が30万株を,原告P2が198万9100株を,P4社が200万株を保有していた(前記前提事実(8)ア)。 そして,P10,P24及びP25は,P8の親族として法人税法施行令4条1項1号に規定する特殊の関係のある個人であり,原告P2は,上記のとおり,P8と法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人である。 他方,P4社は,上記アで判示したとおり,P8と法人税法施行令4条2項2号に規定する特殊の関係のある法人ではないが,評価通達188の適用上,法人税法施行令4条2項2号の特殊の関係のある法人と同視して取り扱うことが相当である。 そうすると,原告P1は,P8並びにこれと特殊の関係のある個人及び法人が有する原告P1における議決権割合が議決権総数の100分の50を超える(発行済株式総数700万株に対し合計504万6400株であることにより72.091パーセント。なお,原告P1は,P4社の総出資口数の4分の1を超えない2万4000口(24パーセント)を保有していたのみであるから,P4社は,原告P1の議決権を有していたもので,ほかにP8及びその同族関係者が原告P1の議決権を行使することができない事情もうかがわれない。)ことから,P8と法人税法施行令4条 いたのみであるから,P4社は,原告P1の議決権を有していたもので,ほかにP8及びその同族関係者が原告P1の議決権を行使することができない事情もうかがわれない。)ことから,P8と法人税法施行令4条 2項3号に規定する特殊の関係のある法人となり,評価通達188(1)の「同族関係者」に当たることになる。 ウ以上によれば,原告P1は,P8の「同族関係者」であるから,P4社の「同族株主」に当たり,本件P3出資持分譲渡1に関し,原告P1が取得した本件出資持分は,「同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」には該当しないこととなる。 (4) 原告P1が「中心的な同族株主」に当たるかア上記(2)イのとおり,評価通達188(2)を形式的に当てはめると,原告P1はP4社の中心的な同族株主に当たらない。 イもっとも,取引相場のない株式について,評価通達188(2)及び同通達188-2が,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるものの取得した株式」を特例的評価方式である配当還元方式によって評価するものとした趣旨は,同族株主であっても,ほかに事業経営への影響力が大きい中心的な同族株主がいて,そのグループに属さない株主については,同通達188(1)の同族株主以外の株主と同様の状況にあることから,評価手続も同様なものとするのが相当であるという点にあるものと解される。 そして,同通達188(2)は,中心的な同族株主か否かの判定を,株式取得後の議決権割合が5パーセント未満かどうかという単純な数値によることとしているところ,同通達188(2)及び同188-2の上記趣旨に照らせば,上記の基準は,事業経営への影響力の大きさ 定を,株式取得後の議決権割合が5パーセント未満かどうかという単純な数値によることとしているところ,同通達188(2)及び同188-2の上記趣旨に照らせば,上記の基準は,事業経営への影響力の大きさを計測するための客観的かつ簡易な方法を明らかにしたものにすぎず,一切の例外を許さない趣旨とは解されないところである。この点に加え,上記(1)のとおり,法人税基本通達9-1-14が,課税上弊害がない限りにおいて評価通達178ないし189-7の例によって算定した時価を認めるものとして おり,上記評価通達の各規定を形式的に適用することにつき課税上弊害があると認められるときはその形式的な適用を排することがあり得るとしていることをも考慮すれば,法人税の課税に係る上場有価証券等以外の株式の評価額の算定という場面においては,評価通達188(2)の中心的な同族関係者には,これと同視すべき特段の事情のある同族株主を含むと解する余地があるというべきである。 ウそこで検討するに,P4社の設立の経緯(前記前提事実(1)ウ),原告P1と原告P2の資本構成(同(8)),P8と原告P2との関係(上記(2)ア)及びP8と原告P1との関係(上記(3)イ)に鑑みると,P8,原告P2及び原告P1等から構成されるP27一族グループが,一体となってP4社を実質的に支配し,同社を経営しているとみることができ,原告P1が,中心的な同族株主(P8及びその同族関係者である原告P2)のグループには属しないという状況にはないと評価すべきである。したがって,原告P1には,P4社の中心的な同族株主と同視すべき特段の事情があるということができる。 そうすると,原告P1が保有する本件出資持分は,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得 主と同視すべき特段の事情があるということができる。 そうすると,原告P1が保有する本件出資持分は,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるものの取得した株式」には該当しないこととなる。 (5) 小括以上のとおり,本件出資持分に評価通達188(1)及び(2)は適用されないと解されるから,原告P1が取得した本件出資持分は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当しない。 (6) 原告P1の主張について原告P1は,評価通達188(1)の「同族関係者」や同(2)の「中心的な同族株主」の判定に当たり,実質的支配のような不明確かつ予測不能な基準を 用いることは,公正な取引市場における取引がなく,時価の算定が極めて困難な取引相場のない株式について,画一的な基準で評価方式を定めることとした評価通達の趣旨に反し,法的安定性を著しく害する旨主張する。 この点,法人税課税における評価においては,法人税基本通達9-1-14が,上場有価証券等以外の株式の評価額の算定方法について,課税上弊害がない限りにおいて評価通達178ないし189-7の例によって算定した価額を認めるものとしているところ,これは,評価通達が定める取引相場のない株式の評価方式が,法人税課税にそのまま適合するかどうか疑問があるとはいえ,それが実務的に定着しており,これと著しく異なる評価方式を導入することが執行上混乱を招き得ることから,一つの割切りとして,評価通達178ないし189-7の例によって価額を算定したときには,原則としてこれを認める旨を明らかにしたものと解されるところであり,その限りにおいては,画一的な基準の適用による評価の有用性を承認しているとはい ないし189-7の例によって価額を算定したときには,原則としてこれを認める旨を明らかにしたものと解されるところであり,その限りにおいては,画一的な基準の適用による評価の有用性を承認しているとはいえるものの,むしろ,画一的な基準の適用を行うことが実態と適合しない特別の事情がある場合は,それに適合した評価をすべき余地があることを前提とした規定であるということができる。また,評価通達においても,同通達6は,同通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額について,同通達の定めによらない評価を行うことを許容しており,同通達も,画一的な基準を定めて納税者の予測可能性を確保しつつ,課税の公平にも配慮しているところである(甲28)。 そうすると,法人税基本通達及び評価通達に定められた評価方式を形式的に適用するとかえって実質的な租税負担の公平を著しく害するなど,当該評価方式によらないことが正当と是認されるような特別な事情がある場合には,他の合理的な方式により評価することが許されるものと解すべきである。 しかるに,本件においては,既に判示したとおり,P4社がP8及びその同族関係者によって実質的に支配されてきたという例外的な状況にある以 上,本件出資持分の価額を算定するに当たっても,当該例外的な状況を反映するのでなければ,実質的な租税負担の公平を著しく害すると認められる。 また,原告P1は,本件P3持分譲渡1において,本件出資持分1口を3万9235円と算定し,この金額で取引が行われているが,この算定においては,原告P1が配当還元方式による評価を採用していないことが明らかである(上記2(2)カ,キ)。これらの点に照らすと,本件出資持分の評価に当たり,法人税基本通達9-1-14並びに評価通達188(1)及び(2)を形式的に適 式による評価を採用していないことが明らかである(上記2(2)カ,キ)。これらの点に照らすと,本件出資持分の評価に当たり,法人税基本通達9-1-14並びに評価通達188(1)及び(2)を形式的に適用した評価方式によらないことが正当と是認されるような特別な事情が認められるというべきである。 したがって,原告P1の上記主張は,採用することができない。 4 争点4(P4社の「株式保有特定会社」該当性)について(1) 本件出資持分の評価に評価通達189(2)を適用すべきか否かア評価通達178ただし書は,取引相場のない株式のうち,特定の評価会社の株式の価額は,同通達189の定めによって評価する旨規定している。 同通達189は,柱書において,上記「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた同通達189(1)ないし(6)の評価会社の株式をいい,その株式の価額は,同(1)ないし(6)の区分に従い,それぞれに掲げるところによる旨規定するとともに,同(2)において,課税時期において評価会社の有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合(株式保有割合)が25パーセント以上(同通達178に定める中会社及び小会社については,50パーセント以上。)である評価会社(株式保有特定会社)の株式の価額は,同通達189-3の定めによる旨規定している。そして,同通達189-3は,株式保有特定会社の株式の価額は,納税義務者の選択により,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価する旨規定している。 イ取引相場のない株式の発行会社の中には,会社の総資産のうちに占める各資産の保有状況が,類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて,著しく株式等 って評価する旨規定している。 イ取引相場のない株式の発行会社の中には,会社の総資産のうちに占める各資産の保有状況が,類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比べて,著しく株式等に偏った会社が見受けられるところ,このような会社の株式について,一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により評価を行った場合,類似業種比準方式が,標本会社である上場会社に匹敵するような会社の株式について適用される評価方法であって,その資産内容が著しく株式等に偏っている評価会社の株式については,同方式を適用すべき前提条件を欠いていることに照らすと,適正な株価の算定を行うことは期し難い。そこで,評価通達189(2)は,会社の株式等の保有状況の実態を踏まえて,上記の株式等の保有割合の基準により「株式保有特定会社の株式」を定めたものと解される。 ウこれに対し,原告らは,評価通達189(2)は,行き過ぎた節税策,すなわち,上場企業の大量の株式を所有する創業オーナーらが,株式をオーナーから持株会社に移転して,類似業種比準方式を悪用し,相続税の評価額を1パーセント以下へと圧縮しようとする行為を排除する目的で導入されたものであるところ,本件各譲渡においてそのような目的はないのであるから,本件出資持分の評価に当たり,同通達189(2)を適用したことは誤りである旨主張する。 この点,評価通達が,平成2年8月の改正により,一般の評価会社の株式とは区別される「特定の評価会社の株式」を具体的に定めるに至った経緯として,類似業種比準方式を悪用して租税負担を回避しようとした例が少なくなかったという社会状況があったことは否定できない(甲13,14,22)。しかしながら,上記イのとおり,評価通達189(2)が前提とする考え方は,会社の株式等の保有状況の実態からす とした例が少なくなかったという社会状況があったことは否定できない(甲13,14,22)。しかしながら,上記イのとおり,評価通達189(2)が前提とする考え方は,会社の株式等の保有状況の実態からすると類似業種比準方式を適用して評価することが適正ではない場合一般に通用し得るものであり,その文言上も,特に租税回避目的がある場合のみに適用すべきも のであることがうかがわれないことからすると,同通達189(2)の適用は,会社の設立等やその後の取引において租税回避の意図がある場合に限られると解することは当を得ないというべきである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) P4社が株式保有特定会社に該当するか否かの判定に当たり,P4社が保有する原告P1の株式を類似業種比準方式で評価すべきか否か平成17年3月31日に行われた本件P3各出資持分譲渡,同年10月4日から同年12月6日までの間に行われた本件13社出資持分譲渡,平成18年3月20日に行われた本件平成18年各譲渡の各時点に分けて,P4社の株式保有割合を検討する。 ア本件P3各出資持分譲渡時点の株式保有割合について(ア) 前記前提事実(1)ウ,(7)のとおり,P4社は,不動産賃貸を業とする会社であり,課税時期(本件P3各出資持分譲渡時点)の直前に終了した事業年度であるP4社16年12月期において,評価通達178にいう従業員数が2人,当該期間における取引金額が4794万6000円であったから,同通達178の適用上,従業員数が100人未満の会社で,かつ,卸売業,小売・サービス業以外の業種において,従業員数が5人以下であり,直前期末以前1年間における取引金額が8000万円未満という要件を満たし,小会社に該当する。そうすると,P4社の株式保有割合が50パ ,小売・サービス業以外の業種において,従業員数が5人以下であり,直前期末以前1年間における取引金額が8000万円未満という要件を満たし,小会社に該当する。そうすると,P4社の株式保有割合が50パーセント以上であれば,同社は株式保有特定会社に該当することになる。 (イ) 評価通達189(2)は,株式保有割合の算定に当たり,評価会社の有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額を分母とし,そのうちに占める株式及び出資の価額の合計額を分子としている。そして,P4社は,投資有価証券として原告P1の株式200万株を保有しており,上記分子の対象となるのは,この株式のみであるか ら,同通達の定めるところにより評価した原告P1の株式200万株の価額につき検討する。 (ウ) 原告P1は,直前期である平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度において,同通達178にいう従業員数が約1650人であったと認められる(弁論の全趣旨〔被告別表2第2表〕)から,同通達178の適用上,従業員数が100人以上の会社という要件を満たし,大会社に該当する。大会社の株式の価額は,同通達179により,原則として類似業種比準方式によって評価することになる。 もっとも,P4社が保有する原告P1の株式が,「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当するか,同株式が「特定の評価会社の株式」に該当する場合,同通達178ただし書により,同株式は,別の方式によって評価されることになるが,原告P1が特定の評価会社に当たらないことは,当事者間に争いがない。 そして,前記3(3)において判示したとおり,P4社は,P8及びその同族関係者によって実質的に支配されており,同社は,P8と法人税法施行令4条2項2号に規定する特殊の関係のある法人と同視すべきで そして,前記3(3)において判示したとおり,P4社は,P8及びその同族関係者によって実質的に支配されており,同社は,P8と法人税法施行令4条2項2号に規定する特殊の関係のある法人と同視すべきであるところ,原告P1は,P8並びにこれと特殊の関係のある個人及び法人(P4社を含む。)が保有する原告P1における議決権割合が,議決権総数の100分の50を超える(72.091パーセント)。そうすると,原告P1は,評価通達188(1)の適用上,「株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超である会社」であり,P4社は,原告P1において当該グループに属する同族関係者であるから,「同族株主」に該当し,その保有する原告P1の株式は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当しない。 なお,P4社が保有する原告P1の株式に評価通達188(2)ないし (4)が適用されないことについては,当事者間に争いがない。 したがって,P4社が保有する原告P1の株式は,原則どおり類似業種比準方式によって評価することになる。以上で判示したところと異なる原告らの主張は,いずれも採用することができない。 (エ) 本件P3各出資持分譲渡時点において,原告P1の株式1株当たりの価額は,類似業種比準方式によって評価すれば,被告別表2第3表(この計算過程及び金額については,当事者間に争いがなく,適正なものとがって,P4社が保有していた原告P1の株式200万株の価額は,これらを掛け合わせた合計額である80億9400万円となる。 (オ) また,前記前提事実(7)アのとおり,平成17年3月31日時点において,P4社の総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価 合計額である80億9400万円となる。 (オ) また,前記前提事実(7)アのとおり,平成17年3月31日時点において,P4社の総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は,1億3922万4000円であった。 (カ) 以上によれば,本件P3各出資持分譲渡時点において,P4社の株式保有割合は,分母が82億3322万4000円(80億9400万円+1億3922万4000円),分子が80億9400万円となることにより,98.308パーセントとなり,50パーセント以上であることは明らかである。 イ本件13社出資持分譲渡時点の株式保有割合について(ア) 課税時期を本件13社出資持分譲渡時点とした場合も,P4社及び原告P1の直前期は上記アと同様であるから,P4社は小会社に該当し,かつ原告P1は大会社に該当する。 そして,上記アのとおり,P4社が保有する原告P1の株式の評価方法を決定するに当たり,P4社が原告P1の同族株主に該当するか否かが問題となるところ,前記前提事実(8)アのとおり,本件13社出資持 分譲渡の時点において,原告P1の発行済株式総数(700万株)に変動はなく,かつ,P8,P10,P24,P25,原告P2及びP4社の保有する原告P1の株式の総数(504万6400株)にも変動はなく,単にP4社が保有株式を25万株減少させた一方で,原告P2が保有株式を25万株増加させたにすぎないことから,議決権割合は変わらず,上記アと同様に,P4社は,原告P1の同族株主に該当する。 そうすると,本件13社出資持分譲渡時点においても,P4社が保有していた原告P1の株式175万株の価額は,類似業種比準方式によって評価すべきものである。この評価において,原告P1の株式1株当たりの価額は,上記ア 件13社出資持分譲渡時点においても,P4社が保有していた原告P1の株式175万株の価額は,類似業種比準方式によって評価すべきものである。この評価において,原告P1の株式1株当たりの価額は,上記ア(エ)の4047円から著しく変動したとは認められず,同株式175万株の価額も,これらを掛け合わせた合計額である70億8225万円又はこれとさほど差のない額と認められる。 (イ) また,平成17年10月4日から同年12月6日までの間において,P4社の総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額が,1億3922万4000円から著しく変動したなどの事情はうかがわれない。 (ウ) 以上によれば,本件13社出資持分譲渡時点において,P4社の株式保有割合は,分母が72億2147万4000円(70億8225万円+1億3922万4000円),分子が70億8225万円とした場合の98.072パーセントに近似したものとなり,50パーセント以上であることは明らかである。 ウ本件平成18年各譲渡時点の株式保有割合について(ア) 課税時期を本件平成18年各譲渡とした場合,前記前提事実(7)イのとおり,直前期であるP4社17年12月期において,評価通達178にいう従業員数が0人,当該期間における取引金額が3065万2000円であったから,P4社は,同通達178の適用上,従業員数が1 00人未満の会社で,かつ,卸売業,小売・サービス業以外の業種において,従業員数が5人以下であり,直前期末以前1年間における取引金額が8000万円未満という要件を満たし,小会社に該当する。 (イ) 原告P1は,直前期である原告P1・17年12月期において,評価通達178にいう従業員数が約1600人であったと認められる(弁論の全趣旨〔被告 円未満という要件を満たし,小会社に該当する。 (イ) 原告P1は,直前期である原告P1・17年12月期において,評価通達178にいう従業員数が約1600人であったと認められる(弁論の全趣旨〔被告別表4第2表〕)から,同通達178の適用上,従業員数が100人以上の会社という要件を満たし,大会社に該当する。 そして,上記アのとおり,P4社が保有する原告P1の株式の評価方法を決定するに当たり,P4社が原告P1の同族株主に該当するか否かが問題となるところ,前記前提事実(8)アのとおり,本件平成18年各譲渡の時点において,原告P1の株主らの状況につき上記イから変動はなかったから,上記イと同様に,P4社は,原告P1の同族株主に該当する。 (ウ) 本件平成18年各譲渡の時点において,原告P1の株式1株当たりの価額は,類似業種比準方式によって評価すれば,被告別表4第3表(この計算過程及び金額については,当事者間に争いがなく,適正なものとがって,P4社が保有していた原告P1の株式175万株の価額は,これらを掛け合わせた合計額である105億9800万円となる。 (エ) また,前記前提事実(7)イのとおり,平成18年3月20日時点において,P4社の総資産から投資有価証券を除いたものを評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は,10億1501万3000円であった。 (オ) 以上によれば,本件平成18年各譲渡の時点において,P4社の株式保有割合は,分母が116億1301万3000円(105億9800万円+10億1501万3000円),分子が105億9800万円 となることにより,91.259パーセントとなり,50パーセント以上であることは明らかである。 エ小括これまでに判示したとおり,P4社は,本件各譲渡のいずれの時点におい 800万円 となることにより,91.259パーセントとなり,50パーセント以上であることは明らかである。 エ小括これまでに判示したとおり,P4社は,本件各譲渡のいずれの時点においても,株式保有割合が50パーセント以上となり,株式保有特定会社に該当する。 5 争点5(P4社の1株当たりの純資産額の算定において法人税額等相当額を控除しなかったことの適否)について(1) 法人税基本通達9-1-14(3)の趣旨等ア法人税基本通達9-1-13は,上場有価証券等以外の株式の価額について,同(4)((1)ないし(3)に該当しないもの)については,当該事業年度終了の時における1株当たりの純資産額等を参酌して通常取引されると認められる価額とする旨規定している。 そして,同通達9-1-14本文は,同通達9-1-13(4)の場合,評価通達178から189-7までの例により評価することができる旨規定しているが,同通達9-1-14(3)は,評価通達185の本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算に当たり,評価通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額(法人税額等相当額)は控除しない旨規定している。 イ評価通達185本文は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算において,評価差額に対する法人税等相当額を控除する旨を規定している。その趣旨は,相続税や贈与税の分野における株式の評価においては,個人が直接資産を保有する場合と,会社の株式又は出資持分を通じて間接的に資産を保有する場合とでは,その所有形態が異なり,評価の均衡を図る必要があることから,後者の場合は,当該会社が解散して当該資産が直接個人に帰属することを念頭におき,当該会社が実際に解散したかどうか を問わず,当該会社が清 所有形態が異なり,評価の均衡を図る必要があることから,後者の場合は,当該会社が解散して当該資産が直接個人に帰属することを念頭におき,当該会社が実際に解散したかどうか を問わず,当該会社が清算した際の評価差額に対する法人税額等相当額を算定し,それを資産価値から控除することにしたものと解される。 ウこれに対し,法人税課税における非上場株式の評価においては,会社が継続的に事業活動を行うことを前提として,「純資産額等を参酌して通常取引されると認められる価額」(法人税基本通達9-1-13)を算定しようとするものであるから,当該会社が清算した際の評価差額に対する法人税額等相当額を控除しなければならない理由はない。このような考え方に基づいて,平成12年課法2-7による改正により,法人税基本通達9-1-14においては,法人税課税における1株当たりの純資産価額の評価に当たり,法人税額等相当額を控除しないこととされるに至ったものと解され,そのことには合理性があると認められる。そして,上記改正の後,上記改正の結果とは異なる取引慣行が存在することはうかがわれない。 エこれに対し,原告らは,法人税課税における株式の評価について,法人税額等相当額の控除をしないという法人税基本通達9-1-14(3)は合理的なものとはいえず,本件出資持分についても,直接所有と間接所有との評価バランスを図るという論理に基づいて,法人税額等相当額の控除をして,価額の評価を行うべきである旨主張する。 しかしながら,直接所有と間接所有との評価の均衡を図るという要請は,相続税や贈与税の分野における株式の評価においては一定の合理性を有するものの,法人税の課税における株式の評価においては,必ずしも妥当しないものであることは上記イ及びウで判示したとおりである。 なお,最高裁平成 の分野における株式の評価においては一定の合理性を有するものの,法人税の課税における株式の評価においては,必ずしも妥当しないものであることは上記イ及びウで判示したとおりである。 なお,最高裁平成14年(行ヒ)第112号同17年11月8日第三小法廷判決・集民218号211頁及び最高裁平成16年(行ヒ)第128号同18年1月24日第三小法廷判決・集民219号285頁は,法人税基本通達9-1-14(3)において法人税額等相当額を控除しない旨が規定された平成12年よりも前の時期における取引通念を前提としてなさ れた判断であり,上記で判示したところを左右するものとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (2) 以上を前提とすれば,前記4(2)のとおり,P4社は,株式保有特定会社に該当し,評価通達189-3本文は,株式保有特定会社の株式の価額について,同通達185本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)によって評価する旨規定していることから,本件出資持分の価額を評価するに当たり,P4社の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)を計算し,その際,法人税額等相当額は控除しないこととなる。 6 争点6(本件出資持分の価額の評価における評価通達185ただし書の適用の有無)について(1) 評価通達185ただし書の趣旨等ア前記5(2)のとおり,本件出資持分の価額の評価は,評価通達189-3に定める方式によってなされるものであるところ,同通達189-3本文は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額)について,当該株式の取得者とその同族関係者(同通達188(1)に定める同族関係者をいう。)の有する当該株式に係る議決権の合計数が,評価会社の議決権総数の50パーセント以下である場合においては,同通達 いて,当該株式の取得者とその同族関係者(同通達188(1)に定める同族関係者をいう。)の有する当該株式に係る議決権の合計数が,評価会社の議決権総数の50パーセント以下である場合においては,同通達185ただし書を適用して,上記純資産価額に100分の80を乗じて計算した金額とする旨規定している。 イ評価通達185ただし書が定められた趣旨は,小会社における同族株主による会社経営の実態は,個人事業者の場合と実質的にはほとんど変わるところがないものが多いが,小会社の中には複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一同族株主グループの議決権の合計数だけでは会社を完全支配できないという実態が認められるため,このような実態に即したものとする必要があることから,単独の同族株主グループの議決権の合計数によって会社支配を行って いる場合の支配力との較差を考慮して,議決権割合の合計が50パーセント以下である同族株主グループに属する株主の取得株式を,純資産価額方式により評価する場合には,20パーセントの評価減を行うというものであると解される(甲13)。 そうすると,議決権割合の合計が50パーセント以下である同族株主グループに属する株主の取得株式であっても,当該同族株主グループによって会社が支配されていると認められる事情がある場合にまで,同通達185ただし書を適用することは,上記趣旨に反することになる。この点に加え,前記3(1)のとおり,法人税基本通達9-1-14が,課税上弊害がない限りにおいて評価通達178ないし189-7の例によって算定した時価を認めるものとしており,上記評価通達の各規定を形式的に適用することにつき課税上弊害があると認められるときはその形式的な適用を排することがあり得るとしていること し189-7の例によって算定した時価を認めるものとしており,上記評価通達の各規定を形式的に適用することにつき課税上弊害があると認められるときはその形式的な適用を排することがあり得るとしていることをも考慮すれば,法人税の課税に係る上場有価証券等以外の株式の評価額の算定という場面においては,評価会社が議決権割合50パーセント以下の同族株主グループによって支配されているという特段の事情があるときは,同通達185ただし書を適用しないとする余地があるというべきである。 (2) 検討ア本件P3各出資持分譲渡に関し,P4社の各出資者の議決権割合は,既に判示したとおり,P8が0.006パーセント,原告P1が0パーセント,原告P2が31.572パーセントである。仮にこれらを合計するとしても,P4社の議決権総数の50パーセントには達しない。 しかしながら,前記3(3)及び(4)で判示したとおり,本件13社のP4社への出資の経緯や経営への関与の状況等に照らせば,本件13社によるP4社の経営に対する影響力は極めて乏しいものであったのに対し,P4社の設立の経緯,原告P1と原告P2の資本構成,P8と原告P2との関 係及びP8と原告P1との関係等に照らせば,P8,原告P2及び原告P1等から構成されるP27一族グループは,一体となってP4社を実質的に支配し,同社を経営しているとみることができることを総合勘案すると,P8,原告P2及び原告P1は,P4社において,同一の同族株主グループに属し,当該グループによって同社は支配されていたものというべきである。 そうすると,本件P3各出資持分譲渡に関して,P8,原告P2及び原告P1が有するP4社の議決権の総数は実質的にみて50パーセント以上あると評価すべきであるから,評価通達185ただし書が適用され そうすると,本件P3各出資持分譲渡に関して,P8,原告P2及び原告P1が有するP4社の議決権の総数は実質的にみて50パーセント以上あると評価すべきであるから,評価通達185ただし書が適用されないことにつき特段の事情が認められるというべきである。 イ他方,前記前提事実(5)ウ,(6)ウのとおり,原告P2は,本件13社出資持分譲渡によって,P4社の総出資口数10万口のうち,7万5995口を,本件平成18年各譲渡によって,同社の総出資口数10万口のすべてを,それぞれ保有するに至っており,原告P1の本件出資持分を考慮するか否かにかかわらず,P4社の議決権総数の50パーセント以上を有していたことになる。 そうすると,本件13社出資持分譲渡及び本件平成18年各譲渡に関し,本件出資持分の価額を評価するに当たり,評価通達185ただし書が適用される余地はない。 (3) 以上のとおり,本件各譲渡のいずれの場面においても,本件出資持分の価額の評価において,評価通達185ただし書は適用されない。 7 争点7(控除負債利子額の算定〔原告P2・18年12月期及び同19年12月期における受取配当等の益金不算入額の過大額の有無〕)について(1) 負債利子額の控除の趣旨等についてア負債利子の控除は,法人税法23条において,株式等から生ずる受取配当等の額を益金不算入とするに当たり,当該株式等の購入に充てられた借 入金等があれば,当該利子分を控除する制度である。すなわち,受取配当等の額が収益に加算されないにもかかわらず,その元本である株式等の保有に要した負債の利子の額を費用に加算するとすれば,不必要な免税を認めるに等しいことから,益金不算入額において調整することとしたものである。 受取配当等の益金不算入及び負債利子の控除に関する規定の 要した負債の利子の額を費用に加算するとすれば,不必要な免税を認めるに等しいことから,益金不算入額において調整することとしたものである。 受取配当等の益金不算入及び負債利子の控除に関する規定の概要は,以下のとおりである。 イ法人税法23条1項は,法人が受ける配当等の額のうち,①連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等(以下「その他株式等」という。)に係る配当等の額については,その100分の50に相当する金額を,②関係法人株式等に係る配当等の額については,その全額を,それぞれ当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない旨規定している。 ウ同条4項は,同条1項に関し,当該法人が当該事業年度において支払う負債の利子があるときは,以下の(ア)及び(イ)の合計額を益金不算入額とする旨規定している。 (ア) 保有するその他株式等につき当該事業年度において受ける配当等の額の合計額から当該負債の利子の額のうち当該株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額の100分の50に相当する金額(同条4項1号)(イ) 保有する関係法人株式等につき当該事業年度において受ける配当等の額の合計額から当該負債の利子の額のうち当該関係法人株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額(同項2号)エ法人税法施行令22条は,1項において上記ウ(ア)に係る計算方法を,2項において同(イ)に係る計算方法を規定しており,これらにより当該事 業年度の控除負債利子額の合計額を算出する方法を,原則法という。原則法によると,控除負債利子額は,当該事業年度の負債利子額の合計額に,当該法人の当該事業年度及びその前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上 利子額の合計額を算出する方法を,原則法という。原則法によると,控除負債利子額は,当該事業年度の負債利子額の合計額に,当該法人の当該事業年度及びその前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の合計額(分母)のうちに,当該法人の当該事業年度及びその前事業年度の終了時におけるその他株式等又は関係法人株式等の帳簿価額の合計額(分子)の占める割合(負債利子控除割合)を乗じて計算される(資産按分方式)。 オこれに対し,同条3項は,同条1項及び2項の規定にかかわらず,①当該事業年度の負債利子額の合計額に,基準年度の負債利子額の合計額のうちに同条1項に定める原則法によって計算した基準年度の負債利子額の合計額の占める割合を乗じて計算した金額をもって,上記ウ(ア)の「政令で定めるところにより計算した金額」とし,②当該事業年度の負債利子額の合計額に,基準年度の負債利子額の合計額のうちに同条2項に定める原則法によって計算した基準年度の負債利子額の合計額の占める割合を乗じて計算した金額の合計額をもって,上記ウ(イ)の「政令で定めるところにより計算した金額」とすることができる旨規定しており,これらにより当該事業年度の控除負債利子額の合計額を算出する方法を,簡便法という。 簡便法は,控除負債利子額の合計額を算出するに当たり,事業年度ごとに原則法で計算することは,実務上相当の手数を要することから,基準年度において原則法により算出された額に基づき定められた割合を用いることができるようにし,簡易な計算によって当該事業年度の控除負債利子額の合計額を算出することを認めたものと解される。 (2) 簡便法によるべきことを主張できるか否かについてア上記(1)のとおり,原則法が当該法人の当該事業年度及びその前事業年度に係る帳簿価額に 額の合計額を算出することを認めたものと解される。 (2) 簡便法によるべきことを主張できるか否かについてア上記(1)のとおり,原則法が当該法人の当該事業年度及びその前事業年度に係る帳簿価額に基づく負債利子控除割合を用いて控除負債利子額の合計額を算定するのに対し,簡便法は,基準年度で固定された負債利子控 除割合を用いて控除負債利子額の合計額を算定することから,原則法と簡便法のいずれを採用すれば受取配当等の益金不算入額が多額になるかは,法人及びその財務状況によって異なることとなる。法人税法施行令22条は,これを踏まえ,原則法と簡便法のいずれを採用するかについては,法人税の申告時における当該法人の選択に委ねたものと解される。 イまた,法人税法23条6項は,同条1項の規定は確定申告書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り適用する旨規定しているところ,同条6項は,納税者である法人が確定申告において原則法により控除負債利子額を計算することを選択した上で受取配当等の益金不算入額を計算した場合には,後になってこれを覆して簡便法による計算に変更することを原則として許さないこととした趣旨であると解される。 ウしかるに,原告P2が,原告P2・18年12月期の法人税の申告において,受取配当等の益金不算入額の計算に当たり,原則法により控除負債利子額の合計額を算定し,その計算に関する明細の記載をしていたことは,当事者間に争いがない。この場合,課税庁が,上記法人税に係る更正処分において,控除負債利子額を算定するに当たり,納税者の申告時における選択に従い,原則法による計算を行えば適法であると解するのが相当であり,簡便法による計算に変更すればより納税者にとって有利となるか否かを検証しなければ当該更正処分が に当たり,納税者の申告時における選択に従い,原則法による計算を行えば適法であると解するのが相当であり,簡便法による計算に変更すればより納税者にとって有利となるか否かを検証しなければ当該更正処分が違法となるとは解されない。そうであるとすれば,原告P2は,原告P2・18年12月期再更正処分を争う本件訴訟において,従前の選択を覆して簡便法により計算することを求めることは原則として許されないことになると考えられる。なお,法人税法23条7項は,同条6項の記載がない確定申告書の提出があった場合でも,その記載がなかったことにつきやむを得ない事情があると認めるときは,その記載がなかった金額につき同条1項及び2項の規定を適用することが できる旨規定し,同項は,控除負債利子額の算定方法の変更についても適用されると解する余地があるが,仮にそうであるとしても,原告P2が受贈益の計上漏れについての認識を有していなかったことが,上記のやむを得ない事情には該当しないことが明らかであるから,原告P2について,同条7項を適用することはできない。 エこれに対し,原告P2は,原告P2・18年12月期の法人税の申告時に原則法を選択したことについては,申告の錯誤が客観的に明白かつ重大であって,法の定めた方法以外にその是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められるなどの特段の事情が存することから,錯誤による是正が認められるべきものであり(最高裁昭和38年(オ)第499号同39年10月22日第一小法廷判決・民集18巻8号1762頁参照),本件訴えにおいて,改めて簡便法を選択して,控除負債利子額を算定できる旨主張する。 この点,原告P2は,原告P2・18年12月期再修正申告書において,本件受贈益がないことを前提として,原則法によって控除負債利子額を めて簡便法を選択して,控除負債利子額を算定できる旨主張する。 この点,原告P2は,原告P2・18年12月期再修正申告書において,本件受贈益がないことを前提として,原則法によって控除負債利子額を算定し,受取配当等の益金不算入額を7666万98円として申告していたが(乙50),仮に簡便法によって控除負債利子額を算定したとすれば,受取配当等の益金不算入額は9743万1662円となることは当事者間に争いがなく,原告P2は,簡便法によるよりも益金の額が約2000万円も多くなるような申告をしていたこととなる。他方,被告が本件訴訟において主張する原則法によって控除負債利子額を算定すると,本件受贈益がある場合における受取配当等の益金不算入額は6551万227円である。 これらの点を勘案すると,原告P2が本件受贈益があると認識していたとすれば原則法ではなく簡便法を確実に採用していたとまではいえないから,原告P2において,原則法か簡便法かの選択に関連する錯誤がある としても,その錯誤が客観的に明白で,かつ重大であるとまではいい難いし,選択の是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害するという状況にあるとまではいえない。したがって,原告P2の上記主張は,採用することができない。 オ以上のとおり,原告P2が,本件訴えにおいて,控除負債利子額の算定方法を再選択することはできず,処分行政庁が,原告P2・18年12月期再更正処分において,これを原則法によって算定したことに違法はない。 (3) 法人税法施行令22条1項2号の「帳簿価額」の意義ア上記(1)エのとおり,法人税法施行令22条1項及び2項は,控除負債利子額の算定に係る原則法を規定しているところ,原則法によれば,控除負債利子額は,資産按分方式によって算定される。 この資産按 上記(1)エのとおり,法人税法施行令22条1項及び2項は,控除負債利子額の算定に係る原則法を規定しているところ,原則法によれば,控除負債利子額は,資産按分方式によって算定される。 この資産按分方式は,企業においては,その事業経営に必要な資金を自己資本である資本と他人資本である負債によって調達し,これらの資金は事業経営に必要な資産に化体されて,資本と負債とは混然一体となって運用されており,ある資産の取得に要した資金について,その出所を源泉に遡って探求し,その資金の入手とその当該資産の取得との関係を厳密に関連付けて分類することは事実上不可能に近いことから,総資産に対する当該株式等の割合を求めることによって,負債額及び負債の利子のうちの当該株式等の対応額を求めるという考え方に基づいて定められたものと解される(乙62,弁論の全趣旨)。 イもっとも,昭和40年度税制改正前においては,負債利子の計算は,上記と異なり,株式の取得時におけるその取得のために要した負債の行き先を常時追いかけてその利子を計算するといういわゆる紐付計算方式が原則とされ,これができない場合に資産按分方式によることができるものとされいてたが,実際上,紐付計算方式によっている法人はほどんどなかった。そこで,同年度の改正により,資産按分方式のみが認められることと なった。また,同改正においては,簡素化の見地から,総資産の帳簿価額は,法人の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額とされ,総資産については税務否認金につき調整を要しない(ただし一定の範囲内で調整は行う)こととされたが,按分を行う際の分子については,従前と同様,その株式の正常な帳簿価額とみなされる金額であるとされた。(乙62)以上の改正経緯に照らせば,上記の改正においては,資産 で調整は行う)こととされたが,按分を行う際の分子については,従前と同様,その株式の正常な帳簿価額とみなされる金額であるとされた。(乙62)以上の改正経緯に照らせば,上記の改正においては,資産のうち株式等については,その税務上の帳簿価額を計算してもさほど複雑にはならないことから,控除負債利子額の算式における分子の株式等の「帳簿価額」については,税務否認金の調整を行うこととし,従前どおり税務計算上の「帳簿価額」のままとしたものと解され,この改正による規定が基本的にはその後も引き継がれているものと解することが相当である。 ウ原告P2は,①本件出資持分は,法人税法施行令119条1項1号の「購入した有価証券」に該当し,「その購入の代価」に本件受贈益の額を加算する余地がない,②同令22条1項及び2項の各1号が,控除負債利子額の算式における分母の帳簿価額について,「その他有価証券」につき評価損益を加減する規定を置いているにもかかわらず,分子の帳簿価額には同旨の規定がないことからすると,分子の帳簿価額には,本件受贈益の額を加算することはできない旨主張する。 しかしながら,法人税法施行令119条1項8号は,同項1号ないし7号に掲げる有価証券以外の取得価額について,「その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額」と規定しているところ,法人が時価に比して著しく低い価額で有価証券を取得した場合は,売買と贈与とが混合した取引によって有価証券を取得したものと評価することが可能であるから(乙59),同項1号ではなく,8号により取得価額を定め,受贈益相当額を含めた金額とすることが相当である。したがって,原告の 上記①の主張は採用することができない。 また,法人税施行令22条1項及び2項の各1号において,「その他有価証券」につ 受贈益相当額を含めた金額とすることが相当である。したがって,原告の 上記①の主張は採用することができない。 また,法人税施行令22条1項及び2項の各1号において,「その他有価証券」につき評価損益を加減する規定を置いているのは,「その他有価証券」については,企業会計では時価評価されるのに対し,税務上は基本的に原価評価されることから,その評価差額を調整するためのものであり(甲56),この調整規定があるからといって,分子の株式等の帳簿価額について,税法上の適正な価額とするために本件受贈益を加算することができないと解さなければならないわけではない。したがって,原告P2の上記②の主張は採用することができない。 エ以上のとおりであるから,本件受贈益の額を加算して,控除負債利子額を算定することが違法であるということはできない。 (4) 計算上の控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合の取扱いア法人税法施行令22条1項及び2項を形式的に適用し,本件出資持分に関し,その税務上の帳簿価額として本件受贈益の額を加算して計算すると,関係法人株式等については,その帳簿価額(分子)が総資産価額(分母)を上回り(被告別表5及び6参照),負債利子控除割合が1を超え,また,計算上の控除負債利子額の合計額が,現実の支払利子額を超えることとなる。 しかしながら,上記(1)アで判示したとおり,負債利子額の控除は,受取配当等の元本である株式等の保有に要した負債の利子の額を,益金不算入の額から控除するという制度であり,法人税法施行令22条1項及び2項に従って計算した負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合において,計算上の控除負債利子額の合計額を,そのまま益金不算入額の額から控除することは予定さ 項に従って計算した負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合において,計算上の控除負債利子額の合計額を,そのまま益金不算入額の額から控除することは予定されていないというべきである。 イそこで,負債利子控除割合が1を超える場合につき,法人税法施行令22条1項及び2項をどのように適用すべきかにつき検討する。 (ア) まず,上記のような場合に限り,分母である総資産の帳簿価額を,分子に合わせて,税務上の帳簿価額とすることが考えられる。しかしながら,この解釈は,法人税法施行令22条が,「確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている帳簿価額」と,単なる「帳簿価額」を区別して規定し,また,同条1項1号(同条2項1号による準用を含む。)が,イないしヘにおいて,帳簿価額の減算及び加算の規定を設けていることと整合しない上,上記(3)イで判示した計算の簡素化という立法経緯にも沿わないものであることからすると,採用することができない。 (イ) 次に,上記のような場合に限り,分子であるその他株式等又は関係法人株式等の帳簿価額を会計上の帳簿価額とすることが考えられる(原告P2は,本件受贈益の控除のみを主張するが,趣旨としては同様であるので,ここで併せて検討する。)。しかしながら,この解釈は,上記のとおり法人税法施行令22条が「帳簿価額」を区別して規定していることと整合しておらず,また,株式等の税務簿価が増加するに従って負債利子控除割合が1に近づくが,同割合が1を超えた時点で,突如として1よりも小さな数値となるという不合理な結果を生ずるものであることからすると,採用することができない。さらに,分子の「帳簿価額」から常に受贈益を排除し,分子の帳簿価額の算定上,受贈益がある株式等については現実の取得価額を という不合理な結果を生ずるものであることからすると,採用することができない。さらに,分子の「帳簿価額」から常に受贈益を排除し,分子の帳簿価額の算定上,受贈益がある株式等については現実の取得価額を採用するという取扱いをすることは,もともと,分子の「帳簿価額」が税務上のものとされており,控除負債利子額の計算については紐付計算方式が廃止されて資産按分方式のみとされたという沿革(上記(3)イ)に照らし,必ずしも合理性があるということができない。 (ウ) 以上のとおり,負債利子控除割合が1を超える場合に限り,分子又 は分母となる「帳簿価額」の本来の意味を読み替えて負債利子控除割合を計算することは,法人税法施行令22条1項及び2項の解釈として,その限界を超えるものであるといわざるを得ない。そうすると,結局,現行法の下においては,負債利子控除割合が1を超えるという例外的な場合においては,同条においてはそのような結論が予定されていないこと(前記ア)に照らし,負債利子控除割合を1として計算するほかはないと解され,この点は法令上の不備といわざるを得ない。 また,負債利子控除割合が1を超えると,計算上の控除負債利子額の合計額が,現実支払利子額を超えるという場合が生じ得ることになる。 このような場合においては,上記アで判示したとおり,法人税法施行令22条1項及び2項が,控除負債利子額の合計額を算定するに当たり,現実支払利子額を超える額になることを予定していないことに照らし,益金不算入額から控除する金額を,計算上の控除負債利子額の合計額とすることは適法とはいえず,現実支払利子額をもってその上限とすると解するほかはないというべきである。 以上の判示に反する原告P2の主張は,いずれも採用することができない。 ウ被告は,控除負債利子額の合計額が現 いえず,現実支払利子額をもってその上限とすると解するほかはないというべきである。 以上の判示に反する原告P2の主張は,いずれも採用することができない。 ウ被告は,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合は,現実支払利子額について,その他の株式等の税務簿価と関係法人株式等の税務上の帳簿価額との割合で按分した金額をそれぞれの控除負債利子額として,受取配当等の益金不算入額を算定するのが相当である旨主張する。 被告の上記主張は,条文上の手掛かりに乏しいといわざるを得ないが,負債利子控除割合が1を超えないようにし,現実支払利子額を上限とするという点において,法人税法施行令22条が予定するところと整合的であることからすると,被告の主張する計算方法によって控除負債利子額を算定することも違法とまではいえないと解される。 8 争点8(処分理由の差替えの可否〔原告P2・18年12月期の法人税における課税留保金額に係る税額の加算の当否〕)について(1) 認定事実ア原告P2・18年12月期更正処分に係る更正通知書(甲3)及び原告P2・18年12月期再更正処分に係る更正通知書(甲26。以下,これらの更正通知書を併せて「原告P2・18年12月期各更正通知書」という。)の各「更正の理由」欄に留保金課税についての記載はなかった。 イ原告P2・18年12月期に係る法人税の法定申告期限が平成19年3月31日であり,同日を基準とした場合,法人税の更正処分に係る除斥期間の終了日が平成24年3月31日となるところ,被告は,平成25年2月22日の本件第4回口頭弁論期日において,初めて,特定同族会社の留保金額に対する税額の増加額があることを原告P2・18年12月期更正処分の根拠として主張(本件留保金主張)するに至った(争いがない)。 日の本件第4回口頭弁論期日において,初めて,特定同族会社の留保金額に対する税額の増加額があることを原告P2・18年12月期更正処分の根拠として主張(本件留保金主張)するに至った(争いがない)。 (2) 検討ア一般に,法が行政処分に理由を附記すべきものとしているのは,処分庁の判断の慎重さ及び合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨であると解されるが,法人税法130条2項が,白色申告と区別して青色申告の場合についてのみ,詳細な理由の附記を求めているのは,上記趣旨に加えて,同条1項の青色申告書による提出の承認を受けた内国法人に対し,帳簿書類を備え付けてこれに所得金額に係る取引を記録し,かつ,その帳簿書類を保存し,さらに,青色申告書に貸借対照表,損益計算書その他所得金額又は純損失の金額の計算に関する明細書を添付させるという義務を課している代償としての趣旨を含むものというべきであり,青色申告者に対し,特に処分の具体的根拠を明らかにすることによって不服申立ての便宜を図り,その手続的な権利を保障するという租税優遇措置の1つであるとい うことができる。仮に,訴訟の段階で無条件に処分理由の差し替えを許せば,法人税法が,青色申告者に対して特に不服申立ての便宜を図り,その手続的な権利を保障しようとした趣旨を没却するものといわざるを得ない。 そうすると,青色申告の場合における更正処分の取消訴訟においては,原則として,更正通知書に附記されていない理由を主張することは許されないが,例外的に,更正通知書の附記理由と訴訟において被告が主張する理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告の手続的権利に格別の支障がないと 更正通知書の附記理由と訴訟において被告が主張する理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告の手続的権利に格別の支障がないと認められる場合には,理由の差し替えを許容することができるというべきである。 また,処分理由の差し替えは,攻撃防御方法の提出であって,別個に課税処分を行うものではなく,既に除斥期間内に課税処分がなされている以上,納税義務者の法的地位を早期に安定させるという除斥期間の趣旨も一応達成されていることからすれば,上記のように,更正理由書の附記理由と訴訟において被告が主張する理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告の手続的権利に格別の支障がないと認められる場合においては,除斥期間経過後に理由の差し替えをすることも許されるというべきである。 イこれを本件についてみるに,同族会社の留保金課税は,同族会社と非同族会社及び個人企業における課税の公平を保つため,配当をしなくても会社と株主との間の利害が反しない会社(特定同族会社)について,当期の所得等の金額のうち留保した額から法人税額及び住民税額を控除して当期留保金額を求め,これが留保控除額を超える部分の留保金額に対して,10ないし20パーセントの累進税率で課税するという制度である(法人 税法67条)。 前記前提事実(8)イのとおり,原告P2は,原告P2・18年12月期の末日である平成18年12月31日時点において,発行済株式総数3000万株のうち,P8が700万株を,P8と特殊の関係のある個人であるP10が1300万株を,それぞれ保有しており,その株式保有割合が100分の50を超えていた(66.666パーセント)上,同族 00万株のうち,P8が700万株を,P8と特殊の関係のある個人であるP10が1300万株を,それぞれ保有しており,その株式保有割合が100分の50を超えていた(66.666パーセント)上,同族会社であることについての判定の基礎となる株主のうちに同族会社でない法人はないから,原告P2は,法人税法67条(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。)1項の同族会社に該当する。 同族会社である原告P2に対する留保金課税の額は,原告P2・18年12月期の所得等の金額が定まれば,法令の規定に基づいて自動的に算出される関係にあるところ,本件において原告P2の所得等の金額につき当事者間に争いがあるのは,本件受贈益であり,その加算の有無や額については,原告P2が審査請求の段階から争っていたものである(甲5,57)。 そうすると,本件留保金主張が追加されたからといって,本件受贈益の加算の有無や額に関する事実関係とは別に,新たな事実の認定を要するものではなく,原告P2には,実質的にみて不服申立ての段階から本件留保金主張を争う機会が与えられていたということができるのであって,原告P2・18年12月期各更正通知書の附記理由と本件留保金主張に係る理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,上記各更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告P2の手続的権利に格別の支障がないと認められる。 以上のとおりであるから,被告が本件留保金主張を行い,本件訴えにおいて処分理由を追加することは,許容されるというべきである。これと異なる原告P2の主張は,採用することができない。 9 争点9(過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由の存否)について (1) 通則法65条4項にいう「正当な理由」の意義通則法65条4項 告P2の主張は,採用することができない。 9 争点9(過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由の存否)について (1) 通則法65条4項にいう「正当な理由」の意義通則法65条4項は,修正申告書の提出又は更正に基づき納付すべき税額に対して課される過少申告加算税につき,その納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,その事実に対応する部分についてはこれを課さないこととしている。 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に課されるものであり,これにより,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。 そうすると,同項にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁,最高裁平成16年(行ヒ)第86号,第87号同18年4月25日第三小法廷判決民集60巻4号1728頁)。 (2) 検討ア前記前提事実(9)のとおり,本件各更正処分は,主として,本件各譲渡に関し本件受贈益の計上漏れがあると判断されたことに伴うものであり,当該判断過程においては,P4社における本件13社の地位やP27一族グループの地位を実質的に勘案して, 処分は,主として,本件各譲渡に関し本件受贈益の計上漏れがあると判断されたことに伴うものであり,当該判断過程においては,P4社における本件13社の地位やP27一族グループの地位を実質的に勘案して,評価通達185ただし書や同188の形式的な適用が排除されている。 イしかしながら,既に判示したとおり,本件においては,P4社における本件13社の地位が特殊なものであり,P4社がP27一族グループによ り実質的に支配されているという状況が認められ,このことは原告らにおいても認識可能であったことからすると,上記の評価通達の形式的な適用が排除される可能性があることは当然に検討すべきであったということができる。そして,前記前提事実(2)ウのとおり,本件各譲渡当時,P8は,P7相続税事件において敗訴判決を受けてこれが確定していたところ,当該判決において,P4社がP8及びその同族関係者によって実質的に支配されていた旨判示されていた(乙4の1及び2)ことをも勘案すれば,原告らは,本件各譲渡に関し,上記の評価通達の規定の形式的な適用が排除され,本件受贈益が加算されるという取扱いが正当であるとされる可能性があることを予想し得たというべきである。 以上のとおりであるから,原告らが,原告P1・17年12月期確定申告書,原告P2・17年12月期確定申告書,原告P2・18年12月期再修正申告書及び原告P2・19年12月期確定申告書のとおり,上記各法人税の申告をしたことについて,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるとまではいうことはできない。 ウしたがって,本件各賦課決定処分について,過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理 ても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合に当たるとまではいうことはできない。 ウしたがって,本件各賦課決定処分について,過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由は認められない。 10 本件各処分の適法性等について(1) 本件各譲渡における本件出資持分の1口当たりの価額以上で判示したところ及び弁論の全趣旨によれば,本件出資持分の1口当たりの適正価額は,以下のとおりと認められる。 ア本件平成17年各譲渡被告別表1のとおり,8万1287円(同第6表⑤欄。なお,これらの表の計算過程につき当事者に争いはなく,適正なものと認められる。) イ本件平成18年各譲渡被告別表3のとおり,10万9786円(同第6表⑤欄。なお,これらの表の計算過程につき当事者に争いはなく,適正なものと認められる。)(2) 本件各処分の適法性について以上を前提とすると,本件各処分は,以下のとおり,いずれも適法である。 ア原告P1の原告P1・17年12月期における法人税の所得金額及び納付すべき法人税額は,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第1の1に記載のとおりであり,同2に記載のとおり,原告P1・17年12月期更正処分は適法である。 原告P1賦課決定処分の根拠については,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第1の3(1)に記載のとおりであり,同(2)に記載のとおり,原告P1賦課決定処分は適法である。 イ原告P2の原告P2・17年12月期における法人税の所得金額及び納付すべき法人税額は,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第2の1に記載のとおりであり,同2に記載のとおり,原告P2・17年12月期更正処分は適法である。 原告P2・17年12月期賦課決定処分の根拠については,別紙4 「本件各処分の根拠及び適法性」の第2の1に記載のとおりであり,同2に記載のとおり,原告P2・17年12月期更正処分は適法である。 原告P2・17年12月期賦課決定処分の根拠については,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第2の3(1)記載のとおりであり,同(2)に記載のとおり,原告P2・17年12月期賦課決定処分は適法である。 ウ原告P2の原告P2・18年12月期における法人税の所得金額及び納付すべき法人税額は,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第3の1に記載のとおりであり,同2に記載のとおり,原告P2・18年12月期再更正処分は適法である。 原告P2・18年12月期各賦課決定処分の根拠については,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第3の3(1)及び(2)に記載のとおりであり,同(3)に記載のとおり,原告P2・18年12月期各賦課決定処分は適法 である。 エ原告P2の原告P2・19年12月期における法人税の所得金額及び納付すべき法人税額は,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第4の1に記載のとおりであり,同2に記載のとおり,原告P2・19年12月期更正処分は適法である。 原告P2・19年12月期賦課決定処分の適法性については,別紙4「本件各処分の根拠及び適法性」の第4の3(1)に記載のとおりであり,同(2)に記載のとおり,原告P2・19年12月期賦課決定処分は適法である。 11 結論よって,原告らの各請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官横田典子 裁判官 61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官横田典子 裁判官下和弘 (別紙3)関係法令等の定め第1 商法241条3項(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)及び有限会社法41条(平成17年法律第87号による廃止前のもの。以下同じ。) 1 商法241条3項は,会社,親会社及び子会社又は子会社が他の株式会社の総株主の議決権の4分の1を超える議決権又は他の有限会社の総社員の議決権の4分の1を超える議決権を有する場合においては,その株式会社又は有限会社はその有する会社又は親会社の株式については議決権を有しない旨規定している。 2 有限会社法41条は,商法241条3項の規定は有限会社の社員総会にこれを準用する旨規定している。 第2 法人税法(本法の改正経過は,本件の判断に影響を与えないので,本件各処分の内容や時期を踏まえ,適切と思われる条文を摘示することとし,各条文の冒頭にどの時点のものかを示す。) 1 22条(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。)(1) 1項は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨規定している。 (2) 2項は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする旨規定している。 (3) 4項は,2項に規定する当該事業年度の収益の額は,一般に公正妥当と認 役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする旨規定している。 (3) 4項は,2項に規定する当該事業年度の収益の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定している。 2 23条(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。)(1) 1項は,内国法人が受ける同項第1号に掲げる利益の配当又は剰余金の分 配の額(外国法人若しくは公益法人等又は人格のない社団等から受けるものを除く。以下,この条において「配当等の額」という。)のうち,連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等(株式,出資又は受益権をいう。以下同じ。)に係る配当等の額の100分の50に相当する金額並びに関係法人株式等に係る配当等の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない旨規定している。 (2) 2項は,配当等の額のうち,連結法人株式等に係る配当等の額は,当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない旨規定している。 (3) 4項は,1項の場合において,同項の内国法人が当該事業年度において支払う負債の利子があるときは,同項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入しない金額は,①その保有する連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等につき当該事業年度において受ける配当等の額の合計額から当該負債の利子の額のうち当該株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額の100分の50に相当する金額(同条4項1号),②その保有する関係法人株式等につき当該事業年度において受ける配当等の額の合計額から当該負債の利子の額のうち当該関係法人株式等に係る 額を控除した金額の100分の50に相当する金額(同条4項1号),②その保有する関係法人株式等につき当該事業年度において受ける配当等の額の合計額から当該負債の利子の額のうち当該関係法人株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額(同項2号)の合計額とする旨規定している。 (4) 5項は,1項及び4項に規定する関係法人株式等とは,内国法人が他の内国法人の発行済株式の総数又は出資金額の100分の25以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合として政令で定める場合における当該他の内国法人の株式又は出資をいう旨規定している。 (5) 6項は,1項及び2項の規定は,確定申告書の益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り,適用し,この 場合において,これらの規定により益金の額に算入されない金額は,当該金額として記載された金額を限度とする旨規定している。 (6) 7項は,税務署長は,1項及び2項の規定により益金の額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき6項の記載がない確定申告書の提出があった場合においても,その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは,その記載がなかった金額につき1項及び2項の規定を適用することができる旨規定している。 3 61条の2(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。)1項は,内国法人が有価証券の譲渡をした場合には,その譲渡に係る譲渡利益額(1号に掲げる金額が2号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第1号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は,その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上, える部分の金額をいう。)又は譲渡損失額(同号に掲げる金額が第1号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)は,その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上,益金の額又は損金の額に算入する旨規定している。 そして,同項1号は,その有価証券の譲渡に係る対価の額を,同項2号は,その有価証券の譲渡に係る原価の額を,それぞれ規定している。 4 67条(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。)(1) 1項は,内国法人である同族会社(同族会社であることについての判定の基礎となった株主又は社員のうちに同族会社でない法人がある場合には,当該法人をその判定の基礎となる株主又は社員から除外して判定するものとした場合においても同族会社となるものに限る。以下本条において同じ。)の各事業年度の留保金額が留保控除額を超える場合には,その同族会社に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は,66条1項又は2項の規定にかかわらず,これらの規定により計算した法人税の額に,その超える部分の留保金額を次の各号に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に当該各号に定める割合を乗じて計算した金額の合計額を加算した金額とする。 一年3000万円以下の金額 100分の10二年3000万円を超え,年1億円以下の金額 100分の15三年1億円を超える金額 100分の20(2) 2項は,1項に規定する留保金額とは,本項各号に掲げる金額の合計額(3項において「所得等の金額」という。)のうち留保した金額から,当該事業年度の所得の金額につき66条1項又は2項の規定により計算した法人税の額並びに当該法人税の額に係る地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額として政令で定めるところにより 業年度の所得の金額につき66条1項又は2項の規定により計算した法人税の額並びに当該法人税の額に係る地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税を含む。)の額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額をいう旨規定している。 (3) 3項は,1項に規定する留保控除額とは,次に掲げる金額のうち最も多い金額をいう旨規定している。 一当該事業年度の所得等の金額の100分の35に相当する金額二年1500万円三当該事業年度終了の時における利益積立金額(当該事業年度の所得等の金額に係る部分の金額を除く。)がその時における資本の金額又は出資金額の100分の25に相当する金額に満たない場合におけるその満たない部分の金額に相当する金額(4) 7項は,2項に規定する留保した金額から除く金額その他1項から3項までの規定の適用に関し必要な事項は,政令で定める旨規定している。 第3 法人税法施行令(本法の改正経過は,本件の判断に影響を与えないので,本件各処分の内容や時期を踏まえ,適切と思われる条文を摘示することとし,各条文の冒頭にどの時点のものかを示す。) 1 4条(ただし,平成18年政令第125号による改正前のもの。)(1) 1項は,その柱書において,法人税法2条10号(同族会社の意義)に規定する政令で定める特殊の関係のある個人は,同令4条1項各号に掲げる者とする旨規定し,同項1号は,株主等の親族を掲げている。 (2) 2項は,その柱書きにおいて,法人税法2条10号に規定する政令で定める特殊の関係のある法人は,同令4条2項各号に掲げる会社とする旨規定し,同項1号から3号までは,次のアからウまでのとおり掲げている。 ア 1号同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等(当該会社が自 法人は,同令4条2項各号に掲げる会社とする旨規定し,同項1号から3号までは,次のアからウまでのとおり掲げている。 ア 1号同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等(当該会社が自己の株式又は出資を有する場合の当該会社を除く。以下,法人税法施行令4条2項及び3項において「判定会社株主等」という。なお,同令において,「株主等」とは,株主又は合名会社,合資会社若しくは有限会社の社員その他法人の出資者をいう(同令1条,法人税法2条14号)。)の1人(個人である判定会社株主等については,その1人及びこれと同令4条1項に規定する特殊の関係のある個人。以下同条2項において同じ。)が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。 同項2号及び3号において同じ。)の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合における当該他の会社イ 2号判定会社株主等の1人及びこれと法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある会社が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合における当該他の会社ウ 3号判定会社株主等の1人及びこれと法人税法施行令4条2項1号及び2号に規定する特殊の関係のある会社が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合におけ る当該他の会社(3) 3項は,同一の個人又は法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)と同条2項に規定する特殊の関係のある2以上の会社が,判定会社株主等である場合 に相当する場合におけ る当該他の会社(3) 3項は,同一の個人又は法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)と同条2項に規定する特殊の関係のある2以上の会社が,判定会社株主等である場合には,その2以上の会社は,相互に同項に規定する特殊の関係のある会社であるものとみなす旨規定している。 2 22条(ただし,平成18年政令第125号による改正前のもの。)(1) 1項は,法人税法23条4項1号(受取配当等の益金不算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は,当該事業年度において支払う同項に規定する負債の利子の額の合計額に,法人税法施行令22条1項1号に掲げる金額のうちに同項2号に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨規定し,①同項1号は,法人税法23条4項の内国法人の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額(法人税法施行令22条1項1号イからニまでに掲げる金額がある場合にはこれを減算し,同号ヘに掲げる金額がある場合にはこれを加算した金額)の合計額を掲げ,②同項2号は,1号の内国法人の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度終了の時における法人税法23条4項に規定する連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式及び出資並びに租税特別措置法3条の2に規定する特定株式投資信託及び同法68条の3の4第1項に規定する特定投資信託の受益証券の帳簿価額の合計額(ただし,証券投資信託の受益証券のないとき。法人税法施行令22条1項2号)を掲げている。 (2) 2項は,法人税法23条4項2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は,同項の内国法人が同項の事業年度において支払う負債の利子の額の合計額に,法人税法施行令22条2項1号に掲げる (2) 2項は,法人税法23条4項2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は,同項の内国法人が同項の事業年度において支払う負債の利子の額の合計額に,法人税法施行令22条2項1号に掲げる金額のうちに同項2号に掲げる金額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨規定し,①同項1号は,同条1項1号に掲げる金額を掲げ,②同条2項2号は,同条1項 1号の内国法人の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度終了の時における法人税法23条4項に規定する関係法人株式等の帳簿価額の合計額を掲げている。 (3) 3項は,平成10年4月1日に存する内国法人は,同令22条1項及び2項の規定にかかわらず,①当該事業年度において支払う負債の利子の額の合計額(以下「当該事業年度の負債利子額の合計額」という。)に,同日から平成12年3月31日までの間に開始した各事業年度(以下,この条において「基準年度」という。)において支払った負債の利子の額の合計額(以下「基準年度の負債利子額の合計額」という。)のうちに基準年度の法人税法23条4項1号に規定する連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係る負債の利子の額として法人税法施行令22条1項の規定により計算した金額の合計額の占める割合を乗じて計算した金額をもって法人税法23条4項1号に規定する政令で定めるところにより計算した金額とし,②当該事業年度の負債利子額の合計額に,基準年度の負債利子額の合計額のうちに基準年度の法人税法23条4項2号に規定する関係法人株式等に係る負債の利子の額として法人税法施行令22条2項の規定により計算した金額の合計額の占める割合を乗じて計算した金額をもって法人税法23条4項2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額とすることができる旨規定している。 法施行令22条2項の規定により計算した金額の合計額の占める割合を乗じて計算した金額をもって法人税法23条4項2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額とすることができる旨規定している。 3 119条(ただし,平成18年政令第125号による改正前のもの。)1項柱書は,内国法人が有価証券の取得をした場合には,その取得価額は,同項各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額とする旨規定している。そして,上記有価証券の区分及び金額に関し,同項1号は,購入した有価証券については,その購入の代価とし,同項8号は,同項1号ないし7号に規定する方法以外の方法により取得をした有価証券については,その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額とする旨,それぞれ 規定している。 第4 法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)による国税庁長官通達。なお,本通達の改正経過は本件の判断に影響を与えないので,本件各処分の内容や時期を踏まえ,適切と思われるものを摘示することとする。) 1 2-3-4法人税基本通達2-3-4は,法人が無償又は低い価額で有価証券を譲渡した場合における法人税法61条の2第1項1号に規定する譲渡に係る対価の額の算定に当たっては,同通達9-1-8,9-1-13及び9-1-14の取扱いを準用する旨規定している。 2 9-1-13(上場有価証券等以外の株式の価額)法人税基本通達9-1-13は,上場有価証券等以外の株式につき法人税法33条2項の資産の評価損の損金算入規定を適用する場合の当該株式の価額について,①売買実例のあるもの(同(1)),②公開途上にある株式及(同(2))及び③売買実例のないものでその株式を発行する法人と事業の種類,規模,収益の状況等が類似する他の法 場合の当該株式の価額について,①売買実例のあるもの(同(1)),②公開途上にある株式及(同(2))及び③売買実例のないものでその株式を発行する法人と事業の種類,規模,収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの(同(3))のいずれにも該当しないもの(同(4))については,当該事業年度終了の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了の時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額とする旨規定し,①売買実例のあるものについては,当該事業年度終了の日前6か月間において売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額を当該株式の価額とする旨規定している。 3 9-1-14(上場有価証券等以外の株式の価額の特例)法人税基本通達9-1-14は,上場有価証券等以外の株式について評価損の計上を行う場合の具体的な期末時価の算定方法について,上記2の①及び②に該当せず,評価通達(後記第5参照)178ないし189-7の例によって 算定した価額によってその時価を算定しているときは,課税上弊害がない限り,次によることを条件としてこれを認める旨規定している。 (1) 当該株式の価額につき評価通達179の例により算定する場合(同通達189-3(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において,当該法人が当該株式の発行会社にとって同通達188(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは,当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。 (2) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは,評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは,評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり,これらの資産については当該事業年度終了の時における価額によること。 (3) 評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり,同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。 第5 財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17(例規)による国税庁長官通達。以下「評価通達」という。なお,本通達の改正経過は本件の判断に影響を与えないので,本件各処分の内容や時期を踏まえ,適切と思われるものを摘示することとする。) 1 評価通達1(2)は,財産の価額は,時価によるものとし,時価とは,課税時期(相続,遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続,遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法2条4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい,その価額は,同通達の定めによって評価した価額による旨を定めている。もっとも,同通達6は,同通達 の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する旨規定している。。 また,同通達は,取引相場のない株式(上場株式及び気配相場等のある株式以外の株式をいう(同通達168(3))。以下同じ。)の評価方法について,同通達178から193-2までの定めを している。。 また,同通達は,取引相場のない株式(上場株式及び気配相場等のある株式以外の株式をいう(同通達168(3))。以下同じ。)の評価方法について,同通達178から193-2までの定めを置いており,同通達194は,合名会社,合資会社又は有限会社に対する出資の価額は,上記各定めに準じて計算した価額によって評価する旨規定している。。 2 178(取引相場のない株式の評価上の区分)評価通達178本文は,取引相場のない株式の価額は,評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が,大会社,中会社又は小会社のいずれに該当するかに応じて,同通達179の定めによって評価する旨規定している。そして,評価通達178ただし書は,同族株主(同通達188(1)に定める同族株主をいう。)以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式の価額は,それぞれ同通達188又は189の定めによって評価する旨規定している。 また,評価通達178の表において,従業員数が100人以上の会社は大会社に該当し,同表において,小会社は,従業員数が100人未満の会社で,かつ,卸売業,小売・サービス業以外の業種の場合,総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が5000万円未満又は従業員数が5人以下で,直前期末以前1年間における取引金額が8000万円未満のいずれにも該当する会社をいう。ここで,各用語の意味は以下の(1)ないし(4)のとおりである。 (1) 「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は,課税時期の直前に終了した事業年度の末日(以下「直前期末」という。)における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額とする。 (2) 「従業員数」は,直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当た 末」という。)における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額とする。 (2) 「従業員数」は,直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が 30時間未満である従業員を除く。以下,評価通達178において「継続勤務従業員」という。)の数に,直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は,1800時間とする。 (3) 「直前期末以前1年間における取引金額」は,その期間における評価会社の目的とする事業に係る収入金額(金融業・証券業については収入利息及び収入手数料)とする。 (4) 評価会社が「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」のいずれの業種に該当するかは,前記ウの直前期末以前1年間における取引金額(以下,評価通達178及び同通達181-2において「取引金額」という。)に基づいて判定し,当該取引金額のうちに2以上の業種に係る取引金額が含まれている場合には,それらの取引金額のうち最も多い取引金額に係る業種によって判定する。 3 179(取引相場のない株式の評価の原則)評価通達179(1)は,同通達178により区分された大会社の株式の価額は,類似業種比準価額によって評価する(以下「類似業種比準方式」という。)が,納税義務者の選択により,1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額。以下「純資産価額(相続税評価額)」という。)によって評価する(以下「純資産価額方式」という。)ことができる旨規定している。 また,同(2)は, りの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額。以下「純資産価額(相続税評価額)」という。)によって評価する(以下「純資産価額方式」という。)ことができる旨規定している。 また,同(2)は,同通達178により区分された中会社の株式の価額は,「類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)」(Lは,評価会社の同通達178に定める課税時期の直前期末における総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて,それぞれ同通達179 (2)イ及びロに掲げる割合のうちいずれか大きい方の割合とする。)の算式により計算した金額によって評価するが,納税義務者の選択により,算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額)によって計算することができる旨規定している。 さらに,同(3)は,同通達178により区分された小会社の株式の価額は,純資産価額方式によって評価するが,Lを0.50として同(2)の算式により計算した金額によって評価することができる旨規定している。 4 180(類似業種比準価額)評価通達180は,同通達179の類似業種比準価額は,類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額,年利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額。以下「純資産価額(帳簿価額)」という。)を基とし,次の算式によって計算した金額とすることとし,この場合において,評価会社の直前期末における資本金額を直前期末における発行済株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その計算した金額に,1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算した金額とする旨規定している。 (1) 上 株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その計算した金額に,1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算した金額とする旨規定している。 (1) 上記算式中の「A」,「○B」,「○C」,「○D」,「B」,「C」及び「D」は,それぞれ次による。 「A」=類似業種の株価「○B」=評価会社の直前期末における1株当たりの配当金額「○C」=評価会社の直前期末以前1年間における1株当たりの利益金額「○D」=評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額(帳簿価額)「B」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額 「C」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額「D」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額)(2) 上記算式中の「0.7」は,同通達178に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」,同項に定める小会社の株式を評価する場合には「0. 5」とする。 (3) 上記計算中の○Cの金額が0の場合は,分母の「5」は「3」とする。 5 185(純資産価額)評価通達185は,その本文において,同通達179にいう1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,課税時期における各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額(以下「法人税額等相当額」という。)を控除した金額を課税時期における発行済株式数で除して計算した金額とする旨規定している。 同通達185ただし書は,小会社の株式の価額の評価(同通達179(3))でも用いる1株当たりの純資産価額(相続税評価額)については,株式の取得者とその同族 して計算した金額とする旨規定している。 同通達185ただし書は,小会社の株式の価額の評価(同通達179(3))でも用いる1株当たりの純資産価額(相続税評価額)については,株式の取得者とその同族関係者(同通達188(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下である場合においては,同通達185本文により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)に100分の80を乗じて計算した金額とする旨規定している。 6 186-2(評価差額に対する法人税額等に相当する金額)評価通達186-2は,同通達185の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」は,同(1)の金額から同(2)の金額を控除した残額がある場合におけるその残額に45パーセント(法人税,事業税,道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合)を乗じて計算した金額とする旨規定している。 7 188(同族株主以外の株主等が取得した株式) (1) 評価通達188柱書は,同通達178の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は,同通達188(1)から(4)までのいずれかに該当する株式をいい,その株式の価額は,同通達188-2の定め,すなわち配当還元方式による旨規定している。 (2) 同通達188(1)は,「同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」を掲げ,この場合における「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする。以下同じ 又は法人をいう。ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超である会社にあっては,50パーセント超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう旨規定している。 (3) 評価通達188(2)は,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員(社長,理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号及び第3号に掲げる者をいう。以下同通達188において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式」を掲げ,この場合における「中心的な同族株主」とは,課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である会社を含む。) の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である場合におけるその株主をいう旨規定している。 8 評価通達188-4(議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数等)評価通達188-4は,同通達188(1)から(4)までにおいて,評価会社の株主のうちに商法241条3項の規定により評価会社の 8-4(議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数等)評価通達188-4は,同通達188(1)から(4)までにおいて,評価会社の株主のうちに商法241条3項の規定により評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社があるときは,当該会社の有する評価会社の議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意し,評価会社の株主の同族関係者に該当するかどうかを判定するときにおいても,また同様となる旨規定している。 9 評価通達189(特定の評価会社の株式)(1) 評価通達189柱書は,同通達178の「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた同通達189(1)ないし(6)の評価会社の株式をいい,その株式の価額は,同(1)ないし(6)の区分に従い,それぞれに掲げるところによる旨規定している。 (2) 同通達189(2)は,課税時期において評価会社の有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合(以下「株式保有割合」という。)が25パーセント以上(同通達178に定める中会社及び小会社については,50パーセント以上)である評価会社(以下「株式保有特定会社」という。)の株式の価額は,同通達189-3の定めによる旨規定している。 評価通達189-3(株式保有特定会社の株式の評価)評価通達189-3本文は,株式保有特定会社の株式の価額について,同通達185本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)によって評価し,この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の 合計数が株式保有特定会社 産価額(相続税評価額)によって評価し,この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の 合計数が株式保有特定会社の同通達185ただし書に定める議決権総数の50パーセント以下であるときには,上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)を基に同通達185ただし書の定めにより計算した金額とする旨規定している。 また,同通達189-3ただし書は,株式保有特定会社の株式の価額は,納税義務者の選択により,同(1)の「S1の金額」と同(2)の「S2の金額」との合計額によって評価する(以下,この方式を「S1+S2」方式」という。)ことができる旨規定している。 (別紙4)本件各処分の根拠及び適法性第1 原告P1に対する更正処分等の根拠及び適法性 1 原告P1更正処分の根拠原告P1更正処分について,原告P1・17年12月期に係る法人税の所得金額及び納付すべき税額は,後記2のとおり訂正する(被告準備書面(1)31頁)ほか,それぞれ別表5のとおりであり,各項目の金額は,次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表5③欄) 98億3097万6444円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表5①欄) 88億2436万8444円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された所得金額と同額である。 イ受贈益計上漏れ(別表5②欄) 10億660万8000円上記金額は,原告P1が,平成17年3月31日にP3から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格3万9235円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額8万1177円との差額4万1942円に譲受 上記金額は,原告P1が,平成17年3月31日にP3から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格3万9235円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額8万1177円との差額4万1942円に譲受口数である2万4000口を乗じて得られた金額であり,原告P1において生ずる受贈益に当たり,原告P1・17年12月期の法人税の所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表5④欄) 29億4929万2800円上記金額は,上記(1)の所得金額(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額。以下同じ。)に法人税法66条に定める税率(ただし,平成18年法律第10号による廃止前の経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条1項を適用した後のも の。)を乗じて算出した金額である。 (3) 法人税額の特別控除額(別表5⑤欄) 2億7666万7444円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された法人税額の特別控除額と同額である。 (4) 課税留保金額に対する法人税額(別表5⑦欄)4億3847万9400円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された留保所得金額78億9817万3524円に上記(1)イの金額を加算して算出した原告P1の留保所得金額89億478万1524円につき,法人税法67条及び通則法118条1項の各規定に基づき算出した課税留保金額22億2489万7000円(別表5⑥欄)に対し,法人税法67条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (5) 法人税額から控除される所得税額等(別表5⑨欄) 2688万626円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された控除 法67条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (5) 法人税額から控除される所得税額等(別表5⑨欄) 2688万626円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された控除所得税額等の金額と同額である。 (6) 納付すべき法人税額(別表5⑩欄) 30億8422万4100円上記金額は,上記(2)及び(4)の合計金額から上記(3)及び(5)の合計金額を差し引いた金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後の金額。以下同じ。)である。 (7) 既に納付の確定した本税額(別表5⑪欄) 27億2428万1100円上記金額は,原告P1・17年12月期確定申告書に記載された差引所得に対する法人税額と同額である。 (8) 差引納付すべき法人税額(別表5⑫欄) 3億5994万3000円上記金額は,上記(6)の金額から上記(7)の金額を差し引いた金額であり,原告P1更正処分により原告P1が新たに納付すべき法人税額である。 2 原告P1更正処分の適法性被告が本件訴訟において主張する原告P1・17年12月期の法人税に係る 所得金額は,上記1(1)イについて,本件P3出資持分譲渡1の時点における本件出資持分譲渡の適正価額を8万1287円に訂正したものであり,原告P1に生じた受贈益として益金の額に算入すべき金額が10億924万8000円となることから,98億3361万6444円である。 そうすると,原告P1更正処分における所得金額は,適正な所得金額を下回っており,これに伴い同処分における納付すべき法人税額も,適正な納付すべき法人税額を下回ることになるから,原告P1更正処分は適法である。 3 原告P1賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P1更正処分に伴って賦課される過少申告 る納付すべき法人税額も,適正な納付すべき法人税額を下回ることになるから,原告P1更正処分は適法である。 3 原告P1賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P1更正処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,原告P1更正処分により原告P1が新たに納付すべきこととなった税額3億5994万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に100分の10の割合(通則法65条1項)を乗じて算出した3599万4000円となる。 (2) 上記2で述べたところに照らせば,原告P1賦課決定処分における過少申告加算税の額は,原告P1・17年12月期の法人税に係る適正な過少申告加算税の額を下回ることになるから,原告P1賦課決定処分は適法である。 第2 原告P2・17年12月期更正処分等の根拠及び適法性 1 原告P2・17年12月期更正処分の根拠原告P2・17年12月期更正処分について,原告P2・17年12月期に係る法人税の所得金額及び納付すべき税額は,後記2のとおり訂正する(被告準備書面(1)32,33頁)ほか,それぞれ別表6のとおりであり,各項目の金額は,次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表6③欄) 53億1685万6066円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表6①欄) 3億4925万3776円上記金額は,原告P2・17年12月期確定申告書に記載された所得金 額と同額である。 イ受贈益計上漏れ(別表6②欄) 49億6760万2290円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計金額である。 (ア) P3から本件出資持分を譲り受けた際に生ずる受贈益10億 49億6760万2290円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計金額である。 (ア) P3から本件出資持分を譲り受けた際に生ずる受贈益10億639万8290円原告P2が,平成17年3月31日にP3から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格3万9235円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額8万1177円との差額4万1942円に譲受口数である2万3995口を乗じて得られた金額であり,原告P2において生ずる受贈益に当たり,原告P2・17年12月期の法人税の所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 (イ) 本件13社から本件出資持分を譲り受けた際に生ずる受贈益39億6120万4000円原告P2が,平成17年10月ないし同年12月に本件13社から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格5000円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額8万1177円との差額7万6177円に譲受口数である5万2000口を乗じて得られた金額であり,原告P2において生ずる受贈益に当たり,原告P2・17年12月期の法人税の所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表6④欄) 15億9441万6800円上記金額は,上記(1)の所得金額に法人税法66条に定める税率(ただし,平成18年法律第10号による廃止前の経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条1項を適用した後のもの。)を乗じて算出した金額である。 (3) 法人税額から控除される所得税額等(別表6⑨欄)2089万2069円上記金額は,原告P2・17年12月期確定申告書に記載された控除所得 用した後のもの。)を乗じて算出した金額である。 (3) 法人税額から控除される所得税額等(別表6⑨欄)2089万2069円上記金額は,原告P2・17年12月期確定申告書に記載された控除所得 税額等の金額と同額である。 (4) 納付すべき法人税額(別表6⑩欄) 15億7352万4700円上記金額は,上記(2)の金額から上記(3)の金額を差し引いた金額である。 (5) 既に納付の確定した本税額(別表6⑪欄) 8324万3800円上記金額は,原告P2・17年12月期確定申告書に記載された差引所得に対する法人税額と同額である。 (6) 差引納付すべき法人税額(別表6⑫欄) 14億9028万900円上記金額は,上記(4)の金額から上記(5)の金額を差し引いた金額であり,原告P2・17年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべき法人税額である。 2 原告P2・17年12月期更正処分の適法性原告P2・17年12月期の法人税に係る適正な所得金額は,上記1(1)イについて,各譲渡の時点における本件出資持分譲渡の適正価額を8万1287円に訂正したものであり,原告P2に生じた受贈益として益金の額に算入すべき金額が10億903万7740円と39億6692万4000円との合計49億7596万1740円となることから,53億2521万5516円である。 そうすると,原告P2・17年12月期更正処分における所得金額は,適正な所得金額を下回っており,これに伴い同処分における納付すべき法人税額も,適正な納付すべき法人税額を下回ることになるから,上記更正処分は適法である。 3 原告P2・17年12月期賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P2・17年12月期賦課決定処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,次の ることになるから,上記更正処分は適法である。 3 原告P2・17年12月期賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P2・17年12月期賦課決定処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,次のア及びイの金額の合計2億1833万5000円である。 ア原告P2・17年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった上記1(6)の税額14億9028万円に100分の10の割 合(通則法65条1項)を乗じて算出した金額1億4902万8000円イ原告P2・17年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額14億9028万900円のうち通則法65条3項に規定する期限内申告税額に相当する金額1億413万5869円と50万円とのいずれか多い金額である1億413万5869円を超える部分の額13億8614万円に対して100分の5の割合(通則法65条2項)を乗じて算出した金額6930万7000円(2) 上記2で述べたところに照らせば,原告P2・17年12月期賦課決定処分における過少申告加算税の額は,原告P2・17年12月の法人税に係る適正な過少申告加算税の額を下回ることになるから,上記賦課決定処分は適法である。 第3 原告P2・18年12月期再更正処分等の根拠と適法性 1 原告P2・18年12月期再更正処分の根拠原告P2・18年12月期に係る法人税の適正な所得金額及び納付すべき税額は,それぞれ別表7のとおりであり,各項目の金額は次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表7⑤欄) 13億1797万8872円上記金額は,次のアの金額にイ及びウの金額を加算し,エの金額を減算した金額である。 ア申告所得金額(別表7①欄) 1億5736万3581円上記金額は,原告P2 797万8872円上記金額は,次のアの金額にイ及びウの金額を加算し,エの金額を減算した金額である。 ア申告所得金額(別表7①欄) 1億5736万3581円上記金額は,原告P2・18年12月期再修正申告書に記載された所得金額と同額である。 イ受贈益計上漏れ(別表7②欄) 16億5019万9720円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の金額の合計金額である。 (ア) 原告P1から本件出資持分を譲り受けた際に生ずる受贈益16億4985万6000円 原告P2が,平成18年3月20日に原告P1から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格4万1042円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額10万9786円との差額6万8744円に譲受口数である2万4000口を乗じて得られた金額であり,原告P2において生ずる受贈益に当たり,原告P2・18年12月期の法人税の所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 (イ) P8から本件出資持分を譲り受けた際に生ずる受贈益34万3720円原告P2が,平成18年3月20日にP8から譲り受けた本件出資持分の1口当たりの譲受価格4万1042円と当該本件出資持分の1口当たりの適正価額10万9786円との差額6万8744円に譲受口数である5口を乗じて得られた金額であり,原告P2において生ずる受贈益に当たり,原告P2・18年12月期の法人税の所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 ウ受取配当等の益金不算入の過大額(別表7③欄)1114万9871円上記金額は,法人税法23条に基づき算出される原告P2・18年12月期の受取配当等の益金不算入額6551万227円と原 ある。 ウ受取配当等の益金不算入の過大額(別表7③欄)1114万9871円上記金額は,法人税法23条に基づき算出される原告P2・18年12月期の受取配当等の益金不算入額6551万227円と原告P2・18年12月期法人税再修正申告書に記載された受取配当等の益金不算入額7666万98円との差額に相当する金額であり,原告P2・18年12月期において所得の金額の計算上,益金不算入の額と認められない金額である。 エ事業税の損金算入(別表7④欄) 5億73万4300円上記金額は,原告P2・17年12月期更正処分に伴い増加する事業税相当額であり,原告P2・18年12月期の損金の額に算入される金額である。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表7⑥欄) 3億9475万3400円 上記金額は,上記(1)の所得金額に法人税法66条に定める税率を乗じて算出した金額である。 (3) 課税留保金額に対する法人税額(別表7⑨欄) 6605万3800円上記金額は,原告P2・18年12月期再修正申告書に記載された留保所得金額2億952万2698円に上記(1)イの金額を加算し,上記(1)エの金額を減算して算出した原告P2の留保所得金額13億5898万8118円から,法人税法67条及び通則法118条1項の各規定に基づき算出した課税留保金額3億6276万9000円に対し,法人税法67条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (4) 法人税額から控除される所得税額等(別表7⑪欄)2446万9688円上記金額は,原告P2・18年12月期法人税再修正申告書に記載された控除所得税額等の金額と同額である。 (5) 納付すべき法人税額(別表7⑫欄) 4億3633万7500円上記金額は,上記(2)及び(3)の合計金額から 2月期法人税再修正申告書に記載された控除所得税額等の金額と同額である。 (5) 納付すべき法人税額(別表7⑫欄) 4億3633万7500円上記金額は,上記(2)及び(3)の合計金額から上記(4)の金額を差し引いた金額である。 (6) 既に納付の確定した本税額(別表7⑬欄) 2209万9200円上記金額は,原告P2・18年12月期再修正申告書に記載された差引所得に対する法人税額と同額である。 (7) 差引納付すべき法人税額(別表7⑭欄) 4億1423万8300円上記金額は,上記(5)の金額から上記(6)の金額を差し引いた金額である。 なお,上記納付すべき法人税額のうち,原告P2・18年12月期各更正処分に係る税額は,次のとおりである。 ア原告P2・18年12月期更正処分 3億4600万1400円イ原告P2・18年12月期再更正処分 778万4700円 2 原告P2・18年12月期再更正処分の適法性原告P2・18年12月期再更正処分における所得金額及び納付すべき法人 税額は,それぞれ13億3665万817円及び3億7588万5300円である。そして,原告P2・18年12月期の法人税に係る適正な所得金額及び納付すべき法人税額は,上記2のとおり,それぞれ13億1797万8872円及び4億3633万7500円である。そうすると,原告P2・18年12月期再更正処分における納付すべき法人税額は,適正な納付すべき法人税額を下回ることになるから,上記再更正処分は適法である。 3 原告P2・18年12月期各賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P2・18年12月期賦課決定処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,次のア及びイの金額の合計5051万9500円である。 ア原告P2・18年12 各賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P2・18年12月期賦課決定処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,次のア及びイの金額の合計5051万9500円である。 ア原告P2・18年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった上記1(7)アの税額3億4600万円に100分の10の割合(通則法65条1項)を乗じて算出した金額3460万円イ原告P2・18年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額3億4600万1400円のうち通則法65条3項に規定する期限内申告税額に相当する金額2760万4088円と50万円とのいずれか多い金額である2760万4088円を超える部分の額3億1839万円に対して100分の5の割合(通則法65条2項)を乗じて算出した金額1591万9500円(2) 原告P2・18年12月期再賦課決定処分に伴って賦課されるべき適正な過少申告加算税の金額は,次のア及びイの金額の合計116万7000円である。 ア原告P2・18年12月期再更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった上記1(7)イの税額778万円に100分の10の割合(通則法65条1項)を乗じて算出した金額77万8000円イ原告P2・18年12月期再更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額778万4700円が,原告P2・18年12月期各 更正処分により新たに納付すべきこととなった税額の合計金額3億5378万6100円から,通則法65条3項に規定する期限内申告税額に相当する金額2760万4088円と50万円とのいずれか多い金額である2760万4088円を差し引いた額3億2618万2012円に満たないため,新たに納付すべきこととなった778万円に対して100分の5の割合(通則 0万4088円と50万円とのいずれか多い金額である2760万4088円を差し引いた額3億2618万2012円に満たないため,新たに納付すべきこととなった778万円に対して100分の5の割合(通則法65条2項)を乗じて算出した金額38万9000円(3) 原告P2・18年12月期各賦課決定処分における過少申告加算税の合計額は,原告P2・18年12月の法人税に係る適正な過少申告加算税の額を下回ることになるから,上記各賦課決定処分は適法である。 第4 原告P2・19年12月期更正処分等の根拠と適法性 1 原告P2・19年12月期更正処分の根拠原告P2・19年12月期に係る適正な法人税の所得金額及び納付すべき税額は,それぞれ別表8のとおりであり,各項目の金額は次に述べるとおりである。 (1) 所得金額(別表8③欄) 10億1434万6403円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算した金額である。 ア申告所得金額(別表8①欄) 9億7860万339円上記金額は,原告P2・19年12月期確定申告書に記載された所得金額と同額である。 イ受取配当等の益金不算入額の過大額(別表8②欄)3574万6064円上記金額は,法人税法23条に基づき算出される原告P2・19年12月期の受取配当等の益金不算入額2381万8235円と原告P2・19年12月期確定申告書に記載された受取配当金等の益金不算入額5956万4299円との差額に相当する金額であり,原告P2・19年12月期において所得の金額の計算上,益金不算入の額と認められない金額であ る。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表8④欄) 3億366万3800円上記金額は,上記(1)の所得金額に法人 期において所得の金額の計算上,益金不算入の額と認められない金額であ る。 (2) 所得金額に対する法人税額(別表8④欄) 3億366万3800円上記金額は,上記(1)の所得金額に法人税法66条に定める税率を乗じて算出した金額である。 (3) 課税留保金額に対する法人税額(別表8⑦欄) 1646万4400円上記金額は,原告P2・19年12月期確定申告書に記載された留保所得金額8億8264万6247円に,平成19年3月8日に開催の定時株主総会において決議され,同日付けで配当された前事業年度末日を基準日とする配当金の額6000万円を加算し,当期末配当等の額,法人税額及び住民税額を減算して算出した当期留保金額6億5681万5393円を基礎として,法人税法67条及び通則法118条1項の各規定に基づき算出した課税留保金額1億1482万2000円に法人税法67条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (4) 法人税額から控除される所得税額等(別表8⑨欄)1億4069万1352円上記金額は,原告P2・19年12月期確定申告書に記載された控除所得税額等の金額と同額である。 (5) 納付すべき法人税額(別表8⑩欄) 1億7943万6800円上記金額は,上記(2)及び(3)の合計金額から上記(4)の金額を差し引いた金額である。 (6) 既に納付の確定した本税額(別表8⑪欄) 1億6091万3500円上記金額は,原告P2・19年12月期確定申告書に記載された差引所得に対する法人税額と同額である。 (7) 差引納付すべき法人税額(別表8⑫欄) 1852万3300円上記金額は,上記(5)の金額から上記(6)の金額を差し引いた金額であり,原告P2・19年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべき すべき法人税額(別表8⑫欄) 1852万3300円上記金額は,上記(5)の金額から上記(6)の金額を差し引いた金額であり,原告P2・19年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべき法人 税額である。 2 原告P2・19年12月期更正処分の適法性原告P2・19年12月期の法人税に係る適正な所得金額及び納付すべき法人税額は,上記1のとおり,それぞれ10億1434万6403円及び1億7943万6800円であり,原告P2・19年12月期更正処分における所得金額及び納付すべき法人税額は,上記金額と同額であるから,上記更正処分は適法である。 3 原告P2・19年12月期賦課決定処分の根拠と適法性(1) 原告P2・19年12月期賦課決定処分に伴って賦課される過少申告加算税の金額は,原告P2・19年12月期更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった上記1(7)の税額1852万円に100分の10の割合(通則法65条1項)を乗じて算出した185万2000円である。 (2) 原告P2・19年12月期賦課決定処分における過少申告加算税の額は,上記のとおりであり,原告P2・19年12月期の法人税に係る適正な過少申告加算税の額は,上記金額と同額であるから,上記賦課決定処分は適法である。 (別紙5)当事者の主張の要旨第1 資産の低額譲受けにつき受贈益相当額が法人税法22条2項の「収益」に該当するか否か(争点1)について 1 被告の主張の要旨(1) 法人税法22条2項は,「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該 上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」と規定し,無償による資産の譲受けその他の取引からも収益が生ずる旨を定めている。 (2) 法人税法の他の条文との整合性からしても資産の低額譲受けの場合にも法人税法22条2項の適用が及ぶことア法人税法上の用語の解釈に当たっては,まず,同法の他の規定との整合性を重視すべきことはいうまでもない。 イ寄附金の損金不算入を定める法人税法37条は,同条8項において,「その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは,当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額」は寄附金の額に含まれる旨規定している。この規定ぶりからすれば,同項は,寄附を受けた者側の観点からみた資産の低額譲受け等においては,実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる部分が含まれるとの前提に立っていることは明らかである。 ウまた,平成22年の税制改正により創設された法人税法25条の2(平成22年法律第6号により追加)は,その1項において,同法22条2項の別段の定めとして,「内国法人が各事業年度において当該内国法人との 間に完全支配関係(引用者注:法人税法2条12の7の6号に定める関係のこと)(中略)がある他の内国法人から受けた受贈益の額(中略)は,当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない」旨を定めている。そして,同法25条の2第3項においては,「その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時におけ (中略)は,当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない」旨を定めている。そして,同法25条の2第3項においては,「その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは,当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与を受けたと認められる金額」も同条の受贈益に含まれる旨規定している。これは,低額による資産の譲受けにより生ずる,当該資産の譲受けに係る対価の額と譲受時における適正な価額との差額である受贈益も,当然に収益として同法22条2項の益金の額に算入されることを前提とした上で,別段の定めとして,そのうちの同法25条の2第1項の要件に該当するものを益金の額に算入しない旨を定めたものである(なお,同年の税制改正において,同法22条2項は,何ら改正されていない。)。 エよって,資産を譲り受けた者側の観点からみて,資産の譲受けの時における適正な価額より低額の対価で資産の譲受けを受けた場合に,適正な対価との差額について,実質的には無償による贈与を受けたものとして,法人税法22条2項の無償による資産の譲受けに係る収益に含まれると解することは,合理的な解釈である。 (3) 資産の低額譲受けの場合の収益の額も益金の額に算入するのが法人税法22条2項の趣旨と解されることア法人税法22条2項は,代表的な取引を列挙したのちに,「その他の取引で資本等取引以外のもの」(引用者注:「資本等取引」については,同条5項で定義されている。)から生じる収益を含めて包括的に益金の額に算入すべきと規定しているのであって,あえて資産の低額譲受けの場合の収益を益金の額から除外していると解するのは,その文理に従った解釈と して不自然である。 イ法 を含めて包括的に益金の額に算入すべきと規定しているのであって,あえて資産の低額譲受けの場合の収益を益金の額から除外していると解するのは,その文理に従った解釈と して不自然である。 イ法人税法22条2項が「有償による資産の譲受け」を列挙しなかったのは,一般に,資産の有償取引は,適正な価額によって行われるのが常であって,適正な価額によって資産を取得しただけでは収益の発生が認められないことによるものと考えられる。すなわち,「資産の譲渡」の場合には,適正な価額によって譲渡された場合であっても,受領した金員が収益として認識され,原価等との差額が譲渡益となるのに対し,「資産の譲受け」の場合には,適正な価額によって資産を取得した場合であっても,その資産を取得する者は,その資産の価額に見合う金員を支出するとともに,その反対給付として資産を取得しているにすぎないため,「資産の譲渡」の場合のように収益の発生が認識されないのであって,「資産の譲受け」は,「資産の譲渡」とは収益の認識が異なるのである。 ウ加えて,課税の公平の観点から法人税法22条2項の趣旨を鑑みれば,資産の低額譲受けの場合に,収益の額を認識し,益金の額に算入すべきことはおのずと明らかである。すなわち,同項は,「無償による資産の譲受け」の場合において,当該資産の適正な価額に相当する経済価値について,贈与又は無償の供与を受けたものとして益金の額に算入すべき旨を定めているところ,低額による資産の譲受けの場合にあっても,当該資産には譲受時における適正な価額に相当する経済的価値が認められることはいうまでもない。よって,そのうちの一部さえ対価として収受していれば,適正な価額との差額部分の収益が認識されないものとして扱うことは,無償による資産の譲受けの場合と著しく公平を欠く不合理な結果が はいうまでもない。よって,そのうちの一部さえ対価として収受していれば,適正な価額との差額部分の収益が認識されないものとして扱うことは,無償による資産の譲受けの場合と著しく公平を欠く不合理な結果が導かれることになる。 (4) 小括以上によれば,資産の低額譲受けが行われた場合には,譲受時における当該資産の適正な価額と支払金額との差額(受贈益相当額)をもって法 人税法22条2項にいう「無償による資産の譲受け」に係る収益の額に当たるというべきである。 2 原告らの主張の要旨(1) 資産の低額譲受けは「無償による資産の譲受け」には該当しないことア租税法においては文理解釈の原則が要請されること租税法は侵害規範であり,法的安定性の要請が強く働くから,その解釈は原則として文理解釈によるべきであり,みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されない。また,法令の文理解釈に当たっては,法令中にその意義が定義された特別の用語等は別として,その文言は一般的な社会通念に従って解すべきである。 イ 「無償」等の意義一般用語としても法律用語としても,「無償」及び「有償」という概念は,対価(代償)の有無により区別される。 ウ法人税法22条2項の「有償(中略)による資産の譲渡」の意義最高裁平成6年(行ツ)第75号同7年12月19日第三小法廷判決・民集49巻10号3121頁は,「譲渡時における適正な価額よりも低い対価をもってする資産の低額譲渡は,法人税法22条2項にいう有償による資産の譲渡に当たることはいうまでもない」と判示し,資産の低額譲渡が「有償」譲渡に当たることを明らかにしている。 同判決で問題となった「有償又は無償による資産の譲渡」と本件で問題となっている「無償による資産の譲受け」は,いずれも法人税法22条2項に規 額譲渡が「有償」譲渡に当たることを明らかにしている。 同判決で問題となった「有償又は無償による資産の譲渡」と本件で問題となっている「無償による資産の譲受け」は,いずれも法人税法22条2項に規定されており,同一条項中の文言を異なった意味に解することは不合理であり,また,納税者の予測可能性・法的安定性を害する。したがって,両者の「無償」の意義も同義に解すべきである。 エ租税法上も「低額」取引と無償取引との区別を前提とする規定が存すること 租税法には,以下のとおり,「低額」での譲渡又は譲受けを無償の取引と明確に区別する条項が存する。 (ア) 相続税法9条みなし相続財産に関する規定である相続税法9条は,「対価を支払わないで」利益を受けた場合と,「著しく低い価額の対価で」利益を受けた場合を明確に区別し,それぞれの場合に贈与により取得したものとみなされる金額を「当該利益の価額に相当する金額」,「(当該利益の価額から対価)の額を控除した金額」と明確に区別して規定している。 (イ) 所得税法59条1項贈与等の場合の譲渡所得等の特例について定めた所得税法59条1項は,1号で,法人に対する「贈与」又は「遺贈」,個人に対する限定承認に係る「相続」又は「包括遺贈」を規定し,2号で,法人に対する「著しく低い対価として政令で定める額による譲渡」を規定する。 (ウ) 法人税法37条8項法人税法37条は,7項において,「対価」の支払いを伴わない「贈与又は無償の供与」をした場合における当該資産等の価額を寄附金の額とした上で,8項において,「対価」の支払いを伴う低額譲渡の場合に,当該対価の額と当該価額との差額も(実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は)寄附金の額に含まれ得る旨規定し,「対価」の支払いを伴わない取引(無 ,「対価」の支払いを伴う低額譲渡の場合に,当該対価の額と当該価額との差額も(実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は)寄附金の額に含まれ得る旨規定し,「対価」の支払いを伴わない取引(無償取引)(同条7項)と「対価」の支払いを伴う取引(低額取引)(同条8項)を明確に区別して規定している。 また,寄附金の損金不算入に関し,寄附金の意義が法律に明記されたのは,昭和40年3月の法人税法の全文改正においてであり,同改正において,低廉譲渡等のいわゆる「みなし寄附金」が含まれること及びその意義が法人税法に明記された(当時は37条6項)。 このように,法人税法37条7項及び8項は,その文言上も立法の沿 革からも,「対価」の支払いを伴うか否かにより,適用対象となる取引を明確に区別している。 (エ) 法人税法25条の2法人税法25条の2も,2項において「対価」の支払いを伴わない「贈与又は無償の供与」を受けた場合を,3項において「対価」の支払いを伴う低額譲受けの場合をそれぞれ規定しており,両者を明確に区別している。 (オ) 小括上記のとおり,租税法においては,条文の文言において,対価を支払う「有償」取引と対価を支払わない「無償」取引を区別して規定していることが明らかである。 オ小括以上のとおり,法人税法22条2項の「無償による資産の譲受け」は,対価あるいは代償を支払わずに資産を譲り受けることを意味するから,正常な対価(通常の取引価額)より低い対価をもってする資産の低額譲受けは,「無償による資産の譲受け」には当たらない。 (2) 資産の低額譲受けは「その他の取引」にも該当しないこと念のため主張すると,資産の低額譲受けは,法人税法22条2項の「その他の取引」にも該当しない。 すなわち,確かに,同項の「資 。 (2) 資産の低額譲受けは「その他の取引」にも該当しないこと念のため主張すると,資産の低額譲受けは,法人税法22条2項の「その他の取引」にも該当しない。 すなわち,確かに,同項の「資産の販売(中略)無償による資産の譲受け」はいずれも例示であるが,これらの取引があえて明文で列挙されていることからすれば,同項が明らかに排除していると認められる取引については,「その他の取引」にも該当しないと解すべきである。 そして,同項が,「有償又は無償による資産の譲渡」と規定し,資産の譲渡については,有償によるものも無償によるものも同項の取引に含まれることを明示しているのに対して,「資産の譲受け」については,「無償による」 という限定を付し,あえて,「『有償による』資産の譲受け」を規定していないことを鑑みれば,同項はかかる取引を排除していることは明らかであるから,「その他の取引」には,有償による資産の譲受け(「低額による」資産の譲受けも含む。)は含まれないと解すべきである。このように解することが,納税者の予測可能性及び法的安定性に資する。 (3) 小括以上で詳述したとおり,そもそも資産の低額譲受けは,法人税法22条2項の「無償による資産の譲受け」に該当しないことはもちろん,同項の「その他の取引」に該当する余地もないというべきである。 第2 本件出資持分の価額を法人税基本通達9-1-14に従って評価することの適否(争点2)について 1 被告の主張の要旨(1) 本件出資持分の価額を法人税基本通達9-1-14に従って評価することが合理的であることア本件出資持分につき,法人税基本通達9-1-13の適用を検討すると,同通達(1)に定める売買実例のあるものについては,当該事業年度終了の日前6月間において売買の行われたもののう 理的であることア本件出資持分につき,法人税基本通達9-1-13の適用を検討すると,同通達(1)に定める売買実例のあるものについては,当該事業年度終了の日前6月間において売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額とされている。ここにいう「適正と認められるものの価額」とは,正常な取引において形成された価額,すなわち,客観的な交換価値(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額である時価)をいうものと解される。しかし,後記(2)以下で詳述するとおり,本件13社出資持分譲渡における取引価額は適正な価額とは認められないため,同通達(1)の適用は除かれる。 また,本件出資持分は,公開途上にある株式に該当しないことから,同通達(2)の適用もなく,P4社と事業の種類,規模,収益の状況が類似し,適正な価額が算定できる他の法人は見当たらないので,同通達(3)の適用 もない。 イしたがって,本件出資持分は,法人税基本通達9-1-14により評価通達の例によって評価することが合理的と認められる。 (2) 本件13社は原告P2との関係において独立した当事者の立場にはないことア本件13社が原告P2との関係において独立した当事者の立場にあるか否かについては,本件出資持分の取得及び譲渡の経緯並びに譲渡に応じた背景事情等を総合勘案して判断すべきであるところ,本件13社が本件出資持分を取得した理由は,本件13社がいずれも原告P1と長年密接な取引関係にある企業である上,双方の関係が,業界トップの食品・酒類卸企業と同社に酒類を卸している酒類製造業者という関係にあることなどから,将来にわたってP27一族グループによる原告P1の支配を望むP7の意向に添うことにより,原告P1との良好な取引関係を継続するためであった(乙4 を卸している酒類製造業者という関係にあることなどから,将来にわたってP27一族グループによる原告P1の支配を望むP7の意向に添うことにより,原告P1との良好な取引関係を継続するためであった(乙4の2・9頁参照)。 イ次に,本件13社が本件出資持分を取得してから譲渡するまでの間における原告P1と本件13社の関係についてみても,卸売業界トップの企業と,そのトップ企業に対し酒類を卸している主要な酒類製造業者という密接な関係が継続していた。 ウ加えて,本件13社による本件出資持分の譲渡も,P4社から譲渡の依頼を受け,これに協力して,同社から依頼された価額で,原告P1のグループ会社であるP4社が買取先に指定した原告P2に対して譲渡されたものにすぎない。 エ以上のような,本件出資持分の取得及び譲渡の経緯並びに譲渡に応じた背景事情等を総合勘案すれば,本件13社が原告P2との関係において独立した当事者の立場にあるとは,到底認められない。 (3) 本件13社は,本件譲渡価額が適正な時価であるか否かの判断に当たり, 独自の検討を行ったとは認められないこと本件13社は,本件出資持分を譲渡するに当たり,いずれも独自にP4社の各資産・負債を時価評価するなどして当該出資の適正な時価について検討していないばかりか,P4社が本件13社各社に宛てた平成17年8月25日付けの「有限会社P4の出資金買受の件」(乙16の4)と題する書面により要請した,1口当たりの買受価格5000円の算定根拠のみならず,同書面に参考として記載されている類似業種比準価額(1406円)及び簿価純資産価額(3010円)について具体的に検討した事実も認められない。 したがって,本件13社は,P4社から提示された価額(1口当たり5000円)につき,独自に特段の検討をするこ 06円)及び簿価純資産価額(3010円)について具体的に検討した事実も認められない。 したがって,本件13社は,P4社から提示された価額(1口当たり5000円)につき,独自に特段の検討をすることなく受け入れたものと認められる。 (4) 原告らの主張に対する反論ア原告らは,本件13社出資持分譲渡につき,税務調査によって,本件13社いずれにおいても,寄附金の認定がされていないことをもって,原告P2は本件13社から経済的利益を受けていない旨主張する。 イしかしながら,寄附金の発生と受贈益の発生が表裏の関係にあることと,寄附金及び受贈益に係るいわゆる認定課税がどの時期に行われるかということとは次元が異なる問題であり,本件13社出資持分譲渡に件う本件13社に対する寄附金の認定課税と原告P2に対する受贈益の認定課税は,当然のことながら,納税義務者やその認定の主体が異なる以上,税務調査において,経済的利益を供与した側に寄附金が認定課税されていないことをもって,直ちに,他方の者が経済的利益を受けていないことにはならないし,その経済的利益について認定課税されないことにもならない。 原告らの上記主張には理由がない。 (5) 本件13社出資持分譲渡における取引価額は適正な価額とは認められないこと ア取引相場のない株式については,そもそも上場株式のように,大量かつ反復継続的な取引は予定されておらず,また,取引事例が存在するとしても,その数がわずかにとどまるにすぎない場合には,当事者間の主観的事情に影響されたものでないことをうかがわせる特段の事情がない限り,当該実例価額は,売買当事者間の主観的事情を離れた当該株式の客観的交換価値を反映したものとは評価できないというべきである。 イ上記(2)及び(3)で述べたとおり,本件13社によ の事情がない限り,当該実例価額は,売買当事者間の主観的事情を離れた当該株式の客観的交換価値を反映したものとは評価できないというべきである。 イ上記(2)及び(3)で述べたとおり,本件13社による本件出資持分の譲渡価額(1口当たり5000円)は,特定の取引関係者間における極めて閉鎖的な取引に係る価額であり,また,同価額は,平成17年8月25日付けで,P4社の代表取締役であるP8から本件13社に宛てた本件出資持分の買受けに係る依頼文書において,一括して一方的に提示された価額であるから,本件出資持分の買受けは,実質的な取引事例としては1事例にすぎない。 したがって,本件13社による本件出資持分の譲渡価額(1口当たり5000円)は,適正な価額,すなわち不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額(客観的な交換価値)とは到底認められない。 2 原告らの主張の要旨(1) 後記(2)以下で詳述するとおり,原告P2と本件13社とは,純然たる第三者の関係にあるし,また,本件13社は,譲渡価額の妥当性について十分な検討をした上,合理的な経営判断として譲渡に応じたものである。これら13件もの相互に独立した当事者間において行われた各売買取引が,適切な売買実例に該当することは明らかであり,本件13社出資持分譲渡における取引価額は,適正な価額と認められる。 したがって,本件出資持分は,法人税基本通達9-1-13(1)に該当するものとして,同通達の例により評価されるべきであり,その価額は,適切 な売買実例に基づいて算定された1口当たり5000円である。 (2) 本件13社と原告P2は純然たる第三者の関係にあることア本件13社と原告P2との間には,資本関係は全くなく,同族関係もなく,役員の兼任といった事実もない。そ 口当たり5000円である。 (2) 本件13社と原告P2は純然たる第三者の関係にあることア本件13社と原告P2との間には,資本関係は全くなく,同族関係もなく,役員の兼任といった事実もない。そして,本件13社は,相互に市場において競合・競争する関係にある。 イまた,原告P1は,古くから全国規模で酒類卸売販売免許を保有していたことから本件13社を含む多数の酒造メーカー及び小売業者と取引をしていたものの,平成17年当時,全国規模で酒類を取り扱っていたのは原告P1だけでなく,株式会社P30やP31株式会社といった業者もそうであったほか,地域ごとに大手の酒類卸売業者も存在していた。本件13社は,いずれもわが国を代表する大企業であり,原告P1との取引を望まなければ他の卸ルートで商品を流通させることは容易であったから,本件13社出資持分譲渡に当たり,たとえ国分が1口当たり5000円という価格を提示したとしても,これに従わなければならないような関係にはなかった。 ウ以上によれば,本件13社と原告P2とは,相互に独立した立場にある純然たる第三者の関係にあるというべきである。 (3) 本件13社は譲渡価額の妥当性について十分な検討をした上,合理的な経営判断として譲渡に応じたものであることア本件13社は,平成17年8月25日付けで,P4からの「有限会社P4出資金買受の件」(乙16の4)と題する書面の送付を受け,各社で必要な検討及び稟議等を経て,1口当たり5000円で譲渡することをそれぞれ意思決定した。 イ本件13社は,それぞれ,過去の配当実績や,書面に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠を検討し,譲渡損益を試算したた上で,1口当たり5000円が適正な時価であると考えたからこそ,本 件13社出資持分譲渡に応 績や,書面に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠を検討し,譲渡損益を試算したた上で,1口当たり5000円が適正な時価であると考えたからこそ,本 件13社出資持分譲渡に応じたものである(甲29ないし41,58,59)。そして,このような検討や試算は,経済合理性の検討としては十分かつ一般的な方法であり,本件13社にとって売却価額に見合わない多大なコストと時間を負担することを余儀なくされることに鑑みれば,本件13社の各本件出資持分の評価に当たり,P4の各資産・債務を時価評価することが必須の手続であるということはできない。 (4) 本件13社に寄附金課税がされていないこと同じ出資持分の譲渡に関する課税関係を検討する際,売主と買主とで時価を異にするということはないはずであるから,本件13社出資持分譲渡が適正な価額によらないというのであれば,本件13社に対しても,寄附金課税がされるはずであるところ,実際にはそのような課税はされていない。 この点からみても,本件13社出資持分譲渡において,原告P2が経済的利益を受けたと認めることはできない。 第3 原告P1が取得した本件出資持分が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当し配当還元方式で評価すべきか否か(争点3)について 1 被告の主張の要旨(1) 原告P1が取得した本件出資持分の価額の算定方式の決定について原告P1・17年12月期における原告P1の受贈益の額の計算においては,本件P3出資持分譲渡1によって同社がP3から譲り受けた本件出資持分の価額について,法人税基本通達9-1-14に基づき,課税上弊害がない限り,評価通達178から189-7までの例によって評価をすることになる。 その場合,評価通達178ただし書が,「同族株主以外の株主等が取得し 人税基本通達9-1-14に基づき,課税上弊害がない限り,評価通達178から189-7までの例によって評価をすることになる。 その場合,評価通達178ただし書が,「同族株主以外の株主等が取得した株式」については,同通達188の定めによって評価すると規定していることから,本件出資持分がこれに該当するかが問題となる。すなわち,仮に,本件出資持分が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当する場合に は,同通達188-2に定める方式(配当還元方式)によりこれを評価することになるが,他方,P4社の株主である原告P1が同通達188(1)の「同族株主」に該当し,本件出資持分が上記株式に該当しない場合には,同通達178の定めに従い,同通達189に定める特定の評価会社の株式に該当しない限り,同通達179の方式(いわゆる「原則的評価方式」)に従ってこれを評価することとなる。 よって,原告P1が取得した本件出資持分の価額の算定方式の決定に当たっては,P4社の株主である原告P1が「同族株主」(同通達188(1))に該当するか否かが,重要な検討事項となる。 (2) 原告P1がP4社の「同族株主」に該当するか否かの判定について評価通達188(1)は,「同族株主」とは,「株主の1人及びその同族関係者(中略)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(中略)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。」と規定し,「同族関係者」とは,「法人税法施行令4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。」と規定している。 本件P3出資持分譲渡1の時点におけるP4社の株主は,P8(議決権割合0.006パーセント),原告P2(同31.572パーセント)及び原告P1(同0パーセント)のほかは,他に同族 規定している。 本件P3出資持分譲渡1の時点におけるP4社の株主は,P8(議決権割合0.006パーセント),原告P2(同31.572パーセント)及び原告P1(同0パーセント)のほかは,他に同族関係者である個人又は法人を有しない本件13社のみである。そうすると,同通達188(1)の適用において,P8を「株主の1人」とした場合,原告P2及び原告P1が共にP8の「同族関係者」に該当するのであれば,「株主の1人及びその同族関係者」の議決権割合の合計が30パーセント以上(31.578パーセント)となるから,そのグループに属する原告P1は,P4社の「同族株主」に該当し,原告P1が取得した本件出資持分の価額は,同通達179の方式(原則的評価方式)により評価することになる。 そこで,以下,P4社の株主である原告P2及び原告P1がP8の「同族 関係者」(同通達188(1))に該当するのか,それぞれ検討する。 (3) 原告P2はP8の「同族関係者」に該当すること原告P2の株主のうち,P8及びその子であるP10(同人は,P8との関係につき法人税法施行令4条1項1号に規定する「親族」であるから,「特殊の関係のある個人」に該当する。)の原告P2における議決権割合は,本件P3出資持分譲渡1の時点において,それぞれ66.33パーセント及び0.33パーセントであり,その合計は50パーセントを超えるから,原告P2は,P8との関係において,同法施行令4条2項(評価通達188(1)により,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と読み替えたもの。以下同じ。)1号に規定する「特殊の関係のある法人」に該当する。 よって,原告P2は,P8の「同族関係者」(同通達188(1))に該当する。 (4) 原告P1はP8 決権総数」と読み替えたもの。以下同じ。)1号に規定する「特殊の関係のある法人」に該当する。 よって,原告P2は,P8の「同族関係者」(同通達188(1))に該当する。 (4) 原告P1はP8の「同族関係者」と取り扱うべきことア法人税法施行令4条2項を形式的に当てはめた場合に,原告P1がP8と「特殊の関係のある法人」に該当するか否かについて原告P1の株主のうち,P8,その親族であるP10,P24及びP25(この3名は,P8との関係につき法人税法施行令4条1項1号に規定する「親族」であるから,「特殊の関係のある個人」に該当する。)並びに原告P2(同社は,上記(3)のとおり,P8との関係において,同条2項1号に規定する「特殊の関係のある法人」に該当する。)の原告P1における議決権割合は,本件P3出資持分譲渡1の時点において,それぞれ5.58パーセント(P8),0.71パーセント(P10),4.51パーセント(P24),4.28パーセント(P25)及び28.41パーセント(原告P2)であり,これらの者を併せて計算しても議決権割合は100分の50を超えない(43.52パーセント)から,同項を形式 的に当てはめれば,原告P1は,P8との関係において,同項各号に規定する「特殊の関係のある法人」に該当しないことになる。 イ評価通達188(1)の適用に当たり,原告P1はP8との関係において,法人税法施行令4条2項3号の「特殊の関係のある法人」と同視できる特別な事情があり,実質的な「同族関係者」と取り扱うべきであることしかし,原告P1をP8の「同族関係者」と取り扱うべきか否かを判定するに当たり,①評価通達188(1)の「同族関係者」を定めた趣旨を勘案すれば,「特殊の関係のある法人」の該当性の判断において,同項を形式的に当 P1をP8の「同族関係者」と取り扱うべきか否かを判定するに当たり,①評価通達188(1)の「同族関係者」を定めた趣旨を勘案すれば,「特殊の関係のある法人」の該当性の判断において,同項を形式的に当てはめることが,適正な評価の観点から相当でない場合があること,②P4社は,P8,原告P1及び原告P2によって実質的に支配されており,P4社は,同通達188(1)の適用上,P8の「特殊の関係のある法人」(同項2号)と同視し得ること,③P4社について,②の事情を前提として,同社をP8の「特殊の関係のある法人」に含めて同項を適用してみると,原告P1の株主において,P8及びこれと特殊の関係のある個人及び法人の議決権の合計は72.09パーセントとなり,100分の50を超え,原告P1をP8の「特殊の関係のある法人」(同項3号)と同視し得る特別の事情を有することに鑑みれば,本件出資持分の評価において,原告P1は,P8の「同族関係者」(同通達188(1))に該当するものと取り扱われるべきである。 以下,詳述する。 ウ形式的には法人税法施行令4条2項の規定に該当しなくても,評価通達188(1)の適用上,「特殊の関係のある法人」と扱うべき場合があること評価通達188の株式の評価についての定めである同通達188-2は,「同族株主以外の株主等」が取得した株式を配当還元方式により評価する旨を定めている。すなわち,一般的に,非上場のいわゆる同族会社に おいては,会社経営等について同族株主以外の株主の意向が反映されることはなく,同族株主以外の株主が当該会社の株式を保有するのは,会社経営に関わりを持つことや,株価の上昇によるキャピタルゲインを得ること等の投機的あるいは投資的動機によるものではなく,当該会社との安定的な取引関係の維持,継続を図ることなど 株式を保有するのは,会社経営に関わりを持つことや,株価の上昇によるキャピタルゲインを得ること等の投機的あるいは投資的動機によるものではなく,当該会社との安定的な取引関係の維持,継続を図ることなど,数値的に表すことのできない無形の利益を期待して,いわば取引上のつきあいによる場合が多く,その株式を保有する株主にとっては,当面,配当を受領するということ以外に直接の経済的利益を享受することがないという実態がある。評価通達188-2は,そのような実態を考慮し,当該会社に対する直接の支配力を有しているか否かという点において,同族株主とそれ以外の株主とでは,その保有する当該株式の実質的な価値に大きな差異があるといえることから,同族株主以外の株主の保有する株式の評価については,特別の例外的措置として,類似業種比準方式よりも安価に算定される配当還元方式による株式の評価方法を採用することにしたものである。 このような趣旨に鑑みれば,同通達188(1)が定める「同族株主」とは,保有株式の評価に当たり,上記「特別の例外的措置」を適用する必要のない株主,すなわち,密接な関係を有する者同士がグループを形成して会社の経営を支配することが一般的である同族会社において,評価会社の経営に関して実効的支配力を有する株主がこれに該当するものと扱うべきである。このように解することは,同通達188(1)が,会社の経営に関する実効的支配力を測定する要素として,議決権割合に着目し,同族株主に該当するか否かを同族関係者の有する議決権割合の合計が30パーセント以上(一定の場合は50パーセント超)であるか否かによって判断していることとも整合する。 もっとも,同通達188(1)は,上記で述べた当該株主と密接な関係を有する者(同族関係者)に該当するか否かが必ずしも明確に判定できな セント超)であるか否かによって判断していることとも整合する。 もっとも,同通達188(1)は,上記で述べた当該株主と密接な関係を有する者(同族関係者)に該当するか否かが必ずしも明確に判定できない 場合も想定されるため,客観的かつ簡易に判定する方法として,法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人に該当するか否かによって判断することとしたものである。したがって,形式的には,同条2項各号に該当しない法人であっても,実質的にみて,株主の1人及びその同族関係者のグループによって支配されている法人は,単に同項各号に形式的に該当しないという理由から,同通達188(1)の「同族株主」の判定において,一律に「特殊の関係のある法人」に該当しないものと取り扱うことは,同通達が定める適正な時価の算定という趣旨からは相当でなく,同通達の適用上,「特殊の関係のある法人」と同視して扱うべきである。 エ P4社はP8らによって実質的に支配されており,評価通達188(1)の適用に当たり,P8の「特殊の関係のある法人」と同視すべき特別の事情があることP4社の株主のうち,P8,原告P1及び原告P2のP4社における議決権割合は,本件P3出資持分譲渡1の時点において,それぞれ0.006パーセント,0パーセント及び31.572パーセントであって,これらの者を併せて計算しても議決権割合は100分の50を超えない(合計31.578パーセント)から,法人税法施行令4条2項を形式的に当てはめると,P4社がP8との関係において同項2号の「特殊の関係のある法人」に該当しないことになる。 しかしながら,以下の(ア)ないし(ウ)において述べるとおり,本件13社が本件出資持分を保有していたのは,原告P1との関係強化のためであり,P4社の経営に参画するこ 人」に該当しないことになる。 しかしながら,以下の(ア)ないし(ウ)において述べるとおり,本件13社が本件出資持分を保有していたのは,原告P1との関係強化のためであり,P4社の経営に参画することを目的とした取得ではなかったものと認められ,P4社は,P8,原告P1及び原告P2によって構成されるP27一族グループによって実質的に支配されており,株主の1人及び同族関係者のグループによって支配されている法人であったことからすれば,P 4社は,P8の「特殊の関係のある法人」(同号)と同視すべきである。 (ア) 本件13社が本件出資持分をP7から譲り受け,原告P2に譲渡した経緯aP7は,平成3年▲月▲日,原告P1の取引会社のうちの有力な取引先である本件13社に対し,本件出資持分のうち各4000口ずつ(合計5万2000口,同社の総出資口数の52パーセント)を,1口当たり額面額で一斉に売却した結果,P7名義の本件出資持分口数は4万7995口となり,P8の有する5口と併せて,P27一族グループの同社に対する出資割合は48パーセントとなった。 そして,P4社は,同日,本件出資持分の譲渡を制限する旨の定款改正を行い,P7及びP8の意思に反した本件出資持分の譲渡はなし得なくなり,P27一族グループによりP4社を支配できる態勢が将来にわたって安定したものとなった。 なお,P7は,同月▲日,死亡した。 bP3は,平成17年3月31日,原告P1及び原告P2に対し,その保有する本件出資持分の全部(4万7995口)を譲渡した。 また,本件13社は,同年8月25日付けで,P4社からガバナンスの見直しのため本件出資持分を原告P2に集約する旨の要請を受け,同年10月から同年12月にかけて,その保有する本件出資持分の全部(各4000口)を原告 は,同年8月25日付けで,P4社からガバナンスの見直しのため本件出資持分を原告P2に集約する旨の要請を受け,同年10月から同年12月にかけて,その保有する本件出資持分の全部(各4000口)を原告P2に譲渡した。 上記要請は,P27一族グループがP4社の企業支配を強化するために行われたものであるところ,そのような目的達成のために,本件13社がごく短期間にほぼ一斉に買取要請に応諾し,P27一族グループが本件出資持分を容易に買戻しすることができたこと自体,P27一族グループがP4社を実質的に支配していたことの証左である。 (イ) 本件13社による本件出資持分の保有は,P4社の経営に参画する 目的ではなかったことa 本件13社は,P4社の平成17年3月25日開催の臨時社員総会で委任状(乙38の1ないし13)を提出しているところ,当該委任状は,いずれもその表題及び本件13社各社の保有出資口数の記載の直下の第1文において,「私は( )を代理人と定め,下記の権限を委任します。」(注:「( )」は空白である。)との同一の文言が記載され,委任状中の受任者の氏名欄が白紙(空白)になっていることから,本件13社が提出した上記委任状は,白紙委任状に該当する。 b そして,本件13社の上記委任状の内容を見ると,いずれも提示された議案に賛成する旨に「○」が付けられており,議案に対して賛否を明示していない場合や原案に対して修正案が提出された場合には白紙委任する旨記載されている。かかる文言からは,本件13社が独自の意思に基づいて議決権を行使する意図は全くうかがえない。結局のところ,本件13社が提出した上記委任状の実質的な内容は,P4社を実質的に支配するP27一族グループによる経営に対し,本件13社が何ら異議を差し挟まない旨の意思表示を 意図は全くうかがえない。結局のところ,本件13社が提出した上記委任状の実質的な内容は,P4社を実質的に支配するP27一族グループによる経営に対し,本件13社が何ら異議を差し挟まない旨の意思表示をしたものにすぎない。 その上,本件13社が本件出資持分を保有していた間,社員総会等への出席は一度もなく,白紙委任状又は議決案に全て賛成する趣旨の委任状を提出していたことなども併せ考慮すれば,本件13社が本件出資持分を保有していたのは,食品・酒類卸業の首位に立ち,有力な取引先である原告P1との関係強化のためであり,P4社の経営に参画することが目的ではなかったものと認められる。 c また,本件13社が,P4社の経営に介入するような行動をとることによって,原告P1との取引関係を悪化させ,自身の経営に悪影響を生じさせるような行動をとること自体がおよそ想定し難い上,本件 13社は互いに競業関係に立つ企業であるから,これらが結託して,P4社の経営権をP27一族グループから奪い取るような事態も想定できない。 そうすると,本件13社が本件出資持分を取得した後,譲渡するまでの間,P4社に対するP27一族グループの支配状況は,P4社と原告P1の株式持合いによる原告P1の有する本件出資持分の議決権に関する点を除き,P7の相続開始日以降,一貫して何ら変化がなかったというべきである。 (ウ) 小括以上に述べたP27一族グループと本件13社との関係からすれば,P4社の経営は,P7の相続開始日以後,本件13社が本件出資持分を譲渡するまでの間,P27一族グループが実質的に支配していたことが優に認められる。 オ P4社がP8の「特殊の関係のある法人」に当たるとして評価通達188(1)を適用すれば,原告P1はP8の「同族関係者」に該当することになること プが実質的に支配していたことが優に認められる。 オ P4社がP8の「特殊の関係のある法人」に当たるとして評価通達188(1)を適用すれば,原告P1はP8の「同族関係者」に該当することになること原告P1がP8の「同族関係者」(評価通達188(1))に該当するかを判定する場合,上記アのとおり,原告P1の株主のうち,P8及びその特殊の関係のある個人及び法人の議決権割合の合計が43.52パーセントであるから,原告P1は,形式的にはP8にとって法人税法施行令4条2項各号の「特殊の関係にある法人」に該当しない。 しかし,上記ウで述べた「同族株主以外の株主等」が取得した株式の評価方法についての評価通達の規定の趣旨,及び上記エで述べたとおり,P4社がP8の「特殊の関係のある法人」(同項2号)と同視し得る特別の事情があることからすると,同通達188(1)の適用上,P4社は,P8と「特殊の関係のある法人」(同号)に当たるとして,原告P1がP8の 「同族関係者」(同通達188(1))に該当するかを判定すべきである。 そうすると,本件P3出資持分譲渡1の時点における原告P1の株主のうち,P8及びこれと特殊の関係のある個人及び法人(P10,P24,P25及び原告P2)の議決権割合(合計43.52パーセント)に,リアルエルテート社の議決権割合(28.57パーセント)を加えれば,100分の50を超える(72.09パーセント)ことになるから,同通達188(1)の適用上,原告P1はP8と「特殊の関係のある法人」(同項3号)と同視すべきである。 よって,P4社の株主のうち,原告P1は,P8の「同族関係者」(同通達188(1))と取り扱われるべきである。 (5) 原告P1はリアルステート社の「同族株主」かつ「中心的な同族株主」と取り扱うべきこ て,P4社の株主のうち,原告P1は,P8の「同族関係者」(同通達188(1))と取り扱われるべきである。 (5) 原告P1はリアルステート社の「同族株主」かつ「中心的な同族株主」と取り扱うべきことを前提とすれば,本件出資持分の価額は原則的評価方式により算定すべきことア上記(3)及び(4)で述べたとおり,原告P2及び原告P1は,共にP8の「同族関係者」に該当するから,上記(2)で述べたところに照らし,原告P1は,P4社の「同族株主」に該当する。 イもっとも,評価通達188(2)は,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5パーセント未満であるもの」の取得した株式については,「同族株主以外の株主等が取得した株式」に当たるとし,同通達188-2に定める方式(配当還元方式)により算定するものとしている。本件出資持分が上記株式に該当する場合,これを同通達179の方式(原則的評価方式)に従って評価することはできないことになる。 ここで,評価通達188(2)において,「中心的な同族株主」とは「課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟 姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である場合におけるその株主」をいうところ,原告P2は,P4社の議決権の25パーセント以上(31.572パーセント)の議決権を有する「中心的な同族株主」に該当することから,P4社は,「中心的な同族株主のいる会社」である。 そうすると,評価通達188(2)の適用に の25パーセント以上(31.572パーセント)の議決権を有する「中心的な同族株主」に該当することから,P4社は,「中心的な同族株主のいる会社」である。 そうすると,評価通達188(2)の適用に当たっては,原告P1が「中心的な同族株主」に該当するか否かが問題となる。 ウこの点,原告P1は,P4社に議決権の4分の1超(28.57パーセント)を保有されていることから,商法241条3項によれば,P4社の議決権を有しないこととなる。そして,原告P1は,原告P2の議決権も有しないから,原告P2は,その有するP4社の議決権を原告P1の議決権に合計すべき会社に含まれない。そうすると,原告P1は,形式的には,P4社の「中心的な同族株主」に該当せず,かつ,原告P1がP4社に対して有する議決権割合は,5パーセント未満(0パーセント)であるから,本件出資持分は評価通達188(2)の適用を受ける株式に該当することになりそうである。 しかしながら,上記(4)エで述べたとおり,P4社は,P8,原告P1及び原告P2によって構成されるP27一族グループが実質的に支配していた会社であり,原告P1も,P4社の総出資口数の24パーセントを有していた会社である。このように,P27一族グループが一体となってP4社を支配していた状況に鑑みれば,原告P1は,P4社の「中心的な同族株主」と同視すべきである。 したがって,本件出資持分は,評価通達188(2)の適用を受ける株式には該当しない。 (6) 小括以上のとおり,原告P1が取得した本件出資持分は,評価通達188の適用を受けないものとして,同通達179の方式(原則的評価方式)に従って評価すべきである。 2 原告P1の主張の要旨(1) 争点2において主張したとおり,本件出資持分の時価は,1口当たり 88の適用を受けないものとして,同通達179の方式(原則的評価方式)に従って評価すべきである。 2 原告P1の主張の要旨(1) 争点2において主張したとおり,本件出資持分の時価は,1口当たり5000円であるが,仮に,当該主張が認められないとしても,本件出資持分の評価については,以下のとおり,配当還元方式によって算定すべきである。 すなわち,評価通達188(1)は,法人税法施行令4条の規定を読み替えて,ある法人が株主の1人の同族関係者に該当するか否かは,当該法人の議決権総数に占める割合が50パーセント超であるか否かによって判定することとしている。そして,本件P3出資持分譲渡1当時,P4社は,P8及びその同族関係者である原告P2によって,議決権総数の31.57パーセントを保有されていたにすぎず,上記50パーセントを超えないことから,P8の同族関係者に該当しない。そうすると,P4社において,その議決権総数の30パーセントを超える同族株主グループは,P8とその同族関係者である原告P2のみであり,原告P1は,P4社の同族株主に該当しない。 よって,本件出資持分は,評価通達178ただし書の「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当し,同通達188の定めに従い,同通達188-2に定める方式(配当還元方式)によって評価することとなる。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告は,原告P1がP4社の「同族株主」に該当するか否かについて,「原告P2及び原告P1がP8の『同族関係者』に該当するか否かが問題となる」と主張する。 しかし,原告P1がP4社の「同族株主」に該当するか否かの判定は,まずP4社がP8の「同族関係者」に該当することが前提となるのであり, その前提が満たされることにより原告P1もP8の「同族関係者」と判定され P4社の「同族株主」に該当するか否かの判定は,まずP4社がP8の「同族関係者」に該当することが前提となるのであり, その前提が満たされることにより原告P1もP8の「同族関係者」と判定されることとなる関係にあるから,被告の上記主張の検討過程には誤りがある。 イ被告は,P4社がP8の「同族関係者」に該当する旨主張する。 しかし,評価通達188(1)が「同族関係者」を法人税法施行令4条2項各号の「特殊の関係のある法人」を準用して定めた趣旨は,ある法人が客観的かつ簡易に一のグループによって支配されている法人であるかを判定することができないことから,形式的に議決権保有割合によって判定するところにあると解される。また,「実質的支配」のような不明確,かつ,予測不能な基準をもって「同族関係者」ひいては「同族株主」の判定を行い,当該判定に基づき株式の評価方法を決定することは,公正な取引市場における取引がなく,時価の算定が極めて困難である取引相場のない株式について,画一的な基準で評価方式を定めることとした評価通達の趣旨にも反し,法的安定性を著しく害することになる。したがって,法人税法施行令4条2項2号の「特殊の関係のある法人」に該当しないP4社について,P8の「特殊の関係のある法人」すなわち「同族関係者」に該当する余地はないというべきである。 また,原告P1は,P4社の議決権を保有していないから,同社の「実質的支配」はできず,P8及び原告P2の株主グループも,P4社の議決権割合のわずか31.57パーセントしか保有していなかった上,後記(ア)ないし(ウ)のとおり,本件13社にP4社の経営に参画する目的がなかったとはいえないから,やはり同社の「実質的支配」はできない。 したがって,被告の上記主張には理由がない。 (ア) 我が国の企業 ないし(ウ)のとおり,本件13社にP4社の経営に参画する目的がなかったとはいえないから,やはり同社の「実質的支配」はできない。 したがって,被告の上記主張には理由がない。 (ア) 我が国の企業が他社に対して出資を行う場合,社員総会(株主総会)に出席して議決権を行使することは一般的に行われていないが,だからといって,当該出資者が出資先の会社の経営に参画する意図を放棄して いると評価することはできない。なぜなら,配当の議案等については,わざわざ社員総会(株主総会)に出席などせずに,特に問題がないため白紙委任状を提出している出資企業といえども,当該議案について何ら検討をしていないとはいえないし,ましてや会社の財産や経営に影響を及ぼすような重要議案がある場合にまで,何らの検討を加えずに白紙委任状を提出するとはいい難いからである。 本件13社について,P4社に出資するに当たり,同社の経営に関して議決権を実質的に行使(反対の態度をとるなど)することは一切しないといった「議決権行使に関する特約」を予め書面で明確に交わしているなどの事情はなく,結果としてこれまで議案に対して反対をすることはなかったという事実は,経営の根幹に影響を与えるような重要な議案が提出された際にも白紙委任状等の提出で済まして反対の意思表示は行わないことを示す事情には全くならない。 (イ) 本件13社は,日本を代表する酒造メーカーであるばかりか,日本を代表する上場企業(大企業)も多数含まれている。こうした多数の株主を擁しコンプライアンスの要請が高度な企業の担当者が,出資先の議決権行使にあたり,何もチェックせずに白紙委任をすることなど通常考えることができないし,仮に重要な議案が提出されることがあったとすれば,それに対して無条件に賛成をしたと断ずることなど,およそで の議決権行使にあたり,何もチェックせずに白紙委任をすることなど通常考えることができないし,仮に重要な議案が提出されることがあったとすれば,それに対して無条件に賛成をしたと断ずることなど,およそできないことである(甲29~41)。 また,酒類における卸売業者と酒造メーカーとの関係をみても,本件13社以外に大手卸売業者が複数存在しており,かつ,地方ごとに有力な卸売業者も存在している。したがって,酒造メーカーとしては,売上が業界トップである卸売業者との関係に拘泥しなければならない理由はなく,他の卸売業者に切り替えることは酒造メーカーの自由な判断でいつでも行うことができる状況にあった。そのようにして取引関係を切 られる可能性があるのは,むしろ卸売業者である原告P1の側であった。 現に,今回対象になっている期間の後に業界再編(大手の合併など)もあり,原告P1は現在においては業界トップではない。このような関係のもとで,取引先に出資持分を取得してもらったことによって,殊更密接な関係があると考えることは,およそ困難である(甲61)。 (ウ) 本件13社が,P4社の出資持分を保有していた期間においては,安定した配当(毎期5パーセント)がなされており,その社員総会における議案も,大半が配当に関する議案であった。そのため,当該議案について,本件13社が反対する理由は存在しなかった。すなわち,P4社の経営を改革するなどの出資者にとり利害関係が生じ,慎重な判断が求められるような重大な議案はなかった(甲58,59)。したがって,社員総会に出席しなかったことや,白紙委任状ないし議案に全て賛成する趣旨の委任状が提出されていたことは,かえって自然かつ一般的なことであったというべきである。 ウ被告は,原告P1がP4社の「中心的な同族株主」である旨主張 とや,白紙委任状ないし議案に全て賛成する趣旨の委任状が提出されていたことは,かえって自然かつ一般的なことであったというべきである。 ウ被告は,原告P1がP4社の「中心的な同族株主」である旨主張する。 しかし,被告は,「P27一族グループが一体となってP4社を支配していた状況に鑑み」て,原告P1をP4社の「中心的な同族株主」と同視しているところ,P4社の議決権を有しない原告P1を「P27一族グループ」に加えること自体失当であるし,議決権を有しない原告P1がP4社を「実質的に支配」できる理由もなく,実際に同社を「実質的に支配」している事実もないから,原告P1をP4社の「中心的な同族株主」と同視することはできない。 したがって,被告の上記主張には理由がない。 第4 P4社の「株式保有特定会社」該当性(争点4)について 1 被告の主張の要旨(1) 本件出資持分の評価に当たり評価通達189(2)が適用されること ア原告らは,評価通達189(2)について,日本のバブル経済期における一部企業のオーナーらによる行き過ぎた節税策(株式をオーナーから持株会社に移転させて,相続税の評価額を圧縮する方法)に対処する趣旨・目的のために定められたものであり,P27一族グループのガバナンスの見直しの一環としてなされた本件各譲渡における本件出資持分の価額の評価に同通達を適用することは,上記趣旨・目的から逸脱する旨主張する。 イしかし,平成2年8月3日付けで評価通達が改正され,同通達189(2)が定められた目的は,土地や株式などの財産については,その財産についての評価額と実際の取引価額(時価)との間に開差を生じさせることにより,同開差を利用した租税回避行為の原因にもなっていることに鑑み,課税の公平の観点から,そのような開差の是正とともに その財産についての評価額と実際の取引価額(時価)との間に開差を生じさせることにより,同開差を利用した租税回避行為の原因にもなっていることに鑑み,課税の公平の観点から,そのような開差の是正とともに,より株式取引の実態に適合するように評価の一層の適正化を図ることにあった。 上記評価通達の改正において,会社の総資産のうちに占める各資産の保有状況が,類似業種比準方式における標本会社である上場会社に比して著しく株式等に偏った会社(株式保有特定会社)の株式については,一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により株価の算定を行うことは,同方式を適用すべき前提条件を欠くものと認められるため,適正な評価を期し難いことから,会社の株式等の保有状況の実態を踏まえて,株式等の保有割合の基準により「株式保有特定会社の株式」に係る評価方法が定められたのである。 このように,株式保有特定会社の株式の評価方法については,租税負担の回避を防止するために定められたものではないから,株式保有特定会社に該当するか否かの判断に当たり,いかなる場合においても,租税回避行為の弊害の有無を含む,その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮すべきであるとはいえず,原告らの上記主張には理由がない。 (2) P4社が評価通達189(2)の「株式保有特定会社」に該当すること ア評価通達178ただし書は,取引相場のない株式のうち,特定の評価会社の株式の価額は,同通達189の定めによって評価するとしている。 P4社について,平成16年12月31日時点における従業員は0人,同日以前1年間の取引金額は4794万6720円であるから,同社は,評価通達178に定める小会社に該当する。そうすると,同日におけるP4社が所有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額の 同日以前1年間の取引金額は4794万6720円であるから,同社は,評価通達178に定める小会社に該当する。そうすると,同日におけるP4社が所有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の合計額の割合(株式保有割合)が50パーセント以上であれば,同社は,同通達189(2)に定める株式保有特定会社に該当することになる。 イ P4社の株式保有割合について(ア) P4社が所有する各資産の価額を評価通達に定めるところにより評価するに当たっては,P4社が保有する原告P1の株式の評価方式が問題となる。すなわち,原告P1の株主であるP4社が,同通達188に定める「同族株主以外の株主等」に該当する場合には,同通達188-2の方式(配当還元方式)により原告P1の株式を評価することになるが,他方,P4社が同通達188(1)の「同族株主」に該当する場合には,同通達178の定めに従い,同通達179の方式(原則的評価方式)により原告P1の株式を評価することになる。そして,原告P1の本件平成17年度各譲渡の直前期末以前1年間における従業員数は約1650人であるから,原告P1は,同通達178に定める「大会社」に該当し,原告P1の株式の評価額は,原則的評価方式のうち類似業種比準方式によって算定することとなる。 (イ) 原告P1の株主のうちP8の「同族関係者」に該当する者についてa 原告P1の株主のうち,P8を「株主の1人」とした場合,P10,P24,P25は,いずれも,P8との関係において法人税法施行令4条1項1号に掲げる者に該当するから,評価通達188(1)の適用 上,P8の「同族関係者」(特殊の関係のある個人)に該当する。 b 原告P2の株主のうち,P8及びP10(P8との関係において,法人税法施行 る者に該当するから,評価通達188(1)の適用 上,P8の「同族関係者」(特殊の関係のある個人)に該当する。 b 原告P2の株主のうち,P8及びP10(P8との関係において,法人税法施行令4条1項1号に規定する「親族」であるから,「特殊の関係のある個人」に該当する。)の原告P2における議決権割合は,本件平成17年各譲渡の時点において,それぞれ66.33パーセント及び0.33パーセント(合計66.66パーセント),本件平成18年各譲渡の時点において,それぞれ23.33パーセント及び43.33パーセント(合計66.66パーセント)であり,その合計はいずれも50パーセントを超える。そのため,原告P2は,P8との関係において,法人税法施行令4条2項1号に掲げる法人に該当し,同通達188(1)の適用上,P8の「同族関係者」(特殊の関係のある法人)に該当する。 c 争点3で述べたところに照らせば,P4社は,P8,原告P1及び原告P2によって構成されるP27一族グループによって実質的に支配されているから,本件各譲渡において,評価通達188(1)の適用上,P8の「同族関係者」と取り扱われるべきである。 (ウ) P4社は原告P1の「同族株主」と取り扱うべきことa 評価通達188(1)は,「同族株主」について,「課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者(中略)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。」と定めている。 b 原告P1の株主のうち,P8並びにその同族関係者であるP10,P24,P25,原告P2及びP4社の原告P1における議決権割合は,本件P3各出資持分譲渡の時点(平成17年3月31日)において,それぞれ5.58パーセント( P8並びにその同族関係者であるP10,P24,P25,原告P2及びP4社の原告P1における議決権割合は,本件P3各出資持分譲渡の時点(平成17年3月31日)において,それぞれ5.58パーセント(P8),0.71パーセント(P 10),4.51パーセント(P24),4.28パーセント(P25),28.41パーセント(原告P2)及び28.57パーセント(P4社)であり,その合計は,72.09パーセントとなる。 また,上記議決権割合は,本件13社出資持分譲渡の時点(平成17年10月4日ないし同年12月6日)及び本件平成18年各譲渡の時点(平成18年3月20日)において,それぞれ5.58パーセント(P8),0.71パーセント(P10),4.51パーセント(P24),4.28パーセント(P25),31.98パーセント(原告P2)及び25.00パーセント(P4社)であり,その合計は,72.09パーセントとなる。 なお,原告P1は,P4社の総出資口数の4分の1を超えない2万4000口(24パーセント)しか保有していなかったのであるから,P4社は,同社が有する原告P1の株式200万株に係る議決権を有していることとなる。 c したがって,本件各譲渡のいずれの時点においても,原告P1の株主であるP4社は,評価通達188(1)に定める「同族株主」に該当する。 (エ) 小括P4社が,原告P1の「同族株主」に該当することから,その保有する原告P1の株式の評価額は,類似業種比準方式によって算定することとなる。 これを基にP4社の株式保有割合を算定すると,本件平成17年各譲渡当時においては,被告別表1・第3表「2.株式保有特定会社」欄に記載のとおり,総資産価額が82億2495万8000円,株式及び出資の価額の合計額が80億9400 合を算定すると,本件平成17年各譲渡当時においては,被告別表1・第3表「2.株式保有特定会社」欄に記載のとおり,総資産価額が82億2495万8000円,株式及び出資の価額の合計額が80億9400万円となることから,株式保有割合は98パーセントとなり,また,本件平成18年各譲渡当時においては, 被告別表3・第3表「2.株式保有特定会社」欄に記載のとおり,総資産価額が116億1301万3000円,株式及び出資の価額の合計額が105億9800万円となることから,株式保有割合は91パーセントとなり,いずれも50パーセント以上である。 ウ以上のとおり,P4社は,評価通達189(2)に定める株式保有特定会社に該当する。したがって,本件出資持分の評価については,同通達189の3に従い,同通達185本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することとなる。 なお,P4社の純資産価額を算定するに当たっても,同社が保有する原告P1の株式の評価方式が問題になるところ,これを類似業種比準方式によって算定すべきことは,上記イと同様である。 2 原告らの主張の要旨(1) 本件出資持分の評価に評価通達189(2)が適用されないことア評価通達189(2)が導入された当時の社会背景並びに導入の趣旨1980年代終盤(昭和60年代初頭)から1990年代初頭(平成時代初頭)の間に起こったいわゆるバブル景気によって,日本では投機熱が加速し,特に株と土地への投機が盛んになった。昭和53年頃から一貫して右肩上がりを続けてきた株価は,昭和58年終盤に平均株価1万円近くを付けると,その後は毎年2桁の伸びを続けるという異常事態に陥った。 これに伴い,相続税収も増加の一途を辿り,昭和58年当時には7800 肩上がりを続けてきた株価は,昭和58年終盤に平均株価1万円近くを付けると,その後は毎年2桁の伸びを続けるという異常事態に陥った。 これに伴い,相続税収も増加の一途を辿り,昭和58年当時には7800億円強であった相続税収は,昭和62年には1兆8千億円弱,そして日経平均株価が史上最高値を付けた平成元年には2兆円を超すまでになった。 一方,我が国の相続税法は昭和63年法律第109号による改正(昭和63年1月1日以後に相続等により取得した財産に係る相続税について適用)において,基礎控除が従来の「2000万円+400万円×法定相 続人数」から「4000万円+800万円×法定相続人数」へと引き上げられ,最高税率が75パーセントから70パーセントへと引き下げられたものの,相続税の重税感はその程度の改正で吸収できるようなものではなく,上場企業の大量の株式を所有する創業オーナーらが,極端な節税策を考案し,実行した。その節税策とは,株式をオーナーから持株会社へ移転して,類似業種比準方式を悪用し,相続税の評価額を1パーセント以下へと極端に圧縮しようとするものであった。 この上場企業のオーナーらによる行き過ぎた節税策を排除するために導入されたのが,評価通達189(2)である。 イ評価通達は解釈通達ではなく,「適用通達」ないし「認定通達」の性質を有しており,事実の認定は,事案ごとに個別に行われるべきであるし,また,評価通達を形式的,画一的に適用することが同通達の趣旨に反する場合には,評価通達を適用することは許されないというべきであるから,売買時における出資持分の評価をするに際しても,取引の趣旨及び目的,加えて個々の事情を総合考慮してなされるべきであって,それらを捨象して,当時の社会背景を奇貨として行き過ぎた節税を規制する目的で導入された評価 る出資持分の評価をするに際しても,取引の趣旨及び目的,加えて個々の事情を総合考慮してなされるべきであって,それらを捨象して,当時の社会背景を奇貨として行き過ぎた節税を規制する目的で導入された評価通達189(2)を,本件各譲渡に機械的に適用すべきではない。 ウこれを本件13社出資持分譲渡についてみると,平成17年初頭から開始された原告P2による本件出資持分の買取りは,創業300年を目前に控えた「P29グループ」のガバナンスの見直しの一環としてなされたものであって(甲23),その取引方法及び買取価格などについても,本件13社は,飽くまでも原告P2とは別個の独立した法人として,その合理的な経営判断の下に決定しているのであるし,また,購入側である原告P2,売却側である本件13社のいずれにおいても,本件13社出資持分譲渡を奇貨として,税負担を軽減する目的などは認められない。 処分行政庁が,上記の点を考慮することなく,本件出資持分の評価につ いて,機械的・形式的に,行き過ぎた節税を規制する趣旨目的で導入された同通達189(2)を適用したことは,明らかに誤りである。 (2) P4社が評価通達189(2)の「株式保有特定会社」に該当しないことア仮に本件出資持分の評価に評価通達189(2)が適用されるとしても,後記イ以下で詳述するとおり,P4社の総資産の価額に占める株式等の価額の合計額の割合は,41.80パーセントにすぎず,同社は株式保有特定会社に該当しない。 イ P4社が保有する原告P1株式の評価は配当還元方式によるべきこと評価通達に従えば,原告P1は,P4社によって議決権総数の4分の1以上である28.57パーセントを保有されているから,P4社の議決権を有しておらず(有限会社法41条,商法241条3項),P4社における同族 に従えば,原告P1は,P4社によって議決権総数の4分の1以上である28.57パーセントを保有されているから,P4社の議決権を有しておらず(有限会社法41条,商法241条3項),P4社における同族関係者グループは,P8とその同族関係者である原告P2のみである。そして,本件平成17年各譲渡の時点で,上記グループが有するP4社の議決権割合は,31.57パーセントにすぎない。 そうすると,評価通達188(1)の定め及び同通達が引用する法人税法施行令4条によれば,P4社は,P8及び原告P2の同族株主グループによって50パーセント超の議決権を保有されていないから,P8の同族関係者に該当しない。その結果,P4社は,原告P1におけるP8らの同族株主グループ(P8,P24,P25,P10及び原告P2の5者によって構成され,その議決権割合は43.5パーセントである。)に属さず,単独で28.57パーセント(30パーセント未満)を保有するのみであるから,原告P1の同族株主に該当しない。 したがって,原告P2が譲り受けた本件出資持分の評価に当たり,P4社が保有する原告P1の株式200万株については,同族株主以外の株主が保有する株式であるから,同通達188(1)に従い,「同族株主がいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」として,同通達 188-2の方式(配当還元方式)によって評価すべきであり,その評価額は,1株当たり50円である。 この点に関し,P4社は,被告の主張するような,「原告らとその同族関係者であるP8らにより実質的に支配されて」いる状況にはなく,評価通達に定める評価方法によらない特別の事情は存在しない。 ウ P4社の株式保有割合上記イを踏まえると,P4社が保有する原告P1の株式200万株の時価は,1株当たりの て」いる状況にはなく,評価通達に定める評価方法によらない特別の事情は存在しない。 ウ P4社の株式保有割合上記イを踏まえると,P4社が保有する原告P1の株式200万株の時価は,1株当たりの時価50円×200万株=1億円となり,P4社の総資産の額に占める株式等の価額の合計額も同額である。そして,当該株式等の価額を含むP4社の総資産の時価総額(総資産の相続税評価額の合計額)は,2億3922万4000円となることから,同社の株式保有割合は,41.80パーセントとなる。 そうすると,P4社は,その株式保有割合が50パーセント未満であることから,評価通達189(2)に定める株式保有特定会社に該当しない。 第5 P4社の1株当たりの純資産額の算定において法人税額等相当額を控除しなかったことの適否(争点5)について 1 被告の主張の要旨(1) 法人税基本通達9-1-14(3)において,株式の評価に当たっては,評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり,同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等相当額の控除をしないこととされている。 (2) 以下のとおり,法人税法上,取引相場のない株式の評価に際し,法人税基本通達9-1-14(3)において,上記(1)のような留保条件が付されていることには,合理的な理由があり,同通達は適法である。 ア法人税基本通達9-1-14は,上場有価証券等以外の株式の評価として,評価通達の178から189-7まで(取引相場のない株式)の評価 の例によって算定された価額によっているときは,課税上弊害がない限り,これを認めるものである。この点,評価通達に定められている評価方法は,相続又は贈与という極めて特殊な環境におけるいわば静的な の例によって算定された価額によっているときは,課税上弊害がない限り,これを認めるものである。この点,評価通達に定められている評価方法は,相続又は贈与という極めて特殊な環境におけるいわば静的な財産評価に関する取扱いであるから,法人税のように経済取引を前提としたいわば動的な財産評価にそのまま適合するかどうかについては疑問なしとはしない。しかしながら,評価通達に定める取引相場のない株式の評価方法は,一つの事実として実務界に定着していると認められることから,これと著しく異なる評価方式を導入するとすれば,混乱を招くこととなるため,一つの割り切りとして,留保条件を付した上で,法人税法上も,原則としてこれを認めたものである。 イ確かに,評価通達185が1株当たりの純資産価額の算定に当たり法人税額等相当額を控除するものとしているのは,個人が財産を直接所有し,支配している場合と,個人が当該財産を会社を通じて間接的に所有し,支配している場合との評価の均衡を図るためである。しかしながら,このような評価上の均衡を図る要請は,相続又は贈与という極めて特殊な環境におけるいわば静的な財産評価において主に勘案すべきものである。一方,株式の譲渡における「通常取引されると認められる価額」を算定する場面においては,個人であれ法人であれ株主が事業用資産を直接所有しているか,あるいは会社を通じて間接所有しているかといった点は,通常は,客観的交換価値である「通常取引されると認められる価額」の減額要因として問題になるとは考えられない。 したがって,法人税基本通達9-1-14(3)において,法人税額等相当額を控除しない旨定めることには,合理的な理由があり,平成12年課法2-7による改正後の法人税基本通達の取扱いが定着した後に行われた本件出資持分の各譲渡時点において 4(3)において,法人税額等相当額を控除しない旨定めることには,合理的な理由があり,平成12年課法2-7による改正後の法人税基本通達の取扱いが定着した後に行われた本件出資持分の各譲渡時点においては,「通常取引されると認められる価額」の算定において,法人税額等相当額を控除すべき理由は存しない。 (3) 以上により,本件においても,法人税基本通達9-1-14(3)の規定に従い,P4社の資産の評価額を算出しており,評価差額に対する法人税額等相当額を控除していない。 2 原告らの主張の要旨評価通達の純資産価額方式において法人税額等相当額の控除を認めたのは,昭和47年の通達改正においてである。その趣旨は,財産の所有形態における直接所有と間接所有の評価バランスを図ること,すなわち,個人が事業用資産を直接所有している場合と個人株主が会社所有の資産を間接所有している場合との評価上のバランスを図ることにあった。 また,最高裁平成14年(行ヒ)第112号同17年11月8日第三小法廷判決・集民218号211頁及び最高裁平成16年(行ヒ)第128号同18年1月24日第三小法廷判決・集民219号285頁が判示するとおり,「財産の直接所有支配の場合と間接所有支配の場合との評価の均衡(バランス)を図る」という要請は,相続税の分野における株式の評価と法人税課税におけるそれとの間で差異を見出し難く,当該要請は,評価対象会社が継続的に事業活動を行うか否かとは関係がない。 したがって,法人税課税における株式の評価について,法人税額等相当額控除をしないという法人税基本通達9-1-14(3)は合理的なものとはいえず,本件出資持分についても,直接所有と間接所有との評価バランスを図るという論理に基づいて,法人税額等相当額控除をして,価額の評価を行うべきで う法人税基本通達9-1-14(3)は合理的なものとはいえず,本件出資持分についても,直接所有と間接所有との評価バランスを図るという論理に基づいて,法人税額等相当額控除をして,価額の評価を行うべきである。 第6 本件出資持分の価額の評価における評価通達185ただし書の適用の有無(争点6)について 1 被告の主張の要旨(1) 評価通達189-3は,「当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が株式保有特定会社の185(純資産価額)のただし書に定める議決権総数の50パーセント以下であるときには,上記に より計算した1株当たりの純資産額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同項のただし書の定めにより計算した金額とする。」と定め,また,同通達185ただし書は,株式の取得者とその同族関係者の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下である場合においては,同項本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額の80パーセント相当額で評価する旨定めている。 (2) この点,本件平成17年各譲渡により本件出資持分を取得した原告P1とその同族関係者の有する議決権数は,原告P2が2万3995口,P8が5口となり,議決権割合は,31.57パーセントとなるから,上記の定めを形式的・画一的に適用すれば,本件出資持分の評価に当たっても,評価通達185ただし書を適用すべきとも思われる。 しかしながら,同通達185ただし書の趣旨は,小会社における同族株主による会社経営の実態は,個人事業者の場合と実質的にはほとんど変わることがないものが多いが,小会社の中には,複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全支配できないという 変わることがないものが多いが,小会社の中には,複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全支配できないという実態が認められるため,このような実態に即したものとする必要があるところから,単独の同族株主グループの所有株式数によって会社支配を行っている場合の支配力との較差を考慮して,議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下である同族株主グループに属する株主の取得株式を純資産価額方式により評価する場合には,20パーセントの評価減を行うというものである。このように,同通達185ただし書は,会社の支配力を考慮する観点から設けられたものであることから,同族株主以外の株主が存在していたとしても,それが名目的存在にすぎず,特定の一族が実質的に会社を支配しているような場合にまで適用すべきではない。 本件においては,争点3で述べたとおり,原告P1及び原告P2とその同 族関係者が,P4社を実質的に支配していたものと認められる。そうすると,本件出資持分を評価するに当たり,具体的な事情をしんしゃくせず,同通達185ただし書を形式的・画一的に適用することは,上記で述べた同通達ただし書が定められた趣旨を逸脱することとなる。そして,法人税基本通達9-1-14は,上場有価証券等以外の株式の価額につき評価通達の例によって算定した価額によることを認める前提として,「課税上弊害がない限り」という条件を付しているところ,本件出資持分につき評価通達185ただし書を適用して評価することは,当該出資持分の実体に即していない評価になるのであって,そのことに課税上の弊害があることはいうまでもない。このように,本件においては,同通達185ただし書によらないことが正当と是認 評価することは,当該出資持分の実体に即していない評価になるのであって,そのことに課税上の弊害があることはいうまでもない。このように,本件においては,同通達185ただし書によらないことが正当と是認されるような特別の事情があるというべきであるから,本件出資持分の評価額の計算上,純資産価額について80パーセント相当額で評価すべきではない。 (3) 以上のとおり,本件においては,評価通達185ただし書を適用すべきでない特段の事情が認められることから,本件平成17年各譲渡における本件出資持分については,同通達185条ただし書を適用せずに評価するのが合理的である。 2 原告らの主張の要旨(1) 評価通達は「法律」ではない以上,一般論としてその規定を一律に適用すべきでない場合があるとしても,評価通達185ただし書は,株式を純資産価額で評価する際,当該株式の取得者及びその同族関係者の議決権割合が50パーセント以下の場合には評価減をする旨明確な基準を定めているのであるから,納税者に対する課税の予測可能性を担保するために定められた租税法律主義(憲法84条)の趣旨に照らしても,その文言に規定された適用要件を満たす限り,これを適用すべき要請が高いといえる。 本件において,本件出資持分を取得した原告P1及びその同族関係者の議 決権割合は,31.57パーセントしかなく,会社法上,P4社は,P8らのみで特別決議のみならず通常決議についても議決を通すことはできず,常に他の出資者である本件13社の賛同を得なければならない経営状態になっていた。したがって,本件出資持分の評価に当たり当然に同通達185ただし書を適用して評価減を行うべきであり,当該株主及び同族関係者による「実質的支配」や,他の株主らの「経営に参画する目的」などといった主観的で曖昧な要素 件出資持分の評価に当たり当然に同通達185ただし書を適用して評価減を行うべきであり,当該株主及び同族関係者による「実質的支配」や,他の株主らの「経営に参画する目的」などといった主観的で曖昧な要素を持ち出し,これを適用しない特段の事情があるとすることは,納税者の予測可能性を著しく害し,許されない。 (2) また,上記の点を措くとしても,争点3において述べたとおり,P4社につきP8及びその同族関係者による「実質的な支配」があったとの事実は認められない上,本件13社にP4社の「経営に参画する目的」がなかったと断ずることもできないのであるから,被告が主張するような同通達185ただし書を適用すべきでない特段の事情は,本件において存在しない。 第7 控除負債利子額の算定(争点7)について 1 被告の主張の要旨(1) 控除負債利子額を原則法によって計算したことに違法はないこと(控除負債利子額の算定方法を再選択することの可否)ア原則法と簡便法の関係法人税法23条4項は,当該事業年度において支払う負債の利子があるときは,政令で定めるところにより計算した額を控除した額をもって同条1項を適用する旨を定めており,同条4項を受けた同法施行令22条が,控除負債利子額の計算方法について具体的に規定している。すなわち,同条1項及び2項は,法人税法23条4項1号及び2号に規定する「政令で定めるところにより計算した金額」について,同法施行令22条1項及び2項に定める方法(原則法)により「計算した金額とする」旨規定している。一方,同法施行令22条3項においては,平成10年4月1日に存す る内国法人について,同項に定める方法(簡便法)により「計算した金額とすることができる」と規定している。このような同令22条各項の規定ぶりからすると,控除負債利子 平成10年4月1日に存す る内国法人について,同項に定める方法(簡便法)により「計算した金額とすることができる」と規定している。このような同令22条各項の規定ぶりからすると,控除負債利子額の計算については,同条1項及び2項に定める方法(原則法)によるのが原則であるが,法人が同条3項に定める方法(簡便法)により計算した場合には,その選択を認めるという制度になっているものと解される。 イ法人税法23条6項及び7項の規定に照らし,原則法により控除負債利子額を算定したことに違法はないこと(ア) 上記アの法人税法施行令22条等により計算された受取配当等の益金不算入額について,法人税法23条6項は,「第1項及び第2項の規定は,確定申告書に益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載がある場合に限り,適用する。」とし,受取配当等の益金不算入制度の適用を受けるためには,「益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載」が必要である旨規定している。 同法23条6項の趣旨は,納税者である法人において自ら正確に益金不算入額を計算した上で,それを確定申告書に記載することにより,受取配当等の益金不算入制度の適用を受ける意思を示すことを要求するもの解される。また,同項が「益金の額に算入されない配当等の額」のみならず「その計算に関する明細」の記載も求めていることからすれば,同項の要件は,単に受取配当等の益金不算入制度の適用を受ける意思を示せば足りるというものではなく,法人の選択した計算が所定の要件を満たした適法なものであるかを確定申告書によって税務署長が確認できることをも求める趣旨と解される。 それゆえ,確定申告書において,原則法による控除負債利子額の計算を選択し,その計算の明細を記載して受取配当等の額 のであるかを確定申告書によって税務署長が確認できることをも求める趣旨と解される。 それゆえ,確定申告書において,原則法による控除負債利子額の計算を選択し,その計算の明細を記載して受取配当等の額を益金の額に算入 しなかった場合には,受取配当等の益金不算入制度の適用を受ける意思は確定申告書に示されているが,簡便法による計算の明細の記載がされていないことになる。 (イ) また,同法23条7項は,受取配当等の益金不算入額の計算に関する明細が確定申告書に記載されてない場合であっても,記載がないことにつきやむを得ない事情があると認めるときは,益金不算入とすることができる旨規定しているところ,同項は,同条6項所定の要件を欠いたことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めた場合に納税者を救済するための例外的な規定である。そして,同条7項にいう「やむを得ない事情」とは,納税者である法人が同記載をすることを妨げる外部的事実があり,同法人自身の力では同記載をすることができないような場合をいうものと解される。 そうすると,確定申告書において,受取配当等の益金不算入額の計算に関する明細が記載されていない場合に,税務署長が,更正処分において,上記「やむを得ない事情」があると認められないにもかかわらず益金不算入とすることは,同項の規定に反するものである。 (ウ) これを本件についてみると,原告P2は,確定申告時において,益金不算入額の計算結果の多寡にかかわらず,原則法によって控除負債利子額の計算を行う意思であった。すなわち,原告P2は,簡便法を選択することも可能であったにもかかわらず,これを選択しないで,原則法によることとしたのである。このようにして,簡便法による控除負債利子額の計算に係る明細の記載を欠く確定申告書を提出した原告P2に 択することも可能であったにもかかわらず,これを選択しないで,原則法によることとしたのである。このようにして,簡便法による控除負債利子額の計算に係る明細の記載を欠く確定申告書を提出した原告P2につき,税務署長が簡便法によって控除負債利子額を計算して同法23条1項を適用するためには,上記(イ)のとおり,簡便法による控除負債利子額の計算に係る明細の記載を欠いたことについて「やむを得ない事情」,すなわち,納税者である法人が同記載をすることを妨げる外部的 事実があって同法人自身の力では同記載をすることができないような事情があると認められることが必要であるところ,本件においては,かかる事情は何ら認められない。 (エ) したがって,原告P2・18年12月期の確定申告書において,簡便法による額及びその計算の明細の記載がなかったことにつき同法23条7項の「やむを得ない事情」が認められない以上,処分行政庁が,原告P2・18年12月期再更正処分を行うに当たって,控除負債利子額の算定上,原告P2が確定申告時に選択した原則法によって計算したことに,何ら違法は存しない。 また,原告P2・19年12月期更正処分についても,上記と同様であり,処分行政庁が,控除負債利子額の算定上,原告P2が確定申告時に選択した原則法によって計算したことに,何ら違法は存しない。 ウ通則法24条の規定の適用上も,原則法により控除負債利子額を算定したことに違法はないことそもそも,税務署長による更正は,納税者が提出した「納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき,その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるとき」において行われるものである(通則法24条)。 これに対し,本件では,原告P2が提出した に関する法律の規定に従つていなかつたとき,その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるとき」において行われるものである(通則法24条)。 これに対し,本件では,原告P2が提出した確定申告書において,原告P2が控除負債利子額を算定するに当たり簡便法ではなく原則法を選択してこれを算定したことは,何ら「課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた」ものではないし,「その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるとき」に当たるものでもない。 したがって,原告P2が控除負債利子額を算定するに当たり簡便法ではなく原則法を選択してこれを算定したことについて,原告P2が提出した 確定申告書に係る課税標準等又は税額等を税務署長が更正する要件を欠くというほかないから,原告P2・18年12月期再更正処分及び同19年12月期更正処分において,原告P2が選択した原則法を維持し,これによって控除負債利子額を算定したことに何ら違法はない。 エ原告P2の主張に対する反論(ア) 原告P2は,本件受贈益を益金の額に算入すべきことを確定申告時に知っていれば,簡便法による申告をしていたことが明らかであって,確定申告時における選択の錯誤があったから,錯誤による是正(簡便法による計算)が認められるべき旨主張する。 (イ) しかしながら,原告P2は,原告P2・18年12月期確定申告において,原則法により控除負債利子額を計算することを選択し,受取配当等の益金不算入額を7685万7133円と算出しているところ(乙50),簡便法により控除負債利子額を算出した場合には,益金不算入額は9743万1662円となり,原則法による場合に比べ益金不算入額が約2000万円も上回ることになる。 すなわち,原告P2は,本件受 ),簡便法により控除負債利子額を算出した場合には,益金不算入額は9743万1662円となり,原則法による場合に比べ益金不算入額が約2000万円も上回ることになる。 すなわち,原告P2は,本件受贈益を考慮しなくても,簡便法により計算した方が,約2000万円も益金の額が少なくなるにもかかわらず,確定申告時において,納税が有利になる簡便法を選択せず,益金の額が多くなる原則法を選択したのである。 そうすると,原告P2は,原告P2が確定申告時に本件受贈益を益金の額に算入すべきことを知っていたか否かとは無関係に,原則法を選択し適用したというべきである。 (ウ) 以上のとおり,原告P2は,確定申告時において,益金不算入額の計算結果の多寡にかかわらず,原則法によって控除負債利子額の計算を行う意思があったものである。そして,原告P2は,そのような意思に基づいて原則法により控除負債利子額及び受取配当等の益金不算入額 を計算し,その額及び計算の明細を確定申告書に記載したのであって,そこに何ら意思と表示の不一致は認められず,錯誤による選択の意思表示の存在を認める余地はないというべきである。 原告P2の上記主張には理由がない。 オ小括以上のとおり,原告P2・18年12月期再更正処分及び同19年12月期更正処分において,控除負債利子額に係る正当な額を算定するに当たり,原告P2が確定申告時に選択した原則法によって計算したことに何ら違法は存しない。 (2) 控除負債利子額の算定に当たり立法趣旨及び経過を踏まえるべきこと(資産按分方式における株式等の帳簿価額の意義)ア受取配当等の益金不算入及び控除負債利子額の制度趣旨(ア) 受取配当等の益金不算入の制度趣旨受取配当の益金不算入制度(法人税法23条1項)は,シャウプ勧告に基づ 式等の帳簿価額の意義)ア受取配当等の益金不算入及び控除負債利子額の制度趣旨(ア) 受取配当等の益金不算入の制度趣旨受取配当の益金不算入制度(法人税法23条1項)は,シャウプ勧告に基づく昭和25年度の税制改正で創設されたものであり,法人の受取配当について配当を支払う法人段階とそれを受け取る株主段階とを通じる税負担を調整し(いわゆる二重課税の排除),配当控除制度が適用される個人株主における法人税と所得税との負担調整の一環として位置づけられている(乙60)。 上記制度は,創設当初は,法人の受取配当の全額を益金不算入とする制度であったが,その後の法人企業における株式保有の増大や,法人の資産選択行動の態様といった経済的実態を踏まえ,益金不算入割合が引き下げられることとなった。すなわち,企業支配的な株式に係る配当等に課税することは弊害があるものの,法人が投資対象として保有する株式に係る配当についてまで益金不算入とする必要はないとの考えにより,企業支配的な株式に係る受取配当以外の配当については,益金不算 入割合が80パーセントまで引き下げられた(乙61)。その後の法人税法の改正により,原告P2・18年12月期及び同19年12月期における益金不算入割合は,50パーセントになっている。 (イ) 控除負債利子額の制度趣旨法人税法23条1項は,上記のとおり,法人が受け取る配当等について,所定の金額を益金に算入しない旨を定める一方,関係法人株式等及びその他の株式等については,法人の受取配当等の金額から所定の負債の利子の額を控除して益金不算入額を計算する旨を定めている。 受取配当等の額から負債の利子の額を控除する趣旨は,負債によって元本たる株式等を取得している場合に,その株式等から生ずる配当等については益金不算入とし,負債 金不算入額を計算する旨を定めている。 受取配当等の額から負債の利子の額を控除する趣旨は,負債によって元本たる株式等を取得している場合に,その株式等から生ずる配当等については益金不算入とし,負債の利子については損金に算入することとすると,非課税部門の収益に対応する非課税部門の費用が,課税部門の収益から控除されることとなり適当ではないという考え方によるものである(甲56)。 控除負債利子額の具体的な計算については,法人税法施行令22条1項及び2項において定められている。すなわち,同条1項及び2項は,それぞれ,同条1項1号所定の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度の確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額の合計額のうちに,①同条1項2号所定の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度の連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式及び出資並びに租税特別措置法3条の2に規定する特定株式投資信託の受益権の帳簿価額の合計額の占める割合と,②同条2項2号所定の当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度の関係法人株式等の帳簿価額の合計額の占める割合とを,当該事業年度において支払う負債の利子の額に乗じて計算する旨規定している。 イ控除負債利子額の具体的な計算方法の変遷とその改正趣旨 (ア) 紐付計算方式の廃止と按分計算方式の原則化配当の元本を取得するために要した負債の支払利子については,受取配当を益金不算入とすることに対応して損金の額に算入しないという,上記で述べたような控除負債利子額の制度趣旨からすれば,株式等の取得時におけるその取得のために要した負債の行先を常時追いかけて,その支払利子額を受取配当等の益金不算入額から控除する方法(いわゆる紐付計算方式)が,理論的に最も整合していると考え すれば,株式等の取得時におけるその取得のために要した負債の行先を常時追いかけて,その支払利子額を受取配当等の益金不算入額から控除する方法(いわゆる紐付計算方式)が,理論的に最も整合していると考えられる。 こうしたことから,昭和40年政令第97号による法人税法施行令の改正が行われる前は,紐付計算方式が原則とされていたところであるが,法人が借り入れた金銭については,一般にその使途に関して色分けがされていないため,紐付計算方式は,株式の取得後に法人が借入等で得た資金の使途を全て明らかにした場合等に限って認められる取扱いとなっていた。しかし,このような処理は通常不可能であって紐付計算方式によっている法人はほとんどなく,支払った負債の利子に総資産の帳簿価額のうちに占める株式の帳簿価額を乗じて計算する方式(いわゆる資産按分方式)を選択する法人がほとんどを占めていた。 昭和40年の税制改正においては,このような状況が考慮され,また,負債利子という考え方としては,むしろ株式等をその事業年度間保有するために要した利子,すなわちその事業年度中に支払った利子をその株式又は配当に配賦するという考え方の方がより一般的ではないかとの見地から,昭和40年政令第97号による法人税法施行令22条1項の改正において紐付計算方式が廃止され,資産按分方式のみが認められることとなった(乙62)。 (イ) 資産按分方式における計算方法の簡素化このように,控除負債利子額の計算は資産按分方式のみによることとなったが,同方式の計算方法についても,規定及び計算が複雑であった ことから,執行面あるいは実務面からの簡素化の要望を踏まえ,以下のとおり,昭和40年政令第97号による法人税法施行令において簡素化が図られることとなった。 すなわち,控除負債利子額の算出 ことから,執行面あるいは実務面からの簡素化の要望を踏まえ,以下のとおり,昭和40年政令第97号による法人税法施行令において簡素化が図られることとなった。 すなわち,控除負債利子額の算出過程において,総資産の帳簿価額に占めるこれらの株式等の帳簿価額の割合(以下「総資産株式割合」という。)を計算するに当たり,総資産及び株式の「帳簿価額」について,従来は,いずれも税務計算上の帳簿簿価(以下「税務簿価」という。)によるものとされていたものが,分母の総資産に関しては,確定した決算に基づく帳簿価額(以下「決算簿価」という。)によることに改正された。これにより,例えば,更正等によって法人の有する資産の税務簿価に変動が生じた場合であっても,総資産株式割合の分母の額を計算し直す必要はなくなり,簡素化が図られることになった。 もっとも,上記改正においても,分子の「株式の帳簿価額」については,従前どおり,「税務上その株式の正常な帳簿価額とみなされる金額」によることとされた(乙62)。これは,事業年度中に支払った利子をその株式に配賦するという資産按分方式において,配当等の元本たる「株式の帳簿簿価」は計算の根幹を成す要素であるから,更正等によりその税務簿価が変動しているにもかかわらず,控除負債利子額の計算に反映させないような処理は相当でないと判断されたものと考えられる。 ウ控除負債利子額の算定方法が法の委任の範囲を超えないこと(ア) 上記イのとおり,受取配当等の益金不算入の制度における控除負債利子額について,元本たる株式等を取得するために借り入れた金銭に係る利子の額を厳密に計算することは,実務上極めて困難であったため,各事業年度中に支払った利子の額に総資産株式割合を乗じた金額をもって控除負債利子額とすることとされている。 そして,総 た金銭に係る利子の額を厳密に計算することは,実務上極めて困難であったため,各事業年度中に支払った利子の額に総資産株式割合を乗じた金額をもって控除負債利子額とすることとされている。 そして,総資産株式割合の分子における株式の帳簿価額は,税務簿価 によるが,計算の簡素化の観点から,その分母における,総資産の帳簿価額に関しては,税務簿価ではなく決算簿価による旨定められたものである。 (イ) このような計算方法を採用したことにより,受取配当等の益金不算入額から控除される金額について,受取配当の元本たる株式を取得するために借り入れた負債に係る利子の額とは必ずしも連動しないことになる。しかし,規定及び計算が極めて複雑であったことに対する納税者や課税庁の負担の軽減のための簡素化の見地から,法人税法施行令22条において,合理性のある取扱いが定められたのであり,そのこと自体では法人税法23条4項の委任の範囲を逸脱するものではない。 エ原告P2の主張に対する反論(ア) 原告P2は,有価証券の帳簿価額について定めた法人税法61条の2第23項及びその委任を受けた同法施行令119条1項1号は,購入した有価証券の取得価額について「購入の代価」と規定するのみで,当該取得価額に受贈益の額を含めるなどの規定は存在しないから,仮に,本件各受贈益が認定されるとした場合であっても,原則法による控除負債利子額の計算においては,その分子及び分母のいずれについても本件各受贈益の額を加算する前の額で算定すべきである旨主張する。 (イ) しかしながら,以下に述べるとおり,法人税法22条2項及び同法施行令119条1項の規定によれば,本件各譲渡における本件出資持分の譲受価額(以下「本件出資持分譲受価額」という。)に本件各受贈益の額を加算した金額が,有価証券の「税 り,法人税法22条2項及び同法施行令119条1項の規定によれば,本件各譲渡における本件出資持分の譲受価額(以下「本件出資持分譲受価額」という。)に本件各受贈益の額を加算した金額が,有価証券の「税務上の帳簿価額」となるから,原告P2の上記主張は理由がない。 a 低額譲受けに係る法人税法22条2項の規定の適用について争点1で述べたとおり,譲受時における「適正な価額」より低い対価をもってする資産の譲受けの場合も,法人税法22条2項が適用さ れ,当該資産の譲受けに係る対価の額と当該資産の譲受時における「適正な価額」との差額が,無償による資産の譲受けに係るものとして,収益の額を構成するものと解される。 そして,この場合の「適正な価額」とは,正常な取引において形成された価額,すなわち,客観的な交換価値(不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額である時価)をいうものと解される。 b 低額譲受けに係る有価証券の取得価額原告P2・17年12月期及び同18年12月期に行われた本件各譲渡によって原告P2が取得した本件出資持分の取得価額の計算に関し,同法61条の2第23項の委任を受けて有価証券の取得価額の算出の方法を定めた同法施行令119条1項1号は,購入した有価証券の取得価額について,「その購入の代価(〔中略〕購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合にはその費用の額を加算した金額とする。)」と規定している。一方,同項8号は,同項1号ないし7号に掲げる有価証券以外の有価証券の取得価額について,「その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額」と規定している。 そして,同項1号ないし7号に掲げる有価証券以外の有価証券とは,現物出資,贈与,交換,債権の弁済として取得した ,「その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額」と規定している。 そして,同項1号ないし7号に掲げる有価証券以外の有価証券とは,現物出資,贈与,交換,債権の弁済として取得したもの等をいうものと解されるところ,法人が時価に比して著しく低い価額で有価証券を取得した場合には,売買と贈与との混合した取引によって有価証券を取得したものと認められることから,当該取引によって取得された有価証券は,同項8号に規定する有価証券に該当することになり,「その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額」,すなわち時価によって取得価額を算定することになる。 したがって,有価証券の譲受けに係る対価の額と当該有価証券の譲受時における「適正な価額」との差額相当額については,法人税法22条2項に規定する「無償による資産の譲受け」があったものとして,当該事業年度の益金の額に算入するとともに,当該有価証券の取得価額の一部を構成すると解するのが相当である。 この点,原告P2の上記主張は,本件各譲渡により原告P2が譲り受けた本件出資持分につき,同法施行令119条1項1号に規定する「購入した有価証券」に該当することを前提とするもののようであるが,上記で述べたとおり,本件出資持分は同項8号に掲げる有価証券に該当するものと解されるから,原告P2の上記主張は,前提において失当である。 なお,仮に,本件出資持分が同項1号に規定する「購入した有価証券」に該当する余地があるとしても,「適正な価額」よりも低い対価により有価証券を取得した場合の同号の「購入の代価」は,同項8号との均衡上,「適正な価額」によるべきと考えられることから,いずれにしても原告P2の上記主張は失当である。 c 低額譲受けに係る有価証券の「税務上の帳簿価額」 の同号の「購入の代価」は,同項8号との均衡上,「適正な価額」によるべきと考えられることから,いずれにしても原告P2の上記主張は失当である。 c 低額譲受けに係る有価証券の「税務上の帳簿価額」以上のとおり,法人が譲受時における「適正な価額」よりも低い対価により有価証券を取得した場合には,当該有価証券の譲受けに係る対価の額と当該有価証券の譲受け時における「適正な価額」との差額相当額,すなわち,受贈益相当額を当該有価証券の取得価額に含めなければならない。そして,同令119条の2第1項各号に規定する,移動平均法又は総平均法を通じて,当該有価証券の1単位当たりの帳簿価額が算定され,これに保有株数を乗じた金額が,有価証券の「税務上の帳簿価額」となる。 したがって,本件出資持分の「税務上の帳簿価額」の算定に当たり, 本件出資持分譲受価額に本件各受贈益の額を加算する根拠がないとする原告P2の上記主張は理由がない。 (3) 控除負債利子額計算における簡素化の趣旨を踏まえつつ,本件において法人税法23条4項の委任の範囲を逸脱しないようにするためには,被告の主張する方法によることが相当であること(控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合の取扱い)ア控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超えて計算されてしまう場合には,法人税法23条4項の委任の範囲を超えるおそれがあること上記(2)で述べたとおり,法人税法施行令22条1項及び2項の規定は,法人税法23条4項の委任の範囲内において,計算の簡素化を加味しつつ,合理的な控除負債利子額について具体的な計算方法を定めたものである。 もっとも,本件のように,法人が有する株式について,税務簿価とすべき金額が決算簿価に比して著しく高い場合,例外的に,株式の税務簿価が総資産の決算 子額について具体的な計算方法を定めたものである。 もっとも,本件のように,法人が有する株式について,税務簿価とすべき金額が決算簿価に比して著しく高い場合,例外的に,株式の税務簿価が総資産の決算簿価を超えてしまうこともあり得る。このような場合に同法施行令22条に定める計算方法を形式的に当てはめれば,現実支払利子額を超えて控除負債利子額が計算される結果になる。 しかし,現実支払利子額を超える金額を控除負債利子額として受取配当等の益金不算入額を計算することは,同法23条4項の委任の範囲を超えるというべきである。すなわち,同項柱書は「内国法人が当該事業年度において支払う負債の利子(中略)があるときは」と規定し,同項1号においては「当該負債の利子の額のうち当該株式等に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額」を控除負債利子額とする旨を定めていることからすれば(同項2号も同様),文理上,同項は現実支払利子額を超える金額を控除負債利子額とすることは想定していないと考えるのが自然である。また,益金不算入となる配当の元本たる株式を負債によって取得している場合に,その負債に係る利子を損金に算入しないという 控除負債利子額の制度趣旨に鑑みても,現実支払利子額を超える金額を益金不算入額から控除することは,計算の簡素化の観点からも,その理論的説明は困難である。 以上のとおり,同法施行令22条1項又は2項に定める計算方法によれば現実支払利子額を超える控除負債利子額が計算される場合,当該計算方法によるべきでない特段の事情が認められるというべきである。 イ法人税法施行令22条1項又は2項を適用した場合に,総資産株式割合が1を超えるときは,同割合を1として控除負債利子額を計算するのが相当であること(ア) 上記アのような特段の うべきである。 イ法人税法施行令22条1項又は2項を適用した場合に,総資産株式割合が1を超えるときは,同割合を1として控除負債利子額を計算するのが相当であること(ア) 上記アのような特段の事情が認められる場合において,法人税法施行令22条1項又は2項に定める計算方法によらないで控除負債利子額を計算するためには,法人税法23条4項の立法趣旨を逸脱しない計算方法,すなわち,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超えないように,総資産株式割合を①又は②として計算する方法が考えられる。 ① 総資産株式割合の計算において,株式の帳簿価額(分子)についても決算簿価とすること② 総資産株式割合が1を超える場合には,同割合を1とすることまた,総資産株式割合の計算において,総資産の帳簿価格(分母)を決算簿価ではなく税務簿価とすることも一応は考え得るが,このような方法は,上記(2)で述べた計算の簡素化の趣旨に反するもので,現実には採り得ないと考えられる。 (イ) 上記(ア)で掲げた①及び②のいずれの方法についても,同法23条4項の立法趣旨を逸脱せず,計算の簡素化の趣旨にも反しないものであるが,②の方法によることが相当である。その理由を以下に述べる。 まず,①の方法は,同法施行令22条1項2号及び同条2項2号に「帳簿価額」と規定されている文言について,総資産株式割合が1を超える 場合に限って「確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている帳簿価額」と読み替えるものである。しかし,法人税に関する法令においては,同法119条など他の条項も含め,「帳簿価額」とは税務簿価であることを前提に規定が設けられているものである。よって,同法施行令22条1項及び2項を適用するに当たり,特定の場合に限って「帳簿価額」を決算簿価と解釈することは も含め,「帳簿価額」とは税務簿価であることを前提に規定が設けられているものである。よって,同法施行令22条1項及び2項を適用するに当たり,特定の場合に限って「帳簿価額」を決算簿価と解釈することは,他の条項の解釈にも影響を与えかねず,無用の混乱を招くおそれがある。 他方,②の方法は,同法施行令22条1項及び2項の文言から離れる嫌いはあるものの,株式の税務簿価が増加するに従って総資産株式割合が1に近づき,それが1を超えた場合には1が限度となるものであって,計算結果の連続性という観点からは合理的である(この点,①の方法によれば,総資産株式割合が1を超えた段階で,不連続的に1より小さい数値になるという意味で不合理である。)。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)によれば,法人税法施行令22条1項又は2項を適用した場合に,総資産株式割合が1を超えるときは,同割合を1として控除負債利子額を計算するのが相当である。 ウ法人税法施行令22条1項及び2項による控除負債利子額の合計額が,現実支払利子額を超える場合には,現実支払利子額をその他の株式等及び関係法人株式等の税務簿価の割合に応じて按分した金額をそれぞれの控除負債利子額とするのが相当であること(ア) 上記イの計算方法により,その他の株式等に係る控除負債利子額(法人税法施行令22条1項)及び関係法人株式等に係るもの(同条2項)のそれぞれについて,その金額が現実支払利子額を超えないように調整した場合であっても,両者の控除負債利子額を合計すれば現実支払利子額を超えるようなことも考えられる。 このような場合も,全体として見れば,現実支払利子額を超える金額 が,受取配当等の益金不算入額から控除されることとなり,上記アで述べたことと同様の理由から,同法23条4項の委任の範囲を逸脱する結果と 場合も,全体として見れば,現実支払利子額を超える金額 が,受取配当等の益金不算入額から控除されることとなり,上記アで述べたことと同様の理由から,同法23条4項の委任の範囲を逸脱する結果となるというべきである。そして,上記イで述べたことからすれば,この場合,その他の株式等及び関係法人株式等に係るそれぞれの控除負債利子額の合計額が現実支払利子額と同額になるように調整するのが相当であると考えられる。 (イ) もっとも,この場合,その他の株式等に係る控除負債利子額と関係法人株式等の額とをどのように配分するのかという問題が残る。 同法23条4項によれば,法人が受ける配当等のうち益金不算入となるのは,その他の株式等について受ける配当等については,当該配当等の額からその他の株式等に配賦される控除負債利子額を控除した金額の100分の50であり(同項1号),関係法人株式等について受ける配当等については,当該配当等の額から関係法人株式等に配賦される控除負債利子額を控除した額の全額である(同項2号)。 この点,その他の株式等について受ける配当等に係る益金不算入割合が50パーセントとされている趣旨は,上記(2)ア(ア)で述べたとおりであり,関係法人株式等については,企業支配的な株式に係る配当等に課税した場合の弊害に鑑みて,控除負債利子額を控除した全額を益金不算入としている。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)のとおり,その他の株式等と関係法人株式等の性格の違いに着目して,控除負債利子額を控除した後の益金不算入割合に差を設けた同法23条4項の趣旨からすれば,同法施行令に定める方法により,それぞれ控除負債利子額を計算した金額の合計額が現実支払利子額を超える場合は,現実支払利子額について,その他の株式等の税務簿価と関係法人株式の税務簿価との割合で按 ば,同法施行令に定める方法により,それぞれ控除負債利子額を計算した金額の合計額が現実支払利子額を超える場合は,現実支払利子額について,その他の株式等の税務簿価と関係法人株式の税務簿価との割合で按分した金額をそれぞれの控除負債利子額として,受取配当等の益金不算入額を計算するのが相当 である。 (4) 小括以上のとおり,法人税法23条4項の立法趣旨を逸脱しない範囲で控除負債利子額の計算を行うためには,現実支払利子額について,その他株式等の税務簿価と関係法人株式の税務簿価との割合で按分した金額を,それぞれの控除負債利子額として,受取配当等の益金不算入額を計算することが相当である。 これを基に原告P2の配当等の益金不算入額を算定すると,原告P2・151万227円となり,原告P2・19年12月期更正処分については,被 2 原告P2の主張の要旨(1) 原告P2・18年12月期再更正処分について,原告P2に本件出資持分に係る受贈益はないが,仮にこれが加算される場合における負債利子の控除について,以下主張する。 (2) 原則法から簡便法への選択の是正が認められるべきこと(控除負債利子額の算定方法を再選択することの可否)ア選択の是正が法によって許容されていること受取配当等の額から控除する負債利子等の額の計算に用いる負債利子控除割合の算定には,原則法と簡便法があるところ,法人税法は,両者の間に優劣を定めておらず,いずれの方法を選択するかは全面的に納税者に任されている。そして,納税者が確定申告時においていずれかの方式を採用した場合に,これを変更することができない旨の規定は置かれていない。 また,受取配当等の益金不算入規定は,課税済の利益に二重に課税しないことを目的とするものであり,その制度趣旨や課税の公平の観点から た場合に,これを変更することができない旨の規定は置かれていない。 また,受取配当等の益金不算入規定は,課税済の利益に二重に課税しないことを目的とするものであり,その制度趣旨や課税の公平の観点からすれば,そもそも事後的な適用を認めても全く問題がなく,租税法律関係を 不安定にし,申告納税制度の趣旨が没却されることもない。 したがって,多額の受贈益が課されることを想定し得なかったような本件において,簡便法を適用できる内国法人である原告P2が,当初申告時に原則法を選択したことについて,修正申告や更正の請求によらずに改めて簡便法を選択することも許容されるというべきである。 イ納税者の確定申告に錯誤がある場合には是正できること(ア) 納税者が確定申告時に原則法又は簡便法を選択した場合,①当該選択に客観的に明白かつ重大な錯誤があり,②法所定の方法がなく,③その是正を許さないならば納税者の利益を著しく害すると認められる特段の事情があるときは,修正申告や更正の請求によらずに選択を是正できるものと解するのが相当である(最高裁昭和60年(行ツ)第81号同62年11月10日第三小法廷判決・裁判集民事152号155頁,最高裁昭和63年(行ツ)第152号平成2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号612頁参照)。 (イ) これを本件についてみるに,原告P2は,原告P2・18年12月期の法人税の確定申告時において,本件受贈益が生じないと信じていたのであり,受取配当に係る負債利子の額の計算方法についても,それを前提に原則法を選択したのであって,その選択に錯誤があったことは客観的に明白である。 そして,原告P2・18年12月期について,原告P2の控除負債利子額を簡便法によって算定すると,合計9743万1662円となるところ,原則法によれば 択に錯誤があったことは客観的に明白である。 そして,原告P2・18年12月期について,原告P2の控除負債利子額を簡便法によって算定すると,合計9743万1662円となるところ,原則法によれば,その額は,本件受贈益がある場合には4683万8282円(原告P2・18年12月期再更正処分)と算定され,同受贈益がない場合には7666万98円(原告P2・18年12月期再修正申告)と算定されるのであるから,上記錯誤は,その差額に照らし重大なものである(上記(ア)①)。 また,本件において,原告P2は「受贈益はない」と主張しているところであり,負債利子の額の算定方法の是正を法の定める方法によって行うことはできない(上記(ア)②)。 さらに,確定申告後に処分行政庁が本件受贈益を認定したことから,負債利子の額の算定にあたり,簡便法の選択への是正を許さないならば,控除負債利子額が高額となり,受取配当等の益金不算入額が減少し,法人税額が増加する結果を招来するという原告P2の利益を著しく害する特段の事情がある(上記(ア)③)。 (ウ) 以上によれば,原告P2が確定申告時に原則法を選択したことにについては,錯誤に基づく是正が認められるべきものであるから,原告P2は,簡便法により負債利子控除の額を算定することができる。 (3) 原則法による場合の控除負債利子額割合につき分子の帳簿価額に本件受贈益の額を加算すべきでないこと(資産按分方式における株式等の帳簿価額)ア仮に,簡便法による負債利子控除の額の算定が認められず,原則法によるべきであるとしても,負債利子控除割合の分子に当たる法人税法施行令22条1項2号の「帳簿価額」は,税務上の帳簿価額をいうと解されるところ,本件出資持分に関し,その税務上の帳簿価額として加算されるのは,購入代価そ ても,負債利子控除割合の分子に当たる法人税法施行令22条1項2号の「帳簿価額」は,税務上の帳簿価額をいうと解されるところ,本件出資持分に関し,その税務上の帳簿価額として加算されるのは,購入代価そのものであって,本件受贈益の額を加算することは誤りであるから,受取配当等の益金不算入額の過大額は,516万2834円となる。 以下,本件受贈益の額を加算すべきでないことにつき詳述する。 イ資産の低額譲受けの場合に法人税法22条2項が適用されることと同法施行令22条1項及び2項の「帳簿価額」とは無関係であること仮に,資産の低額譲受けの場合に,当該資産の対価の額と「適正な価額」と差額が,法人税法22条2項の無償による資産の譲受けに係るものとして,収益の額を構成するとしても,同法施行令22条1項2号及び2項2号に規定する「帳簿価額」は,同令119条1項により算出されるべきで あり,内国法人の益金の額に関する通則的な規定である法人税法22条2項の解釈によって定まるものではない。 ウ法人税法施行令119条1項1号の「購入の代価」に本件受贈益の額は加算されないこと(ア) 租税法においては,厳格な文理解釈の原則が要請される。そのため,特段の限定を付さないで用いられている法人税法施行令22条1項2号の「帳簿価額」は,税務上の帳簿価額であると解するのが相当である。 また,上記の文理解釈の原則に照らせば,本件出資持分は,原告P2が購入により取得したものであるから,同令119条1項1号の「購入した有価証券」に該当し,同項8号の有価証券に該当する余地はない。 (イ) 同令119条1項1号は,「購入した有価証券」の帳簿価額の算出の基礎となる取得価額について,「その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には,その費 。 (イ) 同令119条1項1号は,「購入した有価証券」の帳簿価額の算出の基礎となる取得価額について,「その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には,その費用の額を加算した金額)」と明確に規定しており,時価よりも低額な価額で購入した場合について何ら特段の規定を置いていないから,厳格な文理解釈によれば,一律にその購入代価を取得価額としていると解するほかない。上記規定について,同項8号との均衡などという意味不明な根拠により,「適正な価額」と読み替えることはできない。 エ税務上の帳簿価額につき有価証券の評価益等相当額が加算されないこと受取配当等の益金不算入額の負債利子控除割合の算定に係る法人税法施行令22条1項1号ニ及びヘ並びに同条2項1号(分母に係るもの)は,「確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている総資産の帳簿価額」を算出するに当たり,「その他有価証券」の評価益等相当額を加減すると規定する一方で,同条1項2号及び2項2号(分子に係るもの)は,単に「帳簿価額」とのみ規定し,これらの評価益等相当額を考慮していない。 これは,企業会計においては「その他有価証券」について時価評価することとしているのに対し,税法上は「その他有価証券」について基本的に原価評価することとしていることによる。 このように,同令22条1項及び2項による控除負債利子額の算定に当たり,分子の帳簿価額は評価損益を考慮しないのであるから,有価証券の低額譲受けの場合に,当該資産の対価の額と「適正な価額」との間に差額があるとしても,これを加算することはできない。そうすると,本件においても,控除負債利子額の算定に当たり,分子の帳簿価額について,本件出資持分の価額に本件受贈益の額を加算することはできない。 (4) るとしても,これを加算することはできない。そうすると,本件においても,控除負債利子額の算定に当たり,分子の帳簿価額について,本件出資持分の価額に本件受贈益の額を加算することはできない。 (4) 負債利子控除割合が1を超えるときは「各株式等の帳簿価額」から受贈益相当額を減算すべきこと(控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合の取扱い)ア仮に,本件出資持分に関し,その税務上の帳簿価額として本件受贈益の額を加算すべきであるとしても,計算の結果,負債利子控除割合が1を超えるときは,分子となる「各株式等の帳簿価額」を,税法上の帳簿価額から,負債利子の支払に全く関係しない本件受贈益の額を減算した額に変更して,控除すべき負債利子の額を算定すべきである。以下詳述する。 イ受取配当等の益金不算入額の負債利子控除割合の算定に関し,分母となる総資産の帳簿価額は会計上の帳簿価額とし,資産の評価損益が計上されることとする一方で,分子となる株式等の帳簿価額は税法上の帳簿価額とし,上記評価損益は計上されないこととすれば,両帳簿価額が乖離することも見込まれる。 そこで,法人税法施行令22条1項1号は,負債利子控除割合の分母となる「総資産の貸借対照表上の帳簿価額」について,同帳簿価額をそのまま分母とするのではなく,同号イないしヘにより次に掲げる金額を加減算する旨規定している。 ① 減算する金額イ固定資産の帳簿価額を損金経理により減額することに代えて積立金として積み立てている金額ロ租税特別措置法52条の3(準備金方式による特別償却)の規定により特別償却準備金として積み立てている金額ハ土地の再評価に関する法律の規定により再評価が行われた土地に係る再評価差額に相当する金額ニ法人税法施行令119条の2第2項に規定するそ の規定により特別償却準備金として積み立てている金額ハ土地の再評価に関する法律の規定により再評価が行われた土地に係る再評価差額に相当する金額ニ法人税法施行令119条の2第2項に規定するその他有価証券に係る評価益等相当額ホ連結法人に支払う負債利子の元本である負債の額に相当する金額② 加算する金額ヘその他有価証券に係る評価損等相当額ウこのうち,法人税法施行令22条1項1号イ及びロは,固定資産等について,圧縮記帳や特別償却という損金経理により帳簿価額を減額する方法とその方法に代えて積立金として積み立てる方法,引当金に繰り入れる方法などその経理方法が複数あり,経理方法によって貸借対照表上の総資産の帳簿価額が異なるため,これを調整するための規定である。 また,同号ハは,会計上,再評価を行い,帳簿価額を増額した土地について,再評価後の土地の帳簿価額で総資産の帳簿価額を算定したのでは,控除する負債利子の額を,総資産の帳簿価額に占める株式等の帳簿価額の割合で算定することしていることからすれば,再評価差額相当額だけ総資産の帳簿価額が増加し,控除すべき負債利子の額が適正に計算されないことになるため,当該再評価相当額を除いて調整するための規定である。 そして,同号ホは,連結法人間における負債利子は,受取配当等の額から控除すべき負債利子の額に含まれないことから(法人税法23条4項括弧書き),当該負債利子の元本たる負債を総資産の帳簿価額から控除して 調整するものである。 以上と同様に,同法施行令22条1項1号ニ及びヘは,税法上の「その他有価証券」について企業会計上は時価評価することとし,その評価差額を純資産の部に計上することを原則としているのに対し,税法上「その他有価証券」は原価評価することとされているため,評価 法上の「その他有価証券」について企業会計上は時価評価することとし,その評価差額を純資産の部に計上することを原則としているのに対し,税法上「その他有価証券」は原価評価することとされているため,評価益の場合は評価差額相当額を総資産の帳簿価額から減算し,評価損の場合は評価差額相当額を総資産の帳簿価額に加算して調整するものである。すなわち,同号ニ及びヘは,負債利子控除割合における分子の株式等の額と分母の総資産に含まれる株式等の額を同額にするための調整規定である。 エこのように,「その他有価証券」に係る評価損益について,法令は,これを負債利子控除割合算定のための帳簿価額から加減算して,控除する負債利子の額の算定が整合するように調整しているのであり,このような分母の貸借対照表上の帳簿価額と分子の税法上の帳簿価額との調整規定が設けられていることや,評価差額を得るために資金を借り入れ,利子を支払うことが想定され得ないことからすれば,控除負債利子の額の算定にあたり,評価差額を加味しない調整方法(帳簿価額に加算しない方法)が最も合理的である。 したがって,負債利子控除割合が1を超える本件において,控除負債利子額の算定に係る負債利子控除割合における有価証券の帳簿価額に,本件受贈益の額を加算すべきではない。 第8 処分理由の差し替えの可否(争点8)について 1 原告P2の主張の要旨(1) 除斥期間経過後の新たな理由による追加主張は認められないことア被告は,原告P2・18年12月期再更正処分について,平成25年2月22日の本件第4回口頭弁論期日において,同処分の更正通知書(甲26)に記載されていない特定同族会社に係る留保金課税(法人税法67条 1項)を同処分の根拠として主張した(同日付け準備書面(2)。以下「本件留保金主張」という いて,同処分の更正通知書(甲26)に記載されていない特定同族会社に係る留保金課税(法人税法67条 1項)を同処分の根拠として主張した(同日付け準備書面(2)。以下「本件留保金主張」という。)。 イところで,法人税の更正処分は,法定申告期限から5年を経過した日以後においてはすることができない(平成19年3月30日法律第6号による改正前の通則法70条)。 原告P2・18年12月期の法人税の法定申告期限は,平成19年3月31日(確定申告書の提出期限の延長の特例に係る法人税法75条の2第1項の規定により1月間延長されたもの)であったから,同日から5年を経過した平成24年4月1日以後は,更正をすることができない。通則法がこのような除斥期間を設けている趣旨は,租税法上の法律関係を不確定の状態にしておくことは好ましくないためである。 このような租税法律関係の早期安定という通則法の趣旨に鑑みれば,除斥期間経過後は,増額更正処分をすることもできないというべきである。 ウ被告は,上記アのとおり,除斥期間の終了日から10か月以上も経過した平成25年2月22日に本件留保金主張をしているところ,このような主張の追加は,通則法が定める除斥期間経過後に当初更正処分と異なる理由で増額再更正をすることと同じ結果を招来することになるから,上記イで述べたところに照らし,原則として許されない。 (2) 青色申告の更正通知書に附記された更正理由とは異なる理由によって当該更正処分の適法性を主張することは許されないことア青色申告に対する更正処分の理由附記制度は,処分庁の判断の慎重さ,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて,不服申立ての便宜を与える趣旨で設けられたものであり,この理由附記に不備があるときは,それだけで当 ,処分庁の判断の慎重さ,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて,不服申立ての便宜を与える趣旨で設けられたものであり,この理由附記に不備があるときは,それだけで当該更正処分が違法となるというべきであるから,青色申告の更正については新たな処分理由の追加は原則として許されないと解される。 イ原告P2・18年12月期の法人税に係る確定申告が,青色申告であることは,当事者間に争いがないところ,本件留保金主張は,更正通知書に附記された更正理由とは異なる理由によって当該更正処分の適法性を主張するものであるから,原則として許されない。 (3) 本件留保金主張には例外事由も認められないことア上記(1)及び(2)を踏まえ,本件留保金主張が例外的に許されるのは,①原告P2・18年12月期各更正処分の更正通知書に附記された理由と本件留保金主張との間に基本的課税要件事実の同一性があり,かつ,②本件留保金主張を認めても原告P2の手続的権利に格別の支障がない場合に限られるというべきである。 イ上記①についてみるに,原告P2・18年12月期再更正処分の理由の一部が受贈益ではなく,法人税法67条1項の同族会社に係る留保金課税であるとすれば,本件留保金主張の基本的課税要件事実は,原告P2が原告P2・18年12月期において同項に規定する同族会社に該当し,かつ,租税特別措置法62条の2第1項各号のいずれにも該当しないこと,法人税法67条1項の規定により,同期の留保控除金額を超える部分の課税留保金額が算定されること,及び同留保金額について同項各号に定める割合を乗じて計算した金額の法人税額が加算されることが摘示されなければならない。しかし,原告P2・18年12月期更正処分及び同再更正処分の各更正通知書の理由欄には,そ 保金額について同項各号に定める割合を乗じて計算した金額の法人税額が加算されることが摘示されなければならない。しかし,原告P2・18年12月期更正処分及び同再更正処分の各更正通知書の理由欄には,その旨が一切記載されてない。また,受贈益の認定と課税留保金に対する課税とは,その根拠法令(法律要件)も異なる。さらに,本件留保金主張の判断のためには,同法67条1項の要件(同族会社該当性など)の事実認定や法的評価を要する。 したがって,原告P2・18年12月期各更正処分の更正通知書に附記された理由と本件留保金主張とでは,課税要件事実は明らかに異なっているから,その間に基本的課税要件事実の同一性は認められない。 ウ次に,上記②についてみるに,結果論として,原告P2・18年12月期において,原告P2が,法人税法67条1項のその他の要件(同族会社該当性など)を満たしていたからといって,原告P2が不服申立手続においてこれらの論点を争う手続的権利を奪われてもやむを得ないなどとは到底いえない。なお,被告が本件留保金主張をしたのは,上記(1)のとおり,更正処分の除斥期間経過後である平成25年2月22日であり,原告P2の手続的権利は,現に奪われている。 また,処分行政庁は,後続事業年度の原告P2・19年12月期更正処分の更正通知書には,本件留保金主張に係る理由を附記している。 したがって,本件留保金主張を認めても原告P2の手続的権利に格別の支障がないとはいえない。 エ以上のとおり,本件留保金主張にはこれが許される例外的事由も認められず,被告が本件留保金主張をすることは許されない。 2 被告の主張の要旨(1) 更正の除斥期間経過後の新たな主張が許されることア原告P2は,本件留保金主張は,通則法が定める除斥期間経過後に当初更正処 本件留保金主張をすることは許されない。 2 被告の主張の要旨(1) 更正の除斥期間経過後の新たな主張が許されることア原告P2は,本件留保金主張は,通則法が定める除斥期間経過後に当初更正処分と異なる理由で増額更正をすることと同じ結果を招来することとなり,許されない旨主張する。 イしかしながら,①処分理由の差し替えは単なる攻撃防御方法の提出であって別個に課税処分をするものではないから,除斥期間の制限を受けないのは当然であること,②既に除斥期間内に課税処分がなされている以上,納税義務者の法的地位を早期に安定させようという除斥期間の趣旨は達成されているというべきであって,課税処分の適法性をめぐって現に訴訟で争っている場合にまで除斥期間の趣旨を拡大すべき必要性はないこと,③処分理由の差し替えを許しても,一定額の納税義務が課されている状態自体には何ら変動がなく,納税義務者にそれ以上の義務を新たに課すもの ではないこと,④除斥期間経過後の原告による新たな主張及び立証を認めながら,税務署長に対してのみ主張及び立証を制限する根拠は,除斥期間を法定している趣旨からは説明できないこと,⑤税務署長の主張が時機に後れてされた場合は,民事訴訟法157条の規定(時機に遅れた攻撃防御方法の却下等)を活用して適宜対処することができることに鑑みれば,課税処分の取消訴訟において,更正の除斥期間経過後における新たな主張は許されると解すべきである。 原告P2の上記主張には,理由がない。 (2) 本件留保金主張は理由の差し替えの枠外のものであるから,総額主義の観点により許容されるべきであることア原告P2は,青色申告者に対する更正処分の理由附記制度(法人税法130条2項)の趣旨により本件留保金主張が制限される旨主張する。 イしかしながら,課税処 観点により許容されるべきであることア原告P2は,青色申告者に対する更正処分の理由附記制度(法人税法130条2項)の趣旨により本件留保金主張が制限される旨主張する。 イしかしながら,課税処分の取消訴訟における訴訟物は,処分の違法性一般であり,その処分の同一性の捉え方について,判例はいわゆる総額主義を採用している(最高裁平成2年(行ツ)第155号同4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁ほか)。総額主義によれば,審理の対象は,課税処分によって確定された税額が処分時に客観的に存在した税額を上回るか否かを判断するために必要な事項の全てに及ぶことになるから,課税処分における税務署長の認定等に誤りがあっても,これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ,当該課税処分は適法とされることになる。 以上の観点から,更正通知書に記載されていない理由をもって課税処分の適法性を主張することは許容されるというべきである。 ウもっとも,青色申告者に対する更正については,更正の理由を附記することが求められていること(所得税法155条2項,法人税法130条2項)から,更正処分取消訴訟において,課税庁が更正通知書に附記した以 外の理由を主張し得るかどうかが問題とされることがあり,これがいわゆる理由の差し替えの可否の問題である。 この点に関し,最高裁昭和52年(行ツ)第62号同56年7月14日第三小法廷判決・民集35巻5号901頁は,被処分者に争訟上格別の不利益を与えることがない場合はいわゆる理由の差し替えの枠外の問題とし,理由の差し替え固有の問題はそれが被処分者の争訟上の利益にかかわるような場合に限定した上,この理由の差し替えの可否の問題をいずれに解しようとも,同判決の事案のよう る理由の差し替えの枠外の問題とし,理由の差し替え固有の問題はそれが被処分者の争訟上の利益にかかわるような場合に限定した上,この理由の差し替えの可否の問題をいずれに解しようとも,同判決の事案のような場合には,新たな主張が許されると判示したものと解される。 エ本件において,原告P2・18年12月期再更正処分に係る主な争点は,原告P2が原告P1及びP8から本件出資持分を譲り受けた際に受贈益が生じていたか否か,そして受贈益が生じていた場合において,その受贈益を原告P2・18年12月期の益金の額に算入するべきか否かであるところ,仮に同受贈益を益金の額に算入すべきとした場合には,法人税法67条1項所定の留保金額が増加し,同項及び租税特別措置法62条の2第1項の適用によって,原告P2・18年12月期の課税留保金額に対する税額は自動的に算出される関係にあるが,原告P2・18年12月期再更正処分において,当該税額が同事業年度の所得の金額に対する法人税額に加算されていなかったものである。 上記課税留保金額に対する税額の算出に当たっては,平成18年法律第10号による改正前において,法人税法67条1項が適用される「同族会社」の該当性が問題となるが,原告P2・18年12月期末時点で,原告P2の株主は,P8(700万株),P26(1000万株)及びP8と特殊の関係のある個人であるP10(1300万株)であり,これらの者(いずれも個人であって,同族会社でない法人ではない。)によって発行済株式総数である3000万株の100パーセントが保有されていたか ら,原告P2について,同項が適用される同族会社であることは客観的に明らかである。 また,上記税額の計算について,所得金額及び受取配当の益金不算入額の金額に争いはあるものの,これらはいずれも受贈益 ,原告P2について,同項が適用される同族会社であることは客観的に明らかである。 また,上記税額の計算について,所得金額及び受取配当の益金不算入額の金額に争いはあるものの,これらはいずれも受贈益に係る争点の判断と連動し,その他の計算については,客観的金額として争いがない。 このように,原告P2・18年12月期の課税留保金額に対する税額の加算は,理由附記されている本件出資持分の受贈益に係る上記争点に対する判断によって決せられるものであるから,法人税法67条1項の主張が追加されたとしても,原告P2に特段の不利益を生じさせるものとはいえない。 オしたがって,本件留保金主張は,理由の差し替えの枠外の問題として許されるというべきであるから,原告P2の上記主張には理由がない。 (3) 原告P2の主張を前提としても本件留保金主張は許容されるべきであることア原告P2は,①原告P2・18年12月期各更正処分の更正通知書に附記された理由と本件留保金主張との間に基本的課税要件事実の同一性があり,かつ,②本件留保金主張を認めても原告P2の手続的権利に格別の支障がない場合には,本件留保金主張が例外的に許される旨主張する。 イそこで検討するに,上記(2)で述べたところに照らすと,本件においては,本件留保金主張との関係で,本件出資持分について受贈益が生じていたか否かの判断の前提となる事実関係のほかに,当該事実関係とは別個の新たな事実の認定や法的評価を要するものではなく,それゆえ,留保金課税が行われたか否かにかかわらず,原告P2が不服申立てや本件訴訟で主張する基本的な事実関係は異なるものではない。 そうすると,仮に原告P2の主張を前提にしたとしても,①本件出資持分について受贈益が生じていたか否かという点と,本件留保金主張との間 には, 張する基本的な事実関係は異なるものではない。 そうすると,仮に原告P2の主張を前提にしたとしても,①本件出資持分について受贈益が生じていたか否かという点と,本件留保金主張との間 には,直接的な関係が認められるから,争点における基本的な課税要件事実の同一性があるといえるし,また,②不服申立てや本件訴訟において原告P2の手続的権利に格別の支障を生じるものでもなく,実際に,原告P2は,不服申立手続から本件訴訟に至るまで,受贈益が生じるか否かについて争っているのであるから,本件留保金主張を認めたとしても,原告P2の手続的権利に格別の支障を生じさせることにならないことは明らかである。 ウしたがって,原告P2の主張を前提としても,本件留保金主張は許容されるべきである。 (4) 小括以上によれば,被告が本件留保金主張をすることは許容されるべきである。 第9 過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由の存否(争点9)について 1 原告らの主張の要旨(1) 仮に,本件各譲渡に係る受贈益相当額が原告らの所得金額に加算されるべきものであり,かつ本件出資持分の評価が被告の主張するとおりであるとしても,原告らが法人税の申告時に所得金額を加算しなかったことについて,通則法65条4項に定める過少申告加算税を賦課すべきでない「正当な理由があると認められる場合」には,原告らが加算税を賦課されることはない。 ここで,「正当な理由があると認められる場合」とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうと解される。 (2) これを本件についてみると,株式等の評価方法は,法人税基本通達9-1-13及び同通達9-1-14により定 なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうと解される。 (2) これを本件についてみると,株式等の評価方法は,法人税基本通達9-1-13及び同通達9-1-14により定められているところ,被告は,売買実例による評価を否認した上,同通達が準用する評価通達の定めのうち,議決権割合に基づく評価方式(配当還元方式)及びそれが認められる場合等の 純資産価額の20パーセント減について,通達によるべきでない特段の事情があるとして,評価に係る国税庁の公的見解である評価通達と異なる方法により本件出資持分を評価する。しかし,そのような評価方法を採用すべきことを納税者である原告らが予測して,法人税の申告をすることはできず,本件において原告らの責めに帰することのできない客観的な事情がある。 また,P7相続税事件の評価時点における評価通達の定め(株式数による判定)と本件各譲渡時における評価通達の定め(議決権数による判定)は異なっており,上記事件を根拠に「不適用となる可能性を認識できなかった」と判断することはできない。加算税制度の趣旨からしても,原告らに対し,評価通達と異なる評価をして法人税を課したうえで,加算税をも賦課することは,不当又は酷な処分であることは明らかである。 (3) 以上によれば,原告らに過少申告加算税を賦課すべきでない正当な理由があるというべきである。 2 被告の主張の要旨(1) 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。 法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。そして,過少申告加算税の上記趣旨に照らせば,通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である。 したがって,単に納税者の法の不知や誤解に基づく場合は,上記「正当な理由があると認められる」場合に該当しない。 (2) これを本件についてみると,原告らは,本件13社による本件出資持分に係る出資の経緯及び保有状況を熟知していたばかりか,P4社の出資者には,原告P1らの同族関係者以外の同族関係者グループは存在せず,原告らとその同族関係者が,P4社を実質的に支配していたというべきであることは,P7相続税事件の控訴審判決(東京高等裁判所平成17年1月19日判決。 乙4の2)においても同様に認定されていたのであるから,本件出資持分の評価につき,評価通達185ただし書及び同通達188(1)の定めが不適用となる可能性を十分に検討することができた。本件において,過少申告となった要因は,原告らが,単に,法令・通達の解釈につき,独自の解釈に基づいて本件出資持分を評価したことによるものにすぎない。 (3) 以上のとおり,本件において,原告らの法人税の申告が過少になったことについての要因は,原告らの法の不知や誤解に基づくものと評価できるものであるから,原告らに通則法65条4項所定の正当な理由があるとはいえず,原告P1賦課決定処分及び原告P2各賦 告が過少になったことについての要因は,原告らの法の不知や誤解に基づくものと評価できるものであるから,原告らに通則法65条4項所定の正当な理由があるとはいえず,原告P1賦課決定処分及び原告P2各賦課決定処分に違法はない。
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