- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,仙台市長から一般廃棄物収集運搬業,産業廃棄物収集運搬業等の許可を受けていた被控訴人に対して支配力を有する法人株主が,産業廃棄物処分業の許可を取り消された別の会社に対しても支配力を有していたので,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成17年法律第42号による改正前のもの。 以下「法」という)7条5項4号ニ,同項リ(14条5項2号イで準用される。),,場合も含むに該当するに至ったとして仙台市長が法7条の4第1項1号9条の2の2第1項1号,14条の3の2第1項1号に基づき一般廃棄物収集運搬業等の許可を取り消したところ,被控訴人が,控訴人に対して上記取消処分の取消しを請求した事案である。原審が,被控訴人の請求を認容したため,控訴人が不服を申し立てた。 なお,被控訴人は,仙台市長が上記処分をしたことを受けて宮城県知事が平成17年8月1日に行った産業廃棄物収集運搬業許可の取消処分の取消しも併せて請求したが,原審が,仙台市長が行った取消処分と宮城県知事の行った取消処分とは別個のものであって,違法性の承継を認める関係にはなく,宮城県知事が取消処分をなした時点で被控訴人が仙台市長から一般廃棄物収集運搬業等の許可を取り消され,取消しの日から5年を経過しない状態にあったのは明らかであるとして,その請求を棄却したところ,被控訴人から不服の申立ては- 2 -なく,第1審被告宮城県に関する部分の判決は確定している。 関係法令の定め等本件に関連する法の規定は,次のとおりである。 るとして,その請求を棄却したところ,被控訴人から不服の申立ては- 2 -なく,第1審被告宮城県に関する部分の判決は確定している。 関係法令の定め等本件に関連する法の規定は,次のとおりである。 法7条5項4号は,一般廃棄物処理業のうち収集業又は運搬業の許可に関して欠格要件を定めている。 すなわち,同号ニにより,一般廃棄物収集業や産業廃棄物収集業の許可を取り消され,取消しの日から5年を経過しない者のほか,当該許可を取り消された者が法人である場合においては,当該取消し処分に係る行政手続法15条の規定による通知があった日前60日以内にその法人の役員(業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかな,,,る名称を有する者であるかを問わず法人に対し業務を執行する社員取締役執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)に対しても許可をすることができない。 。 また,同号リにより,法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに同号ニに該当する者のあるものについても許可をすることできない。 一般廃棄物の処分業については,法7条10項1号ないし4号に欠格要件が定められており,同項4号は,同条5項4号イからヌに該当する者について許可をすることができないとしている。 市町村長は,一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が法7条5項4号イからヌまでのいずれかに該当するに至ったときはその許可を取り消さなければならない(法7条の4第1項1号。 )一般廃棄物処理施設設置については,法8条の2第1項1号ないし4号に欠格要件が定められており,同項4号は,7条5項4号イからヌに該当する者について許可をすることができないとしている。一般廃棄物処理施設設置の許可権者である都道府県知事(保健所を設 項1号ないし4号に欠格要件が定められており,同項4号は,7条5項4号イからヌに該当する者について許可をすることができないとしている。一般廃棄物処理施設設置の許可権者である都道府県知事(保健所を設置する市においては市長。同法8条1項参照)は,一般廃棄物処理施設設置許可を与えた者が欠格要件に該当するに。 - 3 -()。 至ったときは許可を取り消さなければならない法9条の2の2第1項1号他方,産業廃棄物の収集業又は運搬業については,法14条5項2号に欠格要件が定められており,法7条5項4号ニに該当する者には産業廃棄物の収集業又は運搬業の許可をすることができず(14条5項2号イ,法人でその役)員又は政令で定める使用人のうちに法7条5項4号ニに該当する者のあるものについても許可をすることできない(14条5項2号ニ。 )産業廃棄物の処分業については,法14条10項1号,2号に欠格要件が定められており,同項2号は,同条5項2号イ,ニに該当する者について許可をすることができないとしている。産業廃棄物の収集業,運搬業,処分業の許可権者である都道府県知事(保健所を設置する市においては市長。同法8条1項参照)は,産業廃棄物の収集業又は運搬業の許可を与えた者が欠格要件に該。 当するに至ったときは許可を取り消さなければならない(法14条の3の2第1項1号。 ) 前提事実(括弧内に証拠を示すほか,当事者間に争いがない)。 (1)被控訴人に対する産業廃棄物処分業等の許可等ア被控訴人(P1有限会社(従前の商号P2有限会社)を組織変更したもの)は,廃棄物の収集運搬及び処分等を目的とする会社である(弁論の。 全趣旨。 )イ被控訴人は,仙台市長から,平成14年2月25日に別紙許可目録記載1(4)の産業廃棄物収集運搬業許可を,同年3月18日に同目録 の収集運搬及び処分等を目的とする会社である(弁論の。 全趣旨。 )イ被控訴人は,仙台市長から,平成14年2月25日に別紙許可目録記載1(4)の産業廃棄物収集運搬業許可を,同年3月18日に同目録記載1(5)の産業廃棄物処分業許可を,同年4月1日に同目録記載1(3)の一般廃棄物処理施設設置許可を,平成16年4月1日に同目録記載1(1)の一般廃棄物収集運搬業許可及び同目録記載1(2)の一般廃棄物処分業許可を受けた。 (2)P3に対する産業廃棄物処分業の許可取消し埼玉県知事は,P4株式会社(従前の商号P3株式会社(その前の商号は- 4 -株式会社P5。以下「P3」という)に対し,平成17年1月18日に)。 行政手続法15条の規定による聴聞通知をなし,同年2月21日,先に同知事が同社へした埼玉県における産業廃棄物処分業の許可を,法が禁止している産業廃棄物処分業の委託があったことを理由に法14条の3の2第1項2号により取り消し,そのころ同社へ通知した(甲3。以下「P3に対する取消処分」という。 。)(3)仙台市長による被控訴人に対する許可取消し,,,ア仙台市長はP3が上記取消処分をされたことを受け被控訴人に対し平成17年5月31日,被控訴人に対してなされていた前記(1)イの許可のうち,一般廃棄物に係る各許可についてはそれぞれ法7条の4第1項1号,9条の2の2第1項1号により,法7条5項4号リに該当するに至ったとして,また,産業廃棄物に係る各許可については,いずれも法14条の3の2第1項1号により,法14条5項2号ニに該当するに至ったとして,それぞれ取り消す処分をし,そのころ被控訴人へ通知した(以下「本件取消処分」という。 。)イ本件取消処分の理由は「P3が産業廃棄物処分業の許可を取り消され,たことにより,その株 ったとして,それぞれ取り消す処分をし,そのころ被控訴人へ通知した(以下「本件取消処分」という。 。)イ本件取消処分の理由は「P3が産業廃棄物処分業の許可を取り消され,たことにより,その株主であるP6株式会社(以下「P6」という)が。 法7条5項4号ニに定める欠格要件に該当することになった。被控訴人の株主もまたP6であるので,被控訴人としても法7条5項4号リ,法14条5項2号ニに定める欠格要件に該当することになったため,許可を取り消す」というものである。 。 なお,P6は,平成17年2月21日(P3に対する取消処分の日)当時,少なくとも被控訴人の株式の40パーセントを保有していた。また,P6は,平成16年11月19日(前記聴聞通知がされた日から60日前の日)から平成17年2月21日までを含む期間,P3の株式を100パーセント保有していた。 - 5 - 争点 (1)法7条5項4号ニ(14条5項2号イ)の「法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者(以下「法人に対し支配力を有するものと認められる者」」という)は自然人に限られるか,法人株主などの法人も含むか。 。 (2)P6は,P3との関係で,法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるか。 (3)P6は,被控訴人との関係で,法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるか。 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)について(被控訴人の主張)法人に対し支配力を有するものと認められる者とは自然人をいうのであり,法人は,その法人格が否認される場合でなければ,法人に対し支配力を有するものと認められる者に該当しない。 すなわち,法7条5項4号ニの「取締役等と同等以上の支配力を有するもの」との規定 うのであり,法人は,その法人格が否認される場合でなければ,法人に対し支配力を有するものと認められる者に該当しない。 すなわち,法7条5項4号ニの「取締役等と同等以上の支配力を有するもの」との規定は「当該法人の役員」に含まれる者の例示とされているよう,に,本来,業務執行にかかわる個人を想定するものである。環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長が各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長に対して平成17年8月12日付けで発出した「行政処分の指針について(通知」と題する書面では,法人に対し支配力を有す)るものと認められる者は自然人に限られる旨,また,法人であっても,法人格が全くの形骸にすぎないと認められる場合又は法人格が法律の適用を回避するために濫用されているものと認められる場合においては,法人格を否認し,背後にある支配者をもって支配力を有するものと認められる者に該当するものとして差し支えないとしている。 - 6 -したがって,本件取消処分は,法人であるP6が法人に対し支配力を有するものと認める者には該当しないにもかかわらず該当するものと認めた違法がある。 (控訴人仙台市の主張)法人に対し支配力を有するものと認められる者は自然人に限らず,法人も含む。 すなわち,法7条5項4号ニの規定のうち法人の役員等に関する規制は,法人としての業を取り消された場合に当該法人を解散し,全く同じ構成員のまま別法人を設立して新たな許可を取得したり,欠格要件に該当するものが役員としてではなく実質的に裏から経営の実権を掌握するなど,欠格要件を巧妙に回避する例が多く見られることから,欠格要件に該当する役員を欠格要件に追加し,さらにいわゆる「黒幕」規定を設け,法人に対して役員と同等以上の支配力を有する者についても欠格要件としたものであり,法 妙に回避する例が多く見られることから,欠格要件に該当する役員を欠格要件に追加し,さらにいわゆる「黒幕」規定を設け,法人に対して役員と同等以上の支配力を有する者についても欠格要件としたものであり,法が欠格要件として要求するものは,役員と同等以上の支配力を有するものであることだけである。その者が自然人であるか法人であるか,あるいは法人格が否認される事案か否かは,当該法人が役員と同等以上の支配力を有するものか否かを判断するための一要素にすぎない。 なお,被控訴人の指摘する平成17年8月12日付け「行政処分の指針について(通知」においては,法人に対し支配力を有するものと認められる)者は自然人に限られるとしているが,指針の改定について検討してきた「欠格要件のあり方検討会」の報告書によれば「従前は,発行済株式総数の5,%以上の株式を有する株主又は出資額の5%以上の額に相当する出資をしている者は,自然人及び法人を区別することなく業務を執行する役員等と同等以上の支配力を有すると解釈していた」というのであり,仙台市長が本件処分をしたのはこのような指針が示される前であったことに照らせば,平成17年の指針は将来に向かって法の運用を緩和したものにすぎないものという- 7 -べきであって,本件取消処分に遡及させなければならない理由は全くないというべきである。 (2)争点(2)について(被控訴人の主張)ア法人に対し支配力を有するものと認められる者かどうかは個別の事例に応じて具体的に判断されるべきであり,株主がこれに当たるというためには,単に有力な株主であるというだけでは足りず,個々の業務執行に対して取締役や業務執行役員と同等程度の具体的な関与ないし支配があることが必要である。 イしかるところ,P6は,P3に対する取消処分の対象となった同社の産業 というだけでは足りず,個々の業務執行に対して取締役や業務執行役員と同等程度の具体的な関与ないし支配があることが必要である。 イしかるところ,P6は,P3に対する取消処分の対象となった同社の産業廃棄物処理の再委託禁止に抵触する違反行為に全く関与していないのであるから,本件取消処分は,P3との関係で法人に対し支配力を有するものといえないP6を支配力を有するものと認められる者と認めた違法がある。 (控訴人仙台市の主張)ア株主が法人に対し支配力を有するものと認められる者かどうかは個別の事例に応じて具体的に判断されるべきであるが,株主が法人の個々の具体的な業務執行に対して個別具体的な指示をすることまでは必要としない。 ,,イP6は平成16年10月までにP3の株式を100パーセント取得しP6の取締役P7をしてP3の代表取締役を兼務させ,これを平成17年2月21日まで継続させた。また,両社の業務目的も関連している。 したがって,P3は,P6の事業の一環として存在し,P6の意向に沿って業務運営されるのであるから,P6は,P3に対して,法人に対し支配力を有するものと認められる者というべきである。 (3)争点(3)について(被控訴人の主張)- 8 -P6は,被控訴人に対し,株主としての一般的な支配権を行使したにすぎず,具体的業務執行に対して具体的支配をしたものではないから,被控訴人との関係でP6が法人に対し支配力を有するものと認められる者に該当するものではなく,本件取消処分は違法である。 (控訴人仙台市の主張)以下の事実に照らすと,特段の事情のない本件では,P6は,P3に対する取消処分があった平成17年2月21日の時点で,被控訴人との関係で,法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるというべきである。 アP6は,平成15年4月か い本件では,P6は,P3に対する取消処分があった平成17年2月21日の時点で,被控訴人との関係で,法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるというべきである。 アP6は,平成15年4月から同年9月にかけて,被控訴人の株式を100パーセント取得して被控訴人を傘下におさめると,P6の取締役であるP7を,P3に対するのと同様に,被控訴人の代表取締役に就任させ,また,P6が所属する企業グループの中核企業の経理部長で,グループ会社,。 2社の監査役を兼務するP8を被控訴人の取締役に就任させるなどしたこのようなことからすれば,被控訴人は,P6の事業の一環として存在し業務運営されている会社であり,同社の意向に反して業務運営が行われるといったことは全く想定されていなかったのである。 イ被控訴人は,P3が平成16年10月26日に取消処分の対象となる違反行為を行い,これに関して同年12月18日に埼玉県から同社へ事情聴取がされると,その直後の平成17年1月7日,P6の意向を受け,P3の取締役を兼務する被控訴人代表取締役P7及びP3の取締役を兼務する監査役P9が平成15年の時点で退任していた旨の登記をすると同時に,P10の被控訴人代表取締役就任登記及びP11の取締役就任登記などをした。なお,P11は,P6の取締役を兼務している。 ウまた,被控訴人は,P6の意向を受け,平成17年4月,P10に替わってP12の被控訴人代表取締役就任登記をしたが,同人は,P6が所属する企業グループの一員である会社の養豚部長を兼務するサラリーマンで- 9 -ある。 エさらに,被控訴人は,P6の意向を受け,平成17年4月15日,仙台市長に対し,P6がその保有する被控訴人の株式のうち60パーセントを同年2月2日の被控訴人取締役会の承認により前記P12へ譲渡した旨の らに,被控訴人は,P6の意向を受け,平成17年4月15日,仙台市長に対し,P6がその保有する被控訴人の株式のうち60パーセントを同年2月2日の被控訴人取締役会の承認により前記P12へ譲渡した旨の届出をした。 オ仮に,上記届出どおり平成17年2月2日にP6から60パーセントの株式がP12へ譲渡されたとしても,同社は,P3に対する取消処分がされた同月21日の時点で,なお被控訴人の株式の40パーセントを保有する大株主であった。 また,この同月21日の時点で,被控訴人の取締役のうち前記P8及びP11の両名は,いずれもP6が被控訴人の100パーセントの株主であった当時に選任された者であり,また,P11はP6の取締役を兼務し,P8は前記企業グループの中核企業会社の経理部長を兼務するとともにグループ会社の監査役を兼務していた。 第3当裁判所の判断 争点(1)(法7条5項4号ニ(14条5項2号イ)の「法人に対し支配力を有するものと認められる者」は自然人に限られるか,法人株主などの法人も含むか)について。 (1)法7条5項4号ニは,一般廃棄物処理業のうち収集業又は運搬業の欠格要件を定めたものであり,平成9年法律第85号による改正前の7条3項4号ニに相当するものであるが,上記改正前は「第7条の3(第14条の3,において準用する場合を含む)若しくは14条の6又は浄化槽法第41条。 第2項の規定により許可を取り消され,その取消しの日から5年を経過しない者」と規定されていたが,平成9年法律第85号による改正により「5,年を経過しない者」の後に続けて括弧書きで「当該許可を取り消された,(者が法人である場合においては,当該取消しの処分に係る行政手続法(平成- 10 -5年法律第88号)第15条の規定による通知があつた日前60日以内に当該法人の 書きで「当該許可を取り消された,(者が法人である場合においては,当該取消しの処分に係る行政手続法(平成- 10 -5年法律第88号)第15条の規定による通知があつた日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号において同じ)であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む」と。 。)の文言が追加された。 これは,改正前の規定では,法人としての業の許可を取り消された場合であっても,当該法人を解散し,全く同じ構成員のまま別法人を設立して新たな許可を取得したり,許可を取り消されて欠格要件に該当する者が役員としてではなく実質的に裏から経営の実権を掌握したりするなど,欠格要件を巧妙に回避する例がみられたことから,許可を取り消された法人の役員を欠格要件に追加するとともに,いわゆる「黒幕」規定を設け,法人に対して役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者は,欠格要件の適用に当たって,役員と同様の取扱いとすることにしたものと解される。上記改正に伴って施行規則も改正され「申請者が法人である場合において,発行済み株,式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資の額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者があるときは,当該株主又は者の氏名又は名称,住所及び当該株主の有する株式の数又は当該者のなした出資の金額を記載した書類」が許可申請書の添付種類とされ(施行規則9条の2第2項8号,さらに,平成12年6月13日厚生省令101号により改正され)た施行規則においては,そのような記載を申請事項そ 出資の金額を記載した書類」が許可申請書の添付種類とされ(施行規則9条の2第2項8号,さらに,平成12年6月13日厚生省令101号により改正され)た施行規則においては,そのような記載を申請事項そのものとして要求することにした(施行規則9条の2)のは,改正法の理念に従って欠格要件の審査を厳格に行う必要があると考えられていたからにほかならない(乙22の1ないし3,23,24の1,2。控訴人が指摘するとおり,平成9年法)律第85号による改正がされてからは,発行済株式総数の5%以上の株式を- 11 -保有する株主又は出資額の5%以上の額に相当する出資をしている者は自然人及び法人の区別をすることなく業務を執行する社員等と同等以上の支配力を有するという行政解釈がされてきたところであって,このような考えの下で欠格要件の審査やいったんされた許可の取消しがされてきたものと思われる(乙29ないし31。 )(2)しかし,甲第14号証,第15号証,乙第29号証によれば,①平成15年にいわゆる欠格要件への該当を理由とする取消処分を義務化する改正がされた後,処理業の許可及び処理施設の設置許可の取消処分件数が激増し,産業廃棄物処理業者や経済界などから欠格要件の在り方及びその運用や,義務化された取消しが厳格に過ぎ,規制緩和の方針に反するのではないかとして,欠格要件の在り方やその運用を見直すべきではないかといった要望がされたのを受け,政府は,平成17年6月,学識経験者からなる「欠格要件の在り方検討会」を設けたこと,②「欠格要件の在り方検討会」は,産業廃棄物処理業者,経済界及び地方公共団体の意見を踏まえつつ欠格要件の在り方及びその運用について検討を重ねた結果,いわゆる黒幕条項については,従前,発行済株式総数の5%以上の株式を保有する株主又は出資額の5%以上 ,経済界及び地方公共団体の意見を踏まえつつ欠格要件の在り方及びその運用について検討を重ねた結果,いわゆる黒幕条項については,従前,発行済株式総数の5%以上の株式を保有する株主又は出資額の5%以上の額に相当する出資をしている者は自然人及び法人を区別することなく業務を執行する社員等と同等以上の支配力を有すると解釈していたが,これを自然人に限る(法人は除く)こととし,かつ,総合的に判断するのが相当であるとの意見をとりまとめて報告したこと,③これを受けて,環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長は,各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長に対し,平成17年8月12日付けで「行政処分,の指針について(通知」と題する通知(甲14)を発し,法人に対し支配)力を有するものと認められる者は自然人に限られる旨,また,法人であっても,法人格が全くの形骸にすぎないと認められる場合又は法人格が法律の適用を回避するために濫用されているものと認められる場合においては,法人- 12 -格を否認し,背後にある支配者をもって支配力を有するものと認められる者に該当するものとして差し支えないとし,これまでの行政解釈を変更することを明らかにしたこと,④さらに,環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長は,各都道府県・各政令市廃棄物行政主管部(局)長に対し,平成19年4月9日付けで「欠格要件におけるいわゆる無限連鎖につ,いて(通知」と題する通知(甲15)を発し,欠格要件の運用について,)現行法上は「法人Aの役員aが欠格要件に該当したことにより,法人Aの,許可が取り消され,法人Aの役員bが別法人Bの役員を兼ねていた場合に,法人Bは許可を取り消されるところ,法人Bの役員cが更に別の法人Cの役員を兼ねていた場合に法人Cも許可を取り消される 法人Aの,許可が取り消され,法人Aの役員bが別法人Bの役員を兼ねていた場合に,法人Bは許可を取り消されるところ,法人Bの役員cが更に別の法人Cの役員を兼ねていた場合に法人Cも許可を取り消されるなど,取消しの連鎖が無限に続くかに解釈できる状況であり,仮にこの解釈に則って運用がなされると,理論上,取消しが無限に続くこととなり,これは,廃棄物の適正な処理体制をより一層確保するという欠格要件の制度趣旨に反する事態を生じさせる可能性がある。この点について,欠格要件の連鎖形態ごとに,取締役会の各役員に対する監督義務,役員同士の相互監督義務などの観点から検討を行った結果,法人の役員が欠格要件に該当した場合,例えば,役員aが欠格要件に該当したことにより法人Aの許可が取り消された場合,法人A及び法人Bの役員を兼務する役員bも欠格要件に該当することになり法人Bの許可も取り消されることになるが,さらに法人B及び法人Cの役員を兼務していた役員cの存在を以て法人Cの許可をも取り消すべきかの問題については,法人Aの役員aの法令違反行為を監督すべきであった役員bが役員を務める法人Bについては法令遵守の徹底が期待できないことを理由にその許可を取り消すのが法の趣旨ではあるが,役員cについてまで役員aの監督義務を一律に認めることは法の趣旨にかんがみると適当ではないと考えられるところである。以上から,法人C以降の産業廃棄物処理業及び産業廃棄物処理施設の設置許可の取消しについては,法人間及び役員間における相互の関連性につ- 13 -いて十分に検討することは当然であるが,法の予定する限度を超えて許可の取消しが連鎖し,優良な産業廃棄物処理業者までもが許可を取り消され,社会的公正の観点から不適正な事例を招来しないよう慎重に判断されたい」。 としたことが認められる。 (3 予定する限度を超えて許可の取消しが連鎖し,優良な産業廃棄物処理業者までもが許可を取り消され,社会的公正の観点から不適正な事例を招来しないよう慎重に判断されたい」。 としたことが認められる。 (3)ところで,仙台市長が被控訴人に対して本件取消処分をしたのは,甲第14号証の「行政処分の指針について(通知」と題する通知がされる前で)あって,仙台市長としては当時の行政解釈に従ったものと解されるところであり,当時としてはやむを得ない面があったことは否定できない。 しかし,一般廃棄物収集運搬業等の許可を取り消すというのは被控訴人に対する重大な不利益処分にほかならないことを考慮すれば,法の規定する欠格要件も厳格に解すべきところ,法人に対し支配力を有するものと認める者として法が例示しているのは「法人に対し業務を執行する役員,取締役,執行役」であって,このことからすると「これらに準ずる者と同等以上の支,配力を有するものと認められる者」も自然人を予定したものとみるのが相当であり,したがって,法人に対し支配力を有するものと認められる者は自然人に限られ,法人を含むものではないと解するのが相当というべきである。 仮に法人を含むものとすると,当該法人傘下の系列会社のうちの1社が違反行為をすると,何ら違反行為を行っていない他の会社全部の許可が取り消されることになるが,企業規模が大きくなれば資本関係による系列化は避けられないように思われるところ,法人が一定比率以上の株式を有するというだけで当然に具体的な業務の執行を取り仕切ることができるわけではないのであって,法令遵守を期待できないとはいえないものまでを排除する結果を招くことになり,合理的な解釈とは考えられない。このようなことから,上記(2)でみたとおり「欠格要件の在り方検討会」の見解が示され,これを受,け を期待できないとはいえないものまでを排除する結果を招くことになり,合理的な解釈とは考えられない。このようなことから,上記(2)でみたとおり「欠格要件の在り方検討会」の見解が示され,これを受,けて行政解釈の変更が行われたものと思われる。また,上記のように解しても,許可を取り消された法人などに対して一定比率以上の株式を有する法人- 14 -株主の法人格が全くの形骸に過ぎないと認められる場合や法人格が法律の適用を回避するために濫用されているものと認められる場合は,法人格否認の法理の適用することによって,その法人の背後にある支配者に迫り,支配者である自然人をもって,許可を取り消された法人に対し支配力を有するものと認められる者と認めることができ,法人格を利用する方法での「黒幕」による支配を排除することはできるのである。 しかるところ,P6は,許可を取り消されたP3の100パーセントの株式を有する法人であるが,法人格否認の法理を適用するのが相当な事情があるといった主張,立証はされていないのであって,単に被控訴人の株式の40パーセントを保有していたというだけでは法人に対し支配力を有するものと認められる者に当たるということはできないというべきである。 結論 以上によれば,仙台市長が,P6が法人に対し支配力を有するものと認められる者に該当することを前提としてした本件取消処分は,争点(2)及び(3)を判断するまでもなく違法であって,取り消すことを免れない。 よって,本件取消処分の取消しを求める被控訴人の請求は理由があるからこれを認容すべきところ,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であって,,。 本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして主文のとおり判決する仙台高等裁判所第2民事部裁判長裁判官大橋弘裁判官鈴木桂子- 上記判断と同旨の原判決は相当であって,,。 本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして主文のとおり判決する仙台高等裁判所第2民事部裁判長裁判官大橋弘裁判官鈴木桂子- 15 -裁判官岡田伸太
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