平成26年1月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成25年(行ケ)第10087号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成25年12月10日判決 原告 ノーテル・ネットワークス・リミテッド 訴訟代理人弁理士 伊東忠彦 同 伊東忠重 同 大貫進介 同 山口昭則 同 渡邊直満 被告 特許庁長官 指定代理人 佐藤聡史 同 水野恵雄 同 樋口信宏 同 山田和彦 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2011-3147号事件について平成24年11月13日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は,平成16年10月21日,発明の名称を「ローカル無線ゾーン内の位置ベース情報の提供」とする発明について特許出願(優先権主張日平成15年12月24日,優先 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は,平成16年10月21日,発明の名称を「ローカル無線ゾーン内の位置ベース情報の提供」とする発明について特許出願(優先権主張日平成15年12月24日,優先権主張国米国,特願2006-546348号。 以下「本願」という。甲11)をした。 原告は,平成22年2月9日付けの拒絶理由通知を受けたため,同年8月16日付けで本願の特許請求の範囲を変更する手続補正(甲6)をしたが,同年10月5日付けの拒絶査定を受けた。 原告は,平成23年2月10日,拒絶査定不服審判を請求した。 (2) 特許庁は,上記請求を不服2011-3147号事件として審理を行い,平成24年11月13日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,同月27日,その謄本が原告に送達された。 (3) 原告は,平成25年3月27日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。 「【請求項1】ローカル無線ゾーン内のモバイル端末に位置ベース情報を提供するための方法であって,アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信が可能である,一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン内のモバイル端末を認識することと,- 3 -アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用することと,位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うことと,ローカル無線ゾーンに関連するサーバからアクセスポイントを介してモバイル端末に位置ベース情報を提供することとを含む方法。 るためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うことと,ローカル無線ゾーンに関連するサーバからアクセスポイントを介してモバイル端末に位置ベース情報を提供することとを含む方法。」 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,本願発明は,本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2001-359172号公報(以下「引用文献」という。甲1)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。 (2) 本件審決が認定した引用文献に記載された発明(以下「引用発明」という。),本願発明と引用発明の一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア引用発明「各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cと,アドレス提供サーバ3とが,インターネット4に接続されていて,前記インターネット4はLAN8に接続されており,前記LAN8には,情報サーバ6a,6bと,アドレス提供サーバ7と,各地域に設置された無線基地局装置2a~2cと,DNS9とが接続されていて,前記アドレス提供サーバ7は,前記無線基地局装置2a~2cの無線基地局識別番号と情報サーバ1a~1c,6a,6b内の情報のURLの対応表を持ち,前記DNS9は無線端末装置5a~5cに予め登録されているアドレス提供サーバ3のURLをLAN8上のアドレス提供サーバ7のURLに変- 4 -換するテーブルを有し,予めアドレス提供サーバ3のURLが登録された前記無線端末装置5a~5cがそれそれ前記無線基地局装置2a~2cと無線接続されるものであって,前記無線端末装置5a~5cは,それそれ最寄りの無線基地 めアドレス提供サーバ3のURLが登録された前記無線端末装置5a~5cがそれそれ前記無線基地局装置2a~2cと無線接続されるものであって,前記無線端末装置5a~5cは,それそれ最寄りの無線基地局装置2a~2cとの無線接続を確立し(S1),無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得して(S2),その識別番号をアドレス提供サーバ3に送信し(S3),アドレス提供サーバ3は,受信した無線基地局識別番号に対応する情報のURLを,自己が保有する図2に示すような対応表から取得し,無線端末装置5a~5cに送信し(S4),URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)方法。」イ本願発明と引用発明の一致点 「ローカル無線ゾーン内のモバイル端末に位置ベース情報を提供するための方法であって,アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信が可能である,一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン内のモバイル端末を認識することと,位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うことと,ローカル無線ゾーンに関連するサーバからアクセスポイントを介してモバイル端末に位置ベース情報を提供する方法。」である点。ウ本願発明と引用発明の相違点本願発明は,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置していることを前提として,アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択す- 5 -るために一意のゾーン識別子を使用するのに対して,引用発明は,アクセスポイントに関連付けられたサーバから位置ベース情報を得るものの,そのようなサーバを一意のゾーン識別子を使用して選択す -るために一意のゾーン識別子を使用するのに対して,引用発明は,アクセスポイントに関連付けられたサーバから位置ベース情報を得るものの,そのようなサーバを一意のゾーン識別子を使用して選択するものか否か明確ではない点。 第3 当事者の主張 1 原告の主張(1) 取消事由1(一致点の認定の誤り及び相違点の看過)引用発明は,以下のとおり,「ローカル無線ゾーン」,「一意のゾーン識別子」,「位置ベース情報」及び「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていないから,本件審決には,本願発明と引用発明の一致点の認定に誤りがあり,その結果,相違点を看過した誤りがある。 ア 「ローカル無線ゾーン」の不一致本件審決は,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」は,LANに接続されて無線端末5a~5cと無線接続されるもの,すなわち,無線LANの基地局装置であるから,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」は,本願発明の「アクセスポイント」に相当し,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」が「無線端末装置5a~5c」と接続可能なエリアが,本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当すると認定したが,以下のとおり誤りである。 (ア) 本願の願書に添付した明細書(以下,図面(別紙1参照)を含めて「本願明細書」という。甲11)の段落【0003】,【0011】の記載によれば,本願発明の「ローカル無線ゾーン」は,「Bluetooth」や「IEEE802.11および802.15規格で定められ」ているような無線LANのゾーンを意味する。 一方で,引用文献(甲1)には,無線端末装置5a~5cと無線基地- 6 -局装置2a~2cとの間の無線通信が無線LANであるとの記載はない。 もっとも ような無線LANのゾーンを意味する。 一方で,引用文献(甲1)には,無線端末装置5a~5cと無線基地- 6 -局装置2a~2cとの間の無線通信が無線LANであるとの記載はない。 もっとも,引用文献の図4(別紙2参照)には,無線基地局装置2a~2cがLANに接続されていることが図示されているが,LANを介してアドレス提供サーバ7やインターネット4に接続されていることが示されているにすぎず,LANを介して無線端末装置5a~5cに接続されていることが示されているわけではないので,図4は,無線基地局装置2a~2cが無線LANの基地局装置であることの根拠にはならない。かえって,引用文献には,図4の実施形態を含む請求項1及び段落【0029】の記載中に,「各地域に設置された通信事業者所有の無線基地局装置2a~2c」との記載がある。この記載は,引用発明の無線基地局装置2a~2cが通信事業者所有の無線基地局装置であることを示すものであるが,通信事業者が所有する無線基地局装置は,通常,セルラーネットワーク等の広域無線基地局装置を意味するものであり,IEEE802.11等の無線LANシステムの局地的な無線基地局装置を意味しない。 このように引用文献には,無線基地局装置2a~2cが無線LANの基地局装置であることの開示はないから,無線基地局装置2a~2cが無線端末装置5a~5cと接続可能なエリアが,本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当するとはいえない。 したがって,引用発明は,「ローカル無線ゾーン」の構成を備えていないから,本件審決が「ローカル無線ゾーン」に係る事項(例えば,「ローカル無線ゾーン内のモバイル端末」)を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 (イ) 被告は,この点に関し,「無線基地局の電波が届いて無線端末装 無線ゾーン」に係る事項(例えば,「ローカル無線ゾーン内のモバイル端末」)を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 (イ) 被告は,この点に関し,「無線基地局の電波が届いて無線端末装置と無線接続可能なエリアは,LANシステムがカバーするエリアより狭- 7 -い。」ことなどを根拠として挙げて,無線基地局装置2a~2cは,無線LANの基地局装置である旨主張する。 しかしながら,引用文献には,被告が挙げる根拠を裏付ける記載はないから,被告の上記主張は失当である。 イ 「一意のゾーン識別子」の不一致本件審決は,引用発明の「無線基地局装置固有」のものである「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当すると認定したが,以下のとおり誤りである。 すなわち,本願発明の特許請求の範囲(請求項1)に「一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン」と明記されているとおり,本願発明の「ゾーン識別子」は,ローカル無線ゾーンに関連しローカル無線ゾーンを識別するための識別子である。 そして,本願明細書の段落【0006】の「ローカル無線通信を使用し,サーバおよび位置ベース情報を各ローカル無線ゾーンに関連付けることによって,位置ベース情報は,ローカル無線ゾーンによって取り囲まれる領域についてよりよく構成されることができる。…構成情報は,ローカル無線ゾーンのうちの少なくとも1つに関連付けられたゾーン識別子を考慮して提供され得る。」との記載は,本願発明の「ゾーン識別子」がローカル無線ゾーンを識別するための情報であることを示している。 また,本願明細書が「ゾーン識別子」の一例として「ある『飲食店』のゾーンIDは,www.restaurant.comとして構成され得る。」(段落【0022】)と例示しているように を示している。 また,本願明細書が「ゾーン識別子」の一例として「ある『飲食店』のゾーンIDは,www.restaurant.comとして構成され得る。」(段落【0022】)と例示しているように,本願発明の「ゾーン識別子」は,無線基地局識別番号とは全く異なる概念であり,位置ベース情報を得ることのために用いられる,位置に関連した識別情報である。 さらに,本願明細書においては,本願発明の「ゾーン識別子」と「アクセスポイント識別子」(段落【0023】,【0024】)とを区別して- 8 -いる。 一方,引用文献の段落【0031】に「無線基地局装置固有の無線基地局識別番号」との記載があるように,引用発明の「無線基地局識別番号」は,その名のとおり,単に無線基地局を識別する番号であって,地理的な情報との関連性を有しない番号である。 このように本願発明の「ゾーン識別子」は,ゾーンを識別する情報を意味するものと解釈されるべき技術事項であり,無線基地局を識別するものではない。これに対して,引用発明の「無線基地局識別番号」は,無線基地局を識別する番号を意味するものと解釈されるべき技術事項であり,ゾーンを識別する情報ではない。むしろ,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願明細書記載の「アクセスポイント識別子」に相当するものであって,「ゾーン識別子」に相当するものではない。そして,ゾーン識別子の一意性はローカル無線ゾーンについて一意なのであって,アクセスポイントについて一意であるわけではない。例えば,同じアクセスポイントから送信されるビーコンであっても,送信信号に指向性を持たせることにより,異なる方向にあるゾーンに対して異なるビーコンを送出することが可能であり,このような場合に1つのアクセスポイントと複数のローカル無線ゾーンが対応できること も,送信信号に指向性を持たせることにより,異なる方向にあるゾーンに対して異なるビーコンを送出することが可能であり,このような場合に1つのアクセスポイントと複数のローカル無線ゾーンが対応できることは技術常識であり,アクセスポイントとゾーンが常に一対一に対応するわけではない。 したがって,引用発明は,「一意のゾーン識別子」の構成を備えていないから,本件審決が「一意のゾーン識別子」に係る事項を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 ウ 「位置ベース情報」の不一致本件審決は,引用発明が取得する「その地域に応じた情報」は,本願発明のアクセスポイントに相当する無線基地局装置の「無線基地局装置固有の無線基地局識別番号」に関連付けられたものであり,「無線端末装置5- 9 -a~5c」が取得するものであるから,引用発明が取得する「その地域に応じた情報」は,本願発明の「位置ベース情報」に相当すると認定したが,以下のとおり誤りである。 すなわち,本願発明の特許請求の範囲(請求項1)には,「ローカル無線ゾーン」に関連付けられている「一意のゾーン識別子を使用すること」により「位置ベース情報を要求する」こと,「ローカル無線ゾーンに関連するサーバ」から「位置ベース情報」の「提供」を受けることが記載されている。この記載は,本願発明の「位置ベース情報」とは,ローカル無線ゾーンの位置に関する情報であることを示すものであり,「位置ベース情報」にいう「位置」は,ローカル無線ゾーンの「位置」であって,アクセスポイントの「位置」ではない。 また,本願明細書の「モバイル端末が,所与の任意のときに複数のローカル無線ゾーン内にある場合,特定のローカル無線ゾーンに関する位置ベース情報が選択され得る。」(段落【0005】),「ローカル無線通信を使用し 明細書の「モバイル端末が,所与の任意のときに複数のローカル無線ゾーン内にある場合,特定のローカル無線ゾーンに関する位置ベース情報が選択され得る。」(段落【0005】),「ローカル無線通信を使用し,サーバおよび位置ベース情報を各ローカル無線ゾーンに関連付けることによって,位置ベース情報は,ローカル無線ゾーンによって取り囲まれる領域についてよりよく構成されることができる。」(段落【0006】)との記載も,このことを示している。 一方,引用文献の段落【0007】に「前記アドレス提供サーバから該無線基地局識別番号に対応する情報のアドレスを取得する手段と,該アドレスに対応する情報を得ることによって,無線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得する手段とを設けた地域情報提供システムである。」との記載があるように,引用発明における「地域に応じた情報」とは,本願発明のアクセスポイントに相当する無線基地局装置の「位置」に関連した情報である。引用文献には,本願発明のような無線LANシステムのローカル無線ゾーンの「位置」に応じた情報を入手するという技術思想は開示- 10 -されていない。 したがって,引用発明における「地域に応じた情報」は,本願発明の「位置ベース情報」に相当するとはいえず,引用発明は,「位置ベース情報」の構成を備えていないから,本件審決が「位置ベース情報」に係る事項を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 エ 「サーバへの問い合わせ」の不一致引用発明は,「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていないから,本件審決が上記構成を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 オ小括前記アないしエのとおり,本件審決には,本願発明と引 サーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていないから,本件審決が上記構成を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである。 オ小括前記アないしエのとおり,本件審決には,本願発明と引用発明の一致点の認定に誤りがあり,その結果,引用発明が「ローカル無線ゾーン」,「一意のゾーン識別子」,「位置ベース情報」及び「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていない点を本願発明との相違点として認定すべきであったのに,この相違点を看過した誤りがある。 (2) 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)本件審決は,相違点の容易想到性の判断に当たり,「選択されるものが,サーバであるのか,あるいは,サーバに格納されたコンテンツである位置ベース情報であるのか」という観点(以下「①の観点」という場合がある。)と,「サーバを選択するのかしないのか」という観点(以下「②の観点」という場合がある。)の二つに分けて検討し,①の観点からみた相違点については,本願発明と引用発明との間に実質的に相違点が存在するものとは認められない,②の観点からみた相違点については,引用発明において,いずれのローカル無線ゾーンに関連する位置ベース情報を提供するかを選択するべ- 11 -く,アクセスポイントに関連付けられた一意のゾーン識別子を使用してサーバを選択するようにすることに何ら困難な点はないとして,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた旨判断したが,以下のとおり誤りである。 ア ①の観点について本件審決は,「引用発明は,位置ベース情報自体のURLを特定するものであるが,その特定に伴い,間接的に位置ベース情報を格納しているサーバを特定しているものということができ ア ①の観点について本件審決は,「引用発明は,位置ベース情報自体のURLを特定するものであるが,その特定に伴い,間接的に位置ベース情報を格納しているサーバを特定しているものということができる。」と認定した上で,本願発明も引用発明も,共に実質的に,一意のゾーン識別子に対応するサーバと位置ベース情報そのものとを特定しているものであるということができ,ローカル無線ゾーンに対する位置ベース情報の特定に関して,本願発明は,引用発明と相違しないと判断した。 しかしながら,本願発明は,請求項1において,「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用する」と明記されているから,選択されるのが「サーバ」であることは明白である。これに対し,引用文献は,「サーバ」の特定を開示していないから,上記認定は誤りであり,上記認定に基づく判断も誤りである。 イ ②の観点について本件審決は,引用発明において,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置する場合を前提として,そのような位置にモバイル端末が位置する場合,複数のローカル無線ゾーンのそれぞれに関連する位置ベース情報を共に提供するか,いずれのローカル無線ゾーンに関連する位置ベース情報を提供するかを選択するようにするしかないことは,明白であるから,いずれのローカル無線ゾーンに関連する位置ベース情報を提供するかを選択するべく,アクセスポイントに関連付けられた一意のゾーン識別子を使用してサーバを選択するようにすることに何ら困難な点はない旨判断- 12 -した。しかしながら,引用文献には,引用発明がモバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置している場合を開示していないにもかかわらず,そのような場合を前提として相違点の容易想到性の判断をしている点にお しかしながら,引用文献には,引用発明がモバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置している場合を開示していないにもかかわらず,そのような場合を前提として相違点の容易想到性の判断をしている点において,本件審決の上記判断は,誤りがある。 また,前記(1)イのとおり,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「ゾーン識別子」に相当するものではないから,本件審決の上記判断は,引用発明の「無線基地局識別番号」を本願発明の「一意のゾーン識別子」と同一視することを前提としている点においても誤りがある。 (3) まとめ以上のとおり,本件審決には,本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り及び相違点の看過,相違点の容易想到性の判断の誤りがあり,本件審決は,違法であるから,取り消されるべきである。 2 被告の主張(1) 取消事由1に対しア 「ローカル無線ゾーン」の不一致について本願明細書記載の図4ないし6(別紙1参照)の実施形態では,アクセスポイント,コンテンツサーバ及びアクセスサーバがイーサネットスイッチ(ハブ)を介して車輪型(星形)に接続されて,1つのLANシステムを構成している。LANシステムにはアクセスポイントが設けられ,モバイル端末と無線接続されているが,アクセスポイントから送出されるビーコンが届いてモバイル端末と無線接続が可能となるエリア(ローカル無線ゾーン)が狭いため,3つのアクセスポイントを設けることによって,より大きいエリアがカバーされ得る1つのローカル無線システム12を構成している。アクセスポイントとモバイル端末の間の無線通信規格は,LANにおいて通常用いられるIEEE802.11等である。 - 13 -一方,引用文献記載の図4(別紙2参照)の実施形態では,アドレス提供サーバ,DNS,情報サーバ及 末の間の無線通信規格は,LANにおいて通常用いられるIEEE802.11等である。 - 13 -一方,引用文献記載の図4(別紙2参照)の実施形態では,アドレス提供サーバ,DNS,情報サーバ及び無線基地局装置がリング型LANを介して接続され,1つのLANシステムを構成している。LANシステムには無線基地局装置が設けられ,無線端末装置と無線接続されているが,無線基地局装置から送出される電波が届いて無線端末装置と無線接続が可能となるエリアがLANシステムのエリアより狭いため,3つの無線基地局装置を設けることによって,より大きいエリアがカバーされ得る1つのローカル無線システムを構成している。例えば,引用文献の段落【0061】は,引用発明の無線基地局装置が無線端末装置と無線接続可能なエリアは「同一建物内の各フロア」という程度に狭い範囲であることを示している。 もっとも,引用文献には,無線基地局装置と無線端末装置の間の無線通信規格について具体的な記載がないが,引用発明の無線基地局装置はLANに接続されており,しかも,無線基地局装置の電波が届いて無線端末装置と無線接続可能なエリアは,LANシステムがカバーするエリアより狭いのであるから,引用発明の無線基地局装置と無線端末装置の間の無線通信規格は,LANにおいて通常用いられるIEEE802.11等である。 したがって,引用発明の無線基地局装置は無線LANの基地局装置に相当するといえるから,引用発明の「無線基地局装置が無線端末装置と接続可能なエリア」が本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当するとした本件審決の一致点の認定に誤りはない。 イ 「一意のゾーン識別子」の不一致について(ア) 「ゾーン」は「地帯。区域。区画。」を,「識別子」は「コンピューターで,対象を一意に識別するために使わ た本件審決の一致点の認定に誤りはない。 イ 「一意のゾーン識別子」の不一致について(ア) 「ゾーン」は「地帯。区域。区画。」を,「識別子」は「コンピューターで,対象を一意に識別するために使われる記号列。」を意味すること(広辞苑第六版)からすると,本願発明の「一意のゾーン識別子」は,「コンピュータで区域を一意に識別するために使われる記号列。」- 14 -を意味する。 一方,引用発明の「無線基地局識別番号」は,コンピュータで,無線端末装置が存在する地域を一意に識別し,その地域に応じた情報を提供するために使われる記号列であるから,「コンピュータで区域を一意に識別するために使われる記号列。」である。 したがって,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するとした本件審決の一致点の認定に誤りはない。 (イ) 本願明細書の段落【0005】の記載によれば,本願発明の「区域」である「ローカル無線ゾーン」は,アクセスポイントによって確立されるものであり,アクセスポイントとモバイル端末との間の通信が可能な制限された領域である。すなわち,本願発明では,アクセスポイントから送出されるビーコンが届いてモバイル端末と無線接続が可能となるエリア(ローカル無線ゾーン)が限られることから,結果的に,アクセスポイントがカバーするローカル無線ゾーンとアクセスポイントの識別子を位置的に関連付けることができ,アクセスポイントの識別子を「ゾーン識別子」として使用できるようになるにすぎない。 そして,アクセスポイントから送出される電波を強くすればローカル無線ゾーンは大きくなり,ゾーン識別子が識別するエリアも大きくなるのに対し,気象条件や障害物等によりアクセスポイントから送出される電波が弱くなれば,ローカル無線ゾーンは小さく 波を強くすればローカル無線ゾーンは大きくなり,ゾーン識別子が識別するエリアも大きくなるのに対し,気象条件や障害物等によりアクセスポイントから送出される電波が弱くなれば,ローカル無線ゾーンは小さくなり,ゾーン識別子が識別するエリアも小さくなる。アクセスポイントを移設すればローカル無線ゾーンも移動し,ゾーン識別子が識別するエリアも移動する。 このように本願発明の「ゾーン識別子」の実体は,アクセスポイントを識別する識別子にすぎない。そもそも,アクセスポイントを識別することなくゾーンを識別する識別子など,特許請求の範囲はもとより,本- 15 -願明細書にも記載されていない。 原告は,この点に関し,本願明細書は,本願発明の「ゾーン識別子」と「アクセスポイント識別子」(段落【0023】,【0024】)とを区別している旨主張する。 しかしながら,本願明細書の段落【0023】及び【0024】には,アクセスポイントIDとゾーンIDが列挙されているだけであるから,両者が区別されているとはいえないし,同段落【0027】には「ゾーン識別子またはアクセスポイント識別子」と記載されているから,一意のゾーン識別子と一意のアクセスポイント識別子は,ローカル無線ゾーンを一意に識別する手段として均等物である。そもそも,本願発明の特許請求の範囲に記載されている識別子は,単なる「ゾーン識別子」ではなく,「一意のゾーン識別子」である。識別子がローカル無線ゾーンに対して一意であるからには,ゾーン識別子とアクセスポイント識別子は同一である。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (ウ) 引用文献の段落【0031】及び【0032】の記載によれば,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」は,それぞれ「無線基地局固有」の「無線基地局識別番号」を有するものであって は失当である。 (ウ) 引用文献の段落【0031】及び【0032】の記載によれば,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」は,それぞれ「無線基地局固有」の「無線基地局識別番号」を有するものであって,「無線基地局識別番号」は,「無線基地局装置2a~2c」を特定するものである。そして,引用発明の無線基地局装置が無線端末装置と「接続可能なエリア」は,「無線基地局装置2a~2c」ごとに決まるものであり,そのような「接続可能なエリア」と「無線基地局装置2a~2c」は一対一に対応する。 そうすると,引用発明の無線基地局識別番号は,本願発明の「アクセスポイント」に相当する無線基地局装置を特定するとともに,本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当する「無線基地局装置が無線端末装置- 16 -と接続可能なエリア」を特定するものである。 原告は,この点に関し,引用発明の「無線基地局識別番号」は,無線基地局を識別する番号であって,本願明細書記載のアクセスポイント識別子に相当し,ゾーン識別子には相当しない旨主張する。 しかしながら,前記(イ)で述べたとおり,本願発明の識別子は,「一意のゾーン識別子」であるからアクセスポイント識別子と何ら相違するところがなく,また,特許請求の範囲に記載された事項をみても,引用発明の無線基地局識別番号と何ら相違しない。加えて,セルラベースのトラッキング技術では高度の分解能を提供することができないという本願発明の背景技術の問題点(本願明細書の段落【0003】)を解決するに際して,無線基地局識別番号を用いると問題点を解決できなくなるというものでもない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (エ) 以上のとおり,本願発明のゾーン識別子は,アクセスポイントを識別するとともに,アクセスポイントから送出されるビーコン なるというものでもない。 したがって,原告の上記主張は失当である。 (エ) 以上のとおり,本願発明のゾーン識別子は,アクセスポイントを識別するとともに,アクセスポイントから送出されるビーコンが届いてモバイル端末と無線接続が可能となるエリア(ローカル無線ゾーン)を識別するために用いられ,引用発明の無線基地局識別番号は,無線基地局を識別するとともに,無線基地局装置が無線端末装置と接続可能なエリアを識別するために用いられている。 したがって,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するとした本件審決の一致点の認定に誤りはない。 ウ 「位置ベース情報」の不一致について本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,本願発明の「位置ベース情報」は,「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」によって,「ローカ- 17 -ル無線ゾーンに関連するサーバからアクセスポイントを介してモバイル端末に」提供されるから,「位置ベース情報」の「位置」は,アクセスポイントの位置に対応したものである。 一方,引用発明の「地域に応じた情報」は,無線基地局装置の「無線基地局固有の無線基地局識別番号」に関連付けられたものであるから,「地域に応じた情報」の「地域」は,無線基地局装置の位置に関連したものである。また,引用文献の段落【0007】に「アドレス提供サーバから無線基地局識別番号に対応する情報のアドレスを取得する手段と,該アドレスに対応する情報を得ることによって,無線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得する手段を設けた地域情報提供システム」との記載があることからすると,引用発明の「地域に応じた情報」の「地域」は,無線基地局装置と接続状態にある「無線端末 線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得する手段を設けた地域情報提供システム」との記載があることからすると,引用発明の「地域に応じた情報」の「地域」は,無線基地局装置と接続状態にある「無線端末装置の位置する地域」,すなわち,「無線基地局装置が無線端末装置と接続可能なエリア」を意味する。 そして,本願発明の「位置ベース情報」は,モバイル端末が存在する公共の場所に関する情報(本願明細書の段落【0031】)であり,引用発明の「地域に応じた情報」は,無線端末装置の位置する地域の情報(引用文献の段落【0006】)である。 したがって,引用発明が取得する「その地域に応じた情報」は,本願発明の「位置ベース情報」に相当するとした本件審決の一致点の認定に誤りはない。 エ 「サーバへの問い合わせ」の不一致について前記第2の3(2)アのとおり,引用発明は,「URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)」との構成を備えている。 この構成は,本願発明の「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成に相当す- 18 -るから,本件審決が上記構成を本願発明と引用発明の一致点と認定したことに誤りはない。 オ小括以上によれば,本件審決がした本願発明と引用発明の一致点の認定に誤りはなく,また,本件審決に相違点の看過は認められないから,原告主張の取消事由1は理由がない。 (2) 取消事由2に対しア ①の観点について(ア) 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)に「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用する」との記載があるとおり,本願発明は,「サーバを選択 観点について(ア) 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)に「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用する」との記載があるとおり,本願発明は,「サーバを選択する」構成を具備する。 一方,引用発明は,無線基地局装置に関連付けられたコンテンツを選択するために,URLを元に情報サーバに接続する構成を具備するものであるが,引用文献には,情報サーバを選択するというステップの明記がない。 したがって,本願発明と引用発明は,選択されるものが,本願発明においてはサーバであるのに対し,引用発明においてはサーバに格納されたコンテンツ(位置ベース情報)であるという点(①の観点)で相違する。 (イ) しかるところ,本願発明において,複数のサービス(位置ベース情報)を単一のコンテンツサーバによって提供することができることは,当業者にとって自明である。この場合,位置ベース情報の提供を受けるためには,LANに接続されたサーバ(コンテンツサーバ以外の他のサーバを含む。)の中からコンテンツサーバを選択するだけでは足りず,- 19 -そのサーバに格納された位置ベース情報の提供場所を選択する必要がある。 このように本願発明においては,サーバに格納された位置ベース情報にアクセスするためには,サーバの特定だけでは足りず,そのサーバに格納された位置ベース情報を特定する必要がある。 一方,引用発明は,(S3)及び(S4)のステップを具備するから,引用発明は,情報サーバに格納された地域に応じた情報を特定するに際してURLを使用している。そうすると,引用発明においても,その地域に応じた情報を格納している情報サーバを特定及び選択しているということができる。 以上のとおり,本願発明と引用発明は,前記(ア)の点で相違するもの ている。そうすると,引用発明においても,その地域に応じた情報を格納している情報サーバを特定及び選択しているということができる。 以上のとおり,本願発明と引用発明は,前記(ア)の点で相違するものの,本願発明におけるサーバの選択の意義及び引用発明の(S3)及び(S4)のステップに伴って行われる処理を考慮するならば,上記相違点は実質的な相違点とはいえないから,本件審決の判断に誤りはない。 イ ②の観点について(ア) 本願発明に含まれる別紙1の図2の実施形態では,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置しているため,ユーザからの応答に基づき又は自動的に,複数のアクセスポイントのうちの1つをゾーン識別子を使用して選択することが行われる(別紙1の図3及び本件明細書の段落【0020】)。また,アクセスポイントを選択すれば,アクセスポイントに関連付けられた「サーバ」を選択したことにもなる。 一方,引用文献には,無線端末装置が複数のローカル無線ゾーン内に位置する場合の記載はない。 したがって,本願発明と引用発明は,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置している場合に,サーバを選択するのか否かの点(- 20 -②の観点)で相違する。 (イ) しかるところ,引用文献には,無線端末装置が複数のローカル無線ゾーン内(重複エリア)に位置する場合の記載はないものの,引用発明の無線端末装置は移動通信システムを前提としたものであり,しかも,引用発明の無線基地局装置は同一LAN内に存在するのであるから,同一LAN内のどの場所でも無線通信ができ,また,同一LAN内で無線端末装置が移動しても無線通信が途切れることのないように,無線基地局装置が無線端末装置と接続可能なエリアを重複させた方がよいことは,当業者にとって当然理解できる事項である。 また,同一LAN内で無線端末装置が移動しても無線通信が途切れることのないように,無線基地局装置が無線端末装置と接続可能なエリアを重複させた方がよいことは,当業者にとって当然理解できる事項である。 そして,引用発明の無線端末装置が複数のローカル無線ゾーンの重複エリアに位置する場合,①無線基地局装置の1つを選択してその無線基地局識別番号を取得してアドレス提供サーバに問い合わせてURLを取得し,そのURLを元に情報サーバを選択して情報の提供を受けること,②接続不可能な無線基地局装置を除く無線基地局装置(複数)を選択して無線基地局識別番号を取得してアドレス提供サーバに問い合わせてURLを取得し,そのURLを元に情報サーバを選択して情報の提供を受けること,③接続不可能な無線基地局装置を除く無線基地局装置(複数)を選択して無線基地局識別番号を取得してアドレス提供サーバに問い合わせてURLを取得し,無線端末装置の操作者がURLの一覧表から適宜選択したURLを元に情報サーバを選択して情報の提供を受けることは,当業者においていずれも容易に想到し得たものといえる。 したがって,引用発明において,いずれのローカル無線ゾーンに関連する位置ベース情報を提供するかを選択するべく,アクセスポイントに関連付けられた一意のゾーン識別子を使用してサーバを選択するようにすることに何ら困難な点はないとした本件審決の判断に誤りはない。 - 21 -ウ小括以上によれば,相違点の容易想到性に関する本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由2は,理由がない。 (3) まとめ以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受ける (3) まとめ以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした本件審決の判断に誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(一致点の認定の誤り及び相違点の看過)について(1) 本願明細書の記載事項等についてア本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載は,前記第2の2のとおりである。 イ本願明細書(甲11)の「発明の詳細な説明」には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし7,10については,別紙1を参照)。 (ア) 「【技術分野】本発明は,通信に関し,詳細には,モバイル端末との通信が可能であるローカル無線ゾーン内のモバイル端末に,位置ベース情報を提供することに関する。」(段落【0001】)(イ) 「【背景技術】パケットベースのネットワーク上で使用可能なかなりの量の情報,およびこうした情報が,モバイルユーザに無線で配信され得る容易さに鑑みて,モバイルユーザに情報をその相対的位置に基づいて提供するための大きな努力がなされてきた。位置ベースの情報サービスは,地元企業の広告,指示の提供,少なくとも一部はユーザの位置に基づいた他の情- 22 -報の提供など,情報を提供することができる。」(段落【0002】)「こうした位置ベースのサービスの有用性は明らかであるにも拘らず,これらのサービスは,まだ普及していない。位置ベースサービスの受入れの妨げとなってきた1つの障害は,ユーザの位置を決定するために使用されるセルラベースのトラッキング技術が,比較的に不正確であることである。セルラシステムは,最も近くの基地局間で三角法技術を使用することができ, てきた1つの障害は,ユーザの位置を決定するために使用されるセルラベースのトラッキング技術が,比較的に不正確であることである。セルラシステムは,最も近くの基地局間で三角法技術を使用することができ,またはユーザに現在サービスを提供している基地局に基づいて,ユーザの位置を単純に識別することができる。ユーザの位置を決定するための三角法および基地局識別の技術は,位置決定のための比較的に高度の分解能を提供することができない。ほとんどの場合において,ユーザの位置は,セルラネットワークのレイアウトに応じて,せいぜい50メートル以上の範囲内でしか決定され得ない。ユーザ位置決定のこうした低い分解能では,サービスを特定の位置に関連付けることは非常に制限される。」(段落【0003】)(ウ) 「【発明が解決しようとする課題】他の位置決定システムは,モバイル端末内に全地球測位システム(GPS:GlobalPositioningSystem)機器を取り入れる。残念ながら,より正確な位置決めの機器をモバイル装置に追加することは,高価であり,より正確な位置決め情報の利用のために,セルラネットワークへの高価なアップグレードをしばしば必要とする。 したがって,モバイルユーザに位置ベースの情報を提供するための効率的で効果的なやり方が求められている。モバイルユーザに提供される位置ベース情報が,モバイルユーザの実際の位置にさらに固有のものとなるように,より正確にモバイルユーザの位置を決定するためのやり方を提供することがさらに求められている。」(段落【0004】)(エ) 「【課題を解決するための手段】- 23 -本発明は,モバイル端末が,アクセスポイントによって確立されたローカル無線ゾーンに入ると,位置ベースの情報を交換することを可能にする。アクセスポイ 「【課題を解決するための手段】- 23 -本発明は,モバイル端末が,アクセスポイントによって確立されたローカル無線ゾーンに入ると,位置ベースの情報を交換することを可能にする。アクセスポイントは,位置ベース情報および制御アクセスを提供し得る1つまたは複数のサーバを含み,または1つまたは複数のサーバに関連付けられる。ローカル無線ゾーンは,アクセスポイントとモバイル端末との間の通信が可能な制限された領域である。モバイル端末が,1つまたは複数のローカル無線ゾーンに入ると,ローカル無線ゾーン内のモバイル端末の存在が検出される。検出されると,モバイル端末に,位置ベース情報が格納されたサーバへのアクセスが与えられる。サーバは,ローカル無線ゾーンに関連付けられる。一実施形態では,IPアドレスが,モバイル端末に提供され,このモバイル端末は,IPアドレスを使用して位置ベース情報にアクセスすることができる。モバイル端末が,所与の任意のときに複数のローカル無線ゾーン内にある場合,特定のローカル無線ゾーンに関する位置ベース情報が選択され得る。次いで,モバイル端末は,選択されたローカル無線ゾーンのアクセスポイントとの通信を確立し,関連するサーバに位置ベース情報を要求する。」(段落【0005】)「ローカル無線通信を使用し,サーバおよび位置ベース情報を各ローカル無線ゾーンに関連付けることによって,位置ベース情報は,ローカル無線ゾーンによって取り囲まれる領域についてよりよく構成されることができる。一実施形態では,動的ホスト構成プロトコルなどのホスト構成プロトコルが,モバイル端末に構成情報を提供して,モバイル端末がアクセスポイントに関連する様々なエンティティと通信することを可能にするために使用される。構成情報は,ローカル無線ゾーンのうちの少なくとも トコルが,モバイル端末に構成情報を提供して,モバイル端末がアクセスポイントに関連する様々なエンティティと通信することを可能にするために使用される。構成情報は,ローカル無線ゾーンのうちの少なくとも1つに関連付けられたゾーン識別子を考慮して提供され得る。構成情報は,位置ベース情報を提供するサーバへのアクセスを得る- 24 -ために使用され得る。あるいは,構成情報は,位置ベース情報にアクセスするためのIPアドレスを直接に提供し得る。位置ベース情報は,任意の数のサービス,たとえばウェブサービス,音声通信,ビデオ呼,インスタントメッセージング,電子メール,音声メール,およびファックスを含めた通信,ファイル転送,ストリーミングメディア,リアルタイムメディアアプリケーション,電子商取引,ユーザ認証,および地理位置情報サービスを促進するための様々なタイプの情報であり得る。」(段落【0006】)(オ) 「本発明は,ローカル無線インターフェースを介して通信することができるモバイル端末が,モバイル端末の相対的位置に基づいてコンテンツに容易にアクセスすることを可能にする。このコンテンツは,一般に,モバイル端末の位置が,どのコンテンツがモバイル端末にとって使用可能になるかの決定に影響を及ぼすので,位置ベース情報と称される。 位置ベース情報は,ある特定の位置で任意のモバイル端末に提供される唯一のコンテンツとすることができ,あるいは様々なタイプのコンテンツが,特定の位置情報を考慮して提供され得る。要するに,モバイル端末が,ローカル無線インターフェースの通信範囲内に入るときに,位置ベース情報が,モバイル端末に提供され得る。モバイル端末によって提供される追加の要因または情報は,モバイル端末に提供する新しい位置ベース情報を決定するのに役立ち得る。したがって,本 入るときに,位置ベース情報が,モバイル端末に提供され得る。モバイル端末によって提供される追加の要因または情報は,モバイル端末に提供する新しい位置ベース情報を決定するのに役立ち得る。したがって,本発明は,ローカル無線ゾーンに入るモバイル端末が,コンテンツサーバに容易にアクセスし,位置ベース情報を受信することができるように,モバイル端末との通信が可能であるローカル無線ゾーンと,コンテンツサーバとの間の密接な関連付けをもたらす。本発明について詳細に調べる前に,例示的な通信環境の概要が示される。」(段落【0010】)「図1を参照すると,通信環境10が,ローカル無線通信を促進する- 25 -ことができる,3つの独立したローカル無線システム12A,12B,および12Cを含むものとして示されている。ローカル無線通信は,無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wirelesslocalareanetwork),Bluetooth,および他の制限された範囲の通信の技術で使用されるものなど,制限された範囲の無線通信と規定される。例示するために,本明細書で具体的に記載される実施形態は,IEEE802.11および802.15規格で定められるWLAN通信技術を組み込み得る。従来のセルラ技術によって提供される範囲より実質上小さい範囲内の無線通信を提供する,他の適用可能なローカル無線通信技術が,当業者には認識されよう。」(段落【0011】)「各ローカル無線システム12A,12B,および12Cは,アクセスポイント14A,14B,14Cを含み,これらのアクセスポイントは,モバイル端末16が,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cのうちの対応する1つのローカル無線ゾーン内にあるときに,モバイル端末16との無線通信を促進する。図1に示す実施形 のアクセスポイントは,モバイル端末16が,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cのうちの対応する1つのローカル無線ゾーン内にあるときに,モバイル端末16との無線通信を促進する。図1に示す実施形態では,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cは,重複しておらず,モバイル端末16は,所与の任意のときにアクセスポイント14A,14B,14Cのうちの1つのアクセスポイントだけと,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cにあるときにだけ通信することができるにすぎない。」(段落【0012】)「各ローカル無線システム12は,独立しており,モバイル端末16が,それぞれのローカル無線ゾーン18のうちの1つのローカル無線ゾーン内にあるときに,位置ベース情報が,モバイル端末16に配信されることを可能にするように構成される。各アクセスポイント14によって提供されるローカル無線通信の範囲が制限されていることを考慮する- 26 -と,モバイル端末16の位置は,アクセスポイント14との通信が可能である場合には,特定性の高いものであると知られている。したがって,所与のローカル無線ゾーン18内のモバイル端末16に提供される位置ベース情報は,モバイル端末の16の知られている位置を考慮すると,非常に特定的なものであり得る。」(段落【0013】)「モバイル端末16への位置ベース情報の配信を促進するために,ローカル無線システム12は,モバイル端末16が,アクセスポイント14によってもたらされるローカル無線ゾーン18内にあることを認識し,モバイル端末16にアクセスを提供し,次いでモバイル端末16に位置ベース情報を配信することができる。図示されるように,ローカル無線システム12Aおよび12Bは,位置ベース情報を提供するためのスタンドアロンのコンテンツサーバ2 提供し,次いでモバイル端末16に位置ベース情報を配信することができる。図示されるように,ローカル無線システム12Aおよび12Bは,位置ベース情報を提供するためのスタンドアロンのコンテンツサーバ20を含み,コンテンツサーバ20が,専用のイーサネット(登録商標)スイッチ22または他のローカルネットワーク(図示せず)を介して,アクセスポイント14Aおよび14Bに結合される。モバイル端末16によるローカル無線システム12Aおよび12Bへのアクセスは,アクセスサーバ24によって管理される。アクセスサーバ24は,認証,許可,およびアカウンティング(AAA:Authentication,Authorization,andAccounting)サーバ,動的ホスト構成プロトコル(DHCP:DynamicHostConfigurationProtocol)サーバ,またはドメインネームサービス(DomainNameService)サーバの形を取り得る。許可,アカウンティング,アドレス供給,およびアドレス変換が提供され得る,他のタイプのサーバおよび対応するプロトコルが,当業者には認識されよう。とりわけ,本発明を実施するのに,これらの機能のすべてが必要であるとは限らないが,以下でより詳細に述べるように,選択された実施形態では- 27 -有益である。さらに,様々なアクセスサーバ24およびコンテンツサーバ20は,様々な形を取ることができ,様々な装置内の機能として実装され得る。」(段落【0014】)「図1の通信環境10について,独立したローカル無線ゾーン18は,一般に,所与の任意のときに,1つのローカル無線システム12だけが,モバイル端末16にサービスを提供できることを示している。したがって,位置ベースの情報は,それに応じて構成されることが ーン18は,一般に,所与の任意のときに,1つのローカル無線システム12だけが,モバイル端末16にサービスを提供できることを示している。したがって,位置ベースの情報は,それに応じて構成されることができ,位置ベース情報の選択は,モバイル端末16がローカル無線ゾーン18に入ると自動的に行われ,またはモバイル端末16から受信される情報に基づき得る。」(段落【0016】)(カ) 「図2を参照すると,ローカル無線システム12は,やはり互いに独立しているが,各ローカル無線システム12によってもたらされるローカル無線ゾーン18は,互いに重複している。図示するように,モバイル端末16は,ローカル無線ゾーン18A,18B,および18C内にあり,したがって各アクセスポイント14A,14B,14Cと同時に通信することができる。異なるローカル無線システム12からのローカル無線ゾーンが,重複する場合,各ローカル無線ゾーン18またはアクセスポイント14は,それぞれローカル無線システム12A,12B,および12Cについて,それぞれのゾーンID,すなわちZONEIDA,ZONEIDBおよびZONEIDCに関連付けられ得る。したがって,それぞれのアクセスポイント14,またはそれぞれのローカル無線システム12内の関連する構成要素は,モバイル端末16またはそのユーザが,位置ベース情報をそこから受信するためのローカル無線システム12を選択することができるように,モバイル端末16にゾーンIDを提供し得る。ゾーンIDは,対応するローカル無線システム12から提供される位置ベース情報を識別し,または別の方法で制御する- 28 -助けとするために,モバイル端末16によって使用され得る。以下でさらに述べるように,ローカル無線ゾーン18は,通信環境10の構成および 位置ベース情報を識別し,または別の方法で制御する- 28 -助けとするために,モバイル端末16によって使用され得る。以下でさらに述べるように,ローカル無線ゾーン18は,通信環境10の構成およびローカル無線システム12に応じて,一意のゾーン識別子(ID)を有することができ,または同じゾーンIDを共有することができる。」(段落【0017】)「次に図3に移ると,図2の通信環境10を考慮して,本発明の一実施形態の動作を示すための通信フロー図が提供されている。モバイル端末16は,それが,それぞれローカル無線システム12Aおよび12Bのローカル無線ゾーン18Aおよび18B内に存在するが,ローカル無線ゾーン18C内に存在しないように位置していると仮定する。とりわけ,アクセスサーバ24は,実際には,複数のサーバ,または複数のサーバ機能を提供する単一の装置であり得る。この例では,アクセスサーバ24は,DHCPサーバ24’,DNSサーバ24”,およびAAAサーバ24’”の形を取り得る。」(段落【0018】)「モバイル端末16とアクセスポイント14Aとの間の通信の許可および確立は,事実上匿名である任意のユーザが,通信を確立し得るように構成されることができ,または許可メッセージングは,特定のユーザが通信を開始することを必要とし得る。後者の場合では,許可要求またはメッセージングは,通信ためのユーザまたはモバイル端末16の認証の助けとするために,パスワードなどのユーザIDまたは他の信用証明情報を含む場合がある。使用可能な位置ベース情報のタイプ,およびローカル無線システム12の性質を考慮すると,匿名のユーザに通信を確立することを許可する決定は,ケースバイケースで決定され得る。特定の許可プロセスが必要である場合,AAAサーバ24’”または等価の機 ーカル無線システム12の性質を考慮すると,匿名のユーザに通信を確立することを許可する決定は,ケースバイケースで決定され得る。特定の許可プロセスが必要である場合,AAAサーバ24’”または等価の機能は,モバイル端末16とアクセスポイント14Aとの間の通信確立許可の取得のために,モバイル端末16から受信された許可データを提- 29 -供するために,アクセスポイント14Aによってアクセスされ得る。」(段落【0019】)「継続的にアクセスポイント14Aおよび14Bは,モバイル端末16が,それがそれぞれのローカル無線ゾーン18Aおよび18B内にあると決定する際の助けとするために,信号を送出する。無線LANの実施形態では,これらの信号は,「ビーコン」と称され,それぞれのゾーンID,すなわちZONEIDAおよびZONEIDBを含み得る。 したがって,アクセスポイント14Aは,ZONEIDAを識別するビーコンをモバイル端末16に送信し(ステップ100),アクセスポイント14Bは,ZONEIDBを識別するビーコンをモバイル端末16に送信する(ステップ102)。モバイル端末16は,ローカル無線ゾーン18(A)および18B内にある場合,アクセスポイント14Aおよび14Bからビーコンを受信し,アクセスポイント14Aおよび14Bとの通信が可能であることを認識する。モバイル端末16は,この情報を,適切なユーザインターフェースを介してユーザに提供し得る。 モバイル端末16は,ユーザからの応答に基づきまたは自動的に,通信するアクセスポイントのうちの1つ14Aまたは14Bを選択する。こうした選択は,直接的または間接的に,ゾーンIDのうちの1つを選択することを伴い得る。この例では,モバイル端末が,アクセスポイント14Aに関連するZONEID つ14Aまたは14Bを選択する。こうした選択は,直接的または間接的に,ゾーンIDのうちの1つを選択することを伴い得る。この例では,モバイル端末が,アクセスポイント14Aに関連するZONEIDAを選択すると仮定する(ステップ104)。したがって,モバイル端末16は,アクセスポイント14Aに,ローカル無線通信の許可を求める許可要求を送信する(ステップ106)。モバイル端末16およびアクセスポイント14Aは,その間の通信セッションを許可するのに必要な必須情報を取得するために,必須の許可メッセージングを交換する(ステップ108)。アクセスポイント14(A)は,モバイル端末との通信を許可するかどうか決定するため- 30 -に,AAAサーバ24’”と協働し得る(ステップ110)。ユーザが許可されると見なすと,アクセスポイント14Aは,通信セッションの許可が与えられたことを示すメッセージを,モバイル端末16に送信する(ステップ112)。」(段落【0020】)「無線LANの適用例では,関連付けは,一般に,モバイル端末16とサービス側のアクセスポイント14Aとの間で確立される。したがって,モバイル端末16は,関連付け要求をアクセスポイント14Aに送信し(ステップ114),このアクセスポイント14Aは,関連付けが与えられる場合には,関連付け付与メッセージで応答する(ステップ116)。次いで,モバイル端末16は,ローカル無線システム12A内の通信のためにモバイル端末16が使用する,インターネットプロトコル(IP:InternetProtocol)アドレスなどのDHCP構成データ,および任意選択で,位置ベース情報が要求され得るコンテンツサーバ20のアドレスを取得するために,DHCPサーバ24’または等価の機能にDHCP要求を送信し得る(ス アドレスなどのDHCP構成データ,および任意選択で,位置ベース情報が要求され得るコンテンツサーバ20のアドレスを取得するために,DHCPサーバ24’または等価の機能にDHCP要求を送信し得る(ステップ118)。DHCPサーバ24’は,DHCP応答を構成データ,恐らくはコンテンツサーバ20のアドレスを付けて,モバイル端末16に返送する(ステップ120)。ローカル無線システム12との通信のためモバイル端末16を初期化するときに使用するための他のホスト構成プロトコルが,当業者には認識されよう。」(段落【0021】)「構成データがどのようにモバイル端末16に提供されるかに応じて,DNSサービスが,所望のまたはデフォルトのコンテンツサーバ20のIPアドレスを見つけるために使用され得る。たとえば,DHCPサーバ24’によって提供される構成データが,ドメインネームの形を取る場合,モバイル端末16は,DNSサーバ24”にDNS照会を送信することができ(ステップ122),このDNSサーバ24”は,コンテ- 31 -ンツサーバ20のIPアドレスを付けてDNS応答を,モバイル端末に返送する(ステップ124)。DNS照会のDNSエントリは,複数の形を取ることができ,ドメインネームの形で提供されたゾーンIDなど,様々なタイプの情報を表しまたは含み得る。たとえば,ある「飲食店」のゾーンIDは,www.restaurant.comとして構成され得る。DNSエントリは,wlan.www.restaurant. comなど,修正されたゾーンIDとすることもできる。さらに,DNSエントリは,DHCPサーバ24’から受信される構成データ内で提供される,事実上どんなタイプの情報からも導出され得る。」(段落【0022】)「コンテンツサーバ20のIPアドレスが らに,DNSエントリは,DHCPサーバ24’から受信される構成データ内で提供される,事実上どんなタイプの情報からも導出され得る。」(段落【0022】)「コンテンツサーバ20のIPアドレスが,構成データと共に提供されるか,DNSサービスから取得されるか,それともアクセスポイント14Aを含めて他の任意の装置から受信されるかに関係なく,モバイル端末16は,そのIPアドレスを使用して,コンテンツサーバ20に位置ベース情報を要求することができる(ステップ126)。たとえば,要求は,ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP:HypertextTransferProtocol)GETメッセージの形を取り得る。さらに,アプリケーションに関連するユニフォーム(またはユニバーサル)リソースロケータ(URL:Uniform(Universe)ResourceLocator),ゾーンID,アクセスポイント識別子,およびユーザ識別子を含めて,実質上どんなタイプの情報もが,HTTPGETメッセージと共に提供され得る。様々な位置固有またはユーザ固有のデータが,所望の位置ベース情報の取得または提供のために,必要に応じてコンテンツサーバ20と交換され得る。要求に基づいて,コンテンツサーバ20は,好ましくはHTTP200OKメッセージの形で,位置ベース情報を付けて応答する(ステップ128)。 - 32 -この時点では,コンテンツサーバ20は,従来のウェブサーバの働きをしており,モバイル端末16は,ブラウザを実行する従来のクライアントの働きをしている。したがって,コンテンツは,コンテンツサーバ20または他のアクセス可能サーバによって使用可能にされる追加のコンテンツへのリンクと共に,モバイル端末16に提供され得る。位置ベース情報は,モバイル端末の位置に て,コンテンツは,コンテンツサーバ20または他のアクセス可能サーバによって使用可能にされる追加のコンテンツへのリンクと共に,モバイル端末16に提供され得る。位置ベース情報は,モバイル端末の位置に応じて,任意の数またはタイプのサービスに関連して提供され得る。」(段落【0023】)「上記内容から分かるように,モバイル端末16は,それがアクセスポイント14のローカル無線ゾーン18内に存在することを決定し,アクセスポイント14と通信する能力を確立するのに必要な措置を取り,さらなる通信の許可および恐らくコンテンツサーバ20に関する情報を取得するために,任意の必要なアクセスサーバ24と対話し,次いで位置ベース情報にアクセスするためにコンテンツサーバ20に関する情報を使用し得る。位置ベース情報は,ゾーンID,アクセスポイントID,ユーザID,モバイル端末16によって提供される他の情報,またはその組合せを使用してさらに指定され得る。」(段落【0024】)(キ) 「図4を参照すると,本発明の第3の実施形態による通信環境10が示されている。この実施形態では,複数(3つ)のアクセスポイント14が,共通のコンテンツサーバ20,アクセスサーバ24,およびイーサネット(登録商標)スイッチ22によってサポートされている。ローカル無線システム12内に複数のアクセスポイント14を設けることによって,より大きいエリアが,アクセスポイント14によって提供されるそれぞれのローカル無線ゾーン18によってカバーされ得る。この実施形態では,各アクセスポイント14またはローカル無線ゾーン18は,同じゾーンID(ZONEIDA)に関連付けられる。位置ベース情報のさらなる改善は,各それぞれのアクセスポイント14に一意に- 33 -関連付けられているアクセスポイントI 無線ゾーン18は,同じゾーンID(ZONEIDA)に関連付けられる。位置ベース情報のさらなる改善は,各それぞれのアクセスポイント14に一意に- 33 -関連付けられているアクセスポイントIDに基づき得る。したがって,アクセスポイントIDが,コンテンツサーバ20に提供されない場合,より一般化された位置ベース情報が,モバイル端末16に提供される。 アクセスポイント識別子,または特定のローカル無線ゾーン18に関連する他の識別子が,コンテンツサーバ20に提供される場合は,より具体的な位置情報が,モバイル端末16に提供され得る。」(段落【0025】)「図5を参照すると,本発明の第4の実施形態が示されている。この実施形態では,各ローカル無線ゾーン18は,一意のゾーンIDに関連付けられ,このゾーンIDは,モバイル端末16によって,コンテンツサーバ20からの位置ベース情報を選択するために使用され得る。この実施形態では,共通のコンテンツサーバ20およびアクセスサーバ24は,各3つの一意のローカル無線ゾーン18をサポートする。あるいは,それぞれのアクセスポイント14は,コンテンツサーバ20から位置ベース情報を選択するために使用される一意の識別子を有することができる。」(段落【0026】)「図6を参照すると,複数のコンテンツサーバ20A,20B,20Cが設けられている,本発明の第5の実施形態が示されている。この実施形態では,各ローカル無線ゾーン18は,一意のゾーンIDを有している。この環境では,モバイル端末16は,コンテンツサーバ20のうちの異なる1つにコンテンツを要求し,一意のゾーン識別子または一意アクセスポイント識別子を使用してそうすることができる。したがって,複数のコンテンツサーバ20からの位置ベース情報は,モバイル端末16が 異なる1つにコンテンツを要求し,一意のゾーン識別子または一意アクセスポイント識別子を使用してそうすることができる。したがって,複数のコンテンツサーバ20からの位置ベース情報は,モバイル端末16が使用できるようになる異なるタイプのアプリケーションまたはサービスに対応し得る。複数のアプリケーションまたはサービスは,単一のコンテンツサーバ20によって提供されることができ,したがって,図- 34 -示するような複数のコンテンツサーバ20は必要でないことが,当業者には認識されよう。」(段落【0027】)「図7を参照すると,複数のローカル無線ゾーン18が,モバイル端末16とコンテンツサーバ20との間の安全な通信を提供するルータまたはファイヤウォール28を経由して,データネットワーク26を介してコンテンツサーバ20およびアクセスサーバ24によってサポートされている,本発明の第6の実施形態が示されている。一実施形態では,トンネル30が,レイヤ2トンネリングプロトコル(L2TP:layer 2 tunnelingprotocol)またはIPSecを使用して,ルータまたはファイヤウォール28とコンテンツサーバ20との間に確立される。図示するように,ゾーンIDは,各ローカル無線ゾーン18について同一であるが,しかし,上記で論じたように,一意のゾーンIDが使用され得ることが,当業者には理解されよう。」(段落【0028】)(ク) 「上記の説明に基づいて,位置ベース情報が,ローカル無線通信技術を使用して,効率的で効果的なやり方でモバイル端末16に提供され得る。ローカル無線通信の使用は,より制限された通信範囲を,したがってユーザ位置についてのより正確な決定をもたらす。さらに,アクセスポイント14によって提供されるローカル無線ゾーン18は,それぞ れ得る。ローカル無線通信の使用は,より制限された通信範囲を,したがってユーザ位置についてのより正確な決定をもたらす。さらに,アクセスポイント14によって提供されるローカル無線ゾーン18は,それぞれのアクセスポイント14についての送信電力を制御することによって制御され得る。送信電力を調整することによって,ローカル無線ゾーン18のサイズは,位置ベース情報を提供するための位置要件に適応するように調整され得る。」(段落【0029】)「位置ベース情報は,様々なタイプの通信サービスおよびウェブサービスを含めて,多くの形を取り得る。位置ベース情報は,マーケティング,広告,または他の情報サービスに関連する,基本のコンテンツ配信- 35 -を提供し得る。コンテンツは,ウェブベースプロトコル,ファイル転送プロトコル,ストリーミングメディア,およびリアルタイムメディアを使用して送信され得る。」(段落【0030】)「要するに,ローカル無線ゾーン18は,ローカル無線ゾーン18内で移動するモバイル端末16が,対応するアプリケーションまたはサービスに関する位置ベース情報へのアクセスを有するように,公共の場所に関連して確立される。たとえば,公共の場所は,飲食店,空港のチェックイン場所,または美術館の展示場であり得る,したがって,飲食店は,クーポン,広告,メニュー情報を提供することができ,または予約または注文を行うためにモバイル端末16と通信することができる。ユーザは,空港内のチェックインを促進するために,モバイル端末16と協働することができる。さらに,モバイル端末16は,美術館全体に広がる複数のアクセスポイント14によって提供される様々なローカル無線ゾーン18に対応する,異なる展示からの情報を受信するために,美術館全体に渡るアクセスポイント14と イル端末16は,美術館全体に広がる複数のアクセスポイント14によって提供される様々なローカル無線ゾーン18に対応する,異なる展示からの情報を受信するために,美術館全体に渡るアクセスポイント14と通信することができる。したがって,位置ベース情報は,単純に,各展示の作品を説明するストリーミングメディアとすることができ,モバイル端末16が,ある展示から別の展示に移動し,その位置に基づいて異なるコンテンツにアクセスする。 さらに,上記説明は,コンテンツサーバ20に位置ベース情報を要求するモバイル端末16に焦点を当てている。本発明の概念は,コンテンツサーバ20が,ローカル無線ゾーン18内にモバイル端末16が存在することを知ると,モバイル端末16に情報をプッシュする状況に同様に適用可能であることが,当業者には認識されよう。」(段落【0031】)(ケ) 「モバイル端末16の基本のアーキテクチュアが,図10に示されている。モバイル端末16は,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,- 36 -または携帯電話など,ローカル無線通信を行うことができる任意の装置の形を取り得る。図示される実施形態では,モバイル端末16は,ローカル無線通信と従来のセルラ通信の両方を促進するように構成される。 モバイル端末16は,受信器フロントエンド50と,無線周波数送信器部52と,アンテナ54と,送受切換え器またはスイッチ56と,ベースバンドプロセッサ58と,制御システム60と,周波数シンセサイザ62と,インターフェース64とを含み得る。受信器フロントエンド50は,基地局によって提供される1つまたは複数のリモート送信器からの,情報を運ぶ無線周波数信号を受信する。低雑音増幅器66は,信号を増幅する。フィルタ回路68は,受信された信号中の広帯域干渉を最小限に抑え,ダウンコ て提供される1つまたは複数のリモート送信器からの,情報を運ぶ無線周波数信号を受信する。低雑音増幅器66は,信号を増幅する。フィルタ回路68は,受信された信号中の広帯域干渉を最小限に抑え,ダウンコンバージョンおよびデジタル化回路70は,フィルタリングされた受信信号を,中間またはベースバンドの周波数信号にダウンコンバートし,次いでこの中間またはベースバンド信号は,1つまたは複数のデジタルストリームへとデジタル化される。受信器フロントエンド50は,一般に,周波数シンセサイザ62によって生成された1つまたは複数のミキシング周波数を使用する。ベースバンドプロセッサ58は,受信信号中で伝えられる情報またはデータビットを抽出するために,デジタル化された受信信号を処理する。この処理は,一般に,変調,復号,および誤り訂正動作を含む。したがって,ベースバンドプロセッサ58は,一般に,1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP:digitalsignalprocessor)で実装される。」(段落【0034】)ウ前記ア及びイの記載を総合すれば,本願明細書(甲11)には,次の点が開示されていることが認められる。 (ア) モバイル端末のユーザ(モバイルユーザ)にその相対的位置に基づいた位置ベース情報を無線で提供するサービスの有用性は明らかである- 37 -が,従来から使用されているセルラシステムの基地局に基づいてユーザの位置を識別するセルラベースのトラッキング技術は,位置決定のための比較的に高度の分解能を提供することができず,ほとんどの場合,ユーザの位置は,セルラネットワークのレイアウトに応じて,せいぜい50メートル以上の範囲内でしか決定され得ないため,サービスを特定の位置に関連付けることが非常に制限されるという問題があり,また,モバイル の位置は,セルラネットワークのレイアウトに応じて,せいぜい50メートル以上の範囲内でしか決定され得ないため,サービスを特定の位置に関連付けることが非常に制限されるという問題があり,また,モバイル端末内に全地球測位システム(GPS)機器を取り入れることは,高価であり,より正確な位置決め情報の利用のためにセルラネットワークへの高価なアップグレードをしばしば必要とするという問題があったため,上記サービスは,未だ普及していない。そこで,モバイルユーザに位置ベースの情報を提供するための効率的で効果的なやり方,さらには,モバイルユーザに提供される位置ベース情報が,モバイルユーザの実際の位置に固有のものとなるように,より正確にモバイルユーザの位置を決定するためのやり方を提供することが求められていた。 (イ) 本願発明は,上記の課題を解決するための手段として,アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信を使用し,一意のゾーン識別子にローカル無線ゾーンを,アクセスポイントにサーバをそれぞれ関連付け,さらに,サーバ及び位置ベース情報を各無線ローカルゾーンに関連付けた上で,モバイル端末が,ローカル無線ゾーンに入ると,ローカル無線ゾーン内のモバイル端末の存在が認識され,モバイル端末に位置ベース情報が格納されたサーバへのアクセスが与えられ,そのサーバの選択に一意のゾーン識別子が使用され,モバイル端末は,位置ベース情報を要求するためにサーバに問い合わせを行い,ローカル無線ゾーンに関連するサーバからアクセスポイントを介してモバイル端末に位置ベース情報を提供する構成を採用した。 (ウ) 本願発明は,ローカル無線通信技術を使用して,位置ベース情報が- 38 -効率的で効果的なやり方でモバイル端末に提供され得るとともに,ローカル無線通信のより制限さ 供する構成を採用した。 (ウ) 本願発明は,ローカル無線通信技術を使用して,位置ベース情報が- 38 -効率的で効果的なやり方でモバイル端末に提供され得るとともに,ローカル無線通信のより制限された通信範囲において,より正確にモバイルユーザの位置を決定するという効果を奏するものである。 (2) 引用文献の記載事項について引用文献(特開2001-359172号公報)(甲1)には,次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし5については別紙2を参照)。 ア 「【特許請求の範囲】【請求項1】 地域に応じた情報を有する少なくとも1台の情報サーバと,各地域に設置された通信事業者所有の複数台の無線基地局装置と,前記情報サーバ内の情報のアドレス一覧と前記各地域に設置された無線基地局装置の無線基地局識別番号との対応表を有する少なくとも1つのアドレス提供事業者がアドレス提供事業者ごとに1台所有するアドレス提供サーバと,前記情報サーバと前記アドレス提供サーバと前記無線基地局装置を相互に接続する通信事業者所有の通信網と,予め選択されたアドレス提供事業者のアドレス提供サーバのアドレスが登録された複数台の無線端末装置とから構成される地域情報提供システムにおいて,前記無線端末装置に,無線基地局装置と通信を開始した際,あるいは無線端末装置の操作者の要求に従って,前記無線基地局装置の無線基地局識別番号を取得する手段と,該無線基地局識別番号を前記アドレス提供サーバに送信することによって該アドレス提供サーバから前記無線基地局識別番号に対応する情報のアドレスを取得する手段と,該アドレスに基づいて情報サーバにアクセスして該アドレスに対応する情報を得ることによって,無線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得- 39 -する手段と る情報のアドレスを取得する手段と,該アドレスに基づいて情報サーバにアクセスして該アドレスに対応する情報を得ることによって,無線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得- 39 -する手段とを設けたことを特徴とする地域情報提供システム。」「【請求項3】 請求項1記載の地域情報提供システムにおいて,通信事業者が所有する無線基地局装置に代えて,通信事業者以外の一般設置者が所有する無線基地局装置を設置し,前記一般設置者は,無線基地局装置の無線基地局識別番号を,アドレス提供サーバが保有する情報のアドレス一覧と無線基地局識別番号との対応表に登録する際に,アドレス提供サーバの登録済みの情報のアドレス一覧表を参照し,該アドレス一覧表から,設置した無線基地局装置を用いて提供したい情報を選択して登録することを特徴とする地域情報提供システム。」「【請求項5】 請求項1記載の地域情報提供システムにおいて,通信事業者所有の通信網に代えてLANを設けると共に,該LAN上に,無線端末装置に予め登録されているアドレス提供サーバのアドレスを,該LAN上のアドレス提供サーバのアドレスに変換するテーブルを有するドメインネームサーバ(DNS)を設けたことを特徴とする地域情報提供システム。」(以上,2頁)イ 「【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は,移動通信システムの付加サービスとして提供される地域情報提供システムに関し,特に,無線端末装置が該無線端末装置の位置する地域の情報を容易に取得することのできるシステムを簡潔な構成によって実現することのできるシステムに係る。」(段落【0001】)ウ 「【従来の技術】従来,地域情報を取得する一般的な方法として,地域情報毎にネットワーク上のアドレスを付与し,情報を得たい人が,そのアドレスを とのできるシステムに係る。」(段落【0001】)ウ 「【従来の技術】従来,地域情報を取得する一般的な方法として,地域情報毎にネットワーク上のアドレスを付与し,情報を得たい人が,そのアドレスを他のメディア(新聞,雑誌等)から知り,そのアドレスを元にネットワークを通じて地域情報を取得する方法があった。」(段落【0002】)- 40 -「地域情報の中でも,情報を得たい人の位置する地域やその周辺の地域情報が必要性の高い情報となることが多い。移動通信システムにおいても,無線端末装置の位置する地域やその周辺の地域情報が必要性の高い情報となるが,それらの地域情報のアドレスをその地域で入手することは必ずしも容易ではない。」(段落【0003】)「移動通信システムにおいて,無線端末装置の位置する地域やその周辺の地域情報を取得する従来の方法として,GPS受信機等の機器を用いて無線端末装置の存在する現在地の緯度経度等の位置情報を取得し,その位置情報を元に周辺の地域情報を取得する方法があった。」(段落【0004】)エ 「【発明が解決しようとする課題】しかし,前述したような従来の方法では,無線端末のほかにGPS受信機等が必要となり,無線端末装置の大型化につながるだけでなく,衛星の電波が届かない屋内での利用が不可能であり,また,詳細な位置情報の取得,例えば,同一建物内で異なったフロアに対応する位置情報の取得が困難であるという問題があった。本発明は,上述のような従来の課題を解決するために成されたもので,移動通信システムにおいて地域情報を小型軽量の無線端末装置を用いて取得することのできる手段を提供することを目的とする。」(段落【0005】)オ 「【課題を解決するための手段】本発明によれば,上述の課題は,前記特許請求の範囲に記載した手段によっ 端末装置を用いて取得することのできる手段を提供することを目的とする。」(段落【0005】)オ 「【課題を解決するための手段】本発明によれば,上述の課題は,前記特許請求の範囲に記載した手段によって解決される。すなわち,請求項1の発明は,各地域に応じた情報を有する少なくとも1台の情報サーバと,各地域に設置された通信事業者所有の複数台の無線基地局装置と,前記情報サーバ内の情報のアドレス一覧と前記各地域に設置された無線基地局装置の無線基地局識別番号の対応表を有する少なくとも1つのアドレス提供事業者がアドレス提供事業者ごとに1台所有するアドレス提供サーバと,前記情報サーバと前記アドレス提供サーバと前記無線基地局装置を相互に- 41 -接続する通信事業者所有の通信網と,予め選択されたアドレス提供事業者のアドレス提供サーバのアドレスが登録された複数台の無線端末装置とから構成される地域情報提供システムにおいて,」(段落【0006】)「前記無線端末装置に,前記無線基地局装置と通信を開始した際,あるいは前記無線端末装置の操作者の要求に従って,該無線基地局装置の無線基地局識別番号を取得する手段と,前記アドレス提供サーバから該無線基地局識別番号に対応する情報のアドレスを取得する手段と,該アドレスに対応する情報を得ることによって,無線端末装置の位置する地域に応じた情報を取得する手段とを設けた地域情報提供システムである。」(段落【0007】)「この発明は,上述のように,アドレス提供サーバに各地域に応じた情報を有する情報サーバ内の情報のアドレスと各地域に設置された無線基地局装置の無線基地局識別番号の対応表を用意し,無線端末装置は,最寄りの無線基地局装置と通信を開始した際,あるいは前記無線端末装置の操作者の要求に従って,通信中の無線基地局装置固有 設置された無線基地局装置の無線基地局識別番号の対応表を用意し,無線端末装置は,最寄りの無線基地局装置と通信を開始した際,あるいは前記無線端末装置の操作者の要求に従って,通信中の無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得し,無線基地局識別番号を用いてアドレス提供サーバからその無線基地局識別番号に対応する情報のアドレスを取得して,無線端末装置の位置する地域の地域情報を取得するものであり,位置情報として無線基地局識別番号を利用することを特徴とする。」(段落【0008】)「また,予めアドレス提供事業者を選択してそのアドレス提供サーバのアドレスを無線端末装置に登録しておくことで,操作の簡易化を可能とする。従来の方法とは,位置情報として緯度経度等の地理的情報ではなく無線基地局識別番号を利用し,その結果,より詳細な位置情報の取得を可能とし,位置情報を取得するためにGPS受信機等を必要としないため無線端末装置の小型化を実現可能とする点で異なっている。」(段落【0009】)- 42 -カ 「請求項3の発明は,請求項1記載の地域情報提供システムにおいて,通信事業者が所有する無線基地局装置に代えて,通信事業者以外の一般設置者が所有する無線基地局装置を設置し,前記一般設置者は,無線基地局装置の無線基地局識別番号を,アドレス提供サーバが保有する情報のアドレス一覧と無線基地局識別番号との対応表に登録する際に,アドレス提供サーバの登録済みの情報のアドレス一覧表を参照し,該アドレス一覧表から,設置した無線基地局装置を用いて提供したい情報を選択して登録するように構成したものである。」(段落【0011】)「上記請求項2~請求項4記載の発明において,無線基地局装置は,通信事業者のみが所有するのではなく,一般設置者でも所有および設置を可能とし,設置位 うに構成したものである。」(段落【0011】)「上記請求項2~請求項4記載の発明において,無線基地局装置は,通信事業者のみが所有するのではなく,一般設置者でも所有および設置を可能とし,設置位置および無線基地局識別番号をアドレス提供事業者に通知することでアドレス提供サーバに登録可能とする。」(段落【0013】)「あるいは,一般設置者は情報のアドレスー覧表から設置した無線基地局装置に対応付ける情報のアドレスを適時選択可能とし,アドレス提供事業者は情報のアドレスー覧表の更新情報を一般設置者に通知することで,一般設置者は無線基地局装置を設置した地域に適した情報のみを提供することを可能とする。」(段落【0014】)「請求項5の発明は,請求項1記載の地域情報提供システムにおいて,通信事業者所有の通信網に代えてLANを設けると共に,該LAN上に,無線端末装置に予め登録されているアドレス提供サーバのアドレスを,該LAN上のアドレス提供サーバのアドレスに変換するテーブルを有するドメインネームサーバ(DNS:DomainNameServer)を設けて構成したものである。」(段落【0015】)「このように,LAN上で請求項1~請求項4と同様のシステムを構築する際,LAN上のDNSで無線端末装置に予め登録されているアドレス提供サーバのアドレスをLAN上のアドレス提供サーバのアドレスに変換- 43 -することで,無線端末装置の設定の変更を不要とすることを可能としている。」(段落【0016】)キ 「【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を,図面を参照して説明する。まず,本発明の第1の実施の形態のシステム構成を,図1を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態のシステムは,各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cと,各地 態を,図面を参照して説明する。まず,本発明の第1の実施の形態のシステム構成を,図1を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態のシステムは,各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cと,各地域に設置された通信事業者所有の無線基地局装置2a~2cと,アドレス提供事業者所有のアドレス提供サーバ3と,無線端末装置5a~5cによって構成される。」(段落【0029】)「アドレス提供事業者所有のアドレス提供サーバ3は,図2に示すような無線基地局装置2a~2cの無線基地局識別番号と情報サーバ1a~1c内の情報のURLの対応表を持つ。情報サーバ1a~1cと,無線基地局装置2a~2cと,アドレス提供サーバ3がともにインターネット4に接続され,予め選択したアドレス提供事業者のアドレス提供サーバ3のURL(UniformResourceLocator) が登録された無線端末装置5a~5cが,それそれ無線基地局装置2a~2cと無線接続される。」(段落【0030】)「以上のような構成においての,地域情報提供手順を図3に示す。まず,無線端末装置5a~5cは,それそれ最寄りの無線地局装置2a~2cとの無線接続を確立し(S1),無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得して(S2),その識別番号をアドレス提供サーバ3に送信する(S3)。」(段落【0031】)「アドレス提供サーバ3は,受信した無線基地局識別番号に対応する情報のURLを,自己が保有する図2に示すような対応表から取得し,無線端末装置5a~5cに送信する(S4)。URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),- 44 -その地域に応じた情報を取得する(S6)。」(段落【0032】)「なお,上述した図1に関する説明は,各地 末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),- 44 -その地域に応じた情報を取得する(S6)。」(段落【0032】)「なお,上述した図1に関する説明は,各地域と情報のURLが1対1に対応している場合を示したものであるが,各地域と情報のURLが1対nに対応している場合では,S4でn個ある情報のURL一覧を無線端末装置5a~5cに送信し,S5で無線端末装置5a~5cの操作者がURLの一覧表から適宜選択できるようにしてもよい。以上の例は,請求項1の発明に対応する。」(段落【0034】)「無線基地局装置2a~2cは,通信事業者以外の一般設置者によって設置されたものでもよい。その場合,無線基地局装置の一般設置者(以下単に一般設置者という)は,無線基地局装置2a~2cを設置する際に,無線基地局装置2a~2cの設置位置の位置情報と無線基地局識別番号をアドレス提供事業者に通知することで,無線基地局装置2a~2cを上記アドレス提供サーバ3が保有する情報のURL一覧と無線基地局識別番号の対応表に登録する。」(段落【0035】)「一般設置者は,無線基地局装置2a~2cをアドレス提供サーバ3が保有する情報サーバ内の情報のURL一覧と無線基地局識別番号の対応表に登録する際に,アドレス提供サーバ3から登録済みの情報のURL一覧表を参照し,そのURL一覧表から設置した無線基地局装置2a~2cを用いて提供したい情報のURLを選択して登録することで,無線基地局装置2a~2cを設置した地域に適した情報のみを提供することができる。」(段落【0037】)「アドレス提供事業者が,一般設置者に情報のURL一覧表の更新状況を通知する方法として,電子メールによる通知方法などがある。なお,上述した一般設置者の情報のURLの選 。」(段落【0037】)「アドレス提供事業者が,一般設置者に情報のURL一覧表の更新状況を通知する方法として,電子メールによる通知方法などがある。なお,上述した一般設置者の情報のURLの選択および登録方法と,アドレス提供事業者の一般設置者に対する情報のURL一覧表の更新状況の通知方法は限定的に明示するものではなく,他の種々の変形態様および変更態様で実- 45 -施することができる。以上の例は,請求項3,4の発明に対応する。」(段落【0039】)ク 「次に,本発明の第2の実施の形態の構成を,図4を参照して説明する。 本発明の第2の実施の形態のシステム構成は,各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cと,アドレス提供サーバ3が,インターネット4に接続されていて,該インターネット4がLAN(LocalAreaNetwork)8に接続されている。」(段落【0040】)「該LAN8には,情報サーバ6a,6bと,アドレス提供サーバ7と,各地域に設置された無線基地局装置2a~2cと,DNS(DomainNameServer) 9が接続されている。アドレス提供サーバ7は,先に図2に示した無線基地局装置2a~2cの無線基地局識別番号と情報サーバ1a~1c,6a,6b内の情報のURLの対応表を持つ。」(段落【0041】)「DNS9は無線端末装置5a~5cに予め登録されているアドレス提供サーバ3のURLをLAN8上のアドレス提供サーバ7のURLに変換するテーブルを有する。そして,予めアドレス提供サーバ3のURLが登録された無線端末装置5a~5cがそれそれ無線基地局装置2a~2cと無線接続される。」(段落【0042】)「図4に示すように,LAN8がインターネット4に接続されている場合,アドレス提供サーバ7は,アドレス提 装置5a~5cがそれそれ無線基地局装置2a~2cと無線接続される。」(段落【0042】)「図4に示すように,LAN8がインターネット4に接続されている場合,アドレス提供サーバ7は,アドレス提供サーバ3を,情報サーバとみなして図2に示すような変換テーブルに登録してもよい。」(段落【0043】)「以上のような構成において,DNS9によって無線端末装置5a~5cに予め登録されているアドレス提供サーバ3のURLがLAN8上のアドレス提供サーバ7のURLに変換されるため,無線端末装置5a~5cは,特に設定を変更することなく,LAN8内でもインターネット4内でも利用が可能となる。以上の例は,請求項5の発明に対応する。」(段落- 46 -【0044】)「図1または4に示したシステム構成において,無線端末装置の操作者が予め所望する情報内容に応じた情報識別番号を無線端末装置に登録しておき,アドレス提供サーバ3または7が,図2に示すような無線基地局装置2a~2cの無線基地局識別番号と情報サーバ1a~1c,6a,6b内の情報のURL対応表に加えて,図5に示すような情報サーバ1a~1c,6a,6b内の情報のURLと情報内容に応じた情報識別番号の対応表を有するようにすることもできる。」(段落【0045】)「以上述べた各実施の形態は,通信網にインターネットを利用し情報としてホームページを用い,そのアドレスをURLで示した場合の例について述べているが,本発明はこれに限るものではなく,他の通信形態でも実施することが出来るものであることはいうまでもない。」(段落【0059】)ケ 「【発明の効果】以上詳細に説明したように,本発明によれば,無線端末装置が位置する地域における情報を無線端末装置が自動的に取得できる。また,位置情報として,無線端 い。」(段落【0059】)ケ 「【発明の効果】以上詳細に説明したように,本発明によれば,無線端末装置が位置する地域における情報を無線端末装置が自動的に取得できる。また,位置情報として,無線端末装置が通信を行っている無線基地局装置の識別番号を利用することで,従来の方法と比較して詳細な位置情報を利用することが可能となり,例えば,同一建物内の各フロア毎の対応が可能となる。」(段落【0061】)(3) 一致点の認定の誤りの有無原告は,引用発明は,本願発明の「ローカル無線ゾーン」,「一意のゾーン識別子」,「位置ベース情報」及び「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていないから,本件審決における本願発明と引用発明の一致点の認定は誤りである旨主張するので,以下において判断する。 ア 「ローカル無線ゾーン」について- 47 -原告は,本願発明の「ローカル無線ゾーン」は,無線LANのゾーンを意味するが,引用文献には,無線基地局装置2a~2cが無線LANの基地局装置であることの開示はなく,無線基地局装置2a~2cが無線端末装置5a~5cと接続可能なエリアが本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当するとはいえないから,本件審決が「ローカル無線ゾーン」に係る事項を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである旨主張する。 (ア) 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)記載の「アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信が可能である,一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン内」との文言によれば,本願発明の「ローカル無線ゾーン」は,モバイル端末とのローカル無線通信が可能なゾーン,すなわち,ローカル無線通信によってモバイル端末との無線接続が可能な れたローカル無線ゾーン内」との文言によれば,本願発明の「ローカル無線ゾーン」は,モバイル端末とのローカル無線通信が可能なゾーン,すなわち,ローカル無線通信によってモバイル端末との無線接続が可能なエリアを意味するものと解される。 次に,本願明細書(甲11)には,「ローカル無線通信」に関し,「ローカル無線通信は,無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wirelesslocalareanetwork),Bluetooth,および他の制限された範囲の通信の技術で使用されるものなど,制限された範囲の無線通信と規定される。例示するために,本明細書で具体的に記載される実施形態は,IEEE802.11および802. 15規格で定められるWLAN通信技術を組み込み得る。従来のセルラ技術によって提供される範囲より実質上小さい範囲内の無線通信を提供する,他の適用可能なローカル無線通信技術が,当業者には認識されよう。」(段落【0011】)との記載がある。この記載によれば,請求項1の「ローカル無線通信」は,従来のセルラ技術の無線通信によって提供される範囲より実質上小さい,制限された範囲の無線通信によって接続可能なエリアを意味し,例えば,IEEE802.11及び802. - 48 -15規格で定められるWLAN通信技術等による無線通信(いわゆる「無線LAN」)を意味するものと理解できる。 (イ) 前記(2)の引用文献(甲1)の記載事項によれば,引用文献には,本件審決認定のとおりの引用発明が記載されていること(前記第2の3(2)ア。ただし,上記記載中に「それそれ」とあるのは「それぞれ」の誤記と認める。)が認められる。 引用発明においては,別表2の図4に示すように,各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cがインターネット4に接続され,更に れそれ」とあるのは「それぞれ」の誤記と認める。)が認められる。 引用発明においては,別表2の図4に示すように,各地域に応じた情報を有する情報サーバ1a~1cがインターネット4に接続され,更にインターネット4はLAN8に接続され,LAN8には,情報サーバ6a,6bと,アドレス提供サーバ7と,各地域に設置された無線基地局装置2a~2cと,DNS9とが接続されており,無線端末装置5a~5cがそれぞれ前記無線基地局装置2a~2cと無線接続されている。 このように無線基地局装置2a~2cは,無線LANであるLAN8を介して,情報サーバ6a,6b,アドレス提供サーバ7,DNS9及びインターネット4に接続されている。 一方,引用文献には,無線端末装置5a~5cと無線基地局装置2a~2cと間の無線通信が無線LANであることを明示した記載はないが,無線基地局装置2a~2cに関し,「請求項1記載の地域情報提供システムにおいて,通信事業者が所有する無線基地局装置に代えて,通信事業者以外の一般設置者が所有する無線基地局装置を設置し,」(請求項3),「無線基地局装置は,通信事業者のみが所有するのではなく,一般設置者でも所有および設置を可能とし」(段落【0013】),「無線基地局装置2a~2cは,通信事業者以外の一般設置者によって設置されたものでもよい。」(段落【0035】)との記載がある。 上記記載によれば,引用発明の無線基地局装置2a~2cは,通信事業者が所有する無線基地局装置に限定されるものではなく,通信事業者- 49 -以外の一般設置者が設置する無線基地局装置でもよいことを理解できる。 次に,引用文献には,「本発明」の「【発明の属する技術分野】」として,「本発明は,…特に,無線端末装置が該無線端末装置の位置する地域の情報を容易に取得す る無線基地局装置でもよいことを理解できる。 次に,引用文献には,「本発明」の「【発明の属する技術分野】」として,「本発明は,…特に,無線端末装置が該無線端末装置の位置する地域の情報を容易に取得することのできるシステムを簡潔な構成によって実現することのできるシステムに係る。」(段落【0001】),「【発明が解決しようとする課題】」として,「従来の方法では,無線端末のほかにGPS受信機等が必要となり,無線端末装置の大型化につながるだけでなく,衛星の電波が届かない屋内での利用が不可能であり,また,詳細な位置情報の取得,例えば,同一建物内で異なったフロアに対応する位置情報の取得が困難であるという問題があった。本発明は,上述のような従来の課題を解決するために成されたもので,移動通信システムにおいて地域情報を小型軽量の無線端末装置を用いて取得することのできる手段を提供することを目的とする。」(段落【0005】),「【発明の効果】」として,「本発明によれば,無線端末装置が位置する地域における情報を無線端末装置が自動的に取得できる。また,位置情報として,無線端末装置が通信を行っている無線基地局装置の識別番号を利用することで,従来の方法と比較して詳細な位置情報を利用することが可能となり,例えば,同一建物内の各フロア毎の対応が可能となる。」(段落【0061】)との記載がある。 上記記載によれば,引用文献記載の「本発明」の課題は,「無線端末装置の位置する地域」の「詳細な位置情報の取得,例えば,同一建物内で異なったフロアに対応する位置情報の取得」にあり,「本発明」の効果は,「位置情報として,無線端末装置が通信を行っている無線基地局装置の識別番号を利用することで,従来の方法と比較して詳細な位置情報を利用することが可能となり,例えば,同一建物内の各フロ 発明」の効果は,「位置情報として,無線端末装置が通信を行っている無線基地局装置の識別番号を利用することで,従来の方法と比較して詳細な位置情報を利用することが可能となり,例えば,同一建物内の各フロア毎の対応が可能となる。」ことにあることを理解できる。 - 50 -しかるところ,一般的な携帯電話機のネットワーク(セルラネットワーク)は,緯度や経度などの位置情報を把握するものであり,高度に関する位置情報(例えば,同一建物の1階フロア,2階フロア等)を把握するものではないから,「本発明」の上記課題及び効果は,一般的な携帯電話機のネットワーク(セルラネットワーク)における基地局(無線基地局)と携帯電話機間の接続エリアよりも狭いエリアに関するものであるといえる。 加えて,本願の優先権主張日当時,IEEE802.11等の無線LANは既に標準規格化された周知の技術であったことを考慮すると,引用発明の無線基地局装置2a~2cは,通信事業者以外の一般設置者が設置する無線基地局装置であり,無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cと間の無線通信は無線LANによって行われていることを理解できる。 そうすると,引用発明の無線基地局装置2a~2cは,無線LANの基地局であるアクセスポイントに相当し,無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cとの無線通信は無線LANによって行われているのであるから,無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cとの接続可能なエリアは,本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当するものと認められる。 これに反する原告の主張は,採用することができない。 (ウ) 以上によれば,本件審決が,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」が「無線端末装置5a~5c」と接続可能なエリアが,本願発明の「ローカル無線ゾー する原告の主張は,採用することができない。 (ウ) 以上によれば,本件審決が,引用発明の「無線基地局装置2a~2c」が「無線端末装置5a~5c」と接続可能なエリアが,本願発明の「ローカル無線ゾーン」に相当すると認定したことに誤りはなく,「ローカル無線ゾーン」に係る事項についての本願発明と引用発明の一致点の認定の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 イ 「一意のゾーン識別子」について- 51 -原告は,①本願発明の「ゾーン識別子」は,ローカル無線ゾーンを識別するための識別子であって,ローカル無線ゾーンの位置に関連した識別情報であり,本願明細書記載のアクセスポイント識別子とは区別される,②これに対し引用発明の「無線基地局識別番号」は,無線基地局を識別する番号であって,ローカル無線ゾーンを識別する情報ではないから,本願発明の「ゾーン識別子」に相当するものではなく,むしろ本願明細書記載のアクセスポイント識別子に相当するとして,本件審決が「一意のゾーン識別子」に係る事項を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである旨主張する。 (ア) 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)には,「一意のゾーン識別子」に関し,「アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信が可能である,一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン内のモバイル端末を認識すること」,「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用すること」との記載がある。 そして,「一意」とは,一般に,「ただ一通りに定められること。」を意味すること(広辞苑第六版)を勘案すると,本願発明の「ゾーン識別子」とは,ローカル無線ゾーンを識別する識別子であり,本願発明の「一意のゾーン識別子」とは,ローカル無線ゾーンに関連付けられた当該 を意味すること(広辞苑第六版)を勘案すると,本願発明の「ゾーン識別子」とは,ローカル無線ゾーンを識別する識別子であり,本願発明の「一意のゾーン識別子」とは,ローカル無線ゾーンに関連付けられた当該ローカル無線ゾーンに固有の識別子であることを意味するものと認められる。 次に,本願明細書(甲11)には,「図1に示す実施形態では,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cは,重複しておらず,モバイル端末16は,所与の任意のときにアクセスポイント14A,14B,14Cのうちの1つのアクセスポイントだけと,ローカル無線ゾーン18A,18B,18Cにあるときにだけ通信することができるにすぎない。」- 52 -(段落【0012】),「モバイル端末16への位置ベース情報の配信を促進するために,ローカル無線システム12は,モバイル端末16が,アクセスポイント14によってもたらされるローカル無線ゾーン18内にあることを認識し,モバイル端末16にアクセスを提供し,次いでモバイル端末16に位置ベース情報を配信することができる。」(段落【0014】),「図2を参照すると,ローカル無線システム12は,やはり互いに独立しているが,各ローカル無線システム12によってもたらされるローカル無線ゾーン18は,互いに重複している。図示するように,モバイル端末16は,ローカル無線ゾーン18A,18B,および18C内にあり,したがって各アクセスポイント14A,14B,14Cと同時に通信することができる。異なるローカル無線システム12からのローカル無線ゾーンが,重複する場合,各ローカル無線ゾーン18またはアクセスポイント14は,それぞれローカル無線システム12A,12B,および12Cについて,それぞれのゾーンID,すなわちZONEIDA,ZONEIDBおよびZON カル無線ゾーン18またはアクセスポイント14は,それぞれローカル無線システム12A,12B,および12Cについて,それぞれのゾーンID,すなわちZONEIDA,ZONEIDBおよびZONEIDCに関連付けられ得る。」(段落【0017】),「継続的にアクセスポイント14Aおよび14Bは,モバイル端末16が,それがそれぞれのローカル無線ゾーン18Aおよび18B内にあると決定する際の助けとするために,信号を送出する。無線LANの実施形態では,これらの信号は,「ビーコン」と称され,それぞれのゾーンID,すなわちZONEIDAおよびZONEIDBを含み得る。」(段落【0020】)との記載がある。 上記記載によれば,「ローカル無線ゾーン」は,特定の「アクセスポイント」に関連付けられ,当該「アクセスポイント」と無線接続が可能なエリアであること,各ローカル無線ゾーンは,それぞれのゾーンID(例えば,別紙1の図2のZONEIDA,ZONEIDB,ZO- 53 -NEIDC)に関連付けられ得ること,このそれぞれのゾーンIDA~Cは,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当することを理解できる。 以上によれば,本願発明の「ローカル無線ゾーン」は,「一意のゾーン識別子」に関連付けられているとともに,特定の「アクセスポイント」に関連付けられているといえるから,本願発明の「一意のゾーン識別子」も,当該「アクセスポイント」に関連付けられているものといえる。 (イ) 引用発明は,無線端末装置5a~5cは,それぞれ最寄りの無線基地局装置2a~2cとの無線接続を確立し(S1),無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得して(S2),その識別番号をアドレス提供サーバ3に送信し(S3),アドレス提供サーバ3は,受信した無線 地局装置2a~2cとの無線接続を確立し(S1),無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得して(S2),その識別番号をアドレス提供サーバ3に送信し(S3),アドレス提供サーバ3は,受信した無線基地局識別番号に対応する情報のURLを,自己が保有する対応表から取得し,無線端末装置5a~5cに送信し(S4),URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)方法であって(引用文献の段落【0031】,【0032】及び別紙2の図3参照),無線基地局装置固有の「無線基地局識別番号」を使用して「地域に応じた情報」を取得している。 このように引用発明の「無線基地局識別番号」は,無線基地局装置固有の番号であるから,無線基地局装置を識別する一意の識別情報である。 そして,前記ア(イ)のとおり,引用発明の無線基地局装置2a~2cは,無線LANの基地局であるアクセスポイントに,無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cとの接続可能なエリアは,本願発明の「ローカル無線ゾーン」にそれぞれ相当するのであるから,無線基地局装置2a~2c(アクセスポイント)は,無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cとの接続可能なエリアに関連付けられている- 54 -ものといえる。 そうすると,引用発明の「無線基地局装置2a~2cと無線端末装置5a~5cとの接続可能なエリア」(「ローカル無線ゾーン」)は,各無線基地局装置を識別する一意の識別情報である「無線基地局識別番号」によって識別されるものといえるから,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するものと認められる。 (ウ) 原告は,この点に関し,本願発明の「ゾーン識別子」は,ローカ て識別されるものといえるから,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するものと認められる。 (ウ) 原告は,この点に関し,本願発明の「ゾーン識別子」は,ローカル無線ゾーンを識別するための識別子であって,本願明細書記載のアクセスポイント識別子とは区別されるものであり,引用発明の「無線基地局識別番号」は,無線基地局を識別する番号であって,ローカル無線ゾーンを識別する情報ではないから,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当せず,むしろアクセスポイント識別子に相当する旨主張する。 そこで検討するに,本願明細書には,「アクセスポイント識別子」に関し,「さらに,アプリケーションに関連するユニフォーム(またはユニバーサル)リソースロケータ(URL:Uniform(Universe)ResourceLocator),ゾーンID,アクセスポイント識別子,およびユーザ識別子を含めて,実質上どんなタイプの情報もが,HTTPGETメッセージと共に提供され得る。」(段落【0023】),「位置ベース情報は,ゾーンID,アクセスポイントID,ユーザID,モバイル端末16によって提供される他の情報,またはその組合せを使用してさらに指定され得る。」(段落【0024】)との記載があり,さらに,「【請求項63】」に「アクセスポイントが,一意のアクセスポイント識別子に関連付けされ,一意のアクセスポイント識別子が,サーバからモバイル端末へ特定的な位置ベース情報を提供されるために使用される,請求項1の記載の方法。」との記載があり(甲- 55 -6),「【請求項63】」に係る「本発明の第3の実施形態」(別紙1の図4)として,「この実施形態では,各アクセスポイント14またはローカル無線ゾーン18は,同じゾーンID(ZONEID -6),「【請求項63】」に係る「本発明の第3の実施形態」(別紙1の図4)として,「この実施形態では,各アクセスポイント14またはローカル無線ゾーン18は,同じゾーンID(ZONEIDA)に関連付けられる。位置ベース情報のさらなる改善は,各それぞれのアクセスポイント14に一意に関連付けられているアクセスポイントIDに基づき得る。したがって,アクセスポイントIDが,コンテンツサーバ20に提供されない場合,より一般化された位置ベース情報が,モバイル端末16に提供される。アクセスポイント識別子,または特定のローカル無線ゾーン18に関連する他の識別子が,コンテンツサーバ20に提供される場合は,より具体的な位置情報が,モバイル端末16に提供され得る。」(段落【0025】)との記載がある。 上記記載によれば,本願の特許請求の範囲の記載においては,「ゾーン識別子」(請求項1)の用語と「アクセスポイント識別子」(請求項63)の用語を区別し,また,本願明細書においても,「ゾーン識別子」に相当する「ゾーンID」と「アクセスポイント識別子」に相当する「アクセスポイントID」とを区別して使用している。 しかしながら,別紙1の図4に示された実施形態は,各アクセスポイント14(A~C)又はローカル無線ゾーン18(A~C)は,同じゾーンID(ZONEIDA)」に関連付けられており,ローカル無線ゾーン18(A~C)に共通の「ゾーンID(ZONEIDA)」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するものではなく,共通の「ゾーンID」によって各ローカル無線ゾーンを識別することができないため,「それぞれのアクセスポイント14に一意に関連付けられているアクセスポイントID」を設定することによって各ローカル無線ゾーンを識別するようにしたものと ーカル無線ゾーンを識別することができないため,「それぞれのアクセスポイント14に一意に関連付けられているアクセスポイントID」を設定することによって各ローカル無線ゾーンを識別するようにしたものといえる。そして,本願明細書の段落【0027】の「図6を参照すると,複数のコンテンツサーバ20A,20B,- 56 -20Cが設けられている,本発明の第5の実施形態が示されている。この実施形態では,各ローカル無線ゾーン18は,一意のゾーンIDを有している。この環境では,モバイル端末16は,コンテンツサーバ20のうちの異なる1つにコンテンツを要求し,一意のゾーン識別子または一意アクセスポイント識別子を使用してそうすることができる。」との記載が示すように,「一意のゾーン識別子」(「一意のゾーンID」)と「一意のアクセスポイント識別子」(「一意のアクセスポイントID」)は,各ローカル無線ゾーンを識別する点において,同じ機能を有するものといえる。 以上によれば,本願の特許請求の範囲の記載では,「ゾーン識別子」の用語と「アクセスポイント識別子」の用語を区別していることを考慮してもなお,引用発明の「無線基地局識別番号」は,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当するものといえるから,原告の上記主張は,採用することができない。 (エ) 以上によれば,本件審決が,引用発明の「無線基地局識別番号」が,本願発明の「一意のゾーン識別子」に相当すると認定したことに誤りはなく,「一意のゾーン識別子」に係る事項についての本願発明と引用発明の一致点の認定の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 ウ 「位置ベース情報」について原告は,本願発明の「位置ベース情報」とは,ローカル無線ゾーンの位置に関する情報をいい,「位置ベース情報」にいう「位置」は,ローカル無線ゾー 張は,理由がない。 ウ 「位置ベース情報」について原告は,本願発明の「位置ベース情報」とは,ローカル無線ゾーンの位置に関する情報をいい,「位置ベース情報」にいう「位置」は,ローカル無線ゾーンの「位置」であって,アクセスポイントの「位置」ではないのに対し,引用発明における「地域に応じた情報」とは,本願発明のアクセスポイントに相当する無線基地局装置の「位置」に関連した情報であって,ローカル無線ゾーンの「位置」に応じた情報でなく,本願発明の「位置ベース情報」に相当するとはいえないから,本件審決が「位置ベース情報」- 57 -に係る事項を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである旨主張する。 (ア) 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)には,「位置ベース情報」の内容を規定した記載はない。 次に,本願明細書(甲11)には,「本発明は,ローカル無線インターフェースを介して通信することができるモバイル端末が,モバイル端末の相対的位置に基づいてコンテンツに容易にアクセスすることを可能にする。このコンテンツは,一般に,モバイル端末の位置が,どのコンテンツがモバイル端末にとって使用可能になるかの決定に影響を及ぼすので,位置ベース情報と称される。…要するに,モバイル端末が,ローカル無線インターフェースの通信範囲内に入るときに,位置ベース情報が,モバイル端末に提供され得る。」(段落【0010】),「したがって,所与のローカル無線ゾーン18内のモバイル端末16に提供される位置ベース情報は,モバイル端末の16の知られている位置を考慮すると,非常に特定的なものであり得る。」(段落【0013】),「モバイル端末16への位置ベース情報の配信を促進するために,ローカル無線システム12は,モバイル端末16が,アクセスポイント14によってもたらさ に特定的なものであり得る。」(段落【0013】),「モバイル端末16への位置ベース情報の配信を促進するために,ローカル無線システム12は,モバイル端末16が,アクセスポイント14によってもたらされるローカル無線ゾーン18内にあることを認識し,モバイル端末16にアクセスを提供し,次いでモバイル端末16に位置ベース情報を配信することができる。」(段落【0014】),「要するに,ローカル無線ゾーン18は,ローカル無線ゾーン18内で移動するモバイル端末16が,対応するアプリケーションまたはサービスに関する位置ベース情報へのアクセスを有するように,公共の場所に関連して確立される。たとえば,公共の場所は,飲食店,空港のチェックイン場所,または美術館の展示場であり得る,したがって,飲食店は,クーポン,広告,メニュー情報を提供することができ,または予約または注文を行- 58 -うためにモバイル端末16と通信することができる。…さらに,モバイル端末16は,美術館全体に広がる複数のアクセスポイント14によって提供される様々なローカル無線ゾーン18に対応する,異なる展示からの情報を受信するために,美術館全体に渡るアクセスポイント14と通信することができる。したがって,位置ベース情報は,単純に,各展示の作品を説明するストリーミングメディアとすることができ,モバイル端末16が,ある展示から別の展示に移動し,その位置に基づいて異なるコンテンツにアクセスする。さらに,上記説明は,コンテンツサーバ20に位置ベース情報を要求するモバイル端末16に焦点を当てている。本発明の概念は,コンテンツサーバ20が,ローカル無線ゾーン18内にモバイル端末16が存在することを知ると,モバイル端末16に情報をプッシュする状況に同様に適用可能であることが,当業者には認識されよう 明の概念は,コンテンツサーバ20が,ローカル無線ゾーン18内にモバイル端末16が存在することを知ると,モバイル端末16に情報をプッシュする状況に同様に適用可能であることが,当業者には認識されよう。」(段落【0031】)との記載がある。 上記記載によれば,本願発明の「位置ベース情報」は,モバイル端末が位置するエリア(地域)に基づいた情報を含むものと認められる。 一方,引用文献(甲1)には,引用発明の「地域に応じた情報」に関し,「本発明は,…特に,無線端末装置が該無線端末装置の位置する地域の情報を容易に取得することのできるシステム」(段落【0001】),「本発明によれば,無線端末装置が位置する地域における情報を無線端末装置が自動的に取得できる。また,位置情報として,無線端末装置が通信を行っている無線基地局装置の識別番号を利用することで,従来の方法と比較して詳細な位置情報を利用することが可能となり,例えば,同一建物内の各フロア毎の対応が可能となる。」段落【0061】)との記載がある。 上記記載によれば,引用発明の「地域に応じた情報」も,無線端末装置が位置し,交信可能な範囲の地域に基づいた情報であるといえる。 - 59 -そうすると,本願発明の「位置ベース情報」と引用発明の「地域に応じた情報」は,モバイル端末(無線端末装置)が位置するエリア(地域)に基づいた情報である点において一致し,引用発明の「地域に応じた情報」は,本願発明の「位置ベース情報」に相当するものと認められる。 これに反する原告の主張は,採用することができない。 (イ) 以上によれば,本件審決が,引用発明の「地域に応じた情報」が,本願発明の「位置ベース情報」に相当すると認定したことに誤りはなく,「位置ベース情報」に係る事項についての本願発明と引用発明の一致点 ) 以上によれば,本件審決が,引用発明の「地域に応じた情報」が,本願発明の「位置ベース情報」に相当すると認定したことに誤りはなく,「位置ベース情報」に係る事項についての本願発明と引用発明の一致点の認定の誤りをいう原告の主張は,理由がない。 エ 「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」について原告は,引用発明は,「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成を備えていないから,本件審決が上記構成を本願発明と引用発明の一致点と認定したのは誤りである旨主張する。 しかしながら,引用発明は,「URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)」との構成を備えており,この構成は,本願発明の「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイントに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成に相当するものといえる。 したがって,本件審決が上記構成を本願発明と引用発明の一致点と認定したことに誤りはなく,原告の上記主張は,理由がない。 (4) 小括以上によれば,本件審決における一致点の認定に原告主張の誤りはなく,引用発明は,本願発明の「ローカル無線ゾーン」,「一意のゾーン識別子」,「位置ベース情報」及び「位置ベース情報を要求するためにアクセスポイン- 60 -トに関連付けられたサーバに問い合わせを行うこと」の構成をいずれも備えているから,本件審決における相違点の看過をいう原告の主張も,その前提を欠くものである。 したがって,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)について(1) 原告は,本件 ける相違点の看過をいう原告の主張も,その前提を欠くものである。 したがって,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(相違点の容易想到性の判断の誤り)について(1) 原告は,本件審決は,相違点の容易想到性の判断に当たり,「選択されるものが,サーバであるのか,あるいは,サーバに格納されたコンテンツである位置ベース情報であるのか」という観点(①の観点)と,「サーバを選択するのかしないのか」という観点(②の観点)の二つに分けて検討し,①の観点からみた相違点については,本願発明と引用発明との間に実質的に相違点が存在するものとは認められない,②の観点からみた相違点については,引用発明において,いずれのローカル無線ゾーンに関連する位置ベース情報を提供するかを選択するべく,アクセスポイントに関連付けられた一意のゾーン識別子を使用してサーバを選択するようにすることに何ら困難な点はないとして,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた旨判断したのは,誤りである旨主張する。 ア本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載中には,「ローカル無線ゾーン内のモバイル端末に位置ベース情報を提供するための方法」,「アクセスポイントを介したモバイル端末とのローカル無線通信が可能である,一意のゾーン識別子に関連付けられたローカル無線ゾーン内のモバイル端末を認識すること」との記載があるが,「モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置していること」,すなわち,モバイル端末が,別紙1の図2に示すような,複数のローカル無線ゾーンが重複するエリアに位置することを発明の特定事項とする旨の記載はない。 そうすると,本件審決が認定した相違点である「本願発明は,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置していることを前提として,ア るエリアに位置することを発明の特定事項とする旨の記載はない。 そうすると,本件審決が認定した相違点である「本願発明は,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置していることを前提として,ア- 61 -クセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用するのに対して,引用発明は,アクセスポイントに関連付けられたサーバから位置ベース情報を得るものの,そのようなサーバを一意のゾーン識別子を使用して選択するものか否か明確ではない点。」のうち,「本願発明は,モバイル端末が複数のローカル無線ゾーン内に位置していることを前提として」との部分は適切とはいえない。 したがって,本願発明と引用発明の相違点は,本件審決が認定した相違点から上記部分を除き,「本願発明が,アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用するのに対して,引用発明は,その点が不明である点。」(以下「本件相違点」という。)と認定すべきであったものというべきである。 そこで,本件相違点について検討するに,引用発明は,無線端末装置5a~5cは,それぞれ最寄りの無線基地局装置2a~2cとの無線接続を確立し(S1),無線基地局装置固有の無線基地局識別番号を取得して(S2),その識別番号をアドレス提供サーバ3に送信し(S3),アドレス提供サーバ3は,受信した無線基地局識別番号に対応する情報のURLを,自己が保有する対応表から取得し,無線端末装置5a~5cに送信し(S4),URLを受信した無線端末装置5a~5cは,そのURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)方法である(引用文献の段落【0031】,【0032】及び別紙2の図3参照)。 引用文献には,アクセスポイントに関連 に情報サーバ1a~1cに接続し(S5),その地域に応じた情報を取得する(S6)方法である(引用文献の段落【0031】,【0032】及び別紙2の図3参照)。 引用文献には,アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために,無線基地局識別番号を使用するとの明示の記載はない。 しかしながら,引用発明においては,無線端末装置5a~5cは,アドレス提供サーバ3から送信された情報のURLを元に情報サーバ1a~1cに接続し,接続した情報サーバ1a~1c内の地域に応じた情報を取得- 62 -し,しかも,情報のURLは無線基地局識別番号に対応するものであるから,無線基地局識別番号は,無線基地局装置2a~2cに関連付けられた情報サーバ1a~1cを選択するために使用されているものと認められる。 そして,引用発明の「無線基地局識別番号」は本願発明の「一意のゾーン識別子」に,「無線基地局装置2a~2c」は本願発明の「アクセスポイント」に,「情報サーバ1a~1c」は本願発明の「サーバ」に,情報サーバ1a~1c内の「地域に応じた情報」は本願発明の「位置ベース情報」にそれぞれ相当することは,前記1で認定したとおりである。 そうすると,引用文献には,アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために「無線基地局識別番号」(一意のゾーン識別子)を使用するとの明示の記載はないものの,引用発明においては,情報サーバ1a~1c内の地域に応じた情報を選択する前提として,無線基地局識別番号がサーバを選択するために使用されており,本件相違点は,本願発明と引用発明の実質的な相違点とはいえないから,当業者であれば,相違点に係る本願発明の構成(「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用する構成」)を容易に想到し得たものと の実質的な相違点とはいえないから,当業者であれば,相違点に係る本願発明の構成(「アクセスポイントに関連付けられたサーバを選択するために一意のゾーン識別子を使用する構成」)を容易に想到し得たものと認められる。 イ本件審決は,①の観点からみた相違点の判断として,「一方,引用発明は,位置ベース情報自体のURLを特定するものであるが,その特定に伴い,間接的に位置ベース情報を格納しているサーバを特定しているものということができる。」,「結局のところ,本願発明も引用発明も,共に実質的に,一意のゾーン識別子に対応するサーバと位置ベース情報そのものとを特定しているものであるということができ,ローカル無線ゾーンに対する位置ベース情報の特定に関して,本願発明は,引用発明と相違しないものであり,上記前者の観点からみた相違点が実質的に存在するものとは- 63 -認められない。」と判断しており,これは,本件相違点に関する上記の判断と同旨のものといえる。 そうすると,本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの本件審決の判断は,結論において誤りはないから,原告の主張は,その余の点について検討するまでもなく,理由がない。 (2) 以上のとおり,相違点の容易想到性についての本件審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由2は理由がない。 3 結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 裁判官大鷹一郎 文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官富田善範 裁判官大鷹一郎 裁判官齋藤巌
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