令和6(わ)84 殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年2月26日 津地方裁判所
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判決文本文1,565 文字)

主文 被告人を懲役12年に処する。 未決勾留日数中230日をその刑に算入する。 津地方検察庁で保管中のナイフ1本(令和6年津地領第170号符号1)を没収する。 理由 (犯行に至る経緯)被告人は、父母と実家で暮らしていたが、自身の右半身が不自由な中、病状が思わしくなく手助けが必要な母を置いて外出するなどしていた父を非常に不満に思っていた。そして、平成30年頃に母が死去し、父と二人で暮らすようになったが、父に対し、元々母のことで不満に思っていた上、日々の生活の中で言いつけを守ってくれない不満や怒りを更に募らせていった。そのような生活を続ける中、令和6年3月19日、その不満や怒りが抑えきれなくなり、父を殺害する目的でナイフを手元に用意したが、父が寝るのを待っているうちに眠り込んでしまい、翌朝を迎えた。 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年3月20日午後、それまでにも買ってこないように再三頼んでいた弁当を父がその日も買ってきたことを知り、怒りの気持ちが更に高まったことで父を殺害しようと決意し、同日午後2時45分頃、津市(住所省略)被告人方において、父であるA(当時79歳)に対し、ナイフ(刃体の長さ約9センチメートル、令和6年津地領第170号符号1)で、その頸部及び胸部を突き刺し、よって、同日午後5時1分頃、同市(住所省略)B病院において、同人を胸部刺切創に基づく失血により死亡させて殺害した。 (量刑の理由)量刑上重視すべき動機についてみると、最終的には些細なことがきっかけとなったようにも思えるが、長年社会から孤立し、収入が少なく体も思うように動かない 中、父と二人きりで生活していたという被告人の置かれた状況を前提とすると、生前 終的には些細なことがきっかけとなったようにも思えるが、長年社会から孤立し、収入が少なく体も思うように動かない 中、父と二人きりで生活していたという被告人の置かれた状況を前提とすると、生前の母への関わりについての不満も相まって、遂に父の殺害を決意するにまで至った経緯について同情できなくはない。他方、父は、ギャンブルをすることもあったものの、生活に大きな影響があったとは認められず、被告人の言うことを聞かない面があったとしても、体が不自由な被告人のために病院への送迎や食料の買い出し等をしていたのであるから、突然息子である被告人に刺された驚きや無念な気持ちは大きかったといえる。これらの事情を踏まえると、本件の動機はやはり身勝手というべきであり、そのような動機で本件に及んだ被告人の責任は重い。また、確実に殺害するため、不自由な体でも使いやすいナイフを選び、風呂上がりで背を向けているときなら反撃されないだろうと考えた上、実際に、無防備な状態の首を背後から思い切り刺した後、更に胸を強い力で刺しており、そのやり方は非常に危険で悪く、殺害に向けた強い意思も認められる。 これらの事情からすると、本件の犯情は、同種事案(「単独犯」「怨恨またはその他家族関係」「凶器あり・刃物類」「前科なし」)の中で、中程度の部類に属するといえる。 そこで、被告人が犯行直後に自首した上、一貫して事実を認めており、父に対する謝罪の気持ちを深めつつあること、兄が被告人に対して寛大な処分を望んでおり、社会復帰後は家族と共に支援したいと証言したことも踏まえ、被告人を主文の刑に処することとした。 (求刑懲役15年、主文掲記の没収) 令和7年2月26日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官西前征志 主文 処することとした。 (求刑懲役15年、主文掲記の没収) 理由 令和7年2月26日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官西前征志 裁判官湯川亮 裁判官髙島菜緒

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