平成26年9月25日判決言渡平成23年(ワ)第40981号損害賠償請求事件 主文 1 原告国立市の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告国立市の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告P1は,原告国立市に対し,3123万9726円及びこれに対する平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案(1) 国立市(以下,後記の住民訴訟の判決がされる頃までの原告国立市を,単に「国立市」ということがある。)は,国立市内においてマンション建築を計画していたP2株式会社(以下「P2」という。)から,国立市の市長であった被告P1によって営業活動を妨害され,信用が毀損されたことなどにより損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償金合計4億円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める旨の訴えを提起され,この訴訟において,国立市に損害賠償金合計2500万円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じる旨の判決が確定したことから,平成20年3月27日,P2に対し,上記判決で認容された損害賠償金2500万円及びこれに対する遅延損害金623万9726円の合計3123万9726円(以下「本件損害賠償金」という。)を支払った。 (2) 国立市の住民は,被告P1のP2に対する上記(1)の営業妨害行為及び信用毀損行為は故意又は重大な過失によるものであって,国立市はP2に本件損害賠償金を支払ったことにより被告P1に対して国家賠償法1条2項に 基づく求償権(以下「本件求償権」という。)を有するところ,国立市長が本件求償権を行使していないのは違法に財産の管理を怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,国立市長を被告として,本件求償権の行使を求める旨 。)を有するところ,国立市長が本件求償権を行使していないのは違法に財産の管理を怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,国立市長を被告として,本件求償権の行使を求める旨の住民訴訟(以下「前件住民訴訟」という。)を東京地方裁判所に提起し,被告P1は被告である国立市長に補助参加したものの,平成22年12月22日,国立市長に対し,被告P1に対して求償金3123万9726円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するよう命じる旨の判決(以下「前件住民訴訟判決」という。)の言渡しがあった。 国立市長は,前件住民訴訟判決を不服として東京高等裁判所に控訴したが,平成23年5月30日,新たに選出された現在の国立市長がこの控訴を取り下げたため,前件住民訴訟判決が確定した。 (3) 本件は,原告国立市が,被告P1に対し,前件住民訴訟判決で命じられた求償請求を行ったものの,前件住民訴訟判決が確定した日から60日以内にその支払がされなかったとして,地方自治法242条の3第2項に基づき,求償金3123万9726円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠等を掲げていない事実は,当事者間に争いがない。なお,以下,書証については,特記するものを除き,各枝番を含むものとする。)(1) 当事者等ア原告国立市は普通地方公共団体であり,被告P1は,平成▲年5月から平成▲年4月まで,国立市長の職にあった者である。P3は,同年5月から平成▲年4月まで,国立市長の職にあった者であり,P4は,同年5月から現在に至るまで,国立市長の職にある者である。(弁論の全趣旨)イ P2は,不動産の売買,仲介,賃貸,管理及び鑑定に関する業務等を目的とする株式会社であり,東京都国立市内にある別紙2物件目録記載1の各土地(以下「本 立市長の職にある者である。(弁論の全趣旨)イ P2は,不動産の売買,仲介,賃貸,管理及び鑑定に関する業務等を目的とする株式会社であり,東京都国立市内にある別紙2物件目録記載1の各土地(以下「本件土地」という。)を取得し,本件土地上に同目録記載 2の建物(以下「本件建物」という。)の建築を計画していたものである。 ウ 「α」とは,JR中央本線国立駅からJR南武線谷保駅へと南に直線的に延びる都道146号線「国立停車場・谷保線」の通称であり,高さ約20mのイチョウ及び桜が植樹されている幅員約44mの並木道である。 (2) 本件土地に本件建物が建築されるに至った経緯等① 本件土地を含む周辺土地の歴史・地域性等,② 国立市の景観をめぐる施策等,③ P2による本件土地の取得及び本件建物建築までの経緯等は,別紙3「本件土地に本件建物が建築されるに至った経緯等」記載のとおりであるが,その要旨は,次のとおりである。(全体的な証拠及び個別に掲げていない証拠等として,甲B5ないし17,52ないし64,66,72,73,75,80ないし84,87,88,96,乙A2,3,6,17ないし20,31ないし33,37,49,67,79ないし86,88,93,95,97ないし116,118,120,121,123,124,弁論の全趣旨)ア本件土地は,国立駅から約1160mの距離のα沿いにあり,その一部が国立分譲地の南側に属していたが,昭和7年頃からは住宅敷地ではなく塗料工場の敷地になっていた。本件土地は,昭和40年頃,当時のP5株式会社(以下「P5」という。)が所有するに至り,昭和41年頃,地上4階地下1階,高さ約16m,延べ床面積1万2398㎡(その後増築され,床面積1万8616㎡)のP6の敷地として利用されていた。 イ(ア) 国立市は,平成8 。)が所有するに至り,昭和41年頃,地上4階地下1階,高さ約16m,延べ床面積1万2398㎡(その後増築され,床面積1万8616㎡)のP6の敷地として利用されていた。 イ(ア) 国立市は,平成8年4月1日,市内における開発行為等によって,無秩序な市街化が行われることを規制することなどを目的として,国立市開発行為等指導要綱(以下「旧指導要綱」という。)を制定した。 (イ) 国立市は,平成9年に「国立市都市景観形成基本計画-都市景観形成上重要な地域における基本方針」(以下「基本計画」という。甲B68,乙A12)を作成したが,基本計画では,本件土地を含む地域が, 景観形成重点地区の候補地である「α地域」とされ,本件土地の東側の一部を含む一帯はそのうちの「Cα沿道地区(学園・住宅地区)」と指定されていた。 (ウ) 国立市都市景観形成審議会は,平成9年12月19日,国立市長に対し,「国立市都市景観形成条例・規則(案)の策定並びに国立市都市景観形成基本計画改定(案)について」と題する答申(乙A11)を行った。 (エ) 国立市は,平成10年3月30日,国立市都市景観形成条例(平成10年国立市条例第1号。以下「景観条例」という。甲B69,乙A13)を制定して公布した(同年4月1日施行)。 (オ) 国立市は,景観条例に基づいて,平成10年12月28日,大規模行為景観形成基準(甲B70)を告示した(平成11年1月1日施行)。 ウ平成▲年4月に実施された統一地方選挙において,景観保持を公約の柱の一つに掲げる被告P1が国立市長に当選した。(乙A14ないし16)エ P2は,平成▲年4月頃,本件土地における大規模マンション建築の可能性に関する調査を開始し,同年5月21日,国立市や東京都多摩西部建築指導事務所(以下「建築指導事務所」という。)の各 し16)エ P2は,平成▲年4月頃,本件土地における大規模マンション建築の可能性に関する調査を開始し,同年5月21日,国立市や東京都多摩西部建築指導事務所(以下「建築指導事務所」という。)の各担当部局との間で,本件建物の建築計画に関する開発相談及び建築確認相談を開始した。 オ被告P1は,平成▲年7月3日,「P7」の主催するP8株式会社によるマンション建築計画に関する懇談会に参加し,懇談会終了後の雑談の中で,本件土地におけるマンション建築計画について話した上,景観にそぐわないマンション建築計画について,行政だけで止めるのは容易ではないという趣旨の発言をした。(甲B6,52,乙A84の6及び7)(後記の第1行為関係)カ P2は,検討の結果,本件土地に大規模マンションの建築が可能であると判断し,平成▲年7月22日,P5から,本件土地を90億2000万 円で購入し,同年8月2日,東京都知事に対し,本件土地を中高層共同住宅(販売用)の敷地として利用する旨記載した土地売買等届出書を提出した。 キ平成▲年8月8日,本件建物の建築計画に反対する学校法人P9,P10,P11,P12,P13,P14,P15(以下,併せて「P9ら」という。)を主な構成員とする市民団体「P16」が結成され,その代表にP13が選任された。 ク P2は,平成▲年8月18日,国立市の都市計画課に対し,旧指導要綱に基づく事業計画事前協議書を提出し,受理された。 ケ被告P1は,当時の国立市長として,平成▲年8月19日,P2に対し,改正予定の新しい指導要綱に基づく事前協議を行うとの文書を送付し,①新しい指導要綱に基づいて事前協議書を出し直すこと,② その提出時期は標識設置の2週間後とすること,③ 標識は東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予 要綱に基づく事前協議を行うとの文書を送付し,①新しい指導要綱に基づいて事前協議書を出し直すこと,② その提出時期は標識設置の2週間後とすること,③ 標識は東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号。 以下「紛争予防条例」という。)及び同施行規則(同年東京都規則第159号)の定める標識文言の併記をせず,国立市の単独標識とすることを要請したが,P2は上記文書を国立市に返還した。(後記の第2行為a関係)コ P2は,平成▲年8月27日,国立市に対し,景観条例26条1項に基づく大規模行為届出書を提出した。 サ国立市において,平成▲年9月1日,新たな国立市開発行為等指導要綱・同要綱施行基準(以下「新指導要綱」という。乙A21)が施行された。 シ本件土地の近隣住民の一部は,国立市議会に対し,本件土地上に予定されている本件建物の建築計画を周辺の環境と調和を持った計画に変更するようP2に働き掛けることを求める約5万人の署名のある陳情書(ただし,市外在住者の署名が約4分の3を占めている。)を提出し,国立市議会は,平成▲年9月22日,この陳情を採択した。(乙A24,25) ス被告P1は,当時の国立市長として,平成▲年10月8日,P2に対し,書面(甲B32,乙A26)により,景観条例28条1項に基づき,周辺の建築物や20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう,計画建物の高さを低くすること,ゆとりある歩道空間を確保し,既存の植栽帯を保全するため,敷地東側(α側)についてさらに壁面後退することを指導した。 (乙A27)(後記の第2行為b関係)セ P2は,平成▲年10月19日,紛争予防条例及び同施行規則に基づき,本件土地上に建築予定の建物の建築計画を記載した標識を設置し,これにより, した。 (乙A27)(後記の第2行為b関係)セ P2は,平成▲年10月19日,紛争予防条例及び同施行規則に基づき,本件土地上に建築予定の建物の建築計画を記載した標識を設置し,これにより,新指導要綱の適用を受けたとしても,同日から30日を経過することによって,建築確認申請を行うことができることとなった。 ソ被告P1は,平成▲年10月20日,P2に対し,上記セの標識の撤去を求めたが,P2はこれを拒否した。(甲B30,31,乙A29)(後記の第2行為c関係)タ被告P1は,上記スの指導内容が不明確であるとのP2の指摘について,平成▲年10月22日,P2に対し,景観条例8条により,事業者は積極的に都市景観の形成に寄与するように努めなければならないと定められていることを踏まえ,① 建物の規模をαの景観と調和するようにすることは事業者の責務であるから,建物の規模をどのようにするのかについてはP2において検討すべきこと,② 既存の植栽帯は,良い景観が形成されている場所であるから,その状態を保全するように検討すべきことを回答した。(甲B34,乙A30)(後記の第2行為d関係)チ国立市は,平成▲年11月24日から,本件土地を含む地域について建築物の高さを20m以下に制限することを柱とする「国立都市計画β地区地区計画」(平成▲年国立市告示第4号。以下「本件地区計画」という。 甲B18)の原案の公告及び縦覧の手続を開始した。(後記の第2行為e関係) ツ(ア) P2は,平成▲年12月3日,建築指導事務所に本件建物の建築確認を申請し,同日,これを受理され,国立市にもその旨報告した。(乙A35)(イ) 被告P1は,P2に対し,上記確認申請を取り下げてほしいと要請したが,P2はこれを拒否した。(甲B40の1及び2,乙A 請し,同日,これを受理され,国立市にもその旨報告した。(乙A35)(イ) 被告P1は,P2に対し,上記確認申請を取り下げてほしいと要請したが,P2はこれを拒否した。(甲B40の1及び2,乙A36)(後記の第2行為f関係)テ国立市は,平成▲年12月24日,平成14年法律第85号による改正前の建築基準法(以下,改正の前後を問わず,単に「建築基準法」という。)68条の2に基づき,本件土地を含む地区の建築制限を定める条例の基本となる「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成▲年国立市条例第30号。甲B20)を制定して公布した(平成▲年1月1日施行)。 ト被告P1は,平成▲年12月27日,P17の報道番組におけるインタビューにおいて,P2による本件建物の建築に関して答えた。(甲B93)(後記の第4行為a関係)ナ P2は,平成▲年1月5日,東京都建築主事から,本件建物が建築基準法6条1項の建築基準関係規定に適合している旨の建築確認を受け,直ちに本件土地の工事に着手し,着工届を建築指導事務所に提出した。 ニ国立市は,平成▲年1月24日,本件地区計画を決定し,直ちにその旨の告示(甲B18)をした。(後記の第2行為e関係)ヌ(ア) 被告P1は,前記テの「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」の一部を改正する「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」(平成▲年国立市条例第1号。以下「本件条例」という。甲B19,乙A51)の条例案の審議については,平成18年法律第53号による改正前の地方自治法101条2項ただし書の「急施を要する場合」に当たると判断し,平成 ▲年1月28日と同月31日に臨時市議会を招集することを決定し,その旨告示した。(後 18年法律第53号による改正前の地方自治法101条2項ただし書の「急施を要する場合」に当たると判断し,平成 ▲年1月28日と同月31日に臨時市議会を招集することを決定し,その旨告示した。(後記の第2行為g関係)(イ) 国立市議会は,平成▲年1月31日,出席議員において,臨時議長により開会を宣言し,選出された仮議長によって議事を進行し,本件条例の条例案を可決し,仮議長において,本件条例を被告P1に送付した。 (甲B65)(ウ) 被告P1は,当時の国立市長として,平成▲年2月1日,本件条例を公布し,本件条例は,同日,施行された。(甲B65)(後記の第2行為g関係)ネ本件土地の周辺住民らは,平成▲年1月24日及び同年2月29日,P2及び本件建物の施工業者であるP18株式会社を債務者として,本件建物の建築工事禁止の仮処分を求める申立てを東京地方裁判所八王子支部(当時)にしたが,同年6月6日,同支部から上記各申立てを却下する旨の決定を受けたことから,これを不服として抗告したところ,同年12月22日,東京高等裁判所から,本件建物は本件条例の施行時に既に建築工事中の建築物であったとは認められないので,建築基準法に適合しない建物であるが,周辺住民らに受忍限度を超える被害が生じているとは認められないとして,抗告を棄却する旨の決定(以下「平成▲年の東京高裁決定」という。甲B90,乙A39)を受けた。(乙A40)ノ P2は,平成▲年2月24日,国立市を被告として,本件地区計画及び本件条例のうちの建築物の高さの最高限度を20mとする部分の無効確認等を請求する訴えを東京地方裁判所に提起した。また,P2は,同年3月9日,国立市長を被告として同旨の請求をする訴えを提起するとともに,平成▲年4月25日,国立市を被告として,損害賠償金4億円等の支 等を請求する訴えを東京地方裁判所に提起した。また,P2は,同年3月9日,国立市長を被告として同旨の請求をする訴えを提起するとともに,平成▲年4月25日,国立市を被告として,損害賠償金4億円等の支払を求める訴えを提起し,さらに,国立市長を被告として,本件条例の公布行為が無効であることの確認等を求める訴えを追加的に変更し,これらは併 合して審理された(以下,これらの訴訟を併せて「P2訴訟」という。)。 (甲B4,101ないし105)ハ被告P1は,当時の国立市長として,平成▲年4月5日,国立市都市景観審議会から,本件土地の建築計画について,本件建物の高さを20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう勧告すべき旨の答申(甲B76,乙A41)を受けたことから,同年5月2日,P2に対し,景観条例28条2項に基づいて上記答申どおりの勧告(甲B42,77,乙A42)を行ったものの,P2が同勧告に従わなかったことから,同年7月27日,景観条例29条に基づいて,P2が勧告に従わなかったことの公表をした。 (甲B43,78,79,乙A43)ヒ(ア) 被告P1は,平成▲年12月27日,東京都多摩西部建築指導事務所長(以下「建築指導事務所長」という。)に対し,本件建物に関する平成▲年の東京高裁決定を尊重した指導を求める旨の文書(甲B44,乙A44)を送付した。(後記の第4行為b関係)(イ) 被告P1は,平成▲年3月6日,国立市議会第1回定例会における一般質問に対する答弁として,平成▲年の東京高裁決定を根拠に,本件建物が本件条例に違反する違法なものである旨の認識を述べ,同月29日の同定例会においても同旨の答弁をした。(甲B24,25,乙A38の1及び2)(後記の第3行為関係)(ウ) 被告P1は,東京都知事に対し,平成▲年7月10 法なものである旨の認識を述べ,同月29日の同定例会においても同旨の答弁をした。(甲B24,25,乙A38の1及び2)(後記の第3行為関係)(ウ) 被告P1は,東京都知事に対し,平成▲年7月10日付けの文書(甲B45,乙A45)により,本件建物のうち,高さが20mを超える部分について,電気,ガス及び水道の供給の承諾を留保するよう働き掛けた。(後記の第4行為c関係)フ平成▲年12月,本件建物が完成し,P2は,東京都建築主事から本件建物に係る検査済証の交付を受けた。(甲B84)ヘ被告P1は,平成▲年12月20日,建築指導事務所長に対し,本件建 物に係る検査済証の交付について抗議した。(甲B67)(後記の第4行為d関係)(3) P2訴訟の経緯ア(ア) 前記(2)ノのとおり,P2は,本件地区計画及び本件条例のうち,建築物の高さの最高限度を20mに制限する部分が,P2のマンション建築計画を妨害する意図でされた点等において違法なものであるとして,国立市及び国立市長に対し,それぞれ抗告訴訟として本件地区計画及び本件条例の無効確認(主位的)又は取消し(予備的)を求めるとともに,予備的に当事者訴訟又は無名抗告訴訟としての無効確認を求める旨の訴えを提起し,その後,国立市に対して,本件地区計画の決定及び本件条例の制定・施行によりP2が損害を被ったとして,P2の所有に係る不動産の価値下落分少なくとも4億円のうち3億5000万円及び信用毀損による損害1億円のうち5000万円の合計4億円の損害賠償金及びこれに対する平成▲年2月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める旨の訴えを提起し,さらに,国立市長に対し,本件条例の公布行為の無効確認(主位的)又は取消し(予備的)を求める旨の訴えを提 月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める旨の訴えを提起し,さらに,国立市長に対し,本件条例の公布行為の無効確認(主位的)又は取消し(予備的)を求める旨の訴えを提起し,これらは東京地方裁判所において併合して審理された(P2訴訟)。(甲B4,101ないし105)(イ) これに対し,東京地方裁判所は,平成14年2月14日,「① P2の国立市長に対する訴えをいずれも却下する,② 国立市は,P2に対し,4億円及びうち3億5000万円に対する平成▲年2月1日から,うち5000万円に対する平成▲年3月6日から,いずれも支払済みまで年5分の割合による金員を支払え,③ P2の国立市に対するその余の請求のうち,金員請求に関する部分を棄却し,その余の請求に係る訴えをいずれも却下する。」との判決を言い渡した。(甲B4)イ(ア) P2及び国立市は,それぞれP2訴訟の第1審判決に不服があると して,東京高等裁判所に控訴した。 (イ) これに対し,東京高等裁判所は,平成17年12月19日,P2訴訟の第1審判決と同様,被告P1のP2に対する違法行為を認めた上,第1審判決よりも少ない範囲のP2の損害を認定し,P2の控訴を棄却して,国立市の控訴に基づき,P2訴訟1審判決の主文(上記ア(イ))の②部分を「②1 国立市は,P2に対し,2500万円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え,②2 P2のその余の金員請求(当審において追加された請求原因に基づくものを含む。)をいずれも棄却する。」に変更する旨の判決を言い渡した。(甲B1)(ウ) P2訴訟の控訴審判決は,平成20年3月11日,確定した。 ウ国立市は,P2訴訟の控訴審判決の確定を受け,財政調整基金繰入金3 。」に変更する旨の判決を言い渡した。(甲B1)(ウ) P2訴訟の控訴審判決は,平成20年3月11日,確定した。 ウ国立市は,P2訴訟の控訴審判決の確定を受け,財政調整基金繰入金3100万円及び繰越金25万4000円を財源とするP2に対する本件損害賠償金の支出のための補正予算が可決されたことにより,平成20年3月27日,P2に対し,本件損害賠償金3123万9726円(内訳損害賠償金2500万円及び遅延損害金623万9726円)を支払った。 (乙B6,7の1及び2,11)エ(ア) P2は,平成20年4月7日,国立市教育委員会に対し,「P2が国立市から受け取った本件損害賠償金相当額を寄附したい。子供達の役に立つもの,例えばグランドピアノなどを購入してほしい。」と申し出た。(甲B99)(イ) 国立市は,上記(ア)のP2による申出を検討した結果,寄附ではなく本件損害賠償金に係る債権の放棄又は財政協力金としての納入をP2に対して打診することを決め,平成20年4月16日,国立市教育委員会を介して,P2に対し,その旨伝えたところ,P2から,本件損害賠償金は一旦納入されたものであるから債権放棄はあり得ず,また,財政 協力金としての支払では社内合意がとれない旨の返答を得た。(甲B99,乙B11)(ウ) 国立市は,平成20年4月17日,上記(イ)の返答を踏まえて再検討した結果,P2から本件損害賠償金相当額を一般寄附として受け取ることに決めるとともに,P2訴訟においてP2の負担とされた訴訟費用について,国立市教育委員会を介して相談を持ち掛けたところ,P2から,「国立市が債権放棄をしてほしい。放棄するのであれば3120万円そっくり寄附するが,債権要求するのであれば,その分を差し引きP2へ返還するという条件付きの寄附とさせてい 持ち掛けたところ,P2から,「国立市が債権放棄をしてほしい。放棄するのであれば3120万円そっくり寄附するが,債権要求するのであれば,その分を差し引きP2へ返還するという条件付きの寄附とさせていだたく。」などと言われたことから,同年5月1日,検討の結果,P2訴訟においてP2の負担とされた訴訟費用に係る債権を放棄することとし,その議案を国立市議会に提出することとした。(甲B98,99)(エ) P2は,平成20年5月12日,国立市に対し,「訴訟費用相当額を含め,下記金額を国立市に寄附いたします。なお,国立市民のための教育・福祉の施策の充実にあてていただければ幸いと存じます。」と記載された3123万9726円を国立市に寄附する旨の寄附金申出書(甲B100)を提出した。なお,上記の寄附金申出書のなお書については,国立市の担当者がP2の担当者に確認し,「思いを記載したものであり,広く市民のために使っていただければよいとの趣旨」という回答を得ている。(甲B100,乙B6,9,11)(オ) P2は,平成20年5月13日,要旨下記のような発表をした。(乙A71,乙B9)記aP2は,このたび,国立市との間のP2訴訟の判決確定により受領した本件損害賠償金と同額(約3120万円)の金員を国立市へ寄附することとした。 bP2がP2訴訟を提起した本来の目的は,同社の業務活動の正当性を司法の場で明らかにするためのものであり,損害賠償金を受領することではなかったため,国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいと考え,平成20年4月7日に国立市教育委員会にその旨の申出をし,本件損害賠償金と同額の金員を同年5月16日付けで国立市に寄附するこ 市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいと考え,平成20年4月7日に国立市教育委員会にその旨の申出をし,本件損害賠償金と同額の金員を同年5月16日付けで国立市に寄附することとした。 (カ) 国立市は,平成20年5月16日,P2から3123万9726円の寄附(本件寄附)を収受し,同月20日,これを一般寄附(用途が指定されていない寄附)として受け入れた。なお,本件寄附は,用途が指定されていなかったため,条例に基づいて基金が設立されることはなく,また,一定の条件が付された負担付き寄附でもなかったため,国立市議会の議決も経ていない(地方自治法96条1項9号参照)。(甲B98,99,乙B6,9,11)(キ) 国立市議会は,平成20年6月19日の定例会において,国立市のP2に対するP2訴訟の訴訟費用に関する請求を放棄する旨の議案を可決した。(甲B98,99,乙A72ないし74)(ク) 国立市では,平成21年3月27日,平成20年度末の会計処理として,本件寄附に相当する金額を財政調整基金に積み立てる旨の決済がされ,同年5月27日,上記積立ての処理が行われた。(乙B6,8の1及び2,11)(4) 前件住民訴訟の経過ア国立市の住民らは,平成21年2月27日,国立市監査委員に対し,国立市長が被告P1に対する本件求償権を行使することなどを求める旨の住民監査請求をした。(甲B2)イこれに対し,国立市監査委員は,平成21年4月24日,国立市に対し,「『国立市庁議等の設置および運営に関する規則』に規定する庁議におい て次の事項を検討し,その結果を本件国立市職員措置請求(住民監査請求)の監査結果公表後60日以内に市民に対して公表すること。① 求償の具体的な検討として,求償の対象者及び範囲について,② 求償権 て次の事項を検討し,その結果を本件国立市職員措置請求(住民監査請求)の監査結果公表後60日以内に市民に対して公表すること。① 求償の具体的な検討として,求償の対象者及び範囲について,② 求償権の行使,地方自治法第240条第2項に規定する督促,強制執行その他その保全にまで至らないときは,その理由について,③ 国立市の組織的責任について」を勧告する旨の決定をし,同日,上記アの住民監査請求を行った国立市の住民らに対し,その旨通知した。(甲B3,弁論の全趣旨)ウ国立市の住民らは,平成21年5月19日,P2訴訟で認定された被告P1のP2に対する営業活動妨害行為及び信用毀損行為は故意又は重大な過失によるものであって,国立市は被告P1に対して地方自治法242条の2第1項4号に基づいて本件求償権を有するところ,国立市長がその行使を怠っているとして,国立市長(P3)に対し,被告P1に対して本件損害賠償金相当額及びこれに対する遅延損害金の支払を請求することを求める旨の訴えを提起し(東京地方裁判所平成21年(行ウ)第249号事件。前件住民訴訟),被告P1は,地方自治法242条の2第7項による訴訟告知を受け,同年11月9日,被告となった国立市長に補助参加した。 (甲A1の1,弁論の全趣旨)エこれに対し,東京地方裁判所は,平成22年12月22日,前件住民訴訟につき,住民らの請求は理由があると判断し,国立市長は,被告P1に対し,3123万9726円及びこれに対する平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよと命じる旨の認容判決をした(前件住民訴訟判決)。前件住民訴訟判決の理由の要点は,別紙4「前件住民訴訟判決の理由の要点」記載のとおりである。 オ国立市長(P3)は,平成▲年1月5日,前件住民訴訟判決につき,東京高 決をした(前件住民訴訟判決)。前件住民訴訟判決の理由の要点は,別紙4「前件住民訴訟判決の理由の要点」記載のとおりである。 オ国立市長(P3)は,平成▲年1月5日,前件住民訴訟判決につき,東京高等裁判所に控訴をし,新たに証拠を提出し,この控訴審においても,被告P1が,引き続き国立市長に対して補助参加した。(乙A75の1な いし3,弁論の全趣旨)カ前件住民訴訟の控訴審では第1回口頭弁論期日に口頭弁論が終結されたが,平成▲年5月に就任した国立市長(P4)は,判決言渡し期日前の同月30日,前件住民訴訟の控訴を取り下げ,これによって,第1審判決である前件住民訴訟判決が確定した。(甲A1の2,乙A75の1)キ原告国立市は,平成23年6月21日,地方自治法242条の3第1項に基づき,被告P1に対し,前件住民訴訟判決に基づき,3123万9726円及びこれに対する平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を同年7月29日までに支払うよう催告した。(甲A2の1)ク原告国立市は,平成23年12月21日,本件訴えを提起した。(顕著な事実)(5) 国立市議会における本件求償権を放棄する旨の議決ア(ア) 国立市議会の平成25年12月の第4回定例会において,地方自治法96条1項10号の規定に基づき,原告国立市の被告P1に対する本件求償権を放棄する旨の議案が議員から提出され,同月19日,同議案について質疑討論の上,賛成多数で同議案を原案どおり可決した(以下,この議決を「本件放棄議決」という。)。本件放棄議決の全文は,別紙5のとおりである。(乙A125ないし127)(イ) 国立市長(P4)は,本件放棄議決に対し,地方自治法176条1項又は4項に基づき再議に付することはしていない。(弁論の全趣旨)イ国立市 紙5のとおりである。(乙A125ないし127)(イ) 国立市長(P4)は,本件放棄議決に対し,地方自治法176条1項又は4項に基づき再議に付することはしていない。(弁論の全趣旨)イ国立市議会は,国立市長(P4)が被告P1に対し,本件放棄議決の執行行為としての権利放棄の意思表示をしないため,平成25年3月26日,「地方自治法第96条第1項第10号に基づく元市長に対する賠償請求権放棄議決の執行を求める決議」を賛成多数で可決した。(乙A126,131,弁論の全趣旨) 第3 争点本件における争点は,手続上の争点である「前件住民訴訟判決の参加的効力の有無」と,実体上の争点である「原告国立市の被告P1に対する本件求償権に基づく求償請求の可否(被告P1のP2に対する違法行為の有無,P2の損害の有無,被告P1の故意又は重過失の有無,本件求償権の発生の有無,本件損害賠償金の支出による損失の実質的な填補による損益相殺の可否,本件求償権行使についての信義則違反の有無)」である。これらに関する当事者の主張の要旨は,次のとおりである。 1 前件住民訴訟判決の参加的効力の有無(原告国立市)本件訴訟は,前件住民訴訟判決を前提として提起された地方自治法242条の3第2項に基づくいわゆる第2段階の訴訟である。被告P1は,前件住民訴訟において訴訟告知を受け,被告・控訴人であった国立市長の補助参加人として前件住民訴訟の第1審及び控訴審に参加しており,また,被告P1は,前件住民訴訟の第1審及び控訴審において,格別の主張立証をしておらず,しかも,控訴が取り下げられた時点で,前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論は終結しており,控訴の取下げによって,被告P1の訴訟行為が妨げられたなどという事情もないのであるから,地方自治法242条の3第4項,民事 控訴が取り下げられた時点で,前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論は終結しており,控訴の取下げによって,被告P1の訴訟行為が妨げられたなどという事情もないのであるから,地方自治法242条の3第4項,民事訴訟法46条により,確定した前件住民訴訟判決の効力は被告P1に及ぶことになる。そして,前件住民訴訟判決において被告P1のP2に対する違法行為や重過失等が認定されている以上,被告P1は,前件住民訴訟の第2段階の訴訟である本件訴訟において,自己の行為の適法性や無過失等を主張することはできない。 (被告P1)被告P1は,前件住民訴訟の第1審及び控訴審において,自身としては格別の主張立証を行っていないものの,これは,P3が国立市長に在任している間は,同市長の主張立証行為が自身の主張立証行為と基本的に同じであり,その 点で利害の対立が基本的になかったからである。また,控訴が取り下げられた段階で前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論が終結していたことは確かであるが,被告P1は,前件住民訴訟における国立市長の補助参加人として,口頭弁論が再開されれば主張立証を行う機会を有していたし,控訴審判決の言渡しを受け,控訴審判決に不服があれば上告審において審理を受ける権利も有していた。にもかかわらず,新たに国立市長となったP4が,補助参加人であった被告P1に何の相談もせず,被告P1の同意を得ることのないまま,前件住民訴訟判決に対する控訴を一方的に取り下げてしまったため,被告P1にとって不利益な前件住民訴訟判決が確定してしまった。このような場合に,被告P1に前件住民訴訟判決の効力を及ぼすことは衡平の理念に反することが明らかであり,前件住民訴訟における国立市長による控訴の取下げは,民事訴訟法46条3号の「被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき」に該当するから,前件 の効力を及ぼすことは衡平の理念に反することが明らかであり,前件住民訴訟における国立市長による控訴の取下げは,民事訴訟法46条3号の「被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき」に該当するから,前件住民訴訟判決の効力は補助参加人であった被告P1には及ばない。 2 原告国立市の被告P1に対する本件求償権に基づく求償請求の可否(1) 被告P1のP2に対する違法行為の有無(原告国立市)ア被告P1が,国立市の市長としてその職務を行うについて,P2によるマンションの建築及び販売を阻止する目的をもってP2の営業活動を妨害し,その信用を毀損したところの一連の違法行為に係る事実は,以下のとおりである(以下,それぞれ「第1行為」ないし「第4行為」といい,これらを併せて「本件各行為」と総称する。)。 (ア) 第1行為被告P1は,平成▲年7月3日,P9らを構成員とするP8マンションに関する懇談会において,P2によるマンションの建築計画があることを話した上,「皆さん,このマンション問題も大事ですが,あそこのαにマンションができます。いいんですか皆さん。はっきり申し上げて 行政は止められません。」などと述べた。被告P1の話を聞いたP9らを中心として,周辺住民らの間でP2のマンション建築に対する反対運動が広がった結果,平成▲年8月8日,P9らを主な構成員とする市民団体「P16」が結成され,その後のP2によるマンション建築計画説明会が大きく紛糾するなどした。(前提事実(2)オ)(イ) 第2行為a 被告P1は,P2から旧指導要綱に基づく事業計画事前協議書の提出を受けると,平成▲年8月19日,P2に対し,施行されていない新指導要綱に基づく事前協議を行う旨の文書を発し,中高層建築物を建築しようとする場合に設置する建築計画を記載した標識に 画事前協議書の提出を受けると,平成▲年8月19日,P2に対し,施行されていない新指導要綱に基づく事前協議を行う旨の文書を発し,中高層建築物を建築しようとする場合に設置する建築計画を記載した標識には紛争予防条例及び同施行規則の定める標識文言の併記をせず,国立市の単独標識とするよう要請し,P2による紛争予防条例で定められた標識設置後30日の建築確認申請を阻止しようとした。(前提事実(2)ケ)b 被告P1は,平成▲年10月8日,P2に対し,景観条例に基づき,周辺の建築物や20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう本件建物の高さを低くし,敷地東側についてさらに壁面後退するように指導した。(前提事実(2)ス)cP2が,平成▲年10月19日,紛争予防条例及び同施行規則に基づき,マンションの建築予定地(本件土地)上に建築予定建物(本件建物)の建築計画を記載した標識を設置したところ,被告P1は,P2に対し,その撤去を求めた。(前提事実(2)ソ)dP1は,P2から指導内容が不明確であるという指摘を受けたのに対し,平成▲年10月22日,建物の規模はαの景観と調和するようP2において検討すべきものであるなどと回答した。(前提事実(2)タ)e 被告P1は,P2のマンション建築計画への対応について,強い意 向を示して,国立市をして,地区計画及び条例の制定という方向で対応する方策に変更させ,平成▲年11月24日,マンション建築予定地を含む地区について建築物の高さを20m以下に制限することを柱とする本件地区計画の原案の公告及び縦覧を開始させ,平成▲年1月24日,本件地区計画を告示し,これを施行させた。(前提事実(2)チ,ニ)f 被告P1は,P2に対し,平成▲年12月3日に建築指導事務所に受理された本件建物の建築確認申請を取り下げ 平成▲年1月24日,本件地区計画を告示し,これを施行させた。(前提事実(2)チ,ニ)f 被告P1は,P2に対し,平成▲年12月3日に建築指導事務所に受理された本件建物の建築確認申請を取り下げるよう要請した。(前提事実(2)ツ(イ))g 被告P1は,本件条例を早期に成立させるため,平成▲年1月28日及び同月31日の日程で国立市臨時市議会を「急施を要する場合」として招集し,議長及び副議長が議会を開会しなかったにもかかわらず,臨時議長により開会し,出席議員において仮議長を選任して議事を進行させ,自ら本件条例の案を議案として提出し,これを成立させると,同年2月1日,その送付を受けて本件条例を公布し,これを施行させた。(前提事実(2)ヌ(ア),(ウ))(ウ) 第3行為被告P1は,平成▲年3月6日及び同月29日の国立市議会の定例会において,法的な拘束力に留保をつけないまま,民事保全事件の下級審決定である平成▲年の東京高裁決定を理由として,適法建築物である本件建物が違反建築物である旨の答弁をした。(前提事実(2)ヒ(イ))(エ) 第4行為a 被告P1は,平成▲年12月27日,P17のインタビューにおいて,P2にマンションを「建てさせない手段を,市が持っているものを使っていく」「例えば下水道をつながないとか」などと発言した。 (前提事実(2)ト) b 被告P1は,平成▲年12月27日,建築指導事務所長に対し,確立した判例や実務が存在しなかったにもかかわらず,本件建物が違反建築物であるという傍論を述べた下級審決定にすぎない平成▲年の東京高裁決定を尊重した指導を求める文書を送付した。(前提事実(2)ヒ(ア))c 被告P1は,平成▲年7月10日付け文書により,東京都知事に対し,本件建物のうち,高さが20mを超える 平成▲年の東京高裁決定を尊重した指導を求める文書を送付した。(前提事実(2)ヒ(ア))c 被告P1は,平成▲年7月10日付け文書により,東京都知事に対し,本件建物のうち,高さが20mを超える部分について,電気,ガス及び水道の供給承諾を留保するよう働き掛け,これが広く報道された。(前提事実(2)ヒ(ウ))d 被告P1は,本件建物完成後の平成▲年12月20日,東京都建築主事がP2に検査済証を交付したことについて,P9らとともに同主事に抗議し,これが広く報道された。(前提事実(2)ヘ)イ普通地方公共団体の長が,当該普通地方公共団体の事務の執行等に当たり,私人の適法な営業活動を妨害する目的を有していることが明らかで,かつ,他の事情とあいまって,当該長に要請される中立性・公平性を逸脱し,社会通念上許されない程度に私人の営業活動を妨害した場合には,行為全体として私人の営業活動を妨害したものとして,当該長が,当該私人に対して負う職務上の法的義務に違反したものと認められ,国家賠償法1条1項にいう違法があることになる。 そして,被告P1による本件各行為は,いずれも,被告P1が国立市長としてその政策目的である景観保持のため,P2の本件建物の建築及び販売を阻止するという強固な目的を持って行ったものであるから,被告P1はP2の営業を妨害する目的を有していたものと認められる。また,第1行為については,現職の市長が特定の企業の営業活動を取り上げ,その阻止を述べることは中立性・公平性に反するものであり,被告P1の発言により,P2の本件建物の建設及び販売が円滑に進まなくなったことはその 後の事実経過から明白であって,被告P1の発言はそれ自体P2の営業活動を妨害する行為である。第2行為については,行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政 円滑に進まなくなったことはその 後の事実経過から明白であって,被告P1の発言はそれ自体P2の営業活動を妨害する行為である。第2行為については,行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更と評価され,その結果,P2の自由な営業活動が阻害されているものであり,いずれもP2の営業活動を妨害する行為に当たる。第3行為については,市長が市議会において一企業の建築した建物を違法建築物であると発言すれば,その建物を購入しようと考えている消費者が,購入を躊躇し取りやめる結果を招くことは容易に予想されるところであり,営業妨害行為そのものである。第4行為については,P2が建築及び販売を予定している本件建物について,被告P1が,建築指導事務所長に本件建物が違法建築物であることを前提に建築確認申請の判断をするように求めたり,本件建物の一部につき電気,ガス等の供給承諾を留保するよう東京都知事に働き掛けたりするだけでなく,本件建物完成後においても,建築指導事務所長のP2に対する本件建物の検査済証の交付について,自ら率先して建築指導事務所長に対して抗議するなどの行動をとっており,このような行為があれば,これを購入しようと考えている消費者が購入を躊躇し取りやめる結果を招き,本件建物の販売に悪影響を与えることは必至であり,第4行為の一つ一つが,P2の営業活動を妨害する行為に当たることが明らかである。 ウまた,国家賠償法上,違法行為と評価される公務員の行為が一つである必要はなく,複数の行為が重なることによって法的保護に値する損害を与えたものと判断される場合があり得るところであり,一つ一つの行為の結果生じた一つ一つの損害が法的保護に値しないほど軽微なものであったとしても,それが積み重なった結果,被害者の受忍限度を超え,社会通念上許容されないもの 場合があり得るところであり,一つ一つの行為の結果生じた一つ一つの損害が法的保護に値しないほど軽微なものであったとしても,それが積み重なった結果,被害者の受忍限度を超え,社会通念上許容されないものとなった場合には,当該行為は国家賠償法上の違法行為と評価される。 そして,被告P1による本件各行為という一連の行為は,全体的に観察 すれば,被告P1が建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築販売を阻止することを目的として,P9らにおいて妨害行為に及ぶことをも期待しながら,P2に許されている適法な営業行為である本件建物の建築及び販売を妨害するものであり,その態様は普通地方公共団体の長として要請される行政の中立性及び公平性を逸脱し,行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更であり,また,異例かつ執拗な目的達成行為であり,社会通念上許容される限度を逸脱しているものであって,国家賠償法1条1項に規定する違法があることは明らかである。 (被告P1)ア被告P1の違法行為とされる本件各行為は,以下のとおり,いずれも国立市長であった被告P1による適法な政策実行行為であり,法規範に違反した行為でも,裁量の範囲を逸脱又は濫用した行為でもないから,違法行為ではない。 (ア) 第1行為被告P1が平成▲年7月3日に出席した懇談会は,P8株式会社のマンション建築計画の見直しを求める「P7」が開催したものであり,P2による本件建物の建築計画に関するものではない。被告P1は,上記の懇談会終了後,雑談の中で,本件土地におけるマンション建築計画についての情報提供をし,景観にそぐわないマンション建築計画について,行政だけで止めるのは容易ではないという話をしただけであり,この段階ではP2によるマンションの建築計画が既に知られ始め ン建築計画についての情報提供をし,景観にそぐわないマンション建築計画について,行政だけで止めるのは容易ではないという話をしただけであり,この段階ではP2によるマンションの建築計画が既に知られ始めており,また,発言の内容も行政の現状を率直に語ったものにすぎないことからすると,被告P1による上記発言はP2の営業活動を妨害する行為でも,住民運動を扇動する行為でもないことが明白である。 そして,その後の同年8月8日の集会が契機となり,P2によるマンション建設についての「P16」が結成されたが,上記の集会を呼びか けたのは,被告P1が前記のような発言をした「P7」の構成員ではなく,「P19」の会長であるP20であり,P16に参加したP9らも「P7」の構成員ではなかった。被告P1は住民運動の扇動などはしておらず,P16が結成されたことや,P2によるマンション建設に対する反対運動が広がったこと,P2による説明会が大きく紛糾したことなどは,いずれも,住民の間で自立的に発生及び発展していったものであり,被告P1による上記発言との間に因果関係はない。 (イ) 第2行為(以下のaないしgは,原告国立市の主張するaないしgに対応するものである。)a 被告P1が当時の国立市長として平成▲年8月19日にP2に対して新指導要綱に基づく協議の要請を文書で行ったことは認めるが,これは,施行されていない新指導要綱に基づく事前協議をするように求めたものではなく,間もなく施行される新指導要綱にのっとって事前協議を行うように要請したものにすぎない。また,同様に,中高層建築物を建築しようとする場合に設置する建築計画を記載した標識に紛争予防条例及び同施行規則の定める標識文言を併記せずに国立市の単独標識とするように求めたことも,新指導要綱に基づいて行った に,中高層建築物を建築しようとする場合に設置する建築計画を記載した標識に紛争予防条例及び同施行規則の定める標識文言を併記せずに国立市の単独標識とするように求めたことも,新指導要綱に基づいて行った要請である。これらはいずれも,国立市では過去に高層マンションの建築をめぐって多数の紛争が発生していたため,紛争予防の観点から,P2との間で十分に協議することが望ましいと考えて,間もなく施行される新指導要綱にのっとって行ったものであって,P2によるマンション建築確認申請行為を阻止しようとして行ったものではなく,何ら違法なものではない。 b 被告P1が当時の国立市長として平成▲年10月8日にP2に対して本件建物の高さや敷地東側壁面についての要請を文書で行ったことは認めるが,これは,P2による本件土地での大規模マンション建設 計画について,周辺の環境と調和した計画に変更するようP2に対して働き掛けてほしいとの陳情が同年9月22日の国立市定例議会において賛成多数で採択され,また,P2が本件建物の建築を計画していた本件土地が基本計画におけるα地域として都市景観形成重点地区の候補地となっていたことから,景観条例3条,8条1項,28条に基づいて行った指導であり,何ら違法なものではない。 c 被告P1が当時の国立市長として平成▲年10月20日にP2に対して標識の撤去要請を文書で行ったことは認めるが,これは,同年9月1日付けで施行された新指導要綱3条に基づく国立市長とP2との間の事前協議が未了であったため,紛争予防条例及び同施行規則の定める標識を撤去するように求めたというものであって,何ら違法なものではない。 d 被告P1が当時の国立市長として平成▲年10月22日にP2に対して原告国立市の主張するような回答を文書で行ったことは認めるが,これは ように求めたというものであって,何ら違法なものではない。 d 被告P1が当時の国立市長として平成▲年10月22日にP2に対して原告国立市の主張するような回答を文書で行ったことは認めるが,これは,P2に対し,景観条例に基づき,本件建物がαの景観と調和するように,より具体的には,同月8日の指導を踏まえて,本件建物が周辺の建築物や20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう,本件建物の高さを低くするように求めたというものであって,P2の自主的判断を尊重した要請は何ら違法なものではない。 e 被告P1が当時の国立市長として本件地区計画の原案の公告及び縦覧を行ったことや,本件地区計画を公示し,これを施行させたことは認める。しかし,本件地区計画は,国立市の住民自らが専門家の力を借りて素案を作り,地権者の82%の同意署名を集め,国立市に対して本件地区計画の早期の策定を要請したことを契機として決定されたものであり,被告P1は,この過程に何ら関与しておらず,P2のマンション建築計画への対応について,強い意向を示して地区計画及び 条例の制定という方向で対応する方策に変更させたなどということはない。また,国立市都市計画審議会は,平成▲年1月21日,P2の意見も審査した上で,本件地区計画を全会一致で承認したのであり,被告P1が当時の国立市長として行った本件地区計画の原案の公告及び縦覧並びに本件地区計画の告示を含めて,平成▲年法律第87号による改正前の都市計画法(以下単に「都市計画法」という。)12条の4,12条の5,15条,19条,20条に基づいて行われたものであって,何ら違法なものではない。 f 被告P1が当時の国立市長として平成▲年12月3日にP2に対して建築確認申請を取り下げるように要請したことは認めるが,これは,住民説明会が途中であ れたものであって,何ら違法なものではない。 f 被告P1が当時の国立市長として平成▲年12月3日にP2に対して建築確認申請を取り下げるように要請したことは認めるが,これは,住民説明会が途中であり,景観条例や新指導要綱に基づく手続も完了していなかったのに,P2が国立市の頭越しに本件建物の建築確認申請を行ったことから,P2に対して景観条例等を遵守させるために行ったものである。景観条例等に基づく指導に強制力がないとしても,国立市がP2の上記のような態度を甘受する必要はなく,被告P1が景観条例等を遵守させるために要請を行ったことは,国立市長として当然の行為であって,何ら違法なものではない。 g 被告P1が当時の国立市長として,臨時市議会の招集を行ったこと,本件条例の条例案を提出したこと,国立市議会が審議を行って可決した本件条例を公布したことは認める。しかしながら,そもそも,臨時議長による国立市議会の開会,仮議長による議事の進行,条例案の可決は,国立市議会又は市議会議員が行った行為であって,被告P1が行ったものでも,被告P1が行わせたものでもない。また,当時国立市長の地位にあった被告P1は,本件地区計画の素案が住民から提案されたものであったことや,国立市都市景観審議会が本件地区計画を全会一致で承認していたこと,本件地区計画の早期条例化を求める旨 の署名が7万筆を超えていたことなどから,早期に本件地区計画を条例化すべき責務を負っていたため,本件条例の審議が「急施を要する場合」(平成18年法律第53号による改正前の地方自治法101条2項ただし書)に当たると判断して臨時市議会の招集を行ったものであり,その手続に何ら違法な点はない。さらに,国立市議会及び議員によって行われた本件条例の条例案の可決についても,手続的な瑕疵は存在せず(地方 し書)に当たると判断して臨時市議会の招集を行ったものであり,その手続に何ら違法な点はない。さらに,国立市議会及び議員によって行われた本件条例の条例案の可決についても,手続的な瑕疵は存在せず(地方自治法107条,106条2項,14条,96条),本件条例は有効に成立している。そして,国立市議会の議決を経た本件条例を被告P1が当時の国立市長として公布したという行為も,地方自治法16条3項,148条,138条の2に基づく権限であるとともに義務であって,何ら違法なものではない。このように本件条例は,内容及び手続が適法かつ有効であり,当時,P2による本件建物の建築が計画されていたことや,仮にそれが「例を見ない早さ」や「例のない手続の進行」で行われたということがあったとしても,これらを理由として,その過程の中で法令に基づいて被告P1が国立市長として行った行為が違法となることはない。 (ウ) 第3行為被告P1は,平成▲年3月6日及び同月29日の国立市議会において,本件建物の高さ20mを超える部分の適法性についての見解を問われたため,本件建物は現に建築の工事中の建築物(建築基準法3条2項参照)に該当しなかったから本件条例に適合しない範囲(高さ20mを超える範囲)において建築基準法に適合しない建物に当たるとした平成▲年の東京高裁決定を引用しながら,本件建物が違法という立場を採っている旨の答弁を行ったにすぎない。議会において議員の質問に対して誠実に答弁することは首長の責務であるし,上記各答弁の当時,根切り工事中の建物が「現に建築の工事中の建築物」に該当するか否かについ ては確立した裁判例は存在せず,根切り工事中の建物が「現に建築の工事中の建築物」に該当しないとした平成▲年の東京高裁決定は司法判断として重要な意義を有していたから,被告P 当するか否かについ ては確立した裁判例は存在せず,根切り工事中の建物が「現に建築の工事中の建築物」に該当しないとした平成▲年の東京高裁決定は司法判断として重要な意義を有していたから,被告P1が議会における答弁において,平成▲年の東京高裁決定を引用して本件建物の適法性について答弁することは何ら不相当なものではない。また,我が国においては三審制が採用されており,平成▲年の東京高裁決定が最高裁判所により破棄される可能性があることは,議員のみならず,一般市民も十分に認識していたから,被告P1が平成▲年の東京高裁決定に言及する際に破棄される可能性がある旨の断りを入れなかったとしても,誤解や混乱を生じさせるおそれはなかった。 (エ) 第4行為(以下のaないしdは,原告国立市の主張するaないしdに対応するものである。)a 平成▲年12月27日のP17のインタビューにおける被告P1の発言は,P2訴訟の控訴審判決及び前件住民訴訟判決において違法行為とはされていないから,被告P1に対する本件求償権の前提となるものではなく,原告国立市の主張自体が失当である。また,被告P1は,上記のインタビューにおいて,様々な方向性を検討するという文脈において,「市民の陳情を受けて景観条例を作った。この条例に違反するものは認めない。」「下水道をつながないことは,これまでの判例をよく検討してみる。」と発言したものであり,「建てさせない」「つながない」という発言はしていない。 b 被告P1が当時の国立市長として平成▲年12月27日に建築指導事務所長に対して平成▲年の東京高裁決定を尊重した指導を求める旨の要請書を送付したことは認めるが,これは,当時の国立市長であった被告P1が,国立市民や国立市議会から,国立の景観を守るべく,P2による高層マンション建築に対処す 京高裁決定を尊重した指導を求める旨の要請書を送付したことは認めるが,これは,当時の国立市長であった被告P1が,国立市民や国立市議会から,国立の景観を守るべく,P2による高層マンション建築に対処するよう求められていたため, 建築指導事務所長に対し,司法の判断を尊重した指導をするようにお願いしたというものであり,本件地区計画の決定及び本件条例の制定をした国立市の市長であった被告P1が,本件条例を有効と判断した平成▲年の東京高裁決定を尊重するように求めるのは当然である。また,平成▲年の東京高裁決定が下級審の判断であることや我が国の司法制度では三審制がとられていることは公知の事実であるから,建築指導事務所長に対する要請書において,あえて断りを付す必要はなかった。 c 被告P1が当時の国立市長として平成▲年7月10日に東京都知事に対して原告国立市の主張するような文書を送付したことは認めるが,当時,P9らを含む住民らが建築指導事務所長らを被告として東京地方裁判所に提起した本件建物の除去命令等を求める行政事件訴訟が係属中であり,平成▲年の東京高裁決定と同様に,高さ20mを超える部分が違法建築物と認定され,その除去が命じられることも十分に考えられたことから,本件地区計画の決定及び本件条例の制定をした当時の国立市長であった被告P1が,上記行政事件訴訟において本件建物が違法建築物と認定されることを想定し,東京都の先例や厚生省環境衛生局長通知を踏まえた上で,本件建物への電気等の供給留保を求めたことは,当然の責務であって,その権限を逸脱するものではない。また,上記行政事件訴訟の判決の確定前に電気,ガス,水道の供給が行われて住民の入居が開始されると,国立市民となる入居者を含めた混乱を発生させることになるため,これを回避するため,上記行政事件訴 い。また,上記行政事件訴訟の判決の確定前に電気,ガス,水道の供給が行われて住民の入居が開始されると,国立市民となる入居者を含めた混乱を発生させることになるため,これを回避するため,上記行政事件訴訟の判決が出るまでの間,20mを超える部分の入居前の住居に限って供給留保を求めたというのが上記の要請であり,当時の国立市長であった被告P1が,景観保持の使命を負うと同時に市民生活にも責任を負わなければならない自治体の長という立場から,やむ を得ず行ったものである。 d 被告P1が当時の国立市長として平成▲年12月20日に建築指導事務所を訪問してP2に対する本件建物に係る検査済証の交付に抗議したことは認めるが,P9らとは偶然一緒になったにすぎず,建築指導事務所を訪問して抗議を行うことを市民や報道関係者に知らせたこともない。これは,被告P1が,当時の国立市長として,同月5日,10日及び14日に建築指導事務所を訪問してP2に対して本件建物に係る検査済証を交付しないよう要請したにもかかわらず,上記のとおり,検査済証の交付がされたため,助役及び建築部長と共に建築指導事務所を訪れて,上記判決を無視した検査済証の交付に抗議をしたというものであり,P9らを含む住民が原告となった行政事件訴訟において,本件建物の20mを超える部分を違法建築物とした上で,是正命令権の権限不行使を違法とする同月4日付け判決が出ていたことからしても,本件地区計画の決定及び本件条例の制定をした国立市の当時の市長であった被告P1が,上記の要請や判決を無視した検査済証の交付に抗議することは当然の責務であって,その権限を逸脱するものではない。また,上記の抗議が広く新聞報道されたのは,被告P1が東京都庁に赴いた際に偶然記者が同行したからにすぎず,報道機関の責任の下で報道がされたこ とは当然の責務であって,その権限を逸脱するものではない。また,上記の抗議が広く新聞報道されたのは,被告P1が東京都庁に赴いた際に偶然記者が同行したからにすぎず,報道機関の責任の下で報道がされたことによって被告P1の行為が違法性を帯びることはあり得ない。 イ原告国立市は,被告P1の本件各行為をそれぞれP2に対する営業妨害行為と構成し,営業妨害目的と営業妨害行為という二つの要件に基づいてその違法性を主張するが,原告国立市は,景観保持という政策目的が正当であったことは認めているのであるから,営業妨害目的があるが故に違法となるという論理は成り立たず,被告P1に営業妨害目的があるが故にその行為が違法となるというのであれば,内心を処罰することに他ならない ことになる。また,被告P1による本件各行為が適法なものであり,P2の営業行為を妨害するものではないことは,前記アで個別に主張したとおりである。 ウまた,原告国立市は,単独では損害が軽微であって違法行為には当たらないとしても,積み重なれば受忍限度を超えて違法となるなどと主張するが,原告国立市が被告P1による違法行為であると主張する本件各行為が,何ら違法なものではないことは,前記アで個別に主張したとおりであり,違法性も帯びていない行為は幾ら蓄積したところで受忍限度を超えることはなく,違法行為となることはない。 エさらに,原告国立市は,本件各行為を全体的に観察すれば,P2の営業行為である本件建物の建築及び販売を妨害するものであると主張するが,市議会や裁判所等が重要な役割を果たした2年半にわたる経過の中で行われた四つの行為は,一つの意思で貫かれているものではないし,同種行為の反復継続という性格も有しておらず,全体的に観察して一つの違法行為と評価することはできない。特に本件地区計画の たる経過の中で行われた四つの行為は,一つの意思で貫かれているものではないし,同種行為の反復継続という性格も有しておらず,全体的に観察して一つの違法行為と評価することはできない。特に本件地区計画の決定並びに本件条例の制定及び施行が適法かつ有効なことはP2訴訟の控訴審判決及び前件住民訴訟判決でも確認されており,前後の行為と結び付けられて違法となることはあり得ない。 オその他,原告国立市は,被告P1の行為が,行政の「中立性及び公平性を逸脱」し,行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更であり,異例かつ執拗な目的達成行為であり,社会通念上許容される限度を逸脱しているから,違法であると主張する。 しかしながら,「中立性及び公平性を逸脱」したということについていえば,住民の意思に基づいて特定の価値の優先的な実現を図るべき地方政治においては,異なった価値の間の中立が求められることはない。また,政策目的の策定においては価値中立は不要であるが,政策を実現する段階 では価値中立が必要であるとする目的と手段を二分する考え方も,実現手段と切り離した政策目的など何の意味も持たないことからすると,成り立ち得ないものである。そもそも,国立市及び国立市民にとって,景観保持は選択済みの価値であり,景観保持を「市是」とする国立市の当時の市長である被告P1が,景観保持という政策目的のために活動することは,何ら「中立性及び公平性を逸脱」するものではない。 「異例かつ執拗な目的達成行為」についても,その意味は明らかではなく,また,本件各行為は,前記アで個別に主張したとおり,いずれも国立市長であった被告P1の権限と責任に基づく行為であって,何ら権限を逸脱した行為ではないし,被告P1が,長年の努力で保持されてきた国立市の景観を破壊するマンション計画 別に主張したとおり,いずれも国立市長であった被告P1の権限と責任に基づく行為であって,何ら権限を逸脱した行為ではないし,被告P1が,長年の努力で保持されてきた国立市の景観を破壊するマンション計画について,住民に警鐘を発し,そのマンションを違法建築物とした判決に依拠した発言を行い,関係機関に可能な措置の要請を行うことなどは,首長の役割の積極的な発揮であって,「異例」とか,「執拗」などと評価されるべきものではない。さらに,第3行為については,市議会での答弁を2回したというだけであり,第4行為についても,建築事務所や都知事に対する要請・抗議は,それぞれの段階に応じて行ったものであり,「異例かつ執拗な目的達成行為」とされるようなものでは全くない。 「急激かつ強引な行政施策の変更」についても,住民意思の変化や社会情勢の変動により政策が変更されることは当然であり,それを急激かつ強引であるという理由で違法とすることはできない。また,国立市では,αの景観を保持することがかねてからの重点政策となっており,P2による本件建物の建築が問題となってから,政策が変更されたというわけでもない。しかも,都市計画法の地区計画を活用した法的規制によって景観保持を図ることは法的に想定されていたものであり,P2にとっても,地区計画と条例改正による法的規制は十分予測できたのであるから,本件地区計 画の決定や本件条例の制定及び施行は,P2にとっても決して「急激かつ強引な行政施策の変更」ではない。本件地区計画の決定や本件条例の制定及び施行が,機敏かつ短時間で行われたことは確かであるが,行政側がこのように対応できたのは,住民が,完成度の高い地区計画素案を作り上げて提案し,また,地区計画制定の中で最も困難とされる地権者の同意を82%も集めたからであり,被告P1が「扇動 かであるが,行政側がこのように対応できたのは,住民が,完成度の高い地区計画素案を作り上げて提案し,また,地区計画制定の中で最も困難とされる地権者の同意を82%も集めたからであり,被告P1が「扇動」して行った「急激かつ強引な行政施策の変更」などではない。 (2) P2の損害(原告国立市)P2は,平成14年2月28日に工事施工業者から本件建物の引渡しを受けたが,同年3月1日から平成15年3月31日までの13か月間に販売引渡しができた住戸は合計124戸にすぎず,219戸近くが売れ残ってしまった。また,上記の間にP2が引渡未了物件について負担した管理費,税金額の合計は1億2817万4697円に及んでいる。 被告P1の一連の違法行為により,本件建物の住居の購入予定者が不安を覚え,本来売却できた住戸を売却できなかったことは明らかであり,それによるP2の営業損害は1500万円を下るものではない。また,被告P1の一連の違法行為によってP2の信用が毀損されたことも明らかであり,その損害は1000万円を下るものではない。 (被告P1)被告P1がP2に対して何ら違法な行為を行っていないことは前記のとおりであり,被告P1の行為によってP2には何ら損害は発生していない。 なお,第1行為に関しては,仮に被告P1による情報提供がP2によるマンション建築計画に対する住民運動のきっかけとなっていたとしても,国立市の住民運動の歴史からすれば,情報提供がなくとも住民運動が発生していたことは明らかであるから,被告P1の情報提供に起因するP2の損害は発 生していない。また,第2行為に関しては,本件地区計画の決定並びに本件条例の制定及び施行は適法なものであって,本件条例の改正により本件建物が既存不適格建築物となったことはP2が当然に甘受すべき負担であり, いない。また,第2行為に関しては,本件地区計画の決定並びに本件条例の制定及び施行は適法なものであって,本件条例の改正により本件建物が既存不適格建築物となったことはP2が当然に甘受すべき負担であり,この負担以外にP2が被った損害はない。第3行為に関しても,国立市議会における被告P1による2回の答弁は,P2の営業活動に何ら影響も与えていない。第4行為に関しても,同様に,P2の営業活動に特段の影響を与えるものではなかった。 (3) 被告P1の故意又は重過失の有無(原告国立市)被告P1は,P2による適法なマンションの建築及び販売を阻止することを目的として,本件各行為という一連の行為が普通地方公共団体の長として要請される行政の中立性及び公平性を逸脱し,行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更であり,また,異例かつ執拗な目的達成行為であると評価することができる基礎事実を認識しながら,上記一連の行為に及んでP2の適法な営業活動を妨害したのであり,このような目的を持ってなされた被告P1の行為には少なくとも重大な過失があることは明らかである。 (被告P1)ア国家賠償法における故意過失が認められるためには,一般不法行為とは異なり,違法行為の基礎事実の認識や認容だけではなく,その行為に違法性があるという認識までが必要となるから,国家賠償法1条2項に基づいて自治体の公務員に対する求償が認められるのは,公務員の行為が第三者との関係で違法であり,かつ,公務員がその行為の違法性を認識していたのにあえて行為した場合(故意)であるか,ほんの僅かな注意で違法性に気付くべきであったのに不注意にして気が付かなかったという著しい注意義務違反の場合(重過失)に限られる。 イ被告P1が当時の国立市長として行った本件各行為は,原告国 の僅かな注意で違法性に気付くべきであったのに不注意にして気が付かなかったという著しい注意義務違反の場合(重過失)に限られる。 イ被告P1が当時の国立市長として行った本件各行為は,原告国立市の主張によっても単独では違法なものではないというのであり,被告P1としては,違法性の意識を持ちようもないものであったから,被告P1について故意や重過失は認められない。 第1行為については,被告P1が,集会終了後の雑談において,P2によるマンション建築計画について,行政だけでマンション建築を止めるのは容易ではないという発言をしたというものであって,単に被告P1の事実認識を示すものにすぎず,被告P1において,これがP2に対する営業妨害となる違法なものであると認識していたとか,ほんの僅かな注意を払えば違法性に気付くべきであったのに不注意によって気が付かなかったなどということはない。第2行為についても,P2に対する各種の要請は,新指導要綱等の法令や国立市議会における陳情の採択等を受けて行われたものであり,また,本件地区計画の決定や本件条例の制定及び施行も,適法な手続を経て行われたものであり,被告P1において,違法性の意識を持ちようもなかった。第3行為についても,被告P1の発言は3か月前の司法判断に従って行われたものであり,仮に法律解釈に争いがあったとしても,争いがある中で最新の司法判断を踏まえて違法であると答弁したというものであるから,被告P1において,これがP2に対する営業妨害となる違法なものであると認識していたとか,ほんの僅かな注意を払えば違法性に気付くことができたのに,不注意によって気が付かなかったなどということはない。第4行為についても,P9らを含む住民が原告となった行政事件訴訟において本件建物の建築に対して是正命令権限を行使しな 性に気付くことができたのに,不注意によって気が付かなかったなどということはない。第4行為についても,P9らを含む住民が原告となった行政事件訴訟において本件建物の建築に対して是正命令権限を行使しないことが違法である旨の司法判断がされていることを踏まえ,かつ,議会における意見書の採択とも平仄を合わせて行ったものであって,被告P1において,これがP2に対する営業妨害となる違法なものであると認識していたとか,ほんの僅かな注意を払えば違法性に気付くべきであったの に不注意によって気が付かなかったなどということはない。 (4) 本件求償権の発生の有無(原告国立市)原告国立市の元市長であった被告P1が上記一連の行為によってP2に対して合計2500万円の損害を被らせたため,原告国立市は,国家賠償法1条1項に基づき,P2に対して損害賠償責任を負うこととなり,平成20年3月27日,P2に対し,P2訴訟の控訴審判決に従って損害賠償金2500万円及び遅延損害金623万9726円の合計3123万9726円(本件損害賠償金)を支払ったのであるから,少なくとも重過失によって上記一連の違法行為を行った被告P1に対し,同項に基づきこれと同額の求償権(本件求償権)を有する。 なお,被告P1は,普通地方公共団体における政策変更あるいは遂行,発展に伴うコストを首長に転嫁することは許されないなどと主張するが,現に首長が政策を実行する過程で故意又は重大な過失による違法行為によって他人に損害を被らせているという場合には,政策が多数の住民の支持を得ていたことを理由として首長の責任を免れさせることは相当ではない。また,首長は,普通地方公共団体の長として,普通地方公共団体の行政の執行につき,広い範囲にわたって強い権限を有しているのであるから,その職務の執行によって私 長の責任を免れさせることは相当ではない。また,首長は,普通地方公共団体の長として,普通地方公共団体の行政の執行につき,広い範囲にわたって強い権限を有しているのであるから,その職務の執行によって私人の人権を侵害することのないようにより一層注意すべき義務を負っており,これに違反して第三者に損害を与えた場合にその責任を負うことは,何ら国家賠償法1条2項の趣旨に反するものでもない。仮に被告P1が主張するように首長の責任を限定的に解するとしても,被告P1による本件各行為は,私人であるP2の営業の自由を侵害する明白かつ重大な違法行為であるから,原告国立市の被告P1に対する求償権の行使が妨げられることはない。 (被告P1) ア国立市のP2に対する本件損害賠償金の支出は,国立市の住民が自ら選び取った景観保持という政策実現の結果として生じたものであり,いわば政策実現のためのコストであって,当時の国立市の市長であったP1に負担させるべきものではない。 イそもそも本件で問題となるのは,当時の国立市長であった被告P1について,原告国立市から求償請求されるべき違法な行為があったか否かであり,P2と原告国立市との関係そのものではない。首長が服しているのは一般公務員の服務規律ではなく,住民自治に基づいて政策を実行する使命であり,首長の政策実行行為は,内部的に適法な行為であっても,第三者との関係で違法とされ損害賠償の対象となることがあるから,首長による自治体の行為が第三者との関係で違法とされた場合でも,その違法が同時に首長と地方自治体との関係においても違法とされるかどうかは,別途検討されるべきである。そして,第三者に発生した損失への補償又は補償に代わる賠償は,その政策を選択した自治体(最終的には首長を選出した住民)が負担すべきであるから,首長が 法とされるかどうかは,別途検討されるべきである。そして,第三者に発生した損失への補償又は補償に代わる賠償は,その政策を選択した自治体(最終的には首長を選出した住民)が負担すべきであるから,首長が自治体との内部関係で法的責任を負う場合とは,首長が自治体の執行機関として地方自治の本旨に反した行動を取った場合,すなわち,自治体への背信行為を行った場合に限られ,具体的には,私利私欲に基づく場合,自治体への重大な損害を与えることをおよそ顧慮していない場合,明白かつ重大な法令違反がある場合に限られるというべきである。政策実行行為についての首長への責任の転嫁の抑制を重過失の有無により検討することも可能であるが,政策実行を主導する首長は,政策内容やその意味については熟知しているのが通常であり,基礎となる事実関係の認識があれば少なくとも重過失があることを認めるという原告国立市が主張する重過失論に立つと,責任が転嫁されない場合はないことになってしまうため,このような事態を回避するためには,国家賠償法1条2項に基づく求償については,首長への求償が認められるよう な自治体に対する義務違反や背信性の有無等が別途問題とされるべきである。 本件では,国立市の市長であった被告P1が目指した景観保持という利益が多数の市民の支持を得ていたことは明らかであり,恣意性や差別性がなかったこともP2訴訟の判決や前件住民訴訟判決で確定している。このように,被告P1による本件各行為は,政策実行行為又はそれに関わる行為であり,私利私欲の追求などの自治体に対する背信行為は全く介在していないことからすると,首長への責任の転嫁,すなわち,被告P1に対する求償は認められるべきではない。 (5) 本件損害賠償金の支出による損失の実質的な補填による損益相殺の可否(被告P 在していないことからすると,首長への責任の転嫁,すなわち,被告P1に対する求償は認められるべきではない。 (5) 本件損害賠償金の支出による損失の実質的な補填による損益相殺の可否(被告P1)財務会計行為による地方公共団体の損害と,当該財務会計行為の結果当該地方公共団体が利益を得,又はその支出を免れることによる利益との間に相当因果関係があると認められる限りは,その間に損益相殺が認められるべきところ,原告国立市はP2から本件寄附を受けており,この本件寄附の金額が,P2訴訟控訴審判決に基づいて原告国立市がP2に対して支払った本件損害賠償金と同額であったこと,P2自身が,P2訴訟は国立市の行為の違法性を確認するために行ったものであり,本件損害賠償金は市民の血税から支払われたものであったので受け取ることができないとコメントしていること,国立市は,本件寄附を受けるに際し,本件寄附を広く市民のために使ってもらえれば良いという趣旨をP2に確認していること,本件寄附は,一般寄附であったため条例に基づく基金は創設されず,損害賠償金の財源の大部分であった財政調整基金に積み立てられたこと,本件寄付を受けた当時の国立市長(P3)が,国立市の損害は既に填補されており,前市長である被告P1に対して求償するものはないと判断していることからすると,P2に対する本件損害賠償金の支出による原告国立市の損失と,P2からの本件寄附 の受領という原告国立市の利益との間に相当因果関係があることは明らかであり,損益相殺が認められるべきである。 (原告国立市)P2による本件寄附が原告国立市の被告 P1 に対する本件求償権の消滅事由に当たらないことは明らかであり,また,P2は,本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することは明示的に拒絶し,国立市にお よる本件寄附が原告国立市の被告 P1 に対する本件求償権の消滅事由に当たらないことは明らかであり,また,P2は,本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することは明示的に拒絶し,国立市における子供達の教育環境の整備や福祉の施策等に役立てて欲しいとの趣旨を明示して本件寄附を行っており,さらに,これを収受した国立市においても,本件寄附について,本件損害賠償金の返還ではなく,一般寄附として取り扱っていることや,P2は,本件寄附の申出前には,国立市がP2に対して本件損害賠償金に含まれていないP2訴訟の訴訟費用に係る請求をするのであれば,本件損害賠償金相当額から当該請求額を差し引いた額を寄附すると主張し,結果的に,国立市がP2訴訟の訴訟費用に係る請求を放棄することを事実上の条件として本件寄附の金額が確定したことに照らすと,本件寄附は本件損害賠償金の支出による損失を実質的に填補する趣旨のものとはいえず,このことは当時の国立市長の認識や国立市における本件寄附の内部的な処理によって左右されるものではない。 (6) 本件求償権の行使についての信義則違反の有無(被告P1)原告国立市がP2から受けた本件損害賠償金相当額の本件寄附については,仮に原告国立市がP2に支払った本件損害賠償金との関係で損益相殺がされるものではなかったとしても,本件損害賠償金の支払による国立市の損失を実質的に填補するものであることに変わりない。 そして,国立市議会は,地方自治法96条1項10号の規定に基づき,原告国立市の被告P1に対する本件求償権を放棄する旨の本件放棄議決を行っているところ,本件放棄議決について,国立市議会の裁量権の範囲の逸脱や 濫用がない以上,原告国立市の執行機関である国立市長(P4)は,本件放棄議決を執行すべき義務を負っているにもかかわら 行っているところ,本件放棄議決について,国立市議会の裁量権の範囲の逸脱や 濫用がない以上,原告国立市の執行機関である国立市長(P4)は,本件放棄議決を執行すべき義務を負っているにもかかわらず,その執行をしていないということになり,これは国立市長の形式的権限の濫用に他ならず,原告国立市が形骸化した本件求償権を行使することは,住民と議会と首長という住民自治の内的な信頼関係に違背する。 その他,原告国立市が本件損害賠償金を負担することになったとしても,その一方で,国立市β地区における建築物の高さをαのイチョウ並木の高さである20m以下に制限する旨の本件地区計画の決定や本件条例の制定及び施行により,国立市民が景観利益という大きな利益を得ていること,被告P1自身は,本件各行為により,全く私的な利益を受けていないことなどからすると,原告国立市が被告P1に対して本件求償権を行使することは信義則に反する。 (原告国立市)前記のとおり,P2が本件寄附に至った経緯及びその趣旨からすると,本件寄附は原告国立市における本件損害賠償金の支出による損失を実質的に填補するものではない上,原告国立市は,原告国立市が被告P1のP2に対する一連の違法行為による訴訟の裁判費用として3918万0904円の支出を余儀なくされており,P2から清掃施設整備協力金及び公園緑地整備協力金の7881万2000円の納入がされていないなど,被告P1の一連の違法行為によって原告国立市が被った経済的不利益は本件損害賠償金の支払にとどまらない。 また,本件放棄議決が地方自治法96条1項10号に定められた事件の議決であることは争う。普通地方公共団体の議会による権利放棄の議決(同法96条1項10号)は,普通地方公共団体の財産の取得管理処分はいずれも普通地方公共団体の長の専権事項に 10号に定められた事件の議決であることは争う。普通地方公共団体の議会による権利放棄の議決(同法96条1項10号)は,普通地方公共団体の財産の取得管理処分はいずれも普通地方公共団体の長の専権事項に属することを前提として(同法148条,149条6号),その適正を担保するために事前に審査する権限を議会に付 与したというものであることからすると,権利放棄の議決に係る議案の提出権は,執行機関として権利放棄の権限を有する首長にあり,議決機関である議会の議員にはなく,議員から提出された議案に係る本件放棄議決は同法96条1項10号の議決としては不適法である。また,本件放棄議決の内容は,前件住民訴訟判決によって原告国立市に義務付けられた被告P1に対する訴訟手続による損害賠償請求を拒絶するというもの,つまり,地方自治法の定める住民訴訟制度を否定するものであり,議会の裁量権の範囲を逸脱又は濫用するものであるから,本件放棄議決は無効である。さらに,上記のように,普通地方公共団体の財産の取得管理処分は,いずれも普通地方公共団体の長の専権事項に属するものであり,かつ,普通地方公共団体の長と議会の議員は,いずれも住民の直接選挙で選ばれて対等に民意を代表するという立場にあり,議会が長に優越する機関ではないことからすると,たとえ本件放棄議決が同法96条1項10号で定められた事件の議決として有効にされたものであったとしても,本件求償権を放棄する旨の意思表示を首長である国立市長に義務付けるものではないから,国立市長が本件求償権を放棄する旨の意思表示をしなかったとしても,何らその権限を濫用するものではない。 その他,被告P1には,P2に対する本件各行為という違法行為について,少なくとも重過失という帰責事由があること,仮に本件放棄議決が有効であるとしても,本件放棄 何らその権限を濫用するものではない。 その他,被告P1には,P2に対する本件各行為という違法行為について,少なくとも重過失という帰責事由があること,仮に本件放棄議決が有効であるとしても,本件放棄議決は,賛成11対反対9という僅差で可決されたものであること,そして,原告国立市の現市長(P4)は,「マンション訴訟で前市長が違法行為により市に与えた損失を請求する」こと,すなわち本件求償権を行使することを選挙公約に挙げて市長に当選しており,本件求償権を行使しないことこそ民意に反すること,被告P1が国立市から高額な退職金の支給を受けており,本件求償権に基づく被告P1に対する請求額が,被告P1に過大で過酷な負担を負わせるものではないことなどからすると,原告国立市が被告P1に対して本件求償権を行使することは何ら信義則に反す るものではない。 第4 当裁判所の判断 1 前件住民訴訟判決の参加的効力の有無について(1) 前提事実及び弁論の全趣旨によれば,被告P1は,前件住民訴訟において,被告であった国立市長(P3)から地方自治法242条の2第7項に基づく訴訟告知を受け,民事訴訟法42条に基づいて国立市長に補助参加していたものの,格別の主張立証は行っておらず,また,前件住民訴訟の第1審で敗訴した当時の国立市長が控訴したことに伴う控訴審でも,国立市長の補助参加人として,特段の訴訟行為をしていなかったところ,その後に就任した国立市長(P4)が控訴審の口頭弁論終結後に前件住民訴訟の控訴を取り下げたことから,被告であった国立市長が敗訴した前件住民訴訟判決が確定することとなったものと認めることができる。 (2) そこで,前件住民訴訟で被告となった国立市長に補助参加していた被告P1について,控訴の取下げによって確定した前件住民訴訟判決の効力が及ぶか 確定することとなったものと認めることができる。 (2) そこで,前件住民訴訟で被告となった国立市長に補助参加していた被告P1について,控訴の取下げによって確定した前件住民訴訟判決の効力が及ぶか否かについて検討するに,そもそも,補助参加人が被参加人である当事者に対して従属的立場にあるにもかかわらず,補助参加に係る訴訟の判決が補助参加人に対してもその効力を有するとされる実質的な根拠は,補助参加人が被参加人の訴訟の追行に現実に協力し,または,これに協力し得たにもかかわらず,被参加人が敗訴の確定判決を受けるに至ったときには,その敗訴責任は,あらゆる点で補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうからである。 この点,原告国立市が指摘するように,前件住民訴訟において,被告P1が独自の主張や証拠の提出を行っていないことは確かであるが,前件住民訴訟の経過に鑑みれば,被告P1は,P3が国立市長に在職している間は,国立市長との間に利害の対立等もなかったことから,自らが行うべき主張立証や控訴等の訴訟行為を被参加人である従前の国立市長(P3)が行っていた ため,前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論終結に至るまで,格別の主張立証等を行っていなかったものと推認することができる。このように,被告P1は,前件住民訴訟において,従前の国立市長による主張立証や控訴の提起を実質的に自らの訴訟行為と同視していたところ,その後にされた新たな国立市長(P4)による控訴の取下げにより,この訴訟行為を無意味なものとされてしまったと評価することができる。また,国立市長による控訴の取下げがされた時点で前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論が終結していたということも,原告国立市の指摘するとおりであるが,被告P1は,控訴審で新たに提出された証拠を踏まえ,第1審判決の当否についての判断を含 げがされた時点で前件住民訴訟の控訴審の口頭弁論が終結していたということも,原告国立市の指摘するとおりであるが,被告P1は,控訴審で新たに提出された証拠を踏まえ,第1審判決の当否についての判断を含めて控訴審判決を受ける利益を有しており,控訴審判決に対して不服があれば,被参加人である国立市長が上告又は上告受理申立てをしない場合でも,自ら上告又は上告受理申立てをすることができたところ,国立市長による控訴の取下げにより,このような機会も奪われるに至ったということができる。 結局,前件住民訴訟における被参加人である国立市長による控訴の取下げは,被告P1が実質的に自らの訴訟行為に代わるものとしていた従前の国立市長による訴訟活動と抵触するものであり,また,被告P1が控訴審判決を受ける機会及びこれに不服のある場合には上訴するという機会を奪うものであって,民事訴訟法46条3号の「被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。」に該当するものと認めるのが相当である。 (3) そうすると,本件訴訟においては,前件住民訴訟判決の効力が補助参加人であった被告P1に及ばないというべきであるから,このこと(参加的効力がないこと)を前提として,改めて,原告国立市の被告P1に対する求償請求の可否について,審理及び判断すべきことになる。 2 原告国立市の被告P1に対する本件求償権に基づく求償請求の可否について(1) 原告国立市の被告P1に対する本件求償権に基づく求償請求については,請求原因として,国家賠償法1条1項に基づく原告国立市のP2に対する損 害賠償債務の発生原因事実(被告P1のP2に対する違法行為,P2の損害等)のほか,国家賠償法1条2項の求償権の発生原因事実(原告国立市による本件損害賠償金の支払,被告P1の故意又は重過失)が主張立証される必要があ 原因事実(被告P1のP2に対する違法行為,P2の損害等)のほか,国家賠償法1条2項の求償権の発生原因事実(原告国立市による本件損害賠償金の支払,被告P1の故意又は重過失)が主張立証される必要があり,また,抗弁として,本件損害賠償金の支出による損失の実質的な補填による損益相殺の可否,信義則違反の有無が問題となる。 この点,前提事実のとおり,P2訴訟の控訴審判決では,原告国立市の被告P1に対する求償権の前提となる被告P1のP2に対する違法行為及びP2の損害が認定されており,前件住民訴訟判決でも,被告P1のP2に対する違法行為等が認定されるとともに,上記の違法行為について被告P1に少なくとも重過失があったことが認定されているところではある。 しかしながら,その一方で,前提事実(5)ア(ア)のとおり,前件住民訴訟判決がされた後の平成25年12月19日,国立市議会において,原告国立市の被告P1に対する本件求償権を放棄する旨の本件放棄議決がされているところ,被告P1は,本件放棄議決がされていることなどを理由として,原告国立市による本件求償権の行使が信義則に違反すると主張することから,以下,検討する。 (2) まず,前提として,本件放棄議決が議員の提出した議案に基づくものである点について検討するに,原告国立市は,議員には地方自治法96条1項10号の権利放棄の議決に係る議案の提出権がないことを理由として,本件放棄議決が不適法であると主張する。しかしながら,同法112条1項は,普通地方公共団体の議会の議員は,議会の議決すべき事件につき,議会に議案を提出することができる旨を規定しているところ,議会の議決事項の一つである同法96条1項10号の権利放棄の議決に係る議案提出権について,予算のような議員に議案提出権がない旨の規定(同法112条1項ただし書) ることができる旨を規定しているところ,議会の議決事項の一つである同法96条1項10号の権利放棄の議決に係る議案提出権について,予算のような議員に議案提出権がない旨の規定(同法112条1項ただし書)が存在しないことからすると,普通地方公共団体の議会の議員には同号の権利放棄の議決に係る議案提出権があるものと解するのが相当であり,議員の 提出した議案に係るものであることを理由として本件放棄議決の効力が否定されることはないというべきである。 (3) 次に,本件放棄議決の内容について検討するに, 次のアないしオなどの判示の事情の下では,原告国立市の被告P1に対する本件求償権については,その行使を命じる旨の前件住民訴訟判決がされていることや,原告国立市の現在の市長であるP4が,平成23年4月24日に実施された国立市長選挙に立候補するに当たり,P2訴訟に関して被告P1が違法行為によって原告国立市に与えた損失を請求することを公約の一つとして掲げていたこと(甲A5)などを考慮したとしても,国立市議会において原告国立市の被告P1に対する本件求償権を放棄する旨の議決をすることが,普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする地方自治法の趣旨等に照らして不合理であってその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認めることはできないというべきである。 ア前提事実(3)エの各事実によれば,P2は,本件寄附に際し,本件建物の建築に関連する国立市の都市計画課等ではなく,国立市教育委員会に相談をし,本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することを明示的に拒絶した上で,国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいとの趣旨を明示して本件寄附をしており,国立市とP2との間の紛争の経過等を併せ考えると,P2は,自身が国 を明示的に拒絶した上で,国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいとの趣旨を明示して本件寄附をしており,国立市とP2との間の紛争の経過等を併せ考えると,P2は,自身が国立市に対して本件損害賠償金の請求権を有していることを前提としつつ,国立市から支払われた本件損害賠償金を保有しているのは相当ではないという経営判断に基づき,国立市民のために広く使われることを目的として本件寄附を行ったものと認めるのが相当であること,P2は,P2訴訟においてP2の負担とされた訴訟費用に係る債権を国立市が放棄することを,本件寄附の事実上の条件としていたこと,本件寄附を収受した国立市においても,本件損害賠償金に直接関連付けたものではなく,飽くまで用途の指定されて いない一般寄附として本件寄附を受け入れていること,本件寄附が本件損害賠償金の財源となった財政調整基金に積み立てられたことも,国立市の内部的な決定に基づいて行われたものにすぎないことなど,本件寄附が国立市における本件損害賠償金の支出による損失を直接填補するものであることにそぐわない事情があることからすると,本件寄附によって本件損害賠償金の支出による損失が実質的に補填され,損益相殺によって本件求償権が消滅したとまでは認めることができない。しかしながら,P2の国立市に対する本件寄附が,国立市のP2に対する本件損害賠償金の支払を契機として行われたものであり,その金額も本件損害賠償金と同額であることなどからすると,本件損害賠償金と同額の本件寄附を受けたことにより,原告国立市の財政における計算上は,本件損害賠償金の支出による損失が,事実上解消されたものと見ることは可能である。 イ本件地区計画の決定や本件条例の制定及び施行のほか,前提事実にあるような,被告P1が当時の国立市長 ける計算上は,本件損害賠償金の支出による損失が,事実上解消されたものと見ることは可能である。 イ本件地区計画の決定や本件条例の制定及び施行のほか,前提事実にあるような,被告P1が当時の国立市長として行ったP2に対する要請や指導,国立市議会における答弁,建築指導事務所長や東京都知事に対する要請等のP2訴訟及び前件住民訴訟において問題とされた被告P1の各行為については,P2による本件建物の建築の阻止を主要な目的として行われたものであったとしても,一方で,前提事実によれば,本件地区計画及び本件条例による建築制限が本件土地以外の対象地区全体に及ぶことのほか,被告P1が景観保持を公約の柱の一つに掲げて平成▲年4月の統一地方選挙で国立市長に当選したこと,被告P1とP2との間には,本件土地におけるマンション建築計画以外には特段の関係が認められないことなどからすると,少なくとも,被告P1は,上記のような各行為を,P2という特定の企業の営業活動を狙い撃ち的に妨害しようとして行ったわけではなく,飽くまで,景観保持という自身が掲げる政治理念に基づいて行ったものと認めるのが相当であり,また,被告P1が,それによって,何らかの私的 な利益を得たものと認めることもできない。 そして,前提事実のようなα地域の歴史的背景のほか(別紙3の1),国立市における平成8年の旧指導要綱の制定(前提事実(2)イ(ア),別紙3の2(1)),本件土地を含む地域を景観形成重点地区の候補地であるα地域に指定する旨の平成9年の基本計画の作成(前提事実(2)イ(イ),別紙3の2(2)),同年の国立市都市景観形成審議会の答申(前提事実(2)イ(ウ),別紙3の2(3)),平成10年の景観条例の制定及び施行(前提事実(2)イ(エ),別紙3の2(4)),同年の景観条例に基づく大規模行 ),同年の国立市都市景観形成審議会の答申(前提事実(2)イ(ウ),別紙3の2(3)),平成10年の景観条例の制定及び施行(前提事実(2)イ(エ),別紙3の2(4)),同年の景観条例に基づく大規模行為景観形成基準の告示(前提事実(2)イ(オ),別紙3の2(4)),また,P2による本件建物の建築が問題となった後の事情として,平成▲年9月の新指導要綱の施行(前提事実(2)サ,別紙3の3(2)オ),同月にされた本件建物の建築計画を周辺の環境と調和を持った計画に変更するようにP2に働き掛けるように求める旨の陳情の国立市議会における採択(前提事実(2)シ,別紙3の3(2)カ),平成▲年4月の国立市都市景観審議会の被告P1に対する本件建物の高さを20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するように勧告するように求める旨の答申(前提事実(2)ハ,別紙3の(4)ウ),加えて,被告P1の国立市長在職中に決定された本件地区計画並びに制定及び公布された本件条例がその後に廃止され又は大幅に変更されたという事実も認められないことなどからすると,上記のような各行為の前提として被告P1が掲げていた政治理念自体が,民意の裏付けを欠く不相当なものであったと認めることはできない。 ウ仮にP2訴訟の控訴審判決や前件住民訴訟判決の判断を前提とするとしても,本件地区計画や本件条例自体について,その制定手続等に大きな瑕疵があるとか,その内容が違法なものであると認めることはできず,本件地区計画の決定及び本件条例の施行に伴って本件建物が既存不適格化し,それによってP2に何らかの不利益が生じたとしても,これをもって損害 賠償請求の理由となる損害ということはできないというべきであり,本件地区計画の決定並びに本件条例の制定及び施行自体についての被告P1の行為を違法行為と認めることは としても,これをもって損害 賠償請求の理由となる損害ということはできないというべきであり,本件地区計画の決定並びに本件条例の制定及び施行自体についての被告P1の行為を違法行為と認めることは困難である。結局のところ,上記各判決で違法行為とされた被告P1の行為は,個々の行為を単独で取り上げた場合には不法行為を構成しないこともあり得るけれども,一連の行為として全体的に観察すれば,地方公共団体の長として社会通念上許容される限度を超えており,P2に許されている適法な営業行為である本件建物の建築及び販売等を妨害したものと判断せざるを得ないという程度のものであって,違法性の高いものであったと認めることはできない。 エ証拠(甲B89,97,98,106,107の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,原告国立市が指摘するように,原告国立市は,本件損害賠償金を支出しているほか,① P2訴訟に関して,弁護士費用等の裁判費用として3918万0904円を公金から支出しており,② 本件建物についての新指導要綱に基づく清掃施設整備協力金及び公園・緑地整備協力金を7881万2000円と試算していたところ,P2との間の景観条例に基づく手続が未完であったため,新指導要綱の事前協議の完了及びその後の手続である当該事業計画に対する承認ができずに,上記協力金の納入手続が実施できない状況にあるものと認めることができるものの,原告国立市の主張する上記のような負担や不利益については,被告P1が法的な責任を負うべきものと認めるに足りる証拠はないし,そもそも,上記のような負担や不利益は本件求償権の基礎又は内容になっていない。 オ証拠(甲B108)及び弁論の全趣旨によれば,原告国立市が指摘するように,被告P1は,国立市長の任期が満了となるに当たり,1330万円の退職手当を 益は本件求償権の基礎又は内容になっていない。 オ証拠(甲B108)及び弁論の全趣旨によれば,原告国立市が指摘するように,被告P1は,国立市長の任期が満了となるに当たり,1330万円の退職手当を2回にわたって受領していることが認められるものの,被告P1は現に通算8年にわたって国立市長として職務を行っていたのであり,いずれの退職手当も正当な手続に基づいて支払われたものであって, 上記の退職手当は正当な報酬として被告P1が保有すべきものである。 (4) 以上のように,本件放棄議決については,議案が議員によって提出されたものであることを理由として不適法となるものではなく,また,議会の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たるものと認めることもできない。 一方,国立市長は,本件放棄議決に異議があったのであれば,地方自治法176条1項に基づき,議決の日から10日以内に理由を示してこれを再議に付することができたし,また,本件放棄議決が議会の権限を超え又は法令等に違反すると認めたのであれば,同条4項に基づき,理由を示してこれを再議に付し,仮にそれによる議会の議決がなおその権限を超え又は法令等に違反すると認めたときには,同条5項に基づき,東京都知事に対して審査を申し立てることができたにもかかわらず,前提事実(5)ア(イ)のとおり,上記のような同条に基づく手続をとっていないのである。 そうすると,国立市長が,地方自治法176条に基づいて本件放棄議決を再議に付する手続をとっていないにもかかわらず,被告P1に対する本件求償権の放棄の意思表示をしないことは,普通地方公共団体の長としての権限を濫用するものといわざるを得ず,原告国立市の主張するその他の事実を考慮したとしても,原告国立市が被告P1に対して本件求償権を行使することは,信義則に反するものと ,普通地方公共団体の長としての権限を濫用するものといわざるを得ず,原告国立市の主張するその他の事実を考慮したとしても,原告国立市が被告P1に対して本件求償権を行使することは,信義則に反するものとして許されないというべきである。 3 結論よって,前提となる被告P1のP2に対する違法行為の有無や,被告P1の故意又は重過失等について判断するまでもなく,原告国立市の請求は理由がないというべきであるから(被告P1は,本件放棄議決等を理由とする信義則違反の主張を予備的主張としているが,攻撃防御方法の判断の順番について,裁判所が拘束されるものではない。),これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官増田稔 裁判官齊藤充洋 裁判官不破大輔 (別紙3)本件土地に本件建物が建築されるに至った経緯等 1 本件土地を含む周辺土地の歴史・地域性等(1) 関東大震災後,P21株式会社社長であったP22は,地震の被害が少なく緑に恵まれた当時のγ村北部の山林に着目し,大正末期にキャンパスが手狭になり,同震災で被害を受けた東京商科大学(当時δ所在。P23学長とP22とは懇意であった。)などを招致し,理想的な学園都市を造りたいとの構想のもと,ドイツの大学都市(ゲッティンゲンといわれている。)をモデルとしたまちづくりを設計させた。そして,地主から土地の買収を進めるとともに,同所北側を走る現在のJR中央本線に新駅を誘致し,駅前ロータリーから南北に伸びる広幅(約44m)の直線道路(本件土地の南端側にある江戸街道に至るまでの約1.2㎞であり,現在のα(後記(8)参照))を中 北側を走る現在のJR中央本線に新駅を誘致し,駅前ロータリーから南北に伸びる広幅(約44m)の直線道路(本件土地の南端側にある江戸街道に至るまでの約1.2㎞であり,現在のα(後記(8)参照))を中心に対称的に南西と東南に真っ直ぐ伸びる通りを造り,上下水道,電気を供給し,200坪を単位とする宅地を整然と区画するなどして整備した。大正15年3月の新駅(当時は国立停車場と称していた。)開業直前頃にこの地域の町名を「国立」(国分寺と立川の間だからといわれている。)とすることが決まった。そして,昭和2年に東京商科大学が移転(昭和5年に第2次移転)し,国立駅南側のα及び東京商科大学を中心とする一帯は,その頃から計画的に分譲されていった。 (2) 当初の住民は多くはなかったが,新住民たちは,昭和3年に国立会という町内会を結成し,昭和9年頃にαの緑地帯に桜を植えて世話をしたり,有志で自警団を組織したりするなどした。その後,桜と交互にイチョウも植えられるようになり,αの並木道は次第に整えられていった。昭和16年には,学校法人P9(以下「P9」という。)の前身であるP24中学校が設立された。昭和26年4月1日,ε町はζ町となった。 地域住民の意向をくんだζ町は,歓楽街になることを防ぎ風紀の乱れを浄化するため,東京都知事に文教地区の申請手続をし,昭和27年,一橋大学(昭和24年5月に東京商科大学から新制の一橋大学になった。)からαの北側の地区が文教地区に指定された。なお,本件土地は文教地区には入ってない。その後ζ町の居住人口が増加し,昭和42年1月1日,市制が施行され国立市になった。国立市には,一橋大学,P9のほか,P25高校,P26高校,P27など多数の教育施設の参集があり,文教都市として発展していった。 (3) 昭和44年,交通量 月1日,市制が施行され国立市になった。国立市には,一橋大学,P9のほか,P25高校,P26高校,P27など多数の教育施設の参集があり,文教都市として発展していった。 (3) 昭和44年,交通量の増加等による児童・生徒の交通安全の見地から,αのP25高校前(本件土地の東北側)に歩道橋設置を求める要請がされ,国立市は東京都に歩道橋設置を申請した。ところが,αに歩道橋を設置することは美観上芳しくないなどの意見が出され,訴訟にまで発展したことがあった(結局,歩道橋は設置された。)。 (4) 昭和45年法律第109号による建築基準法の改正に伴い,用途地域の見直しが行われた。昭和47年の東京都の用途地域に関するガイドライン(地域地区指定基準)によれば,一橋大学以南750mのαの両側20mに所在する住宅地は第2種住居専用地域になるはずのものであった。当時の国立市長は,東京都のガイドラインどおりの案を国立市議会の了承を得て,東京都に提出したが,景観破壊を危惧した周辺住民らは,上記地域を規制の厳しい第1種住居専用地域にするよう求め,再検討がされた結果,昭和48年11月頃に上記地域は,建物の高さを10m以下とする第1種住居専用地域に指定されるに至った(一種住専運動)。なお,本件土地を含む地域は,当初のガイドラインどおり第2種住居専用地域に指定された。 (5) 昭和48年3月頃,P9男子部門東側のα沿いの土地に7階建て80戸のマンション建設計画が持ち上がった。しかし,P9や近隣住民らの反対運動と交渉の結果,当初の計画は見直され,その後,2階建てのテラスハウスが 建設された。 (6) 本件土地は,国立駅から約1160mの距離にあり,その一部が国立分譲地の南側に属していたが,昭和7年頃からは住宅敷地ではなく塗料工場の敷地になっていた。本件土地は が 建設された。 (6) 本件土地は,国立駅から約1160mの距離にあり,その一部が国立分譲地の南側に属していたが,昭和7年頃からは住宅敷地ではなく塗料工場の敷地になっていた。本件土地は,昭和40年頃,当時のP5株式会社(以下「P5」という。)が所有するに至り,昭和41年頃,地上4階地下1階・高さ約16m,延べ床面積1万2398㎡(その後増築され,床面積1万8616㎡)のP6(旧建物)の敷地として利用された。 本件土地は,昭和48年11月頃,第2種住居専用地域(前述),第1種高度地区,準防火地域に指定され,建ぺい率60%,容積率200%とされた。昭和51年法律第83号による建築基準法改正によって,事務所の用途に供する部分の床面積の合計が1500㎡を超える建築物の建築が禁止され,本件土地上のP6(旧建物)が既存不適格になったため,P5は,昭和62年頃,国立市長に,本件土地を第2種住居専用地域から住居地域に用途地域を変更するよう陳情したが,受け入れられなかった。そのため,P5は,本件土地にあったP6(旧建物)を大規模化することができなくなり,平成2年にηに用地を購入し,平成6年5月に同所をオープンして,平成7年11月に本件土地から撤退し,本件土地を売却する意向を固めた。 (7) 東京都は,平成8年6月頃,本件土地(ごく一部を除く。)を含む区域について,都市計画決定により第2種中高層住居専用地域に指定した。また,本件土地の北側にあるP9のある区域を第1種中高層住居専用地域に,その東側で本件土地の北側に当たるα沿いの区域を第1種低層住居地域に,本件土地の西側と南側を第2種中高層住居専用地域にそれぞれ指定した。本件土地が,第1種高度地区であることや建ぺい率及び容積率については従前どおりである。 上記指定について,国立市は,平 居地域に,本件土地の西側と南側を第2種中高層住居専用地域にそれぞれ指定した。本件土地が,第1種高度地区であることや建ぺい率及び容積率については従前どおりである。 上記指定について,国立市は,平成6年3月20日付け「市報くにたち」に用途区域の見直し案を公表し,その内容について,同月29日から同年4 月15日まで合計7回にわたって住民説明会を開催した。その結果を考慮して策定された東京都の原案は,平成7年4月24日から同年5月19日までの間,国立市役所において縦覧に供され,同年6月22日に公聴会が開催され,平成8年1月19日から同年2月2日までの間同案が重ねて国立市役所において縦覧に供された。これに基づいて東京都知事から正式に都市計画決定がされ,本件土地は,第2種中高層住居専用地域に指定されたが,これについて国立市やP9を始めとする周辺住民らから東京都などに働き掛けをした形跡はない。 (8) αは,道路の中心から左右両端に向かって各7.3mの車道,約1.7mの自転車レーン,約9mの緑地帯,約3.6mの歩道が配置され,緑地帯にある高さ約20mのイチョウや桜の並木などが評価され,昭和50年にP28新聞の「文化の薫る町番付表」で国立市は東前頭筆頭にランクされ,昭和57年10月1日には,東京都の「新東京百景」に選ばれるなど,多くの人々から高い評価を得るようになった。また,現在でも,多くの住民がボランティアでαの清掃その他の活動を続けている。(乙A52ないし57,59ないし66)(9) 平成▲年4月に実施された統一地方選挙で景観保持を公約の柱の一つに掲げていた被告P1が国立市長に当選した。(乙A14ないし16) 2 国立市の景観をめぐる施策等(1) 国立市は,平成8年4月1日,市内における開発行為等によって,無秩序な市街化が行わ の一つに掲げていた被告P1が国立市長に当選した。(乙A14ないし16) 2 国立市の景観をめぐる施策等(1) 国立市は,平成8年4月1日,市内における開発行為等によって,無秩序な市街化が行われることを規制することなどを目的として,国立市開発行為等指導要綱(以下「旧指導要綱」という。)を制定した。 (2) 国立市は,平成9年に本件土地を含む地域を景観形成重点地区の候補地である「α地域」とし,本件土地の東側の一部を含む一帯をそのうちの「Cα沿道地区(学園・住宅地区)」に指定するという内容を含む「国立市都市景観形成基本計画-都市景観形成上重要な地域における基本方針」(甲B68, 乙A12)を決定した。同計画において,「α地域」は,「沿道の建築物がαの並木や街路全体の雰囲気と調和することが景観形成上極めて重要である」と指摘され,「Cα沿道地区(学園・住宅地区)」の都市景観の特性として,「沿道には,低層住宅が並び,αの並木等と調和した景観を作っているブロックも少なくない」として,美しい景観を地域の市民が積極的に参加して維持・形成している旨指摘された。 (3) 国立市都市景観形成審議会は,平成9年12月19日,国立市長に対し,「国立市都市景観形成条例・規則(案)の策定並びに国立市都市景観形成基本計画改定(案)について」と題する答申(乙A11)を行った。その中で,国立市の重要な景観資源の一つである国立駅周辺及びαの美しい景観が,既存建物の高さを超えた高層マンションの林立によって損なわれつつあり,平成元年以降に行われた都市計画変更以降に,従来の高さを超える高層建築物が出現するようになったことを指摘した上で,優れた景観を守り,更に育てるためには,景観資源となる建物や並木と調和した街並みが形成されるよう都市計画を適切に行い,景観条例によ の高さを超える高層建築物が出現するようになったことを指摘した上で,優れた景観を守り,更に育てるためには,景観資源となる建物や並木と調和した街並みが形成されるよう都市計画を適切に行い,景観条例による重点地区景観形成計画を定めて実行していくことが必要であって,その際,駅周辺やα沿道の建物の高さはおおよそ20m程度の高さで並ぶαの並木と調和したものになるよう特に留意すべきである旨の指摘がされた。 (4) 平成10年3月30日に国立市都市景観形成条例(平成10年国立市条例第1号。以下「景観条例」という。甲B69,乙A13)が公布され,同年4月1日から施行された。この条例の中で,事業者の積極的な景観形成への寄与努力義務と市長の景観形成に関する施策への協力義務(同条例8条)や,大規模行為の届出をした者に対しては市長は必要な措置を講ずるよう助言,指導をすることができる(同条例15条から17条まで)旨などが規定された。景観条例に基づいて,同年12月28日に,大規模行為景観形成基準(甲B70)が告示(施行は平成11年1月1日)され,市民と事業者と行政で 共働してまちづくりを進める旨と延べ1000㎡以上や高さ10m以上の建物の新築工事をしようとする建築主は周囲の建築物等との調和を図り,美しい街並みをつくる旨などが定められた。 3 P2による本件土地の取得及び本件建物建築までの経緯等(1) P2の本件土地買付けと本件建物の建築計画等ア P2は,平成▲年4月頃,本件土地の物件概要を知るに至り,同所における大規模マンション建設の可能性に関する調査を開始し,同年5月21日,国立市や東京都多摩西部建築指導事務所(以下「建築指導事務所」という。)の各担当部局との間で,本件建物の建築計画に関する開発相談及び建築確認相談を開始した(なお,国立市 査を開始し,同年5月21日,国立市や東京都多摩西部建築指導事務所(以下「建築指導事務所」という。)の各担当部局との間で,本件建物の建築計画に関する開発相談及び建築確認相談を開始した(なお,国立市の都市計画課からは,α沿いは関係市民団体の関心が特に高いこと,当時,α沿いの建物について景観権を巡り裁判中であること,景観条例に基づき,大規模行為届出書の提出が必要であること,景観条例では,色彩計画や壁面線等について規制することがあるが,高さ・日影等建築基準法で定められている事項については言及していないこと等を聴取した。)。 イ被告P1は,平成▲年7月3日,「P7」の主催するP8株式会社によるマンション建築計画に関する懇談会に参加し,懇談会終了後の雑談の中で,本件土地におけるマンション建築計画について話した上,景観にそぐわないマンション建築計画について,行政だけで止めるのは容易ではないという趣旨の発言等をした。(甲B6,52,乙A84の6及び7)ウ P2は,検討の結果,本件土地に大規模マンションの建築が可能であると判断し,平成▲年7月22日,P5から,本件土地を90億2000万円で購入し,同年8月2日,東京都知事に対し,本件土地を中高層共同住宅(販売用)として利用する旨記載した土地売買等届出書を提出した。 エ P2から本件建物の建築を請け負ったP18株式会社(以下「P18」という。)は,本件土地について,ボーリング調査等の地盤調査を行った。 そして,本件土地の地盤構成,本件建物の各棟の構造及び重量,工事のコスト等を検討し,杭基礎による工事をする棟と直接基礎による工事をする棟を併存する方法を選択した。そして,本件土地の仮囲い工事,仮設事務所の設置,工事用インフラの整備,遣方(建築に先立って柱心等の基準となる水平位置を 基礎による工事をする棟と直接基礎による工事をする棟を併存する方法を選択した。そして,本件土地の仮囲い工事,仮設事務所の設置,工事用インフラの整備,遣方(建築に先立って柱心等の基準となる水平位置を示すために設ける仮設物)・墨出しを行った後,階数の多い棟の部分から工事を開始し,土砂崩壊を防ぐための山留め又は法切り工事と並行して,根切り工事を行う計画を立てた。 (2) 地区計画の公告・縦覧までア平成▲年8月8日,本件建物の建築計画に反対するP9,P10,P11,P12,P13,P14,P15(以下,併せて「P9ら」という。)を主な構成員とする市民団体「P16」が結成され,その代表にP13が選任された。 イ P2は,平成▲年8月18日,国立市の都市計画課に対し,当時の旧指導要綱に基づく事業計画事前協議書を提出し,受理された。 東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号。以下「紛争予防条例」という。)及び同施行規則(同年東京都規則第159号)は,建築主が中高層建築物を建築しようとするときは,標識の設置や近隣関係住民に対する説明等を実施しなければならないこと,同標識は建築基準法6条1項に定める建築確認申請を行う日の少なくとも30日前までに設置しなければならないことが定められている。すなわち,建築主は,旧指導要綱に基づく事前協議書を提出してこれが受理されると,直ちに旧指導要綱並びに紛争予防条例及び同施行規則の定める標識を設置することができ,その日から30日を経過すれば,建築確認申請をすることができることになる。 ウ被告P1は,平成▲年8月19日,P2に対し,「9月1日改正予定の新しい指導要綱(国立市開発行為等指導要綱・同要綱施行基準。以下「新 指導要綱」 申請をすることができることになる。 ウ被告P1は,平成▲年8月19日,P2に対し,「9月1日改正予定の新しい指導要綱(国立市開発行為等指導要綱・同要綱施行基準。以下「新 指導要綱」という。乙A21)に基づく事前協議を行う」との文書を発し,① 新指導要綱に基づいて事前協議書を出し直すこと,② その提出時期は標識設置の2週間後とすること,③ 標識は紛争予防条例及び同施行規則の標識文言の併記をせず,国立市の単独標識とすること,各点を要請した。 しかし,P2は,この文書を国立市に返還し,同月27日,被告P1宛てに景観条例26条1項に基づく大規模行為届出書(本件建物の最高高さを55m,地上18階(地下1階)建てとする。)を提出した。 エ P2は,平成▲年8月下旬から同年9月上旬にかけて,近隣住民を戸別訪問して,本件土地上に建築する予定の本件建物に係る建築計画の概要を書面(この中には,近隣住民を「原告」と称したり,関係法規に抵触しないのに請求することは原告の過大要求である旨,文句があるなら建築主に対してではなく法律に対して文句を述べてほしい旨等が記載されたりしていた。)で説明した。(乙A87)なお,当時,P2は,住民に対する全体説明会等を開催することは考えていない旨を表明しており,他方,国立市の担当者は,P2に新指導要綱のとおりに実行するよう要請していた。 オ平成▲年9月1日,新指導要綱が施行され,10m以上の中高層建築物等の事業主は,敷地の境界から建物の高さの2倍の水平距離の範囲内の権利者(2H)等に対して,設計図等により事業計画の概要を説明し,紛争が生じないよう努めなければならないこと,事業主は,説明会を開催したときは,その内容を書面により国立市長に報告しなければならないこと等が定め )等に対して,設計図等により事業計画の概要を説明し,紛争が生じないよう努めなければならないこと,事業主は,説明会を開催したときは,その内容を書面により国立市長に報告しなければならないこと等が定められていた。 カ本件土地の近隣住民の一部は,国立市議会に対し,本件土地上に予定されている本件建物の建築計画を周辺の環境と調和を持った計画に変更するようP2に働き掛けることを求める約5万人の署名のある陳情書(ただ し,市外在住者の署名が約4分の3を占めている。)を提出し,国立市議会は,平成▲年9月22日,この陳情を採択した。(乙A24,25)キ P2は,国立市に対し,事前審査願を提出したところ,国立市は,平成▲年10月1日,近隣住民から要請されている説明会が開催されていないこと等,事前協議が終わっていないとして事前審査願の受理を拒否した。 ク国立市は,平成▲年10月5日,予定されている本件建物の建築計画への対応について,部長会を開催して検討した。(甲B21)ケ平成▲年10月7日,景観条例に基づく大規模行為届出に関して,国立市とP2との間で打合せが行われ,国立市は「(α周辺の土地に関し)建物の高さはおおよそ20m程度の高さで並ぶαの並木と調和するように」とした平成9年12月19日付けの審議会答申文をP2に示した。 また,被告P1は,平成▲年10月8日,P2に対し,景観条例28条1項に基づき,書面(甲B32,乙A26)により,周辺の建築物や20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう,計画建物の高さを低くすること,ゆとりある歩道空間を確保し,既存の植栽帯を保全するため,敷地東側(α)についてさらに壁面後退することを指導した。(乙A27)さらに,国立市は,同月12日,P2に対し,2H( すること,ゆとりある歩道空間を確保し,既存の植栽帯を保全するため,敷地東側(α)についてさらに壁面後退することを指導した。(乙A27)さらに,国立市は,同月12日,P2に対し,2H(本件土地の敷地境界線から本件建物の高さの2倍の水平距離)の範囲外の陳情者にも説明すること,説明会はブロックに分けず,2Hの範囲内で一斉にやることなどを要請した。P2は,同月13日,国立市に対し,基本的に新指導要綱に定める範囲の人々に限り開催する旨通知し,同日頃,2Hの範囲内の近隣者に対し計画説明会の案内状を配布した。 上記現場説明会は,3日間にわたり開催されたが,近隣住民の来場者は1名であった。 コ P2は,平成▲年10月19日,国立市に対し,その指導する計画建築物の高さを具体的に明示してほしい旨要請したところ,同市の都市計画課 長が「高さについては,何階建てならよいというのは条例にもないし,景観形成基本計画にもない。建物の規模に関し,何mに指導するかは今のルールにはない」旨発言した。 P2は,同月20日,同月8日付け指導に係る指導書(甲B32)について,指導内容が不明確であるとして返還した上,建築物の高さと壁面後退に関する具体的距離を明示するよう被告P1に求めた。(甲B33,乙A28)また,P18は,建築指導事務所に標識設置届を提出したが,国立市から同事務所に対し,「本件計画について十分近隣への説明がされていないので,受理しないでほしい」旨の要請があったので,受理されなかった。 P2は,同月19日,紛争予防条例及び同施行規則に基づき,本件土地上に建築予定の建物の建築計画を記載した標識を設置した(これにより,P2は,新指導要綱の適用を受けたとしても,同日から30日を経過することに 同月19日,紛争予防条例及び同施行規則に基づき,本件土地上に建築予定の建物の建築計画を記載した標識を設置した(これにより,P2は,新指導要綱の適用を受けたとしても,同日から30日を経過することによって,建築確認申請を行うことができるようになった。)。 被告P1は,同月20日,P2に対し,この標識の撤去を求めたが,P2はこれを拒否した。(甲B30,31,乙A29)被告P1は,指導内容が不明確であるとのP2の指摘について,P2に対し,平成▲年10月22日,景観条例8条により,事業者は積極的に都市景観の形成に寄与するように努めなければならないと定められていることを踏まえ,① 建物の規模をαの景観と調和するようにすることは事業者の責務であるから,建物の規模をどのようにするのかについてはP2において検討すべきこと,② 既存の植栽帯は,良い景観が形成されている場所であるから,その状態を保全するように検討すべきことを回答し,同月29日,③ 本件土地が景観条例に基づく景観形成重点地区の候補地内にあり,また,周辺が中低層住宅地であることに鑑み,αの景観に調和するよう計画を見直すよう指導したものであること,④ 大規模行為景観 形成基準は具体的な数値で規制するものではなく,事業者が景観条例に基づき,周辺の建築物等との調和を図り,都市景観の形成に寄与することを明らかにするための目安であることを回答した(甲B34,36,乙A30)。 サ P2は,平成▲年11月1日,被告P1に対し,本件建物の規模は景観条例に適合していると考えているので,同年8月27日付けの届出のとおり計画したいこと,本件建物の位置についてαの壁面後退はできないが,現状の保全維持を考えて東側全体としての植栽面積を確保するよう努力する旨の回答書を送付した。 るので,同年8月27日付けの届出のとおり計画したいこと,本件建物の位置についてαの壁面後退はできないが,現状の保全維持を考えて東側全体としての植栽面積を確保するよう努力する旨の回答書を送付した。 シ P2は,被告P1や周辺住民らからの再三の要請に応じ,近隣権利者と参加を希望する国立市民に対し,近隣説明会の案内状を配布した上,平成▲年11月6日,説明会(第1回)を開催した。同説明会では,入場をめぐる混乱,説明書の配布範囲や内容等をめぐる住民らからの批判等により,本件建物に関する事業計画の説明はほとんど実施されなかった。 ス P2は,平成▲年11月11日,国立市に対し,本件建物を当初の18階建てから14階建てに低くし,セットバックも大きくした旨報告し,同月12日,その旨の図面を持参して説明した上,同月22日,大規模行為変更届出書(本件建物の構造を地上14階地下1階建てとし,最高高さを43.65mに変更するもので,総戸数は353戸(住居は343戸),建築面積6401.98㎡であり,外観上おおむね四つの棟に分かれており,αに沿った東側の1棟はその大部分がαとの境界線から西側に20mの範囲内に位置している。)を提出した。 同月20日,近隣権利者や参加を希望する国立市民に対する説明会(第2回)が開催され,P2から,本件建物の計画変更図面が配布された。住民らからは,当初の18階建てはダミーであったなどの疑念の声があがった。 また,同月27日,説明会(第3回)が開催されたが,P9のPTA等から日照被害やP2の対応に関して批判が相次いだ。 セ国立市は,平成▲年11月24日,同年法律第87号による改正前の都市計画法(以下単に「都市計画法」という。)16条2項に基づき,本件土地を含む地域について建築 応に関して批判が相次いだ。 セ国立市は,平成▲年11月24日,同年法律第87号による改正前の都市計画法(以下単に「都市計画法」という。)16条2項に基づき,本件土地を含む地域について建築物の高さを20m以下に制限することを柱とする国立都市計画β地区地区計画(平成▲年国立市告示第4号。以下「本件地区計画」という。甲B18)の原案の公告・縦覧(縦覧は同年12月15日まで)を行い,同年12月4日,説明会を実施したところ,P2は,同月15日,上記原案に反対する意見を提出した。 (3) 本件地区計画の決定から条例の公布・施行までア P2は,平成▲年12月3日,建築指導事務所に本件建物の建築確認を申請し,同日受理され,国立市にもその旨報告した。被告P1は,P2に対し,上記確認申請を取り下げてほしい旨要請したが,P2はこれを拒否した。(甲B40の1及び2,乙A35,36)イ国立市は,平成▲年12月4日,本件地区計画原案の説明会を開催した。 ウ P2は,平成▲年12月18日,説明会(第4回)を開催した。近隣住民からは,P2の建築確認申請に対する抗議が殺到した。これに対し,P2は,国立市からいきなり本件地区計画原案が発表されたことに対する被害回避の方途である旨回答した。(甲B74)エ被告P1は,平成▲年12月の国立市議会第4回定例会において,国立市が本件地区計画策定の方針を採用したことについて,「(P2がした同年10月19日における本件建物の建築計画を記載した標識設置を指して)この看板設置が実現しますと,手続上30日を過ぎますと,東京都に確認申請を出せるという状況に当たりますので,このことでかなり緊急的に対応を迫られる状況ができたわけなんです。」と説明した。(甲B21)オ国立市は,平成14年法 0日を過ぎますと,東京都に確認申請を出せるという状況に当たりますので,このことでかなり緊急的に対応を迫られる状況ができたわけなんです。」と説明した。(甲B21)オ国立市は,平成14年法律第85条による改正前の建築基準法(以下, 改正の前後を問わず,単に「建築基準法」という。)68条の2に基づいて,「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成▲年国立市条例第30号。甲B20。平成▲年2月1日公布の「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」の基本となる条例)を制定し,これが平成▲年12月24日に公布され,平成▲年1月1日から施行された。 また,国立市は,平成▲年12月22日,都市計画法17条に基づき,本件地区計画案の公告及び縦覧(縦覧は平成▲年1月12日まで)をした。 カ被告P1は,平成▲年12月27日,P17の報道番組の中で,P2による本件建物の建築に関するインタビューに答えた。(甲B93)キ東京都建築主事は,平成▲年1月5日,P2に対し,本件建物が建築基準法6条1項の建築基準関係規定に適合している旨の建築確認をした。これを受けて,P2は,同日,直ちに本件土地の工事に着手し,着工届を建築指導事務所に提出した。 P2は,同日から,バックホー1台又は2台で本件土地の根切り工事予定部分の掘削を開始し,同月31日までに10トンダンプカー延べ853台,約4700㎥の残土を搬出した。また,P2は,同月26日,根切り工事の必要に応じて,アポロン1台,ラフター1台及びミニユンボ1台を使用して山留め工事を行った。また,同月31日までに現場仮囲い鋼板1350㎡及び場内作業床用敷鉄板150枚(計240トン)を搬入している。 ク被告P 1台,ラフター1台及びミニユンボ1台を使用して山留め工事を行った。また,同月31日までに現場仮囲い鋼板1350㎡及び場内作業床用敷鉄板150枚(計240トン)を搬入している。 ク被告P1は,平成▲年1月7日,P2の工事開始に対し,景観条例及び新指導要綱に基づく手続が完了していないので中止を求める旨要請した(甲B41)が,P2はこれを拒否した。 ケ P2は,平成▲年1月12日,国立市に対し,本件地区計画案に対する反対意見書を提出した。 コ国立市は,平成▲年1月24日,本件地区計画(乙A34)を決定し,直ちにその旨の告示(甲B18)をした(これにより,本件地区計画は,都市計画上の地区計画として,本件土地を含む地区にその効力が生じた。)。 サ被告P1は,前記「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」の一部を改正する「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」(平成▲年国立市条例第1号。 以下「本件条例」という。甲B19,乙A51)の早期制定を求める要望が多数寄せられている一方で,国立市議会の定例会により本件条例を制定することとした場合,通常の場合,条例案の可決が会期末にされることが多いことから,本件条例の可決が平成▲年3月末頃になると予想した。 そのため,本件条例案の可決については,平成18年法律第53号による改正前の地方自治法101条2項ただし書の「急施を要する場合」に当たると判断し,同年1月28日と同月31日に臨時市議会を招集することを決定し,その旨告示した。これにより国立市議会の臨時会が開催されることになったが,同日,定例の開講時刻である午前10時になっても,国立市議会議長が議会を開会しようとせず,同日午後1時過ぎに議員の過半数を ,その旨告示した。これにより国立市議会の臨時会が開催されることになったが,同日,定例の開講時刻である午前10時になっても,国立市議会議長が議会を開会しようとせず,同日午後1時過ぎに議員の過半数を超える13名が開講を請求しても,議長及び副議長が開講を拒否したため,出席議員において,臨時議長により開会を宣言し,選出された仮議長において議事を進行し,本件条例の案(甲B19,乙A51)を可決し,仮議長において,本件条例を被告P1に送付した。被告P1は,同年2月1日,本件条例を公布し施行した。(甲B65)(4) 本件建物の完成までア本件土地の周辺住民ら(以下「仮処分申立人ら」という。)は,平成▲年1月24日及び同年2月29日,それぞれ東京地方裁判所八王子支部(当時)に,P2及び本件建物の施工業者であるP18を債務者として,本件建物の建築工事禁止の仮処分を求める申立てをした。 同支部は,同年6月6日,上記仮処分の各申立てについて,本件建物は本件条例施行時に既に建築工事中であり,建築基準法に違反するものではなく,かつ,仮処分申立人らには受忍限度を超える被害が生じていないとして,上記申立てを却下する旨の決定をした。 仮処分申立人らは,この判断を不服として,東京高等裁判所に抗告したが,東京高等裁判所は,同年12月22日,本件建物は本件条例の施行時に既に建築工事中の建築物であったとは認められないとし,建築基準法に適合しない建物であるが,仮処分申立人らに受忍限度を超える被害が生じているとは認められないとして,上記抗告を棄却する旨の決定(以下「平成▲年の東京高裁決定」という。甲B90,乙A39)をした。(乙A40)イ P2は,平成▲年2月24日,国立市を被告として,東京地方裁判所に,本件地区計画及び本 棄却する旨の決定(以下「平成▲年の東京高裁決定」という。甲B90,乙A39)をした。(乙A40)イ P2は,平成▲年2月24日,国立市を被告として,東京地方裁判所に,本件地区計画及び本件条例のうち建築物の高さの最高限度を20mとする部分の無効確認等を請求する訴えを提起した。なお,同年3月9日,国立市長を被告として同旨の請求をする訴えを提起し,併合審理されることになった。(甲B4,101ないし105)ウ国立市都市景観審議会は,平成▲年4月5日,被告P1に,本件土地の建築計画について,本件建物の高さについては,20mの高さで並ぶイチョウ並木と調和するよう勧告する内容の答申(甲B76,乙A41)を行い,被告P1は,同年5月2日,P2に対し,景観条例28条2項に基づいて上記答申どおりの勧告(甲B42,77,乙A42)をした。 しかしながら,P2が同勧告に従わなかったので,被告P1は,同年7月27日,同条例29条に基づいて,P2が勧告に従わなかったことの公表をした。(甲B43,78,79,乙A43)エ被告P1は,平成▲年12月27日,東京都多摩西部建築指導事務所長(以下「建築指導事務所長」という。)に,平成▲年の東京高裁決定を引 用の上「貴職において,平成▲年の東京高裁決定を尊重した」指導を求める旨の文書(甲B44,乙A44)を送付した。 オ被告P1は,平成▲年3月6日に開かれた国立市議会の同年第1回定例会における一般質問に対する答弁として,平成▲年の東京高裁決定を根拠として,本件建物が本件条例に違反する違法建築である旨の認識を述べ,同月29日の同定例会においても同旨の答弁をした。(甲B24,25,乙A38の1及び2)カ P9を含む住民らは,平成▲年3月29日,P2を被告とし 例に違反する違法建築である旨の認識を述べ,同月29日の同定例会においても同旨の答弁をした。(甲B24,25,乙A38の1及び2)カ P9を含む住民らは,平成▲年3月29日,P2を被告として,東京地方裁判所に,本件建物のうち,高さ20mを超える部分の建築禁止ないし撤去,損害賠償を求める訴えを提起した。 キ P2は,平成▲年4月25日,国立市を被告として,損害賠償金4億円等の支払を求める訴えを提起し,さらに,国立市長を被告として,本件条例の公布行為が無効であることの確認等を求める訴えを追加的に変更し,これらは併合審理された。(甲B4,101ないし105)ク P9らを含む住民らは,平成▲年5月31日,建築指導事務所長らを被告として,東京地方裁判所に,本件建物の除去命令等を求める訴えを提起した。 ケ被告P1は,東京都知事に対し,平成▲年7月10日付けの文書(甲B45,乙A45)で,本件建物のうち,高さが20mを超える部分について,電気,ガス及び水道の供給の承諾を留保されるよう働き掛け,これが広く報道されるなどした。(甲B66)コ建築指導事務所長は,被告P1に対し,平成▲年7月18日付けの文書(甲B46)により,本件建物の建築工事には現在のところ違法性は認められず,建築基準関係規定に基づき適法に進められていると考えており,同建築工事につき供給留保の要請等を行う予定はない旨回答し,東京都水道局多摩水道対策本部長も,国立市に対し,同年8月2日付けの文書(甲 B47)により,本件建物の建築工事について,現時点では建築基準法上特定行政庁により違法との判断がされていないため,承諾の意思表示を留保するだけの理由はないと判断する旨回答した。国立市は,東京都知事に対し,同月22日付けの文書(甲B48)で, 時点では建築基準法上特定行政庁により違法との判断がされていないため,承諾の意思表示を留保するだけの理由はないと判断する旨回答した。国立市は,東京都知事に対し,同月22日付けの文書(甲B48)で,宅地建物取引業法に基づく指導を求めるなどした。 サ本件建物は,平成▲年12月に完成し,P2は,東京都建築主事から検査済証の交付を受けた。(甲B84)被告P1は,同月20日,本件建物に対する検査済証の交付について,同建築主事に抗議し,このような行為は報道等を通じて広く世間に知れ渡った。(甲B67)以上 (別紙4)前件住民訴訟判決の理由の要点 1 被告P1のP2に対する違法行為の有無について認定事実によれば,被告P1は,① 別のマンションに関する懇談会に参加した際,学校法人P9,P10,P11,P12,P13,P14,P15(以下,併せて「P9ら」という。)を含む出席者に対し,殊更本件建物の建築計画と行政における建設阻止の困難性を述べ,本件建物の建築反対運動を広げ(以下,この行為を「本件第1行為」という。),② P2が国立市の行政指導に応じないとみるや,強い意向を示して,国立市をして本件地区計画及び本件条例の制定という方策に変更させるとともに,本件建物の工事着工前の制定を目指して自ら積極的にその準備行為をし(以下,これらの行為を「本件第2行為」という。),③ 市議会においても,複数回にわたって留保を付することなく本件建物が違反建築物である旨答弁した(以下,この行為を「本件第3行為」という。)ほか,④ 上記のとおり行政側において本件建物の建築計画そのものにはその中止を求め得るだけの法令違反が存在しないことを十分に知悉しながら,東京都多摩西部建築指導事務所長( 「本件第3行為」という。)ほか,④ 上記のとおり行政側において本件建物の建築計画そのものにはその中止を求め得るだけの法令違反が存在しないことを十分に知悉しながら,東京都多摩西部建築指導事務所長(以下「建築指導事務所長」という。)に本件建物が違反建築物であることを前提に建築確認申請の判断をするよう求めたり,本件建物の一部につき電気,ガス等の供給承諾を留保するよう東京都知事に働き掛けたりするだけでなく,本件建物の完成後においても,自ら率先して,建築指導事務所長に対して本件建物に係る検査済証を交付したことに抗議し,国立市としては本件建物が違法建築物であると判断している旨の報道を繰り返させた(以下,これらの行為を「本件第4行為」という。)が,⑤ これらの行動について誤りを訂正したり,市民が抱く誤解を払拭する言動をしたりしたことはうかがわれない。 このような経緯に照らせば,被告P1による本件第1行為から本件第4行為までの一連の行為は,全体的に観察すれば,被告P1が,建築基準法に違反し ない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として,P9らにおいて妨害行為に及ぶことをも期待しながら,P2に許されている適法な営業行為,すなわち,本件建物の建築及び販売等を妨害するものというべきであり,かつ,その態様は普通地方公共団体の長として要請される中立性・公平性を逸脱し(特に本件第1行為及び本件第4行為),行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更であり(特に本件第2行為),また,異例かつ執拗な目的達成行為であって(特に本件第1行為,本件第3行為及び本件第4行為),これにより害される私人の権利に対して相応の配慮がされた形跡もうかがわれないのであるから,社会通念上許容される限度を逸脱しているというべきである。 そうす 1行為,本件第3行為及び本件第4行為),これにより害される私人の権利に対して相応の配慮がされた形跡もうかがわれないのであるから,社会通念上許容される限度を逸脱しているというべきである。 そうすると,以上の行為については,被告P1が,P2に対して負う職務上の法的義務に違反したものと認められるから,国家賠償法1条1項にいう違法があるというべきである(以下,被告P1らによる本件第1行為から本件第4行為までの一連の行為を「本件違法行為」という。)。 2 被告P1の故意又は重大な過失について認定事実によれば,被告P1が本件第1行為から本件第4行為までの各行為に及んだ動機がαの景観を保持するためであったことは優に推認することができるものの,被告P1は,前記のとおり,建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として,一連の本件違法行為が,普通地方公共団体の長として要請される中立性・公平性を逸脱し,急激かつ強引な行政施策の変更又は異例かつ執拗な目的達成行為であると評価することができる基礎事実を十分に認識しながら,本件違法行為に及んでP2の適法な営業活動を妨害したと認められる以上,少なくとも重大な過失があることは明らかというべきである。 3 P2の損害の有無及び額についてP2が本件違法行為により被った損害額の合計は,2500万円であると認 められるから,国立市がP2に対して支払った損害賠償金(遅延損害金も含む。)の額も相当と認められる。 4 国立市の被告P1に対する国家賠償法1条2項による求償権の成立について被告P1は,その職務を行うについて,重大な過失により,国家賠償法上違法である本件違法行為をし,これによってP2に2500万円の損害を与えたから,国立市は,P2に対し,国家賠償法1条1 いて被告P1は,その職務を行うについて,重大な過失により,国家賠償法上違法である本件違法行為をし,これによってP2に2500万円の損害を与えたから,国立市は,P2に対し,国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負うものと認められる。 そこで,国立市は,平成20年3月27日,P2に対し,P2訴訟の控訴審判決で認められた不法行為による損害賠償金2500万円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金623万9726円の合計3123万9726円(以下「本件損害賠償金」という。)を支払ったことにより,被告P1に対し,国家賠償法1条2項により,これと同額の求償権(以下「本件求償権」という。)を取得したものと認められる。 5 本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無又は求償権行使の信義則違反の成否について(1) P2の国立市に対する平成20年5月16日の3123万9726円の寄附(以下「本件寄附」という。)は,国立市による本件損害賠償金の支払を契機として行われたもので,本件損害賠償金と同額のものではあるが,①P2においては,本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することは明示的に拒絶し,国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいとの趣旨を明示して拠出されたものであり,② これを収受した国立市においても,本件損害賠償金の返還ではなく一般寄附として取り扱ったものであること,③ P2は,本件寄附の申出前には,国立市が同社に対して本件損害賠償金に含まれていないP2訴訟の訴訟費用に係る請求をするのであれば,本件損害賠償金相当額から当該請求額を差し引いた額を寄附する旨述べ,結果的に,国立市がP2訴訟の訴訟費用に係る請求を 放 害賠償金に含まれていないP2訴訟の訴訟費用に係る請求をするのであれば,本件損害賠償金相当額から当該請求額を差し引いた額を寄附する旨述べ,結果的に,国立市がP2訴訟の訴訟費用に係る請求を 放棄することを事実上の条件として本件寄附の金額が確定したことに照らすと,本件寄附は,本件損害賠償金を実質的に填補する趣旨でされたものとはいえず,これをもって国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅したと認めることはできない。 (2) 前記1のとおり,被告P1は,普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら,建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として,少なくとも重大な過失により,自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び,これによりP2に損害を与えたことから,国立市らを相手とするP2訴訟を提起され,国立市においてP2に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり,上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと,国立市がP2から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても,なお国立市が被告P1に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである。 6 国立市長が本件違法行為に係る求償権の行使を違法に怠っているか否かについて国立市長による本件求償権の不行使は,違法な怠る事実に当たるというべきである。 以上 主文 いうべきである。 以上
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