令和2(ワ)466 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年10月4日 東京地方裁判所
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判決文本文38,493 文字)

令和4 年10 月4 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2 年(ワ)第466 号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和4 年7 月26 日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 請求1(1) 主位的請求被告は、原告に対し、4 億9212 万円及びこれに対する令和2 年3 月28 日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 (2) 予備的請求 被告は、原告に対し、4 億9212 万円及びこれに対する令和2 年3 月28 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 請求2(選択的請求)(1) 被告は、原告に対し、188 万円及びこれに対する令和2 年3 月28 日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 (2) 被告は、原告に対し、188 万円及びこれに対する令和2 年3 月28 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、携帯型翻訳機の製造販売を行う原告(以下、特に明示しない限り原告のグルー プ会社を含む。)が、被告との間で原告の製品に係る独占販売権を付与する基本契約(以下 「本件基本契約」という。)を締結し、その後、被告との間で原告の新製品(以下「原告新製品」という。)を独占販売権の対象に追加する変更契約(以下「第4 変更契約」という。)を締結したところ、被告に対し、以下のとおりの主張をする事案である。 (1) 請求1(1)について被告は、本件基本契約及び第4 変更契約に基づく債務として原告新製品を所定の数量購 入すべき義務を負っていた ろ、被告に対し、以下のとおりの主張をする事案である。 (1) 請求1(1)について被告は、本件基本契約及び第4 変更契約に基づく債務として原告新製品を所定の数量購 入すべき義務を負っていたにもかかわらず、原告新製品を購入しなかったため、民法415条に基づき、●(省略)●(以下「ドル」という。)の損害のうち4 億9212 万円の損害賠償及びこれに対する令和2 年3 月28 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第45 条に基づく改正前の商法(以下「平成29 年改正前の商法」という。)所定の商事法定利率(年6%の割合)による遅延損害金の支払を求める。 (2) 請求1(2)について第4 変更契約の締結による原告新製品の独占販売権の付与等により、原告には、個別契約の締結によって第4 変更契約所定の最低購入数の原告新製品を購入してもらえるという合理的な期待が生じたところ、被告は、このような原告の期待を侵害しないという契約交渉段階における信義則上の義務に違反したことから、民法709 条に基づき、請求1(1)と同 額の損害賠償及びこれに対する前同日から支払済みまで平成29 年法律第44 条に基づく改正前の民法(以下「平成29 年改正前の民法」という。)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。 (3) 請求2(1)について被告は、原告新製品に係る原告の別紙製品情報目録記載の情報(以下「本件製品情報」 という。)及び別紙予定情報目録記載の情報(以下「本件予定情報」という。また、これと本件製品情報を併せて「本件各情報」という。)を流用してこれに類似する製品を製造販売し、本件基本契約所定の秘密保持義務を履行しなかったことから、民法415 条に基づき、●(省略)●の損害のうち188 万円の損害賠償及び 「本件各情報」という。)を流用してこれに類似する製品を製造販売し、本件基本契約所定の秘密保持義務を履行しなかったことから、民法415 条に基づき、●(省略)●の損害のうち188 万円の損害賠償及びこれに対する前同日から支払済みまで平成29 年改正前の商法所定の商事法定利率(年6%の割合)による遅延損害金の支払を求 める。 (4) 請求2(2)について被告は、不正の利益を得る目的又は原告に損害を加える目的で、原告から開示された原告の営業秘密である本件製品情報を使用して原告新製品に類似する製品を製造販売するという不正競争(不正競争防止法2 条1 項7 号)を行ったことから、不正競争防止法4 条(損害額につき同法5 条2 項)に基づき、●(省略)●の損害のうち188 万円の損害賠償及び これに対する前同日から支払済みまで平成29 年改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 前提事実(証拠等の掲示のない事実は当事者間に争いがない。なお、枝番号の記載を省略したものは枝番号を含む。以下同じ。)(1) 当事者 ア原告は、携帯型翻訳機「Travis」を製造販売しているオランダ国籍の会社である。 原告の代表者は「G-TerraB.V.」というオランダ国籍の会社であり、その代表者は、Aである。 イ被告は、パソコン・スマートフォンソフトウェア及びハードウェア製品の企画・開発・販売をしている株式会社である。 ウ TRAVISBV(以下「BV 社」という。)は、原告のグループ会社の1 つである。 (2) 本件基本契約被告とBV 社は、平成29 年(2017 年)9 月13 日、BV 社の携帯型翻訳機「Travis1.0」について、BV 社が被告に対して日本における独占的販売権を ある。 (2) 本件基本契約被告とBV 社は、平成29 年(2017 年)9 月13 日、BV 社の携帯型翻訳機「Travis1.0」について、BV 社が被告に対して日本における独占的販売権を付与すること等を内容とする「継続的製品販売のための基本契約」(本件基本契約。甲3 の1)を締結した。本件基本契 約には、次の記載がある(なお、原文の「売主」は「BV 社」と、「ソースネクスト」は「被告」と読み替える。)。 ア 1 条(一般条項)「本契約は、販売者であるBV 社と購入者である被告との間でなされる、別紙に定める製品(以下「製品等」という。)の売買取引に関する基本的事項を定めるものである。」 イ 2 条(個別契約) 「1. 製品等の価格は、BV 社により作成され、被告に本契約締結前に開示された価格リスト等の書面に記載される価格、又は本契約締結後にBV 社と被告との間で特に合意された価格とする。当該製品等の価格については、販売手数料を含むが、税金、製品の梱包料その他の付随的な費用を含まない。」「3.個別契約は、名称、数量…、納品方法、納品日、納品場所その他被告が指定する製 品等の詳細が記載された書面の発注書の送付により、被告が製品等の注文を行い、BV 社が当該注文を承諾することにより効力を生じる。…独占的な付与BV 社は、地域内における製品にかかる独占的な権利について被告を指名する。かかる指名は、最初の5000 台の製品等の注文について、30%の頭金がBV 社に支払われた日又は遅 くとも2017 年9 月15 日から有効になるものとする。 被告は、少なくとも5000 台の製品等を最初の6 ヶ月の間に発注するものとする。その後、発注されるべき製品等の最小数については、以下の累計ベースによ 7 年9 月15 日から有効になるものとする。 被告は、少なくとも5000 台の製品等を最初の6 ヶ月の間に発注するものとする。その後、発注されるべき製品等の最小数については、以下の累計ベースにより算定される。 最初の1 年間に発注されるべき製品等の数 累計ベースで10,000 台 最初の1 年半の間に発注されるべき製品等の数 累計ベースで15,000 台最初の2 年間に発注されるべき製品等の数 累計ベースで20,000 台被告による発注が上記最小数に満たない場合、BV 社は、書面で通知することにより、被 告の販売権を独占的な権利から非独占的な権利へと変更することができるものとする。」ウ 14 条(秘密保持)「1.BV 社と被告は、本契約の内容及び秘密である旨を明示の上で本契約に関連して相手方から開示された情報(以下「秘密情報」という。)を、相手方の書面による承諾を得ることなく第三者に開示又は漏洩してはならず、また、本契約に基づく義務の履行又は権利 の行使に必要とならない限り、秘密情報をどのような方法においても利用してはならない。」 エ 22 条(契約期間)「本契約は、最後の当事者が本契約に署名した日から3 年を経過した日が属する月の末日まで効力を有する。いずれかの当事者から、本条に定める本契約期間終了の1 カ月前までに、相手方に対して本契約を更新しない旨の書面通知がなされない限り、本契約は同一の条件にて1 年間更新されるものとする。」 (3) 初代ポケトークの発売被告は、平成29 年12 月14 日、本件基本契約に基づき、BV 社の携帯型翻訳機「Travis1.0」を「POCKETALK(ポケトーク)」という商品名で発売した(以下「初代ポケトーク」という。)。 、平成29 年12 月14 日、本件基本契約に基づき、BV 社の携帯型翻訳機「Travis1.0」を「POCKETALK(ポケトーク)」という商品名で発売した(以下「初代ポケトーク」という。)。 (4) 第1~第3 変更契約 その前後、被告とBV 社は、以下のとおり、本件基本契約の変更契約を締結した。 ア平成29 年(2017 年)11 月12 日付けメモランダム被告に対してカナダ及びアメリカでの「製品等」の非独占的販売権を付与することなどを内容とするもの(甲3 の2。以下「第1 変更契約」という。)イ同年12 月15 日付け「継続的製品販売のための基本契約の第2 変更契約」 被告に対してカナダ及びアメリカでの「製品等」の独占的販売権を付与すること、被告は「製品等」を年間20 万台以上発注するものとし、これが未達の場合、BV 社は、書面による通知により、カナダ及びアメリカにおける独占的販売権を非独占的販売権に変更することができることなどを内容とするもの(甲3 の3。以下「第2 変更契約」という。)ウ平成30 年(2018 年)1 月1 日付け「継続的製品販売のための基本契約の第3 変更契 約」被告に対して韓国での「製品等」の非独占的販売権を付与することなどを内容とするもの(甲3 の4。以下「第3 変更契約」という。)(5) 原告新製品に関する情報共有Aは、平成30 年(2018 年)1 月19 日、被告担当者に対し、「我々は、Travis の新製品の ライン:Travis 2.0 及びTravisBlue をご共有できることをとても嬉しく思っております。添 付の詳細な仕様をご確認ください。当該添付の情報は秘密情報として取り扱ってくださいますよう、お願いいたします。」などと記 sBlue をご共有できることをとても嬉しく思っております。添 付の詳細な仕様をご確認ください。当該添付の情報は秘密情報として取り扱ってくださいますよう、お願いいたします。」などと記載すると共に、携帯型翻訳機(「Travis2.0」又は「TravisTouch」。以下「TravisTouch」という。)及びBluetooth 音声翻訳機(「TravisBlue」。 「原告新製品」は、TravisTouch 及びTravisBlue を指す。)に関する基本的な情報(推奨価格、ローンチ予定時期、出荷予定時期、対応言語数、ディスプレイサイズ等)が記載され たファイル(以下「本件ファイル」という。)を添付したメール(甲7 の1)を送信した。 (6) 第4 変更契約原告、被告及びBV 社は、同年4 月29 日付け「継続的製品販売のための基本契約の第4変更契約」(甲3 の5。第4 変更契約)を締結した。第4 変更契約には、次の記載がある(なお、原文の「売主」はBV 社と、「ソースネクスト」は被告と、「承継人」及び「譲受人」 は原告と、「原契約」は本件基本契約と読み替える。また、「本契約」とは本件基本契約及び第1~第3 変更契約の総称である。)。 「第4 変更契約は、本件基本契約に追加され、また、本件基本契約に従うものとする。 第4 変更契約により修正されたものを除き、本件基本契約並びにその別表及び別紙については修正されず、また、引き続きその効力を有するものとする。第4 変更契約に使用され る条項と本契約に使用される条項との間で矛盾抵触が生じた場合には、第4 変更契約記載の条項が優先するものとする。」「1. …BV 社と被告はTravis2.0 及びTravisBlue(以下併せて「追加製品」という。)の販売 の間で矛盾抵触が生じた場合には、第4 変更契約記載の条項が優先するものとする。」「1. …BV 社と被告はTravis2.0 及びTravisBlue(以下併せて「追加製品」という。)の販売権について協議した。本第4 変更契約には、かかる相互の協議において合意された事項が規定されている。」 「2. BV 社は、被告に対して、追加製品の(ⅰ)日本、カナダ及びアメリカにおける独占的販売権、及び(ⅱ)大韓民国における非独占的販売権を付与する。ただし、被告がBV 社に発注した追加製品の累計について、受入検査に合格した各追加製品が最初に届けられた日から1 年以内に、●(省略)●、BV 社は、被告に書面で通知することにより、上述の数に届かなかった追加製品にかかる被告の販売権を、該当する国における独占的な販売権から非 独占的な販売権に変更できるものとする。」 「3. 上述の国における追加製品等の販売について、本契約における製品には追加製品が含まれるものとみなされ…るものとする。」「4. BV 社は、2018 年4 月16 日において、本契約に基づく全てのBV 社の権利及び地位について原告に譲渡、移転及び承継するものとし、本契約に基づく全てのBV 社の義務及び債務について原告に負担させるものとする。原告は当該譲渡及び負担を受け入れ、全 ての本契約の誓約事項、契約条件及びBV 社の義務を履行し、また、これらに拘束されることを引き受け、合意する。被告は、BV 社が連帯して又は個別に、全ての本契約の誓約事項、契約条件及びBV 社の義務を完全にかつ誠実に履行することについて責任を負うことを条件に、前述の本契約の原告に対する譲渡及び原告による本契約の義務の負担に合意する。」 (7) 第5 変更契約原告と被告は 社の義務を完全にかつ誠実に履行することについて責任を負うことを条件に、前述の本契約の原告に対する譲渡及び原告による本契約の義務の負担に合意する。」 (7) 第5 変更契約原告と被告は、同年5 月14 日、被告に対してシンガポールにおける「製品等」の非独占的販売権を付与すること等を内容とする「継続的製品販売のための基本契約の第5 変更契約」を締結した。(甲3 の6)(8) 原告によるTravisTouch の公表 原告は、同年7 月24 日、TravisTouch の発売及び同年9 月から購入者への配送を開始すること等を公表した。(乙33)(9) 被告による被告新製品の公表被告は、同年7 月26 日、被告が開発した携帯型翻訳機(以下「被告新製品」という。)を「POCKETALK(ポケトーク)W」という商品名で同年9 月7 日に発売する旨等を公表 した。(甲4 の3)(10) 第6 変更契約原告と被告は、被告がアメリカ等の追加地域において販売権を有しないこと、被告が日本において原告新製品に係る独占的販売権を有しないこと等について合意することなどを内容とする平成31 年(2019 年)5 月28 日付け「継続的製品販売のための基本契約の第6 変更契約」(以下「第6 変更契約」という。)を締結した。(甲3-7) 3 主たる争点(1) 債務不履行(最低購入義務違反)に基づく請求ア最低購入義務違反の有無(争点1-1)イ損害の有無及び金額(争点1-2)(2) 不法行為に基づく請求 ア契約交渉段階における信義則上の義務違反の有無(争点2-1)イ損害の有無及び金額(争点2-2)(3) 債務不履行(秘密保持義務違反)に基づく請求ア秘密保持義務違反の有無( 求 ア契約交渉段階における信義則上の義務違反の有無(争点2-1)イ損害の有無及び金額(争点2-2)(3) 債務不履行(秘密保持義務違反)に基づく請求ア秘密保持義務違反の有無(争点3-1)イ損害の有無及び金額(争点3-2) (4) 不正競争防止法4 条に基づく請求ア営業秘密該当性(争点4-1)イ開示行為の有無(争点4-2)ウ使用行為の有無(争点4-3)エ損害の有無及び金額(争点4-4) 4 当事者の主張(1) 争点1-1(最低購入義務違反の有無)【原告の主張】以下のとおり、被告は、本件基本契約及び第4 変更契約に基づき、最低でも第4 変更契約所定の数量●(省略)●以下「最低購入数」という。)の原告新製品を購入しなければな らない義務(以下「最低購入義務」という。)を負っていたが、これに違反した。 ア本件基本契約2 条3 項の「被告は、当初6 か月において少なくとも5000 台の製品を発注しなければならない」という文言は、被告の最低購入義務を定めたものである。第4変更契約によって原告新製品が最低購入義務の対象に加わり、その最低購入数についても明確に規定された。 イ独占的販売権付与の対価として最低購入義務が生じることは、商業上一般的かつ合 理的な取扱いである。仮に第4 変更契約所定の最低購入数が独占的販売権を維持するための目標数値に過ぎないとすれば、原告は、被告が購入しない限り当該地域で原告新製品を販売できないことになるが、そのような契約解釈は、原告新製品の売上を被告に依存していた原告にとって経済的合理性を欠くものであり、契約当事者の意思解釈として不合理である。 ウ原告は、第4 変更契約締結前に、被告に対し、原告新製品の●(省略) 告新製品の売上を被告に依存していた原告にとって経済的合理性を欠くものであり、契約当事者の意思解釈として不合理である。 ウ原告は、第4 変更契約締結前に、被告に対し、原告新製品の●(省略)●を提示し、被告はこれに異議を留めることなく交渉を進め、原告と被告は、その価格を前提として第 4 変更契約を締結した。このような経緯に照らせば、原告と被告の間では、少なくとも黙示的には原告新製品の価格について合意が成立していたといえる。 【被告の主張】 以下のとおり、被告は、本件基本契約及び第4 変更契約に基づく原告新製品の最低購入義務を負っておらず、これに違反したことはない。 ア本件基本契約及び第4 変更契約は、被告の最低購入義務を定めたものではない。本件基本契約2 条3 項は、被告が独占的販売権を維持するために発注すべき目標数を定めたものにすぎない。第4 変更契約にも、被告の最低購入義務を定めた規定は存在しない。 イ独占的販売権付与の対価として最低購入義務が生じるという商慣習は存在しない。 独占的販売権の対価は契約当事者が合意によって定めるものである。原告と被告は、第4変更契約において、被告が●(省略)●を目標として原告新製品を販売し、目標を達成できなければ独占的販売権を喪失し得るものと定め、これを独占的販売権の適正な対価として合意したのであり、最低購入義務については合意していない。被告には他社の500 倍以 上の販売力があり、初代ポケトークを原告の当初の期待の10 倍以上販売した実績もあったため、上記合意内容は原告にとっても合理的なものであった。 ウ原告新製品は、第4 変更契約締結時にも被告新製品公表時にも完成しておらず、売買契約の目的物として特定されていなかった。また、被告は、原告が提示した原告新製品の価格に も合理的なものであった。 ウ原告新製品は、第4 変更契約締結時にも被告新製品公表時にも完成しておらず、売買契約の目的物として特定されていなかった。また、被告は、原告が提示した原告新製品の価格について合意しておらず、売買契約の目的物の価格も定まっていなかった。このよ うな状況で被告に最低購入義務が生じるとは考えられない。 (2) 争点1-2(損害の有無及び金額)【原告の主張】原告は、被告の最低購入義務違反により、少なくとも●(省略)●の損害を被った。すなわち、原告が最低購入数の原告新製品を被告に販売できていれば、原告は最低購入数●(省略)●を乗じた上記金額の利益を得られたはずである。 原告は、被告に対し、このうち4 億9212 万円の賠償を請求する。 【被告の主張】争う。原告新製品の利益額を乗ずる計算式で損害を請求できる根拠はない。また、原告新製品の価格は決まっていなかったことから、原告主張に係る原告新製品の利益額にも根拠はない。 (3) 争点2-1(契約交渉段階における信義則上の義務違反の有無)【原告の主張】ア原告と被告は、以下のとおり、遅くとも被告が契約締結交渉の不当破棄を行った平成30 年(2018 年)7 月26 日の時点までに、原告新製品の発注に係る個別契約の締結段階に入り、同時点において、原告には個別契約の締結によって少なくとも最低購入数として 合意された台数を被告が購入することについての合理的な期待が生じていた。このような原告の期待権は被告の行為によって生じたものであり、被告は、これを侵害しないように、誠実に個別契約の成立に努めるべき信義則上の義務を負っていた。被告による契約締結交渉の破棄は、この義務に違反するものである。 また、被告は、同時点において、契約締 、被告は、これを侵害しないように、誠実に個別契約の成立に努めるべき信義則上の義務を負っていた。被告による契約締結交渉の破棄は、この義務に違反するものである。 また、被告は、同時点において、契約締結交渉の破棄による原告の期待権の侵害を当然 に認識し、又は、従前の経緯からこれを認識可能であったことから、原告の期待権侵害につき故意又は少なくとも過失がある。 イ原告新製品の売買に関し、原告は、平成30 年(2018 年)1 月19 日に被告に対して原告新製品の情報を提供し始めてから、被告が被告新製品の販売を発表した同年7 月26 日の直前までの6 か月間以上にわたり、被告に対し、原告新製品に関する情報・資料の提供 を行うと共に、被告との間で、原告新製品の日本、アメリカ及びカナダでの販売に向けた 協議、交渉等を行った。すなわち、原告は、この間、まず、被告との間で、原告新製品の販売数、販売方法、販売価格、プレスリリースの内容、詳細な仕様、製造スケジュール等について協議を重ねた。また、原告は、被告に対し、原告新製品のサンプルやファームウェアのデータ、販促映像等を提供し、被告のリクエストに応じて被告の名称を含むロゴのデザインや配置を決定するなど、原告新製品の被告による販売に向けた準備を重ねた。そ の上、原告は、第4 変更契約において原告新製品の日本、アメリカ及びカナダにおける販売について被告に独占販売権を付与し、また、被告のマーケティング上の理由によるリクエストに応じて原告による原告新製品に係る情報の公表のタイミングを遅らせるなど、少なくとも第4 変更契約所定の最低購入数の原告新製品の発注を被告から受けられるという強い信頼の下に、被告に対し特別に優遇的な対応を行った。 第4 変更契約による被告に対する独占販売権 ど、少なくとも第4 変更契約所定の最低購入数の原告新製品の発注を被告から受けられるという強い信頼の下に、被告に対し特別に優遇的な対応を行った。 第4 変更契約による被告に対する独占販売権の付与は、原告及び被告による個別契約の締結に向けた準備行為であると共に、他の経路での売上確保ができなくなる点で原告による多大な経済的負担を伴うものであり、原告と被告が原告新製品の発注に係る個別契約の締結準備段階に入っていたことを基礎付けるものである。原告の被告に対する原告新製品に関する情報提供や、被告の要望の原告新製品への反映、原告による原告新製品の公表の 延期も、原告と被告が上記段階に入ったことを基礎付けるものである。 さらに、このように原告が被告との原告新製品の売買に係る個別契約に向けて準備行為を行った以上、被告は、被告新製品を初代ポケトークの直接の後継機として販売する予定であることや、被告新製品の生産が追い付かない場合の穴埋め的な位置付けで取り扱う意向であるならば、その旨を原告に対して説明すべき義務を信義則上負っていたといえる。 にもかかわらず、被告は、上記説明義務に違反し、平成30 年(2018 年)7 月26 日に被告新製品の発売に係るプレスリリースを行うことにより、原告との原告新製品の発注に係る個別契約の締結に向けた交渉を打ち切り、原告の期待権を侵害しないように誠実に個別契約の成立に努めるべき信義則上の義務に違反して、原告の個別契約成立への期待及び利益を侵害した。 【被告の主張】 以下のとおり、被告が、原告新製品の個別契約に関して、契約交渉段階における信義則上の義務に違反したことはない。 すなわち、原告新製品の個別の売買契約に関し、原告に法的保護に値する合理的期待が生じていたとはいえない。原 、原告新製品の個別契約に関して、契約交渉段階における信義則上の義務に違反したことはない。 すなわち、原告新製品の個別の売買契約に関し、原告に法的保護に値する合理的期待が生じていたとはいえない。原告新製品は、被告新製品公表時においても完成していなかったことから、売買契約の目的物として特定されていなかった。また、被告は、原告が提示 した原告新製品の価格について合意しておらず、売買契約の目的物の価格も定まっていなかった。 また、そもそも、被告が原告新製品に係る個別の売買契約締結に向けた原告との交渉を破棄したことはない。被告新製品の公表は、原告新製品を取り扱わないという意思を表明したものではない。被告にとって原告新製品の販売と被告新製品の販売は両立するもので あり、被告新製品の公表後も、原告に対して原告新製品の売買契約締結に向けた交渉を試みるなどしていた。 加えて、被告には原告が主張するような説明義務はなかった。被告にとって原告新製品の販売と被告新製品の販売は両立するものであり、第4 変更契約を締結した時点では、原告新製品と被告新製品の双方をポケトークシリーズの商品として販売することもあり得た のであって、第4 変更契約の締結時点で、被告が被告新製品だけを初代ポケトークの直接の後継機として販売する予定であったわけではない。また、被告が原告新製品を被告新製品の生産が追い付かない場合の穴埋めとして取り扱う意向であったわけでもない。被告は、商機を逃さないために常に市場に十分な商品を供給するという観点から、被告新製品を原告新製品と並行して販売することを予定していた。 (4) 争点2-2(損害の有無及び金額)【原告の主張】原告は、被告の不法行為により、前記(2)のとおり、少なくとも●(省略)●の損害を被った。原告は、被 売することを予定していた。 (4) 争点2-2(損害の有無及び金額)【原告の主張】原告は、被告の不法行為により、前記(2)のとおり、少なくとも●(省略)●の損害を被った。原告は、被告に対し、このうち4 億9212 万円の賠償を請求する。 【被告の主張】 争う。前記(2)のとおり、原告が主張する請求額に根拠はない。また、原告は期待権を侵 害されたことによる損害として信頼利益ではなく履行利益を主張しており、主張自体失当である。 (5) 争点3-1(秘密保持義務違反の有無)【原告の主張】原告は、Aが平成30 年(2018 年)1 月19 日に被告担当者に送ったメールにおいて、原 告新製品に関する情報を秘密情報として指定する旨通知した。そのため、原告新製品に関する情報である本件各情報(本件製品情報及び本件予定情報)は、いずれも「秘密である旨を明示の上で本契約に関連して相手方から開示された情報」(本件基本契約14 条)に当たる。 しかるに、被告は、本件製品情報を利用して被告新製品を開発した。また、被告新製品 のプレスリリース及び販売開始時期と原告新製品のプレスリリース及び販売開始時期が酷似していることから、被告が本件予定情報を利用して被告新製品のプレスリリース及び販売開始の時期を決定したことが推認される。これらの行為は、本件基本契約所定の秘密保持義務に違反するものである。 【被告の主張】 原告が秘密指定をしたのは本件ファイルに記載された情報のみであり、それ以外の情報については原告による秘密指定がされていない。また、本件ファイルに記載された情報についても、その後パスワードで管理されることなくメールでやり取りされたため、本件ファイルがパスワードで管理されていたことに意味はない。したが 密指定がされていない。また、本件ファイルに記載された情報についても、その後パスワードで管理されることなくメールでやり取りされたため、本件ファイルがパスワードで管理されていたことに意味はない。したがって、本件各情報はいずれも秘密保持義務の対象とならない。 また、実質的に秘密に値する情報でなければ秘密保持義務の対象とならないところ、本件製品情報は公知の情報又は誰でも容易に思い付く情報に過ぎず、秘密保持義務の対象ではない。本件予定情報も、費用の節約や経営効率の改善等に役立つものではないため、同様に秘密保持義務の対象ではない。 そもそも、被告は本件各情報を利用していない。被告新製品は被告が独自に開発したも のであり、本件製品情報を利用して開発したものではない。また、被告新製品の発表等の 時期は、本件予定情報を利用して決定したものではない。 (6) 争点3-2(損害の有無及び金額)【原告の主張】原告は、被告の秘密保持義務違反により、●(省略)●の損害を被った。すなわち、被告の秘密保持義務違反により製造された被告新製品の販売がなければ、原告の製品である TravisTouch がその分の市場シェアを占めることができ、被告が日本において被告新製品を販売して得た利益は原告が得ていたはずである。したがって、被告が日本において被告新製品を販売して得た利益に相当する上記金額●(省略)●が原告の損害となる。 原告は、被告に対し、このうち188 万円の賠償を請求する。 【被告の主張】 否認ないし争う。原告が主張する本件各情報の利用と損害との間に因果関係はない。 (7) 争点4-1(営業秘密該当性)【原告の主張】以下のとおり、本件製品情報は「営業秘密」(不正競争防止法2 条6 項)に該当する。 ア秘密管 各情報の利用と損害との間に因果関係はない。 (7) 争点4-1(営業秘密該当性)【原告の主張】以下のとおり、本件製品情報は「営業秘密」(不正競争防止法2 条6 項)に該当する。 ア秘密管理性 BV 社には消費者向け製品を担当するチームと業務用翻訳機に係るチームとが存在したところ、両者は異なる場所に所在するオフィスを使用し、業務用製品に係るチームのメンバーはA以外の消費者向け製品に係るチームのメンバーとは接点がなく、TravisTouch を含む一般消費者向け製品に関する情報にアクセスすることはできなかった。平成30 年(2018年)に原告が設立された後は、消費者向け製品に係るチームは原告に所属することとなり、 両チームは別法人に所属することとなった。また、消費者向け製品に係るチームの中では、TravisTouch に関する情報は、BV 社の創業者のうち2 名及びAを含む従業員3 名のみが共有し、この5 名の間では、当該情報が機密情報であると理解されていた。さらに、当該情報は、原告のサーバー上には保存せず、パスワードをかけて送信する形でやり取りされ、外部の業務委託先との間でやり取りする際にも、Aのみから送信することとなっていた。 被告に対するTravisTouch に関する重要な情報の提供についても、原告ではAの承認が必 要とされており、同人から被告に特に重要な情報が提供される際にはパスワードがかけられていた。もっとも、本件基本契約に秘密保持義務が定められていること、同年1 月に最初に原告新製品に関する情報を原告が開示した際に提供された情報は秘密である旨明示していたことなどから、一定の秘密性の低い情報については、Aの包括的な承認の下、都度の承認を経ることなく開示されていた。 そもそも する情報を原告が開示した際に提供された情報は秘密である旨明示していたことなどから、一定の秘密性の低い情報については、Aの包括的な承認の下、都度の承認を経ることなく開示されていた。 そもそも、本件製品情報は原告の未発表の新製品に関する情報であり、秘密情報として管理されるべきものであることが性質上明らかである。 加えて、上記のとおり、本件基本契約に秘密保持義務が定められており、その対象となるためには秘密である旨の指定が必要とされているところ、Aは、平成30 年(2018 年)1月19 日に被告担当者に送ったメールにおいて本件製品情報を秘密情報として指定した。 イ有用性本件製品情報は、未発表の原告新製品に関する情報であり、被告が類似製品の開発等を行う際に模倣等することで利用できる有用なものである。 ウ非公知性本件製品情報は、原告が被告に開示した当時どこにも公表されていない情報であった。 【被告の主張】以下のとおり、本件製品情報は「営業秘密」に該当しない。 ア秘密管理性本件製品情報のうち3 及び5 は、被告が原告にパスワードもかけずにメールで送信したものであるため、秘密管理性は認められない。 また、本件製品情報の1、2 及び4 は、被告が原告にパスワードをかけてメールで送信したものであるが、パスワードをかけたのは最初のメールのみであり、その後はパスワードをかけることなく情報を送信しているため、秘密管理性は認められない。 イ有用性本件製品情報はいずれも標準的な仕様に関するものにすぎず、客観的に役立つ情報では ない。したがって、本件製品情報に有用性は認められない。 ウ非公知性本件製品情報は、初代ポケトークと同一の仕様、既に市場にある電子機器で採用されている仕様又 つ情報では ない。したがって、本件製品情報に有用性は認められない。 ウ非公知性本件製品情報は、初代ポケトークと同一の仕様、既に市場にある電子機器で採用されている仕様又は流通する規格品・部品の仕様に関するものに過ぎないことから、公知のものである。 (8) 争点4-2(開示行為の有無) 【原告の主張】原告は、平成30 年(2018 年)1 月19 日から同年7 月26 日までの間に、被告に対し、電子メールやサンプル送付等の方法によって本件製品情報を開示した。 【被告の主張】被告は、本件製品情報のうち6 及び7 について、原告から開示を受けていない。 (9) 争点4-3(使用行為の有無)【原告の主張】被告は、本件製品情報を使用して被告新製品を開発した。このことは、被告新製品とTravisTouch とが、タッチスクリーンを採用したこと、画面の大きさが同じであること、初代ポケトークからのアップデートの内容が同じであること、楕円形の機器であること、新 たに配置したボタンの位置が類似していることなどの点で共通していること、原告の被告に対するTravisTouch に関する情報提供から被告による被告新製品の公表までの間に、被告が原告から得たTravisTouch に関する情報を基に被告新製品の開発を進めることが可能であったこと、被告は、被告新製品の開発及び製造に当たり、原告の製造委託先として初代ポケトークの製造を行った企業を買収し、同社に被告新製品の開発等を委託したと思わ れることによって裏付けられる。 【被告の主張】被告は本件製品情報を使用していない。被告新製品は被告が独自に開発したものであり、本件製品情報を使用して開発したものではない。 (10) 争点4-4(損害の よって裏付けられる。 【被告の主張】被告は本件製品情報を使用していない。被告新製品は被告が独自に開発したものであり、本件製品情報を使用して開発したものではない。 (10) 争点4-4(損害の有無及び金額) 【原告の主張】 原告は、被告の不正競争(不正競争防止法2 条1 項7 号)により、秘密保持義務違反の場合(前記(6))と同様に、少なくとも●(省略)●の損害を被った(同法5 条2 項)。原告は、被告に対し、このうち188 万円の賠償を請求する。 【被告の主張】否認ないし争う。原告が主張する本件製品情報の使用と損害との間に因果関係はない。 第3 当裁判所の判断 1 事実関係前提事実(前記第2 の2)、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 (1) 第4 変更契約の締結に至るまでの事情 ア Aは、平成30 年(2018 年)1 月19 日、被告担当者に対し、原告新製品に関する基本的な情報が記載された本件ファイルを添付したメールを送信したが(第2 の2(5))、本件ファイルには、TravisBlue について「2 月ローンチ予定」、「4 月末出荷予定」と、TravisTouchについては「3 月ローンチ予定」、「5 月/6 月出荷予定」などと記載されていた。 イ原告と被告は、同年2 月1 日、原告新製品の販売計画について協議した。 同日、被告担当者は、Aらに対し、上記協議の議事録としてメール(甲7 の2)を送信した。そこには、被告の質問に対する原告の回答として、卸売価格はTravisBlue が「工場渡し●(省略)●」、TravisTouch が「工場渡し●(省略)●」、「これらの2 つの商品を売るために変更契約が必要。SN が作成する。」、「Tra 卸売価格はTravisBlue が「工場渡し●(省略)●」、TravisTouch が「工場渡し●(省略)●」、「これらの2 つの商品を売るために変更契約が必要。SN が作成する。」、「Travis は、変更契約において、独占期間についてはSNが他の翻訳機を売ることはできないという条項を入れることを希望。」、「我々は、 すぐに販売中の商品の製造スケジュールを共有する。CNY の前に25k は製造が完了し、かつ12k 及び34k が3 月までに製造が完了する予定だった。しかし、後ろに後ろに変更されている。もし、可能であれば、スケジュールを調整してもらえるとありがたい。」などと記載されている。(甲7 の2、7 の3)また、Aは、同日、原告従業員に対し、上記協議の概要として上記議事録と概ね同旨の 内容を伝えると共に、「彼らの質問への回答とは別に、私は2 点彼らに依頼しました。彼ら は2 つの製品を販売することを確認し、また、確認とこれら2 つの製品を含めた変更契約を送ってくれます。その他に、私は、彼らに、我々が潜在的なクライアントを転送していることから、「SN は、トラビスとの独占期間中、他のサプライヤーと一緒に自己の翻訳機を作らないこと」という条件を加えることを依頼しました。Tom はこれに同意し、これについてNori に話すと言いました。」などと報告した。(甲19) ウ Aは、同年3 月5 日、被告担当者に対し、同年2 月1 日の協議(前記イ)のフォローアップとして、「1.Travis 2.0 及びTravisBlue についての変更契約について、今週中(2018年3 月9 日)にいただけますか。…5.Travis 2.0 について、3 月中旬にはIndiegogo にて行う予定ですが、ニュースリリ sBlue についての変更契約について、今週中(2018年3 月9 日)にいただけますか。…5.Travis 2.0 について、3 月中旬にはIndiegogo にて行う予定ですが、ニュースリリースは4 月中旬の予定です。」などと問い合わせるなどした。 被告担当者は、同年3 月8 日、Aに対し、「1. 草案は明日お送りできます…5. Indigogo とプレスリリースのタイミングはとても重要になります。要約すると、当社は貴社に対して、貴社が発注済みの残りのPocketalk についていつ輸送できるかを両者が確認できるまで、絶対にTravis2.0 について(Indigogo を含む)いかなるアナウンスも止めていただきたいと考えております。当社はまだ50K 台のPocketalk を待っており、Travis2.0 のアナウンスによってどのようなインパクトが生じるのか当社は伝えることができません。… Travis2.0 は当社の現在の商品の直接の後継機になりますので、当社のパートナーはVer1 の販売を続けるか、Ver2 のローンチを待つのか混乱すると思います。当社はTravis2.0 はまだ開発中であり、量産にはしばらく時間がかかるものと理解しています。また、生産を開始した後も、日本でのローンチのための十分な量の在庫を準備するのにさらに数カ月必要になると思われます。」などと、回答と共に被告の懸念及びその理由を伝えた。 これについて、Aは、同月9 日、被告担当者に対し、「5. あなたからのご指摘のポイントを当方として受け入れ、我々は、残りの発注のあったPocketalk のデリバリーが終わるまでは、Travis2.0 をIndigogo にてローンチしないことを決めました。…Brend 及び私は、貴社におけるTravis 々は、残りの発注のあったPocketalk のデリバリーが終わるまでは、Travis2.0 をIndigogo にてローンチしないことを決めました。…Brend 及び私は、貴社におけるTravis2.0 及びTravisBlue のローンチプランの詳細についてお聞きしたいと考えており、…」などと応じた。 (以上につき、甲7 の3)。 エ被告担当者は、同日、Aに対し、「今回の発表につきましては、弊社のご意見をご理解いただき、誠にありがとうございました。近日中に計画を更新してお話をさせていただきます。それまでの間に、添付した新製品の文案をチェックしてください。私たちは、原契約でそうしたように、私たちの独占権維持のための発注数量を設定したいと思います。 ご希望の数をお知らせいただければ、ご相談させていただきます。」などと伝えると共に、 原告新製品に関する契約書案を添付したメール(乙8)を送信した。 これに対し、Aは、同日、被告担当者に対し、「新製品の契約書を作成していただきありがとうございます。前回の電話会議でもお話合いをしましたが、以下の点を加えて頂きたいと考えております。 “ソースネクストは、他の携帯型翻訳機の販売に直接または間接的に携わってはならない” 貴社もご存じの通り、当社は貴社の地域内で再販業者となり得る 全ての業者に対してソースネクストを紹介しています。当社は、日本/アメリカ/カナダを含む複数の市場を持つ国際企業に対しても申し出を断り、貴社に連絡するようお願いしています。日本での独占権に関する年間数量(Q’TY)については、私たちは次の目標数量を提案します。●(省略)●」などと伝えた。(乙2)この原告の要望について、被告担当者は、同月12 日、Aに対し、「ソースネクストは、 過去にそ (Q’TY)については、私たちは次の目標数量を提案します。●(省略)●」などと伝えた。(乙2)この原告の要望について、被告担当者は、同月12 日、Aに対し、「ソースネクストは、 過去にそのような条項を契約に含めたことがありません。これは企業理念ですので、ご理解のほどよろしくお願い致します。代わりに、独占権を維持するための明確な目標数値は設定させて頂きます。もう1 つの懸念は価格です。為替レートとの関係で当社への卸価格の変更が必要になる場合があることは理解していますが、貴社ご希望の上記文言を受け入れた場合、当社は交渉力を失うことになります。(例えば貴社が理由なく10 ドルの値上げ を要求した場合、当社はそれを受け入れざるを得ません。)」などと回答した。(乙3)オ被告担当者は、同月13 日、Aに対し、原告新製品のサンプル各10 台を発注した(甲 7 の4)。 カ Aは、同月14 日、被告担当者に対し、原告新製品に関する合意書案について、「私達は、ソースネクストの企業理念を理解しています。実際には、私達が懸念していること をお伝えしたいだけであり、以下のような約束を守っていただけることを願っています。 1.ソースネクストは、Travis 製品の独占期間中において、他社メーカーと携帯翻訳機器の開発に関わりません。2.ソースネクストは、私達がお知らせした潜在的な再販業者に他の携帯翻訳機器を販売しません。これをメールで確認してもらえれば、同意書や契約書に盛り込まなくても信用致します。」などと伝えた。(乙4)これに対し、被告担当者は、同月15 日、Aに対し、「ソースネクストは販売事業者であ り、その性質上、様々な製品の販売権を維持することは不可欠です。繰り返しになりますが、当社の懸念は(1)納期が遅れるとソ 、被告担当者は、同月15 日、Aに対し、「ソースネクストは販売事業者であ り、その性質上、様々な製品の販売権を維持することは不可欠です。繰り返しになりますが、当社の懸念は(1)納期が遅れるとソースネクストの投資家に対する約束に影響すること、(2)他の製品供給元を使用する選択肢がない場合、ソースネクストはTravis による価格変更を受け入れなくてはならないことです。そしてこれらの懸念は仮説ではなく実際に起こっています。以上ご理解の上、当社の変更案で進めてください。」などと回答した。(乙5) これを受けて、Aは、同月16 日、被告担当者に対し、「なぜこのような約束を求めているのかというと、最近、弊社の法務部が全ての販売契約をチェックしているのですが、ソースネクスト以外の独占契約は全てこのような条項が入っています。私達は、「Travis が期日通りに十分な量の製品を供給するとの条件の下で」、ソースネクストは下記約束を守る、という条件を追加することが可能です。1. ソースネクストは、Travis 製品の独占期間中、 他のメーカーと携帯翻訳機器の開発を行わない。2. ソースネクストは、当社が貴社に紹介する再販業者となりうる全ての業者に対して、他の携帯翻訳機器を販売しない。」などと伝えた。(乙6)キ Aは、同月30 日、被告担当者に対し、「前のE メールに記載した独占権に関する年間数量(Q’TY)は日本市場におけるものです。アメリカ及びカナダ市場での独占権に関す る年間数量(Q’TY)は、現在の契約と同じにします。」などと記載したメール(乙9)を送信した。 ク被告は、同年4 月17 日から同月19 日にかけて、原告に対し、合計1 万6000 台の初代ポケトークを追加注文した。これによって、被告が原告から購入した初代ポケ メール(乙9)を送信した。 ク被告は、同年4 月17 日から同月19 日にかけて、原告に対し、合計1 万6000 台の初代ポケトークを追加注文した。これによって、被告が原告から購入した初代ポケトークの合計数は10 万台となった。(乙36、37、弁論の全趣旨) ケ原告、被告及びBV 社は、同月29 日に第4 変更契約を締結したが(前記第2 の2(6))、 第4 変更契約には、被告による他の携帯翻訳機器の開発及び販売を制限する趣旨の原告が要求した前記修正内容は盛り込まれなかった(甲3 の5)。また、被告は、メールにて前記修正内容を確認するという原告の要求にも応じなかった(弁論の全趣旨)。 (2) 第4 変更契約の締結から被告新製品の公表に至るまでの事情ア Aは、平成30 年(2018 年)4 月30 日、被告担当者に対し、TravisBlue については 同年6 月4 日に、TravisTouch については同月25 日にそれぞれ量産を開始できることを伝えた上で、原告新製品についての最初の発注希望数量を同年5 月4 日までに知らせるよう要請するなどした。 これに対し、Bは、同年5 月1 日、Aに対し、「量産スケジュールに関する情報をありがとうございます。6 月末までに受領する予定の16K を待っており、現在当社はそれについ ての販売計画を作成しております。当該計画の作成後に数量をご連絡させていただく予定です。」などと回答した。 これを受けて、Aは、同日、Bに対し、「当社はTravisTouch(Travis2.0)について2018年7 月第1 週に公表する予定です。…Travis1.0 とTravisTouch では小売価格に50 ドル/個の差がありますので、これらは異なる価格帯の市場になりま is2.0)について2018年7 月第1 週に公表する予定です。…Travis1.0 とTravisTouch では小売価格に50 ドル/個の差がありますので、これらは異なる価格帯の市場になります。」、「当社は、家族/学生による 旅行/サマーキャンプ等のピークである夏休みに向けて準備をすることができる予定です。」などと伝えた。 Bは、同月2 日、Aに対し、「スケジュールにつき了解しました。当社は何時TravisTouchのサンプルを受領することができるかご存じですか。発注する前に、1 つ試させていただきたいと考えております。」などと伝えた。 これに対し、Aは、同日、Bに対し、「当社はTravisTouch のサンプルを2 個本日発送する予定ですが、おそらく「プレス・ボトム」は変更になると思いますので、お送りするのは最終版ではございません。ボトムについて確定した後、最終版のサンプルをお送りする予定です。」などと回答した。 (以上につき、甲7 の5) イ被告は、同月7 日、TravisTouch のサンプル2 個を原告から受領した。また、被告 は、遅くとも同日頃までに、TravisBlue のサンプルも受領した。被告は、この頃から原告新製品のサンプルのテストを開始した。 また、被告担当者は、同月18 日、原告担当者に対し、TravisTouch の残りのサンプルを受領できる時期を尋ねた。これに対し、原告担当者は、同月24 日、TravisTouch のサンプル4 個を被告に宛てて発送した上で、被告担当者に対し、これらのサンプル4 個について 今後問題点(ソフトウェア6 点、ハードウェア3 点)を改善予定である旨伝えた。 (以上につき、甲7 の6)ウ原告と被告の各担当者は、同年6 告担当者に対し、これらのサンプル4 個について 今後問題点(ソフトウェア6 点、ハードウェア3 点)を改善予定である旨伝えた。 (以上につき、甲7 の6)ウ原告と被告の各担当者は、同年6 月15 日、原告新製品の販売に向けた協議を行った。その際、TravisTouch に関しては、使用中に若干の待機時間があることについては原告が改善のため確認すること、ローカライゼーションについては被告が原告指定のURL を 確認の上一連の翻訳を行うこと、初代ポケトークと翻訳結果が異なる場合があることについては原告が確認中であること、被告は日本語の音声コマンド機能として「言語xxx とxxx」とすることが必要と考えていることなどが確認された(甲7-7)。 エ Aは、同月25 日、被告担当者に対し、「議論させていただきましたように、アメリカ/カナダ市場へのマーケットプランについてお待ちしております。…貴社がPocketalk (Travis1.0)を日本にて2018 年8 月まで販売を継続する予定であることを認識しております。私からご提案させていただきたいのは、まずは、アメリカ/カナダでのTravisBlue 及びTouch のマーケットシェアを8 月中可能な限り早くキャッチアップすることであり、リードタイムが少なくとも8 週間必要であること及び貴社のためのカスタマイズされたパッキング/マニュアル等の準備をする必要があることを考えると、このプロジェクト(英語が初 期設定)を、6 月末よりも前に進め始めなければならないということです。当方にて今週中にこちらを始めることができれば、2018 年8 月末又は9 月第1 週には製品を準備することができると考えております。貴社の計画をご連絡いただければと存じます。」などと伝えた。 これ にて今週中にこちらを始めることができれば、2018 年8 月末又は9 月第1 週には製品を準備することができると考えております。貴社の計画をご連絡いただければと存じます。」などと伝えた。 これに対し、被告担当者は、同年6 月26 日、Aに対し、「アメリカ/カナダ市場につきま しては、ローンチについて最善の方法/タイミングを当社にて議論しておりますが、貴社の ご指摘の点については確かに理解しております。そこで、当方からは、Travis はTouch 及びBlue をIndiegogo にてアナウンスをして、プレオーダーを集め始めていただくことを提案させていただきます。アメリカ市場についての当社の契約が決まり次第、ソースネクストバージョンをどのようにローンチするかについて、ご連絡させていただきます。」などと回答した。 なお、この時点で、被告が発注済みの初代ポケトークのうち原告からの納品待ちとなっている残数は6000 台であったところ、これについては、同年7 月2 日、原告から被告に納品された。 (以上につき、甲7 の8、弁論の全趣旨)オ被告担当者は、同月20 日、原告担当者に対し、原告新製品の新しいファームウェア につき、前回のファームウェアで見つかった問題点のうち改善未了の項目として、TravisTouch については「タッチの遅れ FW の改善が必要、しかし未了」、「充電中に熱くなるFW の改善が必要、しかし未了」、「キーボードによるミスタイプ改善なし」と、TravisBlueについては「クラッシュ一度on の状態になるが、再度しようとすると使用不可。改善なし」と指摘した。 これらの指摘項目について、原告担当者は、同月21 日、被告担当者に対し、最新のファームウェアを知らせる シュ一度on の状態になるが、再度しようとすると使用不可。改善なし」と指摘した。 これらの指摘項目について、原告担当者は、同月21 日、被告担当者に対し、最新のファームウェアを知らせると共に、原告の回答及び確認したい事項等を記載したメールを送信した。その中で、原告は、ボイスコマンド(音声コマンド機能)について、最新のファームウェアでは英語しかサポートしていないが、次のファームウェアでは中国語及びスペイン語をサポートする予定である旨説明した。 原告は、同月23 日、被告に対し、最新のソフトウェアがインストールされたTravisTouchのサンプルと、最新のファームウェアにアップデート可能なTravisBlue のサンプルを交付した。 被告担当者は、同月26 日、原告担当者に対し、TravisTouch のファームウェアを確認した結果について、「概ね問題は改善されています。ユーザーエクスペリエンスのために重要 なタッチ/スクロールの遅れがまだそれほど改善されていない点程度です。」などと伝えた。 (以上につき、甲7 の9)。 (3) 被告新製品の公表から第6 変更契約の締結に至るまでの事情ア被告による被告新製品の公表を受けて、Aは、平成30 年(2018 年)7 月26 日、被告担当者に対し、「当社は、今日、ソースネクストがなぜTravisTouch 及びTravisblue の発注を遅らせてきたのかを理解しました。あなた方は早く当該事実を当社に知らせなければ ならなかったのであり、これはビジネスパートナーの扱いとして適切ではないと考えます。 貴社は今年の初めにTravisTouch 及びTravisBlue を取り扱うことを約束したのであり、だからこそ当社は、デザイン、ソフトウェ ジネスパートナーの扱いとして適切ではないと考えます。 貴社は今年の初めにTravisTouch 及びTravisBlue を取り扱うことを約束したのであり、だからこそ当社は、デザイン、ソフトウェア、Indiegogo の発表日等を含むTravisTouch の全ての秘密情報を共有しました。…ソースネクストが他のビジネスパートナーを選択し、また、これまで1 台もTravisTouch 及びblue を発注していないので、ソースネクストとTravis の独占的契約はもう有効ではありません。」などと伝えた。(甲7 の10)これに対し、被告担当者は、同月27 日、Aに対し、「誤解しないでいただきたいのですが、これはTravisTouch やTravisBlue を販売しないという意味ではありません。TravisTouch及びTravisBlue の品質向上のために、私達もかなりのリソースを注ぎ込んで、一つ一つのサンプルをチェックしています。ご承知のとおり、当社は販売事業者として幅広い製品ラ インナップを扱っています。例えば、主力製品のセキュリティソフトや葉書作成ソフトでも、3 つの異なるブランドを扱っています。それらは全て独占契約ですが、各パートナーは当社のマーケティングへの努力に満足しているはずです。翻訳機器についても複数製品を持つことは自然なことと考えていますし、2、3 の選択肢を持ちたいと思います。」などと応答した。(乙13) これを受けて、Aは、同月28 日、被告担当者に対し、「率直に話しますと、当社は、これまでTravisTouch 及びBlue の販売プランを貴社から受け取っていません。これは、今年のハイシーズンにおいて、独占権のために日本/アメリカ/カナダの市場における合意された数量に達するため でTravisTouch 及びBlue の販売プランを貴社から受け取っていません。これは、今年のハイシーズンにおいて、独占権のために日本/アメリカ/カナダの市場における合意された数量に達するためには遅すぎることを意味しています。…仮に、ソースネクストが、Travisとの協業を継続し、今年のハイシーズンにおける売上を確保するための注文/マーケティン グ活動に関する具体的な計画を持っている場合は、2018 年7 月末までにお知らせくださ い。」などと伝えた。 これに対し、被告担当者は、同月31 日、Aに対し、「ご心配のお気持ちはよく分かりますが、弊社のマーケティング力、営業力は過去にも実証済みであると自負しております。 競合他社の新製品が続々と登場しているため、当社はマーケティング(テレビ広告を含む)への積極的な投資を行い、さらなる売上拡大を図りたいと思っています。正直なところ、 過去6 か月間、プロモーション活動に積極的に投資できませんでした。残念ながら、これは、製品の納期が常に不安定で、タイムリーに在庫を出荷できない長い期間があったためです。それでも、当社の営業努力で10 万件の受注を達成することができました。この確かな実績は、言葉だけの「売上予想」よりもはるかに信頼できるものだと思っています。当社は、今後12 か月間で「POCKETALK」ブランドの商品を50 万台販売することを目標に しています。先ほど発表した製品を売ることにするか、TravisTouch 及びTravisBlue を売ることにするか、そのバランスはその製品の納期、品質、買取価格にかかっています。当社は常に最高の製品を最適な価格で販売します。当社は利益を不当に搾取することはなく、マーケティングに投資し、顧客に還元しています。Travi ランスはその製品の納期、品質、買取価格にかかっています。当社は常に最高の製品を最適な価格で販売します。当社は利益を不当に搾取することはなく、マーケティングに投資し、顧客に還元しています。Travis に対して、卸価格を下げるよう依頼してきましたが、残念ながら、むしろTravisTouch は現在のバージョンより価格が上が ると言われています。過去にも、「人民元とドルの為替レートに変動があった」という通知一つで価格が上げられてしまいました。…当社は常にこの「為替リスク」に直面しており、当社は、消費者に提供する価格は変えられないので、当社がこの値上げ分を負担してきました。…貴社に対し、より積極的な卸売の見積もりと改善された生産納期(1 日又は1 週間に確約できる生産台数)を示していただくようお願いします。」などと伝えた。(乙14) これを受けて、Aは、同年8 月17 日、被告担当者に対し、「以前のやりとりを参考にすると、生産能力や品質はTravis に問題はないので、価格の問題だと思います。私達はどうにかしたいと考えていて、一度に大量に購入することを工場と交渉したり、Travis のクラウド開発なども含めて、可能な限りのコスト削減をしようと考えています。ここで質問です。1.もし私達がTravisTouch を香港渡しで●(省略)●の提案をする場合、50 万台発注 がベースですが、ソースネクストは可能ですか?2.それが可能な場合、50 万台の前金と して総額の30%を8 月末までに支払えますか?」などと応じた。(乙15)これに対し、被告担当者は、同月22 日、Aに対し、「当社は販売代理店であり、お客様が喜ぶ最高の翻訳製品を市場に送り出したいと考えています。これを実現するために、今年TravisTouch 5)これに対し、被告担当者は、同月22 日、Aに対し、「当社は販売代理店であり、お客様が喜ぶ最高の翻訳製品を市場に送り出したいと考えています。これを実現するために、今年TravisTouch とBlue を販売する独占権を取得し、価格、納期、品質のバランスに基づいて、どの製品に焦点を合わせるかを決定します。当社は、このような極端な条件について 突然検討を求められたことに驚き、困惑しています。その数量は年間での目標数量であり、これを満たせば当社の独占的販売権が更に1 年延長されるという条件そのものです。」などと回答した。 (以上につき、上記のほか、甲7 の11)イ被告担当取締役は、同年9 月4 日、訪欧してAと直接面会し、原告新製品の販売に ついて協議した。(弁論の全趣旨)ウ被告担当者は、同年10 月4 日、Aに対し、「契約の変更の状況はいかがでしょうか。 当方は、当方から明確に伝えた要求についての貴社サイドからの提案をお待ちしております。」などと伝えた。 これに対し、Aは、同月6 日、被告担当者に対し、「以下が、我々が2018 年9 月20 日に 話した内容の概要です。…2.ソースネクストは、ソースネクストがTravis 製品を日本市場では販売しないことを予定しているにもかかわらず、契約に基づき、日本市場におけるTravisTouch の独占権をいまだに保有していると主張している。その理由は、ソースネクストはTravis と日本市場で競争したくないから。…全て上記の事項について正しい理解かご確認ください。」などと応答した。 これを受けて、被告担当者は、同月10 日、Aに対し、「2.…あなたの理解は基本的には正しいです。ただし、ソースネクストの正式なスタンスとしては、「理由はソースネクストがまだ と応答した。 これを受けて、被告担当者は、同月10 日、Aに対し、「2.…あなたの理解は基本的には正しいです。ただし、ソースネクストの正式なスタンスとしては、「理由はソースネクストがまだ市場における独占権を保有しているからです。また、ソースネクストは、仮に、卸売価格、納期、品質という3 つの点全てが当社にとって好ましいものである場合、市場でTravis製品を販売したいと考えています。」…2018 年2 月にTravisTouch を取り扱うことを確認し ましたが、今年の7 月時点においても当社はバグ/他の改良する必要がある点を指摘したこ とを記憶しています。」などと回答した。 これに対し、Aは、同月17 日、被告担当者に対し、「2 の点について、当社の法務部門から、契約では最初の製造バッチについて品質が受け入れられた後、1 年間の独占期間が始まると述べられている旨を聞いています。ソースネクストが注文したことがないということは、独占期間が開始されなかったことを意味します。特にソースネクストがTravisTouch を販売することにもはや関心がないという事実を考慮すると、ソースネクストはこの変更に基づいて日本での独占販売権を得ることはできません。つまり、ソースネクストはTravisTouch とBlue を日本で販売する独占権を保有しません。」などと応答した。 また、Aは、同月21 日、被告担当者に対し、「添付にてお話しした第6 変更契約案をご確認下さい。遅くとも2018 年10 月26 日までに署名されるように手続を進めてください ますようお願い申し上げます。…これを良いスタート、また良いエンディングにしましょう。」などと記載すると共に、第6 変更契約の原案を添付したメールを送信した。 その後、 手続を進めてください ますようお願い申し上げます。…これを良いスタート、また良いエンディングにしましょう。」などと記載すると共に、第6 変更契約の原案を添付したメールを送信した。 その後、原告と被告との間でこの原案の修正に関するやり取りが更に行われたが、同年 11 月7 日には、Aは、被告担当者に対し、平成29 年11 月に出荷した初代ポケトークの 8000 台に係るオンライン翻訳機能が平成30 年12 月で終了すること、オンライン翻訳機能 の延長には1 台当たり年間5 ドルの追加費用が必要であることなどを伝えた。(乙17)これ以降は、原告と被告との間では、オンライン翻訳機能の延長に関するやり取りがレター及びメールで重ねられた。(乙19~28)第6 変更契約(前記第2 の2(10))は、これらの経過を経て締結されたものであり、同契約には、原告が引き続きオンライン翻訳機能を提供し、被告がその対価として原告に27 万 2000 ドルを支払うこと等も盛り込まれた。 (以上につき、上記のほか、甲7 の12) 2 争点1-1(最低購入義務違反の有無)について(1) 本件基本契約2 条3 項では、「独占的な付与」という見出しの下、地域内における製品の独占的な権利について被告を指名し、これが有効となる時期を定めると共に、「被告 は、少なくとも5000 台の製品等を最初の6 ヶ月の間に発注するものとする。」(“Sourcenext shallorderatleast 5,000 unitsoftheProduct, etc. fortheinitialsix(6) monthsperiod.”)とした上で、最初の6 か月間、1 年間、1 年6 か月間及び2 年間にそれぞれ発注すべき最小数を定め uct, etc. fortheinitialsix(6) monthsperiod.”)とした上で、最初の6 か月間、1 年間、1 年6 か月間及び2 年間にそれぞれ発注すべき最小数を定め、被告の発注数量がこれを満たさない場合、BV 社が、書面での通知により、「被告の販売権を独占的な権利から非独占的な権利へと変更することができるものとする。」と定めている。 これによれば、同条項は、少なくとも明示的には、被告による対象製品の発注数量とその 独占的販売権の維持とを関連付けるものであり、しかも、所定数量の未達により当然に被告が独占的販売権を失うわけではなく、BV 社の書面での通知に係らしめている点で、いわば独占的販売権維持のための数値目標を定めたものと理解される。”Sourcenextshallorder…”とはされているものの、その直後に独占的販売権維持のための最小発注数量が設定されていることと考え合わせると、その不履行により被告が不足数量分の損害賠償義務を負うと いう意味での最低購入義務を定める趣旨のものではなく、独占的販売権を維持するための数値目標が設定されたことを踏まえた表現とも理解し得る。 また、本件基本契約には、BV 社の書面での通知により独占的販売権を喪失し得ること以外に、被告が2 条3 項所定の数量の発注を所定の期間内に行わなかった場合における取扱いに関する規定は存在しない。本件基本契約2 条1 項によれば、同契約締結後における卸 売価格の変動が予定されていることがうかがわれること(実際にも初代ポケトークの卸売価格は本件基本契約締結後に変動している。乙36、37)を踏まえると、仮に本件基本契約において最低購入義務(被告の不履行により損害賠償義務を生じるもの)が定められているのであれば、その賠償額算定基 価格は本件基本契約締結後に変動している。乙36、37)を踏まえると、仮に本件基本契約において最低購入義務(被告の不履行により損害賠償義務を生じるもの)が定められているのであれば、その賠償額算定基準となる価格の決定方法等を定める必要があると思われる。しかし、本件基本契約にそのような規定はなく、その他支払時期や支払手続等に関す る規定も設けられていない。こうした点に鑑みると、本件基本契約の締結に当たり、所定期間内に所定数量の発注を被告が行わなかった場合に被告が損害賠償義務を負うことまでは想定されていなかったことがうかがわれる。なお、本件基本契約には「損害賠償」と題する18 条が存在するが、同条は「意図的に削除」(”IntentionallyOmitted”)とされている。 さらに、第4 変更契約も、対象製品の発注数量に関して、「上述の数に届かなかった追加 製品に係るソースネクストの販売権を、該当する国における独占的な販売権から非独占的 な販売権に変更できるものとする。」として、本件基本契約と同旨に理解し得る定めを設けている。他方、同契約に、被告の最低購入義務を定めたことをうかがわせる規定は存在しない。 加えて、第4 変更契約の締結に至る経緯やその後の経緯を見ても、原告及び被告のやり取りにおいて、本件基本契約及び第4 変更契約所定の被告が発注すべき数量につき、独占 販売権の維持と関連付けたものは見受けられるのに対し(前記1(1)イ、エ、カ、キ、(3)ア)、不履行の場合における被告の損害賠償義務を伴う最低購入義務が定められたものであることをうかがわせるものは見当たらない。 これらの事情を総合的に考慮すると、本件基本契約2 条3 項は、対象製品の独占的販売権を維持するための数値目標として被告が発注すべき最小数量を れたものであることをうかがわせるものは見当たらない。 これらの事情を総合的に考慮すると、本件基本契約2 条3 項は、対象製品の独占的販売権を維持するための数値目標として被告が発注すべき最小数量を定めると共に、その未達 の場合にBV 社が被告の独占的販売権を喪失させ得る権利を定めたものと理解するのが相当であって、その未達により被告の損害賠償義務を生じさせるという意味での被告の最低購入義務を定めたものではないと理解される。 したがって、被告は、本件基本契約及び第4 変更契約に基づき原告新製品の最低購入義務を負うものではないから、被告が原告新製品を購入していないことをもって同義務の不 履行とは認められない。そうである以上、原告は、被告に対し、第4 変更契約所定の最低購入義務の不履行に基づく損害賠償請求権を有しない。 (2) これに対し、原告は、独占的販売権を付与することの対価として最低購入義務が生じることは商業上一般的かつ合理的な取扱いであること、被告がそのような義務を負わないとすることは原告にとって経済的合理性を欠くものであり、契約当事者の意思解釈とし て不合理であることなどを主張する。 しかし、上記取扱いが商業上一般的かつ合理的なものであることを裏付ける的確な証拠はない。その点を措くとしても、契約当事者がこれと異なる合意をすることは何ら妨げられない。また、本件基本契約2 条3 項については、例えば、被告のブランドその他に裏付けられた販売能力に期待して被告に初代ポケトークの独占的販売権を付与し、ただ、想定 したほどの成果を上げられなかったようなときに備えて、被告の独占的販売権を喪失させ 自ら又は他の第三者により販売し得る条項を予め定めたものなどと理解する余地があり、このような理解によれば、あながち原 を上げられなかったようなときに備えて、被告の独占的販売権を喪失させ 自ら又は他の第三者により販売し得る条項を予め定めたものなどと理解する余地があり、このような理解によれば、あながち原告にとって経済的合理性を欠くものとはいえない。 また、初代ポケトークの販売実績等を更に加味すれば、第4 変更契約についても、同様に理解したとしても原告にとって経済的合理性を欠くものとはいえない。 その他原告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する原告の主張はいずれも採 用できない。 3 争点2-1(契約交渉段階における信義則上の義務違反の有無)について(1) 第4 変更契約締結に至る経緯(前記1(1)イ~カ)や第4 変更契約締結後から第6 変更契約締結に至る経緯等(前記1(2)、(3))において、被告は、ポケトークシリーズの携帯型翻訳機として原告新製品を販売することを前提とした活動をしていることがうかがわれ る一方で、これらの活動が形だけのものであって被告にその意思がなかったことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。そもそも、被告は、第4 変更契約締結に至る過程で、原告以外の会社と携帯型翻訳機を開発しないことなどを盛り込むよう求める原告に対し、複数の製品供給元を確保するという被告の企業理念及び原告による一方的な卸売価格の変更や納品の遅れに対する懸念等を繰り返し明示的に説明していたこと(前記1(1)エ、カ) に鑑みると、ポケトークシリーズとして被告新製品を販売することをもって、原告新製品に関する個別契約の締結の意思が被告にないことを示すものと理解することは必ずしもできない。また、被告としてはポケトークシリーズの携帯型翻訳機を1 年間で合計50 万台販売することを目標としており、原告新製品をポケトークシリーズの商品として被 とを示すものと理解することは必ずしもできない。また、被告としてはポケトークシリーズの携帯型翻訳機を1 年間で合計50 万台販売することを目標としており、原告新製品をポケトークシリーズの商品として被告新製品と並行して販売することを予定していた旨のBの供述も、上記事情と整合的であり、十分 信用するに足りるものといえる。 以上によれば、被告は、少なくとも被告新製品を公表した時点では、原告新製品をポケトークシリーズの商品として被告新製品と並行して販売することを予定していたと認められる。そうすると、被告は、第4 変更契約を受けた個別契約の締結に係る原告との契約交渉を不当に破棄したとはいえないから、仮に本件において被告が原告に対し契約交渉段階 における信義則上の義務を負うとしても、これに違反したものとはいえない。 そうである以上、原告は、被告に対し、契約交渉段階の信義則上の義務違反という不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。 (2) これに対し、原告は、被告による契約交渉段階における信義則上の義務違反があったとして、縷々主張する。 しかし、上記のとおり、被告は、少なくとも被告新製品を公表した時点では、原告新製 品をポケトークシリーズの商品として被告新製品と並行して販売することを予定していたと認められるのであって、被告が原告新製品ではなく被告新製品を初代ポケトークの直接の後継機として販売する予定であることや、原告新製品を被告新製品の生産が追い付かない場合の穴埋めとして取り扱う意向であったことをうかがわせるに足りる具体的な事情は見当たらない。 また、平成30 年5 月16 日に公表された被告の決算説明資料(甲4 の9。以下「本件資料」という。)では、「自社版次世代機の企画・開発・販売」、「ディストリビュー 事情は見当たらない。 また、平成30 年5 月16 日に公表された被告の決算説明資料(甲4 の9。以下「本件資料」という。)では、「自社版次世代機の企画・開発・販売」、「ディストリビューターからメーカーへ」などと記載して今後販売する予定の被告新製品について言及されている一方で、原告新製品について言及されていないが、これについても、被告が原告新製品の販売を予定していなかったことをうかがわせるものとはいえない。すなわち、本件資料には、 今後の業績予想に関して自社版次世代ポケトークへの言及がなされているものの、これは今後自社版次世代ポケトークを開発するという施策の概要を示したものすぎず、被告新製品に関する具体的な情報を示したものではない。また、本件資料ではディストリビューター(販売代理店)からメーカーへという施策が強調されているが、これも今後の施策の方向性を示したものにすぎず、直ちに販売代理店業務から撤退するといった計画を示すもの ではない。加えて、本件資料では、決算概要として、日本、アメリカ及びカナダでポケトークの独占販売権等を取得した実績についても強調されている。これらの事情に照らすと、本件資料は、被告が原告新製品の販売を予定していなかったことをうかがわせるものとはいえない。 また、被告が原告に対して原告新製品の具体的な販売計画を提示しなかったことについ ては、まず、原告と被告は、原告新製品の販売に関し、第4 変更契約において、独占的販 売権を維持するための最少発注数量に係る目標数値について合意しており、少なくともその限度では、原告新製品に係る販売計画を共有していたといえる。加えて、発注済みの初代ポケトーク全ての納品を最終的に被告が受けたのは平成30 年7 月2 日であること(前記1(2)エ)、 少なくともその限度では、原告新製品に係る販売計画を共有していたといえる。加えて、発注済みの初代ポケトーク全ての納品を最終的に被告が受けたのは平成30 年7 月2 日であること(前記1(2)エ)、同月20 日時点で、被告は原告に対し原告新製品の問題点を指摘し、改善を求めていたこと(前記1(2)オ)、これを概ね改善したとみられる原告新製品のサンプルを被告 が原告から受領したのは同月23 日であること(前同)などに鑑みると、被告が同月26 日の被告新製品の公表前に原告に対してそれ以上の詳細な販売計画等を伝えなかったとしても、あながち不自然ないし不合理とはいえない。他方、被告がサンプルの確認作業等を遅らせて被告新製品の開発をするための時間稼ぎをしていたことをうかがわせる具体的な事情は見当たらない。被告新製品の公表後の経緯(前記1(3))を見ても、被告新製品の公表 に反発する原告に対し、被告は、ポケトークシリーズの今後の販売目標や原告新製品の具体的な購入数は原告製品の納期、品質及び価格にかかっていること等を説明し、原告新製品に係る個別契約の締結に努めたといえるのに対し、原告は、平成30 年8 月17 日に、TravisTouch について、第4 変更契約所定の最小発注数量を大幅に上回り、被告が原告新製品と被告新製品を合わせた年間販売目標数とする数量をベースとし、かつ、その前金とし て総額の30%を同月末までに支払うという、ほとんど実現不可能ともいうべき厳しい契約条件を提示した。その後も、原告と被告との間では、日本における被告の原告新製品の独占的販売権の有無や初代ポケトークの購入者に対する継続的なオンライン翻訳機能の提供に係る追加費用の要否に関する争いが顕在化し、第6 変更契約締結に至っており、その間、被告が原告新製品の具体的な販 独占的販売権の有無や初代ポケトークの購入者に対する継続的なオンライン翻訳機能の提供に係る追加費用の要否に関する争いが顕在化し、第6 変更契約締結に至っており、その間、被告が原告新製品の具体的な販売計画を示すことを原告から求められたことはなく、また、 被告がこれを示すことがなかったとしても不自然ないし不合理とはいえない状況にあったといえる。そうである以上、具体的な販売計画等の提示の有無に関する事情は、被告が原告新製品の販売を予定していなかったことをうかがわせるものとはいえない。 さらに、被告が原告に対して原告新製品の具体的な販売計画を提示しないまま被告新製品を単独で公表したことについては、そもそも、原告新製品と被告新製品を販売するにあ たってどのような広報戦略を採用するかは被告の経営判断に属する事項である。その点を 措くとしても、前記のとおり、平成30 年7 月20 日時点で原告新製品には複数の問題点が存在していたことなどに鑑みると、被告が、同月26 日に原告新製品と被告新製品を同時に公表したり、両製品の販売計画等について調整した上で公表したりしなかったことをもって、被告が原告新製品の販売を予定していなかったことをうかがわせるものとはいえない。 その他原告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する原告の主張はいずれも採 用できない。 4 争点3-1(秘密保持義務違反の有無)について(1) 本件製品情報の利用(使用)についてア寸法に関する情報(別紙製品情報目録1)TravisTouch の寸法は初代ポケトークの寸法(110×60×16mm)と同一であること(甲4 の1、7 の1)、被告は、被告新製品の本体サイズについて、「本体サイズはそのままに」として、初代ポケトークと異ならない旨及びそ ケトークの寸法(110×60×16mm)と同一であること(甲4 の1、7 の1)、被告は、被告新製品の本体サイズについて、「本体サイズはそのままに」として、初代ポケトークと異ならない旨及びそのサイズが「110×59.8×15.8mm」であることを公表していること(甲4 の3)も踏まえると、被告新製品は、初代ポケトークの寸法を踏襲して開発されたものであることが認められる。 そうすると、被告新製品とTravisTouch の寸法がほぼ同じであることは、被告がTravis Touch の寸法に関する情報を使用して被告新製品を開発したことを示す事情とはいえない。 その他被告によるTravisTouch の寸法に関する情報の使用をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。 したがって、寸法に関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 イタッチスクリーンに関する情報(別紙製品情報目録2)証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば、遅くとも平成26 年5 月には、2.4 インチタッチスクリーンのデバイスが市販されており、その存在は公知のものであった上、サイズも規格化されたものであったことが認められる。また、前記のとおり、被告新製品は初代ポケトークの寸法を踏襲して開発されたものであるところ、この寸法の携帯型翻訳機に備え 付け得るスクリーンのサイズは自ずと限られるため、そのような観点から被告新製品に2.4 インチのスクリーンを採用したとしても何ら不合理でない。その他被告によるTravisTouchのタッチスクリーンに関する情報の使用をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。 したがって、タッチスクリーンに関する情報については、被告が原告 不合理でない。その他被告によるTravisTouchのタッチスクリーンに関する情報の使用をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。 したがって、タッチスクリーンに関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 ウ翻訳用の物理ボタンに関する情報(別紙製品情報目録3) 証拠(甲4 の1)によれば、初代ポケトークは、選択した2 つの言語が機器本体前面の左右に備えられた2 つのボタンに対応し、いずれかのボタンを押して当該ボタンに対応する言語を話すともう一方の言語に翻訳されるという仕様を採用していたことが認められる。 すなわち、翻訳するに当たって2 つのボタンを用いるという仕様は、初代ポケトークで既に採用されており、TravisTouch 独自のものではない。初代ポケトークでは物理ボタンでは なくタッチボタンが採用されているが、物理ボタンとタッチボタンのいずれを採用するかはユーザーの使い勝手等を踏まえて適宜選択すれば足りるものであって、物理ボタンを採用するという発想はありふれたものに過ぎない。 したがって、翻訳用の物理ボタンに関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 エ音声コマンド機能(別紙製品情報目録4)証拠(乙59、60)及び弁論の全趣旨によれば、遅くとも平成23 年10 月には音声によって機器を制御する機能を有するデバイスが一般に販売されており、その存在は公知のものとなっていたことが認められる。また、比較的小型とならざるを得ない携帯型翻訳機に音声コマンド機能を採用するという発想は、容易に想到し得るものである。その他被告によ るTravisTouch の音声 ていたことが認められる。また、比較的小型とならざるを得ない携帯型翻訳機に音声コマンド機能を採用するという発想は、容易に想到し得るものである。その他被告によ るTravisTouch の音声コマンド機能に関する情報の使用をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。 したがって、音声コマンド機能に関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 オ ROM 及びRAM に関する情報(別紙製品情報目録5) 証拠(甲4 の1)によれば、ROM 及びRAM を8GB 及び1GB とする仕様は初代ポケト ークで既に採用されていることが認められ、TravisTouch 独自のものではない。 したがって、初代ポケトークの後継機とされる被告新製品が当該仕様を採用したことは、被告がTravisTouch のROM 及びRAM に関する情報を使用したことをうかがわせる事情とはいえない。その他被告によるTravisTouch のROM 及びRAM に関する情報の使用をうかがわせる具体的な事情は見当たらない。 したがって、ROM 及びRAM に関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 カ WiFi 規格に関する情報(別紙製品情報目録6)そもそも、原告が被告に対してTravisTouch のWiFi 規格に関する情報を開示したことを認めるに足りる証拠はない。また、弁論の全趣旨によれば、被告新製品が採用したWiFi 規 格は国際的に定められたWiFi 規格に含まれるものにすぎないことが認められる。 したがって、WiFi 規格に関する情報については、被告が原告から提供された 、被告新製品が採用したWiFi 規 格は国際的に定められたWiFi 規格に含まれるものにすぎないことが認められる。 したがって、WiFi 規格に関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 キ SIM カード規格に関する情報(別紙製品情報目録7)証拠(甲4 の1)及び弁論の全趣旨によれば、NanoSIM カードは初代ポケトークにおい て既に採用されていたこと、NanoSIM カードはSIM カードの規格の1 つに過ぎないことがそれぞれ認められる。 したがって、SIM カード規格に関する情報については、被告が原告から提供された情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 ク小括 以上のとおり、本件製品情報については、個別にみても、また、全体の組合せとして見ても、被告がTravisTouchに係る情報を使用して被告新製品を開発したとは認められない。 (2) 本件予定情報についてまず、被告が本件予定情報に含まれる原告新製品の開発等に係る進捗状況等を考慮して被告新製品の公表時期及び販売開始時期を決定したことを直接裏付けるに足りる証拠はな い。そもそも、前記認定のとおり、被告は被告新製品を公表した時点では原告新製品を被 告新製品と並行して販売することを予定していたことを踏まえると、被告にとって、被告新製品の公表時期等を定めるにあたり本件予定情報に含まれる原告新製品の開発等に係る進捗状況等を考慮する実益は乏しい。また、被告担当者が平成30 年6 月26 日にAに対してアメリカ及びカナダ市場に向けて原告新製品を公表するよう提案したこと(前記1(2)ウ)、同年7 月21 日時点でTravisTo 益は乏しい。また、被告担当者が平成30 年6 月26 日にAに対してアメリカ及びカナダ市場に向けて原告新製品を公表するよう提案したこと(前記1(2)ウ)、同年7 月21 日時点でTravisTouch の音声コマンド機能が日本語に対応していなかったこと (前記1(2)オ)、第4 変更契約において、日本、カナダ及びアメリカにおける被告の原告新製品についての独占的販売権が定められていたこと(第4 変更契約2 条)、被告新製品が対象とするのは主として日本国内の市場と見られること(甲4 の3)などに鑑みると、少なくとも同月26 日の被告新製品の公表時において、被告新製品とTravisTouch とが市場において競合する関係になることは想定しがたい。その意味でも、被告にとって、被告新製品 の公表時期等を定めるにあたり本件予定情報に含まれる原告新製品の開発等に係る進捗状況等を考慮する実益は乏しい。 これらの事情に照らすと、被告が本件予定情報を使用したとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 (3) 小括 以上のとおり、被告による本件各情報の利用(使用)はいずれも認められない。したがって、原告は、被告に対し、本件基本契約所定の秘密保持義務の不履行に基づく損害賠償請求権を有しない。 争点4-3(使用行為の有無)について前記4(1)のとおり、被告による本件製品情報の使用は認められない以上、その余の点に つき論ずるまでもなく、被告による営業秘密の不正使用(不正競争防止法2 条1 項7 号)があったとはいえない。 したがって、原告は、被告に対し、不正競争防止法4 条に基づく損害賠償請求権を有しない。この点に関する原告の主張は採用できない。 6 まとめ 以上のとおり、原告は、被告に対し、最低購 したがって、原告は、被告に対し、不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求権を有しない。この点に関する原告の主張は採用できない。 まとめ 以上のとおり、原告は、被告に対し、最低購入義務の不履行、契約交渉段階における信義則上の義務違反の不法行為、秘密保持義務の不履行及び不正競争のいずれに基づく損害賠償請求権も有しない。 結論 よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官杉浦正樹 裁判官鈴木美智子 裁判官稲垣雄大 別紙当事者目録 原告トラビスジーティービーブイ(TravisGTB.V.) 原告訴訟代理人弁護士渡部峻輔 同増渕勇一郎 同刀祢諒輔 同訴訟復代理人弁護士遠嶋遥 被告ソースネクスト株式会社 同訴訟代理人弁護士村田珠美 同櫻田晋太郎 (別紙製品情報目録省略)(別紙予定情報目録省略)

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