平成30年10月2日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(行ウ)第44号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成30年6月5日判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,差戻し前の第1審,控訴審及び差戻し後の当審を通じて,原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 当庁平成17年(行ウ)第25号事件(以下「A事件」という。)関係被告は,Z及びY1に対し,連帯して50万円を支払うよう請求せよ。 2 当庁平成18年(行ウ)第19号事件(以下「B事件」という。)関係被告は,Y1に対し,50万円を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,北海道の住民である原告らが,北海道とP協同組合(以下「本件組合」という。)との間で締結された北海道有林野(以下「道有林」という。)の立木の売買契約(以下「本件売買契約1」という。)及び育林事業等に係る請負契約が,生物の多様性に関する条約及び北海道森林づくり条例に違反するなどと主張し, 被告に対し,①地方自治法242条の2第1項4号本文に基づいて,本件売買契約1を締結した当時の北海道日高森づくりセンターの所長であるZ及び同所長を監督すべき義務があったとする当時の北海道日高支庁の長であったY2に対して連帯して50万円の損害賠償の請求をするよう求め(以下「A事件請求⑴」という。),②同号ただし書に基づいて,苗木の植栽のための地拵えに係る請負契 約(以下「本件請負契約1」という。)及び集材路の新設を含む育林事業に係る請 負契約(以下「本件請負契約2」という。)を締結したZに対し各50万円の賠償の命令をするよう求め(以下,本件請負契約2に係る請求を「A事 1」という。)及び集材路の新設を含む育林事業に係る請 負契約(以下「本件請負契約2」という。)を締結したZに対し各50万円の賠償の命令をするよう求め(以下,本件請負契約2に係る請求を「A事件請求⑵」,本件請負契約1 に係る請求を「B事件請求⑴」という。),③同号本文に基づいて,本件請負契約1及び2を締結したZを監督すべき義務があったとする当時の北海道日高支庁の長であったY1に対して各50万円の損害賠償の請求をするよ う求め(以下,本件請負契約2に係る請求を「A事件請求⑶」,本件請負契約1に係る請求を「B事件請求⑵」という。),④同号本文に基づいて,本件売買契約1,本件請負契約1及び2に関して道有林の財産管理義務を怠ったとするZ及びY1に対して連帯して50万円の損害賠償の請求をするよう求めた(以下「A事件請求⑷」という。)事案である。 差戻し前の第1審は,原告らの訴えのうち,Zに対する賠償命令に関する部分(A事件請求⑵,B事件請求⑴)について,出訴期間徒過を理由に不適法であるとして却下し,その余の請求については,本件売買契約1,本件請負契約1及び2によって北海道に損害が生じたと認めることはできないとして,いずれも棄却したところ,これを不服とする原告らが控訴を提起した(札幌高裁平成23年(行 コ)第29号損害賠償請求控訴事件)。 差戻し前の控訴審は,⑴ 原判決のうち,①本件請負契約1に関するY1に対する50万円の支払請求(B事件請求⑵),②本件売買契約1に関するZ及びY1に対する50万円の連帯支払請求(A事件請求⑷の一部)を棄却した部分を取り消し,上記の各棄却部分につき,本件を札幌地方裁判所に差し戻し,⑵ 本件 請負契約1に関するZ及びY1に対する50万円の連帯支払請求(A事件請求⑷の一部)を棄却した部 部)を棄却した部分を取り消し,上記の各棄却部分につき,本件を札幌地方裁判所に差し戻し,⑵ 本件 請負契約1に関するZ及びY1に対する50万円の連帯支払請求(A事件請求⑷の一部)を棄却した部分を取り消し,同部分に係る原告らの訴えの追加的変更を許さない旨の宣言をし,⑶ その余の請求(A事件請求⑴~⑶の全部,同⑷の残部,B事件請求⑴の全部)については,原告らの控訴を棄却する旨の判決(以下「本件高裁判決」という。)をした。 被告は,本件高裁判決に対して上告受理の申立てをしたが,最高裁判所は,平 成26年11月28日,上告を受理しない旨の決定をし,本件高裁判決が確定した。 以上によれば,差戻し後の当審における審理判断の対象は,①本件売買契約1に関するZ及びY1に対する50万円の連帯支払請求(A事件請求⑷の一部),②本件請負契約1に関するY1に対する50万円の支払請求(B事件請求⑵), である。 2 関係法令等の要旨⑴ 北海道財務規則(昭和45年規則第30号。乙2)12条1項は,北海道知事(以下「道知事」という。)から北海道行政組織規則第3章に規定する出先機関等の長に対し,①支出負担行為たる契約以外の契約を行うこと(2号),②支 出負担行為を行うこと(3号),③公有財産の管理を行うこと(7号),④債権を管理すること(12号)の執行を委任している(なお,本件売買契約1の締結は①に,本件請負契約1の締結は②に含まれる。)。 ⑵ 北海道行政組織規則(昭和41年規則第21号。乙3,51。以下「本件組織規則」という。)は,道知事の権限に属する事務を処理するための組織等につ いて必要な事項を定めている。本件に関する本件当時の規定は,以下のとおりである。 ア北海道日高支庁(以下「日高支庁」という。)は,浦河郡 道知事の権限に属する事務を処理するための組織等につ いて必要な事項を定めている。本件に関する本件当時の規定は,以下のとおりである。 ア北海道日高支庁(以下「日高支庁」という。)は,浦河郡浦河町に位置し,浦河郡,様似郡,幌泉郡,三石郡,静内郡,新冠郡,沙流郡をその管轄区域とする出先機関である(35条)。日高支庁は,本件組織規則第3章に規定す る出先機関であるから,日高支庁の長(以下「日高支庁長」という。)は,上記⑴の委任を受けている。 イ森づくりセンターは,森林の総合利用の推進,林業普及指導業務,道有林野及び道民の森の整備管理並びに道民の森の利用に関する事務を行うために設置された出先機関である(270条の2第1項)。北海道日高森づくり センター(以下「本件センター」という。)は,浦河郡浦河町に位置し,浦河 郡,様似郡,幌泉郡,三石郡,静内郡,新冠郡,沙流郡をその管轄区域としている(270条の2第2項,別表第6)。 ⑶ 北海道事務決裁規程(乙53。以下「本件規程」という。)11条は,本件規程により専決事項とされた事項についても,重要又は異例に属すると認められる事務については,上司の決裁を受けなければならない旨規定している。また, 本件規程16条は,出先機関の長は,その所掌する事務の執行のため必要があるときは,事務の専決,代決その他の決裁についての細則を定めることができる旨規定している。 ⑷ 本件規程16条を受けて定められた北海道日高支庁事務決裁細則(乙54。 以下「本件細則」という。)5条ただし書,別表第4の5は,本件センターの所 長(以下「本件センター長」という。)は,①1件の金額が5億円未満の経費の支出に関し,支出負担行為を行うこと(別表第4の5⑴),②支出負担行為たる契約以外の契約を行う 5は,本件センターの所 長(以下「本件センター長」という。)は,①1件の金額が5億円未満の経費の支出に関し,支出負担行為を行うこと(別表第4の5⑴),②支出負担行為たる契約以外の契約を行うこと(同⑺),③公有財産の取得及び管理を行うこと(同⑿)を専決することができる旨規定している(なお,本件請負契約1の締結は①に,本件売買契約1の締結は②に含まれる。)。 また,本件細則8条は,専決をする者は,専決した事項のうち,その処理について上司から命を受けたものその他必要と認められるものについては,専決事項の概要を上司に報告しなければならない旨規定している。 ⑸ 本件規程16条を受けて定められた北海道日高森づくりセンター事務決裁細則(乙55)3条,別表第2の12⑵は,本件センターの管理課長は,1件 の金額が50万円未満の収入の原因となるべき契約(公有財産の処分に係るものを除く。)を行うことを専決することができる旨規定している。 ⑹ 森林法34条1項柱書本文は,保安林においては,都道府県知事の許可を受けなければ,立木を伐採してはならない旨規定している。そして,北海道水産林務部治山課が策定した保安林(自治事務)に関する要綱(甲124。以下「本 件要綱」という。)50条1項は,上記許可の申請があったときは,支庁長は, 実地調査を行うほか適宜の方法により十分な調査を行う旨規定している。 ⑺ 森林法34条2項柱書本文,同項5号は,保安林においては,原則として,都道府県知事の許可を受けなければ,立竹を伐採し,立木を損傷し,家畜を放牧し,下草,落葉若しくは落枝を採取し,又は土石若しくは樹根の採掘,開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならないとしつつ,その例外とし て,軽易な行為であって農林水産省令で定めるものを 牧し,下草,落葉若しくは落枝を採取し,又は土石若しくは樹根の採掘,開墾その他の土地の形質を変更する行為をしてはならないとしつつ,その例外とし て,軽易な行為であって農林水産省令で定めるものをする場合にはこの限りでない旨を規定している。これを受けて定められた森林法施行規則(平成25年農林水産省令第5号による改正前のもの)22条の10第1号は,上記の農林水産省令で定める軽易な行為として,造林又は保育のためにする地拵え,下刈り,つる切り又は枝打ちを規定している。 ⑻ 森林法施行令4条の2第3項は,都道府県知事は,伐採年度ごとに,保安林及び保安施設地区内の森林の当該伐採年度における皆伐による立木の伐採につき,都道府県知事が許可をすべき皆伐面積の限度を公表しなければならない旨規定し,本件要綱55条は,支庁長は,上記公表日の30日前までに保安林内立木伐採許可報告書により,皆伐の許可面積を報告するものとする旨規定し ている。 ⑼ 北海道の道有林の整備及び管理に関する方針並びに本件に関連する道有林に係る育林事業の事務取扱いについては,以下のとおりである。 ア北海道森林づくり条例(平成14年北海道条例第4号。乙5。以下「本件条例」という。)9条は,道知事に対し,森林づくりに関する施策の総合的か つ計画的な推進を図るため,北海道の森林づくりに関する基本的な計画を定めることを義務付けており,北海道有林野の整備及び管理に関する規程(平成14年北海道訓令第17号。乙6)5条1項は,道知事は,道有林の整備及び管理に関する北海道の事業の基本計画を,5年ごとに,基本計画を策定する年度の翌年度の4月1日以降10年を1期として策定するものとする 旨規定している。また,本件条例20条は,北海道は,道有林について,公 益的機能 計画を,5年ごとに,基本計画を策定する年度の翌年度の4月1日以降10年を1期として策定するものとする 旨規定している。また,本件条例20条は,北海道は,道有林について,公 益的機能の維持増進を図るため,計画的かつ適切な管理運営を行うものとする旨規定している。 イ本件条例9条及び北海道有林野の整備及び管理に関する規程を受けて策定された基本計画(以下「本件基本計画」という。乙7)では,道有林の取扱いについて,公益性と収益性の両方を重んじる考え方から,公益性を全面 的に重視する考え方に転換し,①公益性を全面的に重視する森林の整備・管理の推進,②道民全体に支えられた森林の整備・管理の推進,③道民の合意形成の推進を図り,道民共通の財産として道民の負託に応えるよう努めていくとの北海道の方針が示され,①の内容として,木材生産を目的として伐採する皆伐及び択伐を廃止し,森林整備のため複層林化や下層木の育成を目的 として伐採する受光伐を導入し,更新作業に当たっては自然の力を活かした取扱いを優先することなどが記載されている。 ウ道有林野請負事業事務取扱要領(甲75。以下「本件要領」という。)は,道有林に係る育林事業を請負により施行する場合の事務取扱いについて規定している。本件要領2条は,森づくりセンターの所長は,請負事業を施行 しようとするときは,所定の仕様書(以下「本件仕様書」という。別紙1はその抜粋である。)を基準として設計書を作成しなければならない旨規定している。 ⑽ 生物の多様性に関する条約(平成5年条約第9号。以下「本件条約」という。)は,生物の多様性の保全,その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用 から生じる利益の公正かつ衡平な配分の実現を目的とした条約である(1条)。 本件条約8条及び14条 「本件条約」という。)は,生物の多様性の保全,その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用 から生じる利益の公正かつ衡平な配分の実現を目的とした条約である(1条)。 本件条約8条及び14条1項は,生物の生息域内の保全及び生物の多様性に対する悪影響の最小化のために,締結国が,可能な限り,かつ,適当な場合に行うべき措置を規定している。 3 前提事実 以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によっ て容易に認められる事実である(なお,複数頁にわたる書証等のうち認定に用いた主な箇所の頁数を〔 〕内に摘示した。また,A事件にB事件を併合する前にB事件において提出された証拠については,証拠番号の前に「B事件」と表示する。以下同じ。)。 ⑴ 当事者等 ア原告らは,いずれも北海道の住民である。 イ日高支庁は,平成22年4月1日付けの組織改編に伴い,北海道日高振興局に名称が変更された。被告は,その長である。(弁論の全趣旨)ウ Y2は,平成15年6月1日から平成17年3月31日まで,Y1は,同年4月1日から平成19年5月31日まで,それぞれ日高支庁長の職にあっ た者である。(乙122〔1〕,証人Y1〔1〕,弁論の全趣旨)エ Zは,平成16年4月1日から平成18年3月31日まで,本件センター長の職にあった者である。(乙121〔1〕,証人Z〔1〕)⑵ 本件売買契約1ア事前調査 本件センターの職員は,平成13年9月14日から同年10月17日までの間,合計5日間にわたり,日高管理区152林班(以下,単に「152林班」という。)において,後継樹の確保のための受光伐(植栽木(苗木)や自然の力によって発生した稚樹等の生育に必要な空間や光環境を確保するために,上層木の伐採等 管理区152林班(以下,単に「152林班」という。)において,後継樹の確保のための受光伐(植栽木(苗木)や自然の力によって発生した稚樹等の生育に必要な空間や光環境を確保するために,上層木の伐採等を行うことをいう。)を実施する前提として,職員によ る収穫調査(以下「本件収穫調査」という。)を行い,その結果,152林班43小班(小班とは,森林の管理を行いやすくするため,天然林や人工林,樹種などを因子として,同じ性格の森林ごとに番号を付したものである。以下,単に「43小班」という。)10伐区(伐区とは,森林整備のための伐採木調査を行う際に大きな調査区域を一時的にいくつかに分割した立木販売 物件の最小単位となるものをいう。以下,単に「10伐区」という。)では, 受光伐による伐採対象木として376本の立木が特定された。本件センターの職員は,このうち,胸高直径(成人の胸の高さの位置における樹木の直径)がおおむね36cm以上と認められる伐採対象木262本にはナンバーテープを貼付し,その他の114本の伐採対象木にはカラースプレー等の標識を付した。(甲39,43,74の2,乙12,13,72の1~5,16, 17,乙73,92〔4〕,証人W〔3,5,7〕,弁論の全趣旨)イ本件売買契約1の締結Zは,平成16年10月6日,本件センター長として,152林班その他における2360本の立木について,産物売払いを決定した。このうち,10伐区において売買の対象となった立木は,上記アで特定された376 本であった。(乙16,弁論の全趣旨)Zは,平成16年10月26日,本件センター長として,上売払いについて,本件組合を買受人とする産物売払決定を行い,日高支庁長から専決を任された者として日高支庁長Y2の名義で,同日,本件組合 旨)Zは,平成16年10月26日,本件センター長として,上売払いについて,本件組合を買受人とする産物売払決定を行い,日高支庁長から専決を任された者として日高支庁長Y2の名義で,同日,本件組合との間で,2360本の立木を273万円(消費税等を含む。)で売り渡す 旨の売買契約(本件売買契約1)を締結した。(甲1,乙17,18,弁論の全趣旨)本件売買契約1の契約書18条1項後段には,日高支庁長は,本件組合に法令又は契約に違反する行為があると認める場合には,事業の中止を命ずることができる旨の定め(以下「中止条項」という。)があった。(乙1 8)ウ履行本件組合は,平成16年11月16日,日高支庁に対し,本件売買契約1の代金全額を支払い,同日,本件センターから本件組合に対し,売買物件である2360本の立木の引渡しが書類引渡しの方法により行われた。 (甲2,乙19,20) 本件組合は,平成17年7月20日,本件センターに対し,造材・採取期間を同年8月20日から同年10月29日まで,搬出期間を同月20日から同年11月30日までとして,10伐区における事業着手届を提出した。(乙21)本件組合は,平成18年10月25日,本件センターに対し,立木23 60本,支障木(伐採や集材などにおいて作業の支障となる木をいう。)18本の搬出済届を提出し,翌26日,支障木38本の搬出済届を提出した(以下,これらの搬出された立木の伐採を「本件受光伐」という。)。(乙33~35)本件受光伐においては,別紙2の図面(乙91に加筆したもの。以下「本 件現況図」という。)にある,10伐区の南側伐採区(林道の西側)の突起部分(以下「越境1」という。)においても立木が伐採された。(甲81の1,2,甲10 図面(乙91に加筆したもの。以下「本 件現況図」という。)にある,10伐区の南側伐採区(林道の西側)の突起部分(以下「越境1」という。)においても立木が伐採された。(甲81の1,2,甲100,105,乙119,弁論の全趣旨)本件センターの職員は,平成18年11月24日,本件組合の関係者を立会人として,152林班の43小班における跡地検査を簡略検査の方法 により行い,支障木を含む売払木に係る99本の伐根を確認した。この検査の結果は,同日,本件センターの職員から本件センター長へ報告された。 (乙36,37,弁論の全趣旨)⑶ 本件請負契約1ア事前調査 本件センターの職員は,平成16年10月1日,43小班において,更新作業(人為あるいは天然の力によって次世代の木を発生させることをいう。)としての苗木の植栽のための準備作業である地拵え(植栽等の事業前に,障害となる不用木の除去や地面に散乱している大きな枝葉やササなどの除去を行う作業をいう。)の区域測量を実施した。(B事件乙9) イ本件請負契約1の締結 Zは,平成17年4月8日,本件センター長として,育林事業請負契約に係る支出負担行為の決定をし,日高支庁長から専決を任されたものとして日高支庁長Y1の名義で,同月28日,本件組合との間で,請負代金を5271万円(消費税を含む。)とする請負契約(本件請負契約1)を締結した。本件請負契約1は,日高管理区一円において,森林機能の維持増進のため,森 林の更新作業,保育作業(若い木を育てる作業をいう。)等を行うものであり,43小班においては,植栽の準備のための上記アの区域における地拵えの作業のみが契約内容とされていた。(B事件甲1,B事件乙10の1,2,B事件乙11,13,弁論の全趣旨)ウ 等を行うものであり,43小班においては,植栽の準備のための上記アの区域における地拵えの作業のみが契約内容とされていた。(B事件甲1,B事件乙10の1,2,B事件乙11,13,弁論の全趣旨)ウ履行 本件組合は,平成17年5月6日,本件センターに対し,事業期間を同年4月29日から同年11月30日までとする育林請負事業計画表を提出した上,本件請負契約1に基づき,植栽前の地拵えとして,同年9月3日から同年10月5日までの間,合計10日間にわたり,不用木の除去及び地面に散乱した枝葉やササなどの除去を行った(以下「本件地拵え」と いう。)。そして,本件組合は,同年11月30日,本件センターに対し,請負事業完成通知書を提出した。(乙63の1,2,B事件乙12,13)本件センターは,平成17年12月5日及び同月6日,本件請負契約1の完成を確認するための検査を行い,契約条項どおり完成しているものと認めた。(B事件乙14) 4 争点⑴ 本件売買契約1関係ア本件越境伐採の有無イ Zの責任ウ Y1の責任 エ損害の有無及び額 ⑵ 本件請負契約1関係ア履行の違法性イ締結の違法性ウ Y1の責任エ損害の有無及び額 ⑶ 時機に後れた攻撃防御方法該当性 5 当事者の主張⑴ 本件売買契約1関係ア本件越境伐採の有無(原告らの主張) 10伐区の区域は,別紙3(乙72の19の伐区図(以下「本件伐区図」という。)の一部)のとおりである。越境1は10伐区には含まれない。 10伐区には含まれない越境1においても本件受光伐が行われたのであるから,10伐区の区域を超える伐採(以下「本件越境伐採」という。)が行われたことになる。 (被告の主張) まれない。 10伐区には含まれない越境1においても本件受光伐が行われたのであるから,10伐区の区域を超える伐採(以下「本件越境伐採」という。)が行われたことになる。 (被告の主張)10伐区の区域をできる限り正確に表示した図面は,本件現況図(別紙2)である。越境1は10伐区に含まれる。 したがって,本件越境伐採が行われた事実はない。 イ Zの責任 (原告らの主張)Zは,日頃から,部下である担当職員に対し,本件受光伐を含む道有林の伐採に関わる各種法律・条例・その他の諸規則の周知徹底と遵守,伐採業者に対する監督の必要性や監督の内容・方法,そして違反等があったときの対応の仕方等について十分指導を行う義務,及び伐採業者が越境伐採を開始し た時点で中止条項所定の中止命令を下す措置を講じる義務を負っていた。 しかし,担当職員が現に本件越境伐採を見過ごしていたことからすると,Zによる担当職員に対する指導監督は不十分であった。また,Zによる十分な指導監督が行われていなかったため,Zは,担当職員から本件越境伐採の報告を受けられず,中止条項に基づき伐採作業の中止を命じることも怠った。 (被告の主張) Zは,本件売買契約1の適正な履行を確保するため,①平成16年10月26日の本件売買契約1の締結,②同年11月16日の売買代金の納付確認,③同日の売買物件の引渡し,④支障木に係る産物売払の決定,引渡し等について,自ら又は職員に命じ,業務を遂行,完了しているとともに,平成18年11月24日,跡地検査により,本件売買契約1が適正に履行されたこと を確認している。 したがって,仮に,本件越境伐採があったとしても,そのような伐採は,森林窃盗と目される場合であり,Zには予見不可能であるとと により,本件売買契約1が適正に履行されたこと を確認している。 したがって,仮に,本件越境伐採があったとしても,そのような伐採は,森林窃盗と目される場合であり,Zには予見不可能であるとともに,Zは,本件売買契約1の適正な履行を確保するために,果たすべき注意義務を果たしており,Zには責任はない。 ウ Y1の責任(原告らの主張)本件要綱に基づく義務の懈怠本件受光伐により伐採された立木は,保安林に指定されている森林内の立木である。したがって,Y1は,立木の伐採許可申請がされたときは, 本件要綱50条に基づき,実地調査等により十分な調査を行う義務を負っていたにもかかわらず,何らの調査も行わなかった。仮に,Y1が十分な調査をしていれば,本件越境伐採がされることを事前に認識し得たのであるから,伐採作業の中止を命じることができた。 以上のとおり,Y1は,本件要綱に基づく義務を怠った結果,本件越境 伐採を見過ごした。 監督義務の懈怠Y1は,日頃から,部下であるZに対し,各種法律・条例・その他の諸規則の周知徹底と遵守を指導しておく義務を負っており,かかる義務には,Zを通して,その部下に対し,日常的に指導・監督をするよう指導しておくことも含まれている。しかし,本件越境伐採が見過ごされたことからす ると,Y1による日常的なZへの指導監督は不十分であった。 また,Y1は,本件規程11条の「重要又は異例に属すると認められる」場合には,当該事項について適切に自己に報告を上げるよう指導しておくこと,本件細則8条の「その他必要と認められるもの」については,専決事項の概要を自己に報告するよう指導しておくことをZに対し指導監督 すべき義務を負っていたにもかかわらず,かかる指導監督を怠った。 ( 細則8条の「その他必要と認められるもの」については,専決事項の概要を自己に報告するよう指導しておくことをZに対し指導監督 すべき義務を負っていたにもかかわらず,かかる指導監督を怠った。 (被告の主張)本件要綱に基づく義務の懈怠について本件要綱に関係する事務手続について定めた平成12年4月3日付け水産林務部治山課長・道有林管理室参事通知「森づくりセンター所長が行 う保安林関係事務手続きについて」(平成12年治山第32号。乙126)によれば,立木の伐採許可申請に係る伐採が整備管理計画に基づくものである場合には,当該計画の樹立に当たり現地の状況は十分に調査されていることから,本件要綱50条に基づく現地調査は了したものとみなされる。 本件においても,本件受光伐が整備管理計画に基づくものであることから, 本件要綱50条に基づく現地調査は了したとみなして,立木の伐採許可申請の適否判定調書の記載は省略されているが,手続としては正当なものであり,本件要綱50条に違反するものではない。 さらに,本件受光伐に関する立木の伐採許可申請から許可決定の手続が行われた期間の日高支庁長はY2であり,Y1には何ら責任が及ばない。 以上のとおり,Y1には,本件要綱に基づく義務の懈怠は存在しない。 監督義務の懈怠についてY1が賠償責任を負うのは,その指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失によりZの財務会計上の違法行為を阻止しなかったときに限られる。 本件において,Y1がZの専決権の行使に対し,具体的な指揮監督をすべき特段の事情はなかったのであるから,Y1がZに対する指揮監督を怠っ たとはいえない。 エ損害の有無及び額(原告らの主張)越境1における伐採本数は16本(甲105の通し番号635 べき特段の事情はなかったのであるから,Y1がZに対する指揮監督を怠っ たとはいえない。 エ損害の有無及び額(原告らの主張)越境1における伐採本数は16本(甲105の通し番号635~650,調査番号783~768)であるところ,このうち,スプレーの印,ナンバ ーテープ又は支障木テープのいずれもない立木は6本(甲105の通し番号643,645,646,648~650,調査番号791,793,794,796~798)であり,これらは伐採後に売却されなかった立木である。この6本はいずれも広葉樹であり,その直径はそれぞれ22cm,24cm,8cm,10cm,40cm,54cmである。したがって,それぞ れの材積は0.23㎥,0.30㎥,0.02㎥,0.03㎥,1.04㎥,2.15㎥となり,その合計は3.77㎥となる。そして,直径6cm程度の丸太や低質材では,1㎥当たりの市場価格の単価は5200円であるから,本件越境伐採による損害は少なく見積もっても1万9604円(5200円×3.77㎥)である。 (被告の主張)争う。越境1は10伐区の区域に含まれており,伐採された立木は本件受光伐による伐採対象木又は支障木として,適切に販売されている。なお,原告らが,本件越境伐採の上販売されなかったと主張する6本の立木は,伐根の位置の特定すらされていない。 ⑵ 本件請負契約1関係 ア履行の違法性(原告らの主張)地拵えにより立木を伐採する場合には,本件要領に添付されている本件仕様書の規定が適用される。本件仕様書第2の1⑴アによると,伐採する立木は,第1に表示されたもの,第2に別に定める選木基準によるものと されているところ,選木基準は存在しないから,伐採の対象となる立木は,その旨 される。本件仕様書第2の1⑴アによると,伐採する立木は,第1に表示されたもの,第2に別に定める選木基準によるものと されているところ,選木基準は存在しないから,伐採の対象となる立木は,その旨の表示がされていることを要する。ところが,本件地拵えにおいては,少なくとも胸高直径6cm以上の立木327本について,表示がされていなかったにもかかわらず,伐採が行われた。 地拵えにおいては,伐採の対象となる木が植栽の障害となっている必要 がある。また,地拵えの対象となる不用木とは,受光伐を行う目的である「森林づくり・樹木の育成」に照らし,植栽の障害になるだけでなく,その立木自体が老齢だったり枯損したりしていて不健全である木をいうと解すべきである。ところが,上記327本の立木については,植林していない場所での伐採や,寄せ幅(新規に植栽する範囲ではなく,植林に邪魔 なササや枝等を寄せておく場所)での伐採に該当するものが含まれており,植栽の障害にならないものや,かん木(主幹と側幹との区別がはっきりしない,樹高がほぼ2m以内の低木をいう。)若しくは枯損木(病虫害や気象災害等により枯れた木をいう。)でなかったものが多々存在している。さらに,原告らが平成18年4月29日に行った現地調査の結果(甲81の 1,甲105)によれば,植え幅(植栽を施すための幅1~2m程度の区域をいう。)になく地拵えが正当化されない伐根が少なくとも190本あった一方で,本件地拵えで伐採された木のうち腐朽・枯損していたものは8本しか確認されなかった。 このように,本件地拵えによる伐採には,地拵えの目的から逸脱し,本 来なら伐採する必要などなかった,あるいは伐採してはならなかった立木 の伐採が含まれており,地拵えに必要な限度を超えた過剰な伐採 本件地拵えによる伐採には,地拵えの目的から逸脱し,本 来なら伐採する必要などなかった,あるいは伐採してはならなかった立木 の伐採が含まれており,地拵えに必要な限度を超えた過剰な伐採(以下「本件過剰伐採」という。)が行われた。 (被告の主張)本件仕様書第2の1は,受光伐の伐採を行う場合における伐木から地拵えまでの仕様を規定したものであるところ,伐採対象木の表示が必要とさ れているのは受光伐の対象となる立木のみである。本件地拵えに先立ち既に本件受光伐が行われていたのであるから,本件地拵えにおいては,伐採対象木をあらかじめ表示する必要はなかった。 本件においては,整備対象となる森林は,有用な稚樹・幼木がなく,又はまばらに分布している状況にあったため,受光伐により受光量を確保し ても天然更新が難しいとの判断がされたものであり,整備手法としては,まず受光伐により受光量確保のために必要な立木及び受光伐の実施に当たり支障となる立木を抜き伐りにし,その後,地拵えによる植栽環境の整備を行った上で,植栽を行うという,一般的な整備方法が選択された。そして,本件売買契約1に基づく本件受光伐においては,受光の確保のため に伐採を必要とする立木及び支障木について,抜き伐りして売買し,本件請負契約1に基づく本件地拵えにおいては,その他の植栽の障害となる不用木等を伐採し,寄せ幅に残置することとしたものである。そして,受光を確保するためには伐採が必須であるものの,本件受光伐の対象となるのは販売可能な立木に限られることから,枯損木,腐朽木又はかん木など市 場価格が事業費を下回る負価材については,搬出経費を必要としない地拵えにより財産的価値のない不用木として伐採することになる。このように,地拵えにおける伐採対象は,植栽の 朽木又はかん木など市 場価格が事業費を下回る負価材については,搬出経費を必要としない地拵えにより財産的価値のない不用木として伐採することになる。このように,地拵えにおける伐採対象は,植栽の障害となる不用木はもとより,受光確保のため伐採が必須であるものの負価材であるため受光伐の対象とすることができなかった立木も対象となるのであって,地拵えにより伐採可能 な立木は,その立木自体が老齢であったり枯損していたりと不健全なもの に限られるものではない。さらに,植え幅以外の残余筋においても,植生が植栽木を被圧するおそれがあるものは適宜刈り払うことが必要とされているのであって,植え幅にないことのみをとらえて地拵えが正当化されないとする原告らの主張は失当である。 以上のとおり,本件地拵えにおいては伐採対象となる立木が適切に選定 されており,本件過剰伐採の事実はない。 イ締結の違法性(原告らの主張)本件地拵えにより伐採された立木は,本来的に立木としての価値を有する樹木であったにもかかわらず,本件地拵えにより10伐区は皆伐状態となっ た。本件請負契約1は,このような皆伐状態になるということを許容して締結されたものであり,本件条約1条,8条,14条,本件条例9条,20条,道有林の森林施業指針(甲35。以下「本件指針」という。)に違反する違法な契約である。 (被告の主張) 本件条約は,直接,地方公共団体を拘束するものではないし,本件条約に基づく国内法に照らしても,本件請負契約1が違法とされる理由はない。本件地拵えによって野生生物の生育環境等に対して重大な影響を与えたものではないから,いずれにしても本件条約に反するとの原告らの主張は失当である。 本件条例には,森林整備のための作業を制約す 件地拵えによって野生生物の生育環境等に対して重大な影響を与えたものではないから,いずれにしても本件条約に反するとの原告らの主張は失当である。 本件条例には,森林整備のための作業を制約する趣旨の規定はないため,本件請負契約1が本件条例に違反する点はない。 本件地拵えは,森林の更新作業の準備のため,植栽前の準備作業として施業されたものであり,後継樹がほとんどみられない10伐区における受光伐後の施業方法の選択として合理的なものであるし,施業も適切な方法でされ ているから,何ら本件指針に違反しない。 ウ Y1の責任(原告らの主張)本件要綱に基づく義務の懈怠本件地拵えにより伐採された立木は,保安林に指定されている森林内の立木である。したがって,Y1は,本件要綱に基づき,本件組合に対し, 立木の伐採許可申請を行わせる義務を負っていたにもかかわらず,これを怠った。 また,Y1は,本件要綱55条に基づき,皆伐面積の調査,確認及び報告をしなければならないところ,これを怠った。 以上のとおり,Y1は,本件要綱に基づく義務を怠った結果,本件過剰 伐採を見過ごした。 監督義務の懈怠Y1は,Zに対し,本件地拵えの際,刈り幅内の有用稚幼樹は積極的に保護しなければならないという本件仕様書の規定を伐採業者に遵守させるよう監督する義務を負っていた。しかし,Zが,部下である現場の監督 員を盲目的に信用し,部下の報告書の内容の真偽を十分確認していなかったことからすると,Y1のZに対する指導監督が不十分であったことは明らかである。 また,Y1は,本件規程11条の「重要又は異例に属すると認められる」場合には,当該事項について適切に自己に報告を上げること,本件細則8 条の「その他必要と認 分であったことは明らかである。 また,Y1は,本件規程11条の「重要又は異例に属すると認められる」場合には,当該事項について適切に自己に報告を上げること,本件細則8 条の「その他必要と認められるもの」については,専決事項の概要を自己に報告するよう指導しておくことをZに対し指導監督すべき義務を負っていたにもかかわらず,かかる指導監督を怠った。その結果,本件過剰伐採が行われた。 (被告の主張) 本件要綱に基づく義務の懈怠について 植栽の準備行為として,伐採跡地に残置された不用木やかん木等を除去することは,営林行為としての地拵えに当たり,森林法及び同法施行規則により都道府県の許可を要しないこととされているから,森林法の適用上何ら違法なものではない。したがって,Y1に,本件要綱に基づき,本件組合に対し,立木の伐採許可申請を行わせる義務があったとはいえない。 また,本件要綱55条に基づく報告は,森林法施行令4条の2第3項の規定に基づき北海道が毎年規定された期日に皆伐可能な面積の限度を公表するに当たり,各支庁の許可状況を水産林務部長に報告するものであり,個別の事業ごとの許可内容を報告するものではなく,事業の実施前後に皆伐面積を報告するようなものでもない。 さらに,本件地拵えに関する保安林内立木伐採許可申請から許可決定の手続が行われた期間の日高支庁長はY2であり,Y1には何ら責任が及ばない。 以上のとおり,Y1には,本件要綱に基づく義務の懈怠は存在しない。 監督義務の懈怠について Y1が賠償責任を負うこととなるのは,その指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失によりZの財務会計上の違法行為を阻止しなかったときに限られる。本件において,Y1があえて指揮監督すべき特段の事情はなか Y1が賠償責任を負うこととなるのは,その指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失によりZの財務会計上の違法行為を阻止しなかったときに限られる。本件において,Y1があえて指揮監督すべき特段の事情はなかったのであるから,本件請負契約1の締結及び履行に関し,Y1に責任はない。 エ損害の有無及び額(原告らの主張)本件地拵えにより伐採された327本の立木の樹種はトドマツと広葉樹であるところ,その直径を6cmと仮定すると,樹高は5~6m,1本当たりの材積は0.01㎥となり,その材積は合計3.27㎥(327本×0. 01㎥)となる。直径6cm程度の丸太や低質材では1㎥当たりの市場価格 の単価は5200円であるから,本件過剰伐採による損害は最低でも1万7004円(5200円×3.27㎥)を下回らない。 (被告の主張)争う。平成24年度の造林標準単価表によると,運搬経費を含まない造材経費でも1㎥当たりの事業費は6689円となり,事業費が市場価格を上回 ることは明白であり,本件地拵えによる伐採木は,いずれも売買契約が不能な負価材となる。 したがって,本件地拵えによる損害は発生していない。 ⑶ 時機に後れた攻撃防御方法該当性(被告の主張) 本件要綱違反の主張は,原告らの故意又は重大な過失により時機に後れた主張であり,訴訟の完結を遅延させることとなることは明らかであるので,却下されるべきである。 (原告らの主張)本件要綱違反の主張は,被告において十分に予期していた主張であることか らすれば,時機に後れた主張には当たらない。また,仮に時機に後れた主張であるとしても,原告らは,内部規定である本件要綱の存在を容易に知ることができず,情報開示請求により入手するに至ったのであるから,時機に後れた 機に後れた主張には当たらない。また,仮に時機に後れた主張であるとしても,原告らは,内部規定である本件要綱の存在を容易に知ることができず,情報開示請求により入手するに至ったのであるから,時機に後れたことにつき原告らに故意又は重大な過失はない。さらに,本件要綱違反の主張により訴訟の完結は遅延しない。 したがって,本件要綱違反の主張について,時機に後れた攻撃防御方法として却下を求める被告の主張は,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 本件売買契約1関係⑴ 本件越境伐採の有無について(争点⑴ア) ア認定事実 152林班の状況a 152林班は,04,43,52等の小班から構成される林班である。 (甲40の1~3,乙90)b 04小班は,天然林である。(甲40の1~3,弁論の全趣旨)c 43小班は,昭和54年に設定された区域である。43小班は,南西 部分と北東部分の2つの区域に分かれており,南西部分は10伐区の区域と一致している。また,本件受光伐前の43小班は,トドマツを主体とし,針葉樹と広葉樹が混在する天然林であった。(甲40の1~3,乙90,92〔2,3,9,10〕,証人W〔3,15〕,弁論の全趣旨)d 52小班は,昭和53年に設定された人工林である。(甲40の1~ 3,弁論の全趣旨)伐区の確定伐区を確定するに当たっては,その区域を明瞭にする必要があることから,沢や道路などの明瞭な地形を境界とするほか,境界となる立木にテープを巻くこととされている。(乙92〔9〕,証人W〔14,15〕,弁論の 全趣旨)本件収穫調査本件センターの職員は,平成13年9月14日から同年10月17日までの間,合計5日間にわたり,152林班において本件収穫調査を行った。 その結果,1 5〕,弁論の 全趣旨)本件収穫調査本件センターの職員は,平成13年9月14日から同年10月17日までの間,合計5日間にわたり,152林班において本件収穫調査を行った。 その結果,10伐区の区域が確定されるとともに,10伐区において37 6本の立木が伐採対象木として特定された。そのうち,胸高直径が36cm以上と認められた立木262本にはナンバーテープが貼付され,その他の114本の立木にはカラースプレー等の標識が付された。(前提事実⑵ア,証人Z〔8〕,弁論の全趣旨)本件訴え提起後の原告ら及び被告による現地調査 a 原告らは,平成18年4月29日,10伐区における伐木の現地調査 を行った。上記調査の結果,越境1において,ピンク色のナンバーテープが貼付された伐木が確認された。(甲81の1,2,甲105,115〔6~8〕,原告X〔6~11〕)b 北海道水産林務部及び日高支庁の職員は,平成28年5月23日,10伐区の形状,辺長等及び現地の現状を確認することを目的とする調査 (以下「被告調査」という。)を行った。 被告調査では,①越境1の北側辺長部とその北側の52小班との境においては,北側辺長部の内側の林相が広葉樹を主体とする天然林であるのに対し,北側辺長部の外側がトドマツの人工林であること,②越境1の北西辺長部と04小班との境においては,北西辺長部の外側が急傾斜 地となっていること,③越境1の西側辺長部と52小班との境は小沢で区切られており,西側辺長部の内側の林相が広葉樹を主体とする天然林であるのに対し,その外側はトドマツの人工林であること,④越境1の南側辺長部とその南側の04小班との境においては,南側辺長部の外側に土場跡地があること,⑤越境1の東側辺長部は林道が開設されている であるのに対し,その外側はトドマツの人工林であること,④越境1の南側辺長部とその南側の04小班との境においては,南側辺長部の外側に土場跡地があること,⑤越境1の東側辺長部は林道が開設されている こと,⑥本件現況図で計測した越境1の辺長と,メジャーにより実測した越境1の辺長が一致することが確認された。(以上につき乙119)図面a 基本図基本図は,センターが道有林の整備・管理を行うに当たり,各林班 内の概況を把握・整理する目的で作製している地形図である。基本図に小班を表示する場合,職員が現地において目視等により確認した森林の状況や沢地,道路などの地形等を基に,机上で概略を記入する。 ⒝ 152林班の概況を記載した基本図(乙90。以下「本件基本図」という。)は,昭和48年10月に作成されたものであり,最終修正が 平成19年1月にされている。本件基本図では,越境1は43小班の 範囲外とされている。(乙90,弁論の全趣旨)b 伐区図及び足取図本件センターの職員は,本件収穫調査の結果に基づき,本件伐区図(乙72の19)及び足取図(甲44,乙72の20)を作成した。本件伐区図は,本件収穫調査の際に確定した伐区を本件基本図の写しに表示し たものであり,上記足取図は,本件伐区図に本件収穫調査を実施した際の経路を記載したものである。(甲44,乙72の19,20,証人W〔4,5,14,15〕,弁論の全趣旨)航空写真昭和58年に撮影された152林班の航空写真(以下「本件写真」とい う。)には,①43小班には樹木が存在している,②その西側の52小班には樹木が確認できない,③43小班に接する林道の西側部分のうち,越境1に相当する場所には樹木が存在している様子が写されている。(乙125) 3小班には樹木が存在している,②その西側の52小班には樹木が確認できない,③43小班に接する林道の西側部分のうち,越境1に相当する場所には樹木が存在している様子が写されている。(乙125)森林面積 a 森林の面積を算出するためには,現地での実測を必要とする場合以外は,図面上で森林を一定の大きさの基準スケアー(平面直角座標系により位置付けられた基本的な区画)で区切り,各スケアー内をさらに一定の間隔で小スケアー(面積の最小単位であり,図面上には点で表示する。)に区分し,対象森林の中にある小スケアーの数により算出するという手 法が用いられている。(弁論の全趣旨)b 本件基本図と本件現況図のいずれにおいても,上記aの手法により算出した43小班の南西部分の面積は,2.40haである。(乙90,91,弁論の全趣旨)イ検討 のとおり,伐区は,現地の明瞭な地形がその境界とされ るほか,職員によって境界となる立木にテープが巻かれることでその区域が確定されるものであり,図面上の記載によりその区域が確定されるものではない。したがって,越境1が10伐区に含まれるか否かは,土地の形状や林相,10伐区の区域が確定された本件収穫調査の状況等に基づき判断するのが相当である。 そこで検討するに,前記認定事実bのとおり,被告調査においては,越境1の林相は,43小班と同様の天然林であり,人工林である52小班とは林相が異なっていることが確認されている。また,のとおり,昭和58年に撮影された本件写真においても,52小班には樹木が確認できないのに対し,越境1に相当する場所には,43小班同様,樹 木が存在している様子が写されている。以上によれば,越境1の林相は,43小班と同一であり,52小班とは異なるもの 班には樹木が確認できないのに対し,越境1に相当する場所には,43小班同様,樹 木が存在している様子が写されている。以上によれば,越境1の林相は,43小班と同一であり,52小班とは異なるものであることが認められる。 また,のとおり,本件センターの職員は,10伐区の区域が確定された本件収穫調査の際に,ナンバーテープを貼付するなどの方法により,10伐区内の伐採対象木を特定しているところ,前記認定事実 aのとおり,越境1にはナンバーテープの貼られた伐木が存在していたのであるから,本件センターの職員は,本件収穫調査の際,越境1が10伐区内に含まれるとの認識を持ってナンバーテープを貼付したことが推認される。 以上検討したところによれば,越境1は43小班(10伐区)と林相が 同一であり,本件収穫調査の際も,越境1は10伐区の区域内として扱われていたものと推認されるのであるから,越境1は,10伐区に含まれるとみるのが相当である。 これに対し,原告らは,越境1は10伐区に含まれないと主張するが,以下のとおり,いずれも理由がない。 a 原告らは,本件基本図によれば越境1は10伐区の区域外となること を前提に,本件基本図に記載された43小班の形状が,実際の43小班の形状と異なるのであれば,本件基本図を変更し,それに伴って43小班の面積も変更して変更後の面積を森林調査簿(10年ごとの森林管理計画を樹立するために,各林班,林小班の面積や材積を記入するもので,5年ごとに見直される。)に記載するはずであるところ,被告が本件基 本図の変更をしていないのは不自然であると主張し,また,本件現況図のとおり越境1が43小班に含まれるとすると,52小班の形状や面積等も長年森林調査簿に記載されていたものが覆されてしまうと主張 本図の変更をしていないのは不自然であると主張し,また,本件現況図のとおり越境1が43小班に含まれるとすると,52小班の形状や面積等も長年森林調査簿に記載されていたものが覆されてしまうと主張する。 しかしながら,前記認定事実のとおり,本件基本図と本件現況図 のいずれによっても,43小班の南西部分の面積は2.40haと認められるのであるから,被告が森林調査簿の記載面積を変更していないことが不自然であるとはいえない。また,被告は,本件基本図について,本件訴訟が確定するまでの間は修正を保留していると主張しているところ,かかる対応が特段不自然であるともいえない。さらに,被告は, 原告らが本件訴訟において本件越境伐採の事実を主張する前に,平成20年10月31日に現地で実施された進行協議期日の結果を踏まえて,本件現況図を証拠として提出していたものである。このような経過からすれば,被告があえて虚偽の図面を作成する動機は想定できない。 b 次に,原告らは,越境1は,古くから存在する土場の範囲と重なって おり,10伐区内であることはあり得ないと主張する。 しかしながら,前記認定事実bのとおり,土場は,越境1の南側辺長部の外側に位置しているのであるから,越境1が土場の範囲と重なっているとはいえない。 c また,原告らは,越境1は天然林である04小班に含まれるとみるべ きであるから,越境1の林相が43小班と同一の天然林であることは, 越境1が10伐区であることの裏付けとはならないと主張する。 しかしながら,平成16年4月から平成19年5月まで本件センター森林整備課長を務めたWは,04小班と43小班は傾斜が変わっていて区別は容易につくと供述しており(証人W〔17,51〕),実際に,前記認定事実 がら,平成16年4月から平成19年5月まで本件センター森林整備課長を務めたWは,04小班と43小班は傾斜が変わっていて区別は容易につくと供述しており(証人W〔17,51〕),実際に,前記認定事実bのとおり,04小班と越境1の境界から外側は急傾斜地 となっており,地形に相違があることが認められる。 したがって,43小班と04小班は,地形による区別が可能であり,越境1と04小班がともに天然林であるからといって,越境1が04小班に含まれるとはいえない。 d さらに,原告らは,本件基本図のほか,作成年代や作成の目的の異な る複数の図面(甲65,117,118,122の3,乙72の19,20)でも,43小班の一部として越境1に相当する箇所は存在しないと主張する。 しかしながら,前記認定事実aのとおり,本件基本図は,職員が目視等により確認してきた森林の状況や地形等を基に,机上で概略を記入 して作成されたものであるから,必ずしも現地の状況を正確に表示しているとはいえない。そして,原告らが指摘する上記各図面は,いずれも本件基本図が作成された後に作成されたものと認められ,本件基本図を基に作成されたことが推認されるから,上記各図面に越境1に相当する箇所が存在していないことをもって,越境1が10伐区に含まれないと はいえない。 e 原告らは,①本件写真で樹木のように見える突起部分は保護樹帯として森林を残置した場所であると考えられること,②本件写真上の残地森林と伐採で残った森林境とを赤線でなぞると甲127の図面のとおりであって,これは浦河経営区作成の平成13年度収穫木調査報告書(甲 117)に添付された地図の52小班の形状と一致するのに対し,本件 現況図における52小班の形状とは全く異なることからすると ,これは浦河経営区作成の平成13年度収穫木調査報告書(甲 117)に添付された地図の52小班の形状と一致するのに対し,本件 現況図における52小班の形状とは全く異なることからすると,本件写真によっても越境1が43小班(10伐区)に含まれないことが認められると主張する。 しかしながら,上記突起部分が保護樹帯として残置された森林であるとしても,そのことから上記突起部分,すなわち越境1が10伐区に含 まれないという結論が直ちに導かれるものではない。また,上記報告書に添付された地図は,その内容に照らして本件基本図を基に作成されたものと認められるのであって,同地図が52小班の形状を正確に反映していると認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張は,その前提において失当である。 ウ小括以上によれば,越境1は10伐区に含まれるから,本件越境伐採が行われたとは認められない。 ⑵ まとめしたがって,本件越境伐採を理由としてZ及びY1に対し損害賠償を請求す るよう求める請求は,いずれも理由がない。 2 本件請負契約1関係⑴ 履行の違法性について(争点⑵ア)ア本件要領違反について原告らは,本件地拵えにおいては,本件要領に添付されている本件仕様書 で求められている伐採対象の立木の表示がされていなかった違法があると主張する。 確かに,本件仕様書の内容は別紙1のとおりであるところ,本件仕様書第2の1の見出しにおいて「地拵」との文言が使用され,同⑴アにおいて,伐採する立木は「表示されたもの又は別に指示する選木基準によるものとする」 と定められていること,本件当時選木基準が定められていたとは認められな いことからすれば,地拵えの一環として伐採する立木についても,事前に表示 に指示する選木基準によるものとする」 と定められていること,本件当時選木基準が定められていたとは認められな いことからすれば,地拵えの一環として伐採する立木についても,事前に表示されたものでなければならないとも思われる。 しかしながら,本件仕様書が伐採する立木の表示を要求しているのは,育林事業においては売却の対象となる立木を伐採することが想定されることから,その対象を明確に特定するという趣旨によるものであると考えられる。 これに対し,地拵えとは,前記前提事実⑶アのとおり,植栽等の事業前に,障害となる不用木の除去や地面に散乱している大きな枝葉やササなどの除去を行う作業をいうのであるから,地拵えの一環として伐採する立木には価値がなく,これを売却の対象とすることは基本的には想定されていないというべきである。本件仕様書第2の1⑶において,地拵えにより刈り取ったか ん木等については「おき幅に整理する」とされるにとどまり,これらを搬出する作業についての定めがないのも,このような考え方を前提としたものであるということができる。そうすると,地拵えの一環として伐採する立木について表示をする必要性は乏しいのであって,本件仕様書がこうした立木についてまで表示をすることを求めているとは解されない。 加えて,本件仕様書第2の1の文言をみても,立木の表示が求められているのは,同⑴に規定する立木のみであって,同⑶においては,立木の表示を求める記載は存しない。この点,本件仕様書第2の1の見出しは「地拵」とされているが,これは,更新事業として行うべき伐木,集材・搬出,地拵えの3つの作業のうち,最終的な作業と位置付けられる地拵えを見出しに据え たにすぎないとみることができるのであって,上記見出しを根拠として同⑶の「地拵」に として行うべき伐木,集材・搬出,地拵えの3つの作業のうち,最終的な作業と位置付けられる地拵えを見出しに据え たにすぎないとみることができるのであって,上記見出しを根拠として同⑶の「地拵」においても立木の表示が求められていると解するのは,困難である。 そうすると,本件仕様書が地拵えに当たって立木の表示を要求していると解することはできない。 そして,前記前提事実⑵イ,ウのとおり,本件地拵えにおいては,これに 先立って本件受光伐が行われ,価値のある立木は伐採されて売却の対象となることが想定されていたのであるから,本件地拵えにおいて立木を伐採する必要があったとしても,これについて表示をする必要がないことは明らかである。 したがって,本件地拵えに当たり,伐採した立木を事前に表示していなか ったことをもって,本件要領に違反するとはいえない。 イ本件過剰伐採の有無について原告らは,本件地拵えの際に,地拵えに必要な限度を超えた過剰な伐採(本件過剰伐採)が行われたと主張する。 前記前提事実⑶アのとおり,地拵えとは,植栽等の事業前に,障害とな る不用木の除去や地面に散乱している大きな枝葉やササなどを除去する作業をいうところ,証拠(甲33,34,90の1~3,甲105,115〔4~7〕,原告X〔5~9〕)及び弁論の全趣旨によれば,本件地拵えとして伐採された立木の中に,植え幅にないために植栽の障害とならず,枯損木や腐朽木にも当たらない立木が一定数含まれていたことは否定し 難い。 これに対し,被告は,本件過剰伐採の事実を否定するが,以下のとおり,いずれも理由がない。 a 被告は,地拵えにおける伐採対象は,植栽の障害となる不用木はもとより,枯損木,腐朽木又はかん木など市場価格が事業費を下回る負価 件過剰伐採の事実を否定するが,以下のとおり,いずれも理由がない。 a 被告は,地拵えにおける伐採対象は,植栽の障害となる不用木はもとより,枯損木,腐朽木又はかん木など市場価格が事業費を下回る負価材 も含まれ,また,植え幅以外の残余筋においても,植生が植栽木を被圧するおそれがあるものは適宜刈り払うことが必要とされているのであって,植え幅にないことのみをとらえて地拵えが正当化されないとはいえないと主張する。 しかしながら,証拠(甲33,34,90の1~3)及び弁論の全趣 旨によれば,本件地拵えにより伐採された立木の中には,枯損木や腐朽 木,かん木には当たらないように見えるものが含まれているところ,これらの伐木の地拵えとしての正当性について,Z及びWは合理的な説明をすることができていない(証人Z〔17,18〕,証人W〔47,48〕)。また,植え幅以外の残余筋においても植生が植栽木を被圧するおそれがあるものは適宜刈り払うことが必要とされているとしても,上記 伐木についてこのような要件が満たされていたと認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,本件地拵えにより伐採した立木の全てが,植栽の障害となる立木又は枯損木や腐朽木,かん木等の負価材であったといい切ることはできない。 b また,被告は,植栽の障害とならない立木の伐採は不必要であるとともに,不必要な伐採を行えば,それに伴い事業費や作業が増加するだけであるから,本件センター長及び本件組合において,不必要な伐採を行う客観的な利益や動機が存在しないと主張する。 しかしながら,本来地拵えとして伐採すべきではない立木を作業の便 宜からあえて伐採したり,過失により伐採したりすることも十分考えられるのであるから,本件センター長や本件組合が過剰な伐採を しかしながら,本来地拵えとして伐採すべきではない立木を作業の便 宜からあえて伐採したり,過失により伐採したりすることも十分考えられるのであるから,本件センター長や本件組合が過剰な伐採を行う利益や動機が想定できないことをもって,上記認定を覆すことはできない。 以上によれば,本件地拵えに際し,一定程度,地拵えに必要な限度を超えた過剰な伐採(本件過剰伐採)があったことは否定できない。 ⑵ 締結の違法性について(争点⑵イ)ア本件条約違反について本件条約1条,8条及び14条の規定は,いずれも抽象的である上,本件条約8条及び14条が,いずれも「可能な限り,かつ適当な場合」との留保の下に,締結国に同条記載の措置を講じることを求めているにすぎないこと に鑑みれば,本件条約1条,8条及び14条に国内法上の効力が認められる とは解されない。 したがって,本件請負契約1が本件条約1条,8条及び14条に違反するとの原告らの主張は,その前提において失当である。 イ本件条例違反について前記前提事実⑶ア,イのとおり,本件請負契約1は,後継樹の確保・育成 という育林事業のため,10伐区については,植栽の前提としての地拵えを行うことを内容とする契約であると認められる。本件条例9条及び20条が,こうした植栽の前提としての地拵えを禁止しているとは解されない。 したがって,本件請負契約1が本件条例に違反するとは認められない。 ウ本件指針違反について 本件指針は,本件基本計画に基づく森林経営の考え方や現地に当てはめていく上での要点をまとめたものにすぎず,法規範性を有するものではないから,本件指針違反を理由に本件請負契約1の締結の違法をいう原告らの主張は,その前提において失当である。 この点を に当てはめていく上での要点をまとめたものにすぎず,法規範性を有するものではないから,本件指針違反を理由に本件請負契約1の締結の違法をいう原告らの主張は,その前提において失当である。 この点を措くとしても,本件請負契約1の内容は上記イのとおりであり, 本件指針には,後継樹の確保・育成という育林事業を目的とする地拵えを禁ずるような内容は見当たらないから,本件請負契約1が本件指針に違反するとは認められない。 エ小括以上によれば,本件請負契約1を締結したことが本件条約,本件条例及び 本件指針に違反するとは認められない。 ⑶ Y1の責任について(争点⑵ウ)ア本件要綱に基づく義務の懈怠について時機に後れた攻撃防御方法該当性について(争点⑶)被告は,本件要綱違反の主張は,時機に後れた攻撃防御方法に当たり, 却下されるべきであると主張する。 しかしながら,証拠(甲128~130の4)及び弁論の全趣旨によれば,原告らは,裁判所からの釈明に応じて,Z及びY1の責任に関する調査を行い,公文書開示請求によって開示された文書に基づき,新たに本件要綱違反を主張するに至ったことが認められ,本件要綱違反を主張するに至る上記の経緯に鑑みれば,本件要綱違反の主張が時機に後れたものであ るということはできない。 検討そこで,以下,Y1に本件要綱に基づく義務の懈怠が認められるか否かについて検討する。 原告らは,Y1が,本件要綱に基づき本件組合に立木の伐採許可申請を 行わせる義務並びに皆伐面積の調査,確認及び報告をすべき義務(55条)を怠ったために本件過剰伐採を見過ごしたと主張する。 しかしながら,森林法34条2項5号,同法施行規則22条の10第1号によれば,保安林においても,造林又は保 ,確認及び報告をすべき義務(55条)を怠ったために本件過剰伐採を見過ごしたと主張する。 しかしながら,森林法34条2項5号,同法施行規則22条の10第1号によれば,保安林においても,造林又は保育のためにする地拵えについては,都道府県知事の許可を受けずに行うことができるのであるから,本 件地拵えに当たっても,都道府県知事の許可を要するものではない。また,本件要綱55条が,個別の事業ごとの許可内容を公表することを支庁長に義務付けた規定でないことは,その文言等に照らし明らかである。 したがって,原告らの上記主張は理由がなく,Y1が本件要綱に基づく義務を怠ったとは認められない。 イ監督義務の懈怠について前記のとおり,日高支庁長は,本件請負契約1の締結について道知事から委任を受けていたものであり,これに付随して,本件請負契約1の適正な履行を確保するために必要な監督又は検査を行うこと(以下「履行管理」ということがある。)についても,道知事から委任を受けていたものとい うべきである。そして,Y1は,これらの事務を本件センター長であるZ に専決させていたのであるから,Zが本件請負契約1の履行管理を怠ることを阻止すべき指揮監督上の義務を負っていたと解するのが相当である。 しかしながら,前記前提事実のとおり,本件地拵えは平成17年9月3日から同年10月5日までのわずか1か月余りで行われたものである。そして,Y1は,本件請負契約1の履行管理に関し,Zに対して報 告を求める必要を認めるような出来事もなかったと証言しているのであって(証人Y1〔4〕),本件地拵えが行われていた期間はもちろん,その前においても,Y1が,本件過剰伐採が行われることを現に予見し,あるいは予見することができたと認めるに足りる証拠 言しているのであって(証人Y1〔4〕),本件地拵えが行われていた期間はもちろん,その前においても,Y1が,本件過剰伐採が行われることを現に予見し,あるいは予見することができたと認めるに足りる証拠はない。 これに対し,原告らは,Y1には監督義務の懈怠があったと主張するが, 以下のとおり,いずれも採用することができない。 a 原告らは,Zが現場の監督員を盲目的に信用し,部下から上がってくる報告書の内容の真偽を十分確認することなく受け入れるだけの作業に甘んじていたことから,Zに対するY1の指導監督が不十分であったことは明らかであると主張する。 しかしながら,Zの部下に対する監督が不十分であったとしても,そのことから直ちに,Y1が本件過剰伐採を予見するに足りる事実関係を認識していたことになるものではないから,Y1に指揮監督上の義務違反があったということはできない。 b また,原告らは,本件地拵えが行われた時期は北海道が本件条例を制 定して森林政策の在り方を大転換した時期であり,森林政策に直接影響を与える本件地拵えは,本件規程11条に規定する「重要又は異例に属すると認められる事務」及び本件細則8条に規定する「その他必要と認められるもの」に当たるから,Y1には,Zに対する指導監督として,①本件地拵えの前に,再度10伐区の森林の多面的機能の状態を調査さ せること,②調査結果によっては,伐採予定の立木の樹種,本数などを 修正するなどの対策を採らせること,③本件地拵えの際に,職員を常時立ち会わせ,森林の持つ多面的機能の維持に問題が生じてないかについて常時報告させることなどを行う義務があったと主張する。 しかしながら,北海道の森林政策が変更されて本件条例が制定されたとしても,本件請負契約1が本件条例に違反 能の維持に問題が生じてないかについて常時報告させることなどを行う義務があったと主張する。 しかしながら,北海道の森林政策が変更されて本件条例が制定されたとしても,本件請負契約1が本件条例に違反するものでないことは前記 ⑵イのとおりであって,上記のとおり,Y1が本件過剰伐採を現に予見し,あるいは予見することができたとは認められない以上は,Y1に上記①~③のような義務が生じるとは解されない。 以上によれば,Y1がZに対する指揮監督上の義務を怠ったとは認められない。 ⑷ まとめしたがって,本件請負契約1の締結及び履行管理に関し,Y1に不法行為責任は認められないから,本件過剰伐採を理由としてY1に対し損害賠償を請求するよう求める請求は,理由がない。 第4 結論 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官武藤貴明 裁判官都野道紀 裁判官岩竹 遼 (別紙1から別紙3につき添付省略)
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