【DRY-RUN】主 文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五三年二月二八日付でした労働者災害補償保険
主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五三年二月二八日付でした労働者災害補償保険法による休業補償給付を不支給とする旨の決定を取消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文と同旨。 第二当事者の主張一請求原因 1 原告は、福井市所在の訴外足羽道路企業株式会社(以下訴外会社という)に勤務し、道路標識、白線等の設置作業に従事していた者であるが、昭和五一年一二月二一日石川県加賀市<以下略>所在の山代グランドホテルにおける訴外会社主催の宿泊を伴う会合(以下本件会合という)に出席した。 2 原告は、右会合終了後の午後一一時ころ、同ホテルの玄関付近で、ひき逃げ事故にあい、頭部等を負傷して意識不明のまま倒れているところを発見された(以下本件事故という)。 3 原告は、直ちに久藤病院に収容されて応急手当を受け、翌二二日金沢大学医学部附属病院脳神経外科に入院し、右側頭骨・頭蓋底骨折、左急性硬膜下血腫、脳挫傷、右肩・右腰・右肘擦過傷・挫創・打撲傷の傷病名のもとに加療し、原告の意識は回復しないまま昭和五二年三月一六日、市立小松総合病院に転医して入院加療を継続し現在に至つている。 4 原告の母親Aは、昭和五二年一一月九日被告に対し、原告の代理人として原告名義で、右傷病につき労働者災害補償保険法(以下労災保険法という)による休業補償給付の請求をしたところ、被告は、昭和五三年二月二八日、原告の右傷病が業務上の事由によるものとは認められないとの理由で休業補償給付を支給しない旨の決定(以下本件処分という)をした。 5 そこで、Aは原告の代理人として同年三月二八日福井地方労働者災害補償保険審査官(以下審査官という)に対し、審査 められないとの理由で休業補償給付を支給しない旨の決定(以下本件処分という)をした。 5 そこで、Aは原告の代理人として同年三月二八日福井地方労働者災害補償保険審査官(以下審査官という)に対し、審査請求をしたが、右請求は同年六月一〇日棄却されたので、さらに同月二九日、労働保険審査会(以下審査会という)に対し、再審査請求をしたが、右請求は昭和五五年一月三一日棄却された。 6 ところで、原告は本件事故により頭部等を負傷した後は意思無能力者であつたのであるから、原告について禁治産宣告を受け、後見人を選任したうえで、右後見人が右各請求をすべきものであつた。しかし、Aは本訴提起後まで禁治産宣告の手続が必要であることを知らなかつた。 他方、被告、審査官及び審査会は、いずれも原告の右状態を知悉しながら右手続を要求することなく、実体の審査をしてきた。そして原告は禁治産の宣告を受けAが昭和五五年一〇月一六日、原告の後見人に就職し、昭和五六年中に、被告、審査官及び審査会に対し、原告の法定代理人として右各無権代理行為を追認する旨の意思表示をなし、更に本訴における訴訟行為をも追認する旨の意思表示をした。 なお、行政不服審査法及び労災保険法にはこのような追認に関する規定はない。 しかし、右休業補償給付の請求は民法一一六条の追認に関する規定を類推適用して追認により遡つて有効になると解すべきであり、また審査請求及び再審査請求についても右と同様であるが、これらについてはむしろ民事訴訟法五四条を類推適用して追認により遡つて有効になると解すべきである。 何となれば右のように解しても無能力者の保護に欠けるわけではないし、相手方や裁判所の期待を裏切ることもなく、訴訟経済に合致することになるからである。 7 本件処分は、原告の前記傷病を業務上の災害によるものと認めなかつた点で違 も無能力者の保護に欠けるわけではないし、相手方や裁判所の期待を裏切ることもなく、訴訟経済に合致することになるからである。 7 本件処分は、原告の前記傷病を業務上の災害によるものと認めなかつた点で違法であるから、その取消を求める。 二請求原因に対する認否 1 同1の事実は認める。なお、本件会合は忘年会であつた。 2 同2のうち、原告がひき逃げ事故にあつたことは不知。その余の事実は認める。 3 同3の事実は認める。 4 同4及び5のうち、Aが原告の代理人として各請求をしたことは否認するが、その余の事実は認める。 5 同6のうち、原告に対して禁治産宣告がなされAが昭和五五年一〇月一六日、原告の後見人に就職したことは認めるが、その余の事実は否認する。 原告の追認に関する主張は、無効行為の追認に関する基本規定である民法一一九条との関連上疑義があるというべきである。 三抗弁 1 原告の本件会合への参加については、次の理由により業務遂行性が認められない(もつともこの種の催しの世話役等が自己の職務の一環として参加する場合には一般に業務遂行性が認められる場合もあろうが、本件の場合、原告にそのような事情は認められない)。すなわち、(一) 本件会合においては仕事の伝達や打合せの事実はなく、原告を含む従業員は、いわば客のような立場で参加したものであつて、右会合は一般に恒例的に行なわれている慰安と親睦のためのいわゆる忘年会であつたのである。 なお、訴外会社が経費を全額負担していても、この種の行事は、従業員の厚生的行事であつて、労使間における雇用契約の中に包含される業務行為と認めることはできない。また、本件会合に参加することによつて従業員間の意思の疎通がはかられたり、親睦が深められたりすることがあつたとしても、それは業務運営に対し副次的もしくは間接的に寄与するに 為と認めることはできない。また、本件会合に参加することによつて従業員間の意思の疎通がはかられたり、親睦が深められたりすることがあつたとしても、それは業務運営に対し副次的もしくは間接的に寄与するに過ぎず、このことを理由として本件会合の参加について業務遂行性を認めることはできない。 (二) 本件会合の会場に行くための交通機関については何ら訴外会社から特段の指示がされておらず、また、文書による指示もなく、参加することは労働者の自由意思に任せられており、業務命令によつて強制されたものではない。 (三) 参加者には、出張旅費・超過勤務手当等が支払われていない。福井市内から本件会合の行われた山代温泉まで直線道路にして約三五キロメートルあり、もし会社の出張業務であるとすれば、従業員の自己負担で行くことは考えられない。正当な出張業務であれば、当然に出張に対する賃金報酬が支払われるべきであり、実費弁償としての旅費も支給されるべきであつて、これが支給されていないことは、本件会合が業務でないことを示している。 2 仮に、本件会合に業務遂行性が認められるとしても、本件事故には業務起因性が認められない。すなわち、(一) 本件会合は、午後七時ころ始まり、午後九時ころには終了し、終了後は各自の自由に委ねられた時間であつた。本件事故があつた午後一一時ころには、原告以外の参加者は、宿泊が予定されていた六階の部屋で休んだり、就寝等していた。 (二) 原告は、午後一一時ころホテル一階の施設外に出なければならないような業務命令を受けていないし、業務をしなければならない必要性も全くなかつた。 (三) 仮に、原告が酔い覚ましのためなど生理的要求をみたすためにとつた行動であるとしても、ホテル一階の施設外に出る必要性は全くないし、このような生理的要求は、ホテル施設内において十分みたされ た。 (三) 仮に、原告が酔い覚ましのためなど生理的要求をみたすためにとつた行動であるとしても、ホテル一階の施設外に出る必要性は全くないし、このような生理的要求は、ホテル施設内において十分みたされるものである。したがつて、原告がホテル施設外に出た行動は、通常予想される範囲外の恣意的、私的行為である。 (四) 本件事故の原因は、全く不明であり、捜査にあたつた大聖寺警察署においても自損行為として処理されている。 3 以上の次第で、原告の傷病は、業務上の事由によるものではないから、本件処分は適法である。 四抗弁に対する認否及び主張 1 抗弁事実は争う。 2 原告の本件会合への参加には業務遂行性がある。すなわち、(一) 本件会合は、たまたま忘年会の時期でもあつたため、従業員の労をねぎらうという意味での忘年会の意味も含まれていたが、これはあくまで副次的なものに過ぎず、事業主である訴外会社が企図した主な目的、趣旨は、当時の業績不振を脱却し、作業が円滑に行なわれるような愛社意識とチームワークを形成することにあり、その実体は訴外会社主催の業務に関連した合宿であつた。すなわち、訴外会社は当時業績不振で赤字であり、その理由は、現場作業員の相克が著しく、協調とチームワークが円滑にいかず、作業能率が上がらないことにあつた。そのため、訴外会社は、通常作業日である平日をさいて会社経費負担により本件会合を開催したのである。 (二) 原告は、作業員中では訴外会社の親会社である訴外ヨシダ道路企業株式会社から派遣されてきた最も経験ある者であり、新規採用者を指導すべきリーダーとしての役割を与えられていた。そのため、原告は、特に本件会合には必ず参加してリーダーとして同僚との融和を図り、チームワークの向上のため努力するよう業務命令を受けていた。 3 原告の傷病には業務起因性があ の役割を与えられていた。そのため、原告は、特に本件会合には必ず参加してリーダーとして同僚との融和を図り、チームワークの向上のため努力するよう業務命令を受けていた。 3 原告の傷病には業務起因性がある。すなわち、(一) 原告は、その業務遂行中であるホテル宿泊中に本件事故にあつて負傷したのであるが、その当時、業務に関連して少量の飲酒はしていたものの、業務遂行能力を超える程酩酊していなかつた。そして、ホテルに宿泊することが業務遂行行為である以上、宿泊に通常伴う行為(風呂に入ることやホテル内を散歩することなど)もまた業務遂行行為である。原告が宿泊に伴う行為として多少の酔い覚ましのためホテルの敷地内を散歩していたとしても、またその折、気分が悪くなり、もどそうとしてしやがみ込むなどの行為があつたとしても、それらは常軌を逸した業務逸脱行為ではありえず、業務遂行行為内の行為である。したがつて、原告は、業務遂行行為中に、第三者の一方的帰責事由であるひき逃げ事故にあい、負傷したものであるから、業務起因性がある。 なお、業務遂行性が認められる場合には、反証のない限り、その業務と傷病との間に相当因果関係があり、その傷病に業務起因性があると推定すべきである。 (二) さらに、一般論として業務上の災害の認定について、業務遂行性と業務起因性を形式的に要求することは正当ではない。その理由は次のとおりである。 労災保険法は、その補償の対象を「業務上」の負傷、死亡、疾病と定めるだけでそれ以上の定義規定を置いていない。したがつて、当該負傷、死亡、疾病が「業務上」か否かは、すべて法律解釈に委ねられている。ところで、法定補償制度は、労働者の生活を保障することを目的とするものであるから、損害賠償制度とは制度の目的を異にする。法定補償制度の右目的に照らすと、補償の対象は、相当因果 律解釈に委ねられている。ところで、法定補償制度は、労働者の生活を保障することを目的とするものであるから、損害賠償制度とは制度の目的を異にする。法定補償制度の右目的に照らすと、補償の対象は、相当因果関係の有無ではなく、労働者保護の見地から法的救済を与えることが合理的かどうかの実質的判断、すなわち、合理的関連性の有無により決定すべきである。仮に、法定補償の対象を業務と相当因果関係がある負傷、死亡、疾病に限るものと解するとしても、それは損害賠償制度における相当因果関係説とは区別すべきであり、合理的関連性説と同一の実質的判断によつて決定すべきである。 第三証拠(省略) 理由 一請求原因1ないし5の各事実(但し、原告がひき逃げ事故にあつたこと、Aが原告の代理人として各請求をしたことを除く)、原告に対して禁治産宣告がなされ、昭和五五年一〇月一六日Aが原告の後見人に就職したこと、以上のことは当事者間に争いがない。 二以上の事実関係によれば、原告が被告に対し、本件休業補償給付の請求をなし、更にこれに続く審査請求及び再審査請求をなし、本訴を提起するに至つた時(この日が昭和五五年六月二六日であることは記録上明白である)を通じて原告が意思無能力者であつたことは明白であるところ、原告の法定代理人は右の請求手続及びこれに続く本訴提起を含む手続行為を追認した旨を主張するのでまずこの点について判断する。 1 右争いがない事実と、成立に争いがない甲第八号証、同第九ないし第一一号証の各一ないし三、乙第一六号証、証人Bの証言によると、次の事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。 (一) 原告は、昭和五一年一二月二一日午後一一時ころ、石川県加賀市<以下略>所在の山代グランドホテルの玄関付近で頭部等を負傷し、それ以来意識不明の状態が続いてい の認定を覆すに足りる証拠はない。 (一) 原告は、昭和五一年一二月二一日午後一一時ころ、石川県加賀市<以下略>所在の山代グランドホテルの玄関付近で頭部等を負傷し、それ以来意識不明の状態が続いている。 (二) そのため、原告の母Aは、原告のためにする意思をもつて直接原告名義で労災保険法に基づく休業補償給付の請求、審査請求及び再審査請求をした。もつとも、右各請求に関する書類作成や提出等の具体的な手続は、原告のおじであり、当時訴外会社の代表取締役であつた訴外BがAの意向を受けてこれを行なつた。 (三) 原告に対し禁治産宣告がなされAは、昭和五五年一〇月一六日、原告の後見人に就職し、原告の法定代理人として昭和五六年八月一〇日到達の書面で審査官に対し前記審査請求を、同日到達の書面で審査会に対し前記再審査請求を、同年一二月九日到達の書面で被告に対し前記休業補償給付の請求を、それぞれ追認する旨の意思表示をした。 2 右認定事実によると、原告は、本件事故以来、意識不明の状態が続いていたのであるから、意思能力がなく、したがつて、本来禁治産宣告を経て、その後見人が法定代理人として右各請求をすべきものであつた。しかし、Aは、原告のためにする意思をもつて、直接原告の名義で右各請求をしたものである。Aの右の各行為は本人のためにする意思を表示したいわゆる顕名代理ではないけれども、代理人が本人の名義で法律行為をなすことは世上よく行われており、これを代理人の行為と認めても何らさしつかえないものというべきである。したがつて右同人は原告の代理人として右各請求をしたものと認めるのが相当である。しかし、本件では、右各請求当時原告に対して禁治産宣告がなされておらず、したがつてAは、後見人に就職していなかつたのであるから、右各請求は無権代理行為であるといわなければならない。 相当である。しかし、本件では、右各請求当時原告に対して禁治産宣告がなされておらず、したがつてAは、後見人に就職していなかつたのであるから、右各請求は無権代理行為であるといわなければならない。 3 ところで、労災保険法による休業補償給付の請求、審査請求及び再審査請求は、いずれも私人の公法行為であるが、これについては無権代理行為の追認に関する明文の規定はない。しかし、私人の公法行為が前記休業補償給付の請求のように、一身専属的なものでなく、財産上の行為又はこれに類する行為である場合には、本質的に私法が適用される利益状況と異なるところはないから、民法一一六条の無権代理行為の追認に関する規定が類推適用されると解するのが相当である。そうすると、法定代理人であるAがした追認の意思表示によつて、休業補償給付の請求は、遡及的に有効になつたといわなければならない。 次に、審査請求及び再審査請求については、それらが争訟手続である点に鑑みて民事訴訟法五四条が類推適用されると解するのが相当である。このように解することによつて無能力者の保護に欠けるところはないし、また進展した争訟手続の安定性、経済性の要請にも合致するからである。そうすると、Aがした追認の意思表示によつて審査請求及び再審査請求のいずれもが遡及的に有効になつたといわなければならない。 4 以上の次第で、本件における労災保険法による休業補償給付の請求、審査請求及び再審査請求は、いずれも適法かつ有効であり、またAが昭和五六年四月二〇日に本訴提起行為を追認していることは本件記録上明白であるから、本訴提起も本訴提起のときに遡つて有効になつたものであるといわなければならない。 三被告は原告の本件事故による負傷は、業務上の災害の成立の要件である業務遂行性がない旨を主張するので次にこの点について判断する。 1 起のときに遡つて有効になつたものであるといわなければならない。 三被告は原告の本件事故による負傷は、業務上の災害の成立の要件である業務遂行性がない旨を主張するので次にこの点について判断する。 1 前記一の争いがない事実と、成立に争いがない乙第七ないし第一〇号証、同第一二号証の一、同第一六、一七号証、同第二四ないし第二六号証、証人Bの証言の一部によると、次の事実が認められ、この認定に反する同証人の証言部分は採用しないし、ほかにこの認定の妨げになる証拠はない。 (一) 原告は、昭和五〇年八月一日以降訴外ヨシダ道路企業株式会社から訴外会社に出向していた。訴外会社は、同年四月一日設立され、本件事故当時、役員として、代表取締役B、取締役訴外C、同訴外D、従業員として原告を含めて四名、他にアルバイト二名が就労していた。訴外会社の業務内容は、一般道路の線引が主なものであつた。 (二) 訴外会社では、職員の親睦を図るため、昭和五〇年七月一二日、一三日に越前海岸で慰安会を、同年一二月五日、六日に越前海岸で忘年会を実施し、いずれも経費は訴外会社が負担した。 (三) 前記役員らは、昭和五一年一一月ころ、前回と同様忘年会を同年一二月中に実施することを計画し、取締役C及び同Dがその具体的な計画案を作成した。この忘年会の意図は、仕事の伝達や打合せをすることではなく、飲酒、食事をして従業員の労をねぎらい、また従業員間の親睦を深めることにあつた。そのため、訴外会社は、その経費を全額負担することとし、他方従業員に対してこの忘年会に参加すべき旨の業務命令を出すようなことはなかつた。しかし、前記役員らは、参加者が少ないと親睦の意味が薄らぐと考えたので、従業員に対し、特に都合の悪い場合は格別、できるだけ参加するようにと勧め、参加者を当日出勤扱いにする旨を伝えた。 (四) 訴外 しかし、前記役員らは、参加者が少ないと親睦の意味が薄らぐと考えたので、従業員に対し、特に都合の悪い場合は格別、できるだけ参加するようにと勧め、参加者を当日出勤扱いにする旨を伝えた。 (四) 訴外会社は、昭和五一年一二月二一日から翌二二日にかけて右計画に従い、山代グランドホテルで忘年会を実施し、女子従業員を除く従業員及び役員全員が参加した。宴会は、同月二一日午後七時から始められた。代表取締役Bは、宴会を始めるに当つて「皆さんご苦労です。仲良くやつて下さい。」と挨拶を述べ、取締役C及び同Dがこれに続いて同趣旨のことを述べた。しかし、右役員らは、仕事の伝達や打合せをしたりはしなかつた。その後、参加者各自は、飲酒、食事をして歓談したり、歌を唄つたりして同日午後九時ころ宴会は終了し、その後は各自の自由時間になつた。 (五) 訴外会社は、この忘年会に参加した者に対し、旅費、時間外手当を支給しなかつた。 2 以上の認定事実によると、訴外会社が経費の全額を負担して右忘年会を実施した意図は、従業員の慰安と親睦のためであつて、現に実施中も役員らが仕事の伝達や打合せをしたこともなかつたのであるから、右忘年会は、社会一般に通常行なわれている忘年会と何ら変わりがないといわなければならない。 原告は、右忘年会の主目的が愛社意識とチームワークを形成することにあつた旨、或いは原告が右忘年会でリーダーとしての役割を果たすよう業務命令を受けていた旨を主張しているがいずれも前記認定に照して採用することはできない。 3 右によれば原告の右忘年会への参加は、労働者が使用者の指揮命令にもとづく支配下における勤務であつたとはいいがたく、また労働者の本来の職務及びこれと密接な関係を有する行為でもないというべきである。 そうすると、原告が右忘年会に参加したことについて業務遂行性は認め とづく支配下における勤務であつたとはいいがたく、また労働者の本来の職務及びこれと密接な関係を有する行為でもないというべきである。 そうすると、原告が右忘年会に参加したことについて業務遂行性は認められないというべく、原告が右忘年会の終了後本件事故によつて負傷したことをもつて業務上の災害であるということはできないからこの判断のもとに原告に対する休業補償給付を不支給とした本件処分は適法である。 四よつて、原告の本件請求はその余の点について判断するまでもなく理由がないから棄却することとし、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官高橋爽一郎朴木俊彦小佐田潔)
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