主文 1 被告は原告に対し、金23万0778円及びこれに対する平成13年1月30日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨被告は原告に対し,金53万8483円及びこれに対する平成13年1月30日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因本件は,訴外Aの運転する自動車と訴外Bの運転する自動車との間に生じた下記交通事故について,原告がAとの間の自動車保険契約に基づいて,AとBに対し,同交通事故により被った損害額に相当する保険金を支払い,民法709条,商法662条1項により,A及びBの損害の求償請求をした事案である。 (1) 交通事故の発生日時平成12年11月6日午後7時ないし同8時ころ場所名古屋市中村区ab丁目c番d号先道路上事故態様 A車の左前方がB車の右後方に追突した。 (2) 被告の不法行為責任本件道路状況は,2車線道路が3車線道路になっていくものであり,A車はそのまま直進していくと3車線道路の第2車線に進入し,被告車は同じく第3車線に進入していく状況にある。被告車は第3車線に進入していく道路標示であるから,車線変更の際に求められているウインカーを表示し,左側を走行するA車の安全を確認する注意義務があるのにこれを怠り,3車線道路の第2車線に車線変更したことにより,A車は第2車線に進入することを妨害され,B車に追突した。 (3) 損害の発生 側を走行するA車の安全を確認する注意義務があるのにこれを怠り,3車線道路の第2車線に車線変更したことにより,A車は第2車線に進入することを妨害され,B車に追突した。 (3) 損害の発生① A車修理費 39万6963円② B車修理費 16万4399円③ B使用代車料 20万7900円以上合計 76万9262円(4) 保険金の支払原告は,Aとの間の自動車保険契約に基づき,賠償保険金として平成12年12月7日に前記②及び③の,車両保険金として平成13年1月29日に前記①の各保険金を支払ったことにより,原告は被告に対する損害賠償請求権を取得した。 よって,原告は,被告に対し,同交通事故についての被告の過失割合を7割として,求償金53万8483円及びこれに対する平成13年1月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 2 争点被告車の走行と,A車とB車との衝突事故との間に因果関係があるか。 因果関係ありとすれば,被告の責任割合。 第3 当裁判所の判断 1 道路状況本件道路状況は,おおよそ別紙走行状況図(省略)のとおりであり,「e交差点」から「信号交差点」(別紙走行状況図に同表示)までは2車線であるが,「信号交差点」から「f交差点」までは3車線(左折専用1車線,直進専用2車線)となる。 そして,道路上に表示されている白色破線により,「e交差点」から「信号交差点」まで,第1車線を走行していた車両は,直進第2車線へ,第2車線を走行していた車両は,直進第3車線へ進入するよう誘導されている。 2 A車,被告車の走行状況など証拠及び弁論の全趣旨によれば,A車,被告車の走行状況,A 車両は,直進第2車線へ,第2車線を走行していた車両は,直進第3車線へ進入するよう誘導されている。 2 A車,被告車の走行状況など証拠及び弁論の全趣旨によれば,A車,被告車の走行状況,A車とB車との衝突状況は,おおよそ別紙走行状況図のとおりである。 すなわち,A車は,第1車線を走行し,「信号交差点」を超えた辺りから,道路上白色破線表示により,直進第2車線へ入っていこうとしたところ,「信号交差点」辺りまで第2車線を走行していた被告車が,道路上に「バスを除く」表示のある辺りからウインカー合図を出さないまま,直進第2車線へ入ってきたため,A車に被さり,A車を左折第1車線に押し出すような形でその進行を妨げることになり,Aは,前方直近に左折しようとしていたB車を認識していたものの,そのまま進行を続けても,被告車とB車の間を通り抜けることができると判断し,折から「f交差点」の直進矢印信号が出ていたこともあって,加速を続けて進行したが,被告車に前方をふさがれて通り抜けることができず,左折のため減速したB車に追突した。A車と被告車とは接触していない。速度は双方とも時速50キロメートルほどであった。 以上の認定事実は,おおよそAの陳述書(甲8号証)及びその証言によるものであり,その内容に大きく不自然な点は見あたらない。一方,被告は,被告車が直進第2車線へ移った際の走行状況につき,陳述書(乙2号証)及び供述において,「サイドミラーで約3秒確認したら,A車が,サイドミラーの大きさ半分ほどに写っていた」,「A車のナンバープレートも確認した」など,A車の確認状況を詳細に述べるが,被告車とA車との距離関係については,車線を移ったとき,「30メートルであった」或いは「15ないし20メートルであった」或いは「5メートル以上」と一貫せず,被告 など,A車の確認状況を詳細に述べるが,被告車とA車との距離関係については,車線を移ったとき,「30メートルであった」或いは「15ないし20メートルであった」或いは「5メートル以上」と一貫せず,被告は,車線を移る際,A車を確認したのか,その際の車間距離が安全なものであったのか,はなはだ疑問であり,A車を確認した上で安全に直進第2車線へ移った旨の被告の陳述書,供述は採用しない。 3 因果関係本件においては,A車と被告車とは接触していない。したがって,A車とB車との衝突事故に関し,被告に過失責任を認めるためには,被告車の走行と,A車とB車との衝突事故との間に不法行為が成立するための要件としての因果関係の存在が必要である。 そこで検討するに,本件において,被告車の走行状況と,A車とB車との衝突事故との間に,同因果関係の存在を認めるためには,被告車の走行によって,A車の走行が妨げられた結果,B車との衝突回避が不可能となるか,或いは,著しく困難な状況になった場合と考えられるところ,被告車は「信号交差点」まで第2車線を走行し,道路上に「バスを除く」表示のある辺りから,ウィンカー合図を出さないまま,直進第2車線へ移っていこうとして,白色破線表示に従って第1車線から直進第2車線へ入っていこうとしていたA車に被さるような形となり,その結果,A車は,被告車に前方をふさがれて,直進第2車線に入ることができず,B車に追突したのであるから,被告車の走行によって,B車との衝突回避が著しく困難になったと考えられる。よって,被告車の走行と,A車とB車との衝突事故との間に不法行為が成立するための要件としての因果関係を認めることができる。 4 被告の責任割合Aと被告との関係においては,仮に,双方車両が衝突していれば,被告の過失は明らかに との衝突事故との間に不法行為が成立するための要件としての因果関係を認めることができる。 4 被告の責任割合Aと被告との関係においては,仮に,双方車両が衝突していれば,被告の過失は明らかに大きく,双方の損害に関しての過失割合は,原告主張のとおりA3割,被告7割とするのが相当であるが,本件においては,A車と被告車とは接触しておらず,A車とB車との衝突事故に関しては,被告車の走行が一次的な要因を与えているものの,Aは,「e交差点」から「信号交差点」を越え,第1車線から直進第2車線に入っていこうとしていた辺りまで,常にその右側を先行走行していた被告車を認識し,加速を続けて,B車と被告車の間を通り抜けようと進行した結果,前方注視が疎かとなったのであり,その過失は大きいものがある。以上の状況を総合すると,A車とB車との衝突事故に関する被告の責任割合は,保険代位額(合計76万9262円)の3割とするのが相当である。 5 結論よって,原告の請求は,保険代位額(合計76万9262円)の3割である23万0778円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。 名古屋簡易裁判所 裁判官鬼頭弘明
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