平成26年10月30日判決言渡平成23年(行ウ)第183号障害基礎年金不支給処分取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求処分行政庁が平成22年10月22日付けで原告に対してした国民年金法による障害基礎年金の支給をしない旨の処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,平成元年12月1日を初診日とする不安恐慌性障害及び回避性人格障害により国民年金法(平成24年法律第63号による改正前のもの。以下「法」という。)30条の2第1項にいう障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとして,平成22年8月19日に事後重症による国民年金障害基礎年金の裁定請求(以下「本件請求」という。)を行った原告が,処分行政庁から国民年金法施行令(以下「施行令」という。)別表に定める程度に該当しないことを理由として不支給処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,その判断に誤りがあるとして本件処分の取消しを求めた事案である。 2 法令等の定め(1) 法7条1項は,1号において,日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって,同項2号及び3号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法等の被用者年金各法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるものを受けることができる者を除く。第1号被保険者)を国民年金の被保険者とする旨を定めている。 (2) 法16条は,法による給付を受ける権利について,その権利を有する者の 請求に基づいて処分行政庁が裁定する旨を定めている。 (3) 法30条1項本文は,障害基礎年金は,疾病にかかり (2) 法16条は,法による給付を受ける権利について,その権利を有する者の 請求に基づいて処分行政庁が裁定する旨を定めている。 (3) 法30条1項本文は,障害基礎年金は,疾病にかかり,又は負傷し,かつ,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者である者(同項1号)が,当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては,その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし,以下「障害認定日」という。)において,その傷病により,同条2項に規定する障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあるときに,その者に支給する旨を定めている。 (4)ア法30条の2第1項は,疾病にかかり,又は負傷し,かつ,当該傷病に係る初診日において上記(3)に該当した者であって,障害認定日において障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態になかったものが,同日後65歳に達する日の前日までの間において,その傷病により障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは,その者は,その期間内に法30条1項の障害基礎年金の支給を請求することができる旨を定めている(事後重症による障害基礎年金)。 イ法30条の2第3項は,上記アの請求があったときは,法30条1項の規定にかかわらず,その請求をした者に同項の障害基礎年金を支給する旨を定めている。 (5) 障害基礎年金の障害等級は,障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし,各級の障害の状態は,政令で定めることとされており(法30条2項),これを受けて,施行令4条の6は,法30条2項に規定する障害等 年金の障害等級は,障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし,各級の障害の状態は,政令で定めることとされており(法30条2項),これを受けて,施行令4条の6は,法30条2項に規定する障害等級の各級の障害の状態は,施行令別表に定めるとおりとする旨定めている。 上記別表の内容は以下のとおりであり,精神の障害については,1級欄10号及び2級欄16号に規定されている。 (1級) 1 両眼の視力の和が0.04以下のもの 2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの 3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの 4 両上肢のすべての指を欠くもの 5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの 6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの 7 両下肢を足関節以上で欠くもの 8 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの 9 前各号に掲げるもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの 10 精神の障害であって,前各号と同程度以上と認められる程度のもの 11 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって,その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの(2級) 1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの 2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの 3 平衡機能に著しい障害を有するもの 4 そしゃくの機能を欠くもの 5 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの 6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの 7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの 8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの 能に著しい障害を有するもの 6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの 7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの 8 1上肢の機能に著しい障害を有するもの 9 1上肢のすべての指を欠くもの 10 1上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの 11 両下肢のすべての指を欠くもの 12 1下肢の機能に著しい障害を有するもの 13 1下肢を足関節以上で欠くもの 14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの 15 前各号に掲げるもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの 16 精神の障害であって,前各号と同程度以上と認められる程度のもの 17 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって,その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの(6) 障害認定基準ア障害認定基準の改正経緯等施行令別表に定められている障害の程度の認定については,従来から「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(昭和61年3月31日庁保発第15号社会保険庁年金保険部長通知)により取り扱われてきたところ,平成14年3月,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準について」(同月15日庁保発第12号社会保険庁運営部長通知)のとおり従前の障害認定基準が改正され,同年4月1日から実施されている(乙3。以下,上記改正後の障害認定基準(ただし,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」(平成22年10月13日年発1013第1号厚生労働省年金局長通知)による改正前のもの。)を「本件認定基準」という。)。 イ精神 (ただし,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」(平成22年10月13日年発1013第1号厚生労働省年金局長通知)による改正前のもの。)を「本件認定基準」という。)。 イ精神の障害による障害の程度の認定基準等の内容本件認定基準は,精神の障害による障害の程度の認定について,要旨以 下のとおり定めている。 (ア) 認定基準精神の障害の程度は,その原因,諸症状,治療及びその病状の経過,具体的な日常生活状況等により,総合的に認定するものとし,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に,日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級にそれぞれ該当するものと認定する。 精神の障害は,多種であり,かつ,その症状は同一原因であっても多様であるから,認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに,その原因及び経過を考慮する。 (イ) 認定要領精神の障害は,「統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害」(平成22年10月13日年発1013第1号厚生労働省年金局長通知により,本件認定基準中の「精神分裂病」を「統合失調症」といい,「分裂病型障害」を「統合失調症型障害」という旨の呼称の改正がされた。以下,同改正の前後を通じて「精神分裂病」を「統合失調症」と,「分裂病型障害」を「統合失調症型障害」と,それぞれ表記する。),「気分(感情)障害」(以下「そううつ病」という。),「症状性を含む器質性精神障害」,「てんかん」,「知的障害(精神遅滞)」に区分する。 症状性を含む器質性精神障害,てんかんであって,もう想,幻覚等のあるものについては,「A 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」に準じて取り扱う。 A 」に区分する。 症状性を含む器質性精神障害,てんかんであって,もう想,幻覚等のあるものについては,「A 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」に準じて取り扱う。 A 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害a 各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 (1級)⒜ 統合失調症によるものにあっては,高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化,思考障害,その他もう想・幻覚等の異常体験が著明なため,常時の介護が必要なもの⒝ そううつ病によるものにあっては,高度の気分,意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり,かつ,これが持続したり,ひんぱんに繰り返したりするため,常時の介護が必要なもの(2級)⒜ 統合失調症によるものにあっては,残遺状態又は病状があるため人格変化,思考障害,その他もう想・幻覚等の異常体験があるため,日常生活が著しい制限を受けるもの⒝ そううつ病によるものにあっては,気分,意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり,かつ,これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため,日常生活が著しい制限を受けるものb 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害の認定に当たっては,次の点を考慮のうえ慎重に行う。 ⒜ 統合失調症は,予後不良の場合もあり,施行令別表に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。しかし,罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり,また,その反面急激に増悪し,その状態を持続することもある。したがって,統合失調症として認定を行うものに対しては,発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。 ⒝ そううつ病は,本来,症状の著明な時期と症 反面急激に増悪し,その状態を持続することもある。したがって,統合失調症として認定を行うものに対しては,発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。 ⒝ そううつ病は,本来,症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって,現症のみによって認定することは不十分であり,症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。 c 日常生活能力等の判定に当たっては,身体的機能及び精神的機能,特に,知情意面の障害も考慮の上,社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また,現に仕事に従事している者については,その療養状況を考慮し,その仕事の種類,内容,従事している期間,就労状況及びそれらによる影響も参考とする。 d 人格障害は,原則として認定の対象とならない。 e 神経症にあっては,その症状が長期間持続し,一見重症なものであっても,原則として,認定の対象とならない。ただし,その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては,統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱う。 3 前提事実(当事者間に争いがないか,各項掲記の証拠等により容易に認められる事実等)(1) 事実経過ア原告(昭和44年 ▲ 月 ▲ 日生)は,平成22年8月19日,処分行政庁に対し,平成元年12月1日を初診日とする不安恐慌性障害,回避性人格障害により,法30条の2第1項にいう障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとして,事後重症による障害基礎年金の支給を求めて,平成22年8月6日現症の原告の状態を記載した診断書(甲1の3,乙2)を添付して,国民年金障害基礎年金の裁定請求をした(本件請求)。 処分行政庁は,同年10月22日,本件請求に対し,請求のあった傷病については,施行令別表に定める程度に該当しないとして, の3,乙2)を添付して,国民年金障害基礎年金の裁定請求をした(本件請求)。 処分行政庁は,同年10月22日,本件請求に対し,請求のあった傷病については,施行令別表に定める程度に該当しないとして,法による障害基礎年金を支給しない旨の本件処分をした。 イ原告は,本件処分を不服として,平成22年10月26日,近畿厚生局社会保険審査官に対して審査請求をしたが,同審査官は,同年12月22日,同審査請求を棄却する旨の決定をした(以下「本件決定」という。)。 ウ原告は,本件決定を不服として,平成23年1月7日,社会保険審査会 に対して再審査請求をしたが,同審査会は,同年7月29日,同再審査請求を棄却する旨の裁決をした。 エ原告は,平成23年10月27日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 (2) 傷病についてア不安恐慌性障害神経症(神経症性障害)とは,非器質性で心因性の機能障害をいい,神経症患者は,病識(自分は病気であるという認識)を有し,現実吟味能力(自分の立場について,過去,現在,未来にわたって一応現実性のある態度や解釈をすることができ,自分が空想したことと現実とを区別できる能力)を保ち,現実との接触も著しくは損なわれていない。(乙19)不安恐慌性障害は,神経症性障害の一つで,症状としては,理由もなく激しい不安に襲われ,死の恐怖や苦悶が起こったり,自律神経系の興奮のため,心悸亢進,呼吸困難,胸内苦悶,発汗,めまい,振戦(筋肉の収縮,弛緩が繰り返された場合に起こる不随意運動),冷汗,頻尿等が起こったりする。患者は,突然襲う動悸や息苦しさのために,今にも死にそうな恐怖感に襲われ,苦悶嬌態を示してうずくまり大騒ぎして救急車で医師のもとに運ばれたりするが,発作の持続は普通数分間で,医師の診療を受けるころには不安発作が治 動悸や息苦しさのために,今にも死にそうな恐怖感に襲われ,苦悶嬌態を示してうずくまり大騒ぎして救急車で医師のもとに運ばれたりするが,発作の持続は普通数分間で,医師の診療を受けるころには不安発作が治まることが多い。(乙16,17)イ回避性人格障害人格障害とは,適切な人間関係が持続的に保てず,社会的機能ないし職業への従事に顕著な制約が長時間続いている社会不適応な行動パターンをいう(乙15)。 回避性人格障害は,人格障害の一つで,他人からの評価や批判への過敏さと,社会的な引きこもりが基本的特徴である。すなわち,他人と親しく交わりたい,他人に自分を受け入れてもらいたいという願望を強く持っているものの,自信がなく,劣等感があり,低い自己評価のため他者の批判 や拒絶を気にし,恥をかくことや非難されることを恐れ,対人関係が浅くなる。また,自意識過剰で引っ込み思案となるため,親族は別として,親密な友人は少なく,対人接触を必要とする社会的あるいは職業的な活動を回避しようとする。慢性的な不安状態にあり,他人といるとき,とりわけ新しい対人状況に直面して自分のふがいなさを感じて不安になることから,引きこもりになるのが特徴である。(乙16ないし19)(3) 本件認定基準本件認定基準は,前記法令等の定め(6)アのとおり,平成14年3月15日庁保発第12号社会保険庁運営部長通知による改正後のものであるところ,同改正は,近年の医学的知見を踏まえ,認定基準及び認定要領を整備するとともに,表現や例示の明確化を図るため,13名の専門家からなる障害認定基準の見直しに係る専門家会合を開催して最新の医学的知見に基づく指摘を得るとともに,さらに9名の専門家からも意見を得た上で行われたものである。そして,本件認定基準の運用上,統合失調症型人格障害は,統合失 の見直しに係る専門家会合を開催して最新の医学的知見に基づく指摘を得るとともに,さらに9名の専門家からも意見を得た上で行われたものである。そして,本件認定基準の運用上,統合失調症型人格障害は,統合失調症に準ずるものとして障害基礎年金の障害等級認定の対象となるが,統合失調症型以外の人格障害は認定の対象とならないとする扱いがされている(乙3,弁論の全趣旨)。 4 争点(1) 本件認定基準に照らして障害等級の審査を行うことができるか(2) 原告の状態が障害等級2級に該当するか 5 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件認定基準に照らして障害等級の審査を行うことができるか)について(原告の主張)ア法1条は「日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き,老齢,障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯 によつて防止し,もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与すること」を国民年金制度の目的としており,これを受けて,法及び施行令において,障害基礎年金の支給に関する定めが置かれている。かかる法の趣旨・目的に鑑みると,精神の障害であっても,当該障害に直接起因して生じた日常生活能力や労働能力の喪失等により所得が減少し,生活の安定が損なわれる状況が生じていれば,これを保護するのが法の趣旨であると解される。 本件認定基準は,精神疾患の一つである神経症や人格障害を原則として障害等級認定の対象から除外し,また「日常生活」の支障の程度という基準により対象を決するが,神経症や人格障害によっても日常生活能力や労働能力の喪失等に起因する所得の減少のために生活の安定が損なわれる状況が生じ得るのであるから,神経症や人格障害を原則として障害等級認定の対象から除外する本件認定基準は法の解釈を誤り,法の目的を逸脱 働能力の喪失等に起因する所得の減少のために生活の安定が損なわれる状況が生じ得るのであるから,神経症や人格障害を原則として障害等級認定の対象から除外する本件認定基準は法の解釈を誤り,法の目的を逸脱するものであるし,「日常生活」が意味するところも不明確であって,合理性を欠く。 このように合理性及び明確性を欠く本件認定基準に基づいてされた本件処分は,適正手続(憲法31条)の要請に反するもので違法であり,取り消されるべきである。 イ本件認定基準が合理的であるとする被告の主張は,以下のとおり理由がない。 (ア) 本件認定基準は神経症のうち精神病の病態を示しているものについては認定の対象となり得るとの取扱いをしているところ,被告は,神経症のうち日常生活に支障があるものは精神病の病態を示している旨主張するが,かかる主張は,日常生活に支障があるから精神病である,精神病であるから日常生活に支障があるとの循環論法に陥っている。 また,被告は,神経症においては「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別は揺るがないし,病識がなくなることもないが,精神 病の状態になると上記の区別ができず,病識がなくなることがあると主張するところ,精神病の特徴が「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別ができず,病識がなくなることがある点にあるならば,当該症状を示す神経症は,既に認定対象たる精神病といえるのではないかとの疑問が生じるのであり,判断基準が非常に不明確である。 被告は,精神病の病態を示さない神経症の場合は,判断能力がありながらその判断に従って行動する能力がないのではなく,その判断に従って行動する能力がありながら単に自己の都合により行動しないにすぎないと主張するが,判断能力と日常生活能力は別物であり,判断能力があるからといって,必 って行動する能力がないのではなく,その判断に従って行動する能力がありながら単に自己の都合により行動しないにすぎないと主張するが,判断能力と日常生活能力は別物であり,判断能力があるからといって,必ずしも日常生活能力まであることにはならないし,神経症のせいで本人自身やむを得ず行動できないのであるから,判断能力に従って行動する能力がない場合と変わらないといえ,両者に区別を設ける合理的理由はない。 (イ) 被告は,人格障害については,原則として日常生活を不能ならしめるような,あるいは制限を加えるような状況にはならないことから,原則として認定の対象とはせず,その例外も認めていない,すなわち,日常生活能力がない場合には精神病の病態を示していると判断すると主張し,他方,人格障害は精神病の病態を示すことがないから認定の対象としないと主張しており,循環論法に陥っている。 また,被告は,人格障害は,特別なコミュニケーションを必要としない仕事に就くことができることからも,日常生活は可能である以上,障害基礎年金における障害等級認定の対象としない旨主張するが,人格障害であっても特別なコミュニケーションを必要としない仕事に就くことができるとは限らないし,就くことができるとしても臨機応変な判断が必要となる日常生活を送るには支障がある場合も考えられるのであって,被告の主張は不合理である。 (ウ) 被告は,法における障害基礎年金の支給対象となるか否かは,日常生活への支障の程度という基準によって判断すべきであり,日常生活は社会生活とは別のものである旨主張する。 しかしながら,日常生活の支障度の判定に用いられる診断書様式(ただし,平成23年6月30日改訂後のもの。乙21)において「社会生活」が「日常生活」の中に包摂された概念として記載されているように 。 しかしながら,日常生活の支障度の判定に用いられる診断書様式(ただし,平成23年6月30日改訂後のもの。乙21)において「社会生活」が「日常生活」の中に包摂された概念として記載されているように,両者の線引きは曖昧で,峻別は困難であるから,日常生活への支障の程度を基準とする本件認定基準は,不明確ないし不合理なものであって,妥当性を欠くものである。 ウ仮に本件認定基準が不明確とはいえず合理的であったとしても,以下の事情がある本件においては,処分行政庁は原告の障害の程度を個別に審査すべき義務を負っていたのであり,機械的に本件認定基準に当てはめて障害等級の認定対象外と判断することは,かかる個別審査義務に反するものである。 (ア) 原告は,平成元年11月29日及び同年12月1日にパニック発作を起こし,同日に不安恐慌性障害及び回避性人格障害と診断され,その後も原告の症状は回復せず固定し,かつ,長期間継続している。 (イ) 原告は独力で適切な日常生活を送ることができない状態にあり,かかる状態は日常生活に著しい支障が生じているといえるし,その状態が長期間継続している。 (ウ) 原告は傷病に起因して社会適応能力が著しく損なわれており,通常の就労の機会を得ることを期待することは困難である。 (被告の主張)ア(ア) 本件認定基準は,外部障害のように細部にわたる類型化に馴染まない個々様々の病態を呈する精神障害について,医療分野の専門家,有識者の意見等を踏まえ,多方面で医療に携わっている医療関係者等からも 意見聴取した上で作成されたものであり,当時の最新の医学的知見が反映されたものであって,その信用性及び合理性は十分に担保されている。 (イ) 法における障害基礎年金は,症状が固定した場合に支給されるのが原則であり,疾病の継続中は医 り,当時の最新の医学的知見が反映されたものであって,その信用性及び合理性は十分に担保されている。 (イ) 法における障害基礎年金は,症状が固定した場合に支給されるのが原則であり,疾病の継続中は医療保険によるべきであるところ,神経症については,一般的に治癒可能であるということから認定対象外とされている。また,神経症では「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別はでき,病識がなくなることもないが,かかる区別ができなくなったり病識がなくなるなどの精神病の病態を示した場合については,統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱うとしている。精神病の病態を示さない神経症の場合は,判断能力がありながらその判断に従って行動する能力がないのではなく,判断能力があり,かつ,その判断に従って行動する能力がありながら単に自己の都合により行動しないにすぎないから,認定対象とはならない。 (ウ) 人格障害とは,一個の人格として期待される適切な人間関係が持続的に保てず,社会的機能等に顕著な制約が続いている社会不適応な行動様式としての問題を指すところ,人格障害の患者は一般的に知能は正常であり,日常生活(適切な食事摂取等,対人関係を伴わないものと,買物,通院等の必要な最低限の対人関係を伴うものを含む。)や社会生活(厚生年金保険の適用事業所での勤務や自営業により,何らかの形で,様々な対人関係や複雑な人間関係の中で活動し,社会にかかわっていくこと)を送る能力を喪失した状態ではなく,社会への適応能力が本人の望む環境下や特別の待遇下でしか能力を発揮できない状態にあり,上記の意味での日常生活ができるか否かを判断の基準とする障害基礎年金の認定の対象となる病態を示すことがないことから,人格障害は障害基礎年金の認定の対象とはならない。 イ本件認定基準の設定は,障害認定審 意味での日常生活ができるか否かを判断の基準とする障害基礎年金の認定の対象となる病態を示すことがないことから,人格障害は障害基礎年金の認定の対象とはならない。 イ本件認定基準の設定は,障害認定審査事務を統一的に行い,裁定におけ る客観性及び裁定申請者間における障害年金給付の公平を確保することを目的とするものであるから,この目的に照らせば,本件認定基準に照らして障害等級等の審査を行うことが当然の前提である。すなわち,原告の主張するような個別審査義務を処分行政庁は負わない。 (2) 争点(2)(原告の状態が障害等級2級に該当するか)について(原告の主張)原告の主治医であるA医師の診断書(甲1の3,乙2)によれば,原告は,不安,焦燥,抑うつ,心気症状が持続している状況にあり,注意集中の困難,持続力の低下,意欲の減退と相まって,作業能力は質,量ともに低下している,適切な食事摂取は「自発的にできるが援助が必要」(なお,以下において,日常生活能力の判定における援助とは,助言,指導をいい,身体介助を含まない。),金銭管理と買物及び通院と服薬については「概ねできるが援助が必要」とされており,他人との意志伝達及び対人関係並びに身辺の安全保持及び危機対応については「自発的にはできないが援助があればできる」とされている。 さらに,病歴状況申立書(甲1の4)によれば,原告は呼吸困難がひどく,何も活力がわかず,食事ものどを通らない日々が続いている。また,日常生活は親が面倒を見ないと何もできず,着替え,食事,入浴及び洗濯は自発的にできず援助を要し,炊事,掃除及び買物は一人ではできない状況である。 実際に原告は,独居とはいえ,原告宅の家事は原告の母がすべてこなしており,母の援助なしでは日常生活を送ることができない状況である。 以上のような原 炊事,掃除及び買物は一人ではできない状況である。 実際に原告は,独居とはいえ,原告宅の家事は原告の母がすべてこなしており,母の援助なしでは日常生活を送ることができない状況である。 以上のような原告の症状は,日常生活が著しい制限を受けるものとして,障害等級2級に該当する。 (被告の主張)原告の傷病の診断名は神経症である不安恐慌性障害及び人格障害である回避性人格障害であり,病状又は状態像についても,A医師の診断書(甲1の 3,乙2)によれば不安,焦燥,抑うつ,心気症状が持続とあるが,A医師作成の意見書(甲1の8)において神経症圏に属しているとされているのであって,精神病の病態を示しているとはいい難いことから,本件認定基準によれば認定の対象とはならない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件認定基準に照らして障害等級の審査を行うことの可否)について(1) 前記前提事実(3)及び弁論の全趣旨によれば,本件認定基準は,障害認定審査事務を統一的に行い,裁定における客観性及び裁定請求者間における障害年金給付の公平を確保することを目的として定められたものであり,その改正に当たっては,13名の専門家からなる障害認定基準の見直しに係る専門家会合を開催して最近の医学的知見に基づく指摘を得るとともに,さらに9名の専門家からも意見を得ていることが認められる。 (2)ア前記法令等の定め(5)のとおり,施行令別表によると,障害の程度が1級であるもの(同別表1級欄参照)については,障害の状態として,例えば,両眼の視力の和が0.04以下のもの(1号),両上肢のすべての指を欠くもの(4号),両下肢を足関節以上で欠くもの(7号)等,食事や入浴,家庭内での家事等を含めた生活を不能ならしめる程度の身体の機能の障害が列挙された上,9号において, 1号),両上肢のすべての指を欠くもの(4号),両下肢を足関節以上で欠くもの(7号)等,食事や入浴,家庭内での家事等を含めた生活を不能ならしめる程度の身体の機能の障害が列挙された上,9号において,1号から8号で具体的に列挙したもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が1号から8号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものと定められている。同別表の障害の程度が2級であるものについてみても,障害の状態として,例えば,両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの(1号),そしゃくの機能を欠くもの(4号),両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの(6号)等,食事や入浴,家庭内での家事等を含めた生活が著しい制限を 受ける程度の身体の機能の障害が列挙された上,15号において,1号から14号で具体的に列挙したもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が1号から14号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものと定められている。 イ上記アのような施行令別表に規定されている身体の機能の障害又は病状の態様に加え,厚生年金保険法施行令別表第1において,両耳の聴力が40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの(2号)や,そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの(3号)等,厚生年金保険の適用事業所に勤務したり,自営業により何らかの形で社会にかかわっていくといった就労を中心とした社会生活に著しい制限を加えると考えられる障害や,1号ないし11号に掲げるもののほか,身体の機能に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加 社会にかかわっていくといった就労を中心とした社会生活に著しい制限を加えると考えられる障害や,1号ないし11号に掲げるもののほか,身体の機能に,労働が著しい制限を受けるか,又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(12号)について,障害厚生年金3級に該当するとされており,障害厚生年金1級又は2級(その内容は,障害基礎年金の1級又は2級に対応する。厚生年金保険法施行令3条の8。)に該当するとされていないことからすると,施行令別表における「日常生活」とは,労働に従事すること等の,社会内における様々な他人との複雑な人間関係の中での社会的な活動よりも狭い範囲の活動,具体的には,食事や入浴,家事等,他人関係を伴わず,主に家庭内で行う活動や,買物や通院等,比較的単純な対人関係を伴う活動をいうものと解される(以下,「日常生活」という場合には,このような意味での活動をいうものとする。)。 このように解することは,国民年金が,厚生年金保険法等の被用者年金各法とは異なり学生や主婦等の職業を持たない者も加入する制度であって,労働能力の喪失の程度を基準として障害の程度を判断することが必ずしも 適切でないこととも整合する。また,社会的な活動を行う能力や労働をする能力が著しい制限を受ける場合であっても,日常生活が著しい制限を受けていない場合に障害基礎年金を支給しないこととしても,健全な国民生活が損なわれることを防止するという法の趣旨に反するものということはできない。 ウそして,施行令別表のうち,障害の程度が1級であるものについては,10号で精神の障害につき,1号から9号と同程度以上と認められる程度のものと定めているところ,上記アのような1号から9号の規定内容に鑑みれば,精神の障害が1級に該当すると認められるためには,その ,10号で精神の障害につき,1号から9号と同程度以上と認められる程度のものと定めているところ,上記アのような1号から9号の規定内容に鑑みれば,精神の障害が1級に該当すると認められるためには,その日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものであることを要するものと解するのが相当である。同様に,施行令別表のうち,障害の程度が2級であるものについては,16号で精神の障害につき,1号から15号と同程度以上と認められる程度のものと定めているところ,上記アのような1号から15号の規定内容に鑑みれば,精神の障害が2級に該当すると認められるためには,その日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするようなものであることを要するものと解するのが相当である。 エ(ア) そうであるところ,施行令別表に定められている障害の程度を個別に判断する際の具体的な認定基準として定められた本件認定基準は,前記法令等の定め(6)イのとおり,精神の障害による障害の程度の認定に関して,統合失調症又はそううつ病により常時の介護が必要なものを1級に,これらの疾患により日常生活が著しい制限を受けるものを2級にそれぞれ該当するものと認定することとしているが,これは上記アないしウの施行令別表の解釈に沿うものであって,合理的なものといえる。 (イ) さらに,本件認定基準は,人格障害は原則として認定の対象とならず,また,神経症についても,原則として認定の対象とならないが,そ の臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては,統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱うものとしている。 ここで,人格障害とは,適切な人間関係が持続的に保てず,社会的機能ないし職業への従事に顕著な制約が長時間続いている社会不適応な行動パターンをい 失調症又はそううつ病に準じて取り扱うものとしている。 ここで,人格障害とは,適切な人間関係が持続的に保てず,社会的機能ないし職業への従事に顕著な制約が長時間続いている社会不適応な行動パターンをいい(前記前提事実(2)イ),一般的に知能は正常であり,日常生活を送る能力や社会に適応する能力を喪失した状態ではなく,本人が望む極端に理想的な環境下でしか社会適応能力を発揮できない状態にあること(乙14),また,神経症については,患者はかなりの洞察力と十分な現実検討能力を持ち,行為に問題があるときも社会に受け入れられる範囲にとどまるなど一定の社会適応力を有していること(乙7)等に鑑みると,人格障害も神経症も,社会生活(労働に従事すること等の,様々な他人との複雑な人間関係の中での活動)を送る能力に一定の制限を受けることがあるとしても,日常生活が著しい制限を受け,あるいは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度に当たるものとは認め難い。 他方,精神病である統合失調症は,幻覚,幻聴,妄想等を特徴とし,病勢増悪と寛解とを反復したり,緩徐な持続性進行を示したりしながら慢性に経過し,最後には様々な程度の精神障害を残しながら一応停滞,固定した状態に達するものとされている。進行が停止したときの精神状態が軽いものは欠陥状態(活動性及び反応性の減弱並びに行動レパートリーの貧困化),重篤なものは荒廃状態(統合失調症による感情,意欲の障害が高度になった状態で,周囲に対し,無関心,感情の動きがなく茫乎としている状態)と呼ばれる。これらの統合失調症の状態は,日常生活能力がない状態と評価できる場合もしばしば見受けられる。そして,人格障害及び神経症のいずれにおいても境界事例においては精神病との区別・鑑別は必ずしも容易とはいえず,人格障害のうち統合失調症型障 能力がない状態と評価できる場合もしばしば見受けられる。そして,人格障害及び神経症のいずれにおいても境界事例においては精神病との区別・鑑別は必ずしも容易とはいえず,人格障害のうち統合失調症型障 害に分類されるものや,神経症であっても,「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別がつかなくなったり,自分が病気であるという認識(病識)がなくなるような精神病の病態を示すものもあり,このような場合には,障害の状態が統合失調症(軽快したものを除く。)と同様に日常生活能力に著しい制限をもたらすことも十分にあり得る。(乙13,16,17,19)したがって,本件認定基準の神経症及び人格障害に関する内容(前記前提事実(3)の本件認定基準に係る運用を含む。)は,上記アないしウのような施行令別表の解釈に沿ったものということができ,前記(1)のとおり,本件認定基準が改正当時の最新の医学的知見を踏まえたものであることも考慮に入れると,本件認定基準は,基準として明確性を欠いているといった事情があるとはいえず,合理的かつ適正なものであるといえる。 (ウ) そうすると,障害の状態が施行令別表の障害等級に該当するか否かを個別に判断する際には,本件認定基準に照らして,これを判断するのが相当である。 原告は,本件請求に対しては,処分行政庁が例外的に本件認定基準によらずに個別に審査すべき義務を負っている旨を主張するが,後記2で検討する原告の状態に鑑みると,原告の症状は上記(イ)で説示した神経症及び人格障害の症状の範囲にとどまらないものと認めることはできず,本件認定基準によっては原告の障害の程度を適切に判断することができないとはいえないから,原告の上記主張を容れることはできない。 2 争点(2)(原告の状態が障害等級2級に該当するか)について(1) 件認定基準によっては原告の障害の程度を適切に判断することができないとはいえないから,原告の上記主張を容れることはできない。 2 争点(2)(原告の状態が障害等級2級に該当するか)について(1) 前記1のとおり,原告の状態が障害等級2級に該当するか否かは本件認定基準に照らして判断すべきところ,原告の傷病は,神経症である不安恐慌性障害と,統合失調症型人格障害ではない人格障害である回避性人格障害であ るから,本件認定基準によれば,いずれも原則として認定の対象とはならず,不安恐慌性障害が精神病の病態を示している場合のみ,認定の対象となる。 そして,精神病の病態を示しているかは,「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別ができるかや,自分が病気であるという認識(病識)の有無によって判断すべきである(乙13)。 (2)アそこで,原告の状態が精神病の病態を示しているといえるかについてみると,A医師の診断書(甲1の3,乙2)には,平成22年8月6日現症の障害の状態として,「パニック発作はコントロールされているが,不安,焦燥,抑うつ,心気症状が持続し,注意集中の困難,持続力の低下,意欲の減退とあいまって作業能力は質・量ともに低下し,就労不能の状態にある。」との記載があるほか,原告は独居している旨の記載があり,適切な食事摂取は「自発的にできるが援助が必要」,身辺の清潔保持は「自発的にできる」,金銭管理と買物,通院と服薬はそれぞれ「概ねできるが援助が必要」,日常生活能力の程度は,「精神障害を認め,家庭内での単純な日常生活はできるが,時に応じて援助が必要である。」とされている。 また,A医師作成の意見書(甲1の8)によれば,原告の状態は精神病圏に属するもの(統合失調症の病態を呈しているもの,うつ病の病態を呈しているもの,その他の精神病 援助が必要である。」とされている。 また,A医師作成の意見書(甲1の8)によれば,原告の状態は精神病圏に属するもの(統合失調症の病態を呈しているもの,うつ病の病態を呈しているもの,その他の精神病的病態を呈しているもの)ではなく,神経症圏に属しているとされている。 原告作成の病歴状況申立書(甲1の4)によれば,原告は平成元年12月1日以降,呼吸困難がひどく,いらいらして何も活力がわかず,食事ものどを通らない状態が続いているとされている。また,原告は,10年前頃から独居しており,母親の援助は週に一,二回であり,症状には波があり,入浴や洗濯,食事の買物は自分でできることもある旨陳述している(甲4)。 イ証拠上,原告には,幻覚妄想,精神運動興奮等の症状があることは認め られず,精神病の病態を示すような重篤な症状は認められない。 ウ原告は,本件請求の時から本件訴訟に至るまで一貫して自らが不安恐慌性障害に罹患していることを主張しており(甲4,前記前提事実(1),当裁判所に顕著な事実),自らが不安恐慌性障害に罹患しているという認識を有している。 (3) 以上からすると,本件処分時において,原告に精神病の病態を示すような症状は認められず,原告は援助(助言や指導)があれば適切な食事,身辺の清潔保持,金銭管理と買物,通院と服薬が自発的にできていたことからすると,原告は「現実」と「非現実」,「自己」と「非自己」の区別ができていたと認められる。また,原告は,自らが不安恐慌性障害に罹患しているという病識も有していた。これらに加え,A医師も原告の状態は精神病圏ではなく神経症圏に属するとしていたことにも鑑みれば,本件処分時において,原告の不安恐慌性障害の状態が精神病の病態を示していたとはいえない。 (4) したがって,原告の傷病はいずれも国 態は精神病圏ではなく神経症圏に属するとしていたことにも鑑みれば,本件処分時において,原告の不安恐慌性障害の状態が精神病の病態を示していたとはいえない。 (4) したがって,原告の傷病はいずれも国民年金障害基礎年金における障害等級認定の対象とはならないから,原告の障害の程度が施行令別表に定める程度に該当しないとしてされた本件処分が違法であると認めることはできない。 3 結論よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官田中健治 裁判官新宮智之 裁判官松本諭
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