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昭和41(オ)419 建物収去土地明渡請求

裁判所

昭和41年11月1日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 昭和39(ネ)230

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2,356 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告人の上告理由について。被上告人の実父D(一審被告。被上告人の被承継人。)は、昭和二三年七月一日、上告人から本件土地を賃借して本件建物を建築所有し、青果物商を営むものであること、本件土地賃貸借の賃料の弁済期は毎年六月、一二月の各二五日で、賃料額は当初年額金六千円、その後昭和二七年度金七千円、昭和二八年度金九千円、昭和二九年度金一万二千円、昭和三〇年度金一万五千円と逐年増額され、上告人は増額の都度その額を定めてDに通告し、同人は妥当な額と了承したわけではなかつたが、地主に逆らうまいと敢えて異議を唱えず、上告人の通告通りすべて応諾して完納したものであること、昭和三一年度分賃料は昭和三一年六月頃上告人からの通告を受け、Dにおいて争わず、金二万円と合意され、Dは内金一万円を支払つたところ、その後同人は脳溢血で倒れたため、昭和三一年末頃、同人妻を介し上告人に対し右賃料残額の支払猶予方を求め、上告人の承諾を得て、右賃料残額の支払は期限の定めなく猶予されていたが、上告人は、昭和三二年一、二月頃、口頭で病床のDに対し賃料残額の支払を催告し、さらに、昭和三二年三月三〇日付、同月三一日到達の内容証明郵便をもつて同人に対し、本件土地の昭和三一年度分賃料は金二万四三五八円であり、その残額金一万四三五八円の支払がないからとの理由により、本件土地賃貸借契約解除の意思表示をなしたこと、当時Dは、ひきつづき病床にあり、上告人もそのことは熟知していたものであるが、Dは上告人の右解除の意思表示に驚き、右解除の意思表示到達の日ただちに上告人主張の賃料残額金一万四三五八円を現実に提供したが、上告人は受領を拒絶し、Dはその後も、更に、上告人に対し上- であるが、Dは上告人の右解除の意思表示に驚き、右解除の意思表示到達の日ただちに上告人主張の賃料残額金一万四三五八円を現実に提供したが、上告人は受領を拒絶し、Dはその後も、更に、上告人に対し上- 1 -告人主張の賃料残額を提供したが、上告人がその受領を拒絶するので、昭和三二年四月一五日同額の金員を弁済供託し、爾後昭和三八年度分まで毎年金二万四三五八円を賃料としてD及びその承継人被上告人において弁済供託をつづけていて、Dは従来とも本件土地賃借人として賃料支払につき十分の誠意を示していたこと、の以上の事実は原審(引用の第一審判決)の適法に確定するところである。 その後も、更に、上告人に対し上- 1 -告人主張の賃料残額を提供したが、上告人がその受領を拒絶するので、昭和三二年四月一五日同額の金員を弁済供託し、爾後昭和三八年度分まで毎年金二万四三五八円を賃料としてD及びその承継人被上告人において弁済供託をつづけていて、Dは従来とも本件土地賃借人として賃料支払につき十分の誠意を示していたこと、の以上の事実は原審(引用の第一審判決)の適法に確定するところである。右の事実によれば、支払猶予を得ていた昭和三一年度賃料の残額金一万円は、上告人が昭和三二年一、二月頃にした前記口頭の催告により、おそくとも昭和三二年二月末までに期限到来したものであり、昭和三二年三月三一日到達の上告人の前記解除の意思表示は右催告から相当期間を経過してなされたものではあるが、本件延滞賃料額は、賃料の半額を支払つた残額であり、且つ、さして高額ではなく、上告人とDとの本件土地賃貸借は当時約八年間継続し、その間同人はすべて賃料を完納してきており、殊に昭和二七年度から昭和三〇年度まで逐年の上告人の一方的な増額要求にも異議なく応じてきたものであつて、それに加えて昭和三二年三月三一日にいたり、突然従前合意の額を超える賃料額を示された本件土地賃貸借解除の通知に接するや、Dは驚いて同日直ちに右通知の賃料額による残額を弁済提供し、受領を拒絶されても更に提供の上、弁済供託をした前記事情からも、Dが当時、従来とも土地賃借人として賃料支払につき十分の誠意を示していたものであることが認められ、且つ、同人は昭和三一年から右解除の通知をうけるまで前記の通り病床にあつたもので、上告人もその事情を熟知 当時、従来とも土地賃借人として賃料支払につき十分の誠意を示していたものであることが認められ、且つ、同人は昭和三一年から右解除の通知をうけるまで前記の通り病床にあつたもので、上告人もその事情を熟知していたことの明らかな事実関係のもとにあつては、賃料不払を理由とする上告人の本件解除権の行使は信義則に反し許されないものであり、解除の効力を生じない旨の原判決の判断は、正当として肯認することができる。また、本件記録を検討し、原判決を通読すると、所論準備書面の記載内容に対する原判決の判断遺脱を認めることはできない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解せず、原審の認定にそわない- 2 -事実を主張し、独自の見解に立つて、正当な原判決を非難するに帰し、採るを得ない。 の本件解除権の行使は信義則に反し許されないものであり、解除の効力を生じない旨の原判決の判断は、正当として肯認することができる。また、本件記録を検討し、原判決を通読すると、所論準備書面の記載内容に対する原判決の判断遺脱を認めることはできない。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原判決を正解せず、原審の認定にそわない- 2 -事実を主張し、独自の見解に立つて、正当な原判決を非難するに帰し、採るを得ない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官田中二郎裁判官五鬼上堅磐裁判官柏原語六裁判官下村三郎- 3 -

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