令和6年9月9日判決言渡令和6年(ネ)第10022号特許権侵害等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和5年(ワ)第70454号)口頭弁論終結日令和6年7月31日判決 控訴人(第1審原告) X 被控訴人(第1審被告) 株式会社AbemaTV 同訴訟代理人弁護士奥田洋一同飯塚卓也同佐 々 木奏主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 (略語は原判決の例による。)第1 事案の要旨本件は、発明の名称を「検査分析のサービスを提供するシステムおよび方法」 とする本件特許(特許第4253793号、期間満了、消滅)の特許権者であった控訴人が、被控訴人による被告方法を使用した動画配信サービスの提供が本件特許権の侵害に当たるとして、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償(一部請求)を求める事案である。 第2 当事者の求めた裁判 1 控訴人の原審における請求 被控訴人は、控訴人に対し、160万円を支払え。 2 原審の判断及び控訴の提起原審は、被告方法が本件発明の「検査装置」又は「検査分析」に該当する装置又は工程を備えるものと認められないとして、控訴人の請求を棄却した。 これを不服とする控訴人が、原判決の取消しを求めて控訴を提起した。 なお、原判決取消後の請求内容として控訴状に記載されているところは、「被控訴人は、控訴人に対し、被控訴人が作成したAbemaTV正規動画、Ab 、原判決の取消しを求めて控訴を提起した。 なお、原判決取消後の請求内容として控訴状に記載されているところは、「被控訴人は、控訴人に対し、被控訴人が作成したAbemaTV正規動画、AbemaTV広告付動画を利用したビジネスが控訴人の特許侵害になることを認め、被控訴人が得た売上の2022年、2021年、2020年の額を開示、2023年特許権満了日までの2022年の日割換算分を開示し、それらの和 の10%を訴状送達の日の翌日から払い済み日までの年3%の割合による金員を請求する一部として金160万円を支払え。」というものであるが、実質的には、内金請求として160万円の支払を求めるもの(すなわち上記1と同旨)と解される。 第3 事案の概要等 1 前提事実前提事実は、原判決の「事実及び理由」の第2の1(2頁~)記載のとおりであるから、これを引用する。 2 争点及び争点に関する当事者の主張後記3のとおり当審における控訴人の補充的主張を付加するほか、原判決の 「事実及び理由」の第2の2及び第3記載のとおりであるから、これを引用する。 3 当審における控訴人の補充的主張(1) 原判決は、本件発明に係る「検査分析装置」とは、試料を装填等して、ユーザのリモート操作によりその試料を分析し、検査する検査分析ユニットを 有する装置を意味し、「検査分析」とは、試料を装填等して、ユーザのリモ ート操作により試料を分析し、検査する工程を意味すると判断した。 しかし、控訴人は、本件発明を半導体などの検査分析装置に拡大することに失敗し、これを特許請求の範囲から除いて審査請求をしたのであり、検査分析対象を試料であるとした原判決は誤りである。 本件特許が登録に至ったのは、画像情報を提供する装置に対するリモート 拡大することに失敗し、これを特許請求の範囲から除いて審査請求をしたのであり、検査分析対象を試料であるとした原判決は誤りである。 本件特許が登録に至ったのは、画像情報を提供する装置に対するリモート 操作(模擬操作)の検査分析の技術として認められたからである。本件明細書の【0034】には、「・・・ユーザ自身でユーザのワークステーションまたはパソコンを用いて、検査分析装置のリモート制御できるか、否か、確認できるようにした。」とあり、この確認は「検査分析」に含まれる。控訴人が審査請求したのは、悪意あるリモート操作を排除し、個人情報漏洩、ウ イルス感染を防止する技術である。本件は、2003年特許出願のインターネットを介した動画配信サイトの安全性を担保する方法を開示した、唯一の特許発明である。 (2) 原判決は、本件特許権が令和5年7月23日に存続期間満了により消滅したと認定しているが、同月22日において本件特許権が有効であるか否かが 争点となるのであるから、不当である。 第4 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人の請求には理由がないものと判断する。 その理由は、後記2のとおり当審における控訴人の補充的主張に対する判断を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の説示のとおりであるから、 これを引用する。 2 当審における控訴人の補充的主張に対する判断(1) 控訴人は、半導体などの検査分析装置を特許請求の範囲から除いて審査請求をしたから、検査分析対象が試料であるとした原判決は誤りである旨主張する。 しかし、本件特許の特許請求の範囲の請求項5の記載は、原判決の「事実 及び理由」の第2の1(3)アのとおりであり、半導体などの検査分析装置を除く旨の記載はない。 したがって、控訴人の上記主張 しかし、本件特許の特許請求の範囲の請求項5の記載は、原判決の「事実 及び理由」の第2の1(3)アのとおりであり、半導体などの検査分析装置を除く旨の記載はない。 したがって、控訴人の上記主張は、本件特許の特許請求の範囲の請求項5の記載に基づくものではないから、採用できない。 また、控訴人は、本件発明における検査分析の対象をリモート操作である とするが、本件特許の特許請求の範囲にも、本件明細書にも、同主張を裏付ける記載はない。控訴人は、本件明細書の【0034】の「・・・ユーザ自身でユーザのワークステーションまたはパソコンを用いて、検査分析装置のリモート制御できるか、否か、確認できるようにした。」との記載を援用するが、これは試料の「検査分析」のための一ステップであって、それ自体が 検査分析を意味するものでないことは明らかである。 (2) 控訴人は、本件では令和5年7月22日において本件特許権が有効であるか否かが争点であるのに、原判決が、本件特許権について、同月23日に存続期間満了により消滅したと認定したのが不当である旨主張するが、本件特許権が同日に消滅したのであれば同月22日には存続していることになり、 また、同日における本件特許権の存続を被控訴人が争っているわけでもないから、控訴人の主張は採用できない。 (3) その他、控訴人はるる主張するが、いずれも原判決の認定判断を左右するに足りるものではない。 3 結論 以上によれば、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 宮坂昌利 主文 これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 宮坂昌利 裁判官 本吉弘行 裁判官 岩井直幸
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