- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨( )原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 ( )被控訴人の請求をいずれも棄却する。 ( )訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁主文と同旨第2事案の概要 本件は,パブクラブを経営する被控訴人が,使用していたホステスに対し,半月ごとに報酬を支払っていたところ,所得税法(以下「法」という)204。 条1項6号,205条2号所定の源泉徴収に係る所得税額を納付するに際し,当該報酬の額から,ホステスが欠勤や遅刻した場合に差し引くこととしていたペナルティの額のほか,法205条2号,所得税法施行令(以下「施行令」という)322条所定の控除額として,5000円に上記半月の日数を乗じた額。 を差し引いた残額に100分の10を乗じて計算した金額を納付したところ,控訴人が,法205条2号,施行令322条所定の控除額は,5000円にホステスの実際の出勤日数を乗じた額であるとして,これを前提として算出した納付額と被控訴人の納付額との差額に相当する金額について納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしたため,被控訴人がそれらの取消を求めた事案である。 原判決は,上記基礎控除額は,被控訴人主張のように5000円に半月の日数を乗じた額であり,他方,ペナルティに当たる金額は控除すべきではないと- 2 -して,被控訴人の請求の一部を認容し,上記各処分の一部を取り消した。そこで,控訴人は,敗訴部分が不服であるとして本件控訴を申し立てた。 法令の定め,争いのない事実等,争点及びこれに関する当事者の主張の要旨は,以下に控訴人の当審における補充主張及び被控訴人の反論を記載する 控訴人は,敗訴部分が不服であるとして本件控訴を申し立てた。 法令の定め,争いのない事実等,争点及びこれに関する当事者の主張の要旨は,以下に控訴人の当審における補充主張及び被控訴人の反論を記載するほかは,原判決の「事実及び理由」中の第2の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 (控訴人の当審における補充主張)( )ホステス報酬等,司法書士等に対する報酬等などの法205条2号所定の 報酬等に係る源泉徴収制度においては,当該報酬等の額から一定の基礎控除の金額を控除した残額に10%の税率を乗じた金額が徴収されるいわゆる基礎控除方式が採用されており,その基礎控除については,ホステス報酬等の場合には,同一人に対し1回に支払われる金額につき,5000円に「当該支払金額の計算期間の日数」を乗じた額を控除すべきものとされている(施行令322条。 )(),このようなホステス報酬等の源泉徴収制度の立法改正過程においては納税者の職務の性質上,少額の所得のみ存在したり,報酬等に比して多額の経費を要するものが存在することから,必要経費を考慮した一定の基礎控除額を控除する基礎控除方式を採用し,所得税額の還付手続の手間を省くとともに,納税者の最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税額とをなるべく近似させて両者の差が大きくならないようにし,確定申告時に納付する税額をできるだけ減少させるようにして,不申告による徴収漏れ等を防止し,確実な租税の徴収と税負担の公平を図ることができるように立法されたものと認められる。そして,施行令322条の表においては,当該報酬等から控除される一定の基礎控除の金額について,司法書士等の報酬等,ホステス報酬等といった法205条2号所定の種別ごとに異なる算定方法が規定されているが,これは,それらの報酬等の種別に応 ,当該報酬等から控除される一定の基礎控除の金額について,司法書士等の報酬等,ホステス報酬等といった法205条2号所定の種別ごとに異なる算定方法が規定されているが,これは,それらの報酬等の種別に応じた経費の発生状況,発生態様の違- 3 -いを念頭において設定されたものと解されるから,当該基礎控除の額には,その報酬等の種別に応じた経費的性格があると解される。 以上のように,ホステス報酬等について源泉徴収制度が設けられた立法経緯や立法趣旨,関係条文の規定振り等からすると,源泉徴収の基礎控除額には経費的性格が認められるうえ,個々の具体的な基礎控除額を算定するに当たっても最終的に納付すべき税額と源泉徴収税額をなるべく近似させて,確定申告時において納付する税額をできるだけ減少させることが予定されているというべきである。また,昭和42年立法資料によると,少額所得の不追求や源泉徴収制度の便宜を考慮要素としつつも,確定申告により最終的な税負担の公平を図ることは困難であることを前提に,税負担の公平を図り,徴収を確保するため,ホステス等の報酬,料金について源泉徴収制度が設けられたことも明らかである。 このように,確定申告によってはホステス報酬等について税収を確保するのは困難であるとの立法事実を背景に,ホステス報酬等の源泉徴収制度が設けられたのであるから,確実な徴収を確保して,税負担の公平を図るという立法趣旨に従って解釈する必要があるのであって,ホステス報酬等に対する源泉徴収税額の算定方法に関する施行令322条の解釈についても,単に同条の表中の字句のみに拘泥するのではなく,報酬等の種別に応じた基礎控除額の経費的性格を考慮したうえで,最終的に納付すべき税額と源泉徴収税額とをなるべく近似させ,確定申告時に納付する税額をできるだけ減少させようとする同条及び法 のではなく,報酬等の種別に応じた基礎控除額の経費的性格を考慮したうえで,最終的に納付すべき税額と源泉徴収税額とをなるべく近似させ,確定申告時に納付する税額をできるだけ減少させようとする同条及び法205条2号の立法趣旨・目的に整合するように解釈されるべきであり,基礎控除額が報酬等の支払の対象となった日数により変動し,同種,同額の報酬に対しては同額の源泉徴収税が算出されることが予定されているといえる。 ( )被控訴人主張のようにホステス報酬等が発生する余地のない日を基礎控除 額の金額の計算の対象日とすることは,勤務のない日も基礎控除額の計算対- 4 -象に盛り込むことを意味するから,ホステス等の経費の発生状況ないし態様とは合致しないばかりか,租税収入の確保の見地からも,課税の公平の観点からも極めて不合理であり,施行令322条の解釈適用を誤るものといわなければならない。換言すれば,ホステス報酬等の基礎控除額の計算に関する施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」は,当該報酬等の支払金額の計算の対象となった日の合計日数であると解さなければ,基礎控除方式による源泉徴収制度を採用した施行令322条及び法205条2項の立法趣旨に整合しないというべきである。 そして,これを本件についてみると,各ホステスは,各営業日の開店前までに,被控訴人との間で各当日の出勤について合意した営業日についてのみ業務上の拘束を受けるものであるから,各ホステスの「支払金額の計算期間」,,,の日数とは当該支払金額の計算の対象となった日の合計日数すなわち各ホステスが実際に出勤した日数をいうことになる。 ( )また,法204条1項6号及び205条2号並びに施行令322条によっ て源泉徴収されるホステス報酬等とは,個人事業者であるホステス等が事業所得 ステスが実際に出勤した日数をいうことになる。 ( )また,法204条1項6号及び205条2号並びに施行令322条によっ て源泉徴収されるホステス報酬等とは,個人事業者であるホステス等が事業所得として受け取る報酬等であり,ホステス等の1日1日の業務に対応する報酬等が積み重なったものにほかならない。したがって,このような報酬等を得るための必要経費もまた,ホステス等の1日1日の業務に対応する経費が積み重なったものというべきである。ホステス報酬等に係る経費の発生状況がこのような形態のものである以上,経費的性格を有する基礎控除額についても,このような経費の発生状況ないし発生態様と整合的に解釈すべきであり,これとかけ離れた解釈をすべきではない。 ( )被控訴人主張のような解釈によると,例えば,15日間について,あるホ ステスが3か所のキャバレー等の施設に日給2万円でそれぞれ3日ずつ勤務したとすると,ホステスの報酬額は各支払者から6万円(2万円×3日)で合計は18万円(6万円×3者)となるが,各支払者の源泉徴収すべき税額- 5 -の計算の際に7万5000円(5000円×15日間)を控除することとなり,いずれの支払者からも全く源泉徴収すべき所得税額が生じないことになり,報酬等について確実な租税の徴収と納税者の便宜を図るという源泉徴収制度を設けた上記趣旨にそぐわないことが明らかである。 (被控訴人の反論)( )ホステス報酬等に係る源泉徴収制度において基礎控除方式が採用されたの は,立法担当者の説明等からも明らかなとおり,源泉徴収税額の還付の手数を省くことにあるのであり,基礎控除額に経費的性格があるためではない。 また,仮に上記基礎控除額に経費的性格があったとしても,同基礎控除額を必要経費にできる限り近似させるという要請はない。すなわち,施行 省くことにあるのであり,基礎控除額に経費的性格があるためではない。 また,仮に上記基礎控除額に経費的性格があったとしても,同基礎控除額を必要経費にできる限り近似させるという要請はない。すなわち,施行令322条が定める控除額をみると,司法書士等の報酬については1回に支払われる金額につき1万円,外交員等の報酬又は料金についてはその月中に支払われる金額につき12万円などとされているが,これらの金額が,可能な限。 り必要経費に近似するように定められていることを窺わせる根拠は何もないホステス報酬等についても,1日の必要経費が5000円というのはいかに,,,も少ないしまたホステスの収入は千差万別であってかなりの格差があり収入に応じて必要経費にかなりの格差があると思われるが,ホステスの収入等に応じて基礎控除額が変動する仕組みにはなっていない。さらに,基礎控除額は,昭和50年度の税制改正以来,30年以上も一度も改正されていない。この間の物価上昇を考えれば,ホステスの必要経費の額も相当増加しているはずであるが,この間一度も基礎控除額が引き上げられおらず,このような事情は,それ以外の報酬等についても同様であり,施行令322条の基礎控除額の定めから,納付すべき所得税額と源泉徴収税額との可及的近似という要請を見出すことはできない。 ホステス等は,源泉徴収税額の有無及びその額にかかわらず,どちらにしてもホステス報酬等に関して確定申告をしなければならず,基本的に確定申- 6 -告が不要とされ,精緻な給与所得控除額の算出方法及び年末調整の制度を有する給与所得ならともかく(法121条,確定申告が必須とされる事業所得)であるホステス報酬等の基礎控除額に「納付すべき所得税額」と可及的に近似させるという要請はない。 ( )ホステス報酬等が事業所得であるから らともかく(法121条,確定申告が必須とされる事業所得)であるホステス報酬等の基礎控除額に「納付すべき所得税額」と可及的に近似させるという要請はない。 ( )ホステス報酬等が事業所得であるからといって,必ず1日1日の業務の報 酬等を積み上げていくことしか観念できないものではないし,給与所得であるからといって,必ず始期と終期が定まったものではない「事業所得とは,。 自己の計算と危険において独立して営まれ,営利性,有償性を有し,かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい,これに対し,給与所得とは,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう(最高裁昭和56年4月24日判決・民集35巻3号67。」2頁)のであり,両者は,決して始期,終期の有無によって区別されるものではない。また,ホステス報酬等の算定方法も,店舗によって千差万別であり,実態として必ずしも1日1日の業務の報酬等を積み上げていくことしか観念できないものではない。 ( )そして,控訴人の主張する基礎控除額の算出方法を採った場合には,控訴 人が主張するように,基礎控除額が報酬等の支払金額の対象となった日数により変動し,同種,同額の報酬に対しては同額の源泉徴収税額が算出されることを予定されているという要請は満たされない。例えば,10日の計算期間で時給制を採っている場合に,時給3000円のホステスAが1日3時間ずつ毎日(10日)勤務した場合と,同じ時給のホステスBが1日6時間ずつ5日勤務した場合を想定すると,ホステスAとホステスBの「同種,同額の報酬」に対しては「同額の源泉徴収税額」が算出されることが予定されていることになる。しかし,控訴人主張の算出方法によると, 間ずつ5日勤務した場合を想定すると,ホステスAとホステスBの「同種,同額の報酬」に対しては「同額の源泉徴収税額」が算出されることが予定されていることになる。しかし,控訴人主張の算出方法によると,次のとおり「同,」。 ,種同額の報酬に対して源泉徴収税額は全く異なるものとなるすなわち- 7 -ホステスAの報酬9万円について,基礎控除額は,5000円×10日(計),,()算期間のうちの出勤日=5万円となり源泉徴収税額は9万円-5万円,,×10%=4000円となるのに対しホステスBの報酬9万円については基礎控除額は,5000円×5日(計算期間のうちの出勤日)=2万5000円となり,源泉徴収税は(9万円-2万5000円)×10%=6500,円となる。これに対し,被控訴人主張の算出方法によると,ホステスA,Bともに,基礎控除額は,5000円×10日(計算期間の全日数)=5万円,,(),となり源泉徴収税は9万円-5万円×10%=4000円となるから同種,同額の報酬に対しては同額の源泉徴収税額が予定されているという要請をより満たす結果となる。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件各納税告知処分及び本件各賦課決定処分のうち,原判決別表2の「源泉徴収すべき税額」及び同「不納付加算税額」欄に各記載の金額を超える部分は取り消すべきものと判断する。その理由は,以下のとおり付加,訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」中の第3の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 ( )原判決24頁11行目の「被告の主張が」から16行目末尾までを次の ,とおり改める。 「報酬の支払をする者(源泉徴収義務者)とホステスとの間に相応の間勤務にかかる契約関係が継続し,ホステスの報酬の支払が一定期間ごとにその間の勤務 」から16行目末尾までを次の ,とおり改める。 「報酬の支払をする者(源泉徴収義務者)とホステスとの間に相応の間勤務にかかる契約関係が継続し,ホステスの報酬の支払が一定期間ごとにその間の勤務実情等に応じて金額が算定されて支払われるような場合(継続的契約関係にある場合)には「計算期間」については,当該契約においてホステス,の報酬等の金額を計算する基準となる期間を指し「計算期間の日数」は,当,該期間の暦上の日数を指すものと解するのが明確であり,自然であって相当である」。 ( )同25頁8行目の「とおりである」の次に「ホステスの稼働実態につい 。 - 8 -ては,日々新たに締結する契約に基づくものもあれば,継続的契約に基づくものもあるところ,当該ホステスの稼働がどのような契約に基づくかは,当該稼働に関する具体的な諸事情の下で判断されるべきである。そして,国税(,,,)局職員等による実務文献甲20 35ないし37乙9ないし12,,によるとホステス報酬等の源泉徴収税の算出方法が明示されているところそのうちの控除額については「日々支払う場合「10日ごと,半月こどの,」ようにあらかじめ計算期間を定めて支払う場合「月ごとに支払う場合」に」,3つに分けてそれぞれに計算方法が明記されているものであり,契約態様の違いによる支払方法の異同が想定されていることが認められる」を加える。 。 ( )同26頁21行目から27頁5行目までを次のとおり改める。 「イ)控訴人は,必要経費を考慮した基礎控除方式を採用して,所得税の還(付手続を省きつつ,納税者の最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税,,額をなるべく近似させて確定時に納付する税額をできるだけ減少させ不申告による徴収漏れ等を防止し,確実な租税の徴収と税負 還(付手続を省きつつ,納税者の最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税,,額をなるべく近似させて確定時に納付する税額をできるだけ減少させ不申告による徴収漏れ等を防止し,確実な租税の徴収と税負担の公平を図るものであるとして,経費的性格を強調している」。 ( )同28頁8行目の「考えた方」を「考え方」と改める。 ( )同頁18行目の「認められない」を「認められず,各控除額と当該報酬 。 等に係る経費との相関関係を窺わせる説明等も見出せない。また,前記のとおり,昭和50年度税制改正により控除額が引き上げられたが,その後,今日まで30年余が経過し,物価の変動,したがって経費の増減もあったと考えられるのに,この間,ホステス報酬等に対する源泉徴収における基礎控除額は変更されていないのであり,基礎控除額と必要経費との関係はより希薄になっているものと考えられる」と改める。 。 ( )同30頁8行目の「エ」を「ウ」と改める。 ()()( )同31頁末行末尾の次に「なお,控訴人が当審主張において挙げる不合理 事例,すなわち,15日間について,あるホステスが3か所のキャバレー等- 9 -の施設に日給2万円でそれぞれ3日ずつ勤務したとすると,ホステスの報酬()()額は各支払者から6万円2万円×3日で合計は18万円6万円×3者となるが,各支払者の源泉徴収すべき税額の計算の際に7万5000円(5000円×15日間)を控除することとなり,いずれの支払者からも全く源泉徴収すべき所得税額が生じないことになるという事例は,そもそもこのような場合には「当該支払金額の計算期間」が15日間であるとすることに疑問があるし,15日間の継続的契約に基づく稼働実態が3者との間で重複的に成立していることを前提とするものであれば,実際上想定 のような場合には「当該支払金額の計算期間」が15日間であるとすることに疑問があるし,15日間の継続的契約に基づく稼働実態が3者との間で重複的に成立していることを前提とするものであれば,実際上想定し難いものといわざるを得ず,検討事例としては相当ではない」。 ( )同32頁5行目末尾の次に改行のうえ以下のとおり加える。 「エ)徴税実務の状況についてみると,ホステス等の報酬等について所得税の(源泉徴収制度が創設されたのは,昭和42年法律第20号による所得税法の改正の際であるが,当時の文献等において,本件で問題とされるホステス報酬等に係る基礎控除額の計算につき定める施行令322条の規定にいう「計算期間」又は「計算期間の日数」との文言について,これを控訴人の主張するように解すべきものであると明確に述べるものは見当たらず,かえって,昭和44年に初版が発行され,昭和45年に再版されている当時の国税庁法人税課職員編著に係る税務関係実務相談録源泉徴収編甲「」( においてはホステス報酬等に係る基礎控除額の計算について ),,「0日ごと,半月ごとのようにあらかじめ計算期間を定めて支払う場合」にあっては「その定められた計算期間にかかる支払金額から,5000円,にその計算期間の日数(バー等の休日の日数を除きます)を乗じて計算。 した金額を控除します」とされていることが認められ,同旨の記述は,。 昭和60年に発行された法人税法研究会編集に係る「新訂源泉徴収質疑応答集(甲21)にもみられる。この点に関し,上記の法改正における改」正点について説明した当時の大蔵省主税局税制第1課長による昭和42年- 10 -6月5日の講演の記録(乙16)においては,当時の2000円を単位額とする基礎控除の金額の計算について「日給的に払っておれば2 いて説明した当時の大蔵省主税局税制第1課長による昭和42年- 10 -6月5日の講演の記録(乙16)においては,当時の2000円を単位額とする基礎控除の金額の計算について「日給的に払っておれば2000,円,7日分として払っておれば1万4000円,こういうものを控除する。」,,わけであると述べられているが先にみた各文献の記述も踏まえると,,,この説明は各回のホステス報酬等の支払方法が各勤務日ごとであるか数日から成る一定の期間ごとであるかに着目して論ずるものと解され,少なくとも,これをもって,上記規定につき控訴人の主張するように解すべき旨が明確に述べられているとまでは認め難いというべきである。 また,証拠(甲35ないし37,乙2,8ないし12)によると,平成5年法律第10号により租税特別措置法の改正が行われた際,ホテル,旅館その他飲食をする場所において客に接待その他役務の提供を行うことを業務とするいわゆるバンケット・ホステス,コンパニオン等の業務に関する報酬又は料金であって,給与所得に当たらないものについて,所得税の源泉徴収制度が導入され,上記の報酬等を法204条1項6号に掲げるホステス報酬等とみなして取り扱われることとされたが,この際のこれらの報酬等に係る施行令322条の規定に基づく基礎控除額の計算については,国税庁が作成したパンフレット(乙8)においては「10日ごと,,半月ごとのようにあらかじめ計算期間を定めて支払う場合」には「50,00円×その定められた計算期間の出勤日数」とされ,平成6年に発行された当時の東京国税局法人税課長編集に係る「平成6年版実例問答式源泉所得税質疑応答集(甲35)及び同文献の平成8年版(甲36)にも同」旨の記述がみられるものの,他方,上記の法改正に関して国税庁が作成した「平成5年 局法人税課長編集に係る「平成6年版実例問答式源泉所得税質疑応答集(甲35)及び同文献の平成8年版(甲36)にも同」旨の記述がみられるものの,他方,上記の法改正に関して国税庁が作成した「平成5年改正税法のすべて(乙2)には「所得税法本法により既」,に源泉徴収の対象とされているバー等のホステス等の場合と同様に(中,略)5000円にその支払金額の計算の基礎となった期間の日数を乗じて計算した金額」であるとの記述がみられるのであって,その説明は一貫し- 11 -ておらず,かつ,本件で直接問題とされるホステス報酬等に係る基礎控除額の計算について,控訴人の主張するところに沿う記述がみられる文献としては,平成10年発行の当時の東京国税局法人税課長編集に係る「平成10年版実例問答式源泉所得税質疑応答集(甲37)が最初のものであ」ることが認められる。したがって,ホステス等報酬の源泉徴収の基礎控除について控訴人主張のような考え方による徴税実務が定着しているとまでは認められない」。 ( )同33頁8行目末尾の次に「控訴人は,本件各ホステスは被控訴人との間 で出勤につき合意した営業日のみ業務上の拘束を受けるものであるから,施行令322条の「支払金額の計算期間の日数」とはホステスが実際に出勤し,,た日数をいうものである旨主張するがホステスの出勤が拘束されることと1日1日ごとに新たに契約が締結されるか又は継続的な契約が締結されるかといった契約態様等との直接的なつながりはなく,ホステスが合意した日のみ出勤が拘束されることを根拠として「支払金額の計算期間の日数」を「出勤日数」であると解することはできないから,控訴人の上記主張は採用することができない」を加える。 。 控訴人は,当審においても,ホステス報酬等の源泉徴収における基礎控除の趣旨は 間の日数」を「出勤日数」であると解することはできないから,控訴人の上記主張は採用することができない」を加える。 。 控訴人は,当審においても,ホステス報酬等の源泉徴収における基礎控除の趣旨は,所得税額の還付手続の手間を防ぐとともに,納税者の最終的に納付すべき所得税額と源泉徴収税額とをなるべく近似させて両者の差が大きくならないようにし,確定申告時に納付する税額をできるだけ減少させるようにして,不申告による徴収漏れ等を防止し,確実な租税の徴収と税負担の公平を図ることにあるから,そのような趣旨に照らして施行令322条を解釈すると,ホステスの「支払金額の計算期間の日数」は,ホステスが実際に出勤した日数をい,,,うものである旨主張するけれども前示のとおりホステス報酬等については基本的に所得税の確定申告により納税されるものであり,報酬等支払の際に源泉徴収がなされ,施行令322条に基づく基礎控除が行われるに当たり,必要- 12 -経費が考慮されていることは否定できないとしても,1日5000円とされる基礎控除額と必要経費との間に相関関係があるものとまでは認められず,ホステスの稼働日数に応じて必要経費も正比例して変動するという前提に立つことはできず,したがって,施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」の「計算期間」につき稼働日数であると解釈しなければ看過し難いような不合理な結果が生じるものとはいい難いうえ,控訴人主張のような考え方による徴税実務が定着しているとまではいえないから,控訴人の上記主張は採用することができない。 よって,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部裁判長裁判官宗宮英俊裁判官坂井満裁判官原優 これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部裁判長裁判官宗宮英俊裁判官坂井満裁判官原優
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