平成18(ネ)2163 地位確認等請求控訴事件(通称 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構非常勤職員再任用拒否)

裁判年月日・裁判所
平成18年12月13日 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-36520.txt

判決文本文23,441 文字)

- 1 -主文 原判決主文1項及び2項を取り消す。 原告Aの主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。 原告組合の本件控訴を棄却する。 訴訟費用は,原告Aと被告との間においては,第1,2審とも原告Aの負担とし,原告組合と被告との間においては本件控訴費用を原告組合の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 被告の控訴(平成18年(ワネ)第800号控訴提起事件)主文1項及び2項と同旨 原告組合の控訴(平成18年(ワネ)第820号控訴提起事件)(1)原判決主文3項を取り消す。 (2)被告は,原告組合に対し,100万円及びこれに対する平成16年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要,,(「」被告は平成16年4月1日国の設置していた国立情報学研究所以下国情研という)を含む4つの研究所が統合されて設立された法人である。原告Aは,国情。 研の非常勤職員であったところ,その予定雇用期間は平成15年3月31日に満了したが,国情研は同年4月1日以降原告Aを再任用しなかった(後記本件不再任用。 )原告組合は,原告Aらにより結成され,同年3月3日,人事院に職員団体の登録がされた職員団体であった。 本件は,原告Aが,被告に対し(1)主位的に,原告Aと国情研との間の勤務関,係(後記本件勤務関係)には,有期雇用関係における雇止めが解雇権濫用と評価される場合にこれを無効とする法理(以下「解雇権濫用法理」ということがある)が適。 用されるから本件不再任用は無効である旨主張して,①労働契約上の地位を有することの確認,②平成15年4月分から平成16年1月分までの賃金合計190万0290円並びに同年2月分以降の賃金として同年3月17日から本判決確定の日まで毎月17日限り19万 労働契約上の地位を有することの確認,②平成15年4月分から平成16年1月分までの賃金合計190万0290円並びに同年2月分以降の賃金として同年3月17日から本判決確定の日まで毎月17日限り19万0029円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求し(2)予備的に,任用継続,に対する期待権が侵害された旨主張して,不法行為に基づき,6か月分の賃金相当額である114万0174円及び慰謝料200万円の合計314万0174円並びにこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成16年3月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求し,また,原告Aらを構成員として結成された職員団体である原告組合が,被告に対し,団体交渉権を侵害された旨主張して,不法行為に基づく損害賠償として100万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である前同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求している事案である。 原審は,原告Aの被告に対する主位的請求を認容し,原告組合の被告に対する請求を棄却したので,被告及び原告組合がその敗訴に係る原判決の認定判断を不服として- 2 -それぞれ控訴した。 当事者間に争いのない事実(1)国立情報学研究所(国情研)は,昭和51年に東京大学に設置された情報図書館学研究センターをその前身とし,昭和58年4月に東京大学文献情報センターに改組され,昭和61年4月に大学共同利用機関としての学術情報センターに改組され,平成12年4月に学術情報センターから国情研に改組されて設置された国の機関であった。そして,平成16年4月1日,国立大学法人法及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の施行に伴って,国情研を含む4つの研究所 ターから国情研に改組されて設置された国の機関であった。そして,平成16年4月1日,国立大学法人法及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の施行に伴って,国情研を含む4つの研究所が統合されて被告が設立された。 (2)学術情報センター所長は,平成元年5月1日,雇用期間を平成2年3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員(事務補佐員)として原告Aを任用し,原告Aは学術情報センターの事業部データベース課に配属された。学術情報センター所長は,平成2年から平成11年までの間10回にわたり,毎年4月1日,雇用期間,。 を翌年の3月31日までと定めて時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用した国情研所長は,平成12年4月1日,雇用期間を平成13年3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用し,原告Aは国情研の開発事業部アプリケーション課に配属された。国情研所長は,平成13年及び平成14年の2回にわたり,毎年4月1日,雇用期間を翌年の3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用した(以下,原告Aと国情研ないし学術情報センターとの間の勤務関係を「本件勤務関係」という。 。)なお,平成15年3月時点における原告Aの時給は1時間1220円であり,同年1月分から3月分までの賃金の1か月当たりの平均額は19万0029円であり,給与の支払方法は毎月末日締めの翌月17日払であった。 原告Aの予定雇用期間は平成15年3月31日に満了したが,国情研所長は,同年4月1日以降原告Aを再任用しなかった(以下「本件不再任用」という。 。)(),, 原告組合は平成15年2月6日に国情研の非常勤職員であった原告A及びB並びに女性ユニオン東京のCの3名により結成され,同年3月3日,人事院に職員団体の登録がされた。 う。 。)(),, 原告組合は平成15年2月6日に国情研の非常勤職員であった原告A及びB並びに女性ユニオン東京のCの3名により結成され,同年3月3日,人事院に職員団体の登録がされた。 争点 本件の争点は(1)原告Aの主位的請求につき,①本件勤務関係が私法上の労働,契約関係であり,解雇権濫用法理が適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か(争点①,②本件勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,解雇権濫)用法理が類推適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か(争点②,)(2)原告Aの予備的請求につき,本件不再任用による任用継続に対する期待権侵害の不法行為の成否(争点③(3)原告組合の請求につき,団体交渉権侵害の不法),行為の成否(争点④)である。 当事者の主張(1)争点①(本件勤務関係が私法上の労働契約関係であり,解雇権濫用法理が適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か)について(原告Aの主張)- 3 -ア原告Aは,平成元年4月ころ,求人情報誌の学術情報センター事務補佐員の募集広告を見てこれに応募し,面接の際,担当する職務が一般事務及びパソコンを使用した事務であり,採用されたら長く勤めてほしいと説明を受けて就職を決意し,同年5月1日付けで学術情報センターに採用された。なお,その面接の際,原告Aに対し任用期限付きの非常勤職員として任用される旨の説明はされなかった。 原告Aは,平成2年から平成11年までの間,10回にわたり継続して学術情報センターに採用されたが「来年もいいね」と声をかけられただけで採用面接,はなく,当然に雇用関係が継続され,毎年4月1日に出勤した当日に人事異動通知書(甲2の1~7,乙13の2~11)を交付されたにすぎなかった。原告Aは,平成11年3月9 をかけられただけで採用面接,はなく,当然に雇用関係が継続され,毎年4月1日に出勤した当日に人事異動通知書(甲2の1~7,乙13の2~11)を交付されたにすぎなかった。原告Aは,平成11年3月9日,学術情報センターにおける非常勤職員の雇用についての説明会に出席したが,それまでの間,学術情報センターから,任用期限付きの非常勤職員である旨の説明を受けたことはなかった。 学術情報センターは,平成12年4月1日国情研に改組されたが,事務補佐員の雇用は継続され,原告Aは,平成12年から平成14年までの間,3回にわたり継続して国情研に採用された。 原告Aの本件勤務関係における主たる担当職務は学術論文等のデータベース作成作業であり,学術情報センター及び国情研の恒常的業務であった。 イ国家公務員は,その従事する労働が公務という特殊性を有することに基づく制約を受けるが,公務員となるか否かは本人の意思によるのであって,また,自己の労働力の処分権を相手方に継続して委ね,相手方の指揮の下で従属的労働に服する代わりに,給与その他の報酬の支払を受けるのであるから,国家公務員の勤務関係は基本的には私法上の労働契約関係と本質を異にするものではない。 ウそして,上記アのとおり,原告Aの本件勤務関係における担当職務は民間研究機関の労働者が行う業務と変わりない非権力的職務であり,原告Aは任用期限付きの非常勤職員であるとの認識を有しておらず,また,本件勤務関係においては人事院規則等に従った厳格な任用手続が欠如しており,学術情報センター及び国情研は原告Aを人事院規則等の定める非常勤職員とは異なる立場であると認識していたというべきであるから,本件勤務関係は私法上の労働契約関係であるといえる。 エ上記アのとおり,原告Aは,平成元年5月1日学術情報センターに採用された際,長い期 員とは異なる立場であると認識していたというべきであるから,本件勤務関係は私法上の労働契約関係であるといえる。 エ上記アのとおり,原告Aは,平成元年5月1日学術情報センターに採用された際,長い期間継続して雇用されるとの合理的期待を有していたところ,学術情報,,センター及び国情研は平成14年までの間継続して原告Aを雇用してきたからその雇用期間は形式的なものにすぎず,本件勤務関係は実質的には期限の定めのない雇用契約に基づくものであったというべきである。 オ国情研は,本件不再任用に際して,原告Aの労働能力,勤務態度及び作業結果等を問題としておらず,また,国情研及び被告は,平成15年4月1日以降,原告Aの担当職務について,非常勤職員を新たに採用し,民間企業からの派遣職員を受け入れるなどしており,国情研が原告Aを再任用しなかったことには合理的な理由はないというべきである。 - 4 -また,国情研は,平成12年4月1日以降任用が更新され平成15年3月31日をもって予定雇用期間が満了したとされる非常勤職員36名のうち,13名については再任用しながら,原告A及びBらを含む23名を再任用しなかったもの,。 であり再任用するか否かの判断は公正な基準に従ってされたものではなかったカそうすると,本件勤務関係には有期雇用関係における雇止めが解雇権濫用と評価される場合にこれを無効とする法理(解雇権濫用法理)が適用されるから,国情研が原告Aを再任用しないことは許されず,本件不再任用は無効である。 したがって,原告Aは,国情研の地位を承継した被告に対し,労働契約上の地位を有するといえる。 (被告の反論)ア学術情報センター及び国情研は国の機関であり,その職員は国家公務員であるところ,国家公務員の任用は国家公務員法及び人事院規則に基づいて行われる公法上の行 地位を有するといえる。 (被告の反論)ア学術情報センター及び国情研は国の機関であり,その職員は国家公務員であるところ,国家公務員の任用は国家公務員法及び人事院規則に基づいて行われる公法上の行為である。学術情報センター及び国情研の各所長は,国家公務員法附則,,()13条人事院規則8-14に基づき前記1の当事者間に争いのない事実2のとおり,時間雇用の非常勤職員として雇用期間を定めて原告Aを任用した。なお,原告Aの本件勤務関係における主たる担当職務は学術論文等のデータベース,。 作成の一部についての定型的・補助的作業であり常勤職員の補助事務であったそして,任期を定めて採用された非常勤職員は,その任期が満了した場合はその任用が更新されない限り当然退職するものであるところ,退職した職員を再任用するか否かは任命権者の行う行政処分としての新たな任用行為であり,退職した非常勤職員においてその行政処分を要求する権利は認められない。 イそうすると,本件勤務関係は,公法上の任用関係であり,私法上の労働契約関係とは性質を異にするものであるから,これについて原告Aの主張する解雇権濫用法理が適用される余地はない。 (2)争点②(本件勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,解雇権濫用法理が類推適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か)について(原告Aの主張)ア上記(1)の原告Aの主張アに同じ。 イ上記(1)の原告Aの主張イに同じ。 ウ上記(1)の原告Aの主張オに同じ。 エ本件勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,上記イのとおり,国家公務員の勤務関係は基本的には私法上の労働契約関係と本質を異にするものではないから,その勤務関係について法の一般原則である権利濫用法理から導かれる解雇権濫用法理を類推適用すべきである。 上記アの 家公務員の勤務関係は基本的には私法上の労働契約関係と本質を異にするものではないから,その勤務関係について法の一般原則である権利濫用法理から導かれる解雇権濫用法理を類推適用すべきである。 上記アのとおり,原告Aの本件勤務関係における主たる担当職務は学術論文等のデータベース作成作業であり,学術情報センター及び国情研の恒常的業務であったから,本件勤務関係については雇用期間を定めることが必要な特別な事情は,,,,存在せずまた原告Aは平成元年5月1日学術情報センターに採用された際長い期間継続して雇用されるとの合理的期待を有していたところ,学術情報センター及び国情研は平成14年までの間継続して原告Aを雇用してきたから,その- 5 -雇用期間は形式的なものにすぎず,本件勤務関係は実質的には期限の定めのない雇用関係であったというべきである。そして,公務員の任用において任命権者が裁量権を濫用することは許されないのであるから,公益上やむを得ない理由がないにもかかわらず非常勤職員を再任用しない場合,当該非常勤職員は,解雇権濫用法理が類推適用される結果,再任用を要求する権利を有するものといえる。 オ以上によれば,本件勤務関係には有期雇用関係における雇止めが解雇権濫用と評価される場合にこれを無効とする法理(解雇権濫用法理)が類推適用されるか,,。 ら国情研が原告Aを再任用しないことは許されず本件不再任用は無効であるそうすると,原告Aは,平成15年4月1日以降も従前の任用が更新されたのと同様に国情研の非常勤職員としての地位を有していたのであって,被告が成立した平成16年4月1日をもって被告の職員となったものである。 したがって,原告Aは,被告に対し,労働契約上の地位を有するといえる。 (被告の反論)ア上記(1)の被告の反論アに同じ。 イ本件勤 立した平成16年4月1日をもって被告の職員となったものである。 したがって,原告Aは,被告に対し,労働契約上の地位を有するといえる。 (被告の反論)ア上記(1)の被告の反論アに同じ。 イ本件勤務関係は,公法上の任用関係であり,私法上の労働契約関係とは性質を異にするものであって,任期の満了により退職となった非常勤職員に行政処分としての再任用を要求する権利を認めることはできないから,本件勤務関係が実質的に期限の定めのないものということはできず,これについて解雇権濫用法理が類推適用される余地はない。 (3)争点③(本件不再任用による任用継続に対する期待権侵害の不法行為の成否)について(原告Aの主張)ア上記(1)の原告Aの主張アに同じ。 イ上記(1)の原告Aの主張オに同じ。 ウ上記アのとおり,原告Aは,平成元年5月1日学術情報センターに採用された際,長い期間継続して雇用されるとの合理的期待を有していた。そして,学術情報センター及び国情研は,平成14年までの間継続して原告Aを雇用してきた。 また,国情研は,平成14年12月27日付け事務連絡会議決定の「平成15年()」()3月31日における非常勤職員事務系の取扱いと題する書面乙11の2に「国立情報学研究所が平成12年4月1日に改組・創設された際,それまで,任期を付されていなかった平成12年4月1日以前より在職している時間雇用非常勤職員(事務系)の雇用期間については,一律に平成12年4月1日を始期とする最長3年間の雇用期間とすることとなった」と記載しており,原告Aら非。 常勤職員との雇用関係には期間の定めがないことを示している。 したがって,原告Aの学術情報センター及び国情研に長い期間継続して雇用されるとの合理的期待は,法的に保護されるべきものである。 エ国情研の非常 職員との雇用関係には期間の定めがないことを示している。 したがって,原告Aの学術情報センター及び国情研に長い期間継続して雇用されるとの合理的期待は,法的に保護されるべきものである。 エ国情研の非常勤職員であった原告A,B及びDは,平成15年1月20日付け(),。 ,書面甲13により来年度の任用更新について問い合わせをした国情研は原告Aに対し,同月23日,口頭で同年4月1日以降の任用がない旨を伝え,同年1月24日「平成15年4月1日以降の任用は予定しておりませんので,予,- 6 -めお知らせいたします」などと記載された書面(甲3)により再任用の予定が。 ない旨を通知した上,同年4月1日以降原告Aを再任用しなかった(本件不再任用。そして,上記イのとおり,本件不再任用は,不合理なものであり,原告A)が国情研に長い期間継続して雇用されるとの合理的期待を侵害するものであるから,不法行為に該当する。 オ上記不法行為による損害賠償としては,6か月分の賃金相当額である114万0174円及び慰謝料200万円の合計314万0174円が相当である。 (被告の反論)ア上記(1)の被告の反論アに同じ。 イ上記アのとおり,任期を定めて採用された非常勤職員は,その任期が満了した場合はその任用が更新されない限り当然退職するものであるから,仮に原告Aが平成15年4月1日以降も再任用されるとの期待を抱いていたとしても,その期待は被告の行為によって生じたものとはいえないのであって,最高裁判例(最高裁平成4年(オ)第996号同6年7月14日第一小法廷判決)にいう「期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情がある場合」に当たらない。 ウまた,上記アのとおり,学術情報センター及び国情研の各所長は いう「期間満了後も任用が継続されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情がある場合」に当たらない。 ウまた,上記アのとおり,学術情報センター及び国情研の各所長は,国家公務員法附則13条,人事院規則8-14に基づき,時間雇用の非常勤職員として雇用期間を定めて原告Aを任用したところ,その際,雇用期間を明示した人事異動通()()知書甲2の1~10及び勤務条件を明示した書面乙13の1~13・15を原告Aに交付した。そして,学術情報センター及び国情研において,原告Aが雇用期間満了後も再任用されると期待することが無理からぬものとして認められるような行為をしたというような特別の事情は存在しない。 エしたがって,本件不再任用は,原告Aが雇用期間満了後も再任用されるとの合理的期待を侵害するものとはいえないから,原告Aの主張する不法行為は成立しない。 (4)争点④(団体交渉権侵害の不法行為の成否)について(原告組合の主張),,ア原告組合は平成15年2月6日に国情研の非常勤職員であった原告A及びB並びに女性ユニオン東京のCの3名により結成された職員団体であるところ,同日,国情研に対し,原告AとBについて同年4月1日付けの任用更新を行うよう要望する要望書(甲15)及び団体交渉申入書(甲16)を提出し,その要望書。 ,,記載事項等を交渉議題とする団体交渉を申し入れた国情研は同年2月10日同日付けの「団体交渉について」と題する書面(乙28)により,原告組合が国家公務員法にいう職員団体であることが不明であり,交渉のために必要な議題,時間等のあらかじめの合意の調整が不可能であるなどとして,原告組合の団体交渉の申入れを拒否した。 イ原告組合は,平成15年2月10日,国情研に対し,国家公務員法の職員団体の登 のために必要な議題,時間等のあらかじめの合意の調整が不可能であるなどとして,原告組合の団体交渉の申入れを拒否した。 イ原告組合は,平成15年2月10日,国情研に対し,国家公務員法の職員団体の登録を人事院に行っている旨,及び日程について候補日を複数提示してほしい(),。 ,旨を記載した申入書乙17を提出し再度団体交渉を申し入れた国情研は- 7 -同月13日「2003年2月10日付け申入書について」と題する書面(甲1,),,8により人事院からの回答によれば原告組合の職員団体の登録は未了であり原告組合が職員団体としての適格性を有するか判断できず,その判断のための資料を提示してほしいなどとして,事実上の交渉拒否の回答をした。 ウ原告組合は,平成15年2月19日,国情研に対し,同日付けの「予備交渉について」と題する書面(甲31,乙18)に原告組合の規約を添付して提出し,。 ,,「」団体交渉を申し入れた国情研は同月24日同日付けの予備交渉についてと題する書面(甲19)により,送付された規約からは原告組合の職員団体としての適格性を確認できなかったなどとして,団体交渉の申入れを拒否した。 ,,エ原告A及びBの雇用期間の満了日が迫っていたことにかんがみれば国情研は上記アないしウの団体交渉の申入れに対し,速やかに予備交渉の日取りを決め,原告組合が職員団体であるか否かの確認を予備交渉の場で行うといった柔軟な対応をすべきであったし,職員団体であるか否かを確認するためにどのような資料を提示すればよいかについて指示をすべきであったところ,そのような対応をしなかったのであるから,人事院による職員団体の登録が完了するまでの間予備交渉に応じなかったことは違法というべきである。 オ原告組合は,平成15年3月3日に人事院の であったところ,そのような対応をしなかったのであるから,人事院による職員団体の登録が完了するまでの間予備交渉に応じなかったことは違法というべきである。 オ原告組合は,平成15年3月3日に人事院の職員団体登録が完了したため,同,,「」()月5日国情研に対し同日付けの団体交渉についてと題する書面甲20を提出し,①非常勤職員の任用更新,②非常勤職員の勤務条件の改善,③非常勤職員に対する差別的待遇を交渉議題として団体交渉を申し入れた。国情研は,同月13日,25日及び31日に行われた予備交渉において,原告A及びBの非常勤職員としての地位は雇用期間の満了によって終了するものであって免職ではないから,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件に該当せず,職員の任命権の行使に関する事項は国の事務の管理及び運営に関する事項であって交渉の対象とすることができないなどとして,本交渉を行わず団体交渉の申入れを拒否した。 しかし,職員の任命権の行使に関する事項が国の事務の管理及び運営に関する事項に該当するとはいえないし,仮にそのようにいえるとしても,その処理の結果が職員の勤務条件に関係する事項に影響を及ぼす限り,交渉対象事項になると解するのが相当である。また,国情研は,原告組合が交渉議題として提示した②非常勤職員の勤務条件の改善,③非常勤職員に対する差別的待遇については,本交渉に応じるべきであった。したがって,国情研が本交渉を行わなかったことは違法というべきである。 カ原告組合は,平成15年4月以降も国情研に対し団体交渉を申し入れたが,国情研はあくまで話合いであるとの姿勢に終始し,同年5月以降完全に交渉を拒否した。被告は,原告組合が,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びBが平成15年3月31日をもって雇用期間の満了により退 で話合いであるとの姿勢に終始し,同年5月以降完全に交渉を拒否した。被告は,原告組合が,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びBが平成15年3月31日をもって雇用期間の満了により退職となり,それ以降は国家公務員法上の職員団体としての要件を欠くこととなった旨主張する。しかし,常勤職員であれば免職処分の後であっても団体交渉を行うことができるのに,非常勤職員であれば実質的な解雇に当たる違法な雇止めの後は団体交渉を行うことができないというのは不公平であり,原告A及びBの雇用期間- 8 -が満了したことをもって,原告組合の職員団体性が失われることはない。したがって,国情研が平成15年4月以降団体交渉を行わなかったことは違法というべきである。 キ以上のような国情研による団体交渉の拒否は不法行為に該当するところ,原告,,,組合は当該不法行為によってその社会的評価及び存在価値を著しく毀損されその活動に大きな障害を被ったのであり,その損害を填補するための賠償金としては100万円が相当である。 (被告の反論)ア原告組合は,国情研に対し,平成15年2月6日,同月10日及び同月19日(,,,),付けの書面甲16 乙17 を提出して団体交渉を申し入れたが国情研は,その時点では,原告組合が国家公務員法108条の2に規定する職員団体であるか否か,すなわち,人事院に職員団体の登録がされているか,いまだ登録されていないときは,原告組合がその構成員の資格や団体意思の決定方法などにおいて国家公務員法上の職員団体と認められる要件を備え,交渉当事者としての適格性を有するか否かについて確認できなかったため,これを確認することのできる資料の提出を求め,交渉には応じなかった。 イ原告組合は,平成15年3月5日,国情研に対し,同 を備え,交渉当事者としての適格性を有するか否かについて確認できなかったため,これを確認することのできる資料の提出を求め,交渉には応じなかった。 イ原告組合は,平成15年3月5日,国情研に対し,同日付けの「団体交渉について」と題する書面(甲20)を提出し,団体交渉を申し入れた。国情研は,その書面に原告組合が職員団体として人事院に登録されたことを示す資料が添付されていたため,同月13日に原告組合との予備交渉を行ったが,その際,原告組合は「任用更新拒否(解雇)通告を撤回し,4月1日付けの任用更新を行うこ,と」を要求し,国情研は,同年4月1日付けの再任用は予定していないと応答した。さらに,国情研は,同年3月25日及び31日に原告組合との予備交渉を行ったが,原告組合の要求と国情研の応答は同様の内容に終始し,双方の意見が平行線をたどり合意をすることが困難であり,本交渉に至らなかった。なお,国家公務員法108条の5第3項は,国の事務の管理及び運営に関する事項は交渉の対象とすることができない旨規定しており,職員の任命権の行使に関する事項について職員団体と交渉を行うことは許されないものである。 ウ原告組合は,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びBが平成15年3月31日をもって雇用期間の満了により退職となり,それ以降は国家公務員法上の職員団体としての要件を欠くこととなった。国情研は,それまでの経緯を考慮して,同年4月11日及び24日,原告組合との間で話合いに応じたが,その内容に進展が見られなかったため,同年5月以降交渉に応じないことを決定し,その旨を,同年5月15日,同年6月3日,同年10月15日,同年12月1日及び平成16年3月19日付けの各書面により原告組合に通知した。 エ以上のとおり,国情研は,原告組合の団体交渉の申入れ 定し,その旨を,同年5月15日,同年6月3日,同年10月15日,同年12月1日及び平成16年3月19日付けの各書面により原告組合に通知した。 エ以上のとおり,国情研は,原告組合の団体交渉の申入れに対して誠実に対応しており,団体交渉義務に反して団体交渉を拒否したものではないから,国情研の原告組合に対する対応は適法である。 第3当裁判所の判断- 9 - 争点①(本件勤務関係が私法上の労働契約関係であり,解雇権濫用法理が適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か)について原告Aは,担当職務の内容,採用されたときの状況及び任用が繰り返されてきたことなどを根拠として,本件勤務関係は私法上の労働契約関係である旨主張する。 ,()(,しかし前記第2の1の当事者間に争いのない事実 に証拠甲2の1~10乙2,8,13の1~16)及び弁論の全趣旨を総合すれば,学術情報センター及び国情研の各所長は,国家公務員法附則13条,人事院規則8-14に基づき,時間雇。 ,用の非常勤職員として雇用期間を定めて原告Aを任用した事実が認められるそして,,学術情報センター及び国情研は国の機関でありその職員は国家公務員であるところ国家公務員の任用は,国家公務員法及び人事院規則に基づいて行われ,勤務条件について公法上の規制に服することを前提とする公法上の行為であって,これに基づく本件勤務関係が公法上の任用関係であることは明らかである。なお,仮に原告Aの主張するような担当職務の内容,採用されたときの状況及び任用が繰り返されてきたことなどの事情が認められたとしても,そのような事情によって公法上の任用関係である本件勤務関係が私法上の労働契約関係と同質のものであると考えることはできないというべきである。 したがって,本件勤務関係が私法上の労働契約 られたとしても,そのような事情によって公法上の任用関係である本件勤務関係が私法上の労働契約関係と同質のものであると考えることはできないというべきである。 したがって,本件勤務関係が私法上の労働契約関係又はこれと同質のものであることを前提とする原告Aの主張は,その前提において失当であり,理由がない。 争点②(本件勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,解雇権濫用法理が類推適用されることにより,本件不再任用が無効となるか否か)について原告Aは,本件勤務関係が公法上の任用関係であるとしても,国家公務員の勤務関係は基本的には私法上の労働契約関係と本質を異にするものではないから,その勤務関係について法の一般原則である権利濫用法理から導かれる解雇権濫用法理を類推適用すべきである旨主張する。 しかし,上記1に認定説示のとおり,学術情報センター及び国情研の各所長は,国家公務員法附則13条,人事院規則8-14に基づき,時間雇用の非常勤職員として雇用期間を定めて原告Aを任用したものであるところ,国家公務員の任用は国家公務員法及び人事院規則に基づいて行われる公法上の行為であって,これに基づく本件勤務関係が公法上の任用関係であることは明らかである。そして,その任用形態の特例及び勤務条件は細部にわたって法定されているのであって(乙2~8,当事者の個)人的事情や恣意的解釈によってその規制内容をゆがめる余地はなく,原告Aの非常勤職員としての地位はその雇用期間が満了すれば当然に終了するものというほかないのである。そうすると,本件勤務関係が実質的に期限の定めのない雇用関係であったとはいえず,本件勤務関係には,原告Aの主張する解雇権濫用法理の類推適用を許容し得るような事情,すなわち有期雇用関係における雇止めが解雇権濫用と評価されるための前提事情を観念する余地はない であったとはいえず,本件勤務関係には,原告Aの主張する解雇権濫用法理の類推適用を許容し得るような事情,すなわち有期雇用関係における雇止めが解雇権濫用と評価されるための前提事情を観念する余地はないというべきである。なお,仮に原告Aの主張するような担当職務の内容,採用されたときの状況及び任用が繰り返されてきたことなどの事情が認められたとしても,そのような事情によって公法上の任用関係である期限付き任用の本件勤務関係が実質的に期限の定めのない雇用関係に変化することはあり得ないというべきである。 - 10 -また,退職した職員を再任用するか否かは任命権者の行う行政処分としての新たな任用行為であって,その裁量に委ねられており,退職した非常勤職員にその行政処分を要求する権利を認めた法規はない。しかるに,本件勤務関係について原告Aの主張する解雇権濫用法理を類推適用し,本件不再任用を無効として,原告Aが本件不再任用以降も非常勤職員としての地位を有すると解することは,法に何ら規定がないにもかかわらず,非常勤職員に行政処分としての任用行為を要求する権利を付与することとなるのみならず,任命権者の任用行為が存在しないのに,実質的に雇用期間の定めのない非常勤職員を生み出す結果をもたらし,非常勤職員の給与等に関する予算に法の予定しない制限を設け,円滑な行政の実施を阻害するおそれを生じさせるのであって,これは,法解釈の限界を超えるものというほかなく,到底容認することができない。 したがって,本件勤務関係に解雇権濫用法理が類推適用されることを前提とする原告Aの主張は理由がない。 争点③(本件不再任用による任用継続に対する期待権侵害の不法行為の成否)について(1)前記第2の1の当事者間に争いのない事実に証拠(甲2の1~10,52,乙9の1・2,13の1~16, い。 争点③(本件不再任用による任用継続に対する期待権侵害の不法行為の成否)について(1)前記第2の1の当事者間に争いのない事実に証拠(甲2の1~10,52,乙9の1・2,13の1~16,31,33,証人E,原告A本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば次の事実を認めることができる。 ア原告Aは,平成元年4月ころ,求人情報誌の学術情報センター事務補佐員の募集広告を見てこれに応募し,面接の際,担当する職務が一般事務及びパソコンを使用した事務であり,採用されたら長く勤めてほしいと説明を受けたが,その際(,)。 具体的な期間は提示されなかった原告A本人・調書1~2頁20~24頁学術情報センター所長は,平成元年5月1日,雇用期間を平成2年3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員(事務補佐員)として原告Aを任用し,その際,雇用期間を明示した人事異動通知書及び勤務条件を明示した書面(乙13の1)を原告Aに交付した。原告Aは,その任用の際,学術情報センターが国の機関であり,時間雇用の非常勤職員として任用されることを認識していた(原告A本人・調書18~19頁。なお,原告Aは学術情報センターの事業部データ)ベース課に配属された。 イ学術情報センター所長は,平成2年から平成11年までの間10回にわたり,毎年4月1日,雇用期間を翌年の3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用し,その際,雇用期間を明示した人事異動通知書(甲2の)()。 1~7及び勤務条件を明示した書面乙13の2~11を原告Aに交付したウ原告Aは,平成11年3月9日学術情報センターにおける非常勤職員の雇用についての説明会に出席し「平成12年4月以降の学術情報センターにおける非,()」(),常勤職員の雇用について事務連絡と題する書 11年3月9日学術情報センターにおける非常勤職員の雇用についての説明会に出席し「平成12年4月以降の学術情報センターにおける非,()」(),常勤職員の雇用について事務連絡と題する書面乙9の2の交付を受け平成12年4月以降の学術情報センターにおいて非常勤職員に手伝ってもらっている業務がどうなるかは現時点では何ともいえないが,国の行財政事情を考えるとすべての業務が現状のまま継承されるというのはかなり難しいのではないかなどといった説明を受けた。 - 11 -エ学術情報センターは平成12年4月1日国情研に改組されたところ,国情研所長は,同日,雇用期間を平成13年3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用し,その際,雇用期間を明示した人事異動通知書(甲2の8)及び勤務条件を明示した書面(乙13の12)を原告Aに交付した。原告Aは国情研の開発事業部アプリケーション課に配属された。 オ国情研所長は,平成13年及び平成14年の2回にわたり,毎年4月1日,雇用期間を翌年の3月31日までと定めて,時間雇用の非常勤職員として原告Aを任用し,その際,雇用期間を明示した人事異動通知書(甲2の9・10)及び勤務条件を明示した書面(乙13の13・15)を原告Aに交付した。 (2)原告Aは,本件不再任用は,不合理なものであり,原告Aが国情研に長い期間継続して雇用されるとの合理的期待を侵害するものであるから,不法行為に該当する旨主張する。 しかし,上記(1)の認定事実によれば,原告Aは,平成元年5月1日に学術情報センターの職員に任用された際,学術情報センターが国の機関であり,時間雇用の非常勤職員として任用されることを認識していた上,雇用期間を明示した人事異動通知書及び勤務条件を明示した書面の交付を受けたのであるから,面接の際 された際,学術情報センターが国の機関であり,時間雇用の非常勤職員として任用されることを認識していた上,雇用期間を明示した人事異動通知書及び勤務条件を明示した書面の交付を受けたのであるから,面接の際,担当する職務が一般事務及びパソコンを使用した事務であり,採用されたら長く勤めてほしいと説明を受けたため,雇用期間満了後も再任用されるとの期待を抱いたとしても,その期待は主観的な事実上のものにすぎず,雇用期間満了後の再任用が法律上保護されるべきものであるということはできない。そして,そのような原告Aが当初の学術情報センターに任用された際の事情に加えて,その後学術情報センター及び国情研に再任用された都度,雇用期間を明示した人事異動通知書及び勤務条件を明示した書面の交付を受けていたものであることにかんがみれば,原告Aが,平成2年から平成14年までの間13回にわたり再任用されたため,平成15年3月31日の雇用期間満了後も自分は再任用されるとの期待を抱いたとしても,その非常勤職員としての地位はその雇用期間が満了すれば当然に終了することを認識していたというべきであるから,上記の期待は主観的な事実上のものにすぎず,これが法律上保護されるべきものであるということはできない。 また,本件全証拠によっても,学術情報センター及び国情研において,原告Aに対し,同人が雇用期間満了後も再任用されると期待することが無理からぬものとして認められるような行為をしたというような特別の事情は存在しない。 (3)なお,原告Aは,平成11年3月9日学術情報センターにおける非常勤職員の雇用についての説明会に出席したが,それまでの間,学術情報センターから,任用期限付きの非常勤職員である旨の説明を受けたことはなかったなどと主張するが,上記(1)に認定のとおり,原告Aは,平成元年5月1日に ついての説明会に出席したが,それまでの間,学術情報センターから,任用期限付きの非常勤職員である旨の説明を受けたことはなかったなどと主張するが,上記(1)に認定のとおり,原告Aは,平成元年5月1日に学術情報センターの職員に任用された際,学術情報センターが国の機関であり,時間雇用の非常勤職員として任用されることを認識していた上,雇用期間を明示した人事異動通知書及び勤務条件を明示した書面の交付を受けており,少なくともその書面によって任用期限付きの非常勤職員である旨の説明を受け,これを了解して任用されていたことが明らかであり,その主張は採用することができない。 - 12 -また原告Aは国情研は平成14年12月27日付け事務連絡会議決定の平,,,「成15年3月31日における非常勤職員(事務系)の取扱い」と題する書面(乙11の2)に「国立情報学研究所が平成12年4月1日に改組・創設された際,そ,れまで任期を付されていなかった平成12年4月1日以前より在職している時間雇用非常勤職員(事務系)の雇用期間については,一律に平成12年4月1日を始期とする最長3年間の雇用期間とすることとなった」と記載しており,原告Aら非。 常勤職員との雇用関係には期間の定めがないことを示しているなどと主張するが,当該書面は,平成12年4月1日以前においては再任用による通算最大期限を制限する取扱いがされていなかったことを示すものにすぎないし,原告Aら非常勤職員に対して交付されたものではないから,その記載をもって本件雇用関係に期間の定めがなかったとはいえない。 さらに,原告Aは,国情研に長い期間継続して雇用されるとの期待が合理的でありこれを保護すべき事情として国情研が平成11年12月27日付け事務連絡乙,(10)に記載のように,平成12年4月以降の非常勤職員の 告Aは,国情研に長い期間継続して雇用されるとの期待が合理的でありこれを保護すべき事情として国情研が平成11年12月27日付け事務連絡乙,(10)に記載のように,平成12年4月以降の非常勤職員の採用について任用期間を原則として1年とし,更新した場合でも最大3年間とする方針を決めた旨の告知を受けていないなどと主張するが,上記説示のとおり,原告Aは,平成元年5月1日に学術情報センターの職員に任用され,平成2年から平成14年までの間13回にわたり学術情報センター及び国情研の職員に再任用された都度,その非常勤職員としての地位はその雇用期間が満了すれば当然に終了することを認識していたというべきであるから,仮にその主張のような事情が認められたとしても,雇用期間満了後再任用されるとの期待が合理的かつ法律上保護されるべきものであるということはできない。 (4)以上のとおり,本件不再任用は,原告Aが雇用期間満了後も再任用されるとの合理的期待を侵害する違法なものということはできないから,不法行為を構成するものではない。 争点④(団体交渉権侵害の不法行為の成否)について(1)前記第2の1の当事者間に争いのない事実に証拠(甲4,5,15~34,36,39,52,53~56の各1・2,58,67,乙17,18,19の1・2,20~23,28,31,33,41,証人E,証人C,原告A本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば次の事実を認めることができる。 ,,ア原告組合は平成15年2月6日に国情研の非常勤職員であった原告A及びB並びに女性ユニオン東京のCの3名により結成された。原告AとBは,同日,国情研に対し,同年4月1日付けの任用更新を行うよう要望する要望書(甲15)を提出するとともに,原告組合執行委員長・B,書記長・原告Aの連名で団体交(),, り結成された。原告AとBは,同日,国情研に対し,同年4月1日付けの任用更新を行うよう要望する要望書(甲15)を提出するとともに,原告組合執行委員長・B,書記長・原告Aの連名で団体交(),,渉申入書甲16を提出し日時・同年2月17日から19日で合意し得る日協議事項・上記要望書についてとその他,回答期限・同月10日正午までなどとする団体交渉の申入れをした。国情研は,同月10日,同日付けの「団体交渉について」と題する書面(乙28)により,原告組合が国家公務員法にいう職員団体であることが不明であり,上記団体交渉申入書記載の交渉日時では合意が不可能であるため,更に事前の手続が必要である旨を回答した。 - 13 -イ上記回答に対し,原告組合は,同日,国情研に対し,国家公務員法による職員団体の登録を人事院に行っている旨,及び日程について候補日を複数提示してほしい旨を記載した申入書(乙17)を提出した。これに対し,国情研は,同月13日「2003年2月10日付け申入書について」と題する書面(甲18)に,より,人事院に確認したところ同月10日現在原告組合の職員団体の登録は未了であるが,その登録の有無を問わず,原告組合が国家公務員法上の職員団体であり,その目的とするところが勤務条件の維持改善にあるかどうか等,交渉の当事者としての適格性を有するかどうかを判断した上で応諾の回答をすべきものと考えているので,上記事項が判断できる資料等を提示してほしい旨の回答をした。 ウ原告組合は,平成15年2月19日,国情研に対し,同日付けの「予備交渉に」(,)「」(。 ,ついてと題する書面甲31乙18に原告組合の規約乙41なおこれは人事院に登録された原告組合の規約[甲4]とは異なる)を添付して提。 出し,予備交渉を申し入れた。国情研は 」(。 ,ついてと題する書面甲31乙18に原告組合の規約乙41なおこれは人事院に登録された原告組合の規約[甲4]とは異なる)を添付して提。 出し,予備交渉を申し入れた。国情研は,同月24日,同日付けの「予備交渉について」と題する書面(甲19)により,送付された規約からは原告組合が国家公務員法上の職員団体として交渉の当事者たる適格性を有するかどうか確認できない旨,及び原告組合が「国家公務員たる職員が主体となってその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織された団体であり,交渉内容がその趣旨に適合しているものであること」を提示してほしい旨の回答をした。 エ原告組合は,平成15年3月3日に人事院による職員団体の登録が完了したため同月5日国情研に対し同日付けの団体交渉についてと題する書面甲,,,「」(20)を提出し,①非常勤職員の任用更新について,②非常勤職員の勤務条件の改善について,③非常勤職員に対する差別的待遇についてなどを交渉議題として団体交渉を申し入れた。国情研は,その書面に原告組合が職員団体として人事院に登録されたことを示す通知書(甲5)の写しが添付されていたため,同月13日,原告組合との予備交渉を行い,原告A,B及びCが出席したが,その際,原,,「()告組合は国情研に対し同日付けの非常勤職員に対する任用更新拒否解雇の撤回を求める要求書」と題する書面(乙19の2)を提出し「1月22日に,行われた任用更新拒否(解雇)通告を撤回し,4月1日付けの任用更新を行うこと」を要求し,国情研は,同年4月1日付けの再任用は予定していないと応答した。さらに,国情研は,同年3月25日及び31日に原告組合との予備交渉を行い,原告A,B及びCが出席したが,原告組合の要求と国情研の応答は同様 情研は,同年4月1日付けの再任用は予定していないと応答した。さらに,国情研は,同年3月25日及び31日に原告組合との予備交渉を行い,原告A,B及びCが出席したが,原告組合の要求と国情研の応答は同様の内容に終始し,双方の意見が平行線をたどり合意をすることが困難な状況であったため,国情研は原告組合との本交渉を行わなかった。 オ原告組合は,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びB(後記(4)のとおり,それ以上の職員が構成員として存在していたことを認めるに足りる証拠はない)が平成15年3月31日をもって雇用期間満了により。 退職となり,それ以降は構成員に関し国家公務員法上の職員団体としての要件を欠くこととなった。国情研は,それまでの経緯を考慮して,同年4月11日及び24日,原告組合との間で話合いに応じたが,その内容に進展が見られなかったため,同年5月以降交渉に応じないことを決定し,その旨を,同年5月15日,- 14 -同年6月3日,同年10月15日,同年12月1日及び平成16年3月19日付けの各書面により原告組合に通知した。 (2)原告組合は,原告A及びBの雇用期間の満了日が迫っていたことにかんがみれば,国情研は,平成15年2月6日,同月10日及び同月19日付けの書面による団体交渉の申入れに対し,速やかに予備交渉の日取りを決め,原告組合が職員団体であるか否かの確認を予備交渉の場で行うといった柔軟な対応をすべきであったし,職員団体であるか否かを確認するためにどのような資料を提示すればよいかについて指示をすべきであったところ,そのような対応をしなかったのであるから,人事院の職員団体の登録が完了するまでの間予備交渉に応じなかったことは違法というべきである旨主張する。 しかし,上記(1)に認定のとおり,原告組合は,平成15年3月 うな対応をしなかったのであるから,人事院の職員団体の登録が完了するまでの間予備交渉に応じなかったことは違法というべきである旨主張する。 しかし,上記(1)に認定のとおり,原告組合は,平成15年3月3日に人事院の職員団体の登録が完了するまでの間,職員団体の登録が未了であったから,国情研が,原告組合が国家公務員法上の職員団体であり,交渉の当事者としての適格性を有するか否かを判断するための資料を提示してほしい旨を回答したのは正当なものということができる。そして,国情研が,平成15年2月6日,同月10日及び同月19日付けの書面による団体交渉の申入れに対し,人事院に確認の結果,原告組合について職員団体の登録が未了であったため,原告組合が国家公務員法108条の2に規定する職員団体であるか否か,すなわち,国家公務員たる職員が主体となっているかどうか,その目的とするところが勤務条件の維持改善を図ることにあるかどうか,団体の重要事項の決定が民主的な手続で行われることとなっているかどうか等,原告組合が交渉の当事者としての適格性を有するかどうかを判断するに足りる資料の提出によってこれを確認することができるまで交渉には応じられない,,,としたのは正当であり原告組合主張のように速やかに予備交渉の日取りを決め原告組合が職員団体であるか否かの確認を予備交渉の場で行うという対応をしなかったからといって,国情研の対応を違法なものと評価することはできない。また,上記(1)に認定のとおり,国情研は,原告組合が「国家公務員たる職員が主体となってその勤務条件の改善を図ることを目的として組織された団体であり,交渉内容がその趣旨に適合しているものであること」を提示してほしい旨を回答しているのであり,それ以上に職員団体であるか否かを確認するためにどのような資料を提示すればよ 的として組織された団体であり,交渉内容がその趣旨に適合しているものであること」を提示してほしい旨を回答しているのであり,それ以上に職員団体であるか否かを確認するためにどのような資料を提示すればよいかについて指示をすべきであったとまでいうことはできず,そのような指示がなかったことをもって国情研の対応を違法なものと評価することはできない。 (3)次に,原告組合は,国情研が,同月13日,25日及び31日に行われた予備交渉において,原告A及びBの非常勤職員としての地位は雇用期間の満了によって終了するものであって免職ではないから,職員の給与,勤務時間その他の勤務条件に該当せず,職員の任命権の行使に関する事項は国の事務の管理及び運営に関する事項であって交渉の対象とすることができないなどとして本交渉を行わなかったことは違法というべきである旨主張する。 ,(),,,しかし上記 に認定のとおり原告組合は同年3月の予備交渉において「1月22日に行われた任用更新拒否(解雇)通告を撤回し,4月1日付けの任用- 15 -更新を行うこと」を中心的議題として要求していたものであり,原告組合が,前記の3名によって結成され国情研に対し団体交渉の申入れをした経緯にもかんがみれば,本件不再任用に係る問題を交渉議題とせず,非常勤職員の勤務条件の改善及び非常勤職員に対する差別的待遇のみを交渉議題とすることに合意するとは到底考えられない状況であったものということができる。そして,国家公務員法108条の5第3項は,国の事務の管理及び運営に関する事項は交渉の対象とすることができない旨規定しており,職員の任命権の行使に関する事項を対象として職員団体と交渉を行うことは法治主義に基づく行政の本質に反し許されないものであるから,国情研が,本件不再任用に係る問題につ ることができない旨規定しており,職員の任命権の行使に関する事項を対象として職員団体と交渉を行うことは法治主義に基づく行政の本質に反し許されないものであるから,国情研が,本件不再任用に係る問題について,職員の任命権の行使に関する事項は国の事務の管理及び運営に関する事項であって交渉の対象とすることができないとして本交渉を行わなかったことは正当である。また,上記のとおり,原告組合が非常勤職員の勤務条件の改善及び非常勤職員に対する差別的待遇のみを交渉議題として取り上げるとは到底考えられない状況であったというべきであるから,国情研が,原告組合が交渉議題として提示した非常勤職員の勤務条件の改善及び非常勤職員に対する差別的待遇についてのみ本交渉に応じるべきであったなどということはできない。 なお,原告組合は,職員の任命権の行使に関する事項が国の事務の管理及び運営に関する事項に該当するとしても,その処理の結果が職員の勤務条件に関係する事,,項に影響を及ぼす限り交渉対象事項になると解するのが相当である旨主張するが上記のとおり,原告組合は本件不再任用に係る問題を中心的議題として要求していたものであるから,その主張のような独自の見解を前提として,国情研が本件不再任用に係る問題を交渉議題として本交渉に応じるべきであったということはできない。 したがって,国情研が平成15年3月31日までの間原告組合との間で本交渉を行わなかったことを違法ということはできない。 (4)さらに,原告組合は,国情研が,平成15年4月以降団体交渉を行わなかったことは違法というべきである旨主張する。 しかし,上記(1)に認定のとおり,原告組合は,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びBが平成15年3月31日をもって雇用期間の満了により退職となり,それ以降は構成員に 主張する。 しかし,上記(1)に認定のとおり,原告組合は,その構成員3名のうち国情研の非常勤職員であった原告A及びBが平成15年3月31日をもって雇用期間の満了により退職となり,それ以降は構成員に関し国家公務員法上の職員団体としての要件を欠くこととなったのであるから,国情研が,同年4月以降団体交渉を行わなかったことが違法であるということはできない。なお,原告組合は,原告A及びBの外に国情研の非常勤職員であった構成員がいた旨主張するが,これを裏付けるに足りる証拠は存在しないから,その主張は採用することができない。 また,原告組合は,常勤職員であれば免職処分の後であっても団体交渉を行うことができるのに,非常勤職員であれば実質的な解雇に当たる違法な雇止めの後は団体交渉を行うことができないというのは不公平であり,原告A及びBの雇用期間が満了したことをもって,原告組合の職員団体性が失われることはない旨主張する。 しかし,前記1及び2に認定説示のとおり,本件勤務関係は公法上の任用関係であり,その任用の条件や職員団体の資格要件は法定されているのであって,当事者の- 16 -個人的事情や恣意的解釈によってその規制内容をゆがめる余地はなく,原告A及びBの非常勤職員としての地位はその雇用期間が満了すれば当然に終了し,原告組合に職員が存在しないこととなるものというほかないのであるから(国家公務員法108条の3第4項ただし書,その主張は採用することができない。 )(5)そうすると,国情研は,原告組合の団体交渉の申入れに対して正当に対応した,,ものであり団体交渉義務に反して団体交渉を拒否したということはできないから国情研の原告組合に対する対応について不法行為が成立するとはいえない。 以上によれば,原告Aの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄 務に反して団体交渉を拒否したということはできないから国情研の原告組合に対する対応について不法行為が成立するとはいえない。 以上によれば,原告Aの主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これと異なる原判決は相当でない。また,原告組合の本件請求は理由がないから棄却すべきであり,結論においてこれと同旨の原判決は正当である。 よって,被告の控訴に基づき,原判決中被告敗訴部分(原判決主文1項及び2項)を取り消して原告Aの各請求をいずれも棄却することとし,原告組合の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部裁判長裁判官石川善則裁判官倉吉敬裁判官徳増誠一

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る