令和5(行ウ)20 政務活動費返還請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年6月26日 さいたま地方裁判所
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判決文本文14,928 文字)

令和6年6月26日判決言渡令和5年(行ウ)第20号政務活動費返還請求事件 主文 1 被告は、無所属県民会議に対し、1800円の返還を請求せよ。 2 被告は、補助参加人日本共産党埼玉県議会議員団に対し、1万0518円の 返還を請求せよ。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用(ただし、補助参加人らの各補助参加によって生じた費用を除く。)はこれを10分し、その1を被告の、その余を原告の各負担とし、補助参加人埼玉県議会自由民主党議員団の補助参加によって生じた費用は原告の負担とし、 補助参加人日本共産党埼玉県議会議員団の補助参加によって生じた費用はこれを6分し、その1を同補助参加人の、その余を原告の各負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、補助参加人埼玉県議会自由民主党議員団に対し、71万9506円 の返還を請求せよ。 2 被告は、無所属県民会議に対し、4800円の返還を請求せよ。 3 被告は、埼玉民主フォーラムに対し、1万8600円の返還を請求せよ。 4 被告は、補助参加人日本共産党埼玉県議会議員団に対し、6万3518円の返還を請求せよ。 5 被告は、龍志会に対し、300円の返還を請求せよ。 第2 事案の概要埼玉県知事は、いずれも埼玉県議会の会派である①被告補助参加人埼玉県議会自由民主党議員団(以下「補助参加人自民」という。)、②無所属県民会議、③埼玉民主フォーラム、④被告補助参加人日本共産党埼玉県議会議員団(以下「補助参加 人共産」という。)及び⑤龍志会(以下、①~⑤の会派を「本件各会派」と総称す る。)に対し、埼玉県政務活動費の交付等に関する条例(平成13年埼玉県条例第50号。以下「本件条例」という。)に基づき、令和3年度 )及び⑤龍志会(以下、①~⑤の会派を「本件各会派」と総称す る。)に対し、埼玉県政務活動費の交付等に関する条例(平成13年埼玉県条例第50号。以下「本件条例」という。)に基づき、令和3年度の政務活動費を交付した。 本件は、埼玉県の住民である原告が、別表1ないし別表5の「原告の主張」欄記載のとおり、本件各会派は令和3年度の政務活動費について本件条例に適合しない 支出を行ったから、当該支出に係る部分を法律上の原因を欠く不当利得として埼玉県に返還すべきであるのに、執行機関から所定の権限の委任を受けた職員である被告はその返還請求を違法に怠っていると主張して、被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、本件各会派に対して上記支出相当額の金員(別表1ないし別表5の「請求額(円)」の合計額)の返還を請求するよう求める住民訴訟で ある。なお、関係法令等の定めは別紙関係法令等の定めに記載のとおりである。 1 前提事実等⑴ 原告は、埼玉県の住民である。 被告は、埼玉県の執行機関である埼玉県知事から政務活動費に関する債権の管理に関する事務の委任を受けた埼玉県の職員である(埼玉県財務規則194条1号)。 本件各会派は、いずれも埼玉県議会の会派である。なお、このうち龍志会は、令和5年4月30日に解散したが(乙2)、清算の目的の範囲内において清算が結了するまではなお存続するものとみなされる(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律207条の類推適用)。 ⑵ 本件各会派は、埼玉県知事から、令和3年度の政務活動費の交付を受けた。 別表1ないし別表5の「議員」欄記載の議員は、同政務活動費から、同「番号」欄記載1ないし36に対応する各支出(以下、これらの支出を「本件各支出」と総称し、個別には同「番号」欄記載の番号に対応 別表1ないし別表5の「議員」欄記載の議員は、同政務活動費から、同「番号」欄記載1ないし36に対応する各支出(以下、これらの支出を「本件各支出」と総称し、個別には同「番号」欄記載の番号に対応させて「本件支出1」ないし「本件支出36」という。)をした(ただし、本件各支出が政務活動費を充てることのできる経費の範囲を定める本件条例2条及び同別表(以下「使途基準」という。)に 適合するか等については当事者間に争いがある。)。 ⑶ 本件各会派は、令和4年4月28日ないし同年6月30日、埼玉県議会議長に対し、本件各支出を支出に含めて記載した令和3年度政務活動費収支報告書をそれぞれ提出した(乙6、乙7の1及び2、乙8ないし10)。 これによると、本件各会派の令和3年度の政務活動費の交付を受けた総額は別表1ないし別表5の各冒頭に記載の「収入合計額」に記載のとおりであり、その支出 総額は同「支出合計額」に記載のとおりであった。 ⑷ 原告は、令和5年3月20日、埼玉県監査委員に対し、本件訴訟における請求と同内容の措置を求めて住民監査請求をしたが、同年4月28日付けで、同監査委員から、原告の監査請求は理由がないものと判断し、これを棄却する旨の通知を受けた(甲40)。 ⑸ 原告は、令和5年5月25日、本件訴えを提起した(記録上明らかな事実)。 2 争点及びこれに関する当事者の主張⑴ 本件支出1ないし本件支出22の使途基準適合性(原告の主張)本件支出1ないし本件支出22は、別表1の番号1ないし番号22に対応する「原 告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであるから、補助参加人自民は、別表1の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告及び補助参加人自民の主張)ア原告の上記主張は 告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであるから、補助参加人自民は、別表1の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告及び補助参加人自民の主張)ア原告の上記主張は否認し、争う。本件支出1ないし本件支出22は、別表1の番号1ないし番号22に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適 合するものであるから、補助参加人自民は原告主張の不当利得返還義務を負わない。 イ仮にそうでないとしても、令和3年度において、補助参加人自民の収支報告書上の支出総額(3億0429万1198円)から原告が補助参加人自民に係る使途基準に適合しない支出と主張する本件支出1ないし本件支出22の合計額(71万9506円)を控除した額は政務活動費の交付額(2億9350万円)を下回ら ないから、補助参加人自民は原告主張の不当利得返還義務を負わない。 ⑵ 本件支出23ないし本件支出25の使途基準適合性等(原告の主張)本件支出23ないし本件支出25は、別表2の番号23ないし番号25に対応する「原告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであるから、無所属県民会議は別表2の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告の主張)原告の上記主張は否認し、争う。本件支出23ないし本件支出25は、別表2の番号23ないし番号25に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合するものである、又は埼玉県の損失がないものであるから、無所属県民会議は原告主張の不当利得返還義務を負わない。 ⑶ 本件支出26及び本件支出27の使途基準適合性(原告の主張)本件支出26及び本件支出27は、別表3の番号26及び番号27に対応する「原告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであ ⑶ 本件支出26及び本件支出27の使途基準適合性(原告の主張)本件支出26及び本件支出27は、別表3の番号26及び番号27に対応する「原告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであるから、埼玉民主フォーラムは別表3の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告の主張)原告の上記主張は否認し、争う。本件支出26及び本件支出27は、別表3の番号26及び番号27に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合するものであるから、埼玉民主フォーラムは原告主張の不当利得返還義務を負わない。 ⑷ 本件支出28ないし本件支出35の使途基準適合性 (原告の主張)本件支出28ないし本件支出35は、別表4の番号28ないし番号35に対応する「原告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合しないものであるから、補助参加人共産は別表4の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告及び補助参加人共産の主張) 原告の上記主張は否認し、争う。本件支出28ないし本件支出35は、別表4の 番号28ないし番号35に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合するものであるから、補助参加人共産は原告主張の不当利得返還義務を負わない。 ⑸ 本件支出36の使途基準適合性(原告の主張)本件支出36は、別表5の番号36に対応する「原告の主張」欄記載のとおり、 使途基準に適合しないものであるから、龍志会は別表5の「請求額(円)」欄合計額の不当利得返還義務を負う。 (被告の主張)原告の上記主張は否認し、争う。本件支出36は、別表5の番号36に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合するものであるから、龍志会は原 告主張の不当利得返還義務を負わない。 第3 当 上記主張は否認し、争う。本件支出36は、別表5の番号36に対応する「被告の主張」欄記載のとおり、使途基準に適合するものであるから、龍志会は原 告主張の不当利得返還義務を負わない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(本件支出1ないし本件支出22の使途基準適合性)について検討する。 ⑴ 地方自治法100条14項ないし同条16項の規定に基づき、本件条例及び 埼玉県政務活動費の交付等に関する規程(平成13年埼玉県議会告示第3号。以下「本件規程」という。)が政務活動費の交付に関して定めるところによれば、政務活動費は、月の初日における各会派の所属議員数に応じてその額が決まり(本件条例4条)、四半期ごとに各会派からの請求により交付される一方(本件条例6条、本件規程4条、5条)、その交付の決定については、年度途中に会派の結成、異動 ないし解散がある場合を除き、毎年度、年度開始後速やかに埼玉県議会議長から埼玉県知事へ会派に係る通知がされ、これを受けた埼玉県知事が速やかに政務活動費の交付を決定するものとされており(本件条例5条、本件規程3条)、収支報告書等の提出も年度ごとに行うこととされているところ(本件条例7条)、地方自治法及び本件条例は、政務活動費の使途を限定しているから、当該年度において交付を 受けた政務活動費のうち、上記使途に適合した支出に充てなかった残余がある場合 には、当該残額はこれを保持する法律上の原因を欠くものとして、不当利得として返還されるべきこととなる。政務活動費の返還について定める本件条例8条は、このような場合に不当利得返還義務が発生することを明確にしたものであると解される。 また、本件条例は、具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費を交付すべき ものとは定めておらず、埼玉県知事が年度ご うな場合に不当利得返還義務が発生することを明確にしたものであると解される。 また、本件条例は、具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費を交付すべき ものとは定めておらず、埼玉県知事が年度ごとに交付の決定を行い、当該決定に基づいて四半期ごとに一定額を交付した上で事後に収支報告書等を提出させて使途を明らかにさせ、使途基準に適合した支出に充てなかった残額がある場合にはこれを返還させることにより、交付した政務活動費が使途基準に適合した支出に充てられることを確保しようとするものといえる。さらに、本件条例は、収支報告書上の支 出総額が当該年度の交付額を上回ることを禁ずるものとは解されず、その支出総額が交付額を上回る場合に、収支報告書上、支出総額のうちどの部分について政務活動費を充てるのかを明らかにすることを求めているものとも解されない。そうすると、以上のような条例等の定めの下では、政務活動費の収支報告書に実際には使途基準に適合しない支出が計上されていたとしても、当該年度において、使途基準に 適合する収支報告書上の支出総額が交付額を下回ることとならない限り、政務活動費の交付を受けた会派が政務活動費を法律上の原因なく利得したということはできない。 したがって、本件条例に基づいて交付された政務活動費について、その収支報告書上の支出の一部が実際には使途基準に適合しないものであっても、当該年度にお いて、収支報告書上の支出総額から実際には使途基準に適合しないものの額を控除した額が政務活動費の交付額を下回ることとならない場合には、当該政務活動費の交付を受けた会派は埼玉県に対する不当利得返還義務を負わないものと解するのが相当である(最高裁平成29年(行ヒ)第404号同30年11月16日第二小法廷判決・民集72巻6号993頁参照)。 動費の交付を受けた会派は埼玉県に対する不当利得返還義務を負わないものと解するのが相当である(最高裁平成29年(行ヒ)第404号同30年11月16日第二小法廷判決・民集72巻6号993頁参照)。 ⑵ これを本件支出1ないし本件支出22についてみると、令和3年度において、 補助参加人自民の収支報告書上の支出総額から原告が補助参加人自民に係る使途基準に適合しないと主張する支出の合計額を控除した額(3億0429万1198円-71万9506円=3億0357万1692円)が補助参加人自民への政務活動費の交付額(2億9350万円)を下回ることとはならないから、補助参加人自民は、令和3年度の政務活動費について、埼玉県に対する不当利得返還義務を負わな いというべきである。上記判断は、仮に本件支出1ないし本件支出22が実際には使途基準に適合しないものであったとしても、何ら左右されるものではない。 2 争点⑵(本件支出23ないし本件支出25の使途基準適合性等)について検討する。 ⑴ 証拠(甲23、乙16)によれば、本件支出23は、別表2の「番号」23 に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、ゴルフ同好会であるAの年会費(令和3年10月~令和4年3月分)として3600円を支出し、これを使途基準上の調査研究費としたもので、そのうち会報費を除いた1800円はゴルフ大会参加費として支出され、その対価としてゴルフ大会への参加資格を得たものであることが認められる。 通常、スポーツの同好会は、会員自身がそのスポーツに興じるために参加するものであって、年会費等もそのために支払われるものであり、本件支出23に係る費用のうち上記1800円も、ゴルフのプレイを主目的とする大会への参加資格を取得するために支出された に興じるために参加するものであって、年会費等もそのために支払われるものであり、本件支出23に係る費用のうち上記1800円も、ゴルフのプレイを主目的とする大会への参加資格を取得するために支出されたものであって、その客観的な目的、性質等に照らせば、当該議員の個人的な娯楽ないし趣味のために支出されたものというほかなく、これを もって、議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性があるとはいい難いから、本件支出23のうち上記支出は、使途基準にいう調査研究費には当たらないというべきである。仮に上記議員において、ゴルフ同好会の会員との間で埼玉県民としての要望ないし意見を聴取したり、埼玉県民としての相談に応じたりしたことにより経費を要したというのであれば、かかる経費を例えば使途基準に いう広聴費として別途計上することができるのであるから、たとえ上記議員がゴル フ同好会の会員の要望を聴取して県政に反映させるという目的を有し、現に会員から聴取した意見を埼玉県議会の定例会での代表質問等に反映させたなどという認識を有していたとしても、かかる支出者の主観の域を出ない目的や認識のみをもって上記判断を左右する事情であるとはいえない。 したがって、本件支出23のうち上記1800円は、使途基準に適合せず、その 額に相当する政務活動費については、法律上の原因を欠くものとして、無所属県民会議の不当利得を構成するというべきである。 ⑵ 証拠(甲24、乙7の1及び2、乙11)によれば、本件支出24は、別表2の「番号」24に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、B連合会との意見交換会会費として1000円を支出し、これを一旦は使 途基準上の広聴費として取り扱ったものであったが、無所属県民会議は、その後、上 記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、B連合会との意見交換会会費として1000円を支出し、これを一旦は使 途基準上の広聴費として取り扱ったものであったが、無所属県民会議は、その後、上記に対応するものとして1000円を埼玉県に返納した上、広聴費の支出額を1000円減じた令和3年度政務活動費収支報告書を改めて提出し直したことが認められる。 上記で認定した事実によると、本件支出24については、仮に当該支出が使途基 準に適合しないものであったとしても、当該支出額に相当する埼玉県の損失は生じていないことに帰するから、無所属県民会議の不当利得は成立しないというべきである。 ⑶ 証拠(甲25、乙19、乙20)によれば、本件支出25は、別表2の「番号」25に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、 一般社団法人Cの25周年集会の参加費2000円を支出し広聴費としたものであること、この集会では、D参議院議員が「日本の自立と歴史教育の役割」という基調講演をしたこと、一般社団法人Cは、同会が有する歴史認識に基づく教科書での教育を目的として、いわゆる教科書問題の講演会などを開催している団体であって、上記集会もその活動の一環として行われたものであることが認められる。 自らの子供にどのような教科書を使用させるのが適切であるかという観点から見 ると、教科書問題は地域住民にとっても重大な関心事であり、地方公共団体の公益に関するものということができる。そうすると、上記議員が、地方公共団体の議会として関係行政庁へ意見書を提出すること(地方自治法99条)を想定し、教科書問題を積極的に取り上げる集会に参加して歴史教育に関する多種多様な意見を聴収し、知見を広めるためにした本件支出25と議員の議会活動の基礎とな へ意見書を提出すること(地方自治法99条)を想定し、教科書問題を積極的に取り上げる集会に参加して歴史教育に関する多種多様な意見を聴収し、知見を広めるためにした本件支出25と議員の議会活動の基礎となる広聴活動 との間には合理的関連性があるということができ、他に当該支出の必要性、相当性を否定するような事情もうかがわれないから、本件支出25は、使途基準にいう広聴費に当たるというべきである。 したがって、本件支出25については、法律上の原因を有するものであり、無所属県民会議の不当利得は成立しないというべきである。 3 争点⑶(本件支出26及び本件支出27の使途基準適合性)について検討する。 ⑴ 証拠(甲26、乙21ないし乙24)によれば、本件支出26は、別表3の「番号」26に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、E組合F支部の会費3000円(内訳は1年間分の組合費1800円、1年間 分の機関紙代1200円)を支出し、これを調査研究費としたものであること、その対価として同組合の発行に係る機関紙を得たものであること、E組合は、年金・医療・介護・福祉など社会保障制度の確立、公的年金受給者と高齢者の生活と権利の維持・向上を目的とする団体であり、最低保障年金制度に関する運動や医療や介護など高齢者のくらしといのちを守る運動等を行っていること、その組合費の納付 は組合員の義務とされ、組合費を1年以上納めず、催告にも応じなかったときは組合員の資格を喪失することが認められる。 上記で認定した事実のほか、我が国における急速な高齢化の進展が経済社会の変化と相まって国民生活に広範な影響を及ぼしている状況に鑑み、地方公共団体も、国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立 と連 る急速な高齢化の進展が経済社会の変化と相まって国民生活に広範な影響を及ぼしている状況に鑑み、地方公共団体も、国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立 と連帯の精神に立脚して形成される社会等の構築という基本理念にのっとり、高齢 社会対策に関し、国と協力しつつ、当該地域の社会的、経済的状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有する(高齢社会対策基本法4条)以上、上記議員が、E組合が埼玉県内に設置した支部に組合員として加入し、社会保障制度や公的年金制度に関する多様な意見やこれに基づく活動状況を把握するためにした本件支出26と議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性があるというこ とができ、他に当該支出の必要性、相当性を否定するような事情もうかがわれないから、本件支出26は、使途基準にいう調査研究費に当たるというべきである。 したがって、本件支出26については、法律上の原因を有するものであり、埼玉民主フォーラムの不当利得は成立しないというべきである。 ⑵ 証拠(甲27の1ないし3、乙27ないし乙31)によれば、本件支出27 は、別表3の「番号」27に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、Gの会費・冊子代(半年分)各7800円を支出し、これを使途基準上の調査研究費としたものであること、その対価として会報を取得し、また、勉強会へ参加することができたものであること、Gは、一般社団法人Hの参加団体であり、「根を広げ花を咲かせる」をモットーに家庭の愛和を実践する人々の輪を 広げて地域社会に貢献する活動等をしていたことが認められる。 上記で認定した事実によれば、Gは、単に倫理の研究を行うだけではなく、これを実践し、普及させて地域社会に貢献しよう する人々の輪を 広げて地域社会に貢献する活動等をしていたことが認められる。 上記で認定した事実によれば、Gは、単に倫理の研究を行うだけではなく、これを実践し、普及させて地域社会に貢献しようとする団体であって、上記議員が、Gに会員として加入し、同会が理念として掲げる倫理に関する多様な意見やこれに基づく活動状況、特に地域社会への貢献を把握するためにした本件支出27と議員の 議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性があるということができ、他に当該支出の必要性、相当性を否定するような事情もうかがわれないから、本件支出27は、使途基準にいう調査研究費に当たるというべきである。 したがって、本件支出27については、法律上の原因を有するものであり、埼玉民主フォーラムの不当利得は成立しないというべきである。 4 争点⑷(本件支出28ないし本件支出35の使途基準適合性)について検討 する。 ⑴ 別紙4の「請求額(円)」欄記載の金額について、証拠(甲28、甲29、甲31、甲35、甲36、丁1、丁2の1、丁3の1、丁4の1、丁5)によれば、①本件支出28は、別表4の「番号」28に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、I特別支援学校への視察に同行した事務局員2名 の食事代2248円を、②本件支出29は、別表4の「番号」29に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、J育児院への視察に同行した事務局員2名の食事代4540円を、③本件支出31は、別表4の「番号」31に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、K町・L町メガソーラー土砂災害現場への視察に同行した事務局員1名の昼食代1850円 を、④本件支出34は、別表4の「番号」34に対応 る同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、K町・L町メガソーラー土砂災害現場への視察に同行した事務局員1名の昼食代1850円 を、④本件支出34は、別表4の「番号」34に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、M商工会議所への視察に同行した事務局員1名の食事代1000円を、⑤本件支出35は、別表4の「番号」35に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、N町盛土問題のための視察に同行した事務局員1名の食事代880円をそれぞれ支出し、いずれも使途基 準上の調査研究費としたものであることが認められる。 しかしながら、食事代は、議員の政務活動のために雇用された者であるか否かを問わず、人間の生理的欲求を満たすために必要とされるものであるから、これが政務活動費に該当するか否かは慎重に検討すべきであるところ、埼玉県議会が自ら定めた「政務活動費の運用指針」(乙5。以下「本件指針」という。)上、議員本人 であっても、その食事代は会議・会合等の際に必要性がある場合に限って調査研究費として計上し得る旨定められ、かつ、その場合でも夕食や朝食が含まれる宿泊費との重複計上やアルコール飲料への充当は禁止され、1人1回当たりの視察中の食事代の金額的上限も2000円程度とすべきことが定められているのに対し、議員の政務活動のために雇用された者の食事代についてはこれを調査研究費として計上 し得る旨の明示的な定めはない。もっとも、使途基準上、会派の所属議員が政務活 動のために雇用する職員等については、人件費の費目が別途定められており、本件指針の人件費に係る留意事項等(乙5の15頁)には、政務活動のために雇用する職員等に要する経費である限り、給料、賃金に限らず、雇用契約書等に定め 員等については、人件費の費目が別途定められており、本件指針の人件費に係る留意事項等(乙5の15頁)には、政務活動のために雇用する職員等に要する経費である限り、給料、賃金に限らず、雇用契約書等に定めのある各種手当も使途基準にいう人件費として計上し得ると定められている。 以上のような使途基準及び本件指針の定めのほか、議員の政務活動のために雇用 された職員等が要した経費のうち、使途基準にいう調査研究費として計上することが許されるのは、当該職員等が、当該議員に代わって又は当該議員と共に活動し、議員の政務活動の補助者として行動したと評価できる場合に限られるというべきところ、たとえ当該職員等が議員に代わって又は議員と共に食事をしたところで、議員の政務活動の補助者として行動したとはおよそ考えられないのであるから、食事 代について使途基準にいう調査研究費として計上することが許されるのは議員本人の食事代のみであって、議員の政務活動のために雇用された者の食事代は、たとえ議員の視察に同行した際のものであったとしても、(雇用契約書等に定めのある各種手当として使途基準にいう人件費として計上し得る場合があるのは格別、)これを使途基準にいう調査研究費として計上することはできないと解するのが相当であ る。このことは、補助参加人共産における事務局員がいかに極めて重要な役割を果たしている(丁7)としても、何ら異なるところはない。 したがって、本件支出28、本件支出29、本件支出31、本件支出34及び本件支出35(事務局員の各食事代のうち別紙4の「請求額(円)」欄記載の金額)については、いずれも使途基準上の調査研究費に当たらず、法律上の原因を欠くも のであり、補助参加人共産の不当利得が成立するというべきである。 ⑵ 他方、別紙4の「請求額(円)」欄 記載の金額)については、いずれも使途基準上の調査研究費に当たらず、法律上の原因を欠くも のであり、補助参加人共産の不当利得が成立するというべきである。 ⑵ 他方、別紙4の「請求額(円)」欄記載の金額について、証拠(甲30の1ないし4、甲33の1ないし3、甲34の1ないし4、丁6、丁7)によれば、①本件支出30は、別表4の「番号」30に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、第63回O実行委員会主催の第63回OZoom分 科会・講座等をその事務局員に受講させるための参加費・DVD(記念講演「コロ ナから何を学ぶか」、特別講演「コロナ禍2年目地方自治をめぐる情勢と対抗軸」)代等合計1万8000円(6000円×3)を、②本件支出32は、別表4の「番号」32に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、株式会社P主催の第51回市町村議会議員研修会(第1講義「新型コロナウイルスとは何だったのか」、第2講義「コロナ禍と地域経済の課題」、第3講義「デジタ ル化と自治体行政」、第4講義「自治体DX推進計画と自治体デジタル政策の課題」)をその事務局員に受講させるためのZoom参加費1万4000円(7000円×2)を、③本件支出33は、別表4の「番号」33に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、株式会社P主催の第53回市町村議会議員研修会(第1講義「コロナ禍と自治体行政」、第2講義「デジタル改革と自治体 の個人情報保護条例のゆくえ」、第3講義「これからの大規模災害に備える行政の考え方」)をその事務局員に受講させるためのZoom参加費2万1000円(7000円×3)をそれぞれ支出し、いずれも使途基準上の調査研究費としたものであることが認められる。 議 災害に備える行政の考え方」)をその事務局員に受講させるためのZoom参加費2万1000円(7000円×3)をそれぞれ支出し、いずれも使途基準上の調査研究費としたものであることが認められる。 議員の政務活動のために雇用された職員等が議員に代わって又は議員と共に議員 の政務活動に資する研修等へ参加することは議員の政務活動の補助者として行動したと評価し得るのであり、使途基準上も、ここにいう調査研究費が、会派の所属議員自らが行うことに限られるものではなく、他の者に委託して行わせるものを含み、会派又はその所属議員が雇用する職員が当該議員の政務活動に資する研修等への参加に要する経費もこれに含まれることは明記されている。 これを本件支出30、本件支出32及び本件支出33についてみると、①本件支出30に係る講演は、コロナ禍における地域自治、国と地方、地域の関係のとらえ直し、これからの社会のあり方を検討するとともに、地方自治をめぐる情勢をふかんし、住民の福祉の向上を図るための対抗軸と展望を検討するものであり、②本件支出32に係る講演は、新型コロナ感染対策を検証し、コロナ禍が地域経済にもた らす課題を検討し、財政支出を通じて地域内再投資力を高め、地域経済を創り維持 する地方自治体の役割を検討するとともに、国のデジタル化政策全体の狙いとこれが自治体行政に及ぼす影響を明らかにした上、デジタル改革関連法により改正された個人情報保護法と個人情報保護条例との関係やその争点と課題について解説したり、自治体DX推進計画の狙いを概説し、地方自治体におけるシステムのカスタマイズ、窓口業務の積極的な維持、公務労働の質を高めるための補助手段としてのA Iの活用を提案したりするものであり、③本件支出33に係る講演は、上記②と同内容の講演を含 におけるシステムのカスタマイズ、窓口業務の積極的な維持、公務労働の質を高めるための補助手段としてのA Iの活用を提案したりするものであり、③本件支出33に係る講演は、上記②と同内容の講演を含むほか、地方自治体がこれからの大規模災害に備えて事前防備、事前減災に尽力すべきことを提案しようとするものであり、いずれも地域が抱える現代的な問題に焦点を当てるものであって、上記議員が地域住民の生命と暮らしを支える地方公共団体が果たすべき役割に関する理解を深めるためにした本件支出30、 本件支出32及び本件支出33と議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性があるということができ、また、上記①ないし③の講演の内容に照らすと、議員に加えて議員の政務活動のために雇用された職員等が直接参加することにより議員の政務活動の補助の実を上げることが合理的に見込まれるものということができる一方、他に当該支出の必要性、相当性を否定するような事情もうかが われないから、本件支出30、本件支出32及び本件支出33は、使途基準にいう調査研究費に当たるというべきである。 したがって、本件支出30、本件支出32及び本件支出33については、法律上の原因を有するものであり、補助参加人共産の不当利得は成立しないというべきである。 5 争点⑸(本件支出36の使途基準適合性)について検討する。 証拠(甲37、乙33)によれば、①本件支出36は、別表5の「番号」36に対応する同「議員」欄記載の議員が、同「支出日」欄記載の年月日に、Q連合主催の特別講演会(「「共活共創」社会を目指して-幸福の基は家庭から-」)に参加するために支出した駐車場代300円を使途基準上の調査研究費としたものである ことが認められる。 上記特別講演は、埼玉 「「共活共創」社会を目指して-幸福の基は家庭から-」)に参加するために支出した駐車場代300円を使途基準上の調査研究費としたものである ことが認められる。 上記特別講演は、埼玉県教育委員長を歴任した大学教授を講師に迎え(乙33の資料4)、選択的夫婦別姓、LGBT、こども庁問題の思想的背景と問題点、注目される研究者のコホート研究と子育ての科学的知見、自民党「家庭基盤の充実」構想の継承、家庭教育支援法・家庭教育支援条例の制定等の観点から、社会の基本的な構成単位である家庭の大切さに触れるものであり(同資料5)、地域社会におい ても家庭の持つ重要性はいうまでもないことであるから、上記議員が、当該講演に参加して家庭に関する多様な意見や派生論点に関する知見を深めるために要した本件支出36と議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性があるということができ、他に当該支出の必要性、相当性を否定するような事情もうかがわれないから、本件支出36は、使途基準にいう調査研究費に当たるというべき である。なお、Q連合がいわゆるR教会のダミー団体であるとの指摘を受けている団体であること(甲38)や、自民党の役員会が、令和4年8月31日、R教会及びその関連団体と一切関係を持たないとする基本方針を決定したこと(甲39)があるとしても、これらの主催者に関する諸事情は、その事後的なものを含め、上記特別講演の講演者や講演内容からうかがわれる調査研究としての有用性を何ら否定 するものではないから、上記判断を左右するものとはいえない。 したがって、本件支出36については、法律上の原因を有するものであり、龍志会の不当利得は成立しないというべきである。 6 その他、原告、被告及び補助参加人共産が種々主張するところは、上記1ないし したがって、本件支出36については、法律上の原因を有するものであり、龍志会の不当利得は成立しないというべきである。 6 その他、原告、被告及び補助参加人共産が種々主張するところは、上記1ないし5で認定、判示したところに照らして、いずれも採用することができない。 第4 結論よって、原告の請求は、被告に対し、無所属県民会議に対して1800円(本件支出23に係る1800円)の返還請求を、補助参加人共産に対して1万0518円(本件支出28に係る2248円+本件支出29に係る4540円+本件支出31に係る1850円+本件支出34に係る1000円+本件支出35に係る880 円)の返還請求をそれぞれ求める限度で理由があるから、この限度で認容すること として、主文のとおり判決する。 さいたま地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官田中秀幸 裁判官中島朋宏 裁判官丸山智大

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