主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は原告に対し,200万円及びこれに対する平成13年8月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が被告に対し,原告の居住建物に隣接して被告が建設したマンションにより,原告居宅の日照権が侵害された等と主張して,不法行為に基づく損害賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める事案である。 1 前提事実(末尾に証拠の標目の記載のない事実は当事者間に争いがない)(1) 原告及びその居住建物について原告は,神戸市a区bc丁目e番地(以下「原告土地」という)所在の,家屋番号d番eの木造2階建瓦葺建物(以下「原告建物」という)を所有し,同建物において居住する者である。 原告建物は,東西の幅が(南側において)約8.20メートル(甲1),南北の幅が8.960メートル,高さが6.890メートル(乙4)で,1階の広さが55.09平方メートル,2階の広さが23.865平方メートル(甲1),1階は洋室2間,和室1間とダイニング,トイレ,浴室等からなり,2階は洋室2間とベランダ物干場等からなる(甲12の2)。 原告は,昭和35年ころ,兄から原告建物を譲り受け,昭和45年ころ2階部分を増築して,現在まで原告建物に居住している(原告本人)。 (2) 被告及び被告建設のマンションについて被告は,不動産の売買,賃貸,仲介,斡旋,管理業等を目的とする株式会社で 増築して,現在まで原告建物に居住している(原告本人)。 (2) 被告及び被告建設のマンションについて被告は,不動産の売買,賃貸,仲介,斡旋,管理業等を目的とする株式会社で,いわゆる不動産ディベロッパーである。 被告は,原告建物の南側隣地である,神戸市a区bc丁目d番,f番,g番,h番(以下,これらを「被告土地」と総称する)に,鉄筋コンクリート造地上6階建店舗・共同住宅(以下「本件マンション」という)を建設して,住宅部分を分譲販売すると共に店舗部分を賃貸することを計画し,株式会社OKI設計に設計を,株式会社益田工務店に建設工事を注文した。 本件マンションは,平成13年中に建設工事が開始され,平成14年4月ころに竣工した(弁論の全趣旨)。 本件マンションは,高さ20.82メートルの鉄筋コンクリート造6階建の建売マンションで,1階は店舗4戸,2ないし6階は住宅34戸からなる。本件マンションは,南北に伸びる長さ約49メートルの部分(以下「南北部分」という)と,東西に伸びる長さ約15メートルの部分(以下「東西部分」という)からなり,東西部分は,南北部分の中間付近から「┤」の形状で西側に向かって張り出している(甲3,7,8,20)。 (3) 原告建物と本件マンションの位置原告建物は,本件マンションの南北部分の北端の西側に隣接しており,原告建物の北壁と本件マンションの北端はほぼ同一線上にある。原告建物の東側には,本件マンションの南北部分の西側が約1ないし2メートルの間隔で並行して建っている。また,原告建物の南側には,本件マンションの東西部分が約13メートルの間隔で向かい合って建っており,その間は,本件マンション住民用の駐車場となっている(甲3,20,乙1 の間隔で並行して建っている。また,原告建物の南側には,本件マンションの東西部分が約13メートルの間隔で向かい合って建っており,その間は,本件マンション住民用の駐車場となっている(甲3,20,乙10の1,証人A)。 2 争点本件の主な争点は,①原告建物の日照権侵害が受忍限度を超えるものかどうか,②原告が本件マンションによって被る圧迫感,閉塞感が受忍限度を超えるものかどうか,③被告の,原告外近隣住民に対する事前説明が十分であったかどうか,である。 (1) 日照権侵害ア原告の主張本件マンションの建設により,原告建物は,東側からの日照は完全に遮断され,間接光も入らなくなってしまった。また,南側についても,日照時間減少の程度は甚だしい。原告建物の日照量は全体として3分の1に減少し,従来の2分の1以上の日照を確保できるのは5部屋中1部屋のみとなってしまう。 原告建物の周囲は,昭和35年に住み始めた当初は平家建ばかりで,昭和40年代後半から2階建の家が建ち初め,原告も昭和45年に2階建に増築した。現時点においても,本件マンションは周囲と比較して突出して高く,低層住宅の多いこの地域にあって,従来の住環境を大きく変化させてしまうものである。 イ被告の認否反論否認する。 原告の主張の根拠とする図面は,不正確である。 また,日照時間の減少については,原告の責に帰すべき事情もある。すなわち,原告建物は,敷地境界線から約40センチメートルしか離れていないところに建物壁面が存在する。また,採光のための窓その他の開口部は床面積の7分の1以上と定められているが(建築基準法28条),原告建物の1階東側洋室の場合 線から約40センチメートルしか離れていないところに建物壁面が存在する。また,採光のための窓その他の開口部は床面積の7分の1以上と定められているが(建築基準法28条),原告建物の1階東側洋室の場合,採光上有効な窓が存在しない。 更に,原告土地,被告土地の周辺地域は,昭和32年11月に道路拡幅が都市計画決定され,本件マンション程度の高さの建物の建築が可能な状態になっていた。また,昭和45年2月当時,既に現在の用途地域と同じ用途地域に指定され,当時より本件マンションのような建築物が建設されることも十分に予想されていた。 (2) 著しい圧迫感・閉塞感ア原告の主張原告建物の東側は,本件マンションとの距離が0.5ないし1メートルしか離れておらず,その間には間接光すら期待できない。また,2階建住宅である原告建物と本件マンションの高さにも圧倒的な差がある。 また,原告建物の南側には,本件マンションの駐車場があるものの,本件マンションの高さが22メートルもあり,原告建物との距離が20メートル以下であることを考えると,原告が受ける圧迫感は極めて大きい。 以上の次第で,原告建物は,本件マンションによって覆われたかのような圧迫感,閉塞感を受けているものである。 イ被告の認否反論原告建物の南側は本件マンションの駐車場であり,現実に高層建物が接近しているわけではない。 また,原告建物の東側における,原告建物と本件マンションの距離は少なくとも80センチメートル以上離れており,心理的圧迫を与えるほどとはいえない。また,前記のとおり,原告建物が敷地境界から約40センチメートルしか離さずに建築されていることに鑑み ンションの距離は少なくとも80センチメートル以上離れており,心理的圧迫を与えるほどとはいえない。また,前記のとおり,原告建物が敷地境界から約40センチメートルしか離さずに建築されていることに鑑みると,仮に本件マンションが何らかの心理的圧迫を与えるとしても,原告の責に帰すべきものと評価される部分も含まれている。 さらに,原告建物の北側は駐車場となっており,開放されている。 以上の事実に鑑みると,原告に対して社会通念上受忍しがたい程度の心理的圧迫が生じているとは評価できない。 (3) 被告の説明責任ア原告の主張原告は,平成12年10月24日に突然被告従業員B部長から,本件マンションを建築する旨の書面の配布を受け,その後,原告ら付近住民が詳細な説明がなされる機会を待っていたところ,同年12月,説明会も開かない内に被告土地上にモデルルームが建てられた。原告は不安になり,設計会社に対して,採光状態がどうなるのか知りたいので,平面図だけでなく,立面日陰についても教えてほしい,すぐ南が駐車場になるので,騒音やヘッドライトのまぶしさを調整するために,駐車場の位置や形態を変更できないか,それがだめなら透明の防音パネルを使用できないか,日照について,原告建物の南と東は大きな影響を受けるので,北東の角を幾分低くしてもらえないかなどの質問,要望を伝えた。設計会社は被告に伝えると返答したものの,その後被告からも設計会社からも回答はなかった。 平成13年6月23日になってようやく説明会が開かれたが,説明の内容は,設計に関するものよりは工事に関するものであって,既に同年4月17日に建築確認も下りているということであったため,原告は衝撃を受けた。同年6月30日に ってようやく説明会が開かれたが,説明の内容は,設計に関するものよりは工事に関するものであって,既に同年4月17日に建築確認も下りているということであったため,原告は衝撃を受けた。同年6月30日に2回目の説明会があったが,工事の協定書と風害の外,騒音に関し,建物完成後に協議すると記した念書の提示があったほか,日照等公法上の規制には違反していないという趣旨の一般的説明以上の個別的な説明はなかった。 また,平成12年10月に被告が配布した図面では本件マンションの駐車場は2段式になっていたが,説明もないまま,いつの間にか3段式に変更されていた。 原告は,親族などに相談したがますます不安になり一方的に工事を進められることに不信感を持ったため,平成13年7月6日付内容証明郵便でこれまでの要望を要約して伝えた。ところが,被告からは,応じられないという簡単な返事が送られてきただけであった。 以上の経緯に鑑みると,被告が,原告建物における日陰についてこれを軽減する措置を真剣に講じたとは考えられない。 イ被告の認否反論否認する。 被告は,平成13年6月23日,同月30日の2回にわたり,近隣住民に対して説明会を開催し,本件マンションの建設に対する理解を求め,また,要望にできるだけ答えるように努力した。例えば,プライバシー保護のための目隠し板の設置,防犯対策,風害防止保障,建築工事の際の配慮などについて,説明会の際の住民からの要望を最大限尊重してこれに応える対応をした。 説明会において,原告から,敷地境界線から44センチメートルしか離れていないが違法ではないのか,後6センチメートル後退してもらいたいという希望が出た。しかし,被告 る対応をした。 説明会において,原告から,敷地境界線から44センチメートルしか離れていないが違法ではないのか,後6センチメートル後退してもらいたいという希望が出た。しかし,被告としては,近隣住民の日照等については配慮して設計しているという自負があったため,前者の指摘については適法であると答え,後者の希望については応じられないと回答した。その後,原告から,建物の高さをできるだけ下げること,日照妨害について損害賠償をすることの申入書が送付された際も,応じられない旨の回答をした。 以上の次第で,被告は,原告を含む近隣住民の生活権を最大限尊重しつつ,自らの所有権に基づき本件マンションを建築したのである。 (4) 損害ア原告の主張以上の結果,原告が被る精神的打撃の慰謝料としては少なくとも200万円を下らない。 よって,原告は被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として200万円及びこれに対する不法行為日を経過した後である訴状送達日の翌日(平成13年8月28日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 イ被告の認否争う。 第3 争点に対する判断原告は,被告の準備書面の提出が遅れたことを理由に,被告の主張(前記の認否反論)は時期に遅れた攻撃防御方法の提出に当たる旨の主張をするので,初めにこの点について検討する。 確かに,被告は,訴状記載の請求原因事実に対する認否と共に若干の反論を記した答弁書を第1回弁論期日(平成13年10月9日)において陳述した後,第1回弁論準備手続期日(平成14年1月24日)以降,裁判所及び原告から,被告の積極的な主張を記載した準 否と共に若干の反論を記した答弁書を第1回弁論期日(平成13年10月9日)において陳述した後,第1回弁論準備手続期日(平成14年1月24日)以降,裁判所及び原告から,被告の積極的な主張を記載した準備書面を提出するよう再三促されたにもかかわらず,第6回弁論準備手続期日(平成14年12月12日)に至るまで準備書面を提出しなかった。そして,このように準備書面の提出が遅れた事情について被告から何の釈明もないことを併せ考えると,上記準備書面の提出を時期に遅れた攻撃防御方法の提出として扱う余地もないではない。 しかしながら,上記準備書面を陳述させないままでは,本件訴訟の争点が定まらず,充実した審理が困難となること,原告が上記準備書面の陳述を前提にこれに対する反論をしたこと,双方のこれらの主張を踏まえてその後証拠調が行われたことなどの事情に照らし,被告の主張を許可することとする。 1 まず,本件マンション建設による日照権侵害について検討する。 証拠(甲28,乙4,8,証人A〔なお,以上の証拠に反する甲12の1は信用できない〕)によれば,原告建物は,本件マンションが建設されたことにより,冬至における日照時間が,従前と比べて,南向きの窓においてはほぼ半減し,東向きの窓においては3時間であったのが0になり,西向きの窓においては4.5時間であったのが3.5時間(2階洋室)又は2.0時間(1階洋室)になり,大幅に減少したことが認められる。そして,原告本人尋問の結果によれば,このような日照時間の減少の結果,原告建物は内部が湿っぽくなり,冬場は洗濯物が乾きにくくなって,原告は日常生活上の不便を被っていることが認められる。 しかしながら,他方で,原告建物の南側と本件マンションの東西部分との間に,約13メートルの間隔を空けて駐車場 濯物が乾きにくくなって,原告は日常生活上の不便を被っていることが認められる。 しかしながら,他方で,原告建物の南側と本件マンションの東西部分との間に,約13メートルの間隔を空けて駐車場が設けられている結果,春・夏・秋においては,原告建物の南側においてかなりの日照時間が確保されると推認されること(乙10の5・6,13,15,弁論の全趣旨),本件マンションは建築基準法上のいわゆる日影規制を守って建築されていること(乙1,証人A,弁論の全趣旨),原告建物の1階東側洋室は,その広さを6畳とした場合,建築基準法28条1項,同法施行令20条によれば,東側の壁が敷地境界から54.36センチメートル離れていなければ,同室に設けられている窓をもって採光上有効な窓と認めることができないところ(甲13の1,乙7,8,10の4,11の1・2,12,証人A),同室の東側の壁は敷地境界から約45センチメートルしか離れておらず(乙10の1・2),このことからすると,1階洋室は,元々採光の点で問題があることが認められる。 そうすると,本件マンションの建設によって原告建物の日照時間が減少したことは明らかであるが,これをもって直ちに受忍限度を超えるものと認めるのは困難であり,他の事情と併せ検討する必要があるというべきである。 2 そこで,次に,本件マンション建設による圧迫感・閉塞感について検討する。 前記前提事実のとおり,原告建物の東側には本件マンションの南北部分があり,原告建物の南側には本件マンションの東西部分があって,原告建物は,本件マンションによって,東側と南側を壁で塞がれたような状態になっていることが認められる。 しかしながら,まず,原告建物の南側についてみるに,前記前提事実のとおり,本件マンションの東西部分と ンションによって,東側と南側を壁で塞がれたような状態になっていることが認められる。 しかしながら,まず,原告建物の南側についてみるに,前記前提事実のとおり,本件マンションの東西部分との間に約13メートルの間隔があり,その間は,本件マンション住民用の駐車場になっているところ,証拠(乙10の5,15)によれば,感覚的にみてもかなりの空間が確保されていることが認められる。 また,原告建物の東側についてみるに,確かに,原告建物の東側には,本件マンションの南北部分が約1ないし2メートルの間隔で並行して建っているけれども,証拠(甲20)によれば,本件マンションの南北部分の北端から南へ8.7メートルまでは高さ11.490メートルの3階建,そこから更に南へ8.5メートルまでは17.710メートルの5階建という階段状になっており,原告建物と並行する本件マンションの南北部分は上記3階建の部分であることが認められる。そして,原告建物の敷地より本件マンションの敷地が1.370メートル低いこと(乙4)を考慮に入れてこれを差し引くと,原告建物の東側にある本件マンションの南北部分は高さ10.12メートルの3階建であって,高さ6.890メートルの原告建物より3.23メートル高いに過ぎない。そうすると,原告建物の東側における圧迫感,閉塞感は,実質的には東隣に3階建の1戸建が建築された場合と大きくは異ならない程度に軽減されていることが認められる。 さらに,証拠(甲27の2ないし4,乙13,14,証人A)によれば,本件マンションの共用廊下部分及び非常階段(ただし1,2階間の部分を除く)には磨りガラスによる目隠し板が設置され,原告建物を含む階下をみることができない構造になっていることが認められる。 以上の事実を総合するならば, び非常階段(ただし1,2階間の部分を除く)には磨りガラスによる目隠し板が設置され,原告建物を含む階下をみることができない構造になっていることが認められる。 以上の事実を総合するならば,原告が被る圧迫感,閉塞感はかなりなものであるとは認められるものの,被告としても,原告外北側隣地住民の住環境にそれなりに配慮して本件マンションを建築していることが認められる。 3 さらに,被告の事前説明の程度,内容について検討する。 証拠(甲2ないし8,26の1ないし5,28,乙1ないし3,8,13,証人A,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件マンション建設の計画を立て,平成12年10月ころ,原告その他の本件マンションの近隣住民に対し,本件マンション建設の計画を伝える書面を配布し,同年12月ころ,被告土地内にモデルルームを建設したこと,原告は,株式会社OKI設計に対し,採光状態を確認するための立面日影図の交付を求めたり,駐車場の位置,形態の変更を求めたり,本件マンション南北部分の北端を低くしてほしいなどと述べたが,返答を得られなかったこと,被告は平成13年4月17日に本件マンションの建築確認申請を得て,同年6月23日及び同月30日に近隣住民に対する説明会を開催し,今後の工事の予定を説明したこと,その際,住民側から,廊下,非常階段から外を見下ろせないように目隠しをつけてほしいという要望があり,被告はこれを了解したこと,また,原告からは,南北部分の北端の高さを低くしてほしいとか,敷地境界からの距離をあと6センチメートル後退してほしいなどといった要望があったが,被告はこれを拒絶したこと,原告は同年7月6日付の被告宛書面で,本件マンションによる日照妨害は受忍限度を超えるものであるから,本件マンションの東西部分の高さを低くし, しいなどといった要望があったが,被告はこれを拒絶したこと,原告は同年7月6日付の被告宛書面で,本件マンションによる日照妨害は受忍限度を超えるものであるから,本件マンションの東西部分の高さを低くし,日照妨害に対する損害賠償をしてほしいと伝えたが,被告はこれに返答しないまま,その後,本件マンションの工事に着工したこと,被告は,本件マンションの竣工後,廊下及び非常階段に磨りガラス製の目隠しを設置したこと,以上の事実が認められる。 以上の事実に鑑みると,被告は,本件マンションの設計及び工事内容について,周辺住民の意向を確認することなく計画を進め,2回開かれた上記各説明会においても,基本的には,既に決定した事項を説明,報告したに過ぎないことが認められる。このような被告の建設の進め方は,周辺住民にとっては必ずしも納得のいかないものであったことが推認される。 しかしながら,他方で,被告としては,上記認定のとおり,建築基準法の日影規制その他の規制を守って本件マンションを設計し,原告建物南側と東西部分との間には駐車場を確保し,南北部分の北端についても階段状に高さを低くしてするなど,原告外北側隣地住民の住環境に一応配慮した建設を計画している以上,本件マンションの設計に関してこれ以上に周辺住民の要望を聞き入れて譲歩することはできないと考えたとしても,被告の立場としては一応理解することができる。また,被告は,上記説明会における周辺住民の要望を受けて上記認定のとおり,目隠しのための磨りガラスも設置している。 そうすると,上記認定の,被告の付近住民に対する説明や,設計,工事の進め方は,いささか強引なきらいがあるものの,違法不当であるとまで認定することはできない。 4 最後に,周辺地域の地域性と先住関係について検討する。 告の付近住民に対する説明や,設計,工事の進め方は,いささか強引なきらいがあるものの,違法不当であるとまで認定することはできない。 4 最後に,周辺地域の地域性と先住関係について検討する。 証拠(甲20,28,乙1,原告本人)によれば,原告土地,被告土地の周辺地域は,建築基準法上,商業地域ではなく,第1種低層住居専用地域又は第1種住居地域であること,以前から平家建又は2階建の住宅がほとんどの地域であって,原告建物の南側,東側も,本件マンションが建設されるまでは1,2階建の建物又は駐車場で,3階建以上の建築物は存在しなかったこと,従って,原告は,本件マンションの建設で住環境が一変したことにより,大きな衝撃を受けたことが認められる。 しかしながら,証拠(乙5,6,8,証人A)によれば,既に,昭和32年に本件マンションの東に隣接する道路の拡幅が都市計画決定され,かつ,昭和45年2月に付近一帯が現在と異ならない用途地域に指定されたため,このころから既に,建築基準法上は,本件マンションに匹敵する高さ,大きさの建物の建築が可能であったことが認められる。また,今のところ,周辺地域に,本件マンションに匹敵する大きさの建物はまだ存在しないものの,証拠(甲11の1ないし3,23,24,28,乙9の3・4)によれば,3階建,4階建の建物は既に周辺に点在していることが認められ,これらの事実に照らすと,今後,本件マンションと同程度の大きさの建物がこの地域に建設され,付近一帯の建物が徐々に高層化する可能性もあると認められる。 5 結論以上の原告に有利な事実,不利な事実を総合すると,本件マンションの建設によって原告の被る日照時間の減少や,圧迫感,閉塞感は受忍限度を超える違法なものと認めることはできないから,これについて 以上の原告に有利な事実,不利な事実を総合すると,本件マンションの建設によって原告の被る日照時間の減少や,圧迫感,閉塞感は受忍限度を超える違法なものと認めることはできないから,これについて被告の不法行為責任を認めることはできない。 以上の次第で,原告の請求を棄却する。 神戸地方裁判所第4民事部裁判官太田敬司
▼ クリックして全文を表示