昭和44(ヨ)2369 動労東京地本懲戒免職

裁判年月日・裁判所
昭和46年8月31日 東京地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 1 債権者両名が債務者に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に 定める。 2 債務者は、昭和四四年九月一日以降本案判決確定まで毎月二〇日限り、債権者 aに対して金六万六八〇〇円

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主文 1 債権者両名が債務者に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。 2 債務者は、昭和四四年九月一日以降本案判決確定まで毎月二〇日限り、債権者aに対して金六万六八〇〇円、債権者bに対して金四万三六〇〇円を仮に支払え。 3 訴訟費用は債務者の負担とする。 事実 第一申立一債権者らの求める裁判主文と同旨の判決二債務者の求める裁判債権者らの申請を棄却する。訴訟費用は債権者らの負担とする旨の判決。 第二主張一本件仮処分申請の適否 1 債務者の主張本件仮処分申請は行政事件訴訟法四四条に該当するから許されない。 (一) 債務者は日本国有鉄道法一条に規定するように、従前純然たる国家行政機関によつて運営されてきた国有鉄道事業を国から引き継ぎ、これを最も能率的に運営発展せしめ、もつて公共の福祉の増進に寄与するという国家目的を与えられ、国家の意思に基づいて特に法律により設立された公法人である。本来国家行政機関は権力をもつて国民を統治することがその機能の中核であつて、事業の運営はその本来の使命ではない。このため国家行政機関とその職員を規制する法体系と慣行はすべてかかる権力的機能遂行に適するように構成されていて事業の運営ということには適していない。 国営事業も企業である以上、事業の公共性を確保するとともに、その運営の高能率化を計つて財政的独立を達成する必要があり、これがため運営方針、予算、会計、人事等の面において一般行政機関とは異なる企業性と自主性を確保するという必要性に基づいて、債務者日本国有鉄道が設立されるにいたつたのである。そして債務者の資本はその全額が政府出資によるものであるが、このことは資本の国有すなわち資本は国民に属することを意味し、国民はその資産と運営を債務者に信託し、債務者は受託者 れるにいたつたのである。そして債務者の資本はその全額が政府出資によるものであるが、このことは資本の国有すなわち資本は国民に属することを意味し、国民はその資産と運営を債務者に信託し、債務者は受託者として受益者である国民のために国民に代つてこれを運営管理するもので、その企業の経済的所有は株式会社の如く私人に帰属するものではなく、国民に帰属する。このことは公共企業体の公共の所有の理念と一般にいわれ、又この理念から公共企業体は公共の支配の下におかれているといわれる。この公共の支配の現われとして、債務者は国民の直接代表である国会の或いは政府の支配監督の下におかれているのである。 前述のように、国家意思に基づき国家目的を達成するために設立された債務者の法的性格は、行政法上のいわゆる公共団体(公法人)たる性格を有するものであることは明らかである。又このことは日本国有鉄道法の各本条に規定された債務者の実体を検討すれば一層明らかとなる。例えば、債務者はその資本を政府の全額出資にまつこと(五条)、その総裁は内閣が任命すること(一九条)、予算については国会の審議を必要とすること(三九条の二以下)、会計は会計検査院が検査すること(五〇条)、運輸大臣の監督に服すること(五二条)等、すべて公共団体たる実体の具現であると考えられるが、なお同法二条は右のような実体を実定法上宣明し、解釈上の疑義を避ける目的から債務者を公法上の法人とする旨を明定している。従つて債務者の法的性格はその公共団体たることは形式上も実質上も疑問の余地がない。 (二) 憲法一五条にいう公務員について考察してみるに、同条の公務員とは国家または公共団体の職務を担当する者をいい、すべて公務員は国家の信託に基づき、その職務を行なうものであるから、全体の奉仕者として国民の利益と幸福のために、国民に労務 察してみるに、同条の公務員とは国家または公共団体の職務を担当する者をいい、すべて公務員は国家の信託に基づき、その職務を行なうものであるから、全体の奉仕者として国民の利益と幸福のために、国民に労務を提供する義務を負うのが公務員の特質で、この公務員の性格はそれが単純な労務を提供する者であると(国家公務員法二条参照)はた又その労務を提供する関係が国家たるとによつてその公務員たる性格に変りはなく、ひとしく憲法一五条にいうところの公務員である。然らば公共団体たる債務者の職員は憲法一五条二項にいうところの全体の奉仕者たる公務員としての法的性格を有するものであることは明らかである。 (三) このことは日本国有鉄道法等の諸規定に照らして明らかである。すなわち同法中職員に関する規定を通覧すると職員の任免、分限、懲戒、職務専念義務等に関しては国家公務員の場合とほぼ同様の規定がある(第二七条ないし第三二条)ただ職員が全体の奉仕者として勤務すべき旨の規定が日本国有鉄道法に存しないのは、前述のように債務者が国民の財産の受託者として受益者である国民のために国民に代つてこれを管理運営するものであるから、債務者の職務を担任する職員は全体の奉仕者として国民に属する財産を管理運営する地位にあることは敢て明文を必要とする理由がないからである。このことは国家公務員が政府の下において国民の信託により国民全体の奉仕者として国政ないし国の企業を遂行する地位にあると同じである。そして債務者の職員も国家公務員も両者はともにその雇用される事実によつて与えられた公共の信託に対し無条件に忠誠の義務を負い、国民はその利益と福祉のため国家の行政または国の経営する企業あるいは債務者の業務が秩序と継続性とをもつて運営されることを要求する権利を有する。国家公務員なり債務者の職員は国民全体に奉仕する を負い、国民はその利益と福祉のため国家の行政または国の経営する企業あるいは債務者の業務が秩序と継続性とをもつて運営されることを要求する権利を有する。国家公務員なり債務者の職員は国民全体に奉仕する義務を負わされているが、これは最高の義務であつて、その関係は対等の立場に立つ単なる私法上の債権債務の関係でなく、信託、奉仕の関係である。ただ一般の国家公務員と、債務者の職員やその他の公共企業体職員なり、昭和二七年労働法の改正によつて公共企業体等労働関係法の適用をうけることとなつた国の経営するいわゆる五現業に従事する国家公務員との異なる点は、前者の担任する職務が国民の主権を行使するものであるのに対し、後者のそれは国民の財産の管理運営をなすにある点だけである。この故に国家は国家公務員に対しその優位な地位を確保するために国家公務員の勤務、身分関係を法律をもつて規定したと同様に、債務者とその職員との関係を規律するために特に法律をもつて規定し、日本国有鉄道総裁に職員より優位な地位を与えてその間の秩序維持を計り、債務者が国家より与えられた目的を達成せしめようとしたのである。このことは昭和二七年公布になつた公務員等の懲戒免除に関する法律(同年法律一一七号)二条や日本国との平和条約の効力発生に伴う国家公務員等の懲戒免除に関する政令(同年政令一三〇号)一条において、債務者の職員の懲戒の免除は国家がこれをなす旨を規定し、債務者と職員との身分関係が国家公務員や、その他弁護士、公証人等が国家の特別権力関係に服するのと同様の性格を有する旨を規定したことによつても明らかである。 (四) ところで債務者の職員がその労働条件について団体交渉権を有しその紛争解決のために調停、仲裁制度が認められているが、この点は公共企業体等労働関係法の適用をうけるいわゆる五現業職員である国家公 (四) ところで債務者の職員がその労働条件について団体交渉権を有しその紛争解決のために調停、仲裁制度が認められているが、この点は公共企業体等労働関係法の適用をうけるいわゆる五現業職員である国家公務員や、地方公営企業労働関係法の適用を受ける地方公営企業職員である地方公務員についても同様である。これらの国家公務員、地方公務員の勤務関係はもとより公法上の関係であることは明らかであるから、債務者職員に団体交渉権等が認められていることはなんらその勤務関係を公法上の関係と解することの妨げとはならない。 (五) また日本国有鉄道法二七条ないし三二条の身分服務に関する規定は一般私企業における就業規則ないし従業員規則中にもしばしば見られるところであつて、債務者に限つたものではなく、なんら債務者の職員の身分関係が公法上の関係にあるという証左にならないと論ずる者がある。しかし前述のような債務者とその職員の法的性格に鑑み、またその規定の表現形式等よりみて、これらの規定は公共団体たる債務者の組織に関する規定であつて公法関係たる性質を有するものと解すべきである。仮にこれらの規定に類似するものが一般私企業における就業規則、従業員規則中にしばしば見られるとしても、それは法律的には私企業内部の秩序維持のために制定された就業規則であつて、使用者はその作成に当つては必ず労働組合または労働者を代表する者の意見を聴かなければならないし(労働基準法九〇条)、またこの規則は法令または労働協約に反することはできない(同法九二条)。したがつて右の如き私企業における就業規則は労使双方の合意によるところの労働協約によつて自由に変更改廃のできる性格のものである。ところが日本国有鉄道法の前記各条の規定は労働協約をもつて変更できないものであるばかりでなく、日本国有鉄道総裁といえどもこれが変更 るところの労働協約によつて自由に変更改廃のできる性格のものである。ところが日本国有鉄道法の前記各条の規定は労働協約をもつて変更できないものであるばかりでなく、日本国有鉄道総裁といえどもこれが変更改廃のできないものであることは勿論で、一般私企業における就業規則、従業員規則と異なる性格のものであることは明らかである。このように特に法律をもつて規定したゆえんは、日本国有鉄道総裁に職員より優位な地位を与えてその間の秩序維持を計り、債務者の国家より与えられた目的を達成せしめようとしたものである。 (六) 日本国有鉄道三一条の規定によれば債務者の職員に対して懲戒の権限を有するものは、債務者そのものではなく、その総裁であることが明らかである。この場合の総裁は国鉄の機関すなわち行政庁としての資格を有し、その懲戒権の行使は行政行為と観念されるべきである。もし右懲戒処分を私法上の処分と解するならば、国家がいわゆる五現業国家公務員を公労法一八条によつて免職処分にした場合(それが行政処分であることは明らかである)と債務者総裁がその職員を同条によつて免職処分にした場合、同一法条に根拠をおく免職処分でありながら、前者は公法上の処分となり、後者は私法上の処分となるという不合理な結果を招来する。 以上述べたところによつて明らかであるように、本件免職処分は債務者の総裁が日本国有鉄道法三一条に基づき債権者らに対してした処分であるから、行政庁の処分であるといわなければならない。然らば本件仮処分申請は、行政庁の処分に関し民事訴訟の規定する仮処分を求めるものであるから、行政事件訴訟法四四条の規定に牴触し、不適法として却下すべきである。 2 債権者らの主張債務者がその職員に対してなす身分上の処分が行政処分ではなく、民事処分であることは殆んど争のない定説である。裁判例も、債務 四四条の規定に牴触し、不適法として却下すべきである。 2 債権者らの主張債務者がその職員に対してなす身分上の処分が行政処分ではなく、民事処分であることは殆んど争のない定説である。裁判例も、債務者の職員の勤務関係の基底となつているものは、公務員に特有な特別権力関係原理とは異なる当事者対等の非権力的関係原理が支配しているとみるのが相当であり、その勤務関係は私企業における勤務関係と同様で行政事件訴訟法四四条にいう公権力の行使にあたる行為に該当しないとしている。 この点に関する債務者の主張は理由がない。 二申請の理由 1 債権者aは昭和二一年三月四日に、債権者bは昭和三八年七月一日に債務者に雇用され、昭和四四年八月当時債務者の東京西鉄道管理局小金井電車区所属電車運転士として勤務し、当時の給与月額は債権者aにおいて六万六八〇〇円、債権者bにおいて四万三六〇〇円で、その月の二〇日限り支払いを受けていた。 2 しかるに債務者は昭和四四年八月六日債権者らを懲戒免職処分に付したとして債権者らの右権利を認めようとせず、同年九月一日以降給与の支払いをしていない。そこで債権者らはその地位の確認及び賃金の支払を求める訴を提起すべく準備中であるが、本案訴訟の結果を待つていたのでは、右賃金を唯一の生活の保障としている債権者らにおいてこうむる損害は回復しがたいものである。 三申請の理由についての債務者の主張 1 債権者らが債権者主張の日に債務者に雇用され、昭和四四年八月当時債権者主張の電車区所属電車運転士として勤務していて主張どおりの月額給与を受けていたこと、債務者が同年八月六日以降債権者らについてその主張どおりの雇用契約上の権利を認めず、同年九月一日以降給与を支払わないことはいずれも認めるが、申請理由のその余の主張事実はすべて争う。 2 債務者が右の如く債権者 年八月六日以降債権者らについてその主張どおりの雇用契約上の権利を認めず、同年九月一日以降給与を支払わないことはいずれも認めるが、申請理由のその余の主張事実はすべて争う。 2 債務者が右の如く債権者らの雇傭契約上の権利を認めず、給与の支払をしないのは、債務者と債権者らとの雇傭契約が債務者のなした後記懲戒免職の意思表示により昭和四四年八月七日終了に帰したためである。かりに債権者らについてその主張のような被保全権利が存在するとしても、債権者らはいずれも組合役員として本件免職処分当時の給与相当額を組合から支給されているから、本件仮処分の必要性は認められない。 3 免職処分の意思表示(一) 債権者aは、昭和四四年五月二九日から三〇日にかけて平日第三八仕業という乗務に従事するものとして、五月三〇日中央線武蔵小金井駅から東京駅まで第四〇〇T電車を運転し、同駅で折返し第五〇一T電車を運転して武蔵小金井駅まで帰る乗務に服すべきところ、右四〇〇T電車を東京駅まで運転しただけで、同駅中央線ホーム二番線に放置したまま、右五〇一T電車の乗務を放棄し、債権者bは、同月二九日から三〇日にかけて平日第四一仕業という乗務に従事するものとして、五月三〇日四〇〇F電車を運転して武蔵小金井駅から東京駅まで行き、同駅で折返し第五〇一F電車を運転して武蔵小金井駅に帰る乗務に服すべきところ、右四〇〇F電車を東京駅まで運転しただけで、同駅ホーム一番線に放置したまま、右五〇一F電車の乗務を放棄した。 (二) 債権者らの右乗務放棄行為により東京駅中央線ホームが二本塞がれて後続電車が同駅に入ることができず、次のとおり多数の電車が運転休止及び遅延する事態が生じた。 (1) 電車の遅延状況債権者aの担当すべき第五〇一T電車が三三分、債権者bの担当すべき第五〇一F電車が七〇分、それぞれ遅れ とができず、次のとおり多数の電車が運転休止及び遅延する事態が生じた。 (1) 電車の遅延状況債権者aの担当すべき第五〇一T電車が三三分、債権者bの担当すべき第五〇一F電車が七〇分、それぞれ遅れて東京駅を発車したほか、別表A記載のとおり一八本の電車が神田駅から吉祥寺駅までの途中駅にて九分三〇秒ないし三二分抑制せざるをえなくなつた。 (2) 電車の運休状況総武線六五二C電車外一八本の電車が別表B記載のとおり運転休止せざるをえなくなつた。 (三) 債権者らは前記のとおりその仕業の途中において運転業務をやめ、各自担当する電車を動力の存するままに自ら職場を放棄したものであり、債権者らの右行為はいずれも債務者就業規則六六条六号、一七号、日本国有鉄道法第三一条一項一、二号所定の懲戒事由に該当する。このようなことは国鉄始まつていらいこれまでに例をみないことであつて、その乗務放棄により債務者の業務を著しく阻害し、その影響も頗る大きく、およそ旅客の輸送業務にたずさわる乗務員、ことに通勤輸送の需要の多い中央線の電車運転士としては著しく不適格であつて、その責任はきわめて重大である。 そこで、債務者の総裁は、昭和四四年八月七日日本国有鉄道法三一条一項により債権者らを各懲戒免職処分に付し、その旨の意思表示が同日各債権者に到達した。 四免職処分の効力 1 債権者らの主張(一) 債権者a及び同bがそれぞれ債務者主張の日にその主張どおりの区間の電車四〇〇T及び四〇〇F電車を運転したが、東京駅においてその後の五〇一T及び五〇一F電車の乗務を放棄したこと、及びこれにより債務者の総裁が昭和四四年八月六日日本国有鉄道法三一条一項に基づき債権者らを各懲戒免職処分に付し、その旨の意思表示が同日各債権者に到達したことは争わない。 (二) しかし、本件免職処分は次の理由により 務者の総裁が昭和四四年八月六日日本国有鉄道法三一条一項に基づき債権者らを各懲戒免職処分に付し、その旨の意思表示が同日各債権者に到達したことは争わない。 (二) しかし、本件免職処分は次の理由により無効である。 (1) 債権者らのなした乗務放棄は国鉄動力車労働組合(以下「動労」という。)の指令にもとづくストライキに参加しておこなつた単純な労務放棄である。 国鉄労働者の争議行為を禁止する公労法第一七条の規定は憲法第二八条に違反し無効であり、債権者らのなした乗務放棄は、もとより憲法二八条によつて保障された正当な組合活動であるから、これに対して加えられた本件懲戒免職処分は労働組合法第七条第一号に違反し無効である。 (2) 仮りに、公労法第一七条の規定が憲法第二八条に違反するものでないとしても、争議権の制限は必要止むを得ない場合に限られなければならず、また公労法第一七条違反に対する不利益処分は必要な限度を超えない合理的な範囲に止めなければならないことは、憲法第二八条の規定の趣旨から明らかである。債権者らの行なつた乗務放棄は単純な労務放棄であり、且つその影響は後記のとおり極めて小範囲のものであつたのであるから、右の如き乗務放棄について民事責任を課すことは、憲法第二八条の趣旨に違反するものであつて無効である。 (3) 集団的労働関係における憲法の労働三権保障の趣旨にかんがみ、労働者が集団的労働関係上の権利である争議権の行使として使用者の業務上の指揮命令を一時的に排除し、労務の提供を拒否した場合にそれが一見個別的労働関係における服務規律に牴触し、債務不履行の外見を呈しようとも、これに対して服務規律を適用し、債務不履行としての個別的労働関係(多くは労働契約関係)上の制裁ないし問責を行なつてはならないのである。本件における債権者らの所為は、既述のとおり、その 呈しようとも、これに対して服務規律を適用し、債務不履行としての個別的労働関係(多くは労働契約関係)上の制裁ないし問責を行なつてはならないのである。本件における債権者らの所為は、既述のとおり、その属する動労の指令にもとづきその計画した争議行為への参加行為としてなされたもので、まさに集団的労働関係における事象であり、しかもその目的は、後記のとおり、国鉄合理化政策の強行に伴う労働条件の劣悪化を防止するというきわめて正当なものであるとともに、その手段はまことに整然たる単純な労務放棄で、正当な争議行為の範囲を逸脱するものでないことが明らかである。かかる債権者らの各所為に対して個別的労働関係の法規たる就業規則ないし日本国有鉄道法三一条一項を適用することは許されないといわなければならない。因に同法(昭和二三年一二月二〇日法律二五六号)と公共企業体等労働関係法(右同日法律二五七号)とは同じ国会で審議制定され、同じ昭和二四年六月一日から施行されたものであつて、前者の三五条に「日本国有鉄道の職員の労働関係に関しては、公共企業体等労働関係法の定めるところによる」と明記されたところから窺えるように、前者は債務者当局とその職員との間の個別的労働関係を、後者はその集団的労働関係を規律するものとしてその管掌範囲を分任するものであることは疑う余地がない。したがつて日本国有鉄道法第三一条第一項の規定を適用してなされた本件免職処分は、いずれも無効である。 (4) 仮りに右各主張がいずれも理由がなく、債権者らの行なつた乗務放棄が日本国有鉄道法第三一条第一項に定める懲戒事由に該るとしても、本件免職処分は懲戒権行使の裁量を逸脱するものとして無効である。 すなわち、債権者らが組合指令に従つてストライキに参加したという単純な労務放棄であるばかりでなく、右スト参加による結果の発生 しても、本件免職処分は懲戒権行使の裁量を逸脱するものとして無効である。 すなわち、債権者らが組合指令に従つてストライキに参加したという単純な労務放棄であるばかりでなく、右スト参加による結果の発生についてみるに、債務者主張の日時その主張どおりの電車の遅延及び運休の状況(別表A及びB)が生じたことは認めるが、右遅延及び運休が債権者らの職務放棄によつて生じたものであることは否認する。仮に債務者の主張を認めるとしても、電車の混乱は午前五時頃から八時頃までの間であり、しかもこの間電車がすべてとまつてしまつたわけではない。たかだか中央線と総武線合わせて運休一五本電車の遅れ一八本、最高三〇分程度である。債権者aの担当すべき五〇一T電車は三三分、同bの担当すべき五〇一F電車は七〇分程度である。しかしこれらの電車の遅延については労働紛争の当事者としての債務者にも一定の責があることは既述の経過からみて明白である。それにもかかわらず、免職という懲戒処分のうちで最も重い処分を加えることは懲戒権の乱用として許されない。 (三) 債権者らが昭和四四年五月三〇日に参加したストライキは動労のいわゆる第六波ストライキであるが、債権者らの右参加行為はそのストライキの背景的事情にてらして正当なものであつた。 債務者当局はかねてより国鉄近代化の名のもとに国鉄の合理化を強行してきた。 国鉄の合理化の内容は主として独立採算のため債務者が抱えている膨大な赤字を解消するために人員をきりつめ、また労働の密度の強化によつて企業効率の向上をはかろうとするものであるが、合理化は必然的に国鉄労働者の労働条件の変更をもたらし、輸送の安全性にきわめて重要なかかわりをもつものであるため、このような基本的政策の策定遂行に関しては昭昭三四年以降債務者当局と動労との間において事前協議協定が成立しており 労働条件の変更をもたらし、輸送の安全性にきわめて重要なかかわりをもつものであるため、このような基本的政策の策定遂行に関しては昭昭三四年以降債務者当局と動労との間において事前協議協定が成立しており、労使の協議を前提として進められることとなつていた。ところが国鉄当局は近代合理化は時代の趨勢であるとして、右協定をほとんど遵守することなく、合理化を一方的に強行する構えを示したため協定の誠実な遵守を要求する組合との間で紛争が起つたのであるが、その一に機関助士廃止問題があつた。これは国鉄の輸送力の増強を見込み、そのための必要な人員約五万人を生み出すため機関助士を廃止して機関士の一人乗務を行なわせようとするもので、ただ要員を生み出す方便として行なわれたものであつたから、国鉄業務の安全綱領の趣旨に合致するものでなく、輸送の安全に重大な影響を与えるばかりでなく、国鉄労働者特に運転部門労働者の著しい労働強化を伴うものであつた。当然のことながら動労がこれに反対し、五波にわたるストライキを行なつて、機関助士廃止の撤回及び事前協議協定にもとづく誠実な交渉を要求した。昭和四三年一〇月機関助士廃止問題についていわゆるEL・DL委員会が発足し、同委員会は昭和四四年四月九日「国鉄における一人乗務も可能であり、機器の整備・生活条件を考慮しつつ一人乗務に移行すべきである」という要旨の報告書を提出したが、これは十分な調査のうえに立つて出されたものではなく、右委員会の予備調査の主任調査員から右報告書内容の信憑性や科学性について問題のあることが公然と明らかにされるなど、調査自体きわめて粗雑であり、その結論要旨は無責任きわまるものであつた。組合は、右委員会の報告に対して、安全性の観点から調査の続行や正確な資料の分析を要求したのであるが、債務者当局がこの報告書を丸呑みにし、同年六 て粗雑であり、その結論要旨は無責任きわまるものであつた。組合は、右委員会の報告に対して、安全性の観点から調査の続行や正確な資料の分析を要求したのであるが、債務者当局がこの報告書を丸呑みにし、同年六月一日以降助士廃止を強行する態度に出たので、同年四月第二一回臨時全国大会を開き、国民の生命や財産の安全と助士廃止によつてひきおこされる労働条件の一方的改悪に反対すること、当局が右施策を強行する場合はストライキに訴えることなどを決定した。しかも当局はストを背景とする交渉による以外従来から真面目な交渉に応じたことがなかつたのでこうした当局の態度を改めさせ、交渉のルートによつて解決するためにはストライキを背景として交渉する以外の方法はなく、かくして動労は当局の政策強行予定日の前々日にストを設定することとして同年五月三〇日半日ストライキに突入したのである。 (四) 動労東京地方本部では東京、新宿、八王子、上野の各地区が拠点として指定された。ストライキの突入は組合本部と国鉄本社との交渉の経過によるが、具体的な各拠点におけるストライキ実施は地方本部の戦術委員会で決定することになつていたので、東京地方本部に派遣された本部中央斗争委員と東京地方本部の執行委員による会議で当日午前四時四五分ストライキを実施すべく決定し、その旨関係拠点に指令された。債権者a及び同bは、就労後ストライキ指令が発せられたため一応四〇〇F四〇〇T電車の折り返し駅であり拠点駅である東京駅が対乗客との関係でも一区切りであるということで、東京駅下車後ストライキに入るべく指令されたのであるが、動労の組合員である以上、右指令に従わざるをえない立場にあつたので、東京駅において組合の動員者の団結のなかでストライキに参加した。その際国鉄当局との間に何らのトラブルも生じなかつたし、債権者らの職務放棄は、 合員である以上、右指令に従わざるをえない立場にあつたので、東京駅において組合の動員者の団結のなかでストライキに参加した。その際国鉄当局との間に何らのトラブルも生じなかつたし、債権者らの職務放棄は、本線上に電車を停車させて労務を放棄したのではなく、乗務の一区切りである東京駅到着後にしたのであつて、電車運行上の安全や当該電車の旅客の生命身体に不安を与えるような方法でおこなわれたわけではない。また右ストライキは動労のみで他の労組は参加しなかつたから、これに対する当局の対抗的措置が講じられえたこと、債権者らが東京駅に到着したときはすでにストの時間帯に入つていたことなどからして、債権者らのストライキ参加はいわゆる抜き打ちではなかつたし、動労の一員としてあくまで単純な労務放棄をしたにすぎないものである。 2 債権者らの主張に対する反論(一) 債権者らは、債権者らが前記下り電車の乗務を放棄した行為はその所属組合である動労の指令に基づく集団的争議行為の一環としておこなわれたものであるから、これについて個別的労働関係の法規たる就業規則ないし日本国有鉄道法三一条一項の適用はない旨主張するが、これは債務者の職員に民間労働者と同様争議行為が許されることを前提とした理論であつて、債務者を含む公共企業体等職員には争議行為が一切禁止されている現行法制下においては採用しえない理論であつて、その前提において誤つている。 債権者らは公労法一七条一項は憲法二八条に違反する無効なものであると主張するが、公労法の右規定が憲法二八条に違反するものでないことはすでに最高裁判例大法廷の判決の示すとおりである。いわゆる労働関係を集団的労働関係と個別的労働関係とに区別して、集団的労働関係というヴエールにより個別的労働関係上の制裁を排除しようという理論は、法律により一切の争議行為を禁止 決の示すとおりである。いわゆる労働関係を集団的労働関係と個別的労働関係とに区別して、集団的労働関係というヴエールにより個別的労働関係上の制裁を排除しようという理論は、法律により一切の争議行為を禁止されている公共企業体職員については適用できないものであることは明らかである。 (二) 債権者らの前記乗務放棄行為は、債権者らが主張するような単純なる労務不提供ではなく、債務者の業務に対する積極的な阻害行為である。 国鉄・私鉄を問わず、電車運転士の運用については、各仕業(仕業とは、始業時刻から終業時刻までの乗務行路の単位をいう。)毎に電車運転士仕業票が作成されており、電車運転士はその仕業票に従つて電車を運転する義務があり、また各電車の運行についても、ち密なダイヤ(電車運行表)が作成されていて、それに従つて各電車が運行されている。したがつて、電車運転士がその定められた仕業票によらず仕業の途中でその職務を放棄し、担当電車を放棄すれば、その線路及び関連線路上を運転している多数の電車の運転に支障をきたし、ダイヤの混乱をきたすことは必定であつて、このことは電車運転士たるものの当然熟知していることがらである。ことに東京駅中央線ホームは、構内設備の関係上、電車が二本到着すると他に留置線がないため後続電車が同駅に到着することができず各駅に停車しなければならない状態にあり、このことは常時中央線を担当している電車運転士として債権者らが当然承知していることである。右事情を知りながら、債権者らがあえて東京駅中央線ホーム一、二番に各電車を放置したことは、一たん仕業票に従つて乗務しながらそれを途中で放棄するものであるだけに、代務員の補充を不可能にし(もし債権者らが当初より乗務を拒否した場合には代務の運転士を乗務させるなり、またその電車を運休にするなりして影響を最小限度にと ながらそれを途中で放棄するものであるだけに、代務員の補充を不可能にし(もし債権者らが当初より乗務を拒否した場合には代務の運転士を乗務させるなり、またその電車を運休にするなりして影響を最小限度にとどめることが可能である。)、債務者の業務に対し甚大な結果をもたらすものであつて、債権者らのいうような単純な労務不提供ではなく、債務者の業務に対する積極的な阻害行為で、しかもきわめて悪質なものである。およそ電車運転士として無責任これに過ぎるものはない。 (三) 債権者らは、動労が昭和四四年五月三〇日に実施したストライキは国鉄合理化政策の強行に対抗するためのきわめて正当なものであると主張するが、この点も以下に述べるとおり、その理由のないこと明らかである。 国鉄はこれまで国が経営してきた鉄道事業をそのまま引き継ぎ長い間競争相手のないまま陸上輸送を独占してきたが、近年自動車輸送及び航空輸送の発展によりいまや国鉄は激しい競争を受け、いやおうなしに近代化を迫られている。このような時代において国鉄が企業としてその競争を乗り切るためには合理化・機械化をはかることは当然のことである。債務者は昭和三六年三月一五日に動労との間に「国鉄近代化等に伴う事前協議に関する協定」を結んでいるが、これは国鉄が近代化等を実施する際に当局側から事前に計画の概要を説明し、組合側が労働条件の面から考えて必要なものについて意見を述べ、できるだけ双方の意見の一致を期し、近代化等を円滑に実施するためのものである。近代化・合理化といういわば国鉄の基本的経営方針は事柄の性質上国鉄自身において決定すべきであることはいうまでもなく、又経営方針の決定により労働者の労働条件の変更が問題となつたとき組合と団体交渉により解決すべきであることもまた勿論である。したがつて、事前協議においては、事前に当局側から あることはいうまでもなく、又経営方針の決定により労働者の労働条件の変更が問題となつたとき組合と団体交渉により解決すべきであることもまた勿論である。したがつて、事前協議においては、事前に当局側から計画の概要を説明し、それによつて、組合が質問をしたり、意見を述べる機会を与え、組合側の意見に有益なものがあればそれを採りいれることもあるが、当局と組合の意見の一致をみなければ合理化計画そのものが実施できないものではない。勿論合理化計画にはある程度の労働者の労働条件の変更を伴うものであるから、当局と組合との意見の一致をみることは合理化の円満な実施という点からみれば甚だ望ましいところである。それゆえ国鉄当局もこれまでの事前協議においても労働条件についてもかなり具体的問題にまで入つて組合と協議を重ねてきているのであつて、債権者ら主張の如く、事前協議協定を無視して合理化を強行したり、しようとした事実はない。国鉄が昭和四二年三月三一日に組合側に提案した「当面の近代化機械化について」と題する合理化案を組合側は五万人合理化と称して職員の労働強化、人員整理を伴うものであると主張するが、右合理化案の骨子は、動力方式の近代化(いわゆる電化)、これに伴う車輛保守の近代化、軌道保守作業の近代化並びに営業体制・輸送方式の近代化であつて、これら近代化により生み出される余剰人員が計数上(一応総数五万人程度の予想である。)割出されるが、右人員も年を逐つての輸送量の増加に対応して必要な職場にふりむけられるのである。要員構成の適正化にあたつて強制的な人員整理を行なわないことは、近代化の実施による昭和四二年七月国鉄から組合に明示されている。債権者らの主張する機関助手廃止問題も、投炭焚火等の作業のいらない近代化されたEL(電気機関車)、DL(デイーゼル機関車)について運転の安全確保 実施による昭和四二年七月国鉄から組合に明示されている。債権者らの主張する機関助手廃止問題も、投炭焚火等の作業のいらない近代化されたEL(電気機関車)、DL(デイーゼル機関車)について運転の安全確保の方法を十分整備したうえ、機関助士を廃して機関士の一人乗務をしようというものであつて、債権者らのいうような労働強化を伴うものではない。その上昭和四三年九月二〇日に実施したストライキの際、債務者と国労・動労との間において「EL・DL一人乗務の安全問題については別に設ける委員会に依頼し、委員会から答申された内容は尊重し、労働条件については団体交渉できめる。」との点で意見が一致し、同年一〇月労使の共同推薦による東京大学医学部c外四氏を委員とする「電気機関車、デイーゼル機関車の乗務員数と安全との関係についての調査委員会」が発足し、同委員会は昭和四四年三月二四日まで一五回にわたつて委員会を開催したほか、広島ー岡山間での実地調査、鉄道科学研究所の多数の資料、労使及び委員からの提出資料、添乗による調査等慎重に検討した結果、同年四月九日にその調査報告書を提出した。 右報告書の要旨は「国鉄のEL・DLを一人乗務にする客観的条件は熟しており、調査の結果からすると一人乗務の生理的負担はその生理的限界を超えていない。安全性についてもEL・DLにおける一人乗務と二人乗務とを比較した場合に一人乗務の場合が二人乗務の場合よりも事故率が増えているという結果がみられないことは、一人乗務を進める上で安全についての基本的な危惧のないことを示唆している。ただ急激に実施することは種々の混乱を生ずる可能性が大きいので、一人乗務への移行もある程度の実績をみながら漸進的に実施していく心構えも必要である。 乗務員の健康管理も十分重点をおいて考えるべきである。また労働条件の科学的合理的改善が一人 ずる可能性が大きいので、一人乗務への移行もある程度の実績をみながら漸進的に実施していく心構えも必要である。 乗務員の健康管理も十分重点をおいて考えるべきである。また労働条件の科学的合理的改善が一人乗務を円滑に進める上に大いに役立つこともここに指摘しておく。 多くの乗客を輸送する国鉄としては、この報告書に基づき労使協力して国鉄近代化を進めて行くことを期待する。」というのである。そこで、債務者は昭和四四年五月一二日各組合に対して、まず操車場のハンプ押上げ機関車と一部貨物列車について六月一日から切り替え、その後逐次段階的に一人乗務を実施する計画を提案したが、組合側は昭和四三年九月二〇日ストの際の協定にもかかわらず、右提案に反対していわゆる第六波ストを実施するにいたつた。 右に述べたように債務者の提案している合理化案は、国鉄が現代の企業として生きるためには当然しなければならないことであつて、これによつて職員の労働強化、人員整理を伴うものではなく、その実施に当つても組合側の意見、輸送の安全対策も充分考慮しているのであるから、組合側にてこれに反対して違法ストを実施する正当性はなんらないといわなければならない。 第三疏明(省略) 理由 一仮処分申請の適否本件仮処分申請は、債務者の総裁が債権者らに対し日本国有鉄道法三一条一項にもとづいてした懲戒免職処分が無効であるから債権者らがいぜんとして雇用契約上の権利を有することを本案として、その地位の保全を求めるものである。ところが、債務者は、右懲戒免職処分は公権力の行使に当る行政処分であつて、これに対する民訴法上の仮処分は行政事件訴訟法四四条の規定によつて許されないのであるから、本件仮処分申請は不適法として却下すべきであると主張する。 しかしながら、債務者は一般の私人又は私法人が経営主 れに対する民訴法上の仮処分は行政事件訴訟法四四条の規定によつて許されないのであるから、本件仮処分申請は不適法として却下すべきであると主張する。 しかしながら、債務者は一般の私人又は私法人が経営主体となつている民営鉄道とは異なる特殊の公法人事業体たる性格を有するもの(日本国有鉄道法二条)であるが、その行う事業ないし業務の実態は、運輸を目的とする鉄道事業その他これに関連する事業ないし業務であつて(同法三条)、国・公共団体又はその職員の行う権力的作用を伴う職務ではなく、民営鉄道のそれと何ら異なるところはない。また、債務者の職員は法令により公務に従事するものとみなされ(同法三四条一項)、その任免・給与・分限・懲戒等について国家公務員の場合と同様な規定(同法二七条ないし三一条)があるけれども、その法律関係のあらゆる面で一般の私企業にはみられない国家の優越的な支配関係を認める規定に律される国家公務員法の適用を受ける職員とはちがつて、債務者の職員については同法の適用はない(日本国有鉄道法三四条二項)。そして、債務者の職員の労働関係に関しては公労法および補充的に労働組合法の定めるところによることとして(公労法三条)、その労働組合に広汎な団体交渉権が与えられて債務者と対等の立場において団体交渉事項に関し労働協約を締結する権利が認められ(同法八条)、債務者とその職員との間に発生した紛争については公共企業体等労働委員会による斡旋・調停・仲裁の制度が設けられ(同法二六条ないし三五条)、さらに不当労働行為については公共企業体等労働委員会による救済が認められている(同法三条、二五条の五)。右のような日本国有鉄道法・公労法の関係規定にてらして、債務者とその職員との雇用関係は、債務者を行政主体とする特別権力関係としてではなく、むしろ対等当事者相互の法律関係として 法三条、二五条の五)。右のような日本国有鉄道法・公労法の関係規定にてらして、債務者とその職員との雇用関係は、債務者を行政主体とする特別権力関係としてではなく、むしろ対等当事者相互の法律関係として、基本的には私法関係であると解するのが相当である。 したがつて、日本国有鉄道法三一条一項にもとづく本件懲戒免職処分は行政事件訴訟法四四条にいう行政庁の処分等に該当しないと解すべきであるから、債務者の右主張は採用することができない。 二被保全権利の存否 1 債権者aが昭和二一年三月四日に、債権者bが昭和三八年七月一日に債務者に雇用され、昭和四四年八月当時いずれも債務者の東京西鉄道管理局小金井電車区所属運転士として勤務していたものであること、債権者aが昭和四四年五月三〇日中央線武蔵小金井駅から東京駅まで第四〇〇T電車を運転し、同駅で折返し第五〇一T電車を運転して武蔵小金井駅まで帰る乗務に服すべきところ、右四〇〇T電車を東京駅まで運転しただけで同駅中央線ホーム二番線に放置したまま右五〇一T電車の乗務を放棄したこと、債権者bが同日同区間上り第四〇〇F電車を運転し、東京駅で折返し下り第五〇一F電車を運転して武蔵小金井駅へ帰る乗務に服すべきところ、右四〇〇F電車を東京駅まで運転しただけで同駅中央線ホーム一番線に放置したまま右五〇一F電車の乗務を放棄したこと、債権者らの右各乗務放棄行為が日本国有鉄道法三一条一項一号及び二号に該当するとして、債務者の総裁が昭和四四年八月七日債権者らに対してそれぞれ免職する旨の意思表示をし、同日右意思表示が同日債権者らに各到達したことはいずれも当事者間に争がない。 2 債権者らの右乗務放棄行為が、債権者らの加入している動労がいわゆる国鉄合理化計画に反対して同盟罷業を行うべきことを組合員に指令し、その組合員である債権者らが右指令 はいずれも当事者間に争がない。 2 債権者らの右乗務放棄行為が、債権者らの加入している動労がいわゆる国鉄合理化計画に反対して同盟罷業を行うべきことを組合員に指令し、その組合員である債権者らが右指令に従つて債務者に対して労務の供給を拒否したものであることもまた当事者間に争いがなく、右罷業により、当時東京駅中央線ホーム二本が塞がれて後続電車が同駅に入ることができないで、多数の電車が運転休止及び遅延する事態が生じて債務者の業務の正常な運営が阻害されたことは後記認定のとおりである。したがつて、債権者らの右乗務放棄行為は公労法一七条一項の禁止規定に違反しておこなつた違法な争議行為というべきである。 そして、成立に争のない乙第二二号証によれば、債務者の定める就業規則が職員の服務の基準について日本国有鉄道法三二条一項及び二項と同旨の規定を(四条一項及び二項)もうけているほか「職員は、みだりに欠勤、遅刻あるいは早退し、又は所属上長の許可を得ないで、職務上の居住地又は執務場所を離れ、若しくは執務時間を変更し、職務を交換してはならない」と規定し(五条)、懲戒について「故なく職場を離れ又は職務につかないとき」(六六条六号)、「その他著しく不都合な行ないのあつたとき」(六六条一七号)を懲戒事由にあげていることが認められ、日本国有鉄道法が職員の服務の基準に関し「職員は、その職務を遂行するについて、誠実に法令及び日本国有鉄道の定める業務上の規程に従わなければならない」(三二条一項)こと及び「職員は、全力をあげて職務の遂行に専念しなければならない」(同条二項)ことを規定し、懲戒について「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」(三一条一項一号)及び「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」(同項二号)を懲戒事由としている。したがつて、債権 、懲戒について「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」(三一条一項一号)及び「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」(同項二号)を懲戒事由としている。したがつて、債権者らは本件争議行為により日本国有鉄道法三一条一項一号及び二号に該当するにいたつたものといわなければならない。 3 債権者らは、国鉄職員の争議行為を禁止する公労法第一七条の規定は、憲法第二八条に違反し無効であるから、債権者らの行なつた乗務放棄に対してなされた本件免職処分は労働組合法第七条第一号に違反し無効である旨主張するが、公労法第一七条の規定は憲法第二八条に違反するものではないと解するを相当とするから(昭和四一年一〇月二六日最高裁大法廷判決参照)債権者らの右主張は、その前提を欠くものであつて、とうてい採用できない。債権者らは、債権者らの行なつた乗務放棄は単純な労務放棄であり、且つその影響も極めて小範囲のものであつたのであるから、右の如き争議行為について民事責任を課すことは憲法第二八条の趣旨に反する旨主張するけれども、債権者らの前記乗務放棄が公労法一七条一項違反の争議行為に該当することは、まえにみたとおりであるから、右主張も採用の限りでない。 4 債権者らは、債権者らの行なつた乗務放棄は、いわゆる集団的労働関係における争議行為としてであり、しかもその目的・手段において正当な争議行為の範囲内にとどまるものであるから、これに対していわゆる個別的労働関係における服務規律違反として就業規則又は日本国有鉄道法に規定する懲戒処分の制裁ないし問責をおこなつてはならない旨主張する。しかし債務者の事業ないし業務の強い公共性にかんがみて、公労法一七条一項の規定は、その行為がたんなる債務不履行(同盟能業)等の行為であつても、業務の正常な運営を阻害するものであるかぎり、 旨主張する。しかし債務者の事業ないし業務の強い公共性にかんがみて、公労法一七条一項の規定は、その行為がたんなる債務不履行(同盟能業)等の行為であつても、業務の正常な運営を阻害するものであるかぎり、これを違法とするものであつて、憲法二八条の保障する団体行動の一つである争議をする権利を制限するものである。したがつて、いわゆる事業法たる日本国有鉄道法の定める懲戒の規定(三一条一項)は、債務者の職員が争議行為として同法三一条一項の各号の一に該当する行為をした場合にその適用を排除すべき理由を見出しがたく、争議行為にも適用があるものと解するほかない。債権者らの右主張は採用しがたい。 5 そこで本件免職処分が懲戒権の濫用に該るかどうかについて判断する。 日本国有鉄道法三一条一項の規定は、債務者の総裁は、同項の各号の一に該当する違反行為をした職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができるとしているが、懲戒をするかどうか、懲戒の種類のうちどのような処分をするかは、違反行為の態様・程度に応じて、債務者の総裁の合理的な裁量に委ねる趣旨と解すべきである。(そして、債務者の総裁の裁量権の範囲とはいつても、その懲戒処分は、職員の身分を保障する同法二九条、三〇条等の規定の趣旨にてらして、また、職員のした違反行為が公労法一七条一項の禁止規定に違反した争議行為である場合においては、とくに職員の労働基本権を保障した憲法の精神にかんがみて、必要な限度を超えない合理的な範囲にとどめなければならないと解するのが相当である。)以下本件争議行為についてみる。 (一) 債権者らの本件争議行為が動労の罷業指令にもとづくものであることはまえに認定したとおりであるが、証人dの証言により真正に成立したと認める甲第五号証、証人eの証言により真正に成立したと認め 。 (一) 債権者らの本件争議行為が動労の罷業指令にもとづくものであることはまえに認定したとおりであるが、証人dの証言により真正に成立したと認める甲第五号証、証人eの証言により真正に成立したと認める甲第六号証、同証人らの証言並びに債権者らの各本人尋同の結果によると、つぎの事実を一おう認めることができる。 いわゆるEL・DL一人乗務制の段階的実施計画に反対して、動労中央斗争委員会はいわゆる第六波ストライキとして半日ストを決行するにあたつて中央三電車支部(豊田、武蔵小金井、三鷹)には動労の組合員が少数であることを考慮して斗争の戦術効果をたかめるために東京駅において同駅に乗り入れる電車の乗務員を管理する計画をたて、昭和四四年五月三〇日午前四時四〇分同支部に対しそのようなスト突入の指令を出した。右指令にもとづいて、動労中央斗争委員会の委員で東京地方拠点の最高責任者として派遣されたdは動労東京地方本部書記長の役職にあるeとともに組合動員者二〇名を引率して東京駅中央線ホームで待機していたところ、同日午前五時二〇分頃四〇〇F電車が、ついで五時四〇分頃四〇〇T電車が到達し、それぞれ運転士である債権者b、同aが運転台交換のため下車するやいなや、そのつどただちにこれを説得して罷業指令に服させた。債権者らは右d、e及び動員者らによつて囲まれるようにして連れ去られ、あらかじめ用意されたタクシーに乗せられて組合の管理下に入つたのであるが(尤も組合ではこれを称して自主参加方式というようであるが。)「組合の指令だから、ここからストに参加してもらう。責任は中斗(中央斗争委員会委員のことである。)の私がとる。」とdにいわれて、その場では、これに従うよりほかに途がないとして右指令に服したが、その職場を離脱するにあたつてそれぞれ電車の転動防止のブレーキ措置を講じたし、ま 員会委員のことである。)の私がとる。」とdにいわれて、その場では、これに従うよりほかに途がないとして右指令に服したが、その職場を離脱するにあたつてそれぞれ電車の転動防止のブレーキ措置を講じたし、またdは債務者の東京南鉄道管理局及び東京西鉄道管理局の各労働課長あてに「組合の責任において債権者らを組合の管理下に収容した」旨を電話連絡した。 かように認められるから、その縁由的事情にてらして、債権者らの右罷業(怠業)参加をとくに厳しく責めるのは酷であろう。 (二) 債権者らが当時服務に係る仕業の勤務内容についてみるに、成立に争のない乙第三号証から第七号証まで、第一〇号証から第一五号証まで、債権者らの各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨をあわせると、つぎのとおり一おう認めることができる。 債権者aは、五月二九日から五月三〇日にかけて武蔵小金井電車区平日第三八仕業という勤務についたが、その内容は以下のとおりである。五月二九日一五時一四分電車区に出勤して出勤点呼を受け、仕業票を受け取り、当日の仕業関係掲示類を熟読し、必要事項を乗務日誌に記入するなど、乗務のための準備をし、乗務前に仕業点呼を受ける。同日武蔵小金井駅一六時九分三〇秒発車の一五〇二F電車(高尾駅発東京駅行)を同駅から乗り継いで運転し、一六時五一分三〇秒東京駅着、同駅において、段落し乗継ぎ(運転した電車が終着駅に到着した後、その電車から降車して後続の他の電車に乗継いで運転することをいう。)となり、後続の一六〇八F電車が一七〇九F電車(東京駅発青梅駅行)となり、同電車を運転し、一七時一分三〇秒東京駅を発車、一七時五八分三〇秒立川駅に到着、乗継ぎ運転士と交替降車する。同駅上り二番線より一八時一一分三〇秒発一七一〇A電車(高尾駅発東京駅行)に便乗(運転士が仕業票にしたがつて、乗継ぐため又は乗継ぎ を発車、一七時五八分三〇秒立川駅に到着、乗継ぎ運転士と交替降車する。同駅上り二番線より一八時一一分三〇秒発一七一〇A電車(高尾駅発東京駅行)に便乗(運転士が仕業票にしたがつて、乗継ぐため又は乗継ぎを終えた場合、在勤地から乗継地まで又は乗継地から在勤地まで、電車の運転をしないで乗務することをいう。)し、武蔵小金井駅到着となる。同日同駅一九時一五分発車の一八二五F電車(東京駅発福生駅行)を同駅より乗継ぎ運転し、一九時四六分福生駅に到着、同電車は折返一九二四F電車(福生駅発立川駅行)となり、一九時五一分同駅を発車、二〇時一一分立川駅に到着、同電車は立川駅より回送電車(客扱いを行わないで本線上を運転する電車をいう。)となり、引続き同駅から武蔵小金井駅まで運転、二〇時二二分同駅に到着後電車を電車区に入区させる。入区後到着点呼を受け、翌日の起床時刻まで電車区内の休養室(宿泊施設のあるもの)で休養し、この間に継続四時間以上の睡眠をとる。五月三〇日武蔵小金井駅乗継ぎ乗務のため、乗継ぎ電車発車時刻四五分前に起床して出場点呼を受け、同駅四時四六分発四〇〇T電車(豊田駅発東京駅行)を同駅より乗継ぎ運転し、五時三五分東京駅一番線に到着、同電車は折返五〇一T電車(東京駅発高尾駅行)となり、五時四〇分三〇秒同駅を発車、六時二九分三〇秒武蔵小金井駅に到着、乗継運転士と交替降車する。右降車後電車区にて終了点呼を受け、七時一五分勤務終了となる。債権者bは、五月二九日から五月三〇日にかけて同電車区平日四一仕業という勤務についたが、その内容は以下のとおりである。五月二九日一五時三二分電車区に出勤して出勤点呼を受け、仕業票を受け取り、当日の仕業関係掲示類を熟読し、必要事項を乗務日誌に記入するなど乗務のための準備をなし、乗務前に仕業点呼を受ける。同日武蔵小金井駅一六時二七分 二分電車区に出勤して出勤点呼を受け、仕業票を受け取り、当日の仕業関係掲示類を熟読し、必要事項を乗務日誌に記入するなど乗務のための準備をなし、乗務前に仕業点呼を受ける。同日武蔵小金井駅一六時二七分三〇秒発車の一六二〇F電車(高尾駅発東京駅行)を同駅より乗継ぎ運転し、一七時一〇分東京駅到着、同駅において、段落し乗継ぎとなり、後続の一六一六T電車が一七一七T電車(東京駅発豊田駅行)となり、同電車を運転、一七時一九分三〇秒東京駅を発車、一七時五六分三鷹駅到着、同駅において乗継運転士と交替、引続き同電車で武蔵小金井駅まで便乗、同駅で降車する。同日同駅一八時五二分三〇秒発車の一八一三F電車(東京駅発高尾駅行)を同駅より乗継ぎ運転し、一九時二七分三〇秒高尾駅に到着、同電車は折返一九一二F電車(高尾駅発東京駅行)となり、一九時三九分三〇秒同駅を発車、武蔵小金井駅二〇時七分到着、乗継運転士と交替降車する。降車後電車区にて到着点呼を受け、翌日の起床時刻まで電車区内の休養室で休養し、この間に継続四時間以上の睡眠をとる。五月三〇日は、出区時刻七〇分前に起床し、出場点呼を受け、四〇〇F電車(武蔵小金井駅発東京駅行)を整備して電車区を出区、四時二八分三〇秒武蔵小金井駅を発車、五時一八分東京駅一番線に到着、同電車は折返五〇一F電車(東京駅発高尾駅行)となり、五時二四分東京駅を発車、六時一三分武蔵小金井駅に到着、乗継運転士と交替降車する。右降車後電車区にて終了点呼を受け、六時五八分勤務終了となる。 かような仕業内容について、債権者らは、それぞれ運転乗務の電車六本のうち最終の一本の乗務(時間にして四九分)を放棄しただけであり、その仕業の勤務時間に対する罷業(怠業)時間は、債権者aの場合において一六時間一分に対し一時間三五分、債権者bの場合において一五時間二六分に対し一 一本の乗務(時間にして四九分)を放棄しただけであり、その仕業の勤務時間に対する罷業(怠業)時間は、債権者aの場合において一六時間一分に対し一時間三五分、債権者bの場合において一五時間二六分に対し一時間三四分であるにすぎないことが一おう認められる。したがつて、右罷業(怠業)がただちに乗務員の不適格性に結びつくものであり、又は責任の重大性にかんがみて国鉄始まつていらいこれまでに例をみなかつたことであるといつて非難するのは相当でないというべきである。 (三) 債権者らが前記電車の乗務を放棄した後において、別表A及びB記載のとおりそれぞれ電車の遅延及び運休が発生したことは当事者間に争がなく、成立に争のない乙第二〇号証の一から一八まで、証人fの証言により真正に成立したと認める乙第一八、第一九号証及び同証言によると、債権者らが五〇一F電車及び五〇一T電車の各乗務を放棄したことにより、東京駅中央線ホームが塞がつて後続電車が同ホームに入ることができなかつたし、また右五〇一F電車が七〇分、五〇一T電車が三三分それぞれ遅れて東京駅を発車するのやむなきにいたつたことから、別表A記載のとおり神田駅から吉祥寺駅までの途中駅において合計一八本の電車が九分三〇秒ないし三二分の抑制をよぎなくされたうえ、さらに別表B記載のとおり一九本の電車が運転を休止するはめになつたことが一おう認められる。 しかし、前記乙第一八号証、債権者aの本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、途中駅における右電車の抑制・遅延は、約一時間の間に一八本にも及んだが、いずれも乗客員数の比較的すくない時間帯にぞくし、しかも午前七時までに収束されてラツシユ・アワーの混雑をさらに増幅させるにいたらなかつたこと、午前五時台から午前八時台までの中央線及び総武線の上下合計二二六本の電車のうち一九本が運休 間帯にぞくし、しかも午前七時までに収束されてラツシユ・アワーの混雑をさらに増幅させるにいたらなかつたこと、午前五時台から午前八時台までの中央線及び総武線の上下合計二二六本の電車のうち一九本が運休したが、ラツシユ・アワーの午前八時台での運休電車は中央線上り二七本中の二本だけであつたので、さしたる影響はなかつたことが一おう認められる。証人fの証言中右認定に反する部分はにわかに措信しがたい。したがつて、債権者らの本件乗務放棄により債務者の業務の正常な運営を阻害する結果を来したことは、これを否定し去ることはできないが債務者の業務に甚大な結果をもたらし、国民生活に重大な支障をきたしたとみるのは、正鵠をえたものではないといわなければならない。 (四) 本件争議行為を含む前記半日ストの決行による職員の不利益処分についてみるに、証人e、同dの証言によると、動労中央斗争委員会委員で東京地方拠点最高責任者として同委員会から派遣され、右拠点斗争を指導したりなどしたdが公労法一七条違反の責任を問われて同法一八条により同年六月に解雇されたほか、債権者らと同じように電車の運転乗務を放棄して罷業(怠業)に参加した職員のうち三、四名の者が減給の懲戒処分に付されたことが一おう認められる。 右に認定した(一)から(四)までの事実にてらして考えるに、債権者両名に対する本件懲戒免職処分は、その妥当性・合理性を欠き、債務者の総裁に認められた日本国有鉄道法三一条一項の定める懲戒権の合理的な範囲を著しく逸脱したものと認めるのが相当である。したがつて本件免職処分は懲戒権の濫用として無効であるというべきである。 6 そうすると、債務者と債権者らとの間における各雇用関係がなお存続し、債権者らは債務者に対してその雇用契約上の権利を有するといわなければならない。本件懲戒免職処分によつて右 るというべきである。 6 そうすると、債務者と債権者らとの間における各雇用関係がなお存続し、債権者らは債務者に対してその雇用契約上の権利を有するといわなければならない。本件懲戒免職処分によつて右雇用関係が終了したとして、債務者が債権者らの就労を拒絶し、そのために債権者らが就労できないでいることは当事者に争のないところであるから、債権者らは、債務者の責に帰すべき事由でその就労をはたしていないのであつて、債務者に対する賃金請求権を失わないことが明らかである。 本件懲戒免職処分当時債権者aが六万六八〇〇円、債権者bが四万三六〇〇円の各月額給与の賃金をえ、毎月二〇日限りその支払を受けていたが、昭和四四年九月一日以降賃金の支払を受けていないことは当事者間に争がないから、債権者らは債務者に対して昭和四四年九月一日以降毎月二〇日限り右月額相当の賃金請求権を有することになる。 三仮処分の必要性債権者らの各本人供述に弁論の全趣旨をあわせると、債権者らは右賃金を唯一の収入源としてその生活を営む労働者であるところ、本件免職以後右収入の途を絶たれ、動労から生活資金の貸与を受けていることが一おう認められるから、特段の事情の認めるべきものがないかぎり、右賃金の支払を受けられないときは、債権者らはただちにその生活に困窮して著しい損害をこうむるおそれがあると認めるのが相当である。本件仮処分の必要性は肯認できる。 四結び以上述べたとおりであるから、債権者らの本件仮処分の申請は、被保全権利及び保全の必要性について疎明があるものというべきであるから、債権者らに保証を立てさせないで、これを認容することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官兼築義春中川幹郎吉川正昭)別表A<17967-001><17967-0 てさせないで、これを認容することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官兼築義春中川幹郎吉川正昭)別表A<17967-001><17967-002>別表B<17967-003>

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