平成28年1月22日判決言渡平成24年(行ウ)第560号国民年金障害基礎年金不支給処分取消請求事件主文 1 処分行政庁が平成22年12月9日付けで原告に対し,平成18年5月1日を受給権の発生日とする国民年金法に基づく障害基礎年金の裁定の請求を却下した処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文と同旨第2 事案の概要本件は,原告が,平成22年9月22日,処分行政庁に対し,うつ病により障害の状態にあるとして,主位的に障害認定日(平成18年5月1日。以下,同日を「本件障害認定日」という。)を受給権の発生日とする障害基礎年金の裁定の請求をし,予備的に裁定請求日(平成22年9月22日。以下,同日を「本件裁定請求日」という。)を受給権の発生日とするいわゆる事後重症による障害基礎年金の裁定の請求(以下,これらの請求を「本件裁定請求」という。)をしたところ,処分行政庁から,主位的請求については,黙示的に却下し,予備的請求については,本件裁定請求日を受給権の発生日とし,原告の障害の状態は国民年金法施行令別表に定める障害等級2級に該当する程度にあるとして,障害基礎年金を支給する旨の裁定(以下「本件処分」という。)を受けたことについて,本件障害認定日を受給権の発生日とする旨の裁定がされなかったことを不服として,本件処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め本件に関係する関係法令の定めは,別紙「関係法令の定め」に記載のとおりである(同別紙における略称を,以下の本文においても用いることとする。)。 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。ただし,⑶オの事実は当裁判所に顕著である。)( とおりである(同別紙における略称を,以下の本文においても用いることとする。)。 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。ただし,⑶オの事実は当裁判所に顕著である。)(1) 行政通達の定め厚生労働大臣による国年令別表に規定する障害の程度の認定は,「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の改正について」(平成14年3月15日庁保発第12号社会保険庁運営部長通知)により定められた国民年金・厚生年金保険障害認定基準(以下「認定基準」という。)によって行われている。 なお,認定基準は,平成22年10月13日付けで改正されているが,同改正後の認定基準は,平成22年11月1日から適用されるものとされ,本件裁定請求時点においては,同改正前の認定基準が適用されている。認定基準のうち,本件に関係する部分の概要は,次のとおりである(乙2,弁論の全趣旨)。 ア障害等級2級の障害の程度障害等級2級の障害の程度である,日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは,必ずしも他人の助けを借りる必要はないが,日常生活は極めて困難で,労働による収入を得ることができない程度のものであり,例えば,家庭内の極めて温和な活動(軽食作り,下着程度の洗濯等)はできるが,それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの,すなわち,病院内の生活でいえば,活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり,家庭内の生活でいえば,活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。 イ認定の方法障害の程度の認定は,診断書及びX線フィルム等の添付資料により行う。 ただし,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合等には,再診断を求め又は療養の経過,日常生活状況等の調査,検診,その他所要の調査等を実施するなどして, 書及びX線フィルム等の添付資料により行う。 ただし,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合等には,再診断を求め又は療養の経過,日常生活状況等の調査,検診,その他所要の調査等を実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で,認定を行 う。また,原則として,本人の申立て等及び記憶に基づく受診証明のみでは判断せず,必ず,その裏付けの資料を収集する。 ウ精神の障害についての認定基準(ア) 精神の障害の程度は,その原因,諸症状,治療及びその病状の経過,具体的な日常生活状況等により,総合的に認定するものとする。精神の障害は,多種であり,かつ,その症状は同一原因であっても多様であり,したがって,認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに,その原因及び経過を考慮する。精神の障害のうち,「気分(感情)障害」(以下「そううつ病」という。)によるものにあっては,気分,意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり,かつ,これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため,日常生活が著しい制限を受けるものは,障害等級2級に相当すると認められる。 (イ) そううつ病の障害の認定に当たっては,次の点を考慮の上慎重に行う。 そううつ病は,本来,症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものであり,したがって,現症のみによって認定することは不十分であり,症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。 (ウ) 日常生活能力等の判定に当たっては,身体的機能及び精神的機能,特に知情意面の障害も考慮の上,社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また,現に仕事に従事している者については,その療養状況を考慮し,その仕事の種類,内容,従事している期間,就労状況及びそれらによる影響も参考とする。 (2) 応性の程度によって判断するよう努める。また,現に仕事に従事している者については,その療養状況を考慮し,その仕事の種類,内容,従事している期間,就労状況及びそれらによる影響も参考とする。 (2) 原告の通院歴等ア原告は,昭和38年▲月▲日生まれの男性である(甲1)。 イ原告は,昭和56年4月から,P1において,現場作業員として就労し ていたところ,平成7年頃,椎間板ヘルニアと診断されて手術をし,その後,数度の手術をし,入院と退院をくり返すなどし,やがて退社した(甲38)。 ウ原告は,平成16年5月頃,当時婚姻をしていた妻(以下「前妻」という。)から,夜中に暴言を吐かれるようになり,眠れず,食欲もなくなるようになった(甲38,原告本人)。 エ原告は,その後,P2(以下「P2」といい,原告と併せて「原告ら」という。)と知り合い,平成16年8月頃から,P2の二男を含めて3人で同居を始めた。そして,原告は,同年9月,前妻と離婚をした上でP2と婚姻をした(甲38,39,原告本人)。 オ原告は,その後,同居していたP2の二男への気遣い等から,精神的に疲弊していった(甲38)。 カ原告は,平成16年11月1日,P2に薦められ,当時P2が通院していたP3クリニックで診察を受け,うつ病と診断された(甲38,原告本人。以下,同日を「本件初診日」という。)。 キ原告らは,平成17年3月頃に転居をしたところ,P3クリニックに通院する距離が長くなり,通院が困難となった。原告は,その後もしばらくは,同クリニックに通院していたが,同年6月24日に,自宅に近いP4クリニックで診察を受けてから,平成18年12月13日まで,同クリニックに通院した(甲15,29,38)。 ク原告らは,平成19年1月23日,P5クリニックで診察を受け,以後, に,自宅に近いP4クリニックで診察を受けてから,平成18年12月13日まで,同クリニックに通院した(甲15,29,38)。 ク原告らは,平成19年1月23日,P5クリニックで診察を受け,以後,同クリニックに通院するようになった(甲8,27)。 ケ原告は,本件初診日において,被保険者であり,国年法30条1項ただし書が定める一定の保険料を納付している。 (3) 本件訴えの提起に至る経緯ア原告は,平成22年9月22日,平成16年11月1日(本件初診日) を初診日とするうつ病(以下「本件傷病」という。)により,主位的に,国年法30条1項の規定に基づき本件障害認定日による障害基礎年金の裁定の請求を,予備的に,国年法30条の2の規定に基づき事後重症による障害基礎年金の裁定の請求をした(甲1,2)。 イ処分行政庁は,平成22年12月9日付けで,本件裁定請求に対し,本件裁定請求日における原告の本件傷病による障害の状態は,障害等級2級の程度に該当するとして,原告につき,平成22年9月をもって受給権を取得し,同年10月から障害基礎年金を支給する旨の裁定をし,本件障害認定日による裁定の請求を黙示的に却下した(本件処分)(甲3)。 ウ原告は,平成23年1月11日,本件処分を不服として,関東信越厚生局社会保険審査官に対し,審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたが,同審査官は,同年3月31日付けで,本件審査請求を棄却する旨の決定をした(甲4,5)。 エ原告は,平成23年5月17日,上記ウの決定を不服として,社会保険審査会に対し,再審査請求(以下「本件再審査請求」という。)をしたが,同審査会は,平成24年2月29日付けで,本件再審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲6,7,弁論の全趣旨)。 オ原告は,平成24年8月21日,本件訴 求(以下「本件再審査請求」という。)をしたが,同審査会は,平成24年2月29日付けで,本件再審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲6,7,弁論の全趣旨)。 オ原告は,平成24年8月21日,本件訴えを提起した。 3 争点本件の争点は,原告が本件障害認定日(平成18年5月1日)において本件傷病により障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったかどうかである。 4 争点に関する当事者の主張(原告の主張の要旨)(1) 原告の本件障害認定日における症状についてア本件処分は,本件裁定請求日(平成22年9月22日)には,原告は本件傷病により,障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったが,本 件障害認定日(平成18年5月1日)においては,障害等級2級に該当しないというものである。 しかしながら,本件障害認定日頃の本件傷病の症状は,本件裁定請求日のものより重篤であった。 イ本件障害認定日頃の本件傷病の症状及びこれに至る経緯は,以下のとおりである。 原告は,平成16年5月頃,不眠,摂食障害(食べても吐いてしまう),自殺念慮,対人恐怖,無気力等の症状を有するようになり,同年11月1日,P3クリニックで診察を受けた。 原告は,平成17年2月10日,薬の大量摂取により,救急車でP6病院に搬送された。 原告は,転居したため,P3クリニックに通院することが困難となり,平成17年6月24日にP4クリニックで診察を受け,薬物治療を受けるようになった。原告は,その頃,自分では何もできず,自立した生活が極めて困難であり,不眠,摂食障害,自殺念慮等が強まり,P4クリニックの主治医とのコミュニケーションもうまくいかず,転医を志すも様々な事情からできず,困難を極めた時期であった。 原告は,平成18年12月までP4クリニックに通院したが,その 等が強まり,P4クリニックの主治医とのコミュニケーションもうまくいかず,転医を志すも様々な事情からできず,困難を極めた時期であった。 原告は,平成18年12月までP4クリニックに通院したが,その後通院をやめ,平成19年1月23日にP5クリニックに転医した。 原告は,平成17年11月23日,平成18年7月8日及び平成21年8月26日に,薬の大量摂取により,救急車でP6病院に搬送され,一命を取り留めるということがあった。 また,原告は,平成18年5月中旬に,うつ病にり患していることを秘匿して友人の紹介により就職することができたが,内実は全く就労するに足る能力はなく,会社に行くことが毎日恐怖であった。実際にも,原告の症状は悪化し,上記のとおり,原告は,同年7月8日,薬を大量摂取する 事件を起こした。 原告は,就職して1か月が経過した頃から,人前に出ると手足がけいれんするようになり,満足に会話もできなくなって,P2以外の者と会話することを恐怖に感じていた。そして,原告は,就職直後の時期であったため,なるべく精勤に努めたが,早退や欠勤を繰り返した。 ウ原告の本件障害認定日頃における日常生活の能力は,以下のとおりである。 トイレは「自発的にできた」が,着替えは「自発的にできたが援助が必要」,入浴,食事,散歩,掃除及び買物は「自発的にはできないが援助があればできた」,洗面,炊事及び洗濯は「できなかった」。排泄以外は,ほとんど自発性がなかったといえる。 エ本件裁定請求日頃と本件障害認定日頃の診療録の記載を見比べると,有意な差はみられず,処方された向精神薬の内容をみると,P4クリニックに通院していた時の方が量が多い。P4クリニックに通院し始めた当初においては,最高量に近い量の○が処方されていたところ,副作用軽減のためにその後減量した された向精神薬の内容をみると,P4クリニックに通院していた時の方が量が多い。P4クリニックに通院し始めた当初においては,最高量に近い量の○が処方されていたところ,副作用軽減のためにその後減量した。一方で,P5クリニックにおいて,最初に処方された○は,うつ病治療の最低量から始めているなど,本件裁定請求日頃,複数の向精神薬が処方されているものの,それぞれの分量は,最高量からほど遠いものとみられる。 オ原告の本件障害認定日頃の症状については,原告が本件再審査請求をした際に提出した病歴状況申立書(甲23。以下「再審査時病歴申立書」という。)に記載のとおりである。ここに記載された内容は,P4クリニックの診療録(甲15)の記載と何ら矛盾しない。 カそして,原告は,平成17年2月10日,同年11月23日,平成18年7月8日及び平成21年8月26日に大量服薬事故を起こしている。平成18年7月8日には,合計180錠の薬を服用しているが,このような 薬の残り方自体が異常であり,このことから原告が「日常生活」であるはずの服薬行動が全く正常に行うことができていなかったことが分かる。 キ原告の本件障害認定日頃及び本件裁定請求日頃の症状をみると,アメリカ精神医学会が診断のために作成しているDSM(DiagnosticandStatisticalManualofMentalDisorders:精神障害の統計・診断マニュアル。 以下「DSM」という。)-Ⅳ及びDSM-5が掲げているエピソードのほぼ全てに当てはまることが分かる。また,原告に対し,一貫して薬物療法がとられてきたことから,医師が,原告を中等症以上のうつ病患者であると認識していたこととなる。そして,原告の本件障害認定日頃における症状を,疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10 薬物療法がとられてきたことから,医師が,原告を中等症以上のうつ病患者であると認識していたこととなる。そして,原告の本件障害認定日頃における症状を,疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10。以下「ICD-10」という。)の指標に照らせば,中等症に位置づけられ,日常生活や仕事を続けることは困難な状態であるとされる。 ク就労状況についても,本件障害認定日頃と本件裁定請求日頃とで有意な差はみられない。原告がP5クリニックに通院するようになってからも,非常に苦痛を感じながらではあるが,就労していた。 この点,被告は,平成18年5月9日頃から平成23年2月15日まで会社勤めをし,平成21年9月までほぼ同額の報酬を得ていたから,本件障害認定日頃,労働能力も日常生活能力も十分にあったと認められる旨主張する。 しかしながら,原告は,生活のために無理して働いていたのであり,早退や欠勤も多く,自殺行動もありながら何とか働いていたのであって,就労していたという事実だけで,労働能力も日常能力も十分にあったということはできない。診療録にも,就労に関する記載があるところ,生活のために無理矢理就労しているが十分には就労できず,困難に直面していることが読み取れる。また,就労するについても,服薬による症状の抑制が多少なりとも行われていた中でのことを想起すべきである。 精神の障害の認定に際し,現に仕事に従事する者については,その療養状況を考慮し,その仕事の種類,内容,従事している期間,就労状況及びそれらによる影響も参考にするとされているところ,現代社会において,重篤なうつ病に罹患しながら,無理に就労し,その後超長期の休職を余儀なくされたりすることがあるのは周知の事実であると思われる。したがって,就労していることをもって就労可能なことと判断することは て,重篤なうつ病に罹患しながら,無理に就労し,その後超長期の休職を余儀なくされたりすることがあるのは周知の事実であると思われる。したがって,就労していることをもって就労可能なことと判断することは現に慎まなければならず,上記の認定基準もその点の配慮から策定されているものと思われる。 ケ以上のとおり,原告の本件障害認定日頃の本件傷病の程度は,極めて危険な状態であった。原告が何とか生命を維持できているのは,P2と共に生活をしているからである。P2も重篤なうつ病にり患しているが,原告とP2の通院日はほとんど同じである。同じ重篤なうつ病を有する者同士,支え合って生きてきたのである。原告の本件障害認定日頃の本件傷病は,「気分,意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり,かつ,これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため,日常生活に著しい制限を受けるもの」に十分に該当する。 (2) P4診断書(乙4)の信用性についてア P4クリニックのP7医師が作成した診断書(乙4。以下「P4診断書」という。)は,原告の本件障害認定日頃の症状に合致していない。 「日常生活能力の程度」については,「⑵ 精神障害を認め,家庭内での日常生活は普通にできるが,社会生活上困難がある。」に印が付けられているが,正しくは,「⑷ 精神障害を認め,日常生活における身のまわりのことも,多くの援助が必要である。」に印が付けられるべきであった。 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」については,「軽快時には就労能力はあった。」とされているが,無理して就労していたというのが実態である。 イ P7医師は,原告に事情聴取等を行うことなく,4年以上も前の診療録を見ながら同診断書を作成したにすぎないのであって,記憶及び想像に基づいたものとしか言いようがなく,信用性に乏し である。 イ P7医師は,原告に事情聴取等を行うことなく,4年以上も前の診療録を見ながら同診断書を作成したにすぎないのであって,記憶及び想像に基づいたものとしか言いようがなく,信用性に乏しい。 ウまた,原告は,P4クリニックに通院していた当時,P7医師に自らの現症等を正しく伝えていなかったため,P7医師は,原告の症状を把握していなかった可能性がある。 エ P7医師は,P4診断書の作成時,原告が繰り返し薬を大量摂取し,救急搬送された事実を認識していなかった。P7医師がそのような事実を知っていれば,P4診断書の記載内容は変わっていたはずであり,P7医師は,そのこと知った後,「1人暮らしを想定した当時の日常生活能力については服薬が適切にできていたとはいえず,また身辺の安全保持及び危機対応も適切にできてはいなかったと考えられます。」と記載した意見書(甲第15号証の後ろから3枚目。以下「P7意見書」という。)を作成している。このP7意見書を踏まえると,原告は,家庭内においても温和な活動自体も困難だったと評価されるべきであり,日常生活は極めて困難な状況にあったといえる。 オ P4診断書は,原告が本件裁定請求の際に提出した病歴状況申立書(乙5。以下「裁定時病歴申立書」という。)及びP5クリニックのP8医師が作成した診断書(甲24。以下「P5診断書」という。)の各記載と矛盾する部分があり,P4診断書のわずかな記載のみを根拠として原告の症状の障害の程度を認定することは,総合的に認定すべきとされていることを怠っているといえる。 カ被告は,原告が本件裁定請求の際,自らP4診断書を提出したのであるところ,それが的確に診断したのでないというのであれば,そのような診断書を提出するはずはなかった旨主張する。 しかしながら,原告は,P7医師が話 が本件裁定請求の際,自らP4診断書を提出したのであるところ,それが的確に診断したのでないというのであれば,そのような診断書を提出するはずはなかった旨主張する。 しかしながら,原告は,P7医師が話を聞いてくれないと感じてお り,仕事を探して働くよう言われるようになったため,戸惑い,P4クリニックに通院したくないという気持ちになったが,薬をもらうためだけに通院していた。そして,原告は,この頃,薬の種類を頻繁に変えられていたため,飲まなくなった薬がたまっており,余った薬を大量服用するという自殺行動が増えていったが,それを伝えると服用管理がきちんとできていないとして薬を処方してもらえなくなると考え,恐怖で伝えることができなかった。 その後,原告が本件裁定請求をするに当たり,担当者から,P7医師の診断書が必要であり,平成22年10月までに提出するよう言われた。そこで,原告は,P7医師に診断書の作成を依頼し,その際に面談を要望したが応じてもらえず,二度ほど催促して同年9月13日頃にようやくP4診断書を作成してもらったものであるところ,それまで面談を断られており,提出期限も迫っていたことから,とりあえず提出したのである。 したがって,原告は,自らの症状と異なる診断書が作成したとは考えながらも,うつ病をかかえ,人と接するのも苦痛を感じながら,障害基礎年金の知識もなく,担当者に言われるがまま,書類をそろえて提出した。 ⑶ 裁定時病歴申立書についてア裁定時病歴申立書は,原告の本件裁定請求日頃の症状を反映したものではない。原告は,その当時,症状が一進一退しており,軽快時と悪化時とでは日常生活の制限の程度が異なり,一つの評価を記載することが困難であった。原告は,そのような状況において,裁定の請求がどのような手続であるかも分からず,裁定に が一進一退しており,軽快時と悪化時とでは日常生活の制限の程度が異なり,一つの評価を記載することが困難であった。原告は,そのような状況において,裁定の請求がどのような手続であるかも分からず,裁定に際しては担当官から事情についても質問してもらう機会があると思い,請求に臨んだのである。 ところが,原告は,本件障害認定日における裁定の請求が却下され,本 件審査請求も棄却されたため,正確な症状を分かってもらうために,もう一度症状を振り返り,本件再審査請求をするに当たり,再審査時病歴申立書を作成し,提出したのである。 イ被告は,このような経緯を無視し,単に変遷しているから再審査時病歴申立書が信用できないとしているが,うつ病あるいは精神障害についての理解に欠け,日常生活に支障を来したり,著しい制限が加えられたりして所得が減少した場合にその生活の安定が損なわれるのを防止しようという障害基礎年金の目的にも反する。また,原告は,「掃除」の項目について,裁定時病歴申立書には,「できなかった」としていたのに,再審査時病歴申立書には,「自発的にはできないが援助があればできた」としており,症状を軽く評価する記載もあるのであって,再審査時病歴申立書は,あえて症状を重く記載しているわけではなく,真摯に作成されたことが分かる。 (4) 被告の主張についてア被告は,国年規則31条1項,2項4号の規定によれば,裁定の請求は,障害の状態に関する医師等の診断書を添付することとされており,原則としてこれらの添付された資料に基づいて障害認定がされる旨主張する。 しかし,上記の国年規則の規定の趣旨は,処分行政庁の認定判断の客観性を担保するとともに,公正なものとするところにあると解され,認定判断の客観性・公平性を担保する手段にすぎない。 国年法には,裁定請求に し,上記の国年規則の規定の趣旨は,処分行政庁の認定判断の客観性を担保するとともに,公正なものとするところにあると解され,認定判断の客観性・公平性を担保する手段にすぎない。 国年法には,裁定請求において医師の診断書の提出を要件としていないばかりか,同法の定める障害の状態に該当するか否かを判断するに当たって,医師の診断書によるべきことを定めた規定もない。そうであれば,診断書の記載のみによって認定されるべき理由は存しない。 イ裁定請求者が提出した診断書と他の資料との間に矛盾点があり,当該診 断書の信用性に疑念を抱くべき状況が存在した場合には,当該診断書の記載を真実であると認定すべきでないことは当然である。認定基準においても,再診断を求め,その他所要の調査等を実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で認定を行う,と規定されている。 本件においては,裁定時病歴申立書とP4診断書の間には,一見して明白な矛盾を感得することができる。裁定時病歴申立書には,「先生が話を聞いてくれない」旨の記載があるのに対し,P4診断書によると,「病歴・病状は自ら話すことができた」,「他人との意志伝達は適切にできる」とされている。また,裁定時病歴申立書では,大量服薬や救急搬送されたことが記載されているが,P4診断書には,自殺企図に丸印がつけられておらず,服薬は適切にできる旨記載されている。 また,裁定時病歴申立書をみると,本件障害認定日頃よりも本件裁定請求日頃の方が症状がわずかながらも落ち着いた印象を受け,日常生活の制限が軽減していることが見てとれるのに,P4診断書とP5診断書を見比べると,P4診断書の方が症状が軽いような記載になっているのであって,裁定時病歴申立書,P4診断書及びP5診断書を客観的に比較すれば,整合性を欠き,それらだけでは認定 ,P4診断書とP5診断書を見比べると,P4診断書の方が症状が軽いような記載になっているのであって,裁定時病歴申立書,P4診断書及びP5診断書を客観的に比較すれば,整合性を欠き,それらだけでは認定が困難であるから,適切な調査権限を行使し,更なる客観的な情報を収集すべきであった。 (被告の主張の要旨)(1) 原告の本件障害認定日における障害の程度ア P4診断書(ア) 原告が本件裁定請求において提出したP4診断書には,平成18年7月19日時点での原告の現症についての医師の診断等が記載されているところ,同診断書によると,現在の病状又は状態像は,抑うつ状態(思考・運動制止,憂うつ気分,希死念慮)とされ,その程度・症状は,「抑うつ気分,不眠,意欲低下,食欲低下,易疲労性や時に希死念 慮は軽快と悪化をくり返した。」とされている。 日常生活の全般的状況としては,「必要に応じて家族以外とも交流・疎通ある。」とされ,一人暮らしを想定した日常生活能力の判定は,適切な食事摂取,身辺の清潔保持は「自発的にできる」,金銭管理と買物,通院と服薬,他人との意志伝達及び対人関係,身辺の安全保持及び危機対応は「適切にできる」とされ,日常生活能力の程度は,「精神障害を認め,家庭内での日常生活は普通にできるが,社会生活上困難がある。」とされている。 そして,現症時の日常生活活動能力及び労働能力は,「軽快時には就労能力はあった。日常生活はだいたい普通にできた。」とされている。 なお,障害基礎年金についての裁定の請求は,所定の事項を記載した請求書を厚生労働大臣に提出することとされており(国年規則31条1項),このとき,障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書を添付することとされている(国年規則31条2項4号)。このように診断書の提出が要請されているのは 出することとされており(国年規則31条1項),このとき,障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書を添付することとされている(国年規則31条2項4号)。このように診断書の提出が要請されているのは,証明力の高い客観的,医学的な知見を資料とすることで裁定機関の認定判断の客観性を担保するとともに,その認定判断が画一的かつ公平なものとなるようにするためである。 そして,障害の程度の認定は,このようにして提出された裁定請求書に添付された資料(診断書のほかX線フィルム等の添付資料)に基づいて行うのが原則であり,例外的に,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合,又は,傷病名と現症あるいは日常生活状況等との間に医学的知識を超えた不一致の点があり整合性を欠く場合には,再診断を求め,又は療養の経過,日常生活状況等の調査,検診,その他所要の調査等を実施するなどして,具体的かつ客観的な情報を収集した上で,認定を行うことになる。 (イ) 原告は,P4診断書が原告の本件障害認定日頃の症状を的確に診断 したものではないなどと主張する。 仮にそうであれば,原告は,そのような診断書を本件裁定請求に際して提出するはずがなく,改めてP7医師に対して,原告の本件障害認定日頃の症状を的確に診断した診断書の作成を依頼し,新たな診断書に基づき裁定の請求を行えば自らの目的を達することができたはずである。 それにもかかわらず,原告は,P4診断書を添付して本件裁定請求を行ったのであり,このことは,結局,P4診断書が原告の本件障害認定日頃の症状を的確に診断したものであると原告自らが判断したことを示している。 また,P4診断書は,本件障害認定日頃に原告の診療に当たっていたP7医師が当時の診療録に基づいて作成したものであるから,正に原告の本件障害認定日頃の症状について診察に 判断したことを示している。 また,P4診断書は,本件障害認定日頃に原告の診療に当たっていたP7医師が当時の診療録に基づいて作成したものであるから,正に原告の本件障害認定日頃の症状について診察に当たった医師が客観的かつ医学的見地から記載したものであって,極めて信用性が高いものといえる。 (ウ) 原告は,P7意見書をもって,P4診断書の信用性がない旨主張する。 確かに,P7意見書には,「当時薬の大量摂取で救急搬送された事実が判明したことを斟酌すると,1人暮らしを想定した当時の日常生活能力については服薬が適切にできていたとはいえず,また身辺の安全保持及び危機対応も適切にできてはいなかったと考えられます。」旨の記載がある。しかしながら,原告に薬の大量摂取で緊急搬送された事実があったとしても,そのような事実だけで当時の日常生活能力における服薬並びに身辺の安全保持及び危機対応が適切にできていなかったと診断できるものではなく,P7意見書は,飽くまで推測の域を超えないものと評価されるものである。 また,P7意見書は,単にP4診断書における「日常生活能力の判 定」の一部における診断が異なった可能性を示唆するに過ぎず,「日常生活能力の程度」に関する診断書の診断を否定するものではなく,仮にP4診断書の評価に影響を与えたとしても,結局は,原告の日常生活能力の程度については,判断不能という結論を導かざるを得ないのであって,少なくともP7意見書を基に,原告の障害等級を2級と判断することはできない。 そして,P4診断書は,P7医師が本件処分の内容及び原告の意向を踏まえた上で作成したことが明らかであるところ,裁定の結果や受給権者の意向がその内容に影響を及ぼした可能性を払拭できず,受給権者の障害の程度を認定する資料としての重要性はおのずから低くなら の意向を踏まえた上で作成したことが明らかであるところ,裁定の結果や受給権者の意向がその内容に影響を及ぼした可能性を払拭できず,受給権者の障害の程度を認定する資料としての重要性はおのずから低くならざるを得ないものである。したがって,この点でも,P7意見書は,P4診断書の診断を否定するものとはなり得ない。 イ裁定時病歴申立書原告は,裁定時病歴申立書の中で,本件障害認定日(平成18年5月1日)頃の日常生活状況における制限について,介護やヘルパーの支援は受けておらず,炊事,洗濯及び掃除は,いずれも「できなかった」が,着替え及びトイレは,いずれも「自発的にできた」,洗面及び入浴は,いずれも「自発的にできたが援助が必要」,食事,散歩及び買物は,「自発的にはできないが援助があればできた」と供述している。 ウ原告は,本件障害認定日直後の平成18年5月9日に厚生年金保険に加入し,平成23年2月15日に退職するまでの間,継続して会社勤めをし,平成21年9月までの勤務期間中,ほぼ同額の報酬を得ていたものである。原告が入社から約5年間もの勤務期間中,ほぼ同額の報酬を継続して得ていた事実に鑑みれば,原告は,本件障害認定日頃,労働能力も日常生活能力も十分にあったと優に認められる。 (2) 原告が本件障害認定日において障害等級2級に該当しないこと 前記(1)によれば,原告の本件障害認定日における障害の程度は,抑うつ症状が軽快と悪化を繰り返しているものの,日常生活においては,必要に応じて対人交流を行うことができ,軽快時には就労能力も認められ,P7医師の診断や原告本人の供述を前提としても,一人暮らしを想定した原告の日常生活は,家庭内の極めて温和な活動以上の活動ができないとは認め難い状態にあり,必ずしも日常生活が極めて困難であるとは認められないとい 診断や原告本人の供述を前提としても,一人暮らしを想定した原告の日常生活は,家庭内の極めて温和な活動以上の活動ができないとは認め難い状態にあり,必ずしも日常生活が極めて困難であるとは認められないというべきである。 そうすると,原告の本件障害認定日における障害の程度は,そううつ病により2級に相当すると認められる障害である「気分,意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり,かつ,これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため,日常生活に著しい制限を受けるもの」に相当すると認めることは困難であるから,「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」との障害等級2級の要件には該当しないというべきである。 なお,原告は,薬の大量摂取により救急車で病院に搬送された事実を殊更取り上げて主張するが,原告の主張を前提としても,そのような事実が発生したのは,平成17年2月10日,同年11月23日,平成18年7月8日及び平成21年8月26日のみであり,したがって,原告の障害の状態が,原告の本件障害認定日頃において,原告の日常生活において著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えるような程度のものであったとは到底考えられない。 (3) 原告の主張についてア原告は,裁定時病歴申立書に記載した内容よりも日常生活における制限が重度であった旨主張する。 しかしながら,原告は,本件裁定請求を行った後,本件障害認定日による裁定の請求が却下されたことを不服に思い,本件審査請求を行い,これ を棄却する旨の決定を受けたことから,本件再審査請求を行い,その際,上記の主張に沿う再審査時病歴申立書を提出したのである。このような経緯に照らせば,原告は,上記の請求が却下され,審査請求においても当該処分が覆らなかったこと ことから,本件再審査請求を行い,その際,上記の主張に沿う再審査時病歴申立書を提出したのである。このような経緯に照らせば,原告は,上記の請求が却下され,審査請求においても当該処分が覆らなかったことから,上記の請求を認めさせたいがために自らの病歴状況についてあえて変遷させたものと考えられる。 したがって,このような原告の本件障害認定日における病歴状況に関する供述は,そもそも信用し難いものである。 また,一般的に,妻が常勤で就労しておらず,夫が常勤で就労している場合,食事の支度などは妻が行うことが多いのであって,夫である原告が家事を行っていないとしても,それをもって原告は日常生活が行えなかったといえるものではない。また,原告は,P2の声かけに応じて入浴していたことが認められ,日常生活の基本である身辺の清潔保持等は行っていたということができる。したがって,原告が,日常生活が極めて困難であるとは認められない。 イ原告は,P4クリニックにおける診療録及びP5クリニックにおける診療録を比較すれば,原告の本件障害認定日頃の疾患の程度は本件裁定請求日頃の疾患の程度と同程度であり,本件障害認定日による裁定請求も認められるべきであった旨主張する。 しかしながら,上記各診療録は,いずれも本件裁定請求,本件審査請求,本件再審査請求において提出されていなかったものであり,厚生労働大臣等は,上記各診療録を処分の資料とすることはできなかったのであるから,診療録の内容に基づく原告の上記主張は,そもそもその主張自体失当である。 この点をおくとしても,原告の診療録に基づく主張は,要するに,本件裁定請求日頃に通院していたP5クリニックの担当医師に対する愁訴の内容と本件障害認定日頃に通院していたP4クリニックの担当医師に対する 愁訴の内容に差異はないといえる づく主張は,要するに,本件裁定請求日頃に通院していたP5クリニックの担当医師に対する愁訴の内容と本件障害認定日頃に通院していたP4クリニックの担当医師に対する 愁訴の内容に差異はないといえるから,原告について,事後重症による裁定の請求が認められた以上,本件障害認定日による裁定の請求も当然認められるべきであるとの主張と思われるところ,そもそも愁訴とは,医師に対して患者本人が訴える内容であるし,また,診療録に記載されている愁訴の内容は,患者の愁訴の中から重要であると医師が判断した事項について書きとどめられているものであるから,同じ医師に対して同じ患者が訴える愁訴の内容を比較して症状の軽重を判断することは可能であるかもしれないものの,本件においては,そもそも医師が異なるのであるから,単に愁訴の内容の比較だけで当時の症状の軽重を判断できるものではない。 したがって,原告の主張は,理由がない。 また,そもそも本件においては,P7医師は,本件障害認定日頃の原告についてP4診断書を作成し,P5クリニックの担当医師は本件裁定請求日頃の原告についてP5診断書を作成しているところ,「日常生活能力の判定」における各医師の判断はいずれも異なっており,このことは,上記の原告の診療録に基づく主張が誤っていることの証左といえる。 ウ原告は,ICD-10に基づくと,原告の障害認定時の症状は「中等症」のうつ病に該当し,その場合は,「日常生活や仕事を続けることは困難な状態だと評価されるべき」であるから,原告の本件障害認定時頃の障害の状態は障害等級2級に該当するというべきである旨主張する。 しかしながら,そもそもICD-10が整理する項目該当性に関する原告の主張は,診療録における一部の記録のみを取り上げ,項目に該当する旨主張しているものにすぎず,医学的知識によ きである旨主張する。 しかしながら,そもそもICD-10が整理する項目該当性に関する原告の主張は,診療録における一部の記録のみを取り上げ,項目に該当する旨主張しているものにすぎず,医学的知識による裏付けが行われているものではないから,そもそも原告がICD-10でいう「中等症」のうつ病に該当するとの主張は,信用できるものではない。 これをおくとしても,障害等級表の障害等級2級に相当する障害の状態の基本は,「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状 が,日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とされており,仮に原告が主張するとおり,「中等症」のうつ病の場合は,「日常生活や仕事を続けることは困難な状態であると評価されるべき」であったとしても,そのことをもって直ちに「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当するものとはいえず,原告の主張は,本件処分に影響を与えるものではない。 (4) 以上より,原告の本件障害認定日における本件傷病による障害の程度は,国年令別表に定める障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨を併せると,次の事実が認められる。 (1) 通院,治療の状況等ア原告は,前妻と婚姻し,現場作業員として働いていたところ,椎間板ヘルニアを発症し,手術,リハビリ及び社会復帰を繰り返すようになり,退社した。原告は,平成16年5月頃から約2か月,毎晩のように,夜中に前妻から,「死ね」,「死んでくれ」などと暴言を吐かれるようになり,眠れず,食欲もなくなるようになった(甲38,原告本人)。 イ原告は,その後,P2 16年5月頃から約2か月,毎晩のように,夜中に前妻から,「死ね」,「死んでくれ」などと暴言を吐かれるようになり,眠れず,食欲もなくなるようになった(甲38,原告本人)。 イ原告は,その後,P2と知り合い,平成16年8月頃から,P2の二男を含めて3人で同居を始めた。その後,前妻がその同居していた家に来て,土足で上がり込み,「こんな女といつまでいるの。」等と暴言を吐き,原告は,恐怖で身体がすくむということがあった。そして,原告は,同年9月,前妻と離婚をした上でP2と婚姻をした(甲38)。 ウ原告は,同居していたP2の二男への気遣い等から,精神的に疲弊し,平成16年11月1日,P2に薦められ,当時P2が通院していたP3ク リニックを受診し,うつ病と診断された(甲38)。 エ原告は,その後,P2と一緒にP3クリニックに通院するようになった。 原告らは,P3クリニックの医師が悩みを受け付けてくれ,アドバイスや励ましの言葉をくれることから,安心できると感じていた(甲38)。 オ原告は,平成17年2月10日,大量の眠剤及び向精神薬(○,○10錠以上)を服用して意識レベルが低下し,P6病院に救急搬送され,胃洗浄の処置を受けて,1日入院した(甲24,36)。 カ原告らは,平成17年3月頃に転居をした。前妻は,その転居後の家にも来て,原告をにらみつけ,「墓を建てたのは私のお金だから代金300万円を返せ。」と言ってきたことがあり,原告は,恐怖を感じながら生活をしていた。また,原告は,P2の二男から暴力を振るわれるようになり,同年10月20日には,顔面を殴られ,腰を蹴られ,背部打撲の傷害を負うということがあった(甲37,38)。 キ原告らは,P3クリニックに通院する距離が長くなって通院が困難となり,他の精神科や心療内科の病院を探すことと 顔面を殴られ,腰を蹴られ,背部打撲の傷害を負うということがあった(甲37,38)。 キ原告らは,P3クリニックに通院する距離が長くなって通院が困難となり,他の精神科や心療内科の病院を探すこととした。そして,原告らは,P3クリニックの医師からカウンセリングの受診を勧められていたことから,カウンセリングができる病院を探し,P4クリニックに電話をして,カウンセリングができることを確認した上で,原告の受診の予約をした。 原告らは,予約をした日である平成17年6月24日,P4クリニックを訪れた。同クリニックにおいて,原告らは,カウンセリングはやっていないと言われ,不安になったが,薬の処方を受ける必要があることから,診察を受けた上で,その後も同クリニックに通院することとした(甲15,29,38,39,乙5,原告本人)。 ク原告は,平成17年11月23日,大量の向精神薬等(○10錠,○10錠,○を11錠,○7錠,○6カプセル)を服用して意識レベルが低下し,P6病院に救急搬送されて点滴輸液の処置を受け,経過観察のため入 院したが,原告の希望により,同日退院した(甲24,37の3)。 ケ原告は,平成18年7月8日,大量の向精神薬等(○130錠,○40錠,○10錠)を服用して意識レベルが低下し,P6病院に救急搬送され,入院を勧められたが拒否して帰宅した(甲24,37の4)。 コ原告は,P7医師が診察の際にアドバイスをしてくれず,信頼することができないと考えていたことなどから,大量に服薬し,救急搬送されたことは,同医師に伝えておらず,平成17年11月25日に診察を受けたときも,その2日前に救急搬送されたこと(前記ク)も伝えていない(甲15,38,39,原告本人)。 サ原告らは,平成18年12月13日まで,P4クリニックに通院し,薬物療 月25日に診察を受けたときも,その2日前に救急搬送されたこと(前記ク)も伝えていない(甲15,38,39,原告本人)。 サ原告らは,平成18年12月13日まで,P4クリニックに通院し,薬物療法を受けたが,やがて別の病院を探すこととし,平成19年1月23日,P5クリニックで診察を受け,以後,同クリニックに通院するようになった(甲15,27,38,39,原告本人)。 シ原告は,平成21年8月26日,大量の向精神薬(○30錠)を服用して意識レベルが低下し,P6病院に救急搬送され,胃洗浄の処置を受けた(甲24,37の5)。 (2) 本件裁定請求に係る手続等の経緯ア原告らは,平成22年8月,障害基礎年金の制度を知り,市役所の担当課で相談したところ,障害基礎年金の申請のためには診断書が必要であり,同年9月末までに提出するように言われた(甲40,原告本人)。 イ原告らは,P4クリニックに電話をかけ,それぞれの障害認定日頃の診断書の作成を依頼し,平成22年8月8日,書類を持ってP4クリニックを訪れ,事務担当者にP7医師との面談を希望している旨を伝えたが,同医師から面談の必要はないと言われ,診断書の作成を待つこととした。また,原告らは,P8医師にそれぞれの裁定請求日頃の診断書の作成を依頼した(甲29,38,40,原告本人)。 ウ P8医師は,平成22年8月16日付けでP5診断書を作成し,P7医師は,平成22年9月13日付けでP4診断書を作成した(甲25,乙4)。 エ原告は,平成22年9月22日,P4診断書及びP5診断書や裁定時病歴申立書等の必要な書類を揃えた上で,本件裁定請求をした(甲1,甲38)。 オ処分行政庁は,平成22年12月9日付けで,本件処分をした。 カ原告は,平成23年1月11日,本件審査請求をしたが,同 申立書等の必要な書類を揃えた上で,本件裁定請求をした(甲1,甲38)。 オ処分行政庁は,平成22年12月9日付けで,本件処分をした。 カ原告は,平成23年1月11日,本件審査請求をしたが,同年3月31日付けで,本件審査請求を棄却する旨の決定を受けた。 キ原告は,平成23年5月2日付けで再審査時病歴申立書を作成し,平成23年5月17日,本件再審査請求をし,同手続において,再審査時病歴申立書を提出した(甲23)。 ク原告は,平成23年5月10日付けで,P7医師に対し,代理人の社労士を通じ,本件裁定請求の主位的請求が却下されたこと及び本件審査請求が棄却されたことを伝え,原告が大量服薬で治療を受けた記録を得たので,P4診断書にあるよりは日常生活は普通にできる状態ではなかったと主張して本件再審査請求をするつもりであり,同請求に当たって意見書を作成するよう依頼した。P7医師は,診療録に大量服薬についての記録がないことを確認し,平成23年5月18日付けで,これに応えてP7意見書を作成し,原告は,本件再審査請求に係る手続において,P7意見書を提出した(甲15)。 P7意見書には,P4診断書について,「このたび新たに,当時薬の大量摂取で救急搬送された事実が判明したことを斟酌すると,1人暮らしを想定した当時の日常生活能力については服薬が適切にできていたとはいえず,また身辺の安全保持及び危機対応も適切にできてはいなかったと考えられます。」との記載がある(甲15)。 ケ原告は,平成24年2月29日付けで,本件再審査請求を棄却する旨の裁決を受けた。 (3) 原告の就労状況ア原告は,平成18年5月9日頃,友人の紹介で就職し,週に6日,午前8時から午後5時まで,船に備え付ける棚などを造る仕事に従事していた。 その仕事は,月に1回程度 けた。 (3) 原告の就労状況ア原告は,平成18年5月9日頃,友人の紹介で就職し,週に6日,午前8時から午後5時まで,船に備え付ける棚などを造る仕事に従事していた。 その仕事は,月に1回程度,指示を受ける必要があり,その限りで他人と会話をすることがあるものの,作業自体は,同僚や上司と話をすることなく,1人で行うことが可能なものであり,原告は,黙々と作業を行っていた(甲38,原告本人)。 イ原告は,電車とバスを使い,約30分かけて通勤していた(原告本人)。 ウ原告は,上記アのとおり就職してから,平成21年9月までは,ほぼ同額の報酬を得ていた。そして,原告は,平成23年2月15日に退職した(甲8,乙6,原告本人)。 エ P4クリニックの診療録(甲15)には,原告が就労に関して述べていたこととして,次のとおりの記載がある(括弧内の記載は,同診療録の日付である)。 (ア) 「調子よくなくて仕事もできない」「経済的に大変で,市役所に相談したら手帳申請などでと言われた」(2006年1月20日)(イ) 「落ちこんでばかり」「仕事行こうと思ったが怖くなって,また落ち込む。自己破産手続きのために診断書出して欲しい」(2006年2月15日)(ウ) 「鉄鋼所に常勤で勤め始めた。高齢者多くていろいろくちはさまれると。立ちくらみありころんで肋骨折ったと」(2006年5月29日)(エ) 「仕事きつい,残業もしている。精神的にも肉体的にも」(2006年6月28日)(オ) 「仕事がきつい」「どんどん当てにされてきつい。前は何十人も他 番手やったのでそれのプライドもあってがんばってしまう。断れない。」(2006年7月19日)(カ) 「仕事が精神的にきつい」「めまい,たちくらみがしょっちゅうする」(2006年8月9日)(キ) 「め たのでそれのプライドもあってがんばってしまう。断れない。」(2006年7月19日)(カ) 「仕事が精神的にきつい」「めまい,たちくらみがしょっちゅうする」(2006年8月9日)(キ) 「めまい変わりない」「仕事はきつい」(2006年9月13日)(ク) 「仕事はきつい。めまいする-くらっとして目の前が真っ白になる。」(2006年10月18日)(ケ) 「仕事は休みながら行っている」(2006年12月13日)(4) P4診断書P7医師が平成22年9月13日付けで作成したP4診断書には,「発病から現在までの病歴及び治療の経過,内容,就学・就労状況等,期間,その他参考となる事項」の欄に「症状は一進一退で再就労しても,継続が困難であった」との記載があるほか,原告の平成18年7月19日の現症について,傷病名を「うつ病」として,以下のような記載がある(乙4)。 ア 「障害の状態」として,「Ⅰ 抑うつ状態」に丸印が付けられ,そのうちの「1 思考・運動制止」,「3 憂うつ気分」及び「5 希死念慮」にそれぞれ丸印が付けられている。 イ上記アの状態についての「程度・症状」として,「抑うつ気分,不眠,意欲低下,食欲低下,易疲労性や時に希死念慮は軽快と悪化をくり返した。」と記載されている。 ウ 「日常生活」の「全般的状況」として,「必要に応じて家族以外とも交流・疎通ある。」と記載されている。 エ一人暮らしを想定してされた「日常生活能力の判定」として,「適切な食事摂取」及び「身辺の清潔保持」は,いずれも「a 自発的にできる」,「金銭管理と買物」,「通院と服薬」,「他人との意志伝達及び対人関係」及び「身辺の安全保持及び危機対応」は,いずれも「a 適切にできる」 に丸印が付けられている。 オ 「日常生活能力の程度」として,「⑵ 精神障 ,「通院と服薬」,「他人との意志伝達及び対人関係」及び「身辺の安全保持及び危機対応」は,いずれも「a 適切にできる」 に丸印が付けられている。 オ 「日常生活能力の程度」として,「⑵ 精神障害を認め,家庭内での日常生活は普通にできるが,社会生活上困難がある。」に丸印が付けられている。 カ 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」として,「軽快時には就労能力はあった。日常生活はだいたい普通にできた。」と記載されている。 (5) 裁定時病歴申立書原告が平成22年9月14日付けで作成した裁定時病歴申立書(本件裁定請求の際に提出)には,傷病名を「うつ病」とし,次のとおりの記載がある(乙5)。 ア本件障害認定日(平成18年5月1日)頃の就労・日常生活状況等の状態として,次のとおりの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「着替え」及び「トイレ」は,いずれも「1」(自発的にできた),「洗面」及び「入浴」は,いずれも「2」(自発的にできたが援助が必要),「食事」,「散歩」及び「買物」は,いずれも「3」(自発的にはできないが援助があればできた),「炊事」,「洗濯」及び「掃除」は,いずれも「4」(できなかった)に丸印が付けられている。 また,「日常生活で不便に感じたこと」として,「職場の人間関係がうまくもてない」,「人の目や言動に恐怖を感じた」,「1人では何も出来ない」,「仕事に行く日の朝は,気分が悪かった」,「すぐに死にたくなった(薬を大量に飲んでいた)」との記載がある。 イ請求日の就労・日常生活状況等の状態として,次のとおりの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「着替え」,「洗面」,「トイレ」及び「入浴」は,いずれも「1」(自発的にできた),「食事」,「散歩」,「炊事」,「洗濯」及び「掃除」は,い りの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「着替え」,「洗面」,「トイレ」及び「入浴」は,いずれも「1」(自発的にできた),「食事」,「散歩」,「炊事」,「洗濯」及び「掃除」は,いずれも「2」(自発的 にできたが援助が必要)に丸印が付けられている。 ウ平成17年6月24日から平成18日12月13日までのP4クリニックで受診した期間の状態として,「投薬療法により治療を続けたが先生が話しを聞いてくれない」,「また薬を多量に飲んでしまう事が多くなり転院」,「救急車で何度も運ばれていた」との記載がある。 (6) 再審査時病歴状況申立書原告が平成23年5月2日付けで作成した再審査時病歴申立書(本件再審査請求の際に提出)には,傷病名を「うつ病」とし,次のとおりの記載がある(甲23)。 ア本件障害認定日(平成18年5月1日)頃の就労・日常生活状況等の状態として,次のとおりの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「トイレ」は,「1」(自発的にできた),「着替え」は,「2」(自発的にできたが援助が必要),「入浴」,「食事」,「散歩」,「掃除」及び「買物」は,いずれも「3」(自発的にはできないが援助があればできた),「洗面」,「炊事」及び「洗濯」は,いずれも「4」(できなかった)に丸印が付けられている。 また,「日常生活で不便に感じたこと」として,「何も気力がなかった」,「食事も別に食べなくても良かった」,「自分の居場所がない」,「死にたいという気持ちが強かった」,「人に会うのが恐い」,「家の中で良く発狂していた」との記載がある。 イ請求日の就労・日常生活状況等の状態として,次のとおりの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「トイレ」は,「1」(自発的にできた),「着替え」は,「2」(自発 との記載がある。 イ請求日の就労・日常生活状況等の状態として,次のとおりの記載がある。 日常生活についての制限の程度について,「トイレ」は,「1」(自発的にできた),「着替え」は,「2」(自発的にできたが援助が必要),「入浴」,「食事」,「散歩」,「炊事」,「掃除」及び「買物」は,いずれも「3」(自発的にはできないが援助があればできる),「洗面」及び「洗濯」はいずれも「4」(できない)に丸印が付けられている。 (7) P5診断書P8医師が平成22年8月16日付けで作成したP5診断書には,原告の平成22年7月23日現症について,傷病名を「うつ病」として,以下のような記載がある(甲25)。 ア 「障害の状態」として,「Ⅰ 抑うつ状態」に丸印が付けられ,そのうちの「① 思考・運動制止」,「③ 憂うつ気分」,「④ 自殺企図」及び「⑤ 希死念慮」にそれぞれ丸印が付けられている。 イ上記アの状態についての「程度・症状」として,「クヨクヨ感,自罰観念,否定的な思考が慢性化している。希死念慮も認め,過量服薬などの自殺企図の既往がある。精神運動抑制が強く,作業能力が低下しており,仕事中にも他人の言動が気になり,職場に居ること自体が辛く,仕事ができない。中途覚醒など睡眠障害,食欲低下も顕著で,治療抵抗性うつである。」と記載されている。 ウ 「日常生活」の「全般的状況」として,「妻と2人暮らし。妻がいないと不安が強く,出来ないことが多い。」と記載されている。 エ一人暮らしを想定してされた「日常生活能力の判定」として,「適切な食事摂取」及び「身辺の清潔保持」は,いずれも「ⓑ 自発的にできるが援助が必要」,「金銭管理と買物」,「通院と服薬」,「他人との意思伝達及び対人関係」及び「身辺の安全保持及び危機対応」は,いずれも「ⓒ自発的には 身辺の清潔保持」は,いずれも「ⓑ 自発的にできるが援助が必要」,「金銭管理と買物」,「通院と服薬」,「他人との意思伝達及び対人関係」及び「身辺の安全保持及び危機対応」は,いずれも「ⓒ自発的には出来ないが援助があればできる」に丸印が付けられている。 オ 「日常生活能力の程度」として,「③ 精神障害を認め,家庭内での単純な日常生活はできるが,時に応じて援助が必要である。」に丸印が付けられている。 カ 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」として,「左記能力は著明に減弱している。現在は身体疾患のため休職中であるが,今後復職するにあたり,十分な治療,周囲のサポートが必要。」と記載されている。 2 以上の事実関係等を踏まえて,原告が本件障害認定日において,本件傷病により障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったと認められるかどうかを検討する。 (1) 厚生労働大臣は,認定基準に従って各障害等級に係る障害の程度の認定を行っているところ,認定基準は,かかる認定の審査事務を統一的かつ公平に行うことを目的とし,医療分野における専門家,有識者により構成された専門家会合における最新の医学的知見に基づく意見,指摘等を踏まえて作成されたものであること(乙2,弁論の全趣旨)からすると,合理的なものと考えられるから,特段の事情がない限り,認定基準に従って障害の程度の認定を行うのが相当である。 そして,認定基準によれば,障害等級2級の障害の状態である,「日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは,「必ずしも他人の助けを借りる必要はないが,日常生活は極めて困難で,労働による収入を得ることができない程度のもの」をいい,「例えば,家庭内の極めて温和な活動(軽食作り,下着程度の洗濯)はできるが,そ 必ずしも他人の助けを借りる必要はないが,日常生活は極めて困難で,労働による収入を得ることができない程度のもの」をいい,「例えば,家庭内の極めて温和な活動(軽食作り,下着程度の洗濯)はできるが,それ以上の活動はできないもの」とされ,特に,「精神の障害の程度は,その原因,諸症状,治療及びその病状の経過,具体的な日常生活状況等により,総合的に認定する」ものとされ,また,「日常生活能力等の判定に当たっては,身体的機能及び精神的機能,特に,知情意面の障害も考慮の上,社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。」,「現に仕事に従事している者については,その療養状況を考慮し,その仕事の種類,内容,従事している期間,就労状況及びそれらによる影響も参考とする。」などとされているところ,本件においても,このような観点から原告の本件傷病による障害の状態について具体的に検討することとする。 なお,国年規則31条2項4号は,障害基礎年金についての裁定の請求に係る請求書に添付すべき書類として,「障害の状態に関する医師又は歯科医 師の診断書」を掲げ,この規定等を受けて,認定基準は,認定の方法として,障害の程度の認定は,診断書等の添付資料により行うが,提出された診断書等のみでは認定が困難な場合等には,所要の調査等を実施するなどして認定を行うなどとしているところ,国年法30条1項が,障害基礎年金は,被保険者等が,一定の要件を満たした上で,障害認定において,その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに,その者に支給する旨を定め,同法上,裁定に係る認定,判断の方法に関する具体的な規定が見当たらない一方,同法106条,107条等が,厚生労働大臣等は,必要があると認めるときは,保険料に関する処分等に関し,被保険者や受給権者に対し,障害の状態等に係 ,判断の方法に関する具体的な規定が見当たらない一方,同法106条,107条等が,厚生労働大臣等は,必要があると認めるときは,保険料に関する処分等に関し,被保険者や受給権者に対し,障害の状態等に係る事項に関する書類等を提出すべきことその他の調査,資料の提出等を求めることができる旨を定めていることなどに照らすと,上記の国年規則の規定は,専門的知見を有する医師等が作成した診断書には,一般に,客観性と信用性があるといえることから,これを請求書に添付することにより,裁定をする処分行政庁の認定,判断の客観性を担保するとともに,その認定,判断を画一的かつ公平なものとするために規定されたものというべきであって,少なくとも,裁判所が,裁定の請求に対する処分の違法性を判断するに当たり,診断書の他に障害の程度を判断するために合理的な資料が得られる場合にこれを含めて判断することを妨げるものではないというべきである。 (2) P4診断書についてア原告が本件裁定請求に際して提出した平成22年9月13日付けのP4診断書について検討するに,P7医師は,原告の平成18年7月19日頃の症状の状態を,その当時の診療録の記載に基づいて評価し,P4診断書を作成したとみられる。そして,前記1(1)キ,サのとおり,P7医師は,平成17年6月24日から平成18年12月13日まで原告を診察していた者であり,診療録(甲15)に照らすと,原告の具体的な症状につ いては,原告本人から又はP2を介して一応の説明を受けていたとみることができるから,P7医師は,原告の本件障害認定日(平成17年5月1日)頃の症状を知る専門家として,当時知り得た情報をもとに,医学的な観点からP4診断書を作成したものと考えられる。 イもっとも,P7医師は,P4診断書を作成した時点において,原告が, 7年5月1日)頃の症状を知る専門家として,当時知り得た情報をもとに,医学的な観点からP4診断書を作成したものと考えられる。 イもっとも,P7医師は,P4診断書を作成した時点において,原告が,処方されていた薬を大量に摂取し,救急搬送された事実があったことは知らなかったため,P4診断書においては,「障害の状態」として,「Ⅰ抑うつ状態」のうち,「4 自殺企図」に丸印が付けられておらず,また,一人暮らしを想定してされた「日常生活能力の判定」として,「通院と服薬」及び「身辺の安全保持及び危機対応」には,いずれも「a 適切にできる」に丸印が付けられている。そして,本件再審査請求に当たり,平成23年5月18日付けで作成されたP7意見書においては,「1人暮らしを想定した当時の日常生活能力については服薬が適切にできていたとはいえず,また身辺の安全保持及び危機対応も適切にできていなかったと考えられます。」と記載されているのである。 ウ以上によれば,P4診断書の信用性については,大量の服薬による救急搬送の事実があったことなど,原告の障害の状態に関する重要な情報を前提としたものではないことを踏まえて検討する必要がある。 (3) そこで,P4診断書以外の証拠をも踏まえて本件障害認定日における原告の症状について検討する。 アうつ病と診断されるまでの経緯と本件障害認定日頃の症状について前記1(1)で認定のとおり,原告は,平成16年5月頃,前妻から暴言を吐かれるようになって不眠等の症状が出るようになり,同年8月頃,P2とその二男と同居をしてからも,二男への気遣い等から精神的に疲弊し,同年11月1日,P3クリニックで診察を受けてうつ病と診断され,以後同クリニックに通院していた。そして,原告は,平成17年2月10 日,大量の服薬をして意識レベルが 気遣い等から精神的に疲弊し,同年11月1日,P3クリニックで診察を受けてうつ病と診断され,以後同クリニックに通院していた。そして,原告は,平成17年2月10 日,大量の服薬をして意識レベルが低下し,救急搬送された。その後,原告は,転居し,同年6月24日からはP4クリニックに通院するようになり,薬物治療を受けていたところ,同年11月23日及び平成18年7月8日にも,大量の服薬をして意識レベルが低下し,救急搬送されることがあった。また,P4クリニックの診療録(甲15)の本件傷害認定日に近接する日の記載をみると,「精神的な調子はよくない」(2006年4月10日),「またたちくらみ」,「目の前がまっしろで倒れる」(2006年5月8日)との記載がある。 上記のとおりの経緯や診療録の記載をみると,原告は,平成16年11月1日にうつ病と診断された後,継続的に通院し,薬物治療を受けていたものの,平成17年2月10日,同年11月23日及び平成18年7月8日,大量の服薬をして意識レベルが低下し,救急搬送されるということがあったのであり,本件障害認定日(平成18年5月1日)頃,自殺企図を繰り返し希死念慮の傾向は強いものであって,うつ病の症状は,決して軽いとはいえないものであったということができる。 イ日常生活状況について(ア) 前記1⑸のとおり,原告は,裁定時病歴申立書において,本件障害認定日頃の日常生活についての制限の程度として,着替え及びトイレは,自発的にできた,洗面及び入浴は,自発的にできたが援助が必要,食事,散歩及び買物は,自発的にはできないが援助があればできた,炊事,洗濯及び掃除は,できなかった旨の記載をしている。 (イ) また,P2は,本件障害認定日頃の原告との生活において,P2が家事全般をするしかなかった,P2が原告を促すな いが援助があればできた,炊事,洗濯及び掃除は,できなかった旨の記載をしている。 (イ) また,P2は,本件障害認定日頃の原告との生活において,P2が家事全般をするしかなかった,P2が原告を促すなどしてようやく原告は入浴していた旨供述し(甲40),原告も,P2が家事をやっていた,P2に言われるまで何もする気になれず,風呂に入らなくてもよいと考えていた旨供述しているところ(原告本人),これらの供述は,具体的 かつ明確である上,その内容も一致している。このことに加え,上記のP2の供述は,P2が原告と同じように,裁定請求日を受給権の発生日とする障害等級2級の裁定がされたが,障害認定日を受給権の発生日とする旨の裁定がされなかったことを不服として,処分の取消しを求めて提起した訴訟(当庁平成24年(行ウ)第559号)において,本人尋問としてした供述であって(当裁判所に顕著な事実),P2があえて自らの家事等の日常生活についての制限の程度を軽くみせるような供述をしていたことをうかがわせる状況も見受けられないことにも照らすと,十分に信用することができるというべきである。 これらの供述と,上記のとおりの裁定時病歴申立書の記載を踏まえると,本件障害認定日頃の原告らの日常生活において,P2が主導して家事全般をしており,原告は,炊事,洗濯及び掃除といった家事を自発的に行うことは困難であり,P2に促されるなどしてようやく入浴するという状況であったと認めるのが相当である。 (ウ) この点,P4診断書において,一人暮らしを想定してされた日常生活能力の判定として,「適切な食事摂取」及び「身辺の清潔保持」は自発的にできており,「金銭管理と買物」,「他人との意志伝達及び対人関係」についても適切にできるとされており,また,「日常生活はだいたい普通にできた」とされ 適切な食事摂取」及び「身辺の清潔保持」は自発的にできており,「金銭管理と買物」,「他人との意志伝達及び対人関係」についても適切にできるとされており,また,「日常生活はだいたい普通にできた」とされている。 しかしながら,前記1(1),(2)のとおり,P4診断書は,原告が大量服薬して救急搬送されたことを把握しないまま作成されたものであることに加え,原告は,平成18年7月8日に大量服薬をして救急搬送をされた際には,処方されていた○を130錠,○を40錠と,極めて大量に服用しているのであって,処方された薬の服用等の管理も十分にできていなかったということができる。また,P4クリニックの診療録(甲15)をみると,「・・・と妻」という記載が散見され,原告は, 自らの症状について,自ら説明をしておらず,P2を介してようやくその目的を達していた面があることも指摘することができる。そして,上記(イ)に述べたとおり,原告の日常生活について,P2の援助によってできていた部分も相当程度あったとみられることにも照らすと,P7医師は,原告自身が日常生活に関し,自発的に,あるいはP2の援助なくして行っていたのかどうかの点について,その具体的な状況を正確に伝えられないまま診療録を作成していた面があることは否定し難いというほかはなく,したがって,P7医師が,このようにして原告を診察した結果を記載した診療録に基づいて作成したP4診断書自体から,原告の日常生活状況の全てを判断することは相当ではないというべきである。 そして,このことは,原告が自ら本件裁定請求に際してP4診断書を提出していることを考慮したとしても,結論を異にするものではない。 ウ就労状況について前記1(3)アないしウのとおり,原告は,本件障害認定日(平成18年5月1日)のすぐ後である平成18 断書を提出していることを考慮したとしても,結論を異にするものではない。 ウ就労状況について前記1(3)アないしウのとおり,原告は,本件障害認定日(平成18年5月1日)のすぐ後である平成18年5月9日から就労を始め,電車とバスを使い,約30分かけて通勤をし,平成23年2月まで会社に在籍していた。 もっとも,原告は,生活のために無理して何とか働いていた旨主張し,P7医師から仕事をするよう言われたことや,生活するためにどうにか働かなければならないという気持ちから,知人の紹介で仕事を始めたが,精神的に辛く,朝は頭痛がし,嘔吐を繰り返すような状態であった,欠勤や早退は毎月10日前後あった,死に物狂いで仕事をしていたが,家では物を投げたり,大声で叫んだりというパニック症状が出るようになったなどと供述する(甲38,原告本人)。 この点,前記1(3)エのとおり,P4クリニックにおける診療録(甲15)には,原告が,生活が苦しい中で,就労を試みるも困難であったこ と(前記1(3)エ(ア),(イ))や,就労した後も,仕事が精神的に辛く,休みがちであること(前記1(3)エ(ウ)ないし(ケ))を伝えている記載があり,原告の上記供述は,このような記載とよく符合し,信用するに足るものであるといえる。そして,前記1(3)アのとおり,原告がしていた仕事は,その作業自体は,1人で進めていくことが可能なものであることや,P4診断書においても「症状は一進一退で再就労しても,継続が困難であった」との記載があることを考慮すると,原告は,本件傷害認定日のすぐ後に就労を始めたとはいえ,生活等のために相当の精神的な負荷をかけながら,休暇を取りつつ,何とか続けていたとみるのが相当である。 そうすると,上記のとおり,原告が,本件障害認定日(平成18年5月1日)のすぐ後 めたとはいえ,生活等のために相当の精神的な負荷をかけながら,休暇を取りつつ,何とか続けていたとみるのが相当である。 そうすると,上記のとおり,原告が,本件障害認定日(平成18年5月1日)のすぐ後に就労を開始するなどしていたものの,このことから直ちに,社会的な適応性が十分にあったと評価することは相当ではないというべきである。 (4) 以上に述べたところによれば,原告は,本件障害認定日頃,薬物治療を受けながらも,希死念慮の傾向が強く,決して軽いとはいえないうつ病にり患していたところ,自発的に家事や入浴をすることができない状態にあり,P2の生活面での援助があってようやく日常生活ができていたとみるべきである。また,原告は,本件障害認定日のすぐ後に就労を始めているものの,他人と接する機会がほとんどなくても可能な内容のものであったという状況のもとで,精神的に多大な負荷をかけながら,休暇を取りつつ何とか就労していたというべきであって,その社会的な適応性が十分であったと評価することはできず,したがって,原告の就労能力を評価すると,労働による収入を得ることができない程度のものというべきである。そして,原告の本件裁定請求日頃の症状や生活状況は,P5診断書(前記1(7))に記載のとおりのものであったと認められるところ,本件障害認定日以降,急速にその症状が悪化したものとは認められない上,裁定時病歴申立書の記載をみると, 本件障害認定日頃の方が,本件裁定請求日頃に比べて,明確に日常生活状況が制限されているものになっているところ,この記載の信用性を疑わせる事情も見当たらないことからすると,原告の本件障害認定日頃の障害の程度は,日常生活は極めて困難で,労働による収入を得ることができない程度のものであり,したがって,「日常生活が著しい制限を受けるか,又は日 も見当たらないことからすると,原告の本件障害認定日頃の障害の程度は,日常生活は極めて困難で,労働による収入を得ることができない程度のものであり,したがって,「日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当するものであったと評価すべきである。 (5) 以上によると,原告は,本件傷害認定日(平成18年5月1日)の時点で,障害等級2級の障害の状態にあったというべきであり,主位的請求である本件障害認定日による裁定の請求を却下した本件処分は違法であるから取り消されるべきである。 3 結論以上の次第で,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官舘 内 比佐志 裁判官宮端謙一 裁判官國 原 徳太郎 (別紙)関係法令の定め第1 国民年金法(以下「国年法」という。) 1 30条(1) 1項障害基礎年金は,疾病にかかり,又は負傷し,かつ,その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が,当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては,その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)とし,以下「障害認定日」という。)において,その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに,その者に支給する。ただし,当該傷病に係る初診日の前日において,当該初診日の属する月の前々月までに被 という。)において,その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに,その者に支給する。ただし,当該傷病に係る初診日の前日において,当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり,かつ,当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは,この限りでない。 一被保険者であること。 二被保険者であった者であって,日本国内に住所を有し,かつ,60歳以上65歳未満であること。 (2) 2項障害等級は,障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし,各級の障害の状態は,政令で定める。 2 30条の2(1) 1項疾病にかかり,又は負傷し,かつ,当該傷病に係る初診日において前条第 1項各号のいずれかに該当した者であって,障害認定日において同条第2項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかったものが,同日後65歳に達する日の前日までの間において,その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは,その者は,その期間内に同条第1項の障害基礎年金の支給を請求することができる。 (2) 2項前条第1項ただし書の規定は,前項の場合に準用する。 (3) 3項第1項の請求があったときは,前条第1項の規定にかかわらず,その請求をした者に同項の障害基礎年金を支給する。 (4) 4項(略) 3 106条(1) 1項厚生労働大臣は,必要があると認めるときは,被保険者の資格又は保険料に関する処分に関し,被保険者に対し,国民年金手帳,被保険者若しくは被保険者の配偶者若しくは世帯主若しくはこれらの者であった者の資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命じ 又は保険料に関する処分に関し,被保険者に対し,国民年金手帳,被保険者若しくは被保険者の配偶者若しくは世帯主若しくはこれらの者であった者の資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命じ,又は当該職員をして被保険者に質問させることができる。 (2) 2項(略) 4 107条(1) 1項厚生労働大臣は,必要があると認めるときは,受給権者に対して,その者の身分関係,障害の状態その他受給権の消滅,年金額の改定若しくは支給の停止 に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ,又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる。 (2) 2項厚生労働大臣は,必要があると認めるときは,障害基礎年金の受給権者若しくは障害等級に該当する障害の状態にあることによりその額が加算されている子又は障害等級に該当する障害の状態にあることにより遺族基礎年金の受給権を有し,若しくは遺族基礎年金が支給され,若しくはその額が加算されている子に対して,その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ,又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる。 (3) 3項(略)第2 国民年金法施行令(以下「国年令」という。) 1 4条の6国年法第30条第2項に規定する障害等級の各級の障害の状態は,別表に定めるとおりとする。 2 別表(第4条の6関係)障害の程度障害の状態1級 1~8 (略)前各号に掲げるもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの精神の障害であって,前各号と同程度以上と ,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの精神の障害であって,前各号と同程度以上と認められる程度のもの(略) 2級 1~14 (略)前各号に掲げるもののほか,身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって,日常生活が著しい制限を受けるか,又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの精神の障害であって,前各号と同程度以上と認められる程度のもの(略)備考 (略)第3 国民年金法施行規則(以下「国年規則」という。) 1 31条(1) 1項国年法第16条の規定による障害基礎年金についての裁定の請求は,次の各号に掲げる事項を記載した請求書を機構に提出することによって行わなければならない。 ア 1号ないし11号(略)(2) 2項前項の請求書には,次の各号に掲げる書類等を添えなければならない。 ア 1号ないし3号(略)イ 4号障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書ウ 5号ないし13号(略) (3) 3項ないし9項(略)
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