令和6(わ)404 嘱託殺人

裁判年月日・裁判所
令和7年3月6日 新潟地方裁判所
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判決文本文1,380 文字)

- 1 -令和7年3月6日宣告主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、かねて実子であるAが多額の借金を抱えるなどして思い悩み、将来を悲観して「死にたい。」、「殺してくれ。」などと訴えていたことから、心中することを決意し、令和6年11月4日午前7時30分頃から同日午後5時50分頃までの間に、新潟県十日町市(住所省略)所在の作業小屋において、A(当時51歳)に対し、その嘱託を受け、殺意をもって、その頸部をロープで絞めつけ、よって、その頃、同所において、同人を頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害したものである。 (量刑の理由)本件は、被告人が、娘の嘱託を受けて殺害した嘱託殺人の事案である。 被告人は、かねて借金問題や人間関係に悩んだ娘から「死にたい。」「早く楽になりたい。」「殺してくれ。」などと繰り返し言われたことから、娘を殺害して自殺しようと考え、判示犯行に及んだものである。 被害者は死亡しており、結果は重大である。大量の睡眠薬を準備させ、ロープなどを持参し、人目につかない作業小屋で睡眠薬を服用させた上、眠りに落ちた被害者を殺害したものである。犯行は計画的なものであったと言わざるを得ない。被告人は被害者の嘱託を受けて心中を考えたものであるが、被害者は精神科に通っており、何らかの心の病を抱えていると被告人自身も認識していた。また、被告人は、後述の被害者の借金問題についても世間体から自己破産などを選択できなかったというのである。被告人は他の現実的な手段を考慮することは可能であったといえるのであり、心中を決意した点は早計であったことは否定できない。 - 2 -他方で、被 己破産などを選択できなかったというのである。被告人は他の現実的な手段を考慮することは可能であったといえるのであり、心中を決意した点は早計であったことは否定できない。 - 2 -他方で、被告人自身も高齢であり、年金やアルバイト収入はあるものの、資力には限界がある一方で、被害者がこれまでも浪費による借金を重ね、カードなどによるものだけでも380万円に上ることが判明し、友人ら多方面にも借財を重ねるなど歯止めが効かない状況にあったことが認められる。被害者が友人関係や交際相手など人間関係にも多くの問題を抱えていたことも明らかである。元来真面目で温厚な被告人がそれらを目の当たりにして将来を悲観し、心中を図ったという本件の経緯には同情の余地があるものといえる。これらに加え、被告人は連日のように被害者から殺害してほしいと求められた上、被告人が心中を躊躇していたのに対し、被害者がそれを咎めていたような経過すら認められる。 以上によれば、本件の犯情は相応に重いものの、同種事案の量刑傾向を踏まえると、執行猶予を付することも選択できる事案といえる。 これらに加え、被告人が、事実関係を認めるなどして反省を深めていること、前科前歴もないこと等の有利な事情が認められる。 そこで、これらの事情を考慮し、主文の刑を科すが、その執行を猶予し、社会内で更生する機会を与えることが相当である。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑懲役3年)令和7年3月12日新潟地方裁判所刑事部 裁判官小林謙介

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