平成19(行コ)287 損害賠償(住民訴訟)請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成14年(行ウ)第231号)

裁判年月日・裁判所
平成21年5月21日 東京高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文28,786 文字)

- 1 -主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判 控訴人ら(1)原判決中,控訴人らの各敗訴部分を取り消す。 (2)上記取消部分に係る被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 被控訴人ら主文同旨。 第2事案の概要 本件は, 東京都町田市(以下「町田市」という)の住民である被控訴人ら。 が, 同市が公共下水道工事の施工等を委託した財団法人P1公社(以下「公社」という)により発注された公共下水道に係る各工事(原判決別紙工事目録。 記載の各工事,以下「本件工事1」のごとくいい,本件工事1から9までを併せて「本件各工事」という)について, 本件各工事の入札参加資格を有する建。 設業者である控訴人らが, 入札手続等において談合して特定の建設業者を受注予定者とする受注調整を行った結果, 入札参加者間で公正な競争が確保された場合に形成されたであろう正常な落札価格と比較して不当に高い価格で当該建設業者が落札し, 町田市に損害を与えたとして, 控訴人らに対し, 平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下, 単に「地方自治法」という)2。 42条の2第1項4号に基づき,同市に代位して, 上記損害の賠償金合計8億6700万3900円(民法719条, 715条,709条に基づくもの) 及びこれに対する不法行為の後である各訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払(不真正連帯債務によるもの)- 2 -を求めた住民訴訟である。 原判決は,本件各工事における控訴人らの談合があったと認定し,談合による損害については,損害の性質上,その額を立証することが極めて困 真正連帯債務によるもの)- 2 -を求めた住民訴訟である。 原判決は,本件各工事における控訴人らの談合があったと認定し,談合による損害については,損害の性質上,その額を立証することが極めて困難であるとして,民事訴訟法248条を適用し,本件各工事の請負契約における各請負金額(消費税相当額を含む)の5パーセントに相当する金額(1000円未満。 切り捨て)が上記談合による損害であると判断し,本件各工事を請け負った控訴人らに対し,上記損害額の連帯支払を命じ,その余の被控訴人らの請求をいずれも棄却した。 控訴人らは,これを不服として,本件控訴を申し立てた。 前提事実及び争点は,次のとおり補正し,4において当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」1及び2(原判決3頁7行目から11頁13行目まで)に記載するとおり(ただし,原判決3頁23行目から24行目にかけての「同P2株式会社(以下「被告P2」という」を「控訴人P3株式会社(なお,平成20年10月1。),日の商号変更前の商号は「P2株式会社」であるが,商号変更の前後を問わず,以下「控訴人P2」という」に改める。なお,各控訴人の表記は,同1の。)(1)イに記載のとおり略称することとし,合併の前後を問わず「控訴人P4」といい,商号変更の前後を問わず「控訴人P5「控訴人P2」ということも同」,様である)であるから,これを引用する。 。 (1)原判決5頁6行目の「判断していたほか」を「選定していたほか」に,,,26行目の「甲サ64」を「甲サ64,436」に改め,6頁19行目()()の「とされている」を「とされ,同事務費とは,工事1件ごとの工事費に工事費の金額に応じて定められた一定の料率を乗じて算出された額とされている」 甲サ64,436」に改め,6頁19行目()()の「とされている」を「とされ,同事務費とは,工事1件ごとの工事費に工事費の金額に応じて定められた一定の料率を乗じて算出された額とされている」を加え,9頁21行目から22行目にかけての「課徴金納付命令対象事業者一覧」を「課徴金納付命令対象事業者一覧表」に改める。 (2)原判決10頁6行目から7行目にかけての「なお,本件口頭弁論終結時点- 3 -では審決がされていない」を「なお,公正取引委員会は,平成20年7月2。 4日,控訴人らに課徴金の納付を命ずる審決をした。審決においては,上記課徴金納付命令対象事業者一覧表「番号」欄29,30,31及び33の各事業者に対しては4410万円(納付命令では4442万円であった,8。)の業者に対しては1291万円(同じく2592万円であった,9の事業。)者に対しては1436万円(同じく2350万円であった,10の事業者。)に対しては1348万円(同じく2303万円であった,15の事業者に。)対しては1459万円(同じく1877万円であった,16の事業者に対。)しては1631万円(同じく1728万円であった,20の事業者に対し。)ては1521万円(同じく1550万円であった,22の事業者に対して。)は1270万円(同じく1481万円であった,32の事業者に対しては。)1133万円(同じく1190万円であった)の各課徴金の納付を命じ,そ。 の余の事業者に対しては納付命令に係る金額と同額の課徴金の納付を命じた」に改める。 。 当審における当事者の主張(1)控訴人らア控訴人P6及び控訴人P2(ア)個別談合の不存在についてa落札率からの推論の誤り落札率とは,落札価格を予定価格で除した比率であるが,予定価格は 当審における当事者の主張(1)控訴人らア控訴人P6及び控訴人P2(ア)個別談合の不存在についてa落札率からの推論の誤り落札率とは,落札価格を予定価格で除した比率であるが,予定価格は,公社がその内部で独自の基準・算定方法により定めている非公表の価格であり,他方,落札価格は,落札業者が別途独自の基準・算定方法により決定した価格であり,落札率それ自体から直ちに個別談合の疑いが強まるとの結論を導き出すことは到底できない。 したがって,本件工事1,3,4,7及び9において個別談合があったと推認するのは不合理である。 - 4 -b本件工事3の個別談合行為について控訴人P4が控訴人P6に入札価格を連絡したことや控訴人P6が控訴人P4に協力することを承諾したことを示す証拠はなく,控訴人P6が本件工事3を控訴人P4が落札することに協力したことを示す証拠もなく,控訴人P6が本件工事3の個別談合に参加した事実はない。 c本件工事9の個別談合行為について個別談合行為への参加をもって不法行為が成立するというためには,①明示若しくは暗黙の受注希望者からの協力行為の要請と当該要請に対する了承,②①の要請・了承に基づく協力行為が必要である。 本件工事9においては,受注希望者であった控訴人P7から控訴人P2に対して協力行為の要請はなく,両者間で何らの合意も存在しておらず,控訴人P2は,本社で独自の積算を行って適正利益を前提とした価格を算出して入札しており,控訴人P7が落札することができるよう配慮した事実はない。 (イ)「違法に怠る事実」の不存在について被控訴人らから監査請求がされたのは,平成14年2月ないし4月であるところ,この時点においては,公正取引委員会において審判が開始されたばかりであって,被審人とされた控訴人らは,いずれも公正取引 いて被控訴人らから監査請求がされたのは,平成14年2月ないし4月であるところ,この時点においては,公正取引委員会において審判が開始されたばかりであって,被審人とされた控訴人らは,いずれも公正取引委員会の主張を争っていたものであり,町田市としても,公正取引委員会の事件記録を入手することができず,控訴人らが談合行為を行っていたことを裏付ける証拠をほとんど有していなかった。したがって,町田市が上記証拠を入手すべく公正取引委員会での審理の推移を見守ると判断したことは,合理的であるから「違法に怠る事実」は認められないと,いうべきである。 (ウ)損害について- 5 -平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における139件の工事は,公正取引委員会が談合行為が行われなくなったと認定している期間の工事であるが,そのうち落札率が99パーセント以上の工事が約4.3パーセント,95パーセントを超える工事が約41パーセント存在するのであるから,談合行為がなければ落札率が5パーセント下がったはずであるという相関関係は,約45パーセントの工事において否定されている。したがって,139件の工事の落札率を根拠として,72件の工事について契約金額の5パーセントが損害であると判断することは,不合理である。 イ控訴人P8(ア)個別談合の不存在について控訴人P8が受注した本件工事1については,アウトサイダーの3社(P9,P10,P11)が入札に参加しているが,この3社は,仮に本件慣行を前提としても,その枠外の存在なのであり,容易に談合を成立させる関係にはないところ,この3社が個別談合に加わったことを示す明確な証拠はないのであって,このことからしても,この3社をも含んで控訴人P8を受注予定者として決定した事実はない。 (イ)「違法に怠る事実」 にはないところ,この3社が個別談合に加わったことを示す明確な証拠はないのであって,このことからしても,この3社をも含んで控訴人P8を受注予定者として決定した事実はない。 (イ)「違法に怠る事実」の不存在について民法709条に基づく入札談合による損害賠償請求権は,その債権自体が争われ,その立証が複雑かつ困難であって,必ずしも「客観的に存在するもの」とはいいがたいから,これを行使するかどうか等については,町田市長の合理的な裁量に委ねられているところ,被控訴人ら主張の不法行為債権の存否が不明確であり,公正取引委員会の審決又は裁判所の判決を待たなければ立証できないとして,町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起しなかったことについては合理性がある。 また,入札談合により損害を被った者は,民法709条に基づく損害- 6 -賠償請求権のほかに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)25条に基づく損害賠償請求権を行使す。 ることが可能であるところ,このような債権の管理方法としては,両請求権の相違点,主張・立証の困難さ,証拠資料の質と量,訴訟提起・追行,経済的負担,訴訟結果の見通し,その影響,法的措置をとるべき緊急性,公益上の必要性,相手方の賠償能力喪失の可能性などの諸般の諸事情を考慮する必要があるのであり,したがって,入札談合により損害を被ったという地方公共団体の長は,審決確定前に不法行為に基づく損害賠償請求権を行使するかどうかについての裁量判断を行い得るもので,その判断に合理性がある場合には,当該債権管理を違法に怠ることにはならないというべきであり,これを本件についてみるに,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使する方が主張,立証の面で請求する側にとってはるかに負担が少ないし,独占禁止法25条 法に怠ることにはならないというべきであり,これを本件についてみるに,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使する方が主張,立証の面で請求する側にとってはるかに負担が少ないし,独占禁止法25条の損害賠償請求権の消滅時効は,審決確定の日から3年であり,損害賠償請求権の消滅時効の完成を考慮して,民法709条に基づく損害賠償請求権を早期に行使する必要性はないのであるから,町田市長が公正取引委員会の審決を待って独占禁止法25条又は不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを選択したのは,合理的な裁量の範囲内に属するから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しない。 ウ控訴人P12及び控訴人P13(ア)個別談合の不存在について本件工事2及び8においては,本件慣行が適用されないアウトサイダーの建設業者が入札に参加しているから,これらの業者の受注調整への協力を明確かつ確実に取り付けた事実が認められなければならないし,アウトサイダーの業者が談合に協力するには,何らかの具体的な見返りが必要であると考えられるところ,そのような事実はない。 - 7 -(イ)「違法に怠る事実」の不存在について地方公共団体の長が入札談合により被った損害につき損害賠償請求権を行使するということを前提としても,最も効率的かつ適切な行使方法を選択することにつき地方公共団体の長に裁量権があるのであって,民法709条に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合には,弁護士報酬を負担することとなるが,公正取引委員会の審決が確定した後に町田市が損害賠償請求の訴えを提起すれば,弁護士報酬等の無駄な支出を一切することなく,談合によって被った損害の回復を図ることができる可能性が高いのであるから,町田市長が公正取引委員会の審決が確定するのを待って損害賠償請求権の行使について検討する 酬等の無駄な支出を一切することなく,談合によって被った損害の回復を図ることができる可能性が高いのであるから,町田市長が公正取引委員会の審決が確定するのを待って損害賠償請求権の行使について検討するとの判断をして,民法709条に基づく損害賠償請求訴訟を提起しないのは,町田市長の合理的な裁量の範囲内であって,町田市長に違法に怠る事実はないというべきである。 (ウ)民事訴訟法248条による損害額の認定について仮に民事訴訟法248条を適用して損害額を認定するにしても,何の実質的根拠もない損害額の賠償を命じることはできない。 また,被控訴人らが主張する不法行為に基づく損害賠償請求権が談合入札した業者との間の違法な契約の締結という財務会計上の行為によって発生した損害を回復することを目的とする以上,それによって損害を被るのは発注者である公社であるから,仮に控訴人P12及び控訴人P13の談合が存在したとしても,町田市は,談合行為には何ら加担していない第三者である公社との協議に基づき任意に締結した委託契約に基づいて委託費を決定しているにすぎないのであるから,同控訴人らの談合と町田市の損害との間には,相当因果関係がない。 エ控訴人P7(ア)個別談合の不存在について- 8 -本件工事3においては,控訴人P7は,JVを組んだP14株式会社のサブにすぎず,同社に主導されていたのであり,同控訴人の従業員は,何ら営業活動をしていない。 また,本件工事4においては,本件慣行が適用されない2つのグループが入札に参加しているが,これらの業者と控訴人P7との間において,いつ,どのような事実があって,工事予定価格を上回る金額で入札したのか何ら証拠がない。 さらに,本件工事9は,控訴人P2と株式会社P15のJVが落札したところ,控訴人P7と控訴人P2の入落札の結果 いつ,どのような事実があって,工事予定価格を上回る金額で入札したのか何ら証拠がない。 さらに,本件工事9は,控訴人P2と株式会社P15のJVが落札したところ,控訴人P7と控訴人P2の入落札の結果からして,両者間に入札価格についての合意がなかったことは明らかである。原判決は,控訴人P7の子会社が本件工事9の落札価格の9割以上の価格で下請けしたことから,遡って個別談合の存在を認定しているのであって,談合の完結時期についての判断を誤ったものである。 (イ)「違法に怠る事実」の不存在について公正取引委員会の判断が出ることを待って損害賠償請求権を行使しようとした町田市長には「違法に怠る事実」はない。 ,(ウ)損害について談合があったというだけでは,損害の発生は認められない。談合と損害発生との因果関係の存在等について具体的に認定しなければならないが,原判決の認定は抽象的であり,原判決は,具体的損害を認定していない。 オ控訴人P16(ア)個別談合の不存在について本件工事5については,入札の参加した10社(10JV)のうち,控訴人P16以外は,受注意欲がなかったのであるから,競争入札は成立せず,競争制限行為である入札談合は成立し得ない。 - 9 -また,本件工事5の入札においては,本件慣行が適用されないアウトサイダーに属する2社も参加しており,それらの協力を得られたかどうかの確たる証拠はない。 (イ)「違法に怠る事実」の不存在について債権の行使について町田市長の裁量の余地がほとんどないのは,税金や各種賦課金等のように債権の存在及び額についてほとんど争いの余地がなく,直ちに行使することに何ら支障がない場合である。これに対し民法709条に基づく入札談合による損害賠償請求権のように,そもそも債権の存在及び額自体が明らかでなく,その債権を ほとんど争いの余地がなく,直ちに行使することに何ら支障がない場合である。これに対し民法709条に基づく入札談合による損害賠償請求権のように,そもそも債権の存在及び額自体が明らかでなく,その債権を行使し,回収しようとした場合,相当の労力と費用を要し,仮に訴えを提起した場合に敗訴の可能性もあるような損害賠償請求権は「客観的に存在するもの」と,はいいがたいから,これを行使するかどうか等については,町田市長の合理的な裁量に委ねられており,このような損害賠償請求権を直ちに行使しなければ違法であるなどといえないことは明白である。 また,入札談合により損害を被った者は,民法709条に基づく損害賠償請求権と独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが可能であるところ,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使する方が主張,立証の面で請求する側にとってはるかに負担が少ないし,独占禁止法25条の損害賠償請求権の消滅時効は,審決確定の日から3年であり,損害賠償請求権の消滅時効の完成を考慮して,民法709条に基づく損害賠償請求権を早期に行使する必要性はないのであるから,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の行使を選択するのは,極めて合理的である。 したがって,町田市長が民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことには,正当な理由があるから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しない。 - 10 -(ウ)損害について上記(ア)のとおり,本件工事5については,競争自体が存在せず,競争入札が成立しなかったのであるから,談合がなかった場合の落札価格を認定することはできず,実際の落札価格との差額をもって損害であるとすることはできない。平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件における平均落札率 価格を認定することはできず,実際の落札価格との差額をもって損害であるとすることはできない。平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件における平均落札率94. 54パーセントと公正取引委員会による立入調査後である平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における同工事139件における平均落札率89. 85パーセントとの差が4. 69パーセントに過ぎないのであるから,認定されるべき損害額は,本件各工事の契約金額(消費税を含む)の5パーセントを下回るというべきである。 。 カ控訴人P17及び控訴人P5(ア)控訴人P17a個別談合の不存在について控訴人らの間において,一般的に一律に入札活動を拘束しあう基本合意が存在しないのであるから,個別の入札ごとに受注価格をつり上げる合意があったか否かについては,被控訴人らは,厳格な主張立証責任を負っているところ,本件工事6の入札においては,受注調整行為の埒外にあるいわゆるアウトサイダーであるP18株式会社,P19株式会社,株式会社P20,P21株式会社及びP22株式会社をそれぞれの代表者とする5つのJVが存在し,当該入札において競争は有効に存在していたのであるから,個別談合があったとはいえない。 また,本件工事6は,先行する立杭工事の上にシールド工事を行うというものであり,控訴人P17は,この立杭工事を施工したのが控訴人P17をメインとするJVであるという他の入札業者よりも圧倒的に有利な立場に立っていたのであるから,結果として,控訴人P1- 11 -7の入札価格を下回る価格での落札を目指す他の入札業者がいなかったものにすぎない。 b「違法に怠る事実」の不存在について町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合でも,長期 -7の入札価格を下回る価格での落札を目指す他の入札業者がいなかったものにすぎない。 b「違法に怠る事実」の不存在について町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合でも,長期間の訴訟活動を余儀なくされる上,訴え提起の手数料等の訴訟費用はもとより,弁護士費用等の出捐と訴訟活動に伴う人的・物的手当等は避けられず,仮に敗訴した場合には,これらの諸費用が町田市の負担になるから,町田市長が公正取引委員会による審決の確定を待って,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを選択し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しなかったとしても,それは合理的な判断であり,違法に怠る事実があるとはいえない。 c損害について民事訴訟法248条は,損害額の立証を軽減したものにすぎず,同条が適用される前提として,損害が生じたことが立証されなければならないところ,本件においては,損害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。 (イ)控訴人P5a個別談合の不存在について控訴人らの間において,一般的に一律に入札活動を拘束しあう基本合意が存在しないのであるから,個別の入札ごとに受注価格をつり上げる合意があったか否かについては,被控訴人らは,厳格な主張立証責任を負っているところ,本件工事7の入札においては,受注調整行為の埒外にあるいわゆるアウトサイダーであるP23株式会社及びP24株式会社をそれぞれの代表者とするJVが存在し,当該入札において競争は有効に存在していたのであるから,控訴人P5には,個別- 12 -談合の違法性はない。 b「違法に怠る事実」の不存在について町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合でも,長期間の訴訟活動を余儀なくされる上,訴え提起の手数料等の訴訟費 2 -談合の違法性はない。 b「違法に怠る事実」の不存在について町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合でも,長期間の訴訟活動を余儀なくされる上,訴え提起の手数料等の訴訟費用はもとより,弁護士費用等の出捐と訴訟活動に伴う人的・物的手当等は避けられず,仮に敗訴した場合には,これらの諸費用が町田市の負担になるから,町田市長が公正取引委員会による審決の確定を待って,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを選択し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しなかったとしても,それは合理的な判断であり,違法に怠る事実があるとはいえない。 c損害について民事訴訟法248条は,損害額の立証を軽減したものにすぎず,同条が適用される前提として,損害が生じたことが立証されなければならないところ,本件においては,損害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。 キ控訴人P4(ア)「違法に怠る事実」の不存在について地方自治法242条の2第1項4号所定の「違法に怠る事実」についての違法性の判断の基礎となる資料は,専門的知識を有する監査委員の判断を受けるのが望ましいことなどの監査請求前置主義が採用された趣旨に照らすと,住民監査請求がされた時点において判明している事実に限定されるべきで「違法に怠る事実」はその時点において存在している,ことが必要と解すべきであるところ,被控訴人らの監査請求がされた時点においては,課徴金納付命令審判手続において控訴人らは談合の存在を争っていたのであるし,町田市長は,同審判手続において,提出され- 13 -た証拠の内容を検討することもできなかったのであるから,町田市長としては,公正取引委員会の審判手続において課徴金納付を命じる審判が確定した後に独占禁止法25 審判手続において,提出され- 13 -た証拠の内容を検討することもできなかったのであるから,町田市長としては,公正取引委員会の審判手続において課徴金納付を命じる審判が確定した後に独占禁止法25条に基づく損害賠償請求を行うと判断したものであり,これは極めて合理的な判断であり,町田市長に「違法に怠る事実」はなかったものというべきである。 仮に「違法に怠る事実」が事実審の口頭弁論終結時に存在すれば足り,るとしても,談合を理由とする不法行為の成否の判断は難しいのであるから,公正取引委員会の審決の確定の時をもって独占禁止法25条に基づく損害賠償請求を行うとの町田市長の判断は,行政裁量として認められるべきであり,町田市長に「違法に怠る事実」はない。 (イ)損害について本件工事3においては,控訴人P4とP25株式会社が結成したJVの粗利益は,4633万5959円であり,その落札金額11億3500万円に対する割合は4. 05パーセントであり,売上高に占める販売費及び一般管理費の割合(おおむね6パーセント)を下回っているような不採算ないし低採算の状況であったのであるから,仮に公正な競争が行われたとしても,上記JV及び他のJVが11億3500万円を下回る価格で入札することは考えにくい。したがって,公正な競争が行われた場合に形成されるであろう落札価格が控訴人P4の上記入札価格を下回ることは考えにくいから,原判決の認定した契約金額の5パーセント相当額という損害は,高すぎ,失当である。 (2)被控訴人らア個別談合の存在について本件慣行が適用されないいわゆるアウトサイダーが入札に加わった場合にも,個別工事ごとにアウトサイダーとの間で受注調整ができれば,予定価格すれすれの金額で落札することができるところ,本件各工事において- 14 -は,受注予 ゆるアウトサイダーが入札に加わった場合にも,個別工事ごとにアウトサイダーとの間で受注調整ができれば,予定価格すれすれの金額で落札することができるところ,本件各工事において- 14 -は,受注予定者とアウトサイダーとの間で個別工事ごとに具体的な受注調整行為が行われているし,控訴人らの担当者は,公正取引委員会の調査において,価格競争が行われた旨の供述をしていないし,その落札価格も予定価格ぎりぎりであるから,受注調整が行われたことは明らかである。 仮に,アウトサイダーを除く一部の仲間業者の間で談合がされたとしても,談合に参加した仲間業者の間で自由な競争が制限されていることに変わりがなく,これらの業者の間で競争が行われていれば,控訴人らの落札価格よりもさらに低廉な価格で落札された可能性は十分あるのであるから,上記談合と損害との間に因果関係があることになり,不法行為が成立する。 イ損害について民事訴訟法248条により相当な損害を算定するために必要な工事の内容,指名された業者の数,各業者の受注意欲の多寡及び入札当時の経済状況といった事情については,十分な立証がされている。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,被控訴人らの請求は,町田市に対し,いずれも原判決認定の損害賠償額及びこれに対する遅延損害金を支払うことを求める限度で理由があるものと判断する。その理由は,次のとおり補正し,2において当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3争点に対する判断(原判決11頁14行目から144頁20行目ま」で)の認定判断と同一であるから,これを引用する。 (1)原判決11頁18行目の「別紙業者一覧記載の建設業者80社」を「別紙業者一覧表記載の建設業者80社(同一覧表記載の建設業者は81社であるが,そのうち 定判断と同一であるから,これを引用する。 (1)原判決11頁18行目の「別紙業者一覧記載の建設業者80社」を「別紙業者一覧表記載の建設業者80社(同一覧表記載の建設業者は81社であるが,そのうちP4株式会社とP26株式会社がその後合併したことから,80社となる。以下「80社」というときは,その趣旨である)に,12頁,。 15行目から16行目にかけての「基本合意に存在していた」を「基本合意に参加していた」に,14頁3行目の「後の」を「後に」に,15頁17行- 15 -目の「営業担当者名簿」を「営業関係者名簿」に改める。 (2)原判決16頁12行目の「○○」を「○○」に,17頁10行目の「廃止した」を「廃止された」に改める。 (3)原判決24頁11行目の「平成12年12月1日」を「平成12年12月21日」に,25頁20行目の「ダミコン設計入札」を「ダミコンが設計入札」に,26頁15行目の「上記事情聴取当時」を「後記事情聴取当時」に,27頁26行目の「P27では懇親が主目的であり」を「P27では懇親が,主目的であるものの,P28とはほとんど同様のことが行われていたので,すぐに解散の運びになった。P27では」に,30頁9行目の「営業担当者,名簿」を「営業関係者名簿」に,32頁1行目の「また」を「または」に,,,8行目から9行目の「ゼネコンのみが」を「ゼネコンのみで」に,33頁10行目から11行目にかけての「昭和58年4月以前から」を「昭和58年9月以前から」に,14行目の「同会解散後も」を「平成4年の同会解散後も」に,35頁14行目の「42件」を「41件」に改める。 ,(4)原判決38頁25行目の「昭和46年以降」を「平成4年ころから」に40頁4行目の「P29株式会社」を「P30株式会社」に,42頁4行目の「同営業所長」を 「42件」を「41件」に改める。 ,(4)原判決38頁25行目の「昭和46年以降」を「平成4年ころから」に40頁4行目の「P29株式会社」を「P30株式会社」に,42頁4行目の「同営業所長」を「本社営業本部土木営業第一部に所属する営業所長」に,12行目の「α第5工事」を「α駅第5号工事」に,43頁17行目の「前記1(3)エ」を「前記1(3)エの検討結果」に,45頁12行目から13行目にかけての「当該入札を受注調整がなされているゼネコンに参加させることにより」を「当該入札に受注調整がなされていないゼネコンを参加させるこ,とにより」に改め,46頁11行目の「受注する意欲がなく」の次に「P,,(31の線路に関係する工事であるα駅第5号工事の入札に参加できる可能性があるので,受注意欲がなく,指名稼ぎに入札参加希望を出した物件であった旨の供述(甲サ145の6頁,8,9頁)は迫真性に富むものである」)。)を加え,15行目の「供述していなかった」を「供述をしていなかった」に- 16 -改める。 (5)原判決48頁18行目の「株式会社P32株式会社」を「株式会社P3),2」に,49頁24行目の「上記(c)及び(d」を「上記c及びd」に原判決50頁1行目から2行目にかけての「本件工事2の相指名業者であったP24株式会社,株式会社P32,P33株式会社に対し」を「本件工事,2につき「談合ルールが適用しない会社」であるP24株式会社,株式会社,P32及びP33株式会社の3社が指名業者に入ってしまったことから,この3社に対し」に,11行目の「昭和53年1月」を「昭和44年10月」,に「平成8年6月」を「平成8年12月」に,17行目の「結果として」を,「結果的に」に「本件工事2の公示された後」を「本件工事2の公示がさ,,れ の「昭和53年1月」を「昭和44年10月」,に「平成8年6月」を「平成8年12月」に,17行目の「結果として」を,「結果的に」に「本件工事2の公示された後」を「本件工事2の公示がさ,,れた後」に,26行目の「当社の見積金額を」を「自社の見積金額を」に,,,,51頁18行目の「よろしくお願いします」を「よろしくお願いします」に,。 53頁21行目から22行目にかけての「指名メンバーを」を「指名メンバーが」に,54頁22行目の「前記1(3)エ」を「前記1(3)エの検討結果」に,56頁3行目の「施行現場」を「施工現場」に,6行目の「被告P12が受注予定者であり」を「控訴人P12が受注予定者であるとして」に改,,める。 (6)原判決56頁25行目の「していたこと,にもかかわらず」を「してい,たにもかかわらず」に,60頁12行目の「同社関西地区で」を「同社は関,西地区で」に,61頁20行目の「参加」を「落札」に改める。 (7)原判決62頁12行目の「理由は」の次に「首都高速道路公団発注の工,,事でJVを組んだ実績があったことと」を加え,19行目の「P34営業所長の昇格し」を「P34営業所長に昇格し」に改める。 ,,(8)原判決68頁9行目から10行目にかけての「町田市興業下水道β汚水枝線その2工事」を「町田市公共下水道β汚水枝線その2工事」に改める。 (9)原判決70頁16行目から17行目にかけての「参加してもられたとのこ- 17 -と」を「参加してもらえたとのこと」に改める。 (10)原判決75頁2行目の「札」を「入札」に,77頁15行目の「物件」を「土木物件」に,78頁24行目の「ゼネコン」を「落札したゼネコン」に,80頁23行目の「3億4900万円」を「3億5800万円」に改める。 (11)原判決8 入札」に,77頁15行目の「物件」を「土木物件」に,78頁24行目の「ゼネコン」を「落札したゼネコン」に,80頁23行目の「3億4900万円」を「3億5800万円」に改める。 (11)原判決83頁7行目から8行目にかけての「下水管に下水管を繋げる工事」を「下水道に下水管を繋げる工事」に改め,84頁20行目末尾に「P35については,本件工事5の告示後,同社P36営業所長のP37に直接会って,工事希望票の提出を依頼し,了承して貰った」を加え,88頁6行。 目の「受注意欲があるということをお願いされ」を「受注意欲があるという,ことと工事希望票を出して欲しいということをお願いされ」に,90頁15,行目の「P38株式会社,P33株式会社」を「P38株式会社,P33()(株式会社,P35株式会社」に改める。 )(12)原判決100頁9頁から10行目にかけての「参加しておりましたが」,を「参加しましたが」に,20行目の「施行場所」を「施工場所」に改める。 ,(13)原判決104頁11行目の「本件工事4」を「本件工事7」に,21行目の「グループ会社」を「グループ会社の株式会社P39」に改め,107頁13行目から14行目にかけての「…(中略)…」を削り,108頁8行目から9行目にかけての「P40」を「P41」に,13行目から14行目にかけての「自社が受注したい時には,協力に応じてくれる「持ちつ持たれつ」の関係」を「自社が受注したい時には,協力を要請し,他社が受注したい時には,協力に応じる「持ちつ持たれつ」の関係」に,110頁19行目の「2億9500万円」を「2億9550万円」に,111頁15行目の「上記暗号」を「上記談合」に改める。 (14)原判決113頁16行目の「自社の結成したJVが入札金額」を「自社の結成したJVの入札金額 億9500万円」を「2億9550万円」に,111頁15行目の「上記暗号」を「上記談合」に改める。 (14)原判決113頁16行目の「自社の結成したJVが入札金額」を「自社の結成したJVの入札金額」に,114頁18行目の「知っており」を「知,- 18 -っていたはずで」に,117頁13行目の「P42に対してを」を「P42,に対して」に改め,26行目の「協力する旨」を「協力してほしい旨」に改める。 (15)原判決121頁24行目の「P35とP7」を「P35とかP7」に,122頁1行目から2行目にかけての「望んでおります」を「臨んでおりま。 す」に,8行目の「報告者」を「報告書」に,123頁7行目の「一生懸。 命」を「一所懸命」に,127頁8行目から9行目にかけての「提出依頼票を受け」を「提出依頼を受け」に,128頁9行目の「P2さんらJV」を「P2さんらのJV」に改める。 (16)原判決131頁5行目の「公示価格」と「消費税等相当額」が記載する「欄」を「工事価格」と「消費税等相当額」を記載する欄」に,6行目から7「行目にかけての「細則」を「細別」に,7行目の「概評」を「摘「」「」「」「要」に,132頁6行目の「工事内訳」を「工事内訳」として「直接工」「」「事費」に,22行目の「P15株式会社」を「株式会社P15」に,133」頁19行目の「被告P7が決した」を「控訴人P7が結成した」に,26行目から134頁1行目にかけての「本件工事9を受注予定者」を「本件工事9の受注予定者」に,134頁15行目の「JVに」を「JVが」に,135頁22行目の「審査時積算資料にける」を「審査時積算資料における」に改める。 (17)原判決134頁24行目末尾に続けて,次のとおり加える。 「すなわち,公社は,公示希望型指名競 JVが」に,135頁22行目の「審査時積算資料にける」を「審査時積算資料における」に改める。 (17)原判決134頁24行目末尾に続けて,次のとおり加える。 「すなわち,公社は,公示希望型指名競争入札を採用し,入札参加者に適正な競争を行わせることによって,適正な価格で工事を発注し,その結果,町田市が負担する委託費は,適正な価額となることが実現されるものである。 町田市のこのような利益は,法律上保護すべき利益であるところ,控訴人P7の従業員は,本件工事9の入札において,控訴人P2の従業員を含む本件工事9の入札に参加したJVの主となる建設業者の従業員との間で受注調整- 19 -(個別談合)を行い,その実行として,控訴人P7が組んだJV及び控訴人P2が組んだJVらが入札し,控訴人P2と株式会社P15とが結成したJVが上記個別談合に基づいて落札し,町田市に損害を与えたものであるから,控訴人P7の結成したJVが上記認定の経過で落札しなかったとしても,控訴人P7及び控訴人P2は,共同不法行為者として,町田市の上記法律上保護された利益を侵害したことは明らかである。確かに,上記のとおり,本件工事9の入札における個別談合の受注予定者は,控訴人P7が組むJVであるにもかかわらず,本件工事9を落札したのは,控訴人P2が組むJVであるが,これを不法行為責任の成立要件の面から評価すると,共謀に基づく共同実行により損害の発生という結果が生じたが,結果を発生させた共同実行者が当初予定したものとは異なっていたものにすぎず,講学上の因果関係の錯誤に該当し,控訴人P7及び控訴人P2の不法行為責任の成立に対する障害とはならない」。 (18)原判決139頁18行目から140頁8行目までを次のとおり改める。 「ウそこで,民事訴訟法248条に従って,相当な損害額を認定す 訴人P2の不法行為責任の成立に対する障害とはならない」。 (18)原判決139頁18行目から140頁8行目までを次のとおり改める。 「ウそこで,民事訴訟法248条に従って,相当な損害額を認定するに,①上記認定のとおり,平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件の平均落札率が94.54パーセントであるのに対し,公正取引委員会による立入検査が開始された後である同年10月1日から同17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事の平均落札率は,89. 85パーセントとなって約4. 69パーセント低下しているところ,前記引用に係る原判決認定事実によれば,公正取引委員会による立入検査が開始された後においては,本件慣行が適用される控訴人らの間において談合行為が自粛されたことが窺われるのであるから,上記各期間に発注された特定土木工事の施工場所及び内容等に上記落札率の低下をもたらすような差があったと認めるに足りる証拠がない以上,上記落札率の低下は,談合行為- 20 -が自粛されたことによるものと考えられること,②公正取引委員会の審決(甲23)によれば,課徴金納付命令の対象期間(平成9年10月1日から同12年9月27日まで)に公社が発注した土木工事72件のうち,課徴金対象工事31件の平均落札率が98. 04パーセントであるのに対し,課徴金対象外工事41件の平均落札率は,91. 88パーセントとなって6. 16パーセント低下しているところ,課徴金対象工事と課徴金対象外工事との間に上記落札率の低下をもたらすような施工工事の場所及び内容等の差を認めるに足りる証拠がない以上,上記落札率の差は,談合がされなかったことによって生じたものと考えられることなどの上記認定に係る諸事情及び弁論の全趣旨によ もたらすような施工工事の場所及び内容等の差を認めるに足りる証拠がない以上,上記落札率の差は,談合がされなかったことによって生じたものと考えられることなどの上記認定に係る諸事情及び弁論の全趣旨によれば,町田市が本件各工事の入札における控訴人らの談合によって被った損害額は,本件各工事の請負契約の契約金額(消費税相当額を含む)の5パーセントに。 相当する金額(1000円未満切捨て)と認めるのが相当である。なお請負契約の契約金額が変更されている場合には,入札における談合行為という性質上,契約金額の変更が入札当初から見込まれていたなどの特段の事情がない限り,当初金額によるものとするのが相当である」。 (19)原判決141頁6行目の「意欲の多寡」を「意欲の強弱」に,9行目の「なされてるといえ」を「なされているといえ」に改める。 ,,(20)原判決143頁25行目から144頁16行目までを次のとおり改める。 「地方自治法240条,同施行令171条から171条の7までの規定によれば,地方公共団体は,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除することは許されず,地方自治法施行令171条の5から171条の7までの規定所定の徴収停止事由等がある場合以外は,原則して地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量権はないと解される(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照。そして,地方自治法施行令171条の5から)- 21 -171条の7までの規定によれば,これらの規定が定める徴収停止事由等があるときに限り,地方公共団体の長は,その有する債権の取立て等をしないことができるところ,控訴人P6等が負担する上記談合による損害賠償債務については,地方自治法施行令171条の5から171条の7ま があるときに限り,地方公共団体の長は,その有する債権の取立て等をしないことができるところ,控訴人P6等が負担する上記談合による損害賠償債務については,地方自治法施行令171条の5から171条の7までの規定所定の徴収停止事由等があると認めるに足りる証拠はないから,町田市長は,速やかに地方自治法施行令171条以下の権利行使の措置をとらなければならないと解される。したがって,町田市長がこの措置をとっていない限り,地方自治法242条の2第1項4号所定の「怠る事実」があることとなる。 なお,控訴人らは,不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起するか独占禁止法25条に基づく損害賠償請求の訴えを提起するかの裁量権が町田市長にある旨主張するが,地方自治法その他の法令上,そのような裁量権が地方公共団体の長にあるとする規定は存在せず,地方自治法240条がそのような裁量権を地方公共団体の長に与えていると解することはできない」。 当審における控訴人らの主張について(1)控訴人P6及び同P2の主張についてア個別談合の存否について控訴人P6及び同P2は,(ア)原判決は,落札率が95パーセント以上であることをもって個別談合がされたことを強く推認しているが,落札率とは,落札価格を予定価格で除した比率であるが,予定価格は,公社がその内部で独自の基準・算定方法により定めている非公表の価格であり,他方,落札価格は,落札業者が別途独自の基準・算定方法により決定した価格であり,落札率それ自体から直ちに個別談合の疑いが強まるとの結論を導き出すことは到底できない,(イ)個別談合行為への参加をもって不法行為が成立するためには,①明示若しくは暗黙の受注希望者からの協- 22 -力行為の要請と当該要請に対する了承,②①の要請・了承に基づく協力行為が必要である 個別談合行為への参加をもって不法行為が成立するためには,①明示若しくは暗黙の受注希望者からの協- 22 -力行為の要請と当該要請に対する了承,②①の要請・了承に基づく協力行為が必要であるところ,本件工事9においては,受注希望者であった控訴人P7からは協力行為の要請はなく,控訴人P2においては,本社で独自の積算を行っており,控訴人P7が落札することができるよう配慮した事実はないと主張する。 しかし,前記引用に係る原判決認定のとおり,本件工事9における落札率のみならず,公正取引委員会審査官に対する控訴人P6の元P43営業所長や控訴人P2の従業員らの供述と審査時見積書等に基づいて,控訴人P6及び同P2が,本件各工事又は本件工事9の入札において,他の入札業者に対し受注調整をするなどの個別談合を行ったことが認められるのであるから,控訴人P6らの上記主張は,採用することができない。 また,控訴人P2が本件工事9の入札において他の入札業者と受注調整をするなどの個別談合をしたものと認められることは,前記引用に係る原判決認定のとおりであるから,控訴人P2の上記主張も採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の不存在について控訴人P6らは,被控訴人らから監査請求がされたのは,平成14年2月ないし4月であるところ,この時点においては,公正取引委員会において審判が開始されたばかりであり,町田市としても,公正取引委員会の事件記録を入手することができず,控訴人らが談合行為を行っていたことを裏付ける証拠をほとんど有していなかったから,町田市が上記証拠を入手すべく公正取引委員会での審理の推移を見守ると判断したことは,合理的であり,町田市長には「違法に怠る事実」は認められないというべきであると主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の理由説示(補正後 すべく公正取引委員会での審理の推移を見守ると判断したことは,合理的であり,町田市長には「違法に怠る事実」は認められないというべきであると主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の理由説示(補正後のもの)のとおり,地方自治法240条,同施行令171条から171条の7までの規定によ- 23 -れば,地方公共団体は,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除することは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないのであって,控訴人P6等が負担する上記談合による損害賠償債務について,町田市長は,速やかに地方自治法施行令171条以下の権利行使の措置をとらなければならないと解される。したがって,町田市長がこの措置をとっていない限り,地方自治法242条の2第1項4号所定の「違法に怠る事実」があることとなる。 なお,控訴人P6らは,町田市長は,控訴人P6らの談合を裏付ける証拠をほとんど有していなかったから,直ちに損害賠償請求の訴えを提起しなくとも違法ではない旨主張するが,不法行為に基づく損害賠償請求権は,故意又は過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為の存在及びこれによる損害発生の事実の存在により発生するものであること,地方自治法240条,地方自治法施行令171条から171条の7までの規定が,上記のように厳格な債権管理を求めていることを前提として検討するに,同法その他の法令上,控訴人P6らの主張を根拠づける規定を見いだすことはできない。控訴人P6らの上記主張は,採用することができない。 ウ損害について控訴人P6らは,平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における139件の工事について,公正取引委員会が談合行為がないと認定していることを前提にして,それらの落札率が99パーセン いて控訴人P6らは,平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における139件の工事について,公正取引委員会が談合行為がないと認定していることを前提にして,それらの落札率が99パーセント以上の工事が約4.3パーセント,95パーセントを超える工事が約41パーセントであることに照らすと,約45パーセントの工事において,談合行為がなければ落札率が5パーセント下がったはずであるという相関関係は,否定されているから,本件各工事の請負契約の契約金額の5パーセントが損害であるという認定は,不合理である旨主張する。 - 24 -しかし,前期引用に係る原判決の理由説示(補正後のもの)のとおり,公正取引委員会による審査が開始された後の平成9年10月1日から平成12年10月1日までの公社発注の特定土木工事72件のうち,課徴金対象工事31件の平均落札率は,98.04パーセントであり,課徴金対象外工事41件の平均落札率91.88パーセントよりも6.16パーセント高くなっていることが認められること(甲23)などの事情に照らすと,本件各工事の請負代金額(消費税を含む)の5パーセントに相当する額が。 町田市の被った損害であると認めるのが相当である。 (2)控訴人P8の主張についてア個別談合の存否について控訴人P8は,本件工事1については,利益よりも公共工事を受注するために必要な工事実績をあげることを優先して入札に臨んだものであるところ,本件慣行が適用される約80社のゼネコン以外の3社が入札に参加しているにもかかわらず,上記3社が個別談合に加わったと認めるに足りる証拠はない旨主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P8の従業員の供述等に基づいて,上記3社に対しても,個別談合の協力要請をし,上記3社の了解の に足りる証拠はない旨主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P8の従業員の供述等に基づいて,上記3社に対しても,個別談合の協力要請をし,上記3社の了解の下に本件工事1の入札に臨んだことが認められるのであるから,控訴人P8の上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について控訴人P8は,民法709条に基づく入札談合による損害賠償請求権は,その債権自体が争われ,その立証が複雑かつ困難であって,必ずしも「客観的に存在するもの」とはいいがたいから,これを行使するかどうか等については,町田市長の合理的な裁量に委ねられているところ,被控訴人ら主張の不法行為債権の存否が不明確であり,公正取引委員会の審決又は裁- 25 -判所の判決を待たなければ立証できないとして,町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起しなかったことについては合理性があり,また,入札談合により損害を被った者は,民法709条に基づく損害賠償請求権と独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが可能であるところ,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使する方が主張,立証の面で請求する側にとってはるかに負担が少ないし,独占禁止法25条の損害賠償請求権の消滅時効は,審決確定の日から3年であり,損害賠償請求権の消滅時効の完成を考慮して,民法709条に基づく損害賠償請求権を早期に行使する必要性はないのであるから,町田市長が公正取引委員会の審決を待って独占禁止法25条又は不法行為に基づく損害賠償求権を行使することを選択したのは,合理的な裁量の範囲内に属するから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しない旨主張する。 しかし,上記判断のとおり,町田市長に控訴人P8主張の裁量権があると認める 求権を行使することを選択したのは,合理的な裁量の範囲内に属するから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しない旨主張する。 しかし,上記判断のとおり,町田市長に控訴人P8主張の裁量権があると認めることはできないから,控訴人P8の上記主張も採用することができない。 (3)控訴人P12及び同P13の主張についてア個別談合の存否について控訴人P12らは,本件工事2及び8においては,本件慣行が適用されないアウトサイダーの建設業者が入札に参加しているから,これらの業者の受注調整への協力を明確かつ確実に取り付けた事実が認められなければならないし,アウトサイダーの業者が談合に協力するには,何らかの具体的な見返りが必要であると考えられるところ,そのような事実はない旨主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P12の従業員の供述等に基づけば,本件工事2及び8の入札において,控訴人P12らの談合があったと認定することができるのであるか- 26 -ら,控訴人P12らの上記主張は,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について控訴人P12らは,町田市が民法709条に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合には,弁護士報酬を負担することとなるが,公正取引委員会の審決が確定した後に町田市が損害賠償請求の訴えを提起すれば,弁護士報酬等の無駄な支出を一切することなく談合によって被った損害の回復を図ることができる可能性が高いのであるから,町田市長が公正取引委員会の審決が確定するのを待って損害賠償請求権の行使について検討するとの判断をして,民法709条に基づく損害賠償請求訴訟を提起しないのは,町田市長の合理的な裁量の範囲内であって,町田市長に「違法に怠る事実」はないというべきであると主張する。 しかし,上記 検討するとの判断をして,民法709条に基づく損害賠償請求訴訟を提起しないのは,町田市長の合理的な裁量の範囲内であって,町田市長に「違法に怠る事実」はないというべきであると主張する。 しかし,上記説示のとおり,町田市長には,控訴人P12らが主張する裁量権はないのであるから,控訴人P12らの上記主張は採用することができない。 ウ民事訴訟法248条による損害額の認定について控訴人P12らは,民事訴訟法248条を適用して損害額を認定するにしても,何の実質的根拠もない損害額の賠償を命じることはできないし,被控訴人ら主張の不法行為により損害を被るのは公社であるから,仮に控訴人P12及び控訴人P13の談合が存在したとしても,談合行為には何ら加担していない第三者である公社と任意に締結した委託契約に基づいて委託費を決定している町田市の損害と同控訴人らの談合との間には相当因果関係がないと主張する。 しかし,前記引用に係る原判決摘示の前提事実(補正後のもの。原判決,「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」1(3))のとおり,町田市は公社との業務委託契約により,公社に対し,委託費(工事費,支障物件処理費及び公社の事務費)を支払う契約上の義務があるところ,上記工事費- 27 -とは,公社と工事請負人との間の契約額(契約変更があった場合は変更後の金額とする)とされているのであるから,談合行為によって損害を受け。 るのは町田市というべきであり,このことは,上記業務委託契約が町田市と公社により任意に締結されたものであることによって影響を受けるものではなく,前記引用に係る原判決の認定判断(補正後のもの)のとおり,控訴人P12らの談合により町田市に損害が発生したことを認めることができるのであって,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることから,口 に係る原判決の認定判断(補正後のもの)のとおり,控訴人P12らの談合により町田市に損害が発生したことを認めることができるのであって,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることから,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,その損害額を認定するのが相当と認められるのであるから,控訴人P12らの上記主張は採用することができない。 (4)控訴人P7の主張についてア個別談合の存否について控訴人P7は,本件工事4においては,本件慣行が適用されない2つのグループが入札に参加しているが,これらの業者と控訴人P7との間において,いつ,どのような事実があって,工事予定価格を上回る金額で入札したのか何ら証拠がないし,本件工事9においては,控訴人P2と株式会社P15のJVが落札した事実からして,控訴人P7と控訴人P2との間に入札価格についての合意がなかったことは明らかであるにもかかわらず,原判決は,控訴人P7と控訴人P2との間の事後の始末如何をもって遡って個別談合の存在を認定しているのであって,談合の完結時期についての判断を誤ったものであると主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P7の従業員の供述等に基づけば,本件工事4及び9の入札において,控訴人P7らの談合があったと認定することができるのであるから,控訴人P7の上記主張は,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について- 28 -控訴人P7は,公正取引委員会の判断が出ることを待って損害賠償請求権を行使しようとした町田市長には「違法に怠る事実」はないと主張する。 ,しかし,上記説示のとおり,町田市長には,控訴人P7が主張する裁量権はないのであるから,控訴人P7の上記主張は採用することができない。 ウ損害の存否について 違法に怠る事実」はないと主張する。 ,しかし,上記説示のとおり,町田市長には,控訴人P7が主張する裁量権はないのであるから,控訴人P7の上記主張は採用することができない。 ウ損害の存否について控訴人P7は,談合があったというだけでは,損害の発生は認められず,談合と損害発生との因果関係の存在等について具体的に認定しなければならないが,原判決の認定は抽象的であり,原判決は,具体的損害を認定していないと主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P7らの談合により町田市に損害が発生したことが認められるのであって,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることから,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,その損害額を認定するのが相当と認められるのであるから,具体的損害を認定していない旨の控訴人P7の上記主張は採用することができない。 (5)控訴人P16の主張についてア個別談合の存否について控訴人P16は,本件工事5については,入札に参加した10社(10JV)のうち,控訴人P16以外は,受注意欲がなかったのであるから,競争入札は成立せず,競争制限行為である入札談合は成立し得ないしまた,本件工事5の入札においては,本件慣行が適用されないアウトサイダーに属する2社も参加しており,それらの協力を得られたかどうかの確たる証拠はないと主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P16の従業員の供述等に基づけば,本件工事5の入札において,控訴人P16らの談合があったと認定することができるのであるから,控- 29 -訴人P16の上記主張は,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について控訴人P16は,債権の行使について町田市長の裁量の余地がほ と認定することができるのであるから,控- 29 -訴人P16の上記主張は,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について控訴人P16は,債権の行使について町田市長の裁量の余地がほとんどないのは,税金や各種賦課金等のように債権の存在及び額についてほとんど争いの余地がなく,直ちに行使することに何ら支障がない場合であるが,民法709条に基づく入札談合による損害賠償請求権のように,そもそも債権の存在及び額自体が明らかでなく,その債権を行使し,回収しようとした場合,相当の労力と費用を要し,仮に訴えを提起した場合に敗訴の可能性もあるような損害賠償請求権は「客観的に存在するもの」とはいいが,たいから,これを行使するかどうか等については,町田市長の合理的な裁量に委ねられており,このような損害賠償請求権を直ちに行使しなければ違法であるなどといえず,入札談合により損害を被った者は,民法709条に基づく損害賠償請求権と独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが可能であるところ,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使する方が主張,立証の面で請求する側にとってはるかに負担が少ないし,独占禁止法25条の損害賠償請求権の消滅時効は,審決確定の日から3年であり,損害賠償請求権の消滅時効の完成を考慮して,民法709条に基づく損害賠償請求権を早期に行使する必要性はないのであるから,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の行使を選択するのは,極めて合理的であり,町田市長が民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことには,正当な理由があるから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しないと主張する。 しかし,上記説示のとおり,不法行為に基づく損害賠償請求権は,故意又は過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為の存 あるから,町田市長には「違法に怠る事実」は存在しないと主張する。 しかし,上記説示のとおり,不法行為に基づく損害賠償請求権は,故意又は過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為の存在及びこれによる損害発生の事実の存在により発生するものであり,町田市長には,控訴人P16が主張する裁量権はないのであるから,控訴人P- 30 -16の上記主張は採用することができない。 ウ損害について控訴人P16は,平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件における平均落札率94.パーセントと公正取引委員会による立入調査後である平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における同工事139件における平均落札率89. 85パーセントとの差が4. 69パーセントに過ぎないのであるから,認定されるべき損害額は,本件各工事の請負契約の契約金額(消費税を含む)の5パーセントを下回るというべきであるなどと主張す。 る。 しかし,前期引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,公正取引委員会が平成20年7月24日にした審決(甲23)によれば,課徴金納付命令の対象期間(平成9年10月1日から平成12年9月27日まで)の公社発注の特定土木工事72件のうち,課徴金対象工事31件の平均落札率は,98.04パーセントであり,課徴金対象外工事41件の平均落札率91.88パーセントよりも6.16パーセント高くなっていることなどを勘案すると,本件各工事の請負代金額(消費税を含む)の。 5パーセントに相当する額が町田市の被った損害であると認めるのが相当であるから,控訴人P16の上記主張は,採用することができない。 (6)控訴人P17及び同P5の主張についてア個別談合の存否について控訴人P17ら る額が町田市の被った損害であると認めるのが相当であるから,控訴人P16の上記主張は,採用することができない。 (6)控訴人P17及び同P5の主張についてア個別談合の存否について控訴人P17らは,控訴人らの間において,一般的に一律に入札活動を拘束しあう基本合意が存在しないのであるから,個別の入札ごとに受注価格をつり上げる合意があったか否かについては,被控訴人らは,厳格な主張立証責任を負っているところ,本件工事6の入札においては,受注調整行為の埒外にあるいわゆるアウトサイダーである5つのJVが存在し,当- 31 -該入札において競争は有効に存在していたのであるなどと主張して,個別談合の存在を否定する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P17の従業員の供述等に基づけば,本件工事6及び7の入札において,控訴人P17らの談合があったと認定することができるのであるから,控訴人P17らの上記主張は,採用することができない。 イ「違法に怠る事実」の存否について控訴人P17らは,町田市長が不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを提起した場合でも,長期間の訴訟活動を余儀なくされる上,訴え提起の手数料等の訴訟費用はもとより,弁護士費用等の出捐と訴訟活動に伴う人的・物的手当等は避けられず,仮に敗訴した場合には,これらの諸費用が町田市の負担になるから,町田市長が公正取引委員会による審決の確定を待って,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権又は不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを選択し,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しなかったとしても,それは合理的な判断であり,違法に怠る事実があるとはいえないなどと主張する。 しかし,上記説示のとおり,町田市長には,控訴人P17らが主張する裁量権はないのであるから,控 を行使しなかったとしても,それは合理的な判断であり,違法に怠る事実があるとはいえないなどと主張する。 しかし,上記説示のとおり,町田市長には,控訴人P17らが主張する裁量権はないのであるから,控訴人P17らの上記主張は採用することができない。 ウ損害について控訴人P17らは,民事訴訟法248条は,損害額の立証を軽減したものにすぎず,同条が適用される前提として,損害が生じたことが立証されなければならないところ,本件においては,損害が生じたことを認めるに足りる証拠はないなどと主張して,町田市の損害を否定する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P17らの談合により町田市に損害が発生したことが認められるの- 32 -であって,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることから,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,その損害額を認定するのが相当と認められるから,控訴人P17らの上記主張は採用することができない。 (7)控訴人P4の主張についてア「違法に怠る事実」の存否について控訴人P4は,地方自治法242条の2第1項4号所定の「違法に怠る事実」についての違法性の判断の基礎となる資料は,専門的知識を有する監査委員の判断を受けるのが望ましいことなどの監査請求前置主義が採用された趣旨に照らすと,住民監査請求がされた時点において判明している事実に限定されるべきであるところ,被控訴人らの監査請求がされた時点においては,課徴金納付命令審判手続において提出された証拠の開示を受けていなかったのであるから,公正取引委員会の審決の確定の時をもってその権利行使を行うとの町田市長の判断は,合理的なものであり,町田市長には「違法に怠る事実」はなかったものというべきであると主張する。 しかし,上記説示のと ら,公正取引委員会の審決の確定の時をもってその権利行使を行うとの町田市長の判断は,合理的なものであり,町田市長には「違法に怠る事実」はなかったものというべきであると主張する。 しかし,上記説示のとおり,不法行為に基づく損害賠償請求権は,故意又は過失により他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為の存在及びこれによる損害発生の事実の存在により発生するものであり,客観的に存在する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使については,町田市長に控訴人P4主張のごとき裁量権があると認めることはできないから,控訴人P4の上記主張は,採用することができない。 イ損害について控訴人P4は,本件工事3においては,控訴人P4が結成したJVの粗利益は,4633万5959円であり,その落札金額11億3500万円に対する割合は4. 05パーセントであり,売上高に占める販売費及び一般管理費の割合(おおむね6パーセント)を下回っているような不採算な- 33 -いし低採算の状況であったのであるから,他のJVが11億3500万円を下回る価格で入札することは考えにくいから,原判決の認定した契約金額の5パーセント相当額という損害は,高すぎ,失当である旨主張する。 しかし,前記引用に係る原判決の認定説示(補正後のもの)のとおり,控訴人P4らの談合により町田市に損害が発生したことが認められるのであって,損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることから,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,その損害額を認定するのが相当と認められるのであり,本件各工事の請負契約の契約金額の5パーセント相当の損害額を認定するのは相当であって,控訴人P4の上記主張は採用することができない。 結語以上によれば,被控訴人らの本件請求は,原判決認定の損害賠償金の支払を求める 契約金額の5パーセント相当の損害額を認定するのは相当であって,控訴人P4の上記主張は採用することができない。 結語以上によれば,被控訴人らの本件請求は,原判決認定の損害賠償金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないところ,これと結論を同じくする原判決は相当であるから,控訴人らの本件控訴は,いずれも理由がなくこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部裁判長裁判官渡邉等裁判官西口元- 34 -裁判官山口信恭

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