平成29(ワ)24942 特許権侵害に基づく不当利得返還等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年1月20日 東京地方裁判所
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判決文本文130,716 文字)

令和3年1月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第24942号特許権侵害に基づく不当利得返還等請求事件口頭弁論終結日令和2年11月13日判決原告株式会社ジェイ・キャスト 同訴訟代理人弁護士椙山敬士片山史英同訴訟代理人弁理士牛久健司旧商号ヤフー株式会社被告 Zホールディングス株式会社 同訴訟代理人弁護士大野聖二木村広行多田宏文 主文 1 被告は,原告に対し,10億3109万2361円及びうち8億82 82万3450円に対する平成29年8月2日から,うち1億2648万5217円に対する平成30年4月1日から,うち2178万3694円に対する平成31年4月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,30億円及びこれに対する平成29年8月2日から支払 済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 は,原告に対し,30億円及びこれに対する平成29年8月2日から支払 済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告に対し,被告の運営するウェブサイト等において提供さ れている地域ターゲティング広告等のサービスが原告の特許権を侵害すると主張して,民法709条,特許法102条3項に基づく損害賠償請求又は民法703条,704条に基づく不当利得返還請求の各一部請求として,30億円及びこれに対する平成29年8月2日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44条による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金又は 利息の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定することができる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)(1) 当事者 ア原告は,インターネットを利用した各種情報提供サービス等を目的とする株式会社である。 イ被告は,情報処理サービス業及び情報提供サービス業等を目的とする株式会社である。 (2) 原告の特許権 ア原告は,以下の特許権(以下「本件特許権」といい,これに係る特許を「本件特許」という。)を有していた(平成30年6月26日権利消滅)。 特許番号:特許第3254422号出願日:平成10年6月26日(特願平10-180815号)登録日:平成13年11月22日 発明の名称:ウェブページ閲覧方法およびこの方法を用いた装置 イ本件特許の出願経緯 10-180815号)登録日:平成13年11月22日 発明の名称:ウェブページ閲覧方法およびこの方法を用いた装置 イ本件特許の出願経緯(ア) 本件特許出願の際に願書に最初に添付した特許請求の範囲(請求項の数7)の請求項1及び4の記載内容は,別紙「特許請求の範囲」記載1のとおりである。(甲12の3)(イ) 特許庁は,平成11年3月9日付けで,本件出願当初の特許請求の範囲 の請求項1~7に係る発明は,特開平9-50441号公報及び特開平10-21259号公報に記載された発明に基づいて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとして拒絶理由通知をした。(甲12の6・7) (ウ) これに対し,原告は,平成11年5月11日,特許庁に対し,特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明の記載内容を補正する旨の手続補正書及び同補正により本願は特許されるべき旨の意見書を提出した(以下,同手続補正書による補正を「第1次補正」という。)。第1次補正後の特許請求の範囲(請求項の数11)の請求項1及び6の記載内容は,別紙「特 許請求の範囲」記載2のとおりである。(甲12の9・10)(エ) 特許庁は,平成11年9月9日,第1次補正後の特許請求の範囲の請求項1~11に係る発明は,特開平9-305518号(後記甲20公報),特開平8-298658号(後記甲65公報)及び特開平9-153054号(後記甲66公報)に記載された発明に基づいて,その出願前に当業 者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨の拒絶理由通知 4号(後記甲66公報)に記載された発明に基づいて,その出願前に当業 者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない旨の拒絶理由通知をした。(甲12の11)(オ) 原告は,平成11年11月12日,特許庁に対し,特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明の記載内容を補正する旨の手続補正書及び同 補正により本願は特許されるべき旨の意見書を提出した(以下,同手続補 正書による補正を「本件補正」という。)。本件補正後の特許請求の範囲(請求項の数11。以下「本件特許請求の範囲」という。)の記載内容は,別紙「特許請求の範囲」記載3のとおりである(下線部は本件補正による補正部分。以下,同請求項1に記載された発明を「本件発明1」,同請求項6に記載された発明を「本件発明2」といい,併せて「本件各発明」と いう。また,本件補正による補正後の明細書及び図面を「本件明細書等」という。)。(甲12の13・14)(カ) 特許庁は,平成12年8月29日,本件特許出願について,前記(エ)の拒絶理由通知書に記載した理由により,拒絶査定をした。その備考欄には,後記乙1文献にあるように,インターネットに接続されたエンティティ情 報を地理的位置情報と共にデータベースで管理することは当業者においては周知の技術である旨が記載されている。(甲12の15)(キ) 原告は,平成12年10月4日,特許庁に対し,拒絶査定不服審判(不服2000-15766号。以下「本件拒絶査定不服審判」という。)を請求し,特許庁は,平成13年10月16日,原査定を取り消し,本願の発 明は特許すべきものとする旨の審決をした。(甲12の16・18)ウ本件各発明を構成要件に 不服審判」という。)を請求し,特許庁は,平成13年10月16日,原査定を取り消し,本願の発 明は特許すべきものとする旨の審決をした。(甲12の16・18)ウ本件各発明を構成要件に分説すると,それぞれ以下のとおりである(以下,各構成要件を,それぞれ符号に従い「構成要件1A」などという。なお,下線部は本件補正による補正部分である。)。 (ア) 本件発明1(請求項1) 1A 通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,1B1 ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地 域データベースを用いて, 1B2 前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップと,1C 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択ステップと,1D 前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられた ユーザ端末に送信する送信ステップと,1E を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。 (イ) 本件発明2(請求項6)2A 通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供装置において, 2B1 ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて, アクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,2B2 前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアク セスポイントが属する地域を判別する第1の判別手段と,2C 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択手段と,2D 前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信手段と, 2E を有したことを特徴とするウェブ情報提供装置。 エ本訴提起前の無効審判請求とこれに対する審決(ア) 訴外Aは,平成21年1月23日付けで,特許庁に対し,本件各発明1に係る特許を無効とすることを求める旨の特許無効審判(無効2009-800014号。以下「本件無効審判」という。)の請求をした。本件無 効審判において同人が主張した無効理由の概要は,以下のとおりである。 (甲13)a 無効理由1後記甲14の1文献に記載の発明(以下「甲14の1発明」という。)に基づく新規性欠如(特許法29条1項3号,123号1項2号)b 無効理由2 甲14の1発明及び後記甲14の2文献に記載の発明(以下「甲14の2発明」という。)に基づく進歩性欠如(特許法29条2項,123条1項2号)c 無効理由3「アクセスポイントが属する地域」という記載を追加した本件補正が 新規事項の追加に当たる旨の補正要件違反(特許法17条の2第3項,123条1項1号)d 無効理由4 「アクセスポイントが属する地域」という記載を追加した本件補正が 新規事項の追加に当たる旨の補正要件違反(特許法17条の2第3項,123条1項1号)d 無効理由4本件各発明が特許法2条の「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当しないことに基づく特許法29条柱書違反(123条1項2号) e 無効理由5「アクセスポイントが属する地域」が本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていないことに基づくサポート要件違反(特許法36条6項1号,123条4項)f 無効理由6 「アクセスポイントが属する地域」をどのようにして判定するのか等が,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないことに基づく実施可能要件違反(特許法36条4項,123条4項)g 無効理由7 方法の発明である本件各発明1が,いかなる方法を特定しているのか が不明確であることに基づく明確性要件違反(特許法36条6項2号,123条4項)(イ) 特許庁は,平成21年8月19日,本件無効審判の請求は成り立たない旨の審決をし,同審決は,同年9月30日に確定した。(甲2,19)(3) 被告の行為 ア地域ターゲティング広告被告は,自らが提供するウェブサイト「Yahoo! JAPAN」(以下「被告ウェブサイト」という。)や,他の提携ウェブサイトにおいて,広告を表示するサービス「Yahoo!プロモーション広告」を提供している。同サービスには,被告ウェブサイトや主要提携サイトのコンテンツページに広告を掲載する 「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」(以下「YD o!プロモーション広告」を提供している。同サービスには,被告ウェブサイトや主要提携サイトのコンテンツページに広告を掲載する 「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」(以下「YDN」という。)と,被告ウェブサイトや主要提携サイトの検索結果画面に広告を掲載する「スポンサードサーチ」が含まれる。 被告は,このほかにも,被告ウェブサイトのトップページ,検索結果画面,各種サービス内に広告を表示するサービスである「Yahoo!プレミアム広告」 (以下「プレミアム広告」という。)を提供するほか,平成20年10月や平成21年3月には,選挙の地域に対応した広告を表示させるサービスである「選挙プロモーション限定エリアターゲティング特別商品」(以下「選挙プロモーション限定特別商品」という。)も提供している。(甲21~29,乙18,21) イ天気予報被告は,被告ウェブサイトのトップページ等において,ウェブページ閲覧ユーザの発信地域に応じた天気予報の情報を掲出するサービスを提供している。 ウ被告の地域ターゲティング広告及び天気予報をユーザのパーソナルコン ピュータに提供する装置(以下「被告装置」という。)や,被告装置による ウェブ情報提供の処理手順(以下「被告方法」といい,被告装置と併せて「被告方法等」という。)においては,少なくともISP(インターネットサービスプロバイダ)のサーバがユーザPC等に割り当てたIPアドレスを用いて,被告ウェブサーバにアクセスしてきたユーザの地域を判別し,判別した地域に基づいて当該地域に対応した地域ターゲティング広告又は天気予報 を選択して,地域によって異なる地域ターゲティング広告又は天気予報をユーザPC等に送信するという作用により, 判別し,判別した地域に基づいて当該地域に対応した地域ターゲティング広告又は天気予報 を選択して,地域によって異なる地域ターゲティング広告又は天気予報をユーザPC等に送信するという作用により,同一URLにおいてもユーザの発信地域ごとに異なる広告又は天気予報を送信することができる。 (4) 先行文献本件特許出願日である平成10年6月26日より前に,以下の公刊物が存在 した。 ア発明の名称を「情報提供方法およびシステム」とする公開特許公報(特開平9-305518号,平成9年11月28日公開。甲20。以下「甲20公報」という。)イ発明の名称を「情報通信システム」とする公開特許公報(特開平8-29 8658号,平成8年11月12日公開。甲65。以下「甲65公報」という。)ウ発明の名称を「情報検索・発信端末装置および検索サーバ」とする公開特許公報(特開平9-153054号,平成9年6月10日公開。甲66。以下「甲66公報」という。) エ発明の名称を「情報処理装置および方法」とする公開特許公報(特開平9-114783号,平成9年5月2日公開。甲67。以下「甲67公報」という。)オStephenE. LammandDanielA. Reed “Real-TimeGeographicVisualizationofWorldWideWebTraffic” (平成8年5月10日頃頒布。 甲14の1。以下「甲14の1文献」といい,これに記載された発明を「甲 14の1発明」という。)カ MikeList “CLUELESSatthePrompt: AColumnforNewUsers” (平成9年5月公開,甲14の2。 14の1発明」という。)カ MikeList “CLUELESSatthePrompt: AColumnforNewUsers” (平成9年5月公開,甲14の2。以下「甲14の2文献」という。)キ渡辺恭人,村井純「GeographicalLocationInformationSystemの構築とその応用」(平成9年5月30日頃頒布。乙1。以下「乙1文献」という。) (5) 被告による消滅時効の援用被告は,平成29年9月15日の本件第1回口頭弁論期日において,平成26年7月24日以前の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権につき,消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 また,被告は,令和2年11月13日の本件第26回弁論準備手続期日にお いて,平成29年4月1日から同年9月15日までの間の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権につき,消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 3 争点原告は,被告方法等の内容は別紙「被告方法等説明書(原告)」のとおりであり,本件各発明の構成要件に即して整理したこれらの構成は別紙「原告主張の被 告方法等の構成」のとおりであると主張し(以下,各構成をそれぞれ符号に従い「構成1a」などという。),被告方法等が本件各発明の構成要件を全て充足すると主張している。 これに対し,被告は,被告方法等は別紙「被告方法等説明書(被告)」のとおりであると主張し,①構成1a及び2aの構成及び構成要件充足性については認 め,②構成1b1,1b2,2b1及び2b2については,ユーザの地域判別にIPアドレスを用いていることは認めつつ,その余の構成を充足することは否認し,③構成1c~1e及び2c~2eについては,これらが②を前提 1b1,1b2,2b1及び2b2については,ユーザの地域判別にIPアドレスを用いていることは認めつつ,その余の構成を充足することは否認し,③構成1c~1e及び2c~2eについては,これらが②を前提とする構成であることを理由として構成要件充足性を争っている。 このため,被告方法等の構成要件充足性につき実質的に争いがあるのは,被告 方法が本件発明1の構成要件1B1及び1B2を,被告装置が本件発明2の構成 要件2B1及び2B2をそれぞれ充足するか否かであるので,充足論の具体的な争点は,以下の(1)のとおりとなる。 (1) 被告方法等が「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」しているか否か(争点1) (2) 本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか(争点2)ア甲14の1文献に基づく新規性又は進歩性の欠如(争点2-1)イサポート要件違反,実施可能要件違反又は補正要件違反(争点2-2)ウ明確性要件違反(争点2-3) (3) 原告の損害額(損失額)(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告方法等が「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」しているか否か)について (原告の主張)本件発明1の構成要件1B1及び本件発明2の構成要件2B1(以下,これらを併せて「構成要件1B1等」という。)は,「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイント 件発明1の構成要件1B1及び本件発明2の構成要件2B1(以下,これらを併せて「構成要件1B1等」という。)は,「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアド レス対地域データベースを用いて,」である。 また,本件発明1の構成要件1B2及び本件発明2の構成要件2B2(以下,これらを併せて「構成要件1B2等」という。)は,「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップ(判別手段)と,」である。 被告方法等における●省略●は「IPアドレスとアクセスポイントに対応する 地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」に当たるから,被告方法は,本件発明1の構成要件1B1を,被告装置は,本件発明2の構成要件2B1を,それぞれ充足する。そして,被告方法等は,IPアドレス及び●省略●を用いて「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」しているから,被告方法は,本件発明1の構成要件1B2を,被告装置は,本件発明2の構成要 件2B2を,それぞれ充足する。 以下,その理由を説明する。 (1) IPアドレスの割当ての仕組みIPアドレスは,ネットワーク上の機器を識別するための番号であり,我が国では,日本ネットワークインフォメーションセンターから,各ISPに,原 則的には,連続した数値のまとまりとして割り振られる。各ISPは,自社に割り振られた範囲のIPアドレスをユーザに割り当てることとなる。ISPがIPアドレスを割り当てる方法には,特定のIPアドレスを固定的に割り当てる静的(static)な割当てと,一時 ISPは,自社に割り振られた範囲のIPアドレスをユーザに割り当てることとなる。ISPがIPアドレスを割り当てる方法には,特定のIPアドレスを固定的に割り当てる静的(static)な割当てと,一時的にIPアドレスを割り当て,一定期間(時間)経過後はそのIPアドレスを返還(解放)する動的(dynamic)な割当てが あるが,インターネット接続では,ISPから動的にIPアドレスを割り当ててもらうのが一般である。 ユーザ端末からインターネットへの接続は,一般的には,回線事業者のアクセス回線とISPの回線を通して行われる。すなわち,回線事業者は,ユーザ端末からPOI(PointofInterface)(相互接続点)までの回線接続を提供し, ISPがPOIからISPのバックボーンネットワークを経て,インターネット・エクスチェンジ(IX)までの接続を提供する。 回線事業者は,都道府県ごとに存在する(一部例外もある。)地域IP網を有し,その範囲内に加入者収容局装置を配置し,地域IP網がその範囲内の収容局装置を大容量高速回線で結ぶとともに,都道府県ごとに設けられる中継交 換局(ZC)の網終端装置(ルータ)に接続される。 各ISPのサーバは,ユーザIDやパスワードのチェック機能,IPアドレスの発行機能及びルータ機能を有し,POIにおいて網終端装置に接続される。 各ISPは,自社に割り振られたIPアドレスの一部(一般には連続した数値の塊)をそれぞれ都道府県の網終端装置に接続された自社のサーバに割り当てる。 ある都道府県内に存在し,地域IP網を利用するユーザから接続要求が送出され,近くの収容局施設,地域IP網,網終端装置を経て,ユーザから契約しているISPのサーバに受信されると,当該サーバ ある都道府県内に存在し,地域IP網を利用するユーザから接続要求が送出され,近くの収容局施設,地域IP網,網終端装置を経て,ユーザから契約しているISPのサーバに受信されると,当該サーバは,ユーザID,パスワード等をチェックし,接続要求の正当性を判断した上で,これが正当なものであれば,当該ISPに割り当てられた範囲のIPアドレスのうち空いている一つ を該当するユーザ端末に通知し,IPアドレスを割り当てる。これにより,IPアドレスを獲得したユーザ端末は,インターネット上の目的とするURLのサイトにアクセスできることとなる。 (2) 本件各発明の技術的意義このように,地域IP網,ADSL,CATVなどの物理的回線網は,都道 府県,1又は複数の市区町村等といった一定の地域にわたって敷設されており,その地域に存在するユーザ端末からインターネットにアクセスしようとすれば,インターネットの入口であるアクセスポイントにおいて当該ユーザが加入しているISPからIPアドレスを獲得しなければならず,各ISPは各地域のサーバ(アクセスポイント)が保有する一群のIPアドレスの中から一つの IPアドレスをユーザ端末に割り当てるため,各回線網の敷設範囲と各ISPのサーバが保有する一群のIPアドレスとは対応関係にある。 したがって,ウェブサーバ側からみると,そこにアクセスしてきたユーザ端末からのメッセージ内に保持されるIPアドレスに基づき,上記の対応関係を利用して,そのユーザ端末が存在する地域を,少なくとも物理的回線網の敷設 された範囲内で判別することが可能となる。 本件各発明は,「ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータの送信が可能なWebページ閲覧システムを提供することを目的とする 敷設 された範囲内で判別することが可能となる。 本件各発明は,「ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータの送信が可能なWebページ閲覧システムを提供することを目的とする」(本件明細書等の段落【0013】)であるが,この目的を達成するための地域判別の原理は,回線網の敷設地域とISPのサーバが保有する一群のIPアドレスとの一定の対応関係の存在を利用したものである。 (3) IPアドレス対地域データベースの作成方法そして,各回線網の敷設範囲(地域)とISPのサーバが保有するIPアドレスとを対応させたものがIPアドレス対地域データベースである。IPアドレス対地域データベースの作成方法として最も確実なのは,ISPがアクセスポイントに割り当てたIPアドレス対地域の対照表を入手することであるが, 実際には困難な場合があるので,ウェブサイトへのアクセスデータ(ユーザが入力する郵便番号,住所等の地域を表すデータ)を利用して一つのIPアドレスについて共通する地域名を抽出したり,ISPが連続する一群のIPアドレスを人為的に割り当てるという一般的手法に由来する経験則を利用してIPアドレスの帯に存在する空白を埋めるなどの手法を用いて作成される。 本件各発明は,このように種々の手法で作成されたIPアドレス対地域データベースを利用して,ユーザ端末の存在する地域を判別し,判別した地域に対応したウェブ情報を選択してユーザ端末に送信するものである。 (4) 被告の行為の構成要件充足性についてア被告方法等において,ユーザPC等からインターネットへの接続要求があ ったときに,当該ユーザPC等に接続されたISPのサーバは,当該ISPのサーバが所有するIPアドレスのうちの一つを当該ユーザ端末に 法等において,ユーザPC等からインターネットへの接続要求があ ったときに,当該ユーザPC等に接続されたISPのサーバは,当該ISPのサーバが所有するIPアドレスのうちの一つを当該ユーザ端末に割り当てる(被告構成1b1,同2b1(以下,併せて「構成1b1等」という。))。 他方,本件各発明における「アクセスポイント」とは,少なくとも,ユーザ端末からの接続要求に対してユーザ認証を行った上で,所有するIPアド レスのうちの一つを割り当てる装置を指す(本件明細書等の段落【0004】, 【0005】)ので,被告方法等における上記ISPサーバは「アクセスポイント」に相当する。 したがって,被告方法等におけるIPアドレスは,構成要件1B1等の「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」に当たる。 イ次に,「IPアドレス対地域データベース」に関し,被告は,IPアドレスと地域とが対応するデータベースを用いていることは認めているものの,●省略●「IPアドレス対地域データベース」は使用していないと主張する。 しかし,被告が●省略●地域ターゲティング広告や天気予報の情報を事業として提供することができるのは,IPアドレスと特定の地域とが極めて密 接な関係にあること,すなわち,IPアドレスがISPのサーバによって(アクセスポイントにおいて)そのサーバにアクセスしてきたユーザ端末に割り当てられるものであり,IPアドレスを割り当てるISPが利用している物理的回線網に敷設範囲の境界があることによるのであり,被告はこのことを知悉していた(甲58~61)。 このため,被告方法等において,アクセスポイントにおいて割り当てられ している物理的回線網に敷設範囲の境界があることによるのであり,被告はこのことを知悉していた(甲58~61)。 このため,被告方法等において,アクセスポイントにおいて割り当てられたIPアドレスと,アクセスポイントを構成しているISPのサーバが利用する物理的回線網の敷設範囲に相当する地域(アクセスポイントに対応する地域)とが対応していることは明らかであり,●省略●は,IPアドレス対地域データベースに相当する。 したがって,被告方法等は,構成要件1B1等の「IPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,」を充足する。 ウさらに,ユーザPC等からのメッセージ内に含まれるIPアドレスは,ISPのサーバによって割り当てられたものであり,被告方法等は,そのIP アドレスをキーとしてIPアドレス対地域データベースを検索して,該IP アドレスを所有する(割り当てられた)ISPのサーバ(アクセスポイント)に対応する地域を取得して当該地域を判別する第1の判別ステップ(判別手段)を含むから(構成1b2等),IPアドレス及びIPアドレス対地域データベースを用いて「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップ(判別手 段)」(構成要件1B2等)を備えている(なお,構成要件1B2等における「アクセスポイントが属する地域」は,構成要件1B1等における「アクセスポイントに対応する地域」と同義である(以下,両者を併せて「「アクセスポイントに対応する地域」等」という。))。 エしたがって,被告方法等は,構成要件1B1等及び1B2等を充足する。 (5) する地域」と同義である(以下,両者を併せて「「アクセスポイントに対応する地域」等」という。))。 エしたがって,被告方法等は,構成要件1B1等及び1B2等を充足する。 (5) 被告の主張についてア 「アクセスポイントに対応する地域」等の解釈(ア) 被告は,本件各発明における「アクセスポイントに対応する地域」等は,「アクセスポイントの設置場所」と解釈されるべきであり,本件各発明が必ず「アクセスポイントの設置場所」(アクセスポイントが属する地域) を判別するステップを介するのに対し,被告方法等ではかかるステップを介さず,●省略●から本件各発明の技術的範囲内に属しないと主張する。 しかし,本件各発明は,設置場所に対応する地域がユーザ端末の存在する地域と対応することに基づいて,その地域に関連する情報を提供するというエリアターゲティングを目的とする発明であるから,そもそも,アク セスポイントの「設置場所」といった地点を判別する意味はなく,「アクセスポイントの設置場所」(アクセスポイントが属する地域)を判別するステップを介するかどうかを問題とすること自体が誤りである。本件各発明においてIPアドレスを用いることでユーザの地域(アクセスポイントが属する地域)を推定(判別)できるのは,アクセスポイントが保有する 一群のIPアドレスとそこにアクセスするユーザ端末の存在する範囲(地 域)とが対応関係を有するからであり,被告方法等がIPアドレスを利用している以上,●省略●「アクセスポイントが属する地域」にほかならない。 (イ) また,被告が指摘する本件無効審判における原告の主張(甲15,17)は,本件各発明と甲14の1発明との差異を説明したものである。すなわ ち,甲14の1発明では,IPアド かならない。 (イ) また,被告が指摘する本件無効審判における原告の主張(甲15,17)は,本件各発明と甲14の1発明との差異を説明したものである。すなわ ち,甲14の1発明では,IPアドレスに対応する地域情報を判別する方法としてドメイン名やwhoisの検索結果から地域情報を判別することが記載されているが,ドメイン名からは一般的に国名しか判別できず,whoisの検索結果からは当該IPアドレスを管理するISP等の住所(本店所在地等)しか得られないのに対し,本件各発明では,IPアド レスをユーザに割り当てるアクセスポイントに着目し,このアクセスポイントに対応する地域情報を判別する方法をとっている点で明らかに異なることを説明しているにすぎない。 むしろ,原告は,本件無効審判において,アクセスポイントはそのサービス対象地域と結び付くこと,アクセスポイントは地域単位で設置される ため,判別される地域も都道府県等の単位ごとになることを明確に説明しているのであって(甲15・24,25,32及び33頁),「アクセスポイントに対応する地域」等との文言がアクセスポイントの具体的な設置場所を意味するという主張はしていない。 (ウ) 被告は,原告が,本件査定不服審判申立書において,乙1文献につき, 「IPアドレスと地理的情報とが対応付けされたデータベース」と本件各発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」とが異なる旨や,本件各発明においては●省略●旨を述べたとして,これを前提に,●省略●被告方法等は,構成要件1B1等を充足しないと主張する。 しかし,乙1文献では,エンティティのlocation(緯度経度高度の座標) をGPSセンサによりピンポ 提に,●省略●被告方法等は,構成要件1B1等を充足しないと主張する。 しかし,乙1文献では,エンティティのlocation(緯度経度高度の座標) をGPSセンサによりピンポイントで測定し,これをエンティティの識別子であるIPアドレスと対応付けており,原告は,本件拒絶査定不服審判申立書において,かかるlocationのことを「移動可能なエンティティの地理的位置」と表現し,本願発明は,これと異なり,IPアドレスと緯度経度高度の座標が対応付けされたものでないと主張したのであって,「IP アドレスと地理的情報とが対応付けされたデータベース」と本件各発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」とが異なる旨を主張したわけではない。 また,●省略●構成要件1B1等を充足することに変わりはない。 イ本件各発明に係るデータベースが●省略● 被告は,本件明細書等においては,①「IPアドレス対地域データベース」(請求項1及び6。以下,併せて「請求項1等」という。),②「電話番号対地域データベース」(請求項2及び7。以下,併せて「請求項2等」という。),③「電話番号および/または郵便番号対地域データベース」(請求項3及び8。以下,併せて「請求項3等」という。)の3種類のデータベー スが存在するところ,●省略●本件各発明の技術的範囲に属しない旨の主張をする。 しかし,そもそも,他の請求項,とりわけ従属項により,本件各発明の技術的範囲が限定的に解釈される理由はない。 また,請求項3等に記載の実施態様は,本件各発明による地域判別よりも 更に細かい区域の限定が要求された場合に(段落【0041】),ユーザが開示した「電話番号お 釈される理由はない。 また,請求項3等に記載の実施態様は,本件各発明による地域判別よりも 更に細かい区域の限定が要求された場合に(段落【0041】),ユーザが開示した「電話番号および/または郵便番号」と,「電話番号および/または郵便番号対地域データベース」を用いてユーザの地域を判別するものである(段落【0042】)。分かりやすくいえば,本件各発明では「IPアドレス対地域データベース」をアクセス(検索)するキーとなるのがIPアド レスであるのに対して,請求項3等に記載の実施態様では「電話番号および /または郵便番号対地域データベース」をアクセス(検索)するキーとなるのが「電話番号および/または郵便番号」である。被告方法等における●省略●をアクセス(検索)するキー情報は,本件各発明と同じくIPアドレスであり,IPアドレスをキーとして●省略●をアクセス(検索)している以上,判別される地域は「アクセスポイントに対応する地域」等にほかならな い。 また,被告は,データベースの構成内容とその作成方法とを混同している。 本件各発明は,「IPアドレス対地域データベース」の作成に関するものではなく,これを用いてユーザ端末にIPアドレスを割り当てたアクセスポイントに対応する地域を判別し,その地域に対応するウェブ情報を選択して該 ユーザ端末に送信することを特徴とするものであり,本件各発明の「IPアドレス対地域データベース」の構成(内容)としては,●省略●しかし,本件各発明を実際に実施するためにはIPアドレス対地域データベースの構築が必要であり,この作成に関していえば,●省略●であって,本件各発明と被告方法等の間に違いはない。 ウ物理的回線網の制限が生じたのが本件特許の出願後であることに 域データベースの構築が必要であり,この作成に関していえば,●省略●であって,本件各発明と被告方法等の間に違いはない。 ウ物理的回線網の制限が生じたのが本件特許の出願後であることについて被告は,本件特許出願の当時はダイヤルアップ接続であり,物理的回線網の制限が生じたのがその後であって,原告の主張は本件特許出願後の技術を本件特許の構成要件の解釈に読み込もうとするものであると主張する。 しかし,本件各発明は,アクセスポイント(ISPのサーバ)とユーザの 地域との間に対応関係が存することを前提に,IPアドレスから,当該IPアドレスを割り当てたアクセスポイントに対応する地域を判別する発明であって,このような技術的思想は,ダイヤルアップ接続であろうが常時接続であろうが変わることなく当てはまる。 すなわち,本件特許出願当時には,確かに,一般ユーザのインターネット 接続方式はダイヤルアップ接続がほとんどであった。同方式によるユーザは, 電話料金を抑えるため,自分のいる場所から最寄りのアクセスポイントにアクセス(ダイヤル信号を発信)して接続を行うことが通常であり(甲3・7頁,甲70・20頁,甲71・207頁),各アクセスポイントはそのアクセスポイントの近傍(アクセスポイントに対応する地域)からアクセスしてきたユーザにそのアクセスポイントが保持するIPアドレスを付与してい た。本件各発明は,これを踏まえ,ウェブサイトにアクセスしてくる一般ユーザに対して,アクセスしてきたIPアドレスから判別したアクセスポイントに対応する地域(ISPが設置したアクセスポイントに対応した地域であって,行政区域としての都道府県とは関係がない。)に基づく情報を提供するものである。このように,本件特許出願当時にお クセスポイントに対応する地域(ISPが設置したアクセスポイントに対応した地域であって,行政区域としての都道府県とは関係がない。)に基づく情報を提供するものである。このように,本件特許出願当時においても,ISPが設置し たアクセスポイントにIPアドレスがバンドルされ,ISPがこれを管理し,当該アクセスポイントに接続してくる周辺地域のユーザにIPアドレスを割り当てていた。 ダイヤルアップ接続と,その後普及し始めたADSL,光ケーブル,CATVなどの常時接続を対比すると,①ダイヤルアップ接続の場合,アクセス ポイントにユーザが電話をかけ(実際には,パソコンに設定された接続用ソフトが設定された電話番号に発信を行う。),通常の電話網(PSTN)を介してアクセスポイントに接続を行うのに対し,常時接続の場合,例えば,フレッツ光でいえば,接続用ルータ(回線終端装置内蔵)がNTT東日本やNTT西日本(以下,併せて「NTT東西」という。)のIP網を経由して, IPアドレスを割り当ててもらうISPのサーバ(アクセスポイント)に接続を行う点,②ダイヤルアップ接続の場合,ISPは日本全国に多数のアクセスポイントを設置していた(甲68,69,72)のに対し,フレッツ光の場合,基本的に都道府県ごとに1つのアクセスポイントが設置されるという点で異なる。 しかし,①については,アクセスポイントへの接続方法が,通常の電話網 を介した接続であろうが,NTT東西のIP網を介した接続であろうが,アクセスポイントに接続してIPアドレスを割り当ててもらうことに変わりはなく,②についても,本件各発明は,アクセスポイントに対応する地域を判別する発明であって,都道府県単位で判別する発明ではないから,この点の差異は何ら意味が Pアドレスを割り当ててもらうことに変わりはなく,②についても,本件各発明は,アクセスポイントに対応する地域を判別する発明であって,都道府県単位で判別する発明ではないから,この点の差異は何ら意味がない。 したがって,本件各発明の技術的思想は,ダイヤルアップ接続か常時接続かどうかに関係なく,同様に当てはまるものである。 エ ●省略●について●省略●「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いていないと主張する。 しかし,以下のとおり,被告方法等がアクセスポイントの概念を利用して関連地域を判定していることは明らかである。 (ア) IPアドレスは,地名や郵便番号と異なり,もともと地域と対応するものとして策定されておらず,また,割り振り先のISPが変更されたり,ISPが割当てを変更したりする場合があるので,対応する地域が固定的 でない。IPアドレスが各ISPに割り振られ,各ISPがアクセスポイントに適宜まとまったIPアドレスを割り当てるからこそ,その「アクセスポイントに対応した地域」とIPアドレスとの対応が生まれるのであり,IPアドレスは,アクセスポイントを介して地域と対応するのである。●省略●実際には,IPアドレスと「アクセスポイントに対応した地域」と の対応を求めているのであり,そうでなければ,●省略●生まれようがない。 (イ) このように,被告方法等がアクセスポイントに対応する地域を判別していることは,ユーザ端末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による判定(IPアドレスとデータベースを用いた判定)の結果がほぼ一致する旨 の調査報告書(甲52)別紙の調査結果からも明らかである。すなわち, 末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による判定(IPアドレスとデータベースを用いた判定)の結果がほぼ一致する旨 の調査報告書(甲52)別紙の調査結果からも明らかである。すなわち, 同報告書別紙は,そこに掲げられたIPアドレスについて,ユーザ端末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による判定結果を比較したものであるが,一部の例外を除き,いずれもその判定が一致している。 (ウ) また,被告の主張によれば,●省略●これが事実と異なることは,行政区分と「アクセスポイントに対応した地域」が異なる地域の現象からも明 らかである。 具体的にいうと,被告方法等では,兵庫県尼崎市から接続されたIPアドレスについても●省略●となるはずであるが,実際には,同市からのアクセスにおいて判別される地域は,一律に「大阪府」となっている(甲56,57)。 これは,兵庫県尼崎市からのインターネット通信についての地域IP網は,過去の歴史から,兵庫県ではなく大阪府の網終端装置に集約されており(甲55),同市からインターネットに接続した場合,当該ユーザ端末には大阪府のISPサーバからIPアドレスが割り振られるからである。 ●省略● (エ) ●省略●a しかし,IPアドレスはその番号自体に何らかの意味をもつものではないから,●省略●ISPは,自らが保有するIPアドレスを,各地域に配置されたアクセスポイントに,256個以上の2のべき乗単位のバルクで割り振るの が通常であるため(甲73),●省略●b ●省略●しかし,そもそも乙2の別紙2に記載の●省略●IPアドレスは,家庭や事業所などにおけるインターネット接続に対して割り当てられるものではなく,ソフトバンクがスマートフォンな ●省略●b ●省略●しかし,そもそも乙2の別紙2に記載の●省略●IPアドレスは,家庭や事業所などにおけるインターネット接続に対して割り当てられるものではなく,ソフトバンクがスマートフォンなどのモバイル端末から のインターネット接続(いわゆる4G接続ないし3G接続)のために割 り当てるIPアドレスである(甲73,74の1)。スマートフォンなどのモバイル端末は,日本全国を移動するものであるから,基本的には場所と関連付けられない。 また,モバイル端末が携帯電話キャリアを経由して(4G接続ないし3G接続により)インターネットに接続する場合,携帯電話キャリアご とにIPアドレスを付与するゲートウェイサーバ(インターネットへ接続する出口)が全国で1か所ないし数か所に集約されていて,各地域に局在していないことから,IPアドレスだけからアクセスポイント(ここではゲートウェイサーバ)に対応する地域を判別しようにも,有意に地域情報を判定できない。 c 被告は,●省略●(a) そこで,原告は,甲52の調査報告の対象であるIPアドレス41件について,株式会社GeolocationTechnology(以下「Geolocation社」という。)が提供する「どこどこJP」という名称の,IPアドレスから対応地域を調査するサービスを用いた調査を行った。 同社は,IPアドレスからその位置を判別する技術(IPGeolocation技術)の実現に必要なデータベースを開発・制作する国内唯一の専門会社であるところ,●省略●(b) また,原告は,●省略●その調査結果を示す表(甲73の表1)の「帯域個数」の欄を見れ ば明らかなように,●省略●幅広いIPアドレスの帯域にわたって同じ地域が判別される( 略●(b) また,原告は,●省略●その調査結果を示す表(甲73の表1)の「帯域個数」の欄を見れ ば明らかなように,●省略●幅広いIPアドレスの帯域にわたって同じ地域が判別される(甲73,75。なお,甲75は,甲73の第2の2(1)表1の一番上のテーブルに記載された「125.202.200.0」~「125.202.240.0」の全部で1万0752個のIPアドレスについてアドレスごとに分けて作成したリストである。)。これは,ISPが 一定範囲の連続するIPアドレスをバルクとしてアクセスポイント に割り当てることからも当然の結果である。●省略●相当な範囲にわたって同じ地域を判別しているものと推察される。 (c) さらに,原告は,●省略●すなわち,ISPは,その保有する(割り当てられた)IPアドレスを効率よく活用するため,各アクセスポイントに接続してくるユーザ数の増減に応じて,あるIPアドレスの 範囲を,ある地域のアクセスポイントから別の地域のアクセスポイントに移したり,ISP間でIPアドレスを譲渡することがある。 ●省略●甲52による原告の調査時期における調査結果(判別地域)と一致せず,被告が提示した情報が,真に被告ウェブサイトで利用されていた情報であるかは疑わしい。 ●省略●被告は,原告の提示する「どこどこJP」の判断結果と被告データベースの結果は全く異なると主張するが,●省略●(被告の主張)被告方法等においては,●省略●「IPアドレスとアクセスポイントに対応す る地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いていないし,少なくとも「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」していないから,本件各発明の技術的範囲に属しない。 (1 域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いていないし,少なくとも「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」していないから,本件各発明の技術的範囲に属しない。 (1) 構成要件1B1等の「アクセスポイントに対応する地域」等の意義についてア本件特許出願日(平成10年6月26日)当時,ユーザがWebページを 閲覧するにあたっては,ユーザは,プロバイダのアクセスポイントにダイヤルアップ接続を行うことになるから(段落【0004】,【0027】),本件各発明は,ダイヤルアップ接続を前提とするものである。 すなわち,本件各発明は,アクセスポイントにダイヤルアップ接続を行うには電話料金が発生するから,ユーザが比較的近く電話料金が安く済むアク セスポイントを利用する場合が多いであろうとの推測の下,アクセスポイン トの設置場所を判別し,その設置場所に対応したウェブ情報を選択して送信すれば,その設置場所に比較的近いユーザに当該ウェブ情報をある程度の確率で送信できるであろうというものと理解し得る。 つまり,本件各発明は,「アクセスポイント」にどの地域からユーザが接続しているか確定することはできないものの,「アクセスポイントの設置場 所」の近くのユーザがある程度の確率で接続しているであろうから,その「アクセスポイントの設置場所」を判別し,その設置場所に対応したウェブ情報を送信するという技術的思想を採用したものである。 しかし,ユーザがプロバイダを選択するには,アクセスポイントの場所のみならず,利用料金が固定制か従量制か,その料金の多寡や繋ぎやすさを総 合的に考慮して,自己の利用形態に適したプロバイダと契約をし,そのプロバイダのアクセスポイントにダイヤルアップ接続をするのが通常で ,利用料金が固定制か従量制か,その料金の多寡や繋ぎやすさを総 合的に考慮して,自己の利用形態に適したプロバイダと契約をし,そのプロバイダのアクセスポイントにダイヤルアップ接続をするのが通常であるから(乙3,乙8・257頁及び258頁),ユーザの接続場所から比較的近く電話料金が安く済むアクセスポイントを有するプロバイダと契約をし,その近くのアクセスポイントを選ぶことが多いであろうと推測されるものの, 料金が固定制のプロバイダの遠隔地のアクセスポイントに接続する場合や,繋ぎやすい遠隔地のアクセスポイントに接続するような場合も相当数に上ることが明らかである。 以上のとおり,本件各発明における「アクセスポイントに対応する地域」等は,アクセスポイントの設置場所と解すべきであり,アクセスポイントに 接続可能なユーザのいる地域であると解することはできない。 これに対し,原告は,アクセスポイントに接続された「地域IP網」というものが存在し,その「地域IP網」を通じて当該アクセスポイントに接続可能なユーザのいる地域が「アクセスポイントに対応する地域」等であると主張するが,「地域IP網」は,NTT東西が県単位で構築したネットワー クの俗称であり(甲6),NTTが再編されたのは平成11年であるから, 「地域IP網」なるものが現れたのは,本件特許出願日よりも後のことである。「地域IP網」が本件特許出願日以降に整備されたからといって,「アクセスポイントの設置場所」を判別し,これに対応したウェブ情報を送信するという技術的思想を採用した本件各発明が,アクセスポイントに接続可能なユーザのいる地域をダイレクトに判別するような技術的思想に質的に変 化することはあり得ない。 イ次に本件特許の出願の経緯をみるに,原告は, を採用した本件各発明が,アクセスポイントに接続可能なユーザのいる地域をダイレクトに判別するような技術的思想に質的に変 化することはあり得ない。 イ次に本件特許の出願の経緯をみるに,原告は,出願経過中の本件補正により,「IPアドレスと地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」と限定したから(甲12の13),単に,「IP アドレス」と「地域」とが対応したデータベースは本件特許の技術的範囲に含まれない。 ウまた,原告は,本件拒絶査定不服審判の審判請求書(甲12の16)において,乙1文献に関し「エンティティの識別子(IPアドレス)とGPSで得られた地理的位置情報とが対応付けされたデータベースを用いることに よって,エンティティの識別子に基づく地理的位置の検索を実行可能としており,同文献が説明するGLI(GeographicalLocationInformation)にあっては,クライアントとサーバのほかにGLIを集めてサーバに登録するエージェントが必要であり,エンティティが移動する場合は最新のGLIを集めてデータベースを更新するステップも必要であるのに対し,本願発明で は,上記エージェントやGLIを得るための手段は必要とせず,アクセスポイントの移転や新設等がない限り,IPアドレス対地域データベース等の更新を行う必要はない点,また,乙1文献では移動可能なエンティティの地理的位置を検索しているのに対し,本願発明ではアクセスポイント,ユーザ端末及びウェブ情報提供装置を有したシステムとなっており,アクセスポイン トが属する位置を判別している点が異なる」旨を記載して,「IPアドレス と地理的情報とが対応付 イント,ユーザ端末及びウェブ情報提供装置を有したシステムとなっており,アクセスポイン トが属する位置を判別している点が異なる」旨を記載して,「IPアドレス と地理的情報とが対応付けされたデータベース」と,本件各発明における「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」とが異なると説明するとともに,本件各発明においては,●省略●このように,本件各発明は,●省略●専らアクセスポイントに着目してい ることを前提とするものであり,この点からしても,本件各発明にいう「アクセスポイントに対応する地域」等は飽くまでも「アクセスポイントの設置場所」を意味し,●省略●解すべきである。 被告方法等においては,●省略●被告方法等は,「アクセスポイントの設置場所」を判別せずに,●省略●であるから,被告方法等は,構成要件1B 1等及び1B2等を充足しない。 エさらに,原告は,本件無効審判において,「IPアドレスとアクセスポイント及びその設置場所が記載されたIPアドレス対地域データベースを用いることとしたのが本件特許である」などと説明し,「アクセスポイントに対応する地域」等が「アクセスポイントの設置場所」であると主張していた (甲15・19頁,24頁及び34頁,甲17の2・5頁)。 このことからも,本件各発明は,IPアドレスとアクセスポイントの設置場所とが一対一で対応するように記載されたデータベースを用いてアクセスポイントの設置場所を判別するものであり,本件各発明にいう「アクセスポイント対応する地域」等とは「アクセスポイントの設置場所」を意味する と解すべきである。 これに対し,原告は,「アクセスポイントに対応する地域」等とは当該アクセスポイントに接続 クセスポイント対応する地域」等とは「アクセスポイントの設置場所」を意味する と解すべきである。 これに対し,原告は,「アクセスポイントに対応する地域」等とは当該アクセスポイントに接続された物理的回線網の敷設範囲の地域をいうと主張するが,本件各発明は,飽くまでデータベースに照らしてアクセスポイントの設置場所を判別し,そこから事実上ユーザの発信地域を推定するものであ って,●省略●ではない。 オ以上のとおり,本件各発明にいう「アクセスポイントに対応する地域」等は「アクセスポイントの設置場所」を意味するが,これをより正確にいえば,「アクセスポイントの設置場所の属する地域」と解さざるを得ない。例えば,アクセスポイントの設置場所が「北海道札幌市中央区北〇条西△丁目」であれば,かかる設置場所が属している地域である「北海道札幌市」が「アクセ スポイントに対応する地域」等となる。これに対して,原告は,「アクセスポイントに対応する地域」等を「アクセスポイントと物理網で接続された地域」と解しているが,これは「アクセスポイントの属する地域」(「アクセスポイントに対応する地域」と同義)という構成要件の文言とかけ離れた解釈である。 (2) 本件各発明に係るデータベース●省略●本件特許請求の範囲や本件明細書等の記載によれば,本件各発明のデータベースでは●省略●と解すべきである。 すなわち,本件特許請求の範囲においては,①「IPアドレス対地域データベース」(請求項1等),②「電話番号対地域データベース」(請求項2等) 及び③「電話番号および/または郵便番号対地域データベース」(請求項3等)の3種類のデータベースが登場するところ,このうち,③の「電話番号および/または郵便番号対地域デ ス」(請求項2等) 及び③「電話番号および/または郵便番号対地域データベース」(請求項3等)の3種類のデータベースが登場するところ,このうち,③の「電話番号および/または郵便番号対地域データベース」は,本件明細書等の【0041】及び【0042】の記載を参酌すれば,●省略●により構成されたデータベースであると理解される。 これに対して,他の2つの具体的な構成については本件明細書等に明確な記載はないが,請求項1等が「IPアドレス対地域データベース」としていること,請求項2等に係る発明が「アクセスポイントの電話番号」を用いるものであり,本件明細書等の段落【0039】に「IPアドレスプールデータベースの代わりにアクセスポイントの電話番号と地域とが一対一に対応したデータ ベースを有した電話番号対地域データベース」と記載されていること,上記3 種類の関係につき,本件明細書等において,請求項3等の構成では,請求項1等又は請求項2等の場合よりも更に細かい地域に限定されたWeb情報を閲覧することが可能となる旨の記載がある(段落【0017】)。 これによれば,上記①及び②は,上記③とは異なるデータベースであって,●省略●データベースであると理解される。 (3) 被告方法等が構成要件1B1等及び構成要件1B2等を充足しないことア被告方法等の概要についてISP事業を営んでいない被告は,「アクセスポイント」に対応する「地域」がどのような地域であるのかは知り得ず,被告が「IPアドレス」と「アクセスポイントに対応する地域」とを対応させることはできない。●省略● 「IPアドレス」と「アクセスポイントに対応する地域」(アクセスポイントの設置場所)とが1対1で対応するデータベースなど用いて スポイントに対応する地域」とを対応させることはできない。●省略● 「IPアドレス」と「アクセスポイントに対応する地域」(アクセスポイントの設置場所)とが1対1で対応するデータベースなど用いておらず,「アクセスポイントが属する地域」(アクセスポイントの設置場所)を判別してもいないので,構成要件1B1等及び1B2等を充足しない。 ●省略●で本件各発明と異なり,「アクセスポイントに対応する地域」等との 構成要件を充足しない。 (イ) また,原告が提出する調査報告書(甲52)には,「東京都千代田区外神田」で接続したIPアドレス「125.202.227.57」の推定地域は「大阪府枚方市」であるとされるなど,実際にインターネットに接続した地と被告ウェブサイトの推定地域とが異なる例が多数含まれている。これは,被告 方法等において,本件各発明とは異なり,●省略●にほかならない。 ●省略●このように,甲52は,何ら被告方法等が「アクセスポイントに対応する地域」等を判別していることを示すものではなく,●省略●オ尼崎市の事例について 原告は,尼崎市の事例を挙げるが,●省略●被告方法等は,「IPアドレ ス対地域データベース」や「アクセスポイントに対応する地域」等の構成要件を充足しない。 2 争点2-1(甲14の1文献に基づく新規性又は進歩性の欠如)について(被告の主張)原告が主張する「アクセスポイントに対応する地域」等の意義を前提とすれば, 本件各発明は,本件特許出願日前の刊行物である甲14の1文献に記載された甲14の1発明と同一であるから,新規性を欠く。仮に,本件各発明と甲14の1発明との間に相違点があるとしても,当業者は同発明に乙1発明を適用することによりかかる相違点 ある甲14の1文献に記載された甲14の1発明と同一であるから,新規性を欠く。仮に,本件各発明と甲14の1発明との間に相違点があるとしても,当業者は同発明に乙1発明を適用することによりかかる相違点に係る構成を容易に想到し得たものであるから,本件各発明は,進歩性を欠く。 したがって,本件各発明に係る特許は,特許法29条1項3号又は同条2項の規定に違反してされたものであるから,特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項2号)。 (1) 甲14の1発明が開示する内容及びその構成甲14の1文献の記載によれば,甲14の1発明は,インターネットを介し て,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法を開示するものであり,IPアドレスと,ドメイン名又はwhoisデータベースに基づいて決定されたリクエスト者(クライアント)の位置(緯度経度)とが対応している。また,原告の主張によれば,本件特許出願日当時,アクセスポイントは,その保有するIPアドレスをダイヤルアップ接続者に割り当てていたという 客観的事実が存するから,甲14の1文献に記載されていたIPアドレスは,必然的に,アクセスポイントが該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレスということになる。 以上を前提に,本件発明1との対比において甲14の1発明を整理すると,甲14の1発明は,以下のアのとおりであり,念のために原告の指摘を最大限 考慮したとしても,甲14の1発明は,以下のイのとおりである。 ア甲14の1発明の構成(第1)a インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法において,b1 クライアント端末に接続されたアクセスポイ ア甲14の1発明の構成(第1)a インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法において,b1 クライアント端末に接続されたアクセスポイントが該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアド レスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベースを用いて,b2 前記クライアント端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントに接続したクライアントの緯度経度を判別する第1の判別ステップと, c 前記判別された緯度経度に基づいて,ハイライトされた製品情報を選択する第1の選択ステップと,d 前記選択されたハイライトされた製品情報を,前記IPアドレスが割り当てられたクライアント端末に送信する送信ステップと,e を有したことを特徴とする製品情報提供方法。 イ甲14の1発明の構成(第2)a インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法において,b1’クライアント端末に接続されたアクセスポイントが該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレ スと,IPアドレスをドメイン名に変換し,それが米国以外を示す場合,その国の首都の緯度経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベースを用いて,b2’前記クライアント端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアク セスポイントが割り当てた該IPアドレスに対応するドメイン名が米国 以外を示す場合,その国の首都の緯度 b2’前記クライアント端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアク セスポイントが割り当てた該IPアドレスに対応するドメイン名が米国 以外を示す場合,その国の首都の緯度経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度を判別する第1の判別ステップと,c 前記判別された緯度経度に基づいて,ハイライトされた製品情報を選択する第1の選択ステップと, d 前記選択されたハイライトされた製品情報を,前記IPアドレスが割り当てられたクライアント端末に送信する送信ステップと,e を有したことを特徴とする製品情報提供方法。 (2) 本件各発明が新規性を欠くこと以下のとおり,甲14の1発明は,本件発明1と同一である。また,物の発 明である本件発明2は,方法の発明である本件発明1と,発明のカテゴリが異なるにすぎない。したがって,本件各発明は,いずれも新規性を欠く。 ア甲14の1発明の構成(第1)と本件発明1の同一性甲14の1発明における「インターネット」,「製品情報」,「クライアント」,「緯度経度」及び「ハイライトされた製品情報」は,それぞれ,本 件発明1の「通信ネットワーク」,「ウェブ情報」,「ユーザ」,「地域」及び「地域に対応したウェブ情報」に相当する。 また,甲14の1発明は,「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」との構成を有するところ(構成b1),原告の主張によれば,●省略●を利用していたとしても,ユ ーザはアクセスポイントを介してインターネットに接続しているため,少なくとも結果的には,かかる地域は「アクセスポイントに対応する地域」 ,原告の主張によれば,●省略●を利用していたとしても,ユ ーザはアクセスポイントを介してインターネットに接続しているため,少なくとも結果的には,かかる地域は「アクセスポイントに対応する地域」等になっているというのである。仮にそうであるなら,甲14の1発明にあっても,クライアントはアクセスポイントを介してインターネットに接続することに変わりなく,甲14の1発明における「クライアントの緯度経度」は, 少なくとも結果的には,「アクセスポイントに対応する地域」等になってい る。そのため,甲14の1の「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」は,本件発明1の「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」に相当する。 そして,甲14の1発明は,「アクセスポイントに接続したクライアント の緯度経度を判別する」との構成を有するところ(構成b2),「クライアントの緯度経度」は,少なくとも結果的には,「アクセスポイントに対応する地域」等になっているのであるから,かかる構成は,本件発明1の「アクセスポイントが属する地域を判別する」に相当する。 イ甲14の1発明の構成(第2)と本件発明1の同一性 甲14の1発明の構成b1’においては,「IPアドレスと,IPアドレスをドメイン名に変換し,それが米国以外を示す場合,その国の首都の緯度経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」が用いられるものとされているが,IPアドレスは,各国に割り当てら れるところ(甲4・4頁),各IPアドレスに対応するドメイン名には国コード 度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」が用いられるものとされているが,IPアドレスは,各国に割り当てら れるところ(甲4・4頁),各IPアドレスに対応するドメイン名には国コードが含まれ(甲16の5の3・214頁),構成b1’は,かかる国コードが示す国の首都の緯度経度をIPアドレスと対応付けるものである。 そして,日本や他国のクライアント(ユーザ)も,その国の首都からダイヤルアップ接続等により,アクセスポイントに接続できるのであるから(乙 13),当該国の首都の緯度経度も「アクセスポイントに対応する地域」に相当する。 また,米国の場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度をIPアドレスと対応付けるものであるところ,米国のクライアント(ユーザ)も,ドメイン登録者の住所など米国内からダイヤルアッ プ接続等により,アクセスポイントに接続できるのであるから(乙14), ドメイン登録者の住所等の緯度経度も「アクセスポイントに対応する地域」に該当する。そのため,原告の主張を前提にする限り,構成b1’と本件発明1の構成要件1B1は一致する。 そして,上記のとおり,IPアドレスに対応する国の首都あるいはドメイン登録者の住所等から,当該IPアドレスを割り当てたアクセスポイントに 接続することができるから,原告の主張を前提とする限り,「アクセスポイントが割り当てた該IPアドレスに対応するドメイン名が米国以外を示す場合,その国の首都の緯度経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度を判別する」(構成b2’)との構成は,構成要件1B2の「アクセスポイントが属する地域を判別する」 に該当する。 (3) 原告の主張につい ベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度を判別する」(構成b2’)との構成は,構成要件1B2の「アクセスポイントが属する地域を判別する」 に該当する。 (3) 原告の主張についてア原告は,甲14の1文献は,WWWにおけるトラフィック(テキスト,データ,画像,オーディオ,ビデオ等の情報)の流れをリアルタイムで地図上に可視化して表示することを開示しているにすぎず,「インターネットを介 して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法」(構成a)を開示するものではないと主張する。 しかし,甲14の1文献の訳文の7頁9~17行には,「WWWブラウザーのユーザとは異なり,WWWサーバーを展開する者は,アクセスパターンの地理的な分散を理解することへの興味を増している。…たとえば,国(ま たは世界)のどの地域がオンラインカタログから特定の品物を最も頻繁に購入しているかを理解することは,主要な利点である―――入来IPアドレスの地理的な位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることにより,WWWサーバー応答を調整できる。」と記載されており,これによれば,甲14の1文献には,「インターネット上のWWWサーバーが,オンラ インカタログを提供するにあたり,入来IPアドレスの地理的な位置に基づ いて,オンラインカタログの特定の製品タイプをハイライトして提供する方法」が開示されているということができる。上記のオンラインカタログは製品情報であり,これをハイライトしたものも製品情報である。 また,甲20公報の段落【0003】,甲66公報の段落【0002】,【0003】,甲67公報の段落【0003】及び【図20】などから明ら かなように,本件特許出願日当時において,インター る。 また,甲20公報の段落【0003】,甲66公報の段落【0002】,【0003】,甲67公報の段落【0003】及び【図20】などから明ら かなように,本件特許出願日当時において,インターネット上のWWWにおいては,WWWサーバは,ユーザの端末(クライアント端末)に情報を提供するものであることが技術常識であった。 さらに,「WWWサーバーが,…入来IPアドレスの地理的な位置に基づいて,…ハイライトして」というのは,入って来る(incoming),すなわち, WWWサーバにアクセスして来たIPアドレスの地理的な位置情報に基づいてハイライトすることを意味する。 以上によれば,甲14の1文献において開示されている上記方法は,「インターネット上のWWWサーバーが,クライアント端末に対し,オンラインカタログ(製品情報)を提供するにあたり,アクセスして来たIPアドレス について,IPアドレス対緯度経度データベースを用いて判別された緯度経度に基づいて,特定の製品タイプがハイライトされたオンラインカタログ(製品情報)を選択して提供する方法」であり,これは,まさに「インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法」ということができる。 イ原告は,甲14の1文献には「アクセスポイント」という用語が記載されておらず,これは同文献の技術思想とは関係がないと主張する。 しかし,「アクセスポイント」という用語の記載の有無にかかわらず,ユーザの「IPアドレス」(甲14の1文献の訳文5頁23行(下から10行),8頁20~22行(下から13~11行))は,客観的にアクセスポイント が,その保有するIPアドレスを接続してきたクライアント端末(ユーザの 端末)に割り 頁23行(下から10行),8頁20~22行(下から13~11行))は,客観的にアクセスポイント が,その保有するIPアドレスを接続してきたクライアント端末(ユーザの 端末)に割り当てたものであるから,甲14の1文献に記載の「IPアドレス」も,客観的にアクセスポイントがその保有するIPアドレスをクライアント端末に割り当てたものであることに変わりがない。 そうすると,甲14の1文献が,「クライアント端末に接続されたアクセスポイントが該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのI Pアドレス」(構成b1前段)を開示していることは明らかである。 ウ原告は,甲14の1文献には,IPアドレスをドメイン名に変換して,このドメインが米国以外であればその国の首都にマッピングし,米国内であればwhoisデータベースに基づき,ドメイン登録者の住所をマッピングすることが開示されているにすぎないと主張するが,これは,「IPアドレス とクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」(構成b1後段)の開示を争う趣旨と解される。 しかし,甲14の1文献には,「IPアドレスをドメイン名に変換することによって,ドメイン名の構成要素,および多くはリクエスト者の位置を決定することができる。」と記載されている上(甲14の1の訳文6頁8~1 0行),ドメイン名末尾が米国以外についてはその国の首都の緯度経度をクライアントの位置とし,ドメイン名末尾がそれ以外(米国)の場合はwhoisデータベースに基づき,ドメイン登録者の住所等の緯度経度をクライアントの位置として,これらの位置をIPアドレスと対応付ける構成が開示されている(甲14の1文献の訳文7頁23行(下から10行)~8頁4行)。 ドメイン登録者の住所等の緯度経度をクライアントの位置として,これらの位置をIPアドレスと対応付ける構成が開示されている(甲14の1文献の訳文7頁23行(下から10行)~8頁4行)。 したがって,甲14の1文献には,「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」(構成b1後段)が開示されているということができる。 (4) 少なくとも本件各発明が進歩性を欠くこと仮に,甲14の1発明の「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応 したIPアドレス対緯度経度データベース」(構成b1)あるいは「IPアド レスと,IPアドレスをドメイン名に変換し,それが米国以外を示す場合,その国の首都の緯度経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」(構成b1’)が,本件発明1の「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」(構 成要件1B1)に相当せず,その結果,甲14の1発明が,「アクセスポイントに属する地域を判別」する(構成要件1B2)か否か明らかではない点で相違するとしても,当業者は,以下のとおり,乙1文献記載のデータベースを採用することで,これらの相違点に係る構成に容易に想到する。 ア乙1文献の37頁~41頁の記載によれば,乙1文献には,エンティティ のIPアドレスと,エンティティの地理的位置情報を対応付けたデータベースが開示されている。そして,当該地理的位置情報はGPSによって取得され,エージェントを介して,該データベースに登録されるものである。 また,原告の主張によれば,ユーザは,本件特許出願当時はダイ ースが開示されている。そして,当該地理的位置情報はGPSによって取得され,エージェントを介して,該データベースに登録されるものである。 また,原告の主張によれば,ユーザは,本件特許出願当時はダイヤルアップ接続により,現在は物理的な地域IP網を通じてアクセスポイントに接続 し,そのアクセスポイントが保有するIPアドレスが付与されるのであるから,乙1文献に記載のエンティティも,当然,これらの接続により,アクセスポイントが保有するIPアドレスの付与を受けていることになり,乙1文献に開示されたデータベースでは,アクセスポイントから付与された「IPアドレス」と,「そのアクセスポイントに接続したエンティティのGPSに よる地理的位置情報」とが対応して登録されていることになる。 さらに,原告の主張によれば,エンティティは最寄りのアクセスポイントあるいは地域IP網で接続されたアクセスポイントに接続し,接続したエンティティの地域が「アクセスポイントに対応する地域」等になるというのであるから,「そのアクセスポイントに接続したエンティティのGPSによる 地理的位置情報」は,正に「アクセスポイントに対応する地域等」になって いることになる。そうすると,乙1文献には,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」の発明が開示されているということができる。 イこれに対し,原告は,乙1発明の開示内容について争うが,乙1文献において,IPアドレスがエンティティの識別子として使用され,これがエンテ ィティの位置と対応して記憶されるデータベースが開示されていることを認めているから,乙1文献に「IPアドレスとエンティティの位置とが対応したデータベース」が開示されている事実につき自白が ンテ ィティの位置と対応して記憶されるデータベースが開示されていることを認めているから,乙1文献に「IPアドレスとエンティティの位置とが対応したデータベース」が開示されている事実につき自白が成立しており,争点は,単に「エンティティの位置」が「アクセスポイントに対応する地域」といえるかどうかという点のみである。 原告は,充足論において,ユーザは,本件特許出願当時であれば,ダイヤルアップ接続により最寄りのアクセスポイントに接続するから,「アクセスポイントに対応する地域」とは「アクセスポイントの近傍」をいい,現在では,「アクセスポイントに対応する地域」とは「アクセスポイントに接続される物理的回線網の敷設範囲」をいうと主張しているところ,乙1文献に開 示されたエンティティも,ダイヤルアップ接続の場合は最寄りのアクセスポイントに接続し,現在ではアクセスポイントに接続される物理的回線網の敷設範囲からアクセスポイントに接続することに変わりがなく,当業者もそのように理解する。このような原告の主張を前提にすれば,「エンティティの位置」とは,結局,ダイヤルアップ接続であれば「アクセスポイントの近傍」 であり,現在では「アクセスポイントに接続される物理的回線網の敷設範囲」であるということになる。 そうすると,「IPアドレスとエンティティの位置とが対応したデータベース」とは,原告の主張を前提にすれば,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を意味す るから,乙1文献に被告主張どおりの発明が開示されているということがで きる。 ウ(ア) 甲14の1発明と乙1発明の組合せに関し,甲14の1文献には,IPアドレスの地理的な位置を取得することが重要である 主張どおりの発明が開示されているということがで きる。 ウ(ア) 甲14の1発明と乙1発明の組合せに関し,甲14の1文献には,IPアドレスの地理的な位置を取得することが重要であるが,これに記載のデータベースでは緯度経度の精度に制限があるという問題点が指摘されているから(甲14の1の訳文8頁18行(下から15行)以下),当業者 がかかる記載に触れれば,当然に,これに代えて,より地理的な精度の高いデータベースを採用するという動機付けが与えられる。 乙1発明は,インターネットにおけるIPアドレスとユーザの位置情報を対応付けるデータベースに関する発明である点で甲14の1発明と同一の技術分野の発明であり,GPSを用いた極めて高精度の位置情報を有 するデータベースを開示するものであるから,当業者が,甲14の1発明のデータベースに代えて,乙1発明のデータベースを採用することは極めて容易である。 甲14の1発明に乙1発明を適用すると,甲14の1発明の「クライアントの緯度経度」及び「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応 したIPアドレス対緯度経度データベース」は,「アクセスポイントに対応する地域」等や「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」にそれぞれ置き換えられる。 原告は,甲14の1文献と乙1文献とでは技術分野が相違すると主張す るが,両者は,いずれも,インターネットにおいて,ユーザないしエンティティのIPアドレスと,これと対応する地域とが対応したデータベースを用いて,ユーザないしエンティティの位置を把握しようとするものであるから,技術分野が共通することは明らかである。 (イ) 同様に,乙1発明では ,これと対応する地域とが対応したデータベースを用いて,ユーザないしエンティティの位置を把握しようとするものであるから,技術分野が共通することは明らかである。 (イ) 同様に,乙1発明では,少なくとも,「IPアドレスと,IPアドレス をドメイン名に変換し,それが米国以外を示す場合,その国の首都の緯度 経度,それが米国を示す場合,whoisデータベースに基づくドメイン登録者の住所等の緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」(構成b1’)との構成を有するところ,甲14の1文献には上記のとおり緯度経度の精度に制限があるという問題点が指摘されているから,同文献に触れた当業者は,IPアドレス対緯度経度データベースに おける緯度経度の精度を向上するよう動機付けられる。 そして,同一技術分野に属する乙1文献には,IPアドレス対緯度経度データベースを構築する際に,ドメイン名やwhoisデータベースを用いることなく,GPSにより取得したユーザ端末の緯度経度を用いる技術的思想が開示されており,GPSによって,まさにユーザ(端末)の緯度 経度の情報を得られるのであるから,これがドメイン名やwhoisデータベースを用いるよりも,IPアドレス対緯度経度データベースの精度を向上させるものであることが明らかである。 そうすると,当業者は,甲14の1発明を実施するに当たり,ドメイン名やwhoisデータベースではなく,GPSを用いてデータベースを構 築するよう動機付けられ,これを適用した結果として,構成b1’から「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」との構成に容易に想到する。 そして,原告の充足論での主張を前提とすれば,「IP て,構成b1’から「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」との構成に容易に想到する。 そして,原告の充足論での主張を前提とすれば,「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」 が「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」と一致し,これを用いて「アクセスポイントに属する地域を判別」することになることは明らかである。 エしたがって,仮に,前記相違点があるとしても,当業者が,甲14の1発明に乙1発明を適用することで,同相違点に係る構成に容易に想到すること ができるから,本件発明1及びこれとカテゴリが違うにすぎない本件発明2 に進歩性はない。 (原告の主張)本件各発明と甲14の1文献に記載の技術とでは,地域判別,地理的位置の決定の方法が根本的,本質的に相違しており,両者は同一ではないから,甲14の1文献を根拠とする被告の新規性欠如の主張は理由がない。また,甲14の1文 献に開示のシステムにおいて,乙1文献に開示された技術をどのように組み合わせようと,本件各発明に想到することはできないから,被告の進歩性欠如の主張も理由がない。 したがって,本件特許は,無効審判により無効にされるべきものではない。 (1) 新規性について ア被告は,甲14の1文献が,インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法を開示するものであると主張する。 しかし,甲14の1文献は,その表題からも分かるとおり,WWWにおけるトラフィック(テキスト,データ,画像,オーディオ,ビデオ等の情報)の流れをリアルタイムで地図上に であると主張する。 しかし,甲14の1文献は,その表題からも分かるとおり,WWWにおけるトラフィック(テキスト,データ,画像,オーディオ,ビデオ等の情報)の流れをリアルタイムで地図上に可視化して表示することについて論じた ものであり(甲14の1の図4,5及び8参照),「製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法」について書かれたものではない。 また,被告は,本件特許出願日当時,アクセスポイントはその保有するIPアドレスをダイヤルアップ接続者に割り当てていたという客観的事実が存することを根拠に,甲14の1文献に記載されたIPアドレスは,必然的 に,アクセスポイントが当該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレスということになると主張する。 しかし,甲14の1文献には,「アクセスポイント」という用語は用いられておらず,ましてやアクセスポイントがクライアント端末に割り当てたアクセスポイントのIPアドレスかどうかという関心もないのであって,上記 客観的事実と甲14の1文献に記載の技術思想とは全く関連性がない。 イ本件各発明は,インターネットへの接続の入口であるアクセスポイントの働きに着目し,ISPの各アクセスポイントが,それぞれまとまった範囲のIPアドレスを所有して,それを接続要求してくるユーザ端末に配布するから(動的IPアドレス),アクセスポイントにアクセスしてくるユーザ端末が存在する範囲(アクセスポイントに対応する地域)と該アクセスポイント との対応関係が生じ,この対応関係をIPアドレス対地域データベースとして構築しておくことで,アクセスポイントをキーとして地域の判別を行うものである。 これに対し,甲14の1文献では,IP との対応関係が生じ,この対応関係をIPアドレス対地域データベースとして構築しておくことで,アクセスポイントをキーとして地域の判別を行うものである。 これに対し,甲14の1文献では,IPアドレスをドメイン名に変換し,このドメインが米国以外の場合には,ドメイン名の接尾語が一般的に国名の 略語であることから,IPアドレスをその国の首都にマッピングし,米国内の場合には,ドメイン名のwhoisデータベースに問い合わせ,そこに登録されているテキストデータから市,国名を見つけ,ローカルデータベースからそれに対応する緯度経度を引き出すというものである。 もっとも,whoisデータベースに基づく検索では,一般に,ドメイン 登録者の住所(企業の場合は一般に本店所在地)が判明する程度であるため,これを用いてIPアドレスに対応する場所を特定するとしても,IPアドレスの対応ドメインを登録した者の住所(動的IPアドレスの場合はそれを割り当て,対応ドメインを登録したISPの本店所在地等)の情報が得られるだけである。 このように,本件各発明と,甲14の1文献に記載の技術とでは,地域判別,地理的位置の決定の方法が根本的,本質的に相違するのである。被告の甲14の1文献に係る理解は誤っている。 ウこのように,被告は,甲14の1文献の理解を誤っているので,かかる理解に基づいて被告が主張する甲14の1発明の構成a~eも,以下のとおり, いずれも誤っている。 (ア) まず,構成a及びeについては,甲14の1文献には,「インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法」は記載されておらず,商品供給者において,商品の売れる地理的位置を認識することへの可能性や希望が述べられて 文献には,「インターネットを介して,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法」は記載されておらず,商品供給者において,商品の売れる地理的位置を認識することへの可能性や希望が述べられているにすぎない。 (イ) 構成b1については,甲14の1文献にはそもそも「アクセスポイント」 が記載されていないから,構成b1前段の「クライアント端末に接続されたアクセスポイントが該クライアント端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」という概念も記載されていない。 また,構成b1後段の「IPアドレスとクライアントの緯度経度とが対応したIPアドレス対緯度経度データベース」における「クライアント」 は,前段の「クライアント端末」のクライアントであり,前段の概念が甲14の1文献に記載されていない以上,これを前提とする「クライアント」を含む後段の内容も甲14の1文献に記載されていないことになる。 (ウ) 構成b2については,甲14の1文献には,「アクセスポイント」も「クライアント」も記載されていない以上,「前記クライアント端末に割り当 てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントに接続したクライアントの緯度経度を判別する第1の判別ステップ」も記載されていない。 (エ) さらに,構成c及びdについても,甲14の1文献には記載されていない。 エしたがって,甲14の1発明と本件各発明は同一ではない。 (2) 進歩性についてア乙1文献の37頁,38頁,40頁,41頁の記載によれば,乙1文献に記載のIPアドレスは,エンティティをインターネット上で一意に区別するための番号である識別子である。識別子であるということは,現実世界のエンティティ(の地理的位置情報)がイ 記載によれば,乙1文献に記載のIPアドレスは,エンティティをインターネット上で一意に区別するための番号である識別子である。識別子であるということは,現実世界のエンティティ(の地理的位置情報)がインターネット上のIPアドレスによっ て同定(identify)されるということであり,このために,クライアントは ユーザからのWIT(WhoIsThere?),WAY(WhereAreYou?)という問合せ要求をサーバに送信でき,サーバはその返事をユーザに返すことができるのである。 すなわち,乙1文献におけるサーバのデータベースには,エンティティから送信されてきたGLIパラメータ(location, velocity, time:位置,速 度,時間)のデータがエンティティのIPアドレスに対応して記憶されているのに対し,本件各発明のIPアドレス対地域データベースでは,地域と,この地域のアクセスポイントについてISPが割り当てたIPアドレス群とを対応させているのである。 「GLIの応用と拡張」という応用例の記載(42頁)も含め,乙1文献 には,本件各発明の主題であるインターネットにおける地域ターゲティングやウェブページ閲覧方法の記載は一切ない。 イそして,甲14の1文献に記載の技術は,WWWトラフィックのリアルタイム地理的表示に関するものであり,その地理的位置決定の原理は本件各発明とは根本的,本質的に相違し,わずかにIPアドレスを利用するという点 においてのみ共通するにすぎない。また,甲14の1文献には「アクセスポイント」という用語すら現れておらず,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法を提示するものでもない。 一方,乙1文献は,地理的位置情報システム 甲14の1文献には「アクセスポイント」という用語すら現れておらず,製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法を提示するものでもない。 一方,乙1文献は,地理的位置情報システムの構築とその応用に関するものであり,IPアドレスを,現実世界のエンティティのインターネット上に おける識別子として利用するもので,識別子としてのIPアドレスはエンティティ(の物理的な位置)を同定するものである。乙1文献においても,「アクセスポイント」という用語は現れず,同文献における記載は製品情報をクライアント端末に提供する製品情報提供方法を提示するものでもない。 ウこのように,甲14の1文献に記載のシステムも,乙1文献に記載のシス テムも,それぞれ独自の原理に基づいて構築されており,IPアドレスを利 用すること以外に互いに共通する点がなく,本件各発明は,これらと更にその目的,応用分野が全く異なり,システム(方法)そのものの原理も全く異なるのであるから,甲14の1文献に開示のシステムにおいて,乙1文献に開示された技術をどのように組み合わせようと,本件各発明に想到することはあり得ない。 3 争点2-2(サポート要件違反,実施可能要件違反又は補正要件違反)について(被告の主張)本件特許は,サポート要件(特許法36条6項1号)及び実施可能要件(同法36条5項1号)に違反する特許出願に対しされたものであるから,特許無効審 判により無効にされるべきものである(同法123条1項4号)。また,本件特許は,同法17条の2第3項に違反する本件補正をした特許出願に対してされたものであるから,特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項1号)。 (1) サポート要件違反 ,同法17条の2第3項に違反する本件補正をした特許出願に対してされたものであるから,特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項1号)。 (1) サポート要件違反 ア本件各発明の構成要件においては,「アクセスポイントに対応する地域」等の文言が規定されているところ,本件明細書等にある「アクセスポイント」と「地域」に関連する記載は,【図1】,【図6】及び【図7】のみである。 そして,これらの図からは,「アクセスポイント109a」等が「東京」等の地域に「対応する」ものか否か,「属する」ものか否かも不明である。 したがって,本件明細書等に「アクセスポイントに対応する地域」等は記載されておらず,本件各発明は,明細書の発明の詳細な説明に記載された発明とは言えないから,本件特許はサポート要件に違反する特許出願に対しされたものである。 イ本件明細書等の段落【0004】及び【0027】の「プロバイダの東京 にあるアクセスポイント109aにダイヤルする」旨の記載からすれば,本 件各発明は,電話回線を通じたダイヤルアップ接続を前提とした発明であり,本件特許出願当時の技術水準においては,当然,電話回線を通じたダイヤルアップ接続を前提とした技術として理解されることになる。そして,周知のとおり,本件特許出願当時においても電話回線は世界中に敷設されており,世界中のユーザは,市外局番や国際電話を利用することで,任意の地域のア クセスポイントに接続し,インターネットを利用することができるのであって(本件明細書等の段落【0038】),本件明細書等の開示する技術水準において,原告が主張するような物理的回線網による制限は存在しない。かかる物理的回線網による制限といった することができるのであって(本件明細書等の段落【0038】),本件明細書等の開示する技術水準において,原告が主張するような物理的回線網による制限は存在しない。かかる物理的回線網による制限といった技術的事項は本件明細書等に一切開示されておらず,この技術的事項は,ダイヤルアップ接続を前提とした本件 明細書等の記載と完全に矛盾するものである。 このように,本件明細書等の記載に基づけば,アクセスポイントは,世界中のあらゆる地域に対応しており,全世界が「アクセスポイントに対応する地域」に該当するため,「IPアドレス」と「(アクセスポイントに対応する)全世界」とが「対応したIPアドレス対地域データベース」が本件各発 明の技術的範囲に含まれる。しかし,このようなデータベースを用いたところで,本件各発明の課題である「同一URLにおいても,ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータの送信が可能なWebページ閲覧システムを提供すること」(段落【0013】)は実現できない。 また,NTT東西が都道府県ごとに通信を集約するようになり,物理的回 線網の制限が生じたのは平成11年以降だというのであるから,本件特許の出願日である平成10年6月26日当時において,当事者が,出願時点において,物理的回線網による制限を前提とした技術が本件明細書等に開示されていると理解することはできない。それゆえに,「各回線網の敷設範囲(地域)」とIPアドレスを対応させたものまでもが「IPアドレス対地域デー タベース」に該当するというのであれば,本件各発明が本件明細書等の発明 の詳細な説明に記載されたものに当たらないことは明らかである。 したがって,本件特許は,サポート要件に違反する特許出願に対しされたものである。 各発明が本件明細書等の発明 の詳細な説明に記載されたものに当たらないことは明らかである。 したがって,本件特許は,サポート要件に違反する特許出願に対しされたものである。 (2) 実施可能要件違反前記(1)で述べたことからすれば,少なくとも,本件明細書に原告の主張す る本件各発明の全体について実施できる程度の記載がないことは明らかである。 また,本件明細書等において,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」について詳細な開示はなく,その構築方法については一切開示されていないので,当業者がかかるデ ータベースを構築することはおよそ不可能である。 すなわち,原告によれば,かかるデータベースを構築するには,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域」,具体的には,どこにあるアクセスポイントが,どのIPアドレスをユーザに付与しているかを特定しなければならないが,本件明細書等にはその方法は開示されていない。 仮に,当業者が,ISPからかかる情報を入手すればよいと理解するに至ったとしても,これをISPから入手することが困難であることは原告が自認するとおりであって,現実にはかかる情報の入手は不可能であり,本件特許出願当時において,どこにあるアクセスポイントが,どのIPアドレスをユーザに付与しているかを特定することができるような技術はなかった。 また,ウェブサイトへのアクセスデータ(ユーザからのフィードバック)についても,そもそも当該データの入手方法は不明である上,これをどのように分析すれば,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を構築できるのか明らかではない。この もそも当該データの入手方法は不明である上,これをどのように分析すれば,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を構築できるのか明らかではない。このため,当業者が,ウェブサイトへのアクセスデータを分析することにより上記デ ータベースを構築し得たとは考えられない。 仮に,当業者が,ウェブサイトへのアクセスデータに基づいて分析すればよいことまで想到したとしても,当業者が実用性ある「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を構築するに至るまでには過度の試行錯誤を要することが明らかである(現に,Geolocation社は,実用性あるデータベースを提供するために,様々な調査,分 析等を行っているようである(甲74の11等))。 したがって,本件特許は,実施可能要件に違反する特許出願に対してされたものである。 (3) 新規事項の追加本件補正により,請求項1及び6に「アクセスポイントに対応する」地域, 「アクセスポイントが」属する地域との補正がされたが,本件明細書等に,「アクセポイントに対応する地域」等につき,何らの技術的事項の開示もないのは前記(1)アのとおりであるから,上記補正は,新たな技術的事項を導入するものである。 したがって,本件補正は,本件特許出願の願書に最初に添付した明細書又は 図面に記載した事項の範囲内においてされたものではなく,本件特許は,特許法17条の2第3項に違反する補正をした特許出願に対してされたものである。 (原告の主張)本件特許出願はサポート要件や実施可能要件を満たし,本件補正も新規事項を 追加するものではないから,本件特許は無効審判によ をした特許出願に対してされたものである。 (原告の主張)本件特許出願はサポート要件や実施可能要件を満たし,本件補正も新規事項を 追加するものではないから,本件特許は無効審判により無効にされるべきものではない。 (1) サポート要件違反についてア前記1(原告の主張)(1)のとおり,本件各発明における「アクセスポイント」とは,ユーザ端末からの接続要求に対してユーザ認証を行った上で,所 有するIPアドレスのうちの1つを割り当てる装置を指す。 本件明細書等の段落【0027】,【0028】の実施例に記載されているダイヤルアップ接続では,実際には,PPP(Point-to-PointProtocol)というプロトコルを用いて,ユーザ端末とアクセスポイントとの間の回線が物理的に接続された後,ユーザ認証,IPアドレスの割当てが行われ,インターネットに接続される。他方,NTTフレッツ(光フレッツ),CATV, ADSL等を通してインターネットへ接続する通信方式ではPPPoE(PPPoverEthernet)というプロトコルが用いられるが,これは,通信に先立って接続先を見つけるという機能をPPPに付け加えたものである(甲63・47頁,甲64)。PPPoEにおいても,「IP通信網」側において,端末機器からの接続要求に対してユーザ認証を行った上で,所有するI Pアドレスのうちの1つを割り当てており,これがアクセスポイントの働きをしている。 イ被告は,本件明細書等にある「アクセスポイント」と「地域」に関連する記載は,【図1】,【図6】及び【図7】のみであるとした上,これらの図からは,「アクセスポイント109a」等が「東京」等の地域に「対応する」 ものか否か,「属する」ものか と「地域」に関連する記載は,【図1】,【図6】及び【図7】のみであるとした上,これらの図からは,「アクセスポイント109a」等が「東京」等の地域に「対応する」 ものか否か,「属する」ものか否かも不明であると主張する。 しかし,上記【図1】等において,アクセスポイント109aのブロックの中に「東京」,109bのブロックの中に「大宮」,109cのブロックの中に「福岡」と記載されていることからすれば,109a等のアクセスポイントは,東京,大宮,福岡という,それぞれ異なる特定の地域に存在する ものであることが理解できる。 また,本件明細書等においては,IPアドレスと地域とが1対1に対応した例としてIPアドレスプールデータベースが示され(段落【0034】,【図5】),IPアドレスに対応する地域の例として上記の大宮,福岡が示されているから,これらの記載を考慮すれば,アクセスポイント109aが 東京,109bが大宮,109cが福岡という地域にそれぞれ対応し,又は, それぞれ,それらの地域に存在する,若しくは属することが示されていることは明らかである。 ウ被告は,本件各発明は電話回線を通じたダイヤルアップ接続を前提としているところ,電話回線は世界中に敷設されているので「物理的回線網による制限」は存在せず,かかる技術的事項は本件明細書等に開示されていないと 主張する。 しかし,NTTフレッツ等の物理的回線網においても,電話回線を通じたダイヤルアップ接続においても,ユーザ認証及び所有するIPアドレスのうちの1つを割り当てるというアクセスポイントの働きは変わらない。本件各発明は,アクセスポイントにアクセスしてきたユーザ端末にそのアクセスポ イントが所有するIPアドレスを割り当てるとい スのうちの1つを割り当てるというアクセスポイントの働きは変わらない。本件各発明は,アクセスポイントにアクセスしてきたユーザ端末にそのアクセスポ イントが所有するIPアドレスを割り当てるという技術を前提として,アクセスポイントがユーザ端末に割り当てたアクセスポイントのIPアドレスと,IPアドレス対地域データベースとを用いれば,ユーザ端末にIPアドレスを割り当てたアクセスポイントの地域が判別できるということに着目したものであって,ユーザ端末がどのような種類の回線を通してアクセスポ イントにアクセスするかは問題とならない。このため,本件各発明のクレーム上も,ユーザ端末がどのようにしてアクセスポイントに接続されるかについては触れられていないのである。 また,ダイヤルアップ接続の場合,実際には,電話料金を抑えるため,ユーザ端末の設置場所に(最も)近いアクセスポイントの電話番号をあらかじ めユーザ端末に設定しておき,ユーザは単にスタートボタンを押せば,ユーザ端末が自動的にそのアクセスポイントに接続するのが常態であり(甲70・20頁,甲71・207頁),ユーザ自身が毎回手動で世界中に敷設された任意の地域のアクセスポイントに接続するわけではない。 被告は,本件明細書等の記載に基づけば,アクセスポイントは,世界中の あらゆる地域に対応しており,全世界が「アクセスポイントに対応する地域」 に該当すると主張するが,本件明細書等にそのような記載はない。 エ以上のとおり,本件特許請求の範囲の記載内容は,本件明細書等の発明の詳細な説明に記載され,かつ,これに対応しているから,本件特許出願はサポート要件を満たしている。 (2) 実施可能要件違反について 電話回線によるダイヤルア 本件明細書等の発明の詳細な説明に記載され,かつ,これに対応しているから,本件特許出願はサポート要件を満たしている。 (2) 実施可能要件違反について 電話回線によるダイヤルアップ接続であろうと,光フレッツ等の物理的回線網を通じたアクセスであろうと,ユーザ端末からの接続要求に対してユーザ認証を行った上で所有するIPアドレスのうちの1つを割り当てるというアクセスポイントの働きは同じであるから,ユーザ端末に接続されたアクセスポイントがユーザ端末に割り当てたアクセスポイントのIPアドレス及びIPア ドレス対地域データベースを用いて,ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別し,これによって判別した地域に対応したウェブ情報を選択してウェブ情報を選択してユーザ端末に送信することができる。そして,これにより,同一URLにおいても,ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータの送信が可能で,ユーザはその地域に関す る選択操作をすることなく,当該地域のウェブ情報を入手することができることになるのである。 このように,本件明細書等の発明の詳細な説明には,本件各発明の技術的課題,具体的構成及びその作用効果が,当業者が発明の技術上の意義を理解し,その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているから,本件 特許出願は実施可能要件を満たす。 (3) 新規事項の追加について本件明細書等,特に【図1】,【図5】~【図7】及びこれらに関連する全ての記載を総合すれば,前記(1)のとおり,アクセスポイント109aが東京,109bが大宮,109cが福岡という地域にそれぞれ対応し,又は,それぞ れ,それらの地域に存在する,若しくは属することが示されていることは明ら 1)のとおり,アクセスポイント109aが東京,109bが大宮,109cが福岡という地域にそれぞれ対応し,又は,それぞ れ,それらの地域に存在する,若しくは属することが示されていることは明ら かであるから,請求項1及び6において,「アクセスポイントに対応する」地域,「アクセスポイント」が属する地域とした本件補正は,新たな技術的事項を導入するものではなく,新規事項を追加するものではない。 4 争点2-3(明確性要件違反)について(被告の主張) 構成要件1B1等には「アクセスポイントに対応する地域」,構成要件1B2等には「アクセスポイントが属する地域」と規定されているが,これら「対応する」,「属する」という語の意味は極めて不明確であり,本件明細書等にこれらの技術的事項は開示されていないから,その外延は不明確というほかない。 これに対して,原告は,「アクセスポイントに対応する地域」等とは,アクセ スポイントと物理網で接続された地域を意味すると主張するが,本件特許出願日当時,原告が主張する物理網の制限は存在せず,ダイヤルアップ接続でユーザはどこのアクセスポイントにも接続することができたから,アクセスポイントとこれにアクセスするユーザとの間に,物理網による対応関係は存在せず,単に,確率的に,アクセスポイントにアクセスしているユーザの中には電話料金を考慮し てアクセスポイントの近くからアクセスしているユーザが多いという関係が存在し得たにすぎない。 また,原告は,ダイヤルアップ接続の場合,「アクセスポイントに対応する地域」とは「アクセスポイントの近傍」をいうなどと主張するが,「アクセスポイントの近傍」ではその範囲が不明確である。 したがって,本件各発明に係る特許 合,「アクセスポイントに対応する地域」とは「アクセスポイントの近傍」をいうなどと主張するが,「アクセスポイントの近傍」ではその範囲が不明確である。 したがって,本件各発明に係る特許請求の範囲の記載は明確性要件(特許法36条6項2号)に違反しており,本件特許は同要件に違反する特許出願に対してされたものであるから,特許無効審判により無効にされるべきものである(同法123条1項4号)。 (原告の主張) 本件各発明に係る特許請求の範囲の記載に何ら不明確なところはないから,明 確性要件に違反するとの被告主張は理由がなく,本件特許が特許無効審判により無効にされるべきものではない。 「アクセスポイントに対応する地域」等は,NTTフレッツの場合は地域IP網の範囲となるであろうし,ダイヤルアップ接続の場合には,ユーザが最寄りのアクセスポイントにダイヤルを行うのであるから,各アクセスポイントの近隣 (電話料金の観点からの近隣)のユーザの範囲ということになる。 このように,ダイヤルアップ接続の時代も現在も,ユーザは「自宅と同じ市内にある(又はそれに準じた近所にある)アクセスポイント」にアクセスするのであって,そのアクセスポイントに通常アクセスするユーザの地域がまさに「アクセスポイントに対応する地域」等である。 したがって,本件各発明は,その権利範囲の外延が不明確であるということはできず,何ら明確性要件に違反するものではない。 5 争点3(原告の損害額(損失額))について(原告の主張)被告は,遅くとも平成19年度(平成19年4月~平成20年3月)から本件 各発明を実施しており,本件特許権は平成30年6月26日まで存続した。原告が本訴で請求する損害算定期間(以下「本件侵害期 被告は,遅くとも平成19年度(平成19年4月~平成20年3月)から本件 各発明を実施しており,本件特許権は平成30年6月26日まで存続した。原告が本訴で請求する損害算定期間(以下「本件侵害期間」という。)は平成19年7月25日から平成30年6月26日までであるところ,その間に,被告がYDN,プレミアム広告,スポンサードサーチ及び天気予報において本件各発明を実施したことに基づき,原告が得べかりし実施料相当額は,●省略●余となる。 また,原告は,弁護士費用として,上記損害額の10%である●省略●の損害を被った。 したがって,原告は,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として,●省略●余りの支払を請求することができるが,本訴ではその一部である30億円及び遅延損害金又は利息の支払を求める。 (1) 相当実施料率 原告は,本件特許に係るライセンスを,株式会社あどえりあ(以下「あどえりあ社」という。)を介して100社以上に付与している(甲11)。このライセンスには,以下のア~ウの3種類があるが,ライセンス料率については,広告取扱いにおける業界慣行に知見を有する電通と相談の上,3%を原則とし,別途,広告枠を媒体社などから購入する必要がある場合には1.5%としてい る。 原告は,ライセンシーに対し,一律の方式でライセンシーの地域ターゲティング広告の「広告売上実績金額」を基準としてライセンス料を徴収してきたものであり,被告が主張するような個別事情は考慮していない。 アアドネットワーク事業社用(甲30・2枚目) アドネットワーク事業とは,多数のウェブサイトやアプリ等に一括で広告を配信する事業であり,アドネットワーク事業社は,クライアントか アアドネットワーク事業社用(甲30・2枚目) アドネットワーク事業とは,多数のウェブサイトやアプリ等に一括で広告を配信する事業であり,アドネットワーク事業社は,クライアントから広告を受け付けて,適宜,多数のウェブサイトやアプリに広告を配信し,それに応じて広告収入を得ることになる。 広告代理店は,アドネットワーク事業を行う場合はこのライセンスの対象 となるが,広告代理店がクライアントとアドネットワーク事業社の間に入って事業を行う場合は,アドネットワーク事業社のみが課金される。 この類型の場合,アドネットワーク事業社は,自らのメディアやウェブサイト等ではなく,他社のウェブサイト,アプリ,メディア等に広告を掲載することになり,別途,広告枠を媒体社などから購入する必要がある。そのた め,マージン(手数料など)のみがアドネットワーク事業社の収益であることから,ライセンス料率は,電通の意見を聴いて,当該事業社がクライアントに対して請求する広告料金の総額の1.5%とした。 イ顧客に対してシステムなどを使ってサービスを行う事業社用(甲30・3枚目) これは,クライアントに対しシステム等を使ってサービスを提供する事業 社(以下「サービス提供事業社」という。)向けのライセンスである。この類型の場合,本来,本件特許を実際に利用するのはクライアントであるが,このようなサービスを提供するサービス提供事業社も本件特許を間接的に利用することになり得ることから,サービス提供事業社も本件特許のライセンスを必要とするものとしている。 クライアントが,あどえりあ社と直接ライセンス契約を締結している場合,ライセンシーたるサービス提供事業社は,登録料年間1万円のみを支払えば 本件特許のライセンスを必要とするものとしている。 クライアントが,あどえりあ社と直接ライセンス契約を締結している場合,ライセンシーたるサービス提供事業社は,登録料年間1万円のみを支払えば足りる。また,クライアントが直接ライセンスを受ける代わりに,サービス提供事業社がライセンスを受けてライセンシーとなることもでき,この場合,同事業社は,ライセンス料として,上記登録料に加え,クライアントとの間 の契約における月額契約料金の3%を毎月支払うことになる。 ウウェブサイト運営社用(甲30・4枚目)これは,自社でウェブサイトを運営している者(以下「ウェブサイト運営社用」という。)に向けたライセンスであり,自らのウェブサイトにおいて,本件特許を用いてその表示を地域に応じたコンテンツに切り替えている者 が対象となる。 この場合のライセンス料は,①初年度にかかる登録料1万円のほか,②ウェブサイトの月間の閲覧回数(ページビュー(以下「PV」という。)に応じた基本利用料(PVが月間5000万未満の場合は年間2万円,月間5000万以上の場合は年間10万円),③ウェブサイトにおいて物品の販売等 を行っている場合に課されるオプションとしてのビジネス利用料(個別に決定),④自社サイト内において地域ターゲティングの機能を利用して他社(クライアント)の広告を掲載する場合に課されるオプションとしての広告利用料(クライアントから徴収した広告売上高の3%)がある。 なお,ウェブサイト運営社用の実績は2例あり,その料率は1.5%のも のと0.75%のものであったが,これは,格別の関係があるライセンシー から懇請を受けて,また,ライセンス事業開始当初のため売上げの拡大を図っていたことから,ライセンシー 5%のも のと0.75%のものであったが,これは,格別の関係があるライセンシー から懇請を受けて,また,ライセンス事業開始当初のため売上げの拡大を図っていたことから,ライセンシーとの具体的な交渉の結果,ライセンス料を値引きしたものであって(甲100),侵害訴訟に至っている本件では料率3%から減額する理由はない。 (2) 「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)に係る実施料相当額●省 略●ア YDNにおいては,被告ウェブサイトのトップページや主要提携サイト(他社ウェブサイト)に広告が掲載される。被告ウェブサイトに広告が掲載される場合,ウェブサイト運営社用としての利用に当たり,前記(1)ウ②の基本利用料(月間5000万PVと考えられるため年額10万円)に加え, 同④の広告利用料(オプション)が適用され,地域ターゲティング広告の売上高の3%が課されることになる。 一方,他社ウェブサイトに広告が掲載される場合は,上記料率は1.5%となる。 なお,基本利用料については,後記(5)の天気予報に対するライセンス料 として計上することとする(後記(3),(4)も同じ。)。 イ YDNのエリアターゲティング広告の本件侵害期間中の売上高総額は,●省略●である●省略●。そして,そのうち被告以外の他社ウェブサイトに広告が表示されるものは,●省略●であるから,その分の実施料率は1.5%,その余の分の実施料率は3%となる。さらに,消費税(平成25年度末であ る同年3月31日までは5%,平成26年度以降は8%)を付加したものが原告の損害額となり,その額は,●省略●となる。 ●省略●(ただし2018年度は本件特許権満了時まで。)(3) プレミ では5%,平成26年度以降は8%)を付加したものが原告の損害額となり,その額は,●省略●となる。 ●省略●(ただし2018年度は本件特許権満了時まで。)(3) プレミアム広告に係る実施料相当額●省略● ア被告は,被告ウェブサイトのトップページ,検索結果画面,各種サービス 内に地域ターゲティング広告等を表示するサービスである「Yahoo!プレミアム広告」(プレミアム広告)を提供しているところ,このサービスは,被告ウェブサイトで実施されているものであるので,自社サイトへの広告掲載として,前記(1)ウ②の基本利用料に加え,同④の広告利用料(オプション)が適用され,地域ターゲティング広告の売上高の3%が課されることになる。 選挙プロモーション限定特別商品も同様である。※X⑨18,19イプレミアム広告のエリアターゲティング広告の本件侵害期間中の売上高総額は,●省略●。プレミアム広告は,全て被告のウェブサイトに広告が表示されることから,その実施料率は3%となり,消費税相当額を更に加えると,プレミアム広告に係る原告の損害額は,●省略●となる。 ●省略●(ただし2018年度は本件特許権満了時まで)(4) スポンサードサーチに係る実施料相当額●省略●アスポンサードサーチは,ユーザが検索のために入力した用語に応じて被告ウェブサイト等に表示される検索結果に広告を掲載するサービスである。ス ポンサードサーチにおける本件各発明の利用は,ウェブサイト運営社用としての利用に当たり,前記(1)ウ②の基本利用料に加え,同④の広告利用料(オプション)が適用され,地域ターゲティング広告の売上高の3%が課されることになる。なお,スポンサードサーチは,被告の 社用としての利用に当たり,前記(1)ウ②の基本利用料に加え,同④の広告利用料(オプション)が適用され,地域ターゲティング広告の売上高の3%が課されることになる。なお,スポンサードサーチは,被告の提携パートナーサイト(「EXITE」や「@nifty」といったポータルサイト)における検索窓で 検索した結果のページにも表示されることがあり,この場合は,アドネットワーク事業社用として,そのライセンス料率は1.5%になるが,被告がこの点の内訳を明らかにしない場合には3%で計算すべきである。 イ被告は,スポンサードサーチに係る売上高を開示しないので,被告の広告売上高から,YDNとプレミアム広告の売上高を差し引いたものがスポンサ ードサーチに係る売上高であるとみなして算定する。 被告の広告売上高のうち地域ターゲティング広告に係る売上高を,YDNにおける地域ターゲティング広告の割合である●省略●を用いて案分して算出し,この額からYDN及びプレミアム広告における各地域ターゲティング広告の売上高を差し引いたものを,スポンサードサーチに係る地域ターゲティング広告の売上高とみなすと,本件侵害期間中の同売上高は,●省略● となる。そして,これに実施料率3%を乗じ,消費税相当額を更に付加すると,原告のスポンサードサーチに係る原告の損害額は,●省略●となる。 ●省略●(ただし2018年度は本件特許権満了時まで)(5) 天気予報に係る実施料相当額 119万4000円 被告は,被告ウェブサイトのトップページ等において,被告方法等を用いた地域判別を行った上で天気予報を表示している。天気予報による利用は,広告としての利用ではないことから,自社サイトでの利用として,ウェブサイ 被告ウェブサイトのトップページ等において,被告方法等を用いた地域判別を行った上で天気予報を表示している。天気予報による利用は,広告としての利用ではないことから,自社サイトでの利用として,ウェブサイト運営社用の基本利用料年額10万円に消費税を付して支払うべきである(甲30・4枚目)。被告ウェブサイトの月間PVが5000万PVを超えているこ とは明らかであるから,被告が支払うべきライセンス料は,以下の合計額119万4000円となる。 平成19年度~平成25年度100,000円×7年×1.05=735,000円平成26年度~平成29年度 100,000円×4年×1.08=432,000円平成30年4月~6月分100,000円×3/12×1.08=27,000円(6) 弁護士費用相当損害金●省略●原告は,被告による特許権侵害の不法行為により,●省略●余の損害を被っ た。そして,原告は,本訴の提起を含め,損害賠償請求をするために弁護士に 委任し,弁護士費用として少なくとも上記損害額の10%である●省略●を要したから,同額が弁護士費用相当損害額となる。 (7) 被告が原告に返還すべき不当利得額が原告の損害額と同額であることア原告は,特許法102条3項に基づく損害賠償請求のほか,民法703条ないし704条に基づく不当利得返還請求もしているが,これにより返還を 請求し得る金額は,特許法102条3項により請求できる金額と同額となる(知財高裁平成27年11月12日判決・判時2287号91頁参照)。 イ被告は,●省略●被告の地域ターゲティング広告の提供当初から,本件特許権の存在を認識していた。そして,被告 と同額となる(知財高裁平成27年11月12日判決・判時2287号91頁参照)。 イ被告は,●省略●被告の地域ターゲティング広告の提供当初から,本件特許権の存在を認識していた。そして,被告は,被告方法等による具体的な実施の事実を認識していたのであるから,当該具体的な事実関係については当 初から悪意であって,仮に,被告が侵害に当たらないと信じていたとしても,それは,法的評価について錯誤していたからにすぎず,被告が非侵害と信じる特段の事情がない限り,被告は悪意の受益者に当たる(最判平成19年2月13日・民集61巻182頁,最判平成29年7月13・民集61巻1980頁参照)。 仮に,被告が侵害行為の当初からは悪意の受益者に当たらないとしても,●省略●たとえそういえなくとも,被告は,原告による本訴提起により,特許権侵害行為を認識しているから,遅くとも,訴状送達時で悪意の受益者に転換しており,少なくとも,それ以降,民法704条に基づく利息又は遅延損害金 として年5分の割合による金員の支払義務を負う。 (8) 被告の主張についてア実施料相当額算定の基礎となる売上げの範囲について(ア) ●省略●ついて被告は,●省略●と主張する。 しかし,被告が上記主張の根拠とする請求項3等は従属項であるから, これによりそれが従属する独立項(請求項1及び6)の技術的範囲が限定的に解釈される理由は全くない。また,前記のとおり,本件各発明では,IPアドレス対地域データベースをアクセス(検索)するキーとなるのがIPアドレスであるのに対し,請求項3等に記載の実施態様では「電話番号および/又は郵便番号対地域データベース」をアクセス(検索)するキ ーとなるの ータベースをアクセス(検索)するキーとなるのがIPアドレスであるのに対し,請求項3等に記載の実施態様では「電話番号および/又は郵便番号対地域データベース」をアクセス(検索)するキ ーとなるのは「電話番号および/または郵便番号」であるところ,被告方法等における●省略●をアクセス(検索)するキー情報は,本件各発明と同じくIPアドレスであって,「電話番号および/または電話番号」ではない。さらに,原告は,本件各発明の技術的範囲が●省略●と限定したことなど一度もない。 したがって,被告の上記主張は根拠がない。 (イ) スマートフォンを利用した売上げに関する主張について被告は,スマートフォンの利用による売上げが実施料相当額の算定の基礎となる売上げの範囲に含まれないと主張する。 しかし,スマートフォンからインターネットのウェブサイトを閲覧する 場合には,4G(3G)による接続(モバイル接続)又はWi-Fi接続の2通りの方法があり,自宅等のWi-Fi環境がある場所では,通信容量制限のあるモバイル接続ではなく,Wi-Fi経由の接続を行うのが一般的である。スマートフォンによりWi-Fi接続を行う場合には,接続に用いられるIPアドレスは自宅のWi-Fiに用いられるIPアドレ スであって,本件各発明に基づくIPアドレスからアクセスポイントに対応する地域を判別している。 したがって,スマートフォン用の画面に表示される広告も本件各発明の対象となるエリアターゲティング広告となるため,これを除外すべきではなく,実際のところ,原告は,パソコンの画面に表示されるかスマートフ ォン用画面に表示されるかに関係なく,地域ターゲティング広告の売上高 を基礎としている。 (ウ) IPアドレスを利用した ろ,原告は,パソコンの画面に表示されるかスマートフ ォン用画面に表示されるかに関係なく,地域ターゲティング広告の売上高 を基礎としている。 (ウ) IPアドレスを利用したものに限定されるとの主張について被告は,●省略●(エ) 「地域」以外の他のターゲティング機能に関する主張について被告は,「年齢」,「性別」,「行動履歴」など「地域」以外のターゲ ティング機能に対する部分の売上げは,本件における相当実施料額の算定の基礎とならないと主張する。 しかし,そのような場合であっても被告が本件各発明を実施していることに変わりはないし,後記のとおり,ターゲティングの中では「地域」によるターゲティングが最も重要であるというべきであるから,被告主張は 失当である。 イ実施料率について(ア) 被告は,アドネットワーク事業社用(甲30・2枚目)で規定する1. 5%の実施料率が適用されるか,ウェブサイト運営社用(甲30・4枚目)に規定する3%の実施料率が適用されるのかは,広告の主体によって異な るのであり,第三者の広告を請け負った場合の実施料率は1.5%であり,自らの広告を行った場合には3%の実施料率が適用されると主張する。 しかし,甲30・4枚目においては,ライセンス利用料が「広告売上の3%」と規定されているところ,ここにいう「広告売上」とは,広告の売上げを意味するから,自らの広告を行った場合に適用されるものは解し得 ず,他社の広告を自らのサイトで行う場合を意味することは明らかである。 また,甲30・2枚目には「ただし,親会社の業務を子会社が行う場合,ライセンス利用料はウェブサイト運営社の広告利用料(3%)を適用します。」と記載されているところ,これは,ア ことは明らかである。 また,甲30・2枚目には「ただし,親会社の業務を子会社が行う場合,ライセンス利用料はウェブサイト運営社の広告利用料(3%)を適用します。」と記載されているところ,これは,アドネットワーク事業を行っている会社が,広告掲載を自らの子会社のウェブサイト等(広告枠)で行う 場合,その実施料率は,自社サイトに広告を掲載する場合(甲30・4枚 目)と同じく,広告の売上げの3%とすることを意味する。この場合に3%の料率が適用するのは,親会社(アドネットワーク事業社)が広告枠を媒体社などから仕入れる(購入する)ための費用はその子会社に支払われるため,親子会社全体としては費用支出をする必要がないと考えられることによる。 また,被告は,甲30・4枚目に「EC(電子商取引)を含む,ウェブサイト内で物品などの販売を補助するサービス」が対象となることが記載されていることをもって,甲30・4枚目の3%の実施料率は自らの商品の広告表示を切り替えるといったサービスを提供するものを念頭に置いたものであると主張する。 しかし,甲30・4枚目によれば,EC等により自己の商品の販売等を行う場合,「広告売上の3%」をライセンス料として徴収する「広告利用料(オプション)」とは別建ての料金である「ビジネス利用料(オプション)」が必要となることからも,ここで規定されている「広告利用料(オプション)」は,自己の商品の販売等を目的としたものではなく,他社の 広告を掲載する場合を想定しているものであることが明らかである。 したがって,甲30・2枚目における実施料1.5%が適用されるか,同4枚目における実施料3%が適用されるかは,広告を自社サイト内に掲載するか他社サイトに掲載するかによって区別されるものであって, したがって,甲30・2枚目における実施料1.5%が適用されるか,同4枚目における実施料3%が適用されるかは,広告を自社サイト内に掲載するか他社サイトに掲載するかによって区別されるものであって,誰の広告を掲載するかによって区別されるものではない。 (イ) 被告は,ターゲティング広告は地域のみならず年齢や性別などを併用しているとして,算定の基礎となるエリアターゲティング広告に係る売上高かライセンス料率を減じるべきであると主張する。 しかし,ターゲティング広告において,地域は従来から基本的に重要な要素であり,このことは,古くは新聞広告における地域版ごとの広告掲載 や,折込チラシ,テレビ・ラジオにおけるコマーシャルなど,地域を限定 した広告が多数行われていることからも裏付けられる(甲82参照)。 そもそも,閲覧者の年齢や性別は,個人情報を登録しないと判別することができないが,地域は,閲覧者が接続してくるIPアドレスを基に判別してターゲティングを行うことができるのであり,この点においても,地域が年齢や性別よりも重要性が極めて高いことが理解できる。 このため,被告が年齢等による選別を併用しているのだとしても,それは単に被告が機能を追加したからにすぎず,地域による判別(エリアターゲティング)を行っている以上,本来あるべきライセンス料率に従って算定されたライセンス料を支払うべきものである。 したがって,年齢や性別の要素が併用されたからといって,ライセンス 料率が減じられるべきものではない。 (ウ) 被告は,自ら多数の特許を有し,それらを自己実施していることから,本件各発明がターゲティング広告に寄与する割合は小さいので,ライセンス料率を減じるべきと主張する。 しかし,被告が ない。 (ウ) 被告は,自ら多数の特許を有し,それらを自己実施していることから,本件各発明がターゲティング広告に寄与する割合は小さいので,ライセンス料率を減じるべきと主張する。 しかし,被告が他の特許を実施していることと,本件各発明のライセン ス料率とは無関係である。 (エ) 被告は,被告がデータベースを自ら作成したことから,その分ライセンス料率が減じられるべきであると主張する。 しかし,原告は,自らデータベースを提供しているわけではなく,本件特許のライセンスを行っているにすぎない。原告から本件特許のライセン スを受けている他の会社は,Geolocation社が提供するデータベースを使用し,同社に別途使用料を支払っているのであり,仮に,被告が自前のデータベースを利用していたとしても,それはGeolocation社への支払を要しないということにすぎない。 したがって,上記被告主張はライセンス料率と無関係で失当である。 (オ) 被告は,甲20公報を引用し,本件各発明の「IPアドレス対地域デー タベース」は「アクセスポイント側」の情報を用いるものであり,●省略●とした上で,原告の主張を前提とするのであれば,本件各発明の価値・技術的意義は低いなどと主張する。 しかし,●省略●被告の主張は誤った前提に基づくものである。 ウ YDNについて 被告は,YDNの売上げを増加させる努力をしていることを強調するが,企業が自らの製品の売上げを増やそうと努力するのは当然のことであって,ライセンス料率とは無関係である。原告は,100社以上に対し,各ライセンシーの売上げの多寡やサービスの特性にかかわらず,一律に3%又は1. 5%の料率で請求しているので 力するのは当然のことであって,ライセンス料率とは無関係である。原告は,100社以上に対し,各ライセンシーの売上げの多寡やサービスの特性にかかわらず,一律に3%又は1. 5%の料率で請求しているのであるから,被告の主張は失当である。 エプレミアム広告について被告は,プレミアム広告におけるターゲティングでは,地域のほかに,「時間指定ターゲティング」,「デモグラフィックターゲティング」(性別,年代等による絞り込み),「行動ターゲティング」等の機能が搭載されており,これらのターゲティングの方が地域ターゲティングよりも売上げに寄与し ているなどと主張する。 しかし,被告が他のターゲティングを併用しているとしても,それは,単に被告が機能を追加したからであるにすぎず,地域ターゲティングが他の要素によるターゲティングよりも重要であるのも前記のとおりである。このことは,プレミアム広告について説明する被告資料(甲26・6頁)において 説明される4つのターゲティング手法のうち,「エリアターゲティング」が最初に説明されていることからも裏付けられる。 オスポンサードサーチについて(ア) 被告は,スポンサードサーチでは本件各発明を実施していないと主張する。 しかし,被告のスポンサードサーチでは,閲覧者がある用語とともに地 名も一緒に検索した場合に当該地名に応じた広告が表示されることがあるのみならず,閲覧者が地名を検索していなくてもユーザの所在地に応じた地域ターゲティング広告が表示されるのであるから,閲覧者(ユーザ)のIPアドレスから地域を判別し,判別された地域(アクセスポイントに対応する地域)をターゲティングしている広告を表示していることは明ら かである グ広告が表示されるのであるから,閲覧者(ユーザ)のIPアドレスから地域を判別し,判別された地域(アクセスポイントに対応する地域)をターゲティングしている広告を表示していることは明ら かである(甲80)。 実際,被告によるスポンサードサーチの地域ターゲティングについての説明(甲25)においても,「指定した地域で利用している検索利用者」に対して地域ターゲティング広告を提供していることが明確に述べられているほか,地域判定のもととなる情報を,①ユーザの所在地,②検索キ ーワードに含まれる地域,③①又は②の3種類から選べるようになっていることが記載されており,このことからも,スポンサードサーチが,本件各発明を用いて「ユーザの所在地」からも地域判別できることが裏付けられる。 (イ) 被告は,スポンサードサーチは●省略●本件訴訟の対象外であると主張 する。 しかし,原告が当初からスポンサードサーチを本件特許権侵害に当たる被告の地域ターゲティング広告サービスの主要な一つとして挙げていたにもかかわらず,侵害論の審理を終え,損害論の審理段階において,突如かかる主張をすることは,時機に後れた攻撃防御方法に当たる。そして, ●省略●のであるから,被告には故意又は重過失があることが明らかである。したがって,この点に係る被告主張は却下されるべきである。 (ウ) 上記(イ)の主張に関し,●省略●被告のスポンサードサーチに申し込むためには,まず,「Yahoo! JAPANビジネスID」(以下「ビジネスID」という。)を作成し,これを用い て被告ウェブサイトにログインすると,最初に広告の運用方法を選択させ るページが表示され,同頁では,簡単にスポンサードサーチが開始できる「らくア D」という。)を作成し,これを用い て被告ウェブサイトにログインすると,最初に広告の運用方法を選択させ るページが表示され,同頁では,簡単にスポンサードサーチが開始できる「らくアド」と,ツールを使って広告を設定・管理する「広告管理ツール」のいずれかを選択させる画面が表示される(甲85)。いずれを選択した場合でも,サービスの提供地域を都道府県や市区町村などの行政地域単位で設定することができる(甲86~89)。 ●省略●一般に検索サービスとは,検索した用語に関連するウェブページを列挙表示するサービス(リスティング・サービス)であるから,検索サービスの結果が表示されるページには,リスティング結果として,当然,当該検索ワードに対応するウェブページがいくつも列挙される。 被告の検索結果ページには,上記リスティング結果のほか,本来の検索結果とは別に,検索連動型の広告が表示される。この広告は,リスティング結果の前や後などに,リスティング結果ではないことが分かるように「広告」とのマークが付されて表示されるが(甲93参照),これが被告のスポンサードサーチにおける広告表示部分である。また,この ほかに,「Yahoo!ショッピング」,「Yahoo!知恵袋」など被告独自の情報も織り交ぜて表示される。 ●省略●本件特許権を侵害していると評価されるべきである。 ●省略●カ天気予報について 被告は,天気予報が無償での提供であるとか,被告の営業努力によってPVが多いなどと主張するが,原告は,当該サービスが有償であるか否かにかかわらず,月間5000万PV以上のサイトで本件各発明を利用する場合に基本使用料10万円を課しているのであるから,被告の よってPVが多いなどと主張するが,原告は,当該サービスが有償であるか否かにかかわらず,月間5000万PV以上のサイトで本件各発明を利用する場合に基本使用料10万円を課しているのであるから,被告の主張は失当である。 キ消費税について 被告は,不法行為に基づく損害賠償請求や,不当利得返還請求については, 消費税が課されないから,消費税込みの金額を請求することはできないと主張する。 しかし,国税庁の消費税に対する考え「No.6117 課税の対象となる取引」「1 資産の譲渡等」によれば,無体財産権の実施権や使用権等を設定する行為も資産の貸付に含まれるとされているから,特許実施料は,消 費財の課税対象となる。 そして,不法行為に基づく損害賠償請求において,消費税法基本通達5-2-5によれば,「その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当する」ところ,その例として,「(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受す る損害賠償金」が記載されているから,本件のような特許権侵害に基づく損害賠償請求が消費税の課税対象となることは明らかである。また,不当利得返還請求についても,その実質は,資産の譲渡等の対価に該当するから,同様に消費税の課税対象となる。 ク消滅時効について 被告は,平成29年4月1日から同年9月15日までの間の不法行為に基づく損害賠償請求権は,消滅時効の完成により消滅したと主張する。 しかし,原告は,平成30年12月5日付け原告第7準備書面において,上記期間における被告の特許権侵害行為も含めた損害額を算定し,本件訴訟において損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行い,その しかし,原告は,平成30年12月5日付け原告第7準備書面において,上記期間における被告の特許権侵害行為も含めた損害額を算定し,本件訴訟において損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行い,その後も,令和2年 3月11日の弁論準備手続期日において令和2年3月2日付け原告第17準備書面においても,上記期間の侵害行為を含めた請求を行うことや,請求の拡張を行う旨を主張したのであるから,遅くとも同月11日の時点で,上記期間の被告の侵害行為に基づく請求について,裁判上の催告を行っている。 そして,原告は同年9月7日付け訴えの変更申立書(以下「本件訴えの変更 申立書」という。)において,上記期間分を含む請求の拡張を行ったから, 被告主張の消滅時効は確定的に中断した。 ケ弁護士費用相当損害金について(ア) 被告は,弁護士費用は請求額が大きくなれば弁護士費用の割合が小さくなるのが通常であるとして,損害額に乗じるべき割合はせいぜい1%であると主張するが,被告独自の見解に過ぎない。 (イ) 被告は,不当利得返還請求の場合に弁護士費用は当然に請求できないと主張する。 しかし,弁護士費用が不法行為と相当因果関係に立つ損害と判示した最判昭和44年2月27日・民集23巻2号441頁は,現在の訴訟がますます専門化され技術化された訴訟追行を当事者に対して要求するため,一 般人が単独にて十分な訴訟活動を展開することはほとんど不可能に近く,また自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため,自己の権利擁護上,訴えを提起することを余儀なくされた場合においては,一般人は弁護士に委任するにあらざれば,十分な訴訟活動をなし得ないとして,弁護士費用を損害として認めた その履行を受け得ないため,自己の権利擁護上,訴えを提起することを余儀なくされた場合においては,一般人は弁護士に委任するにあらざれば,十分な訴訟活動をなし得ないとして,弁護士費用を損害として認めたもの であるところ,この理は,不法行為に基づく請求に限ったことではなく,債務不履行に基づく請求においても当てはまり得る(安全配慮義務違反に係る最判平成24年2月24日・判タ1368号63頁参照)。 本件において,原告は,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求と,同侵害に基づく不当利得返還請求をしているが,両者における事案の難易 度や,訴訟に至った経緯,その他いかなる事情も変わることはなく,異なるのは,消滅時効期間の長短のみである。原告は,前記のとおり,被告の特許権侵害及びその後の被告による一方的な交渉の破棄によって,特許権侵害訴訟という高度に専門化された訴訟追行を余儀なくされたのであるから,その弁護士費用は,被告の特許権侵害に基づく不法行為のみならず, 悪意による不当利得とも相当因果関係に立つ損害(損失)であることは明 らかである。 (被告の主張)本件で,実施料相当額算定の対象となる売上高は,●省略●売上高は●省略●,相当実施料率は0.01%であるから,本件で,仮に被告の侵害が認められたとしても,認容すべき相当実施料額は,●省略●にとどまる。 (1) 実施料相当額算定の基礎となる売上げの範囲についてア ●省略●限定されること前記のとおり,本件各発明の技術的範囲には,●省略●仮に,被告方法等において本件各発明の技術的範囲に属する部分があるとしても,それは,●省略●に限られる。 イスマートフォンを利用した売上げについて原告は,被 ,●省略●仮に,被告方法等において本件各発明の技術的範囲に属する部分があるとしても,それは,●省略●に限られる。 イスマートフォンを利用した売上げについて原告は,被告方法等について,ユーザのパーソナルコンピュータに情報を送信するものとして特定しており,これにスマートフォンは含まれない。 ただ,念のために唯一通年の計算が可能なYDNの平成29年度の売上げに関して,スマートフォンでIPアドレスを利用し,かつWi-Fi接続し た場合に係る金額を算出すると,●省略●プレミアム広告については,●省略●なお,Wi-Fiやスマートフォンの普及割合が経時的に増加しているという顕著な事実を勘案すると,平成28年以前においては,この割合は●省略●%よりも低かったと考えるのが合理的である。 ウ IPアドレスを利用したものに限定されること(ア) 被告は,●省略●エ 「地域」以外の他のターゲティング機能に対応する部分の売上げは対象外であること(ア) YDNは,「『アプローチしたいターゲットの属性』や『過去にウェブ サイトを訪れた人』などの条件を設定し,それぞれの条件に一致するイン ターネットユーザが閲覧しているYahoo! JAPANや提携サイトに広告を表示」するものであり,「地域」以外に,「年齢」や「性別」を特定して広告を行うことができる(乙18)。これにより,広告主は,例えば,「若年層に人気のある商品の広告/高齢層に人気のある商品の広告」といった絞り込みによるターゲティングを行ったり,「男性に人気のある商品の 広告/女性に人気のある商品の広告」といった絞り込みによるターゲティングを行ったりすることができ,これにより,閲覧者のカテゴ た絞り込みによるターゲティングを行ったり,「男性に人気のある商品の 広告/女性に人気のある商品の広告」といった絞り込みによるターゲティングを行ったりすることができ,これにより,閲覧者のカテゴリに合った広告を表示することでクリック数が増え,被告の売上げが上がることになる。 このような絞り込みは,多くの広告において,少なくとも地域での絞り 込み以上に効果的なターゲティングを行う役割を果たしており,閲覧者にクリックしてもらうために非常に大きく貢献,寄与している。そして,これらの「地域」以外のターゲティング機能がセットで広告主に提供されて売上げが生じた場合,他のターゲティング機能に対応する部分の売上げは,本件における相当実施料算定の基礎とはならない。 本件の相当実施料算定に当たり基礎とすべき売上高は,本件各発明の実施に対応した部分に限られるところ,これを最大限多く見積もっても,YDNの売上高の●省略●%にとどまる(乙17)。 (イ) プレミアム広告では,売上げは表示回数で決まるから,Yahoo! JAPANへのアクセス数によって売上げが決まり,ターゲティングは全く売上げに 寄与しない。仮に,ターゲティングが売上げに貢献,寄与するとしても,プレミアム広告には,「時間指定ターゲティング」,「デモグラフィックターゲティング」(性別,年代等による絞り込み),「行動ターゲティング」(Yahoo! JAPAN内での行動履歴に基づく絞り込み)等の他の機能が搭載されており(乙21・12頁),これらの機能によって,閲覧者のカテ ゴリに合った広告を表示することで広告効果を上げることができるので ある。 このような絞り込みは,少なくとも地域での絞り込み以上に効果的なターゲティングを行う役割を果たしており,地 ゴリに合った広告を表示することで広告効果を上げることができるので ある。 このような絞り込みは,少なくとも地域での絞り込み以上に効果的なターゲティングを行う役割を果たしており,地域ターゲティングに比して非常に大きく寄与していることは明らかである。 本件の相当実施料算定に当たり基礎とすべき売上高は,本件各発明の 実施に対応した部分に限られるところ,これを最大限多く見積もっても,プレミアム広告の売上高の●省略●%に限られる(乙17)。 (2) 実施料率についてア甲30のライセンス料金表の実施料率のうち本件に当てはまる類型について (ア) 原告が提出する甲30のライセンス料金表によれば,本件に当てはまるのは,アドネットワーク事業社用(甲30・2枚目)の1.5%となる。 原告は,本件で適用されるのはウェブサイト運営者用の3%であると主張するが,この対象は,自社サイト内で自らの商品,サービスについて広告を行い,それにより広告対象の商品の売上げが発生した場合をいうもの と解される。しかるに,被告は,地域ターゲティングを利用して自らの広告を掲載しているわけではなく,被告に広告を依頼する広告主から,「地域ターゲティングを請け負って行っ」て広告主の広告を掲載しているから,「広告代理店」として広告を行っているのであり,甲30・2枚目のアドネットワーク事業用に当たる。 (イ) 原告は,本件各発明のライセンス契約において,広告を掲載するのが自社ウェブサイトであるか否かで実施料率が3%であるか1.5%であるかが決まると主張する。 しかし,アドネットワーク事業社用に係る甲30・2枚目には,「本特許技術を使って,広告の地域ターゲティングを請け負って行った場合,利 用実績に .5%であるかが決まると主張する。 しかし,アドネットワーク事業社用に係る甲30・2枚目には,「本特許技術を使って,広告の地域ターゲティングを請け負って行った場合,利 用実績に応じた所定のライセンス利用料をお支払いいただきます。」と記 載されているから,第三者の広告を「請け負って行った」場合には,アドネットワーク事業社用の条件に従って1.5%の料率が適用され,自らの広告を行った場合に3%の料率が適用される。自らの広告を行った場合には,その広告による効果も自ら享受することになることから,約定実施料率がより高率となっているものである。 また,甲30・2枚目には,「親会社の業務を子会社が行う場合,ライセンス利用料はウェブサイト運営社の広告利用料(3%)を適用します。」と記載されていて,実質的に第三者ではなく自らの広告を行い,自ら広告の利益を享受しているとみなし得る場合の実施料率が3%とされている。 さらに,甲30・2枚目には「ライセンス利用条件」として「該当する 広告商品が本特許に基づく商品であることを商品パンフレットおよびウェブサイトで明示すること。」が規定されており,これによれば,甲30・2枚目は,第三者に対して広告商品を提供し,第三者の広告を行う者であると理解し得る。これに対し,ウェブサイト運営社用に係る甲30・4枚目にはそのような条件が規定されていないが,これは,その対象者は,自 らの広告を行うことから,第三者に対して,パンフレットやウェブサイトで「広告商品」の表示を行うことがないからである。 (ウ) 原告は,自らの広告については「広告売上」を観念できないから甲30・4枚目は自ら広告を行う場合について定めたものではないと主張する。 しかし,甲30・2枚目で 。 (ウ) 原告は,自らの広告については「広告売上」を観念できないから甲30・4枚目は自ら広告を行う場合について定めたものではないと主張する。 しかし,甲30・2枚目では,ライセンス利用料は「クライアント広告請求金額」の1.5%と記載されているが,これは,他人の広告を行う類型を対象とするからこそ,他人である「クライアント」に対する「請求金額」と記載されているのである。これに対し,甲30・4枚目では,ライセンス利用料は単に「広告売上」の3%と記載されている。これは,他人 (クライアント)の広告を請け負って行いその対価を「クライアント」に 「請求」する類型ではなく,自ら広告を行う類型を対象としているからである。 また,甲30・4枚目には,オプションとしてではあるが,「EC(電子商取引)を含む,ウェブサイト内で物品などの販売を補助するサービス」が対象となることが記載されており,このオプションの適用の有無を判 断するに当たっては,「具体的には,サイト内に「購入」「申込」「資料請求」に類するリンクが存在することを目安」とすることが明記されている。このことから,甲30・4枚目にいう「ウェブサイト運営社」が例えば自ら商品を販売するECサイトを運営し,訪れたユーザに対して,その地域に応じて,自らの商品の広告表示を切り替えるといったサービスを 提供する者を念頭に置いたものであることが分かる。 したがって,被告のように他人の広告を請け負って行っている場合は,仮にライセンス契約を締結していたとすれば,甲30・2枚目の料率を前提に交渉がなされ,そこから大幅に減額された金額で契約が締結されていたはずである。 なお,知財高裁平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日大合 ば,甲30・2枚目の料率を前提に交渉がなされ,そこから大幅に減額された金額で契約が締結されていたはずである。 なお,知財高裁平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日大合議判決は,特許法102条3項の相当実施料率について,「当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率」を考慮すべき事項の最初に挙げており,これに照らせば,被告の行為に「ウェブサイト運営社用」が適用されるとの原告主張を前提としても,3%ではなく,実際に締結された 0.75%及び1.5%というライセンス実績を参照して相当実施料率を決定すべきである。甲30・4枚目に記載の実施料率「3.0%」は,単なる原告の希望する数値であり,上記「当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率」ではない。 イ実施料率を更に下げるべき事情 そして,以下の事情を考慮すれば,本件における特許法102条3項にお ける実施料率は,1.5%から大きく減殺されるべきであり,仮に,本件各発明が被告方法等を技術的範囲に含み,かつ,無効でないとした場合,相当実施料率は,高くとも0.01%と認定されるべきである。 (ア) ●省略●に係る部分前記(1)アのとおり,本件各発明を実施しても,●省略●その部分につ いて本件各発明は寄与していないから,その分,相当実施料率は低く設定されるべきである。 (イ) 自らの特許の実施及び特許ポートフォリオの形成被告は,ウェブ広告の分野で圧倒的な特許登録数及び出願数を誇っており,当然,これらの大半を自己実施している。被告は,このような特許の ポートフォリオを形成するために多くの人員とコストをかけて技術開発を行ってきた。この特許ポートフォリオについては,第三者 おり,当然,これらの大半を自己実施している。被告は,このような特許の ポートフォリオを形成するために多くの人員とコストをかけて技術開発を行ってきた。この特許ポートフォリオについては,第三者から非常に高く評価されており,これらの特許群によって初めて,ウェブ広告の分野で,被告が他者を排除して大きなシェアを獲得することができ,多くの売上げが生じているのである(乙22)。これらの被告の多数の特許による寄与, 貢献は,本件各発明に由来するものではないから,当然,本件各発明の相当実施料率を下げる方向で考慮すべきである。 (ウ) データベースの作成被告は,原告や原告のライセンシーを含む第三者からデータベースの提供を一切受けておらず,●省略●データベースに投資し,自ら開発し,運 営してきた。このような被告自身のデータベースの開発努力によって売上げが生じているのであり,その分,相当実施料率は減ずべきものである。 (エ) 本件各発明の価値・技術的意義本件各発明の価値・技術的意義は低く,この点からも相当実施料率は低く設定されるべきである。 すなわち,甲20公報の段落【0029】には,第2の実施形態として, ユーザ側の端末から提供されるGPSの情報により,ユーザのアクセスポイントを特定し,その地域に合わせた情報を提供することが記載されているところ,これについて,原告は,本件拒絶査定不服審判請求書において,同実施形態では位置検知装置(GPS)によって検知された位置情報を用いているが,本願発明ではアクセスポイントがユーザ端末に割り当てたI Pアドレスを用いている点が相違する旨を主張していた。この原告の主張からすれば,本件各発明の「IPアドレス対地域データベース いているが,本願発明ではアクセスポイントがユーザ端末に割り当てたI Pアドレスを用いている点が相違する旨を主張していた。この原告の主張からすれば,本件各発明の「IPアドレス対地域データベース」とは,専ら,「アクセスポイント側」にどのIPアドレスが割り当てられているかという情報を用いるデータベースであり,●省略●ことになる。 仮に,IPアドレスと地域とが結果的に対応したデータベースを用いて いれば本件各発明の技術的範囲に含まれるといった非常に広いクレーム解釈を採用するとすれば,甲14の1発明等も結果的にそのような構成となっていることから,本件各発明は,公知技術との関係で新たな技術的意義が存在せず,その技術的意義は従来技術に比して皆無に等しいこととなる。 (オ) 「地域」以外の他の機能の効用前記(1)エのとおり,被告方法等においては,地域ターゲティング以外に,年齢,性別,時間帯,行動履歴等の,地域以上に効果的なターゲティング機能が搭載されているところ,「時間帯」,「性別」,「年代」,「行動履歴」等に基づくターゲティング機能が「地域」によるターゲティング 以上に有効,効率的な広告表示を可能としていることは明らかであるから,これら他の機能に対応する部分の売上げに,本件各発明は全く関与していない。 原告は,他の機能は地域ターゲティングに付随するものにすぎないと主張するが,例えばYDNに関しては,地域ターゲティング機能はターゲテ ィング機能のごく一部にすぎないし(乙18・3枚目),プレミアム広告 においても地域ターゲティング機能は他のターゲティング機能と並列する一機能にすぎない(乙21・12頁)。 (3) YDNについてYDNは,広告 3枚目),プレミアム広告 においても地域ターゲティング機能は他のターゲティング機能と並列する一機能にすぎない(乙21・12頁)。 (3) YDNについてYDNは,広告が閲覧者にクリックされた場合にのみ売上げが発生するものであるところ(乙18),クリック数を増やして売上げを立てるために,地域 ターゲティング以外の様々な要素が貢献,寄与している。 すなわち,被告ウェブサイトは,パソコンからの利用者数が国内第1位(月平均2473万1000人)であり(乙19),パソコン版には月間244億9609万ものページビューがある(乙19・11頁)。 また,被告ウェブサイトは日本で知らない者がいないほどの知名度を誇り, 株式会社日経BPコンサルティングの調査によれば,Webブランドとして,2018年春夏のランキングで1位を獲得している (乙20)。 さらに,被告は,「Yahoo!ニュース」で毎日多くの良質なニュースを配信し,「ヤフオク!」も多くの宣伝広告努力等により,日本で有数のオークションサイトに成長させるなど,これらのサービスの開発,運営,維持や広告宣伝に多 大なコストを費やしてきたのである。 このように,被告が長年多大な労力を積み上げて築いてきたこれらのサービスへの圧倒的な利用者数及びアクセス数を前提として,クリック数が増え,売上げが生じているのであって,本件の相当実施料の算定に当たっては,本件各発明と無関係なこれらのサービスが被告の売上げに非常に大きく貢献,寄与し ていることが十分に考慮されるべきである。 (4) プレミアム広告についてプレミアム広告は,インプレッションと呼ばれる表示回数によって売上げが変わる(乙21)。そして,プレミアム広告は,主に被告ウェブサイト る。 (4) プレミアム広告についてプレミアム広告は,インプレッションと呼ばれる表示回数によって売上げが変わる(乙21)。そして,プレミアム広告は,主に被告ウェブサイトに表示されるものであるところ,そのパソコン版には月間244億9609万ものペ ージビューがあり,このような被告のサービスの圧倒的な閲覧数を前提として インプレッション数が上がり,売上げが生じるものであり,本件各発明とは無関係なこれらのサービスが,被告の売上げに非常に大きく貢献,寄与しているのである。 このように,プレミアム広告においては,被告ウェブサイトへのアクセス数のみが売上げに貢献するところ,このアクセスは広告内容とは無関係になされ るものであるから,地域ターゲティングは売上げに関係するものではなく,本件各発明は売上げに寄与,貢献していない。 (5) スポンサードサーチについて以下のとおり,●省略●本訴の審理対象ではない。このため,スポンサードサーチに係る売上げは,損害額算定の対象外である。 ア原告は,本訴の対象たる被告方法等について,●省略●本訴の審理対象ではない。 スポンサードサーチは,●省略●本訴の審理対象ではない。 被告は,当初から,スポンサードサーチに係る主張を含め,原告主張に係る被告方法等の使用をすべて否認しており,上記主張が時機に後れた攻撃防 御方法に当たるとの原告主張は失当である。 イスポンサードサーチにおいては,●省略●スポンサードサーチが本件各発明の技術的範囲に含まれるとはいうことはできない。 ウ被告は,●省略●エ原告は,●省略●スポンサードサーチは被告の特許権侵害に該当するとも 主張するが,●省略●基づ 件各発明の技術的範囲に含まれるとはいうことはできない。 ウ被告は,●省略●エ原告は,●省略●スポンサードサーチは被告の特許権侵害に該当するとも 主張するが,●省略●基づく新たな主張は,審理経過に照らすと,原告の故意又は重過失により時機に後れた攻撃防御方法であって,訴訟の完結を遅延するものであり許されない。 オ原告は,●省略●(6) 天気予報について 地域ターゲティングの天気予報は,被告ウェブサイトのトップページに表示 されるところ,被告ウェブサイトは,被告の長年にわたる多大な開発,運営,営業努力,宣伝広告等により,現在のページビュー数が生じているのであり,これに対する本件各発明の寄与は存在しない。また,被告の天気予報は無償のサービスであり,その意味においても,本件各発明は売上げに全く貢献,寄与していない。 したがって,天気予報に関する相当実施料は認められない。 (7) 消費税について消費税は,国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されるものとされ,(平成27年法律第9号による改正前の消費税法4条1項),同2条1項8号は,資産の譲渡等につき,「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸 付け並びに役務の提供」と定めている。 しかるに,原告の請求は,不法行為に基づく損害賠償請求や不当利得返還請求であって,資産の譲渡や役務の提供に対する対価を請求するものではないから,消費税を課す理由はない。 原告は,消費税法基本通達5-2-5の存在を指摘するが,同通達は,裁判 所を拘束しない。また,例えば,特許権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求では,特許権者は,侵害者の侵害品の販売により,特許権者の製品を販 -2-5の存在を指摘するが,同通達は,裁判 所を拘束しない。また,例えば,特許権侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求では,特許権者は,侵害者の侵害品の販売により,特許権者の製品を販売できなかったことによる逸失利益相当額の損害を被ることがあり得るが,この場合でも,侵害者は,侵害品の売上げを前提とした消費税を納税しているのであるから,別途特許権者に対しても消費税込みで損害を支払うことに なれば,税金の二重払いとなる上,売上高でなく,利益(損害賠償額)のみを対象として消費税を課す理由は全くない。このように,上記通達の規定は明らかに不合理であり,損害賠償金に消費税相当額を加算すべき理由はない。 また,上記通達には,不当利得返還請求につき消費税を課す旨の記載はないから,同請求には消費税を課すべき理由がない。 (8) 消滅時効について 原告が訴状により請求していたのは平成29年3月末日までの損害であり,同日より後に生じた損害については,本件訴えの変更申立書により訴えの変更をするまで,平成29年4月1日以降の損害については審理の対象としていなかった。そして,仮に被告が本件特許権を侵害しているのだとすれば,原告は,同日以降の損害および加害者を知っていたことが明らかである。 したがって,原告が,同日から,本件訴えの変更申立書が被告に送達された令和2年9月15日から3年前の平成29年9月15日までの間の不法行為に基づく損害賠償請求権を有するとしても,消滅時効が完成している。 (9) 弁護士費用について時効消滅した実施料相当額の損害賠償請求権に対応する弁護士費用相当額 は,同様に時効消滅している。また,被告は,被告方法等が本件各発明の技術的範囲に含まれないものと信じ 費用について時効消滅した実施料相当額の損害賠償請求権に対応する弁護士費用相当額 は,同様に時効消滅している。また,被告は,被告方法等が本件各発明の技術的範囲に含まれないものと信じていたから(甲36,38,40,43,45,47,49及び51),悪意の受益者に当たらない。 したがって,不法行為に基づく損害賠償請求のうち,飽くまでも時効消滅していない損害額を前提に,これに対応する弁護士費用相当額を算出すべきであ る。そして,弁護士費用は,請求額が大きくなれば,その算出割合が小さくなるのが通常であるから,原告の請求額に鑑みると,この算出に当たり,乗じるべき割合は多くとも1%というべきである。 (10) 遅延損害金について原告の不当利得返還請求は,期限の定めのない債権であり,被告は悪意の受 益者ではないから,被告が遅滞に陥るのは催告時である。そして,訴状の請求額は3億円であったから,これを超える分につき訴状送達時に催告があったとはいえず,かかる部分についての遅延損害金が仮に発生するとしても,本件訴えの変更申立書送達の日の翌日から起算されるべきである。また,原告は,訴状において,損害算定の基礎となる売上高につき,平成29年3月末日までの ものを対象としていたから,同年4月1日以降の不当利得分につき,訴状送達 の日の翌日から履行遅滞に陥ることはない。 第4 当裁判所の判断 1 本件各発明の内容(1) 本件明細書等には,以下の記載がある(なお,段落【0029】,【0044】及び【0045】の明白な誤記は直した。)。(甲1) ア発明の属する技術分野「本発明は,蜘蛛の巣のように張り巡らされた世界中のネットワークを介して利用される情報公開メカニズ び【0045】の明白な誤記は直した。)。(甲1) ア発明の属する技術分野「本発明は,蜘蛛の巣のように張り巡らされた世界中のネットワークを介して利用される情報公開メカニズムであるワールドワイドウェブ(WWW:WorldWideWeb)に係り,とりわけ,ユーザがウェブ(Web)データの送信要求を発信した場合,ユーザが該送信要求を発信した地域(以下,ユーザ の発信地域という)に関する情報を用いて,該発信地域に対応した情報をユーザに送信するWebページ閲覧方法および装置に関する。」(段落【0001】)イ従来の技術「WWWのWebページを閲覧しようとするユーザは,コンピュータ端末 およびブラウザと呼ばれるソフトウェアを用いて,所望のWebページを閲覧できる。但し,Webページを閲覧するためには,多くの場合インターネットの利用が不可欠であり,一般のユーザは,32ビットの整数,例えば「202.224.36.35」のようなIP(InternetProtocol)アドレスを一時的に該ユーザのコンピュータ端末に割り当てるプロバイダを介して,イ ンターネットに接続している。さらに,ユーザは,インターネット上のWebサーバに格納されているWebページデータの送信要求を該Webサーバに行い,該Webサーバがこの送信要求に応じて該Webページデータを送信することで,該ユーザはブラウザ上でWebページを閲覧できる。」(段落【0002】) 「図7は,従来のWebページ閲覧システムを示す図である。従来のWe bページ閲覧システム100は,ユーザ端末101a~101cと,第1のモデム/TA(TerminalAdapter)103a~103cと,アナログ/デジタ ムを示す図である。従来のWe bページ閲覧システム100は,ユーザ端末101a~101cと,第1のモデム/TA(TerminalAdapter)103a~103cと,アナログ/デジタル回線105a~105cと,第2のモデム/TA107a~107cと,アクセスポイント109a~109cと,アクセスポイント109a~109c内のサーバ111a~111cと,第1のゲートウェイ113a~11 3cと,インターネット115と,第2のゲートウェイ117a,117bと,Webサーバ119a~119bと,を備えて構成される。」(段落【0003】) 「以下に,従来のWebページ閲覧システム100の動作を説明する。W ebページ閲覧システム100を利用しようとする一般のユーザ,例えば東京のユーザは,ユーザ端末101aから通信ソフトと呼ばれる通信用プログラムを用いてプロバイダの東京にあるアクセスポイント109aにダイヤルする。ユーザ端末101aが第1のモデム/TA103a,アナログ/デジタル回線105aおよび第2のモデム/TA107aを通してアクセス ポイント109aに接続されると,アクセスポイント109aはユーザのログイン名,パスワード等の送信要求をユーザ端末101aに対して行い,ユーザ端末101aはこれに応じてログイン名,パスワード等の情報をアクセ【図7】 スポイント109aに送信する。」(段落【0004】)「ユーザ端末101aからアクセスポイント109aに送信されたログイン名,パスワードが正しく,かつユーザ端末101aの通信環境設定がこのアクセスポイント109aにおいて利用可能なものであれば,ユーザ端末は101aはアクセスポイント109aのサーバ111aに接続され,ア ,パスワードが正しく,かつユーザ端末101aの通信環境設定がこのアクセスポイント109aにおいて利用可能なものであれば,ユーザ端末は101aはアクセスポイント109aのサーバ111aに接続され,アクセ スポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの中から一つのIPアドレスを選択してユーザ端末101aに割り当てる。この割り当ては,ユーザ端末101aが一つのIPアドレスを獲得したことを意味する。」(段落【0005】)「サーバ111aからユーザ端末101aにIPアドレスが割り当てられ た後,前記ユーザはブラウザを用いてデータの種類と格納場所とを一度に表現するURL(UniformResourceLocator)を入力または選択する。このURLは,キーボードによってブラウザの入力部分に文字入力しても,マウスのポインタによってWebページ上の所望のURLにリンクされている部分を選択しても良い。」(段落【0007】) 「仮に,ユーザが閲覧を希望するWebページのURLを「HYPERLINKhttp://www.xxx.co.jp/index.htmlhttp://www.xxx.co.jp/index0.html」とする。このURLにおいて,先頭の「http://」はWebデータ通信用のプロトコルであるHTTP(Hyper-TextTransferProtocol)を指し,次にWebサーバ名「www」,ドメイン名「xxx.co.jp」,ファイル名「index0.html」と続く。 ユーザがこのURLをブラウザに入力または選択すると,ユーザ端末101aは,ドメイン「xxx.co.jp」の「www」というWebサーバ119aに格納されている,Webデータの一種である「inde ユーザがこのURLをブラウザに入力または選択すると,ユーザ端末101aは,ドメイン「xxx.co.jp」の「www」というWebサーバ119aに格納されている,Webデータの一種である「index0.html」というテキストファイルのHTMLデータの送信要求と,ユーザのIPアドレスと,ユーザが使用しているブラウザの種類を判別するためのブラウザ情報と,をアクセスポ イント109aのサーバ111aに送信する。」(段落【0008】) 「次に,これらの情報を受け取ったサーバ111aは,前記送信要求,前記IPアドレスおよび前記ブラウザ情報を,「xxx.co.jp」サイトの「www」Webサーバ119aに向けてインターネット115に送信する。Webサーバ119aがこれらの情報を受け取ると,Webサーバ119aは指定されたファイル,本実施形態の例では「index0.html」を,インターネット11 5およびアクセスポイント109aを介してユーザ端末101aに送信する。また,Webサーバ119aは「index0.html」ファイルのプログラムを解析して,参照されている他のデータをもユーザ端末101aに送信する。」(段落【0009】)「このようにしてユーザ端末101aが得たWebデータ,すなわち「in dex0.html」ファイルのデータおよび「index0.html」が参照するデータは,ユーザ端末101aのブラウザによって解析され,文字や静止画,動画等で表示される。また,本システムによれば,Webページをどの地域から閲覧してもユーザ端末に同一の情報が表示される。よって,上記した従来のWebページ閲覧システムは,情報を利用する点における地域格差を小さくする ものである。」(段落【0010】) の地域から閲覧してもユーザ端末に同一の情報が表示される。よって,上記した従来のWebページ閲覧システムは,情報を利用する点における地域格差を小さくする ものである。」(段落【0010】)ウ発明が解決しようとする課題「しかしながら,ユーザの発信地域と全く関係のない広告や天気予報等の地域情報は,該発信地域外の人々には広告効果が小さく,利用価値が低いという問題点がある。」(段落【0011】) 「また,ユーザが多数のWeb情報の内,その地域に関する情報を表示させたいときは,ユーザが手動でキーボードからURLをブラウザの入力部分に入力するか,マウスのポインタでこのURLにリンクしている部分を選択しているように,ユーザは一度その地域に関する選択操作を行うことが必須であった。このため,この操作は煩わしいのみならず,ユーザ端末およびブ ラウザの操作に不得手な人達にとっては困難で使い勝手の悪いものであっ た。」(段落【0012】)「本発明は上記事情に鑑みてなされたもので,同一URLにおいても,ユーザの発信地域ごとに異なるWebデータの送信が可能なWebページ閲覧システムを提供することを目的とする。」(段落【0013】)エ課題を解決するための手段 「上記課題を達成するために,請求項1記載の発明は,通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて, 前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポ ポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて, 前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップと,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法 である。また,請求項2記載の発明は,通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,ユーザ端末がアクセスしたアクセスポイントの電話番号,および電話番号と地域とが対応した電話番号対地域データベースを用いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別ステップと,前記判別された地域に基づ いて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記ユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法である。」(段落【0014】)「上記構成では,自動的に地域のWeb情報を閲覧することが可能となる。」(段落【0015】) 「また,請求項3記載の発明は,請求項1または2記載のウェブ情報提供 方法において,ユーザの電話番号および/または郵便番号と,電話番号および/または郵便番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号および/または郵便番号対地域データベースと,を用いて,前記ユーザの地域を判別する第3の判別ステップと,前記第3の判別ステップによって判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を 電話番号および/または郵便番号対地域データベースと,を用いて,前記ユーザの地域を判別する第3の判別ステップと,前記第3の判別ステップによって判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第3の 選択ステップと,を有することを特徴とするウェブ情報提供方法である。」(段落【0016】)「上記構成では,請求項1または2の場合よりもさらに細かい地域に限定されたWeb情報を閲覧することが可能となる。」(段落【0017】)「また,請求項6記載の発明は,通信ネットワークを介して,ウェブ情報 をユーザ端末に提供するウェブ情報提供装置において,ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース,を用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を 判別する第1の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択手段と,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信手段と,を有したことを特徴とするウェブ情報提供装置である。また,請求項7記載の発明は,通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェ ブ情報提供装置において,ユーザ端末がアクセスしたアクセスポイントの電話番号,および電話番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号対地域データベースを用いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の選択手段と,前記 電話番号対地域データベースを用いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の選択手段と,前記選択されたウ ェブ情報を,前記ユーザ端末に送信する送信手段と,を有したことを特徴と するウェブ情報提供装置である。」(段落【0019】)「上記構成では,自動的に地域を限定し,該地域のWeb情報選択することが可能となる。」(段落【0020】)「また,請求項8記載の発明は,請求項6または7記載のウェブ情報提供装置において,前記第1または第2の判断手段が,ユーザの電話番号および /または郵便番号と,電話番号および/または郵便番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号および/または郵便番号対地域データベースと,を用いて,前記ユーザの地域を判別し,前記第1または第2の選択手段は,前記判断手段によって判別された前記ユーザの地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択することを特徴とするウェブ情報提供 装置である。」(段落【0021】)「上記構成では,請求項6または7の場合よりもさらに細かい地域に限定することが可能となる。」(段落【0022】)オ発明の実施の形態「以下,本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は,本発明 の第1の実施形態に係るWebページ閲覧システムを示す図である。(但し,従来の技術と同じ部材には同じ番号を付している。) 【図1】 また,図2および図3は,第1の実施形態に係るWebページ閲覧方法を示すフローチャートである。 以下,本実施形態のWebページ閲覧システムおよび 【図1】 また,図2および図3は,第1の実施形態に係るWebページ閲覧方法を示すフローチャートである。 以下,本実施形態のWebページ閲覧システムおよびこれを用いたWebページ閲覧方法を,図1~図3を用いて詳細に説明する。本実施形態のWebページ閲覧システム200は,ユーザ端末101a~101cと,第1の モデム/TA103a~103cと,通信ネットワークとしてのアナログ/デジタル回線105a~105cと,第2のモデム/TA107a~107cと,アクセスポイント109a~109cと,アクセスポイント109a~109c内のサーバ111a~111cと,第1のゲートウェイ113a~113cと,通信ネットワークとしてのインターネット115と,第2の ゲートウェイ117a,117bと,自動選択手段としてのWebサーバ119a~119bと,を備えて成るもので,このWebページ閲覧システム200にIPアドレス対地域データベースとしてのIPアドレスプールデータベース201を備えて構成される。」(段落【0026】) 「以下に,本実施形態のWebページ閲覧システム200の動作を説明する。Webページ閲覧システム200を利用しようとする一般のユーザ,例えば東京の ユーザは,ユーザ端末101aから通信ソフトと呼ばれる通信用プログラムを用いてプロバイダのアクセスポイント109aにダイヤルする(ステップ401)。 ユーザ端末101aが第1のモデム/TA103a,アナログ/デジタル回線105aおよび第2のモデム/TA107aを通してアクセスポイント109a に接続される(ステップ403)と,アクセスポイント109aはユーザのログイン名,パスワード等の デジタル回線105aおよび第2のモデム/TA107aを通してアクセスポイント109a に接続される(ステップ403)と,アクセスポイント109aはユーザのログイン名,パスワード等の送信要求をユーザ端末101aに対して行い(ステップ40 5),ユーザ端末101aはこれに応じてログイン名,パスワード等の情報をアクセスポイント109aに送信する(ステップ407)。」(段落【0027】)「ユーザ端末101aからアクセスポイント109aに送信されたログイン名,パスワードが正しく,かつユーザ端末101aの通信環境設定がこの アクセスポイント109aにおいて利用可能なものであれば(ステップ40【図2】 9),ユーザ端末101aはアクセスポイント109aのサーバ111aに接続され(ステップ411),アクセスポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの中から一つのIPアドレスを選択してユーザ端末101aに割り当てる(ステップ413)。この割り当ては,ユーザ端末101aが地域情報としての一つのIPアドレスを獲得したことを 意味する。」(段落【0028】)「サーバ111aからユーザ端末101aにIPアドレスが割り当てられた後,前記ユーザはブラウザを用いてデータの種類と格納場所とを一度に表現する,例えば図4のようなURLを入力または選択する。このURLはキーボードによってブラウザの入力部分に文字入力しても,マウスによってWe bページ上の所望のURLにリンクされている部分を選択しても良い。」(段落【0030】)「仮に,ユーザが閲覧を希望するWebページのURLを「 HYPERLINKhttp://www.xxx.co.jp/index.html 分を選択しても良い。」(段落【0030】)「仮に,ユーザが閲覧を希望するWebページのURLを「 HYPERLINKhttp://www.xxx.co.jp/index.htmlhttp://www.xxx.co.jp/index1.html」とする。ユーザがこのURLをブラウザに入力または選択すると,ユーザ端末 101aは,ドメイン「xxx.co.jp」の「www」というWebサーバ119aに格納されている,Webデータの一種である「index1.html」というファイルのHTMLデータの送信要求と,ユーザのIPアドレスと,ユーザが使用しているブラウザの種類を判別するためのブラウザ情報と,をアクセスポイント109aのサーバ111aに送信する(ステップ415)。」(段落【0 031】)「次に,これらの情報を受け取ったサーバ111aは,前記送信要求,前記IPアドレスおよび前記ブラウザ情報を,「xxx.co.jp」サイトの「www」Webサーバ119aに向けてインターネット115に送信する(ステップ417)。」(段落【0032】) 「これらの情報をWebサーバ119aが受け取る(ステップ419)と,Webサーバ119aは送信要求された 「index1.html」ファイルのプログラムを解析し(ステップ421),「index.html」中のWebデータおよび参照されて いる他のデータをユーザ端末101aに送信する(ステップ423)。」(段落【0033】)「このとき本実施形態において,ユーザが送信要求した「index1.html」ファイルのプログラム中に,地域によって異なるデータを自動的に選択するための地域プログラムとしての記述があると 「このとき本実施形態において,ユーザが送信要求した「index1.html」ファイルのプログラム中に,地域によって異なるデータを自動的に選択するための地域プログラムとしての記述があると仮定する。Webサーバ119a は「index1.html」ファイルのプログラムを解析して(ステップ421),該地域によって異なるデータを自動的に選択するための記述を発見すると,同一サイト内または外部のサイトにある,IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベースから成る図5に示すようなIPアドレスプールデータベース201およびユーザ端末101aが送信したIPアドレ スを用いてユーザの発信地域を判別する(ステップ425)。」(段落【0034】)【図3】 「Webサーバ119aがユーザの発信地域を判別した後,Webサーバ119aはIPアドレスプールデータベース201によって判別された発信地域に対応したWebデータを選別し(ステップ427),前記ステップ423に加えてユーザ端末101aに送信する(ステップ429)。」(段 落【0035】)「このようにしてユーザ端末101aが得た「index1.html」ファイルのデータ,「index1.html」が参照するその他のデータおよび地域に対応したデータ等のWebデータは,ユーザ端末101aのブラウザによって解析され,文字や静止画,動画等で表示される(ステップ431)。」(段落【003 6】)「例えば,「http://www.xxx.co.jp/」が天気予報の情報を提供するサイトであると仮定する。このサイトのメインページである「index1.html」には,都道府県それぞれの天気予報の情報を選択するプ tp://www.xxx.co.jp/」が天気予報の情報を提供するサイトであると仮定する。このサイトのメインページである「index1.html」には,都道府県それぞれの天気予報の情報を選択するプログラムが記述されており,WebサーバがIPアドレスプールデータベースを用いて判別したユー ザの発信地域から該発信地域が属する都道府県に対応した天気予報のWebデータをユーザ端末に送信する。このため,ユーザはこのサイトを開くと自動的に該ユーザの発信地域に属する都道府県の天気予報をブラウザ上で閲覧することができる。」(段落【0037】)「以上から,本実施形態によればWebページの閲覧中に地域の情報をユ ーザが手動で選択することなく,自動的に該地域の情報を閲覧することがで【図5】 きるため,選択の手間を省くことができる。もちろん,ユーザの発信地域以外の地域の情報を閲覧したい場合には,ユーザが発信地域以外の地域のアクセスポイントに接続するか,従来と同じ方法を用いて従来と同じ方法を用いて選択すればよいことはいうまでもない。」(段落【0038】)「本実施形態では,IPアドレスの代わりにアクセスポイントの電話番号 を,IPアドレスプールデータベースの代わりにアクセスポイントの電話番号と地域とが一対一に対応したデータベースを有した電話番号対地域データベースとしてのアクセスポイントプールを用いても良い。該アクセスポイントは,同一サイト内,外部のサイトのどちらにあっても良い。」(段落【0039】) 「次に本発明の第2の実施形態を説明する。 図6は,本実施形態に係るWebページ閲覧システムを示す図である。本実施形態のWebページ閲覧システム300は,第1の実施形態が有するIP 「次に本発明の第2の実施形態を説明する。 図6は,本実施形態に係るWebページ閲覧システムを示す図である。本実施形態のWebページ閲覧システム300は,第1の実施形態が有するIPアドレスプールデータベース201に代えて,電話番号および/または郵便番号対地域データベースとしての電話/郵便番号データベース301を 備えて構成される。(但し,従来の技術および第1の実施形態と同じ部材には同じ番号を付している。)」(段落【0040】) 【図6】 「以下に,本実施形態のWebページ閲覧システム300の動作を説明する。第1の実施形態と同様に,Webサーバ119aに格納されている「index2.html」ファイルのプログラム中に,地域ごとに異なるデータを自動的に選択するための記述があると仮定する。第1の実施形態で説明したように,Webサーバ119bがサーバ111bから送信されたIPアドレス およびIPアドレスプールデータベース201を用いてユーザの発信地域を判別するが,「index2.html」ファイルの前記記述が前記ユーザの発信地域よりもさらに細かい区域の限定を要求している場合,Webサーバ119bはユーザ端末101bにユーザの電話番号(またはその一部)または区域の郵便番号等のさらに区域を限定できるような情報の開示を求める。」(段落 【0041】)「例えば,IPアドレスプールデータベース201を用いて判別したユーザの発信地域が,例えば「埼玉県大宮市」であると判別されたが,「index2.html」は「埼玉県大宮市」よりもさらに細かい区域で情報をファイル分けしている場合,Webサーバ119bはユーザの電話番号または郵便 番号等の情報をWebサーバ119bに ,「index2.html」は「埼玉県大宮市」よりもさらに細かい区域で情報をファイル分けしている場合,Webサーバ119bはユーザの電話番号または郵便 番号等の情報をWebサーバ119bに送信するようユーザ端末101bに求める。該情報がWebサーバ119bに送信されると,Webサーバ119bは,同一サイト内または外部のサイトにある電話番号,郵便番号または住所と区域とが一対一に対応したデータベースから成る電話/郵便番号データベースを用いて区域を限定し,該区域に対応したデータをインターネ ット115およびアクセスポイント109bを介してユーザ端末101bに送信する。」(段落【0042】)「よって,本実施形態では,ユーザが電話番号や郵便番号等の情報を開示することにより,さらに細かい区域の限定を行うことができ,第1の実施形態よりもさらに細分化された区域に即した情報をユーザに提供することが できる。」(段落【0043】) 「但し,本実施形態では,ユーザ端末101bが送信要求をアクセスポイント109bに送信するとき,ユーザの電話番号や郵便番号等の情報を同時に送信するよう通信用プログラムに予め設定しておいても良い。また,通信用プログラムを用いなくとも,予めプロバイダに登録したこれらの情報をアクセスポイント109bから自動的にWebサーバ119bに送信するよ うにしても良い。また,ユーザが接続先に接続する際にユーザの電話番号が自動的に接続先に通知される機能を用い,かつ該電話番号のインターネット115上への送信をユーザが予めプロバイダに許可しておくことによって,ユーザ端末101bからアクセスポイント109bに通知されたユーザの電話番号が,アクセスポイント109bからWebサーバ119bへ自動 5上への送信をユーザが予めプロバイダに許可しておくことによって,ユーザ端末101bからアクセスポイント109bに通知されたユーザの電話番号が,アクセスポイント109bからWebサーバ119bへ自動的 に送信されるようにしても良い。また,ユーザが手動により電話番号や郵便番号等の情報を送信するときは,他の区域の情報を送信することによりその区域の情報を得ることもできる。」(段落【0044】)カ発明の効果「上述のように,本発明のウェブ情報提供方法およびウェブ情報提供装置 によれば,アクセスポイントがユーザ端末に割り当てたIPアドレスおよびIPアドレス対地域データベース,またはユーザ端末がアクセスしたアクセスポイントの電話番号および電話番号対地域データベースを用いて地域を判別して,判別された地域に基づいて該地域に対応したウェブ情報を選択して,地域によって異なるウェブ情報をユーザ端末に送信するため,同一UR Lにおいてもユーザの発信地域ごとに異なるウェブ情報を送信することができる。」(段落【0045】)(2) 本件特許請求の範囲及び上記(1)の本件明細書等の記載によれば,本件各発明は,①ユーザがウェブデータの送信要求を発信した場合に当該発信をした地域(ユーザの発信地域)に関する情報を用いて同地域に対応する情報をユーザ に送信するウェブ情報提供方法(本件発明1)及びウェブ情報提供装置(本件 発明2)に関する発明であり,②ウェブページをどの地域から閲覧してもユーザ端末に同一の情報が表示されるウェブページ閲覧システムでは,ユーザの発信地域と無関係な広告や地域情報が表示されるが,これらの情報の利用価値は低く,ユーザの発信地域に関する情報を表示させるためには煩わしい選択操作を要するという従 ェブページ閲覧システムでは,ユーザの発信地域と無関係な広告や地域情報が表示されるが,これらの情報の利用価値は低く,ユーザの発信地域に関する情報を表示させるためには煩わしい選択操作を要するという従来技術の課題を解決することを目的として,③ユーザ端末に 接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,及びIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別し,判別した地域に対応したウェブ情報を選択して前記ユーザ端末に送信する方 法によって,④同一URLにおいてもユーザの発信地域ごとに異なるウェブ情報を送信することができるという効果を得る発明であると認められる。 2 争点1(被告方法等が「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別」しているか否か)について (1) 構成要件1B1等及び1B2等の「アクセスポイントに対応する地域」等の意義ア本件各発明の構成要件1B1及び2B1は「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応し たIPアドレス対地域データベースを用いて,」であり,構成要件1B2及び2B2は「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップと,」(ただし,構成要件2B2は「第1の判別ステップ」が「第1の判別手段」となっている。)である。 末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別ステップと,」(ただし,構成要件2B2は「第1の判別ステップ」が「第1の判別手段」となっている。)である。 ここにいう「アクセスポイントに対応する地域」等の意義について,原告 は,「IPアドレスを割り当てるISPが利用している物理的回線網の敷設範囲に相当する地域」をいうと主張するのに対し,被告は,これは「アクセスポイントの設置場所」を意味すると主張する。 イそこで,この点について検討するに,特許請求の範囲の請求項1及び6の記載によれば,アクセスポイントとは,そこに接続されたユーザ端末に,所 有するIPアドレスを割り当てるものと解すべきところ(構成要件1B1等及び1B2等),本件明細書等には,従来の技術として,「Webページ閲覧システム100を利用しようとする一般のユーザ,例えば東京のユーザは,ユーザ端末101aから…プロバイダの東京にあるアクセスポイント109aにダイヤルする。ユーザ端末101aが…アクセスポイント109aに 接続されると,アクセスポイント109aはユーザのログイン名,パスワード等の送信要求をユーザ端末101aに対して行い,ユーザ端末101aはこれに応じてログイン名,パスワード等の情報をアクセスポイント109aに送信する。」(段落【0004】),「ユーザ端末101aからアクセスポイント109aに送信されたログイン名,パスワードが正しく,かつユー ザ端末101aの通信環境設定がこのアクセスポイント109aにおいて利用可能なものであれば,ユーザ端末は101aはアクセスポイント109aのサーバ111aに接続され,アクセスポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの スポイント109aにおいて利用可能なものであれば,ユーザ端末は101aはアクセスポイント109aのサーバ111aに接続され,アクセスポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの中から一つのIPアドレスを選択してユーザ端末101aに割り当てる。…」(段落【0005】)と記載され, 上記各段落と同様の記載は,本件各発明の実施例に関する段落【0027】及び【0028】にもあることからすると,本件各発明における「アクセスポイント」は,複数のIPアドレスを所持し,そのうちの一つを接続され認証されたユーザ端末に対して割り当てる装置であると認められる。 その上で,本件明細書等の【図1】には,「アクセスポイント」が東京, 大宮,福岡といった地域ごとに存在し,各アクセスポイントにはそれが存在 する地域と同じ地域に所在するユーザ端末が接続されることが示されており,また,「IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベース」(段落【0034】)の例として示されている【図5】には,個別のIPアドレスに北海道札幌市,埼玉県大宮市,同県川口市,福岡県福岡市のうちの一つの地域がそれぞれ対応し,このうち,「202.224.36.35」~ 「202.224.36.37」までの連続した三つのIPアドレスはいずれも対応する地域が同一の県(埼玉県)であることが示されている。 以上によれば,本件各発明は,①各地域に存在するアクセスポイントが一定の地域範囲をカバーすること,②当該アクセスポイントは一定の範囲の連続するIPアドレスを所持していること,③アクセスポイントに接続するユ ーザ端末は,同端末が存在する地域と同一地域内にあるアクセスポイントに接続することが一般的であること,④アクセスポイントは, するIPアドレスを所持していること,③アクセスポイントに接続するユ ーザ端末は,同端末が存在する地域と同一地域内にあるアクセスポイントに接続することが一般的であること,④アクセスポイントは,接続されたユーザ端末に,所有するIPアドレスを一つ割り当てることを前提とした上で,これらを踏まえるとIPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」等を対応付けることが可能となることに着目し,「IPアドレスとアクセスポ イントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,ユーザの発信地域を判別する(段落【0045】)ものであると認められる。 そうすると,構成要件1B1等にいう「アクセスポイントに対応する地域」等とは,「IPアドレスを割り当てるアクセスポイントが利用している物理 的回線網等の敷設範囲に相当する地域」を意味するものと解される。 ウこれに対し,被告は,以下のとおり主張するが,いずれも理由がない。 (ア) 被告は,本件特許出願日当時の技術常識に基づけば,本件各発明はダイヤルアップ接続を前提とするものであるところ,ダイヤルアップ接続するユーザは,料金の多寡や繋ぎやすさを考慮して,遠隔地のアクセスポイン トに接続するような場合も相当数に上るため,「アクセスポイントに対応 する地域」等をアクセスポイントに接続するユーザのいる地域と解することはできないと主張する。 しかし,本件明細書等の【図1】において,「アクセスポイント」が東京,大宮,福岡といった地域ごとに存在し,各アクセスポイントにはそれが存在する地域と同じ地域に所在するユーザ端末が接続されることが示 されていることは前記判示のとおりであり,また,「知っておきたいソフトウエア特許活用事例」と題する文献(甲3 スポイントにはそれが存在する地域と同じ地域に所在するユーザ端末が接続されることが示 されていることは前記判示のとおりであり,また,「知っておきたいソフトウエア特許活用事例」と題する文献(甲3・7頁)にも,「ダイヤルアップ時代も今も,ほとんどのユーザは自宅と同じ市内にある(又はそれに準じる近所にある)アクセスポイントを経由するのが普通である」との記載が存在する。これによれば,ダイヤルアップ接続の場合においても,ユ ーザは,ユーザ端末の所在地の最寄りのアクセスポイントにアクセスすることが通常であると認められる。 したがって,ダイヤルアップ接続の場合に遠隔地のアクセスポイントに接続するユーザが相当数に上るとする被告の上記主張は理由がない。 (イ) 被告は,本件特許出願日当時の接続方法はダイヤルアップ接続であり, 原告のいうNTT東西の「地域IP網」が現れたのはその後であるから,原告の解釈は本件特許出願後の技術を本件特許の構成要件の解釈に読み込もうとするものであると主張する。 しかし,本件特許出願日当時におけるダイヤルアップ接続であろうと,NTT東西の設立後のIP網等であろうと,ユーザ端末が同端末の存在す る地域と同一地域内にあるアクセスポイントに接続し,当該アクセスポイントがその所持する一定の範囲のIPアドレスの一つを割り当てるという前提は同一であり,これにより,いずれの方式によっても,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」等とを対応付けることが可能となるのであるから,ダイヤルアップ接続であろうが常時接続であろうが変 わることなく本件各発明の技術思想は当てはまるというべきである。 したがって,本件特許の出願日後に設置されたNTT東西の「地域I ップ接続であろうが常時接続であろうが変 わることなく本件各発明の技術思想は当てはまるというべきである。 したがって,本件特許の出願日後に設置されたNTT東西の「地域IP網」等を利用した装置又は方法が本件各発明の技術的範囲に入らないとの被告の上記主張は理由がない。 (ウ) 被告は,原告が,出願経過中の本件補正(甲12の13・14)により,「IPアドレスと地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を 「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」と限定したと主張する。 しかし,本件補正に係る意見書(甲12の14)によれば,原告は,ユーザの発信地域とアクセスポイントに対応する地域等が同一であることを前提としつつも,「ユーザの発信地域は,ユーザ端末101aがアクセ スポイント109aに接続されているため,正確にはアクセスポイント109aに対応する地域であること」(同2頁)等を考慮し,「地域」という文言を「アクセスポイントに対応する地域」に補正したものと認められる。 このように,本件補正は特許請求の範囲の文言の意味を明確化するもの にすぎないというべきであり,本件補正は判別される地域を限定したものであるとの被告の上記主張は理由がない。 (エ) 被告は,本件拒絶査定不服審判の審判請求書(甲12の16)における乙1文献に関する記載を根拠として,原告は,「IPアドレスと地理的情報とが対応付けされたデータベース」と,本件各発明における「IPアド レスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」とは異なり,また,本件各発明には●省略●を明らかにしていたと主張する。 各発明における「IPアド レスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」とは異なり,また,本件各発明には●省略●を明らかにしていたと主張する。 しかし,原告は,上記の審判請求書において,乙1文献の開示内容を説明した上で,乙1文献の説明するGLI(GeographicalLocation Information)システムにあっては,●省略●を説明しているにすぎず,同 審判請求書の記載から被告の主張するような解釈を読み取ることはできない。 また,●省略●の説明をしているにすぎず,いずれにしても,●省略●本件各発明のおける「アクセスポイントに対応する地域」等の意義を左右しない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 (オ) 被告は,原告が本件無効審判において,「アクセスポイントに対応する地域」等が「アクセスポイントの設置場所」である旨を主張していたと主張する。 この点,確かに,本件無効審判において原告が特許庁に提出した審判事 件答弁書(甲15)には,「IPアドレスとアクセスポイント及びその設置場所が記載されたIPアドレス対地域データベース」(19頁),「本件特許請求項1によって判別する地理的な位置情報は,「ユーザ端末が接続するアクセスポイントの地理的な位置情報」である」(34頁)との記載があり,同じく原告が特許庁に提出した口頭審理陳述要領書(甲17の 2)には,「請求項1の「データベース」であるIPアドレス対地域データベースが,アクセスポイントの所在地とIPアドレスとの対応関係が記載されたものを意味するものであり」(5頁)との記載がある。 しかし,本件各発明は,IPアドレスと「アクセ ス対地域データベースが,アクセスポイントの所在地とIPアドレスとの対応関係が記載されたものを意味するものであり」(5頁)との記載がある。 しかし,本件各発明は,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」等とを対応させるものであり,アクセスポイントが設置された特定 の地点自体は何ら意味を持たないところ,上記審判事件答弁書(甲15)の別の箇所には,「当該ユーザ端末のIPアドレスがどのアクセスポイントにより割り当てられたものであるかを知ることができれば,当該ユーザ端末がどのアクセスポイントのサービス対象地域に現在しているかを把握することができる…本件特許の発明者は,ユーザ端末に割り当てられた IPアドレスとアクセスポイントの関連性に着目したのである」(23頁), 「本件特許の発明者の気付きにより,IPアドレスとアクセスポイント及びそのサービス対象地域の対応関係を記録したデータベース(IPアドレス対地域データベース)が,ISPへのヒアリング等により作成されるようになった」(24頁)との記載があり,同様に,上記口頭審理陳述要領書(甲17の2)の別の箇所には,「本件特許発明は,ある地域の利用者 が,最寄のアクセスポイントに接続しIPアドレスを付与されることにより,そのIPアドレスから当該最寄のアクセスポイントが属する地域が分かることに着眼したものです」(3頁)との記載がある。 こうした記載に照らすと,被告の指摘する「アクセスポイントの設置場所」等の記載の意味は,「アクセスポイントのサービス対象地域」,すな わち「IPアドレスを割り当てるアクセスポイントが利用している物理的回線網等の敷設範囲に相当する地域」を意味するものと解するのが合理的である。 したがって,被告の指摘する上 象地域」,すな わち「IPアドレスを割り当てるアクセスポイントが利用している物理的回線網等の敷設範囲に相当する地域」を意味するものと解するのが合理的である。 したがって,被告の指摘する上記記載部分をもって,本件各発明の「アクセスポイント対応する地域」等が「アクセスポイントの設置場所」を意 味すると解することはできない。 エ以上によれば,構成要件1B1等にいう「アクセスポイントに対応する地域」等とは,「IPアドレスを割り当てるアクセスポイントが利用している物理的回線網等の敷設範囲に相当する地域」を意味するものというべきである。 (2) 被告方法等の構成被告は,構成要件1B1等及び1B2等に対応する被告方法等の構成につき,「ユーザPC等からインターネットへの接続要求があったときに,当該ユーザPC等に割り当てられたIPアドレス,及び,●省略●を用い,」(構成1b1’,2b1’ 〔以下,併せて「構成1b1’等」という。〕),「前記ユー ザPC等に割り当てられたIPアドレスから,●省略●に照らして関連地域を 判別する第1の判別ステップと,」(構成1b2’,2b2’ 〔以下,併せて「構成1b2’等」という。〕。ただし,構成2b2’は「第1の判別ステップ」の代わりに「第1の判別手段」とする。)であると主張する。 この点,原告も,被告が被告方法等において●省略●について特に争っていないから,構成要件1B1等及び1B2等に対応する被告方法等の構成は,上 記被告主張のとおりと認めるのが相当である。 (3) 被告方法等の構成1b1’等及び2b1’等の構成要件充足性ア被告は,●省略●によれば,その具体的なプロセスは,以下のとおりであると認められる。 すなわち,被 る。 (3) 被告方法等の構成1b1’等及び2b1’等の構成要件充足性ア被告は,●省略●によれば,その具体的なプロセスは,以下のとおりであると認められる。 すなわち,被告方法等においては,●省略●ものと認められる。 イ被告は,被告方法等について,●省略●IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが一対一で対応するデータベースを用いてアクセスポイントに対応する地域等を判別するものではないので,構成要件1B1等及び1B2等を充足しないと主張する。 しかし,前記のとおり,被告は,●省略●が認められる。IPアドレスは, 郵便番号や電話番号の市外局番と異なり,その番号自体が地域と直接示すものではないことに照らすと,●省略●IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」等とを対応付けることが可能であり,更に,ユーザ端末は,同端末が存在する地域と同一地域内にあるアクセスポイントに接続することが一般的であることから,アクセスポイントに対応する地域からユーザの 発信地域を推定することが可能となるという本件各発明と同様の技術思想を利用しているからであると推認するのが相当である。 そうすると,●省略●構成要件1B1等の「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」に該当し,被告方法等は,これを用いて「前記ユーザ端末に割り当てられたIPア ドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する…ステップ」 (構成要件1B2等)を備えていると認めるのが相当である。 ウ被告方法等がアクセスポイントに対応する地域を判別していることは,ユーザ端末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による地域判定の結果を対比した調 等)を備えていると認めるのが相当である。 ウ被告方法等がアクセスポイントに対応する地域を判別していることは,ユーザ端末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による地域判定の結果を対比した調査報告書(甲52)からも裏付けられる。 (ア) すなわち,同調査報告書の別紙は,NTT東日本が提供するインターネ ット接続回線を利用し,複数の地点から無線Wi-Fiを使ってYahoo! JAPANのウェブサイトを閲覧し,天気予報等に表示される地域を確認するとともに,当該接続に利用したIPアドレス及び当該IPアドレスを割り当てたISPの情報を入手し,IPアドレスごとにユーザ端末の置かれた位置の都道府県と被告方法等による判定結果を比較したものであるが,そ の結果によれば,そこに掲げられた41個のIPアドレスについて,5個を除き,いずれもその判定が一致したとの事実が認められる。 IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定する場合には,ISPがアクセスポイントに割り当てたIPアドレス対地域の対照 表に基づかない限り,推定による一定の誤差が生じることは避け難いと考えられるところ,上記の調査結果は,被告方法等がアクセスポイントに対応する地域を判別していることを十分に推認させるものということができる。 (イ) また,甲52の調査報告の対象であるIPアドレス41件について,原 告が, Geolocation社が提供する「どこどこJP」を利用し,被告サイトの判定地域と「どこどこJP」の判定地域を対比した結果(甲73の別紙1)によると,●省略●IPアドレスからそのアクセスポイントに対応する地域を判別するという方法を用いていることが推認される。 エさらに, 域と「どこどこJP」の判定地域を対比した結果(甲73の別紙1)によると,●省略●IPアドレスからそのアクセスポイントに対応する地域を判別するという方法を用いていることが推認される。 エさらに,被告の主張によれば,●省略●原告の行った調査(甲56,57) によれば,兵庫県尼崎市及び同県伊丹市の複数の地点からインターネット接 続回線を通じてYahoo! JAPANのウェブサイトを閲覧し,天気予報等に表示される地域を確認したところ,その関連地域は,いずれも,「大阪府」と判定され,上記IP網の地域と一致したとの事実が認められる。 このように兵庫県にあるユーザ端末の所在地が「大阪府」と判別されるのは,兵庫県尼崎市及び同県伊丹市からのインターネット通信についての地域 IP網は,兵庫県ではなく大阪府の網終端装置に集約され,同各市にあるユーザ端末からインターネットに接続した場合,当該端末には大阪府のISPサーバからIPアドレスが割り振られること(甲55)によるものと考えられる。そうすると,上記調査結果は,被告方法等において,アクセスポイントに対応した地域が関連地域と判別されていることを裏付けるものという ことができる。 これに対し,被告は,●省略●被告方法等がIPアドレス対地域データベースを利用して「アクセスポイントに対応する地域」等を判定しているとの上記認定を覆すに足りるものではない。 オ被告は,本件特許の特許請求の範囲の請求項2等及び同3等との対比にお いて,本件各発明に係るIPアドレス対地域データベースは,●省略●と主張する。 しかし,被告の主張は,「IPアドレス対地域データベース」の●省略●を混同するものであり,本件明細書等には,当該データベースを●省略●の記載は存在しない。 は,●省略●と主張する。 しかし,被告の主張は,「IPアドレス対地域データベース」の●省略●を混同するものであり,本件明細書等には,当該データベースを●省略●の記載は存在しない。 前記判示のとおり,●省略●前記判示のとおり,「IPアドレス対地域データベース」に該当するものであって,●省略●というべきである。 カ被告は,乙2の別紙2を根拠として,被告方法等においては,●省略●点で本件各発明と異なると主張する。 (ア) しかし,証拠(甲73,74の1)によれば,乙2の別紙2に記載の● 省略●IPアドレスは,ソフトバンクがスマートフォンなどのモバイル端 末からのインターネット接続(いわゆる4G接続ないし3G接続)のために割り当てるIPアドレスであると認められる。 モバイル端末が4G接続又は3G接続によりインターネットに接続する場合,携帯電話キャリアごとにIPアドレスを付与するゲートウェイサーバ(インターネットに通じる出入口に設置されるサーバ)は全国で1か 所ないし数か所に集約されていて,各地域に局在していないことから,モバイル端末の場合にはIPアドレスからアクセスポイントに対応する地域を判別することはできない(甲73)。 したがって,乙2の別紙2をもって,被告方法等がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることを否定す ることはできない。 (イ) 被告は,上記のとおり,被告方法等において●省略●をもって,被告方法が構成要件1B1等を充足することを否定する根拠とするが,被告方法等において,●省略●被告方法がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることと矛盾するものではない。 また,被告方法等において,●省略 拠とするが,被告方法等において,●省略●被告方法がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることと矛盾するものではない。 また,被告方法等において,●省略●経験則を前提とするものと考えられる。 そうすると,上記の●省略●被告方法がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることと矛盾するものではないというべきである。 キ被告は,原告が提出する調査報告書(甲52)の●省略●しかし,「どこどこJP」を利用して甲52に挙げられたIPアドレスについて●省略●との被告の上記主張は採用し得ず,被告方法等により●省略●は,被告方法等がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることを否定する根拠となるものではない。 ク被告は,原告が証拠として提出したデータベース(甲73の表1)に掲げ られた●省略●であると考えるのが合理的である。 したがって,乙5についても,被告方法等がIPアドレス対地域データベースを利用してユーザ端末の地域を判定していることを否定する根拠となるものではないというべきである。 (4) 以上によれば,被告方法は本件発明1の,被告装置は本件発明2の技術的範 囲にそれぞれ属するものというべきである。 3 争点2-1(甲14の1文献に基づく新規性又は進歩性の欠如)について被告は,本件各発明は,本件特許出願日前の刊行物である甲14の1文献に記載された甲14の1発明と同一であることから新規性を欠き,仮に新規性を有するとしても,当業者は同発明に乙1発明を適用することにより容易に想到し得た ものであるから進歩性を欠くので,特許無効審判により無効にされるべきものであると主張するの 性を欠き,仮に新規性を有するとしても,当業者は同発明に乙1発明を適用することにより容易に想到し得た ものであるから進歩性を欠くので,特許無効審判により無効にされるべきものであると主張するので,以下検討する。 (1) 甲14の1発明の内容ア証拠(甲14の1,甲19)によれば,「ワールドワイドウェブトラフィックのリアルタイムの地理的な視覚化」と題する甲14の1文献には,以下 の事項が記載されている(なお,以下の記載の訳文は,原則として,無効審判(甲19)における翻訳を使用し,無効審判に記載のない部分については甲14の1の訳文を使用している。)。 (ア) 過去数年において,インターネットのプロフィールは,・・・個人,政府機関,および企業を繋ぐバックボーンへと変化した。この変化の多くが, ワールドワイドウェブ(WWW)の開発…WWWの爆発的な発展…商業的なWWWブラウザの開発にさかのぼる。(原文2頁2~7行)(イ) WWWの性能分析をサポートするために,我々は,リアルタイム性能データの分析と表示を行うために設計された仮想現実システムであるアバター(Avatar)を拡張して,WWWトラフィックの分析に適用した。アバ ターのある変形例は,WWWサーバアクセスを,地球の様々な投影図上に おけるそれらの地理的な起点へマッピング(写像)することによって,WWWサーバアクセスのリアルタイム表示をサポートする。(原文2頁20~23行)(ウ) 全てのWWWサーバは,NCSA(全米スーパーコンピュータアプリケーションセンター)のハイパーテキスト転送プロトコルデーモン(htt pd)を実行する。その結果,このデーモンの各コピーは,4つのログ(文書アクセス,エージェント,エラ パーコンピュータアプリケーションセンター)のハイパーテキスト転送プロトコルデーモン(htt pd)を実行する。その結果,このデーモンの各コピーは,4つのログ(文書アクセス,エージェント,エラー,そしてリファラ)を保持し,これらは,関連するワークステーションサーバのローカルディスク上に書き込まれる。我々は,文書アクセスログに注目し,それらは最も興味深いのであるが,なぜなら,それらは各要求の特徴を記録するからである。(原文3 頁19~22行)(エ) アクセスログの各項目は7つのフィールドで構成され,要求クライアントのIPアドレス,要求時刻,要求された文書名,そして,要求に応答して送信されたバイト数を含む。(原文3頁27~29行)(オ) IPアドレスは追加的な情報を提供する。IPアドレスをドメイン名へ 変換することにより,ドメイン名の要素を,そして時には要求者の位置を,決定することが可能となる。合衆国内において,一般的なドメイン名拡張子は,教育(edu),商用(com),政府(gov),及びその他(us)を含む。合衆国外において,国々は,典型的にはISO3166(1993)による2文字国コード,またはネットワーク(net)拡張子を 用いる。これら2文字の国コードを利用することによって,要求の起点としての国を特定することができる。後に分かるように,IPアドレスとドメイン名は,要求を特定の緯度及び経度に写像することを含む,より精細な地理的識別に向けた出発点である。(原文4頁4~10行)(カ) WWWブラウザのユーザとは異なり,WWWサーバを運営する人々は, アクセスパターンの地理的な広がりを理解することに,ますます関心を高 めている。ディジタルキャッシュがWWWを経由し WWブラウザのユーザとは異なり,WWWサーバを運営する人々は, アクセスパターンの地理的な広がりを理解することに,ますます関心を高 めている。ディジタルキャッシュがWWWを経由した電子商取引を実用化したように,製品の提供者は,アクセスパターンを解析することによって,大型小売店組織が現在POS情報を解析して得ているよりも大いに,競争的優位性を得ることが可能となる。例えば,その国(または世界)のどの部分が,オンラインカタログから最も頻繁に特定の商品を購入しているか を理解することは,主要な優位点であり,到来したIPアドレスの地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させることができる。同様に,要求者の人口比率に関するデータと,このデータと地理的情報システムとの相関関係は,製品情報の選択されたターゲティングを可能とするであろう。最後に,商 用インターネットサービスプロバイダ(ISP)は,選択された地域に新しいサービスを追加するために,ユーザのアクセスパターンの知識を利用することができる。(原文4頁27~36行)(キ) 時間的及び地理的なWWWサーバアクセスのパターンを理解するために,我々はIPアドレスを緯度及び経度へ写像するための経験則のセット を開発した。これらの経験則は,ドメイン名とInterNICのwhoisデータベースに依存している。whoisデータベースは,ドメイン,ホスト,ネットワーク,そして他のインターネット管理者に関する情報を含んでいる。この情報は,常時ではないが通常,郵便アドレスを含む。 IPアドレスを地理的位置へ写像するために,我々はまずドメイン名を 決定する。合衆国外の位置について,ドメイン名の接尾語 いる。この情報は,常時ではないが通常,郵便アドレスを含む。 IPアドレスを地理的位置へ写像するために,我々はまずドメイン名を 決定する。合衆国外の位置について,ドメイン名の接尾語は典型的に国名の略記号である。これらの場合,我々はその要求を当該国の首都に写像する。他の全ての場合は,我々はwhoisデータベースに問い合わせ,そのIPアドレスに関連付けられたテキストデータを取得する。その後我々は,このデータから都市及び国の名を検索する。もし都市又は国の名前が 見つかると,我々は都市と国の名前のローカルデータベースから,緯度及 び経度を取得する。 whoisデータベースへの問合せは高価であり,所望のデータを取得するためにしばしば2回以上の問合せを要するから,我々は,繰り返しの不要なwhois問合せを避けるべく,以前に照合したIPアドレスの緯度及び経度を保存する。もしwhois問合せが都市名も国名も含まない 情報を返すならば,我々は,更に効果的でない問合せを行わないために,そのIPアドレスを記録する。オフラインで,多数のこうした失敗問合せを特定し,データベース内で修正することができる。 我々の現在のデータベース(3万5000以上の項目)を用いると,NCSAWWWサーバへの全要求のおよそ95%は,ローカルデータのみ を使用して緯度及び経度へ対応付けることができ,4.5%は緯度及び経度を決定することができず,残る0.5%が遠隔のwhoisデータベースから発見されなければならない。我々のデータベースが拡張し続けるにつれて,要求の未解決部分は,減少し続ける。 我々の高い成功率にも関わらず,ネットワークファイアウォールと全国 的オンラインサービスが,緯度と経度 々のデータベースが拡張し続けるにつれて,要求の未解決部分は,減少し続ける。 我々の高い成功率にも関わらず,ネットワークファイアウォールと全国 的オンラインサービスが,緯度と経度の正確さを制限する。例えば,アメリカオンライン(AOL)のユーザは,カリフォルニア州アーバインからモデムを介して接続し,NCSAのWhat'sNewページにアクセスするかもしれない。その人のIPアドレス(aol.com)はその位置としてヴァージニア州ヴィエンナをもたらすであろう。なぜならそれこ そAOL本社の場所だからである。単一のインターネット接続点を保有し,地理的に広がった大規模な会社について同様の問題が生じる。幸運にも,そのようなケースは名前により識別可能であって,時折,ドメイン名を分解することによって解析されうる(例えば,intgate.raleigh.ibm.comはノースカロライナ州ラレーにあるIBMの場所と して容易に特定される。)。(原文4頁38行~5頁20行) (ク) 第3に,変更可能な解像度に関連して,我々は,合衆国の外部について,より精細な写像識別を作成したいと考えている。今日まで,我々は,合衆国の場所を起点としての都市に,カナダの場所をその州都に,その他の場所をそれらの国の首都に,それぞれ写像してきた。whois問合せは時折合衆国外の都市名を返し,緯度及び経度の情報を有する全世界都市デー タベースが欠如しているために,我々はそれらの都市を地球上に位置付けることができない。そのようなデータベースは存在はするものの,おおかた公衆が容易に利用できるものではない。我々は,新しいデータベースを取り込むことにより,地球表示の写像能力を高めることを計画している。 現在我々は,カナダと英国向け タベースは存在はするものの,おおかた公衆が容易に利用できるものではない。我々は,新しいデータベースを取り込むことにより,地球表示の写像能力を高めることを計画している。 現在我々は,カナダと英国向けにそのようなデータベースを追加している 段階である。(原文11頁28~34行)イ以上によれば,甲14の1文献に記載された甲14の1発明の内容は,以下のとおりと認められる。 「WWWサーバに到来した要求クライアントのIPアドレスを,WWWサーバアクセスの起点としての緯度及び経度からなる地理的位置へマッピン グ(写像)し,地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させる方法において,WWWサーバは,ハイパーテキスト転送プロトコルデーモン(httpd)を実行して,文書アクセスログを保持し,アクセスログの項目は,要求クライアントのIPアドレスのフィールドを含んで構成され, 要求クライアントのIPアドレスから地理的位置への写像は,まずドメイン名を決定し,ドメイン名の接尾語が国名の略記号である場合,そのIPアドレスを当該国の首都に写像し,他の全ての場合,whoisデータベースに問い合わせ,そのIPアドレスに関連付けられたテキストデータを取得し,このテキストデータから都市及び国の名を検索し, 都市又は国の名前が見つかると,都市と国の名前のローカルデータベースか ら,緯度及び経度を取得することにより行われ,不要なwhois問合せを避けるべく,以前に照合したIPアドレスの緯度及び経度を保存し,オフラインで,失敗した問合せを特定し,ローカルデータベース内で修正することができ,ローカルデータベ 要なwhois問合せを避けるべく,以前に照合したIPアドレスの緯度及び経度を保存し,オフラインで,失敗した問合せを特定し,ローカルデータベース内で修正することができ,ローカルデータベースを用いると,WWWサーバへの全要求のおよそ9 5%は,ローカルデータのみを使用して,要求クライアントのIPアドレスを緯度及び経度へ対応付けることができ,全国的オンラインサービスのユーザのIPアドレスについては,緯度及び経度の正確さが制限されるものの,時折,ドメイン名を分解することによって解析され得る,方法。」 (2) 本件各発明(特に本件発明1)と甲14の1発明との対比ア構成の対比(ア) 甲14の1発明の「要求クライアント」は本件各発明の「ユーザ端末」に当たり,WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)とはインターネットで用いられる情報検索システム及びクライアント・サーバ・システムの一つで ある(乙4)から,甲14の1発明の「WWWサーバの応答」は,通信ネットワークを介したユーザ端末へのウェブ情報の提供に相当する。 (イ) 「IPアドレス」は,NIC(NetworkInformationCenter)が一元管理しており,一定の組織や通信装置等から割り当てられるものである(甲4,甲16の5の1)から,甲14の1発明の「要求クライアントのIP アドレス」は,本件各発明(構成要件1B1等)の「ユーザ端末に割り当てた」「IPアドレス」に当たるということができる。 (ウ) 甲14の1発明の「ローカルデータベース」は,要求クライアント(ユーザ端末)のIPアドレスを緯度及び経度からなる地理的位置に写像するための,IPアドレスをwhoisデータベースに問い合わせるなどして 得ら の「ローカルデータベース」は,要求クライアント(ユーザ端末)のIPアドレスを緯度及び経度からなる地理的位置に写像するための,IPアドレスをwhoisデータベースに問い合わせるなどして 得られた都市又は国の緯度及び経度という地理的位置と,IPアドレスと を対応させたデータベースであるから,「IPアドレスと地理的位置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベース」ということができる。 ここで,甲14の1発明の「地理的位置」は,緯度及び経度からなるものであるから,緯度及び経度により特定される一地点を指すものと解される。 (エ) 甲14の1発明において,要求クライアント(ユーザ端末)のIPアド レスを,ローカルデータベースを用いて,緯度及び経度からなる地理的位置へ写像することは,本件各発明との対比では,「IPアドレス,およびIPアドレスとユーザ端末に割り当てられた地理的位置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベースを用いて」「ユーザ端末に割り当てられたIPアドレス」と関連を有する地理的位置「を判別する」ことに相 当する。 (オ) そして,甲14の1発明において,ローカルデータベースの「ローカルデータのみを使用して,要求クライアントのIPアドレスを緯度及び経度へ対応付ける」ことによって,「地理的位置が与えられると,特定の製品タイプをハイライトすることによって,WWWサーバの応答を適合させる」 ことは,ユーザ端末のIPアドレスに関連する地理的位置を判別し,判別された地理的位置に基づいて,該地理的位置に対応した特定の製品タイプをハイライトしたウェブ情報を,ユーザ端末に送信することを意味するものと解されるから,本件各発明との対比では,「前記判別された」地理的位置「に基づいて」,該地理的位置 位置に対応した特定の製品タイプをハイライトしたウェブ情報を,ユーザ端末に送信することを意味するものと解されるから,本件各発明との対比では,「前記判別された」地理的位置「に基づいて」,該地理的位置「に対応したウェブ情報を選択」し, 「前記選択したウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する」ことに相当する。 (カ) 甲14の1発明は,上記のとおり,ウェブ情報をユーザ端末に送信する方法,すなわち,「ウェブ情報提供方法」に関するものであるということができる。 イ一致点 上記アによれば,本件発明1と甲14の1発明の一致点は,以下のとおりであると認められる。 「通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,該ユーザ端末に割り当てたIPアドレス,およびIPアドレスと地理的位 置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスに関連する地理的位置を判別する第1の判別ステップと,前記判別された地理的位置に基づいて,該地理的位置に対応したウェブ応報を選択する第1の選択ステップと, 前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。」ウ相違点上記アによれば,本件発明1と甲14の1発明の相違点は,以下のとおり であると認められる。 「第1の判別ステップと,第1の選択ステップと,送信ステップにつき,本件発明1では,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレ であると認められる。 「第1の判別ステップと,第1の選択ステップと,送信ステップにつき,本件発明1では,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,前記ユーザ端末に割り当てられた「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域」を判 別し,前記判別された「地域」に基づいて,「該地域」に対応したウェブ情報を選択し,前記選択されたウェブ情報を送信するのに対し,甲14の1発明では,IPアドレスと「地理的位置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベース」を用いて,前記ユーザ端末に割り当てられた「IPアドレスに関連する地理的位置」を判別し,前記判別された「地理的位置」に基づ いて,「該地理的位置」に対応したウェブ情報を選択し,前記選択されたウ ェブ情報を送信する点」エ一致点及び相違点の認定について(ア) 本件発明1は,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を用いて,前記ユーザ端末に割り当てられた「IPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域」 を判別するものである。 これに対し,甲14の1発明は,ドメイン名の接尾語が国名の略記号であることや,whoisデータベースが,ドメイン,ホスト,ネットワーク,郵便アドレスその他のインターネット管理者に関する情報を含んでいることに着目し,IPアドレスをドメイン登録者の住所等の緯度及び経度 と関連付けるものであり,甲14の1文献には「アクセスポイント」という用語すら用いられておらず,「IPアドレス」と「アクセスポイントに対応する地域」を対応付けるとの技術思想も現れていない。 また,本件発明1と甲14の1発明 14の1文献には「アクセスポイント」という用語すら用いられておらず,「IPアドレス」と「アクセスポイントに対応する地域」を対応付けるとの技術思想も現れていない。 また,本件発明1と甲14の1発明は,本件発明1において判別されるのが一定の広がりを持った「地域」であるのに対し,甲14の1発明の「地 理的位置」が緯度及び経度により特定される一地点を指すものと解される点においても異なっている。 そうすると,本件発明1の上記データベースと,甲14の1発明の「IPアドレスと地理的位置とが対応したIPアドレス対地理的位置データベース」とは実質的に相違するというべきである。 (イ) これに対し,被告は,甲14の1発明にあっても,クライアント(ユーザ)は,その国の首都や住所地からアクセスポイントを介してインターネットに接続するから,同発明の「地理的位置」(緯度及び経度)は,「アクセスポイントに対応する地域」等に相当すると主張する。 しかし,甲14の1発明における地理的位置は,IPアドレスに基づき 取得されるドメイン名やwhoisデータの情報に基づいて得られる都 市や国の緯度及び経度と対応付けるものであって,「IPアドレスを割り当てるアクセスポイントが利用している物理的回線網等の敷設範囲に相当する地域」である「アクセスポイントに対応する地域」等と「IPアドレス」を対応付けるものではないことから,甲14の1発明の「地理的位置」が「アクセスポイントに対応する地域」等に相当するということがで きないことは,前記判示のとおりである。 オ新規性欠如の主張についてしたがって,本件発明1と甲14の1発明が同一の発明であるとは認められず,本件発明2と甲14の1発明が同一の発明であるともいうことができないの おりである。 オ新規性欠如の主張についてしたがって,本件発明1と甲14の1発明が同一の発明であるとは認められず,本件発明2と甲14の1発明が同一の発明であるともいうことができないので,本件各発明が新規性を欠くとの被告の主張は理由がない。 (3) 進歩性の有無についてア乙1文献の記載内容証拠(乙1)によれば,乙1文献には,以下の内容が記載されていると認められる(なお,明らかな誤字は修正している。)(ア) 「インターネットという仮想的な空間と現実の空間を結びつけるには, インターネット上のオブジェクトと現実世界のエンティティを対応付けることが必要となる。我々は,現実世界のエンティティとその地理的な位置との関係を定義し,インターネット上の識別子と現実世界のエンティティの地理的位置情報を対応付ける,GeographicalLocationInformation(GLI)Systemを提案している。現在,GLISystemのプロトタイプを設計・ 実装したものが稼働している。本プロトタイプでは,インターネット上の識別子としてIPアドレスを使用している。そのシステムでは,物理的な位置に基づいてエンティティの識別子を検索し,エンティティの識別子に基づいて位置を検索することができる。したがってユーザは,現実世界のさまざまなエンティティをインターネットを通じて検索し,リアルタイム に指定したエンティティの最新の位置情報を獲得することが可能になる。」 (37頁5~13行)(イ) 「GLISystemの目標は,地理的位置情報を導入することによって現実世界のエンティティに対してインターネットを通じてアクセスが可能となることである。そこで,インターネット (イ) 「GLISystemの目標は,地理的位置情報を導入することによって現実世界のエンティティに対してインターネットを通じてアクセスが可能となることである。そこで,インターネット上の識別子を地理的位置情報と対応付ける必要がある。」(38頁左欄下から7~3行) (ウ) 「特にエンティティの地球上での絶対的な位置を特定するためには,緯度経度高度…などの座標系が重要である。…日常生活においては人々は与えられた位置や階層的にあるいは伝統的に分類された領域(例:国,州,県,市,通りなど)を名前で表すといった,より簡単な表現方法を使用する。」(38頁右欄9~19行) (エ) 「地球上のエンティティには固定されているものもあれば,動的に位置が変化するものもある。」(38頁右欄31~32行)(オ) 「2.2 位置情報の管理エンティティを指定してその地理的位置情報を検索したり,または位置を指定してエンティティを探すためには,そのようなエンティティの情報を収集してデータベースで管理することが 必要である。」(39頁右欄8~12行)(カ) 「3.1 設計 GLIプロトタイプシステムでは,ホストの位置情報を管理する。本システムを通じてアクセス可能なエンティティはホストであり,IPアドレスがエンティティの識別子として使用される。従って,本システムではホストのGLIとIPアドレスとの対応付けを提供する。その ような対応付けの結果として,ユーザは次のような問い合わせを行なうことができる。 ・WIT:WhoIsThere? 地理的位置に基づくエンティティ識別子の検索・WAY:WhereAreYou? エ ・WIT:WhoIsThere? 地理的位置に基づくエンティティ識別子の検索・WAY:WhereAreYou? エンティティの識別子(IPアドレス)に基づく地理的位置の検索」 (40頁左欄下から3行~右欄10行)(キ) 「GLI パラメタ本件プロトタイプで使用される基本的なGLIパラメータはlocation,velocity,timeからなる。Locationは緯度経度高度の座標で表される。」(40頁右欄11~14行)(ク) 「エージェントエージェントは各々のエンティティで動作し,GLIを 集め,サーバに登録する。」(40頁右欄下から5~3行)(ケ) 「サーバサーバはエージェントから送信されたGLIをデータベースに管理し,クライアントからの問い合わせ要求を受け取り,その結果をそのクライアントに送信する。エージェントから送信されたデータはサーバのデータベース上に管理される。…サーバで管理されるそれぞれのエントリ には4つのフィールドがある。第1のフィールドはIPアドレスで,本プロトタイプではエンティティの識別子として使用される。第2,3のフィールドはGLIである。一つは最新のGLI,もう一つは前取得のGLIである。過去2段階のGLIの値を保持することで,エンティティの移動状況を把握することができる。二つの値の差分から移動の間の速度や進行方向を計算し て求めることができる。エージェントが何らかの事由によって長い間隔で更新情報を送らなかった場合に,過去2段階のGLIから現在地を推測可能である。」(41頁左欄1~22行)(コ) 「クライアントクライアントはユーザとGLISystemと って長い間隔で更新情報を送らなかった場合に,過去2段階のGLIから現在地を推測可能である。」(41頁左欄1~22行)(コ) 「クライアントクライアントはユーザとGLISystemとの間にインターフェースを提供する。クライアントはユーザからの問い合わせ要求(WA Y,WIT)をサーバに送信し,その返事をユーザに返す。」(41頁左欄23~27行)(サ) 「3.2 実装ハードウェアアーキテクチャ本稿でのプロトタイプ実装では,地理的位置情報を取得する装置として,GlobalPositioningSystem(GPS)を使用している」(41頁左欄31~35行) イ検討 (ア) 上記アによれば,乙1文献には,現実世界のエンティティ(人,自動車,家など)をインターネット上で識別するため,エージェントを介して,GPS位置情報等を使用するなどしてエンティティの地理的位置情報を収集し,これをデータベースに登録することにより,インターネット上の識別子であるIPアドレスとエンティティの地理的位置情報と対応付ける システムが開示されているものと認められるが,同文献には,「アクセスポイントに対応する地域」等をIPアドレスと対応付けることや,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」を作成することによりエンティティの位置を判別することについては,開示も示唆もされていない。 そうすると,甲14の1発明に乙1発明を組み合わせたとしても,相違点に係る構成を備えることにはならないので,当業者が相違点に係る構成を容易に想到し得たとの被告の主張は理由がない。 (イ) これに対し,被告は,ユーザはダイヤルアップ接続等 たとしても,相違点に係る構成を備えることにはならないので,当業者が相違点に係る構成を容易に想到し得たとの被告の主張は理由がない。 (イ) これに対し,被告は,ユーザはダイヤルアップ接続等によりアクセスポイントに接続し,そのアクセスポイントが保有するIPアドレスが付与さ れるので,乙1文献に記載のデータベースには,アクセスポイントから付与された「IPアドレス」と,「そのアクセスポイントに接続したエンティティのGPSによる地理的位置情報」とが対応して登録されていることとなるが,原告の主張によれば,アクセスポイントに接続したエンティティの地域が「アクセスポイントに対応する地域」等になるというのである から,結局のところ,乙1文献には,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」の発明が開示されているということができると主張する。 しかし,乙1発明における地理的位置情報は,GPSを使用するなどしてエンティティの位置を直接特定するものであって,本件各発明のように, 一定の範囲をカバーするアクセスポイントが一塊の連続するIPアドレ スを所持していることに着想し,IPアドレスと「アクセスポイントに対応する地域」等を対応付けることにより地域を判別するものではないので,乙1文献に「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」の発明が開示されているということはできない。 ウしたがって,上記相違点に係る構成は,甲14の1発明に乙1発明を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであるということはできないので,本件各発明が進歩性を欠くとの被告の主張は理由がない。 4 争点2-2(サポート要件違 は,甲14の1発明に乙1発明を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであるということはできないので,本件各発明が進歩性を欠くとの被告の主張は理由がない。 4 争点2-2(サポート要件違反,実施可能要件違反又は補正要件違反)について (1) サポート要件違反について被告は,本件明細書等には「アクセスポイントに対応する地域」等(構成要件1B1等及び1B2等)が記載されていないから,本件特許はサポート要件に違反する特許出願に対しされたものであると主張する。 アそこで検討するに,特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適 合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識でき る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(知財高裁平成17年(行ケ)10042号同年11月11日判決・判タ1192号164頁参照)。 イ本件明細書等の発明の詳細な説明の段落【0004】及び【0027】には,「一般のユーザ,例えば東京のユーザは,ユーザ端末101aから通信 ソフトと呼ばれる通信用プログラムを用いてプロバイダのアクセスポイン ト109aにダイヤルする」と記載され,【図7】及び【図1】には,東京のユーザが東京のアクセスポイントに接続し,大宮のユーザが大宮のアクセスポイントに接続するというように,各地域のユーザがそれぞれ異なる地域のアクセスポイント109a~109cに接続するこ には,東京のユーザが東京のアクセスポイントに接続し,大宮のユーザが大宮のアクセスポイントに接続するというように,各地域のユーザがそれぞれ異なる地域のアクセスポイント109a~109cに接続することが示されている。 そして,本件明細書等には,各地域のユーザがそれぞれ異なる地域のアク セスポイントに接続する際,「アクセスポイント109aのサーバ111aは所持する複数のIPアドレスの中から一つのIPアドレスを選択してユーザ端末101aに割り当てる」(段落【0005】,【0028】)と記載されているので,同明細書等には,「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス」 (構成要件1B1等)が記載されているといえる。 さらに,本件明細書等の段落【0034】には,「Webサーバ119aは…IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベースから成る図5に示すようなIPアドレスプールデータベース201およびユーザ端末101aが送信したIPアドレスを用いてユーザの発信地域を判 別する」旨の記載があって,【図5】には,特定の一つのIPアドレスが北海道札幌市,埼玉県大宮市等の特定の一つの地域に一対一に対応するデータベースが示されているのであるから,前記IPアドレスと,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,」「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所 有するアクセスポイントが属する地域を判別する」こと(構成要件1B1等及び1B2等)も記載されているということができる。 ウこれに対し,被告は,ダイヤルアップ接続を前提とする本件明細書等の記載に基づけば,全世界が「アクセスポイントに対応する地域」に該 B1等及び1B2等)も記載されているということができる。 ウこれに対し,被告は,ダイヤルアップ接続を前提とする本件明細書等の記載に基づけば,全世界が「アクセスポイントに対応する地域」に該当するため,「IPアドレス」と「(アクセスポイントに対応する)全世界」とが「対 応したIPアドレス対地域データベース」が本件各発明の技術的範囲に含ま れるが,このようなデータベースを用いたところで本件各発明の課題は実現できないなどと主張する。 しかし,本件明細書等の段落【0034】及び【図5】には,「Webサーバ119a」が,特定の「IPアドレス」と特定の「地域」が一対一に対応した「IPアドレスプールデータベース201」と「ユーザ端末101a が送信したIPアドレスを用いてユーザの発信地域を判別する」とされているのであり,ここで判別される「地域」は,送信されたIPアドレスを上記データベースに対照して得られる特定の地域であることが示されているということができる。 そうすると,本件各発明における「アクセスポイントに対応する地域」は, 前記のような特定の地域を意味するものと解されるから,全世界が「アクセスポイントに対応する地域」に該当するとの被告の上記主張は理由がない。 エしたがって,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということができるから,本件特 許はサポート要件に違反する特許出願に対してされたものであるとの被告の主張は理由がない。 (2) 実施可能要件違反について被告は,本件明細書等において,本件明細書等に本件各発明の全体について実施でき 違反する特許出願に対してされたものであるとの被告の主張は理由がない。 (2) 実施可能要件違反について被告は,本件明細書等において,本件明細書等に本件各発明の全体について実施できる程度の記載はないから,本件特許は,実施可能要件に違反する特許 出願に対しされたものであると主張する。 アそこで検討するに,特許法36条4項1号は,発明の詳細な説明の記載が,「経済産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」に適合することを求めているから,当業者が, 明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づき,過度の試 行錯誤を要することなく,方法の発明についてはその方法を使用することができる程度の,物の発明についてはその物の生産及び使用をすることができる程度の記載を要するものと解される。 イ本件明細書等の発明の詳細な説明には,前記(1)イのとおり,「ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセス ポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,」「前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する」判別ステップ(判別手段)が記載されているのみならず,「Webサーバ119aがユーザの発信地域を判別した後,Webサー バ119aはIPアドレスプールデータベース201によって判別された発信地域に対応したWebデータを選別し…ユーザ端末101aに送信する」(段落【0035】)ことにより,「地域に対応したWebデータ等のWeb IPアドレスプールデータベース201によって判別された発信地域に対応したWebデータを選別し…ユーザ端末101aに送信する」(段落【0035】)ことにより,「地域に対応したWebデータ等のWebデータは,ユーザ端末101aのブラウザによって解析され,文字や静止画,動画等で表示される」(段落【0036】)ことが記載されている から,当業者は,これと出願時の技術常識に基づき,過度の試行錯誤を要することなく,本件発明1のウェブ情報提供方法を使用し,また,本件発明2のウェブ情報提供装置を製造及び使用することができるものと認められる。 ウこれに対し,被告は,本件明細書等において,「IPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベース」の 構築方法については一切開示されていないので,当業者がかかるデータベースを構築することはおよそ不可能であると主張する。 しかし,本件明細書等にIPアドレス対地域データベースの構築方法が開示されておらず,ISPからIPアドレス対地域の対照表を入手することが困難であるとしても,当業者であれば,ウェブサイトへのアクセスデータ(ユ ーザが入力する郵便番号,住所等)を利用して一つのIPアドレスについて 共通する地域名を抽出し,あるいはISPが連続する一群のIPアドレスを人為的に割り当てるという経験則を利用してIPアドレスの帯に存在する空白を埋めるなどの手法を用いることにより同データを作成し得ることは容易に理解し得たものと考えられる。 エしたがって,本件特許は実施可能要件に違反する特許出願に対しされたも のであるとの被告の上記主張は理由がない。 (3) 補正要件違反について被告は,本件補正により請求項1及び6に「 たがって,本件特許は実施可能要件に違反する特許出願に対しされたも のであるとの被告の上記主張は理由がない。 (3) 補正要件違反について被告は,本件補正により請求項1及び6に「アクセスポイントに対応する」地域,「アクセスポイント」が属する地域との補正がされたが,本件明細書等に「アクセスポイントに対応する地域」等についての開示はないから,本件補 正は新規事項の追加に当たると主張する。 しかし,本件明細書等の発明の詳細な説明にこれらが開示されていることは,前記(1)イに記載のとおりであり,証拠(甲12)によれば,これらの開示部分は本件特許の出願当初の明細書や図面においても記載されていたものであると認められるから,上記の点に係る本件補正は,願書に最初に添付した明細書, 特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,新規事項の追加には当たらない。 したがって,補正要件違反をいう被告の主張は理由がない。 5 争点2-3(明確性要件違反)について被告は,「アクセスポイントに対応する地域」等における,「対応する」や「属 する」という語の意味が不明確であり,また,本件特許出願当時,ユーザはダイヤルアップ接続でどこのアクセスポイントにも接続することができたので,「アクセスポイントに対応する地域」等の外延が不明確であるから,本件各発明に係る特許請求の範囲の記載は明確性要件に違反すると主張する。 そこで検討するに,特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請 求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し, また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を 求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し, また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10434号同22年8月31日判決・判タ1341号227頁参照)。 前記2(1)のとおり,本件特許請求の範囲の記載及び本件明細書等の発明の詳 細な説明の記載によれば,「アクセスポイントに対応する地域」等とは,「ユーザ端末がアクセスポイントからIPアドレスを割り当てられる地域」を意味すると解される上,前記4(1)イのとおり,段落【0034】には,「Webサーバ119aは…IPアドレスと地域とが一対一に対応した例としてのデータベースから成る図5に示すようなIPアドレスプールデータベース201およびユー ザ端末101aが送信したIPアドレスを用いてユーザの発信地域を判別する」旨の記載があって,【図5】には,特定の一つのIPアドレスが北海道札幌市,埼玉県大宮市等の特定の一つの地域に一対一に対応するデータベースが示されていることからすれば,かかる地域は,北海道札幌市,埼玉県大宮市等の特定の一つの地域を指すものと理解することができるというべきである。 したがって,本件各発明に係る特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるということはできないので,被告の上記主張は理由がない。 6 争点3(原告の損害額(損失額))について(1) 本件における損害賠償請求及び不当利得返還請求の根拠 被告方法等は,本件各発明の技術的範囲に属するものであるから,被告が被告方法等を用いて行う地域ターゲティング広告等のサ いて(1) 本件における損害賠償請求及び不当利得返還請求の根拠 被告方法等は,本件各発明の技術的範囲に属するものであるから,被告が被告方法等を用いて行う地域ターゲティング広告等のサービスを提供する行為は,本件特許権を侵害するものである。そして,被告はその侵害行為について過失があったものと推定されるから(特許法103条),原告は,被告に対し,その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が 受けた損害の額としてその賠償を請求することができる(同法102条3項) ところ,同項による損害は,原則として,侵害品の売上高を基準とし,そこに,実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。 また,不当利得返還請求については,同項の「受けるべき金銭の額に相当する額」は,本来,侵害者がその特許発明の実施に当たり特許権者に対して支払うべきであった実施料相当額であるから,侵害者がこれを支払うことなく特許 発明を実施した場合は,その実施により,侵害者は同額の利得を得,特許権者は同額の損失を受けたものと評価することができるから,同項の「受けるべき金銭の額に相当する額」が不当利得(民法703条)における受益者の利得の額に相当し,かつ,権利者の損失の額に相当すると認めるのが相当である(知財高裁平成27年(ネ)第10488号,同第10088号同年11月12日 判決・判時2287号91頁参照)。 そこで,被告が被告方法等を使用して上げた売上高及び実施に対し受けるべき料率(相当実施料率)につき,以下検討する。 (2) YDN及びプレミアム広告についてア YDN及びプレミアム広告の売上高 YDN及びプレミアム広告の売上高は,以下のとおりであると認められる。 き,以下検討する。 (2) YDN及びプレミアム広告についてア YDN及びプレミアム広告の売上高 YDN及びプレミアム広告の売上高は,以下のとおりであると認められる。 (ア) YDNの売上高証拠(乙25)によれば,原告主張の損害算定期間(平成19年7月25日~平成30年6月26日)の売上高(消費税抜き。以下,売上高につき,特記なき限り同じ。)は,別紙売上高・損害額一覧表のとおりであり, YDNのエリアターゲティングを行っている部分の売上高総額は,●省略●であると認められる(●省略●なお,端数処理の関係で1円の誤差が生じている。)。 (イ) プレミアム広告の売上高同様に,同期間のプレミアム広告のエリアターゲティングを行っている 部分の売上高総額は,●省略●であると認められる(●省略●)。 イ相当実施料算定の基礎となる売上高の範囲被告は,YDN及びプレミアム広告の売上高のうち,下記(ア)ないし(エ)に係る各部分については,相当実施料算定の基礎となる売上高から除外すべきであると主張するので,この点について検討する。 (ア) ●省略●について 被告は,本件各発明の技術的範囲には●省略●から,被告方法等において,本件各発明の技術的範囲に含まれる部分があるとしてもそれは●省略●であると主張する。 しかし,本件各発明にいう「アクセスポイントに対応する地域」等は,特に●省略●ものではないので,相当実施料算定の基礎となる売上高を● 省略●理由はないというべきである。 (イ) スマートフォンを利用した売上部分について被告は,スマートフォンの利用による売上げは相当実施料算定の基礎となる売上高から控除すべきであると主張する。 しかし,証拠 べきである。 (イ) スマートフォンを利用した売上部分について被告は,スマートフォンの利用による売上げは相当実施料算定の基礎となる売上高から控除すべきであると主張する。 しかし,証拠(甲73・3頁)及び弁論の全趣旨によれば,スマートフ ォンからインターネットのウェブサイトを閲覧する場合には,モバイル接続(4G接続ないし3G接続)又はWi-Fi接続の2通りの方法があり,自宅等のWi-Fi環境がある場所では,通信容量制限のあるモバイル接続ではなく,Wi-Fi経由の接続を行うのが一般的であるところ,スマートフォンによりWi-Fi接続を行う場合には,接続に用いられるIP アドレスは自宅のWi-Fiに用いられるIPアドレスであり,この場合には,本件各発明に基づくIPアドレスからアクセスポイントに対応する地域を判別しているものと認められる。 他方で,モバイル端末からのインターネット接続(いわゆる4G接続ないし3G接続)の場合に,IPアドレスからアクセスポイントに対応する 地域を判別することができないことは,原告が自認するところであるから, 相当実施料算定の基礎となる売上高は,かかる接続を利用しない場合(Wi-Fi経由での接続の場合)に限定することが必要であるというべきである。 (ウ) ●省略●について被告は,●省略●を控除したものとされるべきであると主張する。 a そこで検討するに,証拠(乙27)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 ●省略●b 上記aで認定した事実によれば,被告方法等において,●省略●を控除することが相当であるというべきである。 c これに対して,原告は,●省略●と考えられると主張 略●b 上記aで認定した事実によれば,被告方法等において,●省略●を控除することが相当であるというべきである。 c これに対して,原告は,●省略●と考えられると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (エ) 他のターゲティング機能に対応する部分について被告は,「年齢」,「性別」,「行動履歴」など「地域」以外のターゲ ティング機能に対する部分の売上げは,本件における相当実施料額の算定の基礎とならないと主張する。 この点,証拠(甲22,26)によれば,被告のYDNやプレミアム広告においては,地域ターゲティングに加え,「時間帯」,「性別」,「年代」,「行動履歴」等に基づくターゲティングも行われていることがうか がわれるが,他方で,プレミアム広告の商品紹介(甲26)においては,「エリアターゲティング」が最初に紹介され,また,被告の広告本部本部長が,平成19年11月5日付けの日経マーケティングのウェブ上の記事(甲27)において,①被告は地域ターゲティングに力を入れており,IPアドレスなどの情報で地域ターゲティング広告ができるようになり,地 域限定のプロモーションや地域限定で企業活動をしている広告主もター ゲットに入ってきたこと,②地域ターゲティング広告に性別や年齢別などによるデモグラフィックターゲティングも組み合わせればより効果的であること,③地域ターゲティング広告は,中小企業,インフラを手がける大手企業などの需要もあることなどを述べていることが認められる。 そうすると,地域ターゲティングは中心的な機能であり,他のターゲテ ィング機能に比べてその重要性は高いというべきであり,また,これらの もあることなどを述べていることが認められる。 そうすると,地域ターゲティングは中心的な機能であり,他のターゲテ ィング機能に比べてその重要性は高いというべきであり,また,これらの機能は重複して利用されることも多く,その寄与の度合いを個別に算定することが困難であることにも照らすと,地域ターゲティング機能と関連のある売上高については,その全額を対象とするのが相当である。 ウ相当実施料算定の基礎とすべき売上高 上記アのYDN及びプレミアム広告の売上高から,上記イに従って控除すべき分を控除した額は,以下のとおりである。 (ア) YDNについて証拠(乙25)によれば,YDNについて,●省略●となる。 (イ) プレミアム広告について 同様に,プレミアム広告については,●省略●となる。 (ウ) 以上によれば,本件特許権侵害による損害額の算定に用いるべき売上高は,YDNにつき●省略●,プレミアム広告につき●省略●となる(それぞれの各年度の内訳は別紙売上高・損害額一覧表の該当欄記載のとおり。)。 (3) スポンサードサーチについて 原告は,被告が提供するターゲティング広告に係るサービスのうち,スポンサードサーチに係る売上高も相当実施料の算定の対象とすべきであると主張するのに対し,被告は,スポンサードサーチにおいては本件各発明を実施していないから,その売上高は相当実施料の算定の対象外であると主張する。 アそこで検討するに,●省略●ことが認められる。 しかし,他方で,●省略●本件各発明を実施して行われているとは認めら れないので,スポンサードサーチに係る売上高も損害額算定の対象とすべきであるとの とが認められる。 しかし,他方で,●省略●本件各発明を実施して行われているとは認めら れないので,スポンサードサーチに係る売上高も損害額算定の対象とすべきであるとの原告主張を採用することはできない。 イなお,原告は,スポンサードサーチが本件各発明の実施に当たらないとの主張は時機に後れた攻撃防御方法に当たると主張するが,被告は,当初から,原告主張のターゲティング広告の提供サービスが本件各発明の技術的範囲 に属することを否認していたこと,侵害論の審理においては●省略●が中心的な争点であったこと,損害論の審理に入り,スポンサードサーチが実施料算定の基礎となるかが争点となり,これを契機としてスポンサードサーチが本件各発明の実施に当たるかどうかが問題となったことなどの本訴の経緯に照らすと,被告の上記主張が時機に後れたものということはできない。 (4) 相当実施料率についてア相当実施料率の算定基準特許法102条3項所定の「その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額」の算定に当たり,実施に対し受けるべき料率は,①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や,それが明らかでない場合 には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ,②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性,他のものによる代替可能性,③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様,④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して,合理的な料率を定めるべきである(知財高裁平成 30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決・判時2430号34頁参照)。 イ実施料率等について(ア) 証 慮して,合理的な料率を定めるべきである(知財高裁平成 30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決・判時2430号34頁参照)。 イ実施料率等について(ア) 証拠(甲30,79,100)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 a 原告は,あどえりあ社を通じて,本件特許に係るライセンス(通常実 施権の許諾。以下「本件ライセンス」という。)を行っている。 b 本件ライセンスの料金体系は,①多数のウェブサイトやアプリ等に一括で広告を配信するアドネットワーク事業を行う企業を対象とするアドネットワーク事業社用(甲30・2枚目),②クライアントに対しシステム等を使ってサービスを提供する企業を対象とするサービス提供 事業社用(同3枚目),③自社でウェブサイトを運営する企業を対象とするウェブサイト運営社用(同4枚目)の3種類がある。 c 上記①(アドネットワーク事業社用)の料金は,登録料1万円(初年度のみ)と,アドネットワーク事業社のクライアントに対する広告請求金額に対する1.5%(親会社の業務を子会社が行う場合は3%)の割 合によるライセンス利用料である。 上記②(サービス提供事業社用)の料金は,クライアントの特許利用も含めたライセンスを受ける場合は,登録料1万円(毎年)と,サービス提供事業社と各クライアントの間の月額契約料金の3%の割合によるライセンス利用料である。 上記③(ウェブサイト運営社用)の料金は,当該ウェブサイトが5000万PV以上で,かつ,自社サイト内の広告の地域ターゲティングを行う場合は,登録料1万円(初年度のみ)及び基本利用料10万円(年額)に加え,広告売上げの3%の割合によ 金は,当該ウェブサイトが5000万PV以上で,かつ,自社サイト内の広告の地域ターゲティングを行う場合は,登録料1万円(初年度のみ)及び基本利用料10万円(年額)に加え,広告売上げの3%の割合によるライセンス利用料となる。 なお,ウェブサイト運営社が,当該ウェブサイト内で物品などの販売を 補助するサービスを行う場合は,更にビジネス利用料5000円~(年額)を要するとされている。 d 本件ライセンスの実績としては,アドネットワーク事業社用のライセンス利用料につき1.5%で契約した例,サービス提供事業社用のライセンス利用料につき3%で契約した例,ウェブサイト運営社用のライセ ンス利用料につき1.5%で契約した例や,0.75%で契約した例が ある。 (イ) 甲30のライセンス料金表の各類型の適用に関し,原告は,広告を掲載するサイトを基準とするもの,すなわち,自らのウェブサイトにおいて広告を掲載する場合は3%であるが,他社のウェブサイトに広告を掲載する場合は1.5%とするものであると主張するのに対し,被告は,広告の主 体を基準とするもの,すなわち,第三者の広告を請け負って掲載する場合はアドネットワーク事業社用の条件に従って1.5%の料率が適用され,自社の広告を掲載する場合は3%の料率が適用されると主張する。 甲30のライセンス料金表の各類型が適用される広告掲載サービスについては,本件ライセンスに係る特許権者である原告が当然知悉している と考えられるところ,アドネットワーク事業社用について他の場合より安い料率が設定されることについての原告の説明,すなわち,他社のウェブサイトに広告を掲載する場合には別途広告枠を媒体社などから購入する必要がありその費用が掛かるためにアドネットワーク て他の場合より安い料率が設定されることについての原告の説明,すなわち,他社のウェブサイトに広告を掲載する場合には別途広告枠を媒体社などから購入する必要がありその費用が掛かるためにアドネットワーク事業社用では料率を下げているとの説明や,それにもかかわらず親会社の業務を子会社が行 う場合は3%としたのは,アドネットワーク事業社である親会社が広告掲載を自らの子会社の広告枠で行う場合には広告枠の購入費用は子会社に支払われるために親子会社全体としてみれば費用支出がないからであるとの説明は合理的であるといえる。 被告は,ウェブサイト運営者用のライセンス料金表に「EC(電子商取 引)を含む,ウェブサイト内で物品などの販売を補助するサービス」が対象となることが記載されていることをもって,ウェブサイト運営者用の実施料率が3%であるのは,自社商品の広告表示を切り替えるといったサービスを提供することを念頭に置いたものであると主張する。しかし,同サービスを行う場合に発生するのはビジネス利用料であって,広告利用料で はないので,上記の記載から,ウェブサイト運営者用のライセンス料金表 が適用されるのは自社の広告を掲載する場合であると認めることはできない。 むしろ,甲30・4枚目においては,ウェブサイト運営者用の「広告利用料」は「広告売上の3%」と規定されているところ,ここに「広告売上」と記載されているのは,他社の広告を自らのサイトで行うことにより広告 売上げを得る場合を想定としているからであると推認するのが自然かつ合理的である。 そうすると,原告が主張するとおり,本件ライセンスにおけるライセンス料率は,自らのウェブサイトにおいて広告を掲載する場合は3%であるが,他社のウェブサイトに広告を掲載するなどして,広 そうすると,原告が主張するとおり,本件ライセンスにおけるライセンス料率は,自らのウェブサイトにおいて広告を掲載する場合は3%であるが,他社のウェブサイトに広告を掲載するなどして,広告枠を媒体社など から購入する費用を生ずる場合には1.5%とするものであると認めるのが相当である。 (ウ) 上記(イ)の説示を踏まえ,被告の地域ターゲティング広告が本件ライセンスのいずれの類型に属するかにつきみるに,YDNのうち被告ウェブサイトに広告を掲載する部分及びプレミアム広告はウェブサイト運営社用 に当たるから,ライセンス料率は3%となり,YDNのうち他の提携ウェブサイトに広告を掲載する部分はアドネットワーク事業社用に当たるから,ライセンス料率は1.5%となるものと認められる。 この点につき,被告は,過去にウェブサイト運営社用に当たるにもかかわらず0.75%や1.5%のライセンス料率が適用されたことがあるこ とを指摘し,本件においてもこれらの料率を参考とすべきであると主張するが,証拠(甲100)及び弁論の全趣旨によれば,これらは原告とライセンシーとの関係に基づき特別に減額されたものであることがうかがわれ,他にサービス提供事業社用の類型ではあるものの,原則どおりライセンス料率を3%として契約した実績もあることからすれば,上記のとおり 認定するのが相当である。 ウ実施料率を下げるべき他の事情について●省略●(イ) 被告は,被告自身の多数の特許を実施することによりウェブ広告の分野において大きなシェアを獲得することができているのであるから,本件各発明の相当実施料率の算定に当たってもこの点を考慮すべきであると主 張するが,被告がウェブ広告の分野におい よりウェブ広告の分野において大きなシェアを獲得することができているのであるから,本件各発明の相当実施料率の算定に当たってもこの点を考慮すべきであると主 張するが,被告がウェブ広告の分野において多数の特許を実施していることやそれが売上げに寄与していることは,本件特許の相当実施料率を算定すべき上で考慮すべき事情ということはできない。 また,被告は,本件特許の相当実施料率の算定に当たり,被告が自身の努力により●省略●を作成したことを考慮すべきであると主張するが,上 記と同様,この点も本件特許の相当実施料率を算定すべき上で考慮すべき事情ということはできない。 (ウ) 被告は,甲20公報を引用し,本件各発明の「IPアドレス対地域データベース」は「アクセスポイント側」の情報を用いるものであり,●省略●含まないとした上で,原告の主張を前提とするのであれば,本件各発明 の価値・技術的意義は低いなどと主張する。 しかし,被告の上記主張は,データベースの構成と●省略●を誤解・混同するものであり,その前提において失当であり,また,本件各発明が公知技術との関係で新たな技術的意義が存在しないということはできない。 むしろ,本件各発明は,IPアドレスを所有するアクセスポイントが属 する地域を判別し,判別した地域に対応したウェブ情報を選択して前記ユーザ端末に送信する方法によって,同一URLにおいてもユーザの発信地域ごとに異なるウェブ情報を送信することができるという効果を得る発明であって,他にGPS等のシステムを用いることなく,ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスとIPアドレス対地域データベースを照合す るという比較的簡易な方法によりユーザの発信地域の判別をすることが でき システムを用いることなく,ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスとIPアドレス対地域データベースを照合す るという比較的簡易な方法によりユーザの発信地域の判別をすることが できるものであるから,従来技術にはない新たな技術的意義を有するということができる。 (エ) 被告は,本件特許の相当実施料率の算定に当たり,地域ターゲティング以外のターゲティング機能の効用を考慮すべきであると主張する。 しかし,地域ターゲティングは中心的な機能であり,他のターゲティン グ機能に比べてその重要性は高いというべきであり,また,これらの機能は重複して利用されることも多く,その寄与の度合いを個別に算定することが困難であることは,前記(2)イ(エ)のとおりである。このため,YDN及びプレミアム広告が地域ターゲティング以外のターゲティング機能を備えていることを考慮しても,適用すべき実施料率を下げることが相当と いうことはできない。 (オ) 被告は,YDNのクリック数や売上げは,被告が長年にわたり多大な労力を積み上げてきたサービスの圧倒的な利用者数及びアクセス数を前提とするものであり,これらは本件各発明と無関係であるから,本件特許の相当実施料率の算定に当たってはこの点を考慮すべきであると主張する。 しかし,YDNの売上げにおいて,被告の提供するサービスの利用者数や被告のウェブサイトへのアクセス数が影響を与えたとしても,本件各発明の売上げ及び利益への貢献の程度という観点からみると,本件各発明は,IPアドレス対地域データベースを使用して,アクセスポイントの属する地域を判別することを通じて,地域によって異なるウェブ情報をユーザ端 末に送信することを可能にするものであるから,エリアターゲ IPアドレス対地域データベースを使用して,アクセスポイントの属する地域を判別することを通じて,地域によって異なるウェブ情報をユーザ端 末に送信することを可能にするものであるから,エリアターゲティング広告に必要不可欠なものであり,本件各発明と同程度に簡易かつ効果的に地域判別をし得る代替技術の存在を示す証拠のないことに照らすと,本件各発明を利用することができない場合には,被告のYDNやプレミアム広告の利用者に対する訴求力は大幅に減殺されたものというべきである。 このような本件各発明のYDN及びプレミアム広告の提供サービスに おける必要不可欠性や売上げや利益に対する貢献度に照らすと,YDNの売上げにおいて,被告の提供するサービスの利用者数や被告のウェブサイトへのアクセス数が影響を与えたとしても,これをもって,適用すべき実施料率を下げることが相当であるということはできない。 また,被告は,プレミアム広告においては,被告ウェブサイトへのアク セス数のみが売上げに貢献するので,本件各発明は売上げに寄与,貢献していないと主張するが,上記と同様の理由から,そのような事情をもって適用すべき実施料率を下げることが相当であるということはできない。 エ小括以上によれば,本件各発明の実施についての相当な実施料率は,YDNの うち被告ウェブサイトに広告を掲載する部分及びプレミアム広告につき3%,YDNのうち他の提携ウェブサイトに広告を掲載する部分は1.5%と認めるのが相当である。 (5) 消費税について消費税は,国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されるものであ るところ(消費税法4条1項),「資産の譲渡等」とは,事業として対価を得て行われる (5) 消費税について消費税は,国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されるものであ るところ(消費税法4条1項),「資産の譲渡等」とは,事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいい(同法2条1項8号),「資産の貸付け」には資産に係る権利の設定などを含み(同条2項),かかる「資産に係る権利の設定」とは,「例えば,土地に係る地上権若しくは地役権,特許権等の工業所有権に係る実施権若しくは使用権又は著作物に 係る出版権の設定をいう。」とされている(消費税法基本通達5-4-1)。 そして,消費税法基本通達5-2-5においては,「例えば,次に掲げる損害賠償金のように,その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。…(2) 無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害 賠償金」とされていることに鑑みると,特許権を侵害された者が特許権侵害 の不法行為に基づく損害賠償金を侵害者から受領した場合,その損害賠償金も消費税の課税対象となるものと推察されるから,特許権者が特許権侵害による損害のてん補を受けるためには,課税されるであろう消費税額相当分についても損害として受領し得る必要があるというべきである(知財高裁平成28年(ネ)第10082号同29年2月22日判決参照)。 特許法102条3項は,特許権の侵害者に対し,「その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる」と定めているから,特許発明の実施に対し受けるべき金銭が資産の譲渡等(資産の貸付け)の対価に該当し,消費税が課されることになる以上,消費税額相当分を同項の の額としてその賠償を請求することができる」と定めているから,特許発明の実施に対し受けるべき金銭が資産の譲渡等(資産の貸付け)の対価に該当し,消費税が課されることになる以上,消費税額相当分を同項の損害額の一部として 請求することができる。 また,同項の「受けるべき金銭の額に相当する額」が不当利得(民法703条)における受益者の利得の額に相当し,かつ,権利者の損失の額に相当すると認められることは前記(1)で判示したとおりであるから,被告の不当利得額(原告の損失の額)も,消費税額相当分を含む金額として算定するの が相当である。 (6) YDN及びプレミアム広告に係る損害額証拠(乙31)によれば,YDNの前記売上高●省略●と認められる。そして,消費税率は,平成9年4月1日から平成26年3月31日までが5%であり,同年4月1日から令和元年9月30日までが8%であったことは,公知の 事実である。 そうすると,YDNに係る売上高(消費税込み。円未満切捨て)は別紙売上高・損害額一覧表の「YDN」欄「同売上高合計(消費税込み)」欄記載のとおりであるから,YDN関係の損害額は,同一覧表の「YDN」欄「YDN関係損害額」欄のとおりとなり,その総額は,●省略●(円未満切捨て)となる。 また,プレミアム広告に係る売上高(消費税込み。円未満切捨て)は同一覧 表の「プレミアム広告」欄「同売上高合計(消費税込み)」欄記載のとおりであるから,プレミアム広告関係の損害額は,同一覧表の「プレミアム広告」欄「プレミアム広告関係損害額」欄記載のとおりとなり,その総額は,●省略●(円未満切捨て)となる。 したがって,YDN及びプレミアム広告に係る損害額の総合計額は,●省略 ●とな 広告」欄「プレミアム広告関係損害額」欄記載のとおりとなり,その総額は,●省略●(円未満切捨て)となる。 したがって,YDN及びプレミアム広告に係る損害額の総合計額は,●省略 ●となる。 (7) 天気予報に係る損害額被告は,被告ウェブサイトのトップページ等において,ウェブページ閲覧ユーザの発信地域に応じた天気予報の情報を掲出するサービスを提供しているところ(前記前提事実(3)イ),証拠(甲47,49,83,84)及び弁論の 全趣旨によれば,かかる天気予報においても,本件各発明の技術的範囲に属する被告方法等が利用されているものと認められ,また,被告ウェブサイトが5000万以上のPVを有することは,被告も自認するところである。 そうすると,被告は,原告に対し,本件ライセンスにおけるウェブサイト運営社用のライセンス料金表に従い,基本利用料10万円(年額)に消費税額を 付した金額を支払うべきであったといえるから,同額が被告の天気予報に係る損害額となり,その金額は,別紙売上高・損害額一覧表の「天気予報関係損害額」欄に記載のとおりとなり,その合計額は,119万4000円となる。 (7) 以上の実施料相当の損害金ないし不当利得金の合計額は,別紙売上高・損害額一覧表の「原告損害額合計」欄「合計」欄のとおり,9億8109万236 1円となる。 (9) 消滅時効について被告は,平成26年7月24日以前の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権及び平成29年4月1日から同年9月15日までの間の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権につき,消滅時効を援用するので,以下検討する。 ア当裁判所に顕著な事実に加え,証拠(甲35,37,39,41)及び弁 論の全趣旨に 不法行為に基づく原告の損害賠償請求権につき,消滅時効を援用するので,以下検討する。 ア当裁判所に顕著な事実に加え,証拠(甲35,37,39,41)及び弁 論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア) 原告は,●省略●(イ) 原告は,平成29年7月25日,本訴を提起し,被告に対し,被告は本件各発明の技術的範囲に属する被告方法等を実施して実施料相当額を不当に利得しており,また,かかる被告の実施は特許権侵害の不法行為を構 成するとして,平成19年度から平成28年度末まで(平成19年4月1日から平成29年3月31日まで)の間の実施料相当額(民法704条に基づく不当利得額又は民法709条及び特許法102条2項若しくは3項に基づく損害賠償額)約25億6406万円の一部である3億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成29年8月2日)から支払済みまで 民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金等の支払を求めた。 (ウ) 原告は,平成30年12月5日付け原告第7準備書面(同日当裁判所及び被告到達)により,平成19年4月1日から平成30年6月26日までの間の実施料相当額(民法704条に基づく不当利得額又は民法709条 及び特許法102条3項に基づく損害賠償額)が34億3519円であり,これに弁護士費用相当損害金額3億4363万円を加えると37億8001万円であるが,一部請求として3億円(ただし,損害額ないし不当利得額の算定根拠となる被告の広告売上等につき古い方から順次算出し,損害賠償請求額ないし不当利得返還請求額が3億円に満つるまで。)及びこ れに対する訴状送達の日の翌日(平成29年8月2日)から支払済みまで民法(平成 告の広告売上等につき古い方から順次算出し,損害賠償請求額ないし不当利得返還請求額が3億円に満つるまで。)及びこ れに対する訴状送達の日の翌日(平成29年8月2日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金等の支払を求める旨の訴えの変更(請求原因の追加的変更)をし,平成30年12月12日の第10回弁論準備手続期日において,同準備書面を陳述した。なお,原告は,同準備書面において,被告の特許権侵 害は,平成19年以降継続的に行われているから,その遅延損害金は,各 年度の翌年の4月1日から起算すべき旨の主張をしていた。 (エ) 原告は,令和2年9月7日付け訴えの変更申立書(同日当裁判所到達)により,平成19年4月1日から平成30年6月26日までの間の実施料相当額(民法704条に基づく不当利得額又は民法709条及び特許法102条3項に基づく損害賠償額)が●省略●余であり,これに弁護士費用 相当損害金額●省略●を加えると●省略●余であるが,一部請求として30億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成29年8月2日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金等の支払を求める旨の訴えの変更(請求の趣旨の変更)をした。 イ前記アで認定した事実によれば,原告が本訴を提起した平成29年7月25日からさかのぼること3年前の平成26年7月25日より前に,本件特許権侵害の被害者である原告が,その損害及び被告が加害者である事実を知っていたことが明らかであるから,平成26年7月24日以前の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権は,時効消滅したものと認められ,同日以前の実 施料相当額については,不当利得に基 である事実を知っていたことが明らかであるから,平成26年7月24日以前の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権は,時効消滅したものと認められ,同日以前の実 施料相当額については,不当利得に基づき認容すべきこととなる。 一方,平成29年4月1日から同年9月15日までの間の不法行為に基づく原告の損害賠償請求権については,平成30年12月5日付け原告第7準備書面(同日当裁判所及び被告到達)において初めて主張されたものであるが,これにより,かかる部分についても訴えの変更(請求原因の追加的変更) がされたのであるから,同部分につき,少なくとも裁判上の催告の効果が生じ,その後,令和2年9月7日付訴えの変更申立書による請求の拡張によって,確定的に当該時効が中断したものと認められる(最高裁平成24年(受)第349号同25年6月6日第一小法廷判決・民集67巻5号1208頁参照)。したがって,この点の被告の消滅時効の主張は理由がない。 (10) 弁護士費用相当損害金について 本件事案の難易,請求額及び認容額等の諸般の事情を考慮すると,被告の侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用相当損害金としては,5000万円と認めるのが相当である。 (11) 遅延損害金について前記(9)イで判示したとおり,平成26年7月24日以前の請求分について は不当利得返還請求として認容すべきところ,かかる請求分は,本訴提起時において請求され,あるいは少なくとも裁判上の催告がされたものであるといえるから(前記最判参照),同不当利得返還債務は,訴状送達の日の翌日から遅滞に陥るものと認められる。平成26年7月25日から平成29年3月31日までの間の請求については,いずれの請求に基づくにせよ,原告が訴状送達の 参照),同不当利得返還債務は,訴状送達の日の翌日から遅滞に陥るものと認められる。平成26年7月25日から平成29年3月31日までの間の請求については,いずれの請求に基づくにせよ,原告が訴状送達の 日の翌日を遅延損害金の起算日として請求している以上,同日からの遅延損害金が認められ,弁護士費用相当損害金についても,同様の遅延損害金を認めるのが相当である。 ●省略● 7 以上によれば,原告の請求は,10億3109万2361円●省略●及びうち 8億8282万3450円●省略●に対する訴状送達の日の翌日である平成29年8月2日から,うち1億2648万5217円に対する平成30年4月1日から,うち2178万3694円に対する平成31年4月1日から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。 よって,原告の請求を上記の限度で認容し,その余はいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 齊藤敦 別紙特許請求の範囲 1 本件出願当初の特許請求の範囲(1) 請求項1 通信ネットワークを用いてWeb情報をユーザ端末に送信するWebページ閲覧方法において,前記ユーザ端末の地域情報と,地域情報対地域データベースと, の範囲(1) 請求項1 通信ネットワークを用いてWeb情報をユーザ端末に送信するWebページ閲覧方法において,前記ユーザ端末の地域情報と,地域情報対地域データベースと,を用いて前記ユーザ端末の地域を判別し,前記Web情報の内前記地域によって異なるWeb情報を選別し, 前記選別されたWeb情報を前記ユーザ端末に送信することを特徴とするWebページ閲覧方法。 (2) 請求項4ユーザ端末が通信回線により接続されるアクセスポイントと,前記アクセスポ イントが接続される通信ネットワークと,前記通信ネットワークに接続されたWebサーバと,を備えたWebページ閲覧装置において,前記ユーザ端末の地域情報と地域とが対応した地域情報対地域データベースと,該地域情報対地域データベースを用いて判別された地域に対応したWeb情報を自動的に選択する自動選択手段と,を備えたことを特徴とするWebページ 閲覧装置。 2 第1次補正後の特許請求の範囲(1) 請求項1通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提 供方法において, ユーザ端末に接続されたサーバが該ユーザ端末に割り当てたIPアドレス,およびIPアドレスと地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスが属する地域を判別する第1の判別ステップと,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1 の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法 を選択する第1 の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。 (2) 請求項6通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供装置において,ユーザ端末に接続されたサーバが該ユーザ端末に割り当てたIPアドレス,およびIPアドレスと地域とが対応したIPアドレス対地域データベース,を用い て,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスが属する地域を判別する第1の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択手段と,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末 に送信する送信手段と,を有したことを特徴とするウェブ情報提供装置。 3 本件特許請求の範囲(本件補正後の特許請求の範囲)(1) 請求項1(本件発明1) 通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提 供方法において,ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域 を判別する第1の判別ステップと,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと, ,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信ステップと,を有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。 (2) 【請求項2】通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供方法において,ユーザ端末がアクセスしたアクセスポイントの電話番号,および電話番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号対地域デ ータベースを用いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別ステップと,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の選択ステップと,前記選択されたウェブ情報を,前記ユーザ端末に送信する送信ステップと,を 有したことを特徴とするウェブ情報提供方法。 (3) 【請求項3】ユーザの電話番号および/または郵便番号と,電話番号および/または郵便番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号および/または郵 便番号対地域データベースと,を用いて,前記ユーザの地域を判別する第3の判 別ステップと,前記第3の判別ステップによって判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第3の選択ステップと,を有することを特徴とする請求項1または2記載のウェブ情報提供方法。 (4) 【請求項4】前記ユーザ端末にユーザの電話番号および/または郵便番号を送信要求する送信要求ステップを有することを特徴とする請求項3記載のウェブ情報提供方法。 (5) 【請求項5】ユーザが 記ユーザ端末にユーザの電話番号および/または郵便番号を送信要求する送信要求ステップを有することを特徴とする請求項3記載のウェブ情報提供方法。 (5) 【請求項5】ユーザがユーザ端末を用いてアクセスポイントにダイヤルし(401),前記ユーザ端末がアクセスポイントに接続され(403),前記アクセスポイントが前記ユーザ端末にユーザ情報の送信要求を行い(405), 前記ユーザ端末がユーザ情報を前記アクセスポイントに送信し(407),前記アクセスポイントは前記送信されたユーザ情報が正しいかを判断し(409),前記ユーザ情報が正しければ前記ユーザ端末が前記アクセスポイントのサーバに接続され(411), 前記サーバが前記ユーザ端末にIPアドレスを割り当て(413),前記ユーザ端末がウェブ情報取得命令および前記割り当てられたIPアドレスを前記サーバに送信し(415),前記サーバが通信ネットワークに前記ウェブ情報取得命令および前記IPアドレスを送信し(417), 前記通信ネットワークを介して,ウェブサーバが前記ウェブ情報取得命令およ び前記IPアドレスを受け取った(419)後,前記ウェブサーバは前記ウェブ情報命令が特定するウェブ情報のプログラム中に地域によって選別される地域プログラムがあるかを判別し(421),前記地域プログラムがあれば,前記ウェブサーバは,前記IPアドレスと,IPアドレスと地域とが対応したIPアドレス対地域データベースと,を用いて, 前記IPアドレスが属する地域を判別し(425),前記ウェブサーバは,前記判別された地域に基づいて該地域に対応したウェブ情報を選択し(427), 地域データベースと,を用いて, 前記IPアドレスが属する地域を判別し(425),前記ウェブサーバは,前記判別された地域に基づいて該地域に対応したウェブ情報を選択し(427),前記選択されたウェブ情報を,前記ユーザ端末に送信し(423,429),前記ユーザ端末のブラウザに前記選択されたウェブ情報が表示される(431) ことを特徴とするウェブ情報提供方法。 (6) 請求項6(本件発明2)通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供装置において, ユーザ端末に接続されたアクセスポイントが該ユーザ端末に割り当てた前記アクセスポイントのIPアドレス,およびIPアドレスとアクセスポイントに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用いて,前記ユーザ端末に割り当てられたIPアドレスを所有するアクセスポイントが属する地域を判別する第1の判別手段と, 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第1の選択手段と,前記選択されたウェブ情報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザ端末に送信する送信手段と,を有したことを特徴とするウェブ情報提供装置。 (7) 【請求項7】通信ネットワークを介して,ウェブ情報をユーザ端末に提供するウェブ情報提供装置において,ユーザ端末がアクセスしたアクセスポイントの電話番号,および電話番号とアクセスポイントに対応する地域とが対応した電話番号対地域データベースを用 いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の 電話番号対地域データベースを用 いて,前記電話番号のアクセスポイントが属する地域を判別する第2の判別手段と,前記判別された地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択する第2の選択手段と,前記選択されたウェブ情報を,前記ユーザ端末に送信する送信手段と, を有したことを特徴とするウェブ情報提供装置。 (8) 【請求項8】前記第1または第2の判断手段が,ユーザの電話番号および/または郵便番号と,電話番号および/または郵便番号とアクセスポイントに対応する地域とが対 応した電話番号および/または郵便番号対地域データベースと,を用いて,前記ユーザの地域を判別し,前記第1または第2の選択手段は,前記判断手段によって判別された前記ユーザの地域に基づいて,該地域に対応したウェブ情報を選択することを特徴とする請求項6または7記載のウェブ情報提供装置。 (9) 【請求項9】前記ユーザ端末にユーザの電話番号および/または郵便番号を送信要求する送信要求手段を有することを特徴とする請求項8記載のウェブ情報提供装置。 (10) 【請求項10】 請求項6,7,8または9記載のウェブ情報提供装置に接続されたユーザ端末において,前記ウェブ情報提供装置が有する第1または第2の選択手段により選択された地域に対応したウェブ情報を表示することを特徴とするユーザ端末。 (11) 【請求項11】請求項1,2,3または4に記載のウェブ情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして記憶したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。 別紙被告方法等説明書(原告)●省略● ェブ情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして記憶したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。 別紙被告方法等説明書(原告)●省略● 図4(被告ウェブサイトのトップページ) 別紙原告主張の被告方法等の構成 1 被告方法1a インターネットを介して,地域ターゲティング広告及び天気予報(ホーム ページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む。以下「ユーザPC等」という。)に提供する情報提供方法において,1b1 ユーザPC等からインターネットへの接続要求があったときに,当該ユーザPC等に接続されたISPのサーバが当該ユーザPC等に割り当てた当該ISPサーバの所有するIPアドレス,及びIPアドレスとISPサー バに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い,1b2 前記ユーザPC等に割り当てられたIPアドレスを所有するISPサーバに対応する地域を判別する第1の判別ステップと,1c 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応した地域ターゲティング広告又は天気予報を選択する第1の選択ステップと, 1d 前記選択された地域ターゲティング広告又は天気予報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザPC等に送信する送信ステップと,1e 上記構成1aから構成1dを有したことを特徴とする地域ターゲティング広告及び天気予報を提供する方法。 2 被告装置2a インターネットを介して,地域ターゲティング広告及び天気予報(ホームページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む。以下「ユーザPC等」という。)に提供する情報提供装置に 告装置2a インターネットを介して,地域ターゲティング広告及び天気予報(ホームページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む。以下「ユーザPC等」という。)に提供する情報提供装置において,2b1 ユーザPC等からインターネットへの接続要求があったときに,当該ユ ーザPC等に接続されたISPのサーバが当該ユーザPC等に割り当てた 当該ISPサーバの所有するIPアドレス,及びIPアドレスとISPサーバに対応する地域とが対応したIPアドレス対地域データベースを用い,2b2 前記ユーザPC等に割り当てられたIPアドレスを所有するISPサーバに対応する地域を判別する第1の判別手段と,2c 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応した地域ターゲティング広 告又は天気予報を選択する第1の選択手段と,2d 前記選択された地域ターゲティング広告又は天気予報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザPC等に送信する送信手段と,2e 上記構成2aから構成2dを有したことを特徴とする地域ターゲティング広告及び天気予報を提供する装置。 別紙 被告方法等説明書(被告) 1 被告方法等の説明 被告方法は,インターネットを介して,地域ターゲティング広告および天気予報(ホームページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む)(以下,ユーザPC等という)に提供する方法であり,被告装置は,これを提供する装置である。 ●省略● 2 被告方法の構成したがって,被告方法の構成は,正しくは,次のとおりである。 1a インターネットを介して,地域ターゲティング広告および天気予報(ホームページ)をユーザのパー 被告方法の構成したがって,被告方法の構成は,正しくは,次のとおりである。 1a インターネットを介して,地域ターゲティング広告および天気予報(ホームページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む)(以下,ユーザPC等という)に提供する情報提供方法において,1b1’ ユーザPC等からインターネットへの接続要求があったときに,当該ユーザPC等に割り当てられたIPアドレス,及び,●省略●を用い, 1b2’ 前記ユーザPC等に割り当てられたIPアドレスから,●省略●に照らして関連地域を判別する第1の判別ステップと,1c 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応した地域ターゲティング広告または天気予報を選択する第1の選択ステップと,1d 前記選択された地域ターゲティング広告または天気予報を,前記IPアド レスが割り当てられたユーザPC等に送信する送信ステップと, 1e’ 上記構成1aから1dを有したことを特徴とする地域ターゲティング広告を提供する方法。 3 被告装置の構成また,被告装置の構成は,次のとおりである。 2a インターネットを介して,地域ターゲティング広告および天気予報(ホームページ)をユーザのパーソナルコンピュータ(ルータを含む)(以下,ユーザPC等という)に提供する情報提供装置において,2b1’ ユーザPC等からインターネットへの接続要求があったときに,当該 ユーザPC等に割り当てられたIPアドレス,及び,●省略●を用い,2b2’ 前記ユーザPC等に割り当てられたIPアドレスから,●省略●に照らして関連地域を判別する第1の判別手段と,2c 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応した地域 略●を用い,2b2’ 前記ユーザPC等に割り当てられたIPアドレスから,●省略●に照らして関連地域を判別する第1の判別手段と,2c 前記判別された地域に基づいて,該地域に対応した地域ターゲティング広告または天気予報を選択する第1の選択手段と, 2d 前記選択された地域ターゲティング広告または天気予報を,前記IPアドレスが割り当てられたユーザPC等に送信する送信手段と,2e’上記構成2aから2dを有したことを特徴とする地域ターゲティング広告を提供する装置。 売上高・損害額一覧表別紙 ●省略●

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