平成27(行ク)342 執行停止の申立て事件(本案・平成27年(行ウ)第601号 一般乗用旅客自動車運送事業停止処分取消請求事件)

裁判年月日・裁判所
平成27年10月15日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文11,127 文字)

平成27年(行ク)第342号執行停止の申立て事件(本案・平成27年(行ウ)第601号一般乗用旅客自動車運送事業停止処分取消請求事件) 主文 1 処分行政庁が申立人に対し平成27年9月29日付けでした,一般乗用旅客自動車運送事業の停止及び附帯命令(関自監旅第203号)の効力は,本案事件の第一審判決の言渡しまで停止する。 2 その余の本件申立てを却下する。 3 申立費用は相手方の負担とする。 理由 第1 申立ての趣旨処分行政庁が申立人に対し平成27年9月29日付けでした,一般乗用旅客自動車運送事業の停止及び附帯命令(関自監旅第203号)の効力は,本案事件の判決が確定するまで停止する。 第2 事案の概要 1 本案事件は,一般乗用旅客自動車運送事業者である申立人が,処分行政庁から,道路運送法及びこれに基づく命令である旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号。以下「運輸規則」という。)に違反したことを理由に,同法40条1号に基づく25日間の事業の停止に加え,同法41条1項に基づく事業用自動車の自動車検査証の返納等を命じる旨の処分を受けたのに対し,上記処分にはその裁量権を逸脱し又はこれを濫用した違法があるなどと主張して,その取消しを求める抗告訴訟(取消訴訟)である。 本件申立ては,申立人が,上記処分によって倒産を余儀なくされるから「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」などと主張して,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)25条2項に基づき,本案事件の判決が確定するまで, その効力を停止するよう求める事案(執行停止の申立て)である。 2 関係法令等の定め(1) 道路運送法関係する道路運送法の定めは,別紙2「関係法令等の定め」第1のとおりで まで, その効力を停止するよう求める事案(執行停止の申立て)である。 2 関係法令等の定め(1) 道路運送法関係する道路運送法の定めは,別紙2「関係法令等の定め」第1のとおりである。なお,道路運送法40条,41条に規定する国土交通大臣の権限は,地方運輸局長に委任されている(同法88条2項,道路運送法施行令1条2項)。 (2) 処分基準処分行政庁(関東運輸局長)は,道路運送法40条に基づく許可の取消し等に関する処分基準(行政手続法12条)として,平成21年9月30日付けで「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(以下「本件処分基準」という。)を定め,これを公示している(疎甲17の1,2,疎乙6)。 関係する本件処分基準の定めは,別紙2「関係法令等の定め」第2のとおりである。 3 前提事実一件記録によれば,以下の事実が一応認められる。なお,認定に用いた疎明資料は,その番号(特に断らない限り枝番を含む。)を各事実の末尾に括弧を付して掲げる(後記第3の1においても同様である。)。 (1) 申立人ア申立人は,一般乗用旅客自動車運送事業等を目的とし,千葉県浦安市α×番7号を本店とする,資本金1億円の株式会社である。申立人は,平成元年5月26日に有限会社として成立し,平成22年9月15日に株式会社に移行した。(疎甲1)イ申立人は,平成27年9月29日の時点で,事業用自動車37両を保有している。また,申立人は,同年10月5日の時点で,合計53名の従業 員(うち運転手43名)を雇用している。(疎甲7の1,疎甲13)(2) 申立人に対する一般乗用旅客自動車運送事業の免許等ア処分行政庁は,平成4年3月25日,申立人に対し,事業区域を千葉県京葉交通圏(市川市,船橋市,習 用している。(疎甲7の1,疎甲13)(2) 申立人に対する一般乗用旅客自動車運送事業の免許等ア処分行政庁は,平成4年3月25日,申立人に対し,事業区域を千葉県京葉交通圏(市川市,船橋市,習志野市,鎌ケ谷市,八千代市,浦安市),運輸開始当初における車両数を10両などとした上,ハイヤー運賃を適用する旅客の運送に限るなどの条件を付して,一般乗用旅客自動車運送事業の経営を免許した。(疎甲2)イ申立人は,平成26年6月19日,処分行政庁に対し,営業区域を下記の区域にも拡大することを内容とする一般乗用旅客自動車運送事業の事業計画の変更を申請した。処分行政庁は,同年8月12日,ハイヤー車両による運送に限るなどの条件を付して,上記申請を認可した。(疎甲5,6,19)記千葉県東葛交通圏(松戸市,柏市,流山市,野田市,我孫子市)千葉県千葉交通圏(千葉市,四街道市)千葉県北総交通圏(佐倉市,白井市,印西市,八街市,富里市,成田市,香取市,β町,γ町,δ町,ε町,ζ町,η町)(3) 申立人に対する監査の実施ア関東運輸局千葉支局の運輸企画専門官らは,道路運送法94条,自動車運送事業等監査規則(昭和30年運輸省令第70号)に基づき,平成26年6月6日及び同月13日,申立人の本社営業所において,一般監査(臨店)を実施した(以下「本件監査」という。)。(疎甲11,疎乙2,19)イ申立人は,本件監査の当時,合計30両の事業用自動車を配置していた。 (疎甲11,疎乙19)(4) 本件事業停止命令 ア処分行政庁は,平成27年6月30日,申立人について,道路運送法40条に基づく事業の停止を命じるため,国土交通省関東運輸局自動車監査指導部において,聴聞の手続を執った。(疎甲12,疎乙3,5)イ処分行政庁は,平成27 6月30日,申立人について,道路運送法40条に基づく事業の停止を命じるため,国土交通省関東運輸局自動車監査指導部において,聴聞の手続を執った。(疎甲12,疎乙3,5)イ処分行政庁は,平成27年9月29日,申立人に対し,本件処分基準による処分日車数が723日車(付加する違反点数が73点)に達したことを理由として,以下の①及び②をそれぞれ命じた(関自監旅第203号。 以下では,①に係る命令を「本件事業停止命令」といい,②に係る命令を「本件附帯命令」といい,これらを併せて「本件命令」という。)。(疎甲13)① 道路運送法40条1号に基づき,本社営業所における一般乗用旅客自動車運送事業(輸送施設として事業用自動車37両)を,同年10月16日から同年11月9日までの25日間,停止すること。 ② 道路運送法41条1項に基づき,事業用自動車37両(上記①参照)の自動車検査証を関東運輸局千葉運輸支局長に返納し,同車の自動車登録番号標及びその封印を取り外した上,その自動車登録番号標について同支局長の領置を受けるべきこと。 ウ本件事業停止命令の原因となった事実は,要旨,申立人が,本件監査の当時,以下の各違反行為をした(いずれも初違反)というものであった。(疎甲13)番号違反事実(適用条項)基準日車数 認可を受けた運賃・料金によらない運賃・料金を収受していたこと。(道路運送法9条の3第1項)20日車 発地及び着地のいずれもが営業区域外に存する運送を行っていたこと。【違反件数30件】(道路運送法20条)600日車 3 資格要件を備えていない者を運転管理補助者に選任してい警告 たこと。(道路運送法23条2項,運輸規則47条の9第3項) 運転者の 600日車 3 資格要件を備えていない者を運転管理補助者に選任してい警告 たこと。(道路運送法23条2項,運輸規則47条の9第3項) 運転者の過労防止に関する措置が,不適切であったこと。 【未遵守計6件】(道路運送法27条2項,運輸規則21条1項)16.5日車 点呼の実施及び実施結果の記録が不適切であったこと。【点呼回数100回に対する未実施件数31件】(中略)(道路運送法27条2項,運輸規則24条)16.5日車警告 乗務記録に虚偽の記載をしていたものがあったこと。(道路運送法27条2項,運輸規則25条)49.5日車 運転者に対する国土交通大臣が告示で定める輸送の安全確保についての指導監督が不適切であったこと。【告示1/2未満実施】(道路運送法27条2項,運輸規則38条1項)10日車 運転者に対する国土交通大臣が告示で定める特別な指導(高齢)が不適切であったこと。【告示1/2以上実施】(道路運送法27条2項,運輸規則38条2項)警告 運転者に対し,国土交通大臣が告示で定める適性診断(高齢)を受けさせていなかったこと。【未受診15名】(道路運送法27条2項,運輸規則38条2項)10日車 運転者証を直ちに返納していなかったこと。【未返納者17名中9名】(タクシー業務適正化特別措置法16条1項)警告 処分日車数 723日車(5) 本件訴えの提起等申立人は,平成27年10月8日,当裁判所に対し,本件命令の取消しを求める訴え(本案事件)を提起するとともに,同訴えの判決が確定するまで本件命令の効力の停止を求める旨の本 5) 本件訴えの提起等申立人は,平成27年10月8日,当裁判所に対し,本件命令の取消しを求める訴え(本案事件)を提起するとともに,同訴えの判決が確定するまで本件命令の効力の停止を求める旨の本件申立てをした。(顕著な事実) 4 当事者の主張本件申立てについての申立人の主張は,要旨,別紙4「執行停止申立書」(写し)のとおりである。これに対する相手方の主張は,別紙5「意見書」(写し)のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実一件記録によれば,以下の事実が一応認められる。 (1) 申立人における売上の状況ア申立人の平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度(以下「平成27年6月期」といい,他の事業年度の表記もこれに従う。)における売上高合計は3億2377万1679円であり,その内訳は以下のとおり(かっこ内は売上高合計に占める割合)であった。(疎甲3,8)ハイヤー運送事業 1億4903万2230円(約46.03%)タクシー運送事業 1億6786万4448円(約51.85%)その他の事業 687万5001円(約 2.12%)イ申立人の平成24年から平成26年までにおける10月及び11月の売上高は,以下のとおりであった。(疎甲8~10)平成24年10月 2945万9000円同年11月 2245万4000円平成25年10月 2413万4000円同年11月 2299万4000円平成26年10月 2967万3000円同年11月 2594万0000円(2) 申立人における財務の状況ア申立人の平成25年6月期から平成27年6月期における当期純損益の推移は,以下のとおりであった。(疎甲8~10) 平成25年6月期 ▲ 777万3 2) 申立人における財務の状況ア申立人の平成25年6月期から平成27年6月期における当期純損益の推移は,以下のとおりであった。(疎甲8~10) 平成25年6月期 ▲ 777万3884円平成26年6月期 ▲1014万5702円平成27年6月期 ▲1056万3071円イ申立人の平成25年6月期から平成27年6月期の各期末における純資産の推移は,以下のとおりであった。(疎甲8~10)平成25年6月期 ▲4260万9823円平成26年6月期 ▲5275万5525円平成27年6月期 ▲6331万8596円ウ申立人の平成25年6月期から平成27年6月期の各期末における負債の推移は,以下のとおりであった。(疎甲8~10)平成25年6月期 1億1515万7504円平成26年6月期 1億2470万9131円平成27年6月期 1億6289万1572円エ申立人の平成25年6月期から平成27年6月期の各期末における現金及び預金の推移は,以下のとおりであった。(疎甲8~10)平成25年6月期 896万0438円平成26年6月期 991万6342円平成27年6月期 355万9563円(3) 申立人による他社との契約関係の状況ア申立人は,現在,A株式会社及びその関係会社(B株式会社等)並びに株式会社C等との間で,申立人がこれら各社の顧客に運輸サービスを提供することなどを内容とする契約関係にある。これらの契約は,契約の履行上生じた損害に対する責任は,その帰属の明確なものはその当事者が負うものと定めている。(疎甲8,23~25)イ申立人は,現在,株式会社Dとの間で,申立人が同社の運行乗務員等の輸送業務を行うことなどを内容とする契約関係にある。同契約 明確なものはその当事者が負うものと定めている。(疎甲8,23~25)イ申立人は,現在,株式会社Dとの間で,申立人が同社の運行乗務員等の輸送業務を行うことなどを内容とする契約関係にある。同契約は,① 申 立人が,契約の履行に際し同社に損害を与えた場合には,その損害賠償の責に任ずる,② 申立人が,同社の認めない行為を行った場合には,直ちに契約を解除することができるものと定めている。(疎甲8,27) 2 執行停止の必要性について(1) 判断基準処分の効力は,処分の取消しの訴えの提起があっただけで妨げられるものではないのが原則である(行訴法25条1項)が,処分により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に,その全部又は一部を停止することができる(同条2項)。そして,「重大な損害」を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされている(同条3項)。 上記でみた行訴法25条の仕組み及び文言に鑑みると,同条2項にいう「重大な損害」を生ずるか否かは,当該処分によって申立人が被る不利益(損害の回復の困難の程度,損害の性質及び程度)を考慮するとともに,当該処分による行政目的を達成する必要性(処分の内容及び性質)をも勘案した上,上記行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなお申立人を救済する必要があるか否かを,社会通念に従って判断するのが相当である。 以上を踏まえ,本件申立てが,本件命令により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に当たるか否かを検討する。 (2) 本件における検討ア申立人が被る不利益認定事実によれば,直近の事業年度である平成27年6月期の申立人においては,一般乗用旅客自動車運送 必要があるとき」に当たるか否かを検討する。 (2) 本件における検討ア申立人が被る不利益認定事実によれば,直近の事業年度である平成27年6月期の申立人においては,一般乗用旅客自動車運送事業(ハイヤー運送事業及びタクシー運送事業)の売上が,売上高全体の約97.88%を占めていたことが認められる。そして,直近3年間(平成24年から平成26年まで)の10 月及び11月における申立人の売上高の平均は,約2577万6000円(1000円未満四捨五入)であったことが認められる。そうすると,申立人は,平成27年10月16日から同年11月9日まで25日間の事業の停止を内容とする本件命令により,2000万円を超える売上を逸失することが予想される(計算式:2577万6000円×97.88%×25日/30日≒2102万4624円)。 しかるところ,認定事実のとおり,申立人は,直近の事業年度である平成27年6月期において,当期純損失の額が1000万円を超える状態にあるとともに,その末日において,純資産が6000万円のマイナスという債務超過の状態にあったことが認められる。しかも,同日において,現金及び預金が400万円に満たない状態にあったのに対し,負債の総額が1億6000万円を超える状態にあったことが認められる。 そうすると,本件命令により申立人の保有する全ての事業用自動車による事業が停止した場合には,2000万円を超えるものと予想される売上を逸失するのみならず,その影響を受けて爾後の資金繰りが悪化し倒産するおそれが生じることを否定することはできない。 加えて,認定事実によれば,申立人は,複数の会社との間で,申立人が継続的に輸送サービスを提供する旨の契約関係にあることが認められるが,本件命令により申立人の事業が停止した場合には, はできない。 加えて,認定事実によれば,申立人は,複数の会社との間で,申立人が継続的に輸送サービスを提供する旨の契約関係にあることが認められるが,本件命令により申立人の事業が停止した場合には,申立人は,上記会社から,これによって生じた損害を賠償する責任を追求され又は同契約が解除されるなど,上記会社との間の業務上の信頼関係等が毀損されるおそれがあり,その場合には,今後の事業の遂行に著しい支障を来すことにもなる。 以上によれば,本件命令によって申立人が被る不利益は,経済的なものであって,究極的にみれば金銭賠償が可能なものではあるが,倒産を引き起こすおそれの高い資金繰りの悪化に加え,今後の事業遂行に著しい支障 を来すおそれのある業務上の信頼関係の毀損をも伴うものであって,容易には回復し難いものというべきである。 イ行政目的を達成する必要性道路運送法は,道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護を図ることなどを目的とするものである(同法1条参照)。そして,同法40条1号に基づく事業停止命令は,同法及びこれに基づく命令に違反した一般旅客自動車運送事業者に対して事業の停止を命じることにより,上記目的の実現を担保するものであると解される。さらに,同法41条1項に基づく自動車検査証の返納命令及び自動車登録番号標の領置命令は,事業の停止を命じられた事業者が事業用自動車を使用することができないようにすることにより,同命令の実効性を担保するものであると解される。 上記によれば,道路運送法40条1号,41条1項に基づく本件命令は,一般乗用旅客自動車運送事業における輸送の安全を確保し,その利用者の利益の保護を図ることを目的とするものと解される。そして,その目的自体 よれば,道路運送法40条1号,41条1項に基づく本件命令は,一般乗用旅客自動車運送事業における輸送の安全を確保し,その利用者の利益の保護を図ることを目的とするものと解される。そして,その目的自体は,重要な公益に関するものであることは明らかである。 しかし,他方で,一件記録に照らせば,本件命令の原因となった申立人の具体的な違反行為(前提事実(4)ウ参照)は,輸送の安全等に対する抽象的な危険をもたらす段階にとどまるものであることがうかがわれること,また,本件命令の主要な原因となった番号2の違反行為(発地及び着地のいずれもが営業区域外に存する運送を行っていたこと)については,速やかに営業区域の拡大に係る申請が行われ,本件命令が発せられる約1年前の段階でそれが認可され,是正が行われていること(前提事実(2)イ,(3)ア及び(4)イ参照)を勘案すれば,本件命令の効力を停止したとしても,上記行政目的の実現に著しい支障が生じるとは直ちにはいい難い。 ウ以上によれば,本件命令によって申立人が被る不利益は,事業の一時的 な停止期間における経済的利益の損失にとどまらず,倒産を引き起こすおそれのある資金繰りの悪化や,今後の事業の遂行に著しい支障を来すおそれのある業務上の信頼関係の毀損をも伴うものであり,容易には回復し難いものである。他方,本件命令の効力を停止しても,一般乗用旅客自動車運送事業における輸送の安全を確保するという行政目的の実現に著しい支障が生じるとは直ちにはいい難い。 これらを総合的に考慮すれば,本件命令による行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなお申立人を救済する必要があるといえ,したがって,本件命令により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」(行訴法25条2項)と認められる。 3 その余の要件について( に犠牲にしてもなお申立人を救済する必要があるといえ,したがって,本件命令により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」(行訴法25条2項)と認められる。 3 その余の要件について(1) 申立人の勝訴の見込み相手方は,本件命令は適法であるから,本件申立ては「本案について理由がないとみえるとき」(行訴法25条4項)に当たるのであって,本件命令の効力を停止することはできないと主張する。 しかし,現時点において,申立人の本案(本件命令の適法性)に関する主張立証の全体像が,必ずしも明らかとなっていない。特に,前提事実(4)ウ番号2の違反行為(道路運送法20条違反)については,基準日車数(600日車)が処分日車数(723日車)の約83%を占めており,本件命令の適法性を左右するものであるところ,本案の審理を経ていない現時点において,これに関する申立人の主張の当否について判断することは困難といわざるを得ない。 したがって,本件命令の適法性が,本案事件における審理を経るまでもなく明らかであるとまでは断じ難い。 (2) 公共の福祉に及ぼす影響相手方は,本件申立ては「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある とき」(行訴法25条4項)に当たるから,本件命令の効力を停止することはできないと主張するが,上記2で説示したところに照らしても,上記おそれを基礎付ける事情は見当たらない。 4 執行停止の期間について申立人は,本件命令の効力を,本案判決が確定するまで停止するよう求めている。しかし,現時点での本案に関する主張立証の状況に鑑みると,本件命令の効力は,本案事件の第一審判決の言渡しまで停止するにとどめ,その後もこの状態を維持すべきか否かについては,同判決の結論を踏まえた上で,改めて検討するのが相当である。 の状況に鑑みると,本件命令の効力は,本案事件の第一審判決の言渡しまで停止するにとどめ,その後もこの状態を維持すべきか否かについては,同判決の結論を踏まえた上で,改めて検討するのが相当である。 したがって,現時点においては,本件命令の効力は,本案事件の第一審判決の言渡しまでの間に限り,これを停止するのが相当である。 5 結論以上によれば,本件申立ては,本件命令の効力を本案事件の第一審判決の言渡しまで停止するよう求める限度で理由があるから,これを認容すべきであるが,その余は理由がないから,これを却下すべきである。 よって,申立費用の負担につき行訴法7条,民訴法61条を適用の上,主文のとおり決定する。 平成27年10月15日東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官谷口豊 裁判官和久一彦 裁判官大西正悟 (別紙2)関係法令等の定め 1 道路運送法(禁止行為)20条一般旅客自動車運送事業者は,発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送(路線を定めて行うものを除く。)をしてはならない。 (許可の取消し等)40条国土交通大臣は,一般旅客自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,6月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ,又は許可を取り消すことができる。 一この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。 二以下略41条1項国土交通大臣は,前条の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じたときは,当該事業用自動車の道路運送車両法 は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。 二以下略41条1項国土交通大臣は,前条の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じたときは,当該事業用自動車の道路運送車両法による自動車検査証を国土交通大臣に返納し,又は当該事業用自動車の同法による自動車登録番号標及びその封印を取り外した上,その自動車登録番号標について国土交通大臣の領置を受けるべきことを命ずることができる。 2 一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について(本件処分基準)1.通則(2) 行政処分等を行う場合において,違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等がない場合における当該違反を「初違反」といい,違反を確認した日から過去3年以内に同一営業所において同一の違反による行政処分等を1度受けている場合の当該違反を「再違反」とい…う。 (5) 事業者に対する行政処分等は,この通達の本文及び別表第1(注)に定める違反事項ごとの行政処分等の量定(以下「基準日車等」という。)に基づき行うものとする。 (注)別紙3のとおりである。 (9) 違反行為を防止するために相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があった場合は,当該違反行為について(5)から(7)までの基準による行政処分等を軽減することができる。この場合,軽減は原則として(5)から(7)までの基準による基準日車等の2分の1を下回らないもの((5)から(7)までの基準による基準日車等が10日車である場合は警告)とする。 2.法令違反に係る点数制度(1) 行政処分を行う事業者には,1.(5)から(10)までの規定に基づいて算出した基準日車数等の合計(以下「処分日車数」という。)が10日車までごとに1点とする違反点数を付すも に係る点数制度(1) 行政処分を行う事業者には,1.(5)から(10)までの規定に基づいて算出した基準日車数等の合計(以下「処分日車数」という。)が10日車までごとに1点とする違反点数を付すものとする。 3.自動車等の使用停止処分(3) 行政処分等に係る処分日車数は,1.(5)から(10)までの規定に基づいて決定するものとする。この場合,2以上の違反がある場合は基準日車等を合算したものとする。 なお,算出された処分日車数に1日車未満の端数がある場合は,処分日車数を整数に切り上げるものとする。 (6) (1)又は(2)の処分を行うときは,法第41条第1項…の規定に基づいて,当該事業用自動車の自動車検査証の返納及び自動車登録番号標…の領置を併せて行うものとする。(以下略)4.事業の停止処分(1) 事業の停止処分は,次の①から④までのいずれかに該当することとなった場合…に,当該違反営業所等に対して行うものとする。 なお,①から③までの累積点数による事業の停止処分は6月以内の期間を定めて行う…ものとする。 ① 違反点数の付与により,一の支局区域における違反点数の累計(以下「累積点数」という。)が51点以上となった場合②以下略(2) (1)①から③までの場合の事業の停止期間は,3.(3)による処分日車数を当該営業所に所属する事業用自動車数(当該事業の停止処分に該当することとなった当該違反を確認した日の事業用自動車数による。)で除した日数とする。この場合において,1日未満の端数は1日に切り上げるものとする。 (10) 3.(6)の規定は,事業の停止処分を行う場合について準用する。 (10) 3.(6)の規定は,事業の停止処分を行う場合について準用する。

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