平成24(行ケ)10018 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年10月10日 知的財産高等裁判所 2部 判決 審決取消
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判決文本文45,078 文字)

- 1 -平成24年10月10日判決言渡平成24年(行ケ)第10018号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年9月26日判決 原告三洋電機株式会社 訴訟代理人弁護士尾崎英男上野潤一弁理士吉田研二石田純 被告シャープ株式会社 訴訟代理人弁護士永島孝明安國忠彦明石幸二郎朝吹英太安友雄一郎弁理士磯田志郎上田忠 主文 特許庁が無効2011-800065号事件について平成23年12月21日にした審決のうち,「特許第4353660号の請求項1,3ないし6に係る発明についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。 - 2 -訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた判決主文同旨 第2 事案の概要本件は,被告の請求に基づき原告の特許を無効とした審決の取消訴訟である。争点は,補正の適法性(補正が願書に最初に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたか),特許法36条6項1号該当性(サポート要件),及び進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯原告は,平成13年7月27日,名称を「アクテ 面に記載した事項の範囲内においてなされたか),特許法36条6項1号該当性(サポート要件),及び進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯原告は,平成13年7月27日,名称を「アクティブマトリクス型表示装置」とする発明につき特許出願をし(特願2001-228043号),平成21年6月15日付けで補正(本件補正)を行い(甲3の3),平成21年8月7日,特許登録を受けた(特許第4353660号,特許公報は甲1)。 これに対し,被告は,平成23年4月18日,本件特許の請求項1~6につき無効審判を請求し(無効2011-800065号),その中で原告は,平成23年7月15日付けで訂正請求をした(甲17)。 特許庁は,平成23年12月21日,「訂正を認める。特許第4353660号の請求項1,3ないし6に係る発明についての特許を無効とする。特許第4353660号の請求項2に係る発明についての審判請求は成り立たない。」旨の審決をし,その謄本は平成23年12月29日原告に送達された。 2 本件発明の要旨【訂正後の請求項1】(本件発明1) - 3 -「A 行方向に複数形成され,ゲート電圧を伝達するゲートラインと,列方向に複数形成され,信号電圧を伝達するドレインラインと,行方向に複数形成される補助容量ラインと,前記ゲートライン及び前記ドレインラインの交点に対応して配置されるスイッチング素子と,前記スイッチング素子を介してドレインラインに接続され,液晶を駆動する画素電極と,前記補助容量ラインに連結され,前記画素電極と共に信号電圧を保持する補助容量とを有するアクティブマトリクス型表示装置において,B 前記補助容量ラインは,前記画素電極が配置される表示領域内において列方向に形成される補助容量連結ラインによって,他の前記 保持する補助容量とを有するアクティブマトリクス型表示装置において,B 前記補助容量ラインは,前記画素電極が配置される表示領域内において列方向に形成される補助容量連結ラインによって,他の前記補助容量ラインと電気的に接続され,C 前記アクティブマトリクス型表示装置は,赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置であり,D 前記補助容量は,前記補助容量ラインに連結された補助容量電極と,前記スイッチング素子を介して信号電圧が供給される補助容量電極とで形成され,前記信号電圧が供給される補助容量電極は画素電極を構成するものではなく,E 前記補助容量連結ラインは,前記画素領域の列の3つにつき1つ配列され,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成され,かつ,画素電極と重畳するF ことを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。」(下線は訂正部分。A~Fの項分けは,主張整理の便宜上付したもの)【訂正後の請求項2】(本件発明2)「前記特定の色は緑であることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。」【訂正後の請求項3】(本件発明3)「前記補助容量連結ラインは,全ての前記補助容量ラインに接続されることを特 - 4 -徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」【訂正後の請求項4】(本件発明4)「1本の前記補助容量ラインは少なくとも1本の前記補助容量連結ラインに接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」【訂正後の請求項5】(本件発明5)「前記補助容量ラインは,前記ゲートラインと同 に接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」【訂正後の請求項5】(本件発明5)「前記補助容量ラインは,前記ゲートラインと同じ層に形成され,前記補助容量連結ラインは,前記ドレインラインと同じ層に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」【訂正後の請求項6】(本件発明6)「前記表示領域の外部に,前記補助容量ラインの端部に電気的に接続された補助容量バスラインを有し,前記補助容量連結ラインは,前記補助容量バスラインに電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」 3 被告が審判で主張した無効理由(1) 無効理由1(本件発明1,3~6について)本件補正は,当初明細書等の記載の範囲を超える不適法なものであるから,本件特許のうち請求項1,3~6に係る特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした出願についてされたものであり,同法123条1項1号の規定により無効とすべきものである。 (2) 無効理由2(本件発明1,3~6について)本件特許のうち請求項1,3~6に係る特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであるから,同法123条1項4号の規定により無効とすべきものである。 - 5 -(3) 無効理由3(本件発明1~6について)本件特許のうち請求項1~6に係る特許は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4) 無効理由4(本件発明1,3~6について)本件特許のうち請求項1,3~6に係る特許は,特許法29条の2の規 許は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4) 無効理由4(本件発明1,3~6について)本件特許のうち請求項1,3~6に係る特許は,特許法29条の2の規定により特許を受けることができないものである。 4 審決の理由の要点(1) 無効理由1について本件発明1,3~6は,「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される,カラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置」(技術的事項A)という技術的事項を含む発明であるところ,本件補正は,技術的事項Aを導入する補正である。 「特定の色を表示する画素電極を有する画素領域のみに選択的に形成する」という事項について,本件出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に直接的な記載を認めることができないことから,技術的事項Aが,当初明細書等の記載(段落【0027】~【0032】,【0040】,【0041】及び図3,4)から把握できる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものか否かについて検討すると,段落【0032】には,補助容量連結ラインを画素領域に選択的に配置することについて,「緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置」することが記載され,その理由として,段落【0031】~【0032】では,赤(R),緑(G),青(B)という光の3原色のうち,人間の目は緑に対する感度が特に高く,他の2色に対する感度は低いため,補助容量連結ラインによって画素電極の開口率が低下して緑の輝度が他の2色に比べて多少低くなっても,人間の目には暗いと認識されないため - 6 -である,と説明されている。そして る感度は低いため,補助容量連結ラインによって画素電極の開口率が低下して緑の輝度が他の2色に比べて多少低くなっても,人間の目には暗いと認識されないため - 6 -である,と説明されている。そして,その作用効果として,段落【0041】に「緑の輝度を他の2色より低くすることにより,他の2色に比べて緑に対する感度が高い人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供することができる」と記載されている。そうすると,これらの記載から,補助容量連結ラインを画素領域に選択的に配置することについて,人間の目の色に対する感度を勘案すると,「緑」の画素領域上に選択的に配置することが良く,その他の色を選択した場合には人間の目には暗いと認識され,人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示を提供することができなくなってしまう,という技術的事項を把握することができる。してみると,これらの記載からは,補助容量連結ラインを画素領域に選択的に配置することについて,緑以外の他の2色の画素領域を選択するという技術的事項を把握できないばかりでなく,緑以外の他の2色の画素領域を選択すると,「人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供すること」ができなくなってしまうのであるから,緑以外の他の2色の画素領域を選択することについては阻害されているというべきである。 この点に関して,被請求人(原告)は,段落【0028】に,各画素領域が列単位で赤,緑,青のいずれかの色を表示するストライプ状配列であることが記載され,段落【0029】に,補助容量連結ラインが3本につき1本配置されることが記載されているので,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域に配置することは当初明細書等の記載の範囲内にあるという趣旨の主張をしている 連結ラインが3本につき1本配置されることが記載されているので,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域に配置することは当初明細書等の記載の範囲内にあるという趣旨の主張をしているが,訂正特許発明1の「ストライプ状に配列」することは,RGBが一定の周期で出現する配列のみを意味するものではなく,例えば,特開平10-54959号公報の段落【0116】及び図67に記載されているような「RGB/BGR/RGB・・・」の配置のように,画素の色が異なる周期で現れるものもストライプ状配列としてよく知られているから,当初明細書等にストライプ状配列が記載され,かつ,補助容量連結ラインが3本につき1本配置されることが記載されていることのみをもって,画素領域の色の配列パターンと補助容量連結ラインの配列パターンと - 7 -を関連付けて,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する,という技術的事項を把握することはできない。したがって,段落【0028】に,各画素領域が列単位で赤,緑,青のいずれかの色を表示するストライプ状配列であることが記載され,段落【0029】に,補助容量連結ラインが,3本につき1本配置されることが記載されているとしても,当初明細書等の記載を総合すれば,そこに記載された「3本につき1本配置」するとは,「緑」を表示する画素領域に配置するという技術的事項を把握することができるにすぎないから,技術的事項Aは,当初明細書等の記載事項から把握することができない技術的事項である。 よって,本件補正は,当初明細書等の記載事項から把握することができる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないから,当該補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであ 当初明細書等の記載事項から把握することができる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないから,当該補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであるとはいえない。 (2) 無効理由2について本件発明1から技術的事項Aが把握されるところ,訂正明細書の発明の詳細な説明の記載事項から技術的事項Aまで拡張ないし一般化することはできず,訂正明細書の発明の詳細な説明の記載は,技術的事項Aを含む本件発明1,3~6についてサポートしているとはいえない。よって,本件発明1,3~6は発明の詳細な説明に記載したものではない。 (3) 無効理由3についてア甲第4号証(特開平5-241188号公報,甲4)には,実質的に次の発明(引用発明)が記載されていることが認められる。 「(a)アドレスパルスが印加される複数のスキャンバスラインと,(b)スキャンバスラインと交叉するように設けられ,データ電圧が印加される複数のデータバスラインと,(c)スキャンバスラインと平行に設けられた複数の蓄積容量バスラインと, - 8 -(d)画素内に設けられ,スキャンバスライン及びデータバスラインに接続されたスイッチング素子と,(e)スイッチング素子を介してデータバスラインに接続される画素電極と,(f)蓄積容量バスラインに接続され,データバスラインから印加されるデータ電圧を,画素電極と共通電極間に形成される液晶セル容量と共に保持する蓄積容量とを有するアクティブマトリクス形表示装置であって,(g)マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所の接続電極で接続し,(i)蓄積容量は,蓄積容量バスラインに接続 ス形表示装置であって,(g)マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所の接続電極で接続し,(i)蓄積容量は,蓄積容量バスラインに接続された蓄積容量電極と画素電極とで形成されており,(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている,(k)アクティブマトリクス形表示装置。」イ本件発明1について① 本件発明1と引用発明の一致点と相違点は次のとおりである。 【一致点】「(A)行方向に複数形成され,ゲート電圧を伝達するゲートラインと,(B)列方向に複数形成され,信号電圧を伝達するドレインラインと,(C)行方向に複数形成される補助容量ラインと,(D)前記ゲートライン及び前記ドレインラインの交点に対応して配置されるスイッチング素子と,(E)前記スイッチング素子を介してドレインラインに接続され,液晶を駆動する画素電極と,(F)前記補助容量ラインに連結され,前記画素電極と共に信号電圧を保持する補助容量とを有するアクティブマトリクス型表示装置において,(G)前記補助容量ラインは,前記画素電極が配置される表示領域内において列方向に形成される補助容量連結ラインによって,他の前記補助容量ラインと電気的に - 9 -接続され,(I’)前記補助容量は,前記補助容量ラインに連結された補助容量電極と,前記スイッチング素子を介して信号電圧が供給される補助容量電極とで形成され,(J’)前記補助容量連結ラインは,画素領域の列の複数につき1つ配列される(K)アクティブマトリクス型表示装置。」【相違点1】表示装置の基本構造に関して,本件発明1は,「赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行うアクテ (K)アクティブマトリクス型表示装置。」【相違点1】表示装置の基本構造に関して,本件発明1は,「赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置」と限定しているのに対して,引用発明はそのような限定をしておらず,同時に,「補助容量連結ライン」に関して,本件発明1は,「画素領域の列の3つにつき1つ配列され,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成され」るのに対して,引用発明は,接続電極を形成する間隔を限定せず,接続電極を特定の色の画素領域に形成するともしていない点。 【相違点2】「補助容量連結ライン」と「画素電極」との位置関係に関して,本件発明1は,「補助容量連結ライン」は「画素電極と重畳する」のに対して,引用発明は,接続電極と画素電極とを重畳させるとはしていない点。 【相違点3】「補助容量」の構造に関して,本件発明1は,「信号電圧が供給される補助容量電極は画素電極を構成するものではな」いと限定しているのに対して,引用発明は,蓄積容量を構成するデータ電圧が印加される電極が画素電極である点。 ② 以下の理由により,本件発明1は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 a 相違点1について表現能力向上のため,表示装置でカラー表示を行うことは極めてよく知られた技術的課題であり,その解決手段として,赤,緑,青の三原色の画素領域を赤,緑, - 10 -青の一定周期で列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行うことは,例示するまでもなく,周知慣用の構成である。また,引用発明において,接続電極を形成する間隔は,当業者が適宜に設定し得る設計的事項にすぎず,3画素ごとに でストライプ状に配列してカラー表示を行うことは,例示するまでもなく,周知慣用の構成である。また,引用発明において,接続電極を形成する間隔は,当業者が適宜に設定し得る設計的事項にすぎず,3画素ごとに1つ形成するようにすることも,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 そして,単に上記周知慣用の構成を採用し,かつ,設計的事項である接続電極を形成する間隔について3画素ごとに1つとすれば,結果として,緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域に接続電極が配置された状態となることは自明である。さらに,当初明細書等の記載からは,画素領域の色の配列パターンと補助容量連結ラインの配列パターンとを関連付けて,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する,という技術的事項は把握できないのだから,緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域に補助容量連結ラインに配置される構成について,特定の色の画素領域と補助容量連結ラインの配置関係に格別の技術的意味を認めることはできない。 b 相違点2について蓄積容量バスライン(補助容量ライン)間を接続する電極を,画素電極と重畳する位置に配置することは,周知の技術に過ぎない(例えば,甲第9~10号証参照。)。 引用発明において,当該周知の技術を採用することは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 被請求人(原告)は,甲第4号証の「接続電極(71)は隣接する画素電極(41),(42)の間隙に配置することにより,画素部の光の透過特性に影響を与えないようにすると同時に,接続電極(71)と画素電極(41),(42)間の近接や重畳による寄生容量の発生を防いでいる」との記載等を根拠として,接続電極と画素電極とを重畳させることに阻害要因があるという趣旨の主 すると同時に,接続電極(71)と画素電極(41),(42)間の近接や重畳による寄生容量の発生を防いでいる」との記載等を根拠として,接続電極と画素電極とを重畳させることに阻害要因があるという趣旨の主張をしているが,当該記載は,一実施例についての記載に過ぎず,甲第4号証に記載された技術的事項の全趣旨からしても,蓄積容量バスライン間を接続電極で接続することが主眼であって,接続電極と画素電極とを近接や重畳させないことは必須の要件ではなく,従来 - 11 -から使用されている周知構成を採用できないと解釈すべき理由はない。また,この点に関しては,本件発明1も同様の問題(補助容量連結ラインが配置された画素領域における光透過特性の悪化や寄生容量の発生)を抱えていることは同じであり,その問題を解決する特別な技術手段を有する訳でもないから,被請求人(原告)の主張は採用できない。 c 相違点3について蓄積容量(補助容量)を構成する電極を画素電極とは別体に構成することは,周知の技術(例えば,甲第9号証~甲第12号証)に過ぎないから,引用発明に当該周知の技術を採用することは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 d 作用効果について本件発明1の奏する作用効果は,引用発明及び周知の技術から予測できる範囲のものであり,格別のものということができない。赤や青の画素位置に「補助容量連結ライン」が配置されたことによって格別の作用効果が生じることはなく,「補助容量連結ライン」が画素電極と重畳したり,「補助容量」の電極が画素電極とは別体であることについても,周知構成の域を出ず,周知構成の既知の作用効果が奏されるのみであり,それらの構成を組み合わせたことによる相乗的な作用効果も認められない。 ウ本 が画素電極とは別体であることについても,周知構成の域を出ず,周知構成の既知の作用効果が奏されるのみであり,それらの構成を組み合わせたことによる相乗的な作用効果も認められない。 ウ本件発明3について① 本件発明3と引用発明は,上記相違点1~3に加えて,以下の相違点4で相違し,その余の点では一致している。 【相違点4】「補助容量ライン」と「補助容量連結ライン」との接続に関して,本件発明3は,「補助容量連結ラインは,全ての補助容量ラインに接続される」とするのに対して,引用発明は,接続電極がすべての補助容量バスラインに接続されるとは限定していない点 - 12 -② 相違点4について甲第4号証の段落【0013】の記載からして,接続電極は,蓄積容量バスライン同士を接続することで,蓄積容量バスラインが接続された電圧源からの電流の供給を複数のパスから同時に行うためのものであるから,当該パスの数を最大限に増やす,すなわち,接続電極がすべての蓄積容量バスラインに接続されるようにすることは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 エ本件発明4について① 本件発明4と引用発明は,上記相違点1~3に加えて,以下の相違点5で相違し,その余の点では一致している。 【相違点5】「補助容量ライン」と「補助容量連結ライン」との接続に関して,本件発明4は,「1本の補助容量ラインは少なくとも1本の補助容量連結ラインに接続されている」とするのに対して,引用発明は,1本の蓄積容量バスラインが少なくとも1本の接続電極に接続されるとは限定していない点② 相違点5について甲第4号証の段落【0013】の記載からして,接続電極は,蓄積容量バスライン同士を接続することで,蓄積容 くとも1本の接続電極に接続されるとは限定していない点② 相違点5について甲第4号証の段落【0013】の記載からして,接続電極は,蓄積容量バスライン同士を接続することで,蓄積容量バスラインが接続された電圧源からの電流の供給を複数のパスから同時に行うためのものであるから,1つの蓄積容量バス欄に少なくとも1つの接続電極が接続されて,複数のパスが必ず形成されるようにすることは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 オ本件発明5について① 本件発明5と引用発明は,上記相違点1~3に加えて,以下の相違点6で相違し,その余の点では一致している。 【相違点6】「補助容量ライン」と「補助容量連結ライン」を形成する層に関して,訂正特許発明5は,「補助容量ラインは,ゲートラインと同じ層に形成され,補助容量連結ラ - 13 -インは,ドレインラインと同じ層に形成される」とするのに対して,引用発明は,蓄積容量バスラインと接続電極を形成する層を限定していない点② 相違点6について甲第5号証(特開平10-239699号公報)に,共通配線(引用発明の蓄積容量バスラインに対応)をゲートラインと同じ層に形成し,共通配線と接続される網目用配線(引用発明の接続電極に対応)をソースライン(引用発明のデータバスラインに対応)と同じ層に形成する構成が記載されており,引用発明に当該構成を採用することは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではない。 カ本件発明6について① 本件発明6と引用発明は,上記相違点1~3に加えて,以下の相違点7で相違し,その余の点では一致している。 【相違点7】本件発明6は,「表示領域の外部に,補助容量ラインの端部に電気的に接続された補助容量バスラインを有 記相違点1~3に加えて,以下の相違点7で相違し,その余の点では一致している。 【相違点7】本件発明6は,「表示領域の外部に,補助容量ラインの端部に電気的に接続された補助容量バスラインを有し,補助容量連結ラインは,前記補助容量バスラインに電気的に接続される」とするのに対して,引用発明は,表示領域の外部に「補助容量バスライン」を設けるのか否かが明確ではない点② 相違点7について甲第4号証の図1の記載からして,蓄積容量バスラインの端部は共通の配線に接続されることが読み取れ,接続電極と当該共通の配線は,蓄積容量バスラインを介して電気的に接続されていることは明らかである。そして,当該共通の配線が画像表示を阻害しないように,表示領域の外部に配置することは,当業者であれば容易に想到することである。 また,甲第6号証(特開平9-160075号公報)に,液晶表示領域の周縁に,行方向リング配線と列方向リング配線とを形成し,補助容量配線ユニットと接続配線部とをそれぞれ行方向リング配線と列方向リング配線に接続する構成が記載されており,引用発明に当該構成を採用することは,当業者であれば容易になし得るこ - 14 -とである。 キ本件発明2について① 本件発明2と引用発明は,上記相違点1~3に加えて,以下の相違点8で相違し,その余の点では一致している。 【相違点8】「補助容量連結ライン」を形成する箇所に関して,本件発明2は,「緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成」するのに対して,引用発明は,接続電極を緑の画素領域に形成するとはしていない点。 ② 相違点8について「補助容量連結ライン」を「緑色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成する」という構成 明は,接続電極を緑の画素領域に形成するとはしていない点。 ② 相違点8について「補助容量連結ライン」を「緑色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成する」という構成は,甲第4号証~甲第6号証及び甲第9号証~甲第12号証のいずれにも開示も示唆もされておらず,周知技術や慣用手段であるとも認められないから,引用発明において,接続電極を緑色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成することは,当業者であっても容易に想到し得ることではない。 (4) 無効理由4について無効理由1~3により,無効理由4について検討するまでもなく,本件発明1,3~6についての特許は無効とすべきものである。本件発明2についての特許は,無効理由4の対象となっていない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(無効理由1〔新規事項の追加〕についての判断の誤り)(1) 技術的事項Aの記載の根拠となるのは段落【0028】~【0030】及び図3,4であるところ,段落【0028】には,「図3に示されるR,G,Bは,それぞれの列の画素領域12が表示する色であり,Rが(赤),Gが(緑),Bが(青)である。なお,本実施形態において,各画素領域12は,各画素領域12に対応し - 15 -て形成された図示しない赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタにより,列単位で赤(R),緑(G),青(B)のいずれかの色を表示するストライプ状配列である」と記載されている(引用する明細書の記載は,訂正請求により誤記等を訂正した後の記載である。)。この記載から,段落【0028】から始まる第2の実施形態では,ストライプ状配列という画素配列に着目していること明らかである。ここで,当業者が通常理解する「ストライプ状配列」という言 の記載である。)。この記載から,段落【0028】から始まる第2の実施形態では,ストライプ状配列という画素配列に着目していること明らかである。ここで,当業者が通常理解する「ストライプ状配列」という言葉の意味は,赤の列,緑の列,青の列(RGB)が所定の順に繰り返し配置される配列のことである(甲13~15)。そして,段落【0028】を受けた段落【0029】には「各列に補助容量連結ライン16は配置されておらず,ドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン16が配置され」と記載され,補助容量連結ラインはストライプ状配列の全ての列に対して設けられてはおらず,ドレインラインの3本につき1本の隣に補助容量連結ラインを配置することが明記されている。ドレインラインは,ストライプ状配列の各列に設けられているものであるのに対して,補助容量連結ラインは,「RGBRBGBRGB」を繰り返すストライプ状配列の画素領域の列の3つ(ドレインライン3本)につき1つ(1本のドレインラインの隣に)に設けられることになる。したがって,第2の実施形態の段落【0028】,【0029】では,赤の画素領域の列,緑の画素領域の列,青の画素領域の列が繰り返し配置されたストライプ状配列に着目し,補助容量連結ラインがその画素領域の列の3つにつき1つに設けられるものであることが明記されている。赤,緑,青の3色が,列単位で,所定の順に繰り返し配置されている画素領域に対し,3列につき1列を選択することは,赤,緑,青のいずれかの「特定の色」を表示する画素領域のみを選択することとなる。したがって,段落【0028】,【0029】には,「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項Aの構成 ,段落【0028】,【0029】には,「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項Aの構成が明確に記載されている。 次に,段落【0030】には,「本発明は,全ての画素領域に補助容量連結ライン - 16 -が配置されている必要はなく,第1の実施形態より補助容量連結ラインの本数が少なくても,近くに配置された補助容量連結ラインを介して他の補助容量ラインから電荷を補い,信号電圧を矯正することができる。」と記載されている。これは,すべての画素領域に補助容量連結ラインを設けるのではなく,補助容量連結ラインの本数を少なくしても,「容量結合に起因する画像のムラの解消」の効果が得られることを記載している。さらに,段落【0030】には,「本実施形態では,第1の実施形態よりも補助容量連結ラインが少ないため,補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができる。」と記載されており,補助容量連結ラインの本数を少なくして,「開口率の低下を抑えることができる」という効果が得られることも記載されている。 確かに,段落【0030】に記載されている効果は,補助容量連結ラインの本数を少なくしたことの効果であり,RGBを繰り返すストライプ状配列において「3つにつき1つ」補助容量連結ラインを設ける構成に特有の効果の記載ではない。しかし,前記のとおり,段落【0028】,【0029】には,「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項Aの構成の記載が明確に存在し,段落【0030】は,段落【0028】,【0029】の記載を受けて,そのような構成により奏される効 る画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項Aの構成の記載が明確に存在し,段落【0030】は,段落【0028】,【0029】の記載を受けて,そのような構成により奏される効果を述べている。実際には,後記のとおり,補助容量連結ラインを「赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成」する構成に特有の,単に補助容量連結ラインの本数を少なくしたことによる効果以上の効果が存在するが,段落【0030】には,技術的事項Aを採用することによって得られる効果のうちの一部が記載されているといえる。 当初明細書では,第2の実施形態についての記載が段落【0027】~【0032】にわたっているが,内容的には,上記の段落【0028】,【0029】,【0030】で1つの発明事項の構成及び効果の説明が完結している。段落【0031】, - 17 -【0032】は,段落【0031】が「ところで,・・・」と始まっているように,段落【0028】~【0030】と関連してはいるが,それまでと主題が切り替わっている。段落【0031】で,初めて,光の3原色のうち緑に対する人間の目の感度が高いことに着眼し,段落【0032】で,これに基づき,補助容量連結ラインを配置する画素領域として緑を選択することとその効果を説明している。段落【0028】~【0030】に記載されている技術的事項A(「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」)と,段落【0031】,【0032】及び【0041】に記載されている「補助容量連結ラインは,緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項は,後者の構成が前者 れる」)と,段落【0031】,【0032】及び【0041】に記載されている「補助容量連結ラインは,緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という技術的事項は,後者の構成が前者の構成の特別の場合に相当する関係にあり,どちらもが発明であることに何ら矛盾はない。この関係は,本件特許の請求項1の発明と,請求項1に従属する請求項2の発明の関係である。 (2) 審決は,「本件発明1の『ストライプ状に配列』するということは,RGBが一定の周期で出現する配列のみを意味するものではな」いとした(25頁18行~19行)。これは,本件発明1の構成要件の記載に用いられている「ストライプ状に配列する」,あるいは「ストライプ状配列」という技術用語の一般的な意味について,審決の見解を述べるものであるが,無効理由1で問題になっているのは,明細書における技術的事項Aの記載の有無である。段落【0028】に記載されている画素領域の色の配列は,明細書において「ストライプ状配列」という言葉のみによって記述されているものではなく,段落【0028】の色の配列を具体的に示している図3には,「RGBRGBRBGB」と記載され,段落【0028】のストライプ状配列が,RGBが繰り返される配列であることを示しているほか,図3に対応する等価回路図である図4には,ビデオデータライン2の各色に対応した2R,2G,2Bが,画素領域の各列に対し,左端から右端に,RGBR・・・Bの順で繰り返して接続されており,このような配列の記載を受けて,段落【0029】で - 18 -は,「ドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン16が配置され,」と記載されている。「ストライプ状配列」という用語に,図3の具体的配列と異なる意味に用いる特殊な例があるというだけの理由 「ドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン16が配置され,」と記載されている。「ストライプ状配列」という用語に,図3の具体的配列と異なる意味に用いる特殊な例があるというだけの理由で,段落【0028】に記載された色の配列が不明確になるものではない。審決が,「ストライプ状配列」の用語が特殊な意味に用いられることがあるとの理由で,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する技術的事項を段落【0028】,【0029】の記載から把握することはできないと判断したのは(25頁13行~27行),合理的な根拠に欠ける。 (3) 審決は,当初明細書の段落【0031】,【0032】及び【0041】の記載から,「人間の目の色に対する感度を勘案すると,『緑』の画素領域上に選択的に配置することが良く,その他の色を選択した場合には人間の目には暗いと認識され,人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示を提供することができなくなってしまう」という技術的事項を把握することができると認定し(25頁2行~6行),緑以外の他の2色の画素領域を選択すると,「人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供すること」ができなくなってしまうのであるから,緑以外の他の2色の画素領域を選択することについては阻害されているとした(審決25頁7行~12行)。審決は,段落【0028】,【0029】に原告が主張する構成〔技術的事項A〕が記載されていても,段落【0031】,【0032】及び【0041】の記載に照らすと,緑以外の他の2色の画素領域を選択することは阻害される,というものと解される。しかし,段落【0028】,【0029】に記載された構成と段落【0031】,【0032】に記載された構成は,後者の構成が前者 外の他の2色の画素領域を選択することは阻害される,というものと解される。しかし,段落【0028】,【0029】に記載された構成と段落【0031】,【0032】に記載された構成は,後者の構成が前者の構成の特別な場合であって,両者は,何ら矛盾するものではない。 すなわち,前者の構成と後者の構成は,本件発明における請求項1と請求項2の関係であり,どちらも発明として成り立つ。 段落【0031】,【0032】に記載された,緑の画素領域のみを選択する構成は,光の3原色に対する人間の目の感度を考慮した場合に,緑の画素領域を選択し - 19 -て補助容量連結ラインを設けることにより,緑(G)の輝度のみが低下し,赤(R)及び青(B)の輝度は低下しないことになっても,良好なカラーバランスが得られるという効果を奏するものであり,この効果は,緑を選択しなければ得られないものである。しかし,段落【0028】~【0030】及び図3,4に記載された,「技術的事項A」すなわち「赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色の画素領域のみを選択する構成」は,緑を選択した場合の段落【0032】の効果ではなく,別の,少なくとも段落【0030】に記載された効果を奏するのである。したがって,当初明細書の段落【0027】~【0032】及び図3,4の全体を読めば,段落【0028】,【0029】に記載された構成は段落【0030】の効果を奏し,段落【0031】に記載された構成は段落【0032】,【0041】に記載された効果を奏するもので,何ら矛盾はない。 (4) 審決は,段落【0032】の「良好なカラーバランスを得る」とは,緑を表示する画素領域にのみ,補助容量連結ラインを選択的に配置することで,緑の画素領域のみで開口率及び輝度を低下させ,それによって良好なカラーバランス 0032】の「良好なカラーバランスを得る」とは,緑を表示する画素領域にのみ,補助容量連結ラインを選択的に配置することで,緑の画素領域のみで開口率及び輝度を低下させ,それによって良好なカラーバランスを得ることを意味すると合理的に解釈できるとする(27頁4行~20行)。この点,原告も,段落【0032】の記載が,緑を表示する画素領域にのみ補助容量連結ラインを選択的に配置することの効果を記載するものであることを否定していない。 しかし,技術的事項Aの「補助容量連結ラインは,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される」という構成に特有の効果は,明細書に明記されていないが,上記構成を採用することによって,表示ムラを防止でき,さらに,それによって良好なカラーバランスを得ることができるようになるということである。 本件発明は,カラーの大型のアクティブマトリックス型表示装置で,多数の画素電極に同時に信号電圧を印加した場合に問題となる,容量結合に起因する電圧変動による画像のムラを防止するために,補助容量連結ラインを画素電極と重畳した位置に配置するものであるが,画素電極の開口率の低下を防ぐために一部の画素電極 - 20 -の列にのみ補助容量連結ラインを設ける。さらに,補助容量連結ラインを一部の画素電極の列にのみ設けることによって表示ムラが生じないようにするための構成が,赤,青,緑の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列するとともに,補助容量連結ラインを,画素領域の3つにつき1つに配列して,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成する構成である。この構成によって,補助容量連結ラインが設けられる画素領域は,表示画面の特定の色の列に限られる。 例えば,テレビの画面 て,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成する構成である。この構成によって,補助容量連結ラインが設けられる画素領域は,表示画面の特定の色の列に限られる。 例えば,テレビの画面を考えると,ストライプ状配列であるから,画面の列方向に,RGBRGB・・・の順で各色の画素領域が並んでいる。このような画面構成を前提として,赤,緑,青のどれか一色の列だけに補助容量連結ラインを設けるのである。そうすると,その色の画素領域は輝度が低下する。しかし,画面全体にわたって,その色の列だけが均一に輝度が低下するのである。このような輝度の低下によっては,表示ムラは起こらない。表示ムラは局所的に画素によって輝度のばらつきが生じることで起こる。上記構成では,特定の色の列だけが輝度低下を起こすが,もし,それによってカラーバランスが損なわれたとすれば,テレビ装置についているカラーバランス調整機能を用いて,カラーバランスを調整してやればよい。 2 取消事由2(無効理由2〔サポート要件〕についての判断の誤り)前記のとおり,技術的事項Aが訂正明細書から把握できる以上,本件発明1,3~6は特許法36条6項1号の要件を充たしている。 3 取消事由3(無効理由3についての判断の誤り)(1) 引用発明(甲第4号証に記載された発明)の認定の誤り審決は,甲第4号証の段落【0013】の「接続部の一箇所あたりの接続電極抵抗(71)をrC とすると,このrC が(n+1)分割された蓄積容量バスライン抵抗に比較して大きくない場合には・・・」との記載から,「接続部の接続箇所により蓄積容量バスラインが等分割させることが示唆されており」と認定し,実質的に - 21 -接続部を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められると判断した上(33頁 接続部の接続箇所により蓄積容量バスラインが等分割させることが示唆されており」と認定し,実質的に - 21 -接続部を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められると判断した上(33頁2行~8行),引用発明1の構成として「(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている,」の構成を認定した(34頁)。 しかし,甲第4号証の段落【0006】には「発明が解決しようとする課題」として,蓄積容量バスラインに接続された比較的大きな容量値を持つ蓄積容量が,線順次の書込動作時にオン状態になったTFTを通じて同時にデータバスラインに接続されることとなり,各画素の蓄積容量への充電電流が1本の蓄積容量バスラインに集中する結果,電圧降下によりバスライン電圧の変動が生じやすいという問題があった」と記載されている。請求項1及び段落【0009】に記載されている「課題を解決するための手段」は,「隣接する蓄積容量バスライン間を,画素マトリクスの形成領域内で少なくとも一箇所以上の接続部で電気的に接続すること」である。 「蓄積容量バスライン」は本件発明の補助容量ラインに相当するが,この課題解決手段は,列方向に隣接する蓄積容量バスラインを少なくとも一箇所以上の接続部で電気的に接続するということだけである。ここには,接続部を全部の列のうちのどの列に設けるかの技術思想の開示は全くない。審決が引用する段落【0013】では,接続部を経由して電流が流れる条件を示すために,「(n+1)分割された蓄積容量バスライン抵抗」という概念を用いているだけであり,接続部の配置については一切開示も示唆もしておらず,これを実際の装置において接続部を「数画素ごと」に「等間隔」で配置することと同視することはできない。つまり,段落【0013】に(n+1)分割という記載があるからといって,審決 開示も示唆もしておらず,これを実際の装置において接続部を「数画素ごと」に「等間隔」で配置することと同視することはできない。つまり,段落【0013】に(n+1)分割という記載があるからといって,審決のように,引用発明に「(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている,」の構成が開示されていると認定することは全く根拠がない。 なお,審決は33頁2行~8行の認定で図1(摘記事項(1f))を引用していない。実際,図1では,左の画素から3番目の画素と5番目の画素にのみ接続電極が設けられ,1番目の画素と7番目の画素には接続電極は設けられていないのだから,「2画素ごと」でも,「等間隔」でもなく,「数画素ごと」に「等間隔」で設けられ - 22 -ていない。また,請求項1に記載のように,接続部による接続箇所は「少なくとも一箇所以上」であるし,実施例ではn=2が例示されているのであるから,そのような接続部の数が一箇所あるいは少ない数である場合は,接続電極の間隔は多数の画素分となり,「数画素ごと」にと認定する根拠はない。したがって,引用発明の「(n+1)分割」をもって,接続電極を「数画素ごと」に形成することが開示されていると認定する根拠はない。 また,引用発明における(n+1)分割は,引用発明の原理による動作が行われる条件である,「接続電極抵抗(71)rC が(n+1)分割された蓄積容量バスライン抵抗に比較して大きくない場合」を表すために用いられている。このような「n」の意味に照らすと,引用発明における接続電極の設けられる間隔が「数画素」であると認定することはできない。 (2) 一致点(J’)の認定の誤り及びこれを前提とした相違点1についての認定・判断の誤り本件発明1は,構成Jにおいて,「前記補助容量連結ラインは,前記画素領域の列の3 定することはできない。 (2) 一致点(J’)の認定の誤り及びこれを前提とした相違点1についての認定・判断の誤り本件発明1は,構成Jにおいて,「前記補助容量連結ラインは,前記画素領域の列の3つにつき1つ配列され,・・・」と記載されるように,画素領域の「列」の「3つにつき1つ」とされている。しかし,審決は,引用発明において,接続電極が画素領域の列の複数につき1つ設けることを認定していないのに,本件発明1との一致点の認定では,この点を一致点としている。また,引用発明の「(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている」が誤っていることは前記のとおりである。 そうすると,相違点1は,引用発明には蓄積容量バスラインをn分割して接続部を設ける技術事項が記載されているとしても,下記のとおりとすべきである。 「本件発明1は,『赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置』と限定しているのに対し,引用発明はそのような限定をしておらず,同時に,『補助容量連結ライン』に関して,本件発明1は,「画素領域の列の3つにつき1つ配列され,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成され」るのに対して,引用発明は『補助 - 23 -容量ラインの対それぞれに対して,少なくとも1つ以上,n分割して形成する』ことを記載するのみである点。」以上のとおり,審決は相違点1を誤認しているから,相違点1に関する判断も誤りである。したがって,接続電極を「補助容量ラインの対それぞれに対して,少なくとも1つ以上,n分割して形成する」ことを記載するにすぎない引用発明からは,構成Cの赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行う構成と,構成Eの,画素領域の列の3つに とも1つ以上,n分割して形成する」ことを記載するにすぎない引用発明からは,構成Cの赤,緑,青の三原色の画素領域を列単位でストライプ状に配列してカラー表示を行う構成と,構成Eの,画素領域の列の3つにつき1つに配列され,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成する構成を導き出すことはできない。 なお,引用発明にはカラー表示の記載は全くない。引用発明は平成4年(1992年)の出願であり,当時のアクティブマトリクス型表示装置において,引用発明の技術を必要とするような大型のカラー表示装置は存在しなかったのであるから,引用発明がカラー表示の装置を想定していないことは明らかである。それにもかかわらず,審決は,当業者が,適宜設計事項を設定して,引用発明を「赤,青,緑の三原色の画素領域の一定周期で列単位でストライプ状に配列したものに適用すれば,結果として,特定の色の画素領域に接続電極が配置された状態になる」というのである。このような判断は,本件発明1の内容を知ったうえで,それを引用発明と比較して,不足する相違点はすべて当業者が適宜設定できる事項に押し込めて,特許発明を無効とする論理であって,誤りである。 (3) 相違点2についての判断の誤り審決は,蓄積容量バスライン(補助容量ライン)間を接続する電極を画素電極と重畳する位置に配置することは周知の技術にすぎず,引用発明に当該周知の技術を採用することは,当業者にとって格別の創意を必要とすることではないとし(46頁1行~9行),周知技術の根拠として甲第9号証,甲第10号証参照としている。 しかし,甲第9号証,甲第10号証は,補助容量連結ラインを画素電極と重畳する位置に配置することが周知技術であることを示す根拠となるものではない。甲第 - 24 -9号証は,アクティブマトリクス しかし,甲第9号証,甲第10号証は,補助容量連結ラインを画素電極と重畳する位置に配置することが周知技術であることを示す根拠となるものではない。甲第 - 24 -9号証は,アクティブマトリクス型液晶表示装置においてシールド電極を設けることを記載しているが,このシールド電極は,絵素(画素)電極とゲート配線・データ配線の間に形成される静電容量を低減する目的で形成されるものであって(甲第9号証の段落【0012】),これをもってシールド電極が補助容量連結ラインであることを示す記載はない。また,甲第10号証は,アクティブマトリクス型液晶表示装置において,製造時の不良に起因する配線の断線に対処するために,予備線を設けておく技術に関し,信号線と面方向に平行で,信号線とは非導通状態の複数の予備線を備え,1画素あたり1つの割合で,信号線と予備線の両方と交差し,信号線と予備線とは別層に形成された複数の電極線を有することを特徴としており(甲第10号証の請求項1),甲第10号証に補助容量連結ラインが記載されているものではない。そもそも,補助容量連結ラインが周知技術でなく,これを記載した公知文献として甲第4号証が引用されているのに,補助容量連結ラインを画素電極と重畳する位置に配置することが周知技術であるはずがない。 また,審決は,甲第4号証における接続電極を画素電極の間に配置するとの段落【0015】の記載について,一実施例についての記載にすぎず,甲第4号証に記載された技術的事項の全趣旨からしても,蓄積容量バスライン間を接続電極で接続することが主眼であって,接続電極と画素電極とを近接や重畳させないことは必須の要件ではなく,従来から使用されている周知構成を採用できないと解釈すべき理由はないとした(審決46頁10行~19行)。しかし,甲第4号証に接続電極を画 極と画素電極とを近接や重畳させないことは必須の要件ではなく,従来から使用されている周知構成を採用できないと解釈すべき理由はないとした(審決46頁10行~19行)。しかし,甲第4号証に接続電極を画素電極と重畳した位置に配置することの開示があるとはいえない。具体的な実施例においては,接続電極は画素電極の間に形成し,その理由として,「画素部の光の透過特性に影響を与えないようにすると同時に,接続電極と画素電極の近接や重畳による寄生容量の発生を防いでいる」と記載されている。したがって,引用発明に,これらの問題を解決する手段が開示されていない以上,接続電極を画素の間に形成するというのが引用発明の開示である。したがって,引用発明においては,段落【0015】に記載された問題(光の透過特性への悪影響と画素電極と接続電極間の寄 - 25 -生容量)が解決されない限り,接続電極を画素電極と重畳させる構成を予定しておらず,そのような構成を採用することに阻害要因があることは明らかである。また,審決が,引用発明に周知の技術を採用することが当業者にとって容易とするのも,周知技術の認定自体が誤りであるほか,甲第4号証の段落【0015】に記載された問題の解決なくして,接続電極を画素電極と重畳させられないという事実を無視するものである。 (4) 審決の作用効果についての判断の誤り審決は,本件発明1の奏する効果は,引用発明及び周知の技術から予測できる範囲のものであり,格別のものということができないとした(審決46頁33行~47頁3行)。 しかし,本件発明1は,前記のとおり,段落【0008】に記載されている画像のムラの発生を防止するとともに,開口率の低下を防ぎ,カラー表示における表示ムラの発生を防止し,それによって良好なカラーバランスの調整を可能としたもの 記のとおり,段落【0008】に記載されている画像のムラの発生を防止するとともに,開口率の低下を防ぎ,カラー表示における表示ムラの発生を防止し,それによって良好なカラーバランスの調整を可能としたもので,大型,高精細のカラー液晶表示装置の実用化可能な技術として,引用発明及び周知の技術からは到底予測できない顕著な効果を有している。 第4 被告の反論 1 取消事由1に対し当初明細書の段落【0027】~【0032】及び【0041】の記載は,全て「(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した」第2の実施形態に関するものであって,「緑(G)」以外の「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域に補助容量連結ライン16を選択的に配置することなど一切記載されていない。そればかりか,「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域に補助容量連結ライン16を選択的に配置した場合には,段落【0041】に記載されているような「緑を表示する画素領域にのみ補助容量連結ラインを選択的に形成して開口率を下げることで,緑の輝度を他の2色より低くすることにより,他の2色 - 26 -に比べて緑に対する感度が高い人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供することができる」という効果を奏することはできないのであるから,補助容量連結ライン16を配置する表示領域として,「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域を除外している。 また,段落【0027】ないし【0032】の記載は,第3図及び第4図に示される第2実施形態の構成を説明するものであるが,段落【0027】,【0029】及び【0030】には「色」について何らの言及もない。段落【0028】には色についての記載はあるものの,単にカラーフィルタの構造等を説明しただけにす 明するものであるが,段落【0027】,【0029】及び【0030】には「色」について何らの言及もない。段落【0028】には色についての記載はあるものの,単にカラーフィルタの構造等を説明しただけにすぎない。他方,段落【0031】及び【0032】には,「緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した」第2の実施形態によってのみ奏し得る作用効果として,「緑(G)の輝度のみが低下するが,赤(R)及び青(B)の輝度は低下しない。従って,表示装置の使用者に開口率の低下を認識させることなく,第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。そのため本実施形態は,表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができるため,透過型の表示装置であっても,本発明をより効果的に実施することができるものである。」と記載されている。段落【0041】の記載も段落【0031】及び【0032】と同様である。このように,画素領域の色に関し,「赤」や「青」を「緑」と同列に扱うことはできないから,「緑」以外の「赤」や「青」をも包含する「特定の色」という概念は成立し得ず,原告の主張は理由がない。 さらに,原告は,技術的事項Aにつき,表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができる(段落【0032】後半)という技術的思想を見出しており,この技術的思想の具現化手段の一つとして,人間の視覚特性に着目することで,「特定の色」を「緑」と例示したものが第2の実施例であるなどとも主張しているが,前記のとおり,「表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができる」と - 27 -いう効果は,「緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助 ているが,前記のとおり,「表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができる」と - 27 -いう効果は,「緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した」第2の実施形態によってのみ奏し得る作用効果である。したがって,明細書には,「緑」以外の「赤」や「青」をも包含する「特定の色」を前提とした原告の主張するような「技術思想」など一切記載がなく,「『特定の色』を『緑』と例示したものが第2の実施例」であるとする主張も,明細書の記載に基づかない主張であって理由がない。 加えて,出願当初の請求項の記載をみても,請求項8は,「前記アクティブマトリクス型表示装置は,赤,緑,青の三原色によるカラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置であり,前記補助容量連結ラインは,緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置。」とされているものであり,旧請求項8が引用する請求項1~6には,「カラー表示を行う」点についての記載は一切ない。そして,その余の請求項で緑以外の赤や青を表示する画素電極を有する画素領域にのみ補助容量連結ラインを形成することを記載したものも一切ない。そうすると,出願当初の特許請求の範囲には,カラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置は,補助容量連結ラインを緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ形成する形態が記載されているのみであって,「特定の色」を「緑」に限定しないことなど一切記載がない。 なお,原告は,「ストライプ状に配列」に関しても審決の認定判断を論難するが,審決は,傍論として「ストライプ状に配列」に関する原告の主張に反論を行っているにすぎず,仮に,「スト 切記載がない。 なお,原告は,「ストライプ状に配列」に関しても審決の認定判断を論難するが,審決は,傍論として「ストライプ状に配列」に関する原告の主張に反論を行っているにすぎず,仮に,「ストライプ配列」が,原告の主張するように,図3のようにRGBが一定の周期で出現する配列の意味を有するとしても,図3には「緑」を表示する画素領域にのみ,補助容量連結ラインが選択的に配置されているので,本件明細書からは,「緑に限定されない特定の色の1本に配置することは把握できない」という審決の結論に影響を及ぼすものではない。 - 28 - 2 取消事由2に対し前記のとおり,本件発明1及び訂正後の請求項3~6の請求項1を引用する発明は,いずれも当初明細書に記載されていない事項を含むものとなっているところ,訂正明細書は当初明細書と実質的に同一の内容のものである。したがって,本件特許が発明の詳細な説明に記載していない発明を特許請求の範囲に記載していることは明らかである。 3 取消事由3に対し(1) 引用発明(甲4に記載された発明)の認定につき審決は,甲第4号証の段落【0013】,【0014】に加え,段落【0015】,段落【0016】,図2,図3の記載を勘案し,「実質的に,接続電極を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められる」と認定しているものであるから,原告の主張は,審決の認定判断を曲解するものである。 段落【0013】についてみると,そこには,「図1に示すように,マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン(61,62,63)間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所(図では2箇所)の接続部(7)により接続する。」と記載されており,図1では図面の説明上,接続部が2箇所とされているものの,本来接続部 ン(61,62,63)間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所(図では2箇所)の接続部(7)により接続する。」と記載されており,図1では図面の説明上,接続部が2箇所とされているものの,本来接続部は間引かれてn箇所に設けられていることが明示されているものであり,その記載を受け,「接続部の一箇所あたりの接続電極抵抗(71)をrcとすると,このrcが(n+1)分割された蓄積容量バスライン抵抗に比較して大きくない場合には・・・」と続くものである。そして,「(n+1)分割」という語の通常の意味からすれば,ほぼ(n+1) で等分割されていることを意味すると理解されることから,審決は,「接続部の接続箇所により蓄積容量バスラインが等分割させることが示唆されており」と認定したものであって,かかる認定に原告が主張するような違法は存在しない。 また,審決における「接続電極を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項 - 29 -が認められる」との認定判断は,段落【0015】,【0016】,図2,図3の記載をも勘案してなされたものであるところ,例えば,段落【0016】には,図3の構成に関し,段落【0016】に「接続部(7)の位置は,本実施例のように,基準バスラインの対毎にランダムに変える方法の他,規則的に位置をずらす方法,あるいは周期的に繰り返すような配置でも良い。」と記載され,また,段落【0015】には,図2の構成に関し,段落【0015】に「この実施例では各蓄積容量バスライン(6)上の同じ位置に接続部(7)を形成しており,接続電極(71)が縦方向に連なる構成としたものである。」と記載されていることに鑑みて,これらの記載事項と前記(1c)の記載とを併せみれば,接続電極を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められるものである。したがって,審決 成としたものである。」と記載されていることに鑑みて,これらの記載事項と前記(1c)の記載とを併せみれば,接続電極を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められるものである。したがって,審決の認定に誤りはない。 (2) 一致点(J’)の認定の誤り及びこれを前提とした相違点1についての認定・判断の誤りにつき原告は,「一致点(J’)『画素領域の列の複数につき1つ配列』の認定は,審決33頁8行に記載されている引用発明の認定『(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている,』に基づく一致点の認定であるとともに,引用発明の認定において認定されていない,接続電極を『画素領域の列の複数につき1つ配列』する構成をも一致点と認定したもので,誤っている」と主張する。 しかし,審決は,「接続電極」に関し,「(g)マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所の接続電極で接続し」,「(j)接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている」としており,構成(g)と(j)とを併せ読めば,一致点の構成(J’)「前記補助容量連結ラインは,画素領域の列の複数につき1つ配列される」点が導き出されるものであるから,原告の主張は審決の認定判断を誤解するものであり,理由がない。したがって,審決の一致点の認定判断に誤りはなく,原告が主張するような相違点1の誤謬はないから,「原審決は相違点1を誤認しているから,相違点1に関する判断も誤りであ - 30 -る」とする原告の主張は,前提を誤るものである。 (3) 相違点2についての判断の誤りにつき甲第9号証(特開平10-213812号公報)及び甲第10号証(特開平10-232412号公報)には,構成Eの「補助容量連結ラインは,画素電極と重畳している」との構成が示 ついての判断の誤りにつき甲第9号証(特開平10-213812号公報)及び甲第10号証(特開平10-232412号公報)には,構成Eの「補助容量連結ラインは,画素電極と重畳している」との構成が示されている。すなわち,甲第9号証には,ゲート絶縁膜4に設けたシールド電極用コンタクトホール8を介して電気的に接続されるとともにゲート絶縁膜4上にデータ配線5,ドレイン電極6とともに形成され(段落【0024】),「補助容量冗長配線を兼ねた」(段落【0033】)シールド電極7が,ゲート配線2と絵素電極10との間に,それぞれゲート絶縁膜4と層間絶縁膜9とを介して形成されており(段落【0025】),「絵素内をシールド電極7が横切る」(段落【0030】)ことから,シールド電極7が,層間絶縁膜9を介して絵素電極10と重畳しているアクティブマトリクス型液晶表示装置が記載されている(図1,図2等参照)。また,甲第10号証には,画素電極4の下側に設けられ,データ線2と平行に,隣り合うデータ線2,2間に形成された予備線5(段落【0040】)が,補助容量線3に電気的に接続された(段落【0046】)アクティブマトリクス型液晶表示装置が記載されている(図4等参照)。このように,甲第9号証の補助容量冗長配線を兼ねたシールド電極7,甲第10号証の予備線5は,それぞれ,補助容量連結ラインに相当する機能を有するものであり,構成Eに相当する。 なお,甲第9号証及び甲第10号証は,本件の審査過程で発出された平成21年4月8日付拒絶理由通知書(甲3の1)において,それぞれ引用文献1及び2として提示された新規性欠如及び進歩性欠如の根拠となる刊行物であり,当該拒絶理由通知書に対し,原告が提出した平成21年6月15日付意見書(甲3の2)において,甲第9号証記載の「シールド電極」及び甲第1 て提示された新規性欠如及び進歩性欠如の根拠となる刊行物であり,当該拒絶理由通知書に対し,原告が提出した平成21年6月15日付意見書(甲3の2)において,甲第9号証記載の「シールド電極」及び甲第10号証記載の「予備線」が,本件発明の「補助容量連結ライン」に相当すると認めていたことは明らかであり,本件訴訟において,当該意見書の主張を覆し,甲第9号証,10には,審決のいう「補助容量ライン間を接続する電極」が記載されていない等の主張を行うことは,包袋 - 31 -禁反言の原則に違背し許されない。 また,原告は,「そもそも,補助容量連結ラインが周知技術でなく,これを記載した公知文献として甲第4号証が引用されているのに,補助容量連結ラインを画素電極と重畳する位置に配置することが周知技術であるはずがない。」などと,趣旨不明の主張を行っているが,補助容量連結ラインを設ける点は,甲第9号証及び甲第10号証に示されるように周知技術にすぎず,また,甲第4号証は,審決において「接続電極を数画素毎に等間隔で形成するという技術的事項が認められる」ものとして引用されているのであるから,原告の上記主張は理由がない。 (4) 引用発明に接続電極を画素電極と重畳した位置に配置することの開示があるとはいえない旨の主張につき確かに,甲第4号証の段落【0015】には,原告の指摘するような記載があるが,段落【0016】には,「画素(4)の光透過特性や画素部の寄生容量が,接続電極(71)の存在により影響を受け」との記載があり,これらの記載を併せ鑑みれば,「引用発明においては,接続電極を画素電極と重畳させる構成を予定していない」とはいえない。 (5) 引用発明において,接続電極を画素電極と重畳して配置するには阻害要因があるとの主張につきまず,「引用発明においては, 接続電極を画素電極と重畳させる構成を予定していない」とはいえない。 (5) 引用発明において,接続電極を画素電極と重畳して配置するには阻害要因があるとの主張につきまず,「引用発明においては,接続電極を画素電極と重畳させる構成を予定していない」といえないことは,前記のとおりである。また,構成Dの「補助容量は,補助容量ラインに一体化して連結された補助容量電極と,スィッチング素子を介して信号電圧が供給される補助容量電極とで形成され,信号電圧が供給される補助容量電極は画素電極を構成するものではない」との構成も,例えば,甲9ないし甲12に示されるように,周知の構成にすぎず,格別の特徴といえるものではない。すなわち,甲第9号証(特開平10-213812号公報)には,TFT12を介して信号電圧が供給されるドレイン電極6を,ゲート絶縁膜4を介して補助容量配線3と対向するように設けることが開示されており,該ドレイン電極6が構成Dの「ス - 32 -イッチング素子を介して信号電圧が供給され,画素電極を構成するものではない」補助容量電極に相当する機能を有するものである。また,甲第10号証(特開平10-232412号公報)には,TFT6を介して信号電圧が供給されるドレイン電極7に接続線13により接続された「補助容量の一方の電極となる」(段落【0042】)補助容量電極10が開示されており,該補助容量電極10が,構成Dの「スイッチング素子を介して信号電圧が供給され,画素電極を構成するものではない」補助容量電極に相当するものである。さらに,甲第11号証(特開平9-179127号公報)の,「一端部がゲート電極2aにゲート絶縁膜5を介して重畳され,他端部が両バスライン2,3で矩形に囲まれた領域の中央部に位置するドレイン電極4aとからなる。ドレイン電極4aの他 179127号公報)の,「一端部がゲート電極2aにゲート絶縁膜5を介して重畳され,他端部が両バスライン2,3で矩形に囲まれた領域の中央部に位置するドレイン電極4aとからなる。ドレイン電極4aの他端部はゲートバスライン2に平行になっており,その平行となったドレイン電極4a部分の下方であって,前記ゲート絶縁膜の下側には,ゲートバスライン2に平行に金属からなる付加容量配線6が設けられている。この付加容量配線6は,図示しない共通配線に接続される。」(段落【0029】)との記載によれば,甲第11号証には,TFT4を介して信号電圧が供給されるドレイン電極4aとその下方に設けられた付加容量配線6とが開示されており,該ドレイン電極4aが構成Dの「スイッチング素子を介して信号電圧が供給され,画素電極を構成するものではない」補助容量電極に相当する機能を有するものであることは明らかである。加えて,甲第12号証(特開平9-96837号公報)には,「本実施形態3のアクティブマトリクス基板では,TFT24のドレイン電極36bに接続される接続電極25の先端部である,画素の付加容量の一方電極25aに対向する他方電極27が,図9の付加容量共通配線6を通じて対向基板上に形成された対向電極に接続される構成となっているが,層間絶縁膜38を貫くコンタクトホール26Aの形成位置を,この付加容量共通配線6の一端である他方電極27および一方電極25aの上部に形成している。つまり,このコンタクトホール26Aは,遮光性の金属膜で構成されている付加容量配線上部に設けられている。」(段落【0077】),「本実施形態3のアクティブマトリクス基板では,付加容量共通配 - 33 -線6の一端である他方電極27および一方電極25aの遮光性の金属膜上部にコンタクトホール26Aが形成されているの 7】),「本実施形態3のアクティブマトリクス基板では,付加容量共通配 - 33 -線6の一端である他方電極27および一方電極25aの遮光性の金属膜上部にコンタクトホール26Aが形成されているので,このような問題(被告注:コントラストの低下)は生じない。」(段落【0079】)等の記載があり,これらの記載に照らせば,甲第12号証には,TFT24を介して信号電圧が供給されるドレイン電極36bに接続電極25により接続された画素の付加容量の一方電極25aと,それに対向する対向電極27とが開示されており,当該一方電極25a が,構成Dの「スイッチング素子を介して信号電圧が供給され,画素電極を構成するものではない」補助容量電極に相当するものである。したがって,構成Dの前記構成は,周知の構成にすぎないものであり,原告の主張は失当である。 (6) 作用効果についての認定判断に誤りにつき訂正明細書には,「緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した」実施形態(第2の実施形態)が記載されているのみで,カラー表示に関してその余の実施形態は一切記載がなく,また,緑以外の赤や青の画素領域に補助容量連結ラインを設けた場合の課題や効果等は一切記載されていない。したがって,本件発明1が引用発明及び周知の技術からは到底予測できない顕著な効果を有しているとの原告の主張は,全く論旨を欠くものであり,また,何らかの作用効果が存在するとしても,それはせいぜい周知の構成から予測される程度のものであって格別のものではない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1(無効理由1〔新規事項の追加〕についての判断の誤り)について(1) 本件出願の当初明細書等(甲2)の記載本件の当初明細書等には,次の記載がある。 ・「次に,第2 1 取消事由1(無効理由1〔新規事項の追加〕についての判断の誤り)について(1) 本件出願の当初明細書等(甲2)の記載本件の当初明細書等には,次の記載がある。 ・「次に,第2の実施形態について図3及び図4を用いて説明する。図3は,第2の実施形態にかかるアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置の平面図であり, - 34 -図4は,その等価回路図である。図3は,配線をわかりやすくするため,図1に比べ,画素領域の構成を省略しているが,これは図1と同様である。その他の構成も,第1の実施形態と同じものについては,図に同じ番号を付し,説明を省略している。」(段落【0027】)・「アクティブマトリクス型液晶表示装置1は,ビデオデータライン2R,2G,2Bと,ゲートドライバ3及びドレインドライバ4と,補助容量バスライン5と,表示領域6で構成されており,ドレインドライバ4は,シフトレジスタ7及び列選択スイッチ8で構成され,表示領域6は,ゲートライン9,ドレインライン10,補助容量ライン11及び画素領域12で構成されていることは,第1の実施形態と同様である。図3に示されるR,G,Bは,それぞれの列の画素領域12が表示する色でありを,Rが(赤),Gが(緑),Bが(青)である示している。なお,本実施形態において,画素領域12では,各画素領域12は,各画素領域12に対応して形成された図示しない赤(R),緑(G),青(B)のカラーフィルタにより,列単位で赤(R),緑(G),青(B)のいずれかの色を表示し,するストライプ状配列である。」(段落【0028】)・「本実施形態の特徴的な点は,第1の実施形態とは異なり,各列に補助容量連結ライン16は配置されておらず,3本につき1本のドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン1 0028】)・「本実施形態の特徴的な点は,第1の実施形態とは異なり,各列に補助容量連結ライン16は配置されておらず,3本につき1本のドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン16が配置され,コンタクトを介して全ての補助容量ライン11を連結している点である。」(段落【0029】)・「本発明は,全ての画素領域に補助容量連結ラインが配置されている必要はなく,第1の実施形態より補助容量連結ラインの本数が少なくても,近くに配置された補助容量連結ラインを介して他の補助容量ラインから電荷を補い,信号電圧を矯正することができる。また,本実施形態では,第1の実施形態よりも補助容量連結ラインが少ないため,補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができる。」(段落【0030】)・「ところで,赤(R),緑(G),青(B)という光の3原色のうち,人間の目は - 35 -緑に対する感度が特に高く,他の2色に対する感度は低い。即ち,緑の輝度を他の2色に比べて多少低くしても,人間の目には暗いと認識されない。また,補助容量連結ライン16が形成され,画素電極14の開口率が低下すると,その画素領域12で表示される部分の輝度が低下してしまう。」(段落【0031】)・「従って,図3に示すように,本実施形態では,緑(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した。これによって,緑(G)の輝度のみが低下するが,赤(R)及び青(B)の輝度は低下しない。従って,表示装置の使用者に開口率の低下を認識させることなく,第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。そのため本実施形態は,表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができるため,透過型の表示装置であっても,本発明をより と同様の効果を奏することができる。そのため本実施形態は,表示領域の一部における開口率及び輝度の低下を利用して,良好なカラーバランスを得ることができるため,透過型の表示装置であっても,本発明をより効果的に実施することができるものである。」(段落【0032】)・「さらに,赤,緑,青の三原色によるカラー表示を行うアクティブマトリクス型表示装置において,緑を表示する画素領域にのみ補助容量連結ラインを選択的に形成して開口率を下げることで,緑の輝度を他の2色より低くすることにより,他の2色に比べて緑に対する感度が高い人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供することができる。」(段落【0041】) - 36 -・【図3】 ・【図4】 - 37 -(2) まず,当初明細書等の段落【0027】,【0028】,図3及び図4の記載によれば,本件特許にかかる発明の第2の実施形態として,赤,緑,青の三原色によるカラー表示を行うアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置であって,各画素領域12が,列単位で赤,緑,青のいずれかの色を表示するストライプ状配列となっており,赤,緑,青の各色が3列おきに繰り返し配置されているものが記載されていることが認められる。 次に,段落【0029】及び図3には,第2の実施形態は,各列に補助容量連結ライン16を配置した第1の実施形態の変形例であって,ドレインライン10の3本につき1本の補助容量連結ライン16を配置するものであることが記載され,また,段落【0030】には,第2の実施形態は,第1の実施形態より補助容量連結ラインの本数が少なくても,近くに配置された補助容量連結ラインを介して他の補助容量ラインから電荷を補い,信号電圧を矯正することができ,さらに,第1の実施形態 施形態は,第1の実施形態より補助容量連結ラインの本数が少なくても,近くに配置された補助容量連結ラインを介して他の補助容量ラインから電荷を補い,信号電圧を矯正することができ,さらに,第1の実施形態よりも補助容量連結ラインが少ないため,補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができるという効果を奏するものであることが記載されているといえる。 そうすると,第2の実施形態は,赤,緑,青の各色が3列おきに繰り返し配置されている画素領域の3列につき1列に補助容量連結ラインを設けることによって,上記効果が得られるものであって,その効果は,補助容量連結ラインを赤,緑,青のいずれの画素領域の列に設けても得られるものであるということができる。そして,補助容量連結ラインによる開口率の低下が問題となっていることから,透過型の表示装置について記載したものであると認めることができる。 以上より,当初明細書等には,補助容量連結ラインが,赤,緑,青の三原色のうちの緑に限定されない特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成される,カラー表示を行う透過型のアクティブマトリクス型表示装置,すなわち,技術的事項Aが記載されているものと認められる。したがって,本件補正によって導入された技術的事項Aは,当初明細書等の記載から把握できる技術的事項 - 38 -との関係において,新たな技術的事項を導入するものとはいえない。よって,本件発明1,3~6に係る特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであるとの審決の判断は誤りであり,取消事由1は理由がある。 なお,審決は,「本件発明1の『ストライプ状に配列』することは,RGBが一定の周期で出現する配列のみを意味するものではなく,例えば,特 であるとの審決の判断は誤りであり,取消事由1は理由がある。 なお,審決は,「本件発明1の『ストライプ状に配列』することは,RGBが一定の周期で出現する配列のみを意味するものではなく,例えば,特開平10-54959号公報(甲16)の【0116】及び図67に記載されているような『RGB/BGR/RGB・・・』の配置のように,画素の色が異なる周期で現れるものもストライプ状配列としてよく知られているから,当初明細書等にストライプ状配列が記載され,かつ,補助容量連結ラインが3本につき1本配置されることが記載されていることのみをもって,画素領域の色の配列パターンと補助容量連結ラインの配列パターンとを関連付けて,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する,という技術的事項を把握することはできない。」(25頁13行~27行)とした。しかし,前記のとおり,当初明細書等(甲2)の【0027】,【0028】,図3及び図4には,第2の実施形態は,赤,緑,青の三原色によるカラー表示を行うアクティブマトリクス型カラー液晶表示装置であって,各画素領域12が,列単位で赤,緑,青のいずれかの色を表示するストライプ状配列となっており,このストライプ状配列は赤,緑,青の各色が3列おきに繰り返し配置されていることが記載されており,このような配列の記載を受けて,段落【0029】では,「ドレインライン10の3本につき1本の隣に補助容量連結ライン16が配置され,」と記載されているのであるから,これらによって技術的事項Aを把握することができる。「ストライプ状配列」という用語に,図3の具体的配列と異なる意味に用いる例があるからといって,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する技術的事項を段落【002 トライプ状配列」という用語に,図3の具体的配列と異なる意味に用いる例があるからといって,補助容量連結ラインを緑以外の赤や青を含む特定の色の画素領域にのみ選択的に配置する技術的事項を段落【0028】,【0029】の記載から把握することはできないとの審決の判断は誤りである。 (3) 被告は,当初明細書の段落【0027】~【0032】及び【0041】 - 39 -の記載は,すべて「(G)を表示する画素領域12にのみ,補助容量連結ライン16を選択的に配置した」第2の実施形態に関するものであって,「緑(G)」以外の「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域に補助容量連結ライン16を選択的に配置することなど一切記載されていないばかりか,「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域に補助容量連結ライン16を選択的に配置した場合には,段落【0041】に記載されているような「緑を表示する画素領域にのみ補助容量連結ラインを選択的に形成して開口率を下げることで,緑の輝度を他の2色より低くすることにより,他の2色に比べて緑に対する感度が高い人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供することができる」という効果を奏することはできないのであるから,補助容量連結ライン16を配置する表示領域として,「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域を除外しているものであると主張する。 確かに,当初明細書等の段落【0031】,【0032】及び【0041】には,赤,緑,青のうち人間の目には緑に対する感度が特に高く,他の2色に対する感度は低いため,緑の輝度を他の2色に比べて多少低くしても,人間の目には暗いと認識されないこと,また,補助容量連結ライン16が形成され,画素電極14の開口率が低下すると,その画素領域12で表示される部分の輝度が低 ,緑の輝度を他の2色に比べて多少低くしても,人間の目には暗いと認識されないこと,また,補助容量連結ライン16が形成され,画素電極14の開口率が低下すると,その画素領域12で表示される部分の輝度が低下してしまうことから,緑を表示する画素領域にのみ補助容量連結ラインを選択的に配置して開口率を下げることで,緑の輝度を他の2色より低くすることにより,他の2色に比べて緑に対する感度が高い人間の目に自然なカラーバランスで認識されるカラー表示装置を提供することができるという効果を奏することが記載されている。 しかし,上記のとおり,当初明細書等の段落【0028】~【0030】,図2及び図3の記載から,第2の実施形態では,赤,緑,青の各色が3列おきに繰り返し配置されている画素領域の3列につき1列に補助容量連結ラインを設けることによって,第1の実施形態より補助容量連結ラインの本数が少なくても,信号電圧を矯正することができ,また,第1の実施形態よりも補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができるという効果(以下「任意の色の効果」という。)を奏 - 40 -するものであり,その効果は,補助容量連結ラインを赤,緑,青のいずれの画素領域の列に設けても得られることは明らかであるところ,その次の段落【0031】は,最初に「ところで,・・・」で始まっており,話題が切り替わっているから,段落【0031】,【0032】及び【0042】には,【0028】~【0030】の記載を受けて,赤,緑,青のうち,特に緑を表示する画素領域のみに補助容量連結ラインを選択的に配置することで,上記任意の色の効果に加えて,さらに緑特有の効果を奏することが記載されているものと認められる。 したがって,当初明細書等の記載は,補助容量連結ライン16を選択的に配置する表示領域とし することで,上記任意の色の効果に加えて,さらに緑特有の効果を奏することが記載されているものと認められる。 したがって,当初明細書等の記載は,補助容量連結ライン16を選択的に配置する表示領域として,「赤(R)」や「青(B)」を表示する画素領域を除外しているとはいえない。よって,被告の上記主張は採用することができない。 (4) 被告は,出願当初の特許請求の範囲には,補助容量連結ラインを緑を表示する画素電極を有する画素領域にのみ形成する形態が記載されているのみであって,「特定の色」を「緑」に限定しないことなど一切記載がないと主張する。 しかし,そもそも,新規事項の追加についての判断は,出願当初の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項に基づいて判断するものであるから,出願当初の特許請求の範囲に記載がないことだけから新規事項の追加に該当するとはいえない。また,出願当初の請求項5には,カラー表示についての記載はないものの,「前記補助容量連結ラインは,複数本の前記ドレインラインにつき1本の前記ドレインラインの隣に形成されている」と記載されており,当初明細書等(甲2)の【発明の実施の形態】の欄(例えば,段落【0022】,【0027】,【0028】など)に記載されているカラー表示にした場合には,補助容量連結ラインの配置が,「緑」を表示する画素電極を有する画素領域に限定されないことになる。よって,被告の上記主張は採用することができない。 2 取消事由2(無効理由2〔サポート要件〕についての判断の誤り)について前記のとおり,技術的事項Aは当初明細書等から把握することができるところ, - 41 -技術的事項Aは訂正明細書にも記載されている。したがって,この記載のないことを前提にして本件発明1,3~6が発明 のとおり,技術的事項Aは当初明細書等から把握することができるところ, - 41 -技術的事項Aは訂正明細書にも記載されている。したがって,この記載のないことを前提にして本件発明1,3~6が発明の詳細な説明に記載されていないとした審決の判断は誤りである。よって,原告の主張する取消事由2は理由がある。 3 取消事由3(無効理由3の判断の誤り)のうち「引用発明の認定の誤り」及びこれを前提とする相違点1 の認定判断の誤りについて(1) 甲第4号証によれば,引用発明は,画素対応のスイッチング素子とデータ入力用のデータバスラインとラインアドレス用のスキャンバスラインとを設けた構造を有するアクティブマトリクス形表示装置に関するものであり(段落【0001】),従来の蓄積容量を有するアクティブマトリクス形表示装置においては,蓄積容量バスラインに接続された比較的大きな容量値を持つ蓄積容量が,線順次の書き込み動作時にオン状態となったTFTを通じて同時にデータバスラインに接続され,各画素の蓄積容量への充電電流が1本の蓄積容量バスラインに集中する結果,電圧降下によりバスライン電圧の変動が生じやすいという問題があったため(段落【0006】),これを解決するために,マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン間を一本の蓄積容量バスラインにつきn箇所の接続部により接続し(段落【0013】),それによって,書き込み動作を行っている画素行に対応する蓄積容量バスラインを通じて流れる電流が接続電極の無い場合よりも低減されるので(段落【0014】),蓄積容量バスラインでの電圧降下を抑制し,表示品質の低下の原因となる液晶セルに書き込まれる電圧の変動を大幅に減少させることができるため,表示品質の大幅な向上が図れ,また,蓄積バスライン抵抗の実効的な抵 積容量バスラインでの電圧降下を抑制し,表示品質の低下の原因となる液晶セルに書き込まれる電圧の変動を大幅に減少させることができるため,表示品質の大幅な向上が図れ,また,蓄積バスライン抵抗の実効的な抵抗値を下げることができる結果,バスライン幅を増大させることなくバスライン長の増大が可能となり,表示画面の大形化や解像度の向上を図ることが可能となるという効果を奏するものであることが認められる(段落【0018】)。 (2) 甲第4号証の段落【0013】には,「マトリクス状画素の形成領域内で隣接する蓄積容量バスライン(61,62,63)間を一本の蓄積容量バスライン - 42 -につきn箇所(図では2箇所)の接続部(7)により接続する。接続部の一箇所あたりの接続電極抵抗(71)をrCとすると,このrCが(n+1)分割された蓄積容量バスライン抵抗に比較して大きくない場合には・・・」と記載されていること,及び,段落【0011】の【数2】からすると,蓄積容量バスライン抵抗rB は,単純に(n+1)等分されているとするのが相当であるから,接続電極は,蓄積容量バスラインを(n+1)等分した位置に配置されているものと認められる。そして,段落【0015】には,「接続電極(71)は隣接する画素電極(41),(42)の間隙に配置する」と記載されていること,及び甲第4号証の図2の記載から,接続電極は,隣接する画素の間隙に配置されることが認められる。 【図2】 以上のように,接続電極は,蓄積容量バスラインを(n+1)等分した位置であって,かつ,隣接する画素の間隙に配置されていることからすると,甲第4号証において,「接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている」ものと認められる。よって,審決の引用発明の認定に誤りはない。 (3) 接する画素の間隙に配置されていることからすると,甲第4号証において,「接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている」ものと認められる。よって,審決の引用発明の認定に誤りはない。 (3) 上記のとおり,審決の引用発明の認定に誤りはない。そうすると,引用発明の「接続電極は数画素ごとに等間隔で形成されている」ことと,本件発明1の「補助容量連結ラインは,前記画素領域の列の3つにつき1つに配列され,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成され,かつ画素電極と重畳 - 43 -する」こととは,「補助容量連結ラインは,画素領域の列の複数につき1つ配列され」る点(一致点J’)で共通するものと認められる。したがって,相違点1の判断誤りに関する原告の主張は前提において理由がなく,採用することができない。 なお,原告は,引用発明にはカラー表示の記載は全くなく,引用発明の当時(平成4年)のアクティブマトリクス型表示装置において,引用発明の技術を必要とするような大型のカラー表示装置は存在しなかったから,引用発明がカラー表示の装置を想定していないことは明らかであると主張する。 しかし,アクティブマトリクス型カラー液晶表示装置は,例えば,乙4(鷲塚諫監修・シャープ株式会社液晶事業本部著「液晶ディスプレイその概要と応用市場」株式会社ラジオ技術社・平成3年9月1日発行)(特に,図3・23参照)に記載されているように周知のものであるから,引用発明にカラー表示の記載がないからといって,カラー表示を想定していないとはいえない。原告の上記主張は採用することができない。 4 取消事由3のうち「相違点2についての判断の誤り」について(1) 本件発明1は,アクティブマトリクス型表示装置に関するものであるところ(段落【0001 記主張は採用することができない。 4 取消事由3のうち「相違点2についての判断の誤り」について(1) 本件発明1は,アクティブマトリクス型表示装置に関するものであるところ(段落【0001】),本件明細書によれば,本件発明1について次のとおり認めることができる。 従来,大型または高精細の表示パネルを点順次駆動するときには,数十本のドレインラインを同時にON状態にして,数十の画素電極に対して同時に信号電圧を印加するが,数十本のドレインラインの列選択スイッチが同時にON状態になると,選択されているドレインラインと,補助容量ラインとが交差する部分において,大きな容量結合が発生し,この容量結合によって,補助容量ラインやゲートラインの電圧が,ドレインラインの電圧の影響を受けて変動してしまい,この電圧変化により,同時に列選択スイッチがON状態になるドレインラインを単位に画像のムラが発生することがあり,このムラを解消するため,ドット反転駆動及び垂直反転駆動 - 44 -により,行方向に隣り合う画素電極若しくはドレインラインに互いに逆極性の電圧を印加するようにして,補助容量ラインやゲートラインの電圧が容量結合の影響を受けにくい回路構造にしていたが(段落【0008】),ドット反転駆動及び垂直反転駆動は,行方向に隣り合う画素に同じ極性の電圧を印加する水平反転駆動や,対向電極の電圧の極性を一定時間毎に逆転させる対極AC(交流)駆動においては,原理上実施することができないため,画像のムラを解消することができない。特に,対極AC駆動は表示パネルの低消費電力化に有効であるため,行方向に隣り合う画素に同じ極性の電圧を印加する方式においても,画像のムラの解消が求められている。また,ドット反転駆動及び垂直反転駆動は回路構成が複雑となるため,不良品や故障の 化に有効であるため,行方向に隣り合う画素に同じ極性の電圧を印加する方式においても,画像のムラの解消が求められている。また,ドット反転駆動及び垂直反転駆動は回路構成が複雑となるため,不良品や故障の発生率が高く,歩留まりの低下を招いていた(段落【0009】)。本件発明1は,以上の課題を解決するためになされたものであり(段落【0010】),本件発明1の構成とすることによって,補助容量を連結する補助容量ラインが,補助容量連結ラインによって他の補助容量ラインと電気的に接続されるので,ドレインラインと補助容量ラインやゲートラインとの容量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制し,この電圧変化が原因で発生する画像のムラを防ぐことができ(段落【0040】),しかも,画素電極と重畳する補助容量連結ラインをすべての画素領域に配置するのではなく,画素領域の列の3つにつき1つ配列し,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成するので,補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができ(段落【0029】,【0030】,【図1】),さらに,回路構成が複雑になる垂直ライン反転駆動やドット反転駆動を用いる必要がなく,簡単な回路構成で足りるため,不良品の発生を抑えて歩留まりを向上させることができるという効果を奏するものである(段落【0040】)。 (2) 上記のとおり,本件発明1は,補助容量を連結する補助容量ラインが,補助容量連結ラインによって他の補助容量ラインと電気的に接続されるので,ドレインラインと補助容量ラインやゲートラインとの容量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制し,この電圧変化が原因で発生する画像のムラを防 - 45 -ぐことができるものであるから,「補助容量連結ライン」は,補助容量を連結する 量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制し,この電圧変化が原因で発生する画像のムラを防 - 45 -ぐことができるものであるから,「補助容量連結ライン」は,補助容量を連結する補助容量ラインを他の補助容量ラインと電気的に接続することによって,ドレインラインと補助容量ラインやゲートラインとの容量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制するという機能を有するものである。 (3) 本件発明1と引用発明の相違点2において,引用発明は接続電極と画素電極とを重畳させるものとはいえないところ,甲第4号証の段落【0015】には,「接続電極(71)は隣接する画素電極(41),(42)の間隙に配置することにより,画素部の光の透過特性に影響を与えないようにすると同時に,接続電極(71)と画素電極(41),(42)間の近接や重畳による寄生容量の発生を防いでいる。」と記載されているように,接続電極と画素電極は重畳されておらず,引用発明においては,段落【0015】に記載された問題(光の透過特性への悪影響と画素電極と接続電極間の寄生容量)が解決されない限り,接続電極を画素電極と重畳させる構成を予定していないと解される。被告は,甲第4号証の段落【0016】の「画素(4)の光透過性や画素部の寄生容量が,接続電極(71)の存在により影響を受け」との記載をもって,引用発明において,接続電極と画素電極とを重畳させる構成を予定していないとはいえないとするが,段落【0016】の記載からそのように認めることはできないと解される。 (4) 審決はこの相違点につき周知例として甲第9号証,甲第10号証を挙げているところ,甲第9号証,甲第10号証の記載から理解される技術内容は以下のとおりである。 ア甲第9号証(特開平10-213812号 決はこの相違点につき周知例として甲第9号証,甲第10号証を挙げているところ,甲第9号証,甲第10号証の記載から理解される技術内容は以下のとおりである。 ア甲第9号証(特開平10-213812号公報)の記載(特に段落【0006】,【0011】,【0023】,【0024】,【0025】,【0026】,【0027】,【0028】,【0029】,【0032】,【0033】,【図1】,【図2】)によれば,甲第9号証のシールド電極は,アクティブマトリクス型液晶表示装置において,絵素電極とゲート配線間の静電容量を低減することを目的として設けられたものであって,すべての補助容量配線と電気的に接続して,シールド電極が浮遊容量 - 46 -を持つことによって静電シールド効果が減少することを防ぐとともに,補助容量配線の一部が欠落して断線した場合でも,シールド電極を介してすべての補助容量配線に信号が入力されるので,補助容量配線が断線したときに生じる一列の絵素すべてが欠陥となる線状欠陥を防止するものである。そして,甲第9号証のシールド電極は,絵素電極と重畳する位置に配置されていることが認められる。 前記のとおり,本件発明1の「補助容量連結ライン」は,補助容量を連結する補助容量ラインと他の補助容量ラインとを電気的に接続することによって,ドレインラインと補助容量ラインやゲートラインとの容量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制するものであるから,甲第9号証のシールド電極は,本件発明1の「補助容量連結ライン」とは,設けられた目的が異なるものである。 イ甲第10号証(特開平10-232412号公報)の記載(特に,段落【0020】,【0037】~【0047】,【0068】,【0079】~【0081】,【図1】,【図4】,【図5】) イ甲第10号証(特開平10-232412号公報)の記載(特に,段落【0020】,【0037】~【0047】,【0068】,【0079】~【0081】,【図1】,【図4】,【図5】)の記載によれば,甲第10号証の予備線は,アクティブマトリクス型液晶表示装置において,小型化を阻止することも,表示品位を低下させることもなく,信号線断線時の修正を可能とすることを目的として設けられたものであって,すべてのCs線と電気的に接続することによって,信号線に断線不良が生じたときは,予備線と電極線とを介して断線箇所を迂回するようにして信号線にデータ電圧を印加することができるようにするものであり,画素電極に重畳する位置に配置されていることが認められる。 そして,前記のとおり,本件発明1の「補助容量連結ライン」は,ドレインラインと補助容量ラインやゲートラインとの容量結合に起因する補助容量及び補助容量ラインの電圧変化を抑制することを目的として設けられているものであるから,甲第10号証の予備線は,本件発明1の「補助容量連結ライン」とは,設けられた目的が異なるものである。 (5) 上記のとおり,甲第9号証のシールド電極及び甲第10号証の予備線は本件発明1の「補助容量連結ライン」とは,設けられた目的が異なるものであり,光 - 47 -の透過特性への悪影響と画素電極と接続電極間の寄生容量の問題を解決するものではない。そして,甲第4号証において相違点2に係る構成が,接続電極と画素電極を重畳させるものとされていないことは前記(3)のとおりである以上,引用発明に甲第9号証のシールド電極及び甲第10号証の予備線の構成を適用することが容易想到とはいえないというべきである。したがって,引用発明に周知技術(甲第9号証,甲第10号証)を適用することにより 用発明に甲第9号証のシールド電極及び甲第10号証の予備線の構成を適用することが容易想到とはいえないというべきである。したがって,引用発明に周知技術(甲第9号証,甲第10号証)を適用することにより相違点2に係る本件発明1の構成を得ることは当業者にとって容易想到とした審決の判断には誤りがある。 (6) 「審決の作用効果についての判断の誤り」につきみるに,前記のとおり,本願発明1は,画素電極と重畳する補助容量連結ラインをすべての画素領域に配置するのではなく,画素領域の列の3つにつき1つ配列し,特定の色を表示する画素電極を有する画素領域にのみ選択的に形成するので,補助容量連結ラインによる開口率の低下を抑えることができるという効果を奏するものである。そして,本願発明1が奏する上記効果については,引用発明及び周知技術には,記載ないし示唆がないから,引用発明及び周知技術から予測できる範囲のものとはいえない。 審決は,甲第4号証の段落【0015】の記載につき,「当該記載は,一実施例についての記載に過ぎず,甲第4号証に記載された技術的事項の全趣旨からしても,蓄積容量バスライン間を接続電極で接続することが主眼であって,接続電極と画素電極とを近接や重畳させないことは必須の要件ではなく,従来から使用されている周知構成を採用できないと解釈すべき理由はない。」と判断するが,是認することができない。審決はこの判断に続けて「また,この点に関しては,訂正特許発明1も同様の問題(補助容量連結ラインが配置された画素領域における光透過特性の悪化や寄生容量の発生)を抱えていることは同じであり,その問題を解決する特別な技術手段を有するわけではないから,被請求人の主張は採用できない。」とも説示するが,相違点2に関する本件発明1の当該構成が引用発明から容易想到とはいえない ることは同じであり,その問題を解決する特別な技術手段を有するわけではないから,被請求人の主張は採用できない。」とも説示するが,相違点2に関する本件発明1の当該構成が引用発明から容易想到とはいえない以上,この構成が設計事項の範囲に属するものではないし,訂正後の本件発明は,相違点2のこの構成を含めて当初明細書等の記載の範囲内であるから,本件訂正に - 48 -おいて相違点2に係る構成を限定したからといって,審決が指摘したような問題点を抱えていたと認めることはできない。少なくとも,補助容量連結ラインを3画素のうちの1つとしたことの限定が加わって(前記(1)で認定した段落【0029】,【0030】に記載の効果),光透過特性の悪化や寄生容量の発生は減少し,問題の発生は減少していることは否定できない。 (7) 小活相違点2に関する審決の判断は誤りであって,この誤りは本件発明1,3ないし6を無効とした審決の結論について影響を及ぼすものである。原告の主張する取消事由3は,この点において理由がある。 第6 結論以上のとおりであって,原告の主張する取消事由1~3には理由がある。 よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官真辺朋子 裁判官田邉 実 裁判官田邉 実 主文 原告の請求を棄却する。 理由 原告は被告に対し、損害賠償を求めるものであるが、被告の行為は違法ではないため、請求は認められない。 事実 原告は被告との間で契約を締結し、その履行を求めたが、被告は契約に基づく義務を果たした。 争点 本件において、被告の行為が契約違反に該当するか否かが争点となる。 判断 被告の行為は契約に基づくものであり、原告の主張は認められない。

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