平成16(行ウ)40 太田市恩賞随意契約損害賠償住民訴訟事件

裁判年月日・裁判所
平成20年7月2日 前橋地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文52,781 文字)

- 1 -主文 本件訴えのうち,被告太田市教育委員会教育長が賠償命令をすることを求める部分をいずれも却下する。 被告太田市長は,P1に対し,1306万2420円及びこのうち17万3250円に対する平成12年1月21日から,このうち12万1275円に対する同年5月11日から,このうち15万5925円に対する同月20日から,このうち92万2950円に対する同月23日から,このうち136万3320円に対する同月30日から,このうち25万6725円に対する同年8月11日から,このうち43万5195円に対する平成13年5月22日から,このうち343万1430円に対する平成14年9月21日から,このうち81万6480円に対する同年11月21日から,このうち32万1300円に対する平成15年4月11日から,このうち40万0050円に対する同年5月13日から,このうち276万2865円に対する平成16年3月23日から,このうち190万1655円に対する同年5月21日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用中,原告と被告太田市長との間に生じた部分は,これを50分し,その1を被告太田市長の,その余を原告の各負担とし,原告と被告太田市教育委員会教育長との間に生じた部分は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告太田市長は,P1に対し,P2と連帯して1億3422万6000円及びこれに対する平成14年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P2に対し,P1と連帯して1億3422万6000円及- 2 -びこれに対する平成14年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ う請求せよ。 被告太田市長は,P2に対し,P1と連帯して1億3422万6000円及- 2 -びこれに対する平成14年9月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P3と連帯して9209万5500円及びこれに対する平成16年3月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P3に対し,P1と連帯して9209万5500円及びこれに対する平成16年3月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P4と連帯して6695万8500円及びこれに対する平成16年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P4に対し,P1と連帯して6695万8500円及びこれに対する平成16年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P5と連帯して4544万4000円及びこれに対する平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P5に対し,P1と連帯して4544万4000円及びこれに対する平成12年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,3076万4500円及びこれに対する平成12年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を,うち1538万2250円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP6と,うち512万7416円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP7と,うち512万7416円及びこれに対する同日から支 する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP6と,うち512万7416円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP7と,うち512万7416円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP8と,うち512万7416- 3 -円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP9と,それぞれ連帯して支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P6に対し,P1と連帯して1538万2250円及びこれに対する平成12年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P7に対し,P1と連帯して512万7416円及びこれに対する平成12年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P8に対し,P1と連帯して512万7416円及びこれに対する平成12年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P9に対し,P1と連帯して512万7416円及びこれに対する平成12年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P10と連帯して2721万6000円及びこれに対する平成14年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P10に対し,P1と連帯して2721万6000円及びこれに対する平成14年11月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P11と連帯して1450万6500円及びこれに対する平成13年5月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請 る金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P11と連帯して1450万6500円及びこれに対する平成13年5月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P11に対し,P1と連帯して1450万6500円及びこれに対する平成13年5月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 - 4 - 被告太田市長は,P1に対し,P12と連帯して1333万5000円及びこれに対する平成15年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P12に対し,P1と連帯して1333万5000円及びこれに対する平成15年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P13と連帯して519万7500円及びこれに対する平成12年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P13に対し,P1と連帯して519万7500円及びこれに対する平成12年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P14と連帯して472万5000円及びこれに対する平成16年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告太田市長は,P14に対し,P1と連帯して472万5000円及びこれに対する平成16年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,1071万円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を,うち535万5000円及びこれ による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,1071万円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を,うち535万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP15及びP16と,うち267万7500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP15及びP17と,うち267万7500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP15及びP18と,それぞれ連帯して支払うよう請求せよ。 被告らは,P15に対し,1071万円及びこれに対する平成15年4月- 5 -11日から支払済みまで年5分の割合による金員を,うち535万5000円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP1及びP16と,うち267万7500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP1及びP17と,うち267万7500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP1及びP18と,それぞれ連帯して支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P16に対し,P1及びP15と連帯して,535万5000円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P17に対し,P1及びP15と連帯して,267万7500円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P18に対し,P1及びP15と連帯して,267万7500円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P15及び し,P1及びP15と連帯して,267万7500円及びこれに対する平成15年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P15及びP19と連帯して855万7500円及びこれに対する平成12年8月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告らは,P15及びP19に対し,P1と連帯して855万7500円及びこれに対する平成12年8月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告太田市長は,P1に対し,P15と連帯して577万5000円及びこれに対する平成12年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 被告らは,P15に対し,P1と連帯して577万5000円及びこれに対する平成12年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払- 6 -うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P15に対し,P20と連帯して404万2500円及びこれに対する平成12年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P20に対し,P15と連帯して404万2500円及びこれに対する平成12年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P21に対し,239万4000円及びこれに対する平成16年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を,うち119万7000円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP16と,うち59万8500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP17と,うち59万8500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合に 年5分の割合による金員はP16と,うち59万8500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP17と,うち59万8500円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員はP18と,それぞれ連帯して支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P16に対し,P21と連帯して119万7000円及びこれに対する平成16年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P17に対し,P21と連帯して59万8500円及びこれに対する平成16年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 被告らは,P18に対し,P21と連帯して59万8500円及びこれに対する平成16年5月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう賠償命令をせよ。 第2事案の概要 本件は,群馬県太田市(以下「太田市」という)の住民である原告が,太。 田市長(以下「市長」ないし「被告市長」という)及び太田市教育委員会教。 - 7 -育長(以下「教育長」ないし「被告教育長」という)に対し,太田市の恩賞。 随意契約制度に基づく随意契約の締結ないしこれに基づく公金の支出は違法であるとして,地方自治法(以下単に「法」という)243条の2第1項後段。 又は民法709条に基づき,別紙1「請求額合計」欄記載の金額及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金について別紙1「賠償義務者」欄記載の者に対する賠償命令ないし支払の請求をすることを求めた住民訴訟である。 前提事実(認定事実は末尾に証拠を摘示)(1)当事者ア原告は,太田市の住民である。 イ被告市長は,太田市の執行機関であり,損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限及び賠償命令を 前提事実(認定事実は末尾に証拠を摘示)(1)当事者ア原告は,太田市の住民である。 イ被告市長は,太田市の執行機関であり,損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限及び賠償命令を発令する権限を有する行政庁である。 ,。(,ウP1は平成7年から現在まで太田市長の職にある者である甲11弁論の全趣旨)エ(ア)P2は,平成11年度の太田市総務部長,平成12年度ないし平成13年度の太田市都市づくり部長である。 (イ)P3は,平成14年度ないし平成15年度の太田市都市づくり部長である。 (ウ)P4は,平成13年度ないし平成15年度の太田市産業環境部長である。 (エ)P5は,平成11年度ないし平成12年度の太田市都市開発部長である。 (オ)P22は,平成11年度の太田市建設部長であったが,平成▲年▲月▲日に死亡した。同人の相続人は,P6(妻)並びにP7,P8及びP9(いずれも子)である。 - 8 -(カ)P10は,平成11年度ないし平成14年度の太田市市民生活部長である。 (キ)P11は,平成11年度ないし平成12年度の太田市健康福祉部長である。 (ク)P12は,平成14年度ないし平成15年度の太田市行政事務部長である。 (ケ)P13は,平成11年度ないし平成12年度の太田市企画部長である。 (コ)P14は,平成15年度の太田市健康福祉部長である。 オ(ア)P15は,平成11年度ないし平成14年度の教育長である。 (イ)P23は,平成13年度ないし平成15年度の太田市教育委員会教育部長であったが,平成▲年▲月▲日に死亡した。その相続人は,P16(妻)並びにP17及びP18(いずれも子)である。 (ウ)P19は,平成12年度の太田市教育委員会教育部長である。 (エ)P20は,平成11年度の太田市教 ▲月▲日に死亡した。その相続人は,P16(妻)並びにP17及びP18(いずれも子)である。 (ウ)P19は,平成12年度の太田市教育委員会教育部長である。 (エ)P20は,平成11年度の太田市教育委員会管理部長である。 (オ)P21は,平成15年度の教育長である。 (以下,P2,P3,P4,P5,P22,P10,P11,P12,P13及びP14の役職を「市の各部長」と総称し,P23,P19の役職を「教育部長,P20の役職を「管理部長」と略称する)」。 (2)太田市請負優良工事等表彰に伴う恩賞制度(以下「本件恩賞制度」という)。 (。 「」。)ア太田市請負優良工事等表彰選定要綱甲8以下本件要綱という本件要綱には,要旨以下のとおりの規定がある。 (ア)本件要綱9条に定める優良工事等選定委員会において選定された優良工事を施工した請負人及び同工事の優良主任技術者を表彰し(本件要綱3条,4条,また,同委員会に過去5年間,連続して優良工事の対)- 9 -象として選出された工事の請負人を特別表彰するものとされている(同5条。 )(イ)優良工事及び優良主任技術者の表彰の件数は各12件以内とされ(同6条,1件の請負金額が原則100万円以上,工事成績表の評点)が80点以上の工事が優良工事及び優良主任技術者選定の対象となり得る(同7条)。 (甲8)イ太田市請負優良工事等表彰に伴う恩賞制度運用基準甲2の1以下本(。 「件運用基準」という)。 太田市は,本件運用基準を制定し,これに基づくものとして,平成8年10月31日から本件恩賞制度の運用を開始した。 本件運用基準には,要旨以下のような規定があった。 (ア)本件運用基準は,本件要綱3条の運用に関し必要な事項を定めることにより,請負人の資質及び技術の向上を図ること ら本件恩賞制度の運用を開始した。 本件運用基準には,要旨以下のような規定があった。 (ア)本件運用基準は,本件要綱3条の運用に関し必要な事項を定めることにより,請負人の資質及び技術の向上を図ることを目的とするものである(本件運用基準前文)。 ,,(イ)本件要綱3条により表彰された受賞者に対し1度受賞するごとに金額にして概ね1000万円前後の随意契約の締結権が付与される。ただし,表彰の対象となった工事の請負金額が1000万円以下の場合,その請負金額を考慮した金額とされる(同1条)。 (ウ)本件要綱5条により特別表彰をされた受賞者に対し,1度受賞するごとに概ね3000万円前後の随意契約の締結権が与えられる(同2。 条)(エ)上記(イ)及び(ウ)の随意契約の締結権は,特別の理由がある場合を除いて,表彰を受けた後1年以内に付与される(なお,この1年以内との期間の制限は,後に削除された(同1条,2条)。)。 (甲2の1,証人P24)- 10 -ウ本件恩賞制度の廃止平成15年9月に本件運用基準が改正され,本件要綱3条に基づく表彰者に対しては,指名競争入札及びその他の工事等における業者選定において,指名業者審査委員会等へ優先指名を推奨し,発注の状況に応じ,優良工事受賞者を対象として指名競争入札を実施し,入札参加機会を与えることとされ(随意契約の締結権を付与するとの内容は廃止された,また,。)本件要綱5条に基づく特別表彰者に対する恩賞は廃止され,もって,本件恩賞制度は廃止された。 (甲2の2,3)(3)随意契約の締結本件恩賞制度の運用が開始された平成8年10月31日以後,別紙2「工事件名」欄記載の各工事についての随意契約(以下総称して「本件各契約」という)が締結された。 。 本件各契約に関する工事施工伺い(甲25の1 制度の運用が開始された平成8年10月31日以後,別紙2「工事件名」欄記載の各工事についての随意契約(以下総称して「本件各契約」という)が締結された。 。 本件各契約に関する工事施工伺い(甲25の1ないし57,見積徴取伺)い随意契約開札調書乙33の1ないし56なお別紙2の工事番号以,(。 ,(下単に「工事番号」というときは別紙2の工事番号を指すものとする)5。 7に関するものは存在しない,支出負担行為決議書(甲70の1ないし。)57)について決裁(専決又は代決を含む)を行った者及びその決裁日,。 本件各契約に基づく公金の支出日,本件各契約の相手方並びに本件各契約の契約価格は,それぞれ,別紙2の「工事施工伺い「見積徴取伺い「随」,」,意契約開札調書「支出負担行為決議書「支出日「相手方「契約価」,」,」,」,格」の各欄記載のとおりである。 (甲25の1ないし57,甲70の1ないし57,乙33の1ないし56,弁論の全趣旨)(4)住民監査請求ア原告及び斎藤匠弁護士は,平成16年8月19日,太田市監査委員に対- 11 -し,本件各契約に基づく公金の支出について住民監査請求(以下「本件監査請求」という)を行い,同年9月1日に受理された。 。 イ太田市監査委員は,同年10月8日,本件各契約のうち,平成15年7月以前に締結された工事番号1ないし53についての随意契約(以下,工事番号1についての随意契約を「本件契約1」といい,他の工事番号についての随意契約についても同様とする)については,随意契約の締結の。 日から法242条2項本文の監査請求期間である1年間が経過しているとして却下し,それ以降に締結された本件契約54ないし57については,,。 請求の理由がないとして棄却する旨を決定し同日原告らに 。 日から法242条2項本文の監査請求期間である1年間が経過しているとして却下し,それ以降に締結された本件契約54ないし57については,,。 請求の理由がないとして棄却する旨を決定し同日原告らに対し通知した(甲7,弁論の全趣旨)(5)本件訴えの提起原告は,平成16年11月4日,本件訴えを提起した。 争点 (1)訴訟要件ア監査請求期間の経過についての正当な理由の有無(争点1)イ請求35ないし38に係る被告市長の被告適格の有無(争点2)(2)本案ア本件各契約の適法性(争点3)イ賠償義務者の適否(争点4)ウ故意過失の有無(争点5)エ損害の有無及び額(争点6) 争点に対する当事者の主張(1)争点1(監査請求期間の経過についての正当な理由の有無)についてア被告ら(ア)監査請求期間の徒過住民訴訟は,適法な住民監査請求手続を経ていることが要件であり,- 12 -住民監査請求は,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過した場合は不適法となる。したがって,本件契約1ないし53に係る本件監査請求は,当該各契約の締結の日から1年を経過してから行われており,適法な住民監査請求がない。 (イ)正当な理由の有無についてa法242条2項ただし書は,上記の期間中に住民監査請求ができない正当な理由があった場合,同期間を経過後に行われた住民監査請求も適法であると規定しているところ,正当な理由とは,普通地方公共団体の住民が相当の注意力を持って調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか,また,当該行為を知ることができたと解される時から相当の期間内に住民監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである。さらに,存在自体は秘密でない行為の不当性,違法性が1年の経過後争われる場合,それはいかなる不当 ることができたと解される時から相当の期間内に住民監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである。さらに,存在自体は秘密でない行為の不当性,違法性が1年の経過後争われる場合,それはいかなる不当性,違法性でもよいわけではなく,不当性,違法性を持つものであることが当初は容易に明らかではない場合,住民が相当の注意力を払っても分からない場合に限られ,住民が受け身の立場であってよいということにはならない。 以上の理由から,正当な理由の判断基準については,当該行為が秘密裡になされたか否か,一般住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたか否か,さらに当該住民監査請求をした者が上記の程度に当該行為の存在及び内容を知り得たか否かを検討する必要がある。 b本件恩賞制度は,建設工事の随意契約の運用基準の一方法を定めたものである。したがって,法242条2項ただし書の正当な理由の有無を判断するためには,本件恩賞制度を知り得たか否かが問題となる- 13 -のはもちろんであるが,さらに本件恩賞制度に基づいて締結された随意契約の存在を知り得たか否かも問題となる。すなわち,仮に,住民が本件恩賞制度を知らなくとも,本件各契約の存在を知れば,やはり正当な理由はないことになる。 c(a)本件で問題とされている本件恩賞制度は,秘密裡にされたわけではなく,制度の趣旨を関連業者に周知した後,平成8年10月31日から施行したものである。関連業者への周知は,平成7年10月16日開催の「平成6年度施工優良工事等表彰式及び主任技術者研修会」において説明をしているほか,同会の準備に当たっても,本件恩賞制度について秘密裡に説明をしたことはなく,オープンに行っており,住民に知り得た状態に置かれて 施工優良工事等表彰式及び主任技術者研修会」において説明をしているほか,同会の準備に当たっても,本件恩賞制度について秘密裡に説明をしたことはなく,オープンに行っており,住民に知り得た状態に置かれていたものである。上記表彰式には,業者130社余りが出席しており,市議会代表者,新聞記者等が出席している,太田市では,文書で業者に会の開催を通知しており,特に秘密裡に会を催したものではない,具体的な出席,,者の氏名は判らないが優良業者として表彰された業者はもちろん表彰外の業者からも最低各1名は出席しているはずである。このように,会の参加者には特に制限を設けてなく,参加者の氏名や正確な人数も把握できないことからも判るように,本件恩賞制度の説明を行った際に,外部に対し秘密とした趣旨は全くない。 また,本件各契約自体は,普通地方公共団体として秘密裡に契約することは不可能なものである。 (b)本件恩賞制度が上記のように,各業者や報道機関等に公開されており,一般市民にとって,十分な注意力をもってすれば本件恩賞制度の存在及び内容を知り得る状態であったことは明らかである。 また,本件各契約の存在に関しても,決算において監査を受け,また,行政審査においては,市民からの審査請求があれば,その内容- 14 -を公開している。さらに,市民は,いつでも契約内容について情報公開を求めることができるのであって,相当の注意力を持って調査すれば,本件各契約の内容が分かったものである。また,随意契約によることができる場合の判断については,常に論争があり,住民監査請求も全国的に多数申立てがあることは,一般市民にとっても承知の事実である。 (c)原告は,地方自治体の行為に深い関心を持ったものであり,一般市民より深い注意力をもって自治体の行為を監視していたものである。合 多数申立てがあることは,一般市民にとっても承知の事実である。 (c)原告は,地方自治体の行為に深い関心を持ったものであり,一般市民より深い注意力をもって自治体の行為を監視していたものである。合併前の旧太田市の情報公開条例は,平成11年太田市条例第5号として施行されており,一般住民にも周知されているが,特に市民オンブズマンとして活動している原告にとって同条例の活用により本件各契約の存在及び内容を十分に知ることができた。現に原告は,平成13年6月6日及び同月13日に,太田市水道局の水道メーター発注に関して,上記条例を活用して旧太田市に情報公開を求めている。これに対し,旧太田市は,情報公開に関して透明度が高いと原告らから評価されていたのである。 dしたがって,少なくとも,原告にとっては,平成13年6月の時点,,からは本件各契約の存在及び内容を知り得る状況にあったのであり法234条2項本文の住民監査請求期間を経過したことについて原告に正当な理由はない。 イ原告(ア)法242条2項ただし書の正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的に当該行為を知ることができたかどうか,当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に住民監査請求をしたかどうかによって判断すべきである。 - 15 -そして,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合とは,当該行為が秘密裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると 秘密裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると解するべきである。 (イ)本件恩賞制度の存在は,以下に示すとおり,住民のみならず太田市議会にも隠蔽されていた。 a他の制度の積極的な公表と本件恩賞制度の非公表P1は,平成7年に市長に就任して以来,積極的に入札・契約制度の改革に取り組んできた。平成10年には入札の透明性を高めるために全国に先駆けて予定価格の事前公表制度を導入するとともに,談合防止の観点から郵便入札制度を採用した。また,平成12年には入札の競争性を高めるため県内初の受注希望型指名競争入札を本格的に導入した。そして,これらの新制度の導入に当たっては,常に競争の重要性,透明性の重要性を唱え,その趣旨や概要を積極的に議会やマスコミ,一般市民にアピールしてきた。そして,入札・契約改革に取り組む太田市長P1の名は全国的に知れ渡っていったのである。 本件恩賞制度もこれらの先進的な制度の導入と前後して,平成8年に制定されたが,これらは,マスコミにも,市の広報誌や市のインターネットホームページにもどこにも公表されていない。市の広報誌に優良工事請負業者が表彰されたことが掲載された際も,本件恩賞制度には一切触れていないのである。 b随意契約の相手方選定理由の非公表随意契約の相手方選定の理由の公表は,地方自治体の長にとって法- 16 -律上の義務であり,公表は,公衆の見やすい場所への掲示,閲覧所又はインターネットによる閲覧の方法により行うとされている。 よって,市の広報誌などに掲載されていなくても,被告市長がこの義務を履行していれば,住民が受け身でなく相当の注意力をもって調査すれば本件恩賞 はインターネットによる閲覧の方法により行うとされている。 よって,市の広報誌などに掲載されていなくても,被告市長がこの義務を履行していれば,住民が受け身でなく相当の注意力をもって調査すれば本件恩賞制度によって本件各契約の相手方が選定されていたことを知ることができたといえる余地もある。 しかし,被告市長は,この義務をまったく履行していない。太田市は,平成15年7月に国土交通省が実施した調査に対して,随意契約の相手方選定理由を今後「公表予定」としたが,その後も公表してい。 ,ない太田市のホームページで工事発注予定や指名基準は公表するが随意契約の相手方選定理由は非公表のままである。これでは,本件恩賞制度は隠蔽されていたとしかいいようがない。 c市議会での隠蔽答弁また,本件恩賞制度の存在は,市議会にも一切説明,報告がなされていない。それどころか,市議会では,本件恩賞制度を隠蔽する答弁が繰り返されてきたのである。 まず,被告市長が平成9年12月の市議会において,入札・契約制度についてのP25議員の入札制度に関する質問に対して「随契と,いうのは意外と有効である。本人が出したい値段,私の出来る範囲の値段,それをいろいろな会社から出していただいて,そして,低位の2社なら2社を選んで話し合いを行って決めていくのであれば,入札の競争性と随契のよさとが私は出てくるのではないかとも思う」と。 答弁しているのである。この時既に本件恩賞制度が運用されていたにもかかわらず,それには一切触れないで随意契約であっても複数社から見積りを徴して競争性を確保することが必要なことを力説していたのである。本件恩賞制度の存在を隠蔽しようとした答弁としか言いよ- 17 -うがない。 また,平成16年6月8日,市議会において優良工事表彰について議論がされたが,被告市長は, ことを力説していたのである。本件恩賞制度の存在を隠蔽しようとした答弁としか言いよ- 17 -うがない。 また,平成16年6月8日,市議会において優良工事表彰について議論がされたが,被告市長は,総務部長P26をして「優良工事の,受賞者に対しては,指名選定の優遇措置を講じる」と答弁させているのである。つまり,優良工事の受賞者についても指名入札をさせるということである。この期に及んでも,優良工事の受賞者に随意契約の締結権を与えていることには一切触れていないのである。本件恩賞制度の存在を隠蔽したとしか言いようがない。 このような答弁の繰り返しの結果,平成16年8月19日に原告が本件監査請求をするまで,一般住民どころか市議会も本件恩賞制度の存在を知らなかったのである。それは,原告が本件監査請求をした後の,同年9月議会の決算特別委員会において,P27議員が「96年から98年までの3年間の資料はまだ出していただいていないのですけれども「今回この制度そのものをはじめて知りました。多くの」,議員諸氏もそうだと思いますが」と述べ,それに対して被告市長が,否定していないことから明らかである。 d上記aないしcのような状況からすれば,平均的な市民は,相当な注意力をもってしても,本件恩賞制度の存在を知り得なかったといえる。原告は,たまたま本件恩賞制度の存在をうかがわせる資料を入手し,その上で,平成16年6月30日に契約検査課の課長らを問いただした結果,本件運用基準などに関する資料の交付を受け,初めて本件恩賞制度の存在を知ったものである。 なお,被告らは,原告が一般市民よりも深い注意力をもって自治体の行為を監視していたものと考えられるから,より早く本件各契約の存在及び内容を知り得たとも主張するが,原告が参加している「P28」は,ボランティアで活 ,原告が一般市民よりも深い注意力をもって自治体の行為を監視していたものと考えられるから,より早く本件各契約の存在及び内容を知り得たとも主張するが,原告が参加している「P28」は,ボランティアで活動する住民グループであり,一般市民以上- 18 -の調査権限を有するものではないから,同団体に参加して地方自治体を監視することは,一般住民の立場を超えるものではありえない。 また,被告らは本件各契約の存在を知り得れば住民監査請求をすることができるというが,そのような主張は,すべての随意契約が違法又は不当であるという前提に立たなければ成り立たない。しかし,平成16年11月8日政令第344号による改正前の地方自治法施行令(以下単に「施行令」という)167条の2第1項各号の要件に該。 当すれば,随意契約を締結することは何ら違法,不当ではないのである。現に太田市に限らず,多くの自治体でこのような随意契約は毎年何件も行われている。太田市の公共工事がすべて随意契約でなされていたというのであればともかく,年間12件程度の公共工事が随意契約でなされていたこと自体は特別なことではない。まして,本件恩賞制度は,他の自治体でも例のない制度であり,住民は,本件各契約の存在を知っただけでは,本件恩賞制度に関する不当性,違法性の疑いすら持ち得ないのである。 (ウ)したがって,原告には,法242条2項本文に定める期間内に住民監査請求をすることができない正当な理由があったというべきである。 (2)争点2(請求35ないし38に係る被告市長の被告適格の有無)についてア被告ら被告市長は,独立機関たる教育委員会に対し必要な措置を講ずべきことの一般的勧告権を有するにすぎず,指揮監督等の権限を有しない。したがって,本件訴えのうち,請求35ないし38については,被告市長がP2 被告市長は,独立機関たる教育委員会に対し必要な措置を講ずべきことの一般的勧告権を有するにすぎず,指揮監督等の権限を有しない。したがって,本件訴えのうち,請求35ないし38については,被告市長がP21及びP23に対し直接賠償命令をする権限はないので,被告市長に対する訴えは不適法であり却下すべきである。 イ原告- 19 -争う。 (3)争点3(本件各契約の適法性)についてア原告(ア)施行令167条の2第1項各号への該当性地方自治体の契約事務遂行は,公平性,経済性が求められるので,競争入札が原則とされ,随意契約による方法は,施行令167条の2第1(,「」項各号以下施行令167条の2第1項各号については施行令2号等のように「167条の2第1項」の部分を省略する)の要件に該当。 する場合のみ例外的に認められるにすぎない。 本件各契約のうち本件契約55及び56を除くその余のものは,本件恩賞制度を理由に随意契約とされたが,本件恩賞制度は施行令2号の要件に該当しないし,他のいずれの号の要件にも該当しない。また,これらの契約には,本件恩賞制度以外に随意契約とする理由も存在しない。 したがって,本件各契約を随意契約としたことは違法である。 (イ)太田市契約規則16条の適合性契約に公平性,経済性を要求する施行令の趣旨に照らせば,随意契約の要件に該当する場合でも,可能な限り複数の者から相見積りを徴する競争的随意契約によるべきである。このような観点から,太田市契約規則(甲3)16条は,随意契約によろうとする場合は「特別の理由」,が存在する場合(同条ただし書)を除き,2人以上から見積りを徴することと規定している。ここで「特別の理由」とは,契約の目的物が特,定の1社でなければ請け負うことができないなどの事情が考えられるが,本件各契約 合(同条ただし書)を除き,2人以上から見積りを徴することと規定している。ここで「特別の理由」とは,契約の目的物が特,定の1社でなければ請け負うことができないなどの事情が考えられるが,本件各契約はいずれも一般的な工事であり,請負能力を有する者が複数存在したから,太田市契約規則16条ただし書の「特別の理由」は存在しない。 (ウ)被告らの主張に対する反論- 20 -a施行令2号の解釈(a)施行令167条の2第1項は,随意契約によることができる場合を列挙し,そのうち施行令2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」について,最高裁判所昭和62年3月20日判決・民集41巻2号189頁は「当該契約の性質又は目,的に照らして競争入札の方法による契約の締結が不可能又は著しく困難というべき場合がこれに該当することは疑いないが,必ずしもこのような場合に限定されるものではない。普通地方公共団体において当該契約の目的,内容に照らしそれに相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も該当する。そして,該当するか否かは,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている法及び令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等の諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定される」と判示する。 (b)上記最高裁判決のいう「目的」は「随意契約とした主観的目,的や動機(本件で被告らがいう「工事品質の低下を避けること)」 共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定される」と判示する。 (b)上記最高裁判決のいう「目的」は「随意契約とした主観的目,的や動機(本件で被告らがいう「工事品質の低下を避けること)」を指すのではなく,客観的な工事内容(道路改良工事や排水路新設工事,駐車場整備工事等の給付内容)を指す。上記最高裁判決を全文読めば明らかなように,具体的当てはめ部分で「そこで,以上の観点から本件請負契約の締結をみるに,原審の確定した前記事実関係によると,右の契約の締結はごみ処理施設という複雑かつ大規模- 21 -な施設の建設を目的とするものであってと判示しそこでいう目」,「的」を「工事内容(給付内容」と解している。また,上記最高裁)判決は「当該契約の目的,内容に照らしそれに相応する資力,信,用,技術,経験等を有する相手方を選定」として,目的と内容を並,,「,,,」,列しまたその後の資力信用技術経験とのつながり方そもそも施行令2号の「その性質又は目的」の目的とは客観的給付,,「」内容を指すこと更に例えば民法債権総論の講学上債権の目的「」,,という場合の目的は債権の客観的給付内容を指すことからもこのように解するのが妥当である。 (c)被告らは,仮に,前記(b)のように考えるとしても,当該工事そのものについて,優良工事の実績のある業者に施工させ,当該工事の品質向上を目指すものであることが明らかであるとする。 しかし,第1に,本件恩賞制度の目的は「太田市発注の請負工,事の品質や技術力を,業者間の競争を促すことによって向上させることである。そうすると,当該工事の「品質や技術力を業者間の」競争を促すことによって向上させる」という目的達成のために,当該工事の競争を排除したということに 者間の競争を促すことによって向上させることである。そうすると,当該工事の「品質や技術力を業者間の」競争を促すことによって向上させる」という目的達成のために,当該工事の競争を排除したということになるが,そのようなことはあり得ない。 第2に「優良工事の実績のある業者に施工させ」るという目的,は,優良工事の実績のある業者による指名競争入札によって達成できる。 第3に,当該工事の品質は向上していない。本件恩賞制度による平成15年度の契約案件の検査評点は,それぞれ,79.4点,79.0点,78.5点,76.0点,76.0点であった。検査評点80点以上の評価を受け優良工事の実績のある業者に施工させたところ,その結果はすべて80点以下だったのである。 - 22 -b裁量の逸脱の有無(a)仮に,被告らの主張するように施行令2号の「その性質又は目的」に一般政策目的が含まれるとしても,本件恩賞制度によって随意契約としたことに客観的な合理性,必要性がなければ,裁量権の逸脱として違法となることはいうまでもない。 (b)被告らは,本件恩賞制度は,過当な価格競争を抑制し,品質や技術力の競争を起こし,もって,工事の品質確保を図る目的で制定されたと主張する。 しかしながら,平成8年当時の太田市の競争入札の落札率は90パーセントを割るものが多少出てきた程度であるから,利益を度外視した過当競争が存在したという事情は存在しない。また,本件恩賞制度による随意契約を得るには,優良工事として表彰されなくてはならないところ,そのためには,通常の競争入札による価格競争を勝ち抜く必要があるから,本件恩賞制度は,過当な価格競争の抑。 ,制にはならない過当な価格競争を抑制しようと考えるのであれば()施行令が用意した最低制限価格制度施行令167条の10第2項や低入 ち抜く必要があるから,本件恩賞制度は,過当な価格競争の抑。 ,制にはならない過当な価格競争を抑制しようと考えるのであれば()施行令が用意した最低制限価格制度施行令167条の10第2項や低入札価格調査制度(同第1項)によるべきであったし,それは可能かつ有効な方法であった。しかも,本件恩賞制度により随意契約とした工事については,価格競争だけでなく品質や技術力の競争も存在し得ないから,本件恩賞制度は,品質や技術力の競争を起こすものではない。品質や技術力の競争を起こすのであれば,施行令が用意した総合評価競争入札制度(施行令167条の10の2)によるべきであったし,それは可能かつ,有効な方法であった。さらには,業者間で品質や技術力を競争させるのであれば,その前提として全ての業者が本件恩賞制度を知らなければならないところ,参加させたいと意図する業者,つまり,本件恩賞制度の恩恵を受ける- 23 -業者だけに周知されていたに過ぎないのである。これでは,業者間での品質競争など起きようがない。 (c)また,被告らは,検査評点からも本件恩賞制度の目的が達せられたことも理由の一つとなり,本件恩賞制度は平成15年9月1日に廃止されたという。 しかし,品質向上という目的は,ある年度に達成されたからといって,それで完結するものではなく,毎年継続して掲げられるべき性質のものである。したがって,本件恩賞制度によって品質が向上したというならば,今後も継続すべきである。品質向上という目的,,が達せられたということは本件恩賞制度の継続の理由になっても廃止の理由にはなり得ないのである。また,被告らは,廃止の理由として,近年,景気の低迷による発注工事の減少がみられることから,建設業者の受注機会の拡大を図る目的もあるともいう。発注工事件数が減少すれば,競争は はなり得ないのである。また,被告らは,廃止の理由として,近年,景気の低迷による発注工事の減少がみられることから,建設業者の受注機会の拡大を図る目的もあるともいう。発注工事件数が減少すれば,競争は激化し,過当競争の誘因になることは明らかである。一方,被告らによれば,本件恩賞制度導入の契機は過当競争のおそれがみられたことであった。つまり,被告らは,過当競争を理由に本件恩賞制度を導入し,過当競争を理由に本件恩賞制度を廃止したといっているのである。これでは,全く理由になっていない。 (d)被告らは,本件恩賞制度の導入以後,本件恩賞制度の目的である工事品質は確実に向上したという。 しかし,本件恩賞制度を導入した平成8年には,検査評点が下がっている。これでは,本件恩賞制度によって品質が顕著に向上したとはいえない。被告らは,都合の悪いデータを隠して勝手な主張をしていたのである。 また,平成10年度からの検査評点の上昇が見られるとしても,- 24 -それは本件恩賞制度の成果ではない。 (e)太田市の公共工事で実際に入札指名される業者だけでも306社に及ぶが,そのうち実際に本件恩賞制度によって受注をしたものはそのうちの34社である。これらの業者は約1割強の優良業者であるから,業者毎の検査評点も平均よりも相当高いはずである。そして,本件恩賞制度による発注が行われた平成11年度から平成1. 。 ,5年度の全工事の検査評点の平均は約7599点であるしかし実際には,平均以下の業者が9社も存在していたのである。 また,検査評点の平均点で並べたときに,4番のP29株式会社が6件,8番のP30株式会社が7件の恩賞契約を受注し,2社だけで全体の2割以上の契約高を占めているのである。 このように本件恩賞制度によって受注した業者の検査評点が特に優れているという 9株式会社が6件,8番のP30株式会社が7件の恩賞契約を受注し,2社だけで全体の2割以上の契約高を占めているのである。 このように本件恩賞制度によって受注した業者の検査評点が特に優れているというわけではなく,本件恩賞制度は,特定の業者に恣意的に発注するための制度であるといわざるを得ない。 (f)被告らは,本件恩賞制度の目的である品質向上は「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当し,それは,専門的知識を有する契約担当者の合理的な裁量判断により決定されたという。 しかし,ある工事を指名競争入札にするか,それとも本件恩賞制度による随意契約にするかを区別する基準は存在しなかったのである。契約担当者が随意契約にしたいと思えば,競争入札が可能で競争入札とすべき工事であっても本件恩賞制度を利用して簡単に随意契約とすることができたのである。 また,2件の工事(工事番号14,57)は,本件恩賞制度によ()って緊急の必要により競争入札に付すことができない施行令3号として,3件の工事(工事番号17,35,49)は本件恩賞制度によって競争入札に付することが不利(施行令4号)として,19- 25 -件の工事(工事番号1,2,4ないし12-2,15,16,18ないし21,23,24)は有利な価格で契約を締結することができる(施行令5号)として,随意契約とされたのである。さらに,3件の工事(工事番号3,13,22)は何号に該当するかの検討すらしないまま,本件恩賞制度を理由に随意契約としたのである。 これでは,各契約担当者が契約ごとに施行令2号の要件であるその性質又は目的が競争入札に適しないものか否かについての合理的な裁量判断をすることなど不可能である。 ,,そして本件恩賞制度が施行令2号に該当する根拠とされたのは本件恩賞制度が導入されて5年 その性質又は目的が競争入札に適しないものか否かについての合理的な裁量判断をすることなど不可能である。 ,,そして本件恩賞制度が施行令2号に該当する根拠とされたのは本件恩賞制度が導入されて5年以上経過した平成13年5月10日の工事番号25についての随意契約以後である。5年間,施行令2号該当性の検討などなされていなかったのであり,単なる号数の記載ミスではない。 これでは,品質向上という目的より先に随意契約という結論があったとしかいいようがない。契約担当者にとって,施行令の何号に。 ,,該当するかはどうでも良かったのであるただ訴訟になったため後から理由を付けやすい施行令2号を持ち出し,言い逃れをしているに過ぎない。 (g)被告らは,本件恩賞制度は随意契約とできる場合の業者選定の制度であるともいう。 しかし,複数の優良業者が恩賞の対象として競合する場合に,具体的にどの業者に契約を割り当てるかの基準が存在しなかった。本件恩賞制度が随意契約とできる場合の業者選定の制度ではなかったことは明らかである。 (h)以上の理由により,本件恩賞制度によって随意契約としたことに客観的な合理性,必要性は認められないのであって,担当者がそ- 26 -の裁量を逸脱したものといわざるを得ない。 (エ)上記の他,本件各契約の締結が違法であることの理由は,別紙3の「原告の主張」欄記載のとおりである。 イ被告ら(ア)本件恩賞制度の概要本件恩賞制度とは,太田市発注の請負工事の品質や技術力を,業者間で競争することにより向上を図ることを目的として,当該年度に工事が完了し,完了検査が実施され,その検査評点が80点以上の請負業者を対象とし,この業者のうちから優良工事等選定委員会の決定に基づき,優良工事業者として表彰された請負業者を次年度の1000万円前後の 完了し,完了検査が実施され,その検査評点が80点以上の請負業者を対象とし,この業者のうちから優良工事等選定委員会の決定に基づき,優良工事業者として表彰された請負業者を次年度の1000万円前後の随意契約の対象として,太田市の希望価格以下での随意契約を締結する権限を与える制度である。また,上記委員会に5年間連続して優良工事の対象として選出された特別優良工事業者に対し,3000万円前後の随意契約の対象として,太田市の希望価格以下での随意契約を締結する権利を与える制度である。そして,本件恩賞制度と随意契約の要件との関係は,本件恩賞制度が施行令2号を基礎付ける制度であり,かつ,施行令2号ないし5号によることができる場合の業者選定の制度ということになる。 (イ)本件恩賞制度の適法性a原告は,前記最高裁判決の「目的」について,客観的な工事内容を指すと主張するが,そのように解するのは妥当ではなく,公共団体の政策目的のためにも随意契約を選択できるものと解すべきである。 本件恩賞制度の目的は,利益を度外視した過当競争や技術力の停滞を防止して,工事品質を確保するため,金額の競争だけでなく,品質や技術力の競争をさせるものであり,前記最高裁判決において示された随意契約によれる場合の基準に沿う制度ということができるもので- 27 -ある。 本件恩賞制度の特徴は,第1に太田市発注の請負工事の品質や技術力を,業者間の競争を促すことにより向上させることを目的としたものであること,第2に検査評点が80点以上の請負業者の中から,さらに優良工事等選定委員会の決定を経ること,第3に随意契約の契約価格は太田市の希望価格以下であること,などである。 本件恩賞制度は有効に機能し,工事品質は,本件恩賞制度発足前の平成6年度と比較して,平成14年度まで顕著に向上し,行政目的 と,第3に随意契約の契約価格は太田市の希望価格以下であること,などである。 本件恩賞制度は有効に機能し,工事品質は,本件恩賞制度発足前の平成6年度と比較して,平成14年度まで顕著に向上し,行政目的が達成されたため,本件恩賞制度は平成15年9月1日の改正により廃止された。 b施行令3号ないし5号に関しては「緊急の必要性(3号「競,」),争入札に付することが不利(4号)及び「時価に比して著しく有利」」(),な価格で契約を締結することができる見込み5号の判断として本件恩賞制度が直接関連するものではないが,高品質な工事を提供する業者,緊急な業者選定等に当たっては,本件恩賞制度によって選ばれた業者からの選定は,極めて有用であることは明らかである。そればかりではなく,不信用又は不誠実な者が競争に参加し,かえって普通地方公共団体が損害を被るおそれがある場合(4号関係)や,特定業者の保有する物品が,他の業者の保有する同一物品よりも有利な価格提供を受けられることが明らかな場合(5号関係)などは,本件恩賞制度によって優良業者をストックしておくことは,業者選定にとっ,。 て有用なだけでなく随意契約理由を根拠付ける意味でも有用であるcこのように,本件恩賞制度は,前記最高裁判決の趣旨に添い,行政目的も達成する等,何ら違法な制度ではない。 (ウ)仮に,前記最高裁判決の「目的」を原告主張のように狭く解したとしても,施行令2号を根拠付ける制度である本件恩賞制度は,優良工事- 28 -業者として表彰された業者に随意契約の資格を与えるという制度であり,当該工事そのものについて優良工事の実績のある業者に施工させ,当該工事の品質向上を目指すものであることが明らかである。その積重ねによって,太田市の公共工事全般の品質向上が図れるのである。した あり,当該工事そのものについて優良工事の実績のある業者に施工させ,当該工事の品質向上を目指すものであることが明らかである。その積重ねによって,太田市の公共工事全般の品質向上が図れるのである。したがって,前記最高裁判決の「目的」を原告主張のように狭く解したとしても,本件恩賞制度が前記最高裁判決の趣旨に則っていることが明らかである。 (エ)まとめこのように,本件恩賞制度は,最高裁判決の趣旨に沿い行政目的も達成する等何ら違法な制度ではなく,これに基づく本件各契約も適法である。 前記の他本件各契約の締結が適法であることの理由は別紙3の被,,「告らの主張」欄記載のとおりである。 (4)争点4(賠償義務者の適否)についてア原告別紙2の「支出負担行為決議書」の「決裁者」欄記載の市の各部長,教育長,教育部長及び管理部長は,支出負担行為決議書により,本件各契約の支出負担行為又は支出命令の決裁を行ったのであるから,同人らが賠償義務者である。 イ被告ら最終決裁権者は,いずれも太田市事務専決規程(甲4)及び太田市教育委員会事務専決規程(甲5)により決まるものである。契約締結の流れの,,,,,概略としては工事施工伺い見積徴取伺い随意契約開札調書そして支出負担行為決議書の順に決裁がなされていく。このうち,原告は,支出負担行為決議書の最終決裁印押印者を本件訴訟における賠償義務者としているが,間違いである。本来,上記事務専決規程による決裁が必要である- 29 -が,被告市長及び副市長については,工事施工伺い,見積徴取伺い及び随意契約開札調書により決裁を受けているのであるから,省略が可能とされているのである。したがって,上記各決裁書類を総合的に見て,賠償義務者である決裁者を確定しなければならない。 (5)争点5(故意過失の 約開札調書により決裁を受けているのであるから,省略が可能とされているのである。したがって,上記各決裁書類を総合的に見て,賠償義務者である決裁者を確定しなければならない。 (5)争点5(故意過失の有無)についてア原告(ア)市の各部長,教育長,教育部長及び管理部長の重過失本件各契約を決裁した各部長は,本件各契約以前に随意契約理由が記載された工事施工伺いを決裁しているから,本件恩賞制度に基づく随意契約であることを認識した上で決裁したことは明らかであり,重過失が認められる。 (イ)P15及びP21の故意又は重過失教育長であったP15は,本件契約9につき,随意契約理由が記載された工事施工伺いを決裁した上で,同随意契約を自ら締結したことによって,本件恩賞制度による随意契約であることを認識した上で,支出負担行為を決裁したことは明らかである。 また,教育長自身が決裁をしたことがあるのだから,教育部長及び管理部長が決裁した随意契約についても,本件恩賞制度による随意契約であることを知り得たといえ,それを阻止しなかったことには重過失がある。 (ウ)P1の故意又は過失P1は,市長として,本件恩賞制度によって随意契約がなされたことを認識していたことは市議会の答弁からも明らかである。よって,本件恩賞制度による随意契約を阻止しなかったことには少なくとも過失がある。 イ被告ら- 30 -否認ないし争う。 (6)争点6(損害の有無及び額)についてア原告(ア)主位的主張本件各契約は,施行令が挙げる随意契約の要件に当たらないことは明らかである。また,本件各契約の相手方は,優良工事表彰を受けた業者であるから,太田市との契約は競争入札が原則であることを熟知しており,少なくとも本件恩賞制度による随意契約の締結が許されないことを知り得たといえる。 ,本件各契約の相手方は,優良工事表彰を受けた業者であるから,太田市との契約は競争入札が原則であることを熟知しており,少なくとも本件恩賞制度による随意契約の締結が許されないことを知り得たといえる。 よって,当該契約を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法令の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められるから,随意契約は,私法上も無効である。 本件各契約は無効であるから,太田市には,工事代金支払債務は存在しなかったところ,職員らは不要な支出命令をし,太田市は支出額と同額の損害を被った。その額は4億6594万7500円である。 (イ)予備的主張太田市の被った損害とは,本件各契約の公正な価格と実際の契約価格の差である。 本件では,随意契約の手続そのものが違法であり,本来は競争入札によるべきだったのであるから,本件各契約の公正な価格とは,本来あるべき「公正な競争入札によって形成されたであろう落札価格」である。 ,「」,そして公正な競争入札によって形成されたであろう落札価格は当該工事の内容,規模等多様な要因が複雑に影響しあって形成されるものであるところ,本件各契約の損害を定量的に評価し,算定することはその性質上極めて困難であるから,本件においては,合理的な方法で定量的に推定することにより損害額を算定すべきであり,あとは,民事訴- 31 -訟法248条で相当な損害額を認定するほかない。 「公正な競争入札によって形成されたであろう落札価格」を推定するに当たっては,被告らが主張する設計金額ではなく,予定価格を基準とすべきである。その根拠としては,①指名競争入札において業者間で談合が行われた事例における損害の算定に際し,予定価格を基準として落札率の評価がなされていること,②設計金額を基準として損害がないということはできない旨判示し しては,①指名競争入札において業者間で談合が行われた事例における損害の算定に際し,予定価格を基準として落札率の評価がなされていること,②設計金額を基準として損害がないということはできない旨判示した判決例が存在すること,③設計金額は業者にとって経費の節減が可能となる事情の有無等をすべて反映したものではないことが挙げられる。 さらに,公正な競争が行われている可能性が高い受注希望型指名競争入札の平均落札率は約80パーセントであるから,本件各契約も,正当な契約方法を採用していたならば,予定価格の約80パーセント程度で契約できたと考えられる。 ちなみに,工事番号27の工事の対予定価格での落札率は,95.24パーセントであるが,この工事と同時期,同規模,同種の工事であるα土地区画整理事業・区画道路β線道路改良工事は受注希望型競争入札によって契約されたが,その落札率は対予定価格で69.57パーセントであった。その他,工事番号31,32の工事も,対予定価格での落. ,. ,札率が9759パーセント 48パーセントであったのに対しこれらと同時期,同規模,同種の工事は受注希望型競争入札によって最低制限価格で契約され,その落札率は対予定価格での落札率が78.94パーセントであった。 加えて,本件においては,公正な自由競争が阻害されて,契約価格が形成された点において,多くの談合事件と同じであるが,談合による損害は,少なくとも契約額の10ないし20パーセント,場合によっては50パーセントにも及ぶことが経験則上明らかになっている。 - 32 -以上からすれば,本件においては,本件各契約の契約価格の20パーセント程度以上が損害となると推定すべきである。 そうすると,少なくとも,太田市は正当な契約方法によった場合との差額相当額(予定価格の20パーセン れば,本件においては,本件各契約の契約価格の20パーセント程度以上が損害となると推定すべきである。 そうすると,少なくとも,太田市は正当な契約方法によった場合との差額相当額(予定価格の20パーセント程度,すなわち,合計837)1万2600円を下らない額の損害を受けたといえる。 イ被告ら(ア)損害の不発生a設計金額の妥当性本件各契約における適正な金額は,設計金額というべきである。なぜなら,設計金額は,客観的な基準に基づき適正に算出されているからである。さらに,本件各契約は,設計金額から企業努力などを求めた予定価格を設定している。予定価格は,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して,実質的に設定している。設定率については,設計額が工種や条件より様々であるから,一定の基準というものはなく,上記の条件を考慮して実質的に決めている。 以上のように,設計金額が適正な金額であり,予定価格が上記のように決定されていることから,本来,設計金額と予定価格とは同じとなるはずであるが,各自治体の財政事情等から,業者の更なる企業努力を求めて歩切りを行い,予定価格を決めているのが現状である。歩切りについては,国土交通事務次官の通達により「設計書金額の一,部を正当な理由なく控除するいわゆる歩切りについては,厳に慎むこと」とされているが,自治体の財政事情等から歩切りを行って予定。 価格を設定している実情である。このような理由から適正な契約価格は設計金額であり,本件各契約は,いずれも設計金額未満の金額で契約しており,太田市に損害はない。ちなみに,本件各契約の金額の平- 33 -均値は,設計金額の90.86パーセントであり,予定価格(設計金. ). 。 額の9328パーセントの平均値の9740パーセントで 市に損害はない。ちなみに,本件各契約の金額の平- 33 -均値は,設計金額の90.86パーセントであり,予定価格(設計金. ). 。 額の9328パーセントの平均値の9740パーセントであるb実質的な妥当性. ()本件各契約による落札率は平均9085パーセント対設計金額,()であるのに対し競争入札による契約の落札率いずれも対設計金額は,以下のとおりであった。 平成11年度95.69パーセント平成12年度89.22パーセント平成13年度90.11パーセント平成14年度89.08パーセント平成15年度88.28パーセント,,また本件恩賞制度を廃止した以降である平成16年度の落札率は86.78パーセントであった。このように,実質的にも本件各契約による太田市の損害は認められない。 (イ)原告の主張についてa主位的主張本件における原告の請求は,本件各契約の無効を前提として,契約価格全額を損害としている。しかし,本件各契約により太田市が得た利益(工事完成物)は,太田市の不当利益とはならないから,随意契約を無効とする前提に立っても原告の請求に理由がないことは明らかである。 b予備的主張(a)原告は,競争入札によった場合,予定価格の80パーセントで落札することが証明できるとして,80パーセント相当額の損害を主張する。 しかし,随意契約によらず,競争入札を実施した場合の落札価格- 34 -が80パーセントとなるとの証明はできていない。原告は,談合の例を基に損害を請求するが,談合があった場合と本件のような随意,。 ,契約の場合では全く事情が異なる談合の場合は業者間で談合しまさに競争を排除して落札価格を高値に保つことが主たる目的である。これに対し,本件各契約は,工事品質の向上を目指し,過度の 随意,。 ,契約の場合では全く事情が異なる談合の場合は業者間で談合しまさに競争を排除して落札価格を高値に保つことが主たる目的である。これに対し,本件各契約は,工事品質の向上を目指し,過度の競争を排除し,適正な価格で契約することを目的としている。すなわち,業者間で落札価格を談合する場合と異なり,本件は太田市が予定価格を決めて,予定価格を上限として契約を締結する制度であるからである。そこには,太田市の意思が介入し,太田市が適正価格とする設計金額以下での契約が行われるのであり,原告が例とする談合と本件を同一視することは,適当と考えられない。予定価格を極めて低額に設定し,さらに業者間の過度の価格競争を行わせることは不合理なものである。 (b)競争入札に付された場合,仮に設計金額より低額の落札がなされたとしても,その落札価格が正当な価格であるということは,必ずしもいえない。落札者が利益を度外視した落札を行った場合は,。 ,かえって工事品質の低下などの重大な問題が生ずる前記のように国土交通事務次官は,設計金額の一部を正当な理由なく控除する歩切りについては,厳に慎むこととの通達(乙15の3)を出している。同通達によれば,設計金額から減額した予定価格を設定すること自体についても問題があることになる。しかし,その自治体においても財政事情から,設計金額から歩切りをして予定価格を設定しているのが実情である。したがって,設計金額が正当に設定されていれば設計金額以下での契約については,太田市の損害はない。 (c)民事訴訟法248条の適用について民事訴訟法248条が適用される要件としては,第1に太田市に- 35 -損害が生じたことが認められる場合,第2に損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることである。 第1の太田市の損害について 訟法248条が適用される要件としては,第1に太田市に- 35 -損害が生じたことが認められる場合,第2に損害の性質上その額を立証することが極めて困難であることである。 第1の太田市の損害については,その発生がないことは上記のとおりである。該当する工事に関して,客観的な資料に基づき,設計金額が設定されるが,さらに契約担当者は「仕様書又は,設計書,等に基づき,その契約の目的となる物件又は役務についての取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡及び履行期間の長」(,短を考慮して予定価格を決めている太田市契約規則15条の26条。この予定価格は,受注企業の企業努力をも見込んだ価格で)あり,予定価格より低額での契約であれば,太田市に損害はないと考える。仮に,競争入札により予定価格よりさらに大幅に下回る落札がなされたとしても,それは例外であり,落札者が利益を度外視した落札であって,その価格をもって正当な価格とはいえない。 第2の損害の立証が極めて困難であるとの要件については,損害は,契約価格と正当な価格との差額であるが,正当な価格は予定価格と変わらないものと考えるので,立証の困難性もない。競争入札に付された場合の落札価格を正当な価格と考えることは,落札者が利益を度外視した落札を行っている場合は基準とならない。 以上の次第で,本件について民事訴訟法248条の適用はない。 第3争点に対する判断 訴訟要件(1)争点1(監査請求期間の経過についての正当な理由の有無)についてア認定事実前記前提事実,証拠(甲7,8,13ないし15,18の1,2,甲69,乙20,22の1,2,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 - 36 -(ア)原告は,10年ほど前からP28という市民オンブズマングループに所属し の1,2,甲69,乙20,22の1,2,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 - 36 -(ア)原告は,10年ほど前からP28という市民オンブズマングループに所属している。 (イ)原告は,平成13年6月6日,太田市の平成10年度ないし平成12年度における水道局発注の水道メーターに関する入札執行調書等について,同月13日,太田市の平成元年から平成12年までの水道局発注の水道メーターの落札者等について,公文書開示請求を行った。 (ウ)平成14年3月1日に太田市が発行した「○○」には,行政審査報告として,平成12年度の土木工事及び建築工事の随意契約の件数及び契約価格の合計額が掲載されていた。 (エ)平成15年7月18日付け群馬県総務部地方課長及び群馬県土木部監理課長による「公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律」に基づく入札・契約手続に関する実態調査に対して,被告市長は,随意契約の相手方の選定理由の公表について「公表予定」である旨回答した。 ,(オ)原告は,平成16年の春ころ,太田市内のα区画整理事業で不正が行われているとの噂を聞き,太田市に同事業の契約書類の情報公開請求を行い,同年6月中旬ころ,太田市から入手した同事業についての契約資料を入手し,調べていたところ,業者選定理由のところに「優良工事の恩賞による」との記載があることに初めて気が付いた。 (カ)原告は,同月24日,太田市役所に出向き,上記記載の意味を尋ねたところ,太田市契約検査課のP31から「これは恩賞制度による随意契約のことだと思う」旨の回答を得た。原告は,直ちに,本件恩賞制度の内容の説明と資料の提示を求めた。 (キ)原告は,同月30日,太田市契約検査課から本件各契約の契約書の交付を受け,また,同年7月7日,同課の主任であったP32 を得た。原告は,直ちに,本件恩賞制度の内容の説明と資料の提示を求めた。 (キ)原告は,同月30日,太田市契約検査課から本件各契約の契約書の交付を受け,また,同年7月7日,同課の主任であったP32から,平成11年度以降に本件恩賞制度に基づき締結された随意契約のリストを。 ,,。 入手したなおこの時本件各契約の設計金額は非公開とされていた- 37 -(ク)原告は,上記各資料の検討を経て,上記オンブズマングループのメンバーと相談の上,住民監査請求をする方針を決定したところ,住民監査請求をするに当たり太田市の損害額を算出する上で重要な要素となる設計金額が非公開とされ,入手できていなかった。そこで,原告は,他の地方自治体での事例を調査し,予定価格であれば公開される可能性が高いと判明したことから,太田市に予定価格の情報公開請求をし,平成16年8月13日に予定価格を示した文書の公開を受けた。 (ケ)原告及び斎藤匠弁護士は,同月19日,太田市監査委員に対し,本件監査請求を行い,同年9月1日に受理された。 (コ)原告は,太田市に対し,平成17年2月18日付けで,本件恩賞制度の趣旨について太田市議会に対して説明がなされたことがわかる資料についての公文書開示請求を行ったが,同資料が存在しないとして,同年3月14日,同請求は却下された。 (サ)原告は,太田市に対し,同月22日付けで,本件恩賞制度に関する広報の記事について公文書開示請求を行ったが,同月31日,同記事が存在しないとして,不開示の決定がなされた。 (シ)原告は,太田市に対し,同月30日付けで,平成7年以後の公表を前提とした随意契約の業者選定理由や随意契約理由を公表したことを示す文書又はインターネット情報についての公文書開示請求を行ったが,同年4月7日,同資料が存在しないとし 日付けで,平成7年以後の公表を前提とした随意契約の業者選定理由や随意契約理由を公表したことを示す文書又はインターネット情報についての公文書開示請求を行ったが,同年4月7日,同資料が存在しないとして,不開示の決定がなされた。 (ス)太田市請負優良工事等表彰選定要綱(インターネットに公開されている)には,本件恩賞制度についての規定が存在しない。 。 イ検討(ア)住民監査請求は,各随意契約の締結日から1年以内になされなければならない(法242条2項本文)ところ,前記のとおり,本件各契約は平成11年4月19日から平成16年3月25日までの間に締結さ- 38 -れ,本件監査請求は,同年8月19日になされており,平成15年8月19日以後に締結された本件契約54ないし57を除いて,いずれも契約締結の日から1年を経過して住民監査請求がなされたものであるから,本件監査請求は,本件契約54ないし57についての部分を除き,法242条2項ただし書に定める正当な理由がない限り不適法となる。 そして,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,上記正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて前記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(平成14年9月12日最高裁判所第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁。 )以上に基づき本件について検討するに,①太田市では,平成15年7月18日当時,本件各契約の当時,随意契約の相手方の選定理由及び随意契約の理由は公開予定とされていたのであるから 巻7号1481頁。 )以上に基づき本件について検討するに,①太田市では,平成15年7月18日当時,本件各契約の当時,随意契約の相手方の選定理由及び随意契約の理由は公開予定とされていたのであるから,その時点では本件恩賞制度に基づく随意契約である旨は公開されていなかったと認められること,②原告による本件恩賞制度の公表に係る各公文書の公開請求に対し,太田市が同公文書が不存在であることを理由に非公開と決定等していることからすれば,本件恩賞制度について,広報誌による太田市民に対する広報,太田市議会に対する説明,随意契約の業者選定理由や随意契約理由についての公開等は,原告が前記認定の公文書公開請求を行った平成17年2月ないし3月の当時まで,一切なかったものと推認できること,③その他,本件各証拠を精査しても,公開を前提とした本件恩賞制度に関する文書が存在せず,また,太田市が積極的に本件恩賞制度を議会又は市民などに知らしめる方策を講じたとも認められないこと- 39 -などの事情を併せ考えると,本件恩賞制度の存在は太田市の一般市民に対しては秘密にされていたと認められる。 (イ)上記のとおり,本件恩賞制度は,太田市の一般市民に対しては秘密にされていたと認められる上,前記のとおり,原告は平成16年6月中旬ころ「優良工事の恩賞による」との記載のある公文書を入手し,こ,れが本件恩賞制度の存在に気付く契機となり,同月24日にP31から本件恩賞制度の存在について説明を受け,同月30日に本件各契約の契約書を,同年7月7日に本件恩賞制度に基づく随意契約のリストを入手することができたのであり,このような経緯も考え合わせれば,原告が太田市の市民オンブズマンとして太田市の行政に関心を寄せ,情報公開制度の存在を認識し,実際に利用した経験があることを考慮したとして することができたのであり,このような経緯も考え合わせれば,原告が太田市の市民オンブズマンとして太田市の行政に関心を寄せ,情報公開制度の存在を認識し,実際に利用した経験があることを考慮したとしても,太田市の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為である本件各契約の締結の事実又は本件各契約の内容を知ることができる状況になったのは,早くとも原告がP31から本件恩賞制度の存在について説明を受けた平成16年6月24日の時点であるというべきである。 そして,原告は,同日から約2か月後の同年8月19日に本件監査請求を行っているところ,その間,原告は,同年6月30日,7月7日に本件各契約についての資料を入手したこと,本件監査請求を行う上での重要な事実となる予定価格について初めて情報公開を受けられたのが平成16年8月13日であることといった情報の入手の経緯に加え,本件各契約の数が58と多数に上り,調査,検討に相当の期間が必要となることが容易に想定されることなどを併せ考えれば,本件監査請求は相当な期間内に行われたと認められる。 (ウ)以上説示したところによれば,原告が法242条2項本文に定める期間を経過してから本件監査請求を行ったことについては同項ただし書- 40 -に定める相当な理由があったというべきである。 (2)争点2(請求35ないし38に係る被告市長の被告適格の有無)についてア被告らは,被告市長が太田市教育委員会に対し,一般的な勧告権を有するに過ぎないから,請求35ないし38については,被告市長に対する訴えは不適法である旨主張する。 そこで検討するに,本件のような法242条の2第1項4号に基づく訴えにおいては,普通地方公共団体の執行機関又は職員が被告となるが,この場合の執 ては,被告市長に対する訴えは不適法である旨主張する。 そこで検討するに,本件のような法242条の2第1項4号に基づく訴えにおいては,普通地方公共団体の執行機関又は職員が被告となるが,この場合の執行機関又は職員とは,当該訴訟で求められている損害賠償等の請求や賠償命令を行う権限を有する行政庁とその補助機関を指すものと解される。そして,損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限及び賠償命令を発令する権限は,いずれも普通地方公共団体の長に与えられているから(法242条の3第1項,243条の2第3項,第4項,ま)ず,普通地方公共団体の長が執行機関として被告適格を有し,特段の委任がある場合には,その委任を受けたものが職員として被告適格を有することになるものと解される。 したがって,本件においても,請求35ないし38に係る被告市長の被告適格の有無については,被告市長の教育委員会に対する指揮監督の権限ではなく,各賠償義務者に対し損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限及び賠償命令を発令する権限の有無により判断すべきであるところ,甲第6号証及び弁論の全趣旨によれば,上記権限を被告市長が被告教育長に委任したとの事情は認められないから,被告市長は請求35ないし38について被告適格を有するというべきである。 よって,被告らの主張は採用できない。 イなお,本件における他の請求に関する被告適格について検討するに,請求25ないし28,30及び32ないし38においては,被告教育長が賠- 41 -償義務者に対して賠償命令を発することを求めている部分が含まれているが,上記のとおり,被告市長から被告教育長に対して賠償命令を発する権限を委任したとの事情が認められない以上,被告教育長は被告適格を有しないというべきである。したがって,請求25ないし28,3 ているが,上記のとおり,被告市長から被告教育長に対して賠償命令を発する権限を委任したとの事情が認められない以上,被告教育長は被告適格を有しないというべきである。したがって,請求25ないし28,30及び32ないし38のうち,被告教育長が各賠償義務者に対して賠償命令を発することを求める部分は,不適法な訴えというべきである。 本案(1)認定事実証拠(甲25の1ないし57,甲70の1ないし57,乙33の1ないし56,証人P24)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 ア本件恩賞制度の運用等(ア)設計担当課等から契約検査課に上がってきた工事の設計内容を見て,契約検査課が本件恩賞制度の対象となっている12社の中に当該工事の施工が可能な適当な業者があるか検討し,その上で,設計担当課に確認して随意契約を締結する。 もし,適当な業者が存在しなければ,当該工事については,競争入札に付して契約を締結する。 なお,随意契約を締結することになった場合,2つ以上の業者から見積りを徴収することはない。 (イ)予定価格の設定に当たっては,競争入札に付したときより3パーセント程度価格の上昇が見込まれることから,競争入札の場合は5パーセント程度の歩切りを行うのに対し,本件恩賞制度の場合は8パーセント程度の歩切りが行われていた。 (ウ)太田市は,平成15年9月に本件運用基準を改正し本件恩賞制度を廃止したが,これに先立つ同年8月14日ころ,同制度の制度目的を達成したとする「恩賞制度運用基準の成果実証」と題する書面(乙3)が- 42 -作成された。同書面では,本件恩賞制度施行中の工事全体(本件恩賞制度の対象以外の工事も含む)の検査評点の平均点の変動について,以。 下のとおり記載されている。 土木(舗装・造園を含む)建築(電気・管を含む)。 面では,本件恩賞制度施行中の工事全体(本件恩賞制度の対象以外の工事も含む)の検査評点の平均点の変動について,以。 下のとおり記載されている。 土木(舗装・造園を含む)建築(電気・管を含む)。 。 平成6年75.32点75.81点平成7年75.23点76点平成8年74.09点73.47点平成9年75.31点75.19点平成10年75.34点74.81点平成11年75.93点75.82点平成12年76.11点75.68点平成13年76.22点76.40点平成14年76.82点76.31点イ本件各契約についての決裁本件各契約の締結に当たっては,まず,工事施工伺いにより,工事の概要等とともに,随意契約による場合の随意契約適用条文,業者選択理由等の決裁が行われ,次に,随意契約見積徴取伺いにより,上記の決裁を受けた工事につき見積りを徴取することについての決裁が行われる。その後,徴取した見積りに基づき,随意契約開札調書において,太田市契約規則18条に基づき契約を締結することについての決裁が行われ(まだ支出負担額についての決裁は行われない,この決裁を受けて,支出負担行為決。)議書において,負担行為額も含めた契約の締結及び支出負担額について,本件各契約についての決裁が行われる。 (2)争点3(本件各契約の適法性)についてア被告らは,本件恩賞制度が施行令2号の要件を根拠付けるものである旨主張するので,以下,検討する。 - 43 -施行令2号の「その性質または目的が競争入札に適しないものをするとき」とは,不動産の買入れ又は借入れに関する契約のように,当該契約の目的物の性質から契約の相手方がおのずから特定の者に限定されてしまう場合や,契約の締結を秘密にすることが当該契約の目的を達成する上で必要と ,不動産の買入れ又は借入れに関する契約のように,当該契約の目的物の性質から契約の相手方がおのずから特定の者に限定されてしまう場合や,契約の締結を秘密にすることが当該契約の目的を達成する上で必要とされる場合など,当該契約の性質又は目的に照らして,競争入札の方法による契約の締結が不可能又は著しく困難というべき場合は勿論のこと,それ以外にも,競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはいえないが,不特定多数の者の参加を求め,競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく,当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても,普通地方公共団体において当該契約の目的,内容に照らし,それに相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定し,その者との間で契約の締結をするという方法をとるのが,当該契約の性質に照らし,又はその目的を究極的に達成する上で,より妥当であり,ひいては,当該普通地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も含まれるものと解すべきである。 そして,上記のような場合に該当するか否かは,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている法及び施行令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して,当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和62年3月20日第二小法廷判決。 ・民集41巻2号189頁)そこで検討するに,前記前提事実及び前記認定事実によれば,本件恩賞制度は,通常の競争入札案件を落札した業者のうち,工事の検査評点が良かった業者に対して随意契約の締結権を付与することによって,随意契約- 44 - に,前記前提事実及び前記認定事実によれば,本件恩賞制度は,通常の競争入札案件を落札した業者のうち,工事の検査評点が良かった業者に対して随意契約の締結権を付与することによって,随意契約- 44 -の締結権の付与を受けたいと考える業者に対し,工事の品質の向上を促すインセンティブを付与し,もって,太田市の工事案件全体における工事品質の向上を図るものであると認められ,このような制度の趣旨ないし目的からすれば,本件恩賞制度は,個々の契約における随意契約の締結の必要性を離れた一般的抽象的な政策的目的を達成するための制度というべきであるから,施行令2号の要件を根拠付けるものとはいえない。 これに対し,被告らは,本件恩賞制度には,過当競争の防止等の目的も存在したと主張するが,本件要綱及び本件運用基準上,過当競争の防止を目的とする旨の記載が一切ないこと(甲2の1,甲8,本件恩賞制度は)競争入札後に完成された工事の品質を考慮するものに過ぎないから本件恩賞制度が存在するからといって競争入札時における過当競争を防止できる仕組みとはなっていないことなどを併せ考えると,本件恩賞制度の目的に過当競争の防止等が含まれていたとは認められない。 以上に説示したとおり,本件恩賞制度は,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている法及び施行令の趣旨に合致するものとは到底いえないから,単に本件恩賞制度に基づいて随意契約を締結することは太田市の契約担当者の合理的な裁量判断を逸脱する違法なものといわざるを得ない。 イそうすると,本件恩賞制度の存在を理由として本件各契約の締結を正当化することはできないから,本件各契約が適法であるというためには,施行令各号に該当することが必要であるので,以下,施行令各号に該当するか検討する 本件恩賞制度の存在を理由として本件各契約の締結を正当化することはできないから,本件各契約が適法であるというためには,施行令各号に該当することが必要であるので,以下,施行令各号に該当するか検討する。 (ア)本件契約1ないし12-2,18ないし20aまず,被告らは,本件契約1ないし12-2,18ないし20について,施行令2号に該当すると主張する。 施行令2号に該当するか否かの判断については,前記最高裁判所判- 45 -決に示されるとおり,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類等の諸般の事情を考慮して,契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきである。 この点について,被告らは,別紙3「被告らの主張」欄記載のとおり,耐久性の向上に伴う管理費の軽減や利用者の安全確保(本件契約1ないし5,7,8,10なしい12-2,18ないし20,グラ)ンドの利用者に与える障害(本件契約6,集会所の既設トイレの利)用者に与える障害(本件契約9)などの各工事の必要性を挙げて,上記各契約を競争入札に付することには適しないと主張する。しかし,仮に,被告らが主張するような上記各工事の必要性が存在したとしても,そのことから,直ちに,個々具体的な契約の性質又は目的に照らし,競争入札に付することが適しない事由があると認められないことはいうまでもない。また,上記各契約に係る工事施工伺い(甲25の1ないし12,18ないし20)上も,上記各契約を競争入札に付することが適しない理由について何らの記載も見あたらず,他の証拠によっても,こうした理由の存在を認めるに足りない。 そうすると,施行令2号に基づいて上記各契約を締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 b次に,被告らは,上記各契約について施行令5号に該当すると主張する。 施行令5 そうすると,施行令2号に基づいて上記各契約を締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 b次に,被告らは,上記各契約について施行令5号に該当すると主張する。 施行令5号にいう「時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みがあるとき」に該当するか否かの判断については,契約担当者の一定程度の合理的な裁量により決せられるべきであるところ,被告らの主張は「良好な品質を確保することにより,維,持管理費が軽減される」などと,抽象的な将来の歳出の削減の見込みをいうものにすぎず,時価に比べた具体的な契約価格の削減の見込み- 46 -をいうものではない(なお,上記各工事施工伺い上も,価格の有利性について何らの記載もない。そうすると,被告らの主張する各事。)由の存在を前提としても,施行令5号に基づき上記各契約を締結することに合理性があるとは認めがたいから,これは契約担当者の裁量権を逸脱してなされたものであるといわざるを得ない。 ,,cよって上記各契約を施行令2号又は5号に基づき締結することは施行令167条の2に反し,違法であるというべきである。 (イ)本件契約13,22,25ないし34,36ないし48,50ないし54被告らは,本件契約13,22,25ないし34,36ないし48,50ないし54について施行令2号に該当すると主張する。 しかしながら,被告らの上記主張は,いずれも,一般的抽象的に,各工事の現場に精通する業者と契約を締結することにより,限られた予算の中で契約の完全な履行を確保することができる,などとするものにすぎず,個々具体的な契約の性質又は目的に照らした競争入札に付することが適しない理由に言及するものではない(なお,上記各契約に係る工事施工伺い(甲25の13,22,25ないし34 ,などとするものにすぎず,個々具体的な契約の性質又は目的に照らした競争入札に付することが適しない理由に言及するものではない(なお,上記各契約に係る工事施工伺い(甲25の13,22,25ないし34,36ないし48,50ないし54)にも,上記各契約を競争入札に付することが適しない理由についての記載は存在しない。そうすると,被告らが主張する。)各事由の存在を前提としても,施行令2号に基づき上記各契約を締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 よって,上記各契約を施行令2号に基づき締結することは,施行令167条の2に反し,違法であるというべきである。 (ウ)本件契約14被告らは,本件契約14について施行令3号に該当すると主張するところ,本件契約14に係る工事施工伺い(甲25の14)によれば,本- 47 -件契約14は,当時の文化財倉庫を職業安定所に売却するための当該倉庫の改築工事であり,平成12年3月24日までに完了させる必要があったことが認められるところ,その決裁が行われた同年2月28日の時点においては,1か月弱の期間しか残されていなかったのであるから,競争入札に付することができない緊急の必要がある状況であったと一応認めることができ,これを覆すに足りる証拠はない。 そうすると,本件契約14を締結した契約担当者の判断がその裁量権を逸脱したものとまでいうことはできず,本件契約14については施行令3号に該当するというべきである。 (エ)本件契約15及び16被告らは,本件契約15及び16について,設計金額を一定の割合で削減しており,経費を削減できていたから,施行令5号に該当すると主張する。しかしながら,設計金額は,太田市において算出する競争入札ないし随意契約における契約価格の前提となる金額に過ぎず,結局,被 で削減しており,経費を削減できていたから,施行令5号に該当すると主張する。しかしながら,設計金額は,太田市において算出する競争入札ないし随意契約における契約価格の前提となる金額に過ぎず,結局,被告らの主張は,上記各契約を競争入札に付する場合と比較しての価格の有利性について何ら言及するものではない(なお,工事施工伺い(甲25の15,16)上も,価格の有利性について何らの記載もない。 。)また,被告らが設計金額を削減した証拠として提出する乙第28号証の2,3も,現時点において設計金額の積算の過程で使用したソフトウェアが存在せず上記積算の過程を再現することは不可能であること乙,(28の1,及び上記各工事施工伺い上,経費が削減できる旨の記載が)何ら存在しないこと等に照らすと,乙第28号証の2,3によって本件契約15及び16について著しく経費が削減されたとまでは認められず,他の証拠によっても,被告らの上記主張事実を認めるに足りない。 そうすると,被告らの主張する各事由の存在を前提としても,施行令5号に基づき上記各契約を締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱- 48 -したものといわざるを得ず,施行令167条の2に反し,違法であるというべきである。 (オ)本件契約17及び49被告らは,本件契約17及び49について施行令4号に該当すると主張する。 施行令4号は「競争入札に付することが不利と認められるとき」には随意契約を締結することができる旨規定するところ,そのような場合に該当するかの判断については,契約担当者の一定程度の合理的な裁量判断が認められるべきである。しかし,被告らの主張は上記各契約を競争入札に付した場合に随意契約を締結する場合と比べてどのように不利であるかについて何ら言及していない。 そうすると,被告らの主張する各事由 が認められるべきである。しかし,被告らの主張は上記各契約を競争入札に付した場合に随意契約を締結する場合と比べてどのように不利であるかについて何ら言及していない。 そうすると,被告らの主張する各事由の存在を前提としても,上記各契約を施行令4号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱したものといわざるを得ず,施行令167条の2に反し,違法である。 (カ)本件契約21aまず,被告らは,本件契約21について施行令2号に該当すると主張する。 しかしながら,被告らの上記主張は,市民会館大ホールの階段タイルの破損が激しく早急に改善が必要であることから,直ちに施工可能な同ホールに近接する業者を選定する必要があり,また,一定程度の経費の削減ができたなどとするものであって,工事の緊急性や経費の節減の可能性をいうものにすぎず,個々具体的な契約の性質又は目的に照らした競争入札に付することが適しない理由に言及するものでは(,(),ないなお本件契約21に係る工事施工伺い甲25の21上も同契約を競争入札に付することが適しない理由についての記載は存在しない。そうすると,被告らが主張する事由の存在を前提として。)- 49 -も,本件契約21を施行令2号に基づいて締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものである。 b次に,被告らは,本件契約21について施行令3号に該当すると主張する。 そこで検討すると,工事施工伺い(甲25の21)によれば,工事番号21の工事は,太田市民会館大ホールの入口のタイルが経年老化したことによる改修工事であり,一般に,近接の業者によって緊急に施工しなければならない工事であるとはいいがたいところ,このような工事を近接業者が緊急に施工する必要性については,上記工事施工伺い上,上記ホールの入口タイルが損傷 ,一般に,近接の業者によって緊急に施工しなければならない工事であるとはいいがたいところ,このような工事を近接業者が緊急に施工する必要性については,上記工事施工伺い上,上記ホールの入口タイルが損傷し,汚れが著しく,施設の保,,全を図る必要があるという記載しか見あたらず他の証拠によっても同工事を競争入札に付すると時期を失するか,あるいは,契約の目的を達することができない工事であると認めるに足りない。 そうすると,本件契約21を施行令3号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものというべきである。 c次に,被告らは,本件契約21について施行令5号に該当すると主張する。 そこで検討すると,被告らの主張は,設計金額を一定の割合で削減しており,経費を削減できていたというものである。しかしながら,設計金額は,繰り返しになるが,太田市において算出する競争入札ないし随意契約における契約価格の前提となる金額に過ぎず,結局,被告らの主張は,本件契約21を競争入札に付する場合と比較しての価格の有利性について何ら言及するものではない(なお,上記工事施工伺い上も,価格の有利性について何らの記載もない。 。)また,被告らが設計金額を削減した証拠として提出する乙第28号証の4については,現時点において乙第28号証の2,3と同様に積- 50 -算のソフトウェアが現存せず,削減の過程を再現することは不可能であること(乙28の1,上記工事施工伺い上,経費が削減できる旨)の記載が何ら存在しないこと等に照らすと,乙第28号証の4によって,直ちに経費の削減があったと認めることはできず,他に被告らの上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,被告らの主張する各事由の存在を前提としても,施行令5号に基づき本件契約21を締結することは,契約担当 があったと認めることはできず,他に被告らの上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,被告らの主張する各事由の存在を前提としても,施行令5号に基づき本件契約21を締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱したものといわざるを得ない。 dよって,本件契約21を施行令2号,3号又は5号に基づき締結することは,いずれも施行令167条の2に反し,違法であるというべきである。 (キ)本件契約23aまず,被告らは,本件契約23について施行令2号に該当すると主張する。 そこで検討すると,被告らの主張は,市民会館西側アプローチのコンクリート平板ブロックの破損が激しく早急に改善が必要であることから,直ちに施工可能な市民会館に近接する優良業者を選定する必要があり,また,本件契約23により一定程度の経費の削減ができた,というものであるところ,これは,工事の緊急性,業者の工事現場への近接性,経費の節減について指摘するものにすぎず,個々具体的な契約の性質又は目的に照らした競争入札に付することが適しない理由に言及するものではないなお本件契約23に係る工事施工伺い甲(,(25の23)上も,同契約を競争入札に付することが適しない理由についての記載は存在しない。そうすると,被告らが主張する事由。)の存在を前提としても,本件契約23を施行令2号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 - 51 -b次に,被告らは,本件契約23について施行令3号に該当すると主張する。 そこで検討すると,工事番号23の工事施工伺い(甲25の23)によれば,同工事は,市民会館のアプローチ部分のブロックや舗装の改修工事であると認められるものの,本件各証拠によっても,上記工事が施行令3号に該当するほど緊急性を有したものであったと 甲25の23)によれば,同工事は,市民会館のアプローチ部分のブロックや舗装の改修工事であると認められるものの,本件各証拠によっても,上記工事が施行令3号に該当するほど緊急性を有したものであったとは認めがたい。 そうすると,本件契約23について施行令3号の事由が存在したとは認められず,これを同号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものというべきである。 c次に,被告らは,本件契約23について施行令5号に該当すると主張する。 しかしながら,被告らの主張は,時価に比べた具体的な契約価格の削減の見込みについて何ら言及するものではない(なお,前記工事施工伺い上も,価格の有利性について何らの記載もない。 。),,,そうすると本件契約23を施行令5号に基づき締結することは契約担当者の裁量を逸脱したものであるといわざるを得ない。 dよって,本件契約23を,施行令2号,3号及び5号に基づき締結することは,いずれも施行令167条の2に反し,違法であるというべきである。 (ク)本件契約24aまず,被告らは,本件契約24について,施行令2号に該当すると主張する。 そこで検討すると,被告らは,市民会館の演出効果を向上させるため,内装の改修と舞台の床の表面改修等に特殊な技術を要するなどと主張する。しかしながら,工事施工伺い(甲25の24)上,工事番- 52 -号24の工事が特定の業者でなければ施工できないような特殊な技術を要するものであることを認められるような記載もなく,他にこれを認めるべき証拠はない。そうすると,被告らが主張するような特殊性が何ら認められない以上,本件契約24を施行令2号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 b次に,被告らは,本件契約24について施行令5号に該当する うな特殊性が何ら認められない以上,本件契約24を施行令2号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱するものといわざるを得ない。 b次に,被告らは,本件契約24について施行令5号に該当すると主張する。 しかしながら,被告らの主張は,時価に比べた具体的な契約価格の削減の見込みについて何ら言及するものではない(なお,前記工事施工伺い上も,価格の有利性について何らの記載もない。そうする。)と,本件契約24を,施行令5号に基づき締結することは,契約担当者の裁量権を逸脱したものであるといわざるを得ない。 cよって,本件契約24を施行令2号又は5号に基づき締結することは,施行令167条の2に反し違法であるというべきである。 (ケ)本件契約35被告らは,本件契約35について施行令4号に該当すると主張する。 そこで検討すると,本件契約35の工事施工伺い(甲25の35)によれば,工事番号35の工事は,住宅宅地関連公共施設整備促進事業γ幹線道路改良工事施工箇所の隣接地における同工事に附帯する工事であり,前記道路改良工事の施工業者と契約を締結することにより,競争入札に付した場合より経費の節減(116万5500円)及び工事の連絡調整を図ることが可能となったことが認められる。そうすると,本件契約35については,競争入札に付することが随意契約を締結することより不利であると一応いうことができ,本件各証拠に照らしても,これを覆すような事情は見受けられないから,本件契約35を施行令4号に基づき締結したことが契約担当者による裁量権の逸脱であるとはいえな- 53 -い。 よって,本件契約35については,施行令4号に該当するというべきである。 (コ)本件契約55被告らは,本件契約55について施行令4号に該当すると主張する。 そこで検討すると,本件契約5 -い。 よって,本件契約35については,施行令4号に該当するというべきである。 (コ)本件契約55被告らは,本件契約55について施行令4号に該当すると主張する。 そこで検討すると,本件契約55の工事施工伺い(甲25の55)によれば,工事番号55の工事は,福祉工場建設に伴い,同工場に隣接するδとの整合性と花卉栽培事務所前の外溝工事であるところ,上記工事について,同工場の建設工事を行っている業者と随意契約を締結することにより,同工事の工事現場で使用されている重機等の機材の流用が可能となり,また,上記業者が現場を熟知していることからすれば,工期の短縮等のメリットが見込まれると認められる。そうすると,本件契約55について,競争入札に付することが随意契約を締結することより不利であると一応いうことができ,本件証拠上これを覆すほどの事情は認められないから,本件契約55を施行令4号に基づき締結することが契約担当者の裁量権を逸脱するものということはできない。 よって,本件契約55については,施行令4号に該当するというべきである。 (サ)本件契約56被告らは,本件契約56について施行令3号に該当すると主張する。 そこで検討すると,工事番号56についての工事施工伺い(甲25の56)によれば,平成15年夏の長雨や台風の影響等で,同年秋ごろよりεの本館と体育館の崖が崩れ始め,他の箇所まで影響を及ぼす危険性が生じていたと認められるところ,これらの事情からすれば,それに対応するためにの土留工事を緊急に施工する必要性があったと認められ,これを覆すに足りる証拠はない。そうすると,上記崖崩れから一定の期- 54 -間を経た平成16年3月5日まで決裁が行われなかったことを考慮しても,直ちに緊急性がないということはできないから,本件契約56を締結した契約担当者 。そうすると,上記崖崩れから一定の期- 54 -間を経た平成16年3月5日まで決裁が行われなかったことを考慮しても,直ちに緊急性がないということはできないから,本件契約56を締結した契約担当者の判断が裁量権を逸脱するものとまでいうことはできない。 よって,本件契約56については,施行令3号に該当するというべきである。 (シ)本件契約57被告らは,本件契約57について施行令3号に該当すると主張する。 そこで検討すると,工事番号57についての工事施工伺い(甲25の57)によれば,工事番号57は,太田市の清掃センターの3号焼却炉の外壁タイルが一部剥離して崩落したことに伴い,残っているタイルも安全上撤去したことから,タイルのなくなった上記焼却炉の外壁に塗装を行う工事であると認められる。そして,外壁タイルがすべてなくなった状況からすれば,こうした外壁タイルの剥離に伴って利用者等に危険が生じるおそれがある状況が生じていたことを一応認めることができ,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 ,,,そうすると本件契約57については緊急性が一応認められるから本件契約57を施行令3号に基づき締結した契約担当者の判断がその裁量を逸脱したものとはいえない。 よって,本件契約57については,施行令3号に該当するというべきである。 ウ以上の次第で,本件契約1ないし13,15ないし34及び36ないし54は,施行令167条の2に反し,違法であるというべきであるが,本件契約14,35及び55ないし57は,施行令3号又は4号に該当し,適法であるというべきである。 エ太田市契約規則16条違反の点について- 55 -,,,(ア)前記のとおり本件契約1435及び55ないし57については随意契約によること自体は施行令に基づくものであるが,原告は,さらに,太 田市契約規則16条違反の点について- 55 -,,,(ア)前記のとおり本件契約1435及び55ないし57については随意契約によること自体は施行令に基づくものであるが,原告は,さらに,太田市契約規則16条に違反していると主張するので,以下検討する。 太田市契約規則(甲3)16条では「契約担当者は,随意契約によ,ろうとするときは,2人以上から見積書を徴さなければならない。ただし,一件の金額が工事の請負にあっては100万円未満のもの,工事資材にあっては10万円未満のもの若しくは価格が確定しているもの又は特別の理由があるものは,この限りではない」と規定されているとこ。 ろ,上記各契約について,2人以上から見積りが徴されていないから,同条ただし書に定める「特別の理由」がない限り,これらの契約は,同条に違反することになる。 ところで,同条において原則として2社以上から見積書を徴することとされている趣旨は,競争入札を原則とし,随意契約を例外とする法及び施行令の趣旨を踏まえて,随意契約を締結する場合においても可能な限り競争原理を導入しようとしたものであると解されるところ,同条ただし書の「特別の理由」とは,2社以上から見積りを徴することが不可能若しくは著しく困難であるか,又はそのように見積りを徴することで施行令167条の2第1項各号に基づき随意契約を締結することとした意味を失わせるような合理的な事情が存在する場合をいい,そのような事情の有無は,契約の種類,内容,性質等の諸般の事情を考慮して契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるものと解するべきである。 (イ)本件契約14,56及び57について本件契約14,56及び57は,いずれも,上記のような一応の緊急性があり,施行令3号に該当するとして締結されたものと認められるところ,2人以 べきである。 (イ)本件契約14,56及び57について本件契約14,56及び57は,いずれも,上記のような一応の緊急性があり,施行令3号に該当するとして締結されたものと認められるところ,2人以上の者から見積りを徴し,業者を選択する過程を経ること- 56 -により手続が遅滞し,緊急性があるとして施行令3号に基づき随意契約を締結した意味が失われると一応考えられ,他にこれを覆すに足りる証拠もないから,2人以上の者から見積りを徴することができない特別の理由があるとの各支出負担行為の専決者の判断に裁量を逸脱した違法があるとまでは認められない。 (ウ)本件契約35及び55について本件契約35及び55は,前記認定のとおり,いずれも,隣地で別の工事を施工している業者であり経費の節減等を図ることができ,施行令4号に該当するとして締結されたものであるところ,既に他の業者との比較において,当該業者と随意契約を締結することの優位性が一応検討されているのであり,他にこれを覆すに足りる証拠もないから,2人以上の者から見積りを徴することができない特別の理由があるとの支出負担行為の専決者の判断に裁量を逸脱した違法があるとは認められない。 (エ)以上より,本件契約14,35及び55ないし57を締結するに当たって,2人以上の者から見積りを徴しなかったことは,太田市契約規則16条に違反するものとはいえないというべきである。 オ以上のとおり,本件契約1ないし13,15ないし34及び36ないし54は,違法な随意契約であるというべきであり,本件契約14,35及び55ないし57は,適法なものであるというべきである。 (3)争点5(故意過失の有無)についてア争点4についての判断は措き,争点5について判断すると,前記前提事実,前記認定事実,証拠(甲4ないし6,11,1 7は,適法なものであるというべきである。 (3)争点5(故意過失の有無)についてア争点4についての判断は措き,争点5について判断すると,前記前提事実,前記認定事実,証拠(甲4ないし6,11,17,25の1ないし57,甲27,甲70の1ないし57,乙32の1ないし3,乙33の1ないし56,証人P24)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア)P1は,本件恩賞制度制定前である平成7年から市長を務め,本件- 57 -恩賞制度の制定にも関与していた。 また,本件契約2ないし5,10,11,14,16,22,26ないし47,49ないし51及び53について,工事施工伺い,見積徴取伺い及び随意契約開札調書において自ら決裁を行い,本件契約1,6,7,9,12-1,12-2,13,15,17ないし21,23及び24につき当時総務部長であったP2又はP33に代決させた。 (イ)P2,P3,P4,P5,P22,P10,P11,P12,P13及びP14は市の各部長として,P15は教育長として,P19及びP23は教育部長として,P20は管理部長として,それぞれ,別紙2記載のとおり,本件契約1ない13,15ないし34及び36ないし54についての支出負担行為について,支出負担行為決議書に基づき専決をした。 (ウ)P15は,本件契約9,17及び49についての支出負担行為の専決が行われた当時,P21は本件契約49の支出が行われた当時,それぞれ教育長の立場にあった。 (エ)太田市では,500万円未満の工事請負費の支出負担行為については,太田市事務専決規程(甲4)により部長に専決権限が付与され,太田市教育委員会教育長に対する権限委任等に関する規則(甲6)により教育長に決裁権限が委任されまた太田市教育委員会事務専決規程甲,,(5)により 決規程(甲4)により部長に専決権限が付与され,太田市教育委員会教育長に対する権限委任等に関する規則(甲6)により教育長に決裁権限が委任されまた太田市教育委員会事務専決規程甲,,(5)により教育部長に専決権限が付与されていた。 一方,500万円以上の工事請負費の支出負担行為については,市の各部長らに専決権限を付与する規則等は存在しないが,慣例として,市の各部長,教育長,教育部長及び管理部長が専決を行い,市長及び副市長の決裁を省略できるものとされていた。 (オ)本件恩賞制度は,平成8年10月31日に施行され,平成15年9,,月の本件運用基準の改正により廃止されたが原告が疑問を抱くまでは- 58 -本件恩賞制度の適法性について,太田市の内部で正式に問題を提起する動きはなかった。 イP2,P3,P4,P5,P22,P10,P11,P12,P13,P14,P15(本件契約9の支出負担行為に係る責任,P19,P2)1,P20及びP23について上記の市の各部長,教育長,教育部長及び管理部長は,工事施工伺いにおいて被告市長であったP1の決裁又は太田市の総務部長による代決により本件恩賞制度を適用して随意契約を締結することが既に決定されている各工事について,従来と同様に,その支出負担行為の部分の専決を行っていたにすぎず,しかも,本件恩賞制度は,上記の市の各部長,教育長,教育部長及び管理部長が専決を行った当時,適法性について特段の問題提起もないままに太田市の既定方針として運用されていたものである。そうすると,同人らが支出負担行為の専決を行うについて,故意又は重大な過失があるということはできない。 そうすると,P2,P3,P4,P5,P22,P10,P11,P12,P13,P14,P15,P19,P21,P20及びP23は,法243条の いて,故意又は重大な過失があるということはできない。 そうすると,P2,P3,P4,P5,P22,P10,P11,P12,P13,P14,P15,P19,P21,P20及びP23は,法243条の2第1項後段に基づく責任を負うものではない。 ウP15(本件契約9,17及び49の指揮監督義務に係る責任)及びP21について前記イと同様,P15及びP21も,本件恩賞制度に基づいて契約を締結することが既に決定されている各工事について教育部長及び管理部長がその支出負担行為の部分の専決又は公金の支出を行った当時,教育長であったにすぎず,しかも,その当時まで,本件恩賞制度の適法性については内部的に特段の問題提起もないまま,太田市の既定方針に基づいて運用されてきていたものであるから,同人らが教育部長及び管理部長による支出負担行為を阻止しなかったことについて故意又は重大な過失があったとま- 59 -では認められない。 そうすると,P15及びP21は,法243条の2第1項後段に基づく責任を負わない。 エP1について前記認定のとおり,P1は,①本件恩賞制度の制定にも関与し,その内容についても熟知していたこと,②本件各契約のうち,前記(2)において随意契約の制限に違反する契約であると判断された各契約(以下「本件制限違反契約」という)のほとんどについて,自ら,工事施工伺い,見積。 徴取伺い及び随意契約開札調書の決裁を行い,又は総務部長に代決させていたこと,さらに,③本件制限違反契約には契約価格が500万円を超えているものが多数含まれているところ,P1は,工事請負費が500万円以上の案件について,法令上,支出負担行為の決裁権限を有していたことが明らかであり,これらの事情からすれば,同人は,市長という職責に鑑み,本件恩賞制度の適法性について十分に検討し, 負費が500万円以上の案件について,法令上,支出負担行為の決裁権限を有していたことが明らかであり,これらの事情からすれば,同人は,市長という職責に鑑み,本件恩賞制度の適法性について十分に検討し,適宜,本件恩賞制度を改廃し,又は本件制限違反契約の締結を事前に阻止すべき指揮監督上の義務を負っていたのにこれを怠った過失があるといわざるをえない。 したがって,P1は,不法行為(民法709条)に基づき,太田市に対し,本件制限違反契約により太田市が蒙った損害を賠償する責任を負うものというべきである。 (4)争点6(損害の有無及び額)についてア原告は,本件制限違反契約は私法上無効であり,契約価格相当額の損害が発生すると主張する。 しかしながら,随意契約の制限に関する法令に違反して締結された違法な契約であっても,私法上当然に無効になるものではなく,随意契約によることができる場合として,施行令の規定の掲げる事由のいずれにも当たらないことが何人の目にも明らかである場合や,契約の相手方において随- 60 -意契約の方法による当該契約の締結が許されないことを知り又は知り得べかりし場合のように,当該契約の効力を無効としなければ随意契約の締結に制限を加える法及び施行令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り,私法上無効になるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻4号687頁。 ),,,以上に基づき本件について検討するに前記のとおり本件恩賞制度は平成8年に運用が開始されてから平成15年に廃止されるまでの長期間,内部的には適法性について特段の疑念も指摘されないまま運用されてきたものであるから,契約担当者及び契約の相手方にとっては,本件制限違反契約が違法であるとの認識を持ち得ないの 廃止されるまでの長期間,内部的には適法性について特段の疑念も指摘されないまま運用されてきたものであるから,契約担当者及び契約の相手方にとっては,本件制限違反契約が違法であるとの認識を持ち得ないのが通常であるというべきである。また,本件制限違反契約について,その契約の内容の履行において,他の契約と異なり,工事の品質の著しい低下があった等の特段の不都合があったとの事情も見受けられない。 そうすると,本件制限違反契約について,私法上無効とすべき特段の事情があるということはできないから,本件制限違反契約は私法上は有効で,,,ありしたがって契約価格全額が損害となるということはできないから原告の主張は採用できない。 イ損害の有無(ア)そこで,本件制限違反契約が私法上無効とはいえないことを前提として,まず,太田市に損害が生じているか検討する。 この点,被告らは,設計金額が適正な価格であり,本件各契約がすべて設計金額以下で契約が締結されている以上,太田市に損害は生じていないと主張する。 しかしながら,法234条3項は,競争入札においては,予定価格以下の落札価格で契約が締結されることを予定しているものと解するべき- 61 -であるから,競争入札により形成されたであろう落札価格が競争を通して得られた公正な価格であるというべきであり,設計金額以下の金額で契約が締結されているからといって,直ちに損害が生じていないということにはならない。 したがって,本件制限違反契約の契約価格が,仮に同契約を競争入札に付していた場合に競争により形成されたであろう落札価格(以下「想定落札価格」という)を上回る場合に損害の発生が認められるという。 べきである。 (イ)そこで,想定落札価格について検討を加えると,証拠(甲55,証人P24)及び弁論の全趣旨によれば, (以下「想定落札価格」という)を上回る場合に損害の発生が認められるという。 べきである。 (イ)そこで,想定落札価格について検討を加えると,証拠(甲55,証人P24)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 a太田市では,各工事について,設計担当者が公的機関が発行する資料等を基にして設計金額を定めた上,それに一定程度の歩切り率を乗じて予定価格(設計金額以下の価格となる)を算出する。 。 b競争入札に付する場合と本件恩賞制度による場合では,上記歩切り率が一定しない運用がなされており,競争入札に付する場合は設計金額の約95パーセント,本件恩賞制度に基づく随意契約の場合は設計金額の約92パーセントの金額がそれぞれ予定価格として定められていた。 c平成11年度ないし平成17年度の太田市における全入札案件における年度ごとの平均落札率及び受注希望型指名競争入札(ホームページに掲載した入札条件を満たしているすべての業者を入札参加資格者として指名するなどの太田市独自の指名競争入札の運用)案件における年度ごとの平均落札率,並びにこれらを基に算出した当該期間における平均落札率は,別紙4のとおりである。 ,「」d本件各契約における設計金額及び予定価格は別紙5②設計金額及び「③予定価格」の各欄記載のとおりである。 - 62 -(ウ)これらの事情を基に検討すると,太田市における予定価格は,前記のとおり競争入札に付する場合と本件恩賞制度に基づく随意契約の場合とで異なることが想定されていたのであるから,想定落札価格の算出に当たっては,原告の主張するように単純に本件制限違反契約の予定価格(別紙5「③予定価格」欄記載のもの)に平均落札率を乗じれば足りるというものではなく,設計金額を基にして競争入札に付した場合に想定される予定価格を算出し 張するように単純に本件制限違反契約の予定価格(別紙5「③予定価格」欄記載のもの)に平均落札率を乗じれば足りるというものではなく,設計金額を基にして競争入札に付した場合に想定される予定価格を算出し,その数値にさらに予定価格を前提とする平均落札率を乗じて算出すべきである。 ここで,乗じるべき平均落札率について,全入札案件を基にした平均落札率である92.77パーセントを用いるべきか,あるいは,受注希望型指名競争入札案件のみを基にした平均落札率である82.82パーセントを用いるかは,措くとして,上記のとおり,太田市の競争入札案件においては,設計金額の約95パーセントが予定価格として設定されていたのであるから,設計金額の95パーセントの価格(別紙5の「④想定予定価格」欄記載の価格)が,本件各契約について競争入札に付す場合に想定される予定価格となる。そして,これに上記の平均落札率である92.77パーセント又は82.82パーセントを乗じると,それぞれ,別紙5の「⑤想定落札価格Ⅰ「⑦想定落札価格Ⅱ」の各欄の」,とおりの金額となる。これらの想定落札価格と契約価格との差額は,それぞれ「⑥契約価格との差額Ⅰ「⑧契約価格との差額Ⅱ」の各欄記」,載のとおりであるところ,全入札案件の平均落札率により算定した想定落札価格において,一部契約価格を上回るものがある(本件契約18,),,39及び41ことを除けばほぼすべての本件制限違反契約において想定落札価格が契約価格を下回ることが認められる。 このような推計ができることにかんがみると,本件においては,本件制限違反契約を締結することにより太田市に損害が発生したものと認め- 63 -られる。 ウ損害額そこで,具体的な損害額について検討すると,本件における太田市の損害は,前記のとおり,想定落札価格と実 違反契約を締結することにより太田市に損害が発生したものと認め- 63 -られる。 ウ損害額そこで,具体的な損害額について検討すると,本件における太田市の損害は,前記のとおり,想定落札価格と実際の契約価格との差額であるというべきであり,本来,本件制限違反契約について,その具体的な額が立証される必要がある。 この点,上記イの想定落札価格と契約価格の差額が直ちに損害額であるとすることはできない。なぜならば,上記想定落札価格は本件各契約の設計金額に全入札案件ないし受注希望型指名競争入札案件を基にした平均落札率を乗じて算出したものにすぎず,ここでは,実際の契約価格の決定を左右する多種多様な個別的要因が捨象されているからである。 一方,本件制限違反契約がいずれも比較的小規模で,数も多い上,同契約締結から現在までに4年から9年近くが経過していることからすれば,それぞれの契約について個別に契約締結時と同一の状況を設定して,競争入札を行った場合の契約価格を算定するのはもはや困難である。こうした事情に,上記のとおり,そもそも,競争入札においては実際の落札価格が多種多様な要因に基づいて形成されることなども考え合わせれば,結局のところ,現時点において,太田市が受けた損害額を立証することは極めて困難であるといわざるを得ない。 したがって,本件では,民事訴訟法248条を適用して,上記損害を認定するのが相当である。 そこで,さらに検討すると,前記のような本件恩賞制度の運用の実態,本件制限違反契約の予定価格及び契約価格等本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると,本件恩賞制度により太田市は,本件制限違反契約の各契約価格の3パーセントの損害を受けたものと認めるのが相当である。 そうすると,本件制限違反契約ごとの損害額は別紙6のとおりとなる。 - 64 -エしたがっ 制度により太田市は,本件制限違反契約の各契約価格の3パーセントの損害を受けたものと認めるのが相当である。 そうすると,本件制限違反契約ごとの損害額は別紙6のとおりとなる。 - 64 -エしたがって,被告市長は,P1に対し,別紙6の損害額欄記載の各金額及びこれに対する同人が専決をした本件制限違反契約に係る各公金の支出日(別紙2の「支出日」欄記載の日)の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を請求すべきことになる。 結論 以上のとおりであるから,原告の本件訴えのうち,被告教育長に対して賠償命令をすることを求める部分は不適法であるから,これを却下することとし,被告市長に対する請求は,主文第2項記載の限度で理由があるから,その限度で認容し,その余の請求は理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第1部裁判長裁判官小林敬子裁判官青野卓也裁判官中野哲美は,転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官小林敬子

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