主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人小池義夫の上告趣意のうち,違憲をいう点は,実質は単なる法令違反の主張であり,その余は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。付言すると,本件は,被告人が,(1) 妹夫婦のA,同Bと共謀の上,知人の男性(当時54歳)を,甘言を用いて被告人方に同居させ,戸籍上だけの夫にした後,2件の保険を掛けて殺害し,その死亡保険金合計5014万円余りを詐取した,(2) その約5年後,保険代理店を営むCと共謀の上,被告人方に同居させていた上記被害男性の内縁の妻であった女性(当時60歳)に2件の保険を掛けて殺害し,その死体を被告人方付近の路上に遺棄し,交通事故による死亡を装って保険金を詐取しようとしたが,殺害の事実が発覚して詐取の目的を遂げなかった,(3) 上記Cと共謀の上,被告人自身が交通事故に遭った事実を仮装して,保険金417万円余りを詐取した,という事案である。2件の殺人は,いずれも,保険金目的によるものであり,動機に酌量の余地はない。また,両事件とも,知的能力の低い被害者らを巧みに懐柔し,保険を掛けた上,周到な計画に基づき,飲酒させて泥酔状態に陥らせた被害男性や,就寝中の無防備な被害女性に対し,いきなり被告人において,その頭部を大きな石で殴打した上,共犯者と共に,あるいは共犯者において,その鼻と口をふさぐなどして窒息死させたもので,その態様は冷酷,非情,残忍なものである。殺害後は,罪証隠滅工作をして,1件については多額の保険金を詐取し,他の1件については,交通事故を装うための死体遺棄行為をしている。いずれの事件においても,被告人が,首謀者とし 情,残忍なものである。殺害後は,罪証隠滅工作をして,1件については多額の保険金を詐取し,他の1件については,交通事故を装うための死体遺棄行為をしている。いずれの事件においても,被告人が,首謀者として犯行を立案,計画するな- 1 -ど,主導的役割を果たしているのみならず,自らも殺害に当たって被害者に第一撃を加えるなど重要な実行行為を行っている。これらの事情に加え,遺族の処罰感情も厳しく,社会に与えた影響も看過し難いものである。以上のような事情に照らすと,本件各犯行についての被告人の刑事責任は,極めて重大であるといわざるを得ない。そうすると,被告人の貧しく恵まれなかった成育歴等被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官福嶋成二公判出席(裁判長裁判官津野修裁判官福田博裁判官北川弘治裁判官梶谷玄裁判官滝井繁男)- 2 -
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