- 1 -平成25年4月23日判決言渡平成24年(ネ)第10078号特許権に基づく製造販売差止等請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成23年(ワ)第29049号)口頭弁論終結日平成25年2月26日判決 控訴人(原告) 株式会社名南製作所 訴訟代理人弁護士高橋譲二弁理士石田喜樹補佐人弁理士園田清隆 石田正己 被控訴人(被告) 橋本電機工業株式会社 訴訟代理人弁護士三 木 浩太郎 小川晶露 早川尚志 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨「原判決を取り消す。被控訴人は,原判決別紙被告製品1目録及び別紙被告製品 - 2 -2目録記載の各製品を製造,販売又は輸出してはならない。被控訴人は,上記各製品及びその半製品を廃棄せよ。被控訴人は,控訴人に対し,5000万円及びこれに対する平成23年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」との判決及び仮執行宣言。 第2 事案の概要 1 控訴人は,名称を「板状体のスカーフ面加工方法及び装置」とする発明に係る特許第4460618号の特許権者である(平成10年6月16日にされた原出願の一部を平成21年1月9日に分割出願,登録日平成22年2月19日)。 控訴人は,いずれも木材加工装置である原判決別紙被告製品1目録記載の被告製品1(スカーフジョインターSJ),同被告製品2目録記載の被告製品2(スカーフジョインターSJP)の被控訴人による製造,販売行為が上記特許第4460618号の請求項2の発明(本件発明)に係る特許権( 品1(スカーフジョインターSJ),同被告製品2目録記載の被告製品2(スカーフジョインターSJP)の被控訴人による製造,販売行為が上記特許第4460618号の請求項2の発明(本件発明)に係る特許権(本件特許権)を侵害すると主張して,被控訴人に対し,被告製品1,2(各被告製品)の製造,販売,輸入行為の差止請求,廃棄請求をするとともに,補償金請求の警告を受けた日(平成19年12月1日)から特許登録の日までの被告製品1に係る実施料相当額の補償金650万円,特許登録の日以降の被告製品1,2に係る被告利益相当額の損害賠償1億3000万円及び弁護士費用相当額1300万円のうち5000万円の損害賠償請求をした。 2 原判決は,①被控訴人が被告製品2を製造,販売した事実ないしそのおそれを認めるに足りる証拠はないから被告製品2に係る請求は理由がない,②被告製品1は本件発明の技術的範囲に属するが,被控訴人が本件特許登録の前である平成9年7月24日に(株)サンテックに対し,本件発明の技術的範囲に属するスカーフカッターを引き渡したことにより,被控訴人は本件特許権につき先使用による通常実施権を有するに至ったから,被告製品1に係る請求にも理由がないとして,控訴人の請求を全部棄却した。 - 3 - 3 本件の前提となる事実は,原判決「事実及び理由」の第2の1のとおりであり,争点は同第2の2のとおりである。 第3 当事者の主張当事者の主張は,次のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」の第2の3「争点についての当事者の主張」に記載のとおりである。 【争点3(先使用権による通常実施権の有無)についての控訴人の補充主張】原判決が先使用権の有無の重要な証拠として引用する乙第45号証は,(株)サンテックの工場には過剰な設備である天井クレーンが映っているなど 先使用権による通常実施権の有無)についての控訴人の補充主張】原判決が先使用権の有無の重要な証拠として引用する乙第45号証は,(株)サンテックの工場には過剰な設備である天井クレーンが映っているなど,不自然なものであって,果たして(株)サンテックに納入されたスカーフカッターを撮影したのか疑問であるなど,その証拠価値が乏しい。仮に,乙第45号証が(株)サンテックに納入されたスカーフカッターを撮影したものであるとしても,青いプレートが取り付けられていることや,切削動作の概要等が見て取れるにとどまり,プレートが切削屑として排除される部分を押圧しているか否かや,プレートと刃物受台が上記廃除される部分を押し付けて挟持しているかは分からない。本件発明の「押圧」,「挟持」に当たるためには,あばれのある板材が平坦になるほど圧力をかけて押え付け,挟み込んで保持することが必要であるところ,乙第45号証からはかかる構成を充足するかどうか判然としない。上記のとおり,あばれのある板材が平坦になるほど圧力をかけて押え付け,挟み込んで保持することと,単に板材を押さえて切削をガイドすること(板材の加工装置の技術分野において一般的な構成)とは異なるが,外部から観察するときは両者は同じような態様のものに見えるところ,乙第45号証からはいずれの態様の構成か判然としない。結局,乙第45号証を根拠に,先使用の事実を認定した原判決は誤りである。 乙第7号証の2ないし6も,本件発明の「押圧」,「挟持」の構成を明らかにするものではないし,乙第7号証の7のプレートと刃物受台との間隔に関する記載内容からは,(株)サンテックのスカーフカッターが単にガイドする機能しか有していな - 4 -いことが明らかである。 加えて,乙第8号証に映っているプレートは,新たに差し替えられたもので,原 内容からは,(株)サンテックのスカーフカッターが単にガイドする機能しか有していな - 4 -いことが明らかである。 加えて,乙第8号証に映っているプレートは,新たに差し替えられたもので,原出願当時存在していなかった。 第4 当裁判所の判断当裁判所も,①被控訴人が被告製品2を製造,販売した事実ないしそのおそれを認めるに足りる証拠はないから被告製品2に係る請求は理由がなく,②被告製品1は本件発明の技術的範囲に属するものの,被控訴人が本件特許登録の前である平成9年7月24日に(株)サンテックに対し,本件発明の技術的範囲に属するスカーフカッターを引き渡したことにより,被控訴人は本件特許権につき先使用による通常実施権を有するに至ったから,被告製品1に係る請求も理由がないと判断する。その理由は,次のとおり補足するほか,原判決「事実及び理由」第3「当裁判所の判断」1ないし3のとおりである。 【当審における控訴人の補充主張に対する判断】当審で提出された乙第51ないし第55号証及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,(株)サンテックに納入する前のスカーフカッター「SJ-44型」を撮影した映像及び納入後に撮影した同スカーフカッターの映像をもとに乙第45号証のビデオを撮影したことが認められ,乙第45号証の内容に不自然な点があるとはいえない。したがって,乙第45号証が,被控訴人が(株)サンテックに納入したスカーフカッターに関するものではないなどとする控訴人の主張を採用することはできず,その証拠価値が乏しいとはいえない。 乙第8,第45,第48,第49,第53号証に照らせば,ナイロン製前押さえプレートが板材の被切削部分を押圧し,丸鋸が板材をスカーフ加工することが明らかであって,これと同旨の原判決の認定に誤りはない。 他方,原判決も判示すると 9,第53号証に照らせば,ナイロン製前押さえプレートが板材の被切削部分を押圧し,丸鋸が板材をスカーフ加工することが明らかであって,これと同旨の原判決の認定に誤りはない。 他方,原判決も判示するとおり(21頁),乙第7号証の7の記載から,被控訴人が(株)サンテックに納入したスカーフカッターの上記プレートが,板材の切削をガ - 5 -イドするだけで,板材を押圧するものではないとの控訴人主張を採用することはできない。このほかに,先使用に係る通常実施権を認めた原判決の認定を左右するに足りる控訴人の立証は存しない。 第5 結論以上によれば,本件控訴は理由がないから,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官真辺朋子 裁判官田邉 実
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