平成23(行コ)107 建築確認処分取消等請求,訴えの追加的併合控訴事件(原審・東京地方裁判所平成20年(行ウ)第765号(原審第1事件),同22年(行ウ)第44号(原審第2事件))

裁判年月日・裁判所
平成23年11月24日 東京高等裁判所 警察関係
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判決文本文17,338 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 板橋区長が平成19年5月11日付け第○号をもって原判決別紙3物件目録記載の建物につき建築主A株式会社に対してした東京都建築安全条例10条の2第1項に基づく認定処分を取り消す。 3 板橋区長は,建築基準法9条1項に基づき,A株式会社に対し,上記建物の除却命令又は移転命令をせよ。 第2 事案の概要本件は,東京都板橋区α及びβの地域(以下「本件地域」という。)内に居住する控訴人(第1事件原告)ら(以下,単に「控訴人ら」という。)が,同区α×番5,×番6,×番8及び×番9の土地(以下「本件建築物敷地」という。)上に建設が予定された原判決別紙3物件目録記載の建物(以下「本件建築物」という。)について,板橋区長が建築主であるA株式会社(以下「A」という。)に対してした東京都建築安全条例(以下「安全条例」という。)10条の2第1項ただし書に基づく前記第1の2の認定処分(以下「本件認定処分」という。)には,同項の適用ができないにもかかわらず,同項(ただし書)を適用するという違法があり,本件認定処分は本件地域が有する文化的価値及び良好な景観や住環境を破壊するとともに住民を危険にさらすとして,本件認定処分の取消しを求める(原審第1事件)とともに,控訴人(原審第1事件・第2事件原告)4名 (以下,単に「第2事件控訴人ら」という。)が,本件建築物には,都市計画法32条,33条1項2号,37条,建築基準法43条,56条6項,7項,安全条例4条,10条の2第2項2号に違反する違 法があるとして,板橋区長において,建築基準法9条1項に基づき,Aに対し 画法32条,33条1項2号,37条,建築基準法43条,56条6項,7項,安全条例4条,10条の2第2項2号に違反する違 法があるとして,板橋区長において,建築基準法9条1項に基づき,Aに対し本件建築物の除却又は移転の命令をすべき旨を命ずることを求める(原審第2事件)事案である。 原審は,第1事件について,控訴人らのうち原判決別紙2訴え目録記載のものについては本件取消訴訟について原告適格を有せず同人らの第1事件の訴えは不適法であるとしてこれを却下し,その余の控訴人ら(控訴人番号17番B,控訴人番号18番C,控訴人番号19番D,控訴人番号20番E,控訴人番号21番F,控訴人番号22番G,控訴人番号23番H,控訴人番号24番I)の請求についてはいずれも棄却し,第2事件について,第2事件控訴人らのうち控訴人番号17番B及び控訴人番号24番Iを除くものは本件義務付け訴訟について原告適格を有せず同人らの第2事件の訴えは不適法であるとしてこれを却下し,控訴人番号17番B及び控訴人番号24番Iの請求についてはいずれも棄却した。控訴人らは,これを不服として控訴した。 1 関係法令原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1(原判決2頁13行目から14行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 前提事実前提事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2(原判決2頁15行目から5頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点及びこれについての当事者の主張(1) 争点及びこれについての当事者の主張は,後記⑵のとおり当審における主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の3及び4(原判決5頁9行目から2 事者の主張(1) 争点及びこれについての当事者の主張は,後記⑵のとおり当審における主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の3及び4(原判決5頁9行目から24頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 当審における当事者の主張 (控訴人)ア第1事件について(ア) 原告適格についてa 安全条例10条の2は,火災等の災害時における避難,消火及び救助活動に伴う安全確保のみならず,平常時一般における通行の安全を図ることを趣旨としているから,本件認定処分の取消訴訟の原告適格は,建物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者だけではなく,当該建築物に出入りする自動車が通常通行する範囲内に居住し,あるいはその範囲内に所在する建築物を所有する者,さらには通勤等の目的により,そのような範囲内を日常的に通行する近隣住人にも,法律上の利害を有する者として,認められる。 b 建築基準法及び安全条例は,都市計画決定に適合した都市空間の形成を図るものであり,隣接地に居住する住民を含めた地域住民の有する生活環境保全を目的とし,景観保全もそこに包含されているから,同法令は周辺住民の有する景観利益を個別的利益として保護している。 控訴人らが主張する景観利益の対象となる利益の内容及び範囲は明確である。本件地域は,開発当初から,J株式会社K線γ駅北口駅前ロータリー(以下「北口駅前ロータリー」という。)とそれに続く低層の住宅地とが一体となって町を形成するよう設計されていた。平成10年7月に刊行された板橋区都市計画マスタープラン(甲33)によれば,本件地域付近における街 駅前ロータリー」という。)とそれに続く低層の住宅地とが一体となって町を形成するよう設計されていた。平成10年7月に刊行された板橋区都市計画マスタープラン(甲33)によれば,本件地域付近における街づくりの「目標」について,「γ駅北にひろがる計画的に開発された住宅地では,良好な住環境が形成されていますが,近年,用途混在や敷地の細分化などがみられ,住環境の悪化が懸念されます。ここでは,すでに形成されている低層の良好 な住環境の維持に向けた土地利用を誘導し,景観に配慮した緑豊かで閑静な街なみの保全・形成を目指します。」とし,「方針」には,「駅北側の一帯では,公共施設や道路空間の緑化を積極的に進め,みどり豊かな低層住宅地としての街なみを保全していきます。」としている。そして,「なかでもα・β地区を「まちづくり推進地区」と位置づけ,これまで住民の主体的活動により提案された「δまちづくり憲章」を活かす」旨が定められている。すなわち,板橋区自体が「すでに形成されている低層の良好な住環境の維持」や「みどり豊かな低層住宅地としての街なみを保全」することを宣言している。このことからすると,景観利益の対象となる利益の範囲は,本件地域の高さ制限であることは明白である。 また,保護されるべき景観の内容も明確である。本件地域には,住民らの努力によって「δまちづくり憲章」が宣言され(甲28),北口駅前ロータリー周辺の商業地を含めて概ね5,6階建の階高を限度とするという自主的な基準も存在していた。東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づき策定された街並み景観ガイドラインは,この自主的基準に基づいて建物の高さの基準を定めている(甲20)。このように,保護されるべき景観の内容も明確である。 景観利益の重要性は顕著である。良好な景 街並み景観ガイドラインは,この自主的基準に基づいて建物の高さの基準を定めている(甲20)。このように,保護されるべき景観の内容も明確である。 景観利益の重要性は顕著である。良好な景観のもとで暮らす利益や,人が自らの生活の根拠となる地を愛し,愛着を感じる感情は,人の豊かな感性や人格を形成する要素であって,人の尊厳と深く結びつくものである。すなわち,景観利益が侵害されるということは,人格権が侵害されるということであって,そのような事態を許容することが許されるものではない。 控訴人らは,本件地域の住民であって,同地域の景観を誇りとして居住を続けてきた。そのすばらしい景観を守るために,日々努力を積 み重ねてきたのであり,全員について原告適格が認められるべきである。 (イ) 本件認定処分の適法性についてa 安全条例10条の2第1項適用の誤り板橋区長が本件建築物の駐車場出入口(以下「本件駐車場出入口」という。)が接する本件建築物の南東側道路(以下「本件南東側道路」という。)についてAに対し平成19年5月11日付けでした安全条例10条の2第1項ただし書所定の安全認定処分(本件認定処分)は,同条項の適用を誤ったものであり違法である。 本件建築物の自動車駐車場(以下「本件駐車場」という。)は安全条例10条の2第1項所定の「特殊建築物」には当たらない。すなわち,安全条例10条の2第1項は,主に自動車関連用途の特殊建築物について,特に自動車の出入りの交通量が多いことに鑑み,その敷地は幅員6メートル以上又は12メートル以上の道路に接していなければならないとしている。そして,同項の表(い)二号は「自動車車庫,自動車駐車場」を掲げ,同条2項は,「前項の表に掲げ とに鑑み,その敷地は幅員6メートル以上又は12メートル以上の道路に接していなければならないとしている。そして,同項の表(い)二号は「自動車車庫,自動車駐車場」を掲げ,同条2項は,「前項の表に掲げる用途以外の用途に供する建築物に附属する自動車車庫又は自動車駐車場」について規定している。「自動車車庫,自動車駐車場」(以下「自動車車庫等」という。)が1項と2項の双方に規定され,かつ後者については「前項の表に掲げる用途以外の用途に供する建築物に附属する自動車車庫,自動車駐車場」と規定しているから,同条1項の表(い)ニの自動車車庫等の用途に供する特殊建築物は,自動車車庫等そのものとして使用される建築物を指しており,他の用途に供する建築物に附属する自動車車庫等は含まないと解するのが相当である。 本件駐車場は,安全条例10条の2第1項の表に掲げる用途以外の用途に供する建築物である本件建築物に附属する自動車駐車場であ り,同項所定の特殊建築物には当たらないから,同項の適用はなく,したがって,同項ただし書の適用もない。 したがって,同項ただし書の適用を前提とする本件認定処分は違法である。 なお,本件駐車場の敷地については,安全条例10条の2第2項が適用されるが,本件駐車場出入口が面する道路幅員は,同駐車場床面積277.86㎡に対応する幅員5m以上とはなっていない。 b 安全条例10条の2第1項ただし書の適用について本件建築物の敷地は,次のとおり,同建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況が前面道路の幅員を6m確保することに代わり得るだけの状況と評価しうる状況にはなく,同条項ただし書の適用はない。 したがって,本件認定処分は違法である。 土地及び周囲の状況が前面道路の幅員を6m確保することに代わり得るだけの状況と評価しうる状況にはなく,同条項ただし書の適用はない。 したがって,本件認定処分は違法である。 (a) 本件駐車場出入口は幅員2mの歩道と幅員4mの車道(合わせて幅員6m)に接しているが,同接道部分より北側は,幅員4m(一部は4mをも下回る)しかない狭隘な道路となっている。そして,本件駐車場に出入りする自動車は,本件南東側道路のうち南側を通行するとは限らず,北側も多数の自動車が通行する。むしろ,南側は区道○号の踏切部分につながり,同所で渋滞が生じることから,これを避けるため,北側に流れる自動車が多数に上ると考えられるが,北側部分は幅員4mないし4mに満たない道路であり,歩車道の区別もなく,通行の支障が著しい実情にあり,交通の安全は確保されていない。この道路は,L小学校の通学路になっていて,登下校の児童が多数通行する。本件駐車場出入口の接道部分及びその南側も,車道の幅員は4mしかないから,自動車の通行に十分とはいい難く,通常時においても自動車相互の通過(すれ違い)に困 難を来たし,まして火災時等の避難や消火活動に支障を来す可能性が大きい。本件建築物は高層,大規模な店舗,病院,共同住宅の複合施設であり,火災時などには大型の消防車の出動が必要となるが,大型車両は進入することができない。延焼の防止などの災害対策を考えると,道路の狭隘さによる危険性は重大な意味を持つ。 (b) 本件駐車場出入口から区道○号に至るまでは,本件南東側道路と本件南西側道路を経ることで,幅員6m(車道部分の幅員4メートル)を通行して移動することができるが,上記のとおり,南西側道路が区道○号に接続する部分は,K線の踏切の直近にあたっていて,この 道路と本件南西側道路を経ることで,幅員6m(車道部分の幅員4メートル)を通行して移動することができるが,上記のとおり,南西側道路が区道○号に接続する部分は,K線の踏切の直近にあたっていて,この踏切部分での渋滞のために,南西側道路の通行は十分に確保されているとはいえない。 (c) 「駐車場出口の停止線」や「回転灯」は,駐車場出入口付近における安全設備に過ぎない。すなわち,これらは,本件駐車場出入口から自動車が出入りするに際して,当該車両と歩行者及び車両相互間の事故防止には一定の効果を発揮するとしても,出入口以外の道路上における自動車通行そのものにはかかわりがないのであるから,これらをもって,接道する道路の幅員の不足に代替する施設とは評価し得ない。 (d) 本件建築物が耐火構造であることや3つの出入口を備えていること,周辺道路の構造や幅員等の事情は,本件建築物の居住者等の避難や消火活動には有益であっても,本件南東側道路をはじめとした周辺道路の通行上の安全や周辺住民の避難,消火活動には資するところが少なく,これをもって,接道する道路の幅員を緩和するについて安全上支障がないという十分な理由とすることはできない。 (e) 板橋警察署長の回答は,「東京都安全条例10条の2第1項本文に基づいて施行すれば,交通の安全に支障がない」という一般論 を述べているに過ぎず,本件認定処分の適法性を基礎付ける事由とはならない。 イ第2事件について(ア) 原告適格について前記ア(ア)bと同旨(イ) 建築基準法9条1項の命令を発しないことに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かについてa 都市計画法32条等違反について建築基準法6条及 と同旨(イ) 建築基準法9条1項の命令を発しないことに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かについてa 都市計画法32条等違反について建築基準法6条及び同法7条は,違反建築を予防して秩序ある都市を形成することを目的としている。そして,同法9条1項は,事前規制にもかかわらず違反建築物が生じてしまった場合,それを放任したのでは秩序ある都市形成をなし得なくなることから,事後的に特定行政庁に是正等命令権,代執行権を与えた。つまり,建築基準法は,秩序ある都市形成という目的を達するために,事前規制(建築基準法6条及び同法7条)と事後的規制(同法9条)を定めているのであり,両規制は秩序ある都市形成の実現に向けた車の両輪ともいえる関係にある。このような関係からすれば,建築基準法6条及び同法7条違反も,同法9条1項所定の除却命令等の対象としなければ,秩序ある都市形成という目的は達し得ない。 また,建築基準法9条1項は,条文上その対象を建築基準法令の規定に違反した建築物又は建築物の敷地と規定しており,建築基準法令の実体規定違反に限定していない。 したがって,秩序ある都市形成の実現という趣旨からすれば,建築基準法9条1項の建築基準法令の規定には,同法又はこれに基づく命令若しくは条例の定める実体規定(いわゆる単体規定又は集団規定)に限られず,建築基準法6条ないし同法7条違反も含まれると解すべ きである。 第2事件控訴人らの主張する都市計画法違反は,建築基準法施行令9条によって建築基準法6条の確認対象とされている以上,同法6条違反として建築基準法9条1項の対象となる。 b 安全条例4条,建築基準法43条違反について本件開発道路のうち 条によって建築基準法6条の確認対象とされている以上,同法6条違反として建築基準法9条1項の対象となる。 b 安全条例4条,建築基準法43条違反について本件開発道路のうち,本件建築物敷地に接する幅員2mの部分は歩道であるところ,安全条例4条の定める道路幅員を考えるにあたっては歩道を含めるべきではないので,上記開発道路の幅員を6mとして安全条例4条違反はないと判断することはできない。 すなわち,安全条例4条2項は,火災の際の避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行う必要がある大規模,中高層建築物が存する敷地の前面道路について,最低幅員を規定したものであるが,ここで幅員を6m以上としたのは自動車の通常の走行において二車線通行が可能な道路を考慮した点にある(甲32)。すなわち,大規模,中高層建築物の火災の際,避難,消火及び救助活動のために多数の車両が行き来することが当然に予想される。そして,それらの車両が円滑に往来するためには,最低でも二車線通行が必要であるから,それを前提に幅員6m以上と規定した。このような安全条例4条2項の目的からすれば,同項にいう道路には車両が通行することができない道,すなわち歩道を含めることはできない。また,国民の生命,健康等の保護を図るという建築基準法の目的により適うのであれば,建築基準法の定めた最低基準の上乗せ規制という安全条例の性質上,建築基準法において歩道と車道を区別していなくとも,安全条例においてその区別をすることは充分に許容される。 したがって,歩道部分を除けば幅員4mしかない本件開発道路は,安全条例4条2項が必要とする幅員を充たしておらず,本件建築物敷 地が幅員6m以上の道路に10m以上にわたって接しているとすることはできない。 を除けば幅員4mしかない本件開発道路は,安全条例4条2項が必要とする幅員を充たしておらず,本件建築物敷 地が幅員6m以上の道路に10m以上にわたって接しているとすることはできない。 また,安全条例4条2項の道路に歩道を含めるとすれば,二車線通行を確保することができず,建築物の火災時における車両通行の混雑を招き,住民等の生命,健康等を危機にさらすことになる。これでは建築基準法1条の国民の生命,健康及び財産の保護という目的を実現することはできない。むしろ,建築基準法の上記目的を踏まえたうえ,安全条例4条2項の道路には歩道は含まれないと解すべきである。 c 建築基準法56条違反について道路斜線制限の緩和措置は,道路の天空を確保して日照,採光,通風等の環境を保護するという道路斜線制限の趣旨を損なわない限度でしか許されない。その判断にあたって,ただ単に建築物の面前に一定の空間が存在するのか否かだけではなく,その空間がどのような空間なのか,すなわち空間の種別や機能も考慮しなければならない。建築基準法施行令134条1項も,道路斜線制限の緩和措置について,「公園,広場,水面」と道路斜線制限の趣旨を損なわないような種別,機能を有する空間を例示した上で,その他これらに類するものと限定的に規定している。本件の北口駅前ロータリーは車廻しのための空間であり,公園,広場,水面等とは全く質の異なるものであるところ,次のとおり,その機能ゆえに道路斜線制限の趣旨を損なわないような空間とはなっていない。また,区道○号と北口駅前ロータリーは,車廻しという機態上,車の出入りに必要な限度でしか接合しておらず,本件建築物敷地と区道○号も同敷地のごく僅かな部分としか接していない(乙B6)。そのため,本件建築物敷地から見る 口駅前ロータリーは,車廻しという機態上,車の出入りに必要な限度でしか接合しておらず,本件建築物敷地と区道○号も同敷地のごく僅かな部分としか接していない(乙B6)。そのため,本件建築物敷地から見ると,前面道路反対側の一部分(区道○号と北口駅前ロータリーの接合部分)の み奥に空間が存在する状態となる。つまり,北口駅前ロータリーは一定の空間を有するようには見えるものの,車廻しという機能のため,本件建築物敷地との関係では,空間の確保は限定的であり,これをもって建築基準法施行令134条1項所定の広場等と同視することはできない。 したがって,北口駅前ロータリーを建築基準法施行令134条1項所定の広場に当たるとすることはできない。 d 建築基準法42条違反について建築基準法1条が「この法律は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と定めているとおり,建築基準法が定める基準は,国民の生命,健康という比類なき価値を有する法益を保護するために最低限必要とされる基準である。そうであれば,建築基準法の基準に違反する建築物は,国民の生命,健康等を侵害する危険性が強く推認される。しかも,一般の民家などと異なり,本件建築物のように,建築基準法の上乗せ規制である安全条例4条や10条の対象ともなる大規模建築物が,最低限度の基準である建築基準法の基準すら満たしていないということは看過することは困難である。本件では建築基準法42条違反に加えて,上記各法違反が相まって,第2事件控訴人らには交通事故の危険,住環境の悪化,災害時の危害拡大の危険,景観利益の侵害などの重大な損害が生じている。 した 建築基準法42条違反に加えて,上記各法違反が相まって,第2事件控訴人らには交通事故の危険,住環境の悪化,災害時の危害拡大の危険,景観利益の侵害などの重大な損害が生じている。 したがって,建築基準法の保護法益の重大性,本件建築物の規模,控訴人らに生じている損害の重大性などを総合的に考慮せずに,単に幅員の不足部分の大小のみにとらわれて板橋区長の裁量の逸脱,濫用がないと判断することは許されない。 (被控訴人)ア原告適格に関する控訴人らの主張は争う。 イ景観利益に関する主張及び安全条例10条の2の解釈適用に関する主張は争う。 ウ安全条例10条の2第1項ただし書の要件についての主張は争う。 安全条例10条の2第1項ただし書に基づく認定については,その要件が抽象的,包括的な規定となっていることから明らかなように,考慮されるべき諸要素が多岐にわたり,多角的,総合的見地から検討されるものであって,かかる認定につき,板橋区長の裁量権行使に逸脱又は濫用の違法があるか否かも,板橋区長が認定した事実に明らかな事実誤認又はその評価に著しい誤りがあるか否かの観点から判断されるべきものである。 エその余の主張はいずれも争う。 第3 当裁判所の判断 1 第1事件について(1) 控訴人らの当事者適格(原告適格)についてア当裁判所も,原審の判断が相当であると判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の1(原判決24頁10行目から36頁18行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 イ当審における控訴人らの主張について(ア) 控訴人らは,安全条例10条の2は,火災等の災害時における避難,消火及び救助活動に伴う安全 のとおりであるから,これを引用する。 イ当審における控訴人らの主張について(ア) 控訴人らは,安全条例10条の2は,火災等の災害時における避難,消火及び救助活動に伴う安全確保のみならず,平常時一般における通行の安全を図ることを趣旨としているから,本件認定処分の取消訴訟の原告適格は,建物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者だけではなく,当該建築物に出入りする自動車が通常通行する範囲内に居住し,あるいはその範囲内に所在する建築物を所有する者,さらには通勤 等の目的により,そのような範囲内を日常的に通行する近隣住人にも,法律上の利害を有する者として,認められる旨主張する。 しかし,安全条例10条の2は,火災等の災害時における避難,消火及び救助活動に伴う安全確保のみならず,平常時一般における通行の安全を図ることを趣旨としているといえるが,同通行の安全はなお一般的抽象的な利益にとどまるから,同利益に基づいて原告適格が認められるとはいえない。 したがって,控訴人らの上記主張を採用することはできない。 (イ) 控訴人らは,建築基準法及び安全条例は,都市計画決定に適合した都市空間の形成を図るものであり,隣接地に居住する住民を含めた地域住民の有する生活環境保全を目的とし,景観保全もそこに包含されているから,同法令は周辺住民の有する景観利益を個別的利益として保護している旨,そして,本件地域の景観利益の範囲は高さ制限であり,その内容は「δまちづくり憲章」(甲28)が北口駅前ロータリー周辺の商業地を含めて概ね5,6階建の階高を限度とする自主的基準を設け,東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づき策定された街並み景観ガ その内容は「δまちづくり憲章」(甲28)が北口駅前ロータリー周辺の商業地を含めて概ね5,6階建の階高を限度とする自主的基準を設け,東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づき策定された街並み景観ガイドラインが同自主的基準に基づく高さの基準を定めており(甲20),明確であって,景観利益の重要性も顕著である旨主張する。 しかし,上記主張についての判断は,原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1の(1)のウ(エ)(原判決31頁5行目から35頁13行目まで)のとおりであり,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (2) 本件認定処分の適法性についてア当裁判所も,本件認定処分に裁量権の範囲を越え又はその濫用があったとは認められないと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の4(原判決43頁 13行目から52頁10行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 (ア) 原判決43頁14行目の末尾に改行の上次のとおり加える。 「本件建築物は延べ面積が7436.84㎡,高さが34.87mに及ぶため,安全条例4条1項及び2項により,本件建築物敷地は幅員6m以上の道路に10m以上接しなければならない。なお,本件建築物は,本体の用途が共同住宅・店舗・事務所であるため,安全条例9条2号,3号及び8号に該当し,同条にいう特殊建築物に当たるが,本体の用途は安全条例10条の2第1項の表に掲げる用途のいずれにも該当しないため,敷地の接道要件(前面道路の幅員を含む。)については安全条例4条の適用があることになる。後記のとおり,本件建築物敷地は,本件建築物敷地南西側道路のうち開発道路部分において幅員6mを有する本件開発道路と11 道要件(前面道路の幅員を含む。)については安全条例4条の適用があることになる。後記のとおり,本件建築物敷地は,本件建築物敷地南西側道路のうち開発道路部分において幅員6mを有する本件開発道路と11.13m接していることが認められるので,安全条例4条1項及び2項に違反しないものと認められる。また,本件建築物にはこれに附属する自動車駐車場等があり,これは後記のとおり安全条例10条の2第1項(い)2号に該当するから,所定の接道要件を満たさない建築物であっても,同項ただし書により知事が建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により安全上支障がないと認める場合には同項は適用されないこととなる。本件建築物に附属する自動車駐車場等について本件認定処分がされたのは以上の理由による。控訴人らは本件認定処分が違法であると主張するので,以下,本件認定処分の適否について検討を行う。」(イ) 同頁15行目の「安全条例10条の2第1項は,同項の」を「安全条例10条の2第1項は,前記のとおり,建築基準法43条2項に基づき,特殊建築物(同法2条2号により定義されており,学校,体育館,病院,劇場,自動車車庫,危険物の貯蔵場等のほか,列挙されている建 築物に類する用途に供する建築物をいう。),延べ面積が1000㎡を超える建築物が接しなければならない道路の幅員等の敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,同法43条1項の規定によっては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合に該当するとして必要な制限を付加するもので,安全条例10条の2第1項の」に改める。 (ウ) 同44頁4行目の冒頭に次のとおり加える。 「同条は,前記のとおり,特殊建築物に通常出入りする車両等の円滑な通 付加するもので,安全条例10条の2第1項の」に改める。 (ウ) 同44頁4行目の冒頭に次のとおり加える。 「同条は,前記のとおり,特殊建築物に通常出入りする車両等の円滑な通行や,当該特殊建築物に災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動のための通路を確保することを目的とするものであり,特殊建築物の用途の種別又は規模によってその特殊性に類型的な差異があると考えられることから,原則として特殊建築物の用途又は規模の特殊性に対応して同条1項本文の各規制内容を規定しつつ,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合をその例外とする旨規定しているものである(同項ただし書)と解するのが相当である。このように,同条は,原則として特殊建築物の用途又は規模の特殊性に対応して同条1項本文の各規制内容を規定しているのであるが,特殊建築物の用途としては同一であっても,当該特殊建築物が他の用途に供する建築物に附属するものである場合には,附属物である当該特殊建築物及びその敷地と道路との関係は主たる建築物及びその敷地と道路との関係に一部包含されることとなると考えられることから,同条は,上記の場合について,主たる建築物の用途の特殊性及び当該特殊建築物の規模の大小をも考慮し,その敷地に出入りする車両数等に段階的な差異が生じ得るものとして同項所定の各規制を緩和することとし,もって,同条2項及び3項の各要件及び緩和措置の内容を規定しているものと解するのが相当である。したがって,同条は,当該特 殊建築物が他の用途に供する建築物に附属するものである場合において,同条2項及び3項の適用がないときには,同条1項本文及びただし書の適用があるものと規定していると解するのが相当である。」(エ 築物が他の用途に供する建築物に附属するものである場合において,同条2項及び3項の適用がないときには,同条1項本文及びただし書の適用があるものと規定していると解するのが相当である。」(エ) 同46頁17行目から22行目の「解されるところ,」までを「同条の趣旨は,特殊建築物に通常出入りする車両等の円滑な通行や,当該特殊建築物に災害が発生した場合における避難,消火及び救助活動のための通路を確保することを目的とするものであり,そのために特殊建築物の用途又は規模の特殊性により必要な制限を付加するものであると解するのが相当であるところ,特殊建築物の用途の特殊性及びその用途の主従の区別並びに特殊建築物の規模の大小によりその敷地に出入りする車両数等に類型的,段階的な差異が生じ得ることから,交通,安全等を確保するために特殊建築物が接しなければならない道路の幅員等の敷地又は建築物と道路との関係についても類型的,段階的な差異が生じ得るとの見地から,特殊建築物の用途が同一であっても,その用途が主たるものであるか従たるものであるかの違いと建築物の規模の大小に着目して同条1項から3項までのとおり規制の内容及び緩和措置の内容を規定しているものと考えられる。そのうち同条1項2号は,自動車車庫等の敷地は幅員6m以上の道路に接し,かつ,当該道路に面して当該敷地の自動車の出入口を設けなければならないことを原則としつつ,」に改める。 (オ) 同48頁23行目の「北口駅前ロータリーへとつながっている。」の次に「北口駅前ロータリーからは西北西,北北西,北,北東方向にそれぞれ主要な道路が放射線状に展開しており,そのうち区道○号はε街道とζ街道とをつないでいる(もっとも,後者とはγ駅に隣接する踏切を介して通じているので,特に災害時には前者に通じる道路が動線 向にそれぞれ主要な道路が放射線状に展開しており,そのうち区道○号はε街道とζ街道とをつないでいる(もっとも,後者とはγ駅に隣接する踏切を介して通じているので,特に災害時には前者に通じる道路が動線となるものと考えられる。)など,周囲の幹線道路とも通じているので,本 件建築物から南西側道路を通って北口駅前ロータリーに出て,主要な道路のいずれかを通行する経路をたどれば,車両は,円滑,かつ,安全に通行することができる。」を加える。 (カ) 同49頁13行目の「本件建築物敷地」から15行目の「1周することができ,」までを「まず,本件建築物付近を含む一帯の道路状況を鳥瞰すると,本件建築物は,南東側道路,南西側道路,区道○号を経て北口駅前ロータリーにつながっており,北口駅前ロータリーからは西北西,北北西,北,北東方向にそれぞれ主要な道路が放射線状に展開しており,そのうち区道○号はε街道とζ街道とをつないでいる(もっとも,後者とはγ駅に隣接する踏切を介して通じているので,特に災害時には前者に通じる道路が動線となるものと考えられる。)など,周囲の幹線道路とも通じているので,本件建築物から南西側道路を通って北口駅前ロータリーに出て,主要な道路のいずれかを通行する経路をたどれば,車両は,円滑,かつ,安全に通行することができる。次に,本件建築物の周辺を細部まで見ると,」に改める。 (キ) 同51頁12行目から13行目にかけての「事情に照らせば,」の次に「交通上,安全上支障があるとは認め難い。以上によれば,」を加える。 (ク) 同54頁12行目から21行目までを次のとおり改める。 「本件開発道路のうち,本件建築物敷地に接する幅員2mの部分は歩道として整備されているが,歩道と車道との間にガードレール等の車道と 同54頁12行目から21行目までを次のとおり改める。 「本件開発道路のうち,本件建築物敷地に接する幅員2mの部分は歩道として整備されているが,歩道と車道との間にガードレール等の車道としての効用を妨げる付属物は設置されていないので,建築基準法43条,安全条例4条の適用上は,本件開発道路を幅員6mの道路として取り扱うことで差し支えないものと考えられる。」イ控訴人らの主張について(ア) 安全条例10条の2第1項適用の誤りについて 控訴人らは,安全条例10条の2第1項の表(い)ニの自動車車庫等の用途に供する特殊建築物は,自動車車庫等そのものとして使用される建築物を指し,他の用途に供する建築物に附属する自動車車庫等はこれに含まれないと解するのが相当であり,同条項の表に掲げる用途以外の用途に供する建築物である本件建築物に附属する本件駐車場の敷地には,同条2項が適用され,同条1項の適用はなく,したがって,同項ただし書の適用もない旨主張する。 しかし,この点に関する判断は,前記のとおり補正した上で引用する原判決が説示するとおりであり,控訴人らの上記主張は採用の限りでない。 (イ) 安全条例10条の2第1項ただし書の適用について控訴人らは,本件建築物又は本件駐車場の敷地が,幅員6m以上の道路と接する場合と同等の通行上,防火上及び避難上の安全性が確保されている状況にはないとして,前記第2の3の(2)のア(イ)b(a)ないし(e)のとおり主張する。 しかし,本件認定処分について,本件建築物又は本件駐車場の敷地が,幅員6m以上の道路と接する場合と同等の通行上,防火上及び避難上の安全性が確保されていると見ることが,事実の基礎を欠いて しかし,本件認定処分について,本件建築物又は本件駐車場の敷地が,幅員6m以上の道路と接する場合と同等の通行上,防火上及び避難上の安全性が確保されていると見ることが,事実の基礎を欠いていたり,その前提とした事実に対する評価が明白に合理性を欠く等して,合理性を持つ判断として許容される限度を超えるものということができないことは,前記のとおり補正した上で引用する原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の(2)のアからエまで(原判決46頁13行目か52頁8行目まで)のとおりであり,控訴人らの上記主張は採用の限りでない。 2 第2事件について(1) 第2事件控訴人らの当事者適格(原告適格)について 当裁判所も,原審の判断が相当であると判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の2(原判決36頁19行目から40頁17行目まで)及び3(原判決40頁18行目から43頁12行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 (2) 建築基準法9条1項の命令を発しないことに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるか否かについてア当裁判所も,板橋区長が本件建物について建築基準法9条1項所定の除却命令等を発すべきことが根拠法令の規定から明らかであるとも,除却命令等を発令しないことが裁量権の範囲を逸脱し若しくはこれを濫用したものであるともいうことができないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の5(原判決52頁11行目から57頁14行目の「できない」まで)のとおりであるから,これを引用する。 したがって,その義務づけを求める第2事件控訴人らの請求には理由がない。 イ第2事件控訴人らの主張について(ア) 都市 」まで)のとおりであるから,これを引用する。 したがって,その義務づけを求める第2事件控訴人らの請求には理由がない。 イ第2事件控訴人らの主張について(ア) 都市計画法32条等違反について第2事件控訴人らは,建築基準法6条及び7条違反も,同法9条1項所定の除却命令等の対象となる旨主張するが,これらが含まれないと解すべきことは前記のとおり補正した上で引用する原判決が説示するとおりであり,第2事件控訴人らの上記主張は採用の限りでない。 (イ) 安全条例4条,建築基準法43条違反について第2事件控訴人らは,安全条例4条2項は,火災の際の避難,消火及び救助活動を迅速かつ適切に行う必要がある大規模,中高層建築物が存する敷地の前面道路について,最低幅員を規定したものであるが,同条項が道路の幅員を6m以上としたのは自動車の通常の走行において二車 線通行が可能な道路を考慮した点にあるから,同条項所定の道路には歩道は含まれないと主張する。 しかし,上記条項所定の道路が歩道部分を除く趣旨のものでないことは前記のとおり補正した上で引用する原判決が説示するとおりであり,第2事件控訴人らの上記主張は採用することができない。 なお,上記開発道路部分の歩道部分とそれ以外の部分の境に本件南東側道路において位置指定道路と自主管理歩道との間に設置されているようなポールの設置がないことは,当事者間に争いがない。 (ウ) 建築基準法56条違反について第2事件控訴人らは,建築基準法56条所定の道路斜線制限に関し,本件建築物敷地北西側の区道○号が接する北口駅前ロータリーが建築基準法施行令134条1項に規定する「広場」に当たるとする解釈は 第2事件控訴人らは,建築基準法56条所定の道路斜線制限に関し,本件建築物敷地北西側の区道○号が接する北口駅前ロータリーが建築基準法施行令134条1項に規定する「広場」に当たるとする解釈は誤りであり,また,本件建築物の面前において,実際にどの程度の空間が確保されているかを検討しないでする判断は誤りである旨主張する。 しかし,北口駅前ロータリーを建築基準法施行令134条1項に規定する「広場」に当たるとして道路斜線制限の適用を検討することに違法があるということができないことは,前記引用に係る原判決説示のとおりであり,建築物の「日照,採光,通風等」の確保という道路斜線制限の趣旨からすれば,北口駅前ロータリーをもって同条項が規定する「広場」と解することは妨げられず,また,上記趣旨を前提にした上,本件建築物,区道○号,北口駅前ロータリーの各位置関係,接同部分,同ロータリーの状況等を検討したとき,同ロータリーをもって同条項所定の「広場」と評価することが道路斜線制限の趣旨を失わせるものということもできない。 したがって,第2事件控訴人らの上記主張は採用することができない。 (エ) 安全条例10条の2違反について前記1(2)のとおりである。 (オ) 建築基準法42条違反について第2事件控訴人らは,本件南東側道路に4mに0.01m不足するとする部分について,建築基準法1条の趣旨を考慮すれば,同条42条に違反している状況は看過することができず,同法の保護法益の重大性,本件建築物の規模,第2事件控訴人らに生じている損害の重大性などを総合的に考慮せずに,単に幅員の不足部分の大小にとらわれて板橋区長の裁量の逸脱,濫用がないと判断することは許されない旨主張する。 本件建築物の規模,第2事件控訴人らに生じている損害の重大性などを総合的に考慮せずに,単に幅員の不足部分の大小にとらわれて板橋区長の裁量の逸脱,濫用がないと判断することは許されない旨主張する。 しかし,上記主張についての判断は,原審「事実及び理由」の「第3当裁判所の判断」の5の(6)(原判決56頁14行目から57頁10行目まで)のとおりであり,第2事件控訴人らの上記主張は採用することができない。 第4 結論よって,以上と同旨の原判決は相当であるから,本件控訴をいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官高世三郎 裁判官加藤謙一 裁判官廣田泰士

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