令和6(わ)238 爆発物取締罰則違反、建造物損壊、器物損壊、詐欺、窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月18日 岡山地方裁判所
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判決文本文2,692 文字)

主文 被告人を懲役12年に処する。 未決勾留日数中140日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、指定暴力団a 組組員であるが、b と共謀の上、株式会社c が管理する暴力団員等の反社会的勢力の入居等が認められていない広島県福山市d 町e 丁目f 番g 号h 号室(以下「本件物件」という。)の賃借権を不正に取得しようと考え、令和5年11月22日、本件物件の賃貸借契約締結に関する業務を行う、同市i 町の前記c において、前記b が、前記c 従業員に対し、真実は、同居人である被告人が暴力団員であるのにこれを秘し、同居人が暴力団員ではないように装って本件物件の賃貸借契約を申し込み、前記c 従業員らにその旨誤信させ、よって、同月28日、前記c において、前記b を賃借人とする本件物件の賃貸借契約を締結させた上、同年12月1日、被告人が、本件物件の引渡しを受けて賃借権を不正に取得し、もって人を欺いて財産上不法の利益を得た。 第2 被告人は、j と共謀の上、令和6年4月15日午後8時頃、岡山県井原市k 町北側駐車場において、同所に駐車中の自動車に装着されたl 管理のナンバープレート2枚を窃取した。 第3 被告人は、前記a 組m 会会長であるが、治安を妨げ、かつ、人の身体、財産を害する目的をもって、令和6年4月18日午後10時9分頃、岡山県倉敷市n 所在のA方東側駐車場前路上において、同駐車場内に、爆発物である手りゅう弾を投げ込んで爆発させ、前記A所有の木造瓦葺2階建の建造物の一部である居宅東側壁面等6か所及び器物である同居宅東側窓ガラス(損害額合計157万5112円)、同市o 所在のB所有の鉄筋軽量コンクリート造陸屋根2階建の建造物の一部である居室玄関戸等4か所並びに器物であ 居宅東側壁面等6か所及び器物である同居宅東側窓ガラス(損害額合計157万5112円)、同市o 所在のB所有の鉄筋軽量コンクリート造陸屋根2階建の建造物の一部である居室玄関戸等4か所並びに器物である同居室雨戸等2か所(損害額合計385万5517円)及び同所に駐車中のB所有の普通乗用自動車(損害額24万4189円)、 同市p 所在のC所有の軽量鉄骨造かわらぶき2階建共同住宅q205号室北西側窓ガラス及び網戸(損害額16万2800円)、前記q 北側敷地内に設置のD社(代表取締役E)所有のLPガスバルク貯槽保管庫(損害額66万円)を破壊し、もって爆発物を使用するとともに、他人の建造物及び器物を損壊した。 (証拠の標目)省略(累犯前科)省略(法令の適用)罰条判示第1の行為刑法60条、246条2項判示第2の行為刑法60条、235条判示第3の行為爆発物使用の点爆発物取締罰則1条建造物損壊の点刑法260条前段器物損壊の点刑法261条科刑上一罪判示第3の罪刑法54条1項前段、10条(最も重い爆発物取締罰則違反の罪の刑で処断)刑種の選択判示第2の罪懲役刑を選択判示第3の罪有期懲役刑を選択累犯加重各罪について刑法56条1項、57条(判示第3の罪については、更に刑法14条2項)併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(最も重い判示第3の罪の刑に刑法14条2項の制限内で 法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条(量刑の理由)量刑の中心となる爆 刑法45条前段、47条本文、10条(最も重い判示第3の罪の刑に刑法14条2項の制限内で 法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条(量刑の理由)量刑の中心となる爆発物取締罰則違反(判示第3)についてみると、本件は、暴力団組織の幹部であった被告人が、抗争状態にあった他の暴力団組織の副本部長のインターネット上の投稿に立腹してその内妻方を狙って行ったものである。被告人は、一般市民には迷惑をかけないようにしようと考えていたというが、抗争状態にあった他の暴力団組織の組員を脅すためにその関係先に手りゅう弾を投げ込もうなどというのは、まさに暴力団特有の反社会的な考えを反映したものである。累犯を含む多数の前科がありながらこのような社会に大きな不安を与える犯行を決意した経緯や動機に酌量の余地はなく、その意思決定には強い非難が妥当する。また、被告人は、他人の管理するナンバープレートを窃取して(判示第2)手りゅう弾を投げ込む際に自身の使用する自動車のものとすり替えるなどの偽装工作や犯行前に付近の状況を下見するといった事前準備を周到に行っており、本件犯行には相応の計画性が認められる。加えて、本件犯行では手りゅう弾が使用されているが、手りゅう弾はその爆発により金属片が全方位に飛び散り、その行方をコントロールすることはできないのであるから、被告人が事前に同内妻が不在にしていることや被告人が見える範囲で付近に出歩いている住民がいないことを確認し、手りゅう弾の爆薬の量も半減させていたといった事情があるとしても、犯行態様としては極めて危険なものである。現に、手りゅう弾の爆発によって金属片は同内妻方の居室内にまで到達しているほか、付近の住宅街の他の住居やその付属施設なども損壊しており、一歩間違えれば人的な被害が発生していた可能性も十分に のである。現に、手りゅう弾の爆発によって金属片は同内妻方の居室内にまで到達しているほか、付近の住宅街の他の住居やその付属施設なども損壊しており、一歩間違えれば人的な被害が発生していた可能性も十分に考えられる。そして、財産的被害は約650万円と相当高額であるほか、暴力団の抗争に伴う爆発事件が発生したことで付近住民が相当な恐怖や不安を感じたことも認められ、被害結果は総じて重大である。 以上のほか、被告人は、自身が暴力団員であることを秘して賃借権を不正に取得 した詐欺罪(判示第1)も成立することを踏まえると、被告人の刑事責任は重く、相当長期間の実刑は免れない。 その上で、一般情状についてみると、判示第3の各被害者のうち、直接狙った相手方に対しては、謝罪の意思も弁償の意思も示していないなど、未だに暴力団組織の理屈で行動しているところがみられるものの、それ以外の被害者に対しては被害弁償を行っているほか、事実についてはいずれも認めた上で反省の態度を示していることなど、被告人のために斟酌できる事情も認められる。 以上の事情を踏まえ、被告人に対しては主文の刑に処することが相当と判断した。 (求刑懲役16年)令和6年12月18日岡山地方裁判所第2刑事部 (村川主和、溝田泰之、髙畑輝)

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