平成25(ワ)28365 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年7月16日 東京地方裁判所
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判決文本文16,324 文字)

平成27年7月16日判決言渡同日原本交付裁判所書記官東敏美平成25年(ワ)第28365号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年5月26日判決 東京都中央区<以下略>原告株式会社ファッションヴィレッヂ同訴訟代理人弁護士伊藤真平井佑希同補佐人弁理士野原利雄岐阜市<以下略>被告株式会社サン・カツミ同訴訟代理人弁護士後藤昌弘鈴木智子古谷渉 主文 1 被告は,原告に対し,1372万2060円及びこれに対する平成27年5月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを20分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,1378万4266円及びこれに対する平成27年5月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,株式会社繊研新聞社の発行する繊研新聞に,別紙 被告は,原告に対し,1378万4266円及びこれに対する平成27年- 2 -5月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告は,株式会社繊研新聞社の発行する繊研新聞に,別紙謝罪文目録記載1の内容の謝罪広告を,同2の条件で1回掲載せよ。 第2 事案の概要本件は,原告が,別紙被告商品目録記載3~11の各商品(以下,それぞれを同目録の番号により「被告商品3」などといい,これらを「被告各商品」と総称する。)を販売した被告に対し,被告各商品は原告の販売する別紙原告商品目録記載3~11の各商品(以下,それぞれを同目録の番号により「原告商品3」などといい,これらを「原告各商品」と総称する。)の形態を模倣した商品であり(各目録の同一番号の商品がそれぞれ対応する。以下,対応する原告各商品と被告各商品を併せて「商品3」などということがある。),その販売は不正競争防止法(以下「法」という。)2条1項3号所定の不正競争行為に当たると主張して,法4条に基づく損害賠償金1378万4266円(法5条1項による損害1247万2060円,弁護士・弁理士費用131万2206円)及びこれに対する不正競争行為の後の日である平成27年5月27日(同月25日付け訴えの変更等の申出書の送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに法14条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。なお,別紙被告商品目録記載1及び2の各商品に係る請求はいずれも取り下げられた。 1 争いのない事実原告は,婦人服等各種衣料繊維製品及び装飾雑貨の製造,販売,輸出入等を目的とする株式会社である。 被告は,婦人既製服の製造販売等を目的とする株式会社である。 原告は,原告各商品(婦人服)を販売している。 原告各商品の1枚当たりの利 貨の製造,販売,輸出入等を目的とする株式会社である。 被告は,婦人既製服の製造販売等を目的とする株式会社である。 原告は,原告各商品(婦人服)を販売している。 原告各商品の1枚当たりの利益額は,原告商品3につき2680円,同4につき4600円,同5につき1780円,同6につき2780円,同- 3 -7につき3000円,同8につき2200円,同9につき3600円,同10につき3000円,同11につき4700円である。 被告は,被告各商品(婦人服)を販売している。 被告各商品の販売数量は,以下のとおりである(販売期間の始期は当該商品の販売開始日,終期は当該商品に対応する原告各商品の販売開始後3年の期間満了日である。)。 被告商品3(平成23年5月6日~平成25年2月22日):1091枚被告商品4(平成24年4月3日~平成25年4月27日): 311枚被告商品5(平成24年5月31日~平成26年2月22日): 248枚被告商品6(平成25年3月4日~平成26年6月24日): 423枚被告商品7(平成25年3月29日~平成27年2月8日): 476枚被告商品8(平成25年4月4日~平成27年2月18日): 206枚被告商品9(平成24年5月31日~平成27年3月6日): 560枚被告商品10(平成24年5月31日~平成27年2月17日): 664枚被告商品11(平成25年3月5日~平成27年3月28日): 130枚 2 争点原告の請求主体性(原告が法2条1項3号の「他人」に当たるか)被告による原告各商品の形態の模倣の有無(同条5項)ア原告各商品と被告各商品の形態が実質的に同一であるかイ被告各商品の形態が原告各商品に依拠したものであるか被告の故意又は重過失の有無(法19条1項5号ロ) の形態の模倣の有無(同条5項)ア原告各商品と被告各商品の形態が実質的に同一であるかイ被告各商品の形態が原告各商品に依拠したものであるか被告の故意又は重過失の有無(法19条1項5号ロ)原告の損害額(法4条,5条1項)謝罪広告の要否(法14条) 3 争点に関する当事者の主張 (原告の主張)- 4 -ア原告各商品は,いずれも原告の従業員がデザインを起こし,サンプル発注及びデザインの修正を繰り返しながら,製造発注,染めの指示等を経て納品に至っている。このことは,原告各商品に係る複数のデザイン画,刺繍のデザイン図案等を原告が所持していることから明らかである。 イ被告が指摘するカタログは,内容に不自然な点がある上,原本を確認することができず,信用することができない。 (被告の主張)ア被告は,被告商品4以外の被告各商品について,対応する原告各商品の販売開始以前に,中国でカタログやサンプル品を見て購入した。また,原告各商品はいずれも中国製である。これらの事情に鑑みれば,原告も,被告と同様,中国に既に存在していたデザインの婦人服を輸入して販売していたと考えるのが合理的である。したがって,原告は,自ら費用と労力を投下して独自に開発した商品を市場に置いた者ではないから,損害賠償等を請求し得る者に当たらない。 イ原告各商品は,いずれも同種の商品形態を有する先行商品を単に組み合わせ,又は組み合わせ容易な商品形態にすぎず,このような原告各商品を保護することは法の趣旨に反する。 (原告の主張)原告各商品と被告各商品の形態の対比は,別紙対比表のとおりであり,下線を付した部分が相違点であるが,これら相違点はいずれも通常の需要者が行う全体的観察によって感得することさえできない微少な差異にすぎない。 品と被告各商品の形態の対比は,別紙対比表のとおりであり,下線を付した部分が相違点であるが,これら相違点はいずれも通常の需要者が行う全体的観察によって感得することさえできない微少な差異にすぎない。また,被告が主張する相違点は,被告の技術が未熟であるために原告商品形態を完全には再現できなかったこと,価格抑制のため素材を変更したこと,あるいは模倣の責任を免れるために僅かな改変を加えたことなどによって生じたものにすぎない。それ以外の形態の共通性に照らせば,- 5 -被告各商品は原告各商品の色違い商品というべき同一性を有する。 (被告の主張)原告各商品と被告各商品の形態は,別紙対比表中に下線を付した部分のほか,以下のとおり相違するので,実質的に同一とはいえない。 ア原告商品3の身頃左側上端から約4分の3までのピンタックが水平であるのに対し,被告商品3のピンタックはやや左斜め下がりである。 イ原告商品4の背面には身頃を絞るためのベルトひもが水平に配置されているのに対し,被告商品4にはそのようなベルトひもがない。 ウ原告商品5~7,9にはギャザー加工がされているが,被告商品5~7,9にはギャザー加工がない。 エ原告商品8の袖部は,ピンタックを施した箇所と施していない箇所が一定の間隔で設けられ,ピンタックによるプリーツのような細い縞模様とピンタックがないことによる太い縞模様が合わせて形成されているのに対し,被告商品8の袖部は全般にわたりピンタックが施されている。 オ原告商品10のギャザー加工は細かく繊細な縮れ加工であるのに対し,被告商品10のギャザー加工は粗く大きな縮れ加工である。 カ原告商品11の裾は被告商品11の裾より幅が広く,Aラインが強調される形態となっている。また,原告商品11の袖部がフレア状に広がっているのに 商品10のギャザー加工は粗く大きな縮れ加工である。 カ原告商品11の裾は被告商品11の裾より幅が広く,Aラインが強調される形態となっている。また,原告商品11の袖部がフレア状に広がっているのに対し,被告商品11の袖部はフレア状に広がっていない。 (原告の主張)ア商品にすぎない。また,被告各商品の販売開始日は,いずれも対応する原告各商品の販売開始日より後である。さらに,被告は,原告各商品のうち原告商品4を除くものを,それぞれに対応する被告各商品の販売開始前に原告から購入している(原告商品4も小売店等から入手したと思- 6 -われる。)。これらの事情に鑑みれば,被告各商品の形態が原告各商品に依拠していることは明らかである。 イ被告は後記のとおり主張するが,被告各商品の縫製仕様書の作成日が販売開始日より最大で約2年半も前であるなど不自然であり,その作成日を信用することはできない。 (被告の主張)被告は,被告商品5及び9については香港の会社が発行した2009年版カタログ(乙1)に,被告商品3,6~8及び10については同じく2010年版カタログ(乙2)に,被告商品11については同じく2011年版カタログ(乙3)にそれぞれ掲載された商品を基に,中国の会社からサンプルを示されて販売を決め,縫製仕様書及び型紙を作成して中国の会社に生産を発注した。また,被告商品4については,サンプルの提案を受けた中国の会社からこれを購入した。なお,被告が原告各商品の一部を購入したのは,縫製技術の参考にするためであり,形態を参考にしたものでない。被告は,いずれの被告各商品についても,対応する原告各商品が販売されるより前に販売準備を進め,又は原告各商品の存在を知らずに購入したのであり,被告各製品の形態は原告各商品に依拠していない。 い。被告は,いずれの被告各商品についても,対応する原告各商品が販売されるより前に販売準備を進め,又は原告各商品の存在を知らずに購入したのであり,被告各製品の形態は原告各商品に依拠していない。 (被告の主張)仮に被告各商品の形態が原告各商品を模倣したものであるとしても,被告は,中国の会社からサンプルを示されるなどして被告各商品を発注し,購入したのであって,原告各商品の模倣品を販売する意図を有しておらず,この点につき被告に重大な過失はなかった。したがって,法19条1項5号ロにより,被告の行為には法の適用が除外される。 (原告の主張)被告は原告から原告各商品を購入した上でその模倣品を生産させている- 7 -のであるから,法19条1項5号ロが適用されることはない。 (原告の主張)ア原告各商品の1枚当たりの利益額及び被告各商品の販売数量は,前記行為による原告の損害額は,以下のとおりであり,合計1247万2060円である(法5条1項)。 商品3:2680円×1091枚=292万3880円商品4:4600円× 311枚=143万0600円商品5:1780円× 248枚= 44万1440円商品6:2780円× 423枚=117万5940円商品7:3000円× 476枚=142万8000円商品8:2200円× 206枚= 45万3200円商品9:3600円× 560枚=201万6000円商品10:3000円× 664枚=199万2000円商品11:4700円× 130枚= 61万1000円イ本件の弁護士費用・弁理士費用としては,131万2206円が相当である。 (被告の主張)争う。 (原告の主張)被告各商品は原告各商品に比べ縫製の精度等の品質が劣り,そのような被告 の弁護士費用・弁理士費用としては,131万2206円が相当である。 (被告の主張)争う。 (原告の主張)被告各商品は原告各商品に比べ縫製の精度等の品質が劣り,そのような被告各商品が原告の商品であると混同されることによって原告の営業上の信用が毀損された。また,原告の商品を本来取り扱っていないはずの小売店で被告各商品が取り扱われることにより,原告の正規品を扱う取引先等- 8 -に対し,あたかも原告が商道徳上の信義に反し販路を拡大したかのような印象を与え,原告の営業上の信用が毀損された。 そこで,原告は,被告が原告各商品の形態模倣品を販売していたことを周知し,原告の営業上の信用を回復するため,原告の取引先の属する服飾業界関係者の目に触れる業界紙である繊研新聞(株式会社繊研新聞社発行)に別紙謝罪文目録記載の謝罪文を掲載することを求める。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 証拠(甲18~97,100,101,103~111,113)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる(なお,書証の枝番の記載は省略する。以下同じ。)。 ア原告は,デザイナーを従業員として複数雇用し,商品のデザインに当たらせている。そして,デザイナーが作成したデザイン画を企画会議で検討して商品化するか否かを決定し,商品化を決めたデザインについては,原告の従業員であるパターンナーが型紙を作成する。商品を製造するに際しては,株式会社みのり(以下「みのり」という。)に対し,製品番号,商品コード,サイズ及びデザイン(イラスト)と,サンプル発注が先行している場合はサンプル番号等を記載した注文書及び上記型紙等を送付して製造を発注する。みのりは,これに従って,また,製法等につき原告と詳細な打合せをした上で,中国にある縫 ト)と,サンプル発注が先行している場合はサンプル番号等を記載した注文書及び上記型紙等を送付して製造を発注する。みのりは,これに従って,また,製法等につき原告と詳細な打合せをした上で,中国にある縫製工場で商品を製造し,我が国に輸入して原告に納品している。 イ原告は,原告商品3~5,7~11に係る各デザイン画(最終的な商品形態と異なるものを一部含む。),デザイン資料,刺繍パターン等と,原告商品3~11の型紙を所持している。また,原告は,原告商品3~- 9 -11に係るみのりへの注文書の控え及び商品の品番,総枚数,色ごとの枚数等を記載した内訳指示書を,みのりは,上記注文書に対応する生産台帳及び上記縫製工場への発注書を所持している。さらに,原告は,みのりに与えたデザイン変更やピンタックに関する指示書等の控え,原告商品10につきみのりから送付されたピンタック見本の現物を保管している。 上記認定事実によれば,原告は,原告各商品について企画から製造販売に至る関係書類を所持しており,これらはいずれも原告がデザインを確定して製造を発注したこと(すなわち,他社がデザインした商品を購入したのではないこと)を裏付けるものと認められる。そうすると,原告各商品の形態は原告がその資本及び労力により開発したとみることができるから,原告は,法2条1項3号の「他人」に当たり,同号所定の不正競争行為をした者に対し損害賠償等の請求をする主体になると解すべきである。 これに対し,被告は,香港の会社が発行したとされる2009年~2011年版の各カタログ(乙1~3)にほとんどの原告各商品が掲載されているとして,原告各商品は原告のオリジナル商品ではない旨主張する。しかし,上記各カタログに掲載された写真は,原告各商品(原告商品4を除く。)にある程度似ているといい得 とんどの原告各商品が掲載されているとして,原告各商品は原告のオリジナル商品ではない旨主張する。しかし,上記各カタログに掲載された写真は,原告各商品(原告商品4を除く。)にある程度似ているといい得るとしても,正面写真のみであり,細部は不鮮明であって,これをもって直ちに上記各商品と実質的に同一形態であるとは認められない。これに加え,被告は上記各カタログの写しを証拠として提出するのみであり,原本の存在及び成立並びにその成立時期は不明である。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 被告は,また,原告各商品は同種の形態を有する先行商品の単なる組合せにすぎない旨主張するが,先行商品の形態につき具体的な主張立証はしておらず,失当というほかない。 - 10 -原告は,原告各商品及び被告各商品の形態は別紙対比表のとおりであり,下線を付した部分を除き両者の形態は同一である旨主張する。 そこで判断するに,証拠(甲3,44)及び弁論の全趣旨によれば,原告各商品及び被告各商品の形態は,上記の下線部分のほか,商品5~10のギャザー加工の有無,商品11の袖部の広がりの有無において相違するものの,その余の基本的形態及び具体的形態はいずれも同一であると認められる。また,原告各商品と被告各商品は生地,糸等の色にも相違がみられるが,被告はこの点について特段の主張をしておらず,実際,これらは単に色違いであるとの印象を与えるにとどまり,これにより異なる形態であると認識させるものでないと解される。 載のとおりであるところ,同イにおいて詳述するとおり,基本的形態は同一(商品9以外)又はほぼ同じ(商品9)であり,具体的形態も若干の相違点を除けば同一である上,形態中の特徴的な部分はいずれも共通するということができる。また,上記の相違する部 とおり,基本的形態は同一(商品9以外)又はほぼ同じ(商品9)であり,具体的形態も若干の相違点を除けば同一である上,形態中の特徴的な部分はいずれも共通するということができる。また,上記の相違する部分は,以下のとおり,一見しただけでは識別できず,若しくは全体的な形態に与える影響が乏しいもの,原告各商品に比し手間若しくは費用を掛けない方向へ変更したもの,又は婦人服という商品の性質上極めて容易に変更できるものである。そうすると,原告各商品と被告各商品の形態はいずれも実質的に同一であると評価することが相当である。 商品3ア基本的形態は,いずれも台襟付きシャツカラー,長袖セットインスリーブ,前ボタン開きのブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品3のボタンが貝ボタンであるのに対し,被告商品3のボタンはラクトボタンであること,②原告商品3で施- 11 -されているジグザグステッチが被告商品3では施されていないこと,③襟幅が,原告商品3においては背面から正面にかけて緩やかに広がる形態であるのに対し,被告商品3においてはほぼ均一であることの3点である。 なお,被告は,身頃左側のピンタックが水平か否かも相違する旨主張するが,本件の証拠上,両者が相違するとは認められない。 イ上記アのとおり,商品3は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品3の形態上の特徴は,身頃の前立て部分を除き全体に多数のピンタックが施され,身頃の上下,左右でピンタックの方向が異なるほか,それぞれのピンタックは3列を1パターンとして各パターン間に広めの余白部分があることにより複雑な縞模様が形成されていることにあるが,被告商品3はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録3参照)。 タックは3列を1パターンとして各パターン間に広めの余白部分があることにより複雑な縞模様が形成されていることにあるが,被告商品3はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録3参照)。 一方,上記相違点のうち①は,ボタンの素材の差にすぎず(貝の方が高価であると解される。),外観上その違いはさほど目立つものではないし,②は,布と同色の糸でジグザグステッチが施されているため,注意深く観察しなければ分からない差異であり,③は,襟幅の違いは小さく,着用時にはほとんど目立たなくなるものであって,結局,これらの点は,いずれも需要者に与える印象に格別の影響を与えるものでないと考えられる。 商品4ア基本的形態は,いずれも4枚襟,フレアースリーブのチュニックであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品4の身頃はその胸部から下端にかけてアシンメトリーに緩やかに広がっているのに対し,被告商品4の身頃はシンメトリーに緩やかに広がっていること,②刺繍部分のうち花のモ- 12 -チーフが原告商品4においては左胸に二つ,右胸に三つ,縦に付されているのに対し,被告商品4においては左胸に三つ,右胸に三つ,三角形状に付されていること,③原告商品4のボタンは貝ボタンであるのに対し,被告商品4のボタンはプラスチックボタンであり,その中心部にレプリカのダイヤモンドが付されていることの3点である。 なお,被告は,原告商品4には背面にベルトひもが配置されている旨主張するが,原告商品4にベルトひもはないと認められる(甲3,44)。 イ上記アのとおり,商品4は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品4の形態上の特徴は,裾が緩やかに広がるチュニックで,複数の花と葉のモチーフで構成される大き ,44)。 イ上記アのとおり,商品4は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品4の形態上の特徴は,裾が緩やかに広がるチュニックで,複数の花と葉のモチーフで構成される大きな刺繍が,前身頃上部(左右の身頃をまたぐ。),右前身頃中央,右後身頃中央,左袖上部及び右袖下部にそれぞれ施されていることにあるが,被告商品4はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録4参照)。 一方,上記相違点のうち①は,全体観察によってもほとんど分からない程度の差異であり,②も,一体となった複雑な刺繍の一部であり,気付くことが困難なものである。また,③は,素材の差にすぎず,外観上その違いはさほど目立つものではない。したがって,これらの相違点は,いずれも需要者の受ける印象にさしたる影響を与えないということができる。 商品5ア基本的形態は,いずれもマチ付きスタンドカラー,七分丈セットインスリーブ,前ボタン開きのブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品5においては生地に収縮加工又はギャザー加工が施されているのに対し,被告商品5の生地にはそのような- 13 -加工がされていないこと,②両商品のポケット口の斜めのピンタックの方向が逆であることの2点である。 イ上記アのとおり,商品5は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品5の形態上の特徴は,端にフリルの付いたスタンドカラー,胴部全体に施された垂直の多数のピンタック,緩やかに広がった袖口にフリルがついており,左右各3個のボタンが緩やかなカーブを成すパーツに沿って付いていることにあるが,被告商品5はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録5参照)。 一方,上記相違点のうち①は外 ており,左右各3個のボタンが緩やかなカーブを成すパーツに沿って付いていることにあるが,被告商品5はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録5参照)。 一方,上記相違点のうち①は外観上格別の差異を生じさせるものでなく,②は需要者の受ける印象にさしたる影響を与えないささいな差異であるということができる。 商品6ア基本的形態は,いずれも台襟付きシャツカラー,長袖セットインスリーブ,前ボタン開き比翼仕立てのブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品6のボタンが貝ボタンであるのに対し,被告商品6のボタンはラクトボタンであること,②原告商品6においては生地に収縮加工又はギャザー加工が施されているのに対し,被告商品6の生地にはそのような加工がされていないこと,③両商品はいずれも左身頃に箱ポケットが設けられているところ,原告商品6は縦に三つ並んでいるのに対し,被告商品6ではそのうち中央のポケットがないことの3点である。 イ上記アのとおり,商品6は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品6の形態上の特徴は,前左身頃と後右身頃をバイアスに裁断された生地を使用して斜めに複数のピンタックを等間隔に施す一方,前右身頃と後左身頃には水平に複数のピンタックを等間隔- 14 -に施していることにあるが,被告商品6はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録6参照)。 一方,上記相違点のうち①は,素材の差にすぎない上,最上部のボタン以外は着用時には見えない構造となっている。②は外観上特段の差異を生じさせるものでない。③は,生地と同系色のポケットであって目立つものでない上,これを取り外して製作の手間を省くことは極めて容易と考えられる。したがって, い構造となっている。②は外観上特段の差異を生じさせるものでない。③は,生地と同系色のポケットであって目立つものでない上,これを取り外して製作の手間を省くことは極めて容易と考えられる。したがって,これらの相違点は,需要者の受ける印象にさしたる影響を与えないささいな差異であり,又は印象を多少変えるとしても極めて容易な改変ということができる。 商品7ア基本的形態は,いずれも台襟続きシャツカラー,長袖セットインスリーブ,前ボタン開きのブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品7のボタンが貝ボタンであるのに対し,被告商品7のボタンはラクトボタンであること,②原告商品7においては生地に収縮加工又はギャザー加工が施されているのに対し,被告商品7の生地にはそのような加工がされていないことの2点である。 イ上記アのとおり,商品7は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品7の形態上の特徴は,前身頃後身頃共に,裾部分を除き全般に肩線から裾にかけて段階的に間隔が広がるように斜めのピンタックが施されていることにあるが,被告商品7はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録7参照)。 一方,上記相違点のうち①はボタンの素材の差にすぎず,②は外観上ごく僅かな差異しか生じさせないものであって,いずれも需要者の受ける印象にさして影響を与えない差異であると考えられる。 商品8- 15 -ア基本的形態は,いずれもスタンドカラー,七分丈セットインスリーブ,前ボタン開きのブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①ボタンホールに共布テープを通した飾り部分が,原告商品8においては身頃に4か所,袖部に3か所形成されているのに対 ブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①ボタンホールに共布テープを通した飾り部分が,原告商品8においては身頃に4か所,袖部に3か所形成されているのに対し,被告商品8ではそれぞれ2か所,1か所であること,②原告商品8のピンタックにはギャザー加工が施されフリルのように波打っているのに対し,被告商品8ではギャザー加工がなく波打っていないこと,③前身頃のボタンの数が原告商品8では4個であるのに対し,被告商品8では3個であることの3点である。 なお,被告は,原告商品8の袖部にはピンタックを施した箇所と施していない箇所が一定の間隔で設けられ,ピンタックによる細い縞模様とピンタックがないことによる太い縞模様が合わせて形成されているのに対し,被告商品8の袖部は全体にわたりピンタックが施されている旨主張するが,そのような相違があるとしても,本件の証拠上は看取することができない程度のものである(甲3参照)。 イ上記アのとおり,商品8は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品8の形態上の特徴は,左右の襟が前で大きく重なり,その中心をボタンで留めていることにあるが,被告商品8はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録8参照)。 一方,上記相違点のうち①は,飾り部分があること(身頃につき,全般に幅の広いピンタックと狭いピンタック,生地に空けた複数のボタンホールに共布テープを通した飾り部分が交互に施され縞模様をなしていること,袖部にも,水平に複数のピンタックと身頃の生地に空けた複数のボタンホールに共布テープを通した飾り部分が交互に施されていること)自体が原告商品8の特徴であり,被告商品8がこの点で共通するこ- 16 -とや,当該飾りが洋服本体と同じ色であること,飾り 数のボタンホールに共布テープを通した飾り部分が交互に施されていること)自体が原告商品8の特徴であり,被告商品8がこの点で共通するこ- 16 -とや,当該飾りが洋服本体と同じ色であること,飾りの上下に平行してピンタックが形成されていることに照らすと,注意深く観察しなければ分からない差異にとどまるということができる。また,②は,外観の印象上ごく僅かな差異しか生じさせておらず,③は,多少の違いはもたらすとしても,ボタンの数を減らして製作の手間を省くことは極めて容易である。そうすると,以上の各相違点は,いずれも形態の実質的同一性の判断に影響を与えないものということができる。 商品9ア基本的形態は,いずれも台襟続きブラウスカラー,セットインスリーブ,前ボタン開きのボレロであることは共通しているが,原告商品9が半袖であるのに対し,被告商品9は七分袖である点で相違する。具体的形態は,原告商品9のピンタックは生地にギャザー加工がされているのに対し,被告商品9においてはギャザー加工がされていない点が相違する以外,同一である。 イ上記アのとおり,商品9は基本的構成,具体的構成ともほぼ同一である。特に,原告商品9の形態上の特徴は,身頃の裾部分を除き全体に細かいピンタックが水平に等間隔で施されていることにあるが,被告商品9はこの点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録9参照)。 一方,基本的構成に係る上記相違点は,婦人服という商品の性質上,半袖を七分袖にすることは極めて容易であり,その余の共通点に比較すると,形態の実質的同一性を失わせるものではない。また,具体的構成に係る上記相違点は,外観上の印象にほとんど影響を与えないと考えられる。 商品10ア基本的形態は,いずれもワイドスタンドカラー,長袖パフスリーブの- わせるものではない。また,具体的構成に係る上記相違点は,外観上の印象にほとんど影響を与えないと考えられる。 商品10ア基本的形態は,いずれもワイドスタンドカラー,長袖パフスリーブの- 17 -ブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品10に施されたギャザー加工が細かく繊細な縮れ加工であるのに対し,被告商品10のギャザー加工が粗く大きな縮れ加工であること,②原告商品10の襟部のピンタックにはギャザー加工が施されているのに対し,被告商品10の襟部にはそのような加工が施されていないことの2点である。 イ上記アのとおり,商品10は基本的構成が一致し,具体的構成もギャザー加工の有無,精粗を除き同一である。そして,この相違点についてみても,①についてはギャザー加工が施されて生地全体が波打っている点は共通しており,形態の実質的同一性を失わせることはないというべきであり,②も外観上の印象にほとんど影響を与えないものといえる。 商品11ア基本的形態は,いずれも上襟とドレープラペルによるテーラード風カラー,長袖セットインスリーブ,ハーフ丈のブラウスであり,具体的形態は,次の各点以外,同一である。 両者が相違するのは,①原告商品11のボタンが貝ボタンであるのに対し,被告商品11のボタンはラクトボタンであること,②原告商品11の袖部がフレア状に広がっているのに対し,被告商品11の袖部はフレア状に広がっていないことの2点である。 被告は,原告商品11の身頃裾部は被告商品11の身頃裾部より幅が広い旨主張するが,本件の証拠上,そのような差異は認められない。 イ上記アのとおり,商品11は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品11の形態上の特徴は,襟部から腹部に が広い旨主張するが,本件の証拠上,そのような差異は認められない。 イ上記アのとおり,商品11は基本的構成が一致し,具体的構成もほぼ同一である。特に,原告商品11の形態上の特徴は,襟部から腹部にかけて大きなラペルが形成され,首部がV字に大きく開襟していること,身頃が緩やかで大きなAラインの形状をしていること,全般に多数の細かいピンタックが等間隔に施されていることにあるが,被告商品11は- 18 -この点も同一であると認められる(甲3,別紙被告商品目録11参照)。 一方,上記相違点のうち①はボタンの素材の差にすぎないし,②の原告商品11のフレアもさほど目立つものでなく,いずれも需要者の受ける印象に格別の影響を与えるものではいと解される。 イ(依拠性)について被告各商品と原告各商品の形態が実質的に同一であること,相違点の一部は原告各商品に比し被告各商品において手間又は費用が掛けられていないものであることは前記2のとおりであり,これらは被告各商品の形態が原告各商品に依拠したものであることを推認させる事情ということができる。 これに加え,証拠(甲4,15,98,99,102,乙48~53,64~72)及び弁論の全趣旨によれば,被告は原告から原告各商品(原告商品4を除く。)を購入していること,その購入日並びに原告各商品及び被告各商品の販売開始日は以下のとおりであることが認められる。 原告各商品の被告による被告各商品の販売開始日購入日販売開始日商品3 平成22年2月22日平成22年7月14日平成23年5月6日商品4 平成22年4月27日平成24年4月3日商品5 平成23年2月22日平成24年3月16日平 成22年2月22日平成22年7月14日平成23年5月6日商品4 平成22年4月27日平成24年4月3日商品5 平成23年2月22日平成24年3月16日平成24年5月31日商品6 平成23年6月24日平成24年6月15日平成25年3月4日商品7 平成24年2月8日平成24年6月15日平成25年3月29日商品8 平成24年2月18日平成24年7月18日平成25年4月4日商品9 平成24年3月6日平成24年3月16日平成24年5月31日商品10 平成24年2月17日平成24年3月16日平成24年5月31日商品11 平成24年3月28日平成24年5月26日平成25年3月5日上記事実関係によれば,被告は,商品4を除き,原告各商品を購入し,- 19 -その後に対応する被告各商品の販売を開始したことが明らかである。また,原告商品4については,原告が被告に販売したとの記録は原告に残されていないが,他の商品と同様に,被告はこれを入手した後に被告商品4の販売を開始したと推認することが可能である。 以上の事情に照らすと,被告各商品の形態は原告各商品に依拠したものであると認めるのが相当である。 これに対し,被告は,被告各商品はいずれも対応する原告各商品の販売開始前に,中国の会社からカタログ(乙1~3)を見せられるなどして発注することを決め,縫製仕様及び注意書(乙6~14)を作成して交付するなど,被告各商品の製作準備を行っていた,被告が原告各商品を購入したのは縫製の参考にするためであり,形態に依拠したものでない旨主張する。 そこで判断するに,まず,被告が指摘するカタログの証拠価値について載された作成日が正しいとすると実際の商品販売開始日ま したのは縫製の参考にするためであり,形態に依拠したものでない旨主張する。 そこで判断するに,まず,被告が指摘するカタログの証拠価値について載された作成日が正しいとすると実際の商品販売開始日までに1年以上を要したものが多数に上ることになるが(被告商品4,6~8,11。被告商品6及び7は2年以上要している。),婦人服という被告各商品の性質上,販売開始までこれほど長時間を要する場合が多いとは考え難い。さらに,縫製の参考にするために原告各商品を多品種購入したとするのは不可解というほかない。したがって,被告の上記主張は採用できない。 被告は,被告各商品が原告各商品の形態模倣品であるとしても,そのことにつき故意又は重過失がなかったから,損害賠償等の責任を負わない旨主張する。しかし,以上に説示した本件の経過に照らせば,被告は被告各商品の取得時にこれが原告各商品の形態を模倣したものであると知っていたと認めるべきであるから,被告の上記主張は失当である。 - 20 - 以上のとおり,被告が被告各商品を販売した行為は法2条1項3号所定の不正競争行為に該当するので,被告は法4条に基づき原告が被った損害を賠償する責任を負う。そして,原告各商品の1枚当たりの利益額及び被原告の損害額は1247万2060円であると認められる(法5条1項)。 原告は,また,弁護士費用・弁理士費用として131万2206円を請求するところ,本件訴訟の経過及び事案の内容に鑑みると,上記不正競争行為と相当因果関係があり,被告に負担させるべき損害としては弁護士費用125万円の限度で認めるのが相当である。 したがって,原告の被告に対する損害賠償請求は,合計1372万2060円及びこれに対する不正競争行為の後の日である平成27年5月27日から支払済みまで民 125万円の限度で認めるのが相当である。 したがって,原告の被告に対する損害賠償請求は,合計1372万2060円及びこれに対する不正競争行為の後の日である平成27年5月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 原告は被告の不正競争行為により営業上の信用が毀損された旨主張して謝罪広告の掲載を求めるが,被告各商品の販売によって原告の営業上の信用が現実に低下したことをうかがわせる証拠はない。したがって,損害賠償に加え信用回復措置としての謝罪広告を命ずる必要があるとは認められない。 第4 結論よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川 浩 二 - 21 -裁判官清野正彦 裁判官藤原典子 - 22 -(別紙)謝罪文目録 1 謝罪文東京都中央区<以下略>株式会社ファッションヴィレッヂ代表者代表取締役 X 様 当社は、貴社がデザインし、製造販売する婦人服(貴社品番42829など、合計9点)の形態を模倣した婦人服を販売しました。 当該行為は不正競争防止法2条1項3号に該当する不正競争行為であり、当社の不正競争行為により、貴社の営業上の信用を侵害しました。 ここに、深くお詫び申し上げます。 申し訳ございませんでした。 岐阜県岐阜市<以下略>株式会社サン・カツミ代表者代表取締役 Y 2 条件(1) 掲載箇所・大きさ1面1/4頁広告(右図の④) (2) 文字の大きさ12ポイント以上 以上 ツミ代表者代表取締役Y 条件 (1) 掲載箇所・大きさ 1面1/4頁広告(右図の④) (2) 文字の大きさ 12ポイント以上 以上

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