平成6(行ウ)289 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成16年4月23日 東京地方裁判所
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判決文本文50,019 文字)

平成16年4月23日判決言渡し同日原本領収裁判所書記官平成6年(行ウ)第289号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成16年1月16日判決当事者別紙当事者等目録記載のとおり 主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告Aは,東京都に対し,7121万7917円及びこれに対する平成7年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Bは,東京都に対し,7024万8577円及びこれに対する平成7年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Cは,東京都に対し,1616万9050円及びこれに対する平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告Dは,東京都に対し,94万5540円及びこれに対する平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Eは,東京都に対し,396万5500円及びこれに対する平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,東京都の住民である原告らが,平成5年に行われた皇太子の結婚について,東京都知事である被告Aが結婚の儀等の儀式に参列したこと,東京都が祝賀パレード沿道に仮設便所を設置したこと及び東京都が各祝賀事業を実施したことは,憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項,19条,20条3項,89条,92条,99条等に違反した違憲・違法なものであるから,これらに係る費用を東京都の公金から支出したことも違憲・違法なものであるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号(ただし,平成14年法律第4号による改正前のもの)に基づき,当時,東京都知事,東京都総務局長,東京都財務局長,東京都清掃局長及び東 ・違法なものであるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号(ただし,平成14年法律第4号による改正前のもの)に基づき,当時,東京都知事,東京都総務局長,東京都財務局長,東京都清掃局長及び東京都交通局長の職にあった者らを被告として,東京都に代位して,損害賠償を求めている事案である。 (以下,東京都知事を「知事」といい,東京都総務局,東京都財務局,東京都清掃局及び東京都交通局をそれぞれ「総務局」,「財務局」,「清掃局」,「交通局」という。) 1 前提となる事実(これらの事実はいずれも当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告ら原告らは,東京都の住民である。 イ被告ら平成5年5月ないし10月当時(以下,平成5年中の年月日は,月日のみで表記する。),被告A(以下「被告A」という。)は知事の職に,被告B(以下「被告B」という。)は総務局長の職に,被告C(以下「被告C」という。)は財務局長の職に,被告D(以下「被告D」という。)は清掃局長の職に,被告E(以下「被告E」という。)は交通局長の職にそれぞれあった者である。 なお,交通局は,地方公営企業法に基づく,軌道事業,自動車運送事業,鉄道事業及び電気事業を経営する地方公営企業である。 (2) 皇太子の結婚と東京都の関与ア結婚の儀及び宮中饗宴の儀への参列被告Aは,宮内庁長官の案内を受け,6月9日,知事として,皇太子の結婚(以下「本件結婚」という。)に係る結婚の儀(以下「本件結婚の儀」という。)に,同月15日,本件結婚に係る宮中饗宴の儀(以下「本件宮中饗宴の儀」という。)にそれぞれ参列した(以下,知事である被告Aによる本件結婚の儀への参列を「本件参列」という。)。 被告Aは,本件参列に際し,知事公館と皇居の往復に知事専用庁有車を使用した。 イ祝賀パレード沿道への仮設便所の設置a (以下,知事である被告Aによる本件結婚の儀への参列を「本件参列」という。)。 被告Aは,本件参列に際し,知事公館と皇居の往復に知事専用庁有車を使用した。 イ祝賀パレード沿道への仮設便所の設置a 皇太子御婚儀委員会委員である宮内庁式部副長は,4月28日,東京都副知事に対し,本件結婚の儀終了後に行われる皇太子夫妻の自動車列による還啓(以下「本件祝賀パレード」という。)に際し,その沿道(皇居から東宮仮御所までの間の約4・2キロメートルの区間)に,仮設便所を設置及び管理するよう依頼した。 b 東京都は,6月9日,本件祝賀パレード沿道の19か所に,合計85台の仮設便所を設置した(以下,この仮設便所を「本件仮設便所」といい,東京都による本件仮設便所の設置を「本件仮設便所設置」という。)。 ウ各祝賀事業の実施東京都は,本件結婚に祝意を表する目的で,以下の各祝賀事業を実施した(以下,この各祝賀事業を「本件各祝賀事業」といい,東京都による本件各祝賀事業の実施を「本件各祝賀事業実施」という。)。 a 記念式典東京都は,6月21日午前10時から午前11時まで,皇太子夫妻を招いて,知事,東京都議会議長(以下「議長」という。)のほか,特別招待者,一般招待者及び職員等の約9200名の出席のもとに,東京都渋谷区千駄ヶ谷所在の東京体育館において,「皇太子殿下御結婚祝賀記念式典」(以下「本件記念式典」という。)を実施した。 本件記念式典は,「君が代」演奏,知事,議長及び出席者代表の祝辞,皇太子のお言葉,皇太子夫妻への花束贈呈の後,警視庁・東京消防庁音楽隊及び東京都交響楽団の演奏をもって閉会とするものであった。 b 銀器の献上東京都は,本件結婚を祝して,「皇太子徳仁親王殿下の御結婚を祝するために贈与される物品の譲受けに関する基準」(4月28日付け閣議決定)に基づ の演奏をもって閉会とするものであった。 b 銀器の献上東京都は,本件結婚を祝して,「皇太子徳仁親王殿下の御結婚を祝するために贈与される物品の譲受けに関する基準」(4月28日付け閣議決定)に基づき,東京都指定伝統工芸品である東京銀器「双祥鶴」置物一式(以下「本件銀器」という。)を購入し,7月,これを皇太子夫妻に献上した。 c 都庁舎のライトアップ東京都は,本件結婚を祝して,6月7日から同月9日の午後7時から午後9時までの間,都庁舎のライトアップ(以下「本件ライトアップ」という。)を行った。 d 記念乗車券の発行交通局は,本件結婚を記念して,6月9日から7月8日までの間のいずれか一日に限り,都電,都バス及び都営地下鉄に何度でも乗車できる「皇太子殿下御成婚記念都電・都バス・都営地下鉄一日乗車券」(大人650円)(以下「本件記念乗車券」という。)1万1000部を発行した。 (3) 予備費の充当財務局長である被告Cは,総務局長である被告Bからの請求に基づき,5月21日,本件記念式典の実施に要する費用5400万円及び本件銀器の購入に要する費用100万円を予備費から充当し,6月16日,本件記念式典の変更に伴う費用1722万3000円を予備費から追加充当した。 (4) 公金の支出ア本件参列に係る公金の支出a 東京都は,7月15日,結婚の儀当日(「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律」(平成5年法律第32号)により休日とされた。)に知事専用庁有車の運転に従事した職員に対し,休日給を支出した(以下「本件支出①」という。)。 b 本件支出①を含む7月15日支給に係る職員の給与総額については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局人事部制度企画室人事システム担当課長が,7月7日,支出命令を行った。 イ本件仮設便所設置に係る公金の支 含む7月15日支給に係る職員の給与総額については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局人事部制度企画室人事システム担当課長が,7月7日,支出命令を行った。 イ本件仮設便所設置に係る公金の支出a 東京都は,7月2日,本件仮設便所の借上費用として,94万5540円を支出した(以下「本件支出②」という。)。 b 本件支出②については,知事である被告Aから権限の委任を受けた清掃局長である被告Dが,5月28日,同局総務部経理課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,6月24日,支出命令を行った。 ウ本件各祝賀事業実施に係る公金の支出a 本件記念式典実施に係る公金の支出(a) 記念品(一輪挿し)購入に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,7月19日,本件記念式典招待者への記念品9500組(当初注文6000組,追加注文3500組)の購入費用として,1614万5250円を支出した(以下「本件支出③」という。)。 Ⅱⅰ 本件支出③のうち当初注文6000組分に係る1019万7000円については,知事である被告Aが,6月1日,財務局経理部長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,7月12日,支出命令を行った。 ⅱ 本件支出③のうち追加注文3500組分に係る594万8250円については,知事である被告Aが,6月17日,財務局経理部契約第二課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,7月12日,支出命令を行った。 (b) 招待状等印刷に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月12日,招待者への招待状,御留意願いたい事項,東京体育館案内図,封筒及び出欠返信用葉書各1万枚の印刷費用(郵便葉書代を含む。)として,96万5 (b) 招待状等印刷に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月12日,招待者への招待状,御留意願いたい事項,東京体育館案内図,封筒及び出欠返信用葉書各1万枚の印刷費用(郵便葉書代を含む。)として,96万5000円を支出した(以下「本件支出④」という。)。 Ⅱ 本件支出④については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,5月21日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,8月4日,支出命令を行った。 (c) 招待者検索システムデータ入力に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月18日,本件記念式典招待者9781名分の検索システムデータ入力の委託費用として,97万8100円を支出した(以下「本件支出⑤」という。)。 Ⅱ 本件支出⑤については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,5月21日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,8月10日,支出命令を行った。 (d) 招待状送付用封筒宛名筆耕に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月24日,本件記念式典招待者9781名分の招待状送付用封筒の宛名筆耕の委託費用として,98万7881円を支出した(以下「本件支出⑥」という。)。 Ⅱ 本件支出⑥については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,5月21日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月28日,支出命令を行った。 (e) 企画及び実施に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,10月22日,本件記念式典の企画及び実施の委託費用として,4227万円を支出した(以下「本件支出⑦」という。)。 Ⅱ 本件支出⑦については,知事である被 企画及び実施に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,10月22日,本件記念式典の企画及び実施の委託費用として,4227万円を支出した(以下「本件支出⑦」という。)。 Ⅱ 本件支出⑦については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,5月31日及び6月17日,同局総務部長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同部総務課長が,10月13日,支出命令を行った。 (f) 体育館使用に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,6月14日及び同月17日,東京体育館の施設及び付属施設の使用料(同月14日使用分,同月20日及び同月21日使用分)として,186万8000円を支出した(以下「本件支出⑧」という。)。 Ⅱⅰ 本件支出⑧のうち6月14日使用分に係る1万6000円については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,同日,資金前渡請求及び支出命令を行って前渡金の交付を受け,支出負担行為及び支払を行ったうえで,精算額零円とする清算手続を行った。 ⅱ 本件支出⑧のうち6月20日及び同月21日使用分に係る185万2000円については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,同月16日,資金前渡請求及び支出命令を行って,同月17日,前渡金の交付を受け,支出負担行為及び支払を行ったうえで,同月18日,精算額零円とする清算手続を行った。 (g) 通知用葉書印刷に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月16日,出席予定者への通知用葉書8000枚の印刷費用(郵便葉書代を含む。)として,40万4000円を支出した(以下「本件支出⑨」という。)。 Ⅱ 本件支出⑨については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月15日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事 出した(以下「本件支出⑨」という。)。 Ⅱ 本件支出⑨については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月15日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,8月4日,支出命令を行った。 (h) 通知用葉書宛名筆耕に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月24日,出席予定者8000名分の通知用葉書の宛名筆耕の委託費用として,79万2000円を支出した(以下「本件支出⑩」という。)。 Ⅱ 本件支出⑩については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月16日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月28日,支出命令を行った。 (i) 音楽演奏に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月3日,本件記念式典における音楽演奏の委託費用として,350万円を支出した(以下「本件支出⑪」という。)。 Ⅱ 本件支出⑪については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月18日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月27日,支出命令を行った。 (j) 挨拶文筆耕に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,7月29日,知事及び議長の祝辞筆耕の委託費用として, 5万円を支出した(以下「本件支出⑫」という。)。 Ⅱ 本件支出⑫については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月17日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月22日,支出命令を行った。 (k) 大型映像装置運営に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月26日,本件記念式典における大型映像装置 出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月22日,支出命令を行った。 (k) 大型映像装置運営に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月26日,本件記念式典における大型映像装置の運営の委託費用として,96万6000円を支出した(以下「本件支出⑬」という。)。 Ⅱ 本件支出⑬については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月18日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,8月19日,支出命令を行った。 (l) 出席者データ入力に係る公金の支出Ⅰ 東京都は,8月16日,本件記念式典出席者7615名分のデータ入力の委託費用として,36万5520円を支出した(以下「本件支出⑭」という。)。 Ⅱ 本件支出⑭については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,7月9日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,8月10日,支出命令を行った。 (m) 職員に対する超過勤務手当に係る支出Ⅰ 東京都は,7月15日,本件記念式典の事務に従事した職員に対し,超過勤務手当を支出した(以下「本件支出⑮」という。)。 Ⅱ 本件支出⑮を含む7月15日支給に係る職員の給与総額については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局人事部制度企画室人事システム担当課長が,7月7日,支出命令を行った。 (n) 職員に対する旅費に係る支出Ⅰ 東京都は,7月23日,本件記念式典の事務に従事した職員に対し,旅費を支出した(以下「本件支出⑯」という。)。 Ⅱ 本件支出⑯を含む7月23日支給に係る職員の旅費総額については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,7月12日,支出 し,旅費を支出した(以下「本件支出⑯」という。)。 Ⅱ 本件支出⑯を含む7月23日支給に係る職員の旅費総額については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局総務部総務課長が,7月12日,支出命令を行った。 b 本件銀器献上に係る公金の支出(a) 東京都は,8月4日,本件銀器の購入費用として,94万7600円を支出した(以下「本件支出⑰」という。)。 (b) 本件支出⑰については,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月15日,同局総務部総務課長の補助執行により支出負担行為を行い,知事である被告Aから権限の委任を受けた同課長が,7月20日,支出命令を行った。 c 本件ライトアップに係る公金の支出(a) 東京都は,7月15日,本件ライトアップに係る電気料金を支出した(以下「本件支出⑱」という。)。 (b) 本件支出⑱を含む本庁舎6月分の電気料金については,知事である被告Aから権限の委任を受けた財務局経理部総務課長が,7月8日,支出命令を行った。 d 本件記念乗車券発行に係る公金の支出(a) 交通局は,6月23日,本件記念乗車券の制作費用として,396万5500円を支出した(以下「本件支出⑲」といい,本件支出①ないし⑲を併せて「本件各支出」という。)。 (b) 本件支出⑲については,交通局長である被告Eが,4月19日,同局総務部広報課長の補助執行により支出負担行為を行い,6月23日,同局経理部長が,支出を行った。 (5) 監査請求原告らは,平成6年6月8日,東京都監査委員に対し,本件仮設便所設置,本件各祝賀事業実施等は違法・不当な行為であると主張して,住民監査請求を行ったところ,同監査委員は,同年8月5日,原告らの請求には理由がない旨の決定をした。 2 当事者の主張(原告らの主張)(1) 本訴請求の対象とする財務会 不当な行為であると主張して,住民監査請求を行ったところ,同監査委員は,同年8月5日,原告らの請求には理由がない旨の決定をした。 2 当事者の主張(原告らの主張)(1) 本訴請求の対象とする財務会計行為原告らは,以下の各財務会計行為を本訴請求の対象とするものである。 ア本件支出①・⑮・⑯・⑱に係る支出命令イ本件支出②ないし⑦・⑨ないし⑭・⑰に係る支出負担行為,支出負担行為の事案決定及び支出命令なお,本件支出③については,総務局長である被告Bが,東京都契約事務の委任等に関する規則(昭和39年規則第130号。ただし,平成6年規則第42号による改正前のもの。)21条1項に基づき,同局総務部長の補助執行により財務局長に契約締結請求を行い(甲54の1,55の1),これを受けて,財務局長である被告Cが,同規則25条1項に基づき,同局経理部長又は同部契約第二課長の補助執行により契約締結を行ったものであるから,総務局総務部長並びに財務局経理部長及び同部契約第二課長が,支出負担行為の補助執行(事案決定)を行ったというべきである。 ウ本件支出⑧に係る支出命令,支出負担行為,契約の相手方への支払(以下「支払」という。)及び出納長に対する精算(以下「精算」という。)エ本件支出⑲に係る支出負担行為,支出負担行為の専決,支出及び支出の専決(2) 財務会計行為の違法性ア本件結婚の違憲・違法性a 本件結婚は,相手の家柄や血筋という「門地」が取りざたされ,新聞の一面トップ記事に「小和田家系図」が掲載されるなど,法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反し,その態様は,両性の合意のみに基づく婚姻を定めた憲法24条1項に違反する違憲・違法なものである。 また,結婚儀式の多くは,皇室神道にのっとった明白な宗教儀式であり,特に,本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は, 両性の合意のみに基づく婚姻を定めた憲法24条1項に違反する違憲・違法なものである。 また,結婚儀式の多くは,皇室神道にのっとった明白な宗教儀式であり,特に,本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は,法的根拠なく国事行為として行われたものであるから,国民主権を定めた憲法前文及び1条,政教分離原則を定めた憲法20条3項並びに公の財産の支出・利用を制限した憲法89条に違反する違法なものである。 b このように,本件結婚は,それ自体が違憲・違法なものであるから,これを祝する本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,国民主権を定めた憲法前文及び1条,法の下の平等を定めた憲法14条1項並びに法令違反の事務処理を禁じた地方自治法(ただし,平成9年法律第74号による改正前のもの。以下同じ。)2条15項前段に違反する違憲・違法な行為である。 イ本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施の違憲・違法性a 皇室典範は,皇太子を「皇位継承の第一順位者」と規定しているが,国民主権を定めた憲法前文及び1条並びに法の下の平等・貴族の禁止を定めた憲法14条1項・2項の趣旨にかんがみれば,天皇・皇族に関する例外的扱いは,法律に具体的規定のある範囲に限定すべきであるから,皇太子といえども,その結婚は私事にすぎないというべきである。 しかるに,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,天皇家の第一子である皇太子の結婚をその他の都民の結婚と差別して,皇太子を特別扱い・「貴族」扱いする一方,主権者である都民を「平民」扱いし,歴史に逆行して再び上下の身分関係を作り出し,様々な差別を温存・助長するものであるから,国民主権を定めた憲法前文及び1条,法の下の平等・貴族の禁止を定めた憲法14条1項・2項並びに全体の奉仕者たる公務員の本質を定めた憲法15条2項に違反する ,様々な差別を温存・助長するものであるから,国民主権を定めた憲法前文及び1条,法の下の平等・貴族の禁止を定めた憲法14条1項・2項並びに全体の奉仕者たる公務員の本質を定めた憲法15条2項に違反する違憲・違法な行為である。 b 本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,地方自治の本旨に反し,地方公共団体が処理すべき業務を大きく逸脱し,地方自治体を私物化するものであるから,地方自治の本旨の確保を定めた憲法92条,地方自治法の精神及び地方公共団体の処理する事務を定めた地方自治法2条2項・3項・6項,地方自治の本旨に基づいて法令の規定を解釈・運用するよう定めた同条12項前段,事務処理に当たって住民の福祉の増進に努めるよう定めた同条13項及び法令違反の事務処理を禁じた同条15項前段に違反する違憲・違法な行為である。 c 公務員である被告らは,緊張感を持って「国民主権原理」に基づいた法運用を行い,天皇・皇族に関する例外的扱いは,法律に具体的規定のある範囲に限定すべきであったにもかかわらず,本件各祝賀事業の実施に当たり,その法的な問題や反対意見の検討を怠ったものであるから,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,全体の奉仕者たる公務員の本質を定めた憲法15条2項及び憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条に違反する違憲・違法な行為である。 d 本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,都民の合意がないものであり,本件結婚を祝いたくない人や,無関心でいたい人をも,否応なく祝賀環境に巻き込み,その意に反して祝賀を強要するものであるから,思想・良心の自由の不可侵を定めた憲法19条に違反する違憲・違法な行為である。 なお,思想・良心の自由の侵害とは,本件結婚を祝いたくない人を無理矢理本件記念式典に動員するというような直接的な侵害行為のみ 良心の自由の不可侵を定めた憲法19条に違反する違憲・違法な行為である。 なお,思想・良心の自由の侵害とは,本件結婚を祝いたくない人を無理矢理本件記念式典に動員するというような直接的な侵害行為のみならず,被告Aが,本件記念式典において,「私たち都民の等しく待ち望んでいました,盛大な御婚儀を挙げられました。」と挨拶することにより,違法な本件結婚に反対する原告らまでもが本件結婚を待ち望んでいたかのような誤った印象が振りまかれ,本件記念式典の出席者に誤解を与えるというような間接的な侵害行為をも含むものである。 ウ本件各支出に係る財務会計行為の違憲・違法性本件各支出に係る財務会計行為は,以下のとおり違憲・違法である(なお,原告らは,本件各支出に係る財務会計行為について,単に東京都という地方公共団体の対外的関係において違憲・違法であると主張するだけでなく,当該職員と地方公共団体との間の内部関係においても違憲・違法であると主張するものである。)。 a 本件支出①に係る財務会計行為について(a) 本件参列及びそれに伴う財務会計行為(本件支出①に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 本件参列及びそれに伴う財務会計行為(本件支出①に係る財務会計行為)は,政教分離原則を定めた憲法20条3項,執行機関の誠実執行義務を定めた地方自治法138条の2及び知事が行うべき担任事務を定めた同法149条に違反し違憲・違法である。 b 本件支出②に係る財務会計行為について(a) 本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為(本件支出②に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 本件祝賀パレード沿道には,既設の公衆便所や地下鉄の駅の公衆便所等が多数存在し,更なる仮設便所の設置は,必要のない行為であり,その公金支出は全くの は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 本件祝賀パレード沿道には,既設の公衆便所や地下鉄の駅の公衆便所等が多数存在し,更なる仮設便所の設置は,必要のない行為であり,その公金支出は全くの無駄遣いというべきであるから,本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為(本件支出②に係る財務会計行為)は,最少の経費で最大の効果を挙げるよう定めた地方自治法2条13項及び計画性の原則を定めた東京都予算事務規則(昭和40年3月31日規則第83号。ただし,平成7年規則第162号による改正前のもの。 以下「予算事務規則」という。)2条に違反し違法である。 c 本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為について(a) 本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為(本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 「東京都予算事務規則の施行について」(昭和40年4月1日副知事依命通達40財主調発第9号。以下「予算事務規則通達」という。)第三・八(一)は,予備費は,予見しがたい予算外または予算超過の支出に充てるためのものであり,真に緊急やむをえない場合にのみこれを充当しうるものである旨規定し,予算事務規則21条1項及び2項は,局長は,予備費の充当を必要とするときは,事業計画その他参考となる資料を付して,予備費充当請求書を財務局長に提出し,財務局長は,これを審査のうえ予備費を充当しなければならない旨規定している。 しかるに,東京都は,1月19日の本件結婚発表後,3月19日に本件各祝賀事業を行う内部決定をしたもので,補正予算を調製する十分な期間があったにもかかわらず,これを怠り,何ら資料を付さない請求に基づいて,本件記念式典実施に係る費用を予備費から充当したのであるから,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為(本件支出③ないし⑯ 期間があったにもかかわらず,これを怠り,何ら資料を付さない請求に基づいて,本件記念式典実施に係る費用を予備費から充当したのであるから,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為(本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為)は,予備費の充当について定めた予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反し違法である。 (c) 東京都は,本件記念式典出席予定者の増加を理由として,その実施に係る費用を1722万3000円増加するとともに,本件記念式典の企画及び実施の委託内容の変更,記念品(一輪挿し)の追加購入,通知用葉書の印刷,通知用葉書の宛名筆耕委託を行ったのであるから,本件支出③・⑦・⑨・⑩に係る財務会計行為は,計画性の原則を定めた予算事務規則2条に違反し違法である。 d 本件支出⑰に係る財務会計行為について(a) 本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 上記c(b)と同様に,東京都は,補正予算の調製を怠り,何ら資料を付さない請求に基づいて,本件銀器献上に係る費用を予備費から充当したのであるから,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反し違法である。 (c) 本件銀器の形状は,つがいの鶴であり,雄が雌より高所にいる配置,雌より大きい雄,翼を広げた雄と翼を閉じて寄り添う雌の態様等から見て,結婚における男性優位思想をモチーフにしたもので,性差別を助長するものであるから,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,両性の本質的平等を定めた憲法24条に違反し違憲・違法である。 (d) 東京都は,平成2年の天皇即位に際し,東京銀器「吉 から,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,両性の本質的平等を定めた憲法24条に違反し違憲・違法である。 (d) 東京都は,平成2年の天皇即位に際し,東京銀器「吉鶴」置物一式を天皇に贈っているところ,本件結婚に際しても,東京美術銀器工業協同組合(本件組合)との特命随意契約によって本件銀器を購入し,皇太子に贈ったことは,特定の組合を利する不当な行為であるから,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,地方自治法施行令167条の2に違反し違法である。 (e) 地方公共団体の寄附行為には,公益上の必要が認められなければならないところ,私的行事である結婚に際して祝品を贈る行為に何ら公益上の必要は認められないから,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,地方公共団体の寄附行為について定めた地方自治法232条の2に違反し違法である。 e 本件支出⑱に係る財務会計行為について(a) 本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑱に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 (b) 本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑱に係る財務会計行為)は,当初予算に組み込まれていない電気料金の支出であり,そのために平成5年度は当初の見積もりに反して約1500万円の電気料金の不足が生じたから,総計予算主義の原則を定めた地方自治法210条及び計画性の原則を定めた予算事務規則2条に違反し違法である。 f 本件支出⑲に係る財務会計行為について本件記念乗車券発行及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑲に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 エ被告らの主張に対する反論と予備的主張a 被告らは,東京都内に皇居があるこ 本件記念乗車券発行及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑲に係る財務会計行為)は,上記ア及びイのとおり違憲・違法である。 エ被告らの主張に対する反論と予備的主張a 被告らは,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の出席が多いこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,本件記念式典を実施し,本件銀器を献上したものであり,その規模・内容は,東京都の財政規模等諸般の事情に照らし,社会通念上相当であり,社交儀礼に基づく相当な行為であると主張する。 しかしながら,皇太子についてのみ居住関係を理由として記念式典を実施し,祝品を贈るのは不当であること,皇室と東京都が特に密接な関係にあるとは認められないこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったという根拠に乏しいこと,被告らにおいて東京都の財政規模と社会通念上相当と認められる額の客観的基準を明らかにしないこと,本件記念式典実施に係る費用が,平成2年の天皇即位祝賀式典実施に係る費用の約2・6倍であること,本件銀器購入に係る費用が,天皇即位祝品購入に係る費用と同様100万円前後であること等の事情にかんがみれば,本件記念式典実施及び本件銀器献上は,いずれも社会通念を逸脱したもので,社交儀礼に基づく相当な行為であるということはできない。 b また,仮に,本件結婚を祝して事業を実施すること等が社交儀礼として許容されるとしても,その費用は,知事等の交際費支出要領(総知第905号平成元年4月1日知事決定。甲170。以下「交際費支出要領」という。)の規定に基づき,交際費から,下限1万円,上限5万円の範囲内で支出すべきであったから,本件各支出に係る財務会計行為は,交際費支出要領の規定に違反し違法である。 (3) 被告らの責任被告らは,本件各支出に係る違法な財務会計行為について,以下のと 万円の範囲内で支出すべきであったから,本件各支出に係る財務会計行為は,交際費支出要領の規定に違反し違法である。 (3) 被告らの責任被告らは,本件各支出に係る違法な財務会計行為について,以下のとおり責任を負うものである。 ア被告Aの責任知事である被告Aは,本来的権限者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき義務があった。 しかるに,被告Aは,本件支出①ないし⑱に係る財務会計行為が違法であることを認識しながら,違法な財務会計行為(本件支出③に係る支出負担行為)を行い,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出①・⑮・⑯・⑱に係る支出命令,本件支出②・④ないし⑦・⑨ないし⑭・⑰に係る支出負担行為,支出負担行為の事案決定及び支出命令,本件支出③に係る支出負担行為の事案決定及び支出命令,本件支出⑧に係る支出命令,支出負担行為,支払及び精算)を阻止しなかったものである。 イ被告Bの責任総務局長である被告Bは,知事である被告Aから権限の委任を受けた者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,自ら職員に補助執行させた場合,及び,知事である被告Aが同局所属の職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき義務があった。 しかるに,被告Bは,本件支出①・③ないし⑰に係る財務会計行為が違法であることを認識しながら,違法な財務会計行為(本件支出④ないし⑦・⑨ないし⑭・⑰に係る支出負担行為)を行い,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出①・⑮・⑯に係る支出命令,本件支出③ないし⑦・⑨ないし⑭・⑰に係る支出負担行為の事案決定及び支出命令,本件支出⑧の支出命令,支出負担行為 支出負担行為)を行い,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出①・⑮・⑯に係る支出命令,本件支出③ないし⑦・⑨ないし⑭・⑰に係る支出負担行為の事案決定及び支出命令,本件支出⑧の支出命令,支出負担行為,支払及び精算)を阻止しなかったものである。 ウ被告Cの責任財務局長である被告Cは,知事である被告Aから権限の委任を受けた者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,自ら職員に補助執行させた場合,及び,知事である被告Aが同局所属の職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき義務があった。 しかるに,被告Cは,本件支出③・⑱に係る財務会計行為が違法であることを認識しながら,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出③に係る支出負担行為の事案決定,本件支出⑱に係る支出命令)を阻止しなかったものである。 エ被告Dの責任清掃局長である被告Dは,知事である被告Aから権限の委任を受けた者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,自ら職員に補助執行させた場合,及び,知事である被告Aが同局所属の職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき義務があった。 しかるに,被告Dは,本件支出②に係る財務会計行為が違法であることを認識しながら,違法な財務会計行為(本件支出②に係る支出負担行為)を行い,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出②に係る支出負担行為の事案決定及び支出命令)を阻止しなかったものである。 オ被告Eの責任交通局長である被告Eは,本来的権限者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき 交通局長である被告Eは,本来的権限者として,違法な財務会計行為を行ってはならない義務があり,職員に権限を委任し又は補助執行させた場合には,当該職員を指揮監督して,その違法な財務会計行為を阻止すべき義務があった。 しかるに,被告Eは,本件支出⑲に係る財務会計行為が違法であることを認識しながら,違法な財務会計行為(本件支出⑲に係る支出負担行為及び支出)を行い,当該職員の違法な財務会計行為(本件支出⑲に係る支出負担行為の専決及び支出の専決)を阻止しなかったものである。 (4) 損害東京都は,以下のとおり,本件各支出により,合計7518万3417円を下らない額の損害を被った。 ア本件支出①(職員に対する休日給) 4304円を下らない額上記損害額は,平成5年度東京都一般行政職Ⅲ類職員の初任給を基礎として算定した超過勤務1時間当たりの単価1076円に,本件結婚の儀当日の勤務時間4時間を乗じた金額である。 イ本件支出②(本件仮設便所借上費用) 94万5540円ウ本件支出③(記念品購入費用) 1614万5250円エ本件支出④(招待状等印刷費用) 96万5000円オ本件支出⑤(招待者検索システムデータ入力委託費用)  97万8100円カ本件支出⑥(招待状送付用封筒宛名筆耕委託費用) 98万7881円キ本件支出⑦(本件記念式典企画及び実施委託費用) 4227万0000円ク本件支出⑧(体育館使用料) 186万8000円ケ本件支出⑨(通知用葉書印刷費用) 40万4000円コ本件支出⑩(通知用葉書宛名筆耕委託費用) 79万2000円サ本件支出⑪(音楽演奏委託費用) 350万000 書印刷費用) 40万4000円コ本件支出⑩(通知用葉書宛名筆耕委託費用) 79万2000円サ本件支出⑪(音楽演奏委託費用) 350万0000円シ本件支出⑫(挨拶文筆耕委託費用) 5万0000円ス本件支出⑬(大型映像装置運営委託費用) 96万6000円セ本件支出⑭(出席者データ入力委託費用) 36万5520円ソ本件支出⑮(職員に対する超過勤務手当) 4182円を下らない額上記損害額は,総務局総務部総務課所属職員の平成5年6月分超過勤務等命令簿(甲72の1)の記載に基づいて算定した,当該職員の本件記念式典当日の超過勤務手当の金額である。 タ本件支出⑯(職員に対する旅費) 740円を下らない額上記損害額は,総務局総務部総務課所属職員の平成5年6月分旅行命令簿(兼旅費請求内訳書)(甲73の1)に記載された,当該職員の本件記念式典当日の交通実費及び日当の合計額である。 チ本件支出⑰(本件銀器購入費用) 94万7600円ツ本件支出⑱(本件ライトアップ電気料金) 2万3800円を下らない額上記損害額は,都庁舎ライトアップ用照明の消費電力と1kWH当たりの本庁舎電気料金を基礎として算定した都庁舎ライトアップ1時間当たりの税込み電気料金3970円に,6月7日から同月9日のライトアップ時間6時間を乗じた金額である。 テ本件支出⑲(本件記念乗車券制作費用) 396万5500円(5) まとめよって,原告らは,東京都に代位して,ア被告Aが,東京都に対し,7121万7917円(本件支出①ないし⑱による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月20日から支払済みまで年5 ) まとめよって,原告らは,東京都に代位して,ア被告Aが,東京都に対し,7121万7917円(本件支出①ないし⑱による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うこと,イ被告Bが,東京都に対し,7024万8577円(本件支出①・③ないし⑰による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うこと,ウ被告Cが,東京都に対し,1616万9050円(本件③・⑱による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うこと,エ被告Dが,東京都に対し,94万5540円(本件支出②による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うこと,オ被告Eが,東京都に対し,396万5500円(本件支出⑲による損害)及び訴状送達の日の翌日である平成7年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うことを求める。 (被告らの主張)(1) 財務会計行為の違法性についてア本件結婚の違憲・違法性についてa 原告らは,本件結婚は,相手の家柄や血筋が取りざたされるなど,憲法14条1項に違反し,その態様は,憲法24条1項に違反すると主張する。 しかし,憲法は,相対的平等を保障したものであり,合理的な区別を許さないものではないところ,第一順位の皇位継承者である皇太子について,特殊な公的地位を認めることを予定しているものと解されるし,本件結婚は,皇太子夫妻の自由な意思によって決定されたものと認められる。 したがって,本件結婚は,平等原則(憲法14条1項)及び婚姻における両性の平等(憲法24条1項)に違反するものではない。 b 原告らは,結婚儀式の多くは 由な意思によって決定されたものと認められる。 したがって,本件結婚は,平等原則(憲法14条1項)及び婚姻における両性の平等(憲法24条1項)に違反するものではない。 b 原告らは,結婚儀式の多くは,明白な宗教儀式であり,特に,本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は,法的根拠なく国事行為として行われたものであるから,憲法前文,1条,20条3項及び89条に違反すると主張する。 (a) 天皇は,国事行為として国家的儀式を主宰することができるが,皇室典範がすべての国家的儀式を網羅していると考えることは不合理であるから,国事行為としての国家的儀式には,皇室典範に定めるもの(即位の礼,大喪の礼)のほか,社会通念上国家的儀式とするにふさわしいものや,国家的祭日や記念日の式典で天皇が主宰するにふさわしいものも含まれると解すべきである。 そして,結婚は一般に私事であるが,第一順位の皇位継承者である皇太子の結婚は,国民の関心が高く,国民が久しく待ち望んでいたもので,国民的慶賀の対象であるから,本件結婚の儀等は,社会通念上国家的儀式とするにふさわしいものというべきである。 したがって,国事行為として本件結婚の儀等を行うことは,違憲・違法となるものではない。 (b) 国民主権とは,国政の在り方を最終的に決める権力あるいは権威が国民に存するという建前・理念であるところ,天皇の地位は,主権の存する国民の総意に基づくものであるから,国民主権と両立するものであり,第一順位の皇位継承者である皇太子の地位は,このような天皇の地位と密接に結び付いたものである。 また,本件結婚の儀等は,国政の在り方に何ら影響を与えるものではない。 したがって,本件結婚の儀等は,国民主権原理(憲法前文及び1条)に違反するものではない。 (c) 本件結婚の儀は,6月9日午前10時から約30分間,宮中三殿の の在り方に何ら影響を与えるものではない。 したがって,本件結婚の儀等は,国民主権原理(憲法前文及び1条)に違反するものではない。 (c) 本件結婚の儀は,6月9日午前10時から約30分間,宮中三殿の賢所で三権の長ほか約800名が前庭に参列して行われた。その式次第は,概ね「皇太子が束帯,皇太子妃が一二単の衣装を付け,両名は賢所の回廊から内陣に進んで着席,皇太子が掌典長から玉串を受け取り,三種の神器の一つの鏡が祭られた内々陣に向かって,これを捧げ,礼拝を4回繰り返し,皇太子妃は座ったままお辞儀をする。拝礼の後,皇太子が「今後は互いに親しみ変わりのないことを誓い,神の加護を祈る」という趣旨の結婚を誓う告文を読み上げ,両名は外陣に移り,掌典長の注ぐ御神酒を口にして拝礼して退出する。この前後に雅楽歌が歌われる。」というものであり,世間一般に行われている神前結婚式とあまり異ならず,婚姻の誓いを神前の儀式の形式を借りて行ったものに近いというべきであるから,国と宗教とのかかわり合いは,ほとんどないということができる。仮に,本件結婚の儀と皇室神道とのかかわり合いが否定できないとしても,その目的は,第一順位の皇位継承者である皇太子の結婚を国民と共に祝うことであり,その効果は,皇太子の結婚を祝う以上に特定の宗教を援助,助長,促進するような効果をもたらすものではない。 また,本件宮中饗宴の儀は,世間一般の結婚披露宴に該当するものであり,特に宗教性を見出すことはできない。 したがって,本件結婚の儀等は,政教分離原則(憲法20条3項)及び公金の支出の制限(憲法89条)に違反するものではない。 イ本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施の違憲・違法性について原告らは,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,憲法前文,1条,14条1項・2項,15 するものではない。 イ本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施の違憲・違法性について原告らは,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項,19条,92条,地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15項前段)等に違反すると主張する。 a 憲法は,第一順位の皇位継承者である皇太子について,特殊な公的地位を認めることを予定しているものと解されるし,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業は,国政の在り方に何ら影響を与えるものではない。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,国民主権原理(憲法前文及び1条)に違反するものではない。 b 憲法は,相対的平等を保障したものであり,合理的な区別を許さないものではないところ,第一順位の皇位継承者である皇太子について,特殊な公的地位を認めることを予定しているものと解される。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,平等原則(憲法14条1項)及び貴族制度の禁止(憲法14条2項)に違反するものではない。 c 公務員がその地位にふさわしい社交儀礼を尽くすことは,何ら違法でないばかりか,公共の利益という観点からも公務員に要請されている職務であると解すべきところ,本件参列及び本件各祝賀事業は,第一順位の皇位継承者である皇太子の結婚を祝し,社交儀礼として行われたものである。 また,本件仮設便所設置は,多数の国民ないし都民が本件祝賀パレード沿道に参集することが見込まれたため,沿道周辺の清潔保持及び環境保全を目的として行われたものである。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,公務員の本質としての全体の奉仕者性(憲法15条2項)に違反するものではない。 の清潔保持及び環境保全を目的として行われたものである。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,公務員の本質としての全体の奉仕者性(憲法15条2項)に違反するものではない。 d 普通地方公共団体は,地方自治の本旨に反しない限り,社会的活動体として,従来の慣例,当該地方公共団体の財政規模等に照らし相当と認められる範囲内において,祝賀,記念行事,顕彰式典等を行い得るものであるところ,本件参列及び本件各祝賀事業実施は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等にかんがみて社会通念上相当と認められる。 また,本件仮設便所設置は,多数の国民ないし都民が本件祝賀パレード沿道に参集することが見込まれたため,沿道周辺の清潔保持及び環境保全を目的として行われたものであり,本件記念乗車券発行は,本件結婚を記念するとともに,交通局のPR及び増収を目的として行われたものである。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,憲法92条又は地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段)に違反するものではない。 e 憲法19条の規定は,①ある思想・良心を持つことを強要したり禁止したりすることが許されないこと,②ある思想・良心を持つこと又は持たないことを理由として不利益を課してはならないこと,③思想・良心の告白を強要してはならないことを規定しているが,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,都民に祝意や特定の思想の表明を強要したものではないし,反対意見を有する者に不利益を課したものでも,思想・良心の告白を強要したものでもない。 した 件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,都民に祝意や特定の思想の表明を強要したものではないし,反対意見を有する者に不利益を課したものでも,思想・良心の告白を強要したものでもない。 したがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,思想・良心の自由(憲法19条)を侵害するものではない。 f 以上のとおり,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は,何ら憲法に違反するものではないから,憲法尊重擁護義務(憲法99条)に違反するものでもない。 ウ本件各支出に係る財務会計行為の違憲・違法性についてa 上記ア及びイのとおり,本件結婚,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施は違憲・違法ではないから,これらが違憲・違法であることを根拠として本件各支出に係る財務会計行為が違憲・違法であるとする原告らの主張は,理由がない。 b 本件支出①に係る財務会計行為について原告らは,本件参列及びそれに伴う財務会計行為(本件支出①に係る財務会計行為)は,憲法20条3項,地方自治法138条の2及び149条に違反すると主張する。 しかし,本件参列は,適法な儀式への参列であるし,その目的は,本件結婚に祝意を表するという専ら社会的慣習に従った世俗的なものであり,その効果は,本件結婚に祝意を表するという以上に特定の宗教を援助,助長,促進又は圧迫,干渉を加えるものではない。 したがって,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,憲法20条3項,地方自治法138条の2及び149条に違反するものではない。 c 本件支出②に係る財務会計行為について原告らは,本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為(本件支出②に係る財務会計行為)は,地方自治法2条13項及び予算事務規則2条に違反すると主張する。 しかし,本件仮設便所は,多数の国民ないし都民が本 らは,本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為(本件支出②に係る財務会計行為)は,地方自治法2条13項及び予算事務規則2条に違反すると主張する。 しかし,本件仮設便所は,多数の国民ないし都民が本件祝賀パレード沿道に参集することが見込まれたため,沿道周辺の清潔保持及び環境保全を目的として,現地を見聞したうえで設置されたものであること,本件祝賀パレード時には,本件仮設便所のすべてが当初の予想程度に使用されたものであることからすれば,本件仮設便所設置に係る費用は,設置の必要性がある場合に適正な規模で支出されたということができる。 したがって,本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為は,同法2条13項及び同規則2条に違反するものではない。 d 本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為について(a) 原告らは,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為(本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為)は,予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反すると主張する。 しかし,東京都は,宮内庁が本件結婚を発表した時期や東京都において祝賀事業実施を決定した時期との関係から,平成5年度の当初予算に祝賀事業に係る予算を計上することができなかったこと,祝賀事業に特段の歳入がなかったこと,補正予算を編成する時間的余裕がなかったこと,祝賀事業に係る予算が東京都の財政規模からすれば少額であったことから,「予見しがたい予算外または予算超過の支出に充てるためのものであり,真に緊急やむをえない場合」(同通達第三・八(一))に該当するものとして,祝賀事業に係る費用を予備費から充当したものである。 したがって,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為は,同通達第三・八(一)及び同規則21条1項・2項に違反するものではない。 (b) 原告らは,本件支出③・⑦・ 予備費から充当したものである。 したがって,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為は,同通達第三・八(一)及び同規則21条1項・2項に違反するものではない。 (b) 原告らは,本件支出③・⑦・⑨・⑩に係る財務会計行為は,予算事務規則2条に違反すると主張する。 しかし,同条は,予算の編成・執行に当たっての一般的な基本原則を規定した訓示規定と解すべきである。 また,そうでないとしても,予算には不確定な要素が含まれるため,予算どおりにいかない場面が少なくなく,積極的に予算を増額して行政需要に対処しなければならない場面もあり得るから,予算を上回る支出が直ちに同条に違反することにはならないし,東京都は,本件記念式典の出席者が当初の予定を超えたことにより,やむを得ず費用の増額を決定したものである。 したがって,本件支出③・⑦・⑨・⑩に係る財務会計行為は,同条に違反するものではない。 e 本件支出⑰に係る財務会計行為について(a) 原告らは,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反すると主張するが,上記d(a)のとおり,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,同通達第三・八(一)及び同規則21条1項・2項に違反するものではない。 (b) 原告らは,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,憲法24条に違反すると主張する。 しかし,本件銀器の図柄には,性差別を助長するという意図はなく,結婚の御祝品としてふさわしいものという東京都の依頼に基づき,作成者が,結婚の御祝品としての相応しさや見た目の美しさといった見地から考案したものである。 また,東京都は,性差別を助長するという意図の下に本件銀器を購入したものではないし, 東京都の依頼に基づき,作成者が,結婚の御祝品としての相応しさや見た目の美しさといった見地から考案したものである。 また,東京都は,性差別を助長するという意図の下に本件銀器を購入したものではないし,本件銀器の図柄を見て性差別を助長するという印象を受ける者は,ほとんどいないと考えられる。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,同条に違反するものではない。 (c) 原告らは,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,特定の組合を利する不当な行為であると主張する。 しかし,東京都は,銀器が東京を代表する歴史と伝統のある工芸品であり,結婚の御祝品として適切で,価格も相当であること等から銀器を献上することとし,本件組合が,銀器を認定する唯一の団体であり,多くの熟練者を抱え,経験やノウハウを持った信頼できる組合であることから,同組合と随意契約を締結して本件銀器を購入したものであり,これは,随意契約の要件を定めた地方自治法施行令167条の2第1項の規定に合致するものである。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,特定の組合を利する不当な行為であるとはいえない。 (d) 原告らは,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑰に係る財務会計行為)は,公益上の必要性がない寄附行為であり,地方自治法232条の2に違反すると主張する。 しかし,公益上の必要性の有無は,当該地方公共団体の裁量にゆだねられ,裁量権の逸脱又は濫用の違法があるか否かは,寄附の目的,趣旨,相手方,金額等諸般の事情を考慮して判断すべきである。 そして,本件銀器は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件 きである。 そして,本件銀器は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,東京都が,本件結婚を祝して献上したものであり,その購入費用も,東京都の財政規模等諸般の事情に照らし,社会通念上相当であることにかんがみれば,社交儀礼として本件銀器を献上することには,公益性が認められるというべきである。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,同法232条の2に違反するものではない。 f 本件支出⑱に係る財務会計行為について原告らは,平成5年度に約1500万円の電気料金の不足が生じたことを理由として,本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為(本件支出⑱に係る財務会計行為)は,地方自治法210条及び予算事務規則2条に違反すると主張する。 しかし,都庁舎の電気料金は,夏場の気温,来庁者の数等によって変動するものであるし,本件ライトアップに係る費用は概算で2万4000円程度にすぎないから,本件ライトアップと上記不足が生じたことには何らの関係もないというべきである。 したがって,本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為は,同法210条及び同規則2条に違反するものではない。 g 予備的主張について原告らは,本件各支出に係る財務会計行為は,交際費支出要領の規定に違反すると主張する。 しかし,交際費支出要領は,一般的な慶祝,弔慰等の場合に関する規定であり,皇太子の結婚に祝意を表する事業を実施するような場合に適用されることは予定されていない。 したがって,原告らの上記主張は,主張自体失当である。 (2) 被告らの責任についてア仮に,本件各支出に係る財務会計行為が違法であるとしても,被 するような場合に適用されることは予定されていない。 したがって,原告らの上記主張は,主張自体失当である。 (2) 被告らの責任についてア仮に,本件各支出に係る財務会計行為が違法であるとしても,被告らは,故意又は重大な過失により違法な財務会計行為をした場合,又は,権限を委任したときには,受任者が違法な財務会計行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により受任者が違法な財務会計行為をすることを阻止しなかった場合に限り,損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。 イ被告Aの責任(本件支出①ないし⑱関係)についてa 知事である被告Aは,本件支出①に係る支出負担行為を行ったが,(a) 本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は4月16日付け内閣告示第1号により国の儀式として行う旨告示されたこと,(b) 被告Aは宮内庁長官の招待に応じて本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀に出席したものであること,(c) 本件結婚は国民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと等の事情に照らせば,被告Aが,その違法性を認識しないまま上記支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Aに故意又は重大な過失が存したということはできない。 b 知事である被告Aは,本件支出②ないし⑱に係る支出負担行為を総務局長である被告B,財務局長である被告C又は清掃局長である被告Dに委任したが,後記ウないしオの各事情に照らせば,委任者である被告Aにおいて,上記各支出負担行為が違法であると認識していなかったとしても無理からぬところがあり,被告Aが,指揮監督権限を行使して,被告B,被告C又は被告Dの支出負担行為を阻止しなかったことに故意・過失が存したとはいえないというべきである。 ウ被告Bの責任(本件支出③ないし⑰関係)についてa 総務局長である被告B を行使して,被告B,被告C又は被告Dの支出負担行為を阻止しなかったことに故意・過失が存したとはいえないというべきである。 ウ被告Bの責任(本件支出③ないし⑰関係)についてa 総務局長である被告Bは,知事である被告Aから権限の委任を受けて,本件支出③ないし⑯に係る支出負担行為を行ったが,(a) 本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は,4月16日付け内閣告示第1号により国の儀式として行う旨告示されたこと,(b) 本件結婚は国民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと,(c) 普通地方公共団体は,地方自治の本旨に反しない限り,社会的活動体として,従来の慣例,当該自治体の財政規模等に照らし相当と認められる範囲内において,祝賀,記念行事,顕彰式典等を行い得るものであること,(d) 東京都は現天皇が皇太子であった時に結婚した際にも記念式典を実施していること,(e) 本件記念式典は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,東京都が,本件結婚を祝して実施したものであり,その規模・内容も,東京都の財政規模等諸般の事情に照らし,社会通念上相当と認められること,(f) 都議会の多くの会派も本件結婚に祝意を示し,賀詞決議が行われたこと等の事情に照らし,被告Bが,その違法性を認識しないまま上記各支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Bに故意又は重大な過失が存したということはできない。 b 総務局長である被告Bは,知事である被告Aから権限の委任を受けて,本件支出⑰に係る支出負担行為を行ったが,(a) 本件結婚は国民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと,(b) 普通地方公共 総務局長である被告Bは,知事である被告Aから権限の委任を受けて,本件支出⑰に係る支出負担行為を行ったが,(a) 本件結婚は国民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと,(b) 普通地方公共団体は,地方自治の本旨に反しない限り,社会的活動体として,従来の慣例,当該自治体の財政規模等に照らし相当と認められる範囲内において,祝賀,記念行事,顕彰式典等を行い得るものであること,(c) 東京都は現天皇が皇太子であった時に結婚された際にも記念品を献上していること,(d) 本件銀器は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,東京都が,本件結婚を祝して献上したものであり,その購入費用も,東京都の財政規模等諸般の事情に照らし,社会通念上相当と認められること,(e) 都議会の多くの会派も本件結婚に祝意を示し,賀詞決議が行われたこと,(f) 本件銀器は,内閣が定めた「皇太子徳仁親王殿下のご結婚を祝するために贈与される物品の譲り受けに関する基準」に従って献上したものであること等の事情に照らせば,被告Bが,その違法性を認識しないまま上記支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Bに故意又は重大な過失が存したということはできない。 エ被告Cの責任(本件支出⑱関係)について財務局長である被告Cは,知事である被告Aから権限の委任を受けて本件支出⑱に係る支出負担行為を行ったが,a 本件結婚は国民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと,b 普通地方公共団体は,地方自治の本旨に反しない限り,社会的活動体として,従来の慣例,当該自治体の財政規模等に照らし相当と認められる範囲内において 民的慶事であり,その当日は国民の祝日とされたこと,b 普通地方公共団体は,地方自治の本旨に反しない限り,社会的活動体として,従来の慣例,当該自治体の財政規模等に照らし相当と認められる範囲内において,祝賀,記念行事,顕彰式典等を行い得るものであること,c 本件ライトアップは,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,東京都が,本件結婚を祝して実施したものであること,d 本件ライトアップ費用は低廉であること等の事情に照らせば,被告Cが,その違法性を認識しないまま上記支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Cに故意又は重大な過失が存したということはできない。 オ被告Dの責任(本件支出②関係)について清掃局長である被告Dは,知事である被告Aから権限の委任を受けて本件支出②に係る支出負担行為を行ったが,a 本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は4月16日付け内閣告示第1号により国の儀式として行う旨告示され,本件祝賀パレードは結婚儀礼の一環として行われたこと,b 本件仮設便所設置は皇太子御婚儀委員会の委員である宮内庁式部副長から東京都に依頼されたものであること,c 本件祝賀パレードには多くの人出が予想されたところ,東京都は沿道周辺の清潔保持と環境保全に責任を有していたこと等の事情に照らせば,被告Dが,その違法性を認識しないまま上記支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Dに故意又は重大な過失が存したということはできない。 カ被告Eの責任(本件支出⑲関係)について交通局長である被告Eは,本件支出⑲に係る支出負担行為を行ったが,a 本件結婚は国民的慶事 あり,被告Dに故意又は重大な過失が存したということはできない。 カ被告Eの責任(本件支出⑲関係)について交通局長である被告Eは,本件支出⑲に係る支出負担行為を行ったが,a 本件結婚は国民的慶事であること,b 本件記念乗車券は,東京都内に皇居があること,東京都主催の行事において皇太子等の御臨席を賜ることが多いこと,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政の御進講を行ってきたこと,多くの都民が本件結婚を祝する意識があったこと等から,交通局が,本件結婚を記念して発行したものであり,社会通念上相当と認められること,c 記念乗車券の発行は交通局の認知度を高めることにもなること等の事情に照らせば,被告Eが,その違法性を認識しないまま上記支出負担行為を行ったことはやむを得ないというべきであり,被告Eに故意又は重大な過失が存したということはできない。 3 争点以上によれば,本件の争点は,本件各支出に係る財務会計行為が違憲・違法なものであるか否か(争点1),及び,被告らの損害賠償責任の有無(争点2)であり,争点1について,具体的な財務会計行為に即して検討すべき違法の内容を整理すれば,以下の各点である。 (1) 本件各支出に係る財務会計行為が,憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項,19条,20条3項,89条,92条,地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段)等に違反するか否か。 (2) 本件支出①に係る財務会計行為が,憲法20条3項,地方自治法138条の2,149条に違反するか否か。 (3) 本件支出②に係る財務会計行為が,地方自治法2条13項,予算事務規則2条に違反するか否か。 (4) 本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為が,予算事務規則通達第三・八(一),予算事務規則21条1項・2項に違反するか否か。また,本件支出 地方自治法2条13項,予算事務規則2条に違反するか否か。 (4) 本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為が,予算事務規則通達第三・八(一),予算事務規則21条1項・2項に違反するか否か。また,本件支出③・⑦・⑨・⑩に係る財務会計行為が,予算事務規則2条に違反するか否か。 (5) 本件支出⑰に係る財務会計行為が,予算事務規則通達第三・八(一),予算事務規則21条1項・2項,憲法24条,地方自治法施行令167条の2,地方自治法232条の2に違反するか否か。 (6) 本件支出⑱に係る財務会計行為が,地方自治法210条,予算事務規則2条に違反するか否か。 (7) 本件各支出に係る財務会計行為が,交際費支出要領の規定に違反するか否か。 第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1) 本件結婚の違憲・違法性についてア原告らは,本件結婚が違憲・違法であるから,本件各支出に係る財務会計行為も違憲・違法であると主張するので,以下,この点について検討する。 イ憲法14条1項違反の主張について原告らは,本件結婚は,相手の家柄や血筋という「門地」が取りざたされ,新聞の一面トップ記事に「小和田家系図」が掲載されるなど,法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反すると主張する。 しかし,原告の主張するように,本件結婚に際して相手の家柄や血筋が取りざたされたとか,新聞の一面トップ記事に「小和田家系図」が掲載されという事実が存在したとしても,これをもって,本件結婚が,憲法14条1項に違反するということはできないし,本件の証拠を検討しても,本件結婚が,皇太子妃の社会的身分又は門地による国又は地方公共団体の差別的取扱いによるものと認めるに足りる証拠はない。 ウ憲法24条1項違反の主張について原告らは,本件結婚は,その態様において,両性の合意のみに基づく婚姻を定めた憲法24条1 国又は地方公共団体の差別的取扱いによるものと認めるに足りる証拠はない。 ウ憲法24条1項違反の主張について原告らは,本件結婚は,その態様において,両性の合意のみに基づく婚姻を定めた憲法24条1項に違反すると主張する。 しかし,本件結婚は,皇室典範10条の規定に基づき,皇室会議の議を経たものであるが,このような定めを置くことは,憲法2条が,皇位は,世襲のものであって,皇室典範の定めるところにより継承されると規定していることからして,憲法の容認するところというべきであるし,他に,本件結婚が憲法24条1項に違反すると認めるに足りる主張・立証はない。 エ憲法前文及び1条違反の主張について原告らは,本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀が,法的根拠なく国事行為として行われたものであるとして,本件結婚は,国民主権原理を定めた憲法前文及び1条に違反すると主張する。 しかし,憲法4条1項は,天皇は,この憲法の定める国事に関する行為のみを行い,国政に関する権能を有しないと規定し,憲法7条10号は,儀式を行うことを国事に関する行為の一つとして規定しているところ,国事行為とは,天皇が他の国家機関の決定した行為に儀礼的名目的に参加する行為であり,同号の儀式には,成文法や慣習法で認められているものに限られず,社会通念上国家的儀式と考えられるものも含まれると解される。 そして,天皇は日本国及び日本国民統合の象徴であり,皇太子は第一順位の皇位継承者という地位にあること(憲法1条,2条,皇室典範1条,2条)に加え,証拠(甲1,51)及び弁論の全趣旨によれば,結婚の儀は結婚の誓いを立てる儀式であり,宮中饗宴の儀は一般の結婚披露宴に当たる儀式であること,本件結婚の儀に際し,国民こぞって祝意を表する趣旨から,「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律」(平成5 誓いを立てる儀式であり,宮中饗宴の儀は一般の結婚披露宴に当たる儀式であること,本件結婚の儀に際し,国民こぞって祝意を表する趣旨から,「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律」(平成5年法律第32号)が制定施行されたこと,現天皇が皇太子であった時に結婚した際にも,結婚の儀及び宮中饗宴の儀が国事行為とされ,この点について,内閣法制局が「皇太子殿下の御結婚という普通の両性の合意に基づく性格をもつものであっても,皇太子殿下の国法上における地位にかんがみ,国民的関心がそれに集まることは,社会一般の事象であり,当然に合理的であると認められるので,いろいろな儀式そのものを国事とすることは別に差し支えないのではないか。」(同年3月6日衆議院予算委員会)との見解を示していることが認められることにかんがみれば,本件結婚の儀及び本件宮中饗宴の儀は,社会通念上国家的儀式であると評価することができ,これらの儀式を国事行為としたことが,違法であるということはできない。 また,国事行為とは,上記のとおり,天皇が他の国家機関の決定した行為に儀礼的名目的に参加する行為であること,実質的にみても,結婚の誓いを立てる儀式である結婚の儀や一般の結婚披露宴に当たる宮中饗宴の儀が,国の政治の在り方に影響を与えるものとは認められないことからすれば,これらの儀式を国事行為としたことによって,本件結婚が憲法前文又は1条に違反するということもできない。 したがって,原告らの上記主張は理由がない。 オ憲法20条3項及び89条違反の主張についてa 原告らは,結婚儀式の多くは,皇室神道にのっとった明白な宗教儀式であるとして,本件結婚は,政教分離原則を定めた憲法20条3項及び公の財産の支出・利用を制限した憲法89条に違反すると主張するが,証拠(甲49ないし51)によれば,本件結婚につ っとった明白な宗教儀式であるとして,本件結婚は,政教分離原則を定めた憲法20条3項及び公の財産の支出・利用を制限した憲法89条に違反すると主張するが,証拠(甲49ないし51)によれば,本件結婚については,4月9日の「神宮神武天皇山陵及び昭和天皇山陵に勅使発遣の儀」から,6月29日の「昭和天皇山陵に謁するの儀」まで,約15の儀式が行われ,そのうち,結婚の儀,朝見の儀及び宮中饗宴の儀のみが国事行為とされ,その余の儀式は皇室の私的な行事として行われたことが認められる。そこで,以下,国事行為とされた本件結婚の儀,朝見の儀及び本件宮中饗宴の儀が,憲法20条3項及び89条に違反するか否かについて検討することとする。 b 憲法20条3項等が定める政教分離原則は,国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えているものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきである。このような政教分離原則の意義に照らすと,憲法20条3項にいう宗教的活動とは,およそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではなく,そのかかわり合いが上記の相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。そして,ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該 て,ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意識の有無,程度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従って,客観的に判断しなければならない(最高裁昭和46年(行ツ)第69号昭和52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁,最高裁昭和62年(行ツ)第148号平成5年2月16日第3小法廷判決・民集47巻3号1687頁,最高裁平成4年(行ツ)第156号平成9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁等)。 c そして,前記「前提となる事実」,証拠(甲18,48ないし50)及び弁論の全趣旨によれば,本件結婚,本件結婚の儀,朝見の儀及び本件宮中饗宴の儀について,次の事実を認めることができる。 (a) 本件結婚の儀は,6月9日午前10時から約30分間,宮中三殿の賢所において行われ,三権の長,皇族,親族,被告Aを含む自治体代表,各界代表ら約800名が賢所の前庭に参列したが,その内容は,次のようなものであった。 掌典長に先導されて,束帯,垂纓の冠に,白木の笏を持った皇太子と,十二単,五色の糸を巻き付けた桧扇を持った皇太子妃が,賢所の回廊を進んだ。二人は,賢所内陣に入り,右に皇太子,左に皇太子妃が,各々厚さ約3センチメートルの半畳の畳に座った。皇太子が掌典長の差し出す玉串を手に取り,御神体の神器の鏡が祀られた内々陣に向かって,立って座っての拝礼を4回繰り返す「両段再拝」をし,皇太子妃は座ったままお辞儀拝礼を繰り返した。続いて,皇太子が「婚礼を行うため賢所の大前に参り,互いにむつみ親しみ変わることのないことを誓い,神の守護を祈る」趣 拝礼を4回繰り返す「両段再拝」をし,皇太子妃は座ったままお辞儀拝礼を繰り返した。続いて,皇太子が「婚礼を行うため賢所の大前に参り,互いにむつみ親しみ変わることのないことを誓い,神の守護を祈る」趣旨の告文を読み上げた。拝礼後,二人は外陣に移り,掌典長が別々につぐ神酒の杯を順に飲み干し,再び神前に深々と拝礼して退出した。続いて,皇族代表の秋篠宮夫妻が拝礼し,この間,皇太子と皇太子妃は,度々拝礼を繰り返し,その度に参列者も拝礼を繰り返した。この儀式の前後には神楽歌が奉納されていた。 (b) 朝見の儀は,親子固めの儀式であり,6月9日午後3時から,宮殿松の間において行われたが,その内容は,次のようなものであった。 燕尾服に大勲位菊花大綬章を付けた皇太子と,ローブデコルテに勲一等宝冠章の勲章とティアラを身に付けた皇太子妃が,天皇皇后に無事結婚の儀式を済ませたことを報告してお礼を述べ,天皇皇后は祝福の言葉を述べた。「御台盤」と呼ばれる朱塗りのテーブルに料理や,黒豆をみりんで煮た「九年酒」などが用意されており,各人が九年酒をついだ杯を交わし,最後に御台盤の上に箸を立てる所作をした。 これは,平安時代の正式の宴会の形で,中国から伝わったともいわれている。 (c) 本件宮中饗宴の儀は,6月15日から17日までの3日間,宮殿豊明殿において昼夜合計6回行われ,約2700名が招待された。同月15日昼からの饗宴には,三権の長,閣僚,被告Aを含む都道府県知事ら448名が参列したが,その内容は,次のようなものであった。 参列者が起立するなか,天皇,皇后,皇太子,皇太子妃,皇族の順に入場し,メインテーブルに着いて立ったところで,宮内庁楽部が君が代を演奏した。天皇が「ここに饗宴を共にし,皆さんと喜びを分かつことを誠に嬉しく思います」などと言葉を述べた後,首相による御祝いの の順に入場し,メインテーブルに着いて立ったところで,宮内庁楽部が君が代を演奏した。天皇が「ここに饗宴を共にし,皆さんと喜びを分かつことを誠に嬉しく思います」などと言葉を述べた後,首相による御祝いの挨拶,衆議院議長による乾杯と続き,饗宴は約45分で終了した。出席者には飲食が提供され,引き出物が贈られた。 (d) これらの儀式は,大正天皇の結婚に際して考案され,皇室親族令(明治43年皇室令第3号)に規定されたものであるが,同令が廃止された後も,皇太子の結婚に際しては,基本的に同令の形式を踏襲した儀式が行われた。 d そこで,検討するに,上記のとおり,結婚の儀が,伝統的な衣装を身に付けた皇太子及び皇太子妃が,皇室の祭祀を司る職員である掌典長の進行により,宮中三殿の賢所において,一定の祭具の使用や,御神体の神器の鏡が祀られた内々陣への拝礼を伴いつつ,結婚の誓いを立てるというものであり,大正天皇の結婚に際して考案され,皇室親族令に規定されたものであることに照らせば,結婚の儀自体が,神道的要素を採り入れた儀式であることは否定できない。 しかし,皇太子の結婚に際して,このような様式によって結婚の誓いを立てることは,大正天皇以来の皇室の結婚における慣習であって,本件結婚においても,このような慣習を尊重したものであると評価し得ること,F政府委員(宮内庁次長)が,4月22日の内閣委員会において,本件結婚の儀について,「その一番重要な部分というのは御承知のようにお二人がそこで結婚の誓いを交わされるというところにあるわけでございます。皇族男子につきましては,結婚の成立の要件というのは,そういう結婚の儀を行うこと,結婚式を挙げること,そこに結婚の成立要件があるわけでございます。(中略)そこで,皇室の伝統によりまして賢所で国民の代表が立ち会っておられる中で結婚式を挙げ 件というのは,そういう結婚の儀を行うこと,結婚式を挙げること,そこに結婚の成立要件があるわけでございます。(中略)そこで,皇室の伝統によりまして賢所で国民の代表が立ち会っておられる中で結婚式を挙げる,これが皇族の場合には結婚成立の要件,こういうことになるわけでございます。」と述べ(甲51),皇太子と皇太子妃が結婚の誓いを立てること自体が結婚の儀の本質であるとの見解を示していること,戦後,宗教的儀式によって結婚式を行うことが世間一般に行われるようになり,現在では,結婚における宗教的儀式における宗教的意義が相当程度希薄化していると認められることにかんがみれば,少なくとも,本件結婚の儀については,皇室の伝統ないし慣習に従い,国民の代表の立ち会いのもと,厳粛な雰囲気の中で結婚の誓いを立てるという意図ないし目的を超えて,宗教的な意図ないし目的を見出すことはできず,その効果においても,神道等の特定の宗教を援助,助長,促進するものとも,その他の宗教を圧迫するものともいえないというべきである。 また,上記認定事実によれば,朝見の儀及び本件宮中饗宴の儀においては,特に宗教性を帯びた儀式と評価すべき内容の儀式は行われておらず,これらが,宗教的な性格を有する儀式であると認めることはできない。 e したがって,本件結婚の儀,朝見の儀及び本件宮中饗宴の儀が,憲法20条3項又は89条に違反するとは認められない。 カまとめ本件結婚が違憲・違法であると認められないことは上記イないしオのとおりであるから,本件結婚が違憲・違法であることを理由として,本件各支出に係る財務会計行為が違憲・違法であるとする原告らの主張は,前提を欠き,採用することができない。 (2) 本件参列・本件仮設便所設置・本件各祝賀事業実施の違憲・違法性についてア原告らは,本件参列,本件仮設便所設置及 が違憲・違法であるとする原告らの主張は,前提を欠き,採用することができない。 (2) 本件参列・本件仮設便所設置・本件各祝賀事業実施の違憲・違法性についてア原告らは,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施が違憲・違法であるから,本件各支出に係る財務会計行為も違憲・違法であると主張するので,以下,この点について検討する。 イ本件仮設便所設置に関する主張について前記「前提となる事実」及び証拠(甲85の4,乙19,証人K)によれば,a 東京都が,4月28日,宮内庁から,本件祝賀パレード沿道に仮設便所を設置及び管理するよう依頼されたこと,b 清掃局が,上記依頼を契機として仮設便所設置の必要性について検討したところ,本件祝賀パレードに20万人程度の人出が予想されたこと,沿道が公衆便所の少ない地域であること,警備上の理由から沿道建物内への立入りが制限され,その便所が使用できないこと,平成5年当時,東京都が23区内の清掃事業を担当しており,沿道周辺の清潔を保持し,環境を保全する責任を有していたこと,多くの人出のある隅田川花火大会においても仮設便所を設置した例があること等の事情にかんがみ,本件祝賀パレード沿道周辺の清潔を保持し,環境を保全する目的で,仮設便所の設置を決定したことが認められ,これらの事情に照らせば,本件仮設便所設置は,「清掃,消毒,美化,公害の防止,風俗又は清潔を汚す行為の制限その他の環境の整備保全,保険衛生及び風俗のじゅん化に関する事項を処理すること」という地方自治法2条3項7号に規定する事務を行ったものであるということができる。 したがって,本件仮設便所設置が,憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項,92条,地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段),憲法19条に違反するもの したがって,本件仮設便所設置が,憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項,92条,地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段),憲法19条に違反するものとは認められない。 ウ本件参列,本件各祝賀事業実施に関する主張についてa 憲法前文,1条,14条1項・2項,15条2項違反の主張について(a) 原告らは,本件結婚に際して,他の都民が結婚する場合と差別して,本件参列及び本件各祝賀事業を行ったことは,国民主権原理を定めた憲法前文及び1条,法の下の平等・貴族の禁止を定めた憲法14条1項・2項並びに全体の奉仕者たる公務員の本質を定めた憲法15条2項に違反すると主張する。 (b) ところで,前記「前提となる事実」,証拠(甲78の6・7,乙16ないし18,20,証人G,証人H,証人I,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,Ⅰ 本件参列は,知事である被告Aが,宮内庁長官の案内を受けて,本件結婚に祝意を表する目的で,本件結婚の儀に参列したものであり,その内容は,前記(1)オc(a)のとおりであったこと,Ⅱ 本件記念式典は,東京都が,本件結婚に祝意を表する目的で,実施したものであり,その内容は,「君が代」演奏,知事,議長及び出席者代表の祝辞,皇太子のお言葉,皇太子夫妻への花束贈呈の後,警視庁・東京消防庁音楽隊及び東京都交響楽団の演奏をもって閉会とするものであったこと,Ⅲ 本件銀器の献上は,東京都が,閣議決定及び宮内庁の示した取扱いに従い,本件結婚に祝意を表する目的で,皇太子夫妻に献上したものであること,Ⅳ 本件ライトアップは,東京都が,本件結婚に祝意を表する目的で,6月7日から同月9日の午後7時から午後9時までの間,壁面を下方から照射する方法によって行ったものであること,Ⅴ 本件記念乗車券は,交通局が,都営交通 ップは,東京都が,本件結婚に祝意を表する目的で,6月7日から同月9日の午後7時から午後9時までの間,壁面を下方から照射する方法によって行ったものであること,Ⅴ 本件記念乗車券は,交通局が,都営交通の認知度を高め,増収を図るとともに,本件結婚を記念する目的で,発行したものであることがそれぞれ認められる。 (c) そして,本件参列及び本件各祝賀事業がそれぞれ上記のような目的及び内容で行われたものであることに照らせば,これらが,国の政治の在り方に影響を与えるものとは認められず,憲法前文又は1条に違反するということはできない。 (d) また,本件結婚に際して,本件参列及び本件各祝賀事業を行ったことは,確かに,他の都民が結婚した場合とは異なる取扱いである。 しかし,天皇は日本国及び日本国民統合の象徴であり,皇太子は第一順位の皇位継承者であること(憲法1条,2条,皇室典範1条,2条)にかんがみれば,天皇の象徴としての地位や世襲制と関連する限りにおいて天皇及び皇族について一般国民と異なる取扱いをすることは憲法の容認するところと解されるところ,本件参列及び本件各祝賀事業が,第一順位の皇位継承者である皇太子の結婚に際し,上記のような目的及び内容で行われたものであることに照らせば,これらが上記憲法の趣旨を逸脱しているとは認められず,憲法14条1項・2項及び15条2項に違反しているということはできない。 b 憲法92条及び地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段)違反の主張について(a) 原告らは,本件参列及び本件各祝賀事業実施は,地方自治の本旨に反し,地方公共団体が処理すべき業務を大きく逸脱し,地方自治体を私物化するものであるから,憲法92条及び地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・ 施は,地方自治の本旨に反し,地方公共団体が処理すべき業務を大きく逸脱し,地方自治体を私物化するものであるから,憲法92条及び地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段)に違反すると主張する。 (b) ところで,地方公共団体も実在する一つの社会活動主体として社会的に活動している以上,当該地方公共団体又はその執行機関が,社会通念上相当と認められる範囲において社交儀礼を行い,そのために公金を支出することも許容されているというべきであり,社会通念上相当と認められる範囲内といえるか否かは,当該行為の目的,効果,内容,規模,公金の支出額,当該地方公共団体の財政規模,従前の慣行,関係者と当該地方公共団体のつながりの程度,住民の意識等,諸般の事情を考慮して総合的に判断すべきものと解される。 (c) そこで,このような観点から,本件参列及び本件各祝賀事業実施が,社会通念上相当と認められる範囲における社交儀礼であるといえるか否かについて検討する。 Ⅰ 本件参列について前記「前提となる事実」,証拠(甲17,129の1・2,証人G,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,ⅰ 被告Aは,宮内庁長官の案内を受けて,知事の地位にある者の社交儀礼として,本件結婚に祝意を表する目的で,多数の参列者の中の一人として本件結婚の儀に参列し,その進行に応じて拝礼するなどしたのみであって,そこに何らかの宗教的な目的・効果や政治的な目的・効果が含まれていたとみることはできないこと,ⅱ 本件参列に伴って支出された公金は,知事公館と皇居の往復に使用された知事専用庁有車のガソリン代と,同車の運転に従事した職員に対する休日給にとどまり,平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったこと,ⅲ 東京都と皇室とは,東京都内に皇居がある,東京都の要請 庁有車のガソリン代と,同車の運転に従事した職員に対する休日給にとどまり,平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったこと,ⅲ 東京都と皇室とは,東京都内に皇居がある,東京都の要請を受けて,皇族が年に数回程度東京都主催の行事に出席する,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政について御進講をする,などの関係にあったこと,ⅳ 東京都においては,以前にも,知事の地位にある者が宮内庁長官等の招待を受けて皇室の儀式に参列した例があること,ⅴ 都議会が,6月4日の都議会第二回定例会において,本件結婚に対する「天皇陛下及び皇太子殿下に差し上げる賀詞」を,日本共産党,都政を革新する会及び護憲の会を除く賛成多数で採択したこと等からみても,都民の多くが本件結婚を喜ばしいことと受け止めていたことがうかがわれることが認められる。 これらの事情に照らせば,本件参列は,社会的通念上相当と認められる範囲における社交儀礼に当たるということができる。 Ⅱ 本件各祝賀事業について前記a(b)で認定した事実のほか,証拠(甲17,100ないし102,163の9,乙18,証人H,証人I,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,ⅰ 本件記念式典の実施に係る費用は7222万3000円であり,以前にも,東京都が同様の記念式典を実施した例があること,ⅱ 本件銀器の購入に係る費用は94万7600円であり,以前にも,東京都が同様の記念品を献上した例があること,ⅲ 本件ライトアップに係る費用は概算で2万4000円程度であり,現在の都庁舎には,建設当初から,ライトアップ用の設備として,都庁舎周辺に投光器が設置され,東京都は,同年当時,毎月第1土・日曜日,都民の日,平和の日等の日没ころから午後9時までの間,投光器で壁面を下方から照射する方法によって,都庁舎のライトアップを行っていた 庁舎周辺に投光器が設置され,東京都は,同年当時,毎月第1土・日曜日,都民の日,平和の日等の日没ころから午後9時までの間,投光器で壁面を下方から照射する方法によって,都庁舎のライトアップを行っていたこと,ⅳ 記念乗車券は,通常の乗車券より発行経費が高額となるが,収集・保存目的で購入されることが多く,実際に使用されることが少ないという特性から,記念乗車券の発行によって増収を図ることができるところ,交通局は,平成5年当時,増収対策に力を入れており,相当な売上げが見込まれる場合には,積極的に記念乗車券を発行しており,本件記念乗車券の発行に際し,制作費用369万5500円,ポスター制作費用66万9706円及びポスター仕分け・掲出費用56万7966円を支出したものの,発行部数1万1000部のうち発売用の8000部を完売して520万円の収入を得たうえ,本件記念乗車券が実際にはあまり使用されなかったことや,各新聞に本件記念乗車券に係る記事が掲載されたことなどから,都営交通の認知度を高め,増収を図ることができたことⅴ 東京都と皇室とは,東京都内に皇居がある,東京都の要請を受けて,皇族が年に数回程度東京都主催の行事に出席する,歴代の知事が天皇及び皇太子に都政について御進講する,などの関係にあったこと,ⅵ 都議会が,6月4日の都議会第二回定例会において,本件結婚に対する「天皇陛下及び皇太子殿下に差し上げる賀詞」を,日本共産党,都政を革新する会及び護憲の会を除く賛成多数で採択したこと等からみても,都民の多くが本件結婚を喜ばしいことと受け止めていたことがうかがわれること,ⅶ 平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったことが認められる。 そして,上記のような諸事情と,天皇は日本国及び日本国民統合の象徴であり,皇太子は第一順位の皇位継承者であ と,ⅶ 平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったことが認められる。 そして,上記のような諸事情と,天皇は日本国及び日本国民統合の象徴であり,皇太子は第一順位の皇位継承者であること(憲法1条,2条,皇室典範1条,2条)とを総合して判断すれば,本件各祝賀事業実施が,社会通念上相当と認められる範囲における社交儀礼に当たるということができる。 (d) このように,本件参列及び本件各祝賀事業実施は,社会通念上相当と認められる範囲における社交儀礼に当たるということができるから,憲法92条又は地方自治上の諸規定(地方自治法2条2項・3項・6項・12項前段・13項・15条前段)に違反するとは認められない。 c 憲法19条違反の主張について(a) 原告らは,本件参列及び本件各祝賀事業実施は,都民の合意がないものであり,本件結婚を祝いたくない者や関心のない者に祝賀を強要するものであるから,思想・良心の不可侵を定めた憲法19条に違反すると主張する。 (b) しかし,憲法19条は,思想・良心の自由を保障しているものの,同条が,国家又は地方公共団体に対し,その作為又は不作為によって,特定の個人がその内心において,自己の思想・良心の形成及び維持に一切の圧迫を感じることがないように,常にあらゆる思想・良心に何らの影響を与えないような中立的な価値観に基づく態度を取るべきことまで要求しているものとは解されない。 (c) そして,上記a(b)で認定した事実のほか,証拠(甲161の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件記念式典への参加は任意であったこと,被告Aが,同式典において,本件結婚に祝意を表する趣旨から祝辞を述べたこと,その中の「私たち都民の等しく待ち望んでいました,盛大な御婚儀を挙げられました」などの表現は,本件結婚への祝意を,結婚に対する一般的な祝意の において,本件結婚に祝意を表する趣旨から祝辞を述べたこと,その中の「私たち都民の等しく待ち望んでいました,盛大な御婚儀を挙げられました」などの表現は,本件結婚への祝意を,結婚に対する一般的な祝意の表明の際の表現に倣って表現したものと認められる。 これらの事実によれば,本件参列及び本件各祝賀事業実施が,東京都民である個々人に祝意を強制するものであったと認められないことはもとより,東京都が祝意を表する方法として不適切ないし過剰なものであったとか,本件結婚を祝いたくない者や関心のない者に対し,不当な圧迫を感じさせるものであったとは,認められない。 (d) したがって,本件参列及び本件各祝賀事業実施は,憲法19条に違反するとは認められない。 エ憲法尊重擁護義務違反について本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施については,原告らの主張する違憲事由が認められないことは上記イ及びウのとおりであり,他の違憲事由を認めるに足りる主張・立証もないから,被告らが,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施に当たり,憲法尊重擁護義務に違反したということもできない。 オまとめしたがって,本件参列,本件仮設便所設置及び本件各祝賀事業実施が違憲・違法であることを理由として,本件各支出に係る財務会計行為が違憲・違法であるとする原告らの主張は,前提を欠き,採用することができない。 (3) 本件各支出に係る財務会計行為自体の違憲・違法性についてア原告らは,本件各支出に係る財務会計行為自体が違憲・違法であるとも主張するので,以下,この点について検討する。 イ本件支出①に係る財務会計行為についてa 原告らは,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,政教分離原則を定めた憲法20条3項,執行機関の誠実執行義務を定めた地方自治法138条の2及び知事が行うべき 本件支出①に係る財務会計行為についてa 原告らは,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,政教分離原則を定めた憲法20条3項,執行機関の誠実執行義務を定めた地方自治法138条の2及び知事が行うべき担任事務を定めた同法149条に違反すると主張する。 b しかし,前記(1)オbのとおり,憲法20条3項等が定める政教分離原則は,国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いが我が国の社会的・文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきであるところ,本件結婚の儀が,政教分離原則に違反するとは認められないことは前記(1)オcないしeのとおりであり,また,被告Aが,宮内庁長官の案内を受けて,知事の地位にある者の社交儀礼として,本件結婚に祝意を表する目的で,多数の参列者の中の一人として本件結婚の儀に参列し,その進行に応じて拝礼するなどしたのみであって,そこに何らかの宗教的な目的・効果が含まれていたとみることはできないことは,前記(2)ウb(c)Ⅰⅰのとおりである。 したがって,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,憲法20条3項に違反するとは認められない。 c また,地方公共団体又はその執行機関が,社会通念上相当と認められる範囲において社交儀礼を行い,そのために公金を支出することも許容されているというべきところ,本件参列が,社会通念上相当と認められる範囲における社交儀礼に当たるということができることは,前記(2)ウb(c)Ⅰのとおりである。 したがって,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,地方自治法138条の2,149条に違反するとは認め 範囲における社交儀礼に当たるということができることは,前記(2)ウb(c)Ⅰのとおりである。 したがって,本件参列及びそれに伴う財務会計行為は,地方自治法138条の2,149条に違反するとは認められない。 ウ本件支出②に係る財務会計行為についてa 原告らは,本件仮設便所設置は,不必要な行為であり,これに要した経費は無用の経費であったとして,本件支出②に係る財務会計行為は,最少の経費で最大の効果を挙げるよう定めた地方自治法2条13項及び計画性の原則を定めた予算事務規則2条に違反すると主張する。 b しかし,前記(2)イに認定した事実のほか,証拠(甲87,88,乙19,証人K)によれば,(a) 清掃局は,当初,仮設便所85台を本件祝賀パレード沿道の22か所に設置する旨決定し,その賃料を242万2560円と積算していたが,実際には,知事である被告Aから権限の委任を受けた清掃局長である被告Dが,5月28日,入札の方法により,株式会社レンタルのニッケンとの間で,仮設便所85台を賃料94万5540円で賃借する旨の契約を締結したこと,(b) 本件祝賀パレード当日の6月9日には,沿道に19万人以上の人が参集したこと,(c) 東京都が,本件祝賀パレードの前日に沿道の19か所に仮設便所85台を設置し,当日の午前8時からパレードが終了するころまでの間,利用に供したこと,(d) 本件仮設便所のすべてが,当初予想した程度に使用されていたことがそれぞれ認められる。 これらの事実関係の下では,本件仮設便所設置が必要であるとして,本件仮設便所設置のための財務会計行為を行ったこと及びこれらの財務会計行為の内容は,いずれも行政の裁量の範囲内で行われたものと認めることができ,これらの点について,原告ら主張の違法を認めることはできない。 c したがって,本件仮設便所設置及びそ こと及びこれらの財務会計行為の内容は,いずれも行政の裁量の範囲内で行われたものと認めることができ,これらの点について,原告ら主張の違法を認めることはできない。 c したがって,本件仮設便所設置及びそれに伴う財務会計行為は,地方自治法2条13項及び予算事務規則2条に違反するものではない。 エ本件支出③ないし⑯に係る財務会計行為についてa 原告らは,本件記念式典実施及びそれに伴う財務会計行為は,①補正予算の調製を怠り,何ら資料を付さない請求により予備費を充当したことから,予備費の充当について定めた予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反する,②当初の予定を変更して更なる支出をしたことから,計画性の原則を定めた同規則2条に違反すると主張する。 b ところで,証拠(甲45の1ないし3,46の1ないし3,52の1ないし3,53,62,63の1ないし3,64の1ないし3,163の9,乙16,証人G)によれば,(a) 宮内庁が,1月19日,本件結婚を正式に発表したこと,(b) その後,総務局総務部総務課長が,過去の事例について調査したところ,東京都が現天皇が皇太子であった時に結婚した際にも祝賀事業を実施していたことが判明したため,総務局長及び同局総務部長との協議を経て,3月19日,知事である被告Aにその旨報告し,被告Aが,同日,東京都が本件結婚について祝賀事業を実施する方針を決定したこと,(c) そこで,東京都は,「皇太子殿下御結婚祝賀記念事業実施本部」を設置し,同本部は,5月14日に開催された準備会において,関係各局に対し,祝賀事業の実施及び内容を検討するよう正式に依頼し,同月25日に開催された第1回会議において,関係各局が実施する祝賀事業の内容を取りまとめ,これを庁議に報告したうえ,報道機関に発表したこと,(d) 総務局 の実施及び内容を検討するよう正式に依頼し,同月25日に開催された第1回会議において,関係各局が実施する祝賀事業の内容を取りまとめ,これを庁議に報告したうえ,報道機関に発表したこと,(d) 総務局は,東京都が現天皇が皇太子であった時に結婚した際にも記念式典を実施していたこと,東京都と皇室が密接な関係にあること等の事情にかんがみ,本件結婚を祝して記念式典を実施することを提案し,5月21日,知事である被告Aの決定を受けたこと,(e) 東京都の予算は,例年,前年度の夏ころから内部で検討を始め,前年度の1月下旬に原案が発表され,その後,復活折衝などを経て,予算案として議会に付議され,3月末に議会の議決を経て決定されるところ,祝賀事業の実施や記念式典の実施が決定された時期との関係上,平成5年度の当初予算に本件記念式典の実施に係る予算を計上することができなかったこと,(f) また,5月31日から6月4日まで都議会が開催されていたものの,本件記念式典を実施する時期との関係上,同式典実施に係る補正予算を編成することができなかったこと,(g) そのため,総務局長である被告Bが,5月21日,財務局長である被告Cに対し,本件記念式典の実施に係る費用5400万円について予備費の充当を請求したところ,被告Cが,同日,5400万円を予備費から款「総務費」項「総務管理費」目「総務管理費」に充当したこと,(h) 東京都は,当初,本件記念式典の出席予定者を5000名と予定して準備を進めていたが,招待状を発送し,同式典への出席を確認したところ,6月14日現在で,7943名から出席の回答が寄せられたこと,そこで,同月15日,同式典について,舞台の設営を変更する,記念品(一輪挿し)を追加購入する,受付開始時間を午前9時から午前8時に変更する,これに伴い,出席予定者に受付開始時間 答が寄せられたこと,そこで,同月15日,同式典について,舞台の設営を変更する,記念品(一輪挿し)を追加購入する,受付開始時間を午前9時から午前8時に変更する,これに伴い,出席予定者に受付開始時間変更を通知する,受付開始時間から同式典開始時間までの演出として,大型映像装置を利用して皇太子関係の映像を放映する等の変更をすることとしたこと,(i) そのため,総務局長である被告Bが,6月15日,財務局長である被告Cに対し,本件記念式典変更に係る費用1722万3000円について予備費の追加充当を請求したところ,被告Cが,同月16日,1722万3000円を予備費から款「総務費」項「総務管理費」目「総務管理費」に充当したこと,(j) 本件記念式典の実施に係る費用が7222万3000円であり,平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったことが,それぞれ認められる。 c そこで検討するに,上記認定事実によれば,本件記念式典の実施に係る費用について,本件結婚が発表された時期,祝賀事業の実施や同式典の実施が決定された時期,同式典を実施する時期,当該費用が東京都の一般会計に占める割合等の諸事情に照らせば,補正予算を調製せず,予備費を充当したことは相当であったということができる。また,予備費充当請求書に事業計画その他参考となる資料が付されていなかったことについては,これを認めるに足りる証拠がない。 したがって,本件記念式典の実施及びそれに伴う財務会計行為が,予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反するものとは認められない。 d また,上記認定事実によれば,本件記念式典の変更とそれに伴う予備費の追加充当は,出席予定者が当初の見込みを超えたことにより,やむを得ず,必要な限度で行われたものであり,行政裁量の範囲内で行われたもの また,上記認定事実によれば,本件記念式典の変更とそれに伴う予備費の追加充当は,出席予定者が当初の見込みを超えたことにより,やむを得ず,必要な限度で行われたものであり,行政裁量の範囲内で行われたものと認められ,同式典の変更に係る費用が,計画性のないものであったと認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件記念式典の実施及びそれに伴う財務会計行為(本件支出③・⑦・⑨・⑩に係る財務会計行為)は,予算事務規則2条に違反するものとも認められない。 オ本件支出⑰に係る財務会計行為についてa 原告らは,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,①補正予算の調製を怠り,何ら資料を付さない請求により予備費を充当したことから,予備費の充当について定めた予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反する,②本件銀器の形状が結婚における男性優位思想をモチーフにしたもので,性差別を助長するものであるから,両性の本質的平等を定めた憲法24条に違反する,③現天皇が即位した際に記念品を購入した組合と同じ組合から随意契約により本件銀器を購入していることから,特定の組合を利する不当な行為に当たる,④私事である皇太子の結婚に祝品を贈る行為には公益上の必要は認められないことから,地方公共団体の寄附行為について定めた地方自治法232条の2に違反すると主張する。 b ところで,証拠(甲78の1ないし7,84の1・2,乙16,20,証人G,証人J)によれば,(a) 4月28日付け閣議決定において,「皇太子徳仁親王殿下の御結婚を祝するために贈与される物品の譲受けに関する基準について」が定められ,5月7日付け宮内総発甲第288号において,宮内庁から上記基準の具体的な取扱いが示されたこと,(b) 総務局知事室は,これらを受けて,皇室に献上する記念品の選定作業に入り,東 準について」が定められ,5月7日付け宮内総発甲第288号において,宮内庁から上記基準の具体的な取扱いが示されたこと,(b) 総務局知事室は,これらを受けて,皇室に献上する記念品の選定作業に入り,東京都の指定伝統工芸品や,過去の事例を調査した結果,結婚の御祝品にふさわしいものとして,東京銀器を献上することとし,5月20日,総務局長である被告Bの決定を受けたこと,(c) また,総務局知事室は,東京銀器を検証認定する唯一の団体であり,傘下に多数の熟達者を擁し,材料調達上及び技術上も十分なノウハウと豊富な経験を有している点にかんがみ,本件組合から東京銀器を購入することとし,知事である被告Aから権限の委任を受けた総務局長である被告Bが,6月15日,随意契約の方法により,本件組合との間で,本件銀器を94万7600円で購入する旨の契約を締結したこと,(d) 献上する銀器の形状については,総務局知事室が,本件組合に対し,本件結婚の御祝品としてふさわしい品格を有するものを制作してほしいと依頼したところ,同組合から,鶴をモチーフとする本件銀器の図案を示され,鶴は姿が優美であり,古来から長寿の動物としてめでたいものとされていることから,本件結婚の御祝品としてふさわしいと判断し,これを了承したものであり,本件銀器の形状は,つがいの鶴が岩場の上に向かい合って立っている様子を表現したものであり,翼を広げた雄は雌に比べて大きく高い位置にあり,翼を閉じた雌と寄り添うように配されていること,(e) 上記エb(a)ないし(c)・(e)・(f)と同様の事情のほか,本件銀器の購入に係る費用が約100万円であり,平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったという事情から,総務局長である被告Bが,5月21日,財務局長である被告Cに対し,本件銀器の購入に係る費用100 費用が約100万円であり,平成5年当時,東京都の一般会計の予算規模が7兆円程度であったという事情から,総務局長である被告Bが,5月21日,財務局長である被告Cに対し,本件銀器の購入に係る費用100万円について予備費の充当を請求したところ,被告Cが,同日,100万円を予備費から款「総務費」項「総務管理費」目「総務管理費」に充当したことがそれぞれ認められる。 c そこで,検討するに,上記認定事実によれば,本件銀器の購入に係る費用について,本件結婚が発表された時期,祝賀事業の実施や本件銀器の献上が決定された時期,本件銀器を献上する時期,当該費用が東京都の一般会計に占める割合等の諸事情に照らせば,補正予算を調製せず,予備費を充当したことは相当であったということができる。また,予備費充当請求書に事業計画その他参考となる資料が付されていなかったことについては,これを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,予算事務規則通達第三・八(一)及び予算事務規則21条1項・2項に違反するものとは認められない。 d 次に,本件銀器のような作品については,美術的な観点から構成や配置が決められる一方,出来上がった作品から受ける印象は見る者によって様々であるのが通常であり,本件銀器についても,前記のような形状から,原告らの主張するように結婚における男性優位の思想をモチーフに制作されたものであるとか,これを見た者の多くが,そのような印象を受け,その結果,性差別が助長されると認めることは困難である。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,憲法24条に違反するものとはいえない。 e また,地方自治法施行令167条の2第1項1号が,売買,賃借,請負その他の契約でその予定価格(賃借の契約にあっては,予定賃貸借料の年額又は総 務会計行為は,憲法24条に違反するものとはいえない。 e また,地方自治法施行令167条の2第1項1号が,売買,賃借,請負その他の契約でその予定価格(賃借の契約にあっては,予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第三の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするときには,地方自治法234条2項の規定により随意契約によることができると規定しているところ,同施行令別表第三及び東京都契約事務規則(昭和39年規則第125号。ただし,平成7年規則第160号による改正前のもの。)34条の2第2号が,いずれも,財産の買入れの場合の上記予定価格の額を160万円と規定していることからすれば,本件銀器を随意契約の方法によって購入したことは,法令の規定に基づくものと認められるし,本件組合が,東京銀器を検証認定する唯一の団体であり,傘下に多数の熟達者を擁し,材料調達上及び技術上も十分なノウハウと豊富な経験を有しているという上記認定事実にかんがみれば,東京都が現天皇が即位した際にも本件組合から銀器を購入していたことを理由として,東京都が本件結婚に際し本件組合から本件銀器を購入したことが,特定の組合を利する不当な行為に当たるということはできない。 f さらに,地方公共団体又はその執行機関が,社会通念上相当と認められる範囲において社交儀礼を行い,そのために公金を支出することも許容されているというべきところ,本件銀器献上が,社会通念上相当と認められる範囲における社交儀礼に当たるということができることは,前記(2)ウb(c)Ⅱのとおりであるから,本件銀器献上には,公益性が認められないということはできない。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,地方自治法232条の2に違反するものではない。 カ本件支出⑱について原告らは,本件ライトアップが 性が認められないということはできない。 したがって,本件銀器献上及びそれに伴う財務会計行為は,地方自治法232条の2に違反するものではない。 カ本件支出⑱について原告らは,本件ライトアップが,平成5年度の電気料金に不足が生じた一因であったとして,本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為は,総計予算主義の原則を定めた地方自治法210条及び計画性の原則を定めた予算事務規則2条に違反すると主張する。 しかしながら,証拠(甲95の2,155,乙18,証人H)によると,財務局が,平成6年4月12日,東京電力株式会社に支払うべき平成5年度の電気料金(本庁舎分)に不足が生じたことから,当初支出予定金額を1500万円増額変更し,その増額分を平成5年度地域冷暖房料金(第一本庁舎)から転用したこと,このような不足が生じた理由としては,都庁舎のような大規模施設では,人の出入りや天候によってエレベーターや空調設備の動作が大きく変動し,それに伴って電力量も増減することや,平成5年当時,都庁舎が,東京電力株式会社と東京ガス株式会社の双方から電力の供給を受けており,それぞれから供給を受ける電力量の調整が十分ではなかったことなどが考えられること,本件ライトアップの費用は概算で2万4000円であったことが認められる。 これらの事実によれば,本件ライトアップによって上記電気料金の不足が生じたとは認め難く,上記電気料金の不足には相当の理由があったと認められるから,本件ライトアップ及びそれに伴う財務会計行為が,同法210条及び同規則2条に違反するということはできない。 (4) 予備的主張について原告らは,仮に,本件結婚を祝して事業を実施すること等が社交儀礼として許容されるとしても,その費用は,交際費支出要領の規定に違反し違法であると主張する。 ところで,証拠(甲170 備的主張について原告らは,仮に,本件結婚を祝して事業を実施すること等が社交儀礼として許容されるとしても,その費用は,交際費支出要領の規定に違反し違法であると主張する。 ところで,証拠(甲170,171)によれば,交際費支出要領は,第1条において,知事等の交際費の支出については,この要領の定めるところによるとしたうえで,第2条が,交際費は,知事等が都政の円滑な運営を図るため,外部との交際上特に必要と認められる場合に支出すること,第3条が,交際費の支出の内容は,慶祝,弔慰,餞別,見舞,会費,謝礼,接遇及び雑とすること,第4条が,慶祝,弔慰,餞別,見舞における支出基準は,支出対象者に応じて別表の定めるとおり1万円から5万円の範囲内とすること,会費,謝礼,接遇及び雑については,多様な内容に応じ,社会通念に適する合理的,客観的基準により支出することと規定している。 そこで,検討するに,本件参列や本件各祝賀事業は,慶祝に関わる事柄ではあるものの,交際費支出要領は,その趣旨及び内容に照らし,通常予想されるような慶祝,弔慰等を目的として支出される費用について規定したものと解されるから,本件参列に伴って職員に支払われた休日給(本件支出①)や,本件祝賀事業実施に係る費用(本件支出③ないし⑲)が,その対象であるとは認められない。 また,本件仮設便所設置は,前記(2)イのとおり,地方自治法2条3項7号に基づく事務として行われたものであるから,その費用(本件支出②)が,交際費支出要領の対象となるものではない。 したがって,本件各支出に係る財務会計行為は,いずれも,交際費支出要領の規定に違反するものとは認められない。 2 結論以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告らの請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京 支出要領の規定に違反するものとは認められない。 2 結論以上によれば,その余の点を判断するまでもなく,原告らの請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官丹羽敦子裁判官森英明は,転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官市村陽典

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