平成14(ワ)3 土地所有権移転登記手続等

裁判年月日・裁判所
平成15年3月25日 函館地方裁判所
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判決文本文7,917 文字)

- 1 -平成15年3月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成14年(ワ)第3号土地所有権移転登記手続等請求事件口頭弁論の終結の日平成15年3月5日判決主文 被告有限会社栄泰は原告に対し,別紙物件目録1及び2記載の各土地について,昭和47年9月1日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ。 被告Aは原告に対し別紙物件目録1及び2記載の各土地について函館地方,,法務局平成13年8月22日受付第18521号の抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨被告有限会社栄泰に対する請求(主位的請求)主文同旨(予備的請求)被告有限会社栄泰は,別紙物件目録1及び2記載の各土地について,函館地方法務局平成13年9月28日受付第21990号所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。 被告Aに対する請求主文同旨 請求の趣旨に対する答弁- 2 -(被告ら)原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第2当事者の主張 請求原因被告有限会社栄泰(以下「被告栄泰」という。)に対する請求ア亀田市は,昭和47年9月1日,別紙物件目録1及び2記載の各土地(以下「本件土地」という。)を占有していた。 イ原告は,昭和48年12月1日,亀田市から本件土地の占有を承継した。 ウ原告は,平成4年9月1日経過時,本件土地を占有していた。 エ原告は,被告栄泰に対し,平成10年5月14日,函館地方裁判所平成10年第62号事件の口頭弁論期日において,上記時効を援用する旨の意思表示をした。 オ本件土地について,函館地方法務局平成13年9月28日受付第21990号所有権移転登記(以下「本件所有権移転登記」という。)がある。 カよって,原告 ,上記時効を援用する旨の意思表示をした。 オ本件土地について,函館地方法務局平成13年9月28日受付第21990号所有権移転登記(以下「本件所有権移転登記」という。)がある。 カよって,原告は被告栄泰に対し,所有権に基づき,本件土地について,主位的に昭和47年9月1日時効取得を原因とする所有権移転登記手続を,予備的に本件所有権移転登記の抹消登記手続をすることを求める。 被告Aに対する請求ア被告栄泰に対する請求原因アからエに同じイ本件土地について,被告Aのため,函館地方法務局平成13年8月22日受付第18521号の抵当権設定登記(以下「本件抵当権設定登記」という。)がある。 ウよって,原告は被告Aに対し,所有権に基づき,本件抵当権設定登記- 3 -の抹消登記手続を求める。 請求原因に対する認否(被告栄泰に対する請求)請求原因アからオは認める。 (被告Aに対する請求)請求原因アは知らない,同イは認める。 抗弁(被告栄泰)ア本件土地は,昭和60年8月当時,渡島開発株式会社が所有していた。 イ渡島開発株式会社は,昭和60年8月,被告栄泰との間で,同被告に対する3000万円の借受金債務の弁済に代えて本件土地を代物弁済する旨の契約を締結した。 ウ被告Aは被告栄泰に対し,平成元年1月4日に2200万円,同年6月16日に1300万円,同年8月16日に2500万円,合計6000万円を,弁済期は返済資金ができ次第直ちに支払うとの約定で貸し付けた(以下この契約を「本件消費貸借契約」という。)。 エ被告栄泰は,被告Aとの間で,平成2年5月,上記貸金(以下「本件貸金」という。)の債務の弁済に代えて,本件土地の所有権を移転するとの合意(以下「本件代物弁済契約」という。)をした。 オ被告栄泰と被告Aは,平成9年3月,本件代物弁済契 5月,上記貸金(以下「本件貸金」という。)の債務の弁済に代えて,本件土地の所有権を移転するとの合意(以下「本件代物弁済契約」という。)をした。 オ被告栄泰と被告Aは,平成9年3月,本件代物弁済契約を解除するとの合意(以下「本件代物弁済解除契約」という。)をした。 カ原告が対抗要件を具備するまで,本件土地についての原告の所有権を認めない。 (被告A)ア被告栄泰の抗弁アからオに同じイ被告Aと被告栄泰は,平成9年3月,被告栄泰のアの債務を担保する- 4 -ため,本件土地に抵当権を設定するとの契約(以下「本件抵当権設定契約」という。)を締結した。 ウ本件抵当権設定登記は,本件抵当権設定契約に基づく。 抗弁に対する認否(被告栄泰関係)抗弁アは認め,同イは明らかに争わない,同ウからオは否認し,同カは争う。 (被告A関係)抗弁アのうち,被告栄泰の抗弁アは認め,同イは明らかに争わない,同ウからオは否認する。抗弁イ及びウは否認する。 再抗弁(被告栄泰関係)次の事情によれば,被告栄泰は背信的悪意者であり,又は原告の登記未経由を同被告が本訴において争うのは信義則に反する。 原告は,本件請求原因事実を請求原因として,被告栄泰の代表者に対し,昭和47年9月1日時効取得を原因とする所有権移転登記,同被告会社に対し,上記時効取得による所有権に基づき,これと相容れない各登記の抹消登記手続を求める訴訟を函館地方裁判所に提起し(同裁判所平成10年第62号,以下「前訴訟」という。),同裁判所は,平成13年2月22日,本件請求原因事実を認定して原告全部勝訴判決を言い渡した。これに対し,被告栄泰及びその代表者は札幌高裁に控訴を提起したが,同裁判所は,その控訴審の第1回口頭弁論の期日である同年7月11日の審理のみによって口頭弁論を終結し,同年9月19 判決を言い渡した。これに対し,被告栄泰及びその代表者は札幌高裁に控訴を提起したが,同裁判所は,その控訴審の第1回口頭弁論の期日である同年7月11日の審理のみによって口頭弁論を終結し,同年9月19日,その控訴を棄却する判決を言い渡し,同判決正本が同月21日同代表者及び同会社に送達され,同年10月6日同判決が確定した。 被告栄泰は,上記控訴審判決正本の送達を受けたことから,同代表者と- 5 -通じ,同判決によって原告が本件土地について所有権移転登記を取得することを妨害する目的で本件所有権移転登記を経由した。 (被告A関係)次の事情によれば,被告Aは背信的悪意者であり,又は原告の登記未経由を同被告が主張することは信義則に反する。 被告栄泰関係のに同じ被告Aは,前訴訟において原判決を支持する控訴審判決が下されることが必至となった状況の下で,次の事情によれば,被告栄泰の代表者と通じ,同判決によって原告が本件土地について完全な所有権を取得することを阻止する目的で,本件抵当権設定登記を経由した。 ア被告Aは,被告栄泰の代表者の妻の叔父である。 イ被告Aは,自らも本件土地について平成9年3月31日付け被告栄泰の代表者への所有権移転登記が経由される以前の同土地の所有名義人であった。 ウ被告Aは,本件土地の所有名義人であった間,被告栄泰又はその代表者を代理人として,原告に対し,本件土地が都市公園用地として適法に供用されていることから,到底許容され得ない同土地の明渡しや法外の多額の金銭の支払いを強硬に要求していた。 再抗弁に対する認否(被告栄泰関係)再抗弁は認め,同は否認する。 (被告A関係)再抗弁は認め,同は否認する(ただし同ア及びイは認める。)。 - 6 -理由 請求原因について被告栄泰に対する請求関係では,請求原因事 )再抗弁は認め,同は否認する。 (被告A関係)再抗弁は認め,同は否認する(ただし同ア及びイは認める。)。 - 6 -理由 請求原因について被告栄泰に対する請求関係では,請求原因事実について当事者間に争いがなく,被告Aに対する請求関係では,請求原因イの事実は当事者間に争いがなく,同アの事実については,証拠(甲1から14,29,30,32)及び弁論の全趣旨により,これを認めることができる。 よって,請求原因については理由がある。 そこで,被告らの抗弁について次に検討する。 (1)本件代物弁済解除契約の成否被告栄泰は平成9年3月に本件代物弁済解除契約が成立したと主張し,これに符合する乙イ3(被告栄泰の代表者作成の陳述書)及び乙ロ3(被告A作成の陳述書)の各記載部分がある。 しかしながら,本件代物弁済解除契約の成立を裏付けるに足りる客観的証拠は存在しない(もっとも,甲1及び2によれば,本件土地について,平成9年3月31日付けで被告Aから被告栄泰の代表者であるBに対し所有権移転登記が経由されている事実〔以下「本件所有名義の変更」という。〕が認められるが,これとても,被告栄泰に対するものではなく,また登記原因についても,これらの書証によれば,平成9年3月8日付け売買とあることが認められるに過ぎないから,上記客観的証拠たり得ない。)うえ,次に述べるところによれば,上記各陳述書の記載部分もたやすく信用することはできず,他に本件代物弁済解除契約の成立を認めるに足りる証拠はない。 ア上記各陳述書によれば,本件代物弁済解除契約をするに至った経緯として次の事情が記載されている。すなわち,被告Aは平成元年に被告栄泰に対し合計6000万円(本件貸金)を貸し付けていた(本件消費貸借契約)ところ,その返済として被告栄泰が受領する- 7 - 経緯として次の事情が記載されている。すなわち,被告Aは平成元年に被告栄泰に対し合計6000万円(本件貸金)を貸し付けていた(本件消費貸借契約)ところ,その返済として被告栄泰が受領する- 7 -競売の配当金を予定していたにもかかわらず,これが後に配当異議訴訟を提起されたために受領できなくなったことから,被告栄泰より本件土地の代物弁済を受け(本件代物弁済契約),本件土地を原告に買い取らせてその代金から上記貸金を回収することを計画していたところ,平成9年1月に原告から買取りに応じない旨の最終的回答が届いたことから,Bより原告に対し裁判をするしかない旨の話があり,これを断り,本件貸金の返済を求めるため,本件土地の所有名義を戻したうえ同土地について抵当権設定を受けることを提案し,Bとの間にその旨の合意をして,それぞれの登記に必要な委任状等の関係書類を当時Bに渡した,というものである。 しかしながら,これが真実であるとすれば,本件代物弁済解除契約と本件抵当権設定契約とは密接不可分の関係にあることになり,両者が同時に履行されるべきが自然であるにもかかわらず,平成9年3月31日付けで所有名義のみの変更がなされたに過ぎず,本件抵当権設定登記は,当事者間に争いのない事実(被告Aに対する請求関係の請求原因イの事実及び再抗弁(1)の事実)によれば,前訴訟の最終口頭弁論期日(控訴審の第一回口頭弁論期日)後まで経由されておらず,前訴訟の控訴審の判決についても被告栄泰が敗訴する蓋然性が高いとみられるようになった時期にはじめて経由されていることが明らかである。この点について,乙イ3(B作成の陳述書)においては,登記費用の負担を惜しんだことや被告AとBが近しい関係にあったことからつい甘えてしまった等の弁解をしている記載部分があるが,上記本件代物弁済解除契約 点について,乙イ3(B作成の陳述書)においては,登記費用の負担を惜しんだことや被告AとBが近しい関係にあったことからつい甘えてしまった等の弁解をしている記載部分があるが,上記本件代物弁済解除契約をするに至った経緯として記載されている部分と対比し,また前訴訟の第一審段階で原告が時効取得を援用していることから,対抗要件として本件抵当権設定登記が必要になることは遅くともその段階で予見することが- 8 -できたであろうこと,被告Aとしても,本件土地の抵当権者であるというなら本件所有名義の変更とともに本件抵当権設定登記が経由されたか否かについては,権利者として遅滞なく確認しておいてしかるべきところ,前訴訟が係属したことを知りながら(乙ロ3)本件抵当権設定登記が経由された平成13年8月22日の直前ころまでその確認をせずに放置していたということ自体も極めて不自然であるというほかはないこと等に照らせば,到底首肯するに足りる弁解であるということはできない。そうすると,上記各陳述書の記載部分が真実であるかどうかについては,多分に疑わしいといわざるを得ない。 イ甲28(Bの前訴訟第一審における本人尋問調書31ないし33頁)によれば,上記第一審における被告栄泰代表者本人尋問の際,被告Bは,本件所有名義の変更について,被告Aから名義を変更して自己のために訴訟を提起する(すなわち訴訟信託ということになる。)ように依頼を受けたためである旨供述していることが認められ,これによれば,本件代物弁済解除契約の成立とは相容れないというべきである。 しかしながら,上記のとおり,B自身が作成した陳述書である乙イ3によれば,上記のとおりこれとは明らかに異なる内容となっているのであるから,B自身が,上記第一審における供述とは異なる事実をこの陳述書に記載していることが明 おり,B自身が作成した陳述書である乙イ3によれば,上記のとおりこれとは明らかに異なる内容となっているのであるから,B自身が,上記第一審における供述とは異なる事実をこの陳述書に記載していることが明らかである。 (2)本件抵当権設定契約の成否被告Aは本件抵当権設定契約が成立したと主張し,これに符合する乙イ2(抵当権設定契約証書)並びに上記各陳述書及び乙イ4(司法書士作成の陳述書)の記載部分がある。 しかしながら,上記(1)において述べたところによれば,B及び被- 9 -告A作成にかかる上記各陳述書の記載部分は信用しがたく,したがって本件代物弁済解除契約の成立を認めるには足りないから,同契約と不可分一体をなすとみられる本件抵当権設定契約の成立についても,なおこれを認めがたいところではあるが,さらにこれに加えて次の事情によれば,これらの書証はたやすく信用することができず,他に本件抵当権設定契約の成立を認めるに足りる証拠はない。 ア本件抵当権設定契約の成立についての客観証拠とみられる上記乙イ2の信用性について検討する。この契約証書は抵当権設定登記を経由するための関係書類にあたるといわざるを得ないから,上記Bらの陳述書によれば,これは本件所有名義の変更のための関係書類と同時に被告AからBに渡されていることになるが,仮にそうであるとすれば,本件所有名義の変更がなされた平成9年3月31日よりかなり前の作成日付を記載するのが当然である(登記申請の準備段階から,その後になされるその登記日付〔本件所有名義がなされた日〕を確定しがたいうえ,本件の場合,関係書類に台湾在住である被告Aの署名,捺印を得る必要があるとみられるからである。現に本件所有名義の変更については,甲1及び2によれば,不動産登記上,登記原因として平成9年3月8日売買と表示されている 書類に台湾在住である被告Aの署名,捺印を得る必要があるとみられるからである。現に本件所有名義の変更については,甲1及び2によれば,不動産登記上,登記原因として平成9年3月8日売買と表示されていることが認められるから,関係書類の日付がその売買の日と同一日であった可能性を窺わせる。)にもかかわらず,本件所有名義の日と同一の日が記載されており,このことは,その名義変更の日が後日判明した後に,その変更の日と同一の日を契約証書に記載した疑いを生じさせる。 イ本件抵当権設定登記の申請代理人であるCから原告代理人が事情聴取した内容を記載している甲36によれば,C司法書士は,本件抵当権設定登記申請の添付書類である委任状について,その登記申- 10 -請日である平成13年8月22日の前1か月位の間に,C司法書士が印字部分を作成してBに渡し,その後Bと被告Aの署名捺印がなされてC司法書士に戻されたものであること,またC司法書士はその作成時期については言及を避けているものの,上記委任状と同じく上記抵当権設定登記申請の添付書類とされた上記契約証書の印字部分をC司法書士が作成した旨の記載部分がある。そうすると,同契約証書についても,平成13年8月22日の前1か月位の間に作成されたとの疑いを払拭することはできない。 もっとも,被告栄泰は,甲36が原告から提出された後にC司法書士作成の陳述書(乙イ4)を提出し,その中には,甲36とは異なり,同契約証書の印字部分作成時期について平成9年2月か3月ころであること及び抵当権設定登記の委任状についてはそのころ(印字部分を)作成してBに送付したが,その後平成10年3月27日のC司法書士事務所の移転に伴って受任者の住所を変更した委任状(印字部分)を作成しBに送付した旨の記載部分がある。しかしながら,甲36中にはそ を)作成してBに送付したが,その後平成10年3月27日のC司法書士事務所の移転に伴って受任者の住所を変更した委任状(印字部分)を作成しBに送付した旨の記載部分がある。しかしながら,甲36中にはそのように事務所の移転に伴って委任状を取り直したとの指摘はなく,しかも上記契約証書の印字部分の作成時期についてことさら触れていなかったものを,その後甲36が提出されるに至ってその時期を明示した乙イ4が作成されていること,被告A及びBの上記陳述書には,本件抵当権設定登記申請に必要な委任状について,平成9年ころ作成しBに渡したものを,その後登記申請の代理人である司法書士の事務所の移転に伴って改めて作成し,出し直したとする旨を窺わせる記載部分は一切ない(乙イ3,乙ロ3)こと,委任状には委任者の捨印が押捺されているのが通常であり(本件ではこれと異なり捨印が押捺されていないことを窺わせる証拠はない。),委任する司法書士事務所の変更だけであれば,- 11 -わさわざ改めて委任状を取り直すのは不自然であること,以上が明らかであるから,果たして乙イ4の上記記載部分が真実に合致するものか否か疑いの残るところであり,かえって,上記B及び被告Aの陳述書内容と上記司法書士からの事情聴取内容を記載した甲36との矛盾点を指摘し,Bらの陳述書や乙イ2の信用性について弾劾する原告の平成15年1月8日付け準備書面(4)を受けて,その後同月27日付けで乙イ4が作成され,被告栄泰から提出されている(記録上明らかである。)ことからも,同証に作為が加わった疑念を生じさせる。 結論 以上の次第で,被告らの抗弁は,その余の点について判断するまでもなく失当であるから,原告の本訴請求はいずれも理由がある。 よって,同請求を認容することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,6 以上の次第で,被告らの抗弁は,その余の点について判断するまでもなく失当であるから,原告の本訴請求はいずれも理由がある。 よって,同請求を認容することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,65条1項を適用して,主文のとおり判決する。 函館地方裁判所民事部裁判官堀内明- 12 -物件目録 所在函館市a一丁目地番3番158地目雑種地地積318平方メートル 所在函館市a一丁目地番7番4地目雑種地地積443平方メートル

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