主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,797万円及びこれに対する平成12年5月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人は,被控訴人に対し,2357万1547円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員を支払え。 4 控訴人のその余の請求及び被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを10分し,その9を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 6 この判決第2,3項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 (2)被控訴人は,控訴人に対し,6598万2000円及びこれに対する平成12年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 被控訴人の請求を棄却する。 (4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 (5) 仮執行宣言((2)につき) 2 被控訴人(1) 本件控訴を棄却する。 (2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 訴訟の経過等本件は,控訴人が,被控訴人との間にフランチャイズ契約を締結して「Ac店」を経営したことに関し,被控訴人には同契約締結段階において控訴人に対して正確で信頼できる売上予測等の情報を提供すべき信義則上の義務があったのに,これに違反して不正確で信頼のできない情報を提供し,かえって,被控訴人の担当者は同情報が正確で信頼できるものである旨告げたため,その旨誤信して同契約を締結し,同契約に基づき同店を経営したところ,多額の損害を被ったと主張して,被控訴人に対し,債務不履行としての情報提供義務違反による損害賠償請求権又は詐欺による不法行為に基 ,その旨誤信して同契約を締結し,同契約に基づき同店を経営したところ,多額の損害を被ったと主張して,被控訴人に対し,債務不履行としての情報提供義務違反による損害賠償請求権又は詐欺による不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,8282万8000円及びこれに対する平成12年5月1日(同店の営業を廃止した日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める訴訟(原審平成12年(ワ)第242号損害賠償等請求事件。以下「甲事件」という。)と,被控訴人が,控訴人に対し,同契約に基づき,保証金50万円の返還債務と相殺後の同契約に基づく立替金等債権残2980万0069円及びこれに対する平成12年9月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで約定利率年11パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める訴訟(原審平成12年(ワ)第666号商品代金等請求事件。以下「乙事件」という。)とが併合審理された事案の控訴審である(なお,乙事件では,被控訴人は,Eが同契約に基づき控訴人が負担する債務を保証したとして,同人も被告として上記金員の控訴人との連帯支払を求めていたが,控訴審における和解により,同人と被控訴人間の訴訟は終了したので,その記載を省略した。)。 原審は,甲事件については,被控訴人に情報提供義務違反があったことを認めたものの,同違反による損害の発生が認められないとの理由で控訴人の請求を棄却し,乙事件については,被控訴人の請求を,2979万3527円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員の支払を求める限度で認容し,その余を棄却したところ,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 控訴審において,控訴人は,その請求を前記第1,1(2)のとおり減縮し,また,被控訴人は,控訴審の和解に を求める限度で認容し,その余を棄却したところ,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起した。 控訴審において,控訴人は,その請求を前記第1,1(2)のとおり減縮し,また,被控訴人は,控訴審の和解に基づいてEから支払を受けた600万円を原判決が認容した金員の元金に充当したとして,その請求を「2379万3527円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員」に減縮した。 2 主要な争点《甲事件につき》(1) 情報提供義務違反の有無(2) 詐欺による不法行為の成否(3) 控訴人の損害の有無及び額《乙事件につき》被控訴人主張の債権の有無等 3 略語等以下において,略語は,特に断わらない限りは,原判決のそれに準じるが,引用する原判決中の「F」,「G」はそれぞれ「控訴人」,「被控訴人」と読み替えるものとする。 第3 当事者の主張 1 次の2項のとおり原判決を補正し,3項及び4項のとおり当審における主張を付加するほかは,原判決の事実欄の第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正(1) 原判決5頁5,6行目の「確率された」を「確立された」と,同22行目の「フランンチャイジー」を「フランチャイジー」と,それぞれ改める。 (2) 原判決12頁12行目から13頁1行目までを次のとおり改める。 「(6) 損害控訴人は,被控訴人の情報提供義務違反又は詐欺による不法行為により,アの営業損失分5898万2000円とウの保証金分700万円の合計6598万2000円の損害を被った。 ア営業損失控訴人は,被控訴人の情報提供義務違反等により昭和61年4月1日からc店で営業を開始したが,同店の売上実績は,別紙甲「損益計算書」に記載のとおり,被控訴人の提供した予想売上を大幅に下回り,損失が続き,昭和63年 訴人の情報提供義務違反等により昭和61年4月1日からc店で営業を開始したが,同店の売上実績は,別紙甲「損益計算書」に記載のとおり,被控訴人の提供した予想売上を大幅に下回り,損失が続き,昭和63年には利益が出たものの,年間5万円程度のわずかな額であり,損失が累積し,金融機関からの借入金も嵩む状態となっていた。 控訴人は,被控訴人からの勧めがあって,上記のような状況を打開するために,c店の売却を前提として,金融機関から2700万円の融資を得て,平成2年6月に「Gd店」(以下「d店」という。)を被控訴人から譲り受けたが,被控訴人の協力を得られなかったためにc店の売却ができず,その結果,同月からc店及びd店の両店の経営を余儀なくされた。平成2年には,両店の経営で約380万円の利益が出たものの,本件フランチャイズ契約の最初の更新時期である平成3年4月当時においては,その時点を含む平成2年9月から平成3年8月までの両店の営業損失が合計600万円を超え,これに昭和61年4月からの累積損失を併せると合計970万円に達し(なお,この累積損失額は,被控訴人のした売上予測で保証されていたオーナー人件費月額30万円には遠く及ばない月額14万円程度を計上した場合の金額であるから,オーナー人件費を上記月額30万円として計算した場合の累積損失額は当然上記970万円を上回ることになる。),また,控訴人が金融機関及び被控訴人に対して負担する債務額は3700万円を超えていた。控訴人は,本件フランチャイズ契約締結時には予想さえできなかった多額の累積損失と負債を抱えた上,年齢等もあって再就職してその収入でこれらを返済等する目途もたたないことから,上記多額の負債等の返済を可能とするための方途としては本件フランチャイズ契約を更新するよりほかの選択はなく(すなわち,これを更 もあって再就職してその収入でこれらを返済等する目途もたたないことから,上記多額の負債等の返済を可能とするための方途としては本件フランチャイズ契約を更新するよりほかの選択はなく(すなわち,これを更新するか,更新しないかについての選択の自由は控訴人にはなかった。),やむなくこれを更新した。本件フランチャイズ契約は,平成8年4月にも,更新されたが,同更新時において控訴人が置かれていた状況は,別紙甲「損益計算書」から明らかなように多額の累積損失を抱え,また,金融機関等に負担する債務が3100万円となっていて,平成3年4月の更新時の時と変わりがない状態であり,控訴人には,上記と同様の理由で本件フランチャイズ契約を更新するよりほかの選択はなかった。 したがって,控訴人がc店及びd店を経営した昭和61年4月1日から平成12年8月31日までに生じた経営上の損失は,平成3年4月及び平成8年4月の更新後のものも含めて,すべて被控訴人の情報提供義務違反等により生じた損害であるところ,その合計額は,別紙甲「損益計算書」のとおり5898万2000円である。 イオーナー人件費の経費性について被控訴人は,本件フランチャイズ契約に際し,控訴人に対し,売上予測により月30万円のオーナー人件費の確保がされることを保証した。そして,コンビニエンスストアの経営は,オーナーの中途半端な経営関与でまかなえず,オーナーはその生活をかけて,その経営に当たることが予定されているのであり,本件フランチャイズ契約でもそうであったのであるから,本件フランチャイズ契約におけるオーナー人件費は,オーナーである控訴人の生活費を意味し,その分を経費として計上して損益計算がされるべきことは当然のことである。」(3) 原判決13頁3行目冒頭に「(ア)」を加え,同4行目を次のとおり改める。 「てい ーナーである控訴人の生活費を意味し,その分を経費として計上して損益計算がされるべきことは当然のことである。」(3) 原判決13頁3行目冒頭に「(ア)」を加え,同4行目を次のとおり改める。 「ていることから明らかなように,被控訴人は,控訴人に対し,c店を止める時には保証金700万円を回収することができる旨約束した。」(4) 原判決13頁16行目と17行目の間に次のとおり加える。 「(イ) 仮に保証金700万円の回収約束が成立していないとしても,控訴人が保証金700万円の返還を受けられなかったことは,被控訴人の情報提供義務違反と相当因果関係にある損害であるから,被控訴人には同損害を賠償する責任がある。 すなわち,控訴人がc店を開設することを決め,そのためにHとの間で建物(店舗)賃貸借契約を締結し,Hに保証金700万円を預託したものであるところ,控訴人が当初の契約期間を越えて同賃貸借契約を更新しなければならなかった経過は上記アで主張したとおりであって,控訴人の自由な意思によるものではなく,被控訴人から提供された誤った情報の結果としてやむなくされたものであるから,Hから同保証金を回収できないことは,同賃貸借契約の効果ではあっても,そのような事態となったのは被控訴人の情報提供義務違反の結果なのである。このことは,仮に被控訴人が誤った情報を控訴人に提供していなければ,控訴人は,被控訴人と本件フランチャイズ契約を締結することはなく,そうすれば,c店開店のために同賃貸借契約を締結して同保証金を預託することはなく,また,その経営により多額の負債等を抱えることもなく,したがって,これを整理するために本件フランチャイズ契約を更新し,同賃貸借契約を更新する必要もなかったことから明らかである。」(5) 原判決13頁18行目の「金8282万8000円」を「6 もなく,したがって,これを整理するために本件フランチャイズ契約を更新し,同賃貸借契約を更新する必要もなかったことから明らかである。」(5) 原判決13頁18行目の「金8282万8000円」を「6598万2000円」と改める。 (6) 原判決18頁8,9行目の「解約した。」を「解約し,これにより同契約は同日をもって終了した。」と改める。 (7) 原判決19頁14行目の「清算金」を「精算金」と改める。 (8) 原判決19頁24行目の「リース解約金」の次に,次のとおり加える。 「(本件更新フランチャイズ契約25条2項による再リース料の3回分。なお,控訴人と被控訴人間のリース契約は,乙5の1,2のとおり期間満了後更新されることになっており,更新後のリース料である再リース料は当初リース契約の月額リース料の12分の1とされている。)」 3 甲事件に関する当審主張(1) 控訴人の主張ア本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約が定める被控訴人の指導援助等保護義務の内容(ア) 本件フランチャイズ契約は,被控訴人が控訴人に対し,「店舗建設あるいは改築,改装に関する指導援助」,「売場構成,商品配置,陳列設備,販売用機械に関する指導援助」,「設備のリース制度の利用」,「商品供給,情報提供」,「教育研修に関する指導援助」等を行い(8条),「仕入先および商品の推奨」,「被控訴人が妥当と考える標準的小売価格についての助言」,「被控訴人および推奨仕入先からの販売促進情報の提供」,「被控訴人の担当者の定期的巡回,その他販売に関する継続的指導,助言」のサービスないし援助をして,控訴人の販売に協力する(9条)と定めている。そして,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導援助,販売協力及び権利の許諾の対価として,毎月決済時にロイヤリティを支払う旨定めているので し援助をして,控訴人の販売に協力する(9条)と定めている。そして,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導援助,販売協力及び権利の許諾の対価として,毎月決済時にロイヤリティを支払う旨定めているのである(11条)。 また,本件更新フランチャイズ契約も,被控訴人が控訴人に対し,控訴人が必要とする指導及び援助として,「店舗投資資金または運転資金の借入斡旋」,「売場構成,品揃え,陳列に関する指導・援助」,「経営計画の作成に関する指導・援助」,「開店前および開店後の教育および訓練」,「商品供給に関する指導・援助」を行うと定めている(8条1項)。そして,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導・援助・販売協力および権利の許諾の対価として,ロイヤリティを支払う旨定めている(11条)。 (イ) ところで,フランチャイジーは,フランチャイザーとコンビニエンスストアの契約を結ぶ際,その売上げで生活の糧を得ることを目的としている。そのことはフランチャイザーも十分に承知している。したがって,フランチャイザーとしては,高額なロイヤリティの見返りとして,フランチャイジーが店の経営によって自活していけるように,言い換えるとフランチャイジーの生活費が保証されるように,売上確保にむけて営業上の援助,助言,指導をする義務があるというべきである。 イ被控訴人の指導援助等保護義務違反(ア) 更新前の指導援助等保護義務違反控訴人は本件フランチャイズ契約の更新前から低迷する売上げを伸ばすために様々な経営努力(たばこ販売免許の取得,営業日及び営業時間を年中無休の24時間営業に切り換えること,深夜から朝は毎日オーナーである控訴人が店に出るなどして人件費を抑えること,酒販免許の取得,自家用車の売却や銀行からの借り入れなどによる運転資金の調達等の経営努力)をした。ところが 切り換えること,深夜から朝は毎日オーナーである控訴人が店に出るなどして人件費を抑えること,酒販免許の取得,自家用車の売却や銀行からの借り入れなどによる運転資金の調達等の経営努力)をした。ところが,この間,被控訴人は,控訴人からロイヤリティの支払を受けながら,控訴人に対して全く何の指導援助もしなかった。被控訴人は,他のコンビニチェーン店のようにテレビ,ラジオ,雑誌,チラシなどで宣伝することもせず,地域特性や顧客特性などによるc店の売れ筋商品を割り出してその売上げを強化する工夫をするなどの同店の売上げを底上げするための企画を立案することもしなかった。昭和63年10月12日にc店で強盗事件が発生したが,その際ですら被控訴人は全く何の対応もしなかった。そして,被控訴人は,「清掃,接客,チャンスロスをなくす」と控訴人に言うだけであった。 (イ) 更新後の指導援助等保護義務違反c店の近くには次のとおり数多くの競合店が出店した。すなわち,平成3年8月には「J1e店」,平成4年1月には「J1f店」,平成4年8月には「J2」,平成5年8月には「J3g店」,平成6年9月には「J4」が次々と開店した。また,平成10年4月には「J5c店」,平成11年5月には「J6h店」が開店した。そして,d店の近くにも,平成5年以降,毎年のように「J1d店」,「J1k店」などの競合店が開店し,また,平成9年には「J6m1丁目店」,平成10年には「J7m店」などが開店した。 このような競合店は,強大な資本力や情報力を背景に事業展開をしているため,被控訴人が,その資本力や情報力,様々なノウハウを駆使して,控訴人に対する指導援助をするのでなければ到底太刀打ちできないものであった。ところが,被控訴人は,このような競合店の出現に対しても,控訴人に何らの指導援助もせず,ただ「清掃, なノウハウを駆使して,控訴人に対する指導援助をするのでなければ到底太刀打ちできないものであった。ところが,被控訴人は,このような競合店の出現に対しても,控訴人に何らの指導援助もせず,ただ「清掃,接客,チャンスロスをなくす」と言うのみであった。 控訴人としては,上記のような厳しい環境変化に対応すべく,新しい商品の取り入れ,在庫を豊富に揃える,新しい日付の商品を置くよう心がける,競合店のオープンに合わせてイベントを実施する等の様々な工夫をし,また,日曜も祭日も働き続け,正月や盆もなく働いたが,このような控訴人の努力にもかかわらず,被控訴人による企画・広告・宣伝等の協力がないため,売上げの低下を避けることはできなかった。そのため,営業損失は数千万円規模に拡大し,控訴人はついに店舗経営を断念し,平成10年12月にd店を閉店し,平成12年4月にc店を閉店した。 (ウ) 被控訴人は,被控訴人の推奨指定業者の納入遅延や商品への異物混入等の問題が生じた際にも,何ら適切な対応をしなかった。 すなわち,フランチャイジーがフランチャイザーの推奨指定業者から商品(例えば,パン,弁当など)を購入している場合,かかる指定業者が度々納入遅延をし,そのために,フランチャイジーが損害を被った場合,フランチャイザーとしては,推奨指定業者に対し,その原因を究明し,納入遅延が度重なってフランチャイジーに損害を与えないように,注意,警告をするなど,適切な措置をすべきである。控訴人は,被控訴人の推奨指定業者であるK1やK2からパンや弁当などの仕入れをしていたところ,度々商品の納入が遅れたため,その都度,被控訴人に改善のため対処を依頼したが,適切な措置をせず,控訴人に多大な損害が生じた。これは,被控訴人の明らかな保護義務違反である。 また,フランチャイジーがフランチャイザーの推 れたため,その都度,被控訴人に改善のため対処を依頼したが,適切な措置をせず,控訴人に多大な損害が生じた。これは,被控訴人の明らかな保護義務違反である。 また,フランチャイジーがフランチャイザーの推奨指定業者から商品を仕入れている場合に,その商品に異物混入等の問題が度々発生し,フランチャイジーが損害を被っている場合,フランチャイザーとしては,推奨指定業者に対し,原因究明や改善方を求めるなど適切な措置をとるべきである。ところが,控訴人が被控訴人の推奨指定業者から仕入れた米飯,惣菜,ケーキ,デザート,パン,乳飲料等の商品について髪の毛,ゴキブリ,小バエ,カビ,針等の混入が毎年発生していたため,控訴人は,被控訴人に対し,改善方を求めたが,被控訴人は何ら適切な対応をしなかった。これは,被控訴人の明らかな保護義務違反である。 ウ以上のとおり,被控訴人は,高額なロイヤリティを取得しながら,控訴人経営の店舗の売上確保のために行うべき指導援助等を怠り,控訴人に多大な赤字・負債を生じさせて閉店に追い込んだものである。 したがって,仮に本件更新フランチャイズ契約以後の営業損失が被控訴人の情報提供義務違反によって生じた損害といえないとしても,被控訴人には本件更新フランチャイズ契約により控訴人に負担する指導援助等保護義務の不履行があり,本件更新フランチャイズ契約後の営業損失は同義務違反によって生じたものであるから,被控訴人には,同損失による控訴人の損害を賠償する責任がある。 (2) 被控訴人の主張ア時機に後れた攻撃防御方法の却下申立て控訴人が,控訴審において,経営上の損失による損害として,原審における原判決別紙「決算損益表」による損害主張を改めて,別紙甲「損益計算書」による損害を主張することは,明らかに時機に後れた攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完 営上の損失による損害として,原審における原判決別紙「決算損益表」による損害主張を改めて,別紙甲「損益計算書」による損害を主張することは,明らかに時機に後れた攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完結を遅延させるものであるから,却下を求める。 イ控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」による損失について控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」の数額は,原審と異なっているところ,控訴人経営のc店は,開店当初こそ赤字であったものの,時の経過とともに黒字に転じ,そのため,控訴人は,平成2年6月にはd店を購入し,また,平成4年には自宅を新築したほどであった上,控訴人が控訴審で主張する別紙甲「損益計算書」の数額の算出根拠は,一方的な資料に基づくものであって,むしろ架空の経費を計上している疑いすらあるから,到底信用できない。 ウ本件賃貸借契約の際の保証金について本件賃貸借契約は,控訴人の判断で更新されて継続された結果,控訴人が本件賃貸借契約締結の際にHに差し入れた保証金700万円が同契約の条項に従って償却されて,その返還請求権が消滅したのであるから,控訴人が主張する情報提供義務違反による損害には当たらない。 エ控訴人の指導援助等保護義務違反の主張について被控訴人は,控訴人がc店開店後,しばしば人員を派遣して店舗経営及び販売等を具体的に応援し,従業員に対する接客態度の指導及び商品陳列方法等の詳細の指導を繰り返し,また,販売促進費用を投入して宣伝等に務め,その結果控訴人の経営実績に反映した。このことは,控訴人が多額の資金を投下して,平成2年6月に新たにd店を購入し,また,平成4年11月ころに自宅を新築したことからも明らかである。 また,被控訴人は,フランチャイズ契約にある店舗に対して商品を納入する業者が,常に納入時期を厳格に堅持して,品質 新たにd店を購入し,また,平成4年11月ころに自宅を新築したことからも明らかである。 また,被控訴人は,フランチャイズ契約にある店舗に対して商品を納入する業者が,常に納入時期を厳格に堅持して,品質を維持保全することに努力をし,納入業者による納入の遅滞やそのための品質の劣化等は生じていない。 商品の異物混入についても,もしそのような事実があれば,納入業者のみならず,製造業者にも多大の影響を与えることであるため,そのような申し入れがあれば,担当者はもちろん,被控訴人を挙げてその対策を講じるはずであるが,控訴人がフランチャイジーとして店舗を経営していた期間中に控訴人からそのような申し入れはなかった。 なお,オーナー人件費は,経営予測に当たって,経営者にどの程度の収入が予想されるかを検討するために算出したものであって,経営者の利益を保証するものではない。 4 乙事件に関する当審主張(1) 控訴人の主張ア被控訴人請求の商品代金について被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として主張する2847万7370円のうち商品代金分の額は不明であるが,少なくとも次の額は控除されるべきである。 (ア) 納品書不存在分294万0220円被控訴人本部から納品伝票がないのに請求書のみで控訴人に請求している分294万0220円は,被控訴人請求の商品代金分から控除されるべきである。 (イ) 米飯値引分337万3848円被控訴人では,米飯値引率が他のフランチャイズチェーンに比べて売価(小売価格)の5パーセント低いことが発覚し,そのため,平成元年6月から米飯値引戻し分が被控訴人から控訴人に支払われるようになった。しかし,昭和61年4月分から平成元年5月分までの米飯値引戻しがされていないところ,同期間の米飯値引戻し額 し,そのため,平成元年6月から米飯値引戻し分が被控訴人から控訴人に支払われるようになった。しかし,昭和61年4月分から平成元年5月分までの米飯値引戻しがされていないところ,同期間の米飯値引戻し額を計算すると,その額は別紙乙「米飯値引について」表1のとおり184万7848円となる。 また,平成元年6月分から平成4年12月分については売価の5パーセントの米飯値引戻し分が支払われたが,平成5年1月分から平成6年12月分については,被控訴人から何の説明もないまま,売価の3ないし4パーセントの米飯値引戻し分しか控訴人に支払われず,平成7年1月分から平成12年4月分については,仕入価格の2.78パーセントの米飯値引戻し分しか控訴人に支払われていない。しかし,平成元年6月分から平成4年12月分の米飯値引戻しは売価の5パーセント,平成7年1月分から平成12年4月分の米飯値引戻しは少なくとも売価の2.78パーセントでされるべきであり,上記期間の米飯値引戻し不足額を計算すると,その額は別紙乙「米飯値引について」表2のとおり152万6000円となる。 したがって,被控訴人請求の商品代金分から上記184万7848円と152万6000円の合計337万3848円が控除されるべきである。 (ウ) 信義則違反又は権利濫用控訴人は,被控訴人からの誤った情報提供により本件フランチャイズ契約を締結し,c店等を開店し,その結果多額の負債を抱え,その精算のために平成3年及び平成8年に同契約を更新せざるを得ない状況で同契約を更新して,営業を継続したのであるが,被控訴人は,控訴人から多額のロイヤリティの支払を受けながら,適切な指導援助をしないため,控訴人の営業損失は一層拡大し,そのため被控訴人に対して支払うべき商品代金の支払ができない状態となったのである。このように,控訴人が被 のロイヤリティの支払を受けながら,適切な指導援助をしないため,控訴人の営業損失は一層拡大し,そのため被控訴人に対して支払うべき商品代金の支払ができない状態となったのである。このように,控訴人が被控訴人に対する商品代金の支払ができなくなった原因は,ひとえに被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反にあるのであり,それにもかかわらず,被控訴人が控訴人に対して商品代金を請求することは,信義則に反し,権利の濫用に当たる。 イロイヤリティについて(ア) 被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として請求する2847万7370円のうちロイヤリティ分の額は不明である上,被控訴人には指導援助等保護義務違反があるから,その対価としてのロイヤリティを請求することはできない。 すなわち,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約は,その11条において,控訴人は,被控訴人が継続的に与える指導・援助・販売協力及び権利の許諾の対価として,ロイヤリティを支払う旨定めているが,被控訴人が何らの指導援助等を行わなかったことは,甲事件において主張したとおりである。 (イ) また,被控訴人は,控訴人に対し,ロイヤリティ率が他のフランチャイズ契約に比べて低いから,利益が出るとのみ説明し,控訴人はこれを信用して本件フランチャイズ契約を締結した。しかし,被控訴人のロイヤリティ率は,ロイヤリティ名目で徴収する率としては他のフランチャイズ契約に比べて低いが,反面,他のフランチャイズ契約に比べて,フランチャイザーがフランチャイジーに商品を卸すときの代金の値引率を5パーセント低くし,その分を被控訴人が取得する仕組みにしている(控訴人が被控訴人のフランチャイジーとして被控訴人から買い受けた商品代金の総額は14億1 ンチャイジーに商品を卸すときの代金の値引率を5パーセント低くし,その分を被控訴人が取得する仕組みにしている(控訴人が被控訴人のフランチャイジーとして被控訴人から買い受けた商品代金の総額は14億1934万4000円となるので,その5パーセントに相当する7096万7000円を被控訴人は上記値引率の調整で取得していることになる。)。加えて,被控訴人は,控訴人が独力で販売免許を取得したたばこ及び酒の販売に係る売上げからもロイヤリティを受け取っている。 このように,被控訴人は,値引率の調整等の方法によって実質的には他のフランチャイジーと比べて遜色ないロイヤリティを既に取得しているから,さらに被控訴人が控訴人に未払のロイヤリティを請求することは信義則に反して許されない。 ウ本部請求金について被控訴人が商品代金,ロイヤリティ及び本部請求金を本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として請求する2847万7370円のうち本部請求金の額が不明であり,また,被控訴人が本部請求金として請求する「保険料,看板代,室内装飾品代,棚卸手数料,修理代,収納預り金,PRテープ代等」の内訳も不明である上,控訴人がその支払をすることができなくなった原因は,上記ア(ウ)のとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反にあるのであり,それにもかかわらず,被控訴人が控訴人に対して本部請求分を請求することは,信義則に反し,権利の濫用に当たる。 エ本件更新フランチャイズ契約の解約に伴う精算金について(ア) 被控訴人請求のリース料残金22万1980円及びリース解約金2万4664円被控訴人が請求するリース料残金22万1980円は,支払済みである。 すなわち,毎月の支払が6万3046円のリース分については,平成9年2月25日をもって既にリース契約は終了し,したが 万4664円被控訴人が請求するリース料残金22万1980円は,支払済みである。 すなわち,毎月の支払が6万3046円のリース分については,平成9年2月25日をもって既にリース契約は終了し,したがって,リース解約金が発生することはあり得ない。また,毎月の支払が8221円のリース分についても,平成14年9月25日にリース料の支払は完了し,同月29日にリース期間満了となっているから,リース解約金が発生することはあり得ない。 (イ) 被控訴人請求の中途解約金121万9680円控訴人による本件更新フランチャイズ契約の解約は,甲事件において主張したとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反による営業継続不能が原因であるから,「控訴人の自己都合による中途解約」には当たらないし,被控訴人が,上記のような情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反をしていながら,控訴人に対して,中途解約金を請求することは信義則に反して許されない。 また,そもそも,本件更新フランチャイズ契約中の中途解約金の支払を内容とする中途解約条項は,フランチャイジーである控訴人の無知に乗じた不当な条項であり,被控訴人が,上記のような情報提供義務違反により,控訴人に本件フランチャイズ契約を締結させた経緯に照しても,公序良俗に反して無効である。 (ウ) 外装看板代8万0225円及びPOSレジスター等撤去費用27万6150円控訴人による本件更新フランチャイズ契約の解約は,甲事件において主張したとおり,被控訴人の情報提供義務違反及び指導援助等保護義務違反による営業継続不能が原因であり,控訴人の自由な意思によるものではなかったから,このような事情に照せば,被控訴人が控訴人に対して外装看板代及びPOSレジスター等撤去費用を請求することは信義則に反し,権利を濫用するもので,許 あり,控訴人の自由な意思によるものではなかったから,このような事情に照せば,被控訴人が控訴人に対して外装看板代及びPOSレジスター等撤去費用を請求することは信義則に反し,権利を濫用するもので,許されない。 (2) 被控訴人の主張ア時機に後れた攻撃防御方法の却下申立て控訴人が,控訴審において,上記のような主張をすることは,明らかに時機に後れた攻撃防御方法であり,これにより訴訟の完結を遅延させるものであるから,却下を求める。 イ控訴人の上記主張はすべて否認する。 控訴人の請求による解約に伴う精算として,被控訴人は,本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等について,当時の会計記録に基づいてコンピューターにより平成11年12月31日現在の残高を算出し,控訴人は,これを承認した(乙8,10)。そして,この残高確認を基礎としてされた被控訴人の乙事件における請求について,控訴人の債務の連帯保証人であるEは,その債務の存在及び額を認めた上で,控訴審において裁判上の和解をし,後記ウのとおり,その一部を弁済しているのである。 なお,c店及びd店が属する被控訴人の金沢地区のフランチャイジーに関する納入伝票,返品伝票等のいわゆる原始記録は,すべて被控訴人名古屋地区本部事務所で一括して整理管理した後は,数年間委託倉庫会社に保管させ,その後一定期間の経過により処分させることになっているため,c店及びd店の原始記録はもはや確認できない。 ウ弁済金の受領被控訴人は,平成15年4月25日,本件更新フランチャイズ契約に基づく控訴人の債務の連帯保証人であるEから,被控訴人が乙事件で請求している債権に対する弁済として600万円の支払を受けたので,これを全額元金に充当した。 第4 甲事件における控訴人の請求についての当裁判所の判断 1 本件フランチャイズ契約締結に至 人が乙事件で請求している債権に対する弁済として600万円の支払を受けたので,これを全額元金に充当した。 第4 甲事件における控訴人の請求についての当裁判所の判断 1 本件フランチャイズ契約締結に至る経緯上記に関して当裁判所が証拠により認定する事実は,次のとおり補正するほかは,原判決の理由欄第1,1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決24頁2行目の「c店」を「後日c店が開店されることになった土地」と改める。 (2) 原判決25頁16行目の「Lは,」の次に「控訴人に対し,」を加える。 2 c店開店後の経営状態(1)証拠(甲2,7,24,42,48,49,53,76,乙2の1ないし4,乙4の1ないし3,乙11,乙15の1,乙16,証人L,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,c店開店後の経営状態について,以下の事実が認められる。 ア c店における開店から昭和61年12月までの売上げは概ね以下のとおり推移した(調査・計画書による売上予測も併せて示す。)。 (売上高) (売上予測)昭和61年4月 340万円 650万円5月 390万円6月 420万円7月 440万円 720万円8月 530万円9月 480万円10月 520万円 800万円11月 480万円12月 500万円イ控訴人は,c店開店後売上予測のように売上げが伸びず,赤字経営が続くため,昭和61年5月にはたばこ販売についての免許を取得し,同年6月からたばこ小売を始め,また,同年10月には,営業時間をそれまでの19時間から24時間に延長し,さらに,昭和62年ころから酒類販売免許の取得のため 年5月にはたばこ販売についての免許を取得し,同年6月からたばこ小売を始め,また,同年10月には,営業時間をそれまでの19時間から24時間に延長し,さらに,昭和62年ころから酒類販売免許の取得のための陳情を所轄税務署にしていたが,平成2年2月同免許を取得し,以後酒類の販売も始めた。このような控訴人の経営努力の結果,c店の売上げは,昭和61年の月額平均は約460万円であったが,昭和62年には月額平均約607万円,昭和63年には月額平均約819万円,平成元年には月額平均約1013万円と次第に増加した。 ウ控訴人は,平成2年6月29日,被控訴人から,その直営店のd店の営業を2141万1652円で譲り受けるとともに,被控訴人との間で同店に関するフランチャイズ契約を締結し,以後c店とd店を併せて経営するようになった(乙2の1,2,乙15の1)。 また,控訴人は,平成2年9月ころ,c店及びd店の経営を目的として「有限会社M」(以下「訴外会社」という。)を設立して,その代表取締役となり,同月以降,c店及びd店の営業を訴外会社が引き継ぎ,訴外会社がc店及びd店を経営し,その収支は訴外会社の経営実績における損益計算の一部となった。 上記の経緯から,控訴人のc店及びd店の営業所得に関する税務申告は,平成2年6月分までは,控訴人がc店を経営することによる営業所得を内容とする所得税申告としてなされたが,同年7月及び8月は,控訴人がc店及びd店を経営することによる営業所得を内容とする所得税申告としてなされ,同年9月以降は,同月から翌年8月までを1事業年度として,訴外会社の法人税所得としてなされた。控訴人は,c店開店以来,その経理及び税務申告に関する事務をN公認会計士事務所に依頼していたが,会計帳簿も上記各目的に合わせて作成されたため,平成2年7月以降については の法人税所得としてなされた。控訴人は,c店開店以来,その経理及び税務申告に関する事務をN公認会計士事務所に依頼していたが,会計帳簿も上記各目的に合わせて作成されたため,平成2年7月以降については,c店単独の営業収支を明らかにするものは作成されなかった。 エ控訴人と被控訴人は,平成3年4月6日,本件フランチャイズ契約を更新した。本件更新フランチャイズ契約の内容は,次の(ア)ないし(ウ)の点を除き,昭和61年3月10日に締結した本件フランチャイズ契約の内容とほぼ同一であった(甲2,乙4)。 (ア) ロイヤリティa 固定ロイヤリティ(10条1項)売場面積1平方メートル当たり月額900円(c店の売場面積は88.0平方メートルとする。)とし,酒の免許を保有する場合は,売場面積1平方メートル当たり月額1100円とする。 b 変動ロイヤリティ(10条2項)月額売上高の2.5パーセント(ただし,酒,米,切手,収入印紙は売上高より除く。)(イ) 契約期間は,平成3年4月8日から平成8年4月7日までの満5年とする。 ただし,期間満了の3か月前までに控訴人又は被控訴人の一方又は双方より書面による解約の申し入れのない限り,本契約は引き続き5年間継続することとし,その後も同様とする(22条)。 (ウ) 開店後4年以上経過して,控訴人の都合により契約を中途解約しようとするとき,控訴人は,被控訴人に対し,固定ロイヤリティの12か月分並びにリース什器・備品の撤去費用,残リース料の全額及び再リース料の3回分を支払わなければ,解約することができない(25条)。 オ控訴人は,平成8年4月,再度,被控訴人との間で本件更新フランチャイズ契約を更新した。その内容は,本件更新フランチャイズ契約と同一であった。 カ控訴人又は訴外会社は,平成10年12月をもって,d店を閉店し, ,平成8年4月,再度,被控訴人との間で本件更新フランチャイズ契約を更新した。その内容は,本件更新フランチャイズ契約と同一であった。 カ控訴人又は訴外会社は,平成10年12月をもって,d店を閉店し,以後c店のみを経営していたが,控訴人は,被控訴人に対し,平成12年4月18日付け書面で本件更新フランチャイズ契約の解約を申し入れ,同月30日をもって営業を廃止し,c店を閉店した。 キ c店が開店した昭和61年4月から本件フランチャイズ契約が更新された平成3年4月の前月である同年3月までの間の同店の営業実績について,売上高,売上原価,粗利,差引損益を集計した結果は,別表「c店損益表」に記載のとおりであった(なお,上記差引損益算出に関する具体的な経過は,次の(2)で認定するとおりである。)。 (2) 上記(1)における別表「c店損益表」の差引損益の算出過程ア控訴人は,原審において,原判決別紙「決算損益表」により,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店を経営したことで生じた損失に相当する損害を被ったと主張していたが,当審においては,控訴人が本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店及びd店を経営したことで別紙甲「損益計算書」記載の営業損失が生じ,同損失に相当する損害を被ったと主張するに至ったところ,被控訴人は,上記のような主張の変更が時機に後れた攻撃防御方法の提出であるとして,民事訴訟法157条1項による却下を求める旨申し立てる。 しかし,証拠(甲42,当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,原審においては,上記のとおり,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店を経営したことで原判決別紙「決算損益表」記載の営業損失が生じてこれに相当する損害を被ったとして,c店の開店から おいては,上記のとおり,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約によりc店を経営したことで原判決別紙「決算損益表」記載の営業損失が生じてこれに相当する損害を被ったとして,c店の開店からその閉店までの期間を通じての営業損失相当額の損害を主張したこと,ところが,原判決が,控訴人主張の情報提供義務違反を認定したものの,c店の経営により損失が生じたとしても,控訴人主張の情報提供義務違反と相当因果関係のあるのは本件フランチャイズ契約が更新されるまでの期間に生じた分に限られ,その後のものは控訴人主張の情報提供義務違反と相当因果関係にある損害とはいえないとした上,本件フランチャイズ契約が更新されるまでの間のc店の経営により営業損失が生じたとの事実が認められないとの理由で,控訴人の上記損害主張を全く認めなかったこと,そのため,控訴人は,上記期間のc店の会計書類を洗い直すとともに,原判決が認めた控訴人主張の情報提供義務違反による損害について,c店及びd店を通じての営業損失相当の損害を主張する内容に改めたことが認められる。そして,本件のようなフランチャイズ契約における情報提供義務違反による損害賠償請求訴訟において,情報提供義務違反による損害に関する主張の構成は,必ずしも定型的に確立されているわけでなく,種々の構成があり得ることを考慮すると,控訴人が,原判決の結果を踏まえて,控訴審において上記のように控訴人主張の情報提供義務違反による損害に関する主張の構成を変更したことをもって,故意又は重大な過失により時機に後れて提出された攻撃方法であるとまでは認めることができない。したがって,被控訴人の上記申立ては採用しない。 イ上記(1)冒頭掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人と本件フランチャイズ契約を締結して,c店を経営し,次いで, めることができない。したがって,被控訴人の上記申立ては採用しない。 イ上記(1)冒頭掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人と本件フランチャイズ契約を締結して,c店を経営し,次いで,d店を取得して,c店とともに経営するようになり,その後本件更新フランチャイズ契約を締結する等してc店及びd店を経営していたのであるが,c店開店当初から,税務処理の会計処理は,N公認会計士事務所に依頼して行い,昭和61年度の所得税確定申告こそいわゆる白色申告で行ったものの,昭和62年度以降の個人としての所得税確定申告及び法人としての法人税確定申告は全て青色申告により行ったこと,上記のようにしてされた確定申告に関して,その内容に誤りがある等により修正申告や更正処分を受けたことはなかったことが認められるから,N公認会計士事務所が控訴人の上記確定申告のために控訴人の依頼により作成した損益計算書又は決算報告書は,会計帳簿に基づき適正に作成されたもので,その内容についても正確なものと推認され,特段の事情又は的確な立証がない限りは,損益計算書又は決算報告書の記載に関する上記推認は覆らないものと解するのが相当である。 そこで,次のウ以下において,上記観点から,c店について,その開店の昭和61年4月から本件フランチャイズ契約更新前の平成3年3月までの間の営業損失の有無等を,上記(1)冒頭掲記の証拠及び弁論の全趣旨により,別表「c店損益表」(以下「別表」という。)記載の期間毎に検討する。 ウ昭和61年4月から同年12月まで別表①の金額は,いずれも,控訴人が,昭和61年度所得税確定申告の損益計算書により主張している金額であり,これを不当とする証拠はないから,上記期間の差引損益は,別表①の同欄のとおり認める。 エ昭和62年1月から同年12月まで(ア) 控訴人は 度所得税確定申告の損益計算書により主張している金額であり,これを不当とする証拠はないから,上記期間の差引損益は,別表①の同欄のとおり認める。 エ昭和62年1月から同年12月まで(ア) 控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,控訴人作成の甲42,76(以下,一括して「損益計算陳述書」という。)には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には別紙丙1a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙1aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額3310万8905円については,甲76の資料Bの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙1aのうちの「K1」からの仕入額1583万1163円については,資料Bによれば,1539万7855円と認めるのが相当である(この1539万7855円は,資料Bの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この1539万7855円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額1583万1163円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙1a及びbの として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額1583万1163円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙1a及びbの「一般業者」からの仕入額1248万5557円については,資料Bの関係請求書等により1198万8749円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額49万6808円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙1bのうちの「仕入先業者」の「Q1,Q2タバコ」欄の1月分81万1460円のうち金額47万2320円の納品票は昭和61年12月23日付けのものであり,また,金額2万4488円の納品票は同月26日付けのものであるから,昭和61年中に納品されて請求もされている分であり,したがって,同期間の仕入額と認めることはできない。なお,上記納品票の代金については昭和62年になって支払われたものもある可能性があるが,控訴人の昭和61年度以降の確定申告は,上記イのとおり,いずれも公認会計士事務所に依頼してされているのであるから,経費の帰属すべき年度の処理については各年度とも統一的な処理をしているものと推認されるところ,これを支払基準により昭和62年度の経費に計上することは,昭和61年度の確定申告における経費計上年度についての基準を明らかにする証拠のない本件においては,重複計上のおそれがあるため,相当でない。 別紙丙1aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙1aの合計額は6049万5509円となり,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額6077万5712円を下回ることになる。 (イ) そうすると,上記イで説示した観点から,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び ,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額6077万5712円を下回ることになる。 (イ) そうすると,上記イで説示した観点から,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書により,別表②のとおり認定し,同期間の差引損益は同②の同欄のとおり認めるのが相当である。 なお,上記(ア)で検討した結果によれば,別紙丙1aの合計額は6049万5509円となって,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額6077万5712円を下回るのであるが,経費帰属年度の処理に関する相違や計上もれの可能性により,上記程度の相違は容易に生じるから,このことから,控訴人の昭和62年度所得税確定申告の損益計算書の記載の正確性を否定することまではできないというべきである。 オ昭和63年1月から同年12月まで(ア)控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,損益計算陳述書には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした昭和63年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には,別紙丙2a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙2aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額4277万9209円については,甲76の資料Cの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙2aのうちの「K1」からの仕入額2032万4901円については,添 甲76の資料Cの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙2aのうちの「K1」からの仕入額2032万4901円については,添付資料Cによれば,2014万7808円と認めるのが相当である(この2014万7808円は,資料Cの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この2014万7808円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額2032万4901円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙2a及びbの「一般業者」からの仕入額1716万5341円については,資料Cの関係請求書等により1702万5476円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額13万9865円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙2bのうちの「Q1タバコ,Q2タバコ」欄の5月分131万5240円は131万5160円の違算であり,その差額80円が過大であり,他方,同7月分138万0220円は138万0540円の違算であり,差額320円が計上不足である。そして,「U」欄の2月分10万5000円のうち9万6000円は,昭和62年12月中に納品された品物についての同月31日付け請求書であり,「V1新聞」欄の1月分2万3500円,「V2新聞」欄の1月分1万4430円,及び同5月分2万1450円のうち6175円は,いずれも,昭和62年中に納品され同年中に請求もされている分であり,したが 「V1新聞」欄の1月分2万3500円,「V2新聞」欄の1月分1万4430円,及び同5月分2万1450円のうち6175円は,いずれも,昭和62年中に納品され同年中に請求もされている分であり,したがって,これらはいずれも上記期間の仕入額と認めることはできない。なお,上記請求に係る各金額は昭和63年になって支払われたものと認められるが,控訴人の昭和61年度以降の確定申告は,上記イのとおり,いずれも公認会計士事務所に依頼してきているのであるから,経費の帰属すべき年度の処理については各年度とも統一的な処理をしているものと推認されるところ,これを支払基準により昭和63年度の経費に計上することは,昭和62年度の確定申告における経費計上についての基準を明らかにする証拠のない本件においては,重複計上のおそれがあるから,相当でない。そうすると,別紙丙2a及びbの「一般業者」からの仕入額1716万5341円は,13万9865円(-80円+320円-9万6000円-2万3500円-1万4430円-6175円)を減額する必要があるが,後記カのとおり,控訴人が後記カの期間に計上すべきものとしている11万6381円は昭和63年度に係る上記期間の「一般業者」からの仕入額に計上すべきものであるから,結局,上記期間の「一般業者」からの仕入額は1714万1857円となる。 別紙丙2aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙2aの合計額は8006万8874円となり,控訴人の昭和63年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額7742万8356円を264万0518円上回ることになる。 (イ) そうすると,上記期間の売上原価中の仕入金額を上記8006万8874円とし,総売上,売上原価のその余の金額,総経費は,控訴人の昭和63年度所得税確定申告の損 万0518円上回ることになる。 (イ) そうすると,上記期間の売上原価中の仕入金額を上記8006万8874円とし,総売上,売上原価のその余の金額,総経費は,控訴人の昭和63年度所得税確定申告の損益計算書のとおりとして,別表③のとおり認定し(売上原価欄の「80,393」は,518万7617円+8006万8874円-486万3676円=8039万2815円の千円未満を四捨五入した金額である。),同期間の差引損益は同③の同欄のとおり認めるのが相当である。 カ平成元年1月から同年12月まで(ア) 控訴人は,上記期間の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益を別紙甲のとおり主張し,損益計算陳述書には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人がした平成元年度所得税確定申告の損益計算書中の総売上及び総経費の額は同損益計算書のとおりであるも,売上原価に算入されるべき仕入金額に計上漏れがあって正確でなく,正確には別紙丙3a及びbのとおりであり,したがって,粗利益及び差引損益が別紙甲の該当欄の金額となる,というにある。 そこで検討するに,別紙丙3aのうちの「T」(被控訴人のこと)からの仕入額5557万8874円については,甲76の資料Dの各月の請求合計書の「取引先仕入高」欄の金額を合計した金額であるから,そのとおり認めることができる。 次に,別紙丙3aのうちの「K1」からの仕入額2606万4203円については,資料Dによれば,2438万6280円と認めるのが相当である(この2438万6280円は,資料Dの各月の請求合計書の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけで の「K3仕入高」の金額を合計した金額であり,控訴人が作成した甲51においても採用されている金額でもある。そして,K3からの仕入金額に関する請求書等の関係書類がすべて証拠として提出されているわけではないから,この2438万6280円が,K3からの仕入金額として正確な金額でなく,控訴人が損益計算陳述書で説明する計算方法により算出された金額2606万4203円がK3からの仕入額としてより正確であると認めることはできない。)。 次に,別紙丙3a及びbの「一般業者」からの仕入額2015万3098円については,資料Dの関係請求書等により2003万6717円の範囲で上記期間の仕入額と認めることができるが,残額11万6381円については次の理由により同期間の仕入額と認めることはできない。すなわち,別紙丙3bの「Q1タバコ,Q2タバコ」欄の5月分142万0713円は142万0712円の違算であり,その差額1円が過大である。そして,「W」欄の2月分7万1300円のうち5万5900円は,昭和63年12月中に納品された品物についての同月30日付け請求書であり,「V1新聞」欄の1月分2万3500円,「V2新聞」欄の4月分4万1815円のうち1万3000円,「V3新聞」欄の1月分2980円,「X」欄の1月分2万1000円は,いずれも,昭和63年中に納品され同年中に請求もされている分であり,したがって,これらの合計11万6381円はいずれも平成元年度に係る上記期間の仕入額と認めることはできず,昭和63年度の経費に計上すべきであり,結局,上記期間の「一般業者」からの仕入額は2003万6717円となる。 別紙丙3aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙3aの合計額は1億1871円となり,控訴人の平成元年度所得税確定申告の損益計算書中の は2003万6717円となる。 別紙丙3aの「K1」及び「一般業者」からの仕入額を上記に従って修正すると,別紙丙3aの合計額は1億1871円となり,控訴人の平成元年度所得税確定申告の損益計算書中の仕入金額9291万3872円を708万7999円上回ることになる。 (イ) そうすると,上記期間の売上原価中の仕入金額を上記1億1871円とし,総売上,売上原価のその余の金額,総経費は,控訴人の平成元年度所得税確定申告の損益計算書のとおりとして,別表④のとおり認定し(売上原価欄の「99,844」は,336万6360円+1億1871円-352万3768円=9984万4463円の千円未満を四捨五入した金額である。),同期間の差引損益は同④の同欄のとおり認めるのが相当である。 キ平成2年1月から同年8月まで(ア)損益計算陳述書によれば,上記期間におけるc店及びd店の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,控訴人の平成2年度所得税確定申告の損益計算書のとおり,それぞれ1億1907万5767円,9457万4340円,2450万1427円,2066万0406円,384万1021円(それぞれ別表⑤の上段の金額と下段の金額の合計額)となること,そのうちc店及びd店の各総売上,売上原価,粗利益は,それぞれ,別表⑤の該当欄に記載の金額であることが認められる。 (イ)控訴人は,上記期間の総経費のうちc店分及びd店分についてそれぞれ別紙甲のとおり主張し,控訴人作成の甲42には,その算出過程についての説明があり,資料も添付されているが,その要点は,控訴人の平成2年度所得税確定申告の損益計算書中の総経費額2066万0406円のうち384万5000円(千円未満四捨五入)がd店分の総経費であり,これを控除した残額1681万6000円(同)がc店分の総経費と 2年度所得税確定申告の損益計算書中の総経費額2066万0406円のうち384万5000円(千円未満四捨五入)がd店分の総経費であり,これを控除した残額1681万6000円(同)がc店分の総経費となる,というにある。 しかし,控訴人がd店分の総経費であると主張する金額が適正なものであることを裏付ける客観的な証拠資料はない上,一般に販売に伴う経費は売上高に比例する傾向があることを考慮すると,控訴人がd店分の総経費であると主張する金額は,上記(ア)で認定したc店分の総売上及びd店分の総売上との比較において,少し過少ではないかとの疑いを払拭できないところ,他に上記(ア)で認定した総経費額2066万0406円をc店分及びd店分に分ける適切な基準あるいは方法も見当たらないから,これをc店分及びd店分の各総売上額の比率に従って按分するのが相当であると解する。 そうすると,総経費額2066万0406円は,c店分が1663万1000円(千円未満四捨五入),d店分が402万9000円(同)と配分されることになる。 (ウ) 以上によれば,上記期間のc店及びd店の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は別表⑤のとおり認められる。 ク平成2年9月から平成3年3月まで(ア) 損益計算陳述書によれば,平成2年9月から平成3年8月までの訴外会社のc店及びd店の営業に係る損益に関する収支は,概ね別紙丙4「部門別損益計算書」の「営業損益の部」に記載のとおり認めるのが相当である。 もっとも,上記(1)ウ及び損益計算陳述書によれば,訴外会社は,平成2年9月,控訴人が経営していたc店及びd店の営業を引き継ぎ,c店及びd店がその当時有していた棚卸資産も引き継いだから,これを期首棚卸額として計上すべきであるが,上記「営業損益の部」の「売上原価」にはその旨の記載がない していたc店及びd店の営業を引き継ぎ,c店及びd店がその当時有していた棚卸資産も引き継いだから,これを期首棚卸額として計上すべきであるが,上記「営業損益の部」の「売上原価」にはその旨の記載がないこと,訴外会社がc店及びd店から引き継いだ期首棚卸額としては,甲42の考え方及び添付の資料により,c店分が589万5000円(千円未満四捨五入),d店分が295万5000円(同)とするのが相当であることが認められる。 また,上記「営業損益の部」の共通部門に計上されているその他の金額は,他にこれをc店及びd店に配分すべき適切な基準又は方法が見当たらないので,c店分の売上高1億5844万円及びd店分の売上高1億4121万6000円の比率(c店分の比率が52.9%,d店分の比率が47.1%)に従って按分するのが相当であり,それによれば,共通部門のその他の収入5万円は,そのうち2万6000円がc店分に,残2万4000円がd店分に計上され,その他仕入高860万円は,そのうち454万9000円がc店分に,残405万1000円がd店分に計上され,経費1366万9000円は,そのうち723万1000円がc店分に,残643万8000円がd店分に計上されるべきことになる。甲24,42には,上記「営業損益の部」の共通部門の収支はその9割以上がc店分の営業によるものであるから,その全額をc店分として計上すべきである旨の記載があり,控訴人作成の別紙甲の上記期間の金額は上記考え方に従って算出された金額であるが,上記「営業損益の部」の共通部門の収支はその9割以上がc店分の営業によるものであることを認めるべき的確な証拠はないから,左袒し難い。 (イ) 上記(ア)によれば,平成2年9月から平成3年8月までのc店及びd店の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,それぞれ るものであることを認めるべき的確な証拠はないから,左袒し難い。 (イ) 上記(ア)によれば,平成2年9月から平成3年8月までのc店及びd店の総売上,売上原価,粗利益,総経費及び差引損益は,それぞれ,別表⑥の該当欄に記載の金額であること(c店の総売上158466千円は158440千円+26千円により,同売上原価128965千円は5895千円+1457千円+124192千円+4549千円-1345千円-5783千円により,同総経費31332千円は24101千円+7231千円により各計算)が認められる。 したがって,上記期間の差引損益は183万1000円の損失であるから,上記期間のうちの平成2年9月から平成3年3月までの7か月間のc店分の差引損益は,その12分の7に相当する106万8000円と推認することができる。 なお,平成2年9月から平成3年8月までの期間は,訴外会社がc店及びd店を経営しているため,いわゆるオーナー人件費900万円が役員報酬として適法に経費計上され,その結果として上記のような183万1000円の損失(赤字)となっているが,これを経費として計上しない場合には,同期間の営業損益としては利益(黒字)となることが明らかである。 (3) 以上によれば,c店の開店から本件フランチャイズ契約更新までの間の営業損失は,別表のとおり,昭和61年度が316万4000円の損失,昭和62年度が203万7000円の損失,昭和63年度が25万1000円の利益,平成元年度が27万円の利益,平成2年1月から同年8月までの期間が21万円の利益,平成2年9月から平成3年3月までの期間が106万8000円の損失であったから,c店開店から本件フランチャイズ契約更新までの期間において,控訴人が同店を個人で経営していた期間の営業損失は447万円の損失であり,控訴人 成3年3月までの期間が106万8000円の損失であったから,c店開店から本件フランチャイズ契約更新までの期間において,控訴人が同店を個人で経営していた期間の営業損失は447万円の損失であり,控訴人が代表取締役をする訴外会社が同店を経営していた期間の営業損失は106万8000円の損失であったものである。 3 情報提供義務違反の有無について当裁判所も,被控訴人が,本件フランチャイズ契約締結に際し,控訴人に提供したc店の売上予測等に関する情報が,客観性,的確性に欠けるもので,控訴人の同契約締結に関する判断を誤らせるおそれが大きいものであったため,被控訴人には情報提供義務違反があったと判断するものであり,そのように判断した理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の理由欄第1,3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決32頁2行目の「信義則上の義務を」を「義務を同契約上の付随的義務又は信義則に基づく義務として」と改める。 (2) 原判決32頁13行目の「甲1」を「甲1,54」と改める。 (3) 原判決33頁16行目の「昭和60年11月20日」を「昭和60年11月20日(水曜日)」と改める。 (4) 原判決36頁18行目の「昭和60年11月20日に」を「昭和60年11月20日から翌21日にかけて」と改める。 (5) 原判決39頁14行目と15行目の間に次のとおり加える。 「 したがって,被控訴人には,本件フランチャイズ契約締結に際して,同契約締結を勧め,そのための交渉をしていた控訴人に対し,同契約上の付随的義務又は信義則に基づく義務として,開店後のc店の売上予測等に関して客観的で的確な情報を提供すべき義務があり,これに違反する債務不履行があったもの(以下「本件情報提供義務違反」という。)というべきである。 そして, 基づく義務として,開店後のc店の売上予測等に関して客観的で的確な情報を提供すべき義務があり,これに違反する債務不履行があったもの(以下「本件情報提供義務違反」という。)というべきである。 そして,上記1の事実及び証拠(甲7,24,原審控訴人本人)によれば,控訴人は,被控訴人から提供された上記売上等情報を信頼して,本件フランチャイズ契約を締結し,c店を開店してその経営をしたものであり,同情報が信頼できないものであると分かっていれば,本件フランチャイズ契約を締結することも,c店を開店してその経営をすることもなかったものと認められるから,控訴人は,被控訴人に対し,本件情報提供義務違反により控訴人が被った損害として,被控訴人から提供された上記情報を信頼して,本件フランチャイズ契約を締結し,c店を開店してその経営をしたことによって被った損害の賠償を求めることができるというべきである。」 4 詐欺による不法行為の成否について当裁判所も,控訴人主張の詐欺による不法行為の成立を認めることができないと判断するが,そのように判断した理由は,原判決の理由欄第1,4に記載のとおりであるから(ただし,原判決39頁21行目の「G」を「被控訴人及びその担当者のL」と改める。),これを引用する。 5 本件情報提供義務違反により控訴人が被った損害について(1) 営業損失ア本件フランチャイズ契約の更新前のc店の営業損失(ア) 一般に,フランチャイズ契約において,フランチャイジーは,フランチャイザーから独立した事業主体であり,フランチャイザーの援助・指導を仰ぎつつも,自らの努力と力量により店舗経営を行うことが予定されていること(本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約3条)に鑑みると,売上予測等に関する不適切な情報提供に基づきフランチャイジーがフランチャ 力と力量により店舗経営を行うことが予定されていること(本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約3条)に鑑みると,売上予測等に関する不適切な情報提供に基づきフランチャイジーがフランチャイズ契約を締結し,開業後に営業損失を被ったとしても,同損失が直ちに同情報提供義務違反と相当因果関係を有するものではない。 しかしながら,本件フランチャイズ契約に基づいて開店されるc店のようないわゆるコンビニエンスストアの場合,店舗の立地によって売上高が左右される面が大きく(その故にこそ,フランチャイザーがフランチャイジーに同契約締結前に提供する売上予測等に関する情報提供が同契約を締結するか否かに関して決定的に重要な考慮事情として重視されるのである。),またフランチャイズ契約のもとにおいてフランチャイジーは商品構成,納入業者,店舗デザイン等をフランチャイザーの承認なく変更できないのが通常であること(本件フランチャイズ契約14条ないし17条)に鑑みると,フランチャイズ以外の店舗展開の場合と比較して,フランチャイジーの営業努力や工夫には一定の限界があるから,フランチャイザーからの客観性かつ的確性を欠いた売上予測等に関する情報提供によってフランチャイズ契約を締結したフランチャイジーが,開業後に経営者に通常要求される経営努力ないしは営業努力を尽くしても当該店舗の売上げが上がらず,営業損失が生じ,そのためにフランチャイジーが損害を被った場合には,このような営業損失による損害は当該情報提供義務違反と相当因果関係のある損害というべきである。 (イ) 上記1の事実並びに証拠(甲7,24,42,48,49,53,76,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人との間で本件フランチャイズ契約を締結してc店を開店後,同店の売上げが売上予測 に証拠(甲7,24,42,48,49,53,76,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人との間で本件フランチャイズ契約を締結してc店を開店後,同店の売上げが売上予測のように伸びず,赤字経営が続くため,売上げを増加させるためにたばこ販売の免許を取得して昭和61年6月からたばこ小売を始め,また,同年10月には,営業時間をそれまでの19時間から24時間に延長して自ら店長として長時間労働に従事し,さらに,平成2年2月には酒類販売免許を取得して酒類の販売も始めるなどして,必死の営業努力を続けたことが認められる。しかし,本件フランチャイズ契約を更新するまでの平成3年3月までのc店の営業実績は,上記2で認定したとおりであって,控訴人が個人で同店を経営していた期間を通じての営業損失は合計447万円であったから,同営業損失は,本件情報提供義務違反と相当因果関係にある損害と認めることができる。 (ウ)しかし,c店は,平成2年9月以降は,訴外会社がd店とともに経営していたのであるから,その後のc店に対する控訴人の経営態度,同店における就労状況等の関わり方はそれ以前とは当然その内容を異にするはずであり,その結果として現れたc店の営業損失について,それ以前の就労の結果たる同店の営業損失と同じように評価するのは適当ではない。また,仮に訴外会社が控訴人の全くの個人企業と変らない実質を有するためにc店の営業損失をもって控訴人個人の損失とみる余地があるとしても,その場合には,控訴人が訴外会社の代表取締役として取得した報酬900万円については,これを経費とみることはできないところ,控訴人の主張によっても,平成2年9月から平成3年8月までの期間の訴外会社の損益計算において,上記900万円を経費計上しない場合には損失を生じないこと(すな は,これを経費とみることはできないところ,控訴人の主張によっても,平成2年9月から平成3年8月までの期間の訴外会社の損益計算において,上記900万円を経費計上しない場合には損失を生じないこと(すなわち,別紙甲の同期間の「総経費」の合計額から900万円を控除した場合には,差引損益欄の合計は276万円の利益を計上することになるし,そもそもそのような経営状況下において,控訴人が個人の報酬として年額900万円を確保することの適否も問題となり得る。)が明らかであるから,同期間のc店の営業損失は,仮にそれが存在するとしても,これを本件情報提供義務違反と相当因果関係にある控訴人の損害とみることはできない。 イ本件更新フランチャイズ契約以後のc店の営業損失上記1の事実及び証拠(甲7,24,原審控訴人本人)によれば,控訴人は,平成3年4月,本件フランチャイズ契約の期間が満了したため,被控訴人との間で,これを更新する目的で,本件更新フランチャイズ契約を締結したこと,控訴人は,本件更新フランチャイズ契約締結当時,それまでのc店を自ら又は訴外会社の代表取締役として直接にその経営をしていたため,c店の売上げ及び損益等について十分な情報を有していたこと,控訴人は,その上で,引き続きc店の経営を目的として本件更新フランチャイズ契約を締結したことが認められる。 そうすると,控訴人は,c店の経営の実績及び経験に基づき本件更新フランチャイズ契約を締結して,c店の経営を続けることとしたものであるから,以後のc店の営業損失と当初の本件フランチャイズ契約締結の段階での被控訴人の本件情報提供義務違反との間には相当因果関係がないことは明らかである。 控訴人は,この点に関して,本件更新フランチャイズ契約を締結した平成3年4月当時には,それまでのc店の経営により生じた多額の損失及 件情報提供義務違反との間には相当因果関係がないことは明らかである。 控訴人は,この点に関して,本件更新フランチャイズ契約を締結した平成3年4月当時には,それまでのc店の経営により生じた多額の損失及びそのために負担した金融機関に対する多額の負債を抱えていたため,本件更新フランチャイズ契約を締結するか否かについて自由な選択をする余地が事実上なかったから,本件更新フランチャイズ契約締結以後のc店及びd店による営業損失についても,本件情報提供義務違反との間に相当因果関係がある旨主張し,当審における控訴人の供述及びその陳述書(甲43)において同主張に沿う供述等をする。しかし,控訴人が主張するような状態であればなおさら,控訴人においては,事業を経営する者として冷静に被控訴人が本件フランチャイズ契約締結段階で提供した情報の信頼性を検討し,c店の将来の経営状況を見極め,今後とも利益を出す見込みがないものと判断したのであれば,c店の経営から撤退すべきものであり,控訴人が主張する事情はそのような選択を妨げる事情ということはできない。かえって,甲42の陳述書に添付されている訴外会社の部門別損益計算書によると,平成2年9月から平成3年8月の期間については,控訴人が900万円の役員報酬を取得した上でも,66万7000円の経常利益となっていること,なお,平成3年9月から平成4年8月の期間及び平成4年9月から平成5年8月の訴外会社の部門別損益計算書でも,控訴人が1200万円の役員報酬を取得した上でも,経常利益が出ていることが認められるから,控訴人は,相当の困難を覚悟しながらも,c店及びd店の経営による利益を期待して本件更新フランチャイズ契約を締結したものと推認されるのであって,これに反する控訴人の上記供述等は措信できず,控訴人の主張は採用できない。 したがって がらも,c店及びd店の経営による利益を期待して本件更新フランチャイズ契約を締結したものと推認されるのであって,これに反する控訴人の上記供述等は措信できず,控訴人の主張は採用できない。 したがって,本件更新フランチャイズ契約以降にc店について発生した営業損失があり,これにより控訴人が損害を被ったものとしても,同損害を被控訴人の本件情報提供義務違反と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 ウ d店の営業損失上記1の事実によれば,控訴人は,本件フランチャイズ契約締結の段階で被控訴人から提供されたc店の売上等予測に関する情報により,d店の営業を被控訴人から譲渡を受けたものでないことが明らかであるから,仮に控訴人によるd店の経営により損失が生じ,控訴人が損害を被ったとしても,同損害をもってc店に関する本件情報提供義務違反と相当因果関係のある損害ということはできない。 控訴人は,d店の購入の経緯について,c店の売却を前提として,d店を被控訴人から購入したが,c店の売却について被控訴人の協力を得られなかったため,c店及びd店の両店の経営を余儀なくされたとして,控訴人のd店経営による損失は本件情報提供義務違反による損害である旨主張するが,そのような事情があったとしても,そのことから,d店の経営上の損失がc店に関する本件情報提供義務違反によって生じた損失ということができるものではないから,控訴人の上記主張は採用できない。 (2) オーナー人件費の経費性に関する控訴人の主張についてア控訴人は,営業損益の算出において,オーナー人件費を経費として計上して損益を算出すべきである旨主張するが,控訴人が当審で主張する昭和61年4月から平成2年8月までの期間の営業損失に関しては,別紙甲のとおり,オーナー人件費を経費計上しない方法で算出した営業損失を損 て損益を算出すべきである旨主張するが,控訴人が当審で主張する昭和61年4月から平成2年8月までの期間の営業損失に関しては,別紙甲のとおり,オーナー人件費を経費計上しない方法で算出した営業損失を損害として主張しているに止まるから,当裁判所も,上記期間についてはオーナー人件費を経費として計上しない方法により上記(1)ア(イ)のとおり合計447万円の営業損失を認定したものである。 また,そもそも,個人営業において,経営主体である営業主が,自ら資金調達等に奔走し,商品の販売のための営業活動に従事することは,利益を獲得し,あるいはその利益を拡大するための経営努力にほかならないのであって,損益計算において営業主のした上記経営努力は,従業員の労務提供に対する賃金又は会社における役員に対する報酬とは異なり,これを経費として計上すべきものではないから,この点において,控訴人の上記主張は失当であり,採用できない。 なお,控訴人は,被控訴人が本件フランチャイズ契約に際して,控訴人に対し,売上予測により月額30万円のオーナー人件費の確保を保証した旨主張し,被控訴人作成の調査・計画書(甲1)には,オーナー人件費として月30万円を計上した上での損益予測が記載されていることが認められるが,この記載は損益予測の一環としてのものであることは証人Lの証言に照して明らかであって,これにより,被控訴人が控訴人に対して月額30万円のオーナー人件費の確保を保証又は約束したものと認めることはできないし,他に上記保証又は約束を認めるに足りる証拠はない。 (3) 本件賃貸借契約の際に預託した保証金ア控訴人の主張中には,調査・計画書中の本件賃貸借契約の保証金に関する記載に虚偽があり,そのために保証金700万円の支払を余儀なくされたとして,保証金の支払自体の損害をいう部分がある。 た保証金ア控訴人の主張中には,調査・計画書中の本件賃貸借契約の保証金に関する記載に虚偽があり,そのために保証金700万円の支払を余儀なくされたとして,保証金の支払自体の損害をいう部分がある。 しかし,Lが,Hから保証金の預託を求められていながら,敢えて調査・計画書には保証金が不要であるかのように記載した事実を認めるに足りる証拠はなく,かえって,上記1(2)コ(原判決引用)のとおり,Lが調査・計画書(甲1)を作成した当時,本件賃貸借契約について保証金はゼロという話であったが,契約日当日になって保証金の話がHから持ち出されたとの事実が認められ,保証金をゼロとする調査・計画書の記載は,これが記載された当時の情報としては正確なものであったということができる。したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 イところで,上記3で説示したとおり,控訴人は,被控訴人から提供された売上予測等に関する情報を信頼して,本件フランチャイズ契約を締結し,c店を開店してその経営をしたものであり,上記情報が信頼できないものであると分かっていれば,本件フランチャイズ契約を締結することも,c店を開店してその経営をすることもなかったものであるから,控訴人が,本件フランチャイズ契約を締結してc店を開店する準備の一環として,Hとの間で本件賃貸借契約を締結し,同契約に基づいてHに同契約で定まった保証金700万円を支払ったことは,本件情報提供義務違反を原因として,これと相当因果関係にある出捐であると認めることができ,したがって,控訴人が保証金700万円を出捐したことは被控訴人の本件情報提供義務違反によって発生した損害というべきである。 そして,上記1(1)コ(原判決引用)の事実及び証拠(甲9)によれば,本件賃貸借契約において,賃貸期間は10年間とされ,預託された保証金は年1 情報提供義務違反によって発生した損害というべきである。 そして,上記1(1)コ(原判決引用)の事実及び証拠(甲9)によれば,本件賃貸借契約において,賃貸期間は10年間とされ,預託された保証金は年1割ずつ10年間で償却するものとされ,また,中途解約のときは一切返還されない旨約定されていたことが認められるから,控訴人が本件フランチャイズ契約を更新するまでの5年間に償却された額は350万円に止まるものの,本件フランチャイズ契約の更新時期において,本件フランチャイズ契約を更新せずにc店の経営を止めることとして,本件賃貸借契約を中途解約したとしても,控訴人は上記償却後の残額350万円についてもその返還を受けることができないものである。 しかし,上記(1)イで認定説示したところによれば,控訴人が本件フランチャイズ契約を更新して被控訴人との間で本件更新フランチャイズ契約を締結し,実質上の所有者であり,代表取締役である訴外会社をしてc店の経営を継続させたことについては,本件情報提供義務違反と相当因果関係にある事柄であるということはできないから,控訴人が,自らの判断と責任において,訴外会社にとって有効に利用できるいわば積極的な資産として,本件賃貸借契約に基づく賃借権を訴外会社に提供し,訴外会社は,本件更新フランチャイズ契約の下で,同賃借権を利用してc店を経営したものというほかなく,したがって,控訴人は,訴外会社に上記賃借権の価値を取得させることにより,本件更新フランチャイズ契約中に償却された350万円に相当する利益を得たものというべきであり,被控訴人に対してその賠償を求めることはできないと解するのが相当である。 ウ以上によれば,控訴人が本件賃貸借契約の際にHに預託した保証金700万円のうち本件フランチャイズ契約期間である5年間に償却された350万円 その賠償を求めることはできないと解するのが相当である。 ウ以上によれば,控訴人が本件賃貸借契約の際にHに預託した保証金700万円のうち本件フランチャイズ契約期間である5年間に償却された350万円については,本件情報提供義務違反による損害であり,被控訴人に対してその賠償を求めることができるが,残350万円については,被控訴人に対して賠償を求めることができないというべきである。 6 控訴人主張の指導援助等保護義務違反の有無とその損害等について(1) 控訴人は,前記第3,3(1)のとおり主張して,被控訴人には本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約に基づき指導援助等保護義務違反があると主張する。 ア証拠(甲2,乙1,乙15の1)及び弁論の全趣旨によれば,c店に関する本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約並びにd店に関するフランチャイズ契約には,控訴人が前記第3,3(1)ア(ア)で主張するような約定があるから,被控訴人が,控訴人に対し,同約定に定める指導援助をする義務があることは明らかである。 しかしながら,上記約定に係る指導援助については,その具体的な内容,方法等について何ら定めるところがないところ,証拠(甲48,49,乙5の1,2,乙6の1,2,乙10,11,乙18の1,証人L,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,控訴人に対し,上記約定に係る指導援助を一通り行っていたことが認められ,これに反する控訴人の原審及び当審における供述並びにその陳述書(甲44,53)の記載は容易に措信できない(上記供述等が,被控訴人が控訴人が期待するような内容及び程度の売上げの増加に繋がるような効果のある指導援助をしなかったという趣旨ではそのとおりであろうが,そのことをもって,直ちに本件フランチャイズ契約等が 述等が,被控訴人が控訴人が期待するような内容及び程度の売上げの増加に繋がるような効果のある指導援助をしなかったという趣旨ではそのとおりであろうが,そのことをもって,直ちに本件フランチャイズ契約等が定める被控訴人の指導援助義務の不履行があったということになるものではない。)。 イ控訴人は,競合店の出現があっても,被控訴人による具体的な指導援助がなく,企画・広告・宣伝等による協力もなかったと主張するが,被控訴人がそのようなことをしないからといって,直ちに本件フランチャイズ契約等が定める被控訴人の指導援助義務に違反するものということまではできない。 また,控訴人は,被控訴人が,被控訴人の推奨指定業者の納入遅延や商品への異物混入があっても,適切な対応をとらなかった旨主張し,原審及び当審における供述並びにその陳述書(甲44,53)には同主張に沿う部分があるが,反対趣旨の証拠(乙18の1)に照して,容易に措信し難く,同主張は採用できない。 (2) また,控訴人は,被控訴人が控訴人主張の指導援助等保護義務を履行しなかったことにより,c店及びd店の経営が成り立たなくなって,これを閉店するに至った旨主張するが,証拠(甲44,53ないし55,原審及び当審控訴人本人)及び弁論の全趣旨によれば,c店及びd店の経営は,付近に競合するコンビニエンスストア等が出店したための競争の激化により,平成5年ころから,徐々に売上げを減少させて,閉店のやむなきに至ったものと認められるのであり,c店及びd店の経営者は控訴人又は控訴人が代表者をする訴外会社であるから,このような経営環境の変化に対処するのは基本的には経営者である控訴人又は訴外会社であるべきことを考慮すると,上記証拠をもって,被控訴人が控訴人主張の指導援助等保護義務を履行することで,c店及びd店の経営上の損失の発生 の変化に対処するのは基本的には経営者である控訴人又は訴外会社であるべきことを考慮すると,上記証拠をもって,被控訴人が控訴人主張の指導援助等保護義務を履行することで,c店及びd店の経営上の損失の発生や閉店を避けることができたとの事実を認めることはできず,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。 したがって,被控訴人が控訴人主張の指導援助等保護義務を履行しなかったことにより,控訴人が損害として主張するc店及びd店の営業損失が発生し,控訴人が損害を被ったものと認めることはできない。 (3)以上のとおりであるから,被控訴人には本件フランチャイズ契約等に基づく指導援助等保護義務違反があり,同違反により控訴人がその主張の損害を被った旨の控訴人の主張は採用できない。 7 まとめ以上によれば,甲事件における控訴人の請求は,本件情報提供義務違反を内容とする債務不履行による損害賠償として,被控訴人に対して,上記5(1)ア(イ)の447万円と同(3)の350万円の合計797万円及びこれに対する甲事件訴状送達による支払催告の日の翌日である平成12年5月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は失当である。 第5 乙事件における被控訴人の請求についての当裁判所の判断 1 当裁判所は,被控訴人の請求は,2357万1547円及びこれに対する平成12年9月15日から支払済みまで年11パーセントの割合による金員の支払を求める限度で認容し,その余を棄却すべきであると判断するが,その理由は,次の2項のとおり補正するほかは,原判決の理由欄第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正(1) 原判決43頁11行目の「証拠(乙8,10)」を「証拠(甲50,乙8,10)及び弁論の全趣旨」と改め,同13行目 判決の理由欄第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正(1) 原判決43頁11行目の「証拠(乙8,10)」を「証拠(甲50,乙8,10)及び弁論の全趣旨」と改め,同13行目の「合計は,」の次に「別紙「YDSc店・請求明細・売掛債権発生状況」記載の経過をとって発生した平成9年12月後半の請求分からの」を加え,同13行目と14行目の間に次のとおり加える。 「 控訴人は,種々指摘して,上記立替金等の支払義務を争うので,以下検討する。なお,控訴人は,上記立替金等の内訳が不明である旨主張するが,同内訳は別紙「YDSc店・請求明細・売掛債権発生状況」に記載されたとおりであって,不明ということはできない。 ア商品代金のうち納品伝票の不存在分控訴人は,前記第3,4(1)ア(ア)のとおり,被控訴人が控訴人に請求した金額には納品伝票が不存在のものがあり,納品伝票のない請求分294万0220円は架空請求であると主張し,被控訴人が昭和61年4月以降平成12年3月までの間の控訴人に対する請求分について納品伝票のないものがあるとの趣旨の証拠(甲44ないし46)がある。 しかし,別紙「YDSc店・請求明細・売掛債権発生状況」に係る上記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,納品伝票が不存在であると指摘する請求分についても,架空請求であるなどの異議を述べることなく,その請求書を受領し,平成9年12月前半分までは全て支払をし,また,その後の請求分についても,同様の対応をしていたことが認められる上,控訴人が,納品伝票がないと指摘する主要なもの(平成11年度及び平成12年度分についてはその全部)である共済保険料,再リース料については,そもそも納品伝票が必要なものとするには疑問があることを考慮すると,被控訴人の控訴人に対する請求分について納品伝 1年度及び平成12年度分についてはその全部)である共済保険料,再リース料については,そもそも納品伝票が必要なものとするには疑問があることを考慮すると,被控訴人の控訴人に対する請求分について納品伝票の不存在のものがあったとしても,当該請求書に係る商品及びサービスの納品又は提供が被控訴人からなされ,控訴人がこれを受領したものと推認するのが相当であり,上記証拠は同推認を左右するに足りないというべきである。したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 イ商品代金のうち米飯値引分控訴人は,前記第3,4(1)ア(イ)のとおり主張し,昭和61年4月分から平成元年5月分,平成5年1月分から平成12年4月分までの被控訴人から控訴人に対して販売された米飯について売価の5パーセントによる値引戻しをすべきであり,その額は合計337万3848円となるから,同金額分が被控訴人主張の立替金等の金額から減額されるべきである旨主張し,同主張に沿う証拠(甲44,48ないし50)がある。 しかし,被控訴人から控訴人に対して販売された米飯(控訴人が被控訴人から仕入れた米飯)について,米飯を販売する被控訴人がその販売価格を適宜値引していたとの事実があるからといって,被控訴人が値引しないで販売した米飯について控訴人から販売価格の値引を請求できるとか,当然に販売価格が値引された価格となるなどと解することができないことは明らかであり,このことは,被控訴人の米飯の販売価格が他のフランチャイザーのフランチャイジーに対する販売価格より割高であるという事実があっても左右されるものではない。もっとも,控訴人の上記主張の趣旨とするところは,被控訴人と控訴人間においては,被控訴人から控訴人に対して販売する米飯について売価の5パーセント引きの価格で販売するとの明示又は黙示の合意があるという っとも,控訴人の上記主張の趣旨とするところは,被控訴人と控訴人間においては,被控訴人から控訴人に対して販売する米飯について売価の5パーセント引きの価格で販売するとの明示又は黙示の合意があるというものと解されないではないが,そのような合意の成立した時期や方法についての具体的な主張及び立証がなく,かえって,証拠(甲50)によれば,控訴人は,本件フランチャイズ契約及び本件更新フランチャイズ契約に基づきc店が営業していた当時は,被控訴人から交付される請求明細書中に上記米飯値引の有無やその率について記載があって,そのことを知り得る状態にあったことが認められるところ,控訴人が,上記合意の存在を主張して,被控訴人に対し,上記米飯値引の率等について申入れをしたとの事実を認めるに足りる証拠はないから,被控訴人と控訴人間において黙示にしろ上記合意が成立したということができるような事情はなかったものと推認されるのである。したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 ウ商品代金についての信義則違反又は権利濫用控訴人は,前記第3,4(1)ア(ウ)のとおり主張し,被控訴人が控訴人に対して立替金等を請求するのは信義則違反又は権利濫用であり,許されない旨主張する。 しかし,被控訴人が控訴人に対して請求する立替金等2847万7370円のうちの商品代金分は,上記のとおり,本件更新フランチャイズ契約以後に発生した控訴人の未払債務であるところ,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また,被控訴人について控訴人主張の指導援助等保護義務違反を認めることができないのであるから,信義則違反又は権利濫用をいう控訴人の主張は,その前提を欠き,採用できない。 エロイヤリティ控訴人は,前記第3,4(1)イ て控訴人主張の指導援助等保護義務違反を認めることができないのであるから,信義則違反又は権利濫用をいう控訴人の主張は,その前提を欠き,採用できない。 エロイヤリティ控訴人は,前記第3,4(1)イ(ア)及び(イ)のとおり主張し,被控訴人が控訴人に対してロイヤリティを請求することはできず,その請求は信義則に違反する旨主張する。 しかし,被控訴人が控訴人に対して請求する立替金等2847万7370円のうちのロイヤリティ分も,上記のとおり,本件更新フランチャイズ契約以後に発生した控訴人の未払債務であるところ,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また,被控訴人について控訴人主張の指導援助等保護義務違反を認めることができない。さらに,仮に被控訴人のロイヤリティについて,前記第3,4(1)イ(イ)で控訴人が主張するように,他のフランチャイザーに比べて名目上のロイヤリティ率を低くしながら,商品の販売の値引率を低くすることで,他のフランチャイザー以上のロイヤリティを控訴人から取得していたとしても,そのことのみでは,被控訴人のロイヤリティの定め方が公序良俗に反するということはできない。そして,他に,被控訴人が控訴人に対してロイヤリティを請求することはできず,又は,その請求が信義則に違反することを肯定すべき事情は認めることはできない。したがって,ロイヤリティに関する控訴人の上記主張は,その前提を欠き,採用できない。 オ本部請求金控訴人は,前記第3,4(1)ウのとおり主張し,被控訴人が控訴人に対して本部請求金を請求することが信義則に反し,権利濫用に当たる旨主張する。 しかし,被控訴人が控訴人に対して請求する立替金等2847万7370円のうちの本部請求金分も,上記のとおり,本件 控訴人に対して本部請求金を請求することが信義則に反し,権利濫用に当たる旨主張する。 しかし,被控訴人が控訴人に対して請求する立替金等2847万7370円のうちの本部請求金分も,上記のとおり,本件更新フランチャイズ契約以後に発生した控訴人の未払債務であるところ,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また,被控訴人について控訴人主張の指導援助等保護義務違反を認めることができないから,本部請求金に関する控訴人の上記主張は,その前提を欠き,採用できない。 なお,被控訴人は,控訴人の上記主張をもって時機に後れた攻撃防御方法である旨主張するが,控訴人の上記主張は,その大部分が被控訴人の請求原因に対する否認の理由を具体的に主張する内容である上,当審で追加した信義則違反又は権利濫用の主張も,原審以来の主張である本件情報提供義務違反の主張を踏まえ,これを敷延する内容のものであるから,原判決が認容した被控訴人の請求を争うための主張としてやむを得ないものというべきであり,また,他の争点に関する審理の必要もあったことを考慮すると,控訴人の上記主張をもって時機に後れた防御方法であるとも,これにより訴訟の完結が遅延するものとも認めることはできず,被控訴人の上記主張は採用できない。」(2) 原判決43頁16行目冒頭に「(ア)」を加え,同25行目から44頁6行目までを次のとおり改める。 「 そして,証拠(甲2,甲40の1,2,甲41,乙4の1,乙5の1,2,乙10)及び弁論の全趣旨によれば,上記店舗内設備一式のリース契約においては,リース期間は,平成4年2月29日から60か月とされていたが,リース期間が満了する2か月前までに契約終了の通知がない場合には,1年間更新され,以後も同様に1 記店舗内設備一式のリース契約においては,リース期間は,平成4年2月29日から60か月とされていたが,リース期間が満了する2か月前までに契約終了の通知がない場合には,1年間更新され,以後も同様に1年毎に更新するものとし,更新後のリース料月額は,当初の月額リース料6万3046円(消費税込み)の12分の1とし,1年分を一括先払とする旨合意されていたこと(同リース契約15条),また,上記デリカケースのリース契約においては,リース期間は,平成9年9月30日から60か月とされていたが,リース期間が満了する2か月前までに契約終了の通知がない場合には,1年間更新され,以後も同様に1年毎に更新するものとし,更新後のリース料月額は,当初の月額リース料8221円(消費税込み)の12分の1とし,1年分を一括先払とする旨合意されていたこと(同リース契約13条),上記店舗内設備一式のリース契約は,当初のリース期間が平成9年2月27日をもって期間満了したが,その後1年毎に期間が更新され,平成12年2月28日から3回目の更新による再リース期間が始まったこと,本件更新フランチャイズ契約においては,控訴人の都合により,同契約を中途解約するときは,控訴人は残リース料の全額及び再リース料の3回分を被控訴人に支払うことが合意されていたことが認められ,被控訴人が控訴人に対して請求するリース解約金とは上記再リース料の趣旨であると解される。 また,甲事件において認定し説示したところによれば,控訴人による本件更新フランチャイズ契約が控訴人の都合による中途解約に当たることは明らかである。 (イ)被控訴人は,控訴人が本件更新フランチャイズ契約を中途解約したことで,上記各リース契約も終了したとして,控訴人に対し,上記各リース料の残金として22万1980円の支払を求めるので,検討する (イ)被控訴人は,控訴人が本件更新フランチャイズ契約を中途解約したことで,上記各リース契約も終了したとして,控訴人に対し,上記各リース料の残金として22万1980円の支払を求めるので,検討する。 上記(ア)の事実並びに証拠(甲40の1,2,甲41)及び弁論の全趣旨によれば,上記店舗内設備一式のリース契約は,平成12年2月28日から3回目の再リース期間に入ったのであるが,被控訴人が平成15年1月7日付けをもって控訴人に送付した書面(甲40の2)には,同リース契約の再リース料の請求は平成12年2月度請求をもって終了した旨記載され,また,上記のとおり,再リース料(更新後のリース料)については1年分を一括先払とする旨合意されているところ,別紙「YDSc店・請求明細・売掛債権発生状況」の同月後半のリース料として4万0800円を請求した旨の記載があること,他方,上記デリカケースのリース契約は,本件更新フランチャイズ契約が終了したのは当初のリース期間中であったところ,被控訴人が平成15年11月8日付けをもって控訴人に送付した書面(甲41)には,同リース契約のリース料の支払は平成14年9月25日支払日約束手形の決済をもって終了した旨記載されていることが認められる。これらの事実によれば,上記店舗内設備一式のリース契約についての平成12年2月28日からの再リース期間に係るリース料は,その全額が被控訴人が本件更新フランチャイズ契約に基づく立替金等として請求して,当裁判所が認めた上記立替金等2847万7370円に含まれているものであり,また,上記デリカケースのリース契約のリース料は平成14年9月25日には完済となったものと認めることができる。 したがって,被控訴人が請求するリース料残金22万1980円はその全額が認められない。 (ウ) 次に,被控訴人が リース契約のリース料は平成14年9月25日には完済となったものと認めることができる。 したがって,被控訴人が請求するリース料残金22万1980円はその全額が認められない。 (ウ) 次に,被控訴人が請求するリース解約金について検討するに,上記(ア)の事実によれば,リース解約金は,再リース料の3回分であり,更新後の月額リース料は当初の月額リース料の12分の1であるから,リース解約金は,次の計算式のとおり合計1万8122円(店舗内設備一式について1万6067円,デリカケースについて2055円)であることが認められる。したがって,控訴人には,本件更新フランチャイズ契約に基づき,上記リース解約金の支払義務がある。 なお,被控訴人が平成14年11月8日付けをもって控訴人に送付した書面(甲41)には,上記デリカケースのリース契約が平成14年9月29日の期間満了をもって終了した旨の記載があるが,この記載は,c店が平成12年4月30日をもって閉店されていること及び上記(ア)の事実を勘案すると,同リース契約が更新されずに終了したことを趣旨とするものであって,同リース契約がリース期間中に控訴人の都合による解約により終了したため,控訴人には上記リース解約金の支払義務があるとの上記判断を左右するものではないというべきである。」(3) 原判決44頁19行目と20行目の間に次のとおり加える。 「 なお,控訴人は,本件更新フランチャイズ契約の解約は,本件情報提供義務違反や指導援助等保護義務違反による営業の継続不能が原因であったから,控訴人の自己都合による中途解約に当たらないし,それにもかかわらず中途解約金を請求することが信義則に反する旨主張するが,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また し,それにもかかわらず中途解約金を請求することが信義則に反する旨主張するが,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また,被控訴人について指導援助等保護義務違反を認めることができないから,控訴人の上記主張は,その前提を欠き,採用できない。また,控訴人は,中途解約金の支払を内容とする本件更新フランチャイズ契約中の中途解約条項が控訴人の無知に乗じた不当な条項であって,公序良俗に反して無効である旨主張するが,フランチャイジーである控訴人の自己都合による中途解約による違約金として約定のロイヤリティの12か月分の支払を内容とする上記中途解約条項が公序良俗に反する程に控訴人に不利益な内容であるとまではいうことができないから,控訴人の上記主張も採用できない。」(4) 原判決45頁12行目と13行目の間に次のとおり加える。 「 なお,控訴人は,本件更新フランチャイズ契約の解約は,本件情報提供義務違反や指導援助等保護義務違反による営業の継続不能が原因であり,控訴人の自由な意思によるものでなかったから,それにもかかわらず外装看板代及びPOSレジスター等撤去費用を請求することは信義則に反し,権利濫用に当たる旨主張するが,既に説示したとおり,本件更新フランチャイズ契約以後のc店の経営は本件情報提供義務違反によるものということはできず,また,被控訴人について指導援助等保護義務違反を認めることができないから,控訴人の上記主張は,その前提を欠き,採用できない。」(5) 原判決45頁17,18行目の「リース料残金として22万1980円,」を削除し,同20,21行目の「合計3029万3527円」を「合計3007万1547円」と改める。 (6)原判決46頁4行目の「当裁判所に顕著である。」を の「リース料残金として22万1980円,」を削除し,同20,21行目の「合計3029万3527円」を「合計3007万1547円」と改める。 (6)原判決46頁4行目の「当裁判所に顕著である。」を「記録上明らかである。」と改め,同行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「 そして,弁論の全趣旨によれば,上記保証金返還債権50万円との相殺は,被控訴人の控訴人に対する上記各債権の元金との相殺の意思表示と認めることができるところ,相殺の自働債権について格別の指定はないから,民法512条,489条の趣旨により,上記各債権のうち最も早く弁済期が到来した商品代金等債権2847万7370円との相殺効を認めるのが相当であり,したがって,上記商品代金等債権は,相殺の結果,2797万7370円となった。」(7) 原判決46頁5行目から同9行目までを次のとおり改める。 「(6) 被控訴人が,平成15年4月25日,本件更新フランチャイズ契約に基づく控訴人の債務の連帯保証人であるEから,被控訴人が乙事件で請求している債権に対する弁済として600万円の支払を受け,これを全額その元金に充当したことは弁論の全趣旨により認めることができるところ,弁済の充当について格別の指定がないから,民法489条により,被控訴人の控訴人に対する上記各債権のうち最も早く弁済期が到来した商品代金等債権2847万7370円(相殺後の残額2797万7370円)に対して充当されたものと認めるのが相当であり,したがって,上記商品代金等債権は,上記充当の結果,2197万7370円となった。 (7) したがって,被控訴人の請求は,下記内訳に表示された債権額の合計残額2357万1547円及びこれに対する乙事件の訴状送達の日の翌日である平成12年9月15日から支払済みまで約定利率である年11パーセントの て,被控訴人の請求は,下記内訳に表示された債権額の合計残額2357万1547円及びこれに対する乙事件の訴状送達の日の翌日である平成12年9月15日から支払済みまで約定利率である年11パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は失当である。 (内訳)商品代金等 2197万7370円リース解約金 1万8122円中途解約金 121万9680円看板残存簿価 8万0225円撤去費用 27万6150円計 2357万1547円 」第6 結論 1 以上によれば,甲事件における控訴人の請求は,債務不履行による損害賠償請求に基づき主文第2項の限度で認容し,その余の債務不履行による損害賠償請求及び不法行為に基づく損害賠償請求を棄却し,乙事件における被控訴人の請求は,主文第3項の限度で認容し,その余を棄却すべきである。 2 よって,原判決を上記1の趣旨に変更し,訴訟費用の負担を定め,当審認容分である主文第2項につき民事訴訟法310条により仮執行宣言を付することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官長門栄吉裁判官渡邉和義裁判官田中秀幸別紙甲,別紙乙,別紙丙1a,別紙丙1b,別紙丙2a,別紙丙2b,別紙丙3a,別紙丙3b,別紙丙4及び別紙「YDSc店・請求明細・売掛債権発生状況」は省略別表c店損益表単位:千円〔期間〕 〔総売上〕 〔売上原価〕 〔粗利益〕 〔総経費〕 〔差引損益〕① S61.4~61.12 41,491 32,680 8,811 11,975 -3,164② S62 〔期間〕 〔総売上〕 〔売上原価〕 〔粗利益〕 〔総経費〕 〔差引損益〕① S61.4~61.12 41,491 32,680 8,811 11,975 -3,164② S62.1~62.12 74,421 58,304 16,117 18,154 -2,037③ S63.1~63.12 101,602 80,393 21,209 20,958 251④ H 1.1~ 1.12 121,995 99,844 22,151 21,881 270⑤ H 2.1~ 2. 8 95,852 79,011 16,841 16,631 210( 23,224) ( 15,564) ( 7,660) ( 4,029) (3,631)⑥ H 2.9~ 3. 8 158,466 128,965 29,501 31,332 -1,831(141,240) (109,177) (32,063) (36,472) (-4,409)上記期間のうちH2.9~ 3.3分 -1,068(注)⑤,⑥欄の上段がc店分,下段括弧内がd店分である。 また,⑥欄の最下段の数字は上記7か月分のc店の差引損益
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