平成14(わ)6 収賄被告事件

裁判年月日・裁判所
平成14年4月11日 静岡地方裁判所
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判決文本文1,915 文字)

主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 被告人から金30万円を追徴する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成9年3月17日から,静岡県A警察署警備課警備係主任として出入国管理及び難民認定法に規定する犯罪の取締りに関すること等の職務に従事していたものであるが,第1 静岡県浜名郡a町bc番地のdに事務所を置くB会社代表取締役として,外国人労働者等を雇用して人材派遣業を営んでいるCから,平成13年4月下旬ころ,同県浜松市efg番地所在のD店駐車場において,同人及び同人が人材派遣する日本に滞在する外国人に係る出入国管理及び難民認定法に規定する犯罪の取締りに際し,取締りを免れさせる等の有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に貸与されるものであることを知りながら,現金30万円を交付させて貸与させ,もって自己の前記職務に関して同額相当の金融の利益を得て賄賂を収受し,第2 Cに対し,同年6月下旬ころ,B会社事務所内において,前記趣旨の下に,現金250万円を貸与するよう要求し,もって自己の前記職務に関して同額相当の金融の利益の賄賂を要求した。 (量刑の理由)本件は,出入国管理及び難民認定法違反等の取締りを担当する警察官であった被告人が,不法残留の外国人等を雇用し,人材派遣業を行っていた,B会社の代表取締役のCから,取締りを免れる等有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨で貸与されることを知りながら,現金30万円の貸与を受け,さらに同趣旨のもとで250万円の貸与を要求した事案である。 その経緯は,被告人が,以前B会社が不法残留の外 宜な取り計らいを受けたいとの趣旨で貸与されることを知りながら,現金30万円の貸与を受け,さらに同趣旨のもとで250万円の貸与を要求した事案である。 その経緯は,被告人が,以前B会社が不法残留の外国人の関係で摘発を受けた際,捜査を担当してCと顔見知りとなり,その後も取締りや指導のためにB会社を訪れる一方,出入国管理及び難民認定法違反の嫌疑があっても大目に見るなど有利な取り扱いをするうち,Cから飲食店で接待などを受けるようになり,そのような癒着した関係の中で,Cが被告人による有利かつ便宜な取り計らいを求め,被告人の頼みであれば断り難いのを利用し,住宅の修繕費や教育費,更にはギャンブル等で作った多額な借金をギャンブルで儲けて返済しようと思い,その資金としてCから30万円を借用したというものと,更に自己の借金を整理するため,同様の趣旨で250万円の借金を申し込んだというものであるから,いずれの犯行も金融の利便を目的としたものでその動機,経緯には何ら酌量の余地はない。 また,被告人は自ら要求して積極的に本件を犯したもので,その犯行自体いずれも悪質であり,被告人は本件以外にも飲食店等での饗応や現金の貸与を数回受けていたことを認めているし,更にはB会社に不法残留の外国人がいても見逃すなどしたもので,自己の立場や節度を弁えず規範意識が鈍麻しており,強い非難を免れない。そして,借用した金員はその大半をギャンブルや遊興費に費消しており犯行後の情状も芳しくない。 警察官はその職務を,厳正,中立,公正に行うべきであり,廉潔性を強く求められているのに,それを蔑ろにしたもので,警察の威信や職務に対する信頼性を甚だしく失わせたものであり,被告人の犯行が社会に与えた衝撃には大きいものがあったことなどに鑑みると,被告人の刑責は重いと言うべきである。 他方,被 ろにしたもので,警察の威信や職務に対する信頼性を甚だしく失わせたものであり,被告人の犯行が社会に与えた衝撃には大きいものがあったことなどに鑑みると,被告人の刑責は重いと言うべきである。 他方,被告人は,犯行を素直に認めるなどして反省改悛の情を示していること,被告人が賄賂として受けたのは無利子での金30万円の借用の利益であり,貸与を受けた金員については返済をしていること,これまでに前科前歴がないこと,警察官として長らく地域の安全や秩序の維持等に携わってきたこと,被告人の妻が情状証人として出廷し,その更生に助力する旨約していること,本件発覚により懲戒免職に付され,事件がマスコミに大きく報道され強い非難を浴びるなどの社会的制裁を受けたことなど,酌むべき事情もある。 そこで,以上の諸事情を総合考慮すると,主文の刑に処した上,その刑の執行を猶予するのが相当である。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役1年6月追徴金30万円)

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